平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇12番(工藤誠君) 創成いわての工藤誠でございます。
初めての一般質問の登壇であります。一般質問の機会を与えていただきました先輩議員、同僚議員に心から感謝を申し上げます。
昨年の県議会議員選挙で掲げた公約である県北振興を中心とした各分野について、一般質問をさせていただきます。
東日本大震災津波の発災から間もなく5年を迎えようとしています。改めて、犠牲になられた皆様に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。
知事は、さきの演述で、平成28年度は、第2期の本格復興期間の最終年度として、次の期間につながる重要な年であり、実施計画に掲げた事業を確実になし遂げるという意思を込め、本年を本格復興完遂年とし、社会資本の復旧、整備に加え、心と体の健康の問題と将来の不安など、被災者一人一人の抱える課題に寄り添った支援や地域に根差したコミュニティーの再生など、今後一層重要性を増す課題にも取り組むと述べられているように、多くの課題があるとは思われますが、あらゆる観点で復興をなし遂げなければならないと考えております。
また、今後の急激な人口減少に歯どめをかけるための地方創生の推進やTPPの大筋合意を受けての農業分野の対応強化、さらには、釜石市でのラグビーワールドカップ2019の開催やILC―国際リニアコライダーの誘致、そして、最後に述べますが、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録など、大きな県政課題が山積しております。
特にも、平成28年度は本格復興完遂年であるとともに、既に冬季国体は県勢の大活躍の中で無事に終わりましたが、完全国体開催年という大きな節目の年であります。我々議員、執行部も含め、県民が一丸となってこの1年を乗り越えなければならないという強い思いでおるところであります。
それでは、質問に入ります。
知事は、これまで、希望郷いわての実現をマニフェストに掲げて県政運営に取り組んでこられました。そこで、知事が2期8年間、各種施策の実施によって県民が希望郷いわてをどの程度実感しているのかということについて、どのように認識されているか伺います。
また、3期目において、希望郷いわての実現に向けて最も必要な施策は何であるとお考えになっておられるのか、その施策をどのような姿勢で推進されようと考えておられるのかについても伺います。
次に、県北振興について伺います。
知事は演述において、県北地域において、地域を牽引している食産業やアパレル産業における販路拡大や認知度向上の取り組みを強化するなど、地域の特性を生かした産業振興を後押ししますと述べられました。
知事は2期8年、県内をくまなくめぐり、その地域性や産業を見、多くの県民とも対話されてきたことと思います。
昨年12月16日には県政懇談会が二戸地区で開催されました。また、同日、県北・沿岸振興本部主催の現地県北振興会議も開催され、各分野で活躍されている方々と地域の特徴的な産業の振興、若者女性の活躍支援をテーマに、知事や本部長である副知事、各部局長と意見交換が行われました。前日には県民と県議会の意見交換会が、医療・福祉・介護の連携による安心して暮らせる地域づくりについてをテーマに、同じく二戸地区で開催されたところでもあります。
全ての会議に私は出席させていただきましたが、意欲的にそれぞれの分野で活躍されている方々から貴重な御意見が出されて、有意義だったと受けとめております。
四国4県に匹敵する本県は広大であり、県南、県央、県北、沿岸とそれぞれ特徴があり、産業振興などで発展する方向は違うとは思いますが、県北・沿岸の発展なくして岩手の発展はないというこれまでの知事の発言を踏まえて、今後、特にも県北発展を県勢発展の中でどういう位置づけをされていくのか、今後どういう役割を期待し施策を展開されるのか、お考えを伺います。
また、平成17年度に県北・沿岸振興本部が設置されて以来10年が経過したわけでありますが、これまでの各種施策の取り組みについての実績と評価、そして、今後の活動の方向性について伺いたいと思います。
さて、今、県北の地域資源を活用した雇用の場としては、農業、ブロイラー産業、アパレル産業が中心となっております。これらは成長産業として支援していくべきでありますが、企業誘致については、必ずしも順調に実績が上がっていないというのが現実であります。
若者の減少が特にも大きい県北地区において、若者の地元定着を推進するような企業誘致対策について、どのように考えているか伺います。
一方、年末の12月29日の岩手日報紙には、県北地方に住む者としては非常にうれしい記事がカラー写真とともに掲載されておりました。浄法寺漆皇居に輝きという見出しで、皇居正門の改修に漆生産量日本一を誇る二戸市の浄法寺漆が90キログラム出荷され、京都府の職人が下地から仕上げまで行ったとのことであります。
また、一戸町鳥越の竹細工は、BS放送のイッピンという番組で放送されてから、多くの注文が来ており、その注文に対応できないということも聞いております。
いずれも県北を代表する伝統産業であり、後世にしっかりと伝えていかなければならないものでありますが、後継者不足や漆の原木不足などの問題もあり、今後の継続が心配されるところでもあります。
そこで、県としては、これら県北の伝統産業として受け継がれてきた漆産業や竹細工産業などを今後も成長させるために、どういう施策が必要と考えておられるのか、地元自治体とどのような連携をとっていこうと考えておられるのかお伺いしたいと思います。
次に、農業振興についてお伺いします。
岩手県の農業は、生産額においては平成26年産で2、352億円、全国では11番目であり、県内産業別の生産額としては農林水産業全体で6番目となっておりますが、食料の安定生産、環境保全などの面から考えるとき、数字だけでははかれない大きな役割を担っております。
そのような観点からも今後も基幹産業として支援していかなければなりませんが、TPP問題などの影響が不透明な中で、農業を取り巻く状況は非常に厳しいものがあると認識しておりますし、農家の方々も不安を持っているのが実情だと思います。
特にも中山間地の多い県北内陸部では、米については、いろいろな問題があるにしろ農業生産の中心でありますが、その状況を見ますと、水田の基盤整備が進んでいない地域が数多く点在しています。
