平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(嵯峨壱朗君) 文化スポーツ部の役割にかかわって質問させていただきたいと思います。
今回の議会で、岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例案も提案されていることですので、賛否の意思を決定するためにも、若干質問させていただきたいと思います。
この文化とスポーツに力を入れて復興を発信するとか、それぞれ県民の個性を発揮するということについては、私も異論はないところであります。しかしながら、それを部とすることに、まず、幾つかの疑問と不安と懸念があるわけです。岩手県のみならず、日本の課題と言っていいのでしょうか、人口減少に対してどう対策をとるかというのが、恐らく中長期的にも最大の課題だと思っております。
この岩手県は、東日本大震災津波の被災地であり、知事も認めている復旧、復興の途上にあるわけであります。そうした中で、改めてこういった部をつくるという―私は他の都道府県のもいろいろ資料をいただいて調べましたが、こういった部がある被災地の都道府県は福島県のみであり、平成20年につくっております。県内の市町村も沿岸被災地では、ほとんどこういった形での対応はしていないと思っておりました。そうした中で、こういった部を改めてつくること、それについての理由、いろいろと先ほど工藤誠議員の質問にも答弁がございましたけれども、なぜ今なのか。平成20年に法律が改正された、それと中央教育審議会の方針があったとか、それも受けてのことでしょうけれども、なぜ今なのかということを改めてお伺いしたいと思います。
そして、岩手県の岩手県ふるさと振興総合戦略もそうですけれども他の市町村も、ほとんどの場合、人口ビジョン及び総合戦略を立てておりますが、まちづくりとか人口減少対策の中の一環としてこの中にも出ています。文化芸術・スポーツ振興プロジェクトというのがありますが、そういった位置づけで私は見ておりましたけれども、そういった点ではどのように考えているのか、お尋ねします。
〇知事(達増拓也君) まず、議員御承知のとおり、平成20年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正によりまして、地域の実情に応じて、地方公共団体の長が文化やスポーツに関する事務を一元的に所掌できるとされたところでありまして、知事部局に一元化する自治体がふえているところであります。
岩手県におきましては、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を通じて醸成された県民の文化、スポーツに対する関心の高まりや、参画意識を次の世代に引き継いでいく必要があるということ、また、ラグビーワールドカップ2019や東京オリンピック・パラリンピックの開催、平泉の文化遺産の拡張登録や北海道・北東北縄文遺跡群の世界遺産登録等の取り組みによって、岩手の文化やスポーツに新しい発展が期待されていることから、文化、スポーツを核としたふるさと振興に資する諸施策を効果的、戦略的に展開するため、今回、文化スポーツ部を設置しようとするものであります。
また、まちづくりとの関係につきましては、市町村においても、首長部局で所掌するところが出てきているわけでありますけれども、文化、スポーツの振興に当たっては市町村との連携が重要でありますので、連携を強化するため、広域振興局の体制強化も検討しているところであります。
今後、文化スポーツ部を中心にして、市町村や関係団体を初めとした多様な主体と連携を図りながら、オール岩手の体制を構築して、文化、スポーツが持つ多面的価値を社会的、経済的な力に発展させ、県民一人一人の個性と創造性が輝く地域づくりを進めていきたいと思います。
〇34番(嵯峨壱朗君) 趣旨はわかりました。私もそれについては反対とかどうこうではないのですけれども、ただ、先ほど指摘しましたが、岩手県は復興途上にあるわけです。この間新聞に出ていましたけれども、全国の応援が岩手の復興の力に。というコピーのいわて復興人のポスターをつくり、全国から復興の応援団、応援職員を引き続き募集している。
これによりますと、2017年度の応援職員必要数は11月1日現在、沿岸9市町村で702名となっております。昨年よりは減っておりますけれども、まさに途上、岩手県は復興の途上であると思っています。ですから、先ほど指摘しましたし、聞けばわかることですけれども、被災県ではこういった文化、スポーツに取り組む状況にまでいっていないわけですね。だから、こうやって応援職員等を募集している。他県からは、ああ、岩手県はこういうふうに応援職員を募集しているけれども、文化スポーツ部というものを改めてつくっていると見られるのではないか。文化、スポーツの振興を否定するものではございません。地域振興という位置づけでするのであれば、もしかして、地域政策部の室でもよかったのではないですかと私は思っているのです。
岩手県は順調に復旧、復興が進んでいるのだということのアピールの意図もあるのかもしれませんけれども、そういった面で見ますと、なぜ、わざわざ部にする必要があるのか。大変、素朴な疑問です。むしろ、ふるさと振興部とかそういうのをつくって、その中に位置づけてやると、全体として整合性が出てくるのではないですかと私は思うのです。そういった視点で見てどう思われるか。
また、詳しく見ると、障がい者文化芸術等、もしくは障がい者スポーツ等がございます。スポーツというところに力点を置くとわからないでもないし、そのものを否定しませんけれども、これはどう考えても、福祉との関係がどうしても出てくると思うのです。横断的に関係を持ってやっていくということなのでしょうけれども、私的に言うと、なぜ、岩手県で、被災地で、復興途上のところで、これをわざわざ部としてやっていかなければならないのか疑問です。改めてお尋ねします。
〇総務部長(風早正毅君) 再質問をいただきました。
まず、他県の状況でございますけれども、議員からも御指摘がございましたが、まず、文化、スポーツ行政を地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正等も踏まえて、知事部局の同一部局に一元化している都道府県は、現時点で16道府県ございます。そのうち、文化、スポーツという名前を冠した部を置く自治体は5府県でございます。京都府は、文化スポーツそのものの名称でございますが、他の県におきましては、それ以外の名称も付加されるような形になっております。また、そのほかに観光や生活行政とあわせて所掌する部を置く自治体が4県あるということ、さらには、局として置く自治体も4道県という状況にございます。
そして、部にする必要性についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、先ほど知事からも御答弁申し上げたところでございますが、文化、スポーツを核とした諸施策を効果的、戦略的に展開するということが、この新しい部に求められる大きな役割の一つと考えておりまして、全庁的に幅広い施策を横断的に推進していく体制をとる必要があるということ、そしてまた、市町村ですとか関係団体を初めとした多様な主体との連携、調整も図っていくことが必要であり、オール岩手の体制での推進が求められていくこと、こういった点を勘案しまして、部内室等ではなく、部長級の職をトップとする新たな部として置くことが適切だと判断したところでございます。
また、ふるさと振興につきましては、これは現時点でふるさと振興も当然非常に重要な施策でございまして、御案内のとおり、これは知事を本部長とする本部組織を設け、また、首席ふるさと振興監を初め、本庁の各部局それから広域振興局にもふるさと振興監を兼任で設け推進体制を進めておりまして、いずれにしましても、ふるさと振興とこの新しいスポーツ、文化を核にした事業等、新しい部ができた上でも、引き続き連携を図って進めていく必要があると考えております。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時37分 散 会

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