平成28年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(柳村岩見君) 議席番号46番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。
今定例会において一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
質問は要旨通告のほか全文を通告し、わかりやすく質問することに心がけ、最初から再質問など用意いたしておりませんので、明快な御答弁をお願いいたします。
本県の防災対策についてお尋ねをいたします。
東日本大震災津波の被災から5年3カ月がたちました。いまだ2万人を超す方々が応急仮設住宅等で生活され、依然として厳しい復興状況にあります。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
一方、4月14日午後9時26分、震度7の地震後、頻発した本震、余震によって大震災となった平成28年熊本地震が発生いたしました。被災された皆様にお見舞いを申し上げ、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げたいと思います。
県では、この震災に対し、幾つかの分野で支援グループを派遣いたしました。グループの編成や派遣隊の皆様、大変御苦労さまでした。支援活動を終えて帰県された皆さんが活動で感じられたことを話し、シリーズでの報道もあったところであります。防災上、減災上、幾つかの教訓が語られた内容になっておりました。災害はいつやってくるかわかりません。それぞれの教訓は岩手県地域防災計画に即時に編入、随時に編入されるべきものと考えます。平成28年熊本地震においてどのような教訓を得られましたか、そして、得た教訓をどのように報告され、どう共有し、伝えようとされたかお尋ねをいたします。
熊本地震を受け報道機関による自治体アンケート結果が発表されております。それによると、熊本地震を受け33道府県が災害対策の基本方針を定めた地域防災計画を見直す方向とのことであります。
岩手県は、見直しについて未定とのことでしたが、国の防災基本計画見直しの状況や他都道府県の対応などを踏まえて検討するとしたほか、幾つかの理由を挙げておられます。災害はいつやってくるかわからないと言われる今、国の検証作業を待てない強い危機感は、東日本大震災津波による甚大な被害を受けた岩手県においては、この教訓を生かし、それを県民と共有するため、速やかに岩手県地域防災計画を見直すという対応はできなかったのでしょうか。一連の経過とともにお考えをお尋ねいたします。
東日本大震災津波では、津波被害に対するハザードマップが実際とは余りに乖離したことから、避難活動において住民の判断に迷いと勘違いを与えたという見方がありますが、災害の種類と予測は大変難しいものがあります。はかり知れない自然のエネルギーに対しても、人間の身を守る防災、減災への限りない知恵の発揮はいつの時代でも大事であります。地震や洪水、火災など災害は多岐にわたりますが、それぞれの災害に対するハザードマップは作成されているのでしょうか。また、その基本的な方向性はどうなっておられるのかお尋ねをいたします。
国土交通省は、東日本大震災から5年以上が経過したが、最大クラスの津波に備えた市町村における津波防災地域づくりを総合的に推進するための計画の策定が進んでいないとして、インフラ整備や住民の避難誘導態勢の検討に役立ててもらう自治体向けの手引きを作成し、公表いたしました。この手引きでは、都道府県との協議、住民説明会等の手順も示されており、県の支援や情報提供などが求められているところですが、今後における県の対応についてお尋ねをいたします。
次に、岩手の医療対策についてお尋ねをいたします。
在宅介護を推奨しようとすれば、訪問介護、訪問看護、訪問診療の充実が求められると考えますが、その取り組みは今どのような状況になっているのかお尋ねをいたします。地域においは、以前から訪問診療がありましたというところもあると思いますが、なかったというところがあり、地域差が存在するものと予測されますが、そのことも含めて御答弁をお願いいたします。
地域包括ケアシステムは、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供されることを構築するというものであります。
