平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。通告に従いまして一般質問を行います。
東日本大震災津波から5年、いまだに約2万2、000人もの被災者の方々は、不自由な応急仮設住宅などでの暮らしを余儀なくされております。改めて、犠牲となられた皆様に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。
復興への新たなまちづくりに向けた県並びに各被災自治体の懸命の取り組みも、自治体職員の不足や用地取得の長期化、社会資本整備事業における労働者不足や建設資材不足による事業費高騰など、現場においては課題が山積しています。
こうした中、国による全面的な支援のもとに早期の事業推進を期待する一方で、復興事業費では自治体への1%から3.3%の一部負担導入など、一丸となって復興へ邁進しようとする対応に水を差しました。
さらに、今後の国の政策展開においては、TPPの大筋合意による本県1次産業への県試算による影響は最大73億円と発表され、まだまだ事業再建への道半ばにある生産者や関連事業者の不安は大きく、また、アベノミクスと称される経済政策は、トリクルダウンという大企業優遇政策のおこぼれに期待するといった個人消費への刺激策は、ごく一部の効果にとどまり、国民全体の暮らしの底上げには至らず、むしろ、これから待ち受ける消費税10%への引き上げやこのたびのマイナス金利政策など、景気動向も先行き不透明な状況にあります。
そこで、まず初めに伺いますが、こうした国の政策の動向について、本県への影響を含めて、知事はどう認識されているのかお伺いします。
また、こうした動向に加え、昨年9月に強行された安全保障関連法の施行に伴う懸念とその先にある憲法改悪の動向について、日本の平和と民主主義、国民主権に基づく国の形を根底から変えて、軍事防衛体制を優先する方向へと策動を強め、立憲主義をないがしろにするような安倍政権の政治姿勢について、知事の所見をお伺いします。
次に、知事演述に関連してお伺いします。
知事は、さきの演述において、今年度の取り組み姿勢として、希望郷いわて国体並びに希望郷いわて大会を復興のシンボルに位置づけ、両大会の成功によって、直面する重要課題である東日本大震災津波からの復興とふるさと振興に全力を挙げて取り組むと決意を示されました。
復興への取り組み姿勢としては、この5年間に及ぶ社会資本整備を中心とした事業の遂行状況に触れて、着実な進展を強調されるとともに、第2期本格復興期間の最終年において完遂するというメッセージを発せられたわけですが、5年という歳月の中で被災者の暮らし向きはなお厳しい状況にあり、生活再建を図るため、被災者に一層寄り添う施策の拡充が求められます。
例えば、被災者の住宅再建のための防災集団移転促進事業における移転後の跡地の買い取りは、住宅地と介在農地に限られ、農地や事業所用地は対象外であるため、まちづくりのための跡地利用においては、公有地と民有地が混在し、まとまった土地の確保に支障が生じている地域があるなど、課題に応じた制度運用のあり方について国への働きかけを強めるべきであります。
また、生活再建支援金の現在の最大300万円の支給額での住宅再建は、労務費や建築資材高騰など実態に合わないことから、500万円以上への支援金増額を求めるべきであります。
このほか、現状において各般の被災者の支援策が講じられていると思いますが、一定の生活再建が果たされるまで、被災者のための特例措置の対策に継続して取り組むことが必要と考えます。
そこで伺いますが、県としての今後の被災者支援に対する認識と国への働きかけについて、考え方をお示し願います。
次に、演述では、復興と並ぶ喫緊の課題として、ふるさと振興を掲げ、具体的に新年度から、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本柱に基づく取り組みを進め、人口の社会減ゼロ、出生率の向上に向けて全力で取り組むとしています。
そのために、生活を支える所得が得られる仕事の創出を初めとした取り組みが掲げられましたが、具体的には何を目指すのかという点で、私は、内容が不十分ではないかと感じました。例えば、所得と仕事の関係や働き方の改善における共通項は、正規雇用の拡大と言いかえられると思いますが、直接的な表現とそのことに対する具体の考え方が十分示されていないと思います。
こうした課題認識も改めて指摘させていただいた上で、ふるさと振興の三つの柱を具現化していくには、まさしく演述で触れられている社会全体で支える仕組みとして、家庭、地域のきずなづくり、女性の社会進出を含め時代の変化と要請に応え得る男女共同参画としての社会と職場の理解と浸透を一層推進する必要があり、特にも、企業などにおけるワーク・ライフ・バランスの推進に向けた意識啓発等が重要と考えます。
県では、今後、男女共同参画社会の実現に向けて、どのように取り組んでいく考えかお伺いします。あわせて、県として率先して職員のワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組む姿勢を打ち出すべきと考えますが、知事の決意のほどをお伺いいたします。
次に、保健、医療、福祉施策についてお伺いします。
まず、医師確保対策として、いよいよ奨学金養成医師の2016年度に向けた配置が本格的に始まります。これまでの配置に向けた奨学金養成医師配置調整会議の調整作業を経て、2月18日段階の調査で明らかになっている状況では、2008年の貸与者38人中、返還者5人、2年生以上の者4人及び留年3人を除く26人と、2009年度以降に2年生以上で貸し付けを受け、今年度末に初期臨床研修を修了する者5人を加えた31人が配置対象者となり、13人が現在、義務履行を果たすため6県立病院へ配置が予定されています。
また、猶予者15人については、大学院進学8人、専門医資格取得を考慮し民間病院等に勤務する者7人とのことです。未定の3人については、沿岸部中心の調整を進めているとのことであります。いずれにしても、具体的な形として養成医師の配置が進展することにより、今後の医師不足を初め地域医療体制の確保と診療科の偏在という課題解決に向けて、新たな戦力が加わり、安心社会が構築されることを願ってやみません。
そうした中で、養成医師配置については、今後の展開を図っていく上で、改めて幾つかの点について、その考え方などについてお伺いいたします。
1点目は、このたびの義務履行者の調整に当たって、養成医師の希望を踏まえ配置調整案を策定したとのことですが、配置に当たり、どのような調整があったのかお伺いします。
また、各受け入れ側の診療科偏在等の解消や医師体制の確保など、配置において予想される特徴的な成果と今回のケース事例を踏まえての課題があれば、明らかにしていただきたいと思います。
2点目は、猶予者のうち7人が専門医資格取得を考慮し民間病院等への勤務となっていますが、民間病院等とは岩手医大だと思いますが、他の民間病院等の例もあるのか、また、専門医資格取得については義務履行対象病院ではできないということなのか、そして、資格取得に係る年数と義務履行への影響等についてお伺いします。
