平成28年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇43番(伊藤勢至君) 改革岩手の伊藤勢至であります。
質問に先立ち、先般の熊本地震においてとうとい命を落とされた方々の御冥福をお祈りし、被災した皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、このたびの九州地方を中心とした記録的な大雨により犠牲になられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
質問に入ります。
初めに、ラグビーワールドカップについて伺います。
まず、釜石開催の意義等についてであります。
2巡目国体が10月に本番を迎え、今はその成功に向けて県を挙げて取り組んでいるところであり、まずは国体を成功させなければなりませんが、2019年のラグビーワールドカップ釜石開催もあと3年に迫っております。
県議会としても、超党派の復興スクラム議員連盟を組織し、誘致活動や開催決定後の体制づくりに取り組んでまいりました。この釜石開催を成功に導くため、現地の実情について把握することを目的として、5月3日から9日までの7日間、岩手県議会の視察団12名により、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会の開催地であり、ラグビー発祥の地の英国への視察が行われ、私も団長として参加いたしました。岩手県議会としては7年ぶりの海外視察であり、まずもって、我々視察団を送り出していただきました県議会、そして当局の御尽力に心から感謝を申し上げます。
さて、今回、視察団は、イングランド大会の開催都市のうち、釜石市と競技場の収容規模が同等のグロスター市を訪問し、競技施設の整備、運営状況、公式戦の状況、宿泊施設や交通輸送手段の確保、外国人観光客の受け入れの取り組みなどについて視察をしてまいりました。視察の正式な報告につきましては改めて行うこととしておりますが、釜石開催の成功に向けて多くのヒントを得て、全体として大変有意義な視察であったと感じております。
今回の大会は、東日本大震災津波により甚大な被害を受けた本県にとって、全国、そして世界中からいただいた多くの善意や支援に対して感謝を伝え、復興した姿を発信する絶好の機会であります。
大会開催に当たり、今後取り組むべき課題もまだまだあるわけですが、県は、みずからが主催者として釜石開催の意義についてどのようにお考えか、また、成功に向けての意気込みについて知事にお伺いします。
次に、釜石開催を契機としたオール岩手の振興について伺います。
今回の大会では釜石市において3試合程度が予定されていると聞いておりますが、そうしますと、少なくとも6チームの選手、スタッフ、さらには、少なくともスタジアムの収容人員1万6、000人の3倍の方々が応援団、観光客として釜石市を訪れることとなります。ニュージーランドなどの強豪国は、優勝を見越して、大応援団をクルーズで送り込むことも考えられます。こうした方々は、試合の数日前には日本に入り、県内各地を観光するものと考えられます。釜石市を初め岩手の知名度を高める機会であり、これを開催期間中だけの一過性のものとせず、大会後の交流人口の拡大、さらにはオール岩手の振興につなげていくべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、県庁職員のモチベーションの向上について伺います。
平成12年4月の地方分権一括法の施行以来、国と地方は対等、協力の関係に移行し、地方自治体は、みずからの判断と責任により地域の実情に合った行政運営を行っていくことが期待され、県と市町村の関係も対等な協力関係とされました。
都道府県は、市町村の区域を越える広域的な事務や課題、国と市町村、市町村間の連絡調整、パイプ役を果たすことが期待されており、市町村は住民の日常生活に密接にかかわる事務を処理することとされております。
私は、そうした役割分担や地方分権推進の考え方自体に異論はありませんが、やはり県と市町村は、財政規模においても、職員の資質等の面においても、必ずしも対等であるとは考えておりません。したがって、市町村と県は対等な位置にあるというようなリップサービスはやめるべきであります。
東日本大震災津波の発災後も、多くの県職員がそれぞれの持ち場で、あるいは沿岸市町村に派遣され、市町村職員をリードして、復旧、復興事業に当たっていただきました。県職員は、県内最高の頭脳集団として、岩手を担う気概と誇り、矜持を持ち、より高い視野で県行政を担ってほしいと考えるのであります。
