平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇38番(小野寺好君) 公明党小野寺好であります。
通告しました事項について順に質問いたします。
最初に、知事の政治姿勢について伺います。
平成8年の衆議院議員選挙で、我が公明グループは岩手1区に立候補した32歳の新人達増氏を全力で支援し、6万7、420票獲得、初当選となりました。当時、二大政権勢力を形成し、政権交代の可能性を持つ緊張感で、よどんだ政治を改革しようという志を持つ青年に共感を覚えたものでした。その後、諸般の事情で疎遠になりましたが、平成18年8月に次期知事選に立候補すると表明。しかも、まだ当選もしていないのに2期8年でやめると言い、びっくりいたしました。そして、当選後は自公政権を激しく批判するなど、その変化した姿に驚きました。
達増知事への初めての質問の機会を得たのは平成20年3月4日。知事の任期に関する私の一般質問に対し、達増知事は、多選の弊害という言葉を出した後、本県の危機を希望に変える仕事にしっかり取り組んでいくためにも、知事の任期を2期8年が適当であると考え、県民の皆様とのお約束としたところでありますとの答弁でありました。これだけでは、いまだに何のことか理解できませんので、3選を機に、これまでの達増県政の政治信条は何だったのか、衆議院議員のときと知事になったときの相違はどうか、本来、2期8年でやろうとしたことは何だったのか、3選を決意した理由に東日本大震災津波からの復興を挙げていますが、勇退した福島県知事との違いは何でしょうか、改めて、知事に、任期等に関する所見と信条を伺います。
次に、さきの知事演述について数点伺います。
3選後の初年度の所信表明演述であり、県政をどのように形づくろうとしているのか、貿易や外交等目まぐるしく変化する世界の大きな潮流の中で、県民の生活をどのようになさろうとするのか、関心を持ってお聞きいたしました。
冒頭のキーワードは復興とふるさと振興であり、結びは岩手国体、中身はいわて県民計画で、優先すべきは一日も早い復興としています。
46年前の岩手国体の遺産として社会資本整備と教育や文化の振興があったように、ことしの国体を成功させることによって希望郷いわてが実現できると述べておりますが、その希望郷いわてとは何なのか、夢県土いわてとどう違うのか伺います。
現行いわて県民計画に続く次の10年とありますが、現行いわて県民計画の完成形、そして、次の10年の青写真とはいかなるものか伺います。
次に、地球温暖化防止対策に関する県の取り組みについてお伺いいたします。
この冬の盛岡での降雪量は平年の半分程度、最低気温は、例年のようなマイナス10度をさらに下回る厳しい冷え込みはなく、マイナス8度台が3回という比較的穏やかな気候でありました。雪による交通事故の発生は少なく、大変過ごしやすい状況でありました。こうした顕著過ぎるほどの地球温暖化の影響に驚いているわけでありますが、これは、海面上昇の影響を受ける島嶼国に限らず、頻発する大型台風や竜巻、洪水被害等々、世界全体に取り返しのつかない大きな影響を与えることになります。
まずお尋ねいたしますが、地球温暖化による本県における影響は、自然災害や農林水産業、自然生態系、さらには私ども人間の健康にどのように影響を及ぼしているか伺います。
次に、国連の気候変動枠組条約第21回締約国会議、いわゆるCOP21パリ協定に関連して、本県の地球温暖化防止への取り組みについて伺います。
1997年の京都議定書では、先進国だけに義務を課すことになり、アメリカが離脱し、化石燃料を大量に消費している中国が責任を負わない等、実効性がありませんでした。その後も対立が続き、温室効果ガスの6割は途上国が発生させており、彼らの責任は重いとか、そもそも地球温暖化を引き起こした責任は先進国にあり、途上国には今後の経済成長の権利があるなどと互いに譲ることなく、有効な対策がなされませんでした。結果として、新興国の旺盛なエネルギー需要等で温室効果ガスは20年間で約5割増加したと言われます。
しかし、対立から何とか合意案をという各国の思いにより、昨年12月にCOP21パリ協定が採択され、2020年から地球温暖化防止対策がスタートすることが決まりました。これにより日本も大きな責任を負うことになり、2030年までに、2013年比26%削減という数値目標が発表されています。
どこかの企業あるいは他県が取り組むだろうではなく、本県としてはさらに地球温暖化防止対策に力を入れるべきではないかと思いますが、県の意欲を伺います。なお、かつて本県では二酸化炭素排出量を1990年比8%削減を目標にしましたが、その実績はいかがでしょうか。
次に、温室効果ガス発生を抑制するための脱炭素社会として、新たな水素社会の実現に向けた燃料電池についての取り組みを伺います。
渡辺幸貫議員を会長とするエネルギーを考える議員連盟では、先月2日に東京都府中市の東芝水素エネルギー研究開発センターを訪問し、水素社会の実現に向けた取り組みを調査してまいりましたので、参考とすべき点を御紹介しながら質問いたします。
水素をエネルギーとして使うには、燃料電池として電気をつくり出す方法と、水素を燃焼させ、熱エネルギーでタービンを回して発電する方法とがありますが、注目すべきは前者であります。
水素を利用する燃料電池は自動車ではFCVと呼ばれ、周知のとおり、一昨年、トヨタ自動車がMIRAIという車名で販売を始めており、さらに他社も開発を進めております。また、家庭用燃料電池システムとしてのエネファームは、補助金を出す自治体がふえていることもあり、既に15万台も販売されていると言われます。最近の報道では、大阪ガス株式会社だけでことしはエネファームを1万5、000台販売するとしているなど、今後、急速に普及が進むと思われます。
今回視察しました東芝の研究開発センターでは、家庭用ではなく事業用自立型水素エネルギー供給システムで、太陽光等再生可能エネルギーで発生した電気で水を分解し水素をつくり、その水素が燃料電池で電気をつくるというものでした。コンテナのような可搬式ユニットで、山間地や離島、半島など送電線や鉄塔建設の困難な場所に有効とのことです。奥深い山間地や半島の多い本県としては必要性が感じられますが、燃料電池システム設置についてどのようにお考えでしょうか。
家庭用燃料電池、水素自動車の普及のため、経済産業省は水素ステーションの整備やガソリンスタンドでの水素取り扱いに前向きであると聞きます。ガソリンスタンドの数が減少している本県での水素取扱店についてはいかがお考えでしょうか。
