平成28年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
議案第2号、第6号、第11号に反対の討論を行います。
議案第2号は、岩手県県税条例等の一部を改正する条例の専決処分の承認を求めるものであります。
この内容は、3月31日に成立した地方税法の一部改正によるものであります。今回の改正は、消費税10%への増税を前提に、昨年、一昨年に引き続き、外形標準課税のさらなる拡大と法人事業税所得割の税率引き下げを行うものであります。黒字企業を一層優遇するものであります。
赤字でも課税される外形標準課税は、一昨年の8分の2から8分の5に拡大されます。当面の対象は資本金1億円超の法人となっていますが、与党の税制改革大綱では、資本金1億円以下の中小企業にも対象を拡大することを検討すると明記されています。昨年度、資本金1億円以上の赤字企業約250法人の外形標準課税額は約4億9、800万円となっています。税金は応能負担が原則であり、利益を上げた企業には減税し、赤字の企業からも税金を取り立てることは税制の民主的原則に逆行するものであります。
議案第6号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例です。
県民税の法人住民税の税率を引き下げ、国税分の地方法人税を地方交付税とするものであります。消費税8%の引き上げ時に地域間の税源の偏在性を是正し財政力格差の縮小を図るため、地方税である法人住民税の一部を地方法人税、国税として地方交付税の原資とする仕組みを創設しました。今回の改正は、消費税の10%への引き上げ時に同様の地域間格差が発生するとして法人住民税率をさらに引き下げ、地方交付税原資化の規模を拡大するものであります。自治体間の税収格差の是正は地方交付税の財源保障と財政調整の両機能を強化することでなされるべきであり、反対するものであります。
議案第11号は、児童福祉施設の設置及び運営に関する基準を定める条例等の一部を改正するものであります。
その内容は、深刻な保育所待機児童対策として、国が保育士不足を理由に保育所の設備、運営基準等を改正し、保育士配置等について特例的運用を可能とする規制緩和を行うものであります。具体的には、保育所に係る保育士の数の算定について、当分の間、幼稚園教諭の普通免許状を有する者等を一定の数の範囲において保育士とみなすことができるとすること、朝夕の保育士の配置基準を現行の2人から1人に、当分の間、保育士と同等の知識、経験を有する者とすることができるとするものであります。
保育所の待機児童急増の原因は、認可保育所の整備のおくれと保育士不足であります。特に、保育士の待遇が全産業と比べて月収で平均11万円も低いという待遇の悪さによるものであります。ところが、国の対策は、待機児童解消に対応する保育所増設や保育士の待遇の抜本的改善に背を向けて、保育士の配置基準をさらに緩和、改悪するものとなっています。これでは、待機児童の解消にも保育士の確保にも対応できないことは明らかであります。それどころか、子供の安全、成長と発達が脅かされかねない重大なものであります。
そもそも日本の保育基準は、保育士の配置基準でも面積基準でもフランスやドイツ、イギリスなど先進諸国と比べて2分の1程度という劣悪なものであります。実際の保育の現場では、国の低い基準を超えて保育士を配置しているのが現状です。このおくれた保育士の配置基準をさらに緩和することは、子供の安全、成長と発達にかかわる重大問題であります。
国方針と今回の条例改正案では幼稚園教諭の普通免許状を有する者等を保育士とみなすことができるとしていますが、この等の中には、小学校教諭、養護教諭とともに知事が認めた者も含まれます。保育士の資格は国家資格であり、乳児や児童の保育に関する専門的な知識と経験が求められる仕事であります。簡単にこれらの方々に保育士とみなすことができるとすることは、保育士の国家資格を軽視し、ないがしろにするものであります。こうしたやり方では、専門家としての保育士の確保は一層困難になることは明らかであります。
また、朝夕の時間帯に保育士の配置基準を2名から1名とすることは、保育士に対する責任と労働を一層過重とするものであります。朝の時間帯は子供を保護者から預かる難しい時間帯であり、夕方の時間帯は、一日の子供の様子や変化を保護者に伝え、保護者の相談や悩みにも対応する大事な保育の仕事となるものであります。保育士の配置基準の規制緩和は、子供の安全確保にとっても保育士の専門性の確保にとっても逆行するものと言わなければなりません。
4月1日現在の県内の保育所待機児童数は11市町村192人で、前年比64人の増となりました。深刻なのは、希望した保育所に入れないなどの隠れ待機児童が既に481人となっていることであります。県内市町村の保育所利用見込み数は、計画では2万7、713人でしたが、利用申し込み数は2万9、232人と、計画を1、519人も超過しています。計画の見直しを含めて、認可保育所の大幅な増設に取り組むべきであります。
保育士の確保については、野党4党が国会に法案を提出しましたが、直ちに月収で5万円の引き上げを行うことであります。日本共産党は、さらに10万円まで引き上げるよう提案をしています。
国が進めている企業主導型保育は保育士が職員全体の半分以上いればよいとするものであり、保育の質を大幅に低下させるものです。昨年も認可外保育施設で10人の死亡事故が発生しています。保育基準の後退、保育の質を下げることは、子供の命と安全にかかわる問題であります。また、保育士確保にも逆行するものであります。
以上申し上げ、保育士配置基準を緩和、改悪する今回の条例案に反対する討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
これより、請願陳情中、受理番号第21号少人数学級の推進などの定数改善と義務教育費国庫負担制度2分の1復元をはかるための請願を採決いたします。