東日本大震災津波からの本格復興の完遂、そして、目前に迫る国体などの大イベントに力を発揮してもらうためにも、給与面のみならず、さまざまな取り組みによって職員のモチベーションをさらに向上させていくことが重要と考えますが、県職員を率いる組織の長として知事の御所見をお伺いいたします。
次に、簗川ダムについて伺います。
まず、簗川ダムの利活用についてであります。
簗川の流域については、これまで特に台風時期の豪雨によって下流域でたびたび洪水の被害を受け、国道106号が通行どめになることもあり、また、昭和48年など夏季の渇水による河川の水量不足にも悩まされてきました。このため、北上川水系簗川及び周辺の河川の治水対策や水資源確保等を目的として、簗川ダムの整備が平成32年度の竣工を目指して進められております。簗川ダムの建設工事に伴って周辺の国道106号が水没するため、約270億円を要して、つけかえ道路として簗川道路が整備され、平成25年3月に完成いたしました。
さて、国道106号宮古盛岡横断道路は、東日本大震災津波の後、内陸部と沿岸地域を結ぶ復興道路として整備が進められておりますが、整備が完了すれば、宮古−盛岡間は約70分台に時間短縮され、県都盛岡市と宮古市を初め沿岸地域との交流が一層促進されることになります。
ここでダムの機能に改めて目を向けると、県内でも、国土交通省が所管している御所ダムや田瀬ダムの例を見るように、洪水調節等の本来機能にとどまらず、水を軸とした人々の交流、リフレッシュスペースとしての利活用などが行われております。
そこで、今後の簗川ダムの整備に当たっては、こうした事例も参考にしながら、新しい発想でダムの利活用を検討し、事業を進めていくべきではないでしょうか、御所見を伺います。
簗川ダムの利用に関して、具体的な御提案を一つ申し上げます。
簗川ダムについては、完成すれば盛岡市で七つ目の人造湖となるとのことでありますが、その規模は、平常時では、面積が0.44平方キロメートル、水深が55.2メートルの計画となっております。
そこで、例えば、国内最大の淡水魚イトウの養殖等に取り組んではいかがでしょうか。イトウは、現在は北海道にしか生息しておらず、幻の魚と言われております。─私は宮古に住んでおります─岩手県内でも養殖業者が約20年前から養殖に挑戦し、これを第三セクター八幡平市産業振興株式会社がイトウ弁当として企画販売し、好評を得ているとも聞いております。
同じ八幡平市には岩手県内水面水産技術センターがあり、内水面に生息する魚類の研究、関係者への技術普及や指導、ニジマスやイワナなどの種苗や成魚の生産に取り組んでおります。内水面水産技術センターのこうした知見や技術を活用し、八幡平市とも連携しながら、簗川ダムにおいて全国的にも珍しいイトウの養殖等に取り組み、岩手の目玉に育てていくべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、宮古市磯鶏地区の活性化について伺います。
まず、駅の移設や新駅の設置についてであります。
JR山田線の宮古−釜石間については復旧工事が再開され、完成後は三陸鉄道に移管されることとなっております。しかし、山田線の利用者数は、人口減少等の影響により昭和62年度から平成22年度までの間に約6割減少しており、移管後の利用者数確保は大きな課題となっております。このため、駅を中心としたまちづくりやバスなどの二次交通との接続等の施策に加え、沿線住民のマイレール意識の向上が重要と考えます。
〔議長退席、副議長着席〕
現在、磯鶏地区には県立大学宮古短期大学部及び国立宮古海上技術短期大学校の二つの短大、二つの高校、さらには中学校、小学校もあります。磯鶏地区は若者が多く集まる地区であり、今後、若者のまちになり得るという思いがございます。
そこで、現在の磯鶏駅を若干南下させ、県立大学宮古短期大学部付近に宮古短大駅もしくは短大駅として移設し、学生の利用を促すとともにマイレール意識を持ってもらうためにも、短大の学生たちを経営に参画させ、その柔軟なアイデアを取り入れるような取り組みが必要であると考えますが、御所見をお伺いします。
次に、若者のまちづくりについて伺います。
さて、磯鶏地区には魅力的な施設が多数あります。例えば、被災した宮古警察署は宮古市の松山地区への移転、新築の計画が進められており、平成28年度末には工事が完了すると伺っておりますが、残された警察署の建物はまだ新しく、十分に再利用が可能であります。柔道場や剣道場が附属し、待機宿舎も併設されているほか、警察施設内にも仮眠できる場所があるようであります。