3点目は、昨年6月定例会でも指摘した配置先となる公的病院の位置づけ方や県内各自治体における医療機能や拠点としての役割を果たす民間病院等への配置支援の検討について、この間の質疑においては、市町村や国保連からの要請があれば、奨学金養成医師配置調整会議で検討するとの答弁でありました。
既に関係する自治体からは、地域において公的役割を担い、主要な病院として役割を果たすためにも、今後、奨学金養成医師受け入れ医療機関としての適用に向けた検討の要請もあると思いますが、現状と今後どのような検討を行っていく考えなのかお伺いします。
次に、県の在宅医療推進施策についてお伺いします。
県では、岩手県在宅医療推進協議会を設置しており、去る2月4日の会議において、本県における在宅医療、介護連携の現状と、県としての取り組みを初め市町村の現状、地域医療構想案策定と圏域会議での在宅医療に係る意見や市町村等実務者ワーキンググループの設置などが報告され、意見交換が行われております。協議会で示された資料においては、市町村へ調査したところ、24時間対応の緊急往診や訪問介護があると回答した市町村が半数以下という実態が明らかになっています。
そこで、まず、改めて協議会における報告の特徴的な状況を示していただくとともに、現時点における在宅医療推進に向けての課題をどう捉えているのか、また、あわせて在宅医療連携拠点整備事業の成果についてお伺いします。
次に、こうした在宅医療の事業推進においても医療資源の確保は大変重要でありますが、釜石地区等の先進事例においては、地域医療を担う病院、診療所等の積極的な関与や、在宅医療専門診療体制を担う機関を明確に構築することが、自治体関係者を初めとする保健福祉、介護関係者の参画に安心感を与え、連携事業が前進すると考えます。
在宅医療推進連絡協議会等の議論も踏まえ、今後、具体的にどのような方針を掲げて在宅医療体制を県内各地に構築していくのか、そして、県としてどのような役割を担い、対応していくのかお伺いします。
次に、障がい者施策として、聴覚障がい者要約筆記者の人材育成と、その対応の充実強化についてお伺いします。
さまざまな障がい者の参加を含めた事業やイベントに欠かせない対応として、聴覚障がい者への手話通訳を初めスクリーンを活用した要約筆記の活躍があります。
県では、平成23年から、厚生労働省通知の定めによる要約筆記者養成カリキュラムに基づく研修を毎年開催し、手書き、パソコン各コース10名ずつの人材育成を展開しているとのことであります。現在、登録者が80人、うちパソコン対応を可とする者が34人とされています。
県と市町村では、地域生活支援事業で、手話通訳者・要約筆記者派遣事業により各種会議や研修会、講演、講座等のイベントへの派遣がされていますが、そうした中で、手書きによる要約筆記とともに、今日的な時代の趨勢としてパソコンによる要約筆記スキルが向上しており、若い人たちの人材育成と活用について、さらに積極的な取り組みが必要ではないかと思いますが、所見をお伺いします。
〔議長退席、副議長着席〕
加えて、ことしは希望郷いわて大会というビッグイベントもあり、スポーツという特殊性から、専門用語も含むスピード感を持った要約筆記による意思疎通支援が必要であり、パソコン活用を含めどのような対応が検討されているのかお伺いします。
次に、ドクターヘリの盛岡地区のヘリポート整備についてお伺いします。
盛岡地区におけるドクターヘリの離発着施設の整備は大変重要であり、県立中央病院への緊急搬送と、救命救急医療の確保と向上は誰もが望み、否定し得るものではありません。
しかしながら、今回の提案において、中央病院周辺の検討により、関係者にとって思いもよらぬ方針として、隣接する教育施設の県立杜陵高校格技場東側が整備候補地とされました。1月31日には学校関係者への説明会も実施されましたが、この整備方針の唐突さに、関係者から多くの質疑や懸念と不安の声が寄せられたと聞いております。
その後、さらに2月19日に説明会が開催され、報道によりますと、学校関係者が整備に理解を示されたとのことではありますが、まずはこの方針決定の経緯と、地元を含む説明会や意見聴取の機会はどう確保されていたのかお伺いします。また、特に全国でも例のない学校施設内という場所を選定せざるを得ないほどの判断に至った理由について、あわせてお伺いします。
また、杜陵高校の教育環境には特に配慮も必要とされることから、依然として疑問や心配の声も根強くあります。さらに、説明の順番や検討に当たっての手順からしても、当事者を実質的に後回しにしたとの不信感をあらわにする意見も聞いております。
そこで、保健福祉部の所管事項とはいえ、県教育委員会においては、この対応についてどういった協議がなされたのか、そして、具体の整備方針に対して当該高校関係者と生徒、保護者に対する説明責任についてどう対処してきたのでしょうか、教育長にお伺いします。さらに、今回の事例について、今後の対応にかかわって、前例扱いへの懸念も含めて御認識をお伺いします。
次に、感染症予防対策について伺いますが、特に国体などのイベントへの対策を含めて、現在どのような検討がされているでしょうか。
現在、ブラジルを中心に発生したジカ熱問題は、リオデジャネイロオリンピックへの影響とあわせ全世界的な蔓延への対策が課題となっています。国内でも、先日、ブラジルからの帰国者が発症していたとのことであり、決して対岸の火事ではありません。
昨年度はデング熱などの問題も発生しました。国体は夏から秋にかけての病害虫発生時期とも重なることから、関係者から対策に向けて十分な準備を求める意見も上がっており、施設及びその周辺環境も含めて、その対策についてお伺いします。
次に、雇用、労働対策についてお伺いします。
知事演述に関する質問でも触れましたが、雇用の実績評価のあり方について、参考とするその実態数については、経済雇用対策の実績値を踏まえてみますと、長期、安定的な雇用の創出、拡大に関する各項目に着目するわけでありますが、平成26年度のこの目標と実績値において、一つは、産業振興施策による雇用創出では新規常用雇用1、210人、うち正規雇用720人の目標値に対して、新規常用雇用1、223人、正規雇用634人の実績であります。平成27年度は、上半期分の数字ですが、新規常用雇用目標値1、590人に対し、上半期実績で1、462人、正規雇用は630人に対して354人という実績となっています。累計で見ると、この1年半で新規常用雇用者実績として2、685人、正規雇用者数988人ということになります。
同じように、基金事業による雇用創出施策においても、事業復興型雇用創出事業、生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業、地域人づくり事業等も加えますと、平成26年度合計新規雇用目標値5、160人、実績値5、884人であり、平成27年度上半期を加えると、目標値8、890人、実績値7、502人となります。
そこで伺いたいのは、これらの事業において、産業振興施策では正規雇用数が見えるわけでありますが、基金事業においてはその区別がわかりません。県として、正規雇用対策を推進する上で、この実績に対する正規雇用の実態について把握に努める必要があると思いますが、いかがでしょうか。
