平成28年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(千葉進君) 改革岩手の千葉進です。
昨年9月の県議会議員選挙において、一関選挙区で初めて議席をいただきました。本日は、先輩議員、同僚議員の御配慮により、初めての一般質問の機会をいただきましたことにお礼を申し上げます。
最初に、ことし4月14日に熊本で地震が発生し、その後も数度にわたる地震が続き、亡くなられた方々に哀悼の意をささげるとともに、被害を受けられた方々に対しお見舞い申し上げます。さらに、先週からの大雨により被害を受けられた熊本を中心とした九州、西日本の方々にもお見舞い申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問させていただきます。
私は、一昨年まで約37年間、県立学校の教員をしておりました。学校という場では、将来の希望を胸に秘めた生徒たちを対象として授業等を行っております。その際、教職員は、知識を教えるのみならず、人間として、人生の先輩として生徒たちに接し、彼らの心身ともに健全な成長を願い、職務に努めております。
子供は親の背中を見て育つとよく言われます。教職員も例外ではなく、生徒たちにうそをついたり、大人の理屈で勝手に学校や彼らを動かそうとすると生徒たちからの信用がなくなりますし、彼らから見向きもされなくなります。今の日本の政治を見たとき、同様のことが言えるのではないでしょうか。先般の東京都知事辞職問題では、疑惑解明もせず、説明責任も果たさず、最後には何らの挨拶もしない、これが責任ある立場の大人がとる態度でしょうか。若者たちは、このような大人たちをどう見るのでしょうか。
また、ここ数年の日本の政治を見ても同じです。ここで、あえて憲法9条条文を読みたいと思います。第9条、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。この憲法9条を読んだとき、生徒、若者たちは、文字どおり素直に戦争はしない、できないと捉えると思います。しかも、これまでの自民党内閣においても集団的自衛権は認められないと言っていたはずです。それが、一内閣、一総理大臣が自分の思いどおりにするために解釈を無理強いして変更する、こんなことが許されるのでしょうか。また、そのような人が学校では道徳を教えろと言っても認められるものではありません。
岩手県議会では、2015年の9月臨時会において、安全保障関連法案の強行採決に抗議し、今国会で成立した安全保障関連法の廃止を求める意見書を可決しております。
そこで知事にお伺いします。戦争のできる国づくりを進めるような安全保障関連法に対する知事の所見をお伺いします。
東日本大震災津波の復興の進捗状況についてお伺いします。
まずもって、改めて、津波のみならず、その後の生活の中で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今もなお被災地の厳しい環境の中で生活されている方々にお見舞い申し上げます。
県では、ことしを本格復興完遂の年と位置づけ、スピード感を持って復興に取り組んでおられると認識しております。私も昨年の県議会議員選挙の公約の中で震災復興を第一義と位置づけ、そして希望郷いわてを実現しようと訴えてまいりました。そういう面からも、現在の進捗状況、さらに、今後の見通しはどうなっているのか、また、それを踏まえて県はどのように取り組んでいくのか、これまでの質問でお答えいただいておりますが、知事の意気込みを改めてお伺いします。
幸福度についてお伺いします。
知事は、物質的な豊かさに加えて、岩手ならではの生き方や豊かさを重視し、また、個人の幸福と集団全体の幸福との関係性にも着目して、新たに幸福度を調査するとしております。幸福度を導入し施策に生かしていくことに期待しているところではありますが、幸福度は非常に抽象的な内容であり、調査するにしても回答するにしても、さらには検討するにしても明確にしにくいものと考えられますが、調査の狙いと時期、算定方法、活用方法を具体的にお伺いします。
人口減少対策についてお伺いします。
各市町村においても人口減少対策に向けた計画を策定し、取り組みを行っていると伺っております。一関市では、人口減少が進んでいる中、若者の定着を奨励し、宮城県北との交流を行うなどの努力をしております。一関市は県境という特徴を生かした取り組みを行っているところですが、県内各市町村の特徴としてどのような点があるのか示していただき、それを踏まえて県はどのように取り組んでいこうとしているのかお伺いします。
若者が安心して暮らせる社会の実現についてお伺いします。
冒頭申し上げましたとおり、私は長年、高校教員をしてまいりました。卒業後、社会に出た若者たちの中には、いまだに非正規社員のままでいる人たちがいます。そして、そのために彼らは将来に対して希望が持てず、結婚、出産が難しいと言っております。県は、この若者たちが岩手の地で安心して働き、結婚し、子供を産み育てられる社会をどう具体的に構築していこうとしているのかお伺いします。
インターネットの環境整備についてお伺いします。
先日、都会の学生たちと交流する機会がありました。具体的に言いますと、國學院大學の学生たちがゼミの研究で男女合わせて十五、六人、一関市大東町の京津畑に来て地域や古文書の調査をするとともに、地域の人たちと田植えをしたりしていたのです。彼らは春と秋の年2回、この数年間、岩手に来ているとのことでした。しかも、卒業後も参加している人も数人おりました。私は、その地域での夜の交流会に参加させていただいたのです。そのとき彼らに岩手の印象を聞いたところ、岩手は自然が豊かで人情味もあり、とてもいいところだと答えてくれました。それでは住むとしたらどうかと聞いたところ、外部からの情報を得ることが難しいので、インターネット環境が整備されたなら農業をしながら住んでもいいと答えてくれました。
県では、人口減少対策としてふるさと振興総合戦略を策定し、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、この三つの柱で取り組むとのことですが、若者たちの意見を聞きながら、そのニーズを踏まえて取り組んでいただきたいと考えております。この若者たちが要望しているインターネット環境について、現状の整備状況、今後の取り組み方針についてお伺いします。
奨学金と高校の授業料無償化についてお伺いします。