市町村は、平成30年4月までに、地域支援事業などの取り組み実施が必要になることから、県は、関係団体と連携を図りながら、市町村等への広域的、専門的な支援を行っていることと思います。地域包括ケアシステムの構築には必要な要素があり、岩手県を幾つかのブロックに分けた場合、ブロックによっては入院ベッドがなく、システムの構築ができないという地域も出てくるものと思われますが、この点についていかがお考えなのかお尋ねをいたします。また、このことを含めて、地域包括ケアシステム構築の取り組み状況、課題、平成30年4月に向けた工程の見直しについてお尋ねをしておきます。
今年度から、奨学金養成医師が初期研修を修了し、医療現場に配置になりました。医師不足、医師の偏在解消が期待されるところでありますが、どのような配置となったかお尋ねをいたします。
同時に、専門医制度の見直しが行われ、日本専門医機構が中心となって平成29年度から新しい専門医制度が開始される予定となっており、本年6月には、研修基幹施設が申請した基本診療領域ごとの研修プログラムを日本専門医機構が認定し、主に現在の初期研修2年目の医師を対象として研修プログラムを受講する専攻医が募集され、来年度から研修が行われ、順次新しい制度による専門医の養成がされていくものと伺っております。
初期研修を修了した医師が、新しい制度の中で、どういうプロセスで専門医の資格を得ていくのか、どういうプロセスが定番となっていくかによっては、初期研修を修了した医師の動きが変わってくるものと考えます。いずれ、奨学金養成医師の方々が毎年医療現場に配置され、活躍されることが切に願われますが、この点についても所見をお尋ねいたします。
そして、医療や介護の需要増大とともに疾病構造の変化が予想され、これらに対応した持続的かつ効率的な医療提供体制を整備していく必要から、平成26年6月に制定された地域医療介護総合確保推進法により、都道府県に地域医療構想を策定することが義務づけられております。
県では、平成28年3月に岩手県地域医療構想を策定いたしましたが、その内容と構想の実現に取り組む上での平成37年に向けたスケジュールについてお尋ねをいたします。
次に、県立病院の平成27年度決算が公表されましたので、お尋ねをいたします。
地方公営企業会計制度が大幅に改正され、平成26年度には退職金給付引当金の一括計上を行うなど、多額の特別損失を計上していますが、平成27年度決算と制度の改正による収支に対する影響はどうなっておられるのか、また、決算内容をどのように分析されておられるのかお尋ねをいたします。
また、岩手県は全国最多となる20の県立病院を運営しており、それぞれの保健医療圏域の中での機能、役割を分担しながら地域医療の確保を目指しておりますが、この役割の分類や地域別に見て、経営状況、決算状況にどのような影響を与えているのかお尋ねをいたします。
今般の地方公営企業会計制度の見直しは、民間の企業会計基準との整合性を図ることや、企業としての透明性を確保することを目的としていると承知しておりますが、ひいては、収支の均衡を図っていくべきものと考えます。病院を運営していく上で、収支の均衡に向けて今後どのような見通しを持っておられるのかお尋ねをいたします。
次に、岩手の農林業の振興についてお尋ねをいたします。広い分野でありますから、何点かの視点に絞って質問いたします。
よく、米余りが米価下落を招きますと、外国に輸出したらよいとの議論があります。全くそのとおりであります。それで議論が終わっては解決にはつながりません。米を輸出する場合、貿易上、それぞれの国との間でどのような決まりがあり、それをどうクリアするかということが大切なことであります。
そこで、改めて米の輸出、果物の輸出において、国内市場とは違ったクリアしなければならない条件等についてお尋ねをいたします。条件クリアの必要があれば、そのための整備が求められるところであります。それぞれの国によって対応が違うと考えますが、その取り組み状況についてお尋ねをいたします。
高品質で高い価格のブランド米を目指すことと輸出米の産地育成は、また違った影響があります。JA全農では、輸出用の米産地育成に乗り出す方針を固めたということであります。高価格帯中心の輸出米から、価格を抑えた米生産で新たな需要を掘り起こすことが課題となっております。輸出米の産地育成は新たなスタートラインに立ったと言えますが、全農産地育成協力県には岩手県は入っていないようですが、全農岩手県本部との連携の中で、各都道府県農業諸団体への呼びかけと県の関係はどうなっているのかお尋ねをいたします。
日本穀物検定協会が発表した平成27年産米の食味ランキングにおいて、銀河のしずくが岩手県オリジナル水稲品種として初めて特Aの最高評価を取得いたしました。県南ひとめぼれと県中あきたこまちと同時で、3品種の特A取得は本県として過去最多で、今秋本格デビューする銀河のしずくへの期待が一層高まりました。本県産米が浸透しなかったのは、戦略やPR不足が指摘され、長年苦戦が続き、教訓も多いと言われております。今回の銀河のしずく、岩手118号の販売戦略では、県庁内組織、部署の新設など力強い取り組みがありますが、その戦略、取り組みについてお尋ねをいたします。