また、周辺の神林マリーナは10月の岩手国体のセーリングの競技会場となりますが、隣接する神林木材港は現在ほとんど使われていない状況にあることから、木材貯木のための機能は残しつつも、漁業者との折り合いをつけて、神林マリーナを東北一のマリーナとして整備し、ヨット、ボート、シーカヤックなどを楽しむ方々が集うマリンスポーツのメッカとすることも考えられます。神林木材港をトローリング、大物釣りの基地とすることもあるでしょう。若者に人気のスポーツの一つ、スケートボードなどで使用するハーフパイプを設置してもいいでしょう。
この4月末に、私は、県立大学宮古短期大学部において、学生に、宮古・下閉伊地区の活性化について講義を行いました。後日、受講した学生たちの感想文を頂戴しましたが、講義を聞いて改めて岩手の魅力に気づかされたとか、将来、自分たちが岩手や宮古のために活躍したいなどの意欲がつづられており、彼らの前途に大きな期待をし、頼もしく感じたところであります。
若い世代が集うまちづくり、こうした取り組みは、地元市が中心的となるべきという考え方もあるでしょう。しかし、宮古市は、宮古駅裏に市役所を初め中心機能を移転するようであり、財源がなくなりました。この際、こうした施設、資源を活用し、沿岸広域振興局等が中心となり、被災地の復興を後押しするため、磯鶏地区を若者のまちというコンセプトでまちづくりに取り組んではいかがでしょうか。久慈、宮古、釜石、大船渡の各地域振興部門を政策で競わせ、持てる力を発揮させることは職員の意識高揚にもつながるものと考えます。御所見をお伺いいたします。
次に、宮古港の整備について伺います。
宮古港は県内四つの重要港湾の一つでありますが、宮古・下閉伊地区の発展には、その利用促進を図ることが必須の条件であると考えております。震災後、三陸沿岸道路などの復興道路、復興支援道路の整備により、宮古港と各地のアクセスが大幅に向上することになります。
このような中、本年3月に宮古港と室蘭港とを結ぶフェリー航路が、平成30年6月開設されることが正式発表されました。運航する川崎近海汽船株式会社によれば、1日1往復、トラック69台、乗用車20台、旅客定員600人を積載できる船舶による運航が計画されているとのことであります。6月9日には、宮古市において、宮古、室蘭両市を初め関係団体が出席し、宮古港フェリー利用促進協議会の設立総会が開催され、北海道、岩手の発展につなげるべく、利用促進に取り組むことが決定されました。
今後、フェリーの受け入れに当たっては、ターミナルビルやボーディングブリッジ、ストックヤードとしての駐車場の整備等の課題がありますが、ここは、四つの重要港湾を構える県が、宮古市と手を携えて主導的に取り組むべきであると考えますが、今後の受け入れ態勢の整備の取り組みについてお伺いいたします。
次に、子育て支援について伺います。
いわての森林づくり県民税は、平成18年度に制度が創設され、個人分については毎年1人1、000円が県民税に上乗せされ、これを財源として間伐等の森林整備が行われ、本県の豊かな森林づくりに貢献してきたところであります。この10年間の税収見込み額は約72億円と伺っております。また、いわての森林づくり県民税は、昨年12月の県議会定例会において、平成32年度までの5年間延長されたところであります。
さて、中国の古い書物に、一年の計は穀をううるにしくはなし、十年の計は木をううるにしくはなし、終身、百年の計は人をううるにしくはなしという言葉があります。1年の計画を立てるなら年内に収穫できる五穀を植えるとよい、10年の計画を立てるなら木を植えるとよい、一生涯、100年の計画を立てるならば人を育てなくてはいけないということであります。山に木を植え、次世代に森林を良好な状態で引き継いでいくことも確かに重要な施策であります。しかし、山の木が育っても、その木を見る人がいなくては元も子もありません。
昨年度実施された国勢調査の速報値によれば、本県の人口は、5年前の前回調査から5万333人、3.8%減少しており、特にも沿岸12市町村では2万2、761人、8.3%の減少と、減少数、減少率ともに戦後最大となりました。復興事業や被災者支援ため一時的に沿岸地域にお住いの方々も、復興需要が収束するにつれ減少していくことが想定されます。