一関市では、本年度、新たに医療介護従事者修学資金貸付制度を創設するなど、医療、介護従事者を目指す学生の就学を支援することにいたしました。県においては医師養成奨学金の貸し付けを行っておりますが、その他にはどのような奨学金の制度を設けているのでしょうか。また、それが給付型であるのか貸付型なのかを含めてお伺いします。
給付型奨学金についてお伺いします。
6月12日付の朝日新聞で奨学金が特集され、その見出しは、奨学金、人生の重荷にというものでした。
〔議長退席、副議長着席〕
記事では、1、000万円返せず自己破産した、結婚とか出産とか人生設計なんて考えられないとも書かれてありました。今、このように、全国で奨学金の返済に追われ、生活が苦しく、結婚もできないなど将来に不安を持っている若者たちが多くいるという実態があります。その将来のある若者たちが経済的な理由により大学、専門学校等への進学を断念することのないよう、そして、その卒業後に多額の奨学金の返済に追われることのないよう、県では進学のための給付型の奨学金制度を創設すべきではないかと考えますが、見解をお伺いします。
若者定住に向けた奨学金制度についてお伺いします。
他県では、若者の県内就職やU・Iターンを支援していくため、奨学金を活用した大学生等の地元定着の促進に取り組む例が見られており、また、一関市においても、新卒で市内に就職した奨学金貸与者への支援を検討していると聞いております。県においては、いわてで働こう推進協議会の構成員などと連携しながら実効性のある制度を検討するということでありましたが、今現在どのように取り組んでおられるのか見通しをお伺いします。また、市町村における取り組みについて、県はどのように考えているのかお伺いします。
高校の授業料無償化についてお伺いします。
民主党政権時代、2010年度から高校授業料の無償化が始まりましたが、2014年度からは所得制限をつけるようになりました。義務教育の無償化のみならず、先ほどの奨学金問題を考えたとき、高校授業料の無償化等を国に対して要望していく必要性があると考えますが、県としての見解をお伺いします。
地域医療について幾つかお伺いします。
まず、医師の配置についてお伺いします。
私の住んでいる県南部の千厩病院では常勤医師の不足が顕著であり、診療科も応援医師に頼らざるを得ないような状況であります。それでも、医師や看護師、そして千厩病院を応援してくださる地域の皆さんのおかげで病院は明るい雰囲気を漂わせ、すべての人びとに安らぎと希望をの病院理念のもと、活気あるものとなっています。ただ、このまま医師不足が続くと、地域包括ケアどころか、さらに診療科がどうなっていくのか不安な面もあります。そういう面から、奨学金養成医師については県としてこれまでどのような取り組みをしてきたのかお伺いします。
また、国の医学部入学定員の拡充方針を受け、2008年以降拡充した奨学金制度による、いわゆる地域枠などの奨学金養成医師が今年度から配置されましたが、これはどのような機関において、どのような考えのもと配置の調整をなされたのかお伺いします。
さらに、医師の偏在化をどのように捉えているのか、そして、今後、地域病院への配置等、今後の取り組み方針はどうなっているのかお伺いします。
県立病院における看護師確保についてお伺いします。
6月21日付の岩手日報に、県立病院、求む看護師との記事が掲載されていました。2016年度の受験申し込み締め切りは昨日─6月30日となっていましたが、その結果はどうなっているのでしょうか。また、今回の応募状況を踏まえて、今後の人材確保に向けた取り組みはどうなっているのかお伺いします。
農林水産業における若者、女性の育成についてお伺いします。
農業振興においては岩手で夢をかなえようというキャッチフレーズがありますが、これは林業、水産業の全ての分野に当てはまり、若者や女性活躍を推進する上で大事なものと考えます。そういう面で、第1次産業が主要産業である岩手県として、農業、林業、漁業等で若者や女性の育成が重要であると考えますが、それをどのように進めていこうとしているのか方針をお伺いします。
また、これらを考えたとき、往々にして課題となるのが行政組織としてよくありがちな縦割りによる取り組みであります。農業、林業、漁業それぞれが対策を講じておられますが、横の連携が不足な場合が見受けられることがあります。それぞれが年1回は一堂に会して交流できる場をつくり成果を発表し合うとか、課題を解決するにはどうしたらいいかなど、異業種の人たちも含めて若者たち、女性たちが交流する場をつくるなど、今後、県として具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いします。
観光振興についてお伺いします。
岩手県の著名人を見たとき、石川啄木や宮沢賢治、あるいは地域によっては偉人、賢人と言われる人がいまだに中心となっておりますが、私としては現代の作家に視点を当てることも必要と考えます。例えば、炎立つの高橋克彦氏、黄金流砂の中津文彦氏、プラチナタウンの楡周平氏等、本県ではそうそうたる現代作家を輩出しており、観光資源として大きな価値を有していると考えます。このような現代作家にも視点を当て、新たな岩手県の著名人を活用するような観光の取り組み状況についてお伺いします。
特にも、ことしは平泉世界遺産登録5周年を迎えております。さまざまな企画が計画されていると聞いておりますが、中津文彦氏は平泉や舞草刀、そして源義経を、高橋克彦氏は藤原三代などを取り上げた小説を書いており、歴史に着目した観光を大いに活用できると思うのですが、その見解をお伺いします。
日本人は判官びいきであるとよく言われます。判官とは源義経のことであり、史実としては平泉で亡くなったことになっておりますが、義経北行伝説というものがあり、県内各地にその伝説が残っております。例えば、義経の愛馬で太夫黒という馬がおり、この馬は千厩産で、有名な一ノ谷での坂落としのときに義経が乗っていた馬と伝えられています。
県では、義経北方伝説については、ホームページ等を作成し、県北・沿岸地域のコンテンツを中心にゆかりの地の紹介等を行っておりますが、県南地域の紹介、写真が少ないと感じております。中津文彦氏とか藤原の郷等の県南地域の情報を拡充し、岩手県全体としての取り組みとしてさらに地域振興や観光に生かしてほしいと考えますが、見解をお伺いします。
新たな県立高等学校再編計画について3点お伺いします。
まず初めに、県立高等学校再編計画の取り組み状況についてお伺いします。