また、離職対策が一方では課題として挙げられる中で、雇用対策が講じられたことにより、その定着度、すなわち通年的に雇用の継続性が図られているのかという実態調査を行うことが、離職対策とも関連して必要なことと考えますが、所見をお伺いします。
その上で、特に若者を中心とした離職対策は、若者の県内定着を促進する上でも重要な課題と考えますが、現状の離職対策の取り組みと今後の取り組み方針について知事にお伺いします。
次に、労働災害対策について、2月4日、岩手労働局から建設業一斉監督指導実施結果が発表されました。被災県の宮城、福島、岩手の3局一斉の実施で、本県分は、監督指導現場数154現場、そのうち労働安全衛生法違反が106現場、68.8%となり、違反率は3県中で最悪という結果になっています。しかも、本県のワースト記録は4年連続ということであります。特に主要違反事項別違反状況で、元請事業者の講ずべき措置等において79現場、51.3%と最も高く、元請事業者の安全管理に対する対策に問題があることが浮き彫りとなりました。
また、過去5年間の労働災害発生件数と死亡事故の推移においては、毎年1、200件を超える発生状況の中、この5年で累計6、803件、年平均1、360件、死亡者数累計98人、年平均19.6人となっており、このうち建設業については年平均274件、死亡者数が年平均7人、特に平成26年の死亡者が10人と深刻な事態となっています。
そこで伺いますが、県営建設工事の労働安全衛生対策について、発注者の立場として、今回の一斉指導に初めて発注機関として合同の監督指導に立ち会ったわけですが、改めて、被災3県中、最悪かつ4年連続ワーストというこの実態への認識と対策についてお伺いいたします。
次に、県発注公共事業において実勢労務価格が設計単価に適切に反映されているのか、また、特に復興関連事業等の工事請負契約締結後の単価適用年月変更とインフレスライド条項の適用の実態はどうなっているのかお伺いします。また、工事請負契約において、契約金額のうち労務費に相当する金額等を明らかにする必要があると考えますが、その対応についてお伺いいたします。
次に、公共交通政策についてお伺いします。
JR山田線復旧状況について、去る2015年12月11日発生したJR山田線松草-平津戸駅間での土砂乗り上げ脱線事故に伴い、現在、早期復旧に向けた取り組みが行われていますが、改めて、県としての同線復旧への対応として、JRとの協議がどう進められているのかお伺いします。
そして、いわゆる地方ローカル線等の安全保守管理対策は、当該事業者の責任において、日常的な責務として安全対策と管理の徹底が当然の使命であると考えますが、2010年のJR岩泉線の土砂崩れに際しては、結果的に復旧断念による廃線という事態を招いており、JR山田線においても、2007年以来、たび重なる土砂崩れによる列車立ち往生や、落石衝突などに対する対策としてセンサーや土砂崩れ検知装置の設置など、現場の実態を承知している関係者や労働団体などからも抜本的対策を求められていたと聞いています。
したがって、県として、関係沿線自治体とも連携し、JR山田線を初めとする県内の各地方鉄道線に係る安全対策の徹底と管理強化などについて、関係事業者に対する申し入れを含め協議するべきと考えますが、所見をお伺いします。
次に、長野で発生したツアーバス事故を踏まえて、本県におけるバス輸送体制として、国体への対応と、観光事業を初め首都圏深夜バス運行など安全対策について、関係事業者間との協議や対策の徹底、運転手の勤務実態や健康管理対策などについてどのような取り組みが行われているのかお伺いいたします。
次に、犯罪のない安全・安心社会の取り組みについてお伺いします。
本県における刑法犯罪の実態について、この5年間の推移を見ると、認知総数は、防犯対策や各啓発活動、取り締まり強化など各種施策を講じる中で減少傾向にはあるものの、特殊詐欺事件は増加傾向にあり、2月19日には、盛岡市内で被害が多発したことに伴い還付金詐欺多発警報が発令されました。悪質かつ巧妙な犯罪が県民の暮らしを脅かしていることは間違いない状況の中で、今次の本県における犯罪実態の特徴についてお伺いいたします。
また、犯罪認知件数が減少傾向にある中で、検挙者の年齢構成においては高齢者の占める割合が高まっていることや、犯罪少年の再犯者率は、数値上は24.8%と4人に1人が犯罪を繰り返す実態が見えるほか、統計はとっていないということでありますが、高齢者もふえているのではないかと推察されます。
県においては、岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例を制定し、県の責務や県民、事業者の役割、市町村との連携などを定め、犯罪のない安全で安心なまちづくりを目的に連携して取り組むこととしているほか、知事を推進委員長とする、社会を明るくする運動岩手県推進委員会を通じた防犯啓発活動など、本県の犯罪防止対策関係機関との連携を図り、警察では非行少年への立ち直り支援や見守り活動に取り組んでいるところであります。
そうした中で、再犯防止の観点から見ると、再犯抑止のための社会的な理解と協力の環境づくりや、執行猶予中や服役後の居住の場や雇用の確保について、社会的支援の枠組みがまだまだ十分ではないと感じています。
各自治体の協力という観点では、公共施設の活用による保護観察のための相談スペースの確保や、各地区保護司会のサポートセンター設置への協力と支援などとともに居住や雇用の支援を拡充し、社会全体で犯罪のない、起こさせない、繰り返させないとの包摂的な運動が必要であると思います。
そこで伺いますが、再犯防止の取り組みは主に法務省の所管により進められているものと理解していますが、条例を所管する県としても、犯罪のない安全・安心なまちづくりの観点から、再犯防止に向けた取り組みについても、関係機関等との連携により推進していく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
以上、登壇しての一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、国の政策動向についてでありますが、先月、内閣府が公表した四半期のGDP速報によりますと、昨年10月から12月期における実質GDPは年率で1.4%のマイナスとなっており、また、実質賃金指数の改善も見られない状況であります。
県内の景気動向を見ましても、これまで復興需要や内陸部の製造業の生産活動の活発化もあり、回復傾向が続いてきましたが、大型小売店販売額や新設住宅着工戸数、自動車新車登録数の低下など、このところ足踏み感が見られます。
また、国の経済状況や経済財政政策の影響を強く受ける地方の人口の社会増減について、昨年の1年間を見ましても、東京圏の転入超過は1万人近く増加する一方、岩手においては人口の社会減が1、000人規模で拡大するなど、東京一極集中の流れは一層強くなっており、東京圏と地方の格差が広がっているものと認識しております。
こうした状況の克服には、我が国のGDPの8割以上を占める国内の需要喚起が不可欠であり、金融政策のみならず、公的需要も含めた内需拡大型の経済政策を地方において実施することが特に重要と考えます。
国を挙げた地方創生が実行に移される中、国においては、地方の景気動向や人口移動状況を十分に踏まえた地方重視の経済財政政策の実行が求められており、県としても、あらゆる機会を捉えて、その実施を訴えてまいりたいと思います。
