平成28年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第3号)
平成28年11月16日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
政策地域部長 大 平   尚
理事兼副部長兼
地域振興室長兼
台風災害復旧復興
推進室長 宮 野 孝 志
副部長兼政策推進
室長兼首席
ふるさと振興監 南   敏 幸
科学ILC
推進室長 佐々木   淳
政策監兼
ふるさと振興監 小 野   博
評価課長 臼 井 智 彦
調整監 葛 尾 淳 哉
政策推進室
管理課長 佐々木 ユ カ
市町村課総括課長 石 田 知 子
調査統計課
総括課長 佐 藤 和 彦
情報政策課
総括課長 菊 池 芳 彦
県北沿岸・定住
交流課長 菅 原 健 司
交通課長 大 坊 哲 央
地域連携推進監 鈴 木 暁 之
ILC推進課長 熊 谷 郁 夫
台風災害復旧復興
推進課長 植 野 歩 未

復興局長 木 村 卓 也
技監兼副局長 高 橋   修
副局長 内 宮 明 俊
復興推進課
総括課長 熊 谷 正 則
まちづくり
再生課総括課長 田 村 荘 弥
産業再生課
総括課長 高 橋   進
生活再建課
総括課長 小笠原 隆 行

国体・障がい者
スポーツ大会局長 岩 間   隆
副局長兼
総務課総括課長 小 友 善 衛
副局長 泉   裕 之
参事兼競技式典課
総括課長 藤 澤 敦 子
施設課総括課長 安 部 光 一
競技式典課
首席指導主事兼
特命参事 中 島   新
障がい者スポーツ
大会課総括課長 工 藤 啓一郎

警察本部長 堀   誠 司
警務部長 種 田 英 明
生活安全部長 伊 藤 徳 博
刑事部長 川 村 邦 光
交通部長 内 藤 光 樹
警備部長 中 野 和 朗
警務部参事官兼
首席監察官 佐 藤 力 也
警務部参事官兼
警務課長 勝 又   薫
警務部参事官兼
会計課長 乳 井   博
生活安全部
参事官兼
生活安全企画課長 羽 澤 武 志
刑事部参事官兼
刑事企画課長 小野寺 勝 善
交通部参事官兼
交通企画課長 大和田 俊 文
総務課長 田 村   剛
交通規制課長 佐々木 雅 夫
運転免許課長 幅 下   昇

会計管理者 佐 藤   博
会計指導監 清 水 雅 典

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 小 倉   茂
監査第二課
総括課長 村 上 博 和

財政課総括課長 小 原   勝
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開きます。
渡辺幸貫委員及び木村幸弘委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第15号まで、並びに議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
本日は、政策地域部、復興局、国体・障がい者スポーツ大会局、警察本部関係について、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
最初に、政策地域部長に政策地域部関係の説明を求めます。
〇大平政策地域部長 平成27年度の政策地域部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
初めに、政策地域部所管の事務事業に係る総括的な評価及び今後の取り組み方針について御説明します。
まず、東日本大震災津波からの復旧、復興への取り組みについては、三陸鉄道の駅舎整備に対する支援など、沿岸地域の新しいまちづくりに沿った交通体系の構築や、多様な主体との連携、協働による復興の推進に取り組んだほか、被災市町村に対する復興人材確保等の支援を行ってまいりました。
また、三陸創造プロジェクトとして、ILCの実現に向けた国内外への情報発信や調査研究、三陸ジオパークを活用した誘客促進のほか、海洋再生可能エネルギー研究拠点の構築や海洋研究機関との連携促進などに取り組みました。
次に、いわて県民計画に掲げる取り組みについてですが、まず、希望郷いわての実現に向けて、社会経済情勢の変化による新たな県政課題等に対応した政策形成のための調査、検討のほか、ラグビーワールドカップ2019日本大会の釜石開催成功に向け、市と連携した準備や機運醸成に取り組みました。
次に、広域振興圏の振興に向けて、広域振興局体制のもと、各圏域が掲げる目指す将来像の実現に向けた各種施策を実施し、県北・沿岸圏域については、特に地域資源を生かした戦略的な振興策に取り組みました。
次に、安心して、心豊かに暮らせるいわての実現に向けて、本県への定住、交流を促進するため、首都圏による相談窓口の強化や、地域コミュニティーの再生、活性化に対する支援に取り組みました。
また、いわてを支える基盤の実現に向けて、鉄道、バス事業者への経営安定に向けた支援による交通基盤の維持、確保や、効率的な地域交通体系の構築に取り組んだほか、携帯電話の利用可能地域の拡大に対する支援や、さまざまな分野におけるICT利活用の検討など、情報通信基盤の整備と情報通信技術の利活用促進に取り組みました。
さらに、政策評価システムの活用による効果的、効率的な施策の推進、及び政策形成の基礎となる統計数値の把握、分析などにより、政策形成支援機能の充実に努めました。
引き続き、政策評価制度に基づき、各施策の成果や課題等の検証を行い、その結果を次の施策に適切に反映させていくなど、より効果的な政策の推進に努めてまいります。
今後におきましても、復興とふるさと振興を進め、希望郷いわての実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
続きまして、決算の概要につきまして御説明いたします。
岩手県歳入歳出決算書の12ページ、13ページをお開き願います。政策地域部関係の決算につきましては、2款総務費のうち、1項総務管理費、2項企画費の一部、4項地域振興費、5項選挙費及び7項統計調査費でありますが、これらの支出済総額は89億1、889万円余であり、翌年度への繰越額は6億8、005万円余、不用額は2億147万円余となっております。
それでは、決算の内容につきまして、お手元に配付しております歳入歳出決算事項別明細書により御説明いたします。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明いたしますので、御了承願います。
事項別明細書の160ページ、161ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費7目情報システム管理費ですが、支出済額15億3、394万円余は、財務会計や税業務などのオンラインシステムや通信ネットワーク等、庁内の行政情報システムの管理のほか、社会保障と税の番号、いわゆるマイナンバー制度の運用に伴うシステム整備に要した経費であります。
なお、繰越明許費でありますが、7目情報システム管理費2億7、290万円は、電子県庁運営費及び情報システム整備事業費の一部を繰り越したものであります。
164ページ、165ページをお開き願います。2項企画費1目企画総務費のうち、当部関係の支出済額は3億1、755万円余でありますが、その主なものについて御説明いたします。まず、右側備考欄の上から二つ目のいわて三陸復興のかけ橋推進事業費は、復興支援ポータルサイト等を活用して、復興支援マッチングや県内外企業とのネットワーク強化、情報発信等に要した経費であります。次に、二つ飛びまして、ラグビーワールドカップ2019開催準備費は、開催都市負担金や2015イングランド大会におけるジャパンパビリオンへの出展など、釜石開催の準備に要した経費であります。次の高等教育機関連携推進費は、雇用創出、若者定着の促進を図るため、県と地方大学の連携により、市町村の地方創生総合戦略の推進を支援するとともに、地元中小企業と岩手県立大学による共同研究に要した経費であります。次の拡張国体・大会推進大作戦は、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を契機に、県民参加による全県的な盛り上がりの醸成や地域活性化を図るため、芸術、文化イベントの開催や動画等を活用した岩手の魅力発信などの取り組みに要した経費であります。166ページ、167ページをお開き願います。2目計画調査費のうち、当部関係の支出済額は3、769万円余でありますが、その主なものについて御説明いたします。まず、上から二つ目の戦略的県民計画推進費は、新たな県政課題等に対応した調査、検討や東京オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウン誘致実現に向けた取り組み等、スポーツツーリズムを推進する取り組みに要した経費であります。一つ飛びまして、国土強靱化地域計画推進費は、国土強靱化基本法に基づき、本県の国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための指針となる岩手県国土強靱化地域計画の策定に要した経費であります。次の政策形成推進費は、政策評価や施策の企画、立案に資する各種調査や、統計資料の収集等を行うために要した経費であります。二つ飛びまして、岩手県まち・ひと・しごと創生総合戦略策定費は、まち・ひと・しごと創生法に基づき、ふるさとを振興し、人口減少に立ち向かうための今後5年間の主な取り組み方法や具体的な施策、達成すべき成果指標を示す岩手県ふるさと振興総合戦略の策定に要した経費であります。
なお、繰越明許費でありますが、2目計画調査費1、123万円余は、国の地方創生加速化交付金を活用する事業として、平成27年度2月補正予算で措置いたしました地域経済分析システム普及促進事業費を繰り越したものであります。
4目科学技術振興費の支出済額2億7、442万円余のうち、主なものについて御説明いたします。168ページ、169ページをお開き願います。まず、一番上のいわて戦略的研究開発推進事業費は、次世代産業の創出につながる有望な研究開発シーズの発掘、育成と、その事業化に向けた支援等に要した経費であります。二つ飛びまして、海洋研究拠点施設整備費補助は、三陸沿岸地域における海洋研究の高度化、国際的な海洋研究拠点の形成強化を図るため、北里大学が行う研究交流施設整備事業に対し助成したものであります。一つ飛びまして、洋上ウィンドファーム事業化促進事業費は、沿岸北部における洋上風力発電の事業化に向けた研究会の開催や調査等に要した経費であります。次のプロジェクト研究調査事業費は、ILCの実現に向けて、国内外への情報発信や立地条件等に関する調査研究等に要した経費であります。次の次世代産業シーズ育成等支援事業費は、次世代産業の育成を図るため、大学等に潜在する研究シーズを生かした産学共同研究や、海洋エネルギー産業創出に向けた体制の構築、研究開発費に対し助成したものであります。
なお、繰越明許費でありますが、166ページ、167ページにお戻りいただきまして、4目科学技術振興費6、566万円余は、国の地方創生加速化交付金を活用する事業として、平成27年度2月補正予算で措置いたしました次世代産業創出事業費を繰り越したものであります。
次に、170ページ、171ページをお開き願います。4項地域振興費1目地域振興総務費の支出済額34億4、308万円余のうち、主なものについて御説明いたします。まず、上から四つ目の地域経営推進費は、広域振興局において、市町村やNPO、民間との協働のもと、圏域の振興を図るために要した経費であります。次の世界遺産平泉理念普及事業費は、復興の象徴であります世界遺産平泉の理念を国内外へ広く発信するために要した経費であります。次に、一つ飛びまして、携帯電話等エリア整備事業費補助は、携帯電話の利用可能地域の拡大を図るため、市町村が行う整備事業に対して助成したものであります。次の県北・沿岸振興費は、県北・沿岸圏域の振興を図るため、地域資源の活用による地域活性化に向けた取り組み等に要した経費であります。一つ飛びまして、いわてへの定住・交流促進事業費は、被災地の復興や過疎地の活性化を担ういわて復興応援隊の受け入れ等に要した経費であります。三つ飛びまして、北いわて若者・女性活躍支援事業費は、広域振興局が企画立案を行い、主体的に取り組みを行った広域振興事業であります。次の、いわて地域力活性化推進事業費は、人口減少問題に対応するため、全県的な移住推進体制の整備、地域資源を活用した魅力ある地域づくりや、集落の再生、活性化に向けた取り組みに対する支援等に要した経費であります。次の三陸ジオパーク広域観光創造事業費は、三陸ジオパークを活用した広域観光の振興、交流人口の拡大を推進するため、三陸鉄道と連携した観光ツアーの造成や、市町村が行う案内板の整備に対する支援等に要した経費であります。
なお、繰越明許費でありますが、1目地域振興総務費6、477万円余は、地域経営推進費、県北・沿岸振興費の一部と、国の地方創生加速化交付金を活用する費用として、平成27年度2月補正予算で措置いたしました地域しごと支援センター運営事業費、いわてまるごとプロモーション推進事業費を繰り越したものであります。また、事故繰越397万円余は、地域経営推進費の一部を繰り越したものであります。
次に、2目市町村振興費の支出済額8億9、907万円余のうち、主なものについて御説明いたします。172ページ、173ページをお開き願います。一番下の市町村振興宝くじ交付金は、市町村への貸し付けの原資や交付資金とするため、公益財団法人岩手県市町村振興協会に対して、市町村振興宝くじ等の販売収益金を交付したものであります。次に、3目交通対策費の支出済額7億9、409万円余のうち、主なものについて御説明いたします。まず、上から三つ目の三陸鉄道運営支援事業費は、関係市町村と連携し、駅舎、その他設備の整備、維持等に係る経費について助成したものであります。次に、一つ飛びまして、並行在来線対策事業費は、IGRいわて銀河鉄道株式会社による鉄道事業の経営を支援するため、県と沿線市町が連携し、車両更新に要する経費等について、いわて銀河鉄道経営安定化基金に積み立てしたものであります。次のバス運行対策費は、地方バス路線を運行するバス事業者に対して、国庫補助制度に基づき、運行欠損額及び車両購入費を助成したものであります。
なお、繰越明許費でありますが、3目交通対策費の繰越明許費2億6、150万円余は、三陸鉄道運営支援事業費、地域公共交通活性化推進事業費補助の一部を繰り越したものであります。
5項選挙費ですが、支出済額7億632万円余は、県選挙管理委員会の運営及び知事、県議会議員選挙の管理執行等に要した経費であります。
次に、178ページ、179ページをお開き願います。7項統計調査費ですが、支出済額9億1、269万円余は、人件費及び一般管理事務並びに県単独で実施した統計調査、及び国勢調査など国の委託により実施した統計調査に要した経費であります。
以上で説明を終わります。よろしく御審議をお願いいたします。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 大きく2点についてお伺いいたします。まず1点目、沿岸12市町村の財政状況についてお尋ねいたします。
沿岸12市町村の主要基金の状況はどのように変化しているのでしょうか。8年ぶりに減少になったという報道がありましたけれども、減少の要因をどのように捉えているのでしょうか。あわせて、震災復興事業において、自治体負担が生じてくることになるわけでありますけれども、負担見込み額とあわせまして、今後の基金の状況等の変化をどのように予想されているのかお尋ねいたします。
〇石田市町村課総括課長 まず最初に、県内市町村の基金の状況についてでございますが、先日、報道されました8年ぶりの減少ということでございますが、これは、県内全市町村のことでございまして、まず最初に、こちらのほうから説明させていただきます。
平成27年度末において8年ぶりに減少した主な要因といたしましては、東日本大震災復興交付金事業に充当するために積み立てられている基金について、これは渡し切りの交付金を基金として積んでいるものでございます。これにつきまして、復興事業の進捗に伴い取り崩し額が増加したものでございまして、平成26年度末から356億円減少いたしまして、基金の残高は5、045億円となったところでございます。
また、沿岸12市町村における主要基金である財政調整基金と減債基金の推移を見てみますと、財政調整基金につきましては、主に東日本大震災津波における復旧、復興事業の影響により震災前に比べ増加いたしましたが、ここ数年はおおむね400億円台で推移しているところでございます。
減債基金につきましては、起債額の増加に伴い後年度の公債費がふえる見込みであることから増加傾向にございまして、ここ数年は70億円台から80億円台で推移しているところでございます。
次に、震災復興事業における自治体負担額についてでございますが、復旧、復興事業における地方負担額については平成27年度まで震災復興特別交付税により全額措置されてきたものでございますが、昨年、国の復興推進会議において平成28年度以降の復興財源の枠組みが決定され、事業の一部について地方負担の5%、事業費ベースで1から3%の新たな負担が生じることとなったものでございます。
これにより生じました沿岸12市町村の本年度の新たな負担額でございますが、9月時点、この9月時点というのは、震災特別交付税9月算定時点ということでございます。この9月時点で3、460万円余が生じたところでございますが、事業費の最終見込み額が判明する3月までに負担額の増減が見込まれるところでございます。
また、県内市町村の平成32年度までの復興、創生期間全体における新たな負担額については、これは昨年報道されたところでございますが、約16億円と昨年試算されたところでございまして、今後の変化につきましては、毎年度の復興事業費の増減によることから、年度ごとの予想は難しいところでございます。
引き続き、負担額の推移を注視しながら、地方債の活用など負担軽減につながる助言を実施していきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 そのような中で、今回、台風第10号が発生しまして、被災地がさらに大きな被害を受けたことになるわけでありますけれども、具体的にお聞きいたしますと、特に久慈市、宮古市、岩泉町につきまして、現時点で被害額をどのように想定されているのか、今後の復旧、復興に要する自治体負担額をあわせてどのように捉えているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
〇石田市町村課総括課長 被災3市町の財政状況でございますが、11月7日現在の被災額は、久慈市で201億8、000万円余、宮古市で282億2、000万円余、岩泉町で651億5、000万円余、合計1、135億6、000万円余となっているところでございます。
3市町の復旧、復興に要する負担額につきましては、公共土木施設や農林漁業関係施設などの災害復旧に伴う自己負担のほか、被災者の住宅再建などに係る独自の生活再建支援、被災事業者向けの融資に係る利子補給など市町独自に行う事業にも多額の財政需要が見込まれているところでありますが、現時点での負担額の算出は難しいところでございます。現在、動いているところでございます。
〇関根敏伸委員 1、135億円の被害が出て、激甚指定を受けてもなお自己負担が生じると。ただ、今後、国の支援の動向というのは、まだ判明していないというのが現時点の状況なわけでありますので、自己負担がなかなか見通せないという今の御答弁になるのだろうと思います。
ただ、あわせて、そのとおり市町独自のさまざまな支援が随時報道等でも明らかになっているわけでありますけれども、やはりこれは相当な状況になってくるのではないのかなと。激甚指定でも数%の負担は生じるということになるんでしょうから、やはりこの久慈市、宮古市、岩泉町にとりましては、今後の財政運営に相当御苦慮されることは明らかであるわけであります。
そんな中で、それに伴って、この負担額が明らかになっていない状況だということではありますけれども、殊にこの基金の状況、特に財政調整基金、現在、その3市町がどの程度の財政調整基金を持っておられるのか、今後の被害等の負担額とあわせて、この3市町の財政的な見通しを県はどのように捉えているのか、今時点で結構でございますので、ちょっと教えていただきたいと思います。
〇石田市町村課総括課長 今、委員から御指摘のありましたとおり、3市町とも、現在、復旧、復興に対しまして早急に実施しなければならない事業については、基金を一時的に取り崩しております。3市町の現在までの補正予算の編成に当たって、基金を一時的に取り崩した額でございますが、約40億円取り崩しております。このうち市町村別に、これはもう公表しているものでございますので申し上げますと、基金全体でございますが、宮古市におきましては18億円、久慈市におきましては9億円、岩泉町におきましては13億円を取り崩しております。
それから、被災前の基金残高について申し上げますと、宮古市におきましては、財政調整基金についてでございますが、約50億円、久慈市につきましては約10億円、岩泉町については約14億円となっておりまして、先ほどお話があったように、これから国庫補助の採択など特定財源の確保を進めていくところでございますが、その分を基金に積み戻すという財源振りかえというものがこれから年度末にかけて行われていきますので、現時点での財政見通しの予想はなかなか厳しいとは考えております。
各市町においては、適時、必要に応じて補正予算を編成すると聞いており、今後とも、各市町との連絡を密にしながら、財政状況を注視しつつ、財源確保も含めて助言等を行っていきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 財政調整基金だけ見ると、久慈市が10億円、宮古市が50億円、岩泉町が14億円であったと。そして、今回の補正等をすることによって、基金の取り崩しが、これは財政調整基金だけではないということでしょうが、久慈市が9億円、宮古市が18億円、岩泉町が13億円と多額の取り崩しを行って何とか補正を組んでいる状況だろうと思います。
財政調整基金については、今後、震災復興特別税の事業確定に伴った精算分も積まれていると聞いておりますので、これが真水のお金だということにはならないだろうと思います。それを考えますと、さらにこの3市町については、県が、財政見通しを含め、支援のあり方も含め相当注視をしていかなくてはならないだろうと思っているわけでありますけれども、県は、いわて県民計画の中の行政経営編の中で、市町村に対しての行財政コンサルティングも行っているわけであります。このこととあわせて、今後、3市町を含めた沿岸12市町村の財政健全化に向けた取り組み支援策をどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇石田市町村課総括課長 現在、県では、市町村の行財政運営の課題を分析し、市町村と課題を共有し、また、課題解決を図るために、いわて市町村行財政コンサルティングというものを実施しております。
具体的な内容でございますが、当課の職員が全市町村を訪問いたしまして、現在の財政状況と今後の見通しなどについて聞き取りして助言する財政見通しヒアリングのほか、財政重点診断、それから、これは全市町村の担当者を対象とした実務者勉強会の開催に取り組んでおりまして、本年度の実務者勉強会においては、地方公会計制度に係る統一的な基準の導入について、公認会計士を迎え、講師と意見交換を実施したところでございます。
今、委員から御指摘のあったように、3市町につきましては、特に今回、災害後、県でも随時現地に入って財源確保に向けたさまざまな助言等を行っておりますし、それから、現在も連絡を密にしながらやっているところでございます。いずれも、国の動向もございますけれども、適切に、連絡を密にしながら対応してまいりたいと思います。
〇関根敏伸委員 これは、県でできることというのは限界があると思います。やはり国の動向が非常に大きいんだろうと思います。助言あるいは財政診断、研修会、いずれも大切でありますが、直接的にこの財源を満たすものにはならないと思いますし、費用の軽減にどの程度結びついているのかちょっと私はわかりませんが、県としてやれることはやっていらっしゃると承知しておりますけれども、特にこの3市町につきましては、しっかりと今後の見通しを含めて、他部局とも含めて連携をとりながら取り組んでいただきたいと思っております。これは要望にとどめたいと思います。
2点目に、移住、定住策全般についてお伺いいたします。
まず、平成27年度の移住、定住の実数、これは数字が出ておりましたので通告しておりましたが、目標に対して大きく上回っているようでありますけれども、この移住、定住策の評価についてお聞かせいただきたいと思います。あわせて移住、定住の全国的、あるいは東北における岩手県の実績の位置づけ、決して悪くはないと聞いているわけでありますけれども、これをどのように捉えて分析をされていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 移住、定住の実績についてでございますけれども、平成27年度の移住者数につきましては1、387人となってございまして、いわて県民計画第3期アクションプランの平成30年度目標値である1、300人を上回ったところでございます。
平成27年度におきましては、岩手県ふるさと振興総合戦略のプロジェクトの一つといたしまして、これまでの首都圏でのU・Iターンフェアや移住イベントへの出展に加えまして、ふるさと回帰支援センターへの移住相談員の配置による首都圏の移住相談体制の整備、定住交流ホームページやパンフレットのリニューアル等による情報発信の強化、移住体験ツアーの実施など、移住、定住の取り組みを強化したところでございます。
また、県内市町村におきましても、同様に、人口減少対策の一環といたしまして移住、定住施策の重点化を図っておりまして、市町村や就職に関するU・Iターン施策などとの連動した取り組みが一定の成果につながっているものと考えております。
また、東北における位置づけということでございましたけれども、移住、定住数につきましては、全国的に定まった捉え方がございませんで、本県の場合は、Uターンを含む就職や新規就農者、あと市町村の移住相談窓口を通じた数を積み上げて集計しているところでございます。
いずれ、全国的に力を入れている分野でございますので、全国の施策等も見ながら移住の推進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 定まった捉え方がないという状況なんですけれども、新しい分野なのかなと思っております。いずれ、比較的頑張っていらっしゃると私は認識しておりますが、そういった意味で、これは事業推進についてケチをつける意味で言っているわけではないですが、この移住、定住者をふやすことによる県や市町村の財政等に与えるプラス、マイナスのメリットを県はどのように数値化して捉えていらっしゃるのか、参考までにお聞かせいただきたいと思いますし、昨年度と合わせた移住、定住に向けた事業の投入経費と、先ほどの1、387人について、投入経費における事業対費用効果をどのように算定して、今後、事業の推進に向かおうとしているのか、ここをまず前段、ちょっと教えていただきたいと思います。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 定住交流に投入した予算額でございますけれども、平成26年度の2月補正の繰り越し分と合わせまして、定住交流に係る費用といたしましては6、030万円余となってございます。
移住、定住が与える財政的なメリットでございますけれども、県の移住施策でありますとか就業に関するU・Iターン施策、市町村の施策などさまざまな取り組みがございますので、県の取り組みがそのまま移住者数につながっているわけではないということでございます。県、市町村財政等に与える詳細な影響でありますとか、投入事業費の費用対効果については把握しておりませんが、移住者の増加によります生産活動や消費支出の増が、地域における物、サービスの生産を誘発することによりまして、マイナスとして考えられる社会保障費の負担増を考慮しても、県内経済に広範な波及効果があるものと考えております。
なお、県、市町村財政への影響の一つとして、例えばでございますけれども、平成28年度における県、市町村分を合わせた人口1人当たりの普通交付税額が31万3、000円となってございまして、人口が増加することによりまして単純には計算できないところでございますが、これを移住者数1、387人に掛け合わせると4億3、400万円余となるなど、プラスの効果が見込まれると考えてございます。
〇関根敏伸委員 4億円余の地方交付税の増につながったというのが、一つの明確な数値化なのかと思います。
時間がないようですので、まとめて聞かせていただきたいと思います。
移住、定住者数の定着率という捉え方が正しいかどうかわかりませんが、定着率でありますとか、ミスマッチを防ぐ対応策、これをどのように考えていらっしゃるのか。
あわせて、県ではふるさと回帰支援センターに設置いたしました、いわて暮らしサポートセンターの対応体制、それから利用相談実績、そしてまた、このサポートセンターを利用して具体的な成功事例等に結びついた例があるのかどうか、これをまとめてお聞きいたします。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 移住者の定着率につきましては把握していないところでございますが、本県に限らず、移住先が思い描いていたイメージと違っている、あるいはその地域にうまくなじめないといった事例も伺っているところでございます。
このため、移住相談会や移住体験ツアーにおきまして、移住者から直接話を聞く機会を確保しているほか、地域活性化セミナー等の開催や、県、市町村、関係団体で構成しております、いわて定住・交流促進連絡協議会におきまして、県内外の移住の先進事例の共有を図るとともに、本県への移住者の体験事例について、ホームページやパンフレットにおいて積極的に情報発信をしているところでございます。
これらに加えまして、移住者の定着に向けましては、地域の受け入れ環境の整備が重要と考えてございますので、今年度から、地域団体やNPO等が行います移住の促進や受け入れ体制の整備などの取り組みへの補助制度を設けているところでございます。
次に、いわて暮らしサポートセンターについてでございますけれども、昨年度から、首都圏における移住相談窓口として、ふるさと回帰支援センターの中に本県専従の移住相談員を配置しまして、いわて暮らしサポートセンターを設置したところでございます。
なお、本年7月からは、キャリアカウンセラーを追加いたしまして、2名体制によりまして、移住相談と就職相談に当たっているところでございます。
昨年度の活動といたしましては、移住相談や県、市町村の移住施策等の情報発信のほか、これまでの移住イベントの出展に加えまして、ふるさと回帰支援センター内のスペースを活用し、市町村と連携した県独自の移住相談会を3回開催いたしまして、移住相談件数は390件となったところでございます。
相談から移住まで長期にわたる場合もございまして、相談者が最終的に移住したかどうかは網羅的に把握はできておりませんけれども、例えば、花巻市の地域おこし協力隊の募集を紹介し、移住につなげたケースでありますとか、あと、移住相談会や本県の移住体験ツアーへの参加者が移住したケースなど、徐々に実際に移住した例も出てきているところでございます。
〇関根敏伸委員 私もふるさと回帰支援センターにお邪魔してきたところです。大変立派なブースがたくさんありまして、もう全国で都道府県間の競争が一斉に始まったなという印象を持っております。
ちょうどお邪魔したときは、30代ぐらいの若い御夫婦が子供を連れて相談に見えておられました。事務局の方からいろいろお話を伺ったんですが、相当若年層の移住、定住相談がふえているということを反映している風景を目の当たりにいたしました。やはり若者たちのそういった現象をしっかり捉えた体制を構築していただきたいと思いますし、あわせて、やはり定着率ですね、きのうもちょっとある議連の勉強会で遠野市の事例を紹介いただきました。7名が新規就農されて、地域おこしにさまざまないいメリットをもたらしているという例がありました。民間とも絡んだ取り組みのようでありますけれども、そういった部分をしっかりとお願いしたいと思います。
最後です。岩手県Uターンセンターもあります。これは商工労働観光部の管轄だと聞いておりますが、役割分担と連携、課題をどのように捉えているのか。あわせて、これらのセンター等でさまざまな情報の蓄積が今後行われてくるわけでありますが、情報の管理と情報の利用の方法です。やはり県内市町村からは、蓄積した情報をぜひ活用させてほしいという声があります。これは、人手不足でありますとか、まさに移住、定住の増に市町村も必死で取り組んでいるわけでありますから、この活用の仕方について、現状の課題とか方向性がありましたらお知らせいただいて、終わりたいと思います。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 いわて暮らしサポートセンターでは移住全般を所管しておりますけれども、商工労働観光部がいわて銀河プラザに設置しております岩手県Uターンセンターにつきましては、Uターン希望者や首都圏の大学等への県内企業情報の提供でありますとか、あと、就職相談などのU・Iターン施策を所管しているところでございます。
移住の推進に当たりましては、移住先におきまして、やりがいのある生活を支える所得が得られる仕事の確保とともに、住居の確保や暮らしに関する環境、魅力など、さまざまな要素が重要でありますので、両センターの定期的な情報交換による情報の共有や、移住イベントでの共同した相談ブースの設置など、連携した取り組みを行ってきたところでございます。
課題といたしましては、いわて暮らしサポートセンターにおいて、相談内容として、やはり仕事に関する相談が一番多いということになってございますので、先ほど申し上げたとおりでございますが、本年7月にキャリアカウンセラーを追加いたしまして、移住相談と就職相談をワンストップで対応できる体制としているところでございます。
また、移住情報の管理、活用についてでございますが、いわて暮らしサポートセンターや移住イベントにおきまして相談のありました移住希望者の個人情報につきましては、本人の意向を確認した上で、センターにおいて移住希望者のデータベースを作成しております。このデータベースを活用いたしまして、ダイレクトメールや電子メールによりまして、県や市町村が行うイベントも含めて、情報の発信の依頼がございました場合は、センターを通じて移住希望者に移住の関連情報を提供しているところでございます。
これによりまして、県の移住イベント等に継続して参加される方もございまして、今後の移住にもつながるのではないかと期待されるところでございますので、引き続き、きめ細かな移住希望者へのフォローに取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員長 関根委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇関根敏伸委員 確認だけです。
この活用ですけれども、市町村等に対して、例えば、その相談者の同意を得て、市町村への情報を共有するとか、そういったことにまで今この情報活用が及んでいるということなのか、そうではないのか、課題があるとすればどうなのか、そこだけちょっと確認させてください。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 やはり個人情報という部分がございますので、管理につきましてはセンターのほうで取りまとめておりまして、市町村が情報提供したいとか、いろいろと移住希望者にアプローチをしたいといった依頼があった場合、その催事とか施策の内容をセンターのほうでいただきまして、それを移住希望者に提供しているというような状況でございます。
〇樋下正信委員 私は、科学技術振興費のところで、海洋研究拠点形成促進事業、海洋エネルギー研究拠点構築事業、洋上ウインドファーム事業化促進事業の辺を聞きたいと思います。
主要施策の成果に関する説明書の22ページの次代につながる新たな産業の育成というところで、自動車・半導体関連産業などに続く新たなものづくり産業や地域資源活用型産業などの創出に向け、産学官金が目標を共有して研究開発や新技術導入に戦略的に取り組み、その成果に基づく時代のニーズを捉えた新たな産業が展開されていますとあります。そして、また、海洋エネルギーなど研究基盤の整備が進められ、地域の特性を生かした研究拠点が形成されていますということで、将来につながるすばらしいこの産業の計画ということだと思います。
その中で、先ほども言いましたけれども、この海洋研究拠点形成事業費と洋上ウインドファーム事業化促進事業、そして、次世代産業シーズ育成等支援事業の具体的な活動内容の指標が出ておりますが、この計画値、実績値、そして達成度とあります。この中身について研究会等が開催されているということでございますが、中身について御説明をお願いしたいと思います。
