平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(軽石義則君) 改革岩手の軽石義則です。
2期目、通算6回目の一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、これまでの質問に重なる部分もありますが、確認の意味も含めまして、通告に従い質問をさせていただきます。
初めに、第1項目として、平成28年1月18日から22日の暴風雪等に係る被害と対応について伺います。
この暴風雪におきまして、被災または被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げるとともに、復旧に携わった全ての関係者に敬意を表し、感謝を申し上げます。
1点目として、大震災後に対策してきたことによる効果と課題についてお伺いいたします。
今回の被災された地域において、積雪による孤立や断水及び停電と通信不通などによるライフラインが停止した状況の中、これまでの災害経験を生かした対策が役に立ったとの報道がされておりますが、具体的にどのような効果を発揮したのか、お伺いいたします。
また、除雪やライフラインの確保に長時間を要したことについての課題をどのように把握し、さらに対策を施さなければならないと実感した事項についてもお示し願います。
2点目として、災害復旧に携わった人員及び関係市町村並びに企業団体との連携状況と課題についてお伺いいたします。
今回の県としての災害警戒本部による応援体制などについて、国や関係市町村との連携は想定の範囲で問題なく対応を図ることができたのか、お伺いいたします。
また、道路を初めとした水や電気など、ライフラインの確保を進める上で、民間企業との連携についてもあわせてお示し願います。
3点目として、障がい者並びに支援を要する要配慮者への対応状況と課題についてお伺いいたします。
これまでも取り上げてきた課題でありますが、災害時に自力による避難ができないため、特に支援が必要な災害時避難行動要支援者に対する対応はどのような状況であったのか、お伺いいたします。その上で、対応をスムーズにするために必要な災害時避難行動要支援者名簿の整備状況についてお伺いいたします。
あわせて、雪による通院困難や停電による医療器具の不動作などによる緊急事態の発生はなかったのか、お伺いいたします。
4点目として、今後の復旧への支援と繰り返される雪害への対策についてお伺いいたします。
現段階において、70億円を超える予想の大きな被害に対する今後の対策についてですが、農林業の現場においても、深刻な被害により、今後のなりわいを再生するには大きな負担となることから、再発防止の対策を含めて、早急に立ち上がるための安心できる支援策が必要であると考えます。
被災された農業者の方々からは、激甚災害指定による補助事業では被災施設と同等な施設の導入に対する助成しかないので、暴風雪に強い新たな施設を導入する場合も対象にしてほしいというような声も伺っております。
農業の現場では、毎年のように強風や大雪など自然災害により被害が発生し、営農を再開するまで大きな費用負担となっています。岩手県農業研究センターにおいて取り組んでいる間伐材を利用した木骨ハウスの普及により、災害に強い農業施設を整備する必要があると考えますが、県としての対応についてお伺いいたします。
次に、2項目として、雇用確保と人材育成についてお伺いいたします。
1点目として、震災後5年が過ぎようとしている現状において、県内の雇用並びに就労状況についてお伺いいたします。
岩手県の復興計画にある三つの原則の一つであるなりわいの再生と人口減少対策の柱でもある雇用の確保は、希望郷いわての実現には欠かすことのできない大切な取り組みであります。就労人口をふやすことは、有効求人倍率などの数字を確保するだけではなく、非正規から正規雇用とする安心できる内容に充実しなければ、働きがいや生きがいにつながらないと考えております。これまでの取り組みや対策をどのように評価しているのか、知事にお伺いいたします。その上で、新年度に生かされている具体の取り組みについて、あわせてお示しを願います。
2点目として、これまでの新卒者の就職状況についてお伺いいたします。
新卒者そのものの数が減少傾向にある中で、県内と県外での就職傾向についてどのように把握されているのか、県内での人材確保対策についてお伺いいたします。その上で、平成28年3月卒業予定者の内定状況について、どのように分析されているのかお示し願います。特に女性の就職状況について、あわせてお示し願います。
3点目として、現行の職業訓練についての評価をお伺いいたします。
これまでは、復興事業を含めて特需的な対応もされてきていると考えますが、これからは将来的な視野も含めた対策が、特に被災地を中心として必要と考えております。また、内陸部においての課題も意識していかなければならない状況ではないかと思われますが、現状の把握と今後の対策についてお伺いいたします。
4点目について、県内専門高校の就職状況と即戦力化を図るための取り組みについてお伺いいたします。