次に、安倍政権の政治姿勢についてでありますが、安保関連法につきましては、根拠となる立法事実が曖昧であり、また、どんな事態に対しても切れ目のない安全保障体制を構築するというやり方は国際環境に対する過剰な反応であり、事態をエスカレートさせる危険性があるのではないかと懸念しております。
憲法の改正につきましても、自民党において憲法改正案が提示されておりますが、これに対しては、国民の基本的人権を保障するために国家権力を制限するという立憲主義の観点から、多くの批判があると承知しております。
憲法や安全保障法制については、国民の広範な支持の上に発展を期すべきものであり、より民意に耳を傾ける政治姿勢が求められていると思います。
次に、被災者支援に係る認識についてでありますが、震災から間もなく丸5年を迎え、応急仮設住宅から災害公営住宅や自力再建した住宅に移られる方がふえてくるなど、復興計画に掲げる取り組みは着実に進んでいる一方で、被災された多くの方々が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされているなど、復興はいまだ道半ばであると認識しております。
地域や被災された方によって復興の進みぐあいはそれぞれ異なりますことから、今後とも、被災地や被災者お一人お一人に丁寧に寄り添いながら課題の解決を図り、一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻すことが何より重要と考えております。
国への働きかけにつきましては、先般も、復興方針の見直しに関連して、議員御指摘の住宅再建に対する支援の拡充や、防災集団移転促進事業の移転元地の利活用の促進のほか、被災者の心のケアや労働力の確保などについて国に意見を申し上げたところであり、今後におきましても、機会を捉えて、必要な財源の措置や制度改正等について要望してまいります。
次に、男女共同参画社会の実現についてでありますが、男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなくその能力を十分に発揮できることが重要であると認識しております。また、東日本大震災津波からの復興とふるさと振興を進めるためには、女性の活躍支援を初めとする男女共同参画の施策の推進が重要と考えております。
今議会に提案していますいわて男女共同参画プランの改訂案では、女性の活躍支援、男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備などを施策の基本的方向としまして、その基本的方向に沿って施策を展開することとしています。
女性の活躍支援については、特に、男女双方にとって子育てをしながら働きやすい環境の整備が重要と考えておりまして、産業団体や経済団体と連携して、女性活躍のための経営者研修やワーク・ライフ・バランスを推進するセミナーを実施するなど、企業の経営者や男性従業者に対する意識啓発を進めてまいります。
また、男女共同参画社会の実現に向けた基盤整備を図るために、地域において男女共同参画を推進する男女共同参画サポーターなどの人材育成や、男女共同参画センターが実施する講座開催や情報誌の発行などにより、固定的性別役割分担意識の解消に取り組んでまいります。
今後とも、女性、男性誰もが生きやすい社会となるように、また、地域社会が活性化するとともに、人を大切にした社会の形成、生活の質の豊かさにつながるよう、男女共同参画の一層の推進を図ってまいります。
次に、県職員のワーク・ライフ・バランスの推進についてでありますが、県では、次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業主行動計画を策定し、職員が安心して子供を生み育てることができる勤務環境の整備を進めてきたところであり、これまでの取り組みの結果、仕事と家庭の両立のための支援制度の充実が図られ、その利用もふえているところであります。
引き続き、支援制度の周知や利用しやすい環境づくりを進め、仕事と生活の調和がとれる職場の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。
次に、離職対策の推進についてでありますが、岩手労働局の調査によりますと、本県の高校卒業者の就職1年目の離職率はここ数年低下傾向にありますものの、3年目までの離職率は依然として高どまりの状況にあります。
このため、県としては、卒業前の内定者向けガイダンスを実施しますほか、就職後のフォローアップセミナーの開催やキャリアカウンセリング等によって職場定着を支援しているところです。
また、企業に対しては、採用力、人材育成力の強化を目的とした研修会を開催するほか、キャリアカウンセラーの派遣による人材定着の支援を行っているところです。
さらに、今般設立したいわてで働こう推進協議会におきまして、若者等の県内就業の促進や働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を行うこととしておりまして、その中で、早期離職対策についてもしっかり対応していく考えであります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、奨学金養成医師の配置調整についてでありますが、具体的な配置に当たっては、経験豊富な医師である医師支援調整監による面談を実施し、養成医師のキャリア形成支援や、初期臨床研修から専門研修への円滑な移行を考慮した配置調整原案を作成して奨学金養成医師配置調整会議に諮り、各地の公的基幹病院に配置することとしたものであり、全国に先駆けて策定した配置基本ルールに基づき、公的病院への円滑な配置ができたものと考えています。
今後、配置を進めるに当たり、中小規模の医療機関への円滑な配置を進めることが課題となってくることから、医師支援調整監の面談を通じ、養成医師のキャリア形成と各地域の医師の充足状況とのバランスを図りながら配置調整を進めてまいります。
次に、専門資格の取得と義務履行への影響等についてでありますが、養成医師の配置調整に関する基本方針では、学位や専門医資格の取得を念頭に、通算して6年間を限度に義務履行の猶予を認めています。
今回の義務履行の猶予者についても、自身が目指す診療科に応じた専門医資格取得等を考慮し、岩手医科大学や県外の大学病院等で勤務するものです。
現行の専門医制度では、資格を取得するため、各診療科の学会が認定する研修施設において一定期間の専門研修を受ける必要があります。義務履行対象となる全ての公的基幹病院は何らか学会の研修施設となっており、多くの養成医師は義務履行と並行した資格取得が可能ですが、診療科によっては認定施設のばらつきがあることなどから、養成医師が県外の病院等を選択する場合もあるものです。
専門医資格取得に係る研修期間と義務履行への影響については、研修期間は診療科によりさまざまであり、一概には言えませんが、最長6年間の義務履行の猶予期間があることから、ほとんどの診療科において、義務履行をしながら資格取得できるものと考えております。