このような中、県は、昨年10月に岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの施策を柱として、人口減少対策、ふるさと振興の取り組みを進めることとしております。今後、特にも沿岸地域の人口減少、少子化に対応していくためには、岩手で人を育てていく取り組み、子育て世代への支援が急務であります。
そこで、岩手に人を植える施策に、より力を入れていくべきではないでしょうか。本県の子育て支援に係る基本的な考え方について御所見を伺います。
次に、次世代エネルギーの開発について伺います。
私は、初当選以来これまで、地球の3分の2を占める海、目の前にある暖流と寒流が混じり合う海を、水産漁業とは別の観点から利活用に取り組むべきであると提案をしてまいりました。
例を挙げますと、高知県が先駆けとなった海洋深層水利用や、岩手大学の熊谷教授の研究成果で、これも宮崎県に先取りされたリチウムイオン電池のリチウムを海水から採取することや、同じく、岩手大学の森教授の研究成果となる、将来の自動車は鉄からマグネシウムに変わり、そしてそのマグネシウムは海水中に無尽蔵に含有されているということ、さらには、東京工業大学の矢部教授の、太陽光励起レーザーによりマグネシウムを循環させ、マグネシウムと塩水の反応により発電をすることなどであります。
日本の経済新聞に燃料電池という文言が出たのは20年前でありますが、それがリチウムイオン電池車に変わり、電気自動車に変わり、今や水素燃料車となりました。
平成9年ごろのことですが、沿岸地区において全国レベルの学会を開催する機会がなかったことから、当時の科学技術振興室に誘致を依頼し、宮古短期大学を会場にニュートリノ物理学シンポジウムを開催していただきました。市民約200人が参加したシンポジウムにおいて、私が、大変すばらしいお話を伺いました、しかし、この研究が私たちの生活にどのように役に立つのかわかりませんと感想を述べたところ、その率直さをお褒めいただいた上で、ニュートリノは素粒子の一つであり、太陽などから地球に絶え間なく降り注いでいるが、中には地球を突き抜けていくものがあり、その活用により、電信よりも速い通信機関につながる可能性があると伺いました。また、懇談の場では、ある先生から、宮古・下閉伊地区は岩盤が非常に硬く、データバック基地には最適ではないかというお話をいただきました。
それから20年近くが経過し、ニュートリノ研究については梶田先生がノーベル物理学賞、さらには県立大学の鈴木学長が昨年11月に基礎物理学ブレークスルー賞を受賞されたわけであります。このように、まだ実用化の道筋が見えない研究であっても、世の中の動きについて予測を立て、10年先を見越して先鞭をつけていくことが重要であると考えます。
核融合反応の研究も同様ではないでしょうか。太陽が光り輝きエネルギーを放射する核融合反応は、エネルギーの長期的な安定供給と環境問題の克服を両立させるエネルギー源として期待されており、海水中には核融合反応の燃料となる重水素と三重水素の製造に必要なリチウムが豊富に存在するため、資源の枯渇のおそれがないことや、発電の過程において地球温暖化の原因となる二酸化炭素を発生しないなどの特徴があり、究極のエネルギー源とも言えます。
また、本県では、昨年4月、国から釜石市沖再生可能エネルギー実証フィールドに選定され、現在、海洋エネルギーを利用した波力発電システムの研究開発が行われているところであり、新たなエネルギー源としても期待されているところであります。
これらのプロジェクトの将来展望として、核融合発電施設の建設場所提供などで三陸沿岸に新しい産業立地が可能となるものと思いますが、どうお考えかお伺いいたします。
次に、国道340号宮古−岩泉間の整備について伺います。
国道340号は、陸前高田市を起点とし、遠野市、宮古市を経由して八戸市に通ずる総延長約240キロメートル、県北・沿岸を縦断する道路でありますが、宮古−岩泉間は、宮古市と岩泉町の内陸部を結ぶ唯一の幹線道路であり、沿線住民にとって重要な役割を担う路線であります。
県では、国道340号を岩手県東日本大震災津波復興計画において復興支援道路と位置づけ、整備を進めてきたところであり、平成26年4月のJR岩泉線廃線に伴い、代替バス路線としてもその役割は高まっております。
しかしながら、押角峠は、幅員が狭く、急勾配、急カーブが連続し、大型車のすれ違いが困難となっております。特にも冬期間の通行が困難を極めております。押角峠については、JR岩泉線の押角トンネルを道路用に拡幅し、平成32年度の供用開始を目指して整備が進められておりますが、トンネル整備がなされても、これに接続する区間は、宮古側、岩泉側それぞれ数キロメートルにわたり、なお交通の難所のままであります。