県北地方も農業が基幹産業となっておりますので、今後も農業を発展させるためには圃場整備事業が必要であることから、現在、二戸地域では2カ所で圃場整備事業が実施されておりますが、予算の配分状況によっては完成時期がおくれるということで、農家の方々は非常に心配しております。
そこで、圃場整備事業に関する平成27年度の予算の状況とTPP関連対策の補正を含めた平成28年度執行予算の確保の見通し、新規採択の要望状況について伺います。また、今後の事業推進をどう図っていくのかについてもあわせて伺います。
また、県北内陸部では、土地利用型の大規模面積で生産するレタスなどの高冷地野菜のほかに、小規模面積で高収益を上げるトマト、ホウレンソウなどの野菜、そして、リンドウなどの花卉類や果樹の生産に取り組んでおります。
そこで、今後も収益性の向上を図るため土地改良事業に取り組んでいく必要があると考えますが、土地改良事業をどのように推進していくのか、県の考えをお伺いします。
次に、葉たばこ振興についてでありますが、岩手県の葉たばこ生産は、平成26年産において、販売代金約43億円、販売面積約953ヘクタールで、全国でともに第3位、販売人員は1、199人で第1位となっています。最盛期には県全体で200億円を超える生産があり、中でも県北地方は多くの生産に取り組んでおりましたが、健康志向の高まりや後継者の問題などで耕作面積は減少してきたものの、まだまだ大きな存在であると思います。
そこで、今後、県としてこの葉たばこ振興についてどのようなお考えのもとに、どのような支援を行おうとしているのか伺いたいと思います。
次に、道路整備について伺います。
県内の道路延長は、国道、19路線1、789.3キロメートル、県道、247路線2、982.1キロメートル、市町村道、5万3、956路線2万8、366.4キロメートルとなっておりますが、依然として毎年の市町村からの統一要望では、道路整備を求める内容がトップを占めているということでありました。
また、県は、今般、岩手県国土強靱化地域計画を策定されました。東日本大震災津波という大災害を経験した県民としては、今後、この強靱化地域計画をしっかりと実行してほしいわけでありますが、具体的内容として6分野34の重点施策が盛り込まれております。私は、その中でも特に国土保全、交通分野の道路施設の整備等においては、さらにもっと踏み込んでいくべきではないかと思っております。
改めて申すまでもなく、道路は、日々の生活を営む上で必要不可欠なものであり、また、物流、防災上の観点からも常に整備が行われていくべきと考えるものであります。
このような状況を踏まえ、県は、県管理道路の整備に当たって、毎年の各市町村の要望をどのように受けとめ、どのような優先順位で整備を行っていこうと考えているのかお聞かせください。
また、現在、県北における県の街路事業の進捗状況等をお伺いしたいと思います。
さらに、圃場整備事業と一体に整備することになっている一般県道一戸浄法寺線中里工区の着工時期と完成時期の見通しについてもお伺いします。
次に、地域医療について伺います。
岩手県は、県立病院20カ所、地域診療センター6カ所を持つ全国でも特別な県だと言われております。しかしながら、医師不足は深刻であり、これまでも、県が先頭に立って医師確保や奨学金制度による医師養成に取り組んできたことにつきましては、一定の評価をするものであります。
2月3日の報道では、県の奨学金養成医師13人が公的病院に勤務へということで、平成28年度には研修を終えて県立病院に配置されるとのことです。県民としては医師不足の改善に大きな期待を寄せているとともに、不安もあるものです。それは、配置順序は、基幹病院を先行し、地域病院はその後になるというものでありました。
基本的に、基幹病院は多くの診療科がそろっているわけですが、県立病院群の一体的運営のもと、地域の初期医療等を担う地域病院では、基本診療科である内科、外科以外のものについては、主に県立病院間や大学等からの診療応援により対応している状況にあります。
このことに配慮していただき、配置数を相対的には基幹病院を多くすることは仕方ないにしても、地域病院へも配置していくべきと思うところでありますが、県の考えを伺うものであります。
また、脳卒中の発症率が日本一という本県にとって、各種予防施策を実施することは言うまでもありませんが、回復期のリハビリテーション体制をしっかりと組むことが重要であります。
県北にはその施設は少なく、その役割を県立病院が担い、強化する必要があるのでないかと思われますが、県立病院の理学療法士や作業療法士等の配置状況も含めて、当局としてはどのように受けとめ、対応されるのか伺います。
次に、地域医療構想について伺います。県は昨年11月26日、2014年の病床数1万3、859床を2025年時点で必要な病床数1万676床とし、2014年比で3、183床、23%削減する地域医療構想の素案を県医療審議会医療計画部会に示したと報道されました。
地域医療構想は、高齢化を踏まえて限られた医療資源を効率的に活用し、医療費の抑制につなげることが狙いであると考えられ、素案によると、今後は、病床機能の転換や在宅医療への移行を目指すとなっています。そこで、医療圏によっては必要病床数が現状の病床数の半分程度と推計されているところもあり、また、在宅医療が地域全体として整備されていないところもある中で、果たして十分な県民の医療環境を確保できるのか非常に懸念されるところであります。
そこで、最終案の取りまとめに当たって、各医療圏でどのような意見が出されたのか。主要な論点は何だったのか。また、慢性期の医療需要の一部を県は特別養護老人ホームや在宅医療等で対応する必要性があるとしているようですが、特にも在宅医療の体制は十分構築されているのか伺います。
次に、人口減少対策について伺います。
年末の12月28日に、県は、平成27年10月1日現在で実施された国勢調査の速報値を発表しました。県全体の人口は127万9、814人となっており、5年前の前回調査から5万333人、3.8%の減少となっています。震災被害の大きかった沿岸12市町村は2万2、761人、8.3%の減少で、減少数、減少率とも戦後最大となったとのことであります。33市町村中、増加となったのは3市町のみであり、残りは、減少幅に違いはあるものの全て減少しているという実態となっています。
人口減少については、国立社会保障・人口問題研究所の推計や日本創成会議の提言を見れば、予想されていた数字と言うことができると受けとめておりますが、やはり実態として数値が示されれば、本格的な人口減少時代が到来したのではないかという実感を持っております。