次に、配置対象となる医療機関の見直しの検討についてでありますが、民間病院の義務履行対象施設への追加については、市町村医師養成修学資金制度の運営主体である国保連に県内自治体から要請が出され、国保連では、県内市町村の意見も聞きながら、その内容を精査する予定と聞いています。今後、国保連から対象施設拡大の意見などが出された際には、県全体の医療提供体制を十分に考慮した上で、奨学金養成医師配置調整会議において検討することになります。
なお、本県の三つの奨学金制度は、公的医療機関の医師確保を目的として創設されたものであり、公的医療機関が地域医療に大きな役割を担っている本県としては、まずは公的医療機関に医師を配置し、民間の医療機関とも連携しながら広域的な医療提供体制を充実することが求められておりますことから、こうした認識を十分に踏まえて検討する必要があると考えています。
次に、在宅医療推進の課題等についてでありますが、県が実施した地域包括ケアシステム構築に関する調査結果では、在宅医療体制の構築に向け、医療、介護の関係者による合同研修会が26市町村で実施されているなど、多くの市町村で一定の取り組みが進められている一方で、議員御指摘のとおり、24時間対応の医療や介護に係るサービスがあるとする市町村は半数以下であり、こういったサービス資源不足への対策について関係機関と協議をしているのは4市町にとどまっているなど、解決に向けた取り組みまでには至っていないことが課題となっています。
在宅医療連携拠点は13市町村を対象に9カ所で運営されておりますが、各拠点では、医療と介護が連携した在宅療養を希望される方への切れ目のないサービス提供体制の構築に向けて、専任職員による住民セミナーや協議会の企画運営、在宅医療、介護連携に係る相談の対応などが行われており、地域での多職種連携とともに、関係者や住民においても在宅医療への理解が進んできています。
次に、在宅医療体制の構築についてでありますが、いわていきいきプラン2017においては、市町村の主導的な役割のもと、地域包括ケアシステムの中で多職種が連携し、身近な地域で一人一人に適した医療や介護が包括的に提供される体制を構築することとしております。
各地域での取り組みを進めるため、県では、医療従事者が取り組む在宅医療を推進する仕組みづくりへの支援や在宅医療を担う人材育成に引き続き取り組み、市町村や医療従事者に対する適切な情報提供を通じて、医療、介護連携の推進や在宅医療への参入を働きかけていきます。
また、平成28年度、新たに市町村職員や介護関係者を対象とした在宅医療に関する研修のほか、在宅療養者への支援について技術的助言を行う訪問看護師の市町村への派遣、さらには、在宅医療連携拠点の立ち上げに係る支援に取り組んでいく考えです。
次に、パソコンを活用した要約筆記についてでありますが、パソコン要約筆記は、入力システムの単語登録機能により提供できる情報量が多いこと、一方、手書き要約筆記は、筆記用具のみを用いるため場所を選ばないことといった特徴があります。
本年4月からの障害者差別解消法の施行に伴い、中途失聴、難聴者への配慮がより一層求められますことから、イベントでの対応のほか、医療機関における意思疎通の支援など、要約筆記者の派遣は増加が見込まれます。
このため、今後も要約筆記者養成研修を継続していくとともに、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会に向けて養成した情報支援ボランティア等に対し、当該研修について紹介するなど、若者がこうした活動に関心を持ち、取り組んでいただけるよう周知に努めてまいります。
次に、盛岡地区ドクターヘリヘリポートの整備についてでありますが、県では、本県の救急医療体制の充実を図るため、平成31年度の岩手医科大学附属病院の矢巾町への移転を踏まえ、災害拠点病院である県立中央病院へのヘリポート整備を目指し、平成25年度から病院本体や立体駐車場の屋上5カ所と敷地内の諸スペース6カ所の計11カ所について、数次にわたり、設計業者やヘリ運航会社を交え鋭意検討を行ってきたところですが、いずれも、建物の強度不足や航空法等関連法令の規制などの問題がどうしてもクリアできず、病院敷地内での整備が困難であったものです。
このため、やむを得ず、病院に最も近い場所にある県立杜陵高校敷地への整備について、県教育委員会及び同校と協議し、3者による検討を重ね、教育環境への一定の配慮を行うことを前提として、同校の一部敷地を候補地とするに至ったところです。
地元住民の方々に対しましては、昨年12月下旬に周辺11地区町内会を対象とした説明会を3回開催しており、騒音の程度や搬送頻度等について説明し、おおむねの理解が得られたところです。
また、学校関係者の方々に対しましては、これまで2回の説明会を開催し、当初、出席者からは、教育環境への影響や安全面についての不安、学校敷地内に整備することへの疑問の声がありましたが、学校に近接して設置されている他県のヘリポートの事例等の紹介や県が実施する防音対策、ヘリポートへの侵入防止柵の設置などの安全対策について改めて説明し、一定の理解が得られたところです。
次に、感染症予防対策についてでありますが、希望郷いわて国体・いわて大会においては、県実行委員会で感染症予防対策実施要領を策定し、競技関係者等を対象とした講習会の開催、感染症危機事案発生時に迅速な対策を講じるための緊急連絡体制の整備などを行っております。
また、昨年度、我が国で約70年ぶりに国内感染事例が発生したデング熱に関しては、国の蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針を踏まえ、本県でも、全国に先駆けて県行動計画を昨年7月に策定、公表するとともに、媒介するヒトスジシマカや感染症の専門家、医療関係者、市町村等で組織する岩手県蚊媒介感染症対策会議を設置し、研修会を開催するなど対策の強化を図ってきました。
現在、中南米で感染が拡大しているジカウイルス感染症対策についても、この行動計画及び対策会議を活用して、ヒトスジシマカの駆除等の体制を構築するとともに、一般的な感染症予防策も含め、報道機関や県のホームページ等を通じた県民への情報発信を引き続き行ってまいります。
〔国体・障がい者スポーツ大会局長岩間隆君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(岩間隆君) 希望郷いわて大会における要約筆記対応についてでありますが、聴覚障がい者の意思疎通支援を行う情報支援ボランティアにつきましては、600人の募集に対しまして県内各地から657人の応募があり、このうち、ホワイトボード等を利用する要約筆記及び筆談ボランティアが246人、一定の入力スキルなどが必要となるパソコンによる要約筆記が34人となっております。
応募者に対しましては、障がい者スポーツ大会の概要、競技の専門用語やルールのほか、要約やパソコンの入力技術の向上のための研修を今年度から行っており、今後、希望郷いわて大会のリハーサル大会や式典総合リハーサルなどを通じ、各競技会場において、より実践的な研修を計画することとしてございます。
こうした研修を踏まえ、大会開催時には、開閉会式会場や隣接するふれあいの場としてのわんこ広場、全ての競技会場、盛岡駅、北上駅、花巻空港に設置する案内所において、習得した技術を生かし、ボランティアとして活動していただく予定であります。