また、4年後にオリンピック開催が予定されている東京都では、環境問題は切実な課題であります。東京はエネルギーの巨大消費地でもありますので、オリンピックを機に水素社会への移行に向けた投資を決めたようでありますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、送電網関係について伺います。
現在、事業としてメガソーラーを建設したいと計画しても、電力会社からは、受け入れることのできる容量がないので系統への接続はできないと断られています。山間部での大規模風力発電設備から送電系統に接続させるためには、高電圧に昇圧変電したり、新たな鉄塔建設などの建設費の問題とともに環境への影響を調査しなければならないという課題もあります。場合によっては、新たに送電事業を担う特別目的会社を設立して送電網の増強事業を行う必要があります。今、温暖化防止対策を必要としているのに、これから10年以上もかかるようでは話になりません。
世界の風力発電の発電能力は昨年末に原発の発電能力を超えたとの報道がありました。日本が大きくおくれをとっているのは送電網が原因であるとも記載されておりました。しかし、さきに紹介しましたとおり、電気を電気のままで送るのではなく、電気を水素に変換して移送し、電気の必要な場所において燃料電池で電気を供給するのであれば、水素による発電は送電網問題をクリアできるわけであります。本県の再生可能エネルギー活用方法として大変有効と思われますが、所見を伺います。
次に、省エネ建築物の取り組みについてであります。
前述の議員連盟では、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、略称ZEBビルについても横浜市にある大成建設技術センターで調査をしてまいりました。ビルで消費するエネルギーを、その建物自体でつくり賄うというものであります。
国のエネルギー基本計画でも、2020年までに新築公共建築物等の平均でのZEB実現を目指し、その10年後までに新築住宅の平均でネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの実現を目指し、さらに、省エネ基準への適合を義務化しようとしています。県のこのような省エネ建築物の取り組み方針を伺います。
次に、住宅政策について伺います。
行政が提供してきた公営住宅は、今では狭くて古い、しかもエレベーターがないとあって、公営住宅には補修や建てかえに多額の経費を要することとなります。一方、民間における優良住宅の提供に関しては、行政が指導監督責任を持つものの、現実は欠陥住宅問題が多く発生しています。
このようなことを背景とし、国は住生活基本法を制定し、県も住生活基本計画及び岩手県住宅マスタープランを策定し、取り組んできたと伺っております。その後に、新たないわて県民計画及び東日本大震災津波復興計画が策定、執行されることになりましたが、県の住宅政策の基本方針はどのように見直しがなされたか伺います。
全国の公営住宅総数は平成25年は216万戸で、10年前と比べて1.3%減少しました。本県では平成11年を境に人口減少が進んでいますが、県営住宅の戸数の増減状況はいかがでしょうか。また、現在の県営住宅の入居率、年度ごとの滞納や訴え等支払い状況、駐車場問題等の入居状況や、今後の建てかえ等建設計画、改修計画はいかがでしょうか、お伺いいたします。
東日本大震災津波から間もなく5年が経過しますが、いまだプレハブ仮設やみなし仮設住宅での生活を余儀なくされている皆さんが大勢おります。平成28年度中には県営等公営住宅がかなり完成する予定ですが、山田町等、さらに時間を要するところもあります。
県営災害公営住宅についてですが、せっかく完成したのに埋まらないところもあると聞きますが、入居状況はいかほどでしょうか。災害公営住宅の入居希望者に対し、入居基準を満たしていないとして拒否している場合、その内容、入居率が悪い場合のその後の建設計画に及ぼす影響の度合い、ペットや騒音等のトラブルがあるとすれば、その状況と対策はいかがでしょうか。
なお、東日本大震災津波にかかわる被災者生活再建支援金の加算支援金申請は、発災から37カ月以内に行うとされていたものが、4年間延長され平成30年4月10日までとなりましたが、資材の高騰や人手不足等めどの立ちにくい状況にあり、あと2年の期限に不安を抱いている方が多いと聞きますが、県として、再延長の申し入れ等、今後の見通しはいかがでしょうか。
次に、民間空き家対策について伺います。
少子高齢社会の一つの現象として空き家の急増があります。国においては、空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、また、盛岡市空き家等の適正管理に関する条例のように、防犯や衛生上問題となるため、各地の市町村で空き家の管理に関する条例が制定されていることは周知のとおりであります。
一方で、社会的に価値があるのであれば、中古住宅に手を加えて賃貸や売買による流通を促進する必要があります。このため政府は、平成28年から、今後10年間の住生活基本計画を定め、空き家の有効活用により、中古住宅の取引市場を平成25年の4兆円から平成37年には倍の8兆円を目指すとのことであります。
〔副議長退席、議長着席〕
今、国土交通省が検討していると言われる準公営住宅は、あいている民間アパートやマンション、戸建て住宅のうち、耐震性や遮音性、省エネ性などの基準を満たす物件を準公営住宅として、リフォーム費用の一部を補助したり、家賃の一部を行政から補助するというものです。これは、新たに公営住宅を建設することなく、しかも空き家対策になるという考えですが、県としては、この準公営住宅をどのように考えているか伺います。
次に、ドクターヘリについて伺います。
本県のドクターヘリは、東日本大震災津波の翌年5月8日から運航を開始し、昨年度は423回出動し、この間、救命率の向上や後遺症の軽減に大きく貢献していると聞きます。搬送先のおよそ半分は盛岡市内丸の岩手医科大学附属病院隣接の県高度救命救急センターでありますが、病院の矢巾町移転後には、これが全て矢巾町に搬送されるため、かわって盛岡市上田の県立中央病院の重要性が増すと理解しています。
昨年の一般質問で、盛岡市と旧岩手郡で8割以上の一次、二次救急の患者と、3、200人に及ぶ三次救急の患者が盛岡市内丸の高度救命救急センターに来ていたことを指摘し、今後は、県立中央病院の役割が格段に高まるので、立体駐車場を改造してヘリポートを整備してはいかがかとお伺いいたしました。答弁では、立体駐車場の上とは明言せず、単に県立中央病院にヘリポートを整備するとのみ言及されました。過日の報道によりますと、県立中央病院に隣接する県立杜陵高校の格技場を移設し、高さ15メートルほどの高架式ヘリポートを建設したいとのことでありました。