産業の発展と継承のためには、ニーズに合った人材の育成が必要と考えます。現場においての技術者不足は年齢構成の上からも深刻な課題となっており、これまで企業内で負担していた人材育成から、できるだけ即戦力たる者の採用が求められていると感じます。しかし、全県的に見ると、地域特性もあると思われますが、専門高校の専門課程が減少傾向にあります。これまでの入学並びに就職などの現状をどのように評価しているか、また、役割を果たすための対応経過についてお伺いいたします。
また、専門高校における工業分野の教諭において、年齢構成の偏りによる欠員が20人に上っており、指導者が不足していると報道されておりますが、対策についてお伺いいたします。
加えて、即戦力となる人材を育成するためには、実際の現場に対応できる実習機器の更新整備をすべきと考えますが、このことについて現状認識と対策をお示し願います。
5点目として、奨学金制度における課題についてお伺いいたします。
人材育成をする上では、経済的支援により教育の機会を平等に得ることも必要と考えます。1998年以降、下がり続ける保護者の賃金によって、低所得世帯においては、6割以上が奨学金を借入しなければ大学などへの進学は困難となっております。
国の奨学金制度を管理運営する独立行政法人日本学生支援機構における2014年度の実績は、135万人がこの奨学金を利用しており、全国の大学生の2人に1人となっております。卒業と同時に、平均301万8、000円の借金を背負っての社会人スタートとなっており、返済においては、非正規雇用の増大などにより返済猶予や延滞が発生し、経済的困窮が問題となっております。こうした実態は高等教育を受けたとしても、抜け切れない貧困につながる可能性を示唆しております。
このような状況において、学校現場では、奨学金申し込みから返済方法に至るまでの適切な指導が行われているのかどうか、お伺いいたします。
また、奨学金の返済に関連する経済的問題については、国として制度の充実や改善を早急にしなければならない課題と考えておりますが、県は、県民からの要望を踏まえ、この課題についてどう認識され、どのように対応していくのか、お伺いいたします。
次に、3項目として、労働環境の現状と課題などについてお伺いいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
1点目として、県民所得の現状と認識についてお伺いいたします。
平成25年度の1人当たりの県民所得は269万8、000円で、平成22年度に比較して39万9、000円、17.4%増加しております。平成25年度の県民所得の分配は3兆4、930億円であり、平成22年度と比較して4、353億円、14.2%の増加であります。そのうち県民雇用者報酬は2兆1、623億円であり、平成22年度と比較して665億円、3.2%増加しております。企業所得は1兆2、360億円であり、平成22年度と比較して3、751億円、43.6%増加しております。個人の所得水準をあらわす指標ではないとされておりますが、岩手県全体の所得水準をあらわす有効な指標となっており、雇用者報酬の増加率と企業所得の増加率を単純比較すると大きな開きがあります。このような現状をどのように分析しているのか、お伺いいたします。また、実質賃金として公正な配分となっているのかについても、認識をお示し願います。
2点目として、格差の是正についてお伺いいたします。
本年における労働条件の総点検とも言える2016春季生活闘争が始まっております。政府、とりわけ首相が、同一労働同一賃金を経済界に要請するなど、官主導的な賃金交渉となっております。本来は、労使が対等な立場において自主交渉による決着が図られるべきであり、政府としては、公正な分配ができる収益を確保できる経済環境と、安心して働くことができるセーフティーネットを確立することであると考えております。
私は、日本が、1955年3月に、経営者、労働者及び学識経験者の三者構成で、国民経済の生産性の向上を図ることを目的とする日本生産性本部を設立し、具体的な運動展開に当たっては、この運動の基本的な考え方、いわゆる生産性運動に関する3原則による取り組みから経済大国になることができたものと考えております。
その3原則とは、一つ、雇用の維持、拡大、二つ、労使の協力と協議、三つ、成果の公正配分であります。この運動の導入は、当時の時代背景として、我が国経済の自立と国民の生活水準の向上のためには、産業の生産性を向上させることが急務であったことと、国際労働機構(ILO)のフィラデルフィア宣言、団体交渉権の実効的な承認、生産性向上に関する経営と労働の協力、並びに社会的及び経済的措置の準備と適用に関する労働者と使用者の協力を達成するための計画、1952年の企業における使用者と労働者との間の協議及び協力に関する勧告など、ILOの生産性向上問題、労使協議制などに関する決議の精神を強く意識したものとなっております。
また、当時の生産性運動は、資源、労働、設備を有効かつ科学的に活用して生産コストを引き下げ、それにより市場の拡大、雇用の増大、実質賃金並びに生活水準の向上を図り、労使及び一般消費者の共同の利益を増進させることを目的とするものでした。