次に、岩手県森林資源循環利用推進ビジョンについてお尋ねをいたします。
ビジョンは、戦後造林された人工林が本格的な利用期を迎える中、今後数年は、東日本大震災津波の被害から再建された合板工場や県内各地で稼働する木質バイオマス発電施設、復興住宅等への県産材の供給など木材需要の増加が見込まれ、このような状況の変化に適切に対応するため、県、市町村、林業関係団体や森林所有者などの関係者が連携し、伐採から造林、保育といった森林の循環利用を進め、岩手県の森林資源を将来にわたり安定的に確保するための基本方向と、その実現に向けた基本方策を明らかにするものとして策定したとされております。平成28年3月に策定し、県民計画第3期アクションプランの個別計画としての性格を有し、岩手県ふるさと振興総合戦略の内容と整合性を図ったものとしております。
岩手県の森林、林業、木材産業をめぐる状況、目指すべき姿、基本方向、重点取り組み事項、結びと、ビジョンは展開されておりますが、これらの展開が現在ある各事業とのマッチングや新しい事業の創設の部分などが見えてまいりません。国や県事業を総動員して、必要であれば新しく事業を創設し取り組むべきものと考えますが、どのようにお考えなのかお尋ねをいたします。
森林にかかわることや、林業、木材産業の振興を地方創生の視点と捉えられることが多くなってまいりました。森林のある場所、林業現場をイメージすると当然のことでありますが、行政としてどういう視点で捉え、地方創生への切り口としての林業振興をどう考えておられるのかお尋ねをいたします。
盛岡北部研究学園都市の形成についてお尋ねをいたします。
16年前の平成12年11月、当時の企画振興部所管で盛岡北部研究学園都市形成ビジョンがつくられております。いつまでを構想したビジョンなのかという項に、このビジョンは21世紀初頭、2020年ごろを目標とすると記載がございます。目標年度まであと4年とは言わないまでも、このビジョンの存在はどうなっているのかお尋ねをいたします。
既に県民計画第2期アクションプランに組み込まれ、政策評価、事業評価を経て、現在は第3期アクションプランに包含されているものと理解すればよいのでしょうか、お尋ねをいたします。
各種の計画が新しく策定される、改定される、新しい計画に包含されていく過程において、期限が新しく設定される場合は理解しやすいですが、期間のある計画が新しい計画に包含されていく場合、その計画全体を評価しておく必要があります。そして、評価して残し、新しい計画に組み込まれたことを確認しておくことが普通ではないでしょうか。盛岡北部研究学園都市形成ビジョンを改めて評価していただきたいと思います。
次に、岩手県立大学の周辺環境整備についてお尋ねをいたします。
岩手県立大学は平成10年4月に開学されました。その17年前に同大学近くに盛岡大学が開学しており、この地域に二つの4年制大学とそれぞれの短期大学があることになります。
県立大学キャンパスは、当時の岩手県農業試験場の畜産試験場牧草地に建てられております。四方八方、民有地には接しておらず、一辺が滝沢市道に接しているほかは牧草地の中であります。
初代学長は、県立大学キャンパスの環境を評し、学生は勉学が本分、アルバイトをしながらでは卒業できない大学にしたいと話し、寮でしっかり勉強すればよいと言われましたが、寮の建設はかないませんでした。歴代学長の中には、授業が終わると大学に学生がいなくなると嘆き、キャンパスライフを学生にエンジョイしてほしいと残念がられた話は頭から離れません。
学生は勉学が本分であることは当然でありますが、学生時代も人生の大事な青春時代であり、多くの友人と語り合うキャンパスでの活動とともに、大学周辺のにぎわいの場の存在が必要ではないでしょうか。県立大学の周囲は県有地で、自然な民間活力によるにぎわいの場の創出は難しいところですが、歴代学長の中には、県有地ではありますが、場所のイメージを話された方もありました。本年4月から法改正により、一定要件で農地転用許可事務が国から都道府県に移管されることになったことなどを追い風として、ここは県が突破口を開くことが大事と考えますが、お考えをお尋ねいたします。
次に、滝沢市IPUイノベーションパークの利活用の促進についてお尋ねいたします。