県教育委員会では、2016年3月29日に新たな県立高等学校再編計画を策定しました。私は、希望郷いわてを実現するためにも、インクルーシブ教育の視点も踏まえた教育の充実が重要と考えております。どのような地域に生まれ、どのような家庭環境で育とうとも、教育が保障されるためにも、30人以下学級や地域合同総合性高校など岩手方式の考え方を持ち、教育に対する投資を推進するべきと考えます。
再編計画では、宮古、遠野、久慈3地区の統合予定校については、地方創生に向けたそれぞれの地域の取り組みの推移や2018年度までの入学者の状況等の検証を行い、統合時期等について検討するとしておりますが、ことしの入学状況等を踏まえ、その後の進捗状況、また、今後の取り組みについてお伺いします。
次に、高校再編により統合となる高校の対応についてお伺いします。
私がこれまで勤務した藤沢高校、大原商業高校、岩谷堂高校、釜石商業高校は統廃合されました。高校再編により統廃合となったあるいは今後統廃合となる予定の学校の同窓生にとって、学校がなくなることは、学校での思い出までなくなるような寂しいものであります。
公立高等学校の変遷史を作成してあるとか、校歌や校章を残して一堂に集めておくとか、同窓生の人たちの気持ちに配慮するような取り組みを行わないのかお伺いします。
統廃合県立学校の跡地利用についてお伺いします。
統廃合県立学校の跡地については、行政として、未活用となる資産について県財政の面からも積極的に処分していく必要があると考えますが、統廃合となった県立学校の跡地利用はこれまでどうなっているのか。さらに、現在跡地利用がなされていないところはどれだけあり、今後の取り組み方針はどうなっているのかお伺いします。
高齢者の自動車免許証返納についてお伺いします。
報道等を見ますと、高齢者の高速道路の逆走、ブレーキとアクセルの踏み間違え等、高齢運転者による事故が後を絶たないように思われます。県内におけるここ数年の65歳以上高齢運転者による交通事故発生状況とその特徴をお伺いします。
また、警察本部として、自動車の運転に不安を有する等の高齢者に向けた運転免許証自主返納制度の周知を、これまでどのように行ってきたのかお伺いします。
一関市では、返納することにより、バスやタクシーのチケットを交付するなど、各市町村において免許証返納後の支援策を講じているようですが、その結果、ここ数年の免許証返納結果はどうなっているのか、具体的な数字や地域による特徴があればお伺いし、今後、免許証返納についてどのように進めていこうとされているのかお伺いします。
公共交通のあり方についてお伺いします。
自動車の運転に多少の不安を感じている高齢者であっても、病院への通院や日常の買い物をしたくても近所に小売店がないなど、さまざまな理由で免許証を返納したくても自動車以外の移動手段がなく、返納できない方も多くいると思います。そういう方々のニーズに応える方策としては、やはり充実した公共交通体系が整備されることだと思います。
公共交通を取り巻く課題として、路線バス事業者においては、人口減少の影響等による厳しい経営状況、大型二種免許取得者の減少、運転手の高齢化に伴う退職者の増加などによる運転手の不足などと伺っております。
県では、地域住民の生活の足である路線バスを維持するために、バス運行対策費補助、地域バス交通支援事業費補助などの事業を実施しておりますが、バス運行対策費補助の被災地特例は、昨年度までは本県全域のバス路線の補助要件が緩和されておりましたが、今年度以降は、応急仮設住宅を結ぶ路線に限って特例を継続し、それ以外の路線につきましては激変緩和措置をしばらく講じるという方針とのことであり、ゆくゆくは激変緩和措置もなくなると思います。公共交通体系の充実が期待されるどころか、現在の公共交通体系を維持することも将来は難しいのではないかと考えます。
そういう面からも、高齢者の利用に適したデマンド型乗り合いタクシーの導入など、各地域で、バスまたはタクシー事業者と地域の連携によって、地域と協働で公共交通のあり方を策定していく必要があると思われますが、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
放射性物質に汚染された廃棄物等の処理についてお伺いします。
6月21日付の神奈川新聞の報道で、横浜市の公立小中学校では、放射性セシウム濃度8、000ベクレル超の指定廃棄物合計約3万トンが学校に置かれたままになっているという報道もあります。放射性物質に汚染された廃棄物等の処理について現在どうなっているのか、また、今後の国、県の取り組みの方向性をお伺いします。
最後に、東京電力福島原発事故に係る損害賠償についてお伺いします。
6月20日、原子力規制委員会は、福井県の高浜原発1号機、2号機の20年間の延長を認可しました。原子炉等規制法では、発電用原子炉を運転できる期間は40年とするとあるにもかかわらず、例外規定によって、しかも設備が耐震性を確保しているかどうかは、認可後に最終確認する試験を行うという前提であります。余りにも安全性を軽視した判断であり、いまだに解決できないでいる5年以上経過した福島県の2011年3月11日の原発事故の反省、教訓はどこに行ったのでしょうか。
その福島原発事故に伴い解決できないでいる損害賠償についてですが、福島県では、山林の立ち木について、全域で東京電力により財物補償されております。しかしながら、岩手県においては福島県と異なり財物補償は認められず、営業損害のみ補償となっている実態があります。
また、山菜は出荷が制限されており、山菜を商売として販売している人たちの売り上げ減少のみが補償されてはいるものの、これまで岩手の豊かな山の恵みを楽しみしていたものについては、何らの補償がありません。これは、そもそも東京電力が一方的に示したルールで、補償算定が行われていること自体が理不尽だと考えます。
そういう面からも、県は、関係自治体と連携して、福島原発事故における全ての損害について東京電力に補償を求めるべきと考えますが、見解をお伺いします。
以上、答弁によっては再質問もあることを申し添えさせていただき、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉進議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、安全保障関連法についてでありますが、憲法や安全保障法制については、国民の広範な支持の上に発展を期すべきものと考えます。また、選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられ、主権者教育の一層の推進が必要とされている今、日本国憲法の理念や内容について、子供たちが適切に学ぶことができるようにしていくことが重要でもあります。
