平成28年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

決算特別委員会会議記録
(第7号)
平成28年11月22日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
農林水産部長 紺 野 由 夫
理事 鈴 木 浩 之
副部長兼
農林水産企画室長 上 田 幹 也
農政担当技監兼
県産米戦略室長 小 岩 一 幸
林務担当技監 阿 部 義 樹
水産担当技監
兼水産振興課
総括課長 五日市 周 三
競馬改革推進室長 佐 藤   学
理事心得 高 橋 宏 弥
参事 黒 田 敏 彦
参事兼団体指導課
総括課長 及 川 健 一
農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光
農林水産企画室
管理課長 小 島   純
指導検査課長 菊 池 信 幸
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 伊 藤   仁
農業振興課
総括課長 中 南   博
担い手対策課長 菊 池 政 洋
農業普及技術課
総括課長 高 橋 昭 子
農村計画課
総括課長 多 田   繁
企画調査課長 鷲 野 健 二
農村建設課
総括課長 千 葉   匡
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 高 橋 昭 雄
水田農業課長 松 岡 憲 史
畜産課総括課長 藤 代 克 彦
振興・衛生課長 菊 池 伸 也
林業振興課
総括課長 佐々木   隆
森林整備課
総括課長 佐々木 誠 一
整備課長 及 川 竜 一
森林保全課
総括課長 漆 原 隆 一
漁業調整課長 赤 平 英 之
漁港漁村課
総括課長 志 田   悟
漁港課長 阿 部 幸 樹
競馬改革推進監 佐々木 真 一
競馬改革推進室
特命参事 滝 山 秀 樹
県産米戦略監 星 野 圭 樹

会計管理者 佐 藤   博
会計指導監 清 水 雅 典

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 小 倉   茂
監査第二課
総括課長 村 上 博 和

財政課総括課長 小 原   勝
〇軽石義則委員長 決算特別委員会の開会に先立ち、総合防災室長から、本日、発生した地震及び津波注意報が発表されたことに伴う対応状況について説明があります。
〇石川総合防災室長 それでは、本日発生いたしました地震及び津波の発生及び対応状況等につきまして御報告申し上げます。
本日午前5時59分ごろ地震が発生いたしました。震源地は福島県沖、震源の深さは約10キロメートル、地震の規模はマグニチュード7.4と推定されてございます。
この地震によりまして、福島県、茨城県、栃木県などで震度5弱が観測されましたほか、本県におきましても、最大震度3が観測されたところでございます。
また、午前6時2分、福島県に津波警報が、それから、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、茨城県、千葉県九十九里、外房に津波注意報が発表され、その後、午前8時9分に宮城県が津波警報に切りかわりました。
先ほど午前9時46分に福島県、それから、宮城県に出されておりました津波警報につきましては、津波注意報に切りかわりました。また、津波注意報につきましては、青森県、それから千葉県に出されていたものが解除されまして、現在、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に津波注意報が出ているといったような状況でございます。
県内におきましては、午前8時15分現在、大船渡市で40センチメートル、釜石市で20センチメートル、宮古市で40センチメートル、久慈市で80センチメートルの津波を観測しております。また、大船渡市、宮古市、久慈市につきましては、上昇中ということでございます。
本県におきましては、午前6時2分、災害特別警戒本部を設置いたしまして情報収集を行ってございます。また、沿岸の市町村におきましても、災害警戒本部または災害対策本部を設置いたしますとともに、避難勧告、避難指示を発令してございます。
本日午前8時15分現在の被害等の状況でございます。交通関係では、JR釜石線遠野駅−釜石駅間、それから、大船渡線のBRT、三陸鉄道全線で運転を見合わせてございます。また、JR東北本線盛岡駅−一関駅間、山田線、八戸線、大船渡線、IGRいわて銀河鉄道で遅延が生じてございます。
また、お手元の資料にはございませんが、先ほど入りました情報によりますと、沿岸地域の県立学校におきましては、休校が4校、それから、登校時間を遅くいたします短時間授業が6校といったような状況になっております。また、沿岸市町村にございます市立幼稚園6園におきましても、休園措置がとられているといったような状況でございます。
それから、避難の状況でございます。久慈市、大槌町、それから釜石市、野田村で、現在494名の方が避難しております。そのほかの市町村につきましては、現在、確認中でございます。
現時点では、人的、物的被害は確認しておりませんけれども、沿岸地域の各観測点での津波最大波が上昇しているといったようなところもございまして、引き続き情報収集に全力を尽くしますとともに、被害が確認され次第、迅速な災害応急対策を行わせていただきたいと考えております。
被害の状況、対応状況につきましては、今後におきましても議会の皆様に御報告させていただきます。
以上、報告を終わります。よろしくお願いいたします。
〇軽石義則委員長 以上で総合防災室長の説明を終わります。総合防災室長は退席されて結構です。
これより本日の会議を開きます。
木村幸弘委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第15号まで、並びに議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
本日は、農林水産部関係について延べ20人の質問者を予定しており、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇紺野農林水産部長 平成27年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
初めに、農林水産部所管の事務事業に係る主な取り組み、成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
平成27年度は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、基盤復興から本格復興の段階に進む本格復興邁進年と位置づけて、一日も早くもとの生活に戻ることを願う被災者の方々の思いに応えるため、事業を展開したところであります。
主なものとして、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築や、漁港等の整備、地域特性を生かした生産性、収益性の高い農業の実現、海岸防災林の再生などのほか、原木シイタケ産地の再生、県産農林水産物の風評被害対策等の放射性物質影響対策などに取り組んだところであります。
また、本県農林水産業の持続的な発展に向け、復興の取り組みと軌を一にしたいわて県民計画に基づき、農林水産業の未来を拓く経営体の育成や、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立、農林水産物の高付加価値化と販路拡大などに取り組んだところであります。
具体的な内容につきまして御説明申し上げます。
まず、東日本大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、水産業関係については、補助事業による新規登録漁船数は、第2期復興実施計画に掲げる目標の97%、養殖施設の整備数は、ほぼ目標どおりの進捗となったほか、漁港は、被災した県管理及び市町村管理の計108漁港全てで復旧工事に着手し、うち県管理27漁港、市町村管理57漁港の計84漁港で工事が完了したところであります。
また、農業関係については、被災した農地は第2期復興実施計画の目標の9割まで復旧したほか、沿岸地域の気象特性を生かした大規模園芸施設の経営安定に向けた営農指導に取り組んだところであります。
林業関係については、被災した海岸防災林のうち、8地区で植生基盤の造成や植栽を実施し、2地区で工事が完了したところであります。
放射性物質影響対策については、原木シイタケの生産再開に向けたほだ木の処理や、落葉層除去などのほだ場環境の整備、露地栽培から施設栽培に転換する際の簡易ハウスの整備の支援などに取り組んだところであります。
次に、いわて県民計画に掲げた農林水産業振興に係る取り組みと成果についてでありますが、農林水産業の未来を拓く経営体の育成については、地域農業の核となる経営体、地域森林計画を担う経営体、地域漁業の再生を担う経営体の育成に取り組み、農地中間管理事業や圃場整備事業の活用等により、認定農業者等への農地集積面積が拡大したほか、地域牽引型林業経営体数や新規漁業就業者数等が増加したところであります。
また、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立については、県オリジナル水稲新品種の早期ブランド確立に向けて、知事を本部長とするいわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部を設置するとともに、銀河のしずくの名称の決定やロゴマークを作成したほか、高性能林業機械の導入等による素材生産体制の強化に取り組み、県産材供給量等が増加したところであります。
さらに、農林水産物の高付加価値化と販路拡大については、6次産業化に意欲的な農林漁業者への商品開発や販路開拓の専門家派遣や取り組みに対する補助事業等の実施により、6次産業化による販売額が増加しているほか、県産農林水産物の輸出については、県内事業者と海外実需者とのマッチング支援や、フェアなどを通じた情報発信、プロモーション活動を積極的に展開したところであります。
次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けては、引き続き、漁港や海岸保全施設などの復旧、整備、全24漁協が策定した地域再生営漁計画の実行支援を通じた地域漁業の再生を担う経営体の確保、育成や、水産物の高度衛生品質管理地域づくりのサプライチェーンを構築し、県産水産物の高付加価値化を進めるほか、放射性物質の影響対策として、引き続き、原木シイタケなどの産地再生、風評被害対策などに取り組んでまいります。
さらに、強い農林水産業と活力ある農山漁村を確立するため、地域農業を牽引するリーディング経営体の育成や、いわて林業アカデミーの開講などにより、意欲ある担い手の確保、育成に取り組むほか、県オリジナル水稲新品種のブランド確立に向けては、引き続き積極的なプロモーション活動を展開するとともに、ICTやロボット技術等を活用し、若者や女性などの多様な人材が活躍できる環境づくりを進めるほか、6次産業化の取り組み拡大による農林水産物の高付加価値化や、海外市場の開拓と販路の拡大などに取り組んでまいります。
以上、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
続きまして、当部関係の平成27年度の決算について御説明申し上げます。
まず、一般会計歳出決算についてでありますが、平成27年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費のうち当部が所管するもの、並びに3項農林水産施設災害復旧費を合わせて2、147億9、897万円余であります。これに対する支出済額は1、041億2、737万円余となり、前年度に比較して、金額で298億4、223万円余、率にして22.3%の減となっております。
また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波被害からの復旧、復興に向けた事業などについて、計画調整や設計、工法の検討などに不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の665億4、761万円余、及び建設資材の調達等が遅延したこと、工法の見直しにより工事が遅延したことなどによる事故繰越の249億1、856万円余を合わせて914億6、618万円余となっております。
次に、歳出決算の内容につきまして、便宜、お手元に配付しております平成27年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、予算科目ごとに主な内容について簡潔に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
歳入歳出決算事項別明細書の238ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費であります。2目農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金などの制度資金の貸し付けを行う金融機関に対する利子補給、及び平成26年産米の価格下落により影響を受けた農業者の当面の資金繰りに対応するための貸し付けを行う農業協同組合に対する原資の一部預託に要した経費であります。240ページをお開き願います。3目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費であります。4目農業振興費の主なものは、機構集積協力金交付事業の取り組みへの補助や、中山間地域等直接支払交付金の交付に要した経費であります。242ページをお開き願います。5目農作物対策費の主なものは、鳥獣被害防止対策や米生産の数量調整の取り組みへの補助に要した経費であります。244ページをお開き願います。6目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費であります。7目植物防疫費の主なものは、病害虫の防除や、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の安全使用の指導に要した経費であります。246ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費であります。10目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。248ページをお開き願います。11目農業大学校費は、同校の管理運営及び施設整備に要した経費であります。
次に、2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。250ページをお開き願います。2目畜産振興費の主なものは、放射性物質の被害対策及び家畜飼養管理施設などの整備への補助に要した経費であります。3目草地対策費は、畜産生産基盤などの整備に要した経費であります。252ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費の主なものは、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染性疾病の検査、予防に要した経費であります。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
254ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。2目土地改良費のうち当部関係は、圃場整備や農業水利施設の補修、更新、農道の整備など、農業の生産基盤と農村の生活環境の総合的な整備及び農業、農村の有する多面的な機能の維持、発揮を図る地域共同活動への交付金の交付に要した経費であります。256ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、沿岸地域における農地の生産性及び収益性を高める整備や海岸保全施設などの防災施設の整備に要した経費であります。258ページをお開き願います。4目農地調整費の主なものは、農地中間管理機構の業務への補助に要した経費であります。
260ページをお開き願います。次に、4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費などの管理運営や県有林事業特別会計への繰出金であります。2目林業振興指導費の主なものは、いわての森林づくり県民税を財源としたいわての森林づくり基金への積み立てや、間伐、木材の加工、流通施設の整備及び高性能林業機械の導入などへの補助に要した経費であります。262ページをお開き願います。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除に要した経費であります。264ページをお開き願います。4目造林費は、植栽や間伐など森林の整備への補助に要した経費であります。5目林道費は、林道の整備に要した経費であります。266ページをお開き願います。6目治山費は、治山や地すべりの防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。
268ページをお開き願います。次に、5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費などの管理運営や水産科学館の管理運営に要した経費であります。270ページをお開き願います。2目水産業振興費の主なものは、サケ稚魚などの放流支援やアワビなどの放流種苗生産など、栽培漁業の推進に要した経費であります。3目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合などの検査、指導監督や、漁業近代化資金などの貸し付けを行う金融機関に対する利子補給に要した経費であります。272ページをお開き願います。4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会などの開催や漁業調整に要した経費であります。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や密漁等の取り締まりに要した経費であります。274ページをお開き願います。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であります。276ページをお開き願います。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の管理運営に要した経費であります。10目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、漁村環境の整備などを重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要した経費であります。
次に、大きく飛びまして、342ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費であります。2目庁公舎等災害復旧費のうち当部関係は、震災により被災した水産技術センター大船渡研究室の復旧に要した経費であります。
次に、3項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、震災及び大雨により被害を受けた農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧に要した経費であります。344ページをお開き願います。2目林道災害復旧費は、大雨により被害を受けた林道の復旧に要した経費であります。3目治山災害復旧費は、震災により被害を受けた治山施設の復旧に要した経費であります。346ページをお開き願います。4目水産業用施設等災害復旧費は、震災により被災した漁船、定置網、さけ・ます種苗生産施設及び水産業共同利用施設などの復旧に要した経費であります。5目漁業用施設災害復旧費は、震災により被害を受けた漁場施設の復旧に要した経費であります。6目漁港災害復旧費は、震災及び波浪により被害を受けた漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費であります。
以上で一般会計の歳出決算の説明を終わります。
続きまして、特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成27年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、32ページをお開き願います。
農業改良資金等特別会計の予算現額は1億4、976万円余であります。これに対する収入済額は1億4、378万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金などであります。次に、支出済額は1億4、378万円余で、新規就農を促進するための就農支援資金の回収に要した経費、及び回収した資金に係る国庫への返還と一般会計への繰り出しに要した経費であります。
なお、本特別会計は、平成27年度をもって廃止いたしまして、平成28年度からは一般会計におきまして予算措置し、資金の回収等債権管理を行っております。
34ページをお開き願います。県有林事業特別会計の予算現額は38億4、202万円余であります。これに対する収入済額は35億9、659万円余で、一般会計からの繰入金などであります。次に、支出済額は34億8、561万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育などに要した経費であります。
なお、翌年度繰越額は、計画調整に不測の日数を要したことによる繰越明許費3、913万円余、労務者の手配調整に不測の日数を要したことによる事故繰越7、091万円余の合計1億1、004万円余であります。
36ページをお開き願います。林業・木材産業資金特別会計の予算現額は11億6、383万円であります。これに対する収入済額は11億5、801万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金などであります。次に、支出済額は4億3、124万円余で、木材事業者などの経営改善を図るための低利の運転資金の貸し付けを行う金融機関に対する原資の一部預託などに要した経費であります。
38ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の予算現額は9億1、942万円余であります。これに対する収入済額は9億2、142万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金などであります。次に、支出済額は25万円余で、沿岸漁業改善資金の回収に要した経費であります。
以上で特別会計の歳入歳出決算についての説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋但馬委員 私は、事項別明細書243ページの日本一の美味しいお米の国づくり推進事業費についてお尋ねいたします。
総括質疑で郷右近浩委員も取り上げている部分でありますけれども、本日は、部局別審査ということで、さらに詳しい答弁をいただければと思っております。
まず、食べよう!いわての美味しいお米をキャッチフレーズに県産米の消費拡大に取り組んだと思われますけれども、平成27年度の効果についてお知らせください。
〇星野県産米戦略監 県では、米離れが進んでいる若者等を対象に、米の消費減少に歯どめをかけ、県産米の新たな需要を喚起するために、県産米の消費拡大等を実践する食べよう!いわての美味しいお米サポーター制度の創設、米の消費拡大に結びつく商品開発や御飯食の機会創出を目的とした取り組みへの支援、テレビ、情報誌を活用した御飯情報の発信などの取り組みを通じまして、県産米の消費拡大を図ってまいりました。
こうした取り組みの結果、お米サポーターは1、734人まで増加しておりますし、米の消費拡大に結びつく商品開発支援では、洋風炊き込み御飯のもととして利用できる粉末スープ、県産米と地元産食材を活用した弁当が商品化されるなど、一定の成果が得られております。
〇高橋但馬委員 特A米デビューをした銀河のしずくでありますけれども、特A米というのは、全国で現在、過去最多の46銘柄に上っており、産地間競争を生き抜いていくのは非常に難しいと考えております。これまでは、やっぱり戦略とかPR不足という声も上がっているわけですけれども、今までの戦略やPRをどのように分析をして、他県に負けない独自の戦略をどう打ち出していくのかお知らせ願います。
〇星野県産米戦略監 県では、平成20年3月に策定しました、いわて純情米生産・販売戦略に基づきまして、県内の関係機関、団体で構成します、いわて純情米需要拡大推進協議会を中心にしまして販売戦略に取り組んでまいりました。県産米の評価、知名度の向上に努めてまいりました。
その結果でございますが、実需者からは品質や食味について一定の評価をいただき、収穫前の取引割合は高まっておりますが、取引価格とか消費者の知名度の向上が課題となっております。
このような中で、近年、全国の米産地から新品種がデビューしており、オリジナル新品種のブランドを早期に確立するためには、これまで以上に消費者や実需者の認知度を高め、産地としての信頼をかち取ることが重要であるという認識から、県では、首都圏の米穀専門店や消費者を対象に行ったマーケット調査の結果、米流通やマーケティングの専門家等からの意見を踏まえまして、平成28年2月に、新品種の基本コンセプト、販売ターゲットへのブランドイメージ、販路開拓に効果的なPR方法などを内容としました、いわてオリジナル品種ブランド化戦略を策定いたしました。
〇高橋但馬委員 岩手日報がコメに懸けるという特集を組んでいるのですけれども、東京の専門店の方の、何で岩手はもっと積極的に攻めないのかというコメントが上がっているところでもあって、やっぱりその中で生き抜いていくというのは非常に大変なことだと思うのですね。
それで、今回、新たに岩手118号が出るのですけれども、1994年度にデビューした県の水稲品種、かけはしとゆめさんさは、生産者がゼロまたはほとんどいない状況にあるわけです。品種の特性もあると思うのですけれども、同時デビューというのもインパクトが薄くなるような気が私はしています。今回11年ぶりとなる本県のオリジナル品種、銀河のしずく、そして2017年秋に県最高品種の岩手118号がデビューする。この続けてデビューする部分で非常にインパクトが薄くなると思うのですけれども、県として、この2品種の線引きに対して、どのように対応していくのかをお知らせください。
〇星野県産米戦略監 ことしデビューしました銀河のしずくは、白くてつやがあり、軽やかな口当たりとほのかな甘みが楽しめるお米であり、洗練されたおしゃれなイメージを打ち出し、引き続き、大消費地の米穀専門店やお米にこだわる飲食店等の開拓、拡大に取り組んでまいります。
一方、岩手118号は、ふわりとした食感と豊かな甘みが楽しめる米でありまして、最高級でぜいたくなイメージを打ち出し、県産米のフラッグシップとして実需者等の注目度や消費者の認知度を高め、全国5位以内の相対取引価格を目指し取り組んでいくこととしております。
今後、銀河のしずくと岩手118号の販売に当たりましては、それぞれの個性や特徴に応じまして、消費者や取引先など販売ターゲットのすみ分けをしっかり行いまして、その魅力を広くアピールしながら、一体的にブランド化に取り組んでまいります。
〇高橋但馬委員 私の実家も米屋をやっておりまして、旅館で朝御飯に食べたお米がおいしいと、うちの米屋で買っていくわけですね。お米に対しては非常に敏感に反応しているところでもありまして、トップの魚沼産のコシヒカリに挑むためには消費者の心を動かす必要があると思います。例えば、北海道ではインパクトのあるCMを放映している、そして、例えばうどん県とか、最近ではピコ太郎など、ユーチューブなどの動画サイトも侮れないと思うのですけれども、このような工夫を凝らしたPRが必要だと思いますが、そういうCM放映とか、その部分に対しての対策についてお知らせください。
〇星野県産米戦略監 県産米のフラッグシップとして位置づけております岩手118号でございますが、これは全国に誇れる最高級プレミアム米として、おいしい御飯にこだわる方から愛し続けられるお米を目指しているところでございます。
いわてオリジナル品種ブランド化戦略では、全国の最高級ブランドのお米を求める消費者等を販売ターゲットとしまして、ネーミングやロゴマークの作成、食味成分などのおいしさの見える化、インターネットを活用しました広告発信といったもので認知度を高めることとしております。
今後、いわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部を構成します機関、団体の意見、さらには、銀河のしずくを高く評価していただいております米穀専門店からの助言を踏まえながら、PR方法、手段を十分に検討いたしまして、注目度、知名度が高まるようなプロモーションを展開してまいります。
〇樋下正信委員 本県農業の振興についてお伺いします。
先般、国会においてTPP協定の国会承認案が可決されたところでありますが、国内の農業の状況を見れば、就業人口が年々減少し、高齢化も一層進展している状況にあります。
TPPに参加する、しないにかかわらず、農業の生産構造をより強いものにしていかなければならないと考えております。これからの地域農業を支えていくには、担い手の育成、特に新規就農者の確保、育成が重要であると思っております。意欲を持って農業に取り組もうとする就農希望者は、研修期間の2年間と自立してからの5年間は、国の青年就農給付金制度により生活の安定が図られているところでもありますが、県や市町村においてもさまざまな支援策を講じているものと認識しております。
一方で、居住地から離れた農地しか確保できなかったとか、施設や機械の整備が思うように進まないといったような声も聞こえています。
そこでお伺いしますけれども、新規就農者へのフォローアップについてであります。意欲のある若い新規就農者の確保を図るとともに、地域の担い手として定着させるためには、農地の取得へのマッチングや初期投資を少なくするよう、各種補助事業の紹介に加え、中古の農機具や資材などをあっせんするほか、給付金の受給が終わった後も経営者としてのスキルアップを図るなどフォローアップを強化すべきと思いますが、その対応についてお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 新規就農者へのフォローアップについてでありますが、これまで、県、市町村、農業委員会、農協等で構成する各地域の担い手協議会が中心となり、確保対策として、就農相談会の開催や研修受け入れ先のあっせん、青年就農給付金の給付などに取り組むとともに、育成対策として、生産技術、経営力の向上、機械、施設等の取得、農地情報の収集やあっせんなどを支援してきたところでございます。