県立大学前には、大学の地域連携棟のほか滝沢市IPUイノベーションセンターがあり、また、イノベーションパークの中には滝沢市の第2イノベーションセンターがあります。その入居状況を見ますと、イノベーションセンターには貸し研究室1室があいております。イノベーションパーク内の土地分譲区画には入居がなく、IT企業の起業や誘致の形態、規模が見えてきていると思います。貸し研究室の1室のみの空き状態では、次の事業展開のイメージや計画づくりがあってよいと存じますが、関係団体からの要望もあるところであり、運営協議会での調整等も含めてお尋ねをいたします。
現在、地域連携棟や第1、第2イノベーションセンターで働く皆様の昼食は、弁当やパンなど、それぞれの業者が昼食時に訪れ、150人程度の方々に対応されております。隣接地へのコンビニエンスストアの出店などが要望されております。人のいるところ、日用品や食事の必要性は当然なことでありますが、こうした課題への対応についてお考えをお尋ねいたします。
IT関連企業の立地を促進するための県の補助金の拡充が求められておりますが、その中でイノベーションパークへの立地を促すため、企業立地促進奨励事業費補助金の要件の緩和と補助率の引き上げが要望されております。IT関連企業の立地における投資形態や規模については既に先行事例が多くあると存じますが、補助金内容の見直しについてお尋ねをいたします。
以上、通告のとおり質問をいたします。
以上で私の一般質問を終わりますが、答弁次第では再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
まず災害で得られた教訓の活用についてでありますが、今回の熊本地震では、市町村の庁舎の損壊などによって災害対応等に支障が出たほか、体育館が、天井や照明設備の落下などで避難所として使えなくなったところもあると聞いています。このため、市町村に対して、公共施設の耐震化を加速するとともに、本庁舎が被災した場合の代替施設をあらかじめ決め、緊急時の行政機能を維持できるよう災害時業務継続計画を早期に策定するよう、引き続き働きかけてまいります。
また、今回、震度7の地震が2回発生し、多くの住家が倒壊した上に、余震が続いたことにより、長期にわたり駐車場の車中で生活する方が多くいることから、こうした方々への物資の配布、エコノミークラス症候群の発症予防などの対応が生じたところであり、こうしたいわゆる車中泊への対応についても、本県における災害想定に加える必要があると考えております。
国では、中央防災会議のワーキンググループが熊本地震の初動対応について改善策を取りまとめることとしており、県では、こうした国の動きも踏まえて、市町村や防災関係機関等と情報共有を図るとともに、県地域防災計画の見直しや防災訓練などを行い、防災力の向上に取り組んでまいります。
次に、地域包括ケアシステムについてでありますが、高齢化が進み、人口動態や医療、介護等の資源に地域差がある本県においては、将来的な医療、介護、生活支援のニーズを見通し、市町村による創意工夫を生かした地域包括ケアシステムの構築が重要であり、また喫緊の課題であります。
高齢者等が地域において安心して日常生活を続けていくためには、議員御指摘のような入院ベッドのない地域においても、本人や家族のニーズを踏まえ、かかりつけ医や介護関係者が連携し、切れ目のない医療と介護の提供体制の確保に取り組むことが必要であります。これに加えて、入院医療が必要になったときに備えて、あらかじめ近隣市町村の入院医療機関と連携し、適切な医療サービスを提供できる体制を構築していくことが求められています。
このため、県では、医師会などの医療関係団体と連携しながら、このような体制の構築に向けた仕組みづくりを進めるとともに、地域医療構想の実現に向けて二次医療圏ごとに設置する協議の場において、病床機能の分化と連携や在宅医療の体制整備等を進めることにより、市町村による地域包括ケアシステムの構築の取り組みを支援してまいります。
次に、岩手県立大学の周辺環境整備についてでありますが、開学以来、県立大学のキャンパス周辺においては、滝沢市IPUイノベーションセンターや第2イノベーションセンターの開所により、IT関連企業の集積も進んできました。
また、昨年11月には、県立大学からの要望を受けて、教育研究のために来訪する国内外の研究者や学生等のための宿泊施設でありますIPUゲストハウスを、国際交流の場として県が整備を行いました。
学生の日常生活の状況を踏まえますと、今後は、滝沢市が整備を進めている滝沢市交流拠点複合施設等との連携なども考えられるところであります。