本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第21号少人数学級の推進などの定数改善と義務教育費国庫負担制度2分の1復元をはかるための請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、請願陳情中、受理番号第18号及び受理番号第20号を一括して採決いたします。
各請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第18号及び受理番号第20号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、議案第2号、議案第6号及び議案第11号を一括して採決いたします。
各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、議案第2号、議案第6号及び議案第11号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、議案第1号、議案第3号から議案第5号まで、議案第7号から議案第10号まで、議案第12号から議案第31号まで、諮問第1号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立全員であります。よって、議案第1号、議案第3号から議案第5号まで、議案第7号から議案第10号まで、議案第12号から議案第31号まで、諮問第1号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
日程第34 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(田村誠君) 次に、日程第34、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
各委員会の閉会中の継続審査及び継続調査事件
1 継続審査
総務委員会 請願陳情受理番号第14号
TPP協定を国会で批准しないことを求める請願
請願陳情受理番号第15号
所得税法第56条廃止を求める請願
請願陳情受理番号第16号
米軍元海兵隊員による沖縄での女性殺害事件に強く抗議し、日米地位協定の抜本的見直し、海兵隊の撤退、米軍基地の大幅な整理・縮小を求める請願
2 継続調査
総務委員会 ・女性活躍推進のための特定事業主行動計画について
・三陸総合振興とDMOの取組について
環境福祉委員会 ・岩手県における2013年(平成25年)の温室効果ガスの排出量について
・“いきいき岩手”結婚サポートセンターの運営状況について
商工文教委員会 ・平成29年度県立学校の編制について
・県内就業の促進について
農林水産委員会 ・畜産研究所における試験研究の取組について
・食と農林水産業の振興に関して講じた施策の概要について
・第10次岩手県卸売市場整備計画について
県土整備委員会 ・施設総合管理所集中監視制御システムと四十四田発電所について
・港湾行政をめぐる最近の情勢について
〇議長(田村誠君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、各委員長から、お手元に配付いたしてあるとおり、それぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(田村誠君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
日程第35 議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてから日程第37 議案第34号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてまで
〇議長(田村誠君) 次に、日程第35、議案第32号から日程第37、議案第34号までを一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。千葉副知事。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
議案第32号は、教育委員会の委員であります芳沢茎子氏及び村井三郎氏のお二人の任期が9月30日で満了となりますので、芳沢茎子氏を再任し、畠山将樹氏を新たに任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
教育委員会の委員は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第2項の規定により、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する者のうちから任命することとされており、また、同条第5項の規定により、委員の任命に当たっては、委員のうちに保護者である者が含まれるようにしなければならないとされております。
芳沢茎子氏は、医療、福祉、教育の各分野で培った幅広い識見を有し、これまでの委員在任中において熱意を持って精力的に委員会活動に取り組んでいただいており、本県教育を推進する上で必要な方と存じております。
畠山将樹氏は、現在、弁護士として活動されており、法曹分野で培った識見を生かした委員会活動とともに、小学校児童の保護者でもありますことから、保護者としての視点も踏まえた委員会活動が期待できる方と存じております。
議案第33号は、人事委員会の委員であります飛澤重嘉氏から辞職願の提出があり、7月31日で退任いたしますので、その後任として、高橋信氏を新たに選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
人事委員会の委員は、地方公務員法第9条の2第2項の規定により、人格が高潔で、地方自治の本旨及び民主的で能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有する者から選任することとされており、高橋信氏は、過去に県職員として人事課総括課長や県北広域振興局長を務められるなど、人事行政に関する識見及び豊富な行政経験を有しており、適正な人事行政の推進のための委員会活動が期待できる方と存じております。