また、視野を県全体に広げれば、国道340号は、宮古市から岩泉町を経て、田野畑村−普代村間に既にほぼ完成しているグリーンロードに接続してこそ意味があります。花巻空港におり立った観光客を、例えば岩泉町の龍泉洞、田野畑村の北山崎や机浜番屋群、普代村の黒崎灯台に呼び込むなど、下閉伊地区に誘導する有力なインバウンド道路になると考えます。
国道340号のこうした重要な役割に鑑みれば、押角峠工区の前後の区間についても道路改良の整備計画を立案し、幅員拡大等の整備に取り組むべきと考えます。
この点、先般6月24日に、宮古市長、岩泉町長、田野畑村長、普代村長が知事にお伺いし、県北・沿岸振興に向けた道路整備について要望を行ったところであります。東日本大震災津波からの復興、そして県北・沿岸振興にとって重要と考えますことから、県北・沿岸振興本部長である副知事に御所見をお伺いします。
次に、宮古市道北部環状線について伺います。
宮古市道北部環状線の整備についてはかねてより議会で取り上げてまいりましたが、平成23年より県代行事業として工事が着手され、平成28年度内の開通を目指していると伺っております。これまでの地権者の協力と当局の御努力に感謝いたします。
現在、宮古市市街地から県立宮古病院に通じる市道については、急カーブや急勾配が多く、通行の厳しい道路でありますが、北部環状線の開通によって、県立病院へのアクセスが大幅に向上するほか、市街地道路や国道45号等の渋滞緩和が図られるなど、市民も大いに期待しているところであります。ぜひ、ことしの冬が到来する前に供用開始をお願いしたいと考えますが、今後の開通の見通しについて伺います。
最後に、県立山田病院の再建について伺います。
県立山田病院は、宮古保健医療圏における地域病院として、これまで多くの住民に良質な医療を提供し、地域住民の健康を支えてきたところでありますが、東日本大震災津波で被災し、現在は、仮設診療所での診察を余儀なくされております。
沿岸地域の医療供給体制の復旧と復興計画における暮らしの再建を進めるため、県立山田病院の早期再建が強く望まれているところであります。
県が示した被災した県立病院の再建方針では平成28年度中の開院となっておりますが、新病院の開院時期と医師及び看護師の確保の状況についてお伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、ラグビーワールドカップの釜石開催の意義等についてでありますが、ラグビーワールドカップの釜石開催は、東日本大震災津波の被災地を代表して、世界中からいただいた支援への感謝の思いと、復興の姿を世界に向けて発信するという大きな役割を担っています。
また、大会を契機とした国内外観光客等の来県による交流人口の拡大や地域経済の活性化が期待されます。
今週末の7月2日には、機運醸成や大会の開催準備のため、県や釜石市、関係機関、団体等によりますラグビーワールドカップ2019釜石開催準備委員会が設立される予定であります。
今後、交通輸送手段や宿泊施設の確保等の課題解決を図り、大会の成功に向けて、官民の関係団体、そして県民が、オール岩手でスクラムを組み、万全の体制で2019年を迎えられるようしっかりと取り組んでまいります。
次に、職員の勤務意欲の向上についてでありますが、東日本大震災津波からの本格復興や岩手ならではのふるさと振興の推進、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功に向け、職員は、創意工夫を重ねながら日々業務を遂行しており、引き続き、さまざまな県政課題に的確に対応していくには、職員の勤務意欲の向上が重要な課題であると考えております。
このため、これまでも手当や休暇制度等の勤務条件の改善に努めるとともに、職員の能力や業績を適切に評価し、顕著な業績を挙げた職員、グループを表彰してきたところであります。
また、年頭及び年度初めの職員への訓示や各地区を訪問して職員と直接懇談する機会を捉えて、知事と職員の意識の共有を図りながら職員の士気高揚にも意を用いてきたところであり、この4月には、宮古地区合同庁舎の各センターを訪問し、復興業務の第一線で勤務する職員を激励したところであります。