県立大学周辺の環境整備については、まちづくりの主体である地元滝沢市の意向が重要であり、今後とも、県立大学の意向も踏まえながら関係機関と連携してまいりたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、岩手県地域防災計画の見直しについてでありますが、本年5月下旬に共同通信社から本県に対し、熊本地震に関する都道府県防災担当者への緊急アンケートがあり、設問の中の1項目に、地域防災計画の見直しを考えているかとの設問があり、本県では、国の防災基本計画の見直しの状況や他の都道府県の対応等を踏まえて検討する予定である旨、回答したところであります。
本県では、国の防災基本計画の見直し、災害対策基本法等の防災関係法令の改正等を踏まえ、毎年度、県の地域防災計画の見直しを行っているところであり、直近では、本年3月28日に岩手県防災会議を開催し、見直しを行ったところであります。
現在、国では、熊本地震の初動対応について、関係省庁の合同チームによる検証を行っているところであり、検証終了後、中央防災会議にワーキンググループを設置し、改善策を取りまとめ、その結果について、国の防災基本計画の見直しに反映させることとしております。
今回の熊本地震においては、住家を初め防災拠点となる庁舎の損壊や避難所となる体育館の被害、罹災証明書の発行のおくれなどの教訓、課題があったところであり、県は、こうした国の動きや市町村、防災関係機関の意見などを踏まえ、地域防災計画の見直しを進めてまいります。
次に、ハザードマップの活用についてでありますが、市町村における作成状況は、本年3月末現在で、洪水災害が、33市町村のうち作成済み市町村が23市町村、土砂災害が、33市町村のうち作成済み市町村が26市町村、津波災害が、沿岸12市町村全てで作成、また、火山災害では、対象5市町村のうち作成済みが4市町村となっております。
ハザードマップは、住民の方々に自分の住んでいる地域はどのような災害のリスクを有しているかをお知らせし、災害時に迅速かつ適切な避難行動に結びつくことを期待して作成されるものであります。
このため、県では、ハザードマップの未策定市町村に対し、引き続き作成を働きかけ、作成後は印刷物の配布やホームページへの掲載等により住民に周知されるよう促すとともに、被害想定を超える規模の災害が発生した場合にも、住民の皆様が迅速に対応できるよう、防災意識の高揚に取り組んでまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) 津波防災地域づくり推進計画策定に向けた県の支援等についてでありますが、県では、市町村に対して、当面、東日本大震災津波の浸水実績等をもとに避難計画を作成するよう促してきたところであり、避難計画等については、全ての沿岸市町村で作成済みとなっています。
今後は、県において、過去の津波痕跡の調査や国による最大クラスの地震規模の検討状況を勘案しながら、市町村での推進計画策定の前提となる津波浸水想定を設定し、公表していきたいと考えています。
これを踏まえ、推進計画を策定する市町村に対して、津波防災に関する専門的な見地からの助言や情報提供を行うとともに、関係機関との調整を図るなど、円滑な計画策定を支援してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、在宅介護等の推進についてでありますが、在宅療養者の医療介護サービスの利用は県内でも着実に増加してきており、人口10万人当たりの利用実績を全国と比較すると、訪問介護と訪問看護はほぼ同等の水準、訪問診療は全国平均の約2分の1の水準となっています。
また、これらを圏域別に見ると、それぞれ実績に地域差が見られますが、特に、訪問診療については大きな差があるところです。
県では、在宅医療連携拠点の設置の支援等により、市町村における医療と介護の連携体制の構築を促進するとともに、各種研修の実施により在宅医療を担う人材の育成に取り組んでおります。特に地域差の大きい訪問診療については、県内で先進的取り組みを行っている医師や市町村の担当者に研修講師を依頼するなど、その普及を図り、地域差の解消に努めているところです。
次に、地域包括ケアシステムの構築についてでありますが、介護保険制度により市町村が新たに実施することとされている事業について、本年6月時点では、新しい介護予防・日常生活支援総合事業は5市町村、在宅医療・介護連携推進事業は21市町村、生活支援体制整備事業は19市町村、認知症総合支援事業は22市町村が取り組んでいるところです。
これら事業の実施に当たっては、多職種協働が求められる在宅医療と介護の連携体制の構築や、支援を要する高齢者への配食や見守りなど、新たに市町村の役割とされた生活支援サービスの円滑な提供に向けた取り組みが課題となっております。