安全保障関連法については、多くの憲法学者から憲法違反であるとの指摘がなされているほか、議員御指摘のとおり、岩手県議会においても、昨年9月の臨時会において安全保障関連法の廃止を求める意見書が可決されており、こうした民意に耳を傾ける政治姿勢が求められていると考えます。
次に、復興の進捗状況についてでありますが、復興計画で掲げた三つの原則のうち安全の確保については、復興道路が新規事業化された全ての区間で着手し、約4割が供用済み、土地区画整理事業等市町村の面整備事業では、宅地供給予定の全ての区画で着工され、平成28年度末で5割を超える宅地の供給見込みとなっています。
暮らしの再建については、災害公営住宅の約6割が完成し、平成28年度末で約9割の完成見込みとなっており、市町村立小中学校においても、平成28年度末で約9割の完成見込みとなっています。
なりわいの再生については、一部再開を含め約8割の被災事業所で事業が再開されたほか、商店街や商業機能の再生が本格化しています。
また、県の第2期復興実施計画に掲げる延べ344指標については、平成27年度の計画に対する進捗率が、95%以上の指標が約7割となっており、復興実施計画に掲げる取り組みはおおむね計画どおりに進んでいるものと認識しております。
これまで、東日本大震災津波からの復興が希望郷いわての実現につながっていくとの思いを持って、県政史上かつてない規模の事業に取り組んできたところであり、今後も、復興計画に掲げるいのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、幸福度についてでありますが、岩手県政の推進に当たって、所得などの経済的要素に加え、岩手に根差した風土や文化、暮らし、また、東日本大震災津波からの復興に大きな力となっている地域や人のつながりにも着目した政策の展開が必要と考え、幸福に関する指標の導入に向けた研究を進めています。
指標の設定に当たりましては、OECDや内閣府などの先行研究等を踏まえますと、アンケート調査により把握する主観的指標や、統計データを用いた客観的指標などが考えられるところでありますが、まずは有識者で構成する岩手の幸福に関する指標研究会において、幸福に関連が強い要素や把握手法などについて御議論いただいているところであります。
また、その活用については、例えば、指標の分析結果を政策評価等に用いて施策の見直しにつなげることや、県民の皆さんと一緒に、どのような地域を目指すかを考える上での一つの材料とすることを考えております。
今後、次期総合計画での導入に向けて、広く県民の皆さんの御意見も伺いながら、岩手の幸福に関する指標の検討を進めていきたいと思います。
次に、人口減少対策についてでありますが、県内全ての市町村が、平成27年度中に人口ビジョンと地方版総合戦略を策定し、多くの市町村においては、豊かな自然環境など地域資源を生かした移住、定住の取り組み、若者の活躍の場の確保などの本格的な取り組みが進められています。
具体的には、例えば、雫石町では、高齢者に快適な生活環境を提供し移住を促進する取り組みとして、100年の森とコミュニティライフの共生によるCCRC事業を行っておりますし、また、葛巻町では、豊かな自然環境のもとで人材を育む取り組みとして山村留学事業を行っています。また、久慈市では、若者の活躍の場を創出する取り組みとして、あまちゃんの活躍により、地域が元気になる未来づくり推進事業を、大船渡市では、官民連携により若い世代に新たな仕事をつくる取り組みとして、ふるさとテレワークを核としたIT利活用推進事業を行っています。
ふるさと振興の推進においては、地域社会を構成するあらゆる主体が一体となって人口減少に立ち向かっていくことが重要であり、この考えのもと、各広域振興局が策定したいわて県民計画第3期アクションプラン地域編において、新たにふるさと振興に向けた取り組みの項目を掲げました。
県、市町村の取り組みが相乗的、効果的に発揮されるよう、広域振興局等に設置したふるさと振興監を中心に市町村と十分に意見交換を行い、県と市町村が一体となって、地域の特性を生かしたふるさと振興に取り組んでまいります。
次に、若者が安心して暮らせる社会の実現についてでありますが、若者を取り巻く状況を見ますと、やりがいを持って働ける仕事が見つけにくいことや、非正規雇用の拡大などの雇用環境の変化、仕事と育児の両立が困難であることなどがあると認識しておりまして、若者が住みたい、働きたい、帰りたいと思える岩手をつくっていくことが重要と認識しております。
こうした中、岩手県ふるさと振興総合戦略は、若者を初め、全ての人にとっての生きにくさを生きやすさに転換するための取り組みであり、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つを柱に、ものづくり産業や観光業、農林水産業の振興、若者の就業、創業の支援、ライフステージに応じた子育て支援などの取り組みを総合的に展開してまいります。
具体的には、例えば、商工業・観光産業振興、仕事創出プロジェクトとして、雇用機会の拡大や職業訓練等の就業支援、仕事と生活の調和に向けた働き方の見直し、正規雇用の拡大や処遇の改善等の促進、就労、出合い、結婚、妊娠・出産まるごと支援プロジェクトとして、長時間労働の抑制等の働き方改革や“いきいき岩手”結婚サポートセンターの運営を通じた結婚支援、子育て支援プロジェクトとして保育所の整備や保育サービスの拡充、子育て家庭の経済的負担の軽減など、子育てにやさしい環境づくりなどに取り組んでまいります。
県としては、若者が希望する仕事の創出や結婚、妊娠、出産、子育てまでのライフステージに応じた切れ目のない支援など、県の総力を挙げたふるさと振興を展開し、若者を初め、全ての人々が生き生きと暮らすことのできる岩手の実現を目指したふるさと振興を県民総参加で推進してまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) インターネット環境の整備についてでありますが、県内では、光ファイバーの整備や携帯電話回線の高速化により、超高速ブロードバンドを利用できる地域が拡大しており、平成26年度末時点の総務省の推計によれば、本県の超高速ブロードバンド利用可能世帯率は99.9%となっておりますが、一方で、中山間地域の条件不利地域では、採算面等から事業者による整備が進まない地域もあり、昨年11月時点で県が行った市町村への聞き取り調査によれば、15市町村の一部の地域において、超高速ブロードバンド基盤が未提供となっております。