時代は変わろうとも、本格復興完遂年として前進をする岩手県において、この運動の原則を確実に定着させた上での同一価値労働同一賃金の実現を果たしていくことが必要と考えます。岩手県ふるさと振興総合戦略を踏まえた取り組みにおいて、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事の創出を目指すとあります。知事として、これらのことをどのように受けとめられているのか、お伺いいたします。
また、ふるさと振興のためでもある格差是正対策を、希望郷いわてから全国に発信する労働環境改善にどう生かしていくのかについてもお示しを願います。
3点目として、県内における労働環境の改善についてお伺いいたします。
岩手県においても、非正規労働者の比率は年々高まり、労働問題としての個別紛争も深刻な内容で増加しております。本来あってはならない相談が発生している現状は、根本的な対策が行われていないために起きているのか、故意または知識不足や認識のなさから起きているのか、分析しなければなりません。ルールにのっとり、公正な競争をすることを守らなければ、その影響はいつも働く側に多くの負担がかかることが現実であります。雇用する側にも働く側にも正しい知識が必要です。そのためには、学校現場における実践に即した教育が大きな役割を果たしております。
県内の高校では、労働環境、労働問題の実態をどのように把握した上で生徒への指導に当たっているのか、お伺いいたします。また、改善しなければならない課題などについてもお示し願います。
4点目として、労働問題の解決についてお伺いいたします。
各種団体を含めて労働問題の相談への対応はされておりますが、円満に全てが解決しているわけでもありません。ひとり親世帯や非正規雇用など、不安定な環境において、女性の多くが対象になっている傾向になっております。相談までたどり着くことができない女性が多く潜在していることも予想されます。このような状況をどのように把握し、対応しているのかお伺いいたします。現在の取り組み体制についてもお示し願います。
5点目として、県が締結する契約に関する条例の現状についてお伺いいたします。
本年度より施行された本条例については、岩手県における現場の労働環境を公正なものとするため、とても大切な取り組みとして、県民のセーフティーネットが全国でも早い時期に制定されました。しかし、完全な形での運用にはなっておりません。制定後1年が経過しようとしている中、現状における課題を含めての認識をお伺いいたします。また、県内各市町村における取り組み状況についてもお示し願います。
次に、4項目として、スポーツ振興と今後の取り組みについてであります。
1点目として、国体終了後のスポーツ、文化を所管する組織の整備についてお伺いいたします。
第71回国民体育大会冬季大会各種競技会が、全国から多くの選手や関係者をお迎えし開催されました。スポーツが果たす役割の大きさを実感いたしました。今後の夏季、秋季大会の成功に向けて、さらに、県民総参加による東日本大震災復興への架け橋、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の準備が進められております。国体・障がい者スポーツ大会局が設置され、46年ぶりの2巡目国体、21年ぶりの完全国体と全国障害者スポーツ大会成功に向けて準備を進めてきた経験は、貴重な財産として今後に生かしていくことが必要であると考えております。
確実な復興と岩手の将来を創造するために、ラグビーワールドカップ2019岩手県・釜石市開催の成功や東京オリンピック、パラリンピック関連事業の誘致、さらには文化、芸術面から実施される国体行事の一つである文化プログラム開催の経験なども総合的に踏まえて、スポーツや文化を通しての地域活性化やグローバル化などについて専門に取り組むことや施設のあり方についてなど、知事部局として組織で行うことが求められてきております。
知事は、就任以来、いわゆるソフトパワーを活用したさまざまな取り組みを進めてきましたが、スポーツ、文化を所管する組織の整備、言いかえればソフトパワーの中核組織ということになりますが、このような組織の整備について知事のお考えをお伺いいたします。
また、岩手国体、岩手大会の開催を契機にスポーツ振興に係る条例を制定し、既に制定されている文化芸術振興基本条例と両輪でスポーツ、文化行政を進めていく必要があると思いますが、このことについても知事のお考えをお示し願います。
2点目として、ホストタウンへの取り組みについてお伺いいたします。
2020ホストタウンとは、国が2020年の東京オリンピック、パラリンピック大会開催に向け、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に資する観点から、参加国、地域との人的、経済的、文化的な相互交流を図る地方公共団体をホストタウンとして全国各地に広げる取り組みとして進められてきております。
このことは、平成27年7月28日、遠藤オリンピック大臣より構想の概要が公表され、7月29日、全国知事会議で大臣より構想への参加の呼びかけが行われました。8月5日には全国の都道府県、政令指定都市向けの説明会が実施され、9月30日に関係省庁連絡会議にて、事業要綱、公募要項等が全国へ発信され、11月から12月にホストタウンの第1次登録申請の受け付け並びに締め切りがされました。平成28年1月26日、第3回関係省庁連絡会議にて第1次登録団体44件の公表がありました。今後は、年内に第2次、第3次登録の手続を実施する予定であり、本年8月開催のリオデジャネイロ大会以降、登録を本格化するとあります。