これによる効果をどのように想定しているのでしょうか。また、これまでの高度救命救急センターほどの搬送はないにしても、今後の県立中央病院への搬送頻度はどの程度になると予測しているのか伺います。加えて、学校関係者及び周辺住民の抱いている不安や疑問点、これに対する対処方法はいかがでしょうか、伺います。
次に、畜産振興について伺います。
平成26年の本県農業産出額の中で、米、野菜、果実は合わせて35.0%であるのに対し、鶏、牛、豚のほうが59.9%と上回っており、酪農、畜産業は重要な部門となっています。
公明党県本部には和牛を扱っている3人の農家議員がいますが、皆さんから、県内の肉用牛生産は最近大変な状況になっていて、県の支援策を強化してほしいとの声が上がっていることもあり、その現状と展望をお伺いいたします。
肥育農家では、飼料価格の高どまりに加え、近年の子牛価格高騰で経営が厳しい状況になっていると聞きます。全農岩手県本部の資料で、昨年12月の県内和牛子牛市場2カ所の成績速報によりますと、最高が105万円、最低40万円、平均価格は74万6、574円で、売買価格は前年比25%アップ、数年前に比べ5割増しぐらいと言われています。全国的に子牛頭数が不足していて、他県からも買いつけに来るため価格がつり上がっており、関係者から、何とか対策を講じてほしいとの要望が寄せられております。
繁殖専門の農家にとってはこの上もない喜びかというと、そうではなく、小規模経営で高齢化が著しい上、後継者不足で、これを機に廃業していくケースが多いと聞きます。繁殖農家が当面は利益が出て、いいように見えますが、今、繁殖農家をふやさないと、肥育農家にとっても互いに苦しくなるのは目に見えているようです。後継者養成、新規参入の獲得が急務となっていますが、本県の近年の繁殖農家及び肥育農家戸数の推移と、年間出荷頭数や規模拡大、高齢化等の実態はいかがでしょうか、伺います。
酪農や畜産農家の収益向上のため、農林水産省は平成26年度から畜産クラスター事業をスタートし、平成27年度は、先ごろの補正予算でさらに610億円を計上いたしました。また、新年度県予算にも、畜産クラスター協議会に対しては施設整備等に前年度よりも格段の支援を行う方針のようですが、利益を出せるような繁殖、肥育農家になれるよう、それぞれが持続可能な経営に向けた県としての支援策を伺います。
なお、農林水産省のホームページには、地理的表示保護制度―GIに10種類掲載がありますが、全国的に名の知れた前沢牛を擁する本県和牛は、十分その名に値すると思われますが、いわて牛を売り込むための今後の方針を伺います。
次に、教育行政について伺います。
まず、少子化による学校の統廃合ですが、義務教育も高校教育も、児童生徒が切磋琢磨していくには、当然、適正規模が求められます。各地の統合した小中学校の現状、特に通学状況、学力はどのように変化しているか伺います。また、県立学校に関し、県教育委員会は例外的に1学年1学級も認めていますが、授業や部活動には不都合が生じていると思われますが、いかがでしょうか。昨年の一般質問で、小規模校対策としての遠隔授業について伺いましたが、その後の検討状況や他県の参考になる事例などはいかがでしょうか、伺います。
教育の目的は、人格の完成、心身ともに健康な国民の育成と法律にはありますが、卒業前の途中の成果として、どの程度学力がついたかが問われます。教育成果を数値で示すのは困難ですが、一つの指標として、全国学力・学習状況調査の結果や大学進学率が目安になります。県教育委員会では、本県生徒の学力を、こうした指標からどう評価しているか、実際の入学試験結果はどうなのか伺います。また、いわゆる進学競争の全国レベルにおける本県の相対的な位置はいかがでしょうか。
学校教育と受験教育は別物であるとしながらも、県教育委員会はいわて進学支援ネットワーク事業を行っていますが、その取り組み状況と成果を伺います。
幅広く学び、人間同士のコミュニケーションを培うべき時期に、現代の子供たちは情報社会にさらされています。かつてはテレビと雑誌程度でしたが、今は、便利なはずのパソコン、スマートフォンがむしろ障害になっているのではないかと思われます。現状をどのように認識し、対策を講じているか伺います。
生徒にとっての最大の教育環境は教師でありますが、残念ながら、一部に教員のモラル欠如や指導力不足等問題があります。こうした教える側の体制をどう整えていくか、現下の課題と今後の対策を伺います。
生きる力を養うのも教育の一つの目的でありますが、先ほど触れたように、情報化社会では生活にかかわる法律の習得も必要になっています。しかし、家庭では困難ではないかということで、学校関係者を対象とした専門家による法律教育の支援セミナーを開催しているところもありますが、県内の状況はいかがでしょうか。
次に、薬物事犯について伺います。
高校野球で活躍した選手が、その後もプロ野球のスター選手として活躍したものの、いつからか覚醒剤に染まっていて、先ごろ検挙されたという事件が報道されています。危険ドラッグも含め、薬物事犯は本人を廃人のごとく陥れるだけでなく、凶悪な事件事故を引き起こし、社会に多大な損害と恐怖を与えるものであり、どのような理由があろうと、認められるものではありません。
最近は少年や女性、堅実な勤め人を標的としていると言われ、反社会的勢力の資金源にもなっております。都市部に限らず地方においても薬物事犯が発生していると言われますが、ここ数年の県内における薬物事犯の検挙状況、県警察の対策を伺います。
最後に、18歳選挙権の質問をいたします。
昨年の一般質問で、18歳選挙権が実現しそうだが、県選挙管理委員会の取り組み方針はいかがかと質問いたしました。公職選挙法が改正され、これが現実のものとなり、新たに約240万人の有権者がふえることになりましたので、改めて数点伺います。
まず、投票率向上策であります。これまでも若年者、特に20歳代の投票率は格段に低く、せっかくの参政権が行使されていませんが、県内における効果的だったと思われる投票率向上策はいかがだったでしょうか。
先ごろ出された公職選挙法改正案では、共通投票所を駅やスーパー、大学などの人の集まりやすい場所に設置し、投票しやすくしようとしています。また、高校を卒業して4月から生活の拠点を移した場合、従前の場所で投票できることに既に改善されました。若年者の主権者としての意識を高めるため、今後のさらなる投票率向上策を伺います。
学校教育で法律や社会の仕組み、投票の仕方を学んだとしても、具体的な政党、候補者を選ぶことは容易ではありません。見たり聞いたり対話して判断するわけですが、18歳になった瞬間からではなく、それ以前から、有権者となった場合の意思決定力を涵養する必要があります。そのような事前の準備がないままに選挙権を手にしたことが、今日の若年者低投票率の一因であろうかと思われます。こうした主権者意識の養成は、学校が担うのか、家庭の責任か、本人に任せっ放しがいいのか悩むところであります。県選挙管理委員会のお考えはいかがでしょうか。