県内では、これまで、事業者による整備が進まない地域においては、市町村が国の補助制度を活用して光ファイバーの整備や携帯電話基地局の整備等を進めてきたところです。
県といたしましては、国庫補助の導入に向け、国や通信事業者との調整を図るなど、市町村による情報通信基盤整備の取り組みを支援するとともに、国に対して、条件不利地域における通信事業者の設備投資を促進する支援制度の創設や拡充を要望しているところであります。
今後も引き続き、国に対して要望を行うとともに、通信事業者に対する整備促進について一層の働きかけに努めてまいります。
次に、公共交通のあり方についてでありますが、高齢化の進展に伴い、日常の移動手段のみならず、医療、福祉等の広域的な移動手段として、今後、公共交通の役割は一層重要性を増してくるものと認識しておりますが、利用者のさまざまなニーズに応え、利便性の高い公共交通網を維持、確保するためには、県、市町村が連携して適切な役割分担のもと、交通ネットワークを構築していく必要があると考えております。
具体的には、県においては、国庫補助制度の活用により、都市間を結ぶ広域幹線となるバス路線などを維持、確保し、これにつながる域内交通については地域で十分議論、検討の上、構築に努めていく必要があります。特に、市町村の域内交通については、地域の状況や変化に的確に対応するため、地域住民、関係者の積極的な参画と連携のもと、市町村が設置する地域公共交通会議において、域内交通のあり方やコミュニティバス、デマンド交通を含む適切な輸送手段、路線形態、サービス水準や利用促進策などを十分議論することが求められるとともに、その議論を地域交通のマスタープランである地域公共交通網形成計画などの策定につなげていくことが望ましいと考えております。
県といたしましては、公共交通活性化支援アドバイザーの派遣や実証試験運行等への補助制度の活用等により、地域公共交通会議での検討や計画策定の取り組みを支援してまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、若者定住に向けた奨学金制度についてでありますが、現時点で活用を検討している総務省の奨学金を活用した大学生等の地方定着促進の制度は、地方公共団体と地元産業界が協力して基金を設置し、学生の奨学金返還の全部または一部を支援することにより、将来の地域産業の担い手となる人材の地方定着を図ることを狙いとされておりまして、この制度が本県においてどのように有効に活用できるか、産業界の皆様方と意見交換を行いながら検討を進めているところでございます。
なお、この基金造成に当たりましては、地方公共団体の出捐金の一部について、国の特別交付税による支援が行われることとなっております。
産業界等からは、支援対象分野を初め、支援対象とすべき人材の職種、基金への出捐に係る金額や負担方法を含めた各種条件などについて、さまざまな御意見を伺っているところでございます。
県といたしましては、本県の将来を担う若者の定着に有効な制度となりますよう検討を進め、早期の事業化を図りたいと考えております。
次に、市町村における取り組みについてでございますが、県としては、ともに人口減少に立ち向かうふるさと振興につながるものと捉えておりますことから、協力、連携してまいりたいと考えております。
次に、著名人に着目した観光振興についてでありますが、観光客のニーズが多様化する中で、宮澤賢治や石川啄木などの先人のほかにも、新たな著名人を活用した誘客策も重要であると認識しております。
このことから、県では、平成22年度から首都圏や名古屋の大手書店におきまして、高橋克彦氏を初めとした本県ゆかりの作家の作品と本県観光とのタイアップによるPRキャンペーンを実施するなど、著名人を活用したプロモーションを展開してきているところでございます。
また、文芸分野を初め、学術、芸能、スポーツ、マスコミなど、各界で活躍されておられます多数の著名な方々に、希望郷いわて文化大使として、本県の文化を中心とした魅力等を発信していただくことによりまして、岩手ファンの拡大などにも取り組んでいるところでございます。
今後におきましては、平泉、橋野鉄鉱山の二つの世界遺産を初め、歴史的舞台の宝庫である本県ならではの観光を売り込んでいくため、著名な作家やその作品の活用など、さまざまな工夫をしながらプロモーションを強化していく考えでございます。
次に、義経北行伝説による観光ルートについてでございますが、平泉の世界遺産登録以降、義経北行伝説の観光ルートをテーマとしたホームページやガイドブックなどによる情報発信等を進めてまいりましたが、平泉の集客力を全県にくまなく波及させるねらいからも、特にも県北・沿岸地域のコンテンツの充実を図りながら取り組んできたところでございます。
今般、東北6県が連携し、東北全体への外国人観光客も含めた誘客の底上げを図るため、構築に向け取り組んでおります日本奥の院・東北探訪ルートにおいて、平泉を中心として、県南、沿岸、県北へと北上しながら、歴史、文化や食などを体験するコースが設定されたことも踏まえまして、このコースとの相乗効果を図るためにも、平泉周辺の県南地域の観光施設の情報発信の強化を行いながら、広域観光ルートでの誘客を促進し、地域振興につなげていく考えでございます。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) 奨学金養成医師の配置についてでありますが、県では、平成20年度から奨学金養成医師の定員枠の拡充に取り組んできたところであり、現在、いわゆる地域枠を含む三つの奨学金制度の貸付枠は55名で、平成20年度以降、これまでの貸付者の累計は393名となっています。
奨学金養成医師の配置については、医育機関である岩手医科大学と奨学金運営主体である岩手県国民健康保険団体連合会、医療局及び県の4者で締結した奨学金養成医師の配置調整に係る協定に基づき、良医を育て、質の高い地域医療の確保に寄与することを基本理念として、4者を構成員とする岩手県奨学金養成医師配置調整会議において調整しております。
具体的には、配置調整に関する基本方針を定め、養成医師を公的医療機関の基幹病院と中小規模の地域病院にそれぞれ一定期間配置することとして、キャリア形成支援の観点からまず基幹病院に先行して配置し、その後、地域病院に配置することとしているものです。