そこで、既に県は人口減少対策として、まち・ひと・しごと創生法に基づく人口ビジョンとふるさと振興総合戦略を策定し、今後5年間で各種施策を実施するわけでありますが、実質初年度となる平成28年度における具体的な取り組み内容と予算措置、そして、全市町村も総合戦略を年度内に策定するわけでありますが、その内容との連携について伺います。
また、人口減少対策には特効薬はないと思いますが、私の考えは、やはり若い世代を支援すべきではないかと考えています。社会減の原因として、県内に若者にとって魅力のある働く場が少ないということがあるのではないかと思われます。有効求人倍率は1を超えていますが、求職と求人のミスマッチもあり、なかなか地元定着が進まない状況です。
県はいろいろ努力されていると思いますが、例えば、若者がどういう職種を希望しているのか、アンケート調査などを行い、その上でどういう職種の企業誘致や地場産業の育成を図っていくべきか検討すべきだと思います。その結果として、若者の雇用促進と定住が図られるのではないかと思うのですが、御所見を伺います。
過日、私が所属します商工文教委員会の県内調査で、県立大学における学生の就職支援について調査したところですが、卒業生の県内就職率は、平成26年度では、看護学部44%、社会福祉学部63.7%、ソフトウェア情報学部27.2%、総合政策学部43%であり、4学部では44.5%と半数以下となっています。
大学としても各種の取り組みをされ県内就職を進めているということでしたが、地域の中核人材育成と活力創出に貢献する大学へという目標を掲げている県立大学に、県民は大きな期待を持っています。今後さらに県内就職を高めていく方策について、どのように考えているか伺います。
また、学生は各種奨学金を利用していると思われますが、大学独自の奨学金では、県内就職をした場合、所定の年数に応じて返還免除の制度があると聞いております。この制度について、県内就職をさらにふやすという観点から、貸与人数をふやすとか、貸与金額の引き上げなどについて検討するお考えはないかについても、あわせて伺います。
次に、県立高校再編計画について伺います。
県は12月25日、今後5年間にわたる新たな県立高校再編案を公表したところです。3地区での学校統合や34校で39学級を削減するなど、減少する中学校卒業者の動向を踏まえて、地域説明会などで出された意見をもとにまとめた結果であり、地域にとって唯一の高等教育機関の存続を望む地域住民の意見を配慮したものであることは、ある程度理解できるところであります。
しかしながら、今回の見直しで最も大事なことは、今後の岩手県の高校教育をどのように進めていくかということではないかと考えるものです。さらに減少する中学校卒業者の状況を見れば、統合や学科再編もやむを得ないという面はありますが、普通高校、専門高校、総合学科高校をどのように配置するのか、教育の質をどのように高めるのか、県立高校と私立高校との役割をどう捉えるのか、地域との連携をどのように図るのか、進学率や地元就職率をどのように高めるのかという本質的な部分について、地域説明会や県民説明会などを通じて、県教育委員会の考えが県民から十分理解を得られたと認識しているのかどうか伺います。
また、平成33年度からの後期計画は、現状からすると、前期以上の非常に厳しい学校統合や学級減が予想されるところであります。
5年後とはいえ、前期計画がスタートしたならば、早い時期から対応を検討し、自治体や住民の理解を得ていく必要があると思いますが、そのことについて現時点でどのように考えているかも、あわせてお伺いしたいと思います。
次に、縄文遺跡群の世界文化遺産登録についてお伺いします。
まず、2月10日の報道では、政府は9日、世界文化遺産登録を目指していた長崎の教会群とキリスト教関連遺産の推薦を一時取り下げることを閣議了解した、そして、イコモスが推薦内容の見直しを求めたため、ことしの登録を断念したとのことでありました。
そこで、県としては、この推薦取り下げが一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録に向けて、今後どのような影響を及ぼすかということについて、現時点でのお考えを伺います。
縄文遺跡群は、平成21年に暫定リストに登録されて以来、国内推薦となるべく努力を重ねてきたところでありますが、3年連続して国内推薦は見送られたところであります。理由はいろいろあったわけですが、その大きなものとして、構成18資産全て一緒の推薦は厳しいという指摘が文化庁や専門家からもあり、遺跡の絞り込みの検討が行われていたところであります。
その結果、12月26日に開催された北海道・北東北の縄文遺跡群世界遺産登録推進本部の会合において、18資産から16資産に絞り込むことを決定し、4道県16資産で平成28年の国内推薦に向け、今月中に推薦書案の改訂版を提出するということであります。
今回18資産から16資産に絞り込むことで一つの課題が解消されたことと思いますが、これまでに専門家や文化庁から構成資産の絞り込み以外の検討課題も出されていたと思われますが、そのことについての検討状況と結論はどうなっているのでしょうか。また、登録に向けた今後の見通しについても伺います。
岩手県から唯一、一戸町の御所野遺跡が選ばれており、早くから町民挙げて世界文化遺産登録に向けた各種施策の実施、町民運動の盛り上げを図ってまいりましたが、今後、県内全域に向けて、このことについての機運の醸成が必要でありますが、その取り組みが弱いように感じますし、全国に向けての発信も、4道県が協力してもっと積極的な取り組みが必要であると考えますが、今後、県としてどのような啓発事業を展開していくのか、このことについても伺います。
また、岩手県は、平成23年に平泉、平成27年に橋野鉄鉱山と二つの世界遺産が登録されております。御所野遺跡が登録されれば、三つの世界遺産を持つ全国でトップの県となります。しかも、三つの世界遺産は、それぞれ県南、沿岸、県北に位置することになり、これらの遺産の活用をいかに図っていくかということが、文化面はもとより観光や地域の活性化を図る上で極めて重要だと考えております。
縄文遺跡の世界文化遺産登録を見据えた三つの世界遺産を中心とする岩手県の今後の発展をどのようにお考えになっているか伺います。
ことしは何としても国内推薦をかち取り、岩手県三つ目の世界遺産となるように、そして、そのことが震災被災者に新たな希望の光となることを皆さんとともに願いまして、私の一般質問を終わります。