〇佐々木科学ILC推進室長 次代につながる新たな産業の育成の部分での政策項目等々に対する質問、あるいは平成27年度の事業の質問と承りました。
まず、海洋研究拠点形成促進事業あるいは洋上ウインドファーム、海洋エネルギー研究拠点、このそれぞれの事業につきましては、いわて県民計画並びに東日本大震災津波復興計画の三陸創造プロジェクトの中の、海洋研究拠点を形成しようという取り組みの中で取り組ませていただいております。
まず、研究シーズの創出と育成についてですが、これにつきましては、海洋産業にとらわれず次世代につながる新たな産業の育成ということで、次の新たな産業の芽の育成、あるいはここの(1)、(2)の事業数でございますが、これらについては、それぞれ七つの重点分野が新科学振興指針にございますので、それらに沿った研究の推進ということになっております。
まず、海洋について説明させていただきますが、平成27年度の海洋研究拠点形成促進事業につきましては、三陸沿岸に立地する研究機関の連携によって研究基盤の強化を行おうということで実施させていただいておりまして、関連する部分とすれば、(5)の海洋等の国際研究拠点の形成になります。この海洋研究拠点につきましては、例えば平成27年度は海洋調査研究船を3隻、望星丸、かいれい、新青丸など、こちらで呼んで、公開させていただいて、まず、基盤となる部分の海洋研究の理解増進に努めたところでございます。合計で2、300人を超える方々が見えて、理解増進につながったのではないかと思っております。
それから、海洋エネルギーの拠点構築につきましては、まさに釜石市の実証フィールドの利活用促進、それから、洋上ウインドファームの事業化は、洋野町の着床式の風力発電を進めるということでございまして、今、国等の委託事業等も導入しながら、事業化あるいは利活用促進に向けて取り組みを進めさせていただいております。今般、冒頭の質問のありました海洋関係につきましては、主に(5)の部分でございまして、さまざま基盤づくりから海洋研究の促進といったものに取り組ませていただいて、着実にといいますか、着々と一つ一つ取り組んでいるところでございます。
〇樋下正信委員 中身については今お聞きしたんですけれども、そういった中で、この研究会なり講演会など、開催回数は17回となっているということでございます。こういった中で、人数もそれなりに参加しているというようなことでございますけれども、この費用対効果といいますか、その辺の部分と、あと、県民の方々がどの辺まで理解をしているのかなと。私自身も含めて、なかなか県民の方々に理解が進んでいないのかなというのが私の実感でございます。
次年度もまた続けて行われる事業もあると思いますけれども、その辺の次年度に向けての取り組みについて、また、どういう形でというか、同じという話になるのかどうかあれですけれども、お知らせ願えればと思います。
〇佐々木科学ILC推進室長 委員御指摘のとおり、理解につきましては十分に浸透しているかと言われると、まだまだの部分と認識しております。
昨年度も研究成果を地域の漁業者あるいは地元の方々にまず理解していただこうということで、フィードバック講座といったものを開催する、あるいは、直接研究者が漁業者に説明する機会でございますが、そういったもの、あるいは内陸の盛岡市でも、海洋の研究の理解を進めていただきたいということでシンポジウムを開催する等々、数回にわたってフィードバック講座あるいはシンポジウムを開催させていただきました。
投資対効果あるいは理解度の増進につきましては、まさに、今、課題を持って理解増進に取り組んでいるということでございます。今年度を初め、そういった理解増進に密度濃くやるべく、限られた予算ではありますが、理解浸透に努めているところでございます。
〇樋下正信委員 いずれ今の課題は課題といたしまして、ILCのほうの関係にもつながってくる部分があると思いますので、精力的に外に向けて、こういうことをやっているんだということにぜひ取り組んでいただくようにお願いして、終わります。
〇田村勝則委員 私からは、まず、公共交通の確保策についてお伺いいたしたいと思います。
IGRいわて銀河鉄道の健全経営ということについては、我が会派では要望書も提出しているところなわけでございますが、現実問題として、私も、最初の一般質問で取り扱いましたけれども、第三セクターという事業全体が、立ち位置からしても非常にゆるがせにできない事業であるとまず感じております。私自身、町議会のほうにもかかわってきたわけですけれども、各自治体にとっても、この経営というのはやはり大きな事業でございまして、県としてもしっかり取り組んで自治体に対しては支援をしていかなければいけないと思いますし、県も直接的にかかわっている事業については、ゆるがせにしないように、しっかりとチェック体制も厳重にしていかなければいけないと考えております。
そういう意味で、まず最初に、IGRいわて銀河鉄道の平成27年度の決算状況の中で、黒字に推移してきている状況ではあるわけですが、その決算内容と現状、そしてまた、今後の対策についてお伺いしたいと思います。
〇大坊交通課長 ただいまIGRについてのお尋ねでございました。直近の平成27年度の決算状況について御説明いたします。
営業収入につきましては42億8、960万2、000円、営業経費は41億9、704万9、000円、当期損益は1億740万4、000円の利益計上となっておりまして、5期連続の黒字を達成してございます。
なお、今後どうしていくのかという部分ですが、今お話ししましたように5期連続黒字でございまして、財務的には累積での損益で6億5、000万円ほどの利益剰余金により、内部留保に厚みを増してきてございます。まずは、しっかりと足元を固めながら、本業であります旅客鉄道業、県民の足でございますので、こちらをしっかり運営していくというのが基本軸であろうかと思います。県のほうでも、そこら辺のところはしっかりガバナンスしてまいりたいと考えております。
〇田村勝則委員 今のところは非常に順調に推移しているという実績値なわけですが、このいろいろな書類を見てもそのようなことが書いてあるわけですけれども、一方、例えばこのいわて県民計画実施状況報告書の中の165ページ、特記事項にもあるように、本県のみならず、1人当たりのいわゆる公共交通の利用者数は減少傾向にあるということで、評価としても、例えば1人当たりの年間利用回数はDということになっているわけですね。それで、この中でIGRに関する特記事項を読みますと、寝台特急が廃止されたこと等により利用者数が減少しましたというようなことで、達成度からいきますと達成しかねたというような中身になっているわけです。
当然この利用者数というのは、人口減少社会に向かっていくわけですから、目標値を達成していくためには厳しいと。しかしながら、その努力をしていかないと、将来を見通していく場合に、運営自体に大きなダメージになってくるのではなかろうかと存じます。
そこで、まず、決算状況はそういう状況ですが、新たな事業も展開しておられるということも承知しているところでございますけれども、公表できる部分があれば、事業別の状況、さらには従業員の推移というものも、過去数年に比べればかなり従業員数もふえているということで承知しておりますが、その従業員増の要因となって、いわゆるどのようなよい効果が成果としてあらわれているのか、その辺についてもあわせてお聞きしたいと思いますし、県と第三セクターとのいろいろな協議事項等もあると思いますけれども、平成27年度、現場に足を運んだりして、どのような協議をしたりしてきたのかということについても、あわせてお伺いしておきたいと思います。
〇大坊交通課長 ただいまお尋ねが何点かございました。
まず、第1点目ですが、事業別の動向という部分ですが、IGRにおきましては事業別の決算報告というものをいたしておりませんで、大まかな内容を申し上げますと、営業収入に着目いたしますと、鉄道事業本体につきましては、旅客運輸収入が14億1、081万8、000円、貨物線路使用料が26億3、070万1、000円、合計40億4、151万9、000円となってございます。
また、そのほか、運輸雑収を含みます関連事業という分野も展開しておりますが、これは収入ベースで2億4、808万2、000円の決算となってございます。事業構造といたしましては、当然のことながら、鉄道事業がコア事業であるということで、9割以上は鉄道事業の収入になっているということでございます。
2点目は要員の関係でございました。要員につきましては、直近の要員、平成28年4月1日現在でございますけれども、社員数が214名でございまして、内訳といたしましては、JRからの出向が29名、プロパー社員が185名となっております。
あと、推移についてのお尋ねでありましたが、大分さかのぼって恐縮ですが、開業時、通年で開業したのが平成15年度になりますが、会社ができたときには社員数が180名おりました。そのうちJRからの出向が145名、プロパー社員が33名等となっておりまして、平成28年度、先ほどの数値と比較いたしまして、社員数が34名ふえているという状況であります。
また、もう一つ言えるのが、今申しましたとおり、開業時にはJRの社員がかなり来ていたわけなんですが、いわゆるプロパーの比率、プロパー化率と呼んでいますが、開業時は18.3%ぐらいでしたが、直近、平成28年度では86.4%となっておりまして、自社の要員によって自律的な運営がなされているという状況でございます。
あと、効果ということのお尋ねがありましたけれども、重ねてになりますが、こういった形で、JRからの出向で徐々に技術を移しかえていただいて、今はもうしっかりとプロパーによる経営に移っている、こういった部分で要員の切りかえがうまくいっているという効果が一つあると思います。
あと、30名強ふえておりますけれども、この路線、東北本線が電化になってから50年強たっておりますので、老朽化等も進んでおりますから、それなりの保守体制も組まなければならないという中で、この増員が非常にきいていると評価してございます。
あと、平成27年度のIGRとの協議状況といったような部分でありますが、主には、私どもはIGRとは株主総会あるいは取締役会といったところで経営にタッチさせていただいておりまして、本年度の株主総会、取締役会につきましては、知事、政策地域部長が取締役になっていますが全て出席してございます。こういったところでしっかりと経営を見ていくという部分がございますし、そのほか、沿線の市町村と私ども県でつくる利用促進協議会というのがありまして、そこで課長が集まって、実務レベルでの意見交換などもしてございます。ことしはもう2回ぐらいしておりますが、これにつきましても頻度を上げながらコミュニケーションをとっていきたいと考えております。
〇田村勝則委員 いずれ、公共交通の確保あるいは健全経営、そしてまた雇用の部分でも大きく人員もふえていくという、非常に今のところはまず順調な推移をしているということでありますが、答えは現場にあるとよく知事もおっしゃっておられるわけですけれども、協議をするに当たっては、県としての状況もしっかりと点検をしながら、具体的な、効率的な指導をすることによってさらに成果を上げていただくように期待を申し上げて、この点については終わります。
2点目でありますけれども、部長からの報告にもございました、携帯電話不感地帯の解消策についてでありますが、私自身、大地震大津波のときに、最初に山田と連絡がとれたのは衛星電話でございました。船に乗っている同級生から衛星電話で山田の情報を最初にとったわけですけれども、これだけ情報が氾濫している時代ですけれども、いざというときに情報が入ってこないというのは、非常に住民にとっては不安感をあおるということにつながっていくわけです。そういう意味で、情報媒体をしっかりと整えていくということが大切だと思うわけですが、これは4会派で意見書を発議して国にも要望してあるわけですけれども、県としても、さらに県内の不感地帯の解消策を助長していただくように努力をしていただきたいと思うわけですが、これまでの取り組みと今後の対応策について、市町村が進めるということもあるわけですけれども、一方では、県としてもう少し主体的に取り組んでいただくということも必要だと思いますので、お伺いをしておきたいと思います。
〇菊池情報政策課総括課長 携帯電話の不感地域対策の御質問と捉えましてお答えさせていただきます。
民間事業者による整備が進まない中山間地域等の条件不利地域においては、国の補助事業を活用して、市町村による基地局施設の整備を推進しているところです。
この事業の実施に当たりましては、携帯事業者の同意が必要でありますので、県では、毎年、市町村の要望を取りまとめた上で、携帯3社に要望活動を行っております。
平成27年度においては、遠野市の3地域及び葛巻町の計4地域でこの不感解消の事業を実施しておりまして、本年度については、遠野市の2地域で事業を実施しているところです。
なお、本年度におきましては、次年度、平成29年度の整備事業について要望を行ったところですが、その結果、現時点で、4市町の5地域で事業者の同意が得られる見込みでありまして、近年では、比較的多くの地域で事業者の同意が得られたものと考えております。
携帯電話事業者への要望におきましては、市町村が補助制度を活用して、みずから基地局整備を行う場合において、事業者の同意を要請するとともに、事業者みずからにおいて整備を促進していただくといった要望もあわせて行っておりますので、今後も引き続き、委員御指摘のとおり、災害時の通信手段としての重要性なども強く訴えながら、市町村による整備に加えて、事業者みずからの不感対策の促進についても働きかけを行っていきたいと考えております。
〇田村勝則委員 前回、要望書を提出するときにも、県内の不感地帯の箇所は九十数カ所と承知しておるところでございましたが、実際、自治体とすれば、早目にみずからの地域の不感地帯の解消をしてほしいという思いは強いと思うんです。そういう中で、今の状況で推移をしているわけでございますけれども、ぜひ、そういう意味では、しっかりと各自治体の思いも受けとめながら、県としても新たな指標となる県民一人一人の幸福度を上げるためにも、あるいは希望郷いわてを構築していくためにも、この情報格差というのにしっかりと対応していかなければいけないと思いますので、もう少し上の方といいますか、極端に言えば、携帯3社は、報道によれば黒字を計上しているという状況であるわけですので、トップセールスなどを交えた対応策をしていただいて、この解消策にさらに努めていただきたいということを強く申し上げたいわけですけれども、その方策について、部長はどのようにお考えであるかお聞きして終わりたいと思います。
〇大平政策地域部長 市町村では約100カ所、不感地帯の解消を要望いたしました。そのうち、補助制度で整備を希望するのが約半分、50カ所程度でございます。
今回の台風災害を見ましても、やはり情報というのは非常に重要であると。もちろん、震災からもそうでございましたが、改めて認識したところでございます。人が住んでいるところに限らず、道路などを通りましても、そういうことは必要不可欠のインフラになってきていると感じてございます。
これまでは、事業者への要望は支店レベルで行ってございますけれども、情報政策課総括課長などが意見交換を行った段階では、東北支社レベルで受けた要望については、本社とも共有の上、事業実施について支社の権限で判断しているということもございましたので、必要に応じて、やっぱり本社などもう少し高いレベルに働きかける必要もあるかと思ってございます。そのような場合には、私がみずから行くということも含めて、あるいは、さらに必要な場合は、その上の知事、副知事にお願いすることが必要なのかもしれませんが、まずは、私のほうで必要な対応をしてまいりたいと思ってございます。
〇佐々木努委員 先ほどのIGRの件で、1点だけ確認をさせていただきます。もちろん通告していませんので、簡潔に質問します。
先ほど、本業以外の部分、事業種ごとに収支の状況が公表されていないという話を交通課長がされましたけれども、IGRでは、焼き鳥屋とかコンビニ、それから物販、レストラン、それぞれ経営をされていると思いますが、それらの経営状況というのは、我々は知ることができないということなんでしょうか。
〇大坊交通課長 先ほど関連事業については御答弁申し上げました。一つは、IGRにおきましては、いわゆるセグメント別、事業項目別の決算をしていないということで、もちろん会社によっては、関連事業部門とか鉄道事業部門と分けているところがございます。IGRでは、そういう決算の方式をとっていないということで、公表資料の中ではお示しできないというお話が一つございます。
しかるに、2点目ですが、今言ったような関連事業、焼き鳥屋とか物販といったような部分につきましては、何分、IGRも三セクとはいえ会社法人でもありますので、事業情報ということでなかなか表に出しにくいということがございまして、会社において公表していない、あるいは公表になじまないという意向が示されてございます。
ただ、もちろん動向につきましては私どもも話は聞き及んでおりまして、大まかに言いますと、いろいろな関連事業がございますが、開業15年ごろから始めております一番古い不動産業につきましては、沿線に学生が張りついてきてアパートなどの申し込みも多いということで、かなり順調に来ていると聞いております。あと、平成26年以降から力を入れている、先ほど言われた焼き鳥屋とかの部分なんですが、そこで一番大きい観光部門につきましては、上半期の状況で、昨年同期を若干上回る売り上げを出しているということで、おおむね順調ではないかと聞いております。あと、焼き鳥屋、物販につきましては、率直なところを申し上げますが、周辺にも競合の店舗が多くて、なかなか苦戦しているという状況を聞いてございます。
なかなか具体的な数字は申し上げられませんが、IGRでは、平成27年度の運輸雑収と関連事業収入、これに平成28年度計画では1億4、000万円ほど収入を上積みしたいという計画を持っておりまして、まずはこの計画に向けて着実に営業を強化していくという予定と聞いてございます。まずは、そこら辺の動きをしっかりと注視していきたいと考えております。
〇軽石義則委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇佐々木努委員 済みません、最後1点だけにしますが、うまくいっていない事業も結構あると今おっしゃっていましたけれども、私もそういう話を随分と聞いているわけでありますが、それは県はしっかりと把握しているわけであって、株主総会あるいは役員会等でそういう話が出てくるはずなんですけれども、実際にそういう指摘を会社のほうに、県としてしているのか。
それから、これからもさまざま本業以外の他部門の事業を展開しようという動きがあるやに聞いていますが、それらに対して、本当にそれが間違いなく経営を安定させることにつながるのかということに対してさまざまな問題提起をされているのか、全く、もう、会社でやることについては、全部、県も支援するからという形でやっているのか、その辺の協議の中身というんですか、やりとり、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
〇大坊交通課長 ただいま二つほどお話がございました。一つは、今ある事業をしっかりとつかんで、うまくないことがあれば指摘しているのかといった部分ですが、これにつきましては、まず、そういう状況を把握すれば、取締役会の中ではしっかりと御指摘させていただくということになります。また、事務的にもいろいろなチャンネルを持っておりますので、その中で、そういう不調になっているという動きがあれば、その都度、お話は差し上げるということになろうかと思います。
あと、新たな事業の動きへの対応につきましてですが、これももちろんのことですが、取締役会には必ず付議するということになっておりまして、その中で、県、沿線市町村が取締役になっておりますが、しっかりと議論をした中で方向性を固め、事業展開をするというのが基本的なスタンスでございます。
〇佐々木努委員 私が聞いたのは、そういう指摘をしたのかということです。することになっているではなくて、そういう指摘をされたことがあるのかということをお聞きしているんです。
〇大坊交通課長 そのような指摘というか、どの水準の指摘になるかはわかりませんが、問題のある部分については、助言あるいは指摘というのか、お話は差し上げた経緯はございます。
〇佐々木努委員 わかりました。いずれ、県として、どの事業がどういうふうに問題があって、これからそれを継続すべきかやめるべきかというのは、しっかりと株主としてIGR側に伝えて、会社の暴走とまでは言いませんけれども、私は、会社が考えるままのそういう経営をさせるべきではないと思います。実際に、社員の方とかその他の方々からさまざまな指摘があるような中で、今の経営を続けていけば、私は、IGRはいずれ破綻に向かって進むと思います。それは何度もこの議会でも取り上げてきたことでありますけれども、もう一度、県としては考え方を整理して、IGRとのさまざまな協議に臨んでほしいと思いますが、部長の所見をお伺いします。
〇大平政策地域部長 私も取締役でございますので、先般の取締役会において、会社のほうで、大きな問題ではないんですけれども、事例と捉えず、事後報告ということがありましたので、経営にかかわること、あるいは新たな事業展開、事業の部門ではありませんがその中身でありますけれども、そのようなことも必ず取締役会に事前にかけるべきであるということを席上で申し上げました。
基本的な考え方は、課長から申し上げたように、県民の足を守るという一大使命がございます。そのために、新たな事業に参画して、黒字転換の見通しのもとで行われた上での、一時的な赤字は、それはあってもしかるべきとは思いますが、赤字が拡大するあるいは黒字転換が見込めないということがあれば、それはしかるべき経営の判断を仰ぐ、経営判断をするべきであるし、株主としてもそのようなことは当然求めていくべきと考えてございます。
そのような視点は常に持ちながら、IGRとの意見交換、あるいは取締役会、株主総会に臨んでおりますし、これからは議会でのさまざまな御意見も踏まえ、さらにその辺は注視してまいりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 私は、今、被災地に派遣されている市町村の職員のことについて伺いたいと思います。
県内の各市町村は、職員数の1%の割合で被災地に応援職員を派遣しております。今現在、実績として、総人数、何人派遣されているでしょうか。
それから、来年度から、全国からの応援職員の減少が心配されるという中で、各市町村にも増員が求められてくるのかどうか、その方向性はいつ示されるものなのか、伺いたいと思います。
〇石田市町村課総括課長 県内市町村からの応援職員の派遣についてでございますが、平成25年度から、沿岸の被災市町村を除く県内21市町村に対し、行財政改革の厳しい中で、無理のない範囲ということで、職員数の1%を目標とした職員派遣の協力をお願いしているところでございまして、本年度は、計76人の派遣要請に対しまして、73人の職員が派遣されているところでございます。
次に、被災市町村からの職員の派遣に係る要請状況と、それから方向性についてでございます。
まず、最初に、全国からの応援職員の減少が心配されるというお話がございました。これにつきましては、来年度以降の全国自治体に対する職員派遣については、被災3県合同訪問による要請活動を現在も行っておりまして、継続した職員派遣をお願いしているところでございます。訪問した多くの自治体からは、継続した職員派遣への御理解をいただいているものと認識しているところでございます。
また、増員が求められてくるのかというお話でございましたが、現在、平成29年度の派遣職員の必要数について被災市町村に照会したところ、現時点では702名のマンパワーが必要と見込まれておりまして、本年度とほぼ同じ規模の職員が必要となっているところでございます。
こうしたことから、職員派遣の方向性をいつ示すのかというお話でございましたけれども、本年度と同様に、職員数の1%を目標に職員派遣のお願いをしたいと考えておりまして、来週11月22日に開催する被災市町村人財確保連絡会議において、各市町村に対しまして丁寧に御説明の上、協力依頼をしたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 無理のない範囲でとか、丁寧にお願いするということですけれども、県内各市町村も本当に厳しい状況の中で派遣をしております。それで、派遣されている方の声というのがあって、私ども地方自治研究会なんてやって、この間シンポジウムをやるはずだったんですけれども、台風被害で開催できなくて、レポートが表に出なかったのがあって非常に残念なんですが、応援職員として派遣された経験を持つ方々からの声が出されております。
今、被災地では、専門的な業務とか知識、経験を持っている職員を求めたいようだと。ですが、派遣するほうの市町村はそういう状況にない。それから、県との調整の中で、勤務内容を県と調整しているわけですけれども、でも、派遣されると希望したような業種にはつけないという状況があったり、それから、被災地での勤務の中で、現地の職員の方々は残業もして本当に頑張っていらっしゃるし、応援されている職員に負担をかけないようにと、すごく気を使ってもらっているけれども、でも、それも申しわけないと思うし、役に立たなかったのではないかと心苦しく思ったりすることもあるというような声もありました。そういった中で、現地の本来の職員の方々は、大変に厳しい状況の中で仕事をしているということを実感した。それから、応援職員の働き方の問題で、未経験の分野とか能力以上の仕事を任せられることもあって、精神的に追い込まれてミスをしてしまった。でも、言えずに、そのミスが大きくなって騒ぎになってしまった、迷惑をかけてしまったという例などもあって、本当に大変だという声があります。
それに対して県は、被災自治体を訪れて、困っていることがないかとか聞いてくれたりしたと。そういうこともありがたかったし、それから、派遣している側の総務課とかが行って声をかけてくれたりして、そういったこともケアにつながったということもあります。ホームシックになって帰りたいと泣きついた職員もいるとか、本当に大変な状況の中で職員は、派遣するほうもされるほうも、お互いに大変な思いで協力をし合っています。でも、復興にとにかく役に立とうという心構えで頑張っている。頑張ったけれども、今度は派遣が終わって戻ってきて、燃え尽き症候群みたいになっている職員もいるんです。本当に厳しい状況なんだなと思っております。
それで、今の答弁の中で、来年度も同様の規模をお願いしたいということですけれども、各市町村でも新規採用の手続も終わっておりますし、任期付職員の契約更新という悩ましい問題を抱えております。
そんな中で、今度は台風被害の岩泉町とか久慈市、そちらに対しても派遣を求められてくるのではないかと。協力もしたいけれども、現実的には大変厳しい状況なんですけれども、そっちの状況はどうですかというのが市町村の悩みでもありますが、いかがですか。
〇石田市町村課総括課長 台風被害を受けた被災市町村への職員派遣についてでございますが、現在、本年度におきましては、発災以降、総務委員会で答弁させていただいたんですけれども、これは応急対応ということで各市町村にお願いして、また、市町村自体も自発的に大変なところに行って応援していただいて、短期ではございますけれども、被災市町村の職員に対するフォロー、応援をしていただいているところでございます。
来年度以降の話でございますが、平成29年度におきましても、台風被害による災害復旧業務など、多く発生することが見込まれております。そのために、復旧を着実に行うための人材確保が必要となっておりまして、現時点で最も被害が大きい岩泉町からは18人、それから久慈市から5人、宮古市から9人、計32人の応援職員の要請を受けているところでございます。
職種別におきましては、公共土木施設等の復旧を担う土木職員が26名と、最も多くなっておりまして、このほか、用地事務等に従事する一般事務職員なども求められております。
こうした中で、委員から御指摘がございましたが、さらに増員を求められるのかというお話につきましては、先ほど申し上げましたが、我々といたしましては1%の範囲内の中で調整をさせていただきたいと考えております。
こうしたことから、来週、先ほど申し上げましたが、11月22日に開催する被災市町村人財確保連絡会議におきまして、県内市町村に対し、あわせて1%の範囲内で、台風被害それから大震災の応援について協力をお願いすることとしております。しかしながら、土木職員の派遣というのは、全国的にも今かなり求められているところでございまして、本当に県内だけで確保できるのかということもございますので、確保が難しい場合、これは国や東北市長会とも連携して、県外の自治体にも働きかけていきたいと考えております。
〇軽石義則委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇佐藤ケイ子委員 これで終わりますけれども、今、岩泉町に私の出身のところから派遣されているのは、4人か、6人か、久慈市に2人か、罹災証明を発行するなどで短期で派遣されている職員はすごく感謝されて、ありがたいということを現地で言われて、逆に元気になって帰ってきているんです。それからあとは、土木で、災害査定で行っている職員もいますけれども、大変厳しい状況なので協力をしなければならないと思うと、上司にも言うということでしたが、なかなかそれは全体的な職員数が厳しい中で、本当に各市町村も大変な状況にあります。そうした中で、県もサポートをしていただくように、派遣職員にも声がけをしていただくようにお願いをしたいと思います。
〇工藤勝子委員 私は第3期アクションプランに盛り込まれております人口減少対策についてお伺いいたします。
この第3期アクションプランにおいては、岩手県ふるさと振興総合戦略において、人口減少に歯どめをかけることを目的として策定されていると思っております。それで、平成28年度も後半になってきているわけですが、平成27年度から人口減少対策にどう取り組んでいらっしゃったのか、お聞きいたします。
〇小野政策監 人口減少対策の取り組みについてでございますが、岩手県ふるさと振興総合戦略にあります岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、この三つの柱に基づきまして、さまざまな取り組みを行っております。
まず、岩手で働くの関係でございますけれども、いわてで働こう推進協議会によります若者、女性の県内就職、それから創業支援の推進に向けた県民運動的な取り組みを進めております。また、ものづくり産業の振興に向けまして、企業の取引拡大、生産性の向上に対する支援などに取り組んだところでございます。
それから二つ目、岩手で育てるの柱でございますが、子育てしやすい労働環境の整備に向けた普及啓発でありますとか、“いきいき岩手”結婚サポートセンター、いわゆるi-サポにおけるマッチングなどに取り組んだところでございます。
三つ目、岩手で暮らすの柱に基づきまして、例えば海外とのネットワーク形成を通じたグローバル人材の育成、世界遺産、伝統芸能を初めとした文化芸術の保存、継承の取り組みなどによりまして、豊かなふるさとを支える基盤の強化を図ってきたところでございます。
こうした中ではございますけれども、平成27年の人口統計によりますと、東京圏への一極集中の加速化などを背景に、社会減が前年よりマイナス幅が拡大しております。一方で、出生数は8年ぶりに対前年0.2%、わずかではございますけれども増となったところでございまして、市町村それから関係機関と連携のもと、地方創生推進交付金など国の財源も有効に活用しながら、引き続き取り組みを推進してまいります。
〇工藤勝子委員 各市町村においても、この人口減少対策には非常に悩んでいるというんですか、どのような戦略を立てていったらいいのかということで、非常に苦労しているわけでもあります。そういう中において、市町村での取り組みをどう把握されているのか。この人口減少に対して、この戦略の中で情報をどうやって共有しながら、県としても、こういう取り組みの中で今すぐ効果は出てこないんだろうと思いますが、今お話のありましたように、結局は県内から出ていく人たちもあるわけでありますので、市町村の取り組み、県の取り組み、この辺のところの、しっかりとすみ分けするわけじゃなくて、一緒に情報を共有していかなければならないだろうと思っていますけれども、この人口減少対策について、先ほどお話が出た働く、育てる、暮らすというものを、市町村と情報を共有されていらっしゃるのか、お伺いいたします。
〇小野政策監 委員御指摘のように、各市町村におきましても人口ビジョン、それから総合戦略を策定し、県、市町村が一体となって、人口減少対策について取り組んでいるところでございます。
平成26年に設置いたしました県・市町村人口問題連絡会議の場を活用しながら、市町村と県が情報共有を図っております。また、平成27年度に広域振興局に配置いたしました市町村の窓口となるふるさと振興監を中心に、個別の相談対応などを行ってきたところでございます。
また、さらに、市町村の総合戦略に係るさまざまな施策の推進に向けまして、岩手県立大学と連携して、市町村の地方創生に係るさまざまな課題解決の取り組み、それから成果などにつきまして意見交換会、成果報告会などを開いて、さまざまな意見交換、情報共有を進めております。
また、国が構築いたしました地域経済分析システム、いわゆるリーサスと呼ばれておりますビックデータを活用したシステムでございますけれども、これを市町村の政策立案、それから効果検証に生かすための研修を本年度行っているところでございます。
このように、県と市町村が連携をするに当たって重要な要素と考えられますのは、人材の関係、それから情報、データ、そして国の交付金等を活用する財源といったものがございますので、ここをうまくつなげまして、より県と市町村が効果的な施策を展開できるように、支援、連携を行っているところでございます。
〇工藤勝子委員 たしか知事も、社会減ゼロを目指すという話をされておりました。結局は、出て行く人をゼロにするというよりは、入ってくる人と出ていく人を差し引きして、とにかく入ってくる人を多くしようという目標なんだろうと思っていますけれども、これが平成30年度までの総合戦略の中でゼロを目指すということなのかを確認したいと思いますが、いかがですか。
〇小野政策監 総合戦略の中におきまして、社会減ゼロを目指すという目標を立ててございます。その前提といたしまして、やはり一番重要なことでございますけれども、東京一極集中の是正を積極的に行っていく必要があると思っております。
そのためには、一つは、国が国家的な戦略といたしまして、東京一極集中の是正を積極的に経済財政政策等を発動しながら進めていただく、これが重要と考えております。あわせて、岩手県を初め各都道府県、市町村におきまして、それぞれの特徴を生かした人口減少対策を行っていく、この二つの取り組みなくしては、社会減ゼロといった取り組みは極めて難しいと考えておりますけれども、先ほどお話をいたしました三つの柱に基づきまして、県としまして、できるだけの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 東京一極集中を是正するという話でありました。では、これを地方から声を上げていかなければ、多分これは進まないんだろうなと思っております。この是正に向けて、県としては国にどういう提案をしていこうとしているのか、お伺いいたします。
〇小野政策監 東京一極集中の是正でございますけれども、国におきましては、地域産業の例えばイノベーション創出でございますとか、農林水産業を成長産業化するといったような取り組みを国のプロジェクトの中でも立ち上げているようでございます。
県といたしましても、県が取りまとめましたふるさと振興総合戦略において、まさにそういった農林水産業の部分、それから地域産業の部分、こういったものも強く盛り込みまして、一つには岩手で働く、ここについてしっかりと取り組もうといったことでございますので、そういったところでは、流れ、方向性は一緒と考えております。ただ、その上で、地方重視の経済財政政策を実施していくといったところが、国における東京一極集中是正の取り組みの中で特に重要と考えてございます。そのため、県といたしまして、地方創生、東京一極集中是正のためのさまざまな新たな交付金等を活用してございますけれども、さらに使い勝手のいい自由度の高い交付金化でございますとか、そうした地方重視の経済財政対策がとられるような施策について、国に対して要望、提言を行っているところでございます。
また、昨年度行いましたさまざまな国の機関の地方への移転といったこともございまして、ある程度の成果は得られつつ、残念ながら、本県に対しては直接的な移転はございませんでした。国のそういったさらなる一極集中是正のための取り組み、こういったものもどういった方向がこれからとられていくのか注視しながら、県としても積極的にそこらは働きかけていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 東京一極集中是正に対して、なかなか国も動きが悪いと、私はそのように思っているんです。もっと積極的に地方の声を上げてほしい。なぜ地方創生ということを出してきたのかということに対しても、まだまだ国の取り組みというのは大事だろうとは思っていますけれども、県からもぜひ強力に働きかけてほしいと思っております。