また、平成27年度から、県農業公社において、担い手育成基金事業の活用による中古の農業機械や施設等の地域資源の取得についても支援しているところでございます。
さらに、来年度から、農業大学校におきまして、新規就農者の経営発展段階に応じた研修を一元的に実施することとしており、こうした取り組みによりまして、新規就農者へのフォローアップを強化してまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
次に、土壌診断についてお伺いしたいと思います。
これからの農業の収益性を高めていくには生産コストを低減することが必要であり、そのためには、適切な施肥設計を行うための土壌診断も重要と考えます。既に土壌診断に取り組んでいる農業者からは、1年に1回程度の土壌診断では少ないのではないかという声も聞いているところです。
そこでお伺いしますが、現在の土壌診断を行う体制や実施状況について、また、もっと手軽に土壌診断を行えるような仕組みが必要と思いますが、どういう考えがあるのかお聞かせ願いたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県では、農業改良普及センターや全農岩手県本部の広域土壌分析センター等におきまして、精密な土壌分析を実施できる体制を整備しております。精密な土壌分析は、土壌養分の年次変動が少ないことから、5年に1回程度の実施を推奨しており、平成27年度は、販売農家戸数の2割程度に相当します約8、000点の土壌を分析しております。
分析の内訳でございますが、野菜が55%を占め、水稲が19%、飼料作物が11%、その他が15%となっております。
今後でございますけれども、生産現場において、農家が手軽に土壌診断を実施できる簡易な土壌分析技術の普及拡大を進め、土壌診断体制の充実強化を図るとともに、引き続き、土づくりや施肥管理に関する研修会の開催など、適正施肥の推進による施肥コストの低減も一諸に図ってまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 ぜひ、農家の方々とコミュニケーションをしっかりとっていただきながら進めていただければとお願い申し上げます。
次に、集落営農組織の育成についてお伺いいたします。
私の地元を見渡してみますと、水稲農家に限らず、果樹や花卉の農家についても、後継者がいないところが多くなってきております。将来を考えると、新規就農者の確保、育成とあわせて、地域の農家が共同でさまざまな作目の作業をカバーするような集落営農組織が必要ではないかと考えております。
そこから加工や産直などの販売も含めてですけれども、6次化にまで発展できていけばいいと考えますが、集落営農組織の育成に対する県の考え方をお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 農業後継者が不足する中、地域農業の活力維持のためには、農家が共同で作業を行う集落営農組織の育成が必要でございまして、県では、これまで、稲作作業の受託や野菜など園芸品目の導入に加えまして、それらの加工販売の取り組み等を進めることで、集落営農組織の育成を支援してまいりました。
また、集落営農組織が安定した経営を行っていくためには、農地の貸借による経営規模の拡大や経営の多角化に取り組み、若者や女性が安心して働ける労働環境を整えることが重要でございます。
このため、組織リーダーの育成や構成員の合意形成による法人化の取り組みを支援するとともに、農地中間管理事業による水田や畑の集積、集約化、比較的栽培が容易な野菜の導入拡大やその加工による高付加価値化などにより、集落営農組織を育成してまいります。
〇樋下正信委員 ぜひ、県内、県外、全国などの事例などもたくさんあると思います。その辺のところを参考にしながら、地域の農家の方々に入り込んでいって、一緒に進めていただければいいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、農作業の省力化についてお伺いいたします。
農業の担い手を確保する上での課題として、農業の労働環境があると思います。農作業は、夏の暑い時期での作業や重いものを持ち上げるといった作業が多くあるわけでございまして、さまざまな職業の中でも決して楽な仕事とは言えないと思っております。
私自身も、地元に鹿妻穴堰という水を供給している水路があり、そこの草刈りに従事することがあるわけでございまして、傾斜地での草刈りなどは本当にきついものがあります。この作業に出てきてくださる方々は地域の農家の方々であるわけでございますが、かなり年齢的にも高齢者の方が目立ってきているという状況でございます。
そこで、農業従事者の減少や高齢化が進む中で、若い人が農業に従事したいと思ってもらうためには、農作業の省力化の推進が必要と思いますが、これまでの取り組みと今後の方向性はどうなっているのかお伺いいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長 これまで、県ではキュウリ、トマト等の自動かん水装置や水稲の直播もできる田植え機の普及拡大を図るなど、農作業の省力化に向けた取り組みを進めてきたところです。
また、キャベツやタマネギの苗の移植機や除草のための乗用管理機、収穫機など、一連の作業機械の導入支援に加え、ICTを活用したトマトの栽培施設内の温度、湿度を最適にコントロールするシステムの実証にも取り組んでおります。
今後は、こうした取り組みを強化することなどにより、一層の農作業の省力化を進めてまいります。
〇樋下正信委員 いずれ、若い人たちが率先してといいますか、やりたいなというふうになるよう、省力化も含めて、さまざまな形での対策に当たっていただければと思っております。
最後になりますけれども、有機農業の推進についてお伺いします。
本県は、全国でも有数の畜産県であり、そこから発生する有機資源が非常に豊富に存在しております。こうした資源を活用しながら生産活動を行ういわゆる循環型農業は、全国に先駆けて環境にやさしい農業に取り組んでいる本県にとって基本的な取り組みでありますが、その最高峰と言える有機農業の取り組みについては、まだまだ伸び代があると認識しております。
そこで、有機農業の推進について、本県の取り組み、今後の見通しについてお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県では、平成25年3月に策定いたしました、ひとと環境に優しいふるさといわて農業プランに基づき、農業の持つ自然循環機能を維持、増進し、環境への負荷を低減する持続的な農業を展開するため、有機農業を初めとする環境保全型農業を推進しております。
これまで、農業改良普及センターに相談窓口を設置し、有機農業者の新規参入を支援してきたほか、農業研究センターにおいては、堆肥等の有機物を活用した無化学肥料栽培技術や天敵等を利用した無農薬栽培技術の開発に取り組んでまいりました。
また、有機農業の推進につきましては、こういった技術指導に加えまして、有機農産物の販売先の確保が重要であることから、平成27年に生産者と流通業者、消費者等で設立いたしました岩手県有機農業連絡協議会と連携いたしまして、オーガニックフェスタ等の開催を通じて、消費者の理解増進に努めていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 私から何点かお伺いいたします。まず最初に、農業の基であります経営体育成基盤整備事業についてお伺いいたします。
岩手県は30アール以上の区画の整備率が東北で一番低い、最下位、そして、全国の整備率に比べても格段と開きがあります。その中で、平成27年度に整備された部分も含めて、今の状況はどうなっているかお伺いいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 経営体育成基盤整備事業、これは圃場整備事業でございますけれども、この平成27年度の整備状況についてでございますが、平成27年度当初の国費配分を含む県予算額27億2、000万円によりまして、盛岡市玉山地区の武道地区など37地区で、区画整理73ヘクタール、暗渠排水299ヘクタールの整備を実施したところでございます。
また、平成27年度の国の補正予算配分による県予算額24億4、000万円により、星山、犬吠森地区など16地区で、区画整理125ヘクタール、暗渠排水25ヘクタールの整備を進めているところでございます。
〇工藤勝博委員 この基盤整備は単年度では事業は終わらないわけですけれども、いただいた資料の中で、古いのは平成12年に採択されて、平成27年度に完工した地区もあります。
そういう中で、平成27年度を含めて実際に事業採択されている分は42カ所あるんですけれども、2カ所を除いて、ほぼ盛岡以南ということになっています。この盛岡以南以外はなかったということはどういう状況になっているのか、その辺もお伺いしたいと思います。
〇鷲野企画調査課長 事業採択の地区別の状況でございますが、市町村が向こう5カ年間の事業実施要望を取りまとめた農業農村整備事業管理計画によりますと、経営体育成基盤整備事業、いわゆる圃場整備の平成29年度から平成33年度までの採択希望地区は88地区となっておりまして、過去5年間と比べて多くなっておりますが、その内訳としましては、盛岡広域振興局管内で15地区、同じく県南広域振興局管内で66地区、沿岸広域振興局管内で1地区、県北広域振興局管内で6地区となっております。
県といたしましては、地域から寄せられている多くの整備要望に応えるため、担い手への農地の集積、集約化等による生産コストの低減や高収益作物の積極的な導入、また、6次産業化への取り組みなど、地域の合意のもとに描かれた営農ビジョンの実現に向け、事業計画の策定に取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 それぞれ地区によって、広域振興局ごとに比較しても県南が圧倒的に多く、この県北・沿岸が全く少ない。整備率も平成24年度で県北は18%、沿岸が14%という状況でもあります。そういう中で、これからの農業経営を考えた場合、今の農地集積も含めて、基盤整備がさらに必要ではないかと思います。
それで、そこが進まないという状況、これからの整備も、かなりの地区で申し込みがあるわけですけれども、地区によっては進まないというのはどういう背景があるのかお伺いしたいと思います。
〇鷲野企画調査課長 事業計画の策定に当たりましては、まず、地域によって合意形成を行います。それについては、営農上の支障や整備要望を整理しまして、事業構想の合意形成を図るものであります。それで、事業構想の合意がとれましたら、その後、事業計画に入っていきますが、この中で詳細な現地調査を行って、施設の整備計画の策定、費用対効果、事業計画を樹立していくという手順になっております。
このような中で、やはり地域の中でも反対の方がいらっしゃったりして、こういった合意形成に時間がかかる地区が生じていると考えております。
〇工藤勝博委員 今、この基盤整備は急がなければならないような状況だと私は認識しております。そういう中で、地区で合意形成ができない、なかなか難しいということは、それぞれの地域ではあると思うのですね。それを乗り越えながら事業採択に向けての努力も必要だと思います。
大分前の話なのですけれども、ある党の皆さんが、地区でそういう借金をしてまでやる必要はないと言っていた時期もありました。そういうことを踏まえると、今、かなり反省点があると思うのですね。それらを乗り越えながら、今のこのチャンスを活用しながら基盤整備を進めていかなければならないと思うのです。
その合意形成に至るハードルもあるのですね。地権者の何割以上が合意しなければならないと。例えば100戸あって、そのうち二、三戸が反対だ、どうしてもだめだという状況だったら、除外してもやれるというような制度設計はできないのか、できるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇鷲野企画調査課長 地権者の合意形成のあり方についてでありますが、土地改良事業は、法の規定に基づきまして、事業に参加する資格者の3分の2以上の同意をもって実施が可能でありますが、事業の実施、事業完了後の施設の維持管理、負担金の徴収等を円滑に進めるために、圃場整備事業の新規採択に当たっては、資格者の95%以上の同意を前提としておりまして、過去5年間に採択した22地区の同意率は、平均で98%となっております。
それで、全体の合意がとれないというような場合につきましては、担い手への農地の集積、集約化等に大きな支障が生じない範囲で事業実施エリアを見直すなど、地域での話し合いを進めていく必要があると考えております。
〇工藤勝博委員 合意形成も、それは、それぞれの地区の土地改良区が先頭になってやっているような感じですけれども、年数を経れば経るほど、当然事業費も上がるだろうし、農家負担もまたふえるだろうと思うのですよ。それらも含めて、何とか県のほうでもしっかり土地改良区の指導をしながら進めていってほしいと思います。
ちなみに、今、平成27年、平成28年、恐らく平成29年度も相当な事業量があると思うのです。その状況の中で事業費等はどういう状況になっているのでしょうか。
〇千葉農村建設課総括課長 経営体育成基盤整備事業の財源確保について説明させていただきますけれども、平成28年度当初における国費配分見合いの事業費は26億円でございまして、これは、県当初予算の61%となっていたところでございます。今回の国の経済対策などにより、国費配分見込み見合いの事業費60億4、000万円の配分が見込まれたことから、補正予算として9月定例会に提案し、お認めいただいたところであり、この結果、86億4、000万円を確保できる見込みとなったところでございます。
県はこれまで、国への要望活動を積極的に行うとともに、県議会の議員の皆様の御支援もいただきながら国費の確保に努めてきたところでございまして、この予算については、地域の整備要望に可能な限りお応えできるよう効率的な執行に努めるとともに、引き続き、国に対し水田整備がおくれている本県の実情を強く訴えながら予算の確保に努めていく考えでございます。
〇工藤勝博委員 全体の枠は大変努力しているということはわかります。そういう中で、例えば農家負担、10アール何百万円とかかるわけですけれども、その負担というのはどの程度になっているのでしょうか。
〇千葉農村建設課総括課長 経営体育成基盤整備事業につきましては農家負担は5%ほどでございますけれども、その部分については、地域で農地集積に努力をしていただきますと促進費が出ます。その促進費を充てると農家負担が軽減されますので、そういった取り組みを通じて負担軽減を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 そういうあらゆる手段を講じながら、できるだけ農家負担がない形の整備をお願いしたいと思います。
次に、多面的機能の部分で、農地維持支払いの事業についてお伺いいたします。
この事業はどの地区でも大変評価が高いのだろうと思います。それらを含めて、その成果といいますか、どう捉えているかお聞きしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 農地維持支払いの関係でございますけれども、農地維持支払いにつきましては本県の水田の73%で導入され、農地周りの草刈り、あるいは水路の泥上げ等の基礎的な維持活動が地域で取り組まれているところでございます。
また、多面的機能支払いの中に資源向上支払いもございますけれども、この資源向上支払いについては本県の水田の約64%で導入され、農村環境の保全や施設の補修、更新等の活動が地域で取り組まれているところでございます。
今年度、活動組織や市町村を対象にしたアンケート調査を実施しておりますけれども、その中では、保全管理に有効とほとんどの組織で回答していただいておりますし、そういった多面的機能支払制度の有効性と必要性が回答の中では高く評価されていると考えております。
県としては、農業・農村の有する多面的機能の維持、発揮や地域資源の適切な保全管理が期待できると考えておりまして、今後も多くの地域で導入され、継続して取り組まれるよう、市町村等と連携して活動組織を支援していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 大変評価の高い事業ですけれども、実際まだ行われていない地区も27%ということです。それらの地区の方々は、この事業がなくなると置いてきぼりになってしまうのです。それら未組織の地区をどういう形でこれから進めていくのか、お考えがあればお聞きしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 多面的機能支払いの未実施地区への指導についてでございますけれども、制度に取り組んでいない地域の担い手農家や地域リーダー等に聞き取り調査を実施したところ、制度概要は知っているけれども詳細は知らない、あるいは事務が負担、また、人材不足などによってなかなか事務能力が続かないといった課題が挙がったところでございます。
県では、こうした聞き取り調査を踏まえまして、これまでの広報誌の発行や活動事例を掲載したPRチラシの配布等に加え、市町村や岩手県多面的機能支払推進協議会と連携いたしまして、制度の詳細説明や事務委託が可能なことを説明するなど、導入拡大に向けた普及啓発に取り組んでいるところでございます。
〇工藤勝博委員 地区で一番の課題というのは事務処理です。経理的にも事務的にもかなり量が多いので、それを受ける人材がいないとなるとなかなか地区がまとまらないのですけれども、何年か前から土地改良区でも受けるということがありました。そういう方もうまく利用しながら、せっかくの100%の事業ですから、ぜひ有効に活用していただきたいと思います。
私の地区でももう四、五年やっているのですけれども、もう大体整備は終わった。草刈りは確かにあるけれども、ある程度金額が大きくないとならないので事業を実施できない、そういう地区もこれから出てくると思うのです。その中で、メニューを逆に縮小しても維持できるような形がぜひ必要ではないかと考えていますけれども、その辺の制度設計、メニューの捉え方はどうしておられるのでしょうか。
〇千葉農村建設課総括課長 多面的機能支払いについてはスケールメリットを生かそうということで広域的な組織づくりに現在取り組んでおりますけれども、一方、アンケート調査の結果を見ると、小さい組織でやったほうが意思の疎通といった面で非常に効果があるということも聞いております。今、多面的機能支払いについては中間年を迎えまして、県も国も中間評価をやっておりますし、また、5年経過すれば全体評価をすることになっておりまして、そうした評価を通じて地域の声を反映した制度になるように考えていきたいと思っております。
〇工藤勝博委員 ぜひそういう地域の声も吸い上げながら、今以上にいい制度に変えてほしいと思います。よろしくお願いします。
次に、農地中間管理事業についてお伺いします。
先ほどの基盤整備とかぶるのですけれども、やはり基盤が整備されないと受け手が拒否する。せっかくの土地も有効に活用されないことになると思うのです。その辺について、県では目標達成しているということは指標の中にあるのですけれども、まだまだ十分ではないと思いますが、その辺はどうなっているのでしょうか。
〇菊池担い手対策課長 農地中間管理事業の状況と課題でございますけれども、平成27年度の農地中間管理機構によります農地の貸付面積は5、222ヘクタールで、平成35年度までに担い手に8割の農地を集積するという目標の中で掲げた単年度目標─1年ごとの目標の3、600ヘクタールは上回ったところでございます。また、これにより、農地の受け手となりました経営体数は延べ4、082経営体となりました。
今後、事業を着実に進めていく上では、担い手が借りたいとした面積に対応した貸し出したいとする農地の面積を集めること、それから、中山間地域等の条件不利地での受け手の確保が課題でございます。やはり最終目標の達成に向けましては、基盤整備の一層の推進と、地域農業マスタープラン、地域での話し合いの中で一体的な見直しを進めていくことが重要と考えてございます。
〇工藤勝博委員 今以上に集積できる、できないのポイントは経営体の育成だと思います。経営体がそれぞれの集落の中で許容量をふやすことが必要ではないかと思いますけれども、そういう形で、今、法人化も進められております。先ほど営農組合の指導等もありますけれども、それら経営体の育成についてはこれからどういう取り組みをなされるのかお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 農地の受け手となります経営体の育成についてでありますけれども、今、県内全域で地域農業マスタープランが作成されておりますので、そういった地域の話し合いのもとに作成されましたプランを基本に据えまして、意欲と能力を持った認定農業者あるいは集落営農組織など、地域の中心となる経営体の育成がまずは重要と考えております。県では、経営の規模拡大や多角化を目指すこれら農業者を対象といたしまして、岩手大学と連携しましたいわてアグリフロンティアスクールを開設し、経営ノウハウの習得や企業家マインドの醸成を図るとともに、農業経営アドバイザーなどと連携いたしまして、そういった組織や個人の法人化を初め、経営管理能力の向上を支援しているところでございます。
さらに、規模拡大に伴う経営基盤の強化に向けましては、いわてリーディング経営体育成支援事業を初め、県単事業などを活用しました機械、施設の整備を支援しているところでございます。こうした取り組みによりまして、受け手となる農業経営体を育成してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 基本となる経営体の育成は本当に重要だろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、新規就農者の一つの登竜門といいますか、今あるいい制度に青年就農給付金制度があります。この制度は始まってことしで5年目ですか、そういう中で給付の実態はどのようになっているかお伺いします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 青年就農給付金の受給者は、制度が創設されました平成24年度には171名、平成25年度には264名、平成26年度は338名、そして平成27年度は364名であり、男女比を見ますと8対2となっております。
平成24年度から平成27年度までの4年間の経営開始型受給者の作目別で見ますと、露地野菜と施設野菜が合わせて全体の4割を占め、次いで水稲を基幹とした複合経営が17%、花卉が10%と続いております。
同様に地域別で見ますと、県南広域振興局管内が最も多くて443名、率で44%、次いで盛岡広域振興局管内が266名で27%となっております。
〇工藤勝博委員 この青年就農給付金制度は、準備期間、そしてまた営農期間に支給されている。年々人数はふえていますけれども、そういう中で、このごろ問題が出てきたという話も伺っています。まず、給付金を受けた就農者の自立をどのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 新規就農者の方々は5年間の就農計画を作成しております。受給者の方々の就農5年後の販売目標額の達成割合を見ますと、4割と低いため、就農計画の達成を支援して、早期に経営を確立するのが課題と思っております。そのため、農業改良普及センターや地域のベテラン農家の方が就農者個々の生産技術レベルに応じてきめ細かな指導を行うほか、農業大学校におきまして経営発展段階に応じた経営力向上研修を行うなど、さらなるレベルアップに向けて支援していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 この制度の中で、意欲的に取り組んで、例えば農機具を購入したり、設備─ハウスなどをつくったりする。自己資金でやる分はいいと思うのですけれども、補助事業を使うと、その補助が所得としてみなされるということが事例としてあるのです。そうなると、せっかく意欲的に取り組んでも、まだまだ発展途上の中で所得とみなされて給付が打ち切られる、どうしようということになってしまうと思うのです。そういう事例が岩手でもあるのかないのかお聞きしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 青年就農給付金といいますのは、基本的に就農前後の新規就農者の方の収入が不安定ということで、年間150万円を給付する事業でございます。委員御指摘のとおり農業には機械整備が当然伴ってきますので、そういった方々につきましては、県、国の補助事業を初め、県農業公社にあります担い手育成基金を活用して、中古農機具等の経営資源を手ごろな価格で購入できるように支援しているところでございます。こういった計画的な融資でありますとそんなに負担が大きくなることはないと思いますが、やはり計画的に生産を上げることがすごく重要でございますので、その点については指導してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 農業改良普及センターを初め、せっかく意欲的に取り組んでいる方が途中でくじけないような支援といいますか、指導も含めてお願いしたいと思います。
最後になります。
平成27年度事業に、リンドウ産地活性化応援事業があります。このリンドウの栽培、盆、彼岸などの物日の需要を賄うための応援ということで平成27年度から事業化されておりますけれども、大変評価は高いと思います。どのように評価なされているか、また、今後どうなされるのかお伺いします。
〇高橋農産園芸課総括課長 この事業につきましては、市場のニーズに対応するため、新植から採花までの収入が見込めない2年間の管理経費に対して助成を行うことによりましてリンドウの盆向け品種の作付拡大を図るものでありまして、平成26年度は10市町村で13.3ヘクタール、平成27年度は12市町村で13.3ヘクタールの新植分について助成したところでございます。この結果、盆向け品種の作付面積は、県全体では廃園による面積減少があったものの、平成26年の120.4ヘクタールから平成27年の120.6ヘクタールと微増になっております。なお、リンドウの主産地の八幡平市では、この盆向け品種の作付が約2ヘクタール増加しているところでございます。
〇軽石義則委員長 工藤委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事進行に御協力願います。
〇工藤勝博委員 岩手の花卉生産といったら、やっぱりリンドウはなくてはならない品目だろうと思います。そういう中で、先ほど八幡平が主産地という話がありました。今、県内各地で生産者はふえているのです。そういう産地育成も含めて、さらなるこれからのリンドウ生産に結びつくような事業をやってほしいと思います。
最後に、紺野部長から岩手の農業振興について、なかなか聞く機会がないのでしっかりお聞きしたいと思います。
〇紺野農林水産部長 リンドウにつきましては水田転作作物としても定着しております。特に中山間地域におきまして所得を確保できる品目でございますので、今後とも、水田活用の直接支払交付金の産地交付金の活用とか産地パワーアップ事業等によりリンドウの新植を支援してまいりたいと思っております。
また、本県におきましては、昭和52年の県オリジナル品種いわての開発以来、産地化を委員御指摘のとおり進めてまいりまして、面積、生産量とも日本一のリンドウ産地を形成しております。こうしたことで、今後とも、実需者からの要望の高い盆、彼岸需要期の生産拡大を図りまして、産地の維持発展を目指してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、女性農業者の状況についてお聞きしたいと思います。
農林水産省では、チャレンジする女性への支援のための施策とかさまざまなメニューがあるわけです。本県でも、農業県ということで、主要施策の成果の説明書にも6次産業化の推進とか1億円以上の産直を増加させるとか、そうした施策もさまざま書かれておりますけれども、その中核となっておりますのは女性農業者であります。その女性農業者の活動を拡大させるために平成27年度はどのような取り組みをなされてきたのか伺いたいわけです。
女性農業委員の割合はどうなったのでしょうか。改正農業委員会法が施行され、女性の農業委員を登用するようにとなっているわけですけれども、どうなっているか。
それから、生活研究グループ、それからJA女性部の会員数は把握しているでしょうか。女性の農業者が男性以上に減少しているという報道があるわけですけれども、産直に生産物を出すのも女性が中心的にやっているところもあるのでお聞きしたいと思います。
それから、食の匠ですけれども、高齢化しておりまして絶滅危惧種になるのではないかと心配しているところですが、食の匠が果たしてきた役割も大きかったと思っております。新規の認定はあるのかどうか伺います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県では、農山漁村における男女共同参画社会の形成、農林漁業の振興と活力ある農山漁村の実現に向け、女性の主体的な取り組みを支援しております。その結果、平成27年度におきまして女性の農業委員は80人と全体の10.8%を占めておりまして、東北では宮城県に次いで2位、全国でも5位の割合となっております。
また、生活研究グループの会員数でございますけれども、平成27年度は87グループで538人、JA女性部の会員数は7農協で1万1、456人となっております。
食の匠でございますけれども、平成27年度は5名の方を新規に認定しておりまして、制度が創設されました平成8年度から平成27年度まで251人・組を認定しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 生活研究グループやJA女性部が農産加工をする。試作するために農業研究センターの加工工房なども使いたいということがあるのです。ところが、予算がなくて機材が更新できていなくて貸し付けできない状況とか、機材をお世話する農業普及員が不足していて貸し出しできないという状況になっているわけです。それについて、どうして貸してもらえないのかやりとりすると、本当にお寒い状況がどんどん出てくるわけです。県内全体の農業普及の予算の問題とか農業改良普及員の減少という問題とかさまざまな問題が出てまいります。農研センターの加工工房の問題など、人的体制はどういうふうに認識しておられるか伺います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農業研究センター加工工房の活用状況についてでございますけれども、平成19年度の244人をピークに利用者が減少しておりまして、平成25年度以降は年に数回利用される程度となっております。その要因といたしまして、各地域に加工施設が整備されたこと、工業技術センターが食品加工技術の習得等に向けて施設や機材の貸し出しを充実させていることなどが挙げられます。