これらの課題に対応するため、県では、本年2月に関係機関、団体で構成する地域包括ケア推進会議を設置し、多様な関係者の連携のもと、市町村の取り組みを支援する環境を整備するとともに、生活支援コーディネーターなど市町村の事業に携わる人材の養成を進めているところです。
今後とも、市町村が取り組むこととされている諸事業が、平成30年4月までに確実に実施されるよう支援してまいります。
次に、奨学金養成医師の配置についてでありますが、養成医師については、良医を育て、質の高い地域医療の確保に寄与することを基本理念として、その実現のため、地域の公的医療機関の診療もカバーできるスキルを持ち、継続して地域医療の核となる医師を養成することとしているものです。
その配置に当たっては、基本ルールを定め、最初の2年間を基幹病院に配置し、その後、中小病院を含む医療機関に配置することとしております。今年度初めて、県内各地に配置した16名の養成医師のうち6名を沿岸部に配置したところであり、円滑な養成医師の配置ができたものと考えております。
次に、新専門医制度への対応についてでありますが、来年度から予定されている新しい専門医制度は、これまでの診療領域ごとの学会による認定ではなく、第三者機関である日本専門医機構が専門医を認定するものであり、その認定に当たっては、研修基幹病院が複数の研修連携病院と連携して実施する専門研修プログラムを受講することとされています。
県では、本年5月に岩手県新専門医制度協議会を設置して、新制度による地域医療体制の確保への影響などを協議しているところであり、その中で、奨学金養成医師の円滑な配置やキャリア形成に与える影響についても検証していくこととしております。
この新専門医制度については、医療関係団体等から、症例数の多い都市部の大病院に医師が集中し地域偏在が進むことが懸念されるなどの課題が指摘されており、開始時期の延期も含めて流動的な状況にありますが、県といたしましては、協議会の意見を踏まえ、地域医療の確保に関して必要な改善事項を取りまとめ、新制度を所管する日本専門医機構等に提言していく考えです。
次に、地域医療構想の取り組みについてでありますが、昨年度策定した岩手県地域医療構想では、今後の高齢化の進展等に伴う医療需要の変化などに対応し、急性期の医療から在宅医療に至るまで切れ目のない良質な医療提供体制を構築するため、構想区域ごとの将来の必要病床数やその確保のための施策などを定めたところです。
構想の実現に向けては、今年度から、構想区域ごとに医療関係者や市町村等を構成員とする協議の場を設け、地域の医療機関の現状を共有しながら、病床機能の分化と連携や在宅医療等の体制整備などについて、協議を通じた合意を形成し、向こう10年程度をかけて、将来のあるべき医療提供体制の構築に取り組んでいくこととしております。
〔医療局長八重樫幸治君登壇〕
〇医療局長(八重樫幸治君) 県立病院の決算についてでありますが、平成27年度の県立病院等事業会計決算は純損益で13億7、400万円、このうち特別損失を除いた経常損益では7億1、500万円の赤字であり、経常損益ベースでは、平成21年度以来の赤字決算となったものであります。
なお、地方公営企業会計基準の見直しにより退職給付引当金を2億2、400万円計上しましたが、単年度収支に直接影響があるものではありません。
赤字となった要因としては、患者数の減少を手術料収入等の増加でカバーした結果、収益は増加したものの、給与改定や年金一元化に伴う共済負担金の増加による給与費及び高額薬剤使用による薬品費の増加が、これを上回ったことによるものと分析しております。
また、病院機能の類型や地域別に見た決算状況については、20病院中、黒字を計上した病院は、内陸の中央、胆沢、磐井、中部の4病院となっており、圏域の基幹病院としての機能を担い、患者の重症度が高い病院となっています。
今後の病院事業運営に当たっては、収入と支出の均衡を保つよう収支改善に努めていく考えであります。
今回の決算を受けとめ、新規、上位施設基準の取得や県立病院間の一層の連携による収益の確保と後発医薬品の使用拡大などによる費用の抑制を図ることとしており、こうした改善策の着実な実行により安定した経営基盤の確立に取り組んでまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、米の輸出対策についてでありますが、米などの輸出においてクリアしなければならない条件としましては、輸出先国が求める検疫条件等の輸入規制のほかに、高率な関税や煩雑な輸出手続などが挙げられます。