関根委員からも、定住、交流促進の話がございました。その中で、確かに平成30年度までに、定住、交流の中で、定住される方1、387人の目標をクリアしたわけでありますけれども、だけれども、私は幾ら資料を見ても、では、県内から出た人数がわからないんです。これはなかった。私は見つけられなかった。あったかもしれませんけれども見つけられませんでした。そういう中において、では、岩手県から県外に出られた人をどう把握されているのか。特にも震災からもう5年8カ月がたちました。福島の原発事故もありまして、遠野から九州のほうに移住していった方もあります。そういう中で、平成27年度でもよろしいんですけれども、震災後、岩手県内から他県に、どのような方々が、どのくらいの人数が出られたのかお伺いいたします。
〇小野政策監 県内から県外への移住、定住者数の把握でございますけれども、県外から県内への移住、定住者数につきましては、就職、就農関連の移住者、それから各市町村への定住情報等をもとに、県において数値の取りまとめを行っている一方、委員御指摘のとおり、県内から県外への移住、定住者数については把握が困難な状況でございます。これは、各市町村におきまして、転出時にその理由を確認しておりませんので、どうしても、そこで移住、定住というような理由で外に出ているのかどうかの把握が困難な状況でございます。
なお、直近の平成28年における県外への転出者数は、合わせて2万1、780人となっております。この中に、県外へのいわゆる移住、定住者数でありますとか、県外への就学あるいは一時的、短期的な就業といった方々も含まれていると考えております。
いずれ、今後、国勢調査の人口移動集計などが年明けにも公表されるとのことでございます。直接的には、県外への移住、定住者数を、それをもちまして把握することは困難でございますけれども、そうしたデータも活用し、可能な限り、詳細な分析を進めていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 国勢調査ということもありますけれども、把握できないのかなと。就職とか進学とかで住所を移す人は多分わかるんだろうと思いますけれども、新たに御家族で移っていくという方々の把握というのは確かに難しいのかなという思いもしました。でも、現実がわからないと、歯どめをかけられないのではないかと私は思っているところでありまして、そういうところも把握できればいいなと思っているところであります。
この人口減少問題に関しましては、それぞれの市町村においても、産業振興、農業もそうですし、商工業もそうですし、医療、福祉の面、さらには高校再編もあります、高等学校統合問題、さらには地域づくり、今、防災のさまざまな組織というのも地域でつくられているわけですけれども、その地域を守る、地域づくりをする人たちにも非常に問題が出てきております。また、遠野にはさまざまな郷土芸能があります。何とか引き継いでいるわけですけれども、ここの文化芸術、郷土芸能を守っていくため、継承していくためにも、この人口減少、後継者、担い手という新たな問題が発生しているところでもあります。
そういう中において、何年か前に、消滅集落とか限界集落とかという言葉が出てまいりました。特にも地方創生会議の中で、逆に市町村まで消滅するのではないかという提案もあったわけであります。そういう中において、今対策をとっているわけですけれども、現状のままで人口が減少していくとすれば、今後、岩手県の人口推計というのは、例えばどのように変化していくと捉えているのかお伺いいたします。
〇小野政策監 今後の人口形態等でございますけれども、仮に追加的な対策がとられずに、現在の出生動向に変化がなく、社会減が一定程度収束はするものの継続するという形で、現状そのまま引っ張っていったという形の仮定でございます。これは国立社会保障・人口問題研究所の推計がございます。
これによりますと、岩手県の人口は2040年には93万8、000人になり、人口構造でございますけれども、高齢者の割合が高く若年層の割合が低い、逆ピラミット型になるということが見込まれてございます。
なお、昨年、岩手県が行いました岩手県人口ビジョンに基づく推計でございますけれども、この国立社会保障・人口問題研究所の推計にさらにさまざまな仮定を上乗せして推計を行っておりまして、例えば出生率が人口置きかえ水準であります2.07に回復するとしたケースでは、2040年98万6、000人、それから出生率の向上、それから社会減ゼロが実現するとしたケースでは、2040年の人口は103万9、000人と見込んでおります。この場合、人口構造であらゆる世代が安定し始める、いわゆる定常状態に向かっていくといったような推計もございますので、先ほど一番初めに申し上げました追加的な政策がとられずに、2040年に93万8、000人に至るといった危機的なケースをしっかりと認識しながら、そこにしっかりとした人口減少対策を打っていく取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 人口動態というのは、1年、2年で変化するものでもないでしょうし、そういう中においてさまざまな施策を進めているわけであります。だから市町村でも、自分の市町村は消滅してたまるかという形で頑張っている市町村もあるわけです。そういう中において、ぜひ県と市町村が一体となって、今後、この人口減少対策にしっかりと取り組んでいかなければならないと思うわけであります。
そこで、県としてのそれぞれの各自治体に対する助言とか指導とか、情報の共有とかもされていると言っていますけれども、支援策も県として考えていかなければならないのではないか。特に子育てだとか、さまざまなふるさとの地域づくりに関するものとか、住みよい環境づくり、住みよいまちづくりを進めるためにも、県としての各市町村への支援に対する考え方をお伺いして終わりたいと思います。
〇小野政策監 人口減少対策に向けた市町村への支援策といったことでございます。
先ほど委員の御指摘のとおり、人口減少対策につきましては、県、市町村が一体となって、市町村のそれぞれの特徴を生かしながら取り組みを進めていく必要がございます。全県的な、広域的な対応につきましては、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすといったような三つの柱に基づき、これは当然県の取り組みではございますけれども、各市町村にも効果が波及するものでございますので、これを県の役割として進めてまいります。また、各市町村におきましては、地方創生推進交付金、国の制度、財源等も活用しながら、現在、広域的な観点も含めて取り組みを進められているところでございますので、まずは財源をしっかりと活用することが重要と考えております。
全国そして岩手県内でも、さまざま先進的な取り組みも行われておりますので、先ほどお話を申し上げました市町村との連絡会議、あるいは県立大学とのさまざまな勉強会の場を通じまして、そうしたよい取り組みを横展開していきまして、これをしっかり進めてまいりたいと思います。そうした財源を活用することによって、直ちに人口減少が解消されるといったわけではございませんけれども、着実に人口ビジョンで目指した姿に近づいていくことができるように取り組みを進めてまいります。
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時54分 休 憩
午後1時2分 再 開
〇中平均副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ18人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇阿部盛重委員 午前中に関根委員から移住、定住、それから工藤委員からは人口減少というお話がありましたけれども、私は、若者の人口減少対策についてお伺いいたします。
2015年の国勢調査によりますと、被災した沿岸部を見れば、12市町村の人口は25万1、465人、10年前の調査からいきますと2万2、621人減少しました。しかし、20代から30代の若者世代はふえている実態であるところから、若者の減少率が縮小されたのは、U・Iターンを含め、沿岸部に若者がとどまり活動していることによると思われます。
雇用と労働環境の整備が必要と思いますが、若者、女性が活躍できる社会の現状をどのようにお考えかお伺いいたします。
〇小野政策監 平成27年国勢調査結果を見ますと、沿岸12市町村の人口でございますけれども、前回調査と比べまして、全ての年代で減少となっております。先ほど委員からお話がございましたが、20代から30代前半の若者に着目いたしますと、その減少率でございますが、前回調査マイナス19%に対し、今回はマイナス13.2%と、その減少率が緩和しているところでございます。
また、全県と比較した場合ですが、全県では、総数の減少率がマイナス3.8%ございます。若者、20代から30代前半の若者の減少率はマイナス12.7%と、他の年代に比べて全県では若者の減少が顕著でございます。一方、沿岸を見ますと、総数の減少率がマイナス8.3%に対しまして、若者はマイナス13.2%。全県と比べまして異なる動き、やや全県が若者が大きく減るのに対しまして、沿岸のほうでは、その減少率が少ないといいますか緩和している状況にございます。
このような沿岸部における若者の減少率の緩和あるいは全県との違いなどに加えまして、復興需要を背景とした有効求人倍率の上昇、あるいは全県の数字ではございますけれども、県内高校の県内就職率が震災後大きな伸びを示し、その後も高い水準で推移してございます。こうしたことを重ね合わせますと、U・Iターンもあるかと思いますし、それから、高校卒業から成人に至る間の地元の定着率が高まっていることがその背景にあると考えております。
〇阿部盛重委員 いずれ買い物から医療から、また飲食から、また余暇も満喫できなければなかなか若い人たちは定着しないと思います。やはり安心して働けて、収入を得られて、生活ができて、安心して子供を産み育てられて、安心して老後を過ごせる社会が必要と思います。ですから、長期的なプランをさらに構築していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、県外に就職した方、また県外に就学した学生もいずれ地元の岩手に戻りたいという潜在需要が多いと聞きます。しかし、地元との交流、地元からの企業情報、さらに御両親への情報提供などが薄いのではないかと思われます。
さらに、女性がより働きやすい職場が整備されて、ワーク・ライフ・バランスが実現した子育てにやさしい企業づくりから、そして、移住後の生活設計、教育、医療まで総合的に岩手での生活をイメージできる状況づくりが必要と思いますが、いかがでしょうか。
また、U・Iターン対策も、Uターン者であれば、家族との同居または近居をするのであれば、Iターン者とは異なります。Iターン者では、地方暮らしを断念せざるを得ない状況が起きたとしても、Uターン者であれば、家族や親族の支援により苦境を乗り越えることができると思われます。
Iターン、Uターン対策について、さらに強固にする施策をお伺いして、質問を終わりにいたします。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 若者がUターンをイメージできる施策ということの御質問がございました。こちらにつきましては、やはり地域の魅力でありますとか仕事の情報、暮らしの情報といったものを総合的に発信することが必要だと考えてございまして、昨年度、移住定住のホームページあるいはパンフレットを全面的にリニューアルしたところでございます。これらの地域の魅力を発信することができるように取り組んでいるところでございます。
また、就職に関するU・Iターン施策につきましては、商工労働観光部の所管となってございまして、こちらでもシゴトバクラシバIWATEということで、そういった情報発信のホームページ、パンフレットといったツールを持ってございますので、そちらとも連携しながら取り組んでいるところでございます。
特に、若者、そして県外就職者、県外学生等のU・Iターンにつきましては、U・Iターン就職を含みます仕事の部分が重要でございますので、関係部局と連携した取り組みを行っているところでございます。
具体的な就職に関するU・Iターンの取り組みといたしましては、商工労働観光部におきまして、首都圏への岩手県Uターンセンターの設置による就職相談ですとか、U・Iターン希望者、大学等への県内企業情報の提供、あと、岩手県U・Iターンフェアの開催、インターネットによるU・Iターン希望者の登録と求人情報の提供など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
また、当部といたしましても、このような取り組みと連携いたしまして、首都圏における移住相談窓口の設置やU・Iターンフェア、移住イベントでの移住相談や情報提供を行っておりますけれども、これらに加えまして、例えば県内大学等の同窓会窓口の活用でありますとか、あとは、いわて×東京会議といった首都圏における本県出身の若者や岩手ファンが集まったネットワーク組織、こういった団体もございますので、このような団体と連携しながら、本県の出身者などターゲットを絞った移住情報の発信にも取り組んでいるところでございます。
今後におきましては、先ほども申し上げたところでございますが、商工労働観光部と設置いたしました移住の相談窓口であるいわて暮らしサポートセンターにキャリアカウンセラーを追加配置いたしまして、移住と就職のワンストップの相談窓口体制を整備したところでございまして、引き続き関係部局と連携し、効果的な移住施策の推進に取り組んでまいります。
〇福井せいじ委員 私も移住、定住、人口減少対策についてお聞きしたいと思います。今まで何人かの委員が質問してきましたが、いわて県民計画実施状況報告書の88ページ、先ほど来数字が出ています県外からの移住、定住者数、実績値が1、387名、これの、どこから、どのような人が来ているかという分析があるのかどうかということをお聞きしたいのと、このバックデータというか、どういう根拠でこの1、387名という数字が出てきたのかということ、それから、移住、定住と転出、転入の違いについて、いま一度お聞かせいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 先ほど平成27年度の移住者数が1、387名ということで答弁させていただきましたけれども、この移住者数の数値でございますが、移住者数につきましては、全国的に定まった捉え方がないということで、県といたしましては、施策の傾向がどうなっているかということを把握するために、ハローワークなどを通じて県外から就職された方、あとは市町村の窓口を通じて移住された方などを積み上げたものを移住者数としてございます。
これらの数値につきましては、数字のみということで属性のない数字になってございまして、どこから来ているのかとか、年代がどうなっているのかというところが把握できかねておるところでございます。県といたしましては、移住者へのインタビューでありますとか、あと、昨年度設置いたしましたいわて暮らしサポートセンターへの相談の状況とかを踏まえながら、移住の動向について検討しているところでございます。
また、移住と転入等の違いということでございますけれども、その違いということで明確な区分ができるかどうかというところもあるのですが、例えば就職のところでございますと、転勤で県外から来られた方は、ハローワークを通じないで転勤をされて、また期間が来れば戻るということで、ちょっと定住とは言えないのではないか。それで、ハローワークを通じてということであれば、新たに仕事を見つけて県外から来られるということで、定住に近いのではないかという捉え方のもとに積み上げているということでございます。
〇福井せいじ委員 いろいろな見方がある、そして全国的には定義がないということでありますけれども、今後、U・Iターンの増加を人口減少対策の一つのポイントとして捉えるのであれば、県として、やはりU・Iターンの動向なり、そのバックグラウンドをしっかりと把握して、それから施策の展開をする必要があるのだと思うのですね。
例えば、どの地方からどういう人が来ているのか、あるいはどういう職を求めて来ているのか、あるいはどういう市町村を、どういった居住環境を求めているのかということを把握しないと、今後の施策展開があやふやになってしまうのではないかと思うのですが、その点はどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 御指摘いただきましたように、確かに定住の捉え方ということで、総務省でも、国でも移住施策の推進ということでは力を入れているところでございまして、今後、移住者の捉え方ということについても検討を進めていると伺っておりますので、そういった動向も注視しながら、また、県としても、今押さえている移住者数の数値を精査していきながら、より、例えば市町村との意見交換あるいは移住者へのヒアリングとか、そういったものから動向がつかめるように精度を高めていきたいと考えてございます。
また、移住者の動向ということにつきましては、繰り返しになりますけれども、昨年度の首都圏での移住相談窓口にはかなりの相談者が見えられております。全国的な動向と岩手県への相談の動向といったところの比較等もできると思っておりますので、その状況などをちょっと分析しながら、施策に生かしていきたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 わかりました。ただ、人口減少対策という観点から言いますと、例えば先ほど来、委員の皆さんからお話があったように、社会減をゼロにする、あるいは、そこの中で東京一極集中を是正する、あるいはまた、U・Iターンを増加させる、そういったさまざまな目標に向かって、何がどういった形で定義され、そのためにどういった施策をつくっていくかということは、やはりこれから必要なのではないかと私は思っています。東京一極集中を是正するという意味では、中央、首都圏からU・Iターン者をふやすことも必要であろうと思いますけれども、ただ単に転入者をふやすということであれば、ほかの地方からの転入者をふやすことを考えていく必要もあるのではないかと私は思っております。そういった意味では、人口減少対策に対して明確な定義と明確なコンセプト、あるいはそれに応じた施策をしっかりとつくることが必要だと思っております。
そこで、もう一つお聞きしたいのですけれども、市町村との連携で、さまざま協議会をつくったり、情報共有をしているということでありますが、例えば市町村の事業者、そのおのおのの事業者とふるさと回帰支援センターにおける相談窓口との連携はどうなっているのかお聞かせいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 移住施策の推進に当たりまして、ふるさと回帰支援センターと地元の企業との連携という話でございますけれども、移住施策の推進につきましては、地域の取り組みとの連携が重要だと考えておりまして、特に仕事の部分につきましては、求人の情報でありますとか、そういった企業の魅力の発信が肝要かと思っております。
それで、仕事の求人情報とか企業情報につきましては、いわて銀河プラザに設置しております東京事務所のUターンセンターで集約しているところでございまして、ふるさと回帰支援センターは、これまで移住相談ということではございましたけれども、企業情報といったものも、東京事務所のUターンセンターと共有しながら、あとはキャリアカウンセラーも今年度設置しているところでございますので、移住相談と就職相談といったところを一体となって提供するように努めているところでございます。
企業との連携でございますけれども、やはり市町村の移住施策でありますとか市町村の魅力といったものを、ふるさと回帰支援センターのいわて暮らしサポートセンターでは、そういった情報を集約いたしまして移住希望者に的確に伝えると。その一方で、移住希望者のニーズでありますとか全国的な移住者の動向をフィードバックするようなつなぎの部分が非常に重要な役割だと考えてございますので、そういった機能がしっかりと果たせるように我々も努めてまいりたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 私は、今るる説明を聞いてきたのですけれども、何とかU・Iターンの方々を受け入れていこうという、あるいは募集していこうという気持ちはわかるのですが、私も実はふるさと回帰支援センターというか、有楽町のほうに行ってお聞きしたときに、来た方には、相談を受けて、一生懸命対応していると。一方で、受け入れ側になかなかそういった積極的な姿勢が見られない場合があると。例えば、求人情報をそこで提供して、では、IターンなりUターンをしようとする人が応募しようとすると、受け入れ側では、東京からわざわざ来ていただく人に対してちゅうちょしてしまうというような事例も見受けられるということを聞きました。
そういった意味では、市町村との連携あるいは事業者との連携、あるいは居住環境をつくる側との連携がまだまだ足りないのではないかと私は感じたのでありますけれども、今後もっとそれに踏み込んでいく必要があると思うんですね。行政対行政だけではなく、さらには、やっぱり経営者、事業者との連携というものも必要だし、農業者あるいは漁業者、1次産業をやっていらっしゃる方々との連携等も必要だと思うんですけれども、それについてはもっともっと踏み込んだ形での取り組みというのは今後考えておられませんでしょうか。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 地域でありますとか企業との踏み込んだ連携ということでございますけれども、移住者の受け入れにつきましては、受け入れる側の環境整備が非常に重要だと思っております。それは、市町村の施策というものもありますけれども、先ほど申し上げましたように、企業でありますとか、あるいは地域の取り組みというものが大事だと思っております。
昨年度から、県では定住・交流促進専門員といった移住のコーディネーターを設置したところでございますけれども、市町村や県内企業へのネットワークづくりといったものに取り組んでございまして、例えば、毎月、市町村持ち回りで、地方創生でありますとか移住、定住に関する施策の意見交換を実施しております。そこにつきましては、市町村でありますとか企業の参加も呼びかけながら、地域との理解が深まっていくような取り組みをしているところでございますので、こういった取り組みをさらに拡充しながら施策を進めてまいりたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 そういったコミュニケーションの深め方というものもこれからまた必要だと思っておりますので、ぜひ事業者の皆さんにも、そういった姿勢を伝えていただきたいと思います。
それで、もう一つ、そういった受け入れ側の形で聞きたいのですけれども、ある地方では、例えば移住者に対してさまざまな補助金制度というものも考えられて、それが功を奏しているというような例も見られますが、岩手県内では、そういった移住者に対する助成金あるいは補助的な制度の創設はあるのでしょうか。例があったら教えていただきたいし、もし今後考えているのであれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 移住者に対する直接的な支援策ということになろうかと思います。
県内の市町村におきましては、移住者への支援ということになりますと、例えば住宅施策に対する支援が代表的なものでございますけれども、住宅に向けた支援ということでは、空き家バンクを設置しているところが本年度、18市町村ございまして、さまざま形態は違うのですけれども、例えばそういった住居の改修に対する支援措置を設けている市町村が26市町村ございます。
県としてそういった直接支援を考えているのかということでございますけれども、基本的には、県といたしましては、推進体制の整備でありますとか移住相談窓口の整備といった体制の部分、そして、全県的な情報発信というところと、そして、市町村では、移住者に向けた個別の直接的な支援、具体的な支援が役割と考えてございまして、県と市町村の役割をしっかりと連携して取り組んでいくことが基本かと考えてございます。
しかしながら、他県におきまして移住者への支援策に踏み込んでいるところもございますので、今後の動向を注視しながら、また、市町村等の意見も聞きながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 そういった意味で、実はU・Iターンの方々をふやしていくというのは、一方で競争ですね。有楽町のふるさと回帰支援センターに行くとさまざまなブースがあるのですけれども、その中で、やっぱり岩手県は若干目立たないなという気がしております。
そういった意味では、待ちの姿勢ではなくて攻めの姿勢が必要であると思っておりますけれども、ある意味で他県との差別化、あるいは受け入れるときの切り口をどのように持っていくか、そういった差別化をしてこの展開を進めていく必要があると思うのでありますが、そういった支援制度がないのであれば、どういった形で差別化を図ってこれをふやしていくか、何かお考えがあるか教えていただきたい。
それと、あちらにいる相談員、それからキャリアカウンセラーの方々が、いかに岩手の魅力をPRするかということもやっぱり必要になってくると思います。実際に行って、あの窓口で相談員などの話を聞く方々に、岩手の魅力を伝え、熱のこもった情報を伝達する必要があると思いますけれども、あの窓口をもっともっと強化するというか、何かそういった差別化を図る必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 移住者への支援策がない中で他県との差別化をどうするかということでございますけれども、もちろん岩手の魅力でありますとか市町村の住宅等も含めた移住者への支援策を適切に発信していくことも必要ではございますが、やはりそのベースにありますのは、移住者への支援策とあわせて、その地域の魅力とか、あとは人とのつながり、移住者が移住者をさらに呼び込むとか、あとは、その移住者についても、地域の人との接点があったからそこに移り住むといったところがございます。そういったストーリーとか成功事例とか魅力、これをまず一つはどのように発信していくか、そこを工夫していきたいと考えてございます。
また、窓口としての信頼性の確保といったところがもう一点、重要な部分だと考えてございまして、そこでは、やはり市町村の情報をセンターのほうにしっかりと集める、そして、そのセンターが情報を提供して、またその反応をフィードバックするといった連携のところをしっかりしていく必要があると考えてございますので、その部分を我々としてもサポートしてまいりたいと考えてございます。
また、現地の情報ということでございますけれども、いわて暮らしサポートセンターにおります相談員も、岩手県に来て、市町村の移住施策のところを、実際に現地に行って、昨年度ですか、例えば洋野町では移住体験施設を持っておりますが、そこのところに実際に相談員が泊まって、実際の体験をしたり、あるいは移住者向けに短期体験ツアーを県で実施しておりますけれども、そこにも同行して、参加者の反応等も確かめながら現地の状況も把握しているところでございます。
いわて暮らしサポートセンターの相談員等と本庁のほうでもしっかりと連携をとりながら、施策を進めてまいりたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 最後にしますけれども、いずれあそこの窓口を設置している以上、窓口にいかに来てもらうかということも考えなければいけないし、そして、そこで成約と言っては何ですけれども、来ていただいた方にいかに定住していただくか、それを推進しなければいけないと思いますので、今後もぜひ目的と目標を持って展開をしていただきたいと思います。
ぜひ、U・Iターンについては、繰り返しになりますけれども、今後、これは各市との競争になると思っておりますし、人口減少を食いとめる、あるいはふやすという意味では、本当に他県との競合も考えていく、差別化も考えていかなければいけないと思っております。そういった意味で、部長から所見をいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇大平政策地域部長 ふるさと回帰支援センターは、首都圏における移住、定住の橋頭堡といいますか我々の前線基地であります。そこは非常に厳しい競争の場でもあります。それは、私も行って、ほかの県の窓口の方とお話をして、今までうまくいっている県の方とお話をして、相当努力されているなと。そういう先行事例というか長くやられた事例を伺って、もっと力を入れなければいけないということで、今年度は窓口を2人体制にして、ワンストップという形を整えたところであります。
岩手の魅力発信ということで、素朴ではありますけれども、きちんとしたことはやっていただいていると思いますが、先ほど申しましたように、まさに競争の場でありますので、専門員の方々には、もう少し工夫していただく余地もあるのかもしれません。これは担当課でも十分工夫いたしますし、我々のほうでも十分、必要な予算なども、予算的なもので何とかなるのであれば、そちらのほうも配意してまいりたいと思います。
基本的には一生懸命やっていただいていますが、まだ2年でありますので、私も専門員の方には、きちんとした成果が出ないとここはだめなんだよということでお話し申し上げておりますので、そういう面では、もうちょっと待つ必要はあると思いますが、冒頭に申し上げましたように非常に厳しい場でありますので、さらにはっぱをかけてというのはあれでございますが、頑張っていただくように私からもお話ししたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、最初にJR大船渡線のBRT化による本格復旧について質問します。
昨年12月25日でありましたけれども、JR東日本から、大船渡線の鉄路の復旧はなし、BRTで本格復旧、こういう方向が出されました。大船渡線が全線開通して80年を迎える年に鉄路が分断されたということは、私は本当に残念なことだったと思います。
そこで、BRTによる本格復旧という中身はどういうものでしょうか。
〇大坊交通課長 大船渡線のBRT本格復旧の中身についてでございます。
本格復旧に当たりましては、まずは、復興まちづくりの面的な整備、例えば陸前高田市の中心市街地は今かさ上げしておりますが、こういった部分の完成などを見据えながらBRTの運行ルートを固めること、これがまず1点でございます。その上で、鉄道敷を専用道にするなど専用道の比率を高めまして、あわせてBRTの駅を整備していく、こういったところが主な復旧の内容となります。
現在の状況でございますが、JR東日本におきましては、現在、BRTの運行ルート、専用道の整備の検討をしておりまして、専用道の比率につきましては、最終的に大船渡線全線の50%程度まで高めまして定時性と安全性を確保していく予定と聞いてございます。
〇斉藤信委員 もうちょっと正確に答えてほしいんだけれども、12月25日にJR東日本が出したペーパーがあるわけですね。BRTの存続、地域交通の活性化への貢献、交流人口拡大に向けた利便性の向上、そして産業、観光の振興による地域の活性化、これらについて今後の協議を進めていく、こういう中身でした。柱だけ言いますとね。
それで、現在のBRTは、震災前の鉄道の利用者と比べてどうなっているんでしょうか。
〇大坊交通課長 現在のBRTの震災前の鉄道利用者と比べてのものでございますが、被災前のJR大船渡線の平成22年度でございますが、1日当たりの輸送密度426人という数値になっておりました。平成25年度にBRTによる仮復旧という形で決まりまして、その平成25年度のBRTでの輸送密度200人となっておりまして、震災前の輸送密度の半分程度から始まったという状況でありますが、翌年平成26年度には250人、平成27年度は314人となりまして、震災前のJR大船渡線の輸送密度の7割程度の利用水準となってございます。
BRTにつきましては、ルート設定、ダイヤ編成といったものの柔軟性などといった特性を発揮しながら、徐々に地元の足として定着しているものと考えております。
〇斉藤信委員 まちづくりや大震災の復旧事業が途上ですから、そのことを考慮しても、まだ7割しか復旧していない。特に、やっぱり通院、通学の時期に乗り切れない、ぎゅうぎゅう詰めで高校生が通学せざるを得ないと。こうした事態は今でも解消されていませんよ。私は、やっぱり鉄道のほうが利便性はそういう意味ではよかったと、現状から見てそう思わざるを得ないので、震災前に復旧するような手だてをJR東日本としてもさらにとるべきだと思います。
もう一つ、先ほど私が本格復旧の中身として触れた交流人口拡大に向けた利便性の向上の中に、BRTと鉄道との接続、利便性向上に取り組んでいくとともに、新幹線との接続改善や、新幹線駅へのアクセスの利便性向上に向けて検討を進めると書いているんですね。この中身を踏まえて、陸前高田から一関にBRTを運行させるという協議が行われているということを私も聞いてまいりました。この状況を県としてはどういうふうに把握しているでしょうか。
〇大坊交通課長 ただいまの陸前高田から一関までBRTが延伸して直通で行くという話につきましては、話としては伺ってございます。この話の流れにつきましては、実は陸前高田市だけではなくて、大船渡市も新幹線駅へのアクセス改善を当初から求めておりまして、そのような話の中で、陸前高田市で、陸前高田から一関までBRTをそのまま運行できませんかというような提案があったものと承知してございます。
今の協議状況につきましてですが、JR東日本では、もちろんそれは提案として前向きに受け取りまして、このBRTを今運行しているバス会社に、できるかできないかといったところを協議しているところで、その経過といたしましては、途中経過ですが、一つは、陸前高田から一関まで行くためには、国道343号のループ橋を通らなければならないのですが、こちらは、冬場に運行するのは安全性を確保するのがかなり大変だというバス会社の話、あと、そこを通った場合に、JR大船渡線の気仙沼と一関間、これはまだ鉄路で残っているのですが、そことの利用競合になりまして、鉄路の利用者がそちらに吸われまして、ますます鉄路からお客様離れが加速するという問題、あるいは、これはバス側ですが、一関までの運行に回せるBRTの車両あるいは運転手が不足しているというようないろいろな問題点がある状況と聞いております。
〇斉藤信委員 これはJR東日本がみずから本格復旧の中身として、新幹線との接続改善や新幹線駅へのアクセスも利便性の向上に向けて検討すると。これはJR東日本から、いわば鉄路を分断するかわりにこういう提案がされているわけですよ。私はこれを真剣に受けとめてね。今、大船渡市、陸前高田市の方々も、新幹線を使うときはどうしているかというと、それはもう基本的には自家用車で行かざるを得ないんですよ。そのルートがいわゆる笹ノ田なんですね。
私は、今の答弁が大変重要だったと思うのは、バス会社が、冬場は国道343号は安全性に問題があると。これを本当に改良することが、おとといは高田一郎委員もこのことを取り上げたんですが、バス会社がそう言っているということは、県当局も本当に真剣に受けとめて、そして、せっかくJR東日本側から提案したわけだから、これを実らせると。
そして、バスもそれに対応した新車両を開発すべきだと思いますよ。今の大型BRTではだめだけれども、もっと小型の小回りのきくようなものであれば私は可能だと思いますので、その点、このJR東日本からの提案を、これはもう本当に最低限の問題ですから、必ず実らせるように、県も全面的にいろいろな意味で支援していただきたい。これは部長に聞きましょう。しっかりそれをやってください。
〇大平政策地域部長 御指摘のように、JR東日本からのお話であります。これは、直ちに解決するというお話ではございませんが、三陸道の状況なども見据えた回答もあったのかと思います。いずれJR東日本から言ったというのは事実でございますので、それはJR東日本との交渉というか、県も仲立ちに入りながらこれについては進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 次に、JR山田線盛岡−宮古間の土砂崩壊の復旧状況と見通しについてお聞きします。
〇大坊交通課長 JR山田線の盛岡−宮古間の状況でございます。
御案内のとおり、昨年12月に宮古市門馬地区で土砂崩落が発生いたしまして、その時点から現在まで、この路線は運休が続いてございます。この間、JR東日本あるいは県、宮古市、林野庁といった関係者で構成いたします山田線土砂崩壊に関する斜面防災協議会を開催いたしまして、復旧に向けての検討を行ってまいりました。この協議会は本年7月7日に開催されまして、ここで復旧方針が決定いたしております。
中身といたしましては、崩壊した地域の崖、かなり大規模な崩壊部分ですが、これの上部の土砂の撤去あるいはアンカーを打つという工事につきまして、ここを林野庁が行いまして、上の部分の崩壊の動きを抑え、そうした上でJR東日本が、現在下のほうで放置されております車両の撤去にかかりまして、下の崖にアンカー工をJR東日本が施工いたしまして、崩壊地全体の安全性を確保して、その後に鉄道の復旧、運行再開を図るという復旧方針になっております。