先ごろ、埼玉県の春日部市立豊春中学校で、53歳の男性教諭が、コピーしたある政党の新聞記事を教室で生徒に配付した事案が発覚しています。このようなことが起こらないよう、学校教育においては公平中立を守らなければなりませんが、これをどう担保していったらよいか伺います。
また、有権者となった生徒が、学校の中と外では政治的活動として受ける制約が違うとされるようですが、県としてはどう対処するつもりなのか伺います。
なお、この際に公営ポスター掲示板についてお尋ねしておきたいのですが、張りつけ作業が困難な高い位置にあったり、さほどの距離がないのに公営ポスター掲示板がまた近くに用意されているという例が多数見受けられるなど、検討を促したいことが多数あります。市町村選挙管理委員会の掲示板設置基準や投票所の改善等に関しては、有権者の声が届くものかどうか伺います。
以上、登壇しての質問を終わります。(拍手)
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野寺好議員の質問にお答え申し上げます。
まず、私の政治姿勢についてでありますが、20年前の平成8年の総選挙において、私は、たゆまざる改革、責任ある政治をスローガンとする新進党の公認で初当選させていただき、その後、草の根の知恵と力を総結集をモットーとして、草の根の活動を通じて民意に働きかけ、その結果、民意に基づいて、地方分権、内需拡大型構造改革、国連を中心とした安全保障体制などの新しい政策を実現するということを信条としてまいりました。
今世紀に入り、地方の経済、社会が危機的様相を深める中で、地方を守ることこそ日本にとって必要な最大の改革と考え、岩手県知事選挙に立候補し、県民の負託をいただきました。そこに政治信条の変化はございません。
こうした考えに基づいて、1期目においては、危機を希望に変えるための希望郷いわての実現を中心に、2期目においては、東日本大震災津波への対応を第一にして、知事職を務めてまいりました。
復興をさらに進めるため3選に臨み、県民の負託をいただきましたが、これも民意を踏まえつつ、岩手を守り、岩手から日本に必要な改革を進めていくということであると認識しております。
また、知事の任期につきましては、1期4年ごとに民意の負託を受けられるかどうか、選挙ごとに判断をいただくものと考えます。
次に、希望郷いわてについてでありますが、私が知事に就任した当時、人口の社会減は6、000人を超え近年のピークであったことを初め、県民所得の低迷や厳しい雇用情勢、深刻さを増す地域医療など岩手は危機に直面しており、こうした危機を克服し、県民が希望を持つことができる社会を実現することが岩手の未来につながると考え、県民一人一人が希望を持ち、岩手全体に希望があふれる姿を希望郷いわてという言葉に込めたものであります。
また、この希望郷いわてを描いた長期ビジョンを、県勢発展のかなめである県民が主役となる計画という意味で、いわて県民計画としたところであります。
そして、本年、約半世紀ぶりとなる岩手国体開催の年を迎え、完全国体の幕あけとなる冬季大会を成功裏に終えたところでありますが、この希望郷いわて国体・希望郷いわて大会におきまして、躍動する若者たちの姿が、県民に大きな希望を与え、これが復興をなし遂げる力やふるさと振興を軌道に乗せる力となり、両大会を経験することで生まれる自信や地域への誇りなど県民意識の高まりが、岩手の未来をつくる財産になるものと考えているところであります。
オール岩手で希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功させ、地元の底力とさまざまなつながりの力を一層高めて、希望郷いわての実現をより確かなものとしてまいりたいと思います。
次に、次の10年の青写真についてでありますが、いわて県民計画では、希望郷いわての目指す姿として、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことができる希望あふれる社会としています。
こうした姿の実現に向けて、これまで、人口、県民所得、雇用環境、地域医療の四つの危機の克服を初めとした本県が直面する重要課題について取り組みを進めてきた結果、着実に成果が出ているところであり、引き続き、雇用の質の向上や医師の確保、定着など、第3期アクションプランに掲げた政策推進目標や指標の達成を目指して取り組んでまいります。
また、次の10年につきましては、これは、次期長期計画の策定に取り組む時点におきまして、次代を担う若者を初め、県内各界各層からの御意見や社会経済情勢を踏まえて展望されるものと考えております。
次に、水素社会への移行についてでありますが、国では、平成26年4月に閣議決定したエネルギー基本計画において、水素をエネルギーとして利用する水素社会の実現に向けた取り組みを加速化することとしています。
このため、風力発電や小水力発電などにより製造した水素の輸送や利用など、地域の再生可能エネルギーを活用した水素技術の実証事業などが行われており、また、東京都では、東京オリンピック・パラリンピックにおいて、会場への輸送や選手村等での水素エネルギーの活用などに向けた環境整備を進めています。
水素社会の実現のためには、技術面、コスト面などでいまだ多くの課題が存在すると聞いていますが、エネルギーとしての水素の活用は、温室効果ガス削減対策などの効果が期待できると考えられ、今後の動向について、引き続き情報収集や、また、関係者との意見交換などを進めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) 被災者生活再建支援金についてでありますが、被災地における住宅の自立再建につきましては、議員御指摘のように、資材の高騰や人手不足等の理由により、震災前よりも完成に時間を要している状況が見られるところであります。
住宅の自立再建等の支援制度である生活再建支援金の加算支援金の申請期間は、現在、平成30年4月10日までとなっておりますが、申請期間のさらなる延長につきましては、国の通知により1年を超えない範囲で繰り返し設定できるとされておりますことから、事務を行っております公益財団法人都道府県会館とも協議の上、住宅再建の前提となるまちづくりの進捗状況等を踏まえ、被災者の方々の自立再建に支障の出ることのないように対応してまいります。
〔環境生活部長根子忠美君登壇〕