この工房には、食品加工に必要なパンオーブンや製麺用機械、フードミキサー等35種の機械が装備されておりまして、農業改良普及センターの指導のもとに農業者が食品加工技術の習得を行っているところでございます。
今後は、加工工房の有効活用に向けまして、農業研究センターが開発研究いたしました素材を活用したそば打ち体験、雑穀ピザづくり体験、豆腐づくり体験など、参加体験型の研修を企画してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 農研センターに聞くと、ニーズがないと言うのです。ニーズがないのではなく、使えない状況だから申し込みできないということになっているので、今の答弁では活用を進めるということだったので、よろしくお願いしたいと思います。
女性活躍推進に関する環境整備を支援する農林水産省のチャレンジする女性の支援のための施策というのがあるのです。さまざまなメニューがございまして、6次産業化に女性グループが中心となって開発してくださいとか、食を生かしたグリーンツーリズム、それから農家民泊の支援、強い水産業づくり交付金でも、子供の待機室とか調理室、会議室など、女性の活動拠点の施設を整備するとかさまざまあります。県内ではなかなかその状況が見えてこないのですけれども、導入した事業があったのかどうか伺います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県では、国の環境整備に係る五つの事業のうち、6次産業化ネットワーク活動推進交付金と都市農村共生・対流総合対策交付金の二つを活用して女性活躍に向けた支援をしております。
具体的には、一つ目といたしまして、商品開発や販路開拓のための専門家の派遣、農業者と食品事業者とのマッチング等を目的とした交流会の開催など、女性の視点を生かした6次産業化の取り組みを支援したところでございます。また、二つ目といたしまして、都市と農村の交流を促進するため、市町村の域を越えたネットワークづくりや観光客の受け入れ態勢強化に向けた研修会の開催、県外の学校を対象とした体験型教育旅行などのPRを実施いたしました。
〇佐藤ケイ子委員 農業関係で、普及員の果たしてきた役割は本当に大きいと私はずっと思っているのです。農業改良普及員もですし、生活改良普及員というのもずっとあったのですけれども、その方々が生活研究グループを立ち上げてくれたり食の匠を起こしてくれたり、そういった実績はあるのですけれども、今、普及活動外部評価実施報告書というのも出ているようですが、その中で、農業改良普及センターの役割をもっと充実させていただきたいという項目もあるのです。普及センターの活動について、昔と比べ普及員が来なくなったと感じているとか、職員体制の整備等、業務の効率化を図って現場に出てほしい、地域から要請されたり地域で課題が発生したりした場合は対応してほしいとか、あとは農業女性の支援についてとかさまざまな指摘がされております。農業県である岩手を支えるには、やっぱり普及員の活動が十分できるような体制整備に努めていただければと思っております。よろしくお願いしたいのですけれども、御所見があれば伺いたいと思います。
〇紺野農林水産部長 農業改良普及員の充実、また、農業改良普及センターの役割の充実でございますけれども、やはり農業振興を図るため、また、農村を守るためには普及員の活動というのは重要な要素でございます。
最近ですと、私も今年度、農林水産部に来たのですけれども、普及員のコミュニケーション能力といったものが昔と比べてかなり下がっているのではないかということも感じた次第でありますので、そういったところも見直しを図って、現場で農家とのやりとりもできるようなコミュニケーション能力の発揮ですとか、それを育成するとか、いろいろな面を見直しながら、今後、普及活動をさらに充実させましょうということで今、取り組んでいるところであります。
そうしたことを一歩一歩、もう一回見直しを図りまして、現場に貢献するような普及活動につきましてさらに見直しを図ってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 私からは、1点お伺いしたいと思います。
獣医学生修学資金貸付事業についてお伺いしたいと思います。平成27年の実績、そしてこれまでの取り組みも含めてお伺いします。
〇菊池振興・衛生課長 平成27年度は大学3年生から6年生までの計5名に貸し付けを行い、このうち6年生の2名が県や県内の農業団体に就職したところでございます。
また、これまでの取り組みにつきましては、貸付金制度を創設いたしました平成3年度から本年度まで62名に貸し付けを行い、平成27年度までに卒業した52名のうち39名が産業動物獣医師として県内に就職しているところでございます。
〇城内よしひこ委員 本県は畜産県であり、広大な面積を有しておりますが、畜産関連の獣医師が少ないということでありますので、ぜひこれまで以上に畜産県を支えるような獣医師を育成してほしいと思っております。人の医者も足りないけれども、畜産の医者も足りないということであります。そして、畜産に関連する獣医師は、昼夜を問わずいろいろなところに出向いていかなければなりません。普通の医者と違って患者が来るわけではありませんので、そういった移動も含めて大変な仕事であります。
今後の課題というか、そういうものがあったらお伺いしたいと思いますが、今後の取り組みについてもあわせてお伺いします。
〇菊池振興・衛生課長 今後の課題と取り組みについてでありますが、まずは、産業動物を診療している開業獣医師の高齢化により、今後、減少が見込まれること、また、県職員獣医師にあっては、退職者数に対し採用者数が少ないことなど、産業動物獣医師の確保が課題と考えているところでございます。こうしたことから、県といたしましては、これまで、獣医系大学への訪問による県や農業団体への就業促進や県単の修学資金の周知、学生のインターンシップ─就業体験の受け入れなどの取り組みを行ってきたところでございます。
今後は、こうした取り組みに加え、国の修学資金事業の導入などの検討も行いながら、さらに産業動物獣医師の確保に努めてまいります。
〇城内よしひこ委員 畜産の獣医師は、やっぱり若くないと、という言い方は変ですけれども、エネルギーが必要でありますので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
〇佐々木努委員 岩手競馬についてお伺いしたいと思います。
岩手競馬の関連施設も大分老朽化しているようで、毎年さまざまな改修や整備が行われているようでありますけれども、平成27年度にどのような整備、補修を行ったのか。あわせて、今後の整備方針と、ことしから5年間程度の整備が必要な状況について教えていただきたいと思います。
〇滝山競馬改革推進室特命参事 まず、平成27年度の整備、補修状況でありますが、主なものは、水沢競馬場の投票系非常用発電機更新、堆肥置き場整備、投票管理を行うパルソセンターの電気関係設備更新でありまして、法令の義務事項、人馬の安全確保、競馬開催上、不可欠なものという観点で緊急性の高いものを実施したところであります。
次に、今後の整備方針でありますが、施設全般に老朽化が進んでおり、厳しい財政状況のもとで競馬事業の安定的な運営を行うため、先ほど申し上げた法令義務、人馬の安全、競馬開催に必要という観点及び収益増加効果を勘案して、毎年度の収支を見ながら財源を確保して実施することとしております。
次に、平成28年度以降の予定でありますが、平成28年度当初予算計上分では、盛岡競馬場は無停電電源装置更新、馬場管理棟外壁改修、水沢競馬場は着順表示装置更新等があります。
今後の予定分としては、水沢競馬場やテレトラックの建物及び電気、機械設備の修繕等、必要なものを整理し検討しており、毎年度の収支や施設の状況等で緊急性を判断しながら実施していくこととしております。
〇佐々木努委員 今、岩手競馬の売り上げも堅調に推移していますから、老朽化対策に関する予算は何とか工面されているような気がしているわけです。そこで伺うのですが、先ほど、平成28年当初で水沢競馬場の着順表示装置の更新をするということでした。それはそれで非常に大事な事業だと私も思うわけですけれども、先日、地元のある方から水沢競馬場内に大型ビジョンを設置する動きがあるらしいという話を伺いました。これと着順表示装置は何か関係があるのでしょうか。これは事実なのでしょうか。まず、事実かそうでないかを教えていただければと思います。
〇滝山競馬改革推進室特命参事 着順表示装置から映像機能を付加した設備にするよう検討していることは事実でございます。
〇佐々木努委員 それでは、この大型ビジョンの設置を決定した経緯と必要性、あわせて規格と予算、財源について教えていただきたいと思います。
〇滝山競馬改革推進室特命参事 まだ検討段階ではありますが、お答えいたします。
現在、水沢競馬場には映像がない着順表示装置が設置されておりますが、設置から42年を経過して老朽化が進んでおり、更新を行うため、今年度当初予算に整備費用を計上したところであります。こうした中で、全国の地方競馬では、今年度、岐阜県笠松競馬場に大型映像装置が整備されることで水沢競馬場以外全ての競馬場に映像装置が設置されることとなり、地方競馬においても標準的な設備となっているなど、競馬組合としても必要なものと考えたところでございます。また、映像機能の追加により地方競馬全国協会の補助事業の対象となり得ることから、一括で整備することが有利であり、競馬場への来場を促進する魅力づくりにも資するものと考え、映像装置について検討を進めているところでございます。
映像装置の規格と予算、財源についてでありますが、映像装置の規格は縦6メートル、横14.4メートルで、高さで申しますと盛岡競馬場映像装置のおおむね6割程度の大きさを想定しているところであります。費用は概算で2.6億円程度となると見込んでおり、今後、競馬組合議会で御議論いただくこととなりますが、その財源に補助金を導入することで自主財源も当初計画より2、000万円の増で整備できると見込んでおり、今後、関係機関と協議していきたいと考えております。
〇佐々木努委員 2、000万円程度と言いますけれども、2、000万円ふえるということですね。これは間違いないことでありますし、そもそも6メートルと14.4メートルでしたか、そのぐらいの大きさでビジョンをつくって、観客の方から見えるのですか。私も時々競馬場に行くのですけれども、水沢競馬場は、昔、車載のビジョンがあって、非常に小さいもので、あれはあってもなくてもいいようなものでしたけれども、それが今なくなった状態でずっと競馬を続けているわけで、特にファンの方から絶対になければいけないという話も聞きませんし、私自身も、なければなくてもいいのではないかと。唯一、ビジョンがない競馬場として水沢競馬場が存在してもそれはそれで、景観もいいし、あそこはロケーションもいいですから、むしろないほうが水沢競馬場にとってはいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇滝山競馬改革推進室特命参事 やはり、競馬場への来場を促進する魅力づくりにも資すると考えております。それから、一括で整備することで補助金の対象となるところが大きなポイントでもございます。そういうことで、できるだけ機能を付加した方向で行いたいと考えたところでございます。
〇佐々木努委員 ビジョンをつくることによって、電気代がどのぐらいかかるかわかりませんけれども、メンテナンス費用、ランニングコストも増してくると私は思いますし、将来的なランニングコストも考えた上でつくるかつくらないかを決めるべきだと思います。今これだけしかかからないからいいということではなく、将来的にそれがあったことによってどうなるかをちゃんと見通した上で計画すべきだと思います。多分次の競馬組合議会にこれがかかると思いますし、聞くところによると競馬組合議会でも前向きな方もいらっしゃるということなのでこれは通るとは思いますけれども、私は、このやり方については余りよしとはしたくないと思っています。これは私の所感だけで終わりたいと思います。
確かにファンサービスにはつながると思うのです。つながるとは思うけれども、今、岩手競馬が考えなければならないのは、ファンのことだけではなく、競馬をしない、あるいは競馬に反対している県民のことだと思うのです。そちらのほうの方々が大多数です、競馬ファンなんかちっぽけなものですから。そういう方々に何とか岩手競馬の存続を認めようと思ってもらえるような経営、運営をすべきだと思っています。
改修とか補修は本当に大事なことですけれども、新しいものをつくるときは、やっぱりそういう県民感情をしっかりと考えて取り組むべきではないかと思うのです。そうじゃなくても330億円の借金を競馬組合は抱えていて、構成団体からそれぞれ借りているわけです。それは存廃問題が起きてからまだ一度も返されていないのです。収益が出たら返しますという約束でしたけれども、これは私も仕方がないと思います。震災もありましたし、それからある程度体力をつけないと競馬事業をこれから続けていけないので、すぐに返せとは私は言いたくないし、私も競馬組合議員として、これからのことを考えた上でいつかは返してほしいという主張をしてきたつもりですけれども、多くの県民はそうは思っていないわけです。まず返すものを返してから整備するものを整備してほしいと思っているわけです。私は順番が逆だと思うのです。その辺の認識はいかがでしょうか。
〇佐々木競馬改革推進監 構成団体に対する借入金の返済についてでありますけれども、平成18年に策定しました新しい岩手県競馬組合改革計画におきまして、最終的な利益が1億円を超える場合には融資元金の返済を行うとのルールを定めたところでございます。現時点で本年度の発売成績は計画を上回る水準で推移していますが、今後、競馬事業の安定的な運営のため、施設設備の修繕や更新など早急に対応が必要とされる経営基盤の強化対策を行う必要があると認識しております。
県といたしましても、岩手競馬が安定的に運営されるとともに、構成団体融資の元金の返済が実現されるように、他の構成団体とともに競馬組合を支援してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 そうすると、構成団体に対する借入金の返済については協議を始めているということですか。それとも、しばらくは見送るということなのでしょうか、どうなのでしょうか。
〇佐々木競馬改革推進監 岩手競馬は年間を5期に分けて計画を立てておりますが、現在、第3期まで終了したところで、計画比で118%ほどの発売成績となっております。ただし、これからまだ冬季の開催等もございますので、そういった状況等も見きわめながら今後の計画を検討していく必要があると考えているところでございます。
〇佐々木努委員 最後にします。
いずれ、議論になってから約10年です。あのときは、競馬がもしかしたら潰れるかもしれないと。議会の中で本当に数人の差で何とか岩手競馬が維持できたという経緯があります。そのときの思いをもう一度思い起こしていただいて、県民の方に本当に信頼されるような岩手競馬にしてほしい、そういう運営を行ってほしいと思いますが、最後に、所管する紺野部長から一言、今後の競馬組合の運営についての考え方をお聞きして終わりたいと思います。
〇紺野農林水産部長 当時、競馬の存廃問題につきましては、私も議会の事務局におりまして、その状況については認識しているところでございます。県といたしましては、競馬組合が今後とも経営体質強化に取り組みまして、競馬事業が安定的に運営され、さらには構成団体融資の返済が早期に実現されるように、全体的に総合的に考えながら対応してまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 ただいま岩手競馬の話が出たわけでありますが、それに関連してお伺いしたいと思います。
岩手競馬の存続、廃止を問われたときの議長が私でありました。私は、廃止のほうに投票したのでありまして、一旦そのようになりましたけれども、3日後か4日後にまたそれがひっくり返って、結果としては存続するようになりました。
その間、奥州市と盛岡市から10億円ずつ出すということになりましたので、330億円融資が20億円減った、一稼ぎさせてもらったと結果的には思っておりますが、決まった以上、存続してもらいたいと思っております。
私がなぜ廃止と言ったかといいますと、実は民間委託をしたほうがいいという思いがあったのでありますが、それはおいておきまして、岩手競馬が発展の道を踏むための一つの提案をさせてもらいたいと思います。
2019年のラグビーワールドカップ釜石大会が決定いたしております。県内でも、あるいは東北でも1カ所だけでありますので、競技場に入れないけれどもラグビーをじかに見たい人たちは、大勢いらっしゃると思います。そういう中で、盛岡競馬場、そして今、水沢競馬場の映像の問題が出ました。これがもしそういう方向になりましたら、これにプラス、テレトラックをファンゾーンに充てて、東北全体からラグビーの観戦客を呼ぶ、そして競馬場の中で見てもらう。これは、ラグビーを見にきたけれども、競馬場の雰囲気に触れて競馬ファンになるかもしれない、そういう気持ちを持った中で、政策地域部の審査でもお話ししましたが、ぜひこれを前向きに検討する価値があるのではないか。あるものを大いに、しかもお金を投資しなくてもあるものを使うということであれば格安にできる可能性もあるかもしれない、このように思っております。それをぜひ検討していただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇佐々木競馬改革推進監 ラグビーワールドカップのファンゾーンについてでありますが、平成29年度前半に公式ファンゾーンの考え方やルールが示され、本県での対応について検討されるものと伺っております。また、公式ファンゾーンとは別にさまざまな場所でパブリックビューを実施することも考えられますが、競馬場やテレトラックの活用などにつきましては、競馬開催業務との関連なども踏まえて検討する必要があると認識しております。
競馬場やテレトラックなどでどのような対応ができるかにつきましては、今後、政策地域部など関係部局とも連携しながら研究してまいりたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 そのときの競馬議長は私だったのですが、お金をふやすということを言わなければよかったと今でも後悔するのです。私は地元ですからやむを得ず最後に賛成に回ったのですけれども、心の中では、やっぱりかけごとはいけないと。
それで、ひとつ皆さんに認識を聞きたいのですが、競馬でも競輪でもパチンコでも、それで自己破産することはできないのです。遊んでいる者が自己破産してはいけない。その法律の精神は、やっぱりそんなことではだめだということだと思う。その認識が皆さんに、公営競馬を運営する私たちにあるかと、それをまずもう一回問いたい。
それともう一つ、そのころから随分人がかわって競馬のプロパーの職員はどんどん減って、そのかわりに、今、御返答されている県の職員とか両市の職員が派遣されているんですね。その人たちの給料はトータルで幾らかということをひとつ明らかにしてもらって、今、もうかっているのか損しているのかという議論を明らかにしてもらいながらやってもらわないと、本当の意味での公営競馬は財政に寄与するためにあるわけだから、その本来の姿を示してもらいたいと思うのです。その精神と、今の金額と人、その辺を含めて収支がどうなのか教えてほしいと思います。
〇高橋理事心得 まず最初に、精神のお話でございますけれども、おっしゃるとおり、本来、公営競馬は財政競馬と言われるとおり、財政に寄与することを第一目的として実施を許可されているものでございます。同時に、岩手におきましては馬事文化の一つの現在残された形であるとともに、地域の産業を広く支えている─支えていると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、広く寄与している産業であると考えております。そういった広い意味で競馬を我々は考えております。
第2に、職員の給与でございますけれども、現在、県から副管理者以下8名が新庄に駐在しております。その趣旨は、平成18年度の議論から、現地に駐在しながら競馬組合の経営改革に取り組むということで業務に当たっているものでございます。そういうことで、現在、手元に正確な数字は持っておりませんが、8名ですので、大体県職員の平均的な給与に掛ける8、ざっと考えれば1億円弱(後刻「7、600万円余」と訂正)ぐらいはそういったところで経営改革のために現在、人件費として支出されているものと思います。
なお、プロパー職員につきましては、融資が行われた当時約25名おりましたけれども、現在、それが16名まで減少しております。競馬開催のためにはもう既に限界の人数になっておりますけれども、この中で、全体として何とか岩手競馬を継続、維持してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休 憩
午後1時2分 再 開
〇中平均副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉農村建設課総括課長 午前中、工藤勝博委員からの御質問に、経営体育成基盤整備事業の農家負担を5%と答弁いたしましたけれども、中山間地域の場合は5%、それから、中山間地域以外の山の部分については10%でございます。答弁を補足させていただきます。
〇高橋理事心得 午前中、渡辺委員からの新庄駐在県職員の人数、給与費について御質問があり、8人、1億円弱と答弁いたしましたけれども、正しくは8人、7、600万円余でございました。
おわびして、訂正いたします。
〇中平均副委員長 この後14人の質問者が予定されておりますので、引き続き議事の進行に御協力願います。
質疑を続行します。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、東日本大震災津波からの復興状況についてお聞きします。
農業被害の復興状況、復旧農地の活用状況、農業就業者の推移はどうなっているでしょうか。
〇菊池担い手対策課長 大震災津波によりまして被災した農地653ヘクタールのうち、市町村のまちづくり計画などとの調整が必要なために工事着手できていないところを除きまして482ヘクタールが復旧しております。このうち450ヘクタールで、水稲を中心に、野菜、飼料作物などが作付されております。
農業就業状況につきましては、平成27年の農林業センサスによりますと、沿岸市町村の農業経営体数は4、386経営体で、5年前の平成22年と比較しまして25%減となっております。
〇斉藤信委員 農地の復旧、その活用状況は450ヘクタールで、これは復旧面積の93%ということですので、ほぼ作付はされていると。農業経営体は25%減ということで、内陸市町村の場合には16.6%減ですから、やはり震災の影響は大きいものがあったと思います。
それで、関連して、今回の台風第10号被害も同じ被災地での被害となったと思いますけれども、農地、農業施設の被害と復旧状況はどうなっているか。特に来年の作付に間に合うのかどうか示してください。
〇千葉農村建設課総括課長 台風第10号による農地の被害につきましては、被災面積625ヘクタール、1、250カ所で44億4、000万円、農業用施設の被害につきましては881カ所で41億9、000万円であり、合計2、131カ所、86億3、000万円となっております。
現在の復旧状況についてでございますが、国の災害査定が10月31日から順次行われておりまして、年内には約350件全ての査定の完了を予定しております。
また、査定前着工制度を活用いたしまして既に着手した農道、水路3地区を含めた7地区で早期復旧を予定しているほか、査定を終えた地区につきましては、直ちに工事着手することにより、可能な限り来春の作付に間に合うよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 可能な限りというのは、今の時点で見通しはまだ立たないのか立っているのか、そこはもう少しリアリズムで示してください。ここを一番みんな心配しているのでね。来年の作付に間に合うのかどうか、そこの具体的な見通しを示してください。
〇千葉農村建設課総括課長 今回最も被害が大きかった岩泉町の営農再開ということで答えさせていただきますけれども、岩泉町の被害の大きかった小本川流域につきましては、11月28日から災害査定を実施する予定になっております。
また、災害査定を終えた地区から順次工事に着手いたしますけれども、災害査定はこれからでございますので、工事については、この災害査定が終わった段階で見通しがつくと思っております。そうした段階で、今後の作付に間に合うように頑張っていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 わかりました。大震災に続く、地域によっては二重の被害、特に岩泉町の場合はまた、それを超えるような大変大きな被害となっているだけに、来年の作付に間に合うようにぜひ頑張っていただきたい。
次に、TPP協定が岩手の農業に与える影響についてお聞きしますが、安い輸入農水産物が輸入されれば、国内生産量は減少し、私は価格が低下するのではないかと思います。
この間、重大な問題として輸入米の価格偽装問題が発覚いたしました。2割安く売り、調整金として裏金で渡していたという話でありますが、岩手県は、米の影響について独自試算で21億円の生産減少と試算を出しましたけれども、2割もSBS(売買同時入札)米が値引きされて売られていたということになれば、この試算もまた変わってくるのではないですか。どうですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 農林水産省では、SBS米の価格水準が国産米の価格等に影響を与えている事実は確認できなかったとの調査結果を公表しております。また、今後、調整金を禁止するといったような方針も示したところでございますが、国会における議論では、国産米の価格への影響があるのではないかという意見もございますことから、国民に不信感が生じないよう十分に議論を尽くすことが必要でありますし、県としても、引き続きその動向を注視してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 21億円減少という試算をしたわけですね。この試算の算出方法は、相対取引価格引く輸入米の取引価格掛ける業務用米の数量となっているんですよ。そうすると、輸入米の取引価格が実態は2割安かったと。これは単純に試算できるじゃないですか。2割安くなっていたといったら、この2割をきちんと算出して、推計でいいから示してください。
〇中村農林水産企画室企画課長 SBS米の価格が国産米の価格に与える影響といったものは、国の見解では、そういう事実は確認できなかったとしておりますことから、県で試算することは困難だと考えております。
〇斉藤信委員 国は確認できなかったと、調査をしなかっただけなのです。輸入業者は、ほとんどがごまかして輸入をして、高い価格で政府に報告をして、そして2割、裏金で調整金を渡していたというのが事実じゃないですか。政府はその影響について調べなかっただけなのですよ。確認できなかったというのはそういうことなのですよ。なかったではないのですよ。影響がなかったじゃない。確認できなかった、調査しなかった。だから大問題になっているのですよ。
本来なら、この調整金というのは関税で国に入るべきお金ですよ。あなた方は、TPP協定の米への影響はゼロだと政府が言ったにもかかわらず、21億円の減少と試算したのでしょう。国の言いなりでやったわけじゃないでしょう。かなり限定した試算だけれども、21億円の影響があった。その算式に政府のごまかしがあったということだから、そのごまかしを試算したらいいじゃないですか。全然していませんか。私は、試算して答えてくれと言っているのに。
〇中村農林水産企画室企画課長 県では、国の試算に基づき米は影響なしとしておりましたけれども、国内で安い輸入米の流通量が仮に増加いたしまして、国内において、国による万全の対策が講じられなかった場合において、業務用米を中心に国産米の価格が下落するという仮定で、県として21億円のマイナスという影響を示したところでございます。
再三申し上げますとおり、国では、価格に影響を与えている事実は確認できなかったとしてございますので、国の基本的な考え方が変わらない中で、県として、前提条件を改めて変えて再試算することは、現段階では考えておりません。
〇斉藤信委員 ここで押し問答しても時間があれなので、21億円の県の試算、これは結果的にはさらに大きな減少額になると、そのことは認めますか。
〇中村農林水産企画室企画課長 現時点では、その判断はできないと考えております。
〇斉藤信委員 僕は真摯に、政府のごまかしに追随していたらだめですよと言っているのです。政府は、ごまかして、うそをついて、情報を出さないでTPPをやろうとしている。我々は、実態に基づいてこの不当性を明らかにしていかなくてはならない。
今の米価をお聞きしますが、今の県内の相対取引価格、県内の作付規模別生産費はどうなっているか示してください。私は、圧倒的に今の米価でも赤字だと思うけれども、その実態を示してください。
〇松岡水田農業課長 まず、米価についてでございますけれども、平成27年産のひとめぼれの平成27年9月から平成28年8月までの相対取引価格は、60キログラム当たり1万2、930円となっております。
それから、生産費でございますが、平成26年産の作付規模別の全算入生産費でございますが、0.5から1ヘクタールまでの規模では2万307円、1から2ヘクタールまでの規模では1万6、589円、2から3ヘクタールまででは1万4、511円、3から5ヘクタールまででは1万4、216円、5から7ヘクタールまででは12万54円、7から10ヘクタールまででは1万2、366円、10から15ヘクタールまででは1万2、048円、15ヘクタール以上の規模では1万1、484円となっております。
済みません、5から7ヘクタールでは1万2、054円でございます。失礼しました。
先ほどの相対取引価格にナラシの補填金、それから米の直接支払交付金を加えまして試算いたしますと、5ヘクタール規模以上で収入が生産費を上回ると試算されます。
5ヘクタール以上の規模の経営体の割合は3%となっており、面積では28%となっております。逆に、5ヘクタール未満の規模の経営体は97%、面積では72%となっております。これは農林業センサスのデータでございます。
〇斉藤信委員 今の米価についての答弁にもあったように、生産費を償っているのは経営体でわずか3%、作付面積で28%ですよ。岩手県の農家の圧倒的多数は今でも赤字生産。さらに安い輸入米が入ってくると。