現在の状況につきましては、この工事は9月から本格的に林野庁が開始してございまして、年度内にはこれを終える予定になっております。その後、おおむね来年の秋ごろまでをめどにJR東日本が崖の下の工事を完成させまして、その後、速やかに鉄道の運行再開を図る予定と聞いております。
〇斉藤信委員 復旧方針も決まって、工事も始まり、来年の秋までに工事は終わると。その後、車両の撤去と鉄路の復旧ということになると思いますけれども、ぜひ前倒しでもこの復旧が進むようによろしくお願いしたいと思います。
次に、情報通信基盤整備と災害復旧についてお聞きします。
国の補助制度を活用して、光ファイバーやテレビ共同受信施設等の情報通信基盤を整備してきた市町村の状況はどうなっているでしょうか。
〇菊池情報政策課総括課長 情報通信基盤の国の補助制度を活用した市町村の実態でございますが、情報通信基盤の整備につきましては、国で補助制度を準備いたしまして、いわゆる条件不利地域の市町村の整備を支援しております。
特に、東日本大震災津波の際には、被災市町村に対しまして、国の特例措置により、情報通信基盤の災害復旧及び地域課題解決のための新たな情報通信基盤の整備等へ、財政措置として補助制度が創設されております。
一つとして、情報通信基盤災害復旧事業が沿岸市町村を中心に7市町村で、事業費11億500万円余、もう一つの事業として、被災地域情報化推進事業としまして、16市町村で、事業費総額85億7、400万円余の、二つの事業を合わせて約96億8、000万円の事業を実施しております。国からは補助総額といたしまして約35億8、700万円の補助の措置があるほか、市町村負担分については、震災特別交付税の措置がなされているところでございます。
ちなみに、今回の台風で非常に大きな災害を受けた岩泉町では、この二つの震災特例の補助のほかに、被災市町村以外の地域も対象としている、いわゆる条件不利地域の光ファイバー網整備の事業に対する国の補助制度を活用しまして、平成24年度から総事業費22億7、400万円余の事業を実施し、国からは補助として7億5、000万円余の補助を受けているところです。
〇斉藤信委員 この国の補助を受けた情報通信基盤整備については、東日本大震災でも被害を受けて、今答弁があったように、このときには特別措置法がありましたから3分の2補助、3分の1も特別交付税措置で、これは国の全額措置で復旧したんですよ。
それで、私は今回の台風災害も、災害の規模とすれば本当にそれに匹敵するような災害、とりわけ岩泉町はそれを超えるような災害だと思いますが、台風第10号の被災状況はどうなっていますか。
〇菊池情報政策課総括課長 市町村では、先ほど御紹介したような国の補助制度を活用しまして情報通信基盤整備に努めてまいりましたが、今回の台風第10号の被害では、6市町で光ファイバー及び携帯基地局など、概算で15億9、000万円余の被害を受けたところでありますし、あわせてテレビの共同受信施設につきましては、基本的には、地域の世帯で構成される共聴組合というところで整備、管理されているものでございますが、こちらは岩泉町及び久慈市において、概算で3億7、000万円の被害が出ております。こちらの共聴施設の被害につきましては、現在、被害額も含めまして詳細の調査を取りまとめ中と伺っております。
〇斉藤信委員 東日本大震災では、特別措置法に基づいて、国庫補助、災害復旧の制度はなかったけれども、これはきちんと対応されたと。私は、やっぱり国庫補助で整備していて、その災害復旧の制度がないのは欠陥だと思いますね。この機会に国に対して災害復旧の制度をつくるなり、岩泉町や久慈市は東日本大震災の被災地でもあり、二重の被災になっていますので、やっぱり大震災並みの復旧策が講じられるように、努力もしていると思うけれども、部長、ぜひ、大震災の実績も踏まえてそういう手だてをしっかりとっていただきたいけれども、いかがですか。
〇大平政策地域部長 県といたしましても、情報通信基盤は、道路とか上下水道と同じような生活インフラと考えてございます。この制度がないことについては、私も総務省に要望に行ってございますが、現在のところ、残念ながら国からは明確な答えが得られておりません。言ってみれば非常に厳しい状況でありますけれども、国の3次補正というお話もちらほら出ておりますので、そういうものを見据えながら、要望活動はさらに続けてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 これは、もう政権党の方々も頑張っていただきたい。こういう欠陥を岩手から正していくということでぜひやっていただきたいと私は思います。
次に、特定被災地域公共交通調査事業、そして、被災地の今後の交通確保対策についてお聞きしますが、特定被災地域公共交通調査事業の実施状況、昨年度、今年度はどうなっているでしょうか。そして、来年度の見通しはどうなっているのか示していただきたい。
〇大坊交通課長 特定被災地域公共交通調査事業の実施状況でございます。
昨年度、平成27年度におきましては、10市町村、91路線に対しまして3億4、558万2、000円の補助が行われてございます。今年度、平成28年度におきましては、7市町村、67路線に対しまして2億6、407万7、000円の補助が交付決定されてございます。
来年度、平成29年度の見通しについてでございますが、この事業につきましては、御案内のとおり、被災地の仮設住宅と医療機関や商業施設、公共施設などを結ぶ交通を確保するための調査、実証運行を支援するものでありまして、当初、平成23年度から平成27年度までの時限的措置とされていたところでございます。
これに対しまして、県では、いまだ復興まちづくりの途上であることから、この期限の延長を国に対して働きかけてきたところでございまして、国におきましては、平成32年度までの継続を決定いたしました。
したがいまして、来年度、平成29年度も、この事業を活用いたしまして、被災地のコミュニティーバス、デマンド交通などの調査運行が可能となりますことから、引き続き、この事業を活用した市町村の交通再建の取り組みを支援してまいります。
〇斉藤信委員 平成32年度まで継続という方向が示されたことは、私は一歩前進だと思うけれども、今、答弁があったように、仮設団地を回るという条件なんですよ。しかし、仮設住宅は、今年度で大体八、九割まで災害公営住宅ができますから、そういう意味でいくと、防災集団移転促進事業により高台に団地ができ、また災害公営住宅も整備されている。仮設団地だけではなくて、防集の新しい高台団地とか災害公営住宅を回るようなものに活用できるものにしないと、これは余り効果がない。仮設団地がなくなれば、これは対象がなくなるということですから。
それで、実は先日、国の復興推進委員会が開かれて、知事も出席したようであります。ここで、復興創生期間における東日本大震災からの復興の、いわばこの間のまとめの骨子案というものが出されたんですが、ここでは、新たなまちでの交通網の形成、これが今後の課題として提起されています。国も、新たなまちの交通網の形成ということを課題にしているので、やっぱりこれにかみ合った手だて、対策が講じられるように強く求めていただきたいが、いかがですか。
〇大坊交通課長 ただいま御指摘ございました、復興まちづくりが進む中で、それに伴う公共交通の再建、もっと復興まちづくりに即した制度設計にすべきではないかというお話だと思います。
先ほど御説明したいわゆる調査事業という部分は、被災地の交通の再建にはかなり役に立っていると思っております。ただ、問題点は、委員御指摘のとおり、仮設団地を通るものしか補助しないということでございます。やはり復興の現状に必ずしも即した制度になっていないということでございまして、県におきましては、6月の政府予算要望におきまして、高台団地であるとか災害公営住宅に生活拠点がどんどん移っていますので、そういったところも幅広く加えて、柔軟な制度設計にしてほしいという要望を出してございます。
重ねてになりますが、この事業の被災地交通に果たす役割は非常に大きなものと考えておりますので、引き続き国に対して要望してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 最後ですけれども、ILCの動向についてお聞きします。
国、有識者会議の検討状況はどうなっているか正確に示してください。東北ILC準備室、岩手ILC連携室、庁内の研究会、この体制、機能と役割はどうなっているのか。
そして、このILC誘致に、私たちは科学技術の発展には賛成の立場だと言ってきましたけれども、少なくない県民の中には、将来、使用済み核燃料とか核のごみの最終処分場にされるのではないかという不安の声も寄せられています。この不安を払拭すべきだと私は思いますが、そういう点で答弁を求めます。
〇熊谷ILC推進課長 まず、国、有識者会議の検討の状況についてでございます。
国においては、平成25年5月に日本学術会議へ審議依頼し、同年9月に回答を受け、有識者会議を平成26年5月に設置し、ILCについて具体の議論を開始しております。
同会議では、素粒子原子核物理作業部会と技術設計報告書検証作業部会の2部会を設けまして、素粒子の部会では8回、技術の部会では6回の会議を経まして、平成27年6月に中間取りまとめを行ったところでございます。
同年11月には、三つ目となる人材の確保・育成方策検証作業部会を設けまして議論を進め、平成28年7月には人材部会の取りまとめも行っております。
このようなことから、国として検討すべきおおむねの方向性が見えてきたと考えているところでございます。
次に、東北ILC準備室、岩手ILC連携室等の体制、機能と役割でございますけれども、東北ILC準備室につきましては、鈴木厚人岩手県立大学長を室長に産学官が連携した組織で、広報、地域、技術、産業の4部門、2専門部会で構成されております。この体制により、東北地域の受け入れ態勢の準備を進めるための具体の検討を始めたところでございます。
一方、岩手ILC連携室は、東北ILC準備室の設置を受け、県内関係者がILC実現に向け連携を密に図るためのスペースとして、平成28年6月に先端科学技術研究センター内に設置したものでございます。
また、庁内においては、外国人受け入れなど諸課題の解決に向けた方策を検討するため、本年度から、副部長級の研究会を設置しまして検討を進めているところでございます。岩手ILC連携室と庁内の活動を連動させまして、東北ILC準備室が予定している東北のマスタープランの策定に向け、本県の意見を調整し提案していく考えでございます。
最後に、不安の払拭という御質問でございました。ILCトンネルの深さや構造は、委員のお話にありました不安という点では、議会の場で知事が、最終処分場については、従来から県として受け入れる考えはないと明言しております。また、仮にそのような話があっても絶対に転用しない、使わせないということについてホームページ等で周知を図っているところでございます。
今後とも、講演会等を通じながら県のスタンスを説明してまいりたいと考えております。
〇中平均副委員長 斉藤委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇斉藤信委員 ちょっと不十分な答弁だったので立ったんですよ。
有識者会議の提言を正確に答えてください。三つの提言がされているでしょう。そのことを私は聞いたんですよ。丁寧にと。
それと、知事が最終処分場の問題について、確かに、従来から本県としては受け入れる考えはないということを表明していると。私、問題は、将来にわたって受け入れないんだという明確な宣言が必要だと思うんですよ。そのことを含めて回答をいただきたい。
〇熊谷ILC推進課長 三つの提言について説明いたします。
その中間取りまとめの際の三つの提言につきましては、一つ目が、国際的な経費分担が必要不可欠であるという点でございます。二つ目の提言につきましては、2017年末まで計画されております、実施されるCERNのラージハドロンコライダーの実験結果に基づいて、ILCの性能、得られる成果を見きわめることというところでございます。提言の三つ目といたしましては、この二つの提言も含めまして、全体像を明確に示し、国民及び科学コミュニティーの理解を得ることというところでございます。これが三つの提言でございます。
〇大平政策地域部長 使用済み核燃料、いわゆる核のごみの最終処分場を将来にわたっても受け入れないということでございます。
まず、現在の使用済み核燃料の処分の条件は地下300メートルより深いところでございます。ILCトンネルはさまざまなところがございますが、一番浅いところでは数十メートルというところもありますので、これを転用することは不可能と考えてございます。
あと、使用済み核燃料につきましては、ILCのトンネル云々というよりも、現在、国で最終処分場の候補地選びが進んでおります。この中で、今年度あるいは今年中にも、そこの適地、不適地みたいなものが出るのではないかという動きがございます。
県といたしましては、こちらの所管は環境生活部ではございますけれども、現状では全く考えもございませんし将来もないと。それをどのように担保するかということをどういうことで申し上げるのがいいのかというのは、環境生活部で検討されているものではございますが、まず、そちらの状況を見てから判断すべきものと考えます。
ILCに関して申しますと、先ほど申しましたように、そのような考えは一切ございませんし、あるいは、仮に立地する場合には、国際研究所なりと立地協定などを結ぶことが考えられますので、その中で転用については明確にすべきと考えます。
〇中平均副委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇千田美津子委員 私は1点だけ質問いたします。
午前中に隣の田村委員から携帯電話の不感地帯の解消について質疑がありましたが、私は、携帯電話を持たない方々が、実は今、公衆電話が撤去されて大変困っている現状がありますので、その点について質問をいたします。
公衆電話は、基本的にNTTが設置しているものでありますけれども、最近、不採算を理由に、駅とか公の多くの人が使うような場所からも撤去されているという実態があって、特に過疎地帯はこれから本当に大変な状況になると思いますので、その状況を県は把握されておられるのか、その点お聞きします。
〇菊池情報政策課総括課長 公衆電話の設置についてでございますが、公衆電話につきましては、直接、当課で把握を行っているものではございませんが、公衆電話の設置及び撤去等については、設置主体のNTT東日本と設置場所の各施設管理者等との協議によって取り決められているものと承知しております。
今回、ちなみに、再設置の要望を把握しているかどうかNTT東日本に聞き取りしてみましたけれども、公衆電話の新規設置や再設置の要望等は受けているということでしたが、具体にどういったところからの要望かとか、具体の場所等については確認がとれておりません。
〇千田美津子委員 基本的には設置者と地元で協議をしてということで、全体としては把握をされていないということでした。ただ、年々減少傾向にあると思っています。やはり携帯電話が普及したということで、不採算のものは撤去するという方針にあるようですけれども、一つの事例として、実は金ケ崎の駅から撤去されてしまって、周辺の方々にお知らせすると言っても、使用している方々全部にお知らせされているわけでもなくて、なくなってしまってから、中高生とか高齢者の方々が公衆電話はどこにありますかとか、タクシー呼んでくださいというようなことを、駅に入っている商工会に随分話が持っていかれて、それで慌てて再設置の要望をしたという経過があります。私はこういう状況について、撤去されてしまうと再設置は本当に大変になりますし、なかなか実現しない状況にありますので、このようなことが県内各地で起きるというのは本当に大変なことなので、ぜひ県としても、そういう状況の把握をやるべきではないかと私は思いますが、その点お聞きします。
〇菊池情報政策課総括課長 公衆電話の設置につきましては、市町村のみならず、それぞれの設置場所の管理者等との協議が必要になってこようかと思っております。そうした方々とNTT東日本との間で、設置、撤去の協議等が形成されていくものと承知しておりますので、そこで仮に県がその状況を把握できたとして、県としてどういうことができるのか、どういった対応ができるのかといったことをよく判断しながら行わなければならないとは感じておりますが、今委員からお話をいただいた点等は、ここで初めて聞いたところでもありますので、いずれ、撤去、再設置の部分は、施設管理者や地元等と調整などに配慮いただくような形で、NTT東日本にはお伝えをしていきたいと思っております。
〇千田美津子委員 そういう方向になるとは思うんですけれども、公衆電話の設置は、国が一定距離に必ず設置しなければならないと義務づけられているんです。ですから、その距離が500メートルの範囲に1カ所とか、そういう形であるんですけれども、それらがきちんとなされない場合もあるので、ぜひ状況を把握して、特に最初に言いましたが、携帯電話を持たない方々が非常に困っているという状況がありますので、ぜひ再設置のことも含めて対応していただき、要望に県も一緒に取り組んでいただきたいと思います。
それから、今、災害が頻発している中で、本当に公衆電話の役割というのは非常に私は大きいのではないかと。そういった点でも、NTT東日本と地元が協議すればいいのだではなくて、先ほども答弁がありましたが、ぜひ前向きに、福祉的な観点で、ぜひ私は県も積極的に取り組むべきではないかと思いますので、もう一度お伺いして終わります。
〇菊池情報政策課総括課長 ただいま委員から御紹介のあったとおり、国の基準として、市街地であれば何平米以内に1台とか、そういった基準があるということは伺っておりますし、それに加えてNTT東日本社内の基準もあって、例えば24時間誰でも使えるような環境にあるだとか、一定の利用者、利用頻度があるだとか、そういった基準があるようで、それらに照らし合わせて設置場所、施設管理者等とも協議をしながら設置をしていくというようなことは伺っております。
NTT東日本社内の基準の中には、これも委員から御紹介があったように、防災上の観点からという基準もあるようでしたので、そういったことを踏まえながら、県としてもできる必要な支援については取り組んでまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 スポーツを通じた地域振興の取り組みについてお伺いいたします。
岩手国体がことし成功裏に終わりまして、私はこれから岩手国体後のスポーツを通じた地域振興というものが、ラグビーのワールドカップもありますし、東京五輪もあることから、これからさらに大事になってくると思っておりますが、政策地域部では、平成27年度においては、みちのく潮風トレイルについてもさまざまな取り組みを行っております。
これまでの私の一般質問等でも、最近、全国的にランニングだとかウオーキングのブームもある中で、岩手県は自然環境がいっぱいあるので、トレイルを活用してスポーツを通じた地域振興に向けて取り組んでいただきたいという思いでいろいろさまざま質問もさせていただいているんですけれども、その件についての最近の状況と課題についてお伺いいたします。
〇小野政策監 スポーツを通じた地域振興についてでありますけれども、トレイル、未舗装の道が75%以上の登山道や林道ということですけれども、これを走るトレイルランニングにつきましては、アウトドアスポーツとしてさまざま認知が高まっているところでございます。
こうしたトレイルを活用したツアーにつきましては、例えば滞在型の交流人口の増加が期待されます。また、自然や文化、地域の食、復興教育など、本県のさまざまな地域資源との組み合わせを可能にするスポーツツーリズムの一つの形態として、可能性を持っているものと考えております。
現在の取り組み状況でございますけれども、市町村などを中心に、先ほどお話がございました、例えば沿岸のみちのく潮風トレイルウオーキングイベントでありますとか、八幡平市における七時雨マウンテントレイルフェスなどのイベントが開催されているところでございます。
また、県といたしましても、トレイルの活用に向けまして、教育旅行の商品開発を目的とした旅行会社の招聘事業でありますとか、教育旅行の誘致説明会を通じたルートの提案、また、観光ガイドブックへの情報掲載など、さまざまな取り組み、促進策を行っているところでございます。
次に、今後の課題でございます。そのトレイルを活用したさまざまな活動が活発になるようにといったことで、県内の機運醸成、それからトレイルコースのPR、ツアー内容がより魅力あるものになるような改善、それからイベントなどの運営ノウハウの確立、専門ガイドの養成などがこれからの課題と考えております。
いずれ、本県は豊かな自然、それから食文化、そして震災復興への取り組み、さまざま全国に対して発信すべき地域資源を有しております。
今後、また三陸におきましては復興道路の整備等によりまして大幅な交通利便性の改善も見込まれますことから、トレイルの活用によるスポーツツーリズムを初め、スポーツを通じた地域振興につきまして、市町村などの取り組みと連携しながら、さらに県としての取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ぜひ、引き続きお願いします。
ちょっと次の質問をしながら、また全体的にスポーツを取り上げたいんですけれども、先ほど来から移住、定住についてはほかの委員の皆さんからありまして、特に、私も福井委員の質疑にもすごく賛同するんですけれども、属性だとか、どういったところに関心があって移住、定住されているのかということを、きちんと県として把握することで次につなげられると思っておりますし、あと、移住、定住にはいかないまでも、岩手ファンの拡大と交流人口という部分でも、県では積極的に取り組んでおられると思うんですが、そのいわて暮らし体験ツアーも、これは移住、定住促進につなげるためではあると思うんですけれども、その移住、定住者の属性はわからなかったとしても、そういったツアーの属性だとか参加者、また相談件数も県では把握されていると思うので、その中で属性について、私は県として把握すべきだと認識しているんですが、その件についてお伺いいたします。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 県の移住、定住の取り組みに関しての移住希望者の属性というところでございますけれども、昨年度のいわて暮らし体験ツアーを4地域で開催いたしまして、合計で55名の参加をいただいたところでございます。
この参加者の内訳といたしましては、首都圏在住のIターン希望者が最も多く、女性が約6割、年代では、20代から40代が約6割を占めているという状況でございます。
参加の理由といたしましては、田舎暮らしがしたいでありますとか、ボランティアや大学の進学先であったということで、岩手に思い入れがあるという方が多かったところでございます。
また、首都圏の移住相談窓口でありますいわてふるさと暮らしサポートセンターの相談者の状況でございますけれども、男性が約6割で、30代から40代を中心に、幅広い年代からの相談が寄せられているところでございます。
相談の内容といたしましては、仕事に関することが一番多くて、次いで、住居そして交流、体験の順になってございます。
就職のタイミングや結婚、親の介護、定年などの節目でUターンを考える方でありますとか、東日本大震災津波を契機として、本県とのつながりや関心を持った方、地方で自分の望むライフスタイルを実現したい方など、さまざまな希望を持った方が移住相談に訪れているところでございます。
こうした取り組みによりまして、例えばいわて暮らし体験ツアーであれば、初めて岩手にかかわっていただくということで、Iターンの関係の方が多くなるという傾向にございますし、また、いわてふるさと暮らしサポートセンターの相談ではUターンの方、本県の出身者の方が多いという状況もございますけれども、そのような状況から、ターゲットを明確にして施策にどのように取り組んでいくのかということは、今後、引き続き考えていきたいと思いますが、ただ、本県への移住者につきましては、特定のパターンというよりはさまざまなパターンがございますので、引き続き、移住希望者一人一人の多様なニーズに対応したきめ細かな対応をしてまいりたいと考えてございます。
〇中平均副委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
〇吉田敬子委員 移住、定住にはいかなくても、ファン拡大、交流人口というところは、先ほどのスポーツツーリズムも踏まえて、もっと私は交流人口の拡大について伸び代があると思っております。
先ほどお話をしましたけれども、最近、ウオーキングだとかランニングの層がすごく多くて、さまざまなスポーツウエアだとか用具を出している会社が、ウオーキングとランニングの用品を特に打ち出しているということも雑誌等で見ているんですけれども、国でも、来年からヘルスツーリズムに力を入れるということも見ているんですが、スポーツイコールヘルスツーリズムまではいかないんですけれども、岩手らしいとなったときに、自然を生かしたものプラススポーツというところも踏まえて、私はもっとテーマに沿った、先ほど別の委員の答弁にストーリー性のあるというお話がありましたけれども、ぜひ私は、みちのく潮風トレイルはまだ整備していないところもありますけれども、そこの整備もしつつ、ぜひ、トレイルを有効活用したスポーツツーリズムと、交流人口の拡大にもテーマを持ってぜひ取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、最後に、その件についての御所見を伺って終わりたいと思います。
〇小野政策監 希望郷いわて国体、いわて大会が終わりまして、そこで得られたさまざまな成果をこれからの地域振興に生かしていくことが重要と考えております。
今、委員からお話がございましたように、トレイルランニングあるいはウオーキングといったことだと思いますけれども、そうしたものも一つのスポーツの形として、特に岩手の中ではこれからさらに伸び代がある、あるいはスポーツ人口をふやしていける分野の一つと考えております。
例えば、先ほどの三陸沿岸にございますみちのく潮風トレイルにつきましては、国が整備を進めているものでございますけれども、トレイルと同じような形で例えばジオパークが形成されております。そうしたもの、あるいは地域の復興が進んでおり、三陸鉄道もこれから一本化されて開通が進みます。そうした中で、地域地域、今、各市町村で復興を進めておりますけれども、それらがさらに広域的に連携しながら、一つの例えばみちのく潮風トレイルのルートといったことで、それぞれの食でありますとか、あるいは震災の遺構、もちろん自然、そういったものをそこで歩く方、走る方にお見せできるような、あるいは泊まって滞在していただけるような取り組みを一つの総意として描いていくことも極めて重要と考えております。商工労働観光部ルートでございますけれども、さまざまなモニターツアーの開催なども既に進めてございます。そういった取り組みをさらに進めながら、このようなトレイルの普及についても進めてまいりたいと思いますし、これにかかわらず、今回の国体を通じてさまざまなスポーツが振興されつつございます。ラグビーも含めて、これから長期間の視点に立ちまして取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私からは、まず、平成27年度に、県として重要な計画が政策地域部におかれまして2本つくられております。その一つが、私が今持っております岩手県国土強靭化地域計画でありまして、それから、ふるさと振興総合戦略が策定されております。これに関連してまずお伺いしたいと思います。
この岩手県国土強靭化地域計画の中で、私も総括質疑の中でお話をさせていただきましたが、第1の目標といたしまして、起きてはならない最悪の事態、いかなる大規模自然災害が発生しようとも、人命の保護を図るというところがございます。その中で、情報伝達の不備、麻痺、防災意識の低さ等による避難行動のおくれで死傷者を発生しないということをうたっております。
その中から関連してちょっとお伺いいたしますが、情報通信利用環境の整備ということで、先ほども田村委員それから千田委員からも携帯電話のエリア整備という御質問がありましたが、私からは、情報通信利用環境整備の中で、民放ラジオの難聴解消という点でお伺いしたいと思います。
現在の県のラジオ難聴解消に向けた取り組み実績と今後の対応について、まずお伺いいたします。
〇菊池情報政策課総括課長 東日本大震災において、非常時の情報入手手段として、ラジオの有用性というのが改めて認識されたところでありまして、国において、ラジオ放送が地理的に受信できない地域を対象として、東日本大震災の被災市町村がラジオ放送の中継局施設を整備する事業に対して、地上ラジオ放送受信環境整備事業という補助制度が創設されたところです。この制度を活用しまして、岩泉町、山田町及び大槌町において、市町村が中継局を整備しまして、IBC岩手放送やエフエム岩手、そういった民放放送局が放送局の免許を取得し、岩泉町と山田町では開局済みで、大槌町については本年度の開局を目指していると伺っております。
また、県としましては、これまで、国に対して、ラジオ難聴地域の解消に向けた支援制度の創設というものを要望してまいりましたが、先ほど言った事業は大震災の被災地が対象ですけれども、平成26年度には、大震災の被災地以外も活用できる民放ラジオ難聴解消支援事業というものが創設されまして、この制度を活用して、民間放送局ですけれども、IBC岩手放送が、一関市、盛岡市及び二戸市の難聴地域の解消に取り組んでいるところです。
〇臼澤勉委員 私も先般の台風第10号の際、岩泉町の孤立集落を訪れ、孤立されていた方が、ラジオを聞こうと思ってもノイズが結構起きて聞きづらいと、それで、聞くのをもう断念したというお話を聞きました。私も5年前、陸前高田市の被災地で、情報が入ってこないということがいかに危険性が高いかということを改めて感じております。電気も通らないという中において、ラジオから情報を得るということが、すごく安全・安心を確保するという意味におきましても重要なインフラだと私は改めて認識しております。
ぜひ、ここの整備につきまして、岩手県がこの国土強靭化地域計画というものを平成27年度に策定したわけでございますので、民放各局あるいはNHKも含めて、ラジオの難聴解消について改めて取り組んでいただきたいと思います。ここにつきまして、大平政策地域部長から一言お願いいたします。
〇大平政策地域部長 国の制度につきましては、総括課長が答弁申し上げたとおりでございます。まずは、国の制度を活用した市町村の難聴解消の取り組みを支援するということが基本でございます。あとは市町村と連携し、この事業者の方々、IBCあるいはエフエム岩手などが取り組んでいるわけでございますので、こちらにも働きかけをしてまいりたいと思います。
あと、市町村関係では、地域連携推進費などで可能かどうか、こちらも過去にはやっていた事例もございますので、この活用についても検討してまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、もう一つの重要な計画、平成27年10月に岩手県ふるさと振興総合戦略が立ち上がりました。この中で、先ほど来、ふるさと移住、定住対策のお話がございました。人口の社会減、平成26年の2、975人を平成32年にゼロにするという大きな目標を掲げてございます。先ほど来、各委員からもふるさと定住、交流促進を進める上で何が大事かといったところの御指摘がありました。私も同感でございまして、1、387人の正確な属性まではわからないにしても、どこから来て、あるいはどういった方々なのかといったところの把握をしないと、政策というのはなかなか実効性のあるものにならないということを私も反省を込めているわけでございます。
それでちょっとお伺いいたします。まず平成27年7月に、県では、いわて定住・交流促進連絡協議会を組織しておりますが、具体的なこれまでの取り組み状況と課題、今後の対応についてまずお伺いいたします。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 県では、平成27年度に、いわて定住・交流促進連絡協議会に、雇用や産業、不動産等の関係機関を加え、推進体制の拡充を図ったところでございます。
その具体的な取り組みといたしましては、ふるさと回帰支援センターへの相談窓口の設置、市町村と連携した本県独自の移住相談会の開催、移住交流ホームページ、パンフレットのリニューアル等による情報発信の強化、岩手暮らし体験ツアーの実施など、さまざまな取り組みを行ったところでございます。
課題といたしまして、さらなる移住の促進に向けてはということでございますけれども、各分野との一層の連携強化、あるいは移住者の受け入れ態勢の充実を図る必要があると考えてございまして、今年度、これまでも申し上げておりますけれども、商工労働観光部と連携いたしまして、ふるさと回帰支援センターにキャリアカウンセラーを追加配置いたしまして、移住相談と就職相談の一体的な体制を築いたほか、また、県民の移住者の受け入れ機運の醸成に向けまして、新たに県民を対象にしたいわてで暮らそうシンポジウムの開催、また、NPO団体等が行う移住、交流を促進する取り組みを支援する補助制度の創設などを行っているところでございます。
〇臼澤勉委員 実は私も神崎委員と、東京の有楽町のほうではなくて八重洲口に国の定住、交流の窓口がございますが、そちらのほうに調査にお邪魔させていただいたんですけれども、全国の市町村のパンフレットであったり、窓口があるんですけれども、そこのアドバイザーの方からもお話を伺った際、どちらかというと、東北よりは西に対する相談が多いというお話がありました。具体的には島根、鳥取であったり、あるいは高知県とかの取り組みも盛んだし、西のほうの相談が多いというお話も伺ってございます。私も以前、京都府の取り組みなんかも参考にして、実効性のある対策をぜひ研究してみてはいただけないかというお話も挙げました。
具体的に言うと、京都府でも移住促進の特別区域を指定して、そこにおいて空き家の取得であったり農地の取得、あるいは税の軽減、金利の負担軽減という、パッケージに取り組んでいるというお話を伺いました。私は、政策地域部だからこそできると思うんです。各部局の政策をパッケージ化して、例えば特区制度であったり、あるいは農業振興地域、あるいは市街化調整区域でいろいろ規制のある中でも、ここに来ればできるんだということをぜひ提案していただきたいというか、そこはエンジンをかけて誘導していただきたいと思います。
そこでお伺いします。部局横断的な、総合的な施策提案が私は必要と考えますが、他県における移住者への支援施策の動向、そして効果的な移住施策の検討状況についてお伺いいたします。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 他県における移住者への支援施策の状況についてでございますけれども、空き家の改修費用や県外からの引っ越し費用、あるいは冬季用品の購入費用への補助など、住宅確保に係る支援を中心といたしまして、移住者個人への支援制度を15府県が実施しております。また、移住者を受け入れる市町村への支援制度を含めると、31府県が実施しているところでございます。
県といたしましても、各市町村が取り組む住宅確保などの移住者への支援策につきましては情報発信に取り組んでおりますけれども、また、今年度につきましては、先ほど申し上げました新たに民間団体、地域への取り組みに対する補助制度を創設したところでございます。
ふるさと移住・定住促進プロジェクトの検討に当たりましては、部局横断のワーキンググループを設置して検討してまいりまして、今後の施策につきましても、関係部局と連携をとりながら検討しているところでございますので、また他県での状況あるいは市町村の意見というところも十分に踏まえながら、効果的な移住施策が推進できるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 施策を打つときには何を求めているのか、当然、そこを把握する必要があるかと思います。窓口においてアドバイザーの方からは、西のほうの相談は多いけれども、しかし、岩手には、例えば農業に関する相談も結構受けているんだというお話もありますので、ここら辺は農林水産部とも連携しながら、ぜひ、効果的な施策を提言して実行していっていただければと思います。
これは要望で、お願いでございます。
最後に、マイナンバー制度についてお伺いいたします。
平成27年度から県でもしっかりと取り組みを進めておりましたが、マイナンバーカードの交付申請件数の現状と、情報連携開始に向けた取り組み状況についてまずお伺いいたします。
〇菊池情報政策課総括課長 マイナンバー制度についてでございますが、本県のマイナンバーカードの交付申請につきましては、本年の9月30日現在で、県民の約8.8%に当たります約11万2、000件の申請件数となっております。現在、県及び市町村では、来年7月に予定されるそれぞれの機関が持つ情報連携の開始に向けた総合運用テストを展開しておりまして、今後は、県、市町村間や国の機関等との間の連携テストの実施や、その実施テストを踏まえた各業務システムの必要な改修など、情報提供ネットワークシステムの円滑な稼動に向けた総合運用テストの万全な実施に努めているところであります。