県内公的医療機関の医師の充足状況については、特に地域病院で当面は厳しい状況が続くものと認識しておりますが、奨学金養成医師の配置により、平成40年ごろには、県内の公的医療機関の必要医師数298人を満たす見込みであり、将来的には医師不足と地域偏在の解消に向かうと見込んでおります。
〔医療局長八重樫幸治君登壇〕
〇医療局長(八重樫幸治君) 県立病院における看護師確保についてでありますが、看護師採用試験の申込者数は現在精査中でありますが、被災沿岸地域枠10名を含めた167人の採用予定に対して昨日時点で9割程度の応募があり、今後、消印有効の申込者が見込まれることから、ほぼ採用予定人員の受験者数を確保できる見通しであります。
県立病院の看護師確保については、近年厳しい状況が続いているほか、全国的な看護職員の需要増大傾向に変わりはないことから、当面、看護職員の安定的な確保が困難な状況が続くものと見込まれます。このため、今後においても、ホームページのさらなる充実や、看護部門紹介動画を用いながら看護学生や看護師養成校へ積極的な情報発信を行い受験者の確保に引き続き努めていくほか、新人看護師等の細やかなフォローアップを行うための教育担当の看護師を専従配置するなど、離職防止にも努めながら看護師の人材確保に取り組んでまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、農林水産業における若者、女性の育成についてでありますが、本県農林水産業を持続的に発展させていくためには、農林水産業に意欲を持って取り組み、地域をリードできる若者や女性を育成していくことが重要でございます。このため、県では、農林水産業に就業する若者の生産技術の習得や安定的な所得の確保を図るため、ベテラン生産者等による継続的な技術指導や技術習得に向けた研修の実施、機械、施設の整備に向けた補助事業や制度資金の導入支援、新規就業者への給付金の給付などに取り組んできたところでございます。
また、女性が活躍するためには、働きやすく、アイデアや能力を発揮できる環境づくりが重要でありますことから、就労条件の改善に向けて雇用管理セミナーの開催や家族経営協定の締結を進めるとともに、ネットワークの構築に向けて、女子交流セミナーの開催や牛飼い女子の取り組みへの支援、いわての浜料理選手権の開催などに取り組んできたところでございます。
今後におきましては、若手女性農業者の夢の実現のためのプランづくりや、漁協青年部、女性部等による漁村ビジネスの創出を支援するとともに、来年4月に開講を予定しておりますいわて林業アカデミーによる林業人材の養成を図るなど、若者や女性が豊かな感性や新たな発想を生かし、一層活躍できるよう取り組みを進めてまいります。
次に、分野を超えた連携についてでありますが、若者や女性が農林水産業の経営において中心的な役割を担うためには、他産業等との交流・連携を進めることによりアイデアやノウハウを共有し、経営の拡大や多角化につなげていくことが重要であります。このため、県では、農林水産業に携わる女性の相互交流を図るむら・もり・うみ輝く女性フォーラムの開催や、いわて農商工連携ファンドを活用した新商品開発や販路拡大など、若者、女性が主体となった多様なネットワークの構築、拡大を進めているところであります。
今後におきましても、農業大学校といわて林業アカデミーとの相互交流や、農林水産業と商工、観光業に携わる若者や女性などの交流会の開催など、農林水産業の各分野や産業の枠を超えた交流・連携がさらに拡大するよう積極的に取り組んでまいります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 放射性物質に汚染された廃棄物等の処理についてでありますが、本県では焼却灰などの指定廃棄物が475.6トン保管されておりますが、関係者以外立ち入りできない場所に適正に保管されており、安全性が懸念される状態ではないものと認識しております。
これまで、農林業系副産物や道路側溝汚泥の処理を促進するために、県独自のガイドライン策定や財政支援など、課題解決に向けて市町村を支援してきたところであります。農林業系副産物につきましては、生活ごみと混焼し、焼却灰の放射性物質濃度が高くならないようコントロールしながら安全に処理が進められているところであります。また、道路側溝汚泥につきましては、空間線量率はほぼ問題のないレベルに低減しているところであり、一部地域では、住民理解を得ながら徐々に一時仮置き場が確保されつつあるところであります。
今後とも、地域住民の皆様の御理解を得られるよう、住民説明会への県職員の派遣など技術的支援を継続するとともに、早期処理に向けて、地域の実情に応じた支援や道路側溝汚泥に係る処理基準の早期提示を国に対し引き続き要望してまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 東京電力福島原発事故に係る損害賠償における県の姿勢についてでありますが、東京電力原子力発電所事故の責任は東京電力が一義的に負うべきものであり、県、市町村等自治体が実施してきた放射線影響対策に要した費用や、個人や会社組織、産直施設など民間事業者がこうむった損害について、事故の原因者である東京電力が被害発生の実態に即し、全ての損害に対して賠償するべきものと考えております。
東京電力は、原子力損害賠償紛争審査会が作成した中間指針を限定的に解釈し、賠償対象を一方的に制限するなど、賠償対象の見直しや拡大に消極的な姿勢をとっており、賠償に対する対応は不十分なものとなっております。このため、県では、市町村等と連携し、東京電力に対し誠意を持って十分な賠償を行うよう強く求めてきたほか、国に対しても、東京電力に対し強く指導するよう要望を行ってまいりました。また、民間事業者等に対しては、東京電力を出席させた相談会や弁護士会による無料法律相談会を開催するなど、民間事業者の損害賠償請求の実施に必要な支援を行ってまいりました。
今後も、市町村や関係団体、関係部局と連携し、被害者に寄り添ったきめ細やかな対応を徹底するとともに、東京電力に対し賠償の完全実施を引き続き求めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 県における奨学金事業についてでありますが、県関係部局が所管する大学生等に対する奨学金としては、医師養成奨学金のほか、看護職員修学資金、獣医学生修学資金、介護福祉士等修学資金等の貸し付けを行っており、これらはいずれも貸与型ではありますが、一定期間の就労により返済を減免する支援制度が設けられております。このほか、東日本大震災津波により親御さんを亡くされた学生を対象として、いわての学び希望基金奨学金を給付いたしております。