なお、パソコン要約筆記につきましては、国体本大会の総合開閉会式の式典におきましても、大型映像で映し出すなど、希望郷いわて大会と同様に対応してまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) 雇用対策における実態把握についてでありますが、雇用対策基金を活用した事業は、まずもって雇用の創出、拡大を目的としたものでございますが、この事業の導入により、企業において長期、安定的な雇用へとつなげていくことも期待して実施しているものです。
基金事業終了後の正規雇用の状況を把握するためには、多数に及ぶ助成対象事業所に対し、毎年継続的に行う調査への協力を得る必要があること、また、任意の協力による調査となることなどから、実態の把握は困難であると考えているところです。
なお、正規雇用対策については、岩手労働局と連携し、関係団体等への要請を行うなどしてきたところでありますが、平成28年度は、いわてで働こう推進協議会において、正規雇用の拡大等についての対応を進めるとともに、処遇改善セミナーを実施するなど、雇用の質の向上に向けた一連の取り組みを一層加速していきたいと考えております。
また、離職に関する実態調査につきましては、厚生労働省において、毎年、新規学校卒業就職者の離職状況の調査が行われているところでありますが、その調査は、事業所からハローワークに提出される雇用保険関係書類をもとに行っているものであるため、これ以上の実態把握は困難な状況となっております。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) まず、労働安全対策の実態認識と対策についてでありますが、岩手労働局が発表した建設業一斉監督指導実施結果において、本県の違反率が宮城県、福島県より高い状況が続いていることは、重く受けとめており、工事の実施に当たっては、労働安全衛生法等の法令を遵守し、安全を第一に進めていく必要があるものと認識しているところです。
工事現場の安全対策については、従来の取り組みに加え、新たに12月を工事現場等における事故防止強化月間と定め、関係機関等と連携して実施する現場パトロールを強化したほか、監督職員を対象とした安全管理研修を開催するなど、さらなる安全対策の強化を図ったところです。
今後とも、関係機関と協力しながら、発注者としても事故防止に取り組んでまいります。
次に、実勢労務価格の設計単価への反映状況についてでありますが、設計労務単価については、国が実勢を踏まえて震災後には6回改定しており、県でも、国の改定を受け、速やかに適用しているところです。
工事請負契約締結後の単価適用年月変更とインフレスライド条項の適用については、受注者からの請求を受け対応しているところです。
この適用実態については、沿岸部における県土整備部発注工事では、平成24年度以降、単価適用年月の変更については176件、インフレスライド条項の適用については89件となっております。
契約金額について、労務費等の内訳を算定することは困難でありますが、予定価格の算定等においては、設計労務単価等の公表と単価適用年月の設計書への明示により対応しているところです。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) まず、JR山田線復旧に向けたJR東日本との協議状況についてでありますが、JR山田線は、地域振興や観光振興に重要な役割を担っているなど、内陸部と沿岸部を結ぶ鉄道路線として必要不可欠な交通基盤と認識しております。
このため、昨年末にJR東日本と国土交通省に対し、早期復旧に係る要望を行ったところであり、JR東日本からは、復旧に向け全力を尽くしていくとの回答を得ております。
現在、JR東日本においては、土砂崩落箇所の地盤の動きや地質について調査を進めており、その進捗状況については随時報告を受けておりますが、近々情報共有と調査結果を踏まえた対策に係る技術的な検討を行うため、関係機関で構成する協議会を設置するとの連絡を受けているところです。
県としては、この協議会への参画などを通じ、JR山田線が一日も早く復旧を果たすよう、引き続き、JR東日本を初め関係機関と協議を進めてまいります。
次に、地方鉄道線に係る安全保守管理対策についてでありますが、鉄道事業者の責務として輸送の安全確保が最も重要と認識しており、県の出資法人でありますIGRいわて銀河鉄道や三陸鉄道に対しては、日ごろから、経営への参画を通じて安全性への一層の向上に向けた取り組みを促しております。
また、各鉄道事業者においては、関係法令や自社の安全管理規程に基づき、安全対策や鉄道施設の維持管理等を行っているものと承知しておりますが、県では、今般のJR山田線で発生した事故に関し、早期復旧に係る要望とあわせ、安全対策及び安全運行の徹底についても、JR東日本に申し入れを行ったところであります。
今後も引き続き、県内の鉄道事業者に対し、安全性の向上に向けた一層の取り組みを求めてまいります。
次に、本県におけるバス輸送体制の安全対策についてでありますが、今回のバス事故を受け、国では、貸し切りバス事業者に対し、集中的な事業監査や街頭監査等の緊急対策を実施するとともに、事故対策検討委員会を立ち上げ、監査や行政処分の強化、運転手の実技訓練の拡充などの再発防止策の点検と検討が行われているものと承知しております。
また、本県においても、岩手県バス協会が、国等の通知に基づき、関係バス事業者に対し、法令遵守や確実な運行管理の徹底を周知するとともに、1月22日には、当面の安全対策として安全輸送講習会を開催したところです。
県では、バス運行に係る安全対策の一層の取り組みを促すため、岩手県運輸事業振興費補助による支援を行っておりますが、平成28年度は、これまでのバス運転手の健康管理や衝突被害軽減装置導入等への支援に加え、岩手県バス協会による巡回指導や運転手の確保対策などに対しても支援を拡充する予定であります。
県内バス事業者に対しては、これまでも、法令遵守や安全運行について要請してきたところでありますが、本年は、希望郷いわて国体・いわて大会の開催も控えていることから、岩手県バス協会との連携のもと、一層の安全の確保が図られるよう取り組んでまいります。
〔環境生活部長根子忠美君登壇〕
〇環境生活部長(根子忠美君) 再犯防止に向けた取り組みについてでありますが、県においては、高齢または障がいにより自立が困難な矯正施設退所者について、社会復帰と再犯防止を図るための地域生活定着促進事業を実施しているほか、青少年を非行、被害から守る県民大会の開催や岩手県保護司会連合会が主催する更生保護研修大会の支援などにも取り組んでおります。
また、岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例に基づき、県民の防犯意識の高揚や地域における防犯活動の強化に向けた取り組みを推進しているところであり、安全で安心して暮らすことができる社会を実現するためにも、再犯防止も重要な課題と認識しております。