〇臼澤勉委員 全国におきましても、まだ約1割ぐらいの申請状況のようでございます。ここについてはこれからというところもあろうかとは思いますが、この普及拡大の取り組み状況についてどのように取り組んでいるのか、次にお伺いいたします。
〇菊池情報政策課総括課長 マイナンバーカードの普及促進につきましては、委員から御紹介ありましたとおり、全国においても交付申請が国民の約1割弱と、申請がいまだ低調であるということで、現在、国でプロジェクトチームをつくりまして、平成29年7月の連携開始とあわせて、本格稼働を予定するマイナポータルを利用した、例えば子育てワンストップサービスとか、住民票のコンビニ交付サービスの拡充ですとか、マイナンバーカードを活用した住民サービスの推進方策について検討を行っておりまして、ことしの12月を目途にアクションプログラムを取りまとめる予定と伺っております。
市町村及び県といたしましても、こうした国の方針も踏まえながら、行政サービスの向上につながるマイナンバーカードの利用促進方策を県として推進していくことが必要と考えております。
〇臼澤勉委員 このマイナンバーの運用につきましては、幾つか課題もあろうかと思います。その中でもセキュリティー対策が非常に重要であろうかと私も思ってございますが、現在の取り組み状況、今後の対応についてお伺いいたします。
〇菊池情報政策課総括課長 マイナンバー制度に係りますセキュリティー対策については、なりすまし防止のために、個人番号を収集する際には必ず本人確認が徹底されるなど、制度面での対策に加えまして、個人情報は一括管理されるものではなくて、それぞれの業務が所管する機関で分散管理の上で、必要なときに必要な情報を連携するというやり方で行いますし、その際も個人番号自体は使わずに、別途、生成される符号という形で連携するなど、システム面でのセキュリティー対策というのも講じられております。
加えまして、現在、県では、これは全国一律で国からの要請も踏まえてですけれども、一層のセキュリティーの強化を図ることを目的としまして、マイナンバーを取り扱う業務システムについては、現在は1人1台端末の中でネット系のものと一緒に使っているんですけれども、マイナンバーを利用する業務システムについては、端末をインターネットから完全に分離するといった庁内のネットワークの分割作業を現在進めておりますし、それに伴いまして、マイナンバーの利用端末については専用端末を導入し、二要素認証システム、ICカードとパスワードとを導入しますけれども、あとは情報の持ち出しを防ぐような仕組みの導入、こういった情報セキュリティーの対策に万全を期しながら、来年の情報連携の円滑な実施に向けて取り組んでいるところです。
〇臼澤勉委員 事務の効率化でありサービスの向上に向けて、重要な取り組みになるかと思います。ぜひ、一層の高度なセキュリティー対策にしっかり取り組んでいただくよう、要望して終わります。
〇伊藤勢至委員 当該委員でありますので、最後にお願いをしたところであります。
2019年ラグビーワールドカップの件についてお伺いをしたいと思います。
国体も成功裏に終わりまして、まずは県庁の皆さんに敬意を表したいと思いますし、しばらくクールダウンをしてもらってから、ゆっくりとワールドカップに取りかかれると思っておりましたが、先日の報道によりますと、スタジアム建設の総工費といいますか、お金が7億円から8億円ふえそうだという報道がございまして、これはちょっと予定外だなという思いをしているところであります。
当初伺っておりましたのは総工費32億円、そのうちの18億円が復興支援金から拠出をされて、サッカーのtotoくじから8億円。つまり、それで26億円。そして現在釜石市がやっております寄附、募金の集まりぐあいがやや2億円近いということから、28億円ぐらいは集まりそうかなと。そうすると、最終的に釜石市と岩手県が残った分を、応分の負担ということでもうまくいくのかなと思っていましたが、ちょっと桁違いの7億円、8億円でありまして、原因は観客席に屋根をかけろということと、それから5人がかけられるような椅子の計画だったものを、1人1人に区切った椅子にしてもらいたいという要望のようであります。この交渉は、釜石市と日本ラグビー協会、そしてその上にある日本のワールドカップリミテッドとの間で協議をしてきたもののようなのでありますが、今回は世界のワールドカップリミテッド、つまり、世界の委員会のほうからこうしてほしいということが来たので、これを断ることは難しいものだと思います。したがいまして、この大きな金額をどのように調整をしていくかということについては、早速議論を始め、手段を講じていかなければならない、こう思ったので今お聞きをしたところでありますが、これについては、基本的には、協議をしてこれでいいよと言ってきた日本のラグビー協会あるいは日本のワールドカップリミテッド、そこら辺からさらに一塊の5億円なり6億円なりのバックアップが必要だと思うんですが、今時点でどのようにお考えでしょうか。
〇小野政策監 11月14日に釜石市議会の全員協議会がございまして、その際、今お話しのラグビースタジアムの整備に関する現状説明がございました。この趣旨につきましては、県議会議員の皆様にも11月7日に、重要な情報でございますのであらかじめ御提供したところでございます。
11月14日の全員協議会におきましては、まず、先ほど委員からお話がございましたラグビーワールドカップリミテッドのほうから、12開催都市がございますけれども、ほぼ全ての開催自治体のスタジアムに対しまして、観客席の個席化、屋根の拡大、大型映像装置の増設等の要望があったものでございます。その上で、市からの説明の中で、ワールドカップリミテッドからの要求事項に全て対応した場合、あらあらの積算ではあるが、事業費が7億円から8億円程度増額することが見込まれる旨の説明があったところでございます。スタジアムの最終的な整備費につきましては、ワールドカップリミテッドに提出いたしますベニュープラン、会場建設に関する運営計画でございますが、これが年内に提出され、そして承認を受け、また、今年度中に同スタジアム実施設計業務において最終的な積算が行われる状況でございまして、先ほどの7億円から8億円という数値が確定したものではございませんが、要求に全て応えた場合のあらあらの積算といったことですので、お含みおきをいただきたいと思います。
その上で、本県そして釜石市はまだ復興の途上にございます。復興事業が最優先される中、多額の財政支出はなかなか難しいということは申し上げるまでもございませんが、一方で、大会の成功、それから円滑な運営に資する必要最小限の仕様変更とこれとのバランスを十分に考慮し、ワールドカップリミテッド、それから日本の組織委員会等との折衝、調整作業を行っているところでございます。
具体的な対応案として幾つか申し上げますと、これもお配りした資料の中にございますけれども、組織委員会のほうでは、サブグラウンドについては、この大会に際しては必要ないといった話でございますので、当初の計画の中で見込んでおりましたサブグラウンドについての整備内容は一旦取りやめ、人工芝化を取りやめるといった点。それから、財源につきましても、社会資本整備総合交付金、それから日本スポーツ振興センター─JSCの対象事業等さまざまございますので、ここの対象等ともうまく調整しながら、先ほどのサブグラウンドの件で、当初予定していた財源の充て方、これらも国等関係機関と協議をいたしまして、できるだけうまくその財源を活用して地元負担ができるだけ少なくなる形で進めていくことができるよう、現在調整を行っているところでございます。また、釜石市におきましては、ラグビーこども未来基金の確保のための取り組みについても強化されると伺っております。
それから、先ほどワールドカップリミテッドからの要請の中で、仮設、例えば座席の関係がございます。そういった仮設の設備の仕様につきましては、釜石市、岩手県の特殊性、震災からの復興の途上であるという特殊性も考慮し交渉を進めてまいりたいということで、これにつきましては、組織委員会のほうにも、県と市が一緒になって要請をしてまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 いずれ、ウナ重を頼んでも松竹梅があります。岩手県は梅で用意したけれども、松でやれと言ってきたんだったら、その松のお金はくださいというのが筋だと思いますから、ぜひそういうことを忘れないようにひとつお願いをしたいと思います。
それから、この際一つ提案をしておきます。今さらやめられない、やるしかないわけでありますが、そのやる際に、英国大会を視察してまいりましたが、競技場でゲームを見られない人たちのためのファンゾーン、これが何カ所かにあって、そこも大賑わいだったようでありまして、岩手県の場合、岩手競馬、テレトラックを何カ所か持っておりますので、この電信通信網を利用した集客、人を集める、これを考えておくことも重要ではないかと思います。直轄は農林水産部だと思いますが、計画、作戦としてそういうこともあり得るのではないか、そういうことを調査しておくことは、オール岩手の場合、非常に有効な集客につながるのではないかと思いますが、今、いきなりでしたが、何かあったら答えをください。
〇小野政策監 ただいまファンゾーンの件、そしてパブリックビューイングができるようなという形で、テレトラック、競馬場等の活用についてお話がございました。ファンゾーンの関係につきましては、平成29年度前半、来年度前半に、ワールドカップリミテッドのほうから、いわゆるワールドカップリミテッドが言うところの公式のファンゾーンについては、考え方が全ての開催地に対して示されるといったことで、さまざまなルールも含めて、これからその中身が示される段階でございます。一般的には、リミテッドが言うところの公式のファンゾーンにつきましては、通常1カ所といったことがございます。ただ、次の大会においてどのようなルールあるいは方向が示されるかにつきましては来年度の話になりますので、まずその情報をしっかりとっていきたいと思います。
それから、今委員から、広く全県的にパブリックビューイングができるような方策も考えるべきといったお話がございました。これにつきましては、先ほどのファンゾーン、いわゆる公式のファンゾーンとは別に、今回の国体でも、国体プラスといったことで開会式のパブリックビューイングを沿岸、内陸で行いました。このような形で、できるだけワールドカップを県民みんなで盛り上げていくことが重要と考えております。
今、お話のございました競馬場それからテレトラックの活用も含めまして、農林水産部それから競馬組合等、関係のところと協議をしながら検討を進めてまいりたいと考えます。
〇中平均副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇飯澤匡委員 この間総括質疑で聞いたんですけれども、納得できないのは、ここに来てILCのメーンキャンパスの意思だとか大分煮詰まっていくに従って、先ほど答弁にもありましたように、ワーキンググループが指導すると。まさにエンジンが温まってきたときに、私の問題意識は、そういう時期に来ているのに、研究者の方から、岩手の案がなかなか出てこないと、提案がないんだよなというのは、これをもってあなた方が犯人探しをするのではなくて、組織のあり方として、いつも接している研究者の方からそういう声が出てくるということが私は問題だと思うんです。
二つ問題点があって、それがまず1点と、それから、常々岩手県側からそういう提案をしていないということがこれも問題だと思います。したがって、あなた方を責めるわけではない。私が言いたいのは、組織としてまだしっかり対応できていないということで、それをもって私はちゃんとした肩書というのはいろいろ折衝する上では大変重要ですから、部長も忙しいし、それから副知事だって、知事だってそれだけにかかわっているわけにはいかないと、そういうことを含めて御提案申し上げたんですが、残念なことに、適材適所という、本当に県庁内のこういう人事構成だけに執心しているような答弁が出てきたので、これはちょっと大変だなと思って今手を挙げて質問したところです。これに対してこれからどういう対策を練っていくのか。私はそういうことで前向きにやっていただきたいと思うのですが、今の現状と、これからの対応策、岩手県がそういうふうに見られたら、かなり損だと思うんですよ。どうですか。
〇佐々木科学ILC推進室長 研究者から岩手の案がない等々の御意見ということでありますが、今、東京大学等を初め国際設計にかかわる研究者の方々、それから東北の関係者とは定期的に会って話し合いをしながら、これから東北をどうするか、その中では岩手はどうするかという意見を言いながら、全体で検討を進めているところでございます。
これまで、それぞれがばらばら動いていたことから、東北ILC準備室をつくって東北が一体で動く。その中で、これまで岩手で培ってきた、これまでさまざま調査とか積み上げてきたものが生かされる形で東北ILC準備室は動きます。ですので、研究者から、まだまだ岩手は動いていないということにつきましては、改めてまた別な場面でも話を伺いながら対応したいと思いますが、岩手県とすれば、全体として動く中で、岩手県としていかに動くか、そういったことに努めているというところでございます。
それから、岩手から提案がないということでありますが、これについては、このプロジェクトそのものは岩手だけのものではないプロジェクトで、東北、日本、世界に影響がある、効果があるプロジェクトであると同時に、我々の岩手の県民が夢を持ってこれからどうこのILCに取り組み、できたらどういうふうな豊かな県にするかというのももちろん大事でありますので、その点につきましては、全体とのバランスを見ながら言うべきことは言う、それから、これからマスタープランをつくる中で、県としてはしっかり提案をして、全体そして岩手が豊かになるように努めていくと、そういうスタンスで臨んでおります。
〇飯澤匡委員 あなた方、そうやっていると言っているけれども、結果が全てですから、結果が。だから心配して言っているわけです。確かにバランスを見ながらやらなければならない大きなプロジェクトですからそのとおりですけれども、私はアリの一穴じゃないですけれども、こういうことが積み重なってきて、岩手県に対する期待感というのは、研究者の方々はかなりシンパシーを持ってこれまでやってこられたけれども、こういう声が出てくるということが、非常に私は心配になって質問したわけです。やっていることと外部が評価していることは別のことが起こっているわけですから、あなた方はやっているやっていると言うけれども、別の方は別の評価をしているということ、これは大事にしなければならないんじゃないですか。だからあえて言っているんです。部長、どうでしょう。
〇大平政策地域部長 キャンパスについて申し上げますと、キャンパスについては立地評価会議が行われた際に、東北から提案してございます。これを絞るのは待ってくれというお話も、それを1カ所に絞るのは東北ではまだ必要がないというお話の中で、現在絞っていないというところでございます。やり方も非常に微妙な問題があるから岩手が勝手に動かないでくれとお話も受けまして、現状のとおりになってございます。
この場所の絞り方は総括質疑でもございましたけれども、これらを含めまして、提案した箇所、それに研究者の方からさらにもし要望があればそれらも含めて、決め方も含めて、研究者の方と十分相談してまいるということでございます。
一方、委員おっしゃった県の動きが鈍いのではないということ、それが外部に対してそう見られているということについては、これは反省すべきところは反省したいと思います。
〇飯澤匡委員 大変なプロジェクトだというのに、どうも、組織内の中で固めようとしてそれでよしとする、私はもっともっと体制強化をすべきだという意味でこの間も質問させていただいたし、そういう気持ちは今でも変わりません。ですから、情報発信するところは適宜情報発信していただいて、こういう声が私のところまで来ないようにしっかりとやっていただきたいと思います。
これは何らかの不満の意思表示ですよ。私はそう捉えています、よくお話をしている研究者の方ですから。よろしくお願いします。
〇中平均副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均副委員長 質疑がないようでありますので、政策地域部関係の質疑をこれで終わります。
政策地域部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時55分 休 憩
午後3時17分 再 開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇木村復興局長 平成27年度の復興局関係の決算について御説明申し上げます。
初めに、復興局所管の事務事業に係る取り組み状況等について総括的に御説明申し上げます。
復興局は、東日本大震災津波からの復興に向けて、次の六つを施策の柱として重点的に取り組んでまいりました。
第1は、本格復興に向けた取り組みの加速化です。
平成26年度からスタートした第2期復興実施計画を着実に進めるため、復興委員会等の開催、女性や若者との意見交換のほか、復興意識調査や復興ウォッチャー調査などを実施しながら、復興の取り組みを推進してまいりました。
また、本年3月には、中長期的かつ広域的な視点に立ち、新たな三陸地域を築いていくためのアイデアや事例をまとめた三陸復興・振興方策調査報告書を作成、公表いたしました。
第2期復興実施計画に掲げる事業の平成27年度の進捗状況につきましては、ことしの5月に平成27年度復興実施計画(第2期)の施策体系・事業に基づく進捗状況(確定値)を公表しておりますが、県の第2期復興実施計画に掲げる延べ344指標について、平成27年度の計画に対する進捗率が95%以上の指標が240指標、69.8%となっております。
いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされておりますことから、第2期復興実施計画に掲げる事業について、関係機関と連携を図りながら、今年度最後までしっかりと取り組むとともに、第2期の取り組みを踏まえ、第3期復興実施計画の策定を進めてまいります。
第2に、市町村の復興まちづくりの支援であります。
復興事業の円滑かつ迅速な実施を支援し、早期の住宅再建を図るとともに、快適で魅力あるまちづくりを促進するため、復興整備計画の作成支援や用地取得特例制度の活用促進に取り組むとともに、被災者の今後の生活設計や再建等のための情報提供として復旧・復興ロードマップを公表いたしました。
第3に、被災者に寄り添った暮らしの再建であります。
被災世帯の多くが希望している持ち家の建設、購入に係る資金を市町村と共同で補助し、早期の住宅再建を支援いたしました。また、沿岸4地区の被災者相談支援センターに相談員を配置するとともに、司法書士やファイナンシャルプランナーなどの専門家を派遣して、被災者からの相談や問い合わせ、被災者一人一人の状況に応じたライフプランの作成など、きめ細かな支援に取り組みました。
第4に、なりわいの再生による三陸創造であります。
被災事業所復興状況調査を実施し、事業所の復興状況を的確に把握しながら、各種施策の効果的な推進につなげたほか、産業再生特区制度による事業者の税制特例措置の活用を促進しました。
また、沿岸地域の産業振興を促進するため、被災者等の起業を支援するとともに、専門家によるきめ細やかな経営指導を行ったほか、基幹産業である水産加工業の人材確保のために必要な宿舎の整備等に要する経費を市町村と共同で補助いたしました。
第5に、復興に係る情報発信と絆づくりであります。
県内外での復興フォーラムや、いわて復興未来塾の開催、いわて復興だよりの発行など、積極的な情報発信により、国内外の皆さんとの連携やつながりを深め、震災の記憶の風化防止に取り組みました。
第6に、三陸創造プロジェクトについてであります。
東日本大震災津波伝承まちづくりプロジェクトの取り組みとして、震災関連資料の収集・活用に係るガイドラインを策定するとともに、高田松原津波復興祈念公園に配置を予定しております震災津波伝承施設の基本計画策定に取り組みました。
今後におきましても、復興実施計画に基づき、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生などの取り組みを一層加速させ、一日も早い復興の実現を目指して取り組んでまいります。
引き続きまして、復興局関係の決算について御説明申し上げます。
復興局関係の一般会計歳出決算は、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページになりますが、2款総務費のうち、2項企画費の一部、3款民生費のうち、5項災害救助費の一部、続きまして、16ページと17ページになりますが、12款公債費の一部でありますが、これらの支出済額総額は260億6、500万円余であり、不用額は8億6、800万円余となっております。
それでは、決算の内容については、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略し、主な事業の内容を中心に御説明いたします。
事項別明細書の164ページ、165ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費のうち、当局関係194億3、800万円余の主なものについて御説明申し上げます。
まず、右側備考欄の中ほどの復興局の上から二つ目、復興情報発信事業費は、県内及び東京都、静岡県でのフォーラム開催や復興に関する情報を発信するいわて復興だよりの発行に要した経費であります。次に、三つ飛びまして、さんりく産業復興人材確保・育成支援事業費は、被災者等の起業支援や専門家による経営指導のほか、水産加工業の人材確保に必要な宿舎の整備等への補助に要した経費であります。次に、三つ飛びまして、いわての学び希望基金積立金は、東日本大震災津波により著しい被害を受けた児童等の修学の支援、教育の充実等のための事業に要する基金の積み立てに要した経費であります。その次の、東日本大震災復興交付金基金積立金は、県が実施する東日本大震災復興特別区域法に規定する復興交付金事業に要する基金の積み立てに要した経費であります。次に、166ページ、167ページをお開き願います。2目計画調査費の備考欄の最後に記載してございます復興計画推進費は、復興委員会の開催や復興意識調査、三陸復興・振興方策調査など、復興計画の進行管理、推進に要した経費でございます。
次に、少し飛びまして、206ページ、207ページをお開きいただきます。3款民生費5項災害救助費1目救助費のうち、備考欄に記載しております当局関係64億3、200万円余の主なものについて御説明いたします。
まず、中ほど復興局の上から二つ目、救助費は、民間賃貸住宅の借り上げや応急仮設住宅の維持修繕に係る経費、本県の被災者に対する救助を行った他都道府県からの求償など、被災者への応急的な救助に要した経費であります。次に、二つ飛びまして、災害援護資金貸付金は、東日本大震災津波により被災した世帯の生活の立て直しに資するため、貸し付けを行う原資を市町村に貸し付けるために要した経費であります。次に、二つ飛びまして、仮設住宅共益費支援事業費は、応急仮設住宅における集会所等に係る水道や電気料等の共益費を負担したものであります。その次の、被災者住宅再建支援事業費補助は、持ち家による住宅再建を促進するため、被災者生活再建支援金の加算支援金を受給して住宅を建設または購入した世帯に対し、市町村が補助する場合に、その費用の一部を補助したものであります。
次に、また少し飛びまして、352ページ、353ページでございます。12款公債費1項公債費1目元金のうち1億6、700万円余が当局の所管でございますが、これは、災害援護資金の借入金に係る償還元金であります。
以上で復興局関係の説明を終わります。よろしく御審議をお願いいたします。
〇軽石義則委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木朋和委員 私からは、いわての学び希望基金についてお聞きしたいと思います。
平成27年度までの寄附の実績でありますけれども、1万7、177件、79億2、813万9、000円の寄附が寄せられております。これは岩手県の遺児、孤児の皆さんを社会人になるまで支えるという趣旨で集められたお金でございますけれども、岩手県の場合、孤児が94名、遺児が489名いらっしゃいまして、社会人になるまで支える所要額として岩手県では28億2、000万円と試算しているとお聞きしております。
全国から、また海外からも寄せられた本当にありがたい結果なのですが、残りの50億円余りの資金を、これからどうやって子供たちのために使っていくかが大きな課題だと思っております。
県は、平成24年、平成27年、平成28年と、その震災遺児、孤児以外の被災児童生徒の支援事業を新事業として行っているわけでありますけれども、この点をどのように総括しているのか伺います。あわせて、次も聞いてしまいますが、今後のいわての学び希望基金の事業の方向性をどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇熊谷復興推進課総括課長 いわての学び希望基金についてであります。
奨学金などの給付事業に追加して実施しました事業につきましては、平成24年度には、教科書購入費等給付事業、運動部や文化部の活動支援費の補助事業を始めたほか、平成27年度には、高田高校運動部部活動等支援スクールバス運行事業、進学、就職を支援する県立学校担い手育成支援事業、基金の取り組みを紹介する情報発信事業などを実施してきております。
また、平成28年度からは、新たに被災地児童生徒文化芸術支援事業、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業、防災教育・復興教育推進事業など8事業を実施してきたところであります。
これらの給付事業に加えて、被災地の子供たちを幅広く対象にした事業につきましては、平成27年度で言いますと1万人以上の方を給付対象としているところですが、子供たちが学業や部活動を通じて、学ぶ意欲の向上や責任感、連帯感を養いながら、元気でたくましく成長することに寄与してきたものと考えております。
次に、いわての学び希望基金の方向性についてでありますが、基金制定の趣旨にあります、子供たちの修学の支援、教育の充実等のため、子供たちの成長に応じた事業を実施していくということで、中長期の視点で、息の長いさまざまな継続的な支援を関係部局と連携しながら展開していきたいと考えております。
被災地の子供、あるいは学校のニーズ、子供たちを取り巻く環境変化に対応しまして、寄附者の御意向あるいは寄附の状況、基金の状況を見ながら、基金の趣旨に沿った事業を今後とも展開してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 これまでの事業を総括していただいて、おおむね使い方としてはよかったのではないかというような御答弁だったと思います。しかしながら、私も前回の予算特別委員会では、子供たちを対象として、沿岸被災地においてILCのサイエンスシンポジウムの開催をしたり、もしくは芸術家の方を呼んで、派遣をしたり、また、美術館の移動ワークショップをしたり、または、国体についての応援をこのいわての学び希望基金で行うことはどうなのかというような指摘をさせていただいたところでございました。
そういった中で、ニーズの把握を図っていくということでしたが、今まではどのような形でニーズの把握をしてきたのかお伺いします。
〇熊谷復興推進課総括課長 事業を実施する、例えば教育委員会の現場の学校からのニーズの吸い上げですとか、あと、学校には就学支援員という非常勤の方がおりますが、広域振興局においてその方から学校現場の状況なども聞くなど、関係部局と連携して情報収集しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 そういったときには、この復興局から各部局に、このぐらいの予算、このぐらいの事業規模でという形でお伺いしているのでしょうか。それとも、もうざっくりと、どういったものが必要なのかと、そこから予算を積み上げるような形になっているんでしょうか。
〇熊谷復興推進課総括課長 毎年度、復興局から各部局に対し、要望調査をかけますが、その際にいわての学び希望基金の活用を希望する所管部局から要望が出てまいります。そこから必要に応じてヒアリングをしたり、内容の予算額が適当であるかどうか、あるいはいわての学び希望基金の趣旨に合っているかどうかなどを総合的に判断しながら、意見を付して総務部に通知して、通常の予算編成の中で予算をつくっていくというような手順になります。
〇佐々木朋和委員 前もこういった質疑をさせていただいたかと思うのですけれども、私は、もっと大きな視点でこのお金をどうやって使っていくかというのを考えていただきたいという意味で、前回も質問させていただきました。
今のようなやり方ですと、このいわて学びの希望基金の使い方について、県庁内にマイナスシーリングが働いている中で、一般予算でできない部分をこっちに盛り込む心配があるなというのを平成28年度の予算を見て私は感じたわけであります。
そういった中で、中村前復興局長には、大きな視点で考えていただくというような答弁もいただいていたと思うのですけれども、私は、この50億円というお金を、毎年そういった目の前の必要なものに対して使っていくのも重要だと思いますが、沿岸の教育もしくは子育て支援について、50億円というお金を使える機会はもうまたとないのではないか。沿岸地域が、これから県の中で浮き上がっていくと言ったら大変失礼ですけれども、もう一回復興、復旧ではなくて復興していくためには、やっぱり教育が必要であって、その教育にまとまってお金を使っていけるこれは大きなチャンスではないかと思うのですね。
そういった視点から、次の予算についても考えていただきたいと私は思っているところでありますが、ここは局長の所見をいただきたいと思います。
〇木村復興局長 いわての学び希望基金の活用の方向性、活用の仕方ということにつきましては、ことし2月の予算特別委員会でも、前復興局長から御答弁申し上げてございますとおり、基本的には、寄附者の方々の御意思を最大限尊重しなければならないということでございます。
一方で、当初、県で想定したより以上の温かい御寄附をいただいております。言ってみれば、今想定している事業よりも基金の残高が多いというような状況にもございます。
ただ、先ほど課長からも御答弁申し上げました、息の長い育英ということでございますので、これからまだ数十年かかってくる。それから、いわゆる育英資金の額についても、今のままでいいのかとか、例えば額がふえる可能性も出てくるというようなこともございますので、例えば50億円というお話が今ありましたが、今想定している、言ってみれば剰余額というか残余額というか、そういうものが全て使えるというようなことでもないのかなということもございます。
いずれ、基金の趣旨にありますとおり、被災地の子供たちの修学支援、それから勉学支援のために有効に活用していかなければならない。その意味では、大きい視点ということもそのとおりだと思います。これから、毎年毎年予算調製は出てまいりますので、いわての学び基金を充当する事業の選び方、その仕組みにつきましても、今は先ほど申し上げたようなやり方でやっていますが、違う方法、例えば復興局でこういうテーマでどうですかみたいなことができるかどうかということも含めまして、今後さらに検討していきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 今、局長がおっしゃいましたけれども、その所要額についてこれから変わっていくかもしれない、より必要になるかもしれないと。そうであればそのほかの支援事業、新たな事業というものは、まさに慎重にやらなければいけないかとも思います。そういった意味で、今のこの事業の組み方を含めて検討していただきたいと思いますし、私も、今後またしっかりとチェックしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、震災遺構についてお伺いします。
現在、本県において震災遺構として残す意向のある施設は、今、何市町村、何個あるのか。また、その保存に要する予算、財源はどのような仕組みになっているのか。また、残すに当たって、そういった制限、ルールはあるのかどうか、この点についてお聞きします。
〇田村まちづくり再生課総括課長 震災遺構についてでございます。
沿岸市町村から聞き取りしたところによりますと、本年8月時点で遺構として残すことを考えている施設は、6市町村におきまして11カ所となっております。
これらの箇所につきましては、小規模なものもございますので、保存のために費用が全てかかるものではございませんけれども、予算が必要な遺構につきましては、復興交付金による支援措置が講じられているところでございます。
本県では、宮古市のたろう観光ホテルと田野畑村の明戸防潮堤の2カ所におきまして、復興交付金を活用し整備しているところでございます。
このルールでございますけれども、復興交付金を使う場合は、1市町村1カ所と復興庁から示されております。
〇佐々木朋和委員 6市町村11カ所という数を見ただけでも、1市町村1個というルールの中で、それ以上に残して後世に伝えたいという思いがやはり市町村にあるかと思っているところでございます。
陸前高田市に、県も震災復興祈念公園を県営で整備するという中で、その一帯土地で四つの震災遺構について残したいという要望と申しますか意向があるとお聞きしております。これについては、全県を見れば、各市町村一つであっても、残さないところもあるし残したいと言っているところもありますので、全県のバランスで、1市町村一つではなくても、県内のトータル数としてはこうだという形で、私は、この県営の公園の中で一体となった遺構でありますから四つ全て残していくべきだと思っているわけであります。県は、そういった中で、国との調整役としてどのような役割を担っていくおつもりなのかお伺いしたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 委員御指摘のとおり、高田松原の公園の中には四つの大きな遺構がございます。これらの遺構につきましては、復興祈念公園の整備の方針をお示ししました高田松原津波復興祈念公園基本計画では、これらの遺構につきまして、被害の様子や破壊力の大きさなど津波の脅威を後世に伝えるものとして活用していくこととしております。
これらの四つの遺構の保存の体制とか費用負担のあり方につきましては、現在、関係者で調整しているところでございますが、その結果におきまして、もしもう少し幅広に考えていただきたいということがあれば、復興庁とも御相談したいと思っております。
〇佐々木朋和委員 ちょっと抽象的な話ではありましたが、しっかりと間に入ってやっていただけるということだと理解しております。これは、まさに県営の復興公園でありますので、しっかりとした機能が備えられるようにぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、被災者の住宅確保についてお聞きします。
これは、本会議の答弁で、応急仮設住宅入居者で住宅確保の見通しが立っていない被災者が9月末現在1、088世帯、15.2%、こういう答弁がありました。その後、恐らく市町村ではさらに精査されているとは思いますが、大変重大な実態ではないのかと。住宅の見通しが立っていない主な理由、そして実態はどうなっているでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 住宅確保の見通しが立っていない被災者の実態等についてでありますが、住まいの意向が決まっていない1、088世帯のうち、未定、決まっていないという方が349世帯、4.9%、未回答、回答が来ていない方が739世帯、10.3%となっております。
意向が未定の方の理由についてでありますが、調査を行っている市町村にお聞きしますと、やはり家を建てるか災害公営住宅に入居するか、金銭面ですとか、あるいは家族の問題、家族の中で意見が分かれているというようなこともありまして、迷われている方が多いと聞いております。
〇斉藤信委員 住宅再建するか災害公営住宅にするかと、これも大変重要な選択ですけれども、どっちかというと、これは住宅確保に向かう方向ですね。私が心配するのは、自立再建でもない、災害公営住宅にも入れない方々もおられるのではないかと思いますが、その実態は把握されていますか。
〇小笠原生活再建課総括課長 決めかねている方の中には、確かに災害公営住宅の家賃が新たに発生しますので、そういったところを懸念されている方もいるという話は承知しております。