〇環境生活部長(根子忠美君) まず、地球温暖化による本県への影響についてでありますが、気象庁が公表した地球温暖化予測情報では、本県が位置する北日本太平洋側の21世紀末の気候は、20世紀末と比較すると、年平均気温は3度以上上昇し、真夏日の増加や真冬日の減少、極端な大雨の頻度の増加などの変化が生ずる可能性が指摘されております。
また、今定例会で計画の変更について提案している岩手県地球温暖化対策実行計画においても気候変動への適用の必要性について盛り込んでいますが、洪水等の発生リスクの増加、高温による農作物の生育不良や品質低下、秋サケ等の冷水性魚種の生息域等への影響、ニホンジカなど野生鳥獣の生息域の拡大、高山植物の分布適域の面積縮小や植生変化、さらに、熱中症の増加など健康への影響などについて、本県への影響が懸念されると認識しております。
県としては、気候変動により生じる事象に的確に対応するため、これまで行ってきた各分野の施策に加え、本県において予測される影響を踏まえた新たな施策も視野に、適用策の総合化、体系化を図る適用計画の策定に向けた検討を進めてまいります。
次に、地球温暖化防止対策の取り組みについてでありますが、平成22年度を目標年とする岩手県地球温暖化対策地域推進計画において、二酸化炭素排出量を平成2年、1990年比で8%削減する目標を掲げ、取り組みを進めた結果、10.2%の削減を実現し、目標を達成しております。
現在は、岩手県地球温暖化対策実行計画において、温室効果ガスの排出量削減を目標に取り組みを進めていますが、今定例会で提案している計画の変更案では、平成32年度に平成2年に比べ25%削減、また、国の基準年度である平成17年度に比べ29%削減と、国を上回る目標を掲げ、取り組みを進めることとしております。
今後とも、家庭や地域での活動を促進するため、温暖化防止フェアによる情報発信や省エネ、節電を促すキャンペーンの実施、事業所における環境マネジメントを推進する人材の育成などの省エネルギーの取り組みの一層の推進や再生可能エネルギーの導入の促進など、温室効果ガス削減目標の達成に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、燃料電池等の普及についてでありますが、水素を活用した燃料電池システムは、気象条件や季節による再生可能エネルギー発電の変動を吸収し、大量にエネルギーを貯蔵することができるため、災害時を含めた自律型の地域エネルギー供給システムとして有効であると考えております。
また、水素ステーションなどの水素取扱店については4大都市圏を中心に整備が進められていますが、県内での事例は把握しておりません。今後、燃料電池自動車の普及とともに、本県においても水素ステーションの整備が必要になってくると考えております。
これらの導入については、本格的な普及に向け、安全性能の向上や低コスト機器の技術開発などが進められており、県としては、国や民間の動きを注視してまいりたいと考えております。
次に、送電網問題と水素発電についてでありますが、本県における再生可能エネルギーの導入においては、多くの地域で発生している送電網への接続制約が隘路となる懸念があり、国に対し、送電網増強支援など、接続容量の拡大の要望を行っております。
一方で、本県の再生可能エネルギーポテンシャルを生かしていくためには、水素転換を含め、さまざまな可能性の検討が必要であると考えております。
国においては、平成26年6月に水素燃料電池戦略ロードマップを策定し、家庭や地域、産業など、さまざまな分野で水素がエネルギーとして利用されるよう、技術面、コスト面での課題を解決するための技術開発や実証試験などが行われております。
このような状況を踏まえ、県としては、昨年12月に水素エネルギーフォーラムを開催し、国の施策の現状や研究開発の取り組みなどを紹介したところでございます。
来年度は、本県における活用可能性を検討するため、学識経験者や県内の民間事業者などとの意見交換を行いながら、再生可能エネルギーから生成する水素の活用事例について知見を深めてまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) まず、省エネ建築物の取り組み方針についてでありますが、県としても省エネルギー住宅等の普及は重要と考えており、住みたい岩手の家づくり促進事業により、一定の省エネ性能等を満たす木造住宅の新築に対して、最大40万円の補助を行うとともに、被災家屋等太陽光発電補助により、東日本大震災津波で被災した住宅や建築物に太陽光発電システムを設置する場合に、発電力に応じて補助を行うなど、その普及を図っているところです。
さらに、県では、省エネ住宅や省エネ建築物の新築に当たって、税制優遇措置などを受けられる長期優良住宅の認定と低炭素建築物新築等計画の認定を行っているところです。
国においては、昨年7月に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律を制定するなど、エネルギー基本計画に定めた目標の達成に向けて取り組んでいるところであり、県としても、同法に基づく省エネ向上計画の認定や一定規模の建築物に対する指導等を行うほか、補助事業等による支援を引き続き実施するなど、住宅や建築物の省エネ化に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、住宅政策の基本方針についてでありますが、戦後の住宅政策は公共住宅の供給が中心でありましたが、住宅の量的な充足が進むのに伴い、住宅の質の向上が求められるようになってきたことから、県では、平成8年3月に、民間における優良な住宅供給、住宅ストックの居住性能の向上、住環境の整備などを基本方針とする住宅マスタープランを策定いたしました。
その後、国民の豊かな住生活を実現するための住生活基本法が制定されたことを受けて、県では、平成19年3月に、同法に基づく計画として住宅マスタープランを改定し、さらに、平成25年1月には、いわて県民計画や東日本大震災津波復興計画も踏まえ、環境との共生、既存住宅の有効活用、東日本大震災津波からの早期住宅復興等の政策推進の九つの視点を設定するなどの改定を行ったところです。
次に、県営住宅についてでありますが、災害公営住宅を除く一般の県営住宅については、建てかえや被災等により若干の増減はあったものの、この10年間の管理戸数はおおむね5、100戸で、大きな変化はございません。
入居状況については、昨年11月時点で、工事のために計画的に空き家としているものなどを除くと99.7%となっています。
家賃の支払い状況については、平成26年度は金額ベースで98.2%となっており、また、明け渡しを求める訴訟については、過去5年間で7件について所要の手続を行っております。