このため、罪を犯した人の立ち直りを支えることの重要性について、地域で防犯活動に取り組んでいる団体などに対し理解促進を図るほか、地域団体や事業者団体で構成される岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり推進協議会を通じて、県民の理解を深めるなど、関係機関等と連携して再犯防止に取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) ヘリポート整備に係る県教育委員会の対応についてでありますが、新たなヘリポートの盛岡地区での整備に当たり、担当部においては、幅広い候補地を挙げて、専門的かつ技術的な観点などから慎重な検討が進められてきたと承知いたしております。
そのような中で、杜陵高校用地の一部が有力候補地の一つに挙がり、担当部から県教育委員会に協力の打診があったものであります。
県教育委員会といたしましては、学校側との協議を進めながら、学習環境の維持を最優先に、設置候補地の変更の可能性の検討や学校内の設置位置の変更などについて申し入れを行い、協議を行ってきたものでありますが、両部局において検討を重ねた結果、県立中央病院敷地内やその近隣に杜陵高校以外の適地がなく、学校活動への支障を考慮し、当初予定されていたグラウンド内への設置から、現在の格技場を移設し、その位置に変更することとしたことから、その受け入れは、事情やむを得ないと判断したものであります。
今回の案件は、県民の命と教育環境の両立という極めて大事なテーマに向き合うことが求められたことから、慎重にその合意形成に取り組んできたところですが、結果的に学校関係者から議員御指摘のような声か上がったことについては、真摯に反省しなければならないと思っております。
その後、両部局において、改めてPTAや同窓会など学校関係者に御理解をいただくべく今後の方向性の協議をさせていただいたところですが、その結果、一定の御理解をいただいたところであります。
いずれ、今回の経緯等については、合意形成のプロセスとしてさまざまな御意見を頂戴いたしましたので、この経験を今後の教育行政の推進に生かしてまいります。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 本県の犯罪実態の特徴につきまして何点か申し上げます。
まず、刑法犯の認知件数は平成9年をピークに減少傾向にございます。昨年中は4、884件で、戦後最少を記録した前年よりも、さらに231件減少し、平成9年の3分の1以下まで減少しております。
特に、例年刑法犯認知件数の70%以上を占める窃盗犯でございますが、前年と比べて168件減少しております。
しかしながら、昨年は、奥州市内におきます女性被害の殺人死体遺棄事件、あるいはコンビニエンスストアを対象とした強盗事件などの凶悪犯罪が発生しております。
また、窃盗犯の認知件数の減少傾向が続いている一方で、侵入者との鉢合わせによって殺人あるいは強盗などの凶悪犯罪に発展するおそれの高い侵入盗の認知件数が、昨年は増加に転じております。また、特殊詐欺事件の発生は高どまりで推移しているなど、県民の体感治安は改善しているとは言いがたい状況にあると考えます。
なお、刑法犯検挙被疑者の年齢構成でございますが、高齢者の占める割合が増加傾向にあり、中でも万引きは、昨年中は高齢者が全体の約46%を占めております。これは、10年前に比べましてこの比率は約2倍になっておりまして、その傾向が顕著にあらわれているところでございます。
〇25番(木村幸弘君) それでは、何点か再質問させていただきますが、まず最初に、ドクターヘリのこのたびの杜陵高校内への整備についてであります。
今、教育長から御答弁をいただいて、その取り組みのプロセス等において、やはり当該関係者の方々に対する対応が、今回のいろいろな取り組みの中で問題になっていると思っております。
ドクターヘリのヘリポート自体の必要性は、誰もがそのとおり必要だということは当然認識しているわけでありますけれども、しかし、その決定に至っての手続がもう少ししっかりと行われるべきであったし、あるいは杜陵高校でなければならなかったのかという部分について、その決定に向けての十分な説明責任がどうであったのかということが、やはり問われるのではないかと思います。
そうした中で、いろいろと協議は重ねられてきて、今の県の考え方は、聞き及ぶところでは、この場所の変更は考えていないということを含めた説明がされてきているわけでありますけれども、そうした中でドクターヘリヘリポートの整備方針の部分で担当者からお聞きして幾つか感じた部分があります。
それは、一つは、離発着にかかわって、その計画の内容の中で、ドクターヘリのヘリポートという位置づけですけれども、しかし、一般的にはドクターヘリとあわせて、防災ヘリも離発着可能とする構造とするということも考え方の中で示されておりました。
ドクターヘリの騒音等については、私も岩手医大等での離発着の状況なども視察した経過がありますけれども、それに比べると、防災ヘリということになれば、これまた、ドクターヘリと違って、その騒音あるいは振動を含めて大変桁違いの状況が想定されるわけであります。
県側とすれば、いずれ大規模災害あるいは緊急事態のための万が一の場合に対する対応であって、日常的に、あるいはふだんは防災ヘリの離発着はあり得ないという説明を担当者からお聞きしたわけでありますけれども、しかし、現実には、そうは言っても、大規模災害だけではなくて、ドクターヘリの重複出動の要請等を含め、あるいは広い県内ですから、当然さまざまな形で防災ヘリの活用もあり得るわけであります。
そうしたときに、今、説明されている防音対策だけで果たして十分なのかということが疑問として湧いてくるわけでありますけれども、今の県の考え方では、いわゆる窓の二重サッシ化ということが一つの防音対策と言われておりますが、本当にそれで十分に教育環境を維持できることになるのでしょうか。そういった部分では、まだまだ関係者からは、いろいろな対策も含めてもっと慎重に調査をし、そして検討していただかなければならないという声もありますけれども、その点について御所見をお伺いしたいと思います。
それから、警察本部長には、今、県内の犯罪実態の状況について御答弁いただいたところですが、これが県内の犯罪実態にどう適用になっていくかということで、私もちょっとちゅうちょする部分もあるのですが、最近特に、いわゆる暴力団の関係のニュースが全国的に随分騒がれているわけであります。
本県における犯罪実態として、県内の暴力団関係の犯罪状況というのはどのようになっているのか、また、暴力団追放運動などが各市町村を含めたいろいろな形の中で展開されているわけでありますけれども、その実態についてお伺いしたいと思います。
あわせて、実は先日の報道の中で、福岡県が暴力団の壊滅を図るために、いわゆる組からの離脱促進の取り組みとして、離脱者に対する就労支援の仕組みをつくったということで、これには県が一定の助成をしながら、この組から抜けて暴力団を弱体化させていくという取り組みなどで、これも全国の県警等を含めたネットワークの中で、例えば県内で、組を抜けた後、就労ができないとすれば、他の都道府県に移動させてやって、そこで受け入れる態勢をつくるであるとか、そんなことも検討されているということがニュースで報じられました。