これにつきましては、災害公営住宅につきましては家賃の軽減措置もとられておりますし、あとは、そこの家庭の家計の状況等を把握いたしまして、関係の福祉機関につなげるなどといった支援を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 県は、沿岸4カ所の被災者支援相談センター、そして、いわて内陸避難者支援センターを設置して、住宅確保を含めた相談などに対応していると思いますけれども、この相談の内容、件数はどうなっているでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 まず、沿岸4地区に設置しております被災者相談支援センターでありますが、相談員による相談のほか、例えば生活設計の専門家でありますファイナンシャルプランナー等の専門家を派遣いたしまして相談を行っているところでございます。
このうち、まず実態ですが、相談員による相談件数は、9月末現在の平成23年度からの累計になりますが、2万2、021件の相談がございます。内容としましては、やはり住宅に関する相談が最も多く約半数を占めておるほか、生活上の問題、健康、人間関係に関する相談等が約2割となっております。
また、専門家相談につきましては、同じく8月末の累計で2、296件であり、このうち司法書士の相談が800件と最も多く、次いでファイナンシャルプランナーが500件となっております。
次に、いわて内陸避難者支援センターにおける取り組み状況でありますが、スタッフ7名を配置しておりますが、内陸及び県外に避難している方に対し、沿岸市町村からの依頼を受けまして住宅再建の意向調査を行っておりますほか、内陸等に避難されている方からの相談にも対応しているところでございます。
相談件数は、5月に設置いたしましたが、9月末で945件となっており、内容といたしましては、経済的な問題、あるいは子供の教育のことで再建場所を迷っているといったことなど、さまざまでございますが、実際に訪問している職員に聞きますと、複数の問題を抱えている方が多いとの報告を受けております。
〇斉藤信委員 知事は、被災者の最後の一人一人まで生活再建を支援するんだと話しました。私、この立場というのは大変重要だと思いますし、そういう意味で、困った人が残っているわけなので、これから本当に一人一人に寄り添って、しっかり支援を強めていただきたいと思います。
住宅再建の相談にかかわって、先日、弁護士とも懇談しました。そのときに、弁護士の相談の中で多いのは、被災者生活再建支援金の申請期限が平成30年4月10日になっており、これでは間に合わないという相談と聞きました。これは延長されるものと思うけれども、その見通しはどうでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 加算支援金の延長についてでありますが、1年前から協議という形にはなっておりますが、まちづくりの整備状況等を考えますと延長は不可欠だろうと考えております。つきましては、現在、宮城県、福島県とも連携いたしまして、延長について要望する方向で進めております。
〇斉藤信委員 もう一つ指摘されたのは住宅の二重ローン問題でした。相談があるけれども、このガイドラインに合わない、ガイドラインに引っかかってしまうという形で、住宅を建てたいけれども、二重ローンを抱えたままなので住宅再建の見通しが立たないということでした。岩手県における二重ローン対策が適用になった件数、申請件数をあわせて示してください。そして、認定されない主な問題は何なのか、これも含めて示してください。
〇小笠原生活再建課総括課長 ことしの9月30日までのガイドラインの相談件数は、岩手県内で1、100件、このうち債務整理が成立したのが356件となっております。
その成立しなかった理由については、これは個別の案件で我々も詳細には把握しかねるところがありますが、一つは、債権者全員が合意しないと成立しない仕組みになっておりますので、その制度的な問題が一つ。それから、これは実際、適用にならなかった方からお聞きした中では、資産があって、それでどうも認められなかったようだというお話も聞いたりはしております。
〇斉藤信委員 1、100件の申請があって356件、32.4%しか債務整理されなかったということで、新しい制度なので、私は、これは改善を今後強く求めていく必要があるのではないかと思います。特に、共稼ぎなどの場合には、収入基準で引っかかるとか、債務の比率で引っかかるということも聞いていますので、その点をぜひ把握して改善を求めていただきたい。
次に、被災者の見守りとコミュニティーの確立についてお聞きします。
応急仮設住宅、災害公営住宅の高齢者やひとり暮らし高齢者の実態と見守りの体制、取り組みはどうなっているか、具体的に示してください。
〇小笠原生活再建課総括課長 応急仮設住宅及び災害公営住宅に入居している高齢者の実態と見守りについてでありますが、数値につきましては、市町村の調査時点が異なりますことから、県全体の割合でお答えさせていただきますと、まず、応急仮設住宅に入居している65歳以上の高齢者のみの世帯は全体の約3割となっており、その高齢者世帯のうちの約6割はひとり暮らしの世帯となっております。
また、災害公営住宅に入居している65歳以上の高齢者のみの世帯は全体の約4割となっておりまして、このうちひとり暮らしの世帯は約7割となっております。
応急仮設住宅や災害公営住宅に入居している高齢者の方に対しましては、市町村社会福祉協議会の生活支援相談員や市町村の支援員等が、個々の世帯の状況に応じた頻度により訪問活動を行っておりますほか、地域によりましては、老人クラブ等による見守りなど、住民が主体となった活動も行われているところでございます。
〇斉藤信委員 リアリズムで、例えば重点見守り、通常見守りはどれぐらいになるのか、そのことを示してください。
〇小笠原生活再建課総括課長 ことしの8月時点の生活支援相談員の活動状況でございますが、対象世帯、これは高齢者と分けておりませんが、全体で重点見守りとなっている世帯は1、289世帯、通常の見守り活動を行っている世帯が8、687世帯、不定期の見守り活動を行っている世帯が4、381世帯となっております。
〇斉藤信委員 わかりました。昨年度の実績とは数字が若干違っていますね。
それで、災害公営住宅の場合は高齢者が4割で、そのうち7割がひとり暮らしだという答弁でした。高齢者の見守りは、災害公営住宅の場合、ほとんど月1回ですよ。応急仮設住宅の場合は毎週のテンポなのだけれども、災害公営住宅になると月1回のテンポで、これだとやっぱり十分な見守りにならないのではないか。そして、災害公営住宅は一定の居住性があるので、ますます外に出なくなる、引きこもりがちになるというのが特徴なのですね。
私は、今は応急仮設住宅もあり災害公営住宅もつくられている、どちらも見なくてはならないという状況なのだけれども、やっぱり災害公営住宅の高齢者、ひとり暮らしの見守り体制をさらに強化する必要があるのではないかと思います。阪神・淡路大震災からもう20年たっても、孤独死が今でも発生して、20年間で1、063名ですか。それは、主には災害公営住宅に入ってからなのですよ。そういう意味で、私は一つの見守りの転換点だと思うので、そのことを今まで以上に強化する必要があるのではないか。
陸前高田市に先日行ったときに、下和野住宅の1階に市民交流プラザをつくっていました。誰でもそこに行って交流できる、相談機能も持っている。そして、この市民交流プラザを県営の中田団地にも整備するという話でありました。私は、県営の栃ヶ沢という300戸の最大規模の災害公営住宅にもこういう市民交流プラザが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 災害公営住宅に関する見守り、コミュニティーの関係でございますが、災害公営住宅に入居されている方の孤立化を防止するためには、生活支援相談員等による見守りのほか、地域による支え合いが重要と認識しておりまして、陸前高田市が設置しております市民交流プラザは、先駆的な取り組みだと当方も認識いたしております。
コミュニティー形成のための支援といたしましては、国の被災者支援総合交付金により支援員を配置することが可能になっておりますので、地域によってどのような支援体制が望ましいのか、これは市町村の考えもお伺いしなければなりませんので、そういったお考えをよくお聞きしながら対応してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 災害公営住宅の場合、県営と市町村営で半分ぐらいずつつくっているのですね。どっちかというと県営のほうが規模が大きい。ですから私は、市町村とよく連絡をとって、県営住宅だから県がやるという単純な話ではなくて、そこで生活するのは市民であり住民なわけですから、今、回答があったように、ぜひ関係市町村と、県営の災害公営住宅などの場合には、そういう見守りの体制や市民交流プラザの経験なども生かせるようにしていただきたい。
見守りの問題でもう一つお聞きしたいのは、実は、被災者の中で、県内在宅という被災者が、10月末現在、一番新しい数で7、127世帯、1万5、232人に達しているのですね。今、みなしも含めた応急仮設住宅暮らしの方々が7、214世帯、1万5、881人ですから、応急仮設住宅暮らしと同じぐらい在宅の被災者がいるわけです。この在宅被災者の実態を把握する必要があるのではないか、そして、そこに必要な支援を強化する必要があるのではないかと私は思いますが、どのように実態を把握しているでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 在宅被災者のお尋ねでございますが、委員から御指摘のありました七千何百世帯というのは、実は応急仮設住宅から恒久住宅に移行した後も見守りが必要だと考えている世帯も入っておりますので、当方で把握している数字で申し上げますと、住宅被害を受けて生活再建支援金の加算支援金を受給して自宅を補修してお住まいになっている世帯は、9月末現在で2、915世帯になってございます。
在宅被災者に対する支援についてでありますが、先ほど申し上げました生活支援相談員の方々は、応急仮設住宅、災害公営住宅にかかわらず地域を回っていただいておりまして、支援が必要とされた世帯については見守り活動を行っておりますほか、我々も市町村との意見交換の際に、在宅被災者の状況はどうなのかということは機会あるごとにお聞きしております。その中でお聞きしておりますのは、状況は、民生委員とか、その他の方々もいらっしゃいますので情報は上がってきている、市町村でも把握はできている。ただし、やはり自宅の補修費用が捻出できないがために、そういった補修できない状態でお住まいの方もいるということは聞いております。
〇斉藤信委員 今、被災者生活再建支援金の形で補修したのが一番新しいので2、919件なのですね。そのとおりです。災害救助法で応急修理をした数もあるのですよ。これは何世帯になりますか。
〇小笠原生活再建課総括課長 申しわけございません、応急修理を行った件数につきましては、ちょっと手元にございませんので、後ほど御回答させていただきます。
〇斉藤信委員 災害救助法や被災者生活再建支援金の場合は、全壊、大規模半壊が対象ですから、やっぱり半壊、一部損壊で、応急修理をやったけれども、改修できていないという世帯も少なくないので、そういう意味で、正確な数を把握して、これは実態調査もしっかりやって。
石巻市あたりでは、弁護士やNPOも入った調査で、本当に深刻な実態ということも指摘されているので、これはぜひそういう方向で対応していただきたい。
次に、災害援護資金の問題についてお聞きいたします。
災害援護資金の活用状況はどうなっているでしょうか。保証人をつけずに活用した件数、比率はどうなっているでしょうか。災害援護資金を借りた人が不幸にも死亡した場合、法律上は返済を免除する規定がありますが、そういうことをきちんと説明して対応しているでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 災害援護資金の活用状況等についてでございますが、平成28年3月末までの貸付実績は1、002件、25億4、026万2、000円となっております。このうち保証人をつけずに貸付決定されたのは550件、率にして54.9%となっております。
次に、災害援護資金の借り受け者が死亡した場合の対応についてでありますが、災害弔慰金の支給等に関する法律では、死亡した場合には、市町村は償還を免除することができるという規定にはなってございます。ただ、この解釈でございますが、死亡により当然に免除されるものではなく、民法の規定に従い、債務についても相続の対象となりますことから、死亡された場合には、相続人または保証人に対し返済を求めるという扱いとされております。
なお、市町村に対しましては、相続人は相続放棄することもできますし限定承認することもできます。そういったことを説明した上で、債務者の変更手続をとるように依頼したところでございます。
〇斉藤信委員 保証人をつけずにというのが550件、54.9%でありました。残念ながら、原則保証人ということで借りにくくなったということは私も繰り返し指摘していたので、ぜひ、原則保証人をつけなくてもいいという対応ができますので、これを徹底していただきたい。
あと、死亡した場合のケースは、弁護士からそういう事例があったということなので、建前はきちんと説明することになっているでしょうけれども、結局、逆にいけば、返済してしまえば相続放棄もできなくなってしまう。だから、そういう意味でこれは大変シビアな問題なので、きちんと説明した上で、相続するのか、返済するのか、免除を申請するのか、私はきちんとこれを対応していただきたいと思います。
最後でありますけれども、私も復興基金といわての学び希望基金の活用状況をお聞きします。
復興基金の活用状況はどうなっているか。平成28年度末でどこまでこれは活用になり、今後の見通しとしていつまでもつのか、このことを示してください。
いわての学び希望基金の総額は今どうなって、主にどういう分野にどれだけ活用されたのか。そして、今後さらなる支給の拡充は、現時点でどう検討されているか示してください。
〇熊谷復興推進課総括課長 初めに、復興基金の活用状況についてでありますが、これまでに復興基金として約725億円積み立てており、うち約425億円を市町村に交付し、残りの約300億円を県として活用しているところでございます。
活用状況につきましては、平成27年度においては、暮らしの再建として、住宅再建費用の一部助成や国民健康保険、後期高齢者医療制度における一部負担金免除に要する経費など15事業、安全の確保としましては、再生可能エネルギー導入促進に向けた環境整備、なりわいの再生としては、中小企業の事業再開や被災地における起業の支援、産業創出など計23事業、約34億円を活用してきたところであります。その結果、平成27年度末の残高は約128億円となってございます。
今後の見通しでありますが、平成28年度におきましては約54億円の活用を見込んでおりまして、そうしますと、平成28年度末の残高は約74億円と見込んでいるところでございます。
今後におきましては、被災地域の状況あるいはニーズを的確に把握しまして、毎年度の予算編成の作業の中で復興基金の活用について検討してまいります。
次に、いわての学び希望基金の活用状況についてでございます。
寄附金の総額につきましては、本年9月30日現在、収納ベースで85億5、578万円余となってございます。
基金の活用状況につきましては、これまで奨学金の給付事業、あるいは教科書購入、運動部、文化部のクラブ活動費などに使っております。また、平成28年度からは、被災地の文化芸術支援、あるいは地域コミュニティー再生支援など8事業を追加して実施しているところでございます。
今後の見通しでありますが、被災地の子供たちの健やかな成長のためには、息の長い継続した支援が必要であります。例えば、奨学金給付につきましては、現在のところ、最長で平成45年度までを想定しております。新たな事業の実施については、基金の状況や寄附者の御意向も尊重しながら、今後生じてきますさまざまなニーズに対応して、関係部局と連携の上、検討していきたいと思います。
〇臼澤勉委員 私からも簡潔に3点お伺いしたいと思います。
まず初めに、震災津波伝承施設の整備についてお伺いいたします。
平成27年8月に有識者によります震災津波伝承施設の検討委員会が設置されまして、基本計画が策定され、これまで検討が進められてきたと認識してございます。
この伝承施設の整備に向けた現在の検討状況と課題、建設の見込みについて、まずお伺いいたします。
〇田村まちづくり再生課総括課長 伝承施設の整備についてでございますが、委員御指摘のとおり、本年6月に展示等の基本計画を取りまとめまして、公表いたしました。
この基本計画では、展示のテーマを、いのちを守り、海と大地と共に生きる、二度と東日本大震災津波の悲しみを繰り返さないためにとし、この震災津波の事実と教訓の伝承や復興に立ち上がる姿と感謝の意を国内外に発信することなどを整備方針として掲げてございます。
また、この施設は、国が追悼の広場とか、海を望む場を整備する国営追悼・祈念施設、これは仮称でございますが、この施設と一体的に整備するものでありますので、この施設と調和がとれた利活用を図るとともに、タピック45とか旧気仙中学校等の震災遺構を屋外の実物展示として活用することとしております。
現在、この基本計画に基づきまして、国や陸前高田市などの関係機関と連携しながら、具体的な展示の内容やレイアウト等について検討を行っておるところでございます。
開館時期を含めた整備スケジュールにつきましては関係機関と調整中でございますけれども、平成31年に開催予定のラグビーワールドカップまでに開館できるよう整備を進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 先ほど佐々木朋和委員からも震災遺構の話もございました。陸前高田市の全戸配布されております復興ニュースの最新版の10月号の中にも、今回、高田松原津波復興祈念公園有識者委員会が開催されて、この祈念公園の設計の絵が承認されたということが記載されております。
今回のこの伝承施設につきましては、単なる県の施設ということではなくて、先ほども御答弁がありましたけれども、国営の施設、そして県が整備するもの、市が整備するもの、3者がそれぞれ連携して、まさに今回の震災の津波の教訓を世界に、未来につなげていく重要な施設と私は認識しております。
これまでもさまざまな関係者の方々が携わって、ここまで絵が整備されてきていると認識しております。東北の中央に位置する今回のこの高田松原津波復興祈念公園、これは本当に岩手県のみならず、今回の被災の中央の北緯39度に位置している重要な施設でございます。
局長にお伺いしたいと思いますが、今回のこの施設の整備を含めて、市からも、国営公園、そして県の全面事業化に対しても要望が県のほうに上がっております。県土整備部でも所管しているとは思いますけれども、改めて局長に、この施設の整備に対する思いをお伺いしたいと思います。
〇木村復興局長 この震災津波伝承施設につきましては、先ほど課長から御答弁申し上げましたとおり、国が整備する予定の国営追悼・祈念施設と一体的に整備するものでございます。まさに、いわゆる津波の事実、教訓の伝承、それから、復興に立ち上がる姿と感謝の意を国内外に発信することをテーマに整備するものでございます。
また、岩手三陸に訪れる方々のゲートウエーとなるような施設でもあるということでございます。関係機関に国、市がございますので、いずれ両者としっかり連携をとりながら、その趣旨に沿うような施設の整備ができるようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、災害公営住宅のコミュニティー対策についてお伺いいたします。
先ほども斉藤委員から見守り体制であり、孤立を防ぐ対策について御質問がありました。県の整備する災害公営住宅と市町村が整備する災害公営住宅の入居者情報を共有して、ひとり暮らしの世帯や高齢者世帯の見守り体制を構築し、孤立を防ぐ対策が課題と私は思っております。
現在の取り組み状況と課題、今後の対応についてお伺いいたします。
〇小笠原生活再建課総括課長 災害公営住宅の入居者情報の共有ということでございますが、災害公営住宅入居者の孤立化を防ぐ対策といたしましては、先ほど申し上げましたものと重複いたしますが、市町村の社会福祉協議会の生活支援相談員に加えまして、市町村の支援員等が見守り活動を行っているところでございます。
共有ということにつきましては、県営の入居者につきましては個人情報保護の問題がありまして、なかなか市町村と、あるいは支援団体に提供しづらいということがございましたが、ことしから、入居者説明会の際に同意書をいただきまして、同意をいただいた方につきましては、市町村とか支援団体への情報提供を行っているところでございます。
〇臼澤勉委員 個人情報の取り扱いという難しい問題もあると私は認識しておりますが、一方で、この災害公営住宅を整備する際は、市町村が行う住民意向調査というものも行いながら、県と連携しながら整備してきているということもございます。
そして、何よりも、この新たな災害公営住宅を含めて、住宅再建においては、コミュニティーを維持するといった大きな視点があって、これまでも被災市町村、あるいは県も含めてだと思いますけれども、整備してきているという状況にございます。
市町村においては、社会福祉協議会であったり、老人クラブであったりそういった孤立化を防ぐ対策を第一線で行っており、そこら辺を、それぞれ公的なところで行っているところもありますので、ぜひ連携を図っていただきながら、コミュニティー対策を含めてやっていただきたいと思いますが、再度、その取り扱いについてお伺いいたします。
〇小笠原生活再建課総括課長 災害公営住宅、県営と市町村営で支援に差があるのではないかという指摘は受けているところでございます。それを受けまして、今年度から県営の災害公営住宅につきましては、コミュニティー形成支援事業というものを導入いたしまして、入居者交流会ですとか相談会とか、そういったものを開催いたしまして、県営住宅に入居される方の交流を図り、そしてまた、広域振興局によりましては、復興推進課が仲立ちといいましょうか調整役となりまして、市町村との話し合いを行っているところもございます。
いずれにいたしましても、そこの市町村の住民となる方々でございますので、県と市町村と連携を図ってコミュニティーが形成されるよう、支援してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県と市町村、これまでも連携を図っていると思いますが、さらに一層の連携を図りながら取り組んでいただきたいと思います。
先般も、飯澤委員からグループホームのお話もございました。県と市町村、さらに、より一層の連携を図って取り組んでいただきたいと思っております。
最後に、復旧・復興ロードマップにおける復興事業の未着手の状況について、その現状と主な原因をどのように把握されているのか、お伺いいたします。
〇田村まちづくり再生課総括課長 今回更新しましたロードマップにおきまして、9月末時点で未着手となっておりますのは、65カ所ございます。
分野別で申しますと、復興まちづくり分野で9カ所、復興道路等が9カ所、災害公営住宅が45カ所、医療分野で1カ所、教育分野で1カ所となっております。
未着手となっている原因につきましては、例えば最も箇所の多い災害公営住宅におきましては、その団地の造成工事の完成を待っているもの、それから、意向調査を踏まえた戸数調整などによるものとなっております。また、まちづくり分野や復興道路等では、国などの関係機関及び地元との調整に時間を要しているものとなっております。
〇臼澤勉委員 発災から5年8カ月が経過します。そこの復興事業、宅地造成であったりといった事業の完成、進捗を待っておくれているという理由もあろうかとは思いますが、さらに県を挙げて、各部連携を図りながら、この未着手のさらなる一日も早い事業着手に向けて取り組んでいただきたいと願う次第でございます。
中には、市町村の復興計画等においても、重点事業として位置づけられている施設もまだ着手されていないものもございます。そういったところもございますので、全県を挙げて、一日も早い事業着手に向けて、人的資源、予算も含めて、集中して取り組んでいただきたいということをお願いして終わります。
〇軽石義則委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇小笠原生活再建課総括課長 先ほど斉藤委員からお尋ねのありました応急修理の件数でございます。
平成23年度が2、730世帯、平成24年度が12世帯、合わせまして2、742世帯となっております。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、復興局関係の質疑をこれで終わります。
復興局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
入れかえのため、少々お待ちください。
次に、国体・障がい者スポーツ大会局長に国体・障がい者スポーツ大会局関係の説明を求めます。
〇岩間国体・障がい者スポーツ大会局長 国体・障がい者スポーツ大会局関係の平成27年度の決算につきまして御説明を申し上げます。
まず、先般の国体本大会と全国障害者スポーツ大会につきましては、復興のシンボルとして、復興の大きな力となるよう、オール岩手で取り組んでまいりました。競技関係者や市町村、県議会の皆様を初めとする大会役員、関係機関、団体、県民の皆様の御協力によりまして、おかげさまで無事終了することができました。
希望郷いわて国体は、冬季大会と本大会の全ての競技を県内で行う完全国体として開催をいたしました。その幕開けとなりました冬季大会では、降雨などによる悪条件のもと、スキー競技のコース整備に大変な御苦労をいただきましたが、全ての競技を無事実施することができました。また、式典会場や各競技会場での選手団の応援や、振る舞い等のおもてなしに多くの方々に御参画をいただくなど、盛り上がりを見せました。
次に、国体の本大会と全国障害者スポーツ大会の開催でありますが、開催目前に台風第10号の被害を受け、岩泉町で、国体の競技実施を断念せざるを得なかったことは大変残念でありました。
スポーツの感動を岩手から全国に広げ、東日本大震災津波以降、全国から寄せられた御支援に感謝を伝えるという、両大会共通の広げよう感動。伝えよう感謝。のスローガンのもと、両大会の運営につきましては、国体冬季大会の成果を踏まえ、運営体制の構築や式典、競技運営、競技会場の整備、宿泊、輸送の確保、警備、消防、医療、救護対策等の各部門について万全を期すよう準備を進めてまいりました。
また、両大会の盛り上げにつきましては、都道府県応援団や沿岸地域の小中学生による復興支援感謝団の結成、国体、大会に係る運営ボランティア等の養成、県内各地での花いっぱい運動やクリーンアップ運動、文化プログラムの実施による本県の文化、芸術の情報発信など、意識の醸成と両大会の盛り上げを図り、岩手の魅力の発信や感謝の気持ちを伝えることができるよう、市町村とも十分に連携を図りながら取り組んでまいりました。
こうした結果、冒頭に申し上げましたとおり、県民の総力を結集し、国体、大会をやり遂げることができました。改めて、県民の皆様、議員の皆様に御礼を申し上げます。
続きまして、当局関係の平成27年度決算につきまして御説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の歳入歳出決算書の12ページ、13ページをお開き願います。当局関係は、2款総務費のうち、10項国体・障がい者スポーツ大会費であり、支出済額は48億1、973万円余、不用額は7、313万円余となっております。
次に、主な事業につきまして、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。恐れ入ります事項別明細書の184ページ、185ページをお開き願います。2款総務費10項国体・障がい者スポーツ大会費1目事務局費ですが、185ページ右側の備考欄に記載をしてございます管理運営費4億6、342万円余は、職員の人件費であります。次の第71回国民体育大会・第16回全国障害者スポーツ大会開催準備費43億5、631万円余は、いわて国体及び障がい者スポーツ大会の開催準備に要した経費であります。
主な内容についてでありますが、国民体育大会・全国障害者スポーツ大会運営基金への積み立て23億7、994万円余のほか、県実行委員会への負担金7億5、353万円余、市町村に対する競技施設整備への補助金7億1、280万円余、冬季大会会場地市町村への運営交付金1億7、921万円余などであります。
以上で、国体・障がい者スポーツ大会局関係の説明を終わります。御審査のほどよろしくお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 希望郷いわて国体、いわて大会が無事、大盛況に終わったということで、冬季大会も含めてでございますけれども、国体・障がい者スポーツ大会局の皆様、大変お疲れさまでございました。
そこで、先ほど御説明がございましたし、知事からも総括質疑の中、あるいは一般質問の中でも御答弁があったと思いますけれども、どのような総括をされるかということでございます。今の御説明なのか、あるいはそれ以上のものがあるのか、その辺についてまずお聞かせください。
〇小友副局長兼総務課総括課長 国体、大会の総括でございますけれども、国体、大会はおかげさまで無事に終了いたしまして、多くの方々から高い評価をいただいたところでございます。ただ、一方で、運営等の細かい点で反省すべき点もあると認識してございまして、これら反省すべき点や円滑に運営できました点などを取りまとめまして、今後に生かしていく必要があるものと考えております。
〇名須川晋委員 その辺のところをもうちょっと詳しくお聞かせいただきたいのですけれども、各種競技団体あるいは自治体、個人、団体のボランティアの皆様、そのほか実行委員会もさまざまな県内各団体、これは県議会もそれにもちろん加わっていますし、県のそれぞれの部署もいろいろかかわっているわけでございますけれども、これらの所感なり反省点等々、それぞれ聴取しながら取りまとめを年度内にしていくのかということを伺いたいと思います。
さまざまないわゆるレガシーがあると思います。我々県民のこれに対する、何と言いますか、熱意があらわれたということや、あるいは施設整備についてもレガシーが残ったと思いますが、これを取りまとめて一つの冊子とすることで、来年は愛媛開催等々ありますけれども、先催県としてほかのところにも範を示せるような、大きな資産が得られるような取りまとめになるのかどうかということ、その辺の手法やスケジュール等々についてお知らせください。
〇小友副局長兼総務課総括課長 現在、局内の職員が対象でございますけれども、国体、大会中にさまざまな意見を頂戴いたしまして、そういったことについて内部的に取りまとめを行っているところでございます。
また、外部的には、御意見を取りまとめている団体もございまして、そういった団体からも頂戴しているところでございます。
一方で、障がい者スポーツ大会、希望郷いわて大会のほうでございますが、こちらにつきましては競技会も含めて県が運営主体となっているということもございまして、各都道府県や政令指定都市の選手団であるとか、運営ボランティア、選手団サポートボランティア、開催地市町、競技団体等に対しまして、運営の総体的評価のほか、自由意見等の記載も含めアンケート調査を実施して、その取りまとめも進めているところでございます。
総括取りまとめの作成でございますが、一つ、大会報告書という形で、国体と障害者スポーツ大会につきまして、活動実績、写真が主なもので冊子を構成しますが、そのほかにDVD等で必要な記録等も総括いたしますし、さまざまな団体を代表する方々からも文章を書いていただきまして、それらを一括した冊子、それから動画のDVDもつくるということにいたしてございます。
まず、直近では今月末に、国体、全国障害者スポーツ大会の後催県への引き継ぎを本県で行うこととしてございますが、まずはこれに向けまして、局内での反省点や円滑に運営できた点などを含めて、各分野の運営に関する対応状況を取りまとめた上で、後催県に対しては具体的な引き継ぎを行いたいと思っておりますし、これと並行して、国体局として全庁的な各部局の意見もいただきながら、一定の総括的な取りまとめを行いたいと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 それは年度内に行われるのかということ、あるいは来年度は文化スポーツ部ができてまいりますので、この局は年度で閉じて、次の仕事はそちらのほうに引き継がれるのか、その辺の考え方も決まっていればお知らせください。
〇小友副局長兼総務課総括課長 先ほど申し上げました記録であるとか総括的な取りまとめにつきましては、国体局が今年度いっぱいの設置ということでございますので、国体局としては、年度内の取りまとめを予定してございます。それらの取りまとめた結果につきましては、今後十分活用なされるような形で、新しい組織のほうに引き継いでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 非常に多岐にわたる内容になるかと思いますし、もちろん文化プログラムもありましたし、あるいは商業関係、観光関係もあると思いますので、ぜひとも、いろんな組織の方から意見を伺って盛り込んでいただければと思います。それが大きな希望郷いわて国体、いわて大会のレガシーになるものだと思っておりますので、年度内にぜひとも作成に向けて取り組んでいただければと思います。また、これを本当は来年度の予算にもぜひとも反映をさせていただければと思うわけでございます。
そこで、最後、もう一つなのですけれども、今回、天皇杯、皇后杯、両方とも2位になったということで、大変すばらしい成績で終えられたということでございます。当初の目標は8位でございました。
いわて県民計画を見ますと、平成26年度は、天皇杯が37位でございまして、平成27年は10位台の目標として16位であったということでございます。平成28年、この国体は8位の目標に対して2位という結果でした。平成29年度、来年度の愛媛国体は10位台に戻って、平成30年は20位になるということで、今年度をピークとしてまた下がっていくという状況になります。もちろん、ホームタウンデシジョンとして、それぞれの全競技に選手たちが出られるということがあって、一定の有利さがあるんだと思いますけれども、ぜひともこれを、ことしのような成績は無理にしても、上位を維持できるのではないかと、岩手県民にはそれぐらいの力があるのではないかと思われる今大会でございました。これは政策地域部なのかあるいは教育委員会なのか、非常に多岐にわたっていてなかなか御答弁する部署が見当たらないので、知事がいいのかもしれませんけれども、来年は文化スポーツ部ができますから、そこに一括して質問できる内容かと思われますが、ぜひとも来年度以降の国体、大会もすばらしい成績を上げられるように、ぜひとも取り組んでいただきたいわけでございますが、その辺の分析と、何か御所見等々ありましたら岩間局長にお伺いをします。
来年、新しい部署ができるわけでございまして、もしかしてそちらのほうで辣腕を振るわれるかもしれませんし、その辺の期待も込めながら伺いたいと思います。
〇岩間国体・障がい者スポーツ大会局長 ことしは地元開催ということで、天皇杯、皇后杯ともに2位というすばらしい成績であって、私自身も非常に感動いたしました。
選手強化の観点につきましては、委員おっしゃったとおり、選手強化あるいは競技力の向上については教育委員会のほうで現在担当しております。来年度、文化スポーツ部の設置ということで、振興戦略を現在策定しているところでございます。一元化に向けての詳細については、現在、取りまとめをしているだろうと思います。来年度、どういった事務が文化スポーツ部のほうに移管になって、どういう具体的な取り組みがなされるかということについては、恐れ入りますが、私、詳しくは承知してございませんのでお答えはできかねますが、いずれにいたしましても、確かに2位というすばらしい成績をとって、今回の国体、障がい者スポーツ大会もそうでございますが、一定程度の選手力の強化が図られたという、その結果が2位ということだろうと思いますし、それから、このレガシーといいますか、高まった競技力を維持しつつ、ぜひ、来年度以降も、目指す順位を確保できるような形で取り組んでいければとは考えております。
〇佐藤ケイ子委員 本当に国体局の皆様、お疲れさまでした。本当に私も大きな感動をいただきまして、きのうもDVDを見せていただきましたが、何か目頭が熱くなるような感じを受けております。目に見えないところで県の職員の皆さん、それから、市町村の職員の皆さんも総出で活動していらして、ボランティアの皆さんがしっかりと動きやすいように、底支えをしてくださっているなということを実感いたしました。本当にすばらしいなと思っておりましたし、企画力もすばらしい、それから選手も頑張ったということで、本当によかったなと思っております。
そこで、今回の大会は、私は平成11年にインターハイを行ったということが大きかったなと思います。震災で一時はどうなるかと思いましたけれども、施設も割と補修、改修で済まされて、経費をかけない国体というのを全国に示したのではないかと私は思うのです。
それで、経費的なことで言うと、取りまとめがまだなのかもしれませんけれども、国体局ばかりではなくてあちこちの部局にわたっております。この数年間をかけてどれくらいの経費がかかったのか。平成27年度決算では48億円ですし、今年度の予算もつけていますし、補正予算もつけましたけれども、おおよそでもいいので、幾らの経費がかかったのだと。それで財源措置、国からも応援をもらったのだということを言いたいわけなのですけれども、どうでしょうか、教えてください。