なお、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤誠議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、希望郷いわての実現についてでありますが、平成19年に知事に就任して以来、県民一人一人が希望を持つことができ、希望があふれる岩手の実現を目指して県政執行に当たってまいりましたが、平成23年3月に発災した東日本大震災津波以降は、その思いに加えて、復興を願う被災者の皆様の思いに応えることを常に念頭に置いて県政の推進に努めてきたところであります。
その結果、求人不足の解消や1人当たり県民所得の平成22年度以降4年連続の向上など、本県が直面する重要課題についても成果が出ているところです。
また、県民意識調査における生活全般に対する満足度などからも、いわて県民計画が描く目指す姿に着実に近づいているものと考えておりまして、今後は、今般策定しました第3期アクションプランを推進し、復興をゴールに向かって進めるとともにふるさと振興を軌道に乗せ、希望郷いわてへの道筋をより確かなものとしてまいります。
このため、復興の取り組みを着実に推進し、アクションプランに掲げる県内就職の促進や創業の支援、結婚支援や保育サービスの拡充など、人口の社会減の縮小と出生率の向上に向けた取り組み、長期、安定的な雇用の創出など雇用の量の確保に加え、労働環境の改善を初めとした雇用の質の向上に向けた取り組みなどを積極的に展開し、人口、県民所得、雇用環境、地域医療等、七つの政策推進目標の達成を目指してまいります。
こうした取り組みは、県民の切実な要望に応え、今、目の前にある課題を解決する取り組みにほかならず、人間一人一人を大切にする人間本位の取り組みを進めて、希望郷いわての実現に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、県北振興についてでありますが、これまで、県北・沿岸の発展なくして岩手の発展はあり得ないとう基本的な考え方のもと、県北・沿岸振興を県政の最重要課題として位置づけ、全庁を挙げて取り組んでまいりました。
県北地域は、冷涼な気候を生かした大規模な園芸や、いわて短角和牛などの安全・安心で魅力的な農産物を初め、漆に代表される伝統に培われた文化や歴史、農山村の暮らし、さらには食産業やアパレル産業の企業集積、精密板金加工や腕時計組み立てなどの製造企業の立地などすぐれた特色ある地域資源を有しており、これらの価値をさらに磨き上げ、発信していくことが期待されています。
一方で、県北地域の人口減少率は県平均を上回る状況が続いており、若者の地元定着のための産業振興や雇用機会の確保、U・Iターン等の人口減少対策を重点的に実施する必要があります。
このことから、県としては、市町村を初め関係団体、企業等との連携を強化し、地域と一体となって、新幹線や高速自動車道などの交通ネットワークを生かしながら、地域資源を最大限に活用した産業の振興と魅力ある地域づくりに取り組んでまいります。
次に、県北・沿岸振興の評価と今後の方向性についてでありますが、県北・沿岸振興本部を設置した平成18年1月以降、食品関連産業や造船業など15社の立地による新規雇用が創出されたほか、農林水産物のブランド化や販路の拡大など食産業の振興が図られてきているところです。
また、市町村民所得推計による県北地域の1人当たりの市町村民所得は、県平均を100とした水準では、平成17年度の84.7から、平成25年度は92.7へ8ポイント上昇し、所得格差の解消に一定の成果があらわれているものと認識しております。
さらに、最近では、企業の主体的な取り組みとしての北いわてアパレル産業振興会の設立や、健康食品や鶏肉の食品製造企業、電気機械製造企業の製造設備の増強、郷土の英雄である戦国武将九戸政実公を活用した地域づくりなど、県北地域のすぐれた地域資源を生かした企業や地域の主体的な取り組みが展開されてきているところです。
今後におきましても、県北地域を牽引している食産業やアパレル産業など、地域の特性を生かした産業振興の推進を中心として、これまで以上に市町村を初め関係団体、企業等と連携を強化して、地域の主体性を生かしながら県北地域の一層の振興に取り組んでまいります。
次に、人口減少対策についてですが、平成28年度は、昨年策定した総合戦略を実行に移していく重要な年であり、当初予算案には、ふるさと振興の三つの柱を推進する320事業、約1、900億円の関連予算を盛り込んだところであります。
具体的な取り組みとして、まず、岩手で働くでは、いわてで働こう推進協議会による若者や女性の県内就職等の促進、首都圏の移住相談窓口の拡充によるU・Iターン対策の強化など、岩手で育てるでは、“いきいき岩手”結婚サポートセンター―i-サポを通じた出会い、結婚支援、そして医療費の現物給付の実施など、岩手で暮らすでは、再生可能エネルギーの導入促進、脳卒中等生活習慣病予防の推進、グローバル人材の育成などを盛り込んで、ふるさと振興を軌道に乗せてまいります。
これらの総合戦略に掲げる取り組みの推進には、地域づくりを主体的に担う市町村との連携が重要でありますことから、引き続き幅広く意見交換を行ってまいります。
一人一人のニーズに応じた移住、定住の促進施策や、若い世代の出会い、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた切れ目のない支援施策など、県、市町村の総合戦略で掲げる施策が効果的に発揮されるよう、十分に連携を図りながら取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、県北地域の企業誘致についてでありますが、県北地域におきましては、地域資源を活用した食産業や電子部品産業、造船業などを重点業種として誘致に取り組んだ結果、二戸市には健康食品製造の夢実耕望や焼き鳥加工の日本一フード、久慈市では盛岡東京電波や北日本造船など、地域産業の中核となり得る企業を誘致したところです。また、十文字チキンカンパニーが久慈市に国内最大規模の鶏肉加工工場の増設を決定するなど、地場企業の規模拡大の支援も行ってきたところであり、引き続き、県北地域の特性を生かした企業誘致や、地場企業も含めた企業の事業拡大の支援を積極的に行っていきます。
なお、これらの企業は、若者を含む県北地域の雇用の受け皿として順調に業績を伸ばしているところでありますが、現在、人材確保が難しい状況となっており、さらなる事業拡大を図るためには、地元の若者を中心に地域全体で人材を確保することが重要と考えております。
各企業では、製品開発や企画部門など若者の活躍を期待する職場も多いことから、地元市町村などとも連携し、小学生の段階から地元企業を理解する取り組みや、若者にとって魅力ある職場となるような支援を一層進めてまいります。