また、高校生に対しては、高校の授業料を支援するための高等学校等就学支援金、非課税世帯等の授業料以外の教育費に充てるための奨学給付金やいわての学び希望基金奨学金等の給付型の制度と岩手育英奨学会が貸与する奨学金がございます。
貸与型、給付型それぞれございますけれども、総体的には、大学生等に対する奨学金は医療従事者などの養成の支援を狙いとする貸与型が中心となっており、一方、高校生に対するものは給付型が主となっております。
次に、給付型奨学金についてでありますが、旧日本育英会が実施していた奨学金事業は、特殊法人の整理合理化により高校生を対象とする事業が都道府県に移管された一方で、大学生等については国が担うものとされたところでございます。県としては、高等教育の機会均等を図る上で学生への経済的な支援は極めて重要であることから、さまざまな機会を通じて繰り返し国が行う奨学金制度の拡充を要望してきており、本年度におきましても、先般行った政府予算要望において、改めて給付型奨学金制度の創設を強く要望したところであります。
先般、閣議決定されたニッポン一億総活躍プランでは給付型奨学金の創設に向けて検討するとされておりますので、こうした動きを注視しつつ、今後においても、進学意欲のある高校生が家庭の経済的理由や卒業後の返済に対する不安などを抱えて進学を断念することがないよう、大学生等の奨学金制度の充実に向けて引き続き要望を行ってまいります。
次に、高校の授業料無償化についてでありますが、現在の高等学校等就学支援金制度は、平成22年度から始まった授業料無償化制度のあり方が国政の場で議論された中で、保護者の収入状況に応じた経済負担軽減のあり方が見直され、同時に、そこから生み出された財源を活用した低所得世帯向けの公立高等学校生徒等奨学給付金の創設とあわせて平成26年度に導入されたものです。
高校生の就学支援の充実につきましては県教育委員会といたしましても極めて重要な視点と考えておりますが、現在の就学支援金制度につきましては、法改正時の附帯決議において、制度の施行から3年を経過した後、効果を検証の上、必要な措置を講ずることとされておりますので、まずはその動向をしっかり見きわめながら今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、県立高等学校再編計画についてでありますが、昨年末に、望ましい学校規模の確保による教育の質の保証と、本県の地理的諸条件を踏まえた教育の機会の保障を大きな柱にした計画案を公表し、その後、県内各ブロックごとに開催した各種の意見交換会等を通じて延べ900人の御出席をいただき丁寧な意見交換を行うとともに、パブリックコメントにおける御意見や統合対象校が所在する自治体の首長の方々等と個別に協議を重ねつつ、御意見をできる限り反映させた修正を行った上で、本年3月29日の教育委員会議で新たな県立高等学校再編計画を策定したところでございます。
計画策定後も県内全市町村において計画の今後の進め方について意見交換を行ってきておりますが、それぞれの地域には、さまざまな思いはあるものの、今般の計画に対しては総体的に一定の御理解をいただいております。一義的には策定した計画に基づく着実な実施が重要と考えておりますが、あわせて、各市町村における地方創生に向けた取り組みの推移や、入学者の状況等を十分見きわめた上で計画を推進していくことといたしておりますので、今後におきましても、地域と高校との連携や具体的な学科のあり方、統合形態も含めた今後の高校のあり方等について、地域や学校関係者等と丁寧に意見交換を行い、再編計画の実施に取り組んでまいります。
次に、高校再編により統廃合となる高校の対応についてでありますが、高校の統廃合は、生徒たちを初め、それぞれの地域にとって大きな教育環境の変化をもたらすものであり、これまでの統廃合に当たっては、学校、地元自治体、PTA等で組織する統合等検討委員会において、それぞれの学校の歴史、伝統と、同窓生やPTAの方々の母校への思いなどに寄り添いながら、校歌、校章の取り扱いなどを慎重に協議し、決定してきた経緯がございます。
統廃合となった学校の記録については、閉校式典や感謝する会の様子なども含め記念誌を発行し、閉校となる学校の同窓生や地域の方々の歩みや思いを確実に記すとともに、閉校した学校の資料等については統合先などの学校に引き継ぎ、大切に保存しているところであります。今後におきましても、具体的な統合に当たっては丁寧な対応をしていくことが大事であると考えております。
なお、県全体の公立高等学校の変遷史につきましては、さまざまな教育課題に取り組む中で、多くの作業を要しますので、将来的な課題として研究させていただきたいと思います。
次に、統廃合学校の跡地利用についてでありますが、前回の再編計画である県立高等学校新整備計画の実施に伴い、平成12年度以降に廃校となった21校のうち、他の県立学校や小中学校等として利用されているのが9校、応急仮設住宅用地等として部分的に活用されているのが8校、合わせて17校の校舎、学校用地が何らかの形で利用されております。残る4校につきましては現在も未利用となっておりますが、これらにつきましても、地域における一時利用の要望にも応えながら、現在、利活用や処分に向け所在市町村等と協議を進めているところでございます。
廃校の校舎や土地につきましては、一部未利用となっているものも含め、できる限り早期に売却を含め効果的な利活用が図られるよう、引き続き市町村等と調整を図りながら必要な取り組みを進めてまいります。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 高齢運転者による交通事故の発生状況についてでありますが、平成23年から平成27年までの間では若干の増減を繰り返しながらも減少傾向を示しており、昨年は583件と、平成23年の687件に比べ約15%減少しております。しかし、全交通事故に占める高齢運転者による交通事故の割合につきましては増加傾向にあり、平成23年は約18%でありましたが、昨年は約23%に増加しております。
また、事故類型別では、昨年は出会い頭衝突が198件で最も多く、次いで追突事故が144件であり、この両者で全体の半数以上を占めている状況にあります。
次に、高齢者に向けた運転免許証自主返納制度の周知状況についてでありますが、高齢運転者が年々増加する中で、加齢に伴い運転に不安を感じる方などに運転免許証の自主返納制度を広く知っていただくことは、高齢運転者の交通事故防止を図る上で重要と考えております。県警察といたしましては、ホームページ、各種交通安全講習、運転適性相談等のあらゆる機会を利用いたしまして制度の周知を図っているところでございます。