〇小友副局長兼総務課総括課長 国体本大会の経費、いわゆる総経費についてでございますけれども、現在精査を行っているところでございますが、国体・障がい者スポーツ大会局、当局が所管する経費と県の施設整備分も一部加えてございますが、概算で、全体で約87億円と見込んでおります。さきに先催県の例をもとに試算した際に、約100億円かかるのではないかということを議会で御答弁を申し上げているところでございますが、それと比べますと、約13億円ぐらいの減となってございます。
その主な内訳でございますが、市町村に対します競技施設整備費補助は、国庫補助金や民間助成制度の特定財源の活用であるとか、競技施設基準の弾力的な運用などもございまして、約19億円ぐらいにおさまる見込みでございます。
さらに、競技、式典、輸送、宿泊等の運営費としては約33億円、競技会を運営する市町村への運営交付金等としては約21億円、県施設整備費や事務的経費として約14億円を見込んでいるところでございます。
また、国からの財源措置のお尋ねでございますが、国体本大会の開催事業に対する補助としては、今年度4億3、000万円の交付を受ける予定でございます。
〇佐藤ケイ子委員 はい、わかりました。概算で87億円、国から4億円というのはことしの分だけでしょうから、もっともっといただいているのでは……ないんですね。
前も、国体をやるときは、国から措置されるんでしょうというお話があったんですけれども、全国あちこち回っているので、国からはないのだという話も聞いたことがあり、どうだったのかなと思っていましたので、その4億円だけというのだったら少し残念に思っております。
それから参加人数、本当に県民総参加で開催できたと思いますけれども、おおよその参加人数規模はどれくらいだったのか。たくさんの方々、競技もそうですし、ボランティアも、観客も、踊りとかたくさんありましたので、参加人数の規模はどう見ていらっしゃるのか、お願いいたします。
〇小友副局長兼総務課総括課長 参加人数でございますけれども、国体本大会では、一部他県からおいでの選手、役員も入ってございますが、式典及び競技会を合わせまして、全体の参加者数が約65万6、000人となってございます。冬季大会の5万6、000人を加えますと、全体で約71万2、000人が式典や競技会におきまして、選手、役員それから大会役員、競技役員、出演者、ボランティア、応援団、補助員等々として参加をいただいたところでございます。
このほかにも、準備段階でございますが、花いっぱい運動であるとか、クリーンアップ運動、開催中のバスやタクシーなどといった公共交通や各宿泊施設での思いやりのある対応などもありまして、まさに130万人県民総参加と言える国体になったものと捉えているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 分かりました。国体をしていても、余り関係ないねという人が中にはやっぱりどうしてもいるわけですけれども、こうやって数字を見せていただくと、県民総参加だという裏づけとなるなと思ってお聞きしました。
それから、私が少し残念だなと思ったのは、開閉会式の観客席、メーンスタンドの部分の空席が目立ったことです。その理由は何だったのだろうなと。あえてそうしなければならなかったのか、それとも何かあったのか、そこを教えてもらいたいと思います。
〇小友副局長兼総務課総括課長 国体の観客席、特にメーンスタンドのあきについてでございますが、まず、一般観覧者の抽選でございますが、募集定員を超過いたしましたのは国体総合開会式でございまして、これについてのみ抽選を行ってございます。それから、それで国体総合閉会式であるとか、障害者スポーツ大会の開閉会式については、応募者全員に入場券をお送りしているところでございます。
国体総合開会式の例で申し上げますと、北上の総合運動公園北上陸上競技場のメーンスタンドには、今回5、600席余りの座席が確保できたところでございます。ただ、これらのうち、ロイヤルボックスであるとか撮影台の設置等によりまして、視界が妨げられる席、いわゆる視界不良席と我々申しているのですが、これがございまして、これを除きますと3、300席ぐらいになります。ということは、視界不良席が2、300席ぐらい発生してしまうということになります。このメーンスタンドには、大会役員であるとか招待者、報道員、聴覚障がい者用の情報保障席等を割り当てまして、欠席者を見込んで配席3、300より多い3、600人にIDを発行したところでございますが、当日の出席者が約2、600人にとどまりまして、700席ほどが結果として空席になったと、視界不良席のほかに700席ほどが空席になったということでございます。
なお、会場警備の観点から入場は事前申し込み制としておりまして、当日空席があっても、事前に入場券の交付を受けていない方については、入場を残念でございますがお断りさせていただいたところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。抽選に漏れてしまって残念だったという市民の声をよく聞きますので、そこはどうしたのかなと思っておりました。
それで、経済効果について、新聞報道でも一定の効果があったという、これは20団体のアンケートを新聞社が行ったという報道がありました。県ではまだ分析はできていないのかもしれませんけれども、交通、宿泊、飲食、広告などは大半が肯定的、経済効果があったと。あと観光は割と否定的だった、影響が余りなかったという報道もありまして、この経済効果については分析する予定があるのかどうか、今の時点でお考えがあればお聞きしたいと思います。
〇小友副局長兼総務課総括課長 国体、大会の開催に伴う経済効果でございますけれども、県だけで見ましても、先ほど答弁した両大会の運営費や施設整備等の開催に係る経費、約87億円をかけてございますほかに、選手、役員であるとか、報道員、視察員等の延べの宿泊者数が約20万人ほどございました。これの宿泊料、仮にということで、宿泊料金の中間値である1泊2食を1万円で算定してみますと、約20億円ぐらいということになります。加えて、当局で把握しているもので見ますと、使用許可をいたしましたマスコットなどを使ったお土産品が約1億9、600万円であるとか、わんこ広場での売り上げが約8、000万円など、消費支出にも一定の経済効果はあったものと思っているところでございます。
ただ、事前の予想分析は岩手経済研究所にやっていただいたところでございますが、やった後の経済効果の実績分析につきましては、あらかじめの準備が必要なことでありますとか経費的なものもございまして、現在、実施を予定していないところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。経済効果も分析していただければ、本当にこの大会の成果が見えるのだろうなと思いますけれども、業務量も大変なところだろうと、悩ましく思っております。
今回の大会では、各市町村でも、今まである施設が古くなってきておりまして、改修にも予算がなくて大変なところだったのですけれども、この機会にということで、補修、改修ができた。それだけでも私は市町村にとってはよかった。それから、さらには行幸啓もありまして、道路もあちこち穴ぼこのところも舗装しまして、予算がないないと言いながら、やればできるのだなと思ったりもしました。それから、子供たちも参加して、一生、心に残る経験をしたのだろうなと思います。私も中学生のとき経験して、聖火みたいなのを運んだりなんかしましたけれども、あとはもう経験することはないと思いますけれども、本当にいい、心に残る大会、これからも県民のレガシーとして残る大会だったなと思います。お疲れさまでした。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、国体・障がい者スポーツ大会局関係の質疑をこれで終わります。
国体・障がい者スポーツ大会局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。(拍手)
次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇堀警察本部長 平成27年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災及び台風第10号に伴う県警察の取り組みにつきまして御説明を申し上げます。
東日本大震災により、本県では4、673人のとうとい命が失われ、いまだに1、100人を超える方が行方不明となっているほか、8月末に上陸した台風第10号によっても、20人の方のとうとい命が失われ、いまだ3名の方が行方不明となっております。県警察といたしましては、今後も捜索活動を継続して行うなど、行方不明者の御家族などに寄り添った真摯な対応をしてまいります。
また、震災の発生から5年8カ月が経過いたしました。被災地では、いまだ多くの住民の方々が不安定な生活環境のもとで暮らしておられるほか、復興の進展あるいは台風第10号による甚大な被害の発生に伴って、各種犯罪、トラブル、交通事故の発生などが懸念されるところであり、引き続き、住民の方々の意見、要望などを踏まえつつ、情勢の変化に速やかにかつ適切に対応し、被災地における安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
県警察におきましては、県民の期待と信頼に応える力強い警察を平成27年の基本姿勢として、被災地における安全・安心の確保と、次世代に託せる安心して暮らせる地域社会の実現を目指すため、活動重点として、県民の安全を脅かす犯罪の抑止対策の推進、少年の非行防止と保護対策の推進、悪質・重要犯罪の徹底検挙、交通死亡事故の抑止、テロ、災害等突発重大事案対策の推進、警察活動の基盤の充実強化の6項目を掲げ、県下全体の治安維持に必要な各種施策を推進してまいりました。
それでは、平成27年中の県内の治安情勢について御説明申し上げます。
初めに、刑法犯の発生状況でございますが、平成27年中における県内の刑法犯の認知件数は4、884件、前年比231件の減少となっており、戦後最少を記録しております。
一方、罪種別に見ますと、特殊詐欺被害につきましては、平成27年中の認知件数は77件、一昨年と比べますと8件の減少となっておりますが、全被害者77人のうち6割以上、49名が高齢者という状況にありますことから、被害現金の送金などに利用される金融機関、コンビニ、宅配業者と連携した水際阻止活動の推進など、高齢者に重点を置いた特殊詐欺被害の防止対策を展開しております。
また、侵入窃盗全体のうち、鍵をかけないで被害に遭っているいわゆる無施錠被害の割合が59.3%と、全国ワースト8位となっており、その中でも、住宅対象の侵入窃盗の無施錠被害の割合は84.6%と、全国ワースト1位となっております。鍵かけ対策として、各警察署で指定した鍵かけモデル地区内においては、盗難被害の発生が比較的少ないことから、関係機関、団体と連携した鍵かけモデル地区の拡大、被害状況の分析結果に基づいた被害防止情報の発信、防犯指導の強化などにより、被害防止を図っております。
さらに、子供や女性に対する不審者による声かけ、つきまとい事案等も増加傾向にありますことから、子供や女性に対する被害防止活動として、学校等の教育機関や女性が多い職場等での防犯教室、性犯罪被害防止教室を行うなど、防犯意識の高揚を図るとともに、早期に行為者を特定し、検挙、指導警告を行うなど、県民の安全・安心の確保を推進しております。
次に、平成27年中の県内の交通事故の発生状況等についてでございますが、発生件数は2、560件、死者数は80人、負傷者数は3、220人となっており、一昨年との比較では、発生件数が152件、負傷者数が204人とそれぞれ減少しておりますが、死者数は16人増加しており、また、死者数に占める65歳以上の高齢者の割合は58.8%、全国平均が54.6%でありますが、これを上回っております。
県警察では、高齢者の交通事故防止対策を重点的に推進しているところであり、参加、体験型の交通安全教育、高齢者宅への家庭訪問や街頭での個別指導など、関係機関、団体と連携した交通事故抑止対策を強化しております。
こうした中、本年5月に公表されました県の施策に関する県民意識調査の結果によりますと、交通事故の少ない社会づくり、犯罪への不安の少ない社会づくりが重要度が高い項目の上位にランクされていることから、県民の皆様は、良好な治安の維持を強く望んでいるものと考えております。
このような諸情勢を踏まえまして、県警察といたしましては、今後も、東日本大震災津波からの復興対応と安全・安心を実感できる地域社会の実現を活動の重点に、総力を挙げて各種施策に取り組んでまいります。
続きまして、平成27年度の警察本部関係の決算について御説明を申し上げます。
お手元の平成27年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。第9款警察費の歳出予算現額は278億232万円余で、これに対する支出済額は272億9、421万円余、執行率は98.2%であります。支出済額は、前年度に比べますと6、387万円余、率にして0.2%の増となっております。
なお、翌年度繰越額の合計額は1億6、944万円余となっております。これは、本年の県議会2月定例会で議決されました警察署保護室改修、交番、駐在所の庁舎新築、交通安全施設整備などの明許繰越に係る事業費であります。
不用額は3億3、866万円余となっており、その主なものは、退職者が見込みを下回ったことによる退職手当の残及び実績減による休日給等諸手当の残等の職員給与関係経費の残、運転免許関係の講習業務の委託実績が見込みを下回ったことなどによる委託料の残、地域活動、捜査活動、交通取締活動等に係る旅費の支出が見込みを下回ったことによる旅費の残、経費節減等による需用費の残などであります。
次に、16ページをお開き願います。第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費の中に警察施設の災害復旧事業費も含まれておりますが、詳細につきましては、後ほど歳入歳出決算事項別明細書により御説明させていただきます。
次に、一般会計決算の内容につきまして、平成27年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。
なお、第9款警察費の説明に際しましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明を申し上げますので、御了承願います。
決算事項別明細書の310ページをお開き願います。第9款警察費第1項警察管理費第1目公安委員会費は、公安委員3名の委員報酬及び活動経費であります。第2目警察本部費は、警察職員の給料、職員手当などの給与費が主なものであります。警察費の決算額に占める給与費等人件費の割合は80.6%となっております。平成27年度における警察官の定数は、東日本大震災津波により壊滅的な被害を受けた沿岸市町村の良好な治安の確保を目的に、30人の緊急増員を行ったことにより2、165人となっております。第3目装備費は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備の経費で、警察車両、警備船、警察用航空機の維持管理などに要した経費であります。次に、312ページをお開き願います。第4目警察施設費は、治安の基盤をなす警察署、交番、駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。第5目運転免許費は、自動車運転免許試験、免許更新、行政処分などに要した経費であります。次に、314ページをお開き願います。第6目は恩給及び退職年金の経費であります。
続いて、第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、110番通報を処理する通信指令システムなどの警察通信施設の維持管理などに要した経費であります。第2目刑事警察費は、各種犯罪の捜査、取り締まり、少年非行の防止や子供の安全対策などの安全・安心なまちづくり推進事業などに要した経費であります。次に、316ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、交通安全や指導取締活動、交通の安全と円滑化を図るための交通信号機等の交通安全施設の整備及び維持管理などに要した経費であります。
次に、342ページをお開き願います。警察施設の災害復旧事業に要しました経費について御説明申し上げます。
第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費第1目警察施設災害復旧費の歳出予算現額は17億1、521万円余で、これに対する支出済額は7億3、992万円余、執行率は43.1%であります。
なお、翌年度繰越額の合計額は9億180万円余となっております。これは、本年の県議会2月定例会で議決されました被災した警察署や交番、駐在所の庁舎新築など、明許繰越に係る事業費であります。
不用額は7、348万円余となっており、その主なものは、委託料及び工事請負費の執行残であります。
災害復旧事業の主なものといたしましては、大船渡警察署高田幹部交番及び職員宿舎の新築、宮古警察署磯鶏駐在所、岩泉警察署小本駐在所等の新築の事業を行っております。
以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後5時8分 休 憩
午後5時26分 再 開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
先ほどの警察本部関係の説明に対し質疑はありませんか。
〇阿部盛重委員 私から高齢者事故減少対策についてお伺いいたします。
総括質疑の中で小野寺委員からもありましたけれども、全国で、死亡事故のうち65歳以上の高齢者が全体で28%を占めているというお話を聞いております。また、県内でも高齢者の事故は年々増加しているというところで、その状況の分析とそれに対しての対策等をお伺いいたします。
〇内藤交通部長 県内における過去5年間の高齢者の関係する交通事故の発生状況につきましては、事故件数、負傷者数とも減少傾向にありましたが、事故件数は平成27年に増加し、事故全体に占める割合も38%と増加しております。
高齢者の交通事故死者数につきましては、増減を繰り返しながら推移し、全死者数に占める割合は半数以上を占めております。平成28年9月末現在の高齢者の交通事故発生状況は、発生件数が661件で前年比マイナス2件、死者数が35人で前年比プラス1件、傷者数は392人で前年比プラス・マイナス・ゼロとなっており、死者全体に占める高齢者の割合につきましては64.8%と全国の割合53.6%を大きく上回っている状況にあります。
続きまして、高齢者の事故防止対策でありますが、高齢運転者につきましては、平成27年6月に道路交通法が改正され、平成29年3月12日から施行される予定となっております。
改正の主な内容としましては3点ありまして、一つ目は、75歳以上の運転者が免許証の更新時に受けております認知機能検査の結果、認知症のおそれがあると判断された方には医師の診断を受けていただくこと、75歳以上の運転者が認知機能が低下した場合に起こしやすい一定の違反行為をしたときは、臨時に認知機能検査を受けていただくこと、臨時認知機能検査の結果、認知機能の低下が見られた場合は、臨時高齢者講習を受けていただくことなど、認知機能低下による高齢運転者の事故防止を図るものでございます。
〇阿部盛重委員 いずれ、ここに来て認知症の事故の問題が全国的に多発している状況であることと、今のお話から、来年3月の改正道路交通法によりまして、認知症のおそれのある方は免許取り消しとなるということなのですが、県内の免許人口が本年9月時点で84万2、265人、そのうち高齢者が20万1人で、23.7%を占めている状況です。その改正法に基づいて、認知症への対応、そして、来年3月からは、認知相談対応などを考えると業務量が一気に増大が予測されます。それへの課題対応についてどのようなお考えかお伺いいたします。
〇内藤交通部長 道路交通法改正に基づく認知症に係る高齢運転者対策の課題についてでありますが、新制度に伴い、当県では、平成29年中に免許更新をされる75歳以上の方のうち、認知症のおそれがあると判定を受ける方が約900人いると推計していることから、今後、認知症を診察できる医師との協力が必要不可欠であります。
また、臨時認知機能検査、診断書提出命令等、事務の増加が予想されますことから、体制の整備に向けて検討を進めているところでございます。
〇阿部盛重委員 900人が対象というお話をいただきましたけれども、盛岡市の例を挙げますとこれから岩手医科大学が矢巾町に移転し、外来の年間の患者数が、岩手医科大学が大体1万人以上、県立中央病院が2万人以上という状況で、その900人が全て盛岡市近郊の方とは言いませんが、一挙に二次救急の病院にこういう方々が行かれると、医者が全部パンク状態になってしまうような状況ですので、いろいろな助言等の際にも、その該当者の方々に、近隣の医院に行っていただくようなこともお願いできればと思うのですが、いかがなものでしょうか。
〇内藤交通部長 現在、県内では認知症の専門医が75人おりまして、認知症の医療機関が163カ所ございます。その中で、認知症と認められる方が診断を受けるということになりますが、必ずしも十分でない体制であることもありまして、そういった面では、認知症の方が診断を受けられない、あるいは遠隔地という問題もあると思いますので、その辺は、今後、医療機関とか専門医との協力体制を進めながら、体制の整備に当たりたいと思います。
〇阿部盛重委員 わかりました。よろしくお願いいたします。
最後に、高齢者の方々へのドライブレコーダーの貸し出し及び自己運転技術を磨く取り組みについてでありますけれども、7署の申し込み状況と、あと、借りる方が少ない場合の対処、そして、その録画したレコーダーの活用方法とお考えをお伺いします。
〇内藤交通部長 ドライブレコーダーの活用状況についてでありますが、ドライブレコーダーを活用した安全教育につきましては、高齢ドライバーに一定期間、2週間ぐらいですけれども、ドライブレコーダーを貸し出して、走行状態を録画して、加齢に伴う反応時間のおくれや注意力の低下等を理解させ、安全な運転行動への改善を図るものでございます。
過去5年の高齢ドライバーによる交通事故の約4割が信号無視や一時不停止、安全不確認といった重大事故に直結する原因により発生しておりまして、そのほとんどが過失事故で、違反行為を明確に認識していないというのが事実であります。
ドライブレコーダーの貸出状況でございますけれども、本年11月9日現在で、警察本部では7台を運用しておりまして、貸出中が4台、貸出予定が3台、3人ですね、そのうち順番待ちが2人、日程調整中が1人となっております。
ドライブレコーダーについては、ホームページあるいはマスコミを通じて周知を図っているところでございますけれども、今後も積極的な広報により運用を充実させて、高齢ドライバーによる交通事故の抑止を図ってまいりたいと思います。
また、今後のドライブレコーダーの活用方法についてでありますけれども、被験者からの同意が得られた場合は、その映像をDVD化して、今後の安全教室などで資料映像として活用していきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 それは御本人の同意を得たということで、そうすると、免許更新時の研修にも活用されていくということでしょうか。それとも、あくまでも安全教室一本で、その後ビデオ研修をされるということでしょうか。
〇内藤交通部長 免許更新とか、あるいは安全教室とか、さまざまな安全教育の場がございますので、そういったものを広く活用できるように考えているところでございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。いずれ皆さんの御努力で県内も含めて事故が全体的には減っているということで、これはこれで、継続をお願いしたいのですけれども、あくまでも事故は、自己の責任範囲がウエート的には非常に大きいということですので、我々も注意しながら、しっかりと道路交通法を守って運転していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇樋下正信委員 私も、高齢者の交通事故の発生状況とか事故防止の対策について通告しておりましたけれども、阿部委員が今質疑しましたので、私は若干別の観点からお伺いしたいと思います。
私の母親も82歳になりまして、四、五年前から、もう免許証は要らないのではないかということをずっと話をしてきまして、ことしやっとといいますか、返納することにしまして、実は11月14日が誕生日でしたので、継続しないということで免許証を返納することになりました。免許証を返納した方々は、今までは自由に自分で運転して買い物とか病院に行けたと思いますが、それが、返納することによって、足が失われるというような形にもなっていくと思います。
家族とか近くの方に乗せていってもらえるような方々であれば、そういう環境の方々であればいいと思いますけれども、返納した方々のフォローについて、福祉のほうになるかもしれませんが、その辺のお考えをお聞きします。
〇内藤交通部長 高齢者の免許自主返納の取り組みというか問題にもなると思いますけれども、委員御指摘のとおり、高齢者が年々増加する中で、加齢に伴い運転に不安を感じる方などに運転免許の自主返納制度を広く知っていただくことは、高齢運転者の交通事故防止を図る上では重要であると考えております。
警察といたしましては、ホームページとか安全講習、あるいは運転適性相談等のあらゆる機会を利用いたしまして、その制度の周知を図っているところであります。
また、自治体などに対しましては、免許返納者に対する支援拡充、いろいろな公共交通機関の割引とかといったものについては、引き続き働きかけを行ってまいりたいと考えております。
なお、県内における高齢運転者による運転免許の自主返納件数につきましては、年々増加傾向にありまして、平成23年は264件でございましたけれども、昨年は1、896件と7倍まで増加しているところであります。
〇樋下正信委員 フォローのほうをよろしくお願いしたいと思います。
次に、道路環境についてお伺いしたいと思います。
乗用車といいますか、自動車ですけれども、日々進化をしていると解釈しております。例えば、今、レーダーとかさまざまな機能を有している車がどんどん出てきております。例えば、歩行者がいると、歩行者を感知すると、もう自動的にスピードが落ちるとか、停止ラインがあれば車がとまるとか、あと、サイドラインを読みながら、ある意味自動的に車が走行するというような時代に入ってきているかと思っております。
この道路環境について、例えば信号機とか、信号機はそれなりに交差点についているとは思いますけれども、車道のサイドラインと言うのでしょうか、白線と言うのでしょうか、線が引かれておりますが、そういうものを感知しながら走行する自動車も出てくるやの話も聞いておりますし、現実にそういう状況になっているかもしれません。
そこで、サイドラインとか、センターラインとか、ドットラインとかが、例えば除雪とか何かでラインが消えたとか、年数がたって劣化して消えたとか、その効力を発しないような場所もあるのではないかと思われますけれども、その辺の対応についてお伺いいたします。
〇内藤交通部長 自動運転に対応した道路環境の整備についてでございます。
ハンドルやブレーキを操作しなくても走行できる、いわゆる自動運転車につきましては、近年、国内外において技術開発が急速に発展しておりまして、本年5月には、政府が、自動運転のレベルを四つに分類して実用化を目指すこととして、公道における実証実験等も活発化していると承知しております。
ところで、自動運転は、例えばカメラ等の画像で制御することから、気象条件に影響を受け、また、区画線等の道路標示が薄れてきた場合に、その機能が十分働かないおそれもあるやに聞いておりますことから、今後、自動運転車の有用性に配意しつつも、自動運転車を過信することのないよう注意喚起を図っていく必要があると考えております。
県警察といたしましては、今後とも自動運転車の普及に配意した道路標示の適切な整備を推進するとともに、関係機関等と連携しながら、交通の高度化に的確に対応した交通諸対策を推進してまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 今、最後にちょっと話が出たのですけれども、関係機関という道路の設置者と県警察とのかかわりが、分類があると思いますが、その辺しっかりと連携して、よろしくお願いしたいと思います。
〇工藤誠委員 まず初めに、今の樋下委員の高齢者の免許証の自主返納のことについて関連でお伺いしますけれども、私の住む地域でも、高齢者になっても免許証を手放せない理由の大きなことは、やっぱり通院だと言っています。町内に診療科がないと。私は一戸町ですけれども、お隣の二戸市にしか診療科がない病院に行くということになれば、バスに乗って、電車に乗って、またバスに乗ってということで、1日がかりでもあるし、お金もかかるということで難しいと。
それと、もう一つは、私の町ではデマンド交通を実施しているのですけれども、このデマンド交通は、決められた区域、町なら町の区域を越えて隣の市まで運行することは、基本的にはできないと。協議をすればできるんですけれども、基本的にはできないという仕組みもあるということで、なかなか車の免許を手放せないということがあります。
先ほど樋下委員からあったように、県警の問題ではないのかもしれませんけれども、代替の交通手段とかについて、関係機関と十分御協議をお願いしたいと思います。このことについては、県立病院の運営協議会の中でも申し上げておりますので、要望だけにとどめておきたいと思います。
それでは、通告しておりました1点だけでございますけれども、防犯意識の啓発、普及という観点からお伺いいたします。
1点ですけれども、冒頭、本部長から、住宅対象の侵入窃盗の無施錠被害が非常に多い、全国ワーストワンだという話がありました。簡単に言えば、空き巣のような被害が、鍵をかけなかったことによって発生している率が、新聞報道では、平成27年は84.6%で全国ワースト1位ということですね。そして、過去5年間を見れば70%台で推移しておりまして、ワースト5位以内ということで、何とも言いがたいところなのです。そして、平成28年上半期においては68.9%ということで、現時点では全国ワースト10位ということであります。
なぜこのように多いのかということについて、担当部でどういうふうに分析なされているか、そのことをお伺いします。
〇伊藤生活安全部長 住宅対象侵入窃盗の無施錠被害対策についてお答えいたします。
無施錠被害が多い原因をどのように分析しているかということについてでございますが、当県は、比較的地域コミュニティーがしっかりしており、また、比較的安全な県であるという意識をお持ちになっておられる県民の方が多いのではないかと思われます。それゆえ鍵をかけない方が多いことが、無施錠被害率のワースト上位に位置する要因になっているのではないかと思われます。
〇工藤誠委員 そう言われればそうなのかなとは思うのですけれども、しかし、数字はこのとおり、全国ワースト1位とか、過去5年間、ワースト5位以内に入っているということでありますので、やっぱりこれは、しっかり対応していかなければならないと思います。
それで、上半期では10位ですけれども、今は、もう下半期に入っていると思うのですが、現在の傾向というか状況では、ふえているのか、それから大体落ちついているのか伺います。また、冒頭、本部長からは鍵かけモデル地区の話等もありました。私の町でも、二つの地区でそのモデル地区になっているところもありますけれども、その取り組みはやっぱり甘いのではないかと思うのですが、今後どういうふうにそういう対応をされていくのか、そのお考えを伺いたいと思います。
〇伊藤生活安全部長 まず、現在のワーストの順位ということでございます。9月末現在で、徐々に改善されてまいりまして、全国的には12位という位置になっております。
被害をなくするために今後どのような対策を講じるかということについてでございますが、委員からもお話がありましたように、県内の全警察署管内で鍵かけモデル地区を指定しております。9月末現在では、県内で全部で72地区、1万6、657世帯を指定しております。
このモデル地区と県下全体の1万世帯当たりの住宅対象侵入窃盗の発生件数を比較してみますと、平成27年中は県下全体では2.7件のところ、モデル地区では1.9件となっております。モデル地区指定の効果は見られます。
〇工藤誠委員 何か一問一答方式になったようでちょっとあれですけれども、いずれ地域的に、大きな殺人とか強盗とかは岩手県では余りなく、治安的にはいいということで、前に報道がありましたが、警察の治安体感率とか信頼度も高いんですね。それこそベストテン以内に入っているということであります。そういうことであれば、さらにこういう全国ワーストワンの汚名返上に積極的に取り組んでいくべきではないかと私は思います。このことについては、警察だけでできるものではないと思っています。その地域の皆さん、自治体の方々、さまざまな方々の取り組みが必要だと思います。
実は地元に防犯協会がありまして、私も会員になっております。年1、000円の会費ですけれども、会費を払って会員になっているのですが、そういう協会、そして、なおかつ小さい支部もありますが、そういうところの方と連携して、その中には老人クラブの人であったり、婦人会の人であったり、あとは学校関係者であったり、さまざまな方がいますので、そういう方たちを通じて、それぞれの分野で啓発を進めていくことが必要なのではないかと思っています。
それと、特にも私が住んでいるところは農村部で、家と農地が近いものですから、割とお年寄りの方は鍵をかけたりしないような習慣もあります。積極的に特殊詐欺などの事件防止のために、いろいろな機会を捉えて講演会とか啓発運動をされていると思いますので、ぜひそういうことを利用していただいて今後も進めていただきたいと思いますが、今後のお考えを伺って終わりにしたいと思います。
〇伊藤生活安全部長 防犯協会との連携による啓発活動の推進ということについてであります。
県内で開催されます各防犯協会の会議等に警察官が出席いたしまして、犯罪情勢あるいは対策等の広報状態について情報提供しながら、その共有を図っているほかに、各種季節運動、地域安全運動、防犯パトロール、あるいは発行しております広報紙など、あらゆる活動において連携を図っているところではございます。
委員御指摘のとおり、いろいろな組織の代表を兼ねる方など、広範な会員の皆さんが加入されておりますことから、今後も連携を強化した活動に努めてまいりたいと思います。
また、現在、警察では、地域で行われるいろいろな集会やイベントの場をお借りして、特殊詐欺や鍵かけについて啓発に努めているところでありますので、今後も、こうした場をお借りしながら、積極的に広報啓発に努めて、防止に努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、東日本大震災津波の行方不明者の捜索活動についてお聞きします。
先日も、陸前高田市の古川沼でかなり大規模な捜索活動が行われましたが、この間の捜索活動の取り組み、また、その成果といいますか、結果はどうなっているでしょうか。
〇中野警備部長 これまでの行方不明者の捜索活動の取り組みについてでありますが、東日本大震災津波から5年8カ月が経過しましたが、これまで県警察といたしましては、発災年である平成23年は、他都道府県からの応援派遣をいただきながら、ほぼ連日の捜索活動を行っております。
また、平成24年以降は、各月命日を中心とした沿岸警察署単位の捜索活動、そして、節目となる3月と9月には、本部及び内陸部の警察署員を動員した集中捜索を実施しております。昨年は延べ63回、約1、100人を動員して捜索を行っておりますし、本年も、先ほど委員おっしゃいました11月11日の陸前高田市古川沼において、海上保安部等と連携して実施した捜索を初め、延べ46回、約750人を動員して実施しております。
行方不明者御本人については平成24年12月を、そしてまた、行方不明者に関連する所持品については平成26年9月を最後に、残念ながら発見には至っておりません。
〇斉藤信委員 今後の取り組み方針はどうなっていますか。
〇中野警備部長 今後の捜索活動の方針についてでありますが、行方不明者御家族の要望や防潮堤工事に伴う排水作業などで新たに捜索可能になるような場所が生じていることなども踏まえまして、これまでの手段、方法を見直すなどしながら、行方不明者御本人はもとより、所持品など、よすがになるものでも発見したいという思いを持ちまして、海上保安部等関係機関との連携のもと、先ほど申し上げました捜索活動を継続してまいります。
また、震災行方不明者の捜索と合わせまして、本年8月に本県に上陸した台風第10号による行方不明者の捜索につきましても、機動隊等の動員や消防など関係機関などと連携しながら、必要な体制をとりまして実施していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 1、123名という行方不明者これ自身が大変な被害といいますか、遺族、家族の方々は、この痛みをいまだに引きずっているというので、ぜひ湾内の捜索もしてほしいというのが切実な要望です。