実は、アメリカの国会でこういう報告がありました。アメリカの議会に、これはITC─アメリカ国際貿易委員会が提出した影響調査、農業だけプラスで、その最大の輸出先が日本になっていて4、000億円を超えると。アメリカは日本に対して農産物の輸出を4、000億円ふやせる、これがアメリカの試算ですよ。
私は、TPPというもので、まさに日本の農業、そして岩手の農業が、今でも赤字なのに、ますますこれは家族経営が本当に死滅するような状況に追い込まれるのではないかと思いますが、部長、どうですか。
〇紺野農林水産部長 TPP関係につきましては、国で万全の措置を講じていただくということもあり、どの程度の影響があるかは、なかなか試算できないような状況であります。
我々としては、影響が出ないように国でしっかりとした対策を講じていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 弱々しい答弁でしたね。今でも赤字で、さらに安い輸入農水産物が入ってきたら立ち行かなくなるでしょう。アメリカ自身が4、000億円日本に輸出をふやすと言っているのですよ。こういうTPPに断固反対しないでどうするのですか。
私はもう一つお聞きしたい。このTPPというのが、食の安全を破壊してしまうのですね。非関税障壁の問題ですけれども、地産地消の学校給食さえ認められない。これは韓米FTAで実際に行われました。ソウルの学校給食条例は廃止になりましたよ。韓国では、200の法律、条例が廃止になりました。いわばアメリカの基準に合わない。遺伝子組み換え食品を使っても問題ないのだと。これが非関税障壁ですよ。
岩手県で県産品利用を学校や病院や保育所や、その他の公的施設、ホテルなどに積極的に今推進していますね。県内農水産物のこうした県内各施設への活用状況はどうなっていますか。
〇伊藤流通課総括課長 県におきましては、岩手県独自に県内の施設に対しまして、2年に1度、県産食材の利用状況調査をしております。平成26年の調査におきましては、511施設から回答がございまして、学校、保育所、県立病院、公立病院、社会福祉施設、それから社員食堂で、トータル41.4%が県産食材を利用しているという結果になっております。
〇斉藤信委員 今頑張って41.4%が県内の食材を活用していると。しかし、私がさっき紹介したように、非関税障壁が撤廃になったら地産地消ができなくなるのですよ。私は韓国の例を紹介しましたけれども、そういうふうになってしまう。
じゃ、アメリカ産の輸入農産物はどういうものか。遺伝子組み換え食品を使っているのはそのとおりです。成長ホルモン、これを牛肉に使っています。成長促進剤は餌に使っています。これは、がんの疑いがあるといって、EUは断固として反対していますね。フランスのカーンという大学で実験したら、遺伝子組み換え食品を使ったネズミはがんだらけになったと。実は今の遺伝子組み換え食品の影響調査というのは、3カ月ぐらいしかやっていないのですよ。2年、3年、5年食べたらどうなるかという検査は全然やられていない。それをフランスでやったら、そういうふうになったのですね。
私は、食の安全をこんなアメリカ任せにしてはならないと思うけれどもね。そして、先ほど言ったように、県内の農水産物を、新鮮なおいしいものを県内の学校、ホテルや病院や保育所で、私はもっともっと活用すべきだと思うけれども、その点でこのTPPというのは障害になると受けとめているでしょうか。
〇中村農林水産企画室企画課長 先ほど来お話が出ております遺伝子組み換え食品の安全審査、表示といったものも含めながら、TPP協定によって日本の食の安全・安心に関する制度変更は行われない、国はこのように言っておるわけですが、一方、国会において、食の安全・安心に影響があるのではないかという意見もあると承知してございます。
こうしたことから、さきに国に提出された意見書の趣旨なども踏まえながら、国民に不信感、不安が生ずることのないよう、十分に議論を尽くすことが必要であると考えております。
〇斉藤信委員 私は、もう一つ大問題だと思うのは、ISDS条項(投資家対国家の紛争解決制度)だと思うのですよ。いわばアメリカの基準に合わなかったら日本政府を訴える、これがTPP協定には入っています。まさに日本の主権を脅かす、日本のさまざまな諸制度、生産を守り安全を守る諸制度を脅かすものだと私は思うけれども、例えば、北米自由貿易協定では、69件提訴されていて、そのうち72%が米国企業。これは、アメリカの多国籍企業のまさに権利で、自分の利益に反したらほかの国を訴えることができるという条項ですね。こんなものは絶対に許してはならないし、これは衆参の国会決議にもあったと思うけれども、どういうふうに受けとめていますか。
〇中村農林水産企画室企画課長 ISDS条項につきましては、食の安全などに関する制度変更は行われないと国は言っておるわけですけれども、先ほど来お話が出ております遺伝子組み換え食品の表示義務によって損害をこうむるといった外国の企業から、日本が訴えられるのではないかという懸念もあると承知しております。
こうしたことから、国民に不信感、不安感が生じることのないよう、十分に議論を尽くしていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 TPP協定には、今でも、例えば重要5品目でさえ、3割が即時撤廃、7割は全部大幅な関税引き下げでしたね。ところが、7年後に日本だけが再交渉を義務づけられている。いわば7割の大幅関税引き下げでも足りないと。7年後には必ずやるし、小委員会をつくったら直ちにその協議に入るとなっていますね。
そこで、衆参の国会決議は何を決めたのか、このことを簡潔に示してください。
〇中村農林水産企画室企画課長 7年後の関係でございますけれども、アメリカから要請があった場合には、関税率やセーフガードの適用について再度協議するとなっておりますが、こうした条項も念頭に置きながら、国会を中心に、衆参両院議員の意見等も踏まえながら議論していただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私が質問したのに答えなかったけれども、衆参両院の決議は何を決めたか、私が言いますよ。
1番目は、米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象とすること。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。
2番目、残留農薬、食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品の表示義務、遺伝子組み換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。
3番目はちょっと飛ばしますが、5番目のところで、濫訴防止策等を含まない国の主権を損なうISDS条項には合意しないこと。
そして、6番目は、交渉に当たっては、二国間交渉にも留意しつつ、自然的、地理的条件に制約される農林水産物の重要5品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合には、脱退も辞さないものとすること。
そして7番目は、交渉により収集した情報について、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。
私が今紹介したこの決議の内容は一つもやられていないのではないですか。簡単に答えてください。
〇中村農林水産企画室企画課長 この衆参両院の農林水産委員会での決議につきましては、あくまでも、これは国で、国会で議論するべきものと考えております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますが、先日、知事は記者会見で、アメリカ大統領選挙の結果も踏まえて慎重に対応すべきだと、こういう記者会見をやりましたね。これは最後、部長に聞きますよ。アメリカ大統領選挙で、大統領就任の日にTPPから離脱を表明すると、これは選挙公約でした。こんなときに8、400ページのTPP協定を2、400ページしか公開しない、真っ黒な資料しか出さない。まともに議論しないで、私は、これは絶対通すべきでないし、今の世界の流れを見て慎重に徹底して審議して、これは批准するなという声を上げるべきじゃないかと思います。
最後ですけれども、規制改革推進会議のワーキンググループが、農協解体提言を出しましたね。自民党の中でも、これは大変だとなっているけれども、TPP協定を推進しながら、一方で農協を解体する、こういうやり方もまた私は許せないと思うけれども、この二つを聞いて、終わります。
〇紺野農林水産部長 知事の記者会見でのコメントも踏まえて、日本としても慎重姿勢で臨むことが適当だということだと思っております。
二つ目の農協改革の関係でございますけれども、規制改革推進会議の農業ワーキンググループが農協改革に関する意見を取りまとめて、本年11月11日に公表し、その提言内容について議論されていることにつきましては、報道を通じて承知していることでございます。
一方、県内総合農協におきましては、本年4月1日の改正農業協同組合法施行を受けまして、農家組合員の所得増大を目標に自己改革に取り組んでいると承知しております。
今回の提言を受けまして、国がどのように農協改革を進めていくか、情報を収集するとともに、その動向について注視してまいります。
〇千田美津子委員 私は3点についてお聞きいたします。まず1点目ですが、日本型直接支払いの実績についてお聞きします。
午前中も質疑がありましたけれども、農地維持支払い、それから資源向上支払い、そして長寿命化という多面的機能支払交付金がありますが、その実績はどうだったのか。それから、中山間地域等直接支払交付金、あわせて環境保全型農業直接支払交付金の支払い実績がどうだったか。そして、この額は農家の要望に対してどうだったのか。そして、平成28年度の事業の見通しについてもお聞きいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 まず、日本型直接支払交付金の平成27年度の支払い実績についてでございますけれども、多面的機能支払交付金の交付実績は、32市町村、1、038活動組織、交付面積約7万2、000ヘクタール、交付金額48億4、000万円余りでございまして、要望に対して89%の配分となっております。
この内訳につきましては、農地維持支払いと資源向上支払いの共同活動分については100%でございますけれども、資源向上支払いの長寿命化の取り組みについては74%でございます。
次に、中山間地域等直接支払交付金の交付実績につきましては、31市町村、1、132協定、交付面積約2万3、000ヘクタール、交付金額34億9、000万円余りであり、要望に対して全額が支払われております。
環境保全型農業直接支払交付金の交付実績は、19市町村、実施件数172件、交付面積約5、000ヘクタール、交付金額2億5、000万円余りであり、要望に対して全額が支払われております。
次に、平成28年度の見通しについてでございますけれども、多面的機能支払交付金につきましては、33市町村、1、076活動組織、交付対象面積約7万4、000ヘクタール、交付金額51億6、000万円余りであり、要望に対して93%の配分となる見通しでございます。
農地維持支払いと資源向上支払いの共同活動については100%、それから長寿命化については84%の見通しでございます。
次に、中山間地域等直接支払交付金につきましては、31市町村、1、151協定、交付対象面積は約2万4、000ヘクタール、交付金額35億7、000万円余りであり、要望に対して全額が支払われる見通しでございます。
環境保全型農業直接支払交付金につきましては、20市町村、実施件数187件、交付対象面積約6、000ヘクタール、交付金額2億円余りであり、要望に対して69%の配分となる見通しでございます。
〇千田美津子委員 今の答弁でちょっと確認したいのですが、環境保全型の今年度の支払いで、取り組み面積6、000ヘクタールと言われたのですが、それは間違いないでしょうか。
〇千葉農村建設課総括課長 6、000ヘクタールでございます。平成27年度の実績につきましては5、000ヘクタールでございますし、平成28年度の見通しにつきましては6、000ヘクタールでございます。
〇千田美津子委員 まず、長寿命化を除いてはほぼ100%ということで、当初予算のときは非常に危惧をしていたのですけれども、それはよかったなと。ただ、長寿命化については、実績が74%ということで、この事業は国が決めた事業でありますが、予算が少ないときは予算の範囲内でと言いわけをしているわけです。私は、やはりこれは制度化され、地域がみんなで決めて取り組んでいることですから、国がしっかり手だてをするべきではないかと思いますが、その点お伺いいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 長寿命化対策の予算不足につきましては、各活動組織におきまして長寿命化計画を策定していただいておりますので、その中で補充箇所の優先順序をつけながら交付額の範囲内で対応していただいております。また、平成27年度に制度運用が拡充されまして、農地維持支払いと資源向上支払いの共同活動の交付金の一部を長寿命化対策に充てることも可能となっております。
そうした制度拡充についても各活動組織に周知して利用していただいておりますけれども、今、委員御指摘のとおり、日本型直接支払制度につきましては、平成27年度に法制化されて、国の責任において本来の交付額を満額交付していただけるように、引き続き、県としても国に対して強く要望してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 それから、環境保全型農業直接支払いですけれども、私が最初にお聞きしたときに、平成28年度の面積が4、439ヘクタールという資料をいただいていたので、その点、再確認したのですが、いずれ、ふえていることはいいと思います。やっぱりこの環境保全型農業というのは、化学肥料、化学合成農業を原則5割以上低減する取り組みとあわせて、地球温暖化防止対策あるいは生物多様性保全に効果が高いということで、これを推進する、促進することは本当に大事だと思っています。
その中で、カバークロップについて、10アール当たり8、000円の補助になっていると思うのですけれども、この面積はどのような状況になっているか、これがふえる状況にあるのかどうか、その点お伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 まず初めに、平成28年度の交付対象見込みの面積でございます。先ほど6、000ヘクタールと申し上げましたけれども、これは申請した面積でございまして、結果として、全国の要望が国の予算を上回ったことから、平成27年度の執行に応じまして、国から本県に対しましては69%の額で配分となりましたので、面積的には4、439ヘクタールでございます。
カバークロップでございますけれども、この面積につきましては、平成27年度の実績は688ヘクタールでございまして、今年度の申請の面積でございますが、6、000ヘクタールをベースにして、面積につきましては877ヘクタールでございますが、これが市町村に69%ということで配分しておりますので、実際はもっと下がるものと見込まれます。
〇千田美津子委員 いずれ環境保全型農業は、本当にこれから大事な部分だと思います。国がそういう削減査定をするということで苦労はあると思うのですけれども、ぜひ促進のためにこれからもよろしくお願いします。
それから、2点目に移りますが、岩手の農業にとって本当に大事な転換が、2018年から生産調整を廃止するということが言われております。そうなれば、岩手の農業にとって本当に大きな影響があるのではないかと私は思いますが、その点についてお聞きします。
〇松岡水田農業課長 平成30年以降、行政による米の生産数量目標の配分が廃止され、仮に米の生産が需要量を超えるほどに増大すれば、全国的に米価が下落することが予想され、農業経営への大きな影響が懸念されるところと考えております。
〇千田美津子委員 まず、大きな影響があるということだと思うのですけれども、そうしますと、今、後継者対策でいろいろ事業を進めて、担い手に集中して取り組まれているわけですが、こういう後継者の方々がせっかく頑張っていくという状況の中にあって、私は、意欲を削ぐことになるのではないかと思うんですが、その点お聞きします。
〇松岡水田農業課長 担い手など後継者対策としても有効である国の交付金がございますけれども、国は、平成30年産以降、米の直接支払交付金を廃止するという方針を示しております。
また、飼料用米や麦、大豆などの転作作物に対する助成の枠組みは、平成30年産以降についても基本的に必要としているところでございますが、助成水準などの詳細な情報は示されていないところでございます。
〇千田美津子委員 詳細については確かにこれからですが、担い手対策としても、私は本当に大きな影響を及ぼすのではないかと思います。
後で触れますけれども、農地中間管理機構等への集積を進めているわけですが、そういうところに集積できない零細農家等は、全く耕作できないことになってしまいかねませんので、ぜひこれについては注視をしながら、岩手の農業を本当に守るという立場で取り組む必要があると私は思います。
それで、東北農政局が、今月11日には県南、沿岸南部の首長等を、それから、15日には盛岡、県北、沿岸北部の首長等を集めて、生産調整を初めとした農業問題での意見交換をされたようでありますけれども、それについて、どのような意見が出されたか、把握されているかお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 農業関係の幅広な意見が出されたところでございますけれども、この生産調整の関係につきましては、全国の産地の足並みがそろわなければ、主食用米の生産量が増大し、全国的に米価が下落するのではないかといった懸念や、飼料用米等に対する助成水準の維持を求める声などが出されたところと承知しております。
〇千田美津子委員 そういう米価下落に対する不安等が寄せられているし、これからは、もっともっと大きな声になっていくと思います。
それで、具体的に国からの説明等はまだなされない状況ですけれども、国から県に対しての説明とか、取り組みの段取りというか、何かそういうスケジュール的なものは現状であるのでしょうか。
〇松岡水田農業課長 平成30年産以降の取り組みにつきましては、国は、全国の各県と意見交換などをしておりまして、国の考えといたしましては、今後も県段階、地域段階での農業再生協議会において、需要に応じた生産を進めるように準備を進めてほしいというような説明がなされているところでございます。
〇千田美津子委員 国の意見はわかりますけれども、それに対して、県はどのように取り組もうとしているか、その点お聞きしたいと思います。
〇松岡水田農業課長 平成30年産以降の県としての取り組みにつきましては、県と農業団体などで構成しております県の農業再生協議会というところがございます。この協議会におきまして、これまで、地域協議会でありますとか集荷団体などと意見交換をしておりまして、こういった経過を踏まえて、対応方向をことしの12月ごろ取りまとめようということにしております。
〇千田美津子委員 農家の方々は、今後の営農に対して大変不安感を持っています。そういった点で、県としても、ぜひ、農家の意向を反映した取り組みができるように、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
では、最後になりますけれども、農地中間管理事業についてお聞きしたいと思います。
午前中の審議の中で、農地中間管理機構の現状については質問がありましたので、それは省略いたします。
課題でありますけれども、ちょっと順不同になりますが、農業を頑張っていらっしゃる後継者の皆さんから、さまざま具体的な質問、意見が寄せられておりますので、それを紹介しながら、見解をお聞きしたいと思います。
今、農地中間管理機構に貸し付けるときに、耕作者を自分で見つけなければならない、そして、農地中間管理機構は全く耕作者を探してくれない、そういう御意見があったのですが、それについてお聞きします。
それから、二つ目は、やはり条件の悪い農地を機構は借りないのではないかと。そういうところは耕作放棄地になってしまうのではないかという本当に心配した声があります。それらについてお答えをいただきたいと思います。
それから、三つ目は、農地の受け手に対するメリットが感じられないと。10アール当たり1万円とか、そういうものはありますけれども、貸し手に比べて受け取る側のメリットが少ないのではないかという御意見があります。
次に、協力金があるわけですが、これが毎年変動して、チラシとか既成のポスターに書いてあることと実態が違って混乱している、そういう若い方々の御意見がありますので、その点についてはどうか。
あと、最後になりますが、農地中間管理機構の貸付期間は10年になりますね。10年契約になりますけれども、10年後に農地中間管理機構が本当に機能しているのだろうかという不安の声が多々寄せられておりますので、それについてお聞きします。
〇菊池担い手対策課長 今、五つの御質問がございましたので、順を追ってお答えさせていただきたいと思います。
一つ目、貸し付ける相手先の掘り起こし、いわゆる耕作者の掘り起こしについてでありますけれども、農地の受け手の掘り起こしや、その方とのマッチングにつきましては、地域農業マスタープラン等の話し合い、地域での話し合いによる地域の意向を踏まえながら、農地中間管理機構の農地コーディネーターや市町村が行っているところでございます。
また、受け手がすぐに見つからない場合、そういった農地であっても、草刈りなどを行う当面の管理者がいる場合には、農地中間管理機構は、その農地を借り受けることとしております。
さらに、管理者が見つからない農地にあっても、機構が農地を借り受けるわけではなく、登録して、受け手を探す取り組みに努めているところでございます。
二つ目でございます。借り受けるところがなければ耕作放棄地化が進むのではないかといった懸念でございます。圃場条件が悪く、受け手があらわれない農地の取り扱いは、全国的にも大きな課題となっております。
このため、本県においては、平成27年度から新たに高収益作物の導入や農作業の効率化に向けて、簡易な基盤整備が行える活力ある中山間地域基盤整備事業を措置しておりまして、こうした取り組みによりまして、できる限り多くの農地を受け手に結びつけていきたいと考えております。
三つ目でございます。農地の受け手に対してメリットが薄いのではないかということでございます。農地中間管理事業につきましては、担い手の規模拡大意欲に呼応して農地の集積、集約化を進めることにより、担い手の農作業の効率化、コスト低減が期待できるということで、そのことが担い手にとって一番のメリットと考えております。
また、地域集積協力金は、地域の創意工夫によって使い方を自由に決定することができることから、本県では、地域の話し合いのもとに、担い手が利用する共同機械の購入など、地域の担い手に対する支援として活用している事例が多く見受けられております。
このほか、一部の国庫事業においては、中間管理事業により農地を集積した地域を優先に採択するものもございますので、そういった部分が担い手に対するメリットと考えております。
四つ目でございます。農地中間管理事業の制度が変わることでの混乱ということでございます。平成26年度の農地中間管理事業の全国的な実績から、担い手への新規集積に対する協力金の貢献度が弱いという理由で、国は協力金予算の県への配分方法を変更いたしました。平成28年度以降、担い手への新規集積面積をもとに、10アール当たり5万円が県に配分されて、農家や地域への交付基準は、この予算をもとに、国が示した交付単価を上限に県が定めることになっておりまして、各種協力金は減額せざるを得なくなったところでございます。
国は、本事業の開始時に平成30年度までの交付単価や交付要件を示しているため、今回の変更は国の方針転換ということもありますが、県では、農家に混乱が生じないよう、広域振興局単位で事業推進会議を開催したり、全市町村を巡回した相談対応、あるいは県ホームページによる交付基準の公表など、丁寧な説明に努めてきたところであります。
引き続き、こういった制度変更の周知に努めるとともに、国に対しては、継続性のある制度設計を要望してまいりたいと考えております。
最後でございます。農地中間管理機構の継続性ということでございます。本県では、農地中間管理機構として、公益社団法人岩手県農業公社を指定し、ここに担っていただいております。
県農業公社は、農地保有合理化促進事業が始まりました昭和40年代から、農地の貸借業務や売買業務を担ってきておりまして、今後も引き続き、本県の農地集積、集約化の中核として、継続して業務を進めてもらいたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 農地の受け手に対するメリットについて、るる御説明がありました。ただ、意見をくれた方は、先ほど地域集積協力金は自由に使い方を変えられるというお話がありましたが、多分その使い方に対する周知というか地域の認知度が低くて、担い手の方々が、メリットが少ないと思っているのだろうと思います。ですから、そういう部分で、もっとそういう使い方ができるよというアドバイスをしていただくことが私は必要だなと思います。せっかく頑張っている人たちですので、ぜひ、その辺が十分伝わるようお願いしたいと思いますので、その点一つ。
それから、ちょっと順不同になりますが、経営転換協力金、耕作者集積協力金、それから地域集積協力金の配分実績と配分基準についてお知らせいただきたいと思います。
〇菊池担い手対策課長 担い手に対するメリットの部分での地域集積協力金の使い方についてでございますけれども、地域で話し合いをしていただく中で、こういった協力金の使途は自由ですよという話は、再三、現地で周知しております。
その中で、具体的な使い方として、本県では担い手への設備投資に充てている事例が、ざっと見ると八、九割ぐらいあるかと思いますけれども、それ以外の使い方としては、例えば協力金はもらえないけれども、集積には協力しましたよといったような個別の農家の方への手当てであるとか、地域の皆さんがこういった使い方が一番いいであろうという話し合いのもとに決定されているものと承知しております。
今後、そういった担い手への支援が有効に働いているなどの事例も含めまして、地域に紹介してまいりたいと考えております。
それから、地域集積協力金などの配分実績についてでありますけれども、県の配分の方法から申し上げたいと思います。
配分方法は、国から配分された予算の範囲内で、県では、担い手への新たな農地利用の集積、集約化に資する観点から、その配分方法を定めまして、本県では、3種類の協力金のうち、経営転換協力金と耕作者集積協力金を優先的に配分して、残りましたお金は、地域集積協力金を新規集積に寄与する割合の高い地域から配分を行いました。
平成27年度の配分実績は、経営転換協力金が約10億3、000万円、耕作者集積協力金が約2億2、000万円で、要望のあった全額を交付したところでございます。
また、地域集積協力金につきましては、要望のあった77地区のうち75地区に配分いたしまして、その金額は約8億8、000万円でございました。
〇中平均副委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇臼澤勉委員 私からは、農業の3本柱のうちの、今回は園芸についてお尋ねいたします。
園芸振興におけるスマート農業の取り組みということで今回取り上げたいと思うのですけれども、現在、県では、園芸産地拡大実践プランに基づいて、生産性を高める技術導入であったり、施設の高度化、省力化の機械導入に取り組んでいることは承知しております。今回、ICTを活用して高品質生産を実現するための農業、いわゆるスマート農業の取り組みについて、県で平成27年度の取り組み実績と成果について、まずお伺いしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 園芸生産に向けましては、機械化やICT等を活用した技術の開発、普及などによる省力化や生産性の向上への取り組み等をこれまで以上に進める必要があると考えております。
このため、平成27年度におきましては、収穫時間の大幅な短縮が見込める全自動収穫機について、加工用トマトでは約1.9ヘクタールに、キャベツでは約3.2ヘクタールに導入したところです。また、トマトの養液土耕栽培において、生育にあわせた最適な養液濃度を自動で制御しまして、品質や収量の向上を図るシステムの導入を支援したところでございます。
〇臼澤勉委員 午前中の委員会の質疑等でも、農業の担い手、なかなか新規就農が進まない課題ということもいろいろ議論があったのですけれども、その進まない大きな要因の一つに、まず、所得向上が進まないというところもあるのかなと思います。
このいわて県民計画の実施状況報告書の中で、目標の具体的推進指標、園芸販売額1、000万円以上の規模の園芸経営体制、A評価ではございますが、私は、この販売額から、いろいろな必要経費が差し引かれた実際の所得が、効率化を図りながら、ある程度ほかの産業並みに確保できるような体制づくりといった部分が必要になってこようと思っております。
私は、大分昔、大田市場に行ったときに、あそこの市場にいわて純情ブランドの段ボールが、ちょうど黄色い箱だったですか、だあっとあったんですね。それで、市場の関係者は、あの色を見て、おっ、岩手だ、岩手の新鮮なものがここにあるということで、すごくインパクトがある、そういったブランド……
〇中平均副委員長 臼澤委員、質問をお願いします。
〇臼澤勉委員(続) わかりました。
そこでお伺いいたします。そういった部分を願い、今のこのスマート農業の推進に当たっての課題、留意点をどのように捉え、どう今後の取り組みに生かすお考えかお伺いいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長 スマート農業の推進に向けましては、設備や機械の初期投資が多額であること、それから、環境制御などのシステムに対応した栽培技術や労務管理などの高い経営能力が必要であるというようなことが課題であると認識しております。
このため、スマート農業に取り組む意欲ある担い手に対し、国庫補助事業等を活用した高度環境制御システムを備えた高規格ハウスなどの施設整備の支援、それから、実証圃を活用した栽培技術の習得、さらには、いわてアグリフロンティアスクールの開設による経営能力の向上などについて、関係機関、団体と一体となって取り組んでいく考えでございます。
〇臼澤勉委員 県内でもそういった進んだ取り組み、温度管理とか湿度、養分を自動化したり、あるいは再生可能エネルギーを使った部分で、太陽光を入れたり、あるいは地下水をくみ上げて、そこで温度管理をするような仕組みを取り入れているようなところも、実際に私も携わった経験がございます。大規模園芸団地をそうやってつくっていくということを、ぜひ、今後進めていただきたいと思いますし、中小の農家が使えるIT化というものも大事になろうかと思います。