次に、伝統産業施策についてでありますが、県北地域には、漆産業や竹細工産業等、多様な地域資源と伝統的な技術に育まれた伝統産業が受け継がれ、近年、全国的にも注目度が増してきている一方で、後継者不足や原材料の確保など、今後の成長に向けた課題もあるところです。
これまで、県では、持続可能な経営体として育成するとともに、若者にも魅力が感じられる産業となるよう、まずもって安定的な販路の確保とさらなる拡大が必要との認識から、首都圏百貨店との連携による展示販売会の開催などを通じて支援をしてきたところです。また、漆原木の植栽に対する補助や保育管理に関する研修会の開催など、原材料の増産や安定供給に向けた取り組みも進めてきたところです。
地域に根差した伝統産業として今後も成長させていくためには、地元市町村が有する産業振興に関する基本的考え等を共有、連携し、効果的な振興策を展開していくことが必要と考えており、こうした連携の中で、担い手の確保、経営人材の育成への支援など、引き続き取り組んでいきます。
次に、若者の雇用促進と定住についてでありますが、若者の雇用を促進するため、地域特性に応じた産業の集積や高度化に向け、企業誘致や地場企業の育成に取り組んでいるところです。
そのような中、例えば、二戸市の夢実耕望は、平成13年に新卒高校生7名でスタートしたものが、企業内保育所の設置による労働環境の向上や取引拡大を積極的に進めてきた結果、現在では若者を中心に100名を超える企業に成長したところです。先月竣工した同社の流通センター開所式では、若い社員が企画し、経営者と社員が一丸となったおもてなしを行い、招待者から高い評価を得たところです。
このように、県内には若者が生き生きと働く企業も多くありますことから、こうした魅力ある企業を知ってもらう取り組みをさらに進めていく必要があると考えており、地元市町村などとも連携し、小学生の段階から地元企業を理解する取り組みや、若者にとって魅力ある職場となるような支援を一層進めていきます。
なお、若者のニーズ把握の手法につきましては、アンケートも含めて、引き続き研究してまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、圃場整備事業の予算の状況等についてでありますが、平成27年度の県の当初予算では対前年比12%増の52億2、000万円を措置したところでありましたが、全国的な整備ニーズの高まり等により、国からの配分額は35億9、000万円と県の予算額を約16億円下回ったことから、地域からの整備要望に十分応えることができなかったところであります。
平成28年度は、当初予算案の48億5、000万円とTPP関連の2月補正予算25億9、000万円を合わせまして、平成27年度当初予算対比で42%増となります74億4、000万円を計上しているところでありまして、全額を確保したいと考えております。
また、今後5年間で事業導入を計画している地区は、二戸市の福田地区を初め57地区に上っており、過去5年間の採択地区数の2倍強となっております。
県としましては、地域から寄せられている多くの整備要望に応えるため、水田整備がおくれております本県の実情を国へ強く訴えながら予算の確保に努めますとともに、圃場条件に応じたきめ細かな基盤整備と担い手への農地集積を一体的に進め、農地の有効活用や農業経営の効率化が図られるよう取り組んでまいります。
次に、土地改良事業の推進についてでありますが、本県農業が地域経済を支える基幹産業の一つとして持続的な発展を図っていくためには、地域農業の核となる担い手の確保、育成とともに、生産性、収益性の高い農業の実現に資する生産基盤の整備など、土地改良事業を着実に進めていく必要があると考えております。
このため、県では、担い手の明確化や農地集積などを支援しながら、水田の大区画化、汎用化や、園芸作物の生産が盛んな県北地方における畑地かんがいの導入など、地域の立地特性やニーズを踏まえた基盤整備に取り組んでおります。
今後におきましても、必要な予算の確保に努めますとともに、平地地域での大区画化や中山間地域でのきめ細かな基盤整備など、地域の実情を勘案しながら土地改良事業を計画的に推進していくこととしております。
次に、葉たばこ振興についてでありますが、葉たばこは、契約栽培により安定した収益が得られますことから、本県の中山間地域において高収益が確保できる重要な作物でありますが、近年、耕作者の高齢化や喫煙率の低下などに伴いまして、耕作者数、耕作面積ともに減少を続けております。
県では、これまで、耕作者の経営の安定に向けまして、適正な買い入れ価格の設定や耕作面積の確保などを、全国葉たばこ生産県知事協議会を通じて国や日本たばこ産業株式会社に要請しますとともに、生産性の向上につながる省力機械の導入支援などを行ってきております。
今後、これまでの取り組みに加えまして、県たばこ耕作組合等と連携しまして、若手、女性耕作者みずからが行います葉たばこ生産の魅力のPR活動を支援するなど新規耕作者の確保に努めますとともに、意欲ある耕作者の規模拡大を支援し、全国トップクラスの葉たばこ産地として、引き続き振興を図ってまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) まず、県管理道路の整備についてでありますが、毎年、各市町村のほか地域の関係団体の皆様から道路整備に関する要望を数多くいただいているところであり、今年度はこれまでに県管理道路100路線について338件の整備要望をいただいております。このうち、事業中箇所に関するものなど実現に向けて努力しているものが138件、当面は実現が難しいとしているものが200件となっているところです。
県道等の整備については、いまだ十分とは言えない状況にある一方で、橋梁を初めとする社会資本の老朽化等に伴い、維持、更新費用の増大が見込まれるなど、新たな道路整備に投入できる予算は限られてくるものと考えております。
このため、道路整備に当たっては、関連する他事業等も考慮しながら、県の公共事業評価制度に基づき箇所の選定や重点化を図っているところであり、今後とも、地域からの御要望に丁寧に耳を傾けながら、効率的、効果的な道路整備を推進してまいります。
次に、県北における街路事業についてでありますが、県では、二戸市において、老朽化の著しい都市計画道路荒瀬上田面線の岩谷橋について平成22年度より橋梁かけかえ事業に着手しており、平成28年度は、引き続き用地補償を進めるとともに、工事用道路となる市道の拡幅工事に着手する予定としています。