古川沼の場合には、大学とも連携して、リモートセンシングというんでしょうか、海中の瓦れきのあるところを集中的に捜索するという捜索もかなり進んだ形でありますので、毎月とはいかなくても、言われたように3月、9月というときには、そういう形でぜひこの捜索活動を効果的に進めていただきたい。
第2にですけれども、東日本大震災の被災者の孤独死、震災関連の自殺の状況はどうなっているでしょうか。災害公営住宅での孤独死、震災関連の自殺を含めて示してください。
〇川村刑事部長 東日本大震災における被災者の孤独死についてでございます。
孤独死の定義については不明確なところもございまして、県警察が取り扱った御遺体のうち、死亡時に応急仮設住宅または災害公営住宅に単身で居住されておりまして、自宅内で亡くなられた後に発見された方で、自殺者の数を除いた人数を申し上げます。
まず、応急仮設住宅における孤独死につきましては、震災発生後から本年9月末までで33人の方、次に、災害公営住宅においては4人の方が亡くなっております。
なお、災害公営住宅の孤独死につきましては、警察が統計をとり始めた平成27年2月から本年9月末までの人数となっております。
次に、震災関連の自殺者数についてでございます。
震災発生後から本年9月までで39人と把握しております。
〇斉藤信委員 39人のうち、応急仮設住宅にかかわる方、そして災害公営住宅にかかわる方はどうなっていますか。
〇川村刑事部長 この39名の自殺者の方の中で、細かい部分については、やはり個人のプライバシーとかいろいろございまして、自殺者のさらに細かい部分については公表しておりませんので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 災害公営住宅での孤独死、自殺者を合わせれば8名になるのではないかと思いますが、この数を見ますと、昨年4人ですから減っていないのですね。だから、まだまだ被災の大変な痛みというか、生活苦その他もあると思いますけれども、しっかり対応していただきたいと思います。
次に、県警本部職員の超過勤務の実態と超過勤務手当の支給状況についてお聞きします。
1人当たりの平均、超過勤務手当の支給率、不払い額はどうなっているか示してください。
〇種田警務部長 昨年度の警察職員の超過勤務は、月平均に換算いたしますと職員1人当たり約21.1時間になります。超過勤務手当は、月平均に換算いたしますと職員1人当たり約18時間になります。超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は約85%となっております。
不払い額とのお尋ねでございましたが、職員の超過勤務時間数及び時間単価には個々に差がございますので、一概には算出できないところでございます。
〇斉藤信委員 これを私は毎回取り上げて、支給率が85%ということで、率そのものは改善していると思いますけれども、しかし、超過勤務をして85%しか支払われていないというのは、これは違法行為なのですよ。県警が違法行為をやってはならんと思うのですね。
やっぱり基本的に、超過勤務時間を正確に把握しているということは私は評価しますけれども、15%というのは大きいですよ。15%不払いというのは額にしたらかなり大きいと思います。支給対象人員が2、232人ですから、これ掛ける月3時間、年間にしますと大体37時間の1人当たり不払い賃金ということになるので、これは平均賃金で掛ければ大体の概算は出ると思いますけれども、どう思いますか。これは解決に向かって努力しようとしているのか、していないのか示してください。
〇種田警務部長 超過勤務につきましては、職員の健康保持、それから勤務環境の改善の観点からも、まずはこれを縮減することが大切だ、必要であると認識しておりまして、ただいま事務の合理化、効率化を推進しております。
また、署長会議、それから各種の幹部の会議等におきまして、繰り返し超過勤務の縮減に関して具体的な指示を行っておりまして、幹部職員を初めとする職員全体の労働時間短縮に関する意識改革を行っているところでございます。
また、リフレッシュデーの設定を行いまして定時退庁を促進したりとか、あと週休日に超過勤務を命じた場合には振りかえをするといったような形で、超過勤務縮減に向けて取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、事務の合理化、効率化を推進し、超過勤務の縮減に向けた取り組みを継続するとともに、勤務実態の把握に努めて、突発的な事案に対処する必要がある場合には、所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私の質問と答弁が完全にすれ違いましたね。私は、超過勤務を縮減することはいいけれども、超過勤務をしたらきちんと手当を出しなさい、15%が不払いですよと。これを解決する方向に努力するのかしないのかと聞いたのですよ。都合の悪いことは答えないというのが県警の姿勢かもしれないけれども、改めて聞きますよ。
それと、いわば過労死ラインの80時間を超えて超過勤務をした県警本部の職員はどのぐらいいますか。
〇種田警務部長 まずは超過勤務時間を縮減してまいりたいと考えておりますけれども、先ほど申しましたとおり、合理化、それから縮減に向けた努力を継続してまいりたいと思っておりますが、突発的な事案等に対処する必要がある場合には、所要の措置を講じるなど対策をとっていきたいと考えているところでございます。
あと、80時間という御質問があったところでございますが、ただいま手元に資料がございませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 最後まですれ違っております。不払い労働を解消しようとしているのかしていないのかということを私は聞いたので。率直に言いますと、1人当たりの超過勤務時間は、この間、実態は大体18時間前後で縮減していないのです。それも率直に指摘しておきますよ。
80時間のところは、ぜひ後で答えていただきたい。
次に、捜査報償費についてお聞きいたします。
捜査報償費は、この間どう推移しているか、捜査報償費は何に使われているのか、今でも前払いなのか、このことについてお聞きします。
〇種田警務部長 捜査報償費の推移でございますが、5年間の推移をお答えさせていただきたいと思いますけれども、平成23年度が1、499万円、平成24年度が1、234万1、000円、平成25年度が1、149万円、平成26年度が1、067万9、000円、平成27年度が1、072万4、000円となっております。
続きまして、捜査報償費は何に使われているのかとの御質問でございますが、捜査報償費の用途につきましては、捜査協力者、それから情報提供者への謝礼、これらの捜査協力者等との接触に際しての交通費、あと、聞き込みや張り込み、尾行等に必要な交通費や通信費といったものに使用しているところでございます。
次に、前払いについてでございますが、捜査報償費の執行につきましては、執行の事前、事後に所属長等による承認、確認がなされまして、その結果として精算しているところでございます。
〇斉藤信委員 平成23年以降の5年間を見ると、捜査報償費は3分の2程度に減少しています。私は、やっぱり私が取り上げてきた効果があると思っているのだけれども、ただ、当初予算は、平成27年度も1、600万円余、今年度も1、600万円余で、私は実態とかなり乖離があるのではないかと思います。3分の2程度で推移しているのなら予算も縮減すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇種田警務部長 捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間など、さまざまな要因によって異なるものでございまして、単純に事件が多いとか少ないをもって執行費の多寡が決まるものではございません。ですので、年々下がっているというお話がありましたけれども、その増減は一概に申し上げられるものではないと考えてございます。
あと、予算の関係でございますけれども、これは、その年その年に必要な予算を積み上げているところでございます。
〇斉藤信委員 捜査報償費は、私がなぜ取り上げているかというと、これが裏金に使われているという指摘が、警察幹部職員から告発があって、それが大きな社会政治問題になった経過があるからであります。捜査協力者とか情報提供者にお金を渡すわけですから、本当にそれが渡っているのか渡っていないのか。
そこで、昨年度の捜査報償費は、全体としては本部や警察署で減少しているけれども、2倍以上にふえたところが捜査第二課。捜査第二課は69万8、000円余から146万円に、これは2倍以上にふえています。あとは二戸署、これは40万4、000円から81万6、000円に、これも2倍以上ふえています。倍にふえるといったら、ちょっと尋常じゃないですよ。特別重大な事案とか理由があったのでしょうか。
〇種田警務部長 ただいま、捜査二課、それから二戸署の例が出ましたけれども、先ほどもちょっと申しましたが、執行額につきましては、事件の規模とか性質、形態、捜査の期間、さまざまな要因によるものでございまして、執行額の増減は事件捜査を行った結果でございますので、その理由を一概に申し上げることはできないものと考えております。
〇斉藤信委員 そういう答弁が疑惑を深めるのですね。少しふえたのではない、2倍にふえているということなのですよ。2倍以上にふえている。これは何か重大な事案が発生したのか、そういうことしか考えられないじゃないですか。2倍以上というのは普通ないのだから。
そういう意味で、私は捜査について聞いているのではない。そういう重大な事案が発生したということであれば、それはその範囲でわかりますよ。その点で、そのことも触れられないと。全体として刑法犯は、先ほど県警本部長が言ったように減っているのですよ。だから、こういう捜査報償費も減って当たり前なのですよ。そういう中で特別にふえているところの理由というのはあるのではないですか。それは答えられませんか。
〇種田警務部長 先ほども申し上げましたけれども、捜査費というのは、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などさまざまな要因によるもので増減するものでございます。刑法犯が減っているからという理由で減るとか、そういった性質ではございません。さまざまな要因によって減るものでございます。執行額の増減は、事件捜査を行った結果でございますので、その理由を一概に述べることはできません。
〇斉藤信委員 疑惑は深まったとしか言えない。
これ以上は議論が進まないので、私は次に、警察本部幹部職員の天下り、再就職についてお聞きします。
昨年度、今年度の天下り、再就職の実態はどうなっていますか。
〇種田警務部長 いわゆる天下りについてでございますけれども、定義が明確ではございませんが、警視正以上の階級にある警察官の再就職先の状況につきましては、国家公務員法に基づきまして内閣が公表しております。
公表された資料によりますと、昨年度は、公益社団法人日本防災通信協会、学校法人岩手医科大学、それから、岩手県ハイ・タク交通共済協同組合。今年度につきましては、株式会社岩手銀行、それから、東北電力株式会社、損害保険料率算出機構、株式会社東北銀行に再就職しているところでございます。
〇斉藤信委員 大変優良な企業に天下っているなと思います。
そこで、昨年、岩手医科大学に天下ったのは刑事部長でした。そして、そのときに発生した事件が、岩手医科大学の元教授の覚醒剤疑惑でした。その当該大学でこういう疑惑が発生して、本来徹底して捜査すべき刑事部長が、その捜査をうやむやにして当該大学に天下る。私は、このことを県警自身がみずから正さなかったら県民の信頼を得られないと思うけれども、いかがですか。
〇川村刑事部長 捜査されたかどうかというお尋ねでございました。
個別の事案につきましては、捜査しているか否か、あるいはその捜査状況について具体的な事柄については、答弁を差し控えさせていただきます。
しかしながら、一般論ではございますが、警察は、犯罪があると思料した場合につきましては、法と証拠に基づきまして、これまで適正に捜査を尽くしてきたところであります。
〇斉藤信委員 今の答弁だと捜査しなかったという答弁ですよ。捜査していたら、その刑事部長が当該大学に再就職なんてあり得ないでしょう。今の答弁は捜査しなかったということでしょう。違いますか。捜査していたら当該大学に再就職はあり得ないのではないですか。二つ答えてください。捜査しなかったのではないかと、捜査していたら当該大学に刑事部長が天下ることはあり得ないでしょうと。二つ答えてください。
〇川村刑事部長 繰り返しになりますが、個別の案件については、捜査したかしないかも含めまして答弁を差し控えさせていただきます。
しかしながら、県警察におきましては、これまで、法と証拠に基づいて適正な捜査に努めてまいりました。今後も努めてまいる所存です。
〇種田警務部長 捜査の関係でございますが、先ほど刑事部長から話がありましたとおり、警察は、犯罪があると思料される場合には、法と証拠に基づき適正に捜査しているところでございます。
また、退職者の再就職については、民間企業がどのような人材を必要とし、どのような採用を行うかは、あくまで当該企業等の独自の裁量と努力によるところでございまして、再就職は、雇用主と退職者本人との雇用契約に基づいているものと承知しております。
〇斉藤信委員 岩手医科大学は調査委員会をつくったんですよ。しかし、調査委員会が、その調査結果を明らかにしていない。これまた大学自身がうやむやにしたんですね。だから、うやむやにしたという結果事実しか残っていないじゃないですか。
私は、引き続きこの問題は取り上げていくつもりです。時間がないので、最後に児童虐待の取り組み状況だけお聞きします。児童虐待の県警本部への通報、県警の対応、児童相談所への通告の状況についてお聞きします。
〇伊藤生活安全部長 初めに、児童虐待の対応状況についてでありますが、児童虐待事案を認知した場合には、警察官や少年補導職員が早期に現場に臨場し、直接、児童の安全確認を行い、虐待事実が確認された場合や虐待が疑われた場合には、速やかに児童相談所へ通告するほか、暴行や傷害など具体的な法令違反があった場合には、所要の捜査を実施しております。
また、現場において通告の必要がないと判断した場合においても、児童相談所、市町村等に対しまして、当該児童に係る過去の取り扱い状況等について確実に事前照会を実施して、それにより得られた情報について十分勘案した上で、通告の要否を判断しているところでございます。
次に、児童虐待の通告件数の現状についてでありますが、平成28年9月末現在の虐待による通告件数は429件であり、前年同期と比較しまして254件増加しております。
なお、平成27年中は253件の通告がなされており、平成12年に児童虐待防止法が施行されて以来、最多となっております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますが、昨年は1年間で253件、ことしは9月末で429件と急増している理由は何か。
そして、虐待の中身を見ますと、一番多いのが心理的虐待297件ですね。私は現場で、面前DVの通報が多いと聞きましたが、心理的虐待がふえた理由、その中身も含めて示していただきたい。
〇伊藤生活安全部長 通告件数が急増した理由についてでございます。今、委員がお話ししたとおり、心理的虐待による通告の増加が大きな要因になっております。
その具体的な例で申し上げますと、例えば、夫婦間等での暴力事案を認知した際に、児童に与える心理的影響の重大性を考慮して、その事案が児童の目の前で行われたものか否かの聞き取りを徹底しまして、確実な通告に努めたため急増したものと考えております。
〇軽石義則委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇種田警務部長 先ほど超過勤務80時間の御質問をいただきました。県警では、労働安全衛生規則に基づきまして、100時間を超える超過勤務をしている職員を把握しておりますが、その数字を御紹介させていただきたいと思います。平成27年度は延べ20人となっております。
〇小西和子委員 先ほどのお話から、交通事故の発生件数及び負傷者数については、平成16年から12年間連続で減少しているということは、県警の皆様方を初め、関係の皆様方の御努力のたまものと敬意を表したいと思います。
高齢者の交通事故について私も通告しておりましたが、3人の委員の方々がもう質疑をしておりますので、そこは割愛いたします。
(2)に移ります。平成28年の沿岸13市町村の交通事故の発生件数、死傷者数、特徴、対策についてお伺いいたします。
〇内藤交通部長 平成28年の沿岸13市町村の交通事故の発生件数と特徴、対策についてでございますけれども、本年9月末現在の交通事故の発生状況でございますが、発生件数は277件で、前年比プラス20件、7.8%の増加、死者数は17人で、前年比3人の増加で、21.4%増加しております。傷者数は350人で、前年比プラス3人、0.9%の増加と、いずれもその特徴は増加しておりまして、死者17人のうち、高齢者の死者は10人で58.8%を占めているほか、死亡事故の態様では、自動車の運転中が最も多くて、全体の35%を占めている状況にあります。
こうした状況を踏まえて、引き続き、関係機関、団体等と連携した応急仮設住宅や災害公営住宅等を初めとした家庭訪問による個別指導や地域における交通安全講習会の開催、あとは、地域のコミュニティーラジオ、テレビといったところの協働による広報啓発活動、あるいは交通機動隊の白バイを沿岸方面に集中投入したりして街頭活動等の諸対策を推進し、被災地における交通事故の抑止に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 歩行中ではなくて運転中の死亡者のほうが多くなったというところが、また特徴かと思っております。被災地域及び被災地域への幹線道路では、復旧、復興活動に伴う交通量の増加により交通事故の危険性が高まっていると思われますので、取り締まり、取り組みの強化をお願いいたします。
次に、2点目ですけれども、子供、女性を犯罪から守る対策についてです。
平成27年の声がけ等の脅威事犯の特徴と要因、平成28年の特徴と要因、取り組みと対策についてお伺いいたします。あわせて、子供を犯罪から守る取り組みについてお伺いいたします。
〇伊藤生活安全部長 県内における子供や女性に対する声かけ等脅威事犯の特徴と要因について申し上げます。
県内の脅威事犯の認知件数は、平成27年中は504件で、前の年から83件増加しております。本年9月末では450件で、前年同期比で60件増加しております。
その特徴につきましては、平成27年及び本年ともに、スマートフォン等のカメラ機能を用いた盗撮が増加しております。また、イヤホンの音や画面に気をとられ行為者に気づくのがおくれて被害に遭う事例などが挙げられます。
また、増加の要因といたしましては、児童生徒及び保護者の皆さん、学校関係者等の声かけ等の事案に対する意識が高まったことによって、通報に結びついて件数がふえているものと思われます。
平成28年の取り組みについてでありますが、この種の事案を性犯罪や誘拐等の前兆事案と捉えまして、その行為者を特定し、事件検挙や指導警告等の先制、予防的活動に努めるとともに、盗撮等が多発する施設管理者に対する被害未然防止の啓発活動に努めているところであります。
子供を犯罪から守る取り組みについてでありますが、教育委員会、学校等の関係機関、団体に対する情報提供、110番の家、110番の車等の民間団体や個人に対する通報及び被害者の保護依頼、防犯教室等を通じた被害防止の啓発活動、県警ホームページやメール配信等を利用した発生情報の発信などの被害防止に向けた取り組みを推進しているところであります。
〇小西和子委員 いただいた資料によりますと、昨年からことしにかけまして、わいせつ目的誘拐、監禁、強制わいせつ事件ということで、3件挙げられておりました。被害者は10代の女性ということで、本当に心に大きな傷を負ったと思っております。
次に、ストーカー相談についてお伺いしたいのですけれども、全国的には大変凄惨な事件に結びついているものが多々報道されております。そのようなことにならないようにという思いで質問させていただきます。
平成27年のストーカー相談、ストーカー被害の認知件数、特徴、対策についてお伺いいたします。あわせて、平成28年についてもお伺いいたします。
〇伊藤生活安全部長 ストーカーの相談、ストーカー被害の認知件数についてでありますが、ストーカー相談があった場合はストーカー被害として計上して対応しております。平成27年中は299件、前年比18件の減少、本年の9月末では261件で、前年同期比で25件増加しております。
被害の特徴につきましては、平成27年、平成28年ともに、元交際相手等の密接な関係にあった者からの被害が多く、その態様も、拒否されているにもかかわらず復縁を迫る行為のような、義務のないことの要求やつきまとい、待ち伏せ等の行為が大半を占めております。
対策につきましては、ストーカー等の相談に対しては、事案を認知した段階から対応に至るまで、警察本部が確実に関与して組織対応を徹底しているところでございます。
ストーカー事案に対しましては、今後とも、被害者の安全確保を最優先に考え、常に最悪の事態を想定して、被害者の保護対策を徹底してまいります。
〇小西和子委員 シェルターとか親族宅、ホテル等への避難措置ということもあるわけですけれども、被災地では、被害者の避難場所確保が大変困難であるという話も聞きました。ぜひ、被災地でも避難場所をしっかり確保して、被害者の安全を保っていただきたいと思います。
ストーカー行為とか性犯罪とかというのは、決して減ってはいないと私は受けとめております。性犯罪は、届け出ているのは本当に氷山の一角と捉えておりますので、対策の強化をよろしくお願いして、私の質疑を終わります。
〇千田美津子委員 何点か質問をいたします。
まず交通事故対策として、県民要望の多い信号機、それから、横断歩道の設置状況と今後の設置見通しについてお聞きします。
〇内藤交通部長 初めに、信号機の設置状況についてでありますけれども、過去5年間の各警察署から警察本部に上申された数と整備数で申します。
平成23年度の上申数52カ所に対し、平成24年度は17カ所に設置して、率にして32.7%。平成24年度の上申数45カ所に対し、平成25年度は18カ所、40%。平成25年度の上申数42カ所に対し、平成26年度は10カ所、率にして23.8%。平成26年度の上申数31カ所に対して、平成27年度は10カ所、32.3%。平成27年度の上申数は46カ所に対して、平成28年度は13カ所を計画しております。
次に、横断歩道の設置状況につきまして、これも過去5年で申し上げますと、平成23年度の上申数は83カ所に対し、平成24年度は62カ所、率にして74.7%。平成24年度の上申数160カ所に対して、平成25年度は104カ所、65%。平成25年度の上申数129カ所に対して、平成26年度は92カ所、71.3%。平成26年度の上申数93カ所に対して、平成27年度は65カ所、69.9%。平成27年度の上申数90カ所に対して、平成28年度は82カ所を計画しております。
今後の見通しについてですけれども、信号機や横断歩道などは、交通安全施設に関する県民の皆様からの御意見や御要望は、交通安全を願う県民の切実な声として一つ一つ精査して、必要性を検討の上、真に効果的な整備を図ってまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 まず信号機ですが、5年間の状況をお知らせいただきました。5年間で設置率は31.5%になるわけですね。
私はこの間も毎回お話をしてきましたが、やはり上申をされているというのは、各地域の警察署において必要、緊急性があるというところを精査して挙げてきているわけですから、この設置率といいますか、31.5%というのはとても低い数字だと私は思います。
一方、横断歩道については5年間で73%、平成28年、ことしの設置については91.1%ということで、私はこの程度に信号機の設置もやるべきだと思います。信号機であれ横断歩道であれ、緊急性の高いものが各警察署から十分な審議を経て上申されているわけですから、私はこの設置率に余りにも違いがあると思います。横断歩道のほうを低くしろというのではないです。信号機のほうを横断歩道並みにしっかり設置していくべきだと思うのですが、この設置率の31.5%に対してどのような見解をお持ちか、まず、その点をお聞きします。
〇内藤交通部長 信号機の要望については、各警察署にたくさん寄せられているというのは承知しておりますし、県民の御意見で、ここに設置してほしいという切実な願いがあることも承知しております。
私どもとすれば、交通流量とか交通事故の発生状況を調査して、そういったさまざまなことや、交通信号機の設置の指針というものがございまして、それらを検討しながら、全県的な見地から、優先順位とか緊急性、必要性を判断してつけているところでございます。優先度の高いものを順次整備していくという形でありまして、あくまでも、こういったプロセスの中でこういった数になっているということでございます。
〇千田美津子委員 そうしますと、信号機については、5年間の上申数が216カ所に対して整備が68カ所なわけですから、まず150カ所くらいはついていないわけですね、単純に言えば。翌年も上申するという重複もあろうかと思いますが、その設置をされていない150カ所で、交通事故が起きているのではないですか。それらを調べたことはないですか。
〇内藤交通部長 信号機の設置要望があったところで交通事故が全くないということはないと思います。それぞれ交通事故は軽微なものも発生しております。ただ、重症とか死亡の交通事故が発生しているようなところは私たちも重要視しておりまして、そういったところで起きないように、やはり早くつけていかなければならないという優先順位で考えているところでございます。
〇千田美津子委員 今御答弁があったように、私は、緊急性というのは、何人死亡したかで判断しているのかなと、悪く言えばそう感じていました。ですから、そういうことが起きない、結局、警察署からは、死亡事故があったり、事故がすごく多いところの希望が上がっているわけですから、やはりこれはもっと設置率を、全部とは言いませんが、もっと上げる努力が私は必要ではないかなと思いますが、この点は本部長、どうでしょうか。
〇堀警察本部長 昨年の決算特別委員会でも申し上げたかと思うのですが、信号機、横断歩道を初め、交通安全施設に関する御要望というものは、今委員おっしゃったとおりでございます。その点にどうやって優先順位をつけていくかというのは先ほど交通部長が申し上げたとおりでありまして、ベースになるのは事故実態ということかと思いますが、他方で、無視してはいけないと考えているのは、地域の方の御要望ということかと思います。ですから、その辺も勘案して、可能な限り御要望にお応えしていきたいと思っております。必要性、設置効果というものを見きわめつつ、地域の方々の御意見も受けとめながら、合理的、効果的な整備というものを推進していきたいと思います。
〇千田美津子委員 前も言いましたけれども、必要な箇所が上がってきているわけですから、ぜひ県警本部には、県民の声をしっかり受けとめる対応を今後ともお願いをしたい。これは要望になりますけれどもよろしくお願いいたします。
それで、一つ関連してですが、主要施策の85ページに、信号機の高度化の目標が、26カ所に対して17カ所と、C評価になっているのですけれども、これはなぜなのか。普通の信号機とまた別の考えになるのか、この点お伺いをしたいと思います。
〇内藤交通部長 信号機の高度化の部分の資料がちょっと今手元に……。
〇千田美津子委員 では、後で教えてください。
それでは、交通事故の関係で、交通事故情報管理システムをこれから整備されていくということのようですけれども、これは交通事故分析の精度を高めることとして重要だと思いますが、現状がどうなっていて、また、今後どのように改善されていくのか、この点お伺いをいたします。
〇内藤交通部長 今、委員がおっしゃられた交通情報統合システムの整備でございますけれども、現在、県警本部には、交通事故管理システムというものと交通規制管理システムというものがございます。これらがちょうど更新の時期に当たりますので、これらに地図情報システム、これをプラスして一体整備するというものでございまして、来年3月の運用開始に向けて整備作業中でございます。
本システムを導入することによって、交通事故と交通規制の情報を地図上に表示させ、交通情報の見える化を図ることで、交通事故抑止に効果的な交通規制や交通指導取り締まりを実施することが可能となります。
また、県民の方々には、こういった交通事故の分析結果を視覚的にわかりやすく地図に載せることで、県民の方々には、インターネット等、あるいはスマートフォン等を活用して交通事故の発生マップをごらんになっていただくことができますし、身近に発生している交通事故の発生状況を知っていただいて、さらなる事故抑止対策を図っていただけるということも可能になると思います。
県警といたしましては、本システムを導入して、引き続き、交通事故実態に即した効果的な交通事故抑止対策を推進してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 情報の見える化を図って、引き続き事故防止のためにお願いをしたいと思います。
時間がないので次の質問に移ります。
侵入窃盗における無施錠被害の件数、先ほど工藤誠委員から、住宅関係については質問があってお答えがありましたので、住宅以外の事業所等、その現状がどうなのかということをお知らせください。
それから、それらを防ぐために、県警は鍵かけキャッチフレーズおにっこをアピールしているようなのですが、私は初めて耳にしたのです。これが現実、県民の皆さんにどれだけ普及しているのかということをお聞きしたいと思います。
〇伊藤生活安全部長 住宅対象侵入窃盗を含めました侵入盗全体における無施錠被害の件数でありますが、全国の無施錠被害件数は過去5年間減少を続けております。平成28年9月末現在、無施錠被害件数は2万2、427件で、前年同期より2、411件減少しております。
また、県内の無施錠被害件数でありますが、過去5年間では、平成24年の422件をピークとしまして、多少の変動はあるものの減少傾向を続けており、平成27年は264件で、ピーク時と比較して158件減少し、さらに本年9月末現在においても139件と、前年同期に比較し74件減少しております。
次に、県警察の鍵かけキャッチフレーズおにっこでありますが、これは鬼の子供が鍵かけを呼びかけ、ソフトなイメージによって親しみを持たせて、鍵かけ意識を普及させることを目的に、平成25年から使用しているものであります。
交番速報、ミニ広報紙、県警のホームページを利用した広報、それと関係機関と連携した路線バスへの中づりポスターの掲示、あとは公益社団法人岩手県予防協会連合会発行の機関誌や各種研修会資料への掲載、これらを通じて広く県民に呼びかけ、浸透を図っており、本年の無施錠被害件数が減少している実態からも、一定の効果があるものと認識しております。
〇千田美津子委員 それでは次の質問に移ります。
なりすまし被害、振り込め詐欺の現状と対策についてお聞きをしたいと思います。
さまざま水際作戦とかで防止するための努力が行われていると思いますが、その被害が後を絶たない状況にあると思いますので、被害の現状と対応策についてお聞きします。
〇伊藤生活安全部長 初めに、なりすまし被害、なりすまし詐欺などの振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺被害の現状についてでありますが、本年9月末現在の被害認知件数は65件、被害金額は合計1億3、650万円余となっており、昨年同期と比べますと、件数は6件の増加、金額は1億134万円余の減少となっております。このうちの30件が、医療費の還付金などを口実に、被害者を金融機関店舗外のATMに誘い出してATMを操作させ、現金を振り込ませる還付金等詐欺であり、昨年の同期よりも22件増加しております。また、65歳以上の高齢者の被害件数が全体の約65%を占めております。
次に、被害を防ぐための対策についてでありますが、これまで実施してまいりました金融機関店舗外ATM利用者に対する注意喚起、特殊詐欺被害防止広報センターや民生委員等からの注意喚起等の対策、これらに加えまして、ことしの8月から、特殊詐欺被害防止活動を推進する個人、法人、団体等の皆様をサポーターとして委嘱する特殊詐欺被害防止サポーター制度の運用を開始しており、県民総ぐるみによる未然防止に努めてまいります。また、これらの施策を推進するに際しましては、具体的な手口の周知、視覚、聴覚に訴える、また、より見やすく、聞きやすく、わかりやすい広報に配意して、高齢者等の被害防止に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 いろいろ努力をされているのは本当に頭が下がるのですけれども、頭でわかっていても、だまされてしまうのは、高齢者の方が一人で自宅にいらっしゃるときが私は多いのではないかなと思っています。ですから、それらにどう対応していくかが大きな鍵ではないかと思うのですけれども、その点、何か検討されていることがありませんでしょうか。
〇伊藤生活安全部長 委員のおっしゃるとおり、当事者の皆さんが詐欺の被害に遭わない、あるいはこの申し入れは詐欺なんだというような認識、この被害意識を高めることが最重要だと思っております。それで先ほども申し上げましたとおりの施策をしているのですが、県当局等と連携いたしまして、ケアマネジャーや民生委員などの活動を通じた啓発活動、これにつきましては、この皆さんが高齢者宅を訪問する際に、県警察が作成した広報、啓発へのチラシを配布しながら注意喚起を行っていただいております。今年度は8万枚の配布を依頼したところでございます。
あと、特殊詐欺被害防止広報センター、NTTソルコと委託しておりますが、ここからの電話による個別的な情報発信等被害防止の啓発、こういったことに努めております。
それでもまだなかなか徹底されないということで、いろんな機会で、高齢者の方を初め、被害に遭われる皆さんが立ち寄られたり足を運ぶような機関、団体、個人の皆さん、この皆さんをいろいろ選定しながら、サポーター制度ということで、その場面で指導していただくという施策をとっております。
〇千田美津子委員 最後にしますけれども、県警がつくられたこのチラシ、鍵かけキャッチフレーズおにっこの宣伝と、それから今の詐欺、この電話は詐欺ですよという、両方を合わせたチラシを初めて私も見たのですけれども、例えばこのミニ版でもいいですから、特に高齢世帯の方々が電話のそばに貼れるようなものにするとか、やっぱり電話に出てしまうと、頭と行動が別になっていくことがあるので─私は本当に目立つなと思ったのですね。チラシをただまいてもどこかに行ってしまうので、例えばこういうものを活用して電話のところやいつも目につくところに貼ってもらって、それが、ああ、そうだなと思うことになるので、そういうことが私は非常に大事かなと思いましたので─防犯協会でつくったんですね─そういうことも含めて対応したらいいのではないかと思いますので、その点だけお伺いして終わります。
〇羽澤参事官兼生活安全企画課長 委員の今の御指摘でございますけれども、広報資料につきましては、先ほどお示しいただきましたのは、岩手県防犯協会そして警察本部ということでのチラシでございます。警察本部あるいは各警察署におきましても、わかりやすいようなチラシ広報につきましては、各種作成して対応はしているところでございます。
委員御指摘のとおり、高齢者の方というのは、いろんな意味で読みづらいとか、字が小さいとか、非常にわかりにくいとおっしゃいます。広報についてもうちのほうでも今後工夫しながら、字の大きさ、色彩、そしてレイアウトですとか、そういう構成につきましても工夫を重ねまして、さらにまた単独の高齢者、ひとり暮らしの方なども多いわけでございますけれども、目につきやすいような広報、これにつきましては、今後、注意喚起していきたいと考えております。
〇軽石義則委員長 執行部に申し上げます。先ほどの千田委員の質疑について答弁できますでしょうか。
〇内藤交通部長 先ほど委員から御指摘ありました交通安全施設整備に要する経費の中で、信号の高度化の指標がCであるということについてでございますけれども、これにつきましては、信号機の集中制御等の高度化事業でございますが、財源等の事情から目標数の達成に至らなかったということで、Cになっているということでございます。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、警察本部関係の質疑はこれで終わります。
警察本部の皆様はお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時54分 散 会

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