駐車場については、1戸に1台分の駐車場を確保することを目指して整備してきたところですが、2台目を駐車したいというニーズがあることから、現在、駐車場の利用状況を勘案し、可能な団地については2台目の駐車を認める運用を今年度から始めたところです。
建てかえや改修については、県営住宅の多くが昭和40年代から50年代前半の建設であり、老朽化が進んでいることから、平成21年度に公営住宅等長寿命化計画を策定し、長寿命化を図る改修や建てかえを計画的に進めているところです。
次に、災害公営住宅についてでありますが、県営の災害公営住宅の入居状況については、1月末で入居を開始している766戸に対して、延べの入居戸数は632戸、82.5%となっています。
入居の相談や申し込みをされる方の中には、入居基準を満たしていない方もおられ、例えば、住宅を失っていない方や既に住宅再建のための補助金等を受け取っている方などがおられます。
入居率が低い場合については、同一地域に工事前の災害公営住宅があれば、必要に応じて戸数を減らすなどの対応も行ってきましたが、多くの空き室は、入居をまだ迷っている方がいることなどが発生の原因と考えられることから、引き続き入居の促進に取り組んでまいります。
災害公営住宅におけるトラブルとしてはペットや騒音などがありますが、ペットについては、飼育が認められていない団地で飼育している入居者に対して、他の飼育可能な団地に転居していただくことにより問題の解決を図っているところです。騒音については、入居者からの苦情が寄せられていることもありますが、民間の集合住宅と比較しても十分な遮音性を有する仕様としていることから、入居者の住まい方の指導や注意喚起などを行っているところです。
次に、空き家対策についてでありますが、現在改定が進められている国の住生活基本計画の案では、住宅確保要配慮者の増加に対応するため、空き家の活用を促進するとともに、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築も含めた住宅セーフティネット機能を強化することが、基本的な施策の一つに位置づけられています。
国によりますと、御質問にありました準公営住宅は、そのための新たな仕組みとして有識者等から提案があったもので、具体的な制度検討はこれから行うとのことであり、県としては、国の動向を注視してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) ドクターヘリについてでありますが、盛岡地区でのヘリポートの整備の効果といたしましては、現在は、盛岡東警察署の屋上ヘリポートと冬期間は県営球場駐車場を離着陸場としており、県立中央病院への搬送に相当の時間を要しておりますことから、病院の隣接地にヘリポートを整備することにより、搬送時間の短縮による救命率の向上、後遺障がいの軽減等の効果が期待されるほか、大規模災害時における危機対応等、災害拠点病院としての機能強化が図られるものです。
整備後の搬送頻度については、現在、県立中央病院への搬送件数は全体の約1割で、10日に1回程度となっており、岩手医科大学の高度救命救急センターの矢巾町移転後においても、おおむね同様の頻度になるものと考えています。
整備に係る地元住民の方々を対象とした説明会は、昨年12月下旬に3回開催して、騒音の程度や搬送頻度等について説明し、おおむねの理解が得られたところです。
また、学校関係者の方々に対しましては、これまで2回の説明会を開催し、当初、出席者からは、教育環境への影響や安全面への不安、学校敷地内に整備することへの疑問の声がありましたが、学校に近接して設置されている他県のヘリポートの事例等の紹介や県が実施する防音対策、ヘリポートへの侵入防止柵の設置などの安全対策について説明し、一定の理解が得られたところです。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、繁殖、肥育農家の実態についてでありますが、肉用牛繁殖農家数は、平成27年までの5年間で約1、900戸減少し4、860戸に、飼養頭数は約9、000頭減少し4万3、500頭となっており、この結果、子牛市場への上場頭数も約4、000頭減少して約2万700頭となっております。
また、肥育農家はこの5年間で約400戸減少し380戸に、飼養頭数は約1万5、000頭減少し4万4、300頭となっており、出荷頭数も約3、000頭減少して2万1、400頭となっております。
1戸当たり平均飼養頭数で見ますと、繁殖農家は1.3頭増加し9.0頭に、肥育農家では39頭増加して117頭となっており、規模拡大は着実に進んできております。
生産者の年齢構成につきましては、繁殖農家では、経営者の約6割が60代以上と高齢化が進んでおりますが、肥育農家では、40代以下または後継者のいる経営体が約4割となっておりまして、若手生産者への世代交代が一定程度進みつつあるものと認識しております。
次に、繁殖、肥育農家の支援策についてでありますが、県では、平成26年度から、国の畜産クラスター事業を活用しまして、3カ年で五つの事業主体に対して、合わせて3、000頭を飼養できる牛舎の整備を支援しております。
また、繁殖農家に対しましては、国や県の事業を活用した優良繁殖雌牛の導入を、肥育農家に対しましては、今年度から県単独で肥育素牛導入費の一部を支援するなど、これまで以上に規模拡大を支援してきているところであります。
さらに、県内10の地域に組織しております肉用牛サポートチームの巡回指導により、分娩間隔の短縮などの生産性向上対策も進めておりまして、若手、女性生産者を対象とした研修会の開催などとあわせまして、引き続き担い手の育成にも努めてまいります。
なお、国では、農家の経営安定に向けまして、肉用子牛生産者補給金制度や肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる牛マルキン等を講じているところでありまして、これらの対策とあわせまして、持続可能な肉用牛経営の実現に取り組んでまいります。
次に、いわて牛の売り込みについてでありますが、いわて牛は、東京食肉市場において平均を上回る価格で取引され、品質の高さが評価されておりますが、消費者や小売店等の実需者の認知度は十分でない状況と認識しております。
県では、首都圏において、毎年、市場関係者等約250人を招いて開催しますいわて牛の集いにおいてトップセールスを行うほか、県や市町村、関係団体等で構成するいわて牛普及推進協議会を中心に、いわて牛を取り扱う店舗を拡大し、また、フェア等を開催しており、今後も、いわて牛の認知度やブランド力の一層の向上に取り組んでまいります。