仙台市では、農業のIT化を普及させるため、大学、企業が連携して取り組んでおります。
そこでお伺いいたします。農業改良普及センターや生物工学研究センターが当県にはあり、こういった方々の活躍が期待されますが、御所見をお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 担い手の減少や高齢化が進行する中、本県農業を力強く牽引する担い手を育成するためにも、スマート農業の取り組みは重要であると考えます。
このため、県の技術開発基本方針等に基づきまして、生物工学研究センター、農業研究センターにおいて、高度な遺伝子解析技術を活用した品種開発やICTを活用した生産管理システムなどの開発とその迅速な普及に取り組んでいるところでございます。
また、農業改良普及センターにおいては、これまで以上に、民間企業で開発された技術も含めまして、ICTを活用した低コスト、省力管理技術の迅速な普及を図ることとしておりまして、こうした取り組みを通じて、経営感覚にすぐれた経営体を育成していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 農家の方の高齢化が進んでおりまして、私は、農家の方々が持つ技術、知識をデータ化するなど、いわゆるたくみのわざというか、技術の継承というか承継がすごく重要な課題になってこようと思います。スマート農業という枠組みから一歩また違いますけれども、そういった部分のデータ化的なところも今後、県の機関でも研究していっていただきたいと思います。
次に、生物工学研究所の管理運営費についてお伺いいたします。生物工学研究センターの取り組み、成果についてお伺いいたします。
〇中村農林水産企画室企画課長 生物工学研究センターでは、本県沿岸海域で水揚げされましたイサダに着目し、抗肥満物質の特定、抽出方法などについて研究成果を発表しております。こうした研究成果は、国から表彰されるなど、全国から高い評価を得ているところでございます。
本年6月には、生物工学研究センターを初め、県内外の民間企業や水産加工業者、大学等をメンバーとしますイサダまるごとプロジェクトを立ち上げまして、サプリメントなど機能性食品の商品化に向けて取り組むこととしてございます。
このほか、雑穀のアワに含まれるルテインの抽出でありますとか、ナマコやホヤが持つ抗カビ性に着目したカンジダ症の予防法の研究などに取り組んでいるところでございます。
〇臼澤勉委員 この生物工学研究センター、私が県庁に入ってから、平成4年ごろですか、いろいろと経緯はあったと思いますけれども、バイオテクノロジーの応用、基礎研究に取り組んできた重要な機関と思っております。
今回なぜこれを取り上げたかといいますと、私は、これからの農業を進めていく上で、何のためにあるのかといったところで考えていくと、やはり消費者のためにあるべき。そしてそれは何かというと、健康といったところが大きくキーワードになろうかと思って聞いたわけでございます。先ほど、イサダに抗肥満─肥満防止効果があるということもございますし、それぞれの農産物における健康への重要な影響が指摘されているところでもございます。ぜひひとつここら辺の健康に対する取り組みも進めていただければと思いますが、最後に、紺野部長にそこの御所見を聞いて終わりたいと思います。
〇紺野農林水産部長 生物工学研究センターの関係でございますが、県産農林水産物の持つ機能性に着目いたしましてさまざま研究を行ってございます。本県農林水産物の高付加価値化にこうした研究がつながってまいると思っております。農林水産業のこうした研究が活性化に貢献することが期待されるところでありまして、引き続き生物工学研究センターの取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇中平均副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均副委員長 質疑がないようでありますので、第1部、農業関係の質疑をこれで終わります。
委員の皆様はこのまま少々お待ちください。
次に、第2部、林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇千葉進委員 私からは、林業のことで二つお伺いします。簡潔にやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
2015年度における林業経営計画を策定されてこの1年間やってこられたということですけれども、それにかかわって、特にも造林、植林のことでお伺いいたします。
県有林、私有林というのはあるかもしれませんけれども、造林、植林に関して、どういう地域にどのような木、特に広葉樹、針葉樹等も含めてどのような木を植えてどういう形に持っていこうとしているのか、特徴等があったらお知らせください。
〇佐々木森林整備課総括課長 造林の現状と今後の見通しについてでありますけれども、本県の森林整備は、国の補助事業を積極的に活用しまして森林資源の造成を進めております。
県内の造林面積は、平成27年度実績で792ヘクタールとなっております。造林樹種は、需要が大幅に高まっているカラマツの割合が約7割と高く、次に杉が約2割となっております。その他、広葉樹につきましては約1割となっております。広葉樹では、その土地本来の植生を考慮しまして、シイタケ原木や木炭の原料となるコナラの造林が約6割と最も多く、地域の特性を生かした多様な森づくりを進めております。
今、委員からお話がありました地域的なものですけれども、針葉樹につきましては、全県的に大体同じような形でカラマツが人気があるところです。広葉樹につきましては、シイタケ原木ですとか、あるいは炭の原料となりますコナラが人気がありまして、県北・沿岸地域等で結構植えられております。
今後とも需要が高いカラマツ造林の増加が見込まれますことから、苗木の安定確保に加え、路網整備や施業の集約化を進め、効率的な森林整備を促進してまいります。
〇千葉進委員 私、よく知らないからですけれども、一般的に私の家の周りでは杉が多いわけです。カラマツという話ですけれども、カラマツを植えることによって、その使途の目的といいますか、特徴を教えていただきたいと思います。
〇佐々木森林整備課総括課長 従来は杉が圧倒的に人気が高かったわけですけれども、近年は家を建てる場合に杉の無垢柱を使うことが少なくなっておりまして、集成材という、材を張り合わせたものを使うことが多くなってきております。カラマツは、従来はすごくよれなどがあって建築材としては使いづらい部分があったのですが、今は集成して張り合わせることでほとんどそういう欠点がなくなるので、強度的にも強いカラマツが結構人気が出ております。同じように強度が強いという意味では、合板材を張り合わせるとき、表側に強度の強いカラマツを張ることによってより強い合板材がつくれるということで、やはりカラマツが合板産業のほうでも人気があり、価格的にも、杉よりもむしろカラマツのほうが最近は若干高くなってきていることもありまして、圧倒的にカラマツのほうを植えたいという需要が高まっております。
〇千葉進委員 平成27年度政策評価結果等の反映状況報告書を見せてもらうと、A評価という形で、そういった部分をきちんとやっていただいているのだろうと思うのですけれども、私が住んでいる県南では、例えば、室根町の矢越のひこばえの森というところに海は森の恋人という形で植林をしています。6月の第1日曜日に、これは全国的な部分もあったりして多くの人が集まっています。もう一つは、特徴的な部分で、つい最近ですけれども、10月末に、千厩の山にどんぐりの森づくり大作戦という名前で、中学3年生が山にドングリの木を植えました。記念樹的な意味合いもあるのですが、一人一人が自分の名札を持っていった木を植えたところに挿すという形で、将来、自分が戻ってきたらその木がどうなっているのか見られるという取り組み等も毎年しているのです。若い人たちに、森づくりの意味合いをぜひ知ってもらいたいという部分があって、非常にいいことだと思っていますので、ぜひ各地区からそういういろいろな情報を集めていただきたいと思っています。意外とそれぞれ別々にやっている可能性があるので、県としてはこういった形を考えているので、こういう地区にはこういうものがあったほうがいいという指導的なものもあってくれれば、もっと中身の濃い、そして全県的なものになると思いますので、そういった工夫もしていただければありがたいと思います。
第2点としては、その若者たちということで、前に一般質問の場面でも、あるいは去年、私も質問しましたし、先ほどからいろいろな場面で若者たち、人材育成というのが出されていますけれども、一昨日、大東町の京津畑というところで食の文化祭というのをやりました。50戸足らずの地域で、130人ぐらいの人たちが住んでいる。そこで食の文化祭ということで、伝統的な料理を並べて食べてもらいながら若者たちに伝えていくというものですけれども、伺ったところ、県の農林水産部でつくったポスターに写っていた若い女性が受付をしていました。そういう面で、森林組合に勤めながら地域でもいろいろな場面で協力している若い人もいるということをつくづく感じました。その若者たちをこれから育てていく中で、昨年出されてことしから準備段階に入っているはずのいわて林業アカデミーは来年開講予定なわけですが、その進捗状況について、特に高校関係でいうと推薦の時期ですが─林業アカデミーは専門学校等であるわけですが─そういう推薦とか入試的な部分が進められているのかどうか。もし進められているとすれば、その結果は今どういうふうになっているのかお知らせください。
〇佐々木森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの進捗状況でございますけれども、来年4月の開講に向けまして、ポスター、パンフレット等の配布や広報媒体によるPRを行うとともに、県内の全高校82校と林業事業体を個別に訪問しまして説明を行っているところであります。10月に実施しました推薦選考試験では、来春卒業予定の高校生10名の合格者を決定しているところであります。今後、12月、2月と一般選考試験を行うこととしております。
また、いわて林業アカデミー運営協議会及びサポートチームを設置しまして、業界ニーズや教育関係機関の意見の把握に努めるとともに、研修環境を確保するため、林業技術センターの施設の一部を改修し、教室や機械実習室、更衣室等の施設整備を進めております。来年4月には万全の体制で研修生を迎えられるよう期してまいりたいと思います。
〇千葉進委員 もうちょっと詳しくお伺いしたいのですが、定員が何名のところに推薦で10名合格したのか。残り部分、定員はあと何名残っているのか。それから、その10名の内訳で、特にも男女比。高校3年生だと思いますけれども、県内に農業高校は今少なくなっています。盛岡農業高校と水沢農業高校という形で、あとはもう統廃合されているのですけれども、農業高校から何人行っているのか、お聞かせください。
〇佐々木森林整備課総括課長 アカデミーの定員は15名としておりまして、そのうち推薦枠で10名が確定しております。前期、後期と2回に分けて一般選考を行うこととしておりますが、現在、残りの5名を募集しているところでございます。
それから、学校ですけれども、今回、合格している方は全員高校3年生、来年の春卒業される方です。農業高校からは、久慈東高校あるいは花巻農業高校など以前林業関係の学科があったところから若干来ておりますが、現段階では盛岡農業高校からの申し込みはまだ来ておりません。普通科の学生も応募してきておりまして、私、面接しましたけれども、すごく優秀な生徒が集まってきていると思っております。
それから、男女比率ですが、現在、推薦選考のほうで来ているのは全員男性です。途中、女性の方も応募したいということがあったようですが、親御さんが林業の関係に入れるのは心配だということで、途中で断念されたという経緯は伺っております。
〇千葉進委員 最後にします。
ぜひそういう面で新しくつくられるアカデミーに期待したいところですので、環境という部分で、教える方々もきちんとなされているのかどうかを確認させてもらって終わります。
〇佐々木森林整備課総括課長 これから環境関係のこととか、業界のニーズで、いろいろとそういう分野のほうも教えてほしいという声や、いろいろな協議会ですとかサポートチームあるいは学校の先生方からそういう要望等があれば、これからカリキュラム等も見直しながらやっていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 私は、3点お伺いしたいと思います。
まず、1点目ですが、林道整備についてであります。
これまで取り組んできた状況と今後の整備計画はどのようになっているのかお伺いします。
〇漆原森林保全課総括課長 これまでの林道整備の取り組み状況と今後の整備計画についてでありますが、林道は木材の安定供給の基盤として重要であることから、林道整備中期実施計画に基づき計画的に整備を進めており、平成27年度は約10キロメートルの整備を行い、年度末までの整備延長の累計は4、500キロメートルとなったところであります。
現在、県では、平成27年度から平成30年度までを計画期間とする第3期林道整備事業中期実施計画において、林道整備を重点的に推進する区域として、森林経営計画に基づき、計画的に森林整備や木材生産が行われる森林や市町村森林整備計画の中で市町村が定めた路網整備等推進区域の森林を対象として重点的に整備に取り組んでいるところであります。
今後、当該計画の平成30年度の目標である4、526キロメートルを達成できるよう、計画的な林道の整備を進めてまいります。
〇城内よしひこ委員 なかなか進まない。これまで整備した林道のメンテナンスも必要な時期に入っている部分もあろうかと思います。
今回、台風第10号による被害が沿岸部、特にも岩泉林道に多く発生しております。その調査は既に終わっているのでしょうか。
〇漆原森林保全課総括課長 調査は終わり、10月26日から林野庁と財務省の災害査定を受けておりまして、12月22日までには全て終わるという予定で進めております。
〇城内よしひこ委員 本県の木材産業は裾野が広いわけでありまして、川上から川下までということで、特にも川下で製材あるいは合板をなりわいとする方々が材が安定して入ってこないということで心配されております。一日も早い復旧をお願いしたいと思いますが、それに向けた計画はあるのでしょうか。その辺、確認したいと思います。
〇漆原森林保全課総括課長 林道の施設災害については3年間で復旧するというルールになっておりますので、3年で終わるように進めてまいりたいと思っております。
まず着手しなければならないのは、委員の皆様御存じのとおり、岩泉町では生活道として使われていた林道があり、孤立集落ができてしまいましたので、そういう生活に直結するような林道をまず最初に着手してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 優先順位はあって当然だと思います。しっかりと整備を進めていただきたいが、3年というのはちょっと長いのではないかと思います。3年もたつと、通常の販路も一回なくなったものは戻ってきませんので、早目にお願いします。
次に移ります。
漁業担い手確保・育成対策についてであります。
漁業担い手確保について、これまでの取り組み状況と今後の担い手対策はどのように進めていくのかお伺いしたいと思います。
〇赤平漁業調整課長 漁業の担い手育成対策についてでありますが、県では、平成28年3月に策定した岩手県漁業担い手育成ビジョンに基づき、漁協や漁業団体、市町村などと連携し、地域漁業を担う多様な担い手の育成と漁業就業希望者の受け入れ態勢の整備を推進しているところでございます。
担い手の育成については、漁業経営体向けの経営力向上研修を開催しているほか、漁業生産の人手不足を補うための共同生産方式の導入拡大や、漁協青年部、女性部向けの漁村ビジネス創出のための起業化研修などを行っています。
また、受け入れ態勢の整備について、熟練漁業者のもとで累計165人の就業希望者が技術習得研修を行ったほか、地域の担い手対策の推進母体として7市町村がそれぞれの協議会を設立し、就業支援フェアへの参加など地域の実情に即した取り組みに着手しており、さらに、一部の市町村では独自に就業奨励金の給付や住居費の一部助成などを行い、市町村協議会の取り組みの活性化を図っています。
今後の対策として、沿岸12市町村全てにおける協議会の設立を支援しながら、就業希望者の確保から就業支援、新規就業者の能力向上など、一連の漁業担い手確保、育成対策を推進してまいります。
〇城内よしひこ委員 経営体が減少していますし、そしてなおかつ高齢化が一層進んでいるわけであります。1次産業にとっては、農業もそうですけれども、担い手は大事であります。しっかりと確保していかないと、次の世代の農業、漁業が成り立たないと感じています。特に自然を相手にするなりわいであります。本年はサケも不漁、サンマも不漁、イカも不漁ということで、漁業関係者は悲鳴を上げています。そういった中で、つくり育てる漁業の担い手にしっかりと漁業技術を習得していただいて、安定した経営体になれるように一層の支援が必要と思いますが、その辺、再度いかがでしょうか。
〇赤平漁業調整課長 漁業担い手の確保につきましては、委員おっしゃるとおり、しっかりした担い手確保と技術習得はもちろん、さらには新規就業者を含めて、彼らが地元に定着するための生活環境の整備も含めてトータルで支援していく必要があると考えております。
〇城内よしひこ委員 けさほども福島県沖で津波が発生しました。沿岸部に大体1メートル弱の津波が襲ったということでありました。なかなかこの場にいるとその実態というのが肌感で伝わってきませんが、1メートルもあると養殖棚や定置網も傷む状況があります。そういった被害、二重、三重に皆さん被災しますので、ぜひそういったことも加味しながら支援策を講じてほしいところでありますが、部長、その辺はいかがでしょうか。
〇紺野農林水産部長 本県の水産業につきましては、たび重なる災害、また、今後こうむるであろう災害、いろいろな災害が押し寄せてこようかと思っております。そうした中で、やはり、それに対応する私どもの支援、また、漁業者、漁業団体のいろいろな策を講じながら一体となって立ち向かっていくことが大事だと思っておりますので、引き続き水産業が振興するように私どもも力を尽くしてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 それでは、次に移ります。
漁港整備についてお伺いしたいと思います。
東日本大震災津波が発災して5年8カ月たつわけでありますが、県当局あるいは関係各位の力強い支援のもと、どの漁港も─復旧途中にある部分もありますが、復旧のめどは立っております。そこで、被災した漁港の今後の防波堤等の強化をどのように考えていくのか。これまで、復旧途中に高潮や台風があったりしてなかなか工事が進まない傾向もあるやに地元でお伺いしております。しっかりとした取り組み体制が必要と思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇阿部漁港課長 これからの漁港整備についてでありますけれども、県では、東日本大震災津波からの復旧とあわせ、平成27年2月に策定した岩手県水産基盤整備方針に基づきまして、高波に対する防波堤の強化など漁港における防災、減災対策に取り組んでおりまして、平成27年度は、音部漁港ほか10漁港で防波堤の消波ブロックの増設など、漁港機能の強化、充実を図っているところであります。
また、平成28年度は太田名部漁港における越波防止のための防波堤のかさ上げ工事などを実施しておりまして、平成29年度以降におきましても、近年、頻発する防波堤の被災状況等を踏まえまして、漁業関係団体や関係市町村と協議、調整しながら、順次、防波堤等の機能強化を図り、漁港の防災、減災対策を推進してまいります。
〇城内よしひこ委員 先ほどもお話ししましたけれども、今の漁家にとって漁港は生命線であります。静穏域を保たれる施設でないとなかなか維持できない状況がありますので、ぜひ改良復旧も念頭に置きながら復旧工事を進めてほしいし、また、傷んだものについてはなるべく早く直していただきたい。これまで以上に台風被害や津波被害─津波に頻繁に来られては困るのですけれども─、高潮等も以前に比べると被害が大きくなるという話は現場の方々が話しています。ぜひそういう声にしっかりと耳を傾けて対応方をしてほしいと思います。
最後になりますけれども、毎年行われている全国漁港漁場大会が来年、岩手県で開催されるということであります。大井岩手県漁業協同組合連合会会長が、東日本大震災津波からの復旧、復興への全国からの支援に感謝する大会にしたいとお話しされたそうであります。こういった全国規模の大会が国体後、来年開かれるわけでありますが、岩手県として、しっかりとした支援が必要ではないかと考えますが、その辺の対応はどのように考えていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港課長 全国漁港漁場大会についてでございますけれども、本大会は昭和24年から全国漁港漁場協会の主催によりまして各都道府県で開催されておりまして、全国の水産関係者が集まる漁港、漁場関係の最も大きな大会でございます。来年、本県で開催されるに当たりまして2、000人程度の参加が見込まれると聞いております。
本大会が本県で開催されることは、全国の水産関係者の皆様方へ東日本大震災津波からの復旧への支援に対する感謝の意を伝え、現場で復旧、復興の状況を見ていただくとともに、本県水産業のPRを行う機会でございますので、県としても、さまざまな支援を通じまして大会の成功に向けた取り組みを進めてまいります。
〇城内よしひこ委員 2、000人ぐらいの方々がいらっしゃるということであります。漁業関係者はたくさんお金を持っていらっしゃるそうですので、ぜひしっかりと岩手に貢献してもらえるようなホスピタリティーのある対応をお願いして終わりたいと思います。
〇飯澤匡委員 間伐事業に関して数点伺います。
まず最初に、県有林事業特別会計の不用額についてお伺いします。
ことしは、平成27年度、平成26年度と対比して不用額が472%増となっておりますが、その要因について示していただきたいと思います。
〇漆原森林保全課総括課長 平成27年度の前年比率の増要因についてでありますが、国庫補助事業である未利用間伐材利用促進対策事業の実施に当たり、東日本大震災津波に係る復興事業の支障木伐採等に人材が流出し、労働者不足が発生したことにより入札不調が多発し、事業実施が困難になったため多額の不用額が生じ、前年対比が大きくなっているものでございます。
〇飯澤匡委員 この不用額についてはただいま御紹介のあった国庫事業と通常事業があると思うのですが、その割合はどうか。
それから、お伺いしたら、たしか先ほどの未利用間伐材利用促進対策事業は1年ぽっきりの事業で、残が生じたということは返還金も生じると思うのですが、その返還額についてもお知らせください。
〇漆原森林保全課総括課長 事業の割合については数字的なものは今すぐに探せなかったのですが、半々ぐらい(後刻「未利用が6、通常のものが4」と訂正)の割合になっております。
事業は1億9、000万円余ぐらいになるのですけれども、そのうちの900万円ぐらいが一般財源で、それ以外(後刻「1億7、900万円余」と訂正)が国庫へ補助金を請求しなかった分になっております。
〇飯澤匡委員 これは質問入れていなかったので、後で詳しく教えてください。
半々ということですが、いずれにしてもこの国庫事業が余り芳しくなかったということですが、これは何に起因するのか。また、この事業の達成した事業評価、どのようにこれを評価しているのか、それもお知らせください。
〇漆原森林保全課総括課長 事業導入前の周知等につきましては、岩手県森林整備事業請負契約等指名競争入札参加業者に対して平成27年4月に県内5地区でブロック説明会を開催したところであります。延べ80名に参加していただいて事業の担い手となられる方々に丁寧に説明したものでありますが、事業実施の際、先ほどもお話ししたとおり、東日本大震災の復興工事のほうに伐採を担う方々が出てしまわれていて、当事業についてはなかなか応札がなく、事業が実施できなかったものでございます。
それから、評価についてでありますが、平成26年度の県有林の搬出間伐は約26ヘクタールでありましたけれども、平成27年度については、当事業を活用して418ヘクタール(後刻「481ヘクタール」と訂正)実施したところであります。本事業の活用により、481ヘクタールの林分で間伐材を搬出し、流通させることができたことは、間伐材の利用促進に貢献できたものと捉えております。
また、これまで切り捨て間伐を主体に実施してまいりましたが、約800万円の間伐材の売り払いができ、収入を確保し、森林所有者へ分収交付金を交付することができたことで評価しております。
〇飯澤匡委員 一定の効果はあったんですが、全額は使い切れなかったということですね。物すごく不用額の割合が高いのでどうしたことかと思って聞いてみたのですが、実際こういうことを聞いてみないとその内容がよくわからないということです。だから、会計処理とその事業の内容がなかなか見えにくいということが今回、私の問題意識の中にございます。
一方、間伐材利用率は、主要施策の成果に関する説明書において、これは県民計画の中における実施状況報告書の中にあるわけですが、この実績値はどうなっているのか。評価は毎年やっているわけですが、現状値は平成26年がベースになって39.8%、計画目標値が平成30年で40.4%を目指す。平成27年目標値は39.9%ですが、実績値はなし。この実績は出ないのです。その理由は、調査結果が確定していないため実績値は測定できませんでしたということで、実績不能となっているわけです。
この間伐材の利用については、ただいまの県有林事業の不用額についてもかかわってくるわけですが、事業効果が比較できない。国庫補助を入れても、どれだけのものが達成できたのか、そのメルクマークがなかなか見えない。今回の主要施策においても比較できない、こういうことになっているのですが、どうしたものでしょうか、所感を求めます。
〇佐々木森林整備課総括課長 実績値が示されなかった理由でございますけれども、主要施策の成果に関する説明書の取りまとめ時点ではまだ調査中で実績値を示すことができませんでしたけれども、9月末に取りまとめが完了いたしまして、平成27年度は、目標値39.9%に対して実績値が41.7%となっております。
〇飯澤匡委員 はい、わかりました。そういう答えが出てきたわけですね。そうしたらちょっと質問の組み立てが変わってくるので。
いずれにしても先ほど言ったのが私の問題意識でありまして、不用額と間伐利用促進に対する事業評価というものがなかなかマッチしない。このことは、今、国会でも特別会計改革をやっている中で、やはりしっかりと県民に見えるような形にしていかなければならないと思うわけです。ましてや、今回、国庫事業を入れてなかなかそれも達成しなかったということは、何らかの理由はあったにせよ、それに対する構えというものも問われてくるわけですが、それに対する所見は、部長、いかがですか。
〇紺野農林水産部長 なかなか実績値が出ないということについては、やはり指標の捉え方を再考する必要があるのかなということが1点。また、取りまとめ時期もあり、その後、実績値が出てくるといったこともございますので、この時期についてはもう少し検討させていただいて、事業の評価をしていただけるようなものに考えていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 特別会計の会計処理は1年の行政の会計処理ですので、なかなか継続して見ることができない。あとは繰り越しになってそのままどんどん残っていくわけです。そして、間口は施業主体に対してやりやすいように一見見えるけれども、その事業効果はなかなか見えづらいという点があります。
この会計処理も含めて監査委員に聞きたいのですけれども、この特別会計については監査意見を付していないのですが、今のやりとりを聞いて、今後、主要施策に対して、やはり詳細な説明、事業効果というものが必要と思うのですが、その会計処理、また、監査委員の立場からしてこの不用額処理についてはどのような所見をお持ちでしょうか。
〇村上監査第二課総括課長 不用額に対する認識についてでございますが、監査委員としましては、不要不急な支出は厳に慎むべきものと考えているところでございます。また、不用額については多額とならないよう、予算編成等に当たって留意していただく必要があると認識しているところでございます。
本年度の決算総体における不用額については前年度に比して減少しているところでございまして、震災の復旧、復興を進める中でやむを得ず発生したものと認識しており、直ちに留意、改善を要するとは言えないものと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 とは言いつつも、やはり事業効果というのはしっかり見ていかなければならないと思うわけです。この点については、ただいま部長の答弁にもありましたように、目に見える形でその効果をはかっていただきたい。
もう一つ質問したいのですが、いわての森林づくり県民税については、報道にもありますように、大変間伐等の施業に対して有効に働いていると聞いておりますけれども、その点について、昨年─平成27年度の施業実績と今後の展開についてお知らせいただきたいと思います。
〇佐々木林業推進課総括課長 いわての森林づくり県民税の強度間伐、環境の森整備事業についてでございます。
これにつきましては、公益上重要で緊急に整備が必要な森林を強度間伐いたしまして針広混交林へ誘導するものでございます。昨年度は約900ヘクタールの施工地を確保したところでございます。その一方で、昨年度末時点で整備が必要な森林は約1万ヘクタール残っている状況でございますので施工地の確保を進めていくことが重要になってくるわけでございますけれども、復興工事に伴って伐採作業員が不足している現状、それから、制度の一層の周知が課題と認識しているところでございます。
今後の展開ということで今年度の取り組みでございますけれども、今年度は、県内5カ所での地域説明会に出向いて説明いたしまして森林組合等に働きかけを行っているほか、市町村に広報を通じて森林所有者の方に周知をお願いしているところでございまして、引き続き、施工地の確保にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 一方ではこのように県民税を利用して、その施工については非常に問題意識もはっきりして進んでいる。ところが、前段でやった間伐材の利用促進については、やっているけれどもなかなか効果が見えないところがございます。したがって、この間の台風第10号の被害等で、岩泉町では間伐材の放置等はなくて直接的な被害はありませんでしたけれども、やはり山の中に放置したりしていくと、今、どこでどういう災害が起きてくるかわからない状況の中で、確実に未利用間伐材については利用促進を図ることが必要でありますし、今回の国庫事業の導入についても、やはり周知徹底と事前調査をして、いろいろな理由があったにせよ結果として返還に至ったということは事業効果としては言えないわけですから、通常の県有林事業とあわせて、しっかりと系統立てた事業展開を進めることが必要と思います。あわせて、やはり県民に対してわかりやすい形で情報発信も必要と思うのですが、最後に部長にお伺いします。