また、一戸町においては、IGRいわて銀河鉄道と交差する都市計画道路上野西法寺線の街路計画を検討しており、引き続き一戸町と連携しながら関係機関協議や地元説明を進めるとともに、都市計画変更手続などに必要な調査を継続してまいります。
次に、一般県道一戸浄法寺線中里工区についてでありますが、線形の改良や道路の拡幅による安全の確保を目的として平成25年度に事業着手し、本年度から、鳥海地区圃場整備事業との調整を図りながら、これと隣接する区間において道路事業用地を確保するための創設換地の手続を進めているところです。
今後、用地取得を進めながら、平成28年度の一部着工を目指し、早期の完成に向けて事業を推進してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、奨学金養成医師の配置についてでありますが、養成医師の配置に当たっては、良医を育て、質の高い地域医療の確保に寄与することを基本理念として、配置調整に関する基本方針に基づき、基幹病院と中小医療機関にそれぞれ一定期間配置することとしており、養成医師のキャリア形成の観点から、基幹病院に先行して配置することとしているものです。
具体的な配置については、医療局及び国保連の奨学金制度の養成医師は、最初に公的基幹病院に2年間配置した後、3年目から中小規模を含む医療機関に配置することとしており、義務履行期間の長い地域枠の養成医師は、最初の2年間は公的基幹病院に配置し、次の2年間は公的基幹病院に勤務しながら中小医療機関への診療応援を行い、5年目から中小規模を含む医療機関に配置することとしています。
こうした中小医療機関での勤務に備え、最初に配置する公的基幹病院では患者に第一線で接し、専門分野のみならず幅広い症状や疾病等にも対応できる総合診療スキルの習得を目指した研修を実施することとしております。
次に、地域医療構想についてでありますが、県医療審議会で審議した素案について、九つの二次保健医療圏で意見聴取を行っている中で、将来の医療需要に応じた医療提供体制をどのように確保していくかを主な論点として、病床機能ごとの必要病床数の妥当性や、地域の実情に応じた在宅医療の体制整備の必要性等について意見があったところです。
これらに加え、関係団体やパブリックコメントの意見も踏まえ、現在取りまとめている最終案では、必要病床数は、それに向けて直ちに病床を削減するものではなく、医療機関の自主的な取り組みによって、将来の医療需要に応じたあるべき医療提供体制を検討するためのものであると位置づけております。
また、将来の在宅医療等の需要については、法令で定められた算定式に基づき、慢性期病床の需要の一部を在宅医療等に移行する前提で算定したところですが、本県の在宅医療等の提供体制については、その中心的役割を担う在宅療養支援診療所などの届け出医療機関数が全国平均を下回っているほか、地域によって取り組みに差があるなどの状況にありますことから、今後、高齢化や医療、介護資源の状況が異なるなどの地域の実情を踏まえて在宅医療等の体制整備に取り組んでいくこととしております。
構想の策定後は、地域における協議を踏まえながら、病床機能の分化と連携の推進や在宅医療等の体制整備などを重点的に進め、将来の医療需要に応じた医療提供体制の構築に取り組んでまいります。
〔医療局長八重樫幸治君登壇〕
〇医療局長(八重樫幸治君) 県北地域における県立病院のリハビリテーション体制についてでありますが、回復期リハビリテーション病棟を有する医療機関は県内に13病院、うち県立病院は2病院となっており、地域ごとに見ると、盛岡保健医療圏に7病院と集中している一方で、県北地域は県立久慈病院のみとなっています。
県立病院における理学療法士等の配置状況については、平成27年度は134人と、5年前の平成22年度と比較して34人増員しているところであり、県北の二戸、久慈圏域においても32人と、5年前より6人増員しております。
また、岩手県立病院等の経営計画の中で、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の増員により、早期リハビリテーションや365日リハビリテーションへの対応など、リハビリテーション提供体制を強化することとしているところであります。
今年度策定される地域医療構想を推進するため、構想区域ごとに設置する協議の場において、機能の分化と連携、医療従事者の確保等について協議することとされていることから、医療局としても、地域における協議などを踏まえて、県北地域のリハビリテーション体制の強化にしっかりと対応していきたいと考えています。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 県立大学の県内就職に向けた取り組みについてでありますが、これまで県立大学では、県内就職率の向上に向けて、地元企業等への訪問によるニーズ把握や就職先の開拓に努めるとともに、学生に対しては、企業見学会への参加奨励や県内他大学等との大学間連携によるインターンシップへの参加促進に努めてきたところであります。
また、昨年9月に、地(知)の拠点大学―COC大学として文部科学省の認定を受け、今年度から、岩手大学等と連携し、卒業生の地域定着や雇用創出を目的としたふるさといわて創造プロジェクトに5年間で取り組むこととなっております。
今後も、同プロジェクトを活用し、県内経済団体と連携した企業見学会など地域企業等の魅力向上への取り組みや、産学連携による共同研究の促進等の取り組みを展開し、県立大学はもとより、参加他大学とともに、より強力に進めることとしております。
県としては、同プロジェクトの参加自治体として構成関係機関と一体的に取り組んでまいります。
また、奨学金を活用した学生の地元定着の取り組みについては、いわてで働こう推進協議会の構成員など産業界や関係団体と連携しながら検討を進めていくところであり、その動向を踏まえ、県立大学独自の奨学金である学業奨励金の制度、運用について県立大学と意見交換をしてまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 世界遺産を活用した取り組みについてでありますが、本県には、県南部に自立と共生の理念を今日に体現する平泉の文化遺産、沿岸部に日本の近代化路線を先取りし先進性を示す橋野鉄鉱山があり、日本の歴史に岩手が果たした役割の重要性を示す貴重な遺産と考えております。
県では、橋野鉄鉱山が世界遺産に登録されたことに伴い、知事を本部長とする世界遺産事業に関する推進本部を改組し、両遺産に係る取り組みを一層強化することとしたところであります。