こうした実態を踏まえると、本県も、当然、そうした全国レベルの動きの中でさまざまな影響も出てくるのではないかと思いますけれども、県警としては、こうした福岡県の取り組み、あるいは全国の動きをどのように認識しているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 盛岡地区のヘリポート整備に係る防音対策についてでありますが、このヘリポートでは、防災ヘリについては、議員御指摘のとおり、日常的に離着陸するものではなく、基本的には大規模災害時の対応を想定しています。他県でも学校に近接しているドクターヘリのヘリポートで同様の対応となっている施設がありますので、こうした他県の類似施設における防音対策等の対応状況について調査することとしております。
また、現在、いわて花巻空港に隣接する県立花巻農業高校においては、二重サッシ化による防音対策を行うことにより騒音の軽減が図られておりますことから、今回のヘリポート整備においても、これらを参考として必要な防音対策を講じる考えであります。
〇警察本部長(堀誠司君) 県内の暴力団関係犯罪の状況でございますが、昨年の検挙件数及び人員は73件62人と、一昨年に比べまして33件18人のそれぞれ大幅な増加となっております。
犯罪の傾向といたしましては、傷害などの暴力事件、恐喝などの資金源犯罪、そして薬物犯罪による検挙が多い状況にございます。
次に、県内の暴力団追放運動の実態について御説明いたします。
いわゆる暴力団対策法の規定に基づきます公益財団法人岩手県暴力団追放推進センターが、暴力団員による不当な行為の予防に関する広報、啓発活動や、暴力団に関する相談対応などの事業を行っているほか、地域暴力団排除組織16団体、銀行や証券業など職域暴力団排除組織20団体が組織されており、暴力団追放県民大会を開催するなど、暴力団排除活動の中心的な役割をこれらの団体が果たしているところであります。
次に、御質問にございました福岡県等における暴力団離脱者に対する取り組みでございますが、これは、暴力団離脱者が他の都道府県に就業を希望する場合に、関係都道府県警察や暴力追放運動推進センターに協力を求めるなど、広域的な連携体制を充実させるものであると承知しております。
他方で、当県の状況でございますが、先ほど申し上げました岩手県暴力団追放推進センターでは、既に平成8年から暴力団離脱者を雇用した事業者に対する離脱者雇用給付金の支給、平成7年からは暴力団離脱者あるいは離脱しようとしている者に対する更生支援金の交付を、それぞれ事業化しているところでございます。
先ほど申し上げましたように、昨年中の取り締まり強化などにより、県内の暴力団の構成員等の人数が一昨年より25%に減少するとともに、三つの団体を解散、消滅させたところであります。引き続き取り締まりを継続するとともに、先ほど申し上げました離脱・就労支援制度の活用により、暴力団の壊滅、弱体化を進めてまいります。
〇25番(木村幸弘君) ドクターヘリの関係ですけれども、御答弁いただいたとおりなのでしょうけれども、いずれ、実態を十分に調べていく必要があるのだろうと思いますし、今、御答弁いただいた、例えば全国の事例等の中でも、直接、学校敷地内というところでの事例はないわけで、近接する病院の中の敷地を利用して、たまたま100メートル、50メートルの近接地区に学校があるという例は幾つか見られるようでありますけれども、そうした部分との違いも含めて、しっかりと対応が必要ではないかと思います。
もう一つは、花巻農業高校の例が本県の空港周辺の学校という意味でお話をされましたけれども、私は花巻の人間ですから、当然、その実態、状況についてはわかるわけでありますけれども、ただ、空港という航空機の離発着との関係と、ヘリコプターが直上から離発着をする環境とは明らかに違うということ、花巻農業高校と飛行場との距離感は50メートル、100メートルという単位ではないわけです。
騒音の取り組みについても、周辺の住宅地を含めて全て緻密に騒音調査を行って、騒音コンターを引いて、その騒音コンターに基づいて、距離に応じた、天井からの防音対策も含めて、さまざまな対策がとられているわけでありまして、そういった実態を考えると、航空機が数秒、数十秒の間に離発着をする関係性と距離感と環境、今回の学校敷地内の直上で数分かけてホバリングをかけながら離発着をしていくような環境と、そうした本来の違いなども含めてしっかりと調査しながら、関係者に対し十分な説明をすべきであると思いますけれども、改めて御所見があればお伺いしたいと思います。
もう一点、雇用、労働対策の関係についてお伺いしますけれども、先ほど、さまざまな各種施策の中で、継続的な雇用の実態をなかなか把握することは無理だということで御答弁をいただいたわけであります。無論、県とすれば、さまざまな事業を推進する中で、目標値を定め、実績値という形で毎年のその数値化によって評価されているわけでありますけれども、私は、今の雇用の厳しい状況や、あるいは離職者対策などを含めて、具体的に県がどういう手を打っていくのかということを考えるときに、雇用の継続性であるとか、そういった状況がどうなっているのかということも含めて、せっかく県のさまざまな事業を展開しながら助成等を行って、そして、助成が切れたならばあとはわからないということではなくて、そういった任意の協力でもいいですから、積極的にそうした調査を行っていくという姿勢こそが県行政の中では大事なのではないかと思うのです。
そして、事業所との連携を図りながら課題を抽出し、その中で手を打つのなら手を打つ、あるいは事業所からも御意見を聞いていくという形で、そうした雇用対策をしっかりととるべきではないかと思いますけれども、その点について、知事、どうでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 雇用や労働のあり方に関しては、私も、考えれば考えるほど情報が欲しいと思うのですけれども、一方で、それぞれの会社の経営方針であったり、また内部情報であったりもするのですが、いわてで働こう推進協議会というところで、県を挙げて岩手で働いてもらうための議論を深めていきながら、民間の企業、あるいは働いている皆さんもそうですけれども、情報の開示、共有に対して、より協力的になっていただくようお願いをしていきたいと思います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) ヘリポート整備に係る防音対策につきましては、専門家を交え必要な調査を行い、教育委員会及び学校とも相談しながら進めてまいります。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時41分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(1名)
16  番 千 葉   進 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時3分 再開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。小野寺好君。
〔38番小野寺好君登壇〕

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