〇紺野農林水産部長 一方では明確な評価実績を掲げ、また一方ではなかなか出ないということがありますので、この辺は、先ほども申し上げたとおり、実績値をとる時期、また、指標としての妥当性等ももう一度再検証させていただきまして、全体として岩手の森林整備をどのように進めていくのか、また、間伐材の利用促進をどのように進めていくのか、それを県民の皆様に評価していただくような仕組みをしっかりと構築していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 この不用額処理についてももう少し、制度上の問題でしょうけれども、会計管理者、何かコメントがあればお願いします。
〇佐藤会計管理者 不用額について会計管理者に答弁を求められましたけれども、先ほど監査委員事務局からもちょっと説明がありましたが、今年度の不用額はたしか400億円をちょっと超える程度で、昨年度よりは減額にはなっているのですが、やはり不用額の内容、その質は問われるべきだと思います。
なぜこういった不用額が発生しているかといいますと、真にやむを得ない不用額というのは当然復旧、復興の事業の中ではやむを得ないと思っておりますが、通常の事業で執行側で事業を進める中で、その計画に甘いものがあったり、あるいは費用の積算も、もう少し精査をしていただく必要があるものがあろうかと思います。やはりそういったものは予算の編成過程の中でしっかり精査する必要がありますし、事業を執行する側では、しっかり進捗状況を確認して精査をしていただくのが大事だと思います。そして、それがきちんと県民あるいは議員の皆様方にしっかり理解していただけるよう、資料を準備するなり説明責任を果たすというのが執行側の立場だと思いますので、そういったところを、会計管理者─決算資料、調書を調製する側でも多額の不用額を見て気にはしていたところでございます。そういったところも今後、執行側といろいろと勉強、研究を進めていきたいと考えております。
〇中平均副委員長 執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇漆原森林保全課総括課長 何点かの訂正と、先ほど答弁漏れになりました部分を再度答弁したいと思います。
まず一つは、未利用間伐材利用促進対策事業の平成27年度の実施面積ですけれども、418ヘクタールとお答えしましたが、481ヘクタールが正しい数字でございます。訂正しておわび申し上げます。
それから、通常のものと未利用のものの比率でございますが、先ほど5対5と申し上げましたが、正確には、未利用が6、通常のものが4ということ。
それから、もう一つは、国に返したお金はどのくらいになるかということでしたけれども、1億7、900万円余となります。
〇中平均副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時56分 休 憩
午後3時17分 再 開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇工藤大輔委員 それでは、漁協の経営状況についてお伺いしたいと思います。
平成27年度の決算状況についてお伺いします。
〇菊池指導検査課長 平成27年度の漁協の決算でございますが、沿岸24漁協中19組合が当期剰余金を計上し、その合計額はおよそ10億円であったところでございます。
平成26年度には、全ての漁協が当期剰余金を計上し、その合計額は14億円でありましたが、平成27年度決算では、秋サケやスルメイカ等の不漁もあり、合計額が約4億円減少したものであります。
〇工藤大輔委員 当期未処分剰余金、今説明いただいた中で、累積がどのぐらいあるか、あるいはその団体も含めてもう少し細かくお願いします。
〇軽石義則委員長 時間かかりますか。後でいいですか。
〇菊池指導検査課長 申しわけございません。ちょっと後で御報告したいと思います。
〇工藤大輔委員 各漁協では、東日本大震災復興再生計画を策定し、漁協の経営改善に向けて事業をそれぞれ進めていると思いますが、その進捗状況と債務解消の見通しについてお伺いします。
〇菊池指導検査課長 東日本大震災復興再生計画の進捗状況でございますが、各漁協では、平成23年度以降、補助事業の導入や負債整理資金等の活用などを内容とする東日本大震災復興再生計画を順次策定し、計画的に事業に取り組んできたところであり、系統機関や県で構成するJF経営指導岩手県委員会が、経営再建に向けた指導を進めているところでございます。
秋サケ等の不漁もあり、平成27年度決算では当期赤字となった組合もあるものの、多くの漁協では、漁業共済による補填やこれまでの内部留保の活用等により、復興再生計画をおおむね上回りながら推移しております。
また、平成27年度における県全体の事業総利益を大震災前の平成17年度から平成21年度までの5カ年平均と比較しますとほぼ同水準に達していますことから、これまでのところ、着実に回復傾向にあると認識しているところでございます。
〇工藤大輔委員 平成17年度以降、毎年当期未処分損失金を出している団体、漁協は、3億から7億円ずつ毎年のように損失金が減ってきているという状況で、今あった説明のとおりかと思いますが、いずれこれは、着実に損失金が解消していっている中で、これが剰余金に変わるような年度など、今後どのように見据えながら今の経営のあり方を見ているのかお伺いします。
〇菊池指導検査課長 漁協全体の今後の計画とか債務解消の見通しについてでございますけれども、漁協では、被災施設復旧のため施設整備資金や負債整理資金の活用を図っており、その償還につきましては、各漁協が策定しました、先ほども申し上げました東日本大震災復興再生計画をもとに進めているところでございます。
補助事業の漁協負担分に係る借入金の償還は、3年の据置期間が経過した平成26年度から始まっているところであり、償還期間は、運転資金及び負債整理資金が10年以内、設備資金は15年以内となっておりますことから、多くの漁協では、償還が平成37年度までとなっております。
各漁協では、定置の不漁から平成27年度決算が赤字となった組合もあるものの、漁業共済等の活用もあり、これまでのところ、計画どおり滞りなく償還しております。
なお、債務超過の漁協では、出資金の増資等によりまして財務基盤が強化され、平成27年度決算では、全ての漁協で債務超過が解消されております。
震災前から繰越損失を抱え、財務状況に余り余裕がない漁協もあることや、本年8月の台風第10号によって、さけ・ますふ化場や定置網等にも被害が生じ、復旧経費による影響も懸念されますことから、県としては、今後もJF経営指導岩手県委員会に参画し、決算状況等を注視しながら、償還財源の確保等についても必要な指導、助言を行ってまいります。
〇工藤大輔委員 漁協も、やはり定置の秋サケの状況の影響が漁協経営に大きくかかわってしまっているという体質があると思います。サケへの依存度をどのぐらい減らせるかということも、漁協の経営がいい方向に向くかどうかということへの大きな指針となると思いますが、そのサケの不漁も続いており、ことしも昨年度に徐々に近づいてきていると見られておりますけれども、今の状況と、今後のふ化への影響についてわかればお示ししていただきたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 11月20日現在のサケの漁獲状況でございます。数量的なものでございますが、尾数的には去年に比べまして82%まで回復しております。先旬が67%ほどでございましたので、ある程度は戻ってきたというところでございます。トン数については77%、金額では102%という状況になっております。
水産技術センターの予測によりますと、やはり10月から11月までにかけては平年よりも相当落ち込むだろうと。ただ、12月になれば平年に近い漁獲状況になるという予測を立てておりまして、最終的には、水産技術センターでは1万2、000トンほどという予想をしているところでございます。
〇工藤大輔委員 来年度の放流数の確保が順調に進むかどうかということと、あとは、台風第10号によって、ふ化場もかなりの被害を受けました。できれば復旧に当たっては、回帰率が高まるような新たな取り組み等も踏まえながら、これまでの課題を解決できるような取り組みもぜひ取り入れてほしいと思いますが、それについてもお伺いします。
あわせて、先ほど漁協の経営についてお伺いしたわけですが、震災前は漁協合併等の議論もあったわけですが、東日本大震災によってこれは凍結されているのだとも思いますが、いずれ、この漁協合併に対する県の考え方についてお伺いします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの放流数でございます。今度の台風第10号の被害によりまして、ふ化場が全く機能しない場合、およそ8、000万から9、000万の放流尾数が減少すると見込まれておりますが、これを補填する意味で、ほかのふ化場に被災したふ化場のある河川から親を運んで、そちらで卵をとって、そちらのふ化場の回転数を若干、無理のない程度には上げまして、それで生産をするということで、およそ4億尾の放流を目指しているところですが、3億7、000万、8、000万尾ぐらいまで、とにかく一生懸命頑張って放流稚魚をつくりたいと考えております。
あとは、回帰率の向上に向けた取り組みということではありますが、やはり健康な稚魚をとにかくつくらなければならないということがございますので、ふ化場の水量に合わせて、とにかくふ化場の水量に合わせた良好な飼育環境で育てること、この飼育方法の徹底を水産技術センターなどが今、巡回して指導しているところでございますので、それらの取り組みによって、適切な飼育環境、そして適切な放流サイズ、そして、時期的なものもしっかりと適切な時期に放流するということで、回帰率の向上を図ってまいりたいと思っております。
〇及川参事兼団体指導課総括課長 漁協の合併につきましてお答え申し上げます。
県漁連等の漁業関係団体が、震災後に設置いたしました岩手県漁業復興・組織強化対策本部では、復興の中長期的な展望として、平成24年12月にJFグループ岩手の復興ビジョンを策定したところでございまして、また、平成25年7月には、ビジョン達成に向けた具体的な実施事項をまとめたアクションプランを策定したところでございます。
この復興ビジョンでは、平成26年度までは震災からの復旧、復興を最優先に取り組み、平成27年度から4年間、平成30年度までで確たる組織基盤の構築を図る方針としておりまして、合併を含めた組織再編に関しましては、地域の実情を踏まえつつ、できるだけ早期に取り組むこととされているところでございます。
県は、これまでも各漁協の経営基盤の強化や自立した経営体制の確立などを目的として、漁業関係団体の主体的な取り組みを支援してきているところでございまして、今後とも、岩手県漁業復興・組織強化対策本部への参画などを通して、復興ビジョン達成に向けたアクションプランの着実な実行や、漁業関係団体の進める組織再編に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
それから、先ほど決算状況の中で、一部お答え申し上げましたけれども、累積ということで後からということでお話し申し上げました。改めて数字を申し上げます。
平成27年度決算時点で当期未処分剰余金、いわゆる剰余金を抱えている団体が24漁協のうち13漁協、これがトータルで7億9、300万円、それから、逆に当期未処分損失金を抱えている団体が11団体で、合わせまして、これは未処分ですからマイナスになりますが9億1、100万円でございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。
では次に、森林組合の経営状況についてお伺いします。こちらも、平成27年度の決算状況の概略についてお伺いします。
〇菊池指導検査課長 平成27年度の森林組合の決算状況でございますが、東日本大震災津波からの復旧に伴う復興需要、それから木材販売の増や森林整備事業の促進によりまして、県内森林組合19組合のうち18組合が、当期剰余金を計上しているところでございます。
そして、当期剰余金の合計は約3億6、900万円で、平成26年度が約3億1、900万円でございますので、約5、000万円増加しているところでございます。
〇工藤大輔委員 平成17年度以降、未処分剰余金が大幅に増加しているものの、未処分損失金は減少幅が小さい状況で推移しているというのが近年の特徴かと思います。それらについて、そのような形で推移している理由と未処分損失金の解消策についてお伺いします。
〇菊池指導検査課長 未処分剰余金が大幅に増加しているものの、未処分損失金を抱える組合の減少幅が小さい理由についてでございますけれども、平成27年度に未処分剰余金を計上している森林組合は14組合でございまして、沿岸部の組合を中心に復興需要があったことや、それから、搬出間伐材等の林産、販売事業を主体とする林産部門への経営転換を積極的に進めていることなどから、収益が大幅に伸びている状況でございます。
一方、未処分損失金を計上している森林組合は5組合でございますが、これらの組合は、林産部門への経営転換がおくれております小規模な組合や復興需要の恩恵が薄い内陸部の組合であることから、損失金が年々減少してきてはいるものの、減少幅は小さいものとなっております。
次に、解消に向けた取り組みでございますけれども、従来の森林整備事業を推進しながら林産部門を伸ばす経営転換をさらに進めるほか、四半期ごとに開催されます組合ごとの経営検討会議に参画いたしまして、県森林組合連合会、それから農林中金等と連携しながら、事業量の確保などを内容とする経営改善計画の策定指導及び策定組合に対する進捗管理の指導、助言を引き続き行ってまいります。
〇工藤大輔委員 木質バイオマスや合板など大型工場の誘致が進んでおります。そういった効果を最大限発揮できるように、これからも注視をしていただきたいと思います。
また、プラスして、県産材をやはりもっと活用しないとならないのではないかと思います。公共施設等でも活用を進める方向ではいるのですが、県の事業で見ると、木材を使っているなという感じの建物等がなかなか見受けられないのが現状であって、市町村の役場であったり、あるいは学校施設にとどまっているのかなとも思います。
県では、表彰制度もつくりながら、その取り組みを加速させようとしているとは思いますが、現在の県産材の活用状況、その評価についてお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 県といたしましては、公共工事でありますとか、あとは公共施設の建設の部分で全庁的な本部をつくっておりまして、その中で目標を定めて、できるだけ県産材を使う取り組みを進めているところでございます。
ただ、委員御指摘のとおり、県として大型の施設を毎年つくるような状況にはなかなかなっていないこともあって、そのあたりで、県民の皆様に見ていただける形でアピールできるようなモデル的な施設がなかなか難しい状況にあるかと思います。
ただ、高校とか、そういったところでも木造や、木を使うということはやっていただいておりますので、そういった形で県民の皆様にも伝わるような形で、県産材利用に努めてまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 やはり森林県岩手にとって、木材をどのように活用しているかということは、民間でもより多く活用できる手法にもつながっていくと思います。
以前聞いた話によると、大型の木造建築の設計者がなかなか岩手にはいないとか、それを使える方々も少ないとか、課題も多いと指摘されていると思いますが、それらも改善しながら、ぜひ県内の設計士にも、大型のものに携われるように、仕事ができるように育成も含めて取り組むべきだと思いますが、最後、それらの思いを聞いて、質問を終えたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 背景的なことを申し上げますと、これから全国的に人口減少が進んでまいりまして、いわゆるA材、優良な材の使い道をきちっと確保していくことが、非常に重要と考えているところでございます。
今お話がございました設計部門の方とか、あるいは、あとは住宅に限らず、それ以外の構造物についても、できるだけ木を使っていただけるような技術を持っている方、設計の方、あとは利用する方とか生産する方、いろいろな関係者の皆さんに入っていただいて勉強会的なものを今年度からやることにしておりまして、そういった形の中で出口を見つけていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 私からは、地域けん引型林業経営体について2点だけお伺いします。これは、森林所有者にかわって、地域単位に生産性の高い森林経営の活動の支援を行うものとされており、林業普及指導員は、森林所有者に対し、技術、知識を普及するものとされておりますが、これまでの成果等をどのように分析されているかお伺いします。
〇佐々木森林整備課総括課長 林業普及指導員は、森林所有者に対し、林業に関する技術及び知識を普及するとともに、森林施業に関する指導を行い、県内の森林資源の循環利用を進め、多面的機能が発揮できる健全な森林の育成を支援しております。本県では、現地機関に39名の林業普及指導員を配置しております。
これまで、林業の生産性を向上させるため、低コスト造林技術の普及、路網整備や作業システムの改善等の普及指導を展開しているほか、原子力発電事故に伴い出荷制限指示が出ている生産者に対して、栽培管理の徹底を指導するなどして、出荷制限の解除を着実に進めるなどの成果を上げております。
〇阿部盛重委員 39人体制ということですが、かなり熟練の方々だと思うのですけれども、その普及指導員の人材育成に関してはどのような形で計画されておるものでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 普及指導員の資質向上という御質問でございますけれども、林業技術センターにその普及指導員全体の資質向上を担っているような部署がありまして、そちらで普及指導員を対象、あるいは普及指導員も含めながら、一般の林家の人たちなども参加できるような研修を企画して、いろいろとそういう資質向上を行っております。
キノコの研修ですとか、最近では、松くい虫などのいろいろな森林病害虫関係が問題になっていますので、そういうところの現地での指導の仕方とか、見分け方とかという研修、あるいは放射性物質のいろいろな検査が現場ではすごく求められておりますので、そういうもののやり方みたいなものの研修を最近では行っております。
〇阿部盛重委員 わかりました。
森林の整備と森林の人材育成に関しては、千葉委員と重複しておりますので省きます。
森林は、木材の生産性だけでなくて、建物、紙、発電などの材料、土砂崩れ防止、空気をきれいにするなど多くの恩恵を受けておりますけれども、伐採した後は、なかなか幼木等が生えてこないということで、森の土壌が流されないようにするための対策等はどのような形で考えておりますでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 伐採跡地等の土砂の流出対策でございますけれども、県では、平成12年に伐採等に係るいろいろな基準を定めまして、1伐採区域の面積はできるだけ小さくするですとか、あるいは分散的に伐採するとか、あるいは傾斜が急な場所での作業道の開設を控えるというようなことを指導しまして、下流への土砂の流出防止に配慮した森林施業の実施について、関係団体や出先機関を通じて繰り返し周知を図ってきております。
また、伐採跡地への計画的な造林については、森林所有者や森林組合等に対する技術的な指導を行うとともに、助成制度を活用した適切な森林整備を支援してきたところであります。
今後とも、森林所有者、林業関係者と一体となって適切な森林施業を行い、災害に強い森づくりに取り組んでまいります。
〇阿部盛重委員 災害対策上、大変大事なことでございますので、よろしくお願いいたします。
次に、木質バイオマスエネルギーの熱利用についてお伺いします。
今後、バイオマスエネルギーの利用の導入を考えている事業所には、コーディネーターの派遣をされますけれども、現状の課題と今後の計画についてお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 県では、平成21年度から、大学の研究者や燃料製造の技術者等の専門家の方に木質バイオマスコーディネーターになっていただきまして、チップボイラー等の導入を検討している事業者への技術指導でありますとか、興味関心がある方への普及啓発を目的としたセミナーの開催等に取り組んできたところでございます。
チップボイラー等の熱利用機器は、燃料の安定確保、それから、熱需要にマッチした機種選定など専門知識が必要とされること、あとは、重油ボイラーよりも初期投資が高額であるといったことが導入上の課題となっているところでございます。
こうした課題はあるものの、今年度以降につきましても、県内の小学校でありますとか宿泊施設等で、チップボイラー等の導入が検討されているといった状況でございます。
〇阿部盛重委員 コーディネーターのお力もかなり大きいと思います。今後の計画もあるでしょうけれども、コーディネーターの人員は十分に足りているものでしょうか。
〇佐々木林業振興課総括課長 今、コーディネーターとして3名の方にお願いしているところでございまして、今年度(後刻「昨年度、平成27年度」と訂正)の実績を申し上げますと、技術指導をしていただいた回数が7回、あとは、セミナーで御講演いただいたのが4回といった形で、地域のニーズに応じた形で対応しているところでございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。
次に移ります。一般家庭や産業分野にも熱利用の促進もされておりますけれども、岩手型ストーブやボイラーの導入なども取り入れるところが多くて、ここは数年前の数字ですが、ペレットストーブが1、767台、ペレットボイラーが53台、チップボイラーが30台ということで着実に増加していると聞いておりますけれども、今後の導入状況の分析と普及対策はどうなっているかお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 今、お話を頂戴した台数の最新の状況でございますが、平成27年度末までに県内で導入されましたペレットストーブは累計で1、884台、それから、ペレットボイラーは57台、チップボイラーは48台ということで、いずれも着実に増加してきているところでございます。
今後も引き続き、セミナーの開催等によりまして、多くの県民の皆様に木質バイオマスエネルギーの熱利用に御関心を持っていただくとともに、事業者の皆様に対しては、コーディネーターによる技術指導や国庫補助による施設整備への支援を行いまして、台数の増加に取り組んでいきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 わかりました。いずれ、注目されている事業でございますので、よろしくお願いいたします。
それから、森林づくり県民税につきましては、飯澤委員と重複しておりますので飛ばします。
治水対策についてお伺いします。
洪水や土砂崩れ防止の観点から、緑の回復、復元に向け、上流域における森林整備をどのように進めていかれるのかお伺いします。
〇佐々木森林整備課総括課長 県では、洪水や土砂災害防止などの森林の多面的な機能を十分に発揮させるため、森林整備に取り組んでおります。
そのため、森林経営計画の作成を促進し、計画的な森林整備を進めながら、広葉樹林では天然力を活用した更新を図るとともに、針葉樹林においても、速やかに再造林が行われるよう、伐採から植林までの一貫作業や低密度植栽、コンテナ苗の活用など、低コスト化を進めるなど着実な森林整備を促進してまいります。
〇阿部盛重委員 いずれ復元には50年以上の年数がかかるということでございますので、次の世代にかかわってきますので、よろしくお願いいたします。
最後に、山林所有者の相続などに起因する山林の分割が進展した場合に、山の管理者が多くなりまして、管理が行き届かなくなるという問題も出てくるかと思います。土砂災害対策上、支障を及ぼす可能性があると思いますけれども、これらも含めて対処法についてお考えがあればお伺いします。
〇佐々木森林整備課総括課長 相続対策でございますけれども、平成24年度の森林法改正によりまして、新たに森林の所有者になった場合には、市町村へ届け出する制度が創設されておりますことから、市町村や関係団体と連携して制度の周知に取り組み、相続後の森林所有者の把握に努めております。
また、小規模な森林所有者でも、森林所有者みずからが森林経営や管理が困難な状況にあることから、県では、森林所有者にかわって、地域単位に生産性の高い森林経営を行う地域けん引型林業経営体の育成に取り組んでおり、こうした森林所有者を取りまとめて、森林整備が適切に行われように取り組んでおります。
さらに、間伐等が適正に実施されずに、早急に間伐等を実施する必要がある森林については、市町村が森林所有者に施業の勧告を行った上で施業を実施できる制度もあり、これらの制度を組み合わせながら、適切な森林の整備を進めてまいりたいと思います。
〇阿部盛重委員 わかりました。いずれ、先ほどの答弁もありましたけれども、私たちの暮らしに欠かせない多面的な機能を有しておりますし、安心・安全な暮らしへの影響が大きいと思いますので、森林づくりを支える仕組み、取り組みの成果がより一層高まるようお願い申し上げて、終わりにします。
〇佐々木宣和委員 まず、原木シイタケに関して伺います。
原発事故の風評被害によって、一時取引価格が5分の1ぐらいまで下落して、廃業する農家もいたということを聞いておりますけれども、5年半たちましたが、価格と出荷量についてどのぐらい戻ったのかというところを伺います。
〇佐々木林業振興課総括課長 平成27年の原木シイタケ出荷量につきましては、事故後の植菌数の減少でありますとか、あと、ことしは春先の高温、乾燥の影響がありまして、83トンということで、震災前の約4割の水準にとどまっているところでございます。
それから、価格につきましては、震災前の平成22年が4、564円という水準でありまして、その後、大幅に下落したところでありますが、平成27年には約4、700円ということで、震災前を上回るところまで何とか回復してきている状況でございます。
〇佐々木宣和委員 出荷量は4割ぐらいにとどまっているところですけれども、価格は戻ってきたというところで、なかなか全て戻していくのは難しいのですが、粘り強くやっていただきたいと思っております。
この風評被害にあわせて、先般の台風第10号で、岩泉町の農家では大変な状況にある生産者もいると聞いております。まず、岩泉町における原木シイタケ生産者の被害の状況はどのようになっているのか、また、県は、このような生産者に対してどのように対応してきたのか、さらに、今後どのように支援していくのか伺います。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、岩泉町の原木シイタケ生産者の被害状況でございますけれども、町内のシイタケ生産者のうち11名の方が被災されて、被害額は約6、340万円となってございます。
それから、被害の具体的な内容につきましては、シイタケほだ場の浸水によるほだ木の流出が約3万3、000本、それから、シイタケ乾燥機や散水施設等の施設機器の浸水による損壊といったものが出てございます。
次に、生産者の方に対する対応、今後の支援ということでございますが、県では、岩泉林務出張所に生産者の生産活動の継続あるいは再開に向けた相談窓口を設置したほか、林業普及指導員が生産者の方を個別に訪問し、被害状況の早期把握に努めるとともに、泥水をかぶったほだ木を再生するための指導にきめ細かく対応してきたところでございます。
今後につきましては、被災した生産者のニーズをきちっと把握した上で、国の補助事業でありますとか、県のしいたけ等特用林産振興対策事業がございますので、こういったものを活用し、ほだ木造成を支援するなど、被災シイタケ生産者の生産継続に向けて、引き続き関係機関、団体と連携しながら、一日も早い産地の復興を目指してまいります。
〇佐々木宣和委員 きめ細やかに丁寧に対応していっていただきたいと考えております。
次に、森林環境税について伺います。
20日の岩手日報にも載りましたけれども、政府・与党は、2017年度税制改正で、市町村の森林整備財源に充てる全国共通の新税導入に関して議論を始めると。現状、岩手県もやっておりますけれども、37府県と横浜市において独自に課税しているものでございまして、この国税の新税は、温暖化対策や国土保全の安定財源として林野庁がずっと求めてきたものでございますが、与党内では、国税として集めて、森林面積などに応じて市町村に配分し、間伐などの費用に充てるといった案があるようでございますけれども、岩手県のような森林面積が広大な地方のためには、非常に意味のある国税になると考えております。また、森林整備による安定財源というだけではなくて、人ではなくて面積割というところで、これも非常に大きいのではないかと思っているところです。
この国税への流れに関してどう捉えているのか、所感を伺います。
〇佐々木林業振興課総括課長 県では、国に対しまして、地球温暖化対策等において重要な森林の整備、保全を確実に実行するため、地方の裁量で使用できる国の全面的な支援制度となるように、これまでも要望しているところでございます。
農林水産省では、ことし8月に明らかになりました平成29年度税制改正要望におきまして、市町村の役割を強化して継続的かつ安定的に森林整備等を進めるための仕組みとして、地方自治体等の意見も聞きながら検討するとされてございますので、引き続き、国の動きを注視してまいります。
〇佐々木宣和委員 国税になっていくやもというところで、岩手県が先行してやっている事業でもございますので、きちんと数字をつくっていくことが重要なのかと思っております。
森林環境税の中身に関しては、飯澤委員からも質問がありましたので、飛ばしまして、間伐も飛ばして、皆伐の状況を伺います。今、皆伐したものの中で再造林がどのぐらいやられているのかという割合を伺います。
〇佐々木森林整備課総括課長 皆伐の状況と再造林の状況ということでございますけれども、平成26年度の針葉樹の伐採面積は1、974ヘクタールになっております。それに対しまして、平成27年度の再造林面積は659ヘクタールとなっておりまして、再造林率は約3割となっております。