本部においては、両遺産の持つ価値の普及や浸透、遺産の保存、管理、調査研究、遺産を活用した観光入り込み客数の拡大と物産等の振興の視点ごとに整理、点検し、部局横断で取り組みを進めているところであります。
現在、県北部の北海道・北東北の縄文遺跡群の御所野遺跡の登録を目指した取り組みが進められておりますが、これが登録になれば、縄文から平安、近代という長い歴史において、本県遺産が有する価値のアピールにつながるとともに、多様な観光ルートの設定が可能になるなど、県内各圏域に広くその効果が及び、観光振興を中心として本県全体の活性化が期待されております。
また、来年度、全国の世界遺産所在自治体やさまざまな専門家、地域リーダー等を招いての世界遺産サミットを本県で開催することとしており、その現地視察において、平泉の文化遺産、橋野鉄鉱山、御所野遺跡の3コースを予定するなど、複数の世界遺産を持つ本県の魅力を県内外に積極的にアピールしてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 新たな県立高等学校再編計画案に対する地域の理解についてでありますが、県教育委員会におきましては、高校再編に向けた検討を再開して以来、県内各ブロックごとの意見交換を重点的に実施し、それぞれの学校や地域全体での学校配置のあり方、さらには、地域との連携のあり方など、多面的な議論を重ねてきたところでございます。
このような中で、地域の高校の存続を求める意見や、一定の統合はやむを得ないが、その場合でもブロック内での生徒の選択肢を確保してほしいといったような御意見を多くいただいてまいりました。
このような経過を経て、昨年12月に公表した高校再編計画案では、望ましい学校規模の確保による学びの質の保証と本県の地理的条件等を踏まえた学びの機会の保障の観点を重視し、前期計画においては、小規模校の存続や統合対象校における校舎制の導入とあわせ、学級減を中心に学級数調整を行うことなどを再編の大きな柱としたところでございます。
これまで行ってきた地域検討会議においては、小規模校への対応や学校と地域との連携のあり方等について率直な意見交換を行ってきたところであり、学校統合の対象とした地域からは、拙速に進めないでほしいといった意向が示されておりますが、1学級校も特例として認めたことや1学級校の存続基準を明示したことなど、再編計画案の基本としている地域の高校をできる限り存続させる考え方には、総体的に一定の御理解をいただいているものと認識しております。
今般の前期計画案においては、一部の学校の統合と学級減を中心としておりますが、再編計画を推進していく中で、具体的な学科のあり方や地域と高校との連携等について、学校関係者等との十分な協議を進め、丁寧な対応を図っていく考えであります。
次に、後期計画の方向性についてでありますが、現段階におきましては、まずは、公表している新たな高校再編計画案の年度内の成案化に向け取り組んでいくことが大事であると考えております。
後期計画の策定につきましては、今後の地方創生の取り組み等により流動的な面はありますが、平成30年度から平成33年度にかけて中学校卒業者数の大幅な減少が見込まれており、仮に高校への入学者数の状況がこれまでの推移と同様の傾向で進むとすれば、後期計画においては、さらなる統合や学級減の検討も必要になるものと考えております。
再編計画策定後においては、今後とも、関係者間での合意形成を図りながら、前期計画の着実な実施に取り組むことがまずもって重要であると認識しており、同時に、その後におきましても、引き続き今後の県立高校のあり方等について、各校の実情を見据えつつ、市町村や地域との意見交換などを行いながら後期計画の方向性を検討することが必要と考えており、具体的な検討の時期や内容については、今後検討してまいります。
縄文遺跡群の世界遺産登録についてでありますが、本年の世界遺産委員会で審議予定であった長崎の教会群とキリスト教関連遺産の政府推薦が取り下げられたことは、御案内のとおりであります。長崎県からは、3月末の推薦書案提出に向け現在作業中であると聞いており、世界文化遺産の推薦枠が各国ともに一つを上限とされていることを踏まえれば、その影響も危惧されますが、いずれにしても、縄文遺跡群の世界遺産登録に向けては、国の文化審議会の十分な御理解をいただくことが最重要であると考えております。
県といたしましては、縄文遺跡群の直近の機会での政府推薦を目指し、一戸町や関係道県と一体となって、引き続き国等関係機関への要望を重ねるとともに、文化審議会から示された課題の解決を図りながら、その実現に取り組んでまいります。
次に、登録に向けた今後の見通しについてでありますが、昨年7月に国の文化審議会から、検討を深める必要がある事項として、縄文文化の価値のわかりやすい表現や資産全体の価値と個々の構成資産との関係など9項目が示されております。
県といたしましては、これまで、その課題の解決に向け、関係自治体とともに、専門家委員会からのアドバイスをいただきながら、構成資産の絞り込みや文化庁との協議を進め検討を重ねてきたところであり、現在、縄文遺跡群の顕著な普遍的価値について、各構成資産との関連性を明確にあらわすとともに、わかりやすい表現で、国際的な視点からも理解されるよう、推薦書案の改訂作業を集中的に行っているところであり、これを取りまとめ、改訂した推薦書案を今月中に文化庁に提出することとしております。
次に、機運醸成の取り組みについてでありますが、県におきましては、これまで、一戸町と連携し、県民を対象とした縄文文化フォーラムを平成23年度から毎年度開催するとともに、県内の学校を対象とした世界遺産に関する出前授業などを行ってきておりますが、本年度からは、この出前授業の中で縄文遺跡群を取り上げ、その概要と構成資産の持つ貴重な価値の紹介などに取り組んできております。
また、県外の方々への理解の促進を図るため、本年1月に縄文遺跡群の価値をテーマとした国際フォーラムを東京都において開催したところであり、来年度も4道県合同での国際フォーラムの開催を予定しているところでございます。
今後におきましても、縄文遺跡群の早期の世界遺産登録に向け、一戸町を初めとした関係自治体と連携しながら、縄文文化フォーラムや情報発信機能の充実を図ることなどを通じて、より一層の機運の醸成を進めてまいります。
〇12番(工藤誠君) それでは、再質問をさせていただきます。3点について再質問をさせていただきます。