こうした条件は、日本及び相手国の事情によりますことから、基本的に国家間の交渉で解決していくべきものと考えるところでありまして、また、輸入規制につきましては、その早期解除を相手国に対し強力に働きかけるよう国に要望してきておりまして、その他の条件の撤廃や緩和に向けても、必要に応じて国に要望してまいります。
また、県では、輸出に向けた相談対応やホームページでの情報提供を行っているほか、輸出先国の条件として岩手県の産地証明書等が必要な場合は、迅速な発行に努めるとともに、各国の輸出手続に対応するため、ジェトロ盛岡と連携して定期的に研修会を開催するなどしており、今後も輸出の拡大に向け必要な対応を進めてまいります。
次に、輸出米の産地育成についてでありますが、全農の輸出用米産地育成の取り組みは、昨年度より開始された全農全国本部の独自事業であり、輸出価格の低減に向け、価格帯が安く収量の多い品種の栽培実証試験を全農全国本部から各県本部に要請し、宮城県や福島県などの県本部が応じたものと伺っております。
全農岩手県本部におきましては、本県の輸出品種が、ひとめぼれやあきたこまちなどの価格帯が高いブランド米が中心でありますことなどから、今回は参加を見送ったものと聞いてございます。
県としましては、全農岩手県本部も構成員となっております、いわて農林水産物輸出促進協議会を中心に輸出を推進しておりますことから、今後も、関係機関、団体と情報を共有しながら対応を検討してまいります。
次に、銀河のしずく等の販売戦略についてでありますが、全国の米産地から新品種がデビューする中、銀河のしずく、岩手118号のブランドを早期に確立するためには、消費者や実需者の認知度を高め、信頼をかち取ることが重要でございます。
このため、平成28年2月に、生産、イメージ、コミュニケーションの三つの戦略から成るいわてオリジナル品種ブランド化戦略を作成いたしました。
このブランド化戦略の取り組み内容でございますが、生産戦略では、全国トップクラスの品質と食味を実現するため、作付農家や栽培圃場の選定、栽培マニュアルや出荷基準を厳守することとし、イメージ戦略では、消費者などの認知度を高めるため、品種のイメージに合った名称、ロゴマークの作成や、食味成分などおいしさの見える化に取り組むこととし、コミュニケーション戦略では、産地の思いを伝えるため、トップセールス、テレビや新聞での宣伝活動、岩手国体などでのPRに加え、首都圏の米穀専門店やお米にこだわる飲食店へ積極的にアプローチすることとしております。
今後、この戦略に基づき、知事を本部長とし、県内外の消費者や米卸売業者、有識者等で構成するいわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部を中心とし、県一丸となって、安定した需要の確保と高価格での取引の実現に向け強力に取り組みを進めてまいります。
次に、岩手県森林資源循環利用推進ビジョンについてでありますが、このビジョンでは、戦後造成された本県の人工林資源が、利用期を迎え、合板工場等の本格稼働が進み県産材需要の増大が見込まれる中で、将来にわたって県内の豊富な森林資源の循環利用を進め、多面的機能が発揮できる健全な森林の育成を目指しております。
このため、県では、森林から生産される木材を製材品や合板、製紙用チップ、木質バイオマス燃料などに余すことなく利用するカスケード利用を促進するとともに、国の森林整備事業等を活用し、適切な間伐や伐採跡地の再造林を推進しているところでございます。
さらに、高まる木材需要に対応した林業労働者の確保が必要でありますことから、地域林業を牽引する担い手を育成するため、いわて林業アカデミーを来年4月から開講する予定であります。
こうした取り組みを進め、再造林への支援を初め、必要な財政措置を国に求めながら、森林の有する多面的機能の発揮と林業の持続的かつ健全な発展に結びつくよう取り組んでまいります。
また、地方創生の視点からの林業振興についてでありますが、豊富な森林資源を有する本県にとって、森林資源を最大限活用する林業や木材産業は、人口減少を克服し、地方の活性化等を目指そうとする地方創生を実現する上で、欠くことのできない産業と認識しております。
県では、さきに策定した岩手県ふるさと振興総合戦略に農林水産業の振興を位置づけ、農山漁村における人口の社会減を食いとめるため、農林水産業活性化による所得、雇用機会の確保等を図っていくこととしております。