なお、地理的表示保護制度に基づく登録につきましては、地域ブランドとして国がその品質を認めた産品となるなどのメリットがあります一方、品質や生産方法における厳格な基準など登録に向けた課題もありますことから、農業団体の意向を踏まえながら検討を進めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 学校の統廃合等についてでありますが、平成25年度と平成26年度に統合した県内の公立小中学校26校において、統合後の通学範囲は統合前より広くなっておりますが、最遠方からの通学時間は、ほぼ全ての学校で1時間以内となっており、スクールバスの導入などによって、児童生徒の負担軽減が図られていると見ております。
また、アンケート調査によりますと、統合後の約6割の学校で、学力の向上に好影響がある、約9割の学校で、学習意欲の向上に好影響があるなどと回答しており、統合により、児童生徒の教育環境の改善に一定の成果が上がっているものと捉えております。
小規模高等学校におきましては、学習面では、生徒の進路希望に対応した少人数指導をするなど、きめ細やかな対応を行っている一方で、普通教科における科目選択の幅が狭くなる等の制約があります。
部活動では、地域との連携により、インターハイなどに出場し活躍する部を有する学校もありますが、一方では合同チームでの大会出場を余儀なくされるなど、部活動そのものが制約を受けている学校もございます。
遠隔授業の他県の参考事例といたしましては、先般の県政調査会で御講演のあった北海道の例などがありますが、本県におきましても、本年度から小規模校同士の遠隔授業の研究に着手したところであり、この取り組みを通じて遠隔授業の効果的な運用について調査研究を進めてまいります。
次に、本県生徒の学力と進学支援についてでありますが、小中学校につきましては、学力の指標の一つである全国学力・学習状況調査の結果で申し上げますと、小学校の国語は全国上位、算数は中位となっており、中学校の国語は全国中位、数学は下位に位置いたしております。
この結果につきまして、基礎的、基本的な知識や技能、それを役立てる活用力や意欲的に学ぶ態度といった学力の3要素の観点から分析いたしますと、知識を活用する問題での無解答が多いことや家庭学習の時間が不足傾向にあることなどから、主体的に学習する習慣の形成や、知識、技能を活用レベルまで引き上げることに一層取り組むことが必要と考えております。
一方、高校につきましては、全国レベルでの調査は行われておりませんので客観的に比較するのは難しい面もありますが、平成27年度の県内高校生の大学等への進学率で申し上げますと、上昇傾向にはありますものの、全国平均の54.5%を1割程度下回っております。
また、県内の高校生の進路希望を実現するためのいわて進学支援ネットワーク事業におきましては、高校合同での志望大学別講座や、関係部と連携した医師確保対策講座、独自の課題に応じた各学校個別の取り組みなどを行ってきております。その成果といたしましては、大学を志願した者の94.3%が進学を果たしており、生徒の進学意識の向上、進学指導体制の充実などの成果が上がってきていると捉えております。
今後におきましては、取り組み内容の検証や見直しなどを進めながら、生徒一人一人の進路実現を支援してまいります。
次に、パソコン、スマートフォン等の影響についてでありますが、全国学力・学習状況調査等における質問紙調査によりますと、平日に携帯電話やスマートフォン等でメールやインターネットを1時間以上使用している県内児童生徒の割合は、小学6年生が14.4%、中学3年生が41.1%、高校2年生が72.7%となっており、学年が進行するにつれて使用時間も増加傾向にあります。
これらの調査結果から、近年、パソコンやスマートフォン等の情報機器の使用方法によっては、家庭学習時間の減少やネット依存症等の健康被害を誘発する可能性があると考えており、今後とも、情報モラル教育の充実によって、児童生徒の情報リテラシーの向上を図る必要があると認識いたしております。
県教育委員会におきましては、これまでも、総合教育センターが開発した体験型ソフトの活用等を行いながら、その適切な利用法を学ぶ取り組みを進めてきておりますが、来年度からは新たに教職員を対象に情報モラル教育指導者研修を実施し、指導の充実と保護者への啓発などにも取り組んでまいりたいと考えております。
次に、教員体制の課題等についてでありますが、まずもって、本年度におきましても逮捕事案などの教職員による悪質な不祥事案が発生したことに対しまことに申しわけなく思っており、県民の皆様に心からおわびを申し上げます。
教員は、学校教育を通じて子供たちを将来に導くという職責を担うとともに、子供たちもまた教員の姿を目にしながら成長していくという面が多分にございますことに加え、多くの教職員が子供たちの教育や教育の充実に懸命に取り組んでいる中で、教職員の士気を低下させないためにも、教職員一人一人が高い倫理観を持ち、資質、能力の向上に努力していくことが極めて重要であります。
県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会とともに、不祥事の発生防止や法令遵守の徹底に教育界を挙げて取り組んでいるところでありますが、今後におきましても、さまざまな会議や研修などあらゆる機会を捉え、教職員の服務規律と倫理観の向上、徹底に粘り強く取り組んでまいります。
また、指導力に課題を抱える教員については、校内研修や指導主事による訪問指導等に加え、必要に応じ、教育センターでの長期研修を受講させる等、指導能力の改善に計画的な取り組みを行っているところでありますが、今後におきましても、これらの取り組みをしっかりと行ってまいります。
次に、生活にかかわる法制度等の習得についてでありますが、議員御案内のとおり、インターネットの急速な普及拡大等に伴い、児童生徒がさまざまなトラブルに巻き込まれる事例が発生しており、県教育委員会といたしましては、子供たちが社会生活を営む中で、基本的な法的知識など社会的ルールを学ぶ必要性が従前にも増して高まってきているものと認識いたしております。
学校教育におきましては、中学校社会科の公民分野や高等学校公民科、家庭科などにおいて、消費者の権利や消費者保護等に関する法制度等の仕組みを指導しているほか、セミナー形式としては、総合教育センターが開発した体験型情報モラル教材を活用した研修会や、県民生活センターなどと連携して、消費者トラブルに巻き込まれない諸制度等への理解を深めるセミナーなども実施してきております。今後におきましても、子供たちが社会生活を営む上で必要な法的知識などの社会的ルールを習得できる機会が適切に確保されるよう取り組んでまいります。
次に、学校における政治的中立性についてでありますが、県教育委員会におきましては、これまで、教育基本法に基づき、教員が個人的な主義主張を述べることは避けるなど、政治的中立性の確保に努めてきております。