〇佐々木宣和委員 3割にとどまっているということで、循環させていくためにも、再造林にきちんと取り組んでいく必要があると強く思っているところでございます。
次に、林業アカデミーに関しては千葉委員からも質問がありましたけれども、結局、林業アカデミーができて、その受講した方が、県内の林業事業者へ就職するというところで初めて林業アカデミーの意味ができるものと思っております。先ほども多少答弁があったかと思いますが、林業事業者との調整状況といいますか協議状況を伺いたいと思います。
〇佐々木森林整備課総括課長 今ちょっと最後が聞き取れなかったのですが。もう一度、済みません。
〇佐々木宣和委員 要は、林業事業者と就職に関してどのような協議をしているのかという状況を伺いたいと思います。
〇佐々木森林整備課総括課長 就職先ということでは、来年、本格的に研修が始まってまいりますけれども、その研修の中で、いろいろな事業体に職場体験という形で、ある意味マッチングを兼ねたような形の研修を行うこととしております。
そういう中で、そこにもう就職すると決めるものではありませんが、いろいろな職場を経験しながら、あるいはいろいろな職場に対しても、センターでも積極的に足を運んで、就職できるようないろいろな環境をつくっていく取り組みを行うこととしております。
〇佐々木宣和委員 本当に林業アカデミーにはすごく期待しているところなのですけれども、就職して、その若者が林業者になって初めて意味があると考えておりますので、きちんと取り組んでいただきたいと思います。
これに関連して、若者の1次産業への就労ということを考えたときには、林業だけではなくて、漁業も、農業も、1次産業のいろいろなメニューがあったほうが、選択肢が広がることによって興味の幅も広がると考えております。実際、沿岸の人たちの生活感を考えると、林業だけやっている人はすごく少ないと思っていまして、漁業も農業もやる方が多い。漁家の場合ですと、漁業の合間に畑で働いて、山のほうも、ほとんどの方が所有者になって林業にもかかわっているといったところで、特に、魚つき保安林の存在感を認識している事業者もいると思われます。
結局、生活感を感じ取るためにも、いろいろなメニューがあったほうがいいですし、実際、初めて1次産業をやってみようという若者に対しても、農業も、漁業も、林業もいろいろなメニューがある、選択肢もあるというところでシナジー効果が出てくるのではないかと考えておりまして、農林水産業を一体的に考えて、若者の1次産業就労というものを考えていく必要があると考えておりますけれども、所感を伺います。
〇中村農林水産企画室企画課長 農林漁業従事者の減少あるいは高齢化が進む中で、やはり次代を担う若者を1次産業の担い手としてしっかりと確保していく必要があると考えております。
このため、県では、岩手県U・Iターンフェアあるいはいわて就職面接会を開催いたしまして、県内の農業法人、また岩手県新規就農相談センター、また岩手県林業労働力確保支援センター等がブースを一緒に設けまして、就労希望者へ直接アピールすることにより、若者の1次産業への就労に結びつけているところでございます。
今後とも、農林水産業の各分野の枠を越えまして、1次産業が一体となって、就労確保に向けて積極的に取り組んでまいります。
〇軽石義則委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐々木林業振興課総括課長 先ほど阿部盛重委員の御質問の中で、私、木質バイオマスコーディネーターの活動実績を申し上げたところでございますが、今年度ではなくて昨年度、平成27年度の実績でございました。昨年度実績が、技術指導回数が7回、セミナー、講演等が4回ということでございました。
おわびして、訂正させていただきます。
〇工藤勝博委員 私から大きく二つの点についてお伺いいたします。
一つ目、林業についてですけれども、林業振興ということでありますが、林業の担い手、そして高齢化が進んでいるという中で、高性能林業機械の設備導入という事業がありました。それらの導入の状況をまずお聞きしたいと思います。
〇佐々木森林整備課総括課長 高性能林業機械といいますのは、1台で伐採や玉切り、積み込みなどの多工程の作業を行うことができる林業機械の総称であります。県内では、平成元年度に2台が導入されて以降、年々増加しておりまして、平成26年度末現在では228台が県内に導入されております。これは、林業生産性の向上や労働負担の軽減に大きく貢献しております。
〇工藤勝博委員 全国的に見ますと、平成26年度ですが7、000台以上入っているという資料があります。県内でも228台ということで、まさに人手不足を補う高性能な機械だと思います。1台で8人から10人分の仕事をするということなわけですけれども、その機械を活用して伐採、先ほど佐々木委員の質疑で伐採面積、皆伐1、974ヘクタールというのがありました。それらを実際活用されている面積をもし把握しているのであれば、お聞きしたいと思います。
〇佐々木森林整備課総括課長 どれだけの面積が高性能林業機械を使って伐採しているかという詳しいデータは、持ち合わせておりません。
〇工藤勝博委員 いずれ現状の中で、どんどん木は育っていると。ことしからですか、去年からですか、合板工場も稼働する、あるいはまた、木質バイオマスの発電所もふえてくることになると、木材の需要がどんどん高まってくると思うのですね。それに対応した人材あるいはこういう機械を投入しないと、それに追いついていけないということだろうと思います。そういう中でも、積極的に機械に頼るということも変ですけれども、それしかないのだろうと思います。
それとあわせて、岩手県の場合、特に平地ではないので、かなり急傾斜なり、あるいは人が入るのも大変なところからも伐採しなければならないということもあります。それらも含めて、これからどういう形でその導入を図っていくか、お聞きします。
〇佐々木森林整備課総括課長 現在、すごく高性能林業機械の導入が進んでおりますので、伐採されている現場のかなりの部分は、切る部分は、さすがに人が切るほうが効率がいいので人が切っていると思いますが、その後の造材したり、枝払いをしたりというようなところには、プロセッサーというような機械が使われております。
そういうことで、林業をこれから進めていく上では、特に素材生産をやる上では機械はどうしても必要ですので、来年度から始まる林業アカデミーでも、1年間の研修カリキュラムの中には、そういう機械を全部使えるような資格を与える形でカリキュラムを組んでおります。うちの林業技術センターは、実際に自分たちで全ての機械を持っておりますので、そういう意味でも、ほかの県よりも実習を重視したような研修ができるかと思っております。
機械の導入につきましては、最近はいろいろな補助事業がありまして、森林整備課、林業振興課それぞれから、今の素材生産の需要が高まっているものに対して対応できるように、従来では、協同組合組織にしか機械の導入に補助できなかったのですが、最近では、個人の林業事業体でも補助の対象になるという形で事業が拡充されておりまして、大分そちらの補助で機械が入るようになってきております。
〇工藤勝博委員 幸いにこの高性能林業機械は、岩手県のメーカーが全国の圧倒的なシェアを持っているということ、身近にそういう企業があるということは本当にすばらしい条件だと思います。それらの技術も使いながら、先ほどの林業アカデミーでもそういうカリキュラムを組むと。まさに私は、そこも後で言いたかったのですよ。というのは、若いときに、我々は田植えは手でやったわけ。稲刈りも全部手。それが、間もなくコンバインとか、そういう機械が入ったからこそ、若い人も意欲的に取り組めたことなのです。ですから、来年度からのアカデミーには、ぜひその高性能の機械を生徒一人一人が十分活用できるようにカリキュラムを組んでほしいと思います。
次に、再造林の話は何人かの委員からありました。再造林がなぜ大事かというと、やっぱり切ったまま放置すると、それこそ資源の枯渇になります。岩手県の場合、アカマツ、カラマツが大変多いわけですけれども、それらを造林しなければ、次の世代、50年後、100年後は使えないということになるんだろうと思います。
造林が30%ということがありますけれども、それらの再造林ができないのは、切って、販売して、その収益で造林までお金が回らないというのが一番の原因だろうと思います。それらをどういう形でか補ってやらなければ、なかなか造林計画も進まないんだろうと思いますけれども、今後はどのようにお考えなのでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 再造林の推進に当たりましては、まず、森林所有者の負担軽減を図ることが重要と認識しております。そのため県では、低密度植栽の促進ですとか、コンテナ苗の活用、あるいは伐採から植栽までの作業を一貫して行うような作業システムを普及しまして、再造林コストの低減を図るように取り組んでおります。
それから、本年7月ですけれども、林業関係団体で構成する岩手県低コスト再造林促進協議会が設立されておりまして、民間団体による再造林支援策の検討を現在進めております。来年度は、基金をつくったような形で再造林を支援する仕組みが動いていくこととしております。
今後、これらの取り組みによりまして、国の森林・林業基本計画の目標である再造林率6割を目標として、関係機関、団体と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 再造林を進めるには、やっぱりそういうコスト的な面を含めて、いろいろな形の支援があると思います。先ほど、国に対してもいろいろな要望をするということがあります。林業団体でも積極的に協議会を設けて取り組むということがあります。
その中で、先ほどのいわて森林づくり県民税も活用できないのかというお話もあるんですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
〇佐々木林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税につきましては、その導入する目的が、森林環境を保全することが一番の目的ということで県民の皆様の御理解をいただいて、それから、県議会議員の皆様の御理解をいただいて制度ができたということがございます。
したがいまして、いわゆる経済行為で伐採をして、それに新たな造林をするという部分につきましては、環境保全施策とは相入れない部分があることもあって、現時点においては、なかなか難しいかと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 難しいと言わず、有効な活用がこれからの森林政策に求められていると思うので、枠が決まっていますからということじゃなく、再造林して環境を守るんだということも一つの手だと思うので、ぜひその辺は考慮していただきたいと思います。
あと、通告していました林道の整備についてですけれども、先ほどの高性能機械が入るためには、当然、林道もある程度の規格の林道が必要だろうと思います。その辺はどのようにお考えでしょうか。先ほど4、500キロメートルは整備できましたと。これからの山に入るための林道だと思います。従来の道路じゃなく、新たに伐採したりするための林道が必要だろうと私は考えるのですけれども、その辺はこれからどう捉えていくのでしょうか。
〇漆原森林保全課総括課長 まさに委員がおっしゃるとおりでございまして、現在、岩手県の道路の密度は16.6ですが、15度から30度の斜面のような場所では、国が示している整備水準がございまして、高性能林業機械を十分使えるだろうという数字が1ヘクタール当たり25メートルから40メートルぐらいになってございまして、まだ足りないという状況になってございます。
整備目標についても、それらを目指して、先ほど御説明したとおり、重点的な場所を決めまして、そういう地域が今説明しました密度に達するように、重点化して整備を進めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 ぜひ積極的に取り組んでほしいと思います。
次に、水産振興についてお伺いいたします。
水産資源の議論がありました。サケ、マス、そしてイカが大分不漁だということがあります。先ほど漁協の経営の状況も話がありました。私は、漁協の経営もそうですけれども、水産加工の皆さんが、資源がなければ、これからもう成り立たなくなるのだろうと思います。その水産資源を岩手県でどう確保するのかお伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 新たな資源の確保ということの取り組みでございますが、非常に重要な課題でございます。県としましては、これまで、サケあるいはヒラメの稚魚を生産して放流するという栽培漁業に取り組みまして、水産資源の造成に努めてきたところでございます。
しかしながら、震災津波がございましてサケの稚魚が非常に減少してしまったこと、あるいは近年の海況の変動、沖合の水温が非常に高くなって、今までとれていた魚種が沿岸ではなかなかとれず、沖合のほうまで行かなければとれないという状況がございます。そういう状況の中で、やはり新しい魚種、この資源をつくって水揚げをしていくことが非常に大事なことだと思っております。
このため、海面漁業におきましては春先が非常に重要視されておりますし、また、内水面においても、河川での遊漁の対象となりますサクラマスについて、今、若干試験的に進めているところでありますが、本格的に何とかその生産を伸ばしていきたいということで、漁業関係団体とも今協議をしております。それらの資源造成をこれから図ってまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 岩手の場合は、特にも育てる漁業、養殖も大変盛んなわけですけれども、先ほどお話がありました、漁船漁業、なかなか資源の関係で、私から見るとかなりじり貧になっているなと。サケの回帰率も毎年のように議論されています。これは抜本的な対策があるのかないのか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。
次の項目で私は提案したいと思っていましたが、内水面水産技術センターの機能、実際、平成27年度の予算を見ますと、補正予算を含めて8、450万円なのですね。ほぼ人件費と委託費なんですよ。何をやっているのか全然見えない状況です。そしてまた、現状を見ると、施設も大分老朽化していますし、一体これからどうなるのだと案じていました。
先ほどのサクラマスはヤマメですから、内水面で養殖して放流するということになれば、必ず戻ってくるだろうと。サケより回帰率が高いのではないかと思いますけれども、その辺を含めて、内水面水産技術センターのこれからのことをお聞きします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 内水面水産技術センターについてでございます。内水面水産技術センターでは、本県の内水面漁業に関する振興に向けまして、内水面での養殖あるいは資源の増大、それから種苗生産技術の試験研究、あるいは養殖用ニジマスの種苗生産、配布なども行っておりますし、また、養殖業者の方々が抱えます魚病の調査研究、養殖業者への養殖指導などを行っているところでございます。
現在、先ほど申しましたサクラマスを大量に河川に放流し、そうすることによって海域でも内水面でも漁獲できる体制をつくりたいと思っておりまして、内水面水産技術センターでまず親を育成いたしまして、そこから卵をとり、稚魚に育てて放流するための試験研究を実際に手がけているところでございます。現在、内水面にも海にもふ化場がございますが、サケのふ化場でもサクラマスの稚魚をつくることができます。研究の成果を、そういうところに技術を移しまして、これから大量の稚魚の放流をしていきたいと考えております。また、内水面水産技術センターでも、河川に放流した後、海に行って河川に帰ってくる、そういう回帰率の向上などについても試験研究をしていくことにしております。
いずれにいたしましても、今後、海と内陸の関連性のある魚種についてさまざま研究をいたしまして、その振興に努めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 私も近畿大学のマグロの養殖を見てきました。まさにこれからそういう形での生産が求められてくるのだろうと思います。海洋に行って大量に漁獲する他国の船と競争するのもいいけれども、やはり県内なら県内でそういう水産資源を確実に発展させることもこれから大事になるだろうと思います。特にも1次産業は、気象条件あるいは災害との闘いでもあります。それらも含めながら、身近な、もっともっと可能性のある分野で頑張ってほしいと思います。
部長、何か考えていることがあればお聞きしたいと思います。
〇紺野農林水産部長 確かに農林水産業は自然に左右される産業でございますので、できるだけ自然と競合しない部分でのやり方といったところもあろうかと思います。そういったところを伸ばしていきながら、バランスよく農林水産業が発展、振興するように私どもとしては取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 農林水産業における岩手のお国自慢、全国シェア1位を誇る生漆、日本短角種、ホップ、養殖ワカメ類、木炭、アワビ類、これらはみんな全国シェアが第1位で、いわゆる日本一でございますけれども、これらの日本一の座は揺るぎないのか、現状と課題についてお伺いいたします。
〇中村農林水産企画室企画課長 まず、現状についてでございますが、公表されております生産量等の全国シェアで申し上げますと、生漆につきましては全国シェアで約7割、短角牛、ホップにつきましてはそれぞれ全国シェア約5割、養殖ワカメ類につきましては約4割、木炭は約3割、アワビ類は約2割で、いずれも品質の高さ、あるいはおいしさが市場あるいは消費者から高く評価をいただいている状況にございます。
一方で、課題といたしましては、生産者の高齢化あるいは担い手不足もございまして、生産量が減少傾向にあることでございます。生産量の維持向上に向けた取り組みの強化が必要であると考えております。
〇五日市王委員 生産力の維持向上は大きな課題だと思います。きょうは林業のほうで生漆と木炭についてお伺いいたしますが、生漆は、文化庁で国宝とか文化財関係の修復には国産の漆を使いましょうということで平成27年度からそういう動きが出ていますので、需要は高まってきております。木炭も、震災後、電気やガスが使えなかったので少しそういう意味ではふえたとか、近年ではアウトドアブームや炭火焼き関係の料理店がふえたこともあって、多分需要は拡大の方向にあると思います。
しかしながら、先ほどもお話しいただいたように、生産者の皆さんは、低収入と、生産者、後継者不足あるいは原木の確保難といったことがありまして、生産が縮小傾向にあります。これまでの対策と今後の取り組み策についてお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 生漆と木炭につきましては、本県の県北地域などの振興を図っていく上で重要な品目であると考えております。また、生産現場を担う後継者等の育成と、それから、今、原木というお話がございましたけれども、生産に必要な資源の確保が必要、この二つが大きな課題と認識しているところでございます。
生漆につきましては、二戸市では国の地域おこし協力隊制度を活用して漆かき職人の育成に取り組んでいると伺っておりまして、県では、地域経営推進費を活用しまして漆資源量の調査や国の補助事業による漆林造成への助成を行いまして、将来にわたって必要な漆林が確保されるように支援しているところでございます。それからまた、現地機関では、漆林の除伐、間伐作業や漆かきが終わった木の萌芽更新作業などの保育管理の研修会をやってございます。
それから、木炭につきましては、県木炭協会と連携いたしまして、製炭技術の普及指導を行う製炭技士の養成や木炭品評会の開催を通じた技術研さんなど製炭技術の伝承、向上に取り組むとともに、原木の安定確保を目的とする連絡会議を開催いたしまして、木炭原木の確保に向けた情報共有に取り組んでいるところでございます。
引き続き、二戸市や関係団体と連携いたしまして、県産生漆や木炭の生産振興に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 今、御答弁いただいたようにいろいろやっていただいているようではございますけれども、やはり現場は、人材育成、後継者不足に関して、非常に県の取り組みが鈍いのではないかと思っております。例えば文化庁は─これは教育委員会の関係もあるかもしれません、きのうもちょっとお話しさせていただいたのですが、いわゆる文化財保存技術の伝承という観点でいろいろな補助事業も組んでいるようでありますし、林野庁も、これと連動しているのでしょうが、国立研究開発法人森林総合研究所を核とする研究グループが、農林水産省の技術開発予算を使って、今年度から3年間、漆文化継承のため、国産漆の増産、改良、利用、技術開発の研究も始めているようでございます。国もいろいろこういった支援を行っておりますが、では、県単ではどうなんだという感じもしないではありません─国の事業を使ったりということで。ここは、やはり国もそういうふうに取り組んできていますし、市町村も細々とですがいろいろ頑張ってやっています。しかも、この二つに関しては日本一です。だから、先ほど、いろいろ米とかほかの園芸品、果物なんか日本一を目指す、これはこれでいいです。だけれども、今ある日本一をきちんと守っていくという視点も私は非常に大事だと思います。
そこで、例えば県単で─プロジェクトNもいいのですが─日本一応援プロジェクトとか日本一を譲らないプロジェクトといったものを立ち上げて、全庁的な支援体制を構築してこの解決に取り組んでいくべきではないかと考えるのですが、見解をお伺いいたします。
〇中村農林水産企画室企画課長 日本一の応援プロジェクトという御提言がございました。日本一の生産量を誇ります生漆、木炭、ワカメ、アワビにつきましては、先ほども答弁しましたとおり、県北・沿岸振興の観点からも非常に重要な品目であると認識しております。
これらの品目のうち、生漆、木炭の取り組み状況につきましては先ほど林業振興課総括課長から答弁申し上げたところでございますが、このほかの品目につきましても、これまで、関係機関、団体と連携しながら、機械や施設の導入支援による経営基盤の強化、あるいは生産技術のノウハウの継承等による人材の確保に取り組んできたところでございます。また、対外的な売り込みという部分で、部局横断的に取り組んでおりますいわてまるごと売込み推進本部等と連携しながら、大都市圏でのプロモーション活動を展開するなど、県産農林水産物の幅広いPRに取り組んでございます。
今後におきましても、引き続き、庁内関係部局とも十分に連携を図りながら、オール岩手の支援体制のもとで取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 確かに農のほかの分野には国の制度も県の制度もいろいろあります、県単のいろいろな事業が。新規就農給付金も国の事業ですけれども、例えばこういったところが木炭の生産者、漆職人に使えるかといえば、そうでもないわけです。そういったこともあります。
先ほど県北・沿岸振興とおっしゃいましたけれども、今言った六つのうち、ホップは別としてもほかの五つはほとんど県北・沿岸が主力でやっているわけです。だから、やっぱり県北・沿岸振興をもっと本気でといいますか、この辺をきちんと打ち出すことによって生産者のモチベーションも上がってくると思うのです。その辺はどうですか、紺野部長、やってみる気はないですか。
〇紺野農林水産部長 大変すばらしいアイデアを頂戴いたしました。日本一を目指すというのはよくあるんですけれども、我が岩手県で日本一というのが実はいっぱいある。こういったところを死守いたしまして、さらに拡大につなげていく、そういう発想のもとに取り組んでいく分野と思いましたので、アイデアを頂戴したということで、今後、取り組んでまいりたいと思った次第でございます。
〇五日市王委員 もう一つ、林業従事者、特にも若者の人材育成について、今年度取り組んでいる林業アカデミー、先ほど来御質問がありましたからいいですが、この林業アカデミーに入った生徒は木炭や漆といったものを研修したり、あるいはそっちの方向に行く人が出てくるような可能性があるのかどうかひとつ教えていただきたいのと、チェーンソーの技能を競う日本伐木チャンピオンシップで本県二戸市出身の工藤健一さんが準優勝いたしまして、林業のオリンピックと言われる世界大会に出場いたしました。県勢初の快挙でございます。この結果と意義をどのように捉えているのか、最後にお伺いして終わります。
〇佐々木森林整備課総括課長 来年度から始まるいわて林業アカデミーで漆職人みたいな人を養成できないかという御質問だったと思いますが、漆職人を目指すようなカリキュラムという形にはなりづらいので、総体的には漆職人という形のものにはなりづらいものがあります。ただ、カリキュラムの中には、漆の生産とかそういうところを研修する講座も若干は見ております。インターンシップですとか、年に何回か職場体験みたいなことができる期間が結構ありまして、そういう時期をうまく活用して、その時期時期に漆の勉強に行くことは可能ではないかと思います。いずれ、例えば森林組合とかに就職している中でも研修を受けることもできますし、仕事をしながら研修したり、あるいはそういう時期をうまく使って漆の勉強をすればこちらのほうでも研修はできると思います。
それから、二つ目の伐木チャンピオンシップの件であります。
今年度で第2回になりますけれども、日本伐木チャンピオンシップが青森県で行われたものでございますが、二戸市の工藤健一さんが準優勝ということで、9月にポーランドで開催された第32回世界伐木チャンピオンシップに日本代表として出場されました。大変名誉なことと認識しております。
世界伐木チャンピオンシップにつきましては、ヨーロッパ各国から27カ国が参加する由緒ある大会であり、アジアから唯一、日本が出場している国でございます。今回の大会で、国別対抗リレーという丸太切りのリレーがあるのですが、そちらのほうでは、28チーム参加した中で、見事第6位に入賞しております。大変すばらしい成績を上げていると思っております。
このようなことは、日本の林業技術の高さを示すとともに林業の認知度向上とイメージアップにつながり、林業への就業を目指す若い人たちに希望を与え、県内の林業従事者の目標となるものであり、大変意義があるものと認識しております。
〇福井せいじ委員 今の五日市王委員の漆について、若干関連でお聞きします。
まず初めに、日本の文化財は全て国産の漆でやっていこうということで、全て国産漆でやっていく場合、岩手県の今の漆の生産量を大体どれくらいにすべきかという目標があるのかということと、それから、その際、職人の人数はどれくらい必要になってくるのか。そしてまた、その職人が生業としてそれを続ける場合、収入の問題があると思うのですけれども、どのくらい収入があればやっていけるのか。そういった数字の目標がなければやはり日本一というのは維持できないと思うのですけれども、そこら辺、県としてどう捉えているのか、もし捉えているのであればお聞かせいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 今のお尋ねにつきましては、漆の生産振興に本気で取り組むのであれば、きちっとシミュレーションをやった上で計画的にやっていくべきだという御趣旨のことかと思っております。
現時点におきましては、県としてそういったものはつくっていない状況にございます。関連してというお話になるのですけれども、ことし10月に二戸市が主催いたしまして1回目の漆連携推進会議が開かれたところでございます。この構成メンバーとして、二戸市を初め、国の森林総合研究所、それから県の関係課、それから地元の現地機関が出席して、今後の連携体制の構築につきまして情報交換を始めたという段階でございます。
今お話がありましたさまざまな課題があるわけでございまして、今申し上げた漆連携推進会議という場面も活用して、地域のニーズをしっかりつかんで必要な支援を検討してまいりたいと考えております。
〇福井せいじ委員 先ほど五日市委員からもありましたが、漆といえば海外ではジャパンと言われている。それが岩手県で日本の国産漆のほとんどが生産されているとなればジャパンイコール岩手に結びつくわけでありまして、私は、これは誇るべき産業であり、そしてまた、これからも大切にして伸ばすべき産業であると思います。そういった意味では、二戸市、そしてまた国だけではなく、県としてしっかりと育てていくべき産業ではないかと思います。もしかしたら今は小さい金額、量であるかもしれませんが、この可能性は非常に大きい。世界に通ずる可能性があるということで、ぜひとも具体的な目標を持ってこれに対して取り組んでいただきたいと思っております。
全ての文化財を国産で賄うには年間2トンくらいの量が必要ではないかと言われております。そしてまた、職人の人数ですけれども、これもやはり2倍から3倍要るのでないかと言われております。そしてまた、その人たちが生業として仕事を続けていくためにはどれくらいの収入が必要なのか、こういったことをしっかりと把握しないとこれは県の産業として進めることができないと思いますので、ぜひともそういった具体的な展開策を持って取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、大震災津波からの漁業、水産業の復興状況についてお聞きいたします。
大震災津波からの復興状況で、生産量、生産額、漁業就業者、漁協の復興状況はどうなっているでしょうか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 生産量、生産額、漁業就業者につきましては私から、そして、漁港の復旧状況については漁港課長からお答えをさせていただきます。
平成27年度、県内の産地魚市場の水揚げ量は約11万4、000トンでございまして、震災前3カ年の平均と比較しますと64%になっておりまして、金額では約199億2、000万円、これも比較しますと85%となってございます。
また、養殖業につきましては、平成28年度─ことしのワカメの生産量は約1万4、900トンでございまして、金額では約36億5、000万円でございます。震災前と比較しますと、生産量で67%、生産額で87%でございます。昆布につきましては、生産量で約5、200トン、生産額で約8億4、000万円、これは、比較いたしますと、生産量で46%、生産額で56%でございます。ホタテガイにつきましては、ことし10月末現在の生産量は約2、000トン、生産額は約8億3、000万円でございまして、震災前同期と比較いたしますと、生産量で55%、生産額で88%でございます。また、カキにつきましては、9月末現在のむき身の生産量は約31トンでございまして、震災前同期と比較して91%となっているところでございます。また、採貝藻漁業については、平成27年度のアワビの漁獲量が292トン、金額で約29億円でございます。震災前と比較いたしますと、生産量で85%、金額で126%。それから、ことし8月末現在でウニの漁獲量は97トン、金額で約8億円でございます。震災前同期と比較しまして、それぞれ81%、107%となっております。