まず、1点目でございますけれども、希望郷いわての実現ということで、知事からはいろいろお話を伺いましたが、私が考える希望郷いわての実現ということは、イコール安心できる岩手ということではないかと考えております。ふるさと振興総合戦略にありますように、岩手で暮らす、育てる、働くという、そのことの三つが―三つだけではないと思うんですけれども、連携して岩手独自のセーフティネットというものが構築されることが大事ではないかと考えております。そのことが、知事の言う生きにくさを生きやすさに変えていくということになると考えております。
具体的には、職場の確保、結婚、子育てなどのサポート、教育環境の整備、医療、福祉、介護の充実など、あらゆる分野で連携してセーフティネットをしっかりつくっていくことが、県民の実感向上につながると思うわけでございますけれども、改めて見解を伺いたいと思います。
それから、希望郷いわての実現ということについては、その目標が達成されれば、また新たな目標が更新されていくというものだと思っています。そういう意味では、ゴールというものも更新されていくのではないかと考えます。
そういう中で、常に県民の実感を受けとめながら政策を実現していかなければならないと思うのですけれども、その実感をはかる客観的な尺度と評価ということについて、知事はどのように考えているか伺いたいと思います。
2点目でございますけれども、農業振興について伺いたいと思います。
岩手県が国内有数の農業県になったというのは、水田とか畑地等における数多くの土地改良事業が導入されてきたことによる効果が大きいと考えています。県北地方でも多くの国営事業や県営事業が実施されて、基盤整備が進められてきたことは事実でございます。
一方で、農業従事者の高齢化や後継者不足などの問題があらわれてきております。これらの問題を克服していくためにも、農業法人化や集落営農、農作業の省力化を一層図っていくことが、今後の農業発展には必要不可欠であるということでございます。
そこで、先ほど部長からは57の新規採択の要望のある地区があるというお話もございましたが、そのような新たな基盤整備事業の要望と集落営農の向上等をどのように結びつけて、今後の岩手の農業を発展させていくのか、県の考えを伺いたいと思います。
3点目は、道路整備ですけれども、街路事業において、先ほど部長からは、上野西法寺線のお話がありました。2期工事については平成20年度で完了しているということでしたけれども、2期工事から先については、なかなか事業化がされていないということで、一日も早い事業化を要望してきたわけですが、この7年間動きが見えてこないということで、地元としてはなかなか困惑している状況でございます。
事業効果の低い道路整備を急いでくれと言っているわけではないわけでございまして、町の中心部を通る動脈として、町民生活の利便性向上や通勤、通学の安全確保、産業振興の観点から早期着手を要望しておりますので、改めて事業実施の見通しについて見解を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 希望郷いわての実現について、各分野が連携したセーフティネットの構築についてでありますが、いわて県民計画では、希望郷いわての目指す姿を、県民一人一人が、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことのできる希望あふれる社会と描いています。
こうした姿を県民の皆さんが実感できるよう、今般策定した第3期アクションプランにおいては、七つの政策に基づいて、地域資源を活用した産業の振興による持続的で安定的な経済基盤の構築、安心した暮らしを支える医師確保や医療、介護、福祉サービスの提供の充実、日常生活や災害時の相互扶助、コミュニティー機能の維持、強化、岩手の未来を担う子供たちなどを育てる人づくりなどの取り組みを進めることとしておりまして、県政のさまざまな分野が連携を強化しながら、これらの取り組み全体の推進を通じて、アクションプランの政策推進目標に掲げました人口の社会減の縮小や出生率の向上、正社員の有効求人倍率の向上、病院勤務医師数の増加、自殺死亡率と脳卒中死亡率の減少などの実現を目指してまいります。
そして、希望郷いわての実現について、もう一つ、実感をはかる客観的な尺度と評価についてでありますが、県が実施している施策については、県民の皆さんがどの程度の重要性を感じ、現在の状況にどの程度満足しているかなど、実感を把握し、施策の見直しを行っていくことが重要であり、平成12年度から継続的に県民意識調査を実施しております。
その調査では、県民の実感などを的確に把握するため、アクションプランの項目に沿って、各項目の重要度、満足度を調査し、さらにニーズ度をはかっており、調査結果を政策評価に反映させているところであります。
また、今後、希望郷いわての実現をより確かなものとするため、物質的な豊かさに加え、岩手ならではの生き方や豊かさといったことに着目した政策の展開が必要であると考えているところでありまして、試行的に幸福に関する指標の導入と評価等への活用を行って、次期総合計画での本格導入に向けて検討を進めてまいります。
〇農林水産部長(小原敏文君) 農業振興についてでありますが、本県農業の発展に向けましては、効率的な営農ができる生産基盤の整備等を進め、地域農業を牽引する経営体を育成していくことが重要と考えております。
このため、県では、地域農業の将来像を描いた地域農業マスタープランの実現に向けた話し合いにより、地域の特性に応じた基盤整備と農地中間管理事業によります農地の集積、集約化を一体的に推進しながら、集落営農を含めました担い手の経営力強化を支援し、地域農業の振興を図っていくこととしております。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 上野西法寺線の事業実施の見通しについてでありますが、この路線につきましては、国道4号から県道二戸一戸線までの区間について、県の街路事業として平成20年度までに整備が完了しております。
県では、引き続き平成21年度から、地元との意見交換や鉄道事業者との協議調整を重ねながら、鉄道交差区間となる工区の調査検討を進めておりましたが、今般、鉄道事業者と交差形式についておおむねの合意を得られたところです。
県としても、上野西法寺線の重要性については認識しているところであり、今後、既存踏切の取り扱いや鉄道施設の支障移転など鉄道事業者との協議や都市計画道路の変更手続を行い、今後の公共事業予算の動向を勘案しながら、早期の事業着手に向けて取り組んでまいります。
〇議長(田村誠君) 次に、木村幸弘君。
〔25番木村幸弘君登壇〕

前へ 次へ