さらに、先般、私みずから仕事と家庭の両立を応援するイクボスとなることを宣言し、暮らしと仕事の調和の実現に取り組むこととしたところであり、職員のキャリア形成、能力向上の支援や、職員が能力を十分に発揮できる職場環境づくり等に取り組み、職員の勤労意欲のさらなる向上に努めてまいります。
次に、子育て支援についてでありますが、少子化、子育て支援は、将来に関する問題であると同時に、今、目の前にある重要な課題であり、県では、県民が安心して子供を産み育てることができる環境の整備を図り、一人一人の子供を健やかに育むことができる社会の実現に寄与することを目的として、昨年4月に、いわての子どもを健やかに育む条例を施行しました。
この条例に定める基本計画であるいわて子どもプランでは、若者が家庭や子育てに希望を持てる環境の整備、子育て家庭の支援、子どもの健全育成の支援の三つを施策の基本方向として掲げ、その推進に当たっては、県民、企業、NPO、行政など、地域社会を構成するあらゆる主体の理解と参画を得て子育て支援に取り組むこととしております。
また、昨年10月に策定した岩手県ふるさと振興総合戦略にも、基本目標の一つとして、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指すことを掲げたところであり、その実現に向けて、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i−サポを盛岡市と宮古市に設置し、出会いの場の創出を図っていますほか、仕事と子育ての両立を支援するため、ワーク・ライフ・バランスの普及、啓発や多様な保育サービスの充実、放課後児童クラブの拡充などに取り組んでおります。
本県の子育て支援に当たっては、さきのイクボス宣言で表明しましたように、社会全体で結婚、妊娠、出産、子育てを支え、県民が安心して子供を産み育てることができる社会の実現を目指して取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 国道340号宮古−岩泉間の整備についてでありますが、国道340号は、沿線地域の安全・安心な生活を支えるとともに、三陸ジオパークなどの地域資源を活用した観光の推進や物流効率化による産業の振興を図る上で、三陸沿岸道路を補完し、内陸部と沿岸部を結ぶ横軸の復興道路と一体となって、県北・沿岸地域を支える重要な幹線道路であると認識しております。県では、復興支援道路に位置づけ、交通隘路の解消を図ってきているところでございます。
特に、宮古−岩泉間につきましては、JR岩泉線廃止に伴う代替路線でもありますことから、重点的に整備に取り組んでいるところでございます。
押角峠工区につきましては、今年度からトンネル工事に本格着手することとしており、一日も早い完成を目指して整備を推進していく考えであります。
また、押角峠工区の前後の区間につきましても、幅員が狭く、急カーブが連続しておりますことから、整備が必要な区間と認識しているところであります。
震災からの復興や県北・沿岸の振興にとりまして、国道340号の整備は重要な課題であり、また、押角峠前後の区間につきましては、整備に向けた地域の市町村、住民の皆様の思いも伺っておりますことから、今後、必要な調査等を着実に進めながら、どのような手法での整備が可能か検討してまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) ラグビーワールドカップ釜石開催を契機としたオール岩手の振興についてでありますが、ラグビーワールドカップの開催は、釜石市を初めとする三陸地域のみならず、岩手を国内外にアピールできる絶好の機会と捉えております。
これに加え、今後予定される山田線の全線開通、三陸沿岸道路の整備、まちづくりの進展など、交流人口の拡大や地域経済の活性化につなげることが重要と考えているところであります。
このようなことから、県では、昨年度、三陸総合振興準備室を設置し、復興の先を見据えた三陸地域の総合的な振興に向けた新たな推進体制を検討しているところであり、その一環として、本年4月には、公益財団法人さんりく基金内に観光地域づくりのかじ取り役となる三陸DMOセンターを開所し、専門人材の配置など体制を整備してきたところであります。
2019年に予定されております山田線の全線開通と三陸鉄道への移管、それに合わせ沿線各地で開催を予定しております、仮称でありますが三陸防災復興博、歴史的イベントであるラグビーワールドカップを通じ、国内外に向け連続的に三陸地域、そして岩手の魅力を発信し、相乗効果を発揮することにより総合的な三陸地域の振興を図ってまいります。