漁業就業者数でございます。漁業センサスによりますと平成25年度に6、289人となっておりまして、平成20年と比較して63%でございます。
〇阿部漁港課長 漁港の復旧についてでありますが、被災しました108漁港全てで本格的な復旧工事に着手しておりまして、平成28年9月末までに約8割に当たる90漁港で復旧工事が完了しております。
引き続き関係市町村や漁協などと緊密に連携しながら復旧工事を進め、平成29年度末までに被災した全ての漁港の復旧の完了を目指してまいります。
〇斉藤信委員 生産量で見ますと7割弱ということだと思います。これは、漁業就業者が犠牲になったり減ったり、もう一つは、養殖施設整備そのものが7割程度にとどまっていると。ですから、就業者にしてみれば大体震災前の売り上げとなっているのではないかと思いますが、しかし、震災前までに回復するには、私は本当に担い手の対策が必要になっているのではないかと思いますが、これは後でやります。
主要施策の成果に関する説明書で見ますと、漁業生産額となっていて、これは平成26年度までしか出ないんだけれども、漁業生産額が357億円となっているのです。漁業生産額は、水揚げ額と養殖も含めるとそういうふうになるのか。平成27年度分で漁業生産額はどういうふうに推計されるのかわかりますか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 漁業生産額そのものは、今、委員がお話しになりましたように、養殖あるいはサケなどの漁獲、市場に水揚げされるものを全てトータルしたものでございます。そして、平成27年度の漁業生産額は、済みません、数字がまだ確定しておりません。平成26年度のものが357億円ということでございます。
〇斉藤信委員 平成27年度の漁業生産額はまだ出ていないと、わかりました。
水産加工業の復興状況はどうなっているでしょうか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業の復興状況についてでございます。
ことし─平成28年8月に実施いたしました被災事業所復興状況調査によりますと、水産加工業では被災事業所の86%が事業を再開して、64%の事業所がほぼ震災前の状況に復旧したと回答されているところでございます。
平成26年の本県水産加工品の生産状況を見ますと、国の農林水産統計によりますと生産量は11万2、000トン、水産食料品製造業出荷額は621億円でございまして、それぞれ生産量で震災前の96%、金額で86%となっているところでございます。
〇斉藤信委員 大変苦労している割には、食料品製造業出荷額で86%、水産加工品の生産量だと96%。ただ、水産加工品の生産量を見ますと圧倒的に冷凍水産物が多いので、もっと付加価値をつけたものにしていくことが必要なのかと。これは指摘だけにとどめます。
あわせて、被災地で漁業、水産業も被災しましたが、漁業、水産関係の台風第10号被害とその復旧状況を示していただきたい。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 先ほど同様、漁港の被害は漁港課長からお答えをさせていただきますが、水産業の被害と復旧状況についてでございます。
水産関係の被害は、施設への浸水あるいは土砂流入、損壊あるいは流失など、被害額で約36億8、000万円となっております。特に、サケのふ化場で約18億円、定置網等の漁具で約11億円、養殖水産物で約4億円の被害となっているところでございます。
復旧についてでございますが、サケのふ化場につきましては、今般、9月補正予算で予算措置をさせていただいたところでございますが、国の水産業競争力強化緊急施設整備事業を使うほか、農林水産業共同利用施設災害復旧事業を活用いたしまして、さらに、県、市町村のかさ上げ補助により支援することとしております。
復旧状況でございます。修繕によって稼動できる、例えば洋野町の有家川ふ化場などでは既に自己復旧をして稼動しているところでございます。釜石市の鵜住居ふ化場などでは、災害復旧事業の査定前着工によりまして既に復旧、整備を現在進めております。ここまでは今年度中に稼動できることとなっております。また、今年度稼動できない野田村の下安家ふ化場などにつきましては、平成29年度にサケが帰ってくる時期までに稼動できるように復旧、整備を進めることとしております。
また、養殖施設あるいは陸上の水産施設あるいは機器等、ほかに増養殖用の種苗などの確保につきましても今般の9月補正で県単独事業で補助することで予算措置をさせていただいているところでございます。
〇阿部漁港課長 続きまして、漁港の被害と復旧状況についてでございます。
台風第10号の高波による漁港施設の被害でございますが、沿岸全12市町村におきまして、79漁港で防波堤が倒壊するなどの被害が生じました。被害額は約40億1、000万円となっております。
被災した漁港のうち、漂着した流木がかなりあったのですけれども、漁業活動に支障を来さないよう早急に進めまして、9月上旬までに撤去作業を完了しております。また、漁業集落排水処理施設や水産飲雑用水施設、いわゆる上下水道が被災したところがございました。これについても災害査定前に応急工事を実施し、既に仮復旧しております。
今後におきましては、国の災害査定が終了した箇所から順次、復旧工事を発注し、早期完成に向けて取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 次に、私は、震災からの復興、今後の漁業振興でも、かなめをなす問題はやっぱり担い手の確保だと思います。先ほども議論がありました。漁業経営体、漁業就業者の推移はどうなっているでしょうか。
〇赤平漁業調整課長 漁業経営体、漁業就業者の推移についてですが、個人の漁業経営体数は、漁業センサスでは震災前の平成20年に5、204経営体であったものが、平成25年には3、770経営体、平成20年度対比で72%となっています。
また、漁業就業者数は、震災前の平成20年に9、948人であったものが、平成25年には6、289人、平成20年度対比で63%となっています。
〇斉藤信委員 漁業就業者でいえば3、659人減少して、これは減少率36.7%となります。これは、震災で実際に犠牲になったし、高齢で再開できなかったということが反映していると思います。
それで、漁業担い手ビジョンを県は作成しました。協議会もつくられているようですけれども、担い手確保の目標、計画はどうなっているのか。この間、平成23年以降、担い手をどういう形で確保してきたのか推移を示してください。
〇赤平漁業調整課長 漁業担い手育成ビジョンの担い手確保の目標、計画についてですが、担い手確保の目標は、年間の新規就業者数を平成26年度の40人から平成31年度までに65人、平成26年度対比1.6倍に向上させることとしています。
担い手の確保については、沿岸市町村の人口減少対策などを踏まえ、市町村単位の担い手対策協議会による就業希望者の受け入れ態勢を構築することとしており、あわせて、漁業就業希望者を地域に受け入れ、定着を支援するため、漁業就業支援フェアにおける就業情報の発信や、熟練漁業者のもとでの技術習得研修、生活基盤の安定化のための住居あっせんなどに取り組むこととしております。
それから、平成23年度からの取り組み、推移でございますが、新規就業者数は、平成23年度には45人であったものが平成27年度には59人にまでふえている状況にございます。
〇斉藤信委員 平成27年度59人ということで、これでもAランクという評価でした。それはそれで私、評価したいと思うのです。ただ、この事業は、国庫補助事業の漁業復興担い手確保支援事業を活用したものがほとんどです。平成28年度以降は、平成27年度末の受け付け分しか対象にならない。だから、平成28年度は17人になっているのです。今までは国の国庫補助事業でやっと50人台、60人に近くなってきたのに、これはもう平成27年度で終わりと。だったら、これを私は、国にこの事業の再開を求めるのとあわせて……。担い手で、県の独自事業がないのです。これをやらなかったら、これからはふえるどころか減っていくことになりませんか。
〇赤平漁業調整課長 委員から御指摘のありました事業に関しましては、国の漁業復興担い手確保支援事業に基づいて平成23年度から取り組んでいるものでございます。確かに平成27年度でこの事業は終了して、平成27年度申し込みがあったものの継続が平成28年度で17人という数値になっているわけですけれども、平成28年度から新しい国の新規漁業就業者総合支援事業が開始されたこともありまして、今後はこの事業にのっとって新しい新規就業者の長期研修に対応していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 平成28年度からの新規事業の中身を示してください。これは今までとどこが違うのか、前向きなのか。平成28年度からそれは取り組まれているのか、中身を含めて示してください。
〇赤平漁業調整課長 平成28年度からの新規事業に関しましても、就業希望者が漁業者のもとで研修をすることには基本的に変わりはございません。ただ、今までは復興担い手支援という位置づけだったものが、全国に拡大されて新規漁業就業者総合支援事業という形で取り組まれる形になっているということでございます。(斉藤信委員「同じように使えるのかどうかはっきり答えてよ」と呼ぶ)
同じように使えるのですけれども、事業の制度が若干変わっていますので、そこは……。使えますので、実際、今、本県でもこの事業を使って研修されている方もいらっしゃるので、この事業を今後活用して就業者の研修を進めていきたいと思っています。
〇斉藤信委員 肝心なことを答えてください。平成28年度は17人に激減しているんです。これは新規事業で激減したのでしょう。違いますか。新規事業で、これからふえるんですか。
〇赤平漁業調整課長 新規事業で、これから新規就業希望者の研修生がふえるかどうかというのは私にはまだわかりませんが、いずれ、漁業に就業を希望したいという方があればそれで対応できるようになっていると思っています。
〇斉藤信委員 今までとは枠も同じで、希望者があればいくということですか。
言いますけれども、平成23年度は国の事業で5人、平成24年度は24人、平成25年度は31人、平成26年度は38人、そして平成27年度は50人です。それが平成28年度は17人になったわけです。だから私は心配して言っているのです。今までずっと伸びてきたのが、なぜここで減ったのかと。減った理由は何だと。これは制度が変わったせいなのか、急に希望者が減ったのか。私は違うと思うけれども、そこをはっきり答えてくれませんか。
そして私は、県がビジョンをつくったけれども、いわゆる真水の県の対策というのは残念ながらないのです。思い切ってこのかなめ中のかなめできちっと対策をとるべきだと思うけれども、五日市総括課長、はっきり答えてください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 国の制度は確かに平成28年度から変わりまして、復興のために研修をするという制度から、全国的な同じような仕組みの中で、ある程度採択が厳しくなったという面はございます。そういう厳しい面がございましたので、これまではある程度研修を受けられていた人たちが今回は対象にならない場合も生じていることも事実でございます。
新たな担い手の対応につきましては、県の単独事業というお話もございましたが、漁業担い手育成基金という事業もございます。これらの事業の中でもこういう研修等についても今、検討させていただいておるところでございますので、いろいろな対応をこれからも考えていきたいと思います。
〇斉藤信委員 5年たったら国の復興事業というものが本当に転換してしまっているのです。せっかく復興の兆しが見えたところで今までの事業を縮小してしまう。本当に私は国の姿勢を正さなければだめだと思います。
それと、担い手問題でいけば、陸前高田市や宮古市が1人当たり年間120万円、大船渡市も宿舎の整備に補助するとか、市が独自に頑張っています。私は、県が負けないように、一緒になって必要な手だてをとっていただきたい。
最後、サケ資源の公平配分の問題についてお聞きします。
20トン未満の小型漁船漁業者の方々は、本当に今、復興のさなかで経営が成り立たないという深刻な状況になっていますが、こうした小型漁船漁業者の状況、実態をどういうふうに把握されているか。
二つ目に、サケ資源の公平配分をめぐって、今、裁判が行われています。100人の漁船漁業者が、固定式刺し網で我々にも宮城県のようにサケをとらせてくれと。私はこれは当然の主張であり権利だと思うのです。漁民の経営が成り立ってこそ漁業が成り立つ、漁協が成り立つのです。そういう点で、この裁判で何が争われているのか、双方の主張はどうなっているのか、刺し網漁を認めない具体的な理由は何か示していただきたい。
〇赤平漁業調整課長 まず、小型漁船漁業者の現状についてですが、小型漁船漁業者の数は、漁業センサスの無動力及び20トン未満の漁船の経営体数で、震災前の平成20年度の2、519経営体に対し、平成25年度は2、125経営体、平成20年度対比で84%となっています。
また、小型漁船漁業者の経営状況は、本県単独のデータはないものの、国による本県を含めた被災地域の漁船漁業経営体の経営状況の調査では、震災前の平成22年度の漁業所得水準を100とした場合、平成27年度は84と公表されています。
サケ資源の公平配分をめぐる裁判についてですが、平成26年9月30日以降、合計102名の漁業者からサケを目的とする固定式刺し網漁業の許可を求める申請があり、県では、漁業法及び県漁業調整規則等に照らし、許可しないこととしたところです。不許可処分を受けた漁業者のうち100名が原告となって、平成27年11月5日付で県の不許可処分の取り消し及びサケ刺し網漁業の許可を求め、盛岡地方裁判所に県を提訴したものであります。これまで5回の口頭弁論が行われ、裁判ではこれまでのところ県の不許可処分の理由の適法性が主に論点となっております。
固定式刺し網漁を認めない理由についてですが、漁業者計102名からの許可申請に対し、県は、固定式刺し網漁業許可を有している53名については、県の固定式刺し網漁業許可等の取扱方針に定める許可対象者のいずれにも該当しないこと、また、同許可を有しない49名については、取扱方針で、新規許可は知事が定めた新規許可枠の範囲内で許可することとしています。震災以降、漁業調整及び水産資源の保護の観点から新規許可枠を設定しておらず、そもそも新規許可枠がなかったことを理由に不許可処分としたものでございます。
〇斉藤信委員 これで最後にしますけれども、今、サケの固定式刺し網を認めない唯一の理由は水産資源の保護と。しかし、これは科学的根拠がないのです。隣の宮城県で、本当に隣で刺し網でサケをばんばんとって、宮城県が、じゃ、サケの漁獲が減ったかというと減っていないのです。私は、これは科学的に検証しなければだめだと思います。
もう一つは、何よりも今、経営体は震災前の84%にとどまっている。大変厳しい。復興の担い手は漁民です。こういう方々の経営を守ってこそ本物の漁業の復興になると思うのです。そういう意味で、本当に漁民の立場に立って、漁民ファーストでこの問題に対応すべきだと思いますが、五日市総括課長、どうですか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 漁業者あるいは漁民の経営を最優先に考えることが必要ということはおっしゃるとおりでございます。私どもも常々そういう意識で仕事をさせていただいております。
今、漁業経営上、非常に問題がたくさん、それも同時に起こっております。一つには、今、委員がお話しになられたような漁獲がなかなかないという問題。それとあわせて、津波がありまして、同時に津波の震災復興に向けた取り組みもしなければならない。
先ほど漁協の経営の質問の際にもありましたが、漁協が施設整備等をすることに際して、やはり1、000億円以上の事業をしておりますし、漁協の自己負担金として200億円近くのお金が出ていると聞いております。これらを10年かけて返済していかなければならない状況もございますので、そのためには漁協もその支払いに充てるための収入が必要になってくるということも一つございます。
また、特に今話題になっている秋サケでございますが、震災によりまして放流尾数が減ったことで今もその影響が出ているところでございます。これらを同時に解決するのは非常に難しい部分もございます。
まずはどこから手をつけていけばいいのかですけれども、やはりサケについては資源をまずふやしていく、資源をもとに戻していくことが大事ではないかということで、漁業関係団体と一緒に、今、サケの資源をもとに戻す取り組みを進めているところでございます。これらを通して、まずはサケの資源をふやし、また、漁業生産もふやし、そういう中で、今後どのような対応ができるのかを検討してまいりたいと思います。
〇軽石義則委員長 午後5時を過ぎましたが、質疑を表明している委員があと2人となっておりますので、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
私もいわて県民計画実施状況報告書の59ページのいわての森林づくり県民税による強度間伐等について質問するところでございましたけれども、飯澤委員と一つ目の質問は重複いたしましたので、そこは割愛いたします。
二つ目からお伺いいたします。
今年度から3期目に入りまして、今年度は初年度でありますいわて環境の森整備事業の進捗状況をお伺いいたします。また、間伐材利用についてもあわせてお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 いわて環境の森整備事業の進捗状況でございます。
10月下旬に開催いたしました第3回事業評価委員会の時点で、今年度は約400ヘクタールの施工地を確保しているところでございます。
それから、間伐材を公共施設の木質バイオマス燃料へ有効活用を図る取り組みにつきましては、市町村の意向を確認し、現在、その働きかけを継続している状況でございます。
今年度、県内5カ所で地域説明会を開催いたしまして市町村や森林組合等に対して働きかけを行ってきたほか、市町村の広報を通じて所有者の方へ周知をお願いしているところでございまして、引き続き、施工地の確保、それから間伐材利用の促進に向けて取り組んでまいります。
〇小西和子委員 事業実施主体側の人員の確保が本当に困難な状況であると思いますけれども、ぜひ目標を達成するために努力していただきたいと思います。
次に、施工地の台風第10号被害についてお伺いいたします。先ほど飯澤委員からもお話がありましたけれども、私は違う観点で質問させていただきます。
被害についてもお伺いいたしますし、今回の台風では木材が被害を大きくしたということが報告されておりますが、いわて環境の森整備事業では間伐木の影響についてはどうだったのかお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 県民税で実施する間伐作業におきましては、間伐材が流出しないように沢筋を避けて、伐根を利用したり、あるいはくいを打つという形で処理を行った上で間伐した木を集積するように指導してきたところでございます。
10月中旬に、林業被害の大きかった岩泉町におきまして林道が復旧して通行可能となった施工地2カ所の現地調査を行いましたところ、集積した間伐材は流出しておらず、この2カ所については下流域への影響がなかったことが確認できたところでございます。
今回の台風被害発生を受けまして、改めて間伐材の適切な集積方法につきまして事業体への周知を図ったところでございまして、引き続き、森林の公益的機能が確保されるように取り組んでまいります。
〇小西和子委員 施工地につきましても被害はなかったということですから、間伐をした健全な森林は災害にも強いということが言えると思いますし、事前に先ほどお話ししたような指導をしていたことが今回、流出につながらなかったということで、大きな成果だと思います。
今後の台風等の被害対策についても今のようなことかと思いますが、もしつけ足し等がございましたらお願いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 やはり、通知を出して終わりということではなかなか徹底というところに難しさが出てくると思いますので、例えば担当者会議といった場面でも、本庁から現地機関の皆さんに対して、こういうこともあったので、再度そこは指導をしっかりお願いしますという形で徹底を図ってまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 それでは、次は、59ページの中ほどに、いわての森林づくり県民税認知度が残念ながらDとなっております。森林づくり県民税の認知度を高めるための取り組みと課題をお伺いいたしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 今年度におきましては、県内5カ所に出向いて地域説明会を開催して制度の周知に努めるとともに、5月に洋野町で開催しましたいわての森林の感謝祭などのイベントでもそのPRに取り組んできたところでございます。
それから、新たな取り組みといたしましては、県民税事業により整備などをした森林に、大体5メートル掛ける90センチメートルぐらいの大きなものですけれども、いわての森林づくり県民税で手入れをした森林ですと書いた横断幕を掲出したり、あるいは、多くの県民が訪れるイベントで県民税をアピールするのぼり旗も製作したところでございます。また、県政番組、テレビCM、新聞広告などを利用した広報については引き続き行うとともに、先ほども御答弁申し上げましたが、市町村広報に県民税を取り上げてもらうこともお願いしているところでございます。
認知度の向上には、その対象をどういうふうに選定するかとか、伝える手法といったさまざまな工夫が必要と考えております。今年度もそういった工夫をしたつもりでございますが、取り組み効果の反応を見ながらさらに工夫に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 横断幕とかのぼり旗というのは大変効果があると私も捉えております。そして、評価委員会の場で、電話番号も記載すれば新しく取り組んでみたいという方たちにアピールできるのではないかといった前向きな意見も出されておりますので、県民の理解があってこその県民税でございますので、今後とも認知度を高める取り組みに力を入れていただきたいと思います。忘れ去られていますが、かんばつくんも大いに活躍させていただければと思います。
次に、防潮林の再生についてお伺いいたします。
平成27年度までに2地区約3.5ヘクタールが完成しております。未着手の防潮林が平成27年度末で12地区となっており、他所管の防潮堤工事やまちづくり計画との調整に時間を要しているとのことでありました。これまでの防潮林再生の実績と今後の取り組み状況をお伺いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 これまでの防潮林再生の実績と今後の取り組みについてでありますが、再生を予定している防潮林20地区56ヘクタールのうち、平成28年10月末までに10地区33ヘクタールに着手しており、このうち、4地区5.4ヘクタールが完成したところであります。
なお、平成28年10月末で未着手となっている10地区のうち、平成28年度中に新たに3地区5.1ヘクタールで着手する予定となっております。これで、13地区で68%になると思います。残る7地区については、委員から御指摘いただいたとおり、引き続き、他所管の防潮堤工事の資材置き場等にお貸ししている関係でそれとの調整に時間を要しておりますが、早期の完成に向け、取り組んでまいりたいと思っております。
〇小西和子委員 全国的にもこの事業は注目されております。白砂青松の美しい風景というのは先人が長年心血を注いで育成したものであると捉えております。それを取り戻すためにも取り組みの強化をよろしくお願いいたします。
苗木については、通告していなかったのですが、おわかりになりますでしょうか。じゃ、苗木の確保についても、済みませんが、よろしくお願いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 クロマツとアカマツが主体で植栽を計画しておりますけれども、クロマツについては県内に種がございませんので、全国の松くい虫抵抗性があるものをお願いして、必要量は確保しております。それを岩手県山林種苗協同組合と提携を組みまして、ちょうどいい時期に供給していただく約束としております。
〇小西和子委員 済みません、突然お願いいたしました。
植えるときには、NPOの方々とか市民の方々、市町村民の方々が実際に行うとは聞いておりますけれども、何か、全国的にもそういうイベントに参加したいという方たちも大勢いらして、そして、御自分が植えたものについては、毎年のように、どのくらい育ったかということを見にいらっしゃるのではないかと思います。交流人口をふやすということからも何かプラスではないかということを皆さんおっしゃっておりますので、担当ではないかと思いますけれども、そういうことも何かの機会にお話になって、ぜひぜひ沿岸部の交流人口増加につなげていっていただきたいと思います。
何か所感がございましたらお願いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 先ほど答弁した中に高田松原がございまして、まさに秋、10月でしたけれども、試験植栽を開始して、来年からは本植栽をする予定になってございます。その際に、春、キックオフの何かのイベントをしたいと今考えておりまして、中身についてはまだ詰まっておりませんけれども、やるということで進めております。
〇臼澤勉委員 私からは1点のみ、しかも、いわて森林づくり県民税について各委員から大変総括的な御質問等ございましたので、簡潔にお伺いいたします。
まず、主要施策の成果に関する説明書の中で、協働事業の取り組み、A評価ではございますが、協働事業の事業成果と今後の方針についてお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 平成27年度の県民参加の森林づくり促進事業につきましては、森林を守り育てる活動に延べ6、000人余りの県民の皆様に御参加いただいておりまして、県内各地で県民参加による取り組みが行われることにより、森林、林業に関する理解の醸成が進んでいるものと考えております。
また、平成28年度からは、森林の手入れを行う多様な人材育成をしようとする団体等に対しまして、チェーンソーなどの機材導入を支援する新しい取り組みも推進しているところでございます。
より多くの県民の皆様に森林環境保全の取り組みに参加していただき、県民の理解がさらに進むように取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 先ほども、この県民税に対する理解度がB評価というか、まだまだ足りないという御指摘もございました。県内にもさまざまな森林、林業にかかわる協議会がございます。こういった方々が積極的に参加しながら、この森林保全にかかわっていく必要があろうかと思います。
私も先日、いわての森林づくり県民税事業評価委員会をちょっと傍聴させていただきました。さまざまな御意見等がありましたけれども、改めて、高知県とか愛媛県、宮崎県、森林環境税に取り組んでいる各県がございますが、税収にしても、岩手県は年間7億円ということで非常に多うございます。そして、評価委員会も年間六、七回やりながら積極的に取り組んでいることは、やはり評価すべきことだと思います。
ただ、高知県、愛媛県につきましては、例えば鹿被害とか森林環境を守る対策、あるいは生息調査であったり、あるいは松くい虫被害対策について、宮崎県とかは、台風による堆積した流木の除去といった取り組みについても、森林整備、森林保護の取り組みということで積極的に使われているようでございますが、岩手県における森林整備、保全対策への活用について御所見をお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状況で引き継いでいくために、平成18年度に創設されたものでございます。したがいまして、その森林環境保全に資する施策に要する費用に充てる形になっているものでございます。
今、委員からお話がございました鳥獣被害対策でありますとか、それから台風の流木除去は、林業振興、それから被災地の復旧のためには欠かすことのできないものではございますが、いわての森林づくり県民税で実施するには、税を導入したときの経緯を踏まえますと、なかなか慎重な検討が必要と考えているところではございます。
一方、事業実施主体からの意見なりを踏まえて、例えば森林所有者の調査費用を諸経費に加味するといった可能なものは対応してきたといったこともございます。
先ほど工藤勝博委員からも、造林にいわての森林づくり県民税をというお話もあったところでございまして、今お話を頂戴したことにつきましては、いわての森林づくり県民税事業評価委員会に、こういう議論がありましたということはお伝えしたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いわての森林づくり県民税事業評価委員会の中でも、岡田委員長を初めとしていろいろ議論がございました。そもそもやるべき箇所がきちんとこの事業でできているのか、あるいは構造的な問題とか労務の確保といったさまざまな問題で、まだまだやるべきところができていないのではないかというような御意見もありました。
そういった中で、広く県民の方々から豊かな森林環境を保全するということでいただいている税金でもございますので、多面的な機能を有する森林を守るということから、そういった被害対策であったり、あるいは松くい虫とか、あるいは鹿、熊対策など、総合的な視点から部局横断的な取り組みというものも調査、研究していただければと思います。
最後に紺野部長から御所見を聞いて、終わります。
〇紺野農林水産部長 いわての森林づくり県民税の活用方法でございますけれども、やはり多面的機能に対して、いろいろな使途として事業に活用したいということでありますが、そのためにはいろいろな議論をしていただきまして、また、最終的には県民の皆様の御理解、また県議会の皆様の御理解もいただかなければいけませんので、今後、広く議論を尽くして検討してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。農林水産部の皆様はお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時26分 散 会

前へ 次へ