このため、林業分野では、経営資源の有効かつ効率的活用に向けた間伐等の森林施業の集約化と林道等の路網整備の推進や新規就業者の確保と育成などに取り組み、林業、木材産業の成長産業化を推進してまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 盛岡北部研究学園都市形成ビジョンの現状についてでありますが、このビジョンは、盛岡の市街地に近接し、豊かな自然環境とすぐれた景観に恵まれた特性を生かし、岩手県立大学等が持つ知的資源を活用しながら新しい都市づくりを進めるために平成12年度に策定したもので、国や関係市町村、民間や県の相互理解のもと、それぞれの取り組みを協力して進めるための方向性を示しているものであります。
昨年度策定いたしましたいわて県民計画第3期アクションプラン地域編・県央広域振興圏においては、重点施策の一つとして、学術研究機能等の集積を生かした連携・交流によるIT・ものづくり産業の振興を掲げております。
プランの政策編では、政策項目、高等教育機関の連携促進と地域貢献の推進において、産学官連携による新産業創出や、いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンターを初めとする県立大学の運営支援を掲げるなど、ビジョンの方向性に沿った取り組みが第3期アクションプランに反映されているところであります。
次に、ビジョンの評価についてでありますが、これまで、ビジョンに掲げる教育・研究・開発機能の集積においては、県立大学キャンパスへの地域連携研究センター、現在の県立大学地域連携棟の整備のほか、その隣接地への滝沢市IPUイノベーションセンター、第2イノベーションセンターの開所など産学官の連携、交流の機能が整備され、IPUゲストハウスなど国際的な教育、研究交流の基盤づくりが進んでいるところであります。
また、交通基盤の整備では、IGRいわて銀河鉄道の巣子駅新設や国道4号の4車線化の実現など、他地区との連携、交流の利便性がさらに高まっております。このようなことから、県立大学等を中心とする区域の研究学園都市形成という基本的な考え方のもとで、市、県、国などによるそれぞれの取り組みが着実に進んでいるものと評価しております。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、滝沢市IPUイノベーションパークの今後の事業展開についてでありますが、本パークは、滝沢市と県立大学及び県が平成21年3月に整備計画を策定し、関係機関とも連携しながら、IT関連企業の誘致や産学官連携による研究開発の支援、高度技術研修による人材育成などの取り組みを進めておりまして、IT関連企業の一大集積拠点となっております。今年度におきましても既に3社が新たに入居済みないしは入居予定となっておりますことなど、貸し研究棟への入居状況は、議員御指摘のとおり、非常に好調でございます。
貸し研究棟に入居している企業の中には、大勢の社員を抱えスペースが手狭になってきているところもあるなど、今後のパークの運営につきましては、企業の意向等を把握しつつ対応していく必要がありますことから、県立大学、そして県も参画しております滝沢市IPUイノベーションパーク運営協議会において、これまでの成果や課題等を踏まえ、一層の利活用が図られ、さらなる集積が促進されるよう、新たな計画を策定することといたしております。
また、入居企業の利便性など立地環境につきましては、まちづくりの主体である地元滝沢市の意向が重要でございまして、県立大学など関係機関と運営協議会の場などを活用し、連携してまいりたいと考えております。
次に、企業立地促進奨励事業費補助金の見直しについてでございますが、これまで本県に立地いたしましたIT関連企業の主な進出理由は、優秀な人材の確保やビジネスパートナーとの連携などでございまして、ソフトウェア情報学部を有する県立大学の存在と、近年のIT関連企業の集積が功を奏していると受けとめております。
企業立地促進奨励事業費補助金につきましては、1億円以上の固定資産投資及び5人以上の新規雇用を要件としておりまして、その固定資産投資額の10分の1以内の補助金を交付する仕組みとなっております。地域経済や雇用への効果、税源の涵養などを勘案し、一定規模程度の投資を要件として設定しているものでございます。
IT関連産業につきましては、いわゆるIoTや自動車関連技術の着実な進展などを背景といたしまして、今後一層の成長が見込まれる分野でありますことから、引き続き、業界や企業の動向、具体の企業ニーズなどを把握しながら、効果的な支援策について研究してまいりたいと考えております。
〇議長(田村誠君) 次に、伊藤勢至君。
〔43番伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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