さらには、これらの取り組みによって、三陸地域が将来の岩手全体の発展を牽引できるよう、市町村や関係団体、事業者とも連携しながら積極的に取り組んでまいります。
次に、県立宮古短期大学校付近への駅の新設等についてでありますが、県立宮古短期大学校のある八木沢地区周辺は、多くの学校施設が立地することに加え、災害公営住宅が整備されるなど新たな人口集積地域となっており、八木沢自治会等から宮古市に対して、新駅設置の要望書が提出されているところであります。
経営移管後の山田線の利用促進や地域の活性化に向け、一定の需要が見込まれる地区への新駅の設置は有効な施策と認識しており、宮古市においても、公共交通ビジョンにおいて、八木沢地区への新駅設置の検討を掲げているところであります。
県としても、三陸鉄道と連携しながら、宮古市の将来需要予測や費用対効果などの具体的な検討に際しては、必要な協力を行ってまいります。
また、県立宮古短期大学校の学生の経営参画についてでありますが、三陸鉄道では、オリジナル商品、きっと芽がでるせんべいを、学生の意見を受け開発、販売するなど、これまでも学生と連携した取り組みを進めてきたところであります。
地域の強みである県立宮古短期大学校の学生との連携をさらに進め、経営などに意見をいただくことは、三陸鉄道の経営の活性化はもとより、地域と三陸鉄道を一層結びつけ、震災後に改めて認識された地域にとってなくてはならないマイレールとの意識を、さらに醸成していく取り組みと考えております。
若い世代が集うまちづくりを進める視点からも有意義であることから、今後とも、県立宮古短期大学校と三陸鉄道の連携を支援してまいります。
次に、若者のまちづくりについてでありますが、沿岸地域における復興の推進や人口減少対策として、若者の交流や地元定着の促進を図るためには、地域の特徴を生かした若者に魅力のあるまちづくりを推進することが重要と認識しております。
沿岸地域においては、大槌町でのサーフィンや田野畑村でのダイビングの受け入れ拠点や、宮古、釜石、大船渡での音楽イベント会場の整備など、若者に魅力のあるスポットの整備が進んでおりますが、中でも宮古市の磯鶏地区は、市民文化会館を初め、県立宮古短期大学校などの文教施設が多く立地しているほか、マリンスポーツの拠点であるリアスハーバー宮古を有するなど、若者の交流の活発化が期待される地域と考えております。
県においても、沿岸地域でいわて若者会議の地域サロン会議を開催するとともに、若者のアイデアによる主体的な取り組みへの助成を行うなど、若者の活躍や交流の促進につながる取り組みを積極的に支援しているところであります。
各地域のまちづくりについては、市町村やその地域の方々の意向と取り組みが基本でありますが、沿岸広域振興局においては、復興道路の整備により既存の道の駅が通過となる区界地区をモデルとして、宮古市や地元関係者とともに地域振興策を検討している例もあります。
このように、地域づくりに当たっては、所管する広域振興局においても知恵やアイデアを出していくことが重要と考えており、県といたしましては、市町村や地域、若者の意見を十分に聞きながら、地域の持つさまざまな資源や特性を生かした魅力ある地域づくりに積極的に取り組んでまいります。
次に、次世代エネルギーの開発についてでありますが、海洋が持つエネルギーを利用して新産業の創出や地域振興を目指すことは重要と考えており、平成26年12月からのNEDOプロジェクト、次世代海洋エネルギー発電技術研究開発には、地元釜石市の企業も参画し、東京大学等と連携しながら技術開発に取り組んでいるところであります。
また、昨年12月には、海洋エネルギー関連産業の創出に向けて、地元釜石市を初め、県内の産学官が連携して岩手県海洋エネルギー産業化研究会を設立し、発電装置に必要となる浮体構造物や係留設備の試作のほか、専門家を招いた研究会の開催など、海洋エネルギーの関連技術の調査研究を行っているところであります。
核融合エネルギーについては、燃料の原料となるリチウム等が海水中に豊富に存在することなどから、将来のエネルギーとして期待されており、現在、日本、EU、米国などによる国際熱核融合実験炉─ITER計画が進められており、2027年ごろには実験が行われる予定となっているところであります。
国内においては、青森県六ヶ所村において、この関連技術の研究開発が行われているほか、岐阜県にある核融合研究所や大阪大学等でも独自の研究が進められております。