次に、高齢者による運転免許証の自主返納結果と地域による特徴についてでありますが、高齢運転者の運転免許証の自主返納件数は年々増加の傾向にあり、平成23年の264件から、昨年は1、896件と約7倍まで増加しております。
また、地域による特徴についてでありますが、平成25年に奥州市で、また、平成27年には一関市でそれぞれ運転免許証自主返納者に対する公共交通機関利用時の優遇措置が導入されたところでありますが、その年におけます両市を管轄する警察署での返納受理件数の対前年比増加率を見ますと、それぞれ県内全体における増加率を大きく上回ったという事例がございます。
次に、今後の県警察におけます運転免許証の自主返納制度への取り組みについてでありますが、高齢運転者による交通事故抑止の観点から、引き続き高齢運転者などに対する周知を行うほか、自治体などに対しましても、免許返納者への支援策の拡充につきまして働きかけを行ってまいりたいと考えております。
〇16番(千葉進君) 御答弁ありがとうございました。
今、答弁いただいた部分でまだちょっとという部分があるのですが、そこはまた後の場面でということで、きょうは簡潔にお二人にだけという形にさせていただきます。
一つ目は、教育長にお願いしたい部分ですけれども、県教育委員会では今年度から35人学級を拡大したように、少人数学級の拡大に県として努力されているという部分があるかと思います。ぜひとも、今後、この希望郷いわてを推進していく若者たちを育てることができるような、そういう面での教育への思い、そして、地域とともに生徒たちを育てる決意という部分で現場教職員へのメッセージを発していただければと思います。
そしてまた、知事にですけれども、先ほども傍聴に若い人たちが来ていましたけれども、その若い人たちに対して、この後の岩手、幸福度が持てて希望郷いわてをつくっていくという面で、我々の世代から若者たちに引き継いでいくという部分で強い決意を若者たちに発するような形でのメッセージを出していただければと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手県は、東日本大震災津波により非常に大きな被害を受けました。そして、大勢が犠牲になり、一時は県としてどうなるのかというような危機的状況にあったと思いますけれども、それを県民の、特に被災地の現場を中心とした県民の皆さんの底力で乗り越え、そして、全国的なつながりの力で今、復興を力強く進めているところであり、この復興をなし遂げる岩手県の未来は非常に明るいものがあるということを若い皆さんには伝えたいと思います。それをよりきちっと制度的に保障していくために、ふるさと振興総合戦略によりまして若い人たちの就職、起業等の経済活動、また、結婚、出産、子育てといった社会活動、経済、社会両面において、県のあらゆる制度を総動員して、その未来を確かなものにしていく取り組みを始めたところであります。
さらにそれに加えて、次の総合計画に幸福という考え方を導入していくことによりまして、そもそも日本国憲法にも幸福追求権というのはあらゆる人権の最初のところに書いてあり、もともとはアメリカ独立のときの独立宣言にも書いてある。およそ自治体、共同体としてその存在理由にかかわるのが幸福追求でありますので、その部分についてかちっと理論化して、県民挙げて追求していくことができるような体制ができますと、今、岩手にいる若い人たちはもちろん、県外、それから国内であれ海外であれ、全ての若い人たちにとって自己実現をする、地球上で最高の場になっていくような、そういう岩手を実現することが可能になっていきます。
私はどんどん年をとっていきますけれども、これからは、今、若い人たちがそれをさらによいものにしていく段階にだんだん入っていくわけでありまして、ぜひそういう岩手の未来を切り開いていってほしいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 学校教育にかける思いと教員へのメッセージというような御質問でございました。
学校教育でございますけれども、これは、教育における中心的な存在といたしまして、岩手の宝、そしてまた日本の宝である本県の子供たちに、急速に変容するこれからの時代を社会の形成者としてしっかりと生き抜いていく確かな学力、豊かな心、健やかな体を育んでいく大きな役割があり、同時に県民の皆様からの大きな期待があるというように認識いたしております。
小学生は目を輝かせながら学校生活を送っているということでありますとか、中学生は部活動などを通じて社会性を一層育んでいく。それから、高校生は人生の進路選択などを身近に意識しながらそれぞれの人格形成に取り組んでおります。このような岩手の子供たちへの支援と、学校教育は社会形成の礎であるというような認識のもとに、教職員を初めとした学校関係者の皆様と力を合わせて、そしてまた、地域地域の皆様の御理解と御協力をいただきながら学校教育の充実に取り組んでいきたいというように考えております。
一方で、学校現場におきましては、教育に対する使命感や子供たちに対する愛情、責任感を持って、勤務時間内外を問わず、授業づくりでありますとか特別活動、生徒指導等に一生懸命取り組んでいる多くの教職員がおります。子供たちへの教育は教師によって日々取り組まれておりまして、教育行政を推進する教育委員会は、教師自身の教育的な力量や総合的な人間力を一層向上させる機会の充実をしていく必要があると考えておりますし、心身の健康のサポートなど、教職員の職場環境の向上などにも努めていかなければならないと考えております。
いずれ、教育行政の推進に当たりましては、教育の充実を図ることを念頭に置きまして、さきに改正された地方教育行政法の改正の趣旨等をも十分に頭に入れながら、知事と教育委員会との連携のもとに、教育の充実に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時31分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時53分再開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。臼澤勉君。
〔2番臼澤勉君登壇〕(拍手)

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