選挙権年齢の引き下げを踏まえた生徒の政治活動等については、議員御案内のとおり、昨年9月に文部科学省から示された通知におきまして、学校の構外での活動は、家庭の理解のもと生徒が判断し行うものとする一方で、構内においては制限、禁止されることや、構外の活動においても一定の場合には指導が必要であること等が示されております。
県教育委員会といたしましては、こうした制度上の知識を生徒に確実に理解させる必要があることから、特に、ことし夏の参議院議員通常選挙で有権者となる卒業予定者については、今年度中に全ての学校で文部科学省通知等を踏まえた主権者教育を実施することといたしております。
生徒が、政治や選挙に関する基本的な知識を十分に理解し、有権者としてみずからの判断で権利を行使できるようになることが極めて重要でありますので、今後におきましても、各校における主権者教育の充実に向け、選挙管理委員会とも十分に連携して、計画的かつ継続的な取り組みを推進してまいります。
〔選挙管理委員会委員長八木橋伸之君登壇〕
〇選挙管理委員会委員長(八木橋伸之君) まず、若年者の投票率向上策についてでありますが、平成23年の知事及び県議会議員選挙後に、選挙管理委員会が行った選挙に対する意識等についての実態調査によりますと、20歳代の有権者が選挙啓発に接する媒体としてはテレビCMが最も多く、続いて新聞広告、啓発ポスターの順となっております。
また、平成26年の衆議院議員総選挙後に、公益財団法人明るい選挙推進協会が行った全国の意識調査においても同様の傾向となっております。
選挙啓発の取り組みの効果を把握することは難しい面もありますが、県選挙管理委員会としては、これらの調査結果から、若年層に対しては、テレビCMや、駅、鉄道車両、大型小売店などにおける啓発ポスター掲示などが効果的ではないかと考えております。
今後の投票率向上策についてでありますが、従来の取り組みに加え、近年は、主に若年層向けの啓発として、コンビニエンスストアのレジ画面への投票日の表示や、SNS―ソーシャル・ネットワーキング・サービスを活用した選挙啓発も行ってきたところであり、今後も若年層向けのさらなる普及啓発に取り組んでいきたいと考えております。
また、選挙権年齢が引き下げられたことにより、選挙がより身近となる高校生へのアプローチが特に重要と考えており、先般、国が作成した副教材が全国全ての高校生に配付されるなど、学校現場で実践的な主権者教育が行われていくものと承知しております。
県選挙管理委員会としても、平成24年度から啓発授業の対象を高校まで広げ、その充実を図ってきたところであり、引き続き、県教育委員会など関係機関と連携し、選挙権年齢に達する直前の高校生を対象とした啓発事業の実施に力を入れていきたいと考えております。
次に、主権者意識の養成についてでありますが、平成23年12月に取りまとめられた、国の有権者による常時啓発事業のあり方等研究会の最終報告においては、現代に求められる新しい主権者像を、国や社会の問題を自分の問題として捉え、みずから考え、みずから判断し行動していく主権者としており、議員御指摘のとおり、将来を担う子供たちに、早い段階から社会の一員、主権者という自覚を持たせることが重要であるとされております。これらは、学校や行政機関の取り組みはもちろんのこと、家庭や地域など幅広いかかわりの中で育まれていくものと考えております。
このようなことから、県選挙管理委員会としても、県教育委員会や学校、地域での活動主体である明るい選挙推進協会など関係機関と連携し、有権者となる前から選挙に対する関心を高めてもらうため、児童生徒を対象とした明るい選挙啓発ポスターコンクールや啓発授業を実施してきたところであり、今後も、若い世代の主権者意識の涵養が図られるよう取り組んでまいります。
次に、公営ポスター掲示板についてでありますが、ポスター掲示場は、公職選挙法及び同法施行令等により、投票区ごとの選挙人名簿登録者数及び面積に応じて設置数が定められており、その配置については、人口密度、地勢、交通等の情勢を総合的に考慮して合理的に行うこととされています。
また、投票所の改善については、選挙の際に開催している市町村選挙管理委員会との会議で、例えば、投票所入り口のスロープの設置など、高齢者や体の不自由な方などが利用しやすい環境の整備等について助言しているところであり、最近の選挙では、入り口に段差のある投票所全てにおいて、スロープの設置や人的介助等により対応していると承知しております。
御案内のとおり、ポスター掲示場や投票所は市町村選挙管理委員会が管理しておりますので、お気づきの点については、市町村選挙管理委員会にお申し出いただければ、可能な範囲ですが、その範囲内で対応がなされるものと考えております。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 薬物事犯の検挙状況についてでありますが、昨年の検挙人員は40人であります。このうち覚醒剤事案が30人を占めております。この覚醒剤事犯の比率は過去5年の平均も80%を超えており、高水準で推移している状況にあります。
また、少年の検挙人員につきましては、平成22年に2人、平成25年に1人であります。女性の検挙人員は、昨年6人、平成22年から一昨年までの間に合計21人を検挙しております。
さらに、危険ドラッグ事犯でございますが、平成26年に2人、平成27年に3人を検挙しております。中にはインターネットを利用して海外から危険ドラッグを輸入した事案もございます。
なお、これまでのところ、県内におきまして、いわゆる薬物使用による凶悪な事件事故の発生はございませんが、今、御紹介申し上げましたとおり、インターネットあるいは宅配便により入手している状況もあるほか、密売には暴力団が関与していた事例も少なくないという状況でございます。
県警察といたしましては、これら薬物をめぐる現状を踏まえまして、覚醒剤等の末端乱用者の徹底検挙、密売ルートの解明と密売組織の摘発による供給源の遮断に努めるとともに、関係機関、団体との連携による薬物乱用防止のための指導、広報啓発活動を強化し、加えまして、薬物再乱用防止対策などを積極的に推進し、薬物事犯の根絶に努めてまいりたいと考えております。
〇議長(田村誠君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第7号平成28年度一般会計予算から日程第138 議案第137号財産の取得に関し議決を求めることについてまで
〇議長(田村誠君) この際、日程第2、議案第7号から日程第138、議案第137号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

前へ 次へ