議案第34号は、公安委員会の委員であります石川哲氏の任期が7月25日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
公安委員会の委員は、警察法第39条第1項の規定により、県議会の議員の被選挙権を有する者で、任命前5年間に警察または検察の職務を行う職業的公務員の前歴のない者から任命することとされており、石川哲氏は、これまでの委員在任中において、弁護士としての豊富な経験と高い知見を生かし、適切な指導、意見をいただくとともに、平成27年7月からの1年間は公安委員会委員長として中心となって活動していただいたところであり、引き続き、県警察を管理する公安委員会の業務を適正に行うことができる方と存じております。
よろしく御審議の上、原案に御同意くださいますようお願いいたします。
〇議長(田村誠君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(田村誠君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
ただいま議題となっております議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立全員であります。よって、議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
次に、議案第33号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
ただいま議題となっております議案第33号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立全員であります。よって、議案第33号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
次に、議案第34号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
ただいま議題となっております議案第34号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、議案第34号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
日程第38 発議案第1号東日本大震災津波の被災者の医療費窓口負担、介護保険サービス利用者負担等の免除を求める意見書
〇議長(田村誠君) 次に、日程第38、発議案第1号東日本大震災津波の被災者の医療費窓口負担、介護保険サービス利用者負担等の免除を求める意見書を議題といたします。
提出者の説明を求めます。佐々木環境福祉委員長。
〔環境福祉委員長佐々木努君登壇〕
〇環境福祉委員長(佐々木努君) 発議案第1号につきまして、環境福祉委員会提案でありますので、委員長であります私から提案理由の説明を行います。
発議案第1号東日本大震災津波の被災者の医療費窓口負担、介護保険サービス利用者負担等の免除を求める意見書でありますが、今期定例会において、請願陳情受理番号第18号東日本大震災被災者の医療費窓口負担の免除継続を求める請願及び請願陳情受理番号第19号被災者の医療費・介護保険利用料などの免除措置の継続を求める請願が環境福祉委員会に付託され、いずれも採択と決定したことに伴い、意見書を提出するものであります。
その趣旨を御説明いたしますと、東日本大震災津波により、本県では本年5月末時点で1万8、000人余の方が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされ、被災地域では、住む場所や働く場所も失われ、今なお多くの被災者の生活は厳しい状況にあります。
このような中で、東日本大震災津波により被災した国民健康保険及び後期高齢者医療制度における被保険者の医療費の一部負担金並びに介護保険及び障がい福祉サービス利用者負担の免除の扱いについて、免除に要した費用全額を国により補填する特別な財政支援が平成24年9月30日で終了し、国民健康保険、後期高齢者医療制度及び介護保険については平成24年10月1日から既存の特別調整交付金の仕組みに変更されておりますが、被災者の中には収入が絶たれた者も多く、また、長引く応急仮設住宅等での生活から健康不安が増大しているところであります。
このため、医療機関での医療費窓口負担が発生することにより必要な医療受診が妨げられ、被災者の健康保持に支障が出ることがないよう、安心して医療を受けられるような配慮が必要であります。
以上のことから、本意見書案においては、東日本大震災津波により被災した国民健康保険及び後期高齢者医療制度における被保険者の医療費の一部負担金並びに介護保険及び障がい福祉サービス利用者負担の免除に係る費用の全額を補助すること、東日本大震災津波により被災した被用者保険における被保険者の医療費の一部負担金免除の制度を復活させることについて、措置を講ずるよう国に要望しようとするものであります。
議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。
〇議長(田村誠君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております発議案第1号東日本大震災津波の被災者の医療費窓口負担、介護保険サービス利用者負担等の免除を求める意見書は、委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたします。
これより討論に入ります。
討論の通告がありますので、発言を許します。岩崎友一君。
〔33番岩崎友一君登壇〕

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