このように核融合エネルギーの研究開発はさまざまな取り組みが進められておりますが、実用化にはまだ相当の期間を要すると聞いております。
県としては、こうした最先端の研究開発の動向も注視するとともに、今後も次世代エネルギー開発に携わる研究者等とのネットワークを強化し、三陸の海の持つ多様な資源やエネルギーの活用による新たな産業創出や地域振興に向けて取り組んでまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、簗川ダムの利活用についてでありますが、御所ダムや田瀬ダムにおきましては、関係機関との連携により、周辺整備や利活用の促進を図っていると承知しています。
県営ダムにおきましても、早池峰ダムや入畑ダムなどでは、展望広場や散策路などを整備し、水辺に親しむ憩いの空間として市民に利用されています。
簗川ダム周辺は周遊できるスペースは限られておりますが、新緑や紅葉が楽しめる自然豊かな地であり、ダムサイトは沿岸部と内陸部を結ぶ国道106号沿いという地の利を生かし、他のダムの取り組み事例を参考にしながら利活用方策等を検討してまいりたいと考えています。
次に、宮古港の整備についてでありますが、ターミナルビル、ボーディングブリッジ及び駐車場等については、県が事業主体として整備することとしており、昨年度は概略の設計を行ったところです。
また、ターミナルビルについては、今般、詳細設計業務を発注したところであり、ボーディングブリッジや駐車場等については、規模や機能についての検討を進めているところです。
今後とも、しっかりと宮古市及びフェリー運航会社等と連携しながら、平成30年6月の定期航路開設に向けて、受け入れ態勢の整備を着実に進めてまいります。
次に、宮古市道北部環状線の開通見通しについてでありますが、今年度の完成を目途として事業を進めてきており、現在、切り土、盛り土などの工事をほぼ終え、今後は、残る舗装工事やトンネル照明等の設備工事を行う予定としています。
県としては、地域の期待に応えられるよう、年内の開通を目指し工事に取り組んでまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) イトウの養殖についてでありますが、イトウは、我が国最大の淡水魚であり、北海道にのみ生息し、その希少性から幻の魚と呼ばれております。
青森県鯵ヶ沢町では、日本で初めてイトウの養殖に成功し、町内のホテルや飲食店に供給するほか、首都圏にも出荷しております。
また、本県では、議員から御紹介いただきましたとおり、八幡平市内の業者が養殖に取り組み、第三セクターに供給しているほか、近隣の温泉旅館にも供給し、刺身用素材として好評を博していると聞いております。
簗川ダムでのイトウ養殖等の取り組みにつきましては、漁業権免許取得の調整や簗川ダム周辺の水質、生態系への影響等の把握が必要でありますことから、漁業関係者の要望等を伺うとともに、関係自治体とも協議しながら、養殖導入の可能性等について検討してまいります。
〔医療局長八重樫幸治君登壇〕
〇医療局長(八重樫幸治君) 県立山田病院の再建についてでありますが、新病院の工事は、これまで山田町を初め、地域の御協力をいただきながら進めてきたところでありますが、本年7月下旬に工事が完了する見込みであり、9月1日の開院を予定しています。
次に、医師及び看護師の確保についてでありますが、医師については、現在の常勤医師4名及び関係大学からの医師派遣や基幹病院などからの診療応援により、必要な診療体制を確保できる見通しであります。
当直体制についても、常勤医師に加え、関係大学や他の県立病院からの応援医師により確保できる見通しであり、現在、最終的な調整を行っております。
また、看護師については、岩手県立病院等の経営計画に基づき、再建後の入院機能の再開等に伴い必要となる職員数を配置することとしており、山田病院についても、必要数を確保し、現在、宮古病院を初め、各県立病院において勤務させているところです。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時57分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時22分再開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木茂光君。
〔23番佐々木茂光君登壇〕(拍手)

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