関係省庁は、特別交付税などの地方財政措置を含む各種財政措置、人材の派遣、情報提供などを通じホストタウンの取り組みを支援し、大会前後を通じた継続的な取り組みにしていくことなど、これらの取り組みを核として、さらに地域のグローバル化、活性化、観光振興などへとつなげていくとなっております。
このことについて、岩手県としての取り組み経過をお伺いいたします。また、今後の予定について、東北では岩手県だけが1次登録がありませんが、県として、どのようにホストタウンに取り組んでいくのかお示し願います。
3点目として、ラグビーワールドカップ2019岩手県・釜石市開催の準備状況についてお伺いいたします。
東日本大震災津波からの復興に対する国内はもとより世界からの支援に感謝し、復興のあかしとして進む姿を発信するために、ラグビーワールドカップ2019岩手県・釜石市開催の誘致に取り組み、被災地では唯一開催地に決定されました。
その後、昨年開催されましたラグビーワールドカップ2015イングランド大会において、予選リーグで日本チームは過去最高である3勝1敗のすばらしい成績をおさめました。しかし、悲願であった決勝トーナメントに進むことはできませんでした。中でも、初戦で行われた、優勝経験もある強豪の南アフリカチームとの激戦は、今でも忘れることができない感動と喜びを、日本国内だけではなく全世界の人々に記憶として残されました。ラグビーでは番狂わせのゲームはなく、実力に合った結果しか出ないと言われておりますので、各選手や関係者が勝利に向けて積み重ねてきた地道で献身的な努力の結果であり、ラグビー関係者だけではなく、国民全体に今後の自信と誇りを持たせてくれたものと考えております。特に、最後まで諦めずに攻め続けたリーダーの判断と、全員が一丸となりトライに結びつけたプレーこそが、勝利をかち取るために必要であったことを証明してくれました。
岩手県においても、このことを踏まえた上で、まずはことしの希望郷いわて国体と希望郷いわて大会を成功させ、ラグビーワールドカップ2019岩手県・釜石市開催が成功するための体制強化が必要な時期に来ていると認識しております。
復興を進めながらのグラウンド建設など、つらく厳しい状況の中での大会に向けたキックオフでしたが、これまでの取り組み状況と今後の見通しについて知事にお伺いいたします。また、知事が先頭に立ち、準備体制から実行体制に切りかえる時期が近づいていると考えますが、このことについてもお示し願います。
次に、5項目として福祉、医療などの課題についてお伺いいたします。
1点目として、重症心身障がい児・者の実態についてお伺いいたします。
県においては、平成27年6月から7月において、今後の支援を検討する基礎資料とするため実態調査を実施しております。今回の調査は、県内の病院など422機関を対象に調査を依頼し、302機関からの回答があり、回収率71.6%とのことです。平成25年調査では、病院92カ所、診療所587カ所、その他入所施設あるいは訪問看護事業所、特別支援学校、市町村まで含めまして、合わせて998機関に調査票を送付し、716機関からの回収により、回収率71.7%ということでした。可能な限り実態に合った現状を把握することにより対策をしなければならないと考えますが、調査方法に一貫性があるのか疑問を感じます。
今回の調査結果については、調査方法を含めてどのように評価し、分析されているのかお伺いいたします。また、現状及びニーズに関するアンケート調査も実施しておりますが、このことについてもお示し願います。
2点目として、今後の対策についてお伺いいたします。
県内における受け入れ先は、高度の知識と技術を持つ人材不足と経営の厳しさから不足しているとの報道もありました。重症心身障がい児が18歳以上になった場合に、本人はもとより、御家族にも大きな負担がかかる実態や、介護する親が高齢となり、子供の将来の心配を解消するための入所、入院ができるなど早急な整備が必要であります。在宅による介護家族は自分たちでできることは努力しておりますが、精神的、肉体的、経済的負担の軽減を実感できること、見えてくることを強く求めております。
これまで、県に対して関係団体から毎年切実な要望が出されておりますが、どのような対応をされてきたのかお伺いいたします。国の制度により生じている現場でのふぐあいについて、国に対しての具体的な働きかけもお示し願います。
次に、6項目として、太陽光発電設備が抱えている課題についてお伺いいたします。
東日本大震災津波以降に再生可能エネルギーの必要性が高まり、その中で普及が急速に進む太陽光発電があります。しかし、普及とは別に表面化していない課題が多く残っております。火災や自然災害により破損した太陽光発電設備の廃棄やリサイクルをどうするかという問題です。現在の廃棄物の枠組みには問題が多いと言われております。法規制に従って廃棄すると、多くの地域で太陽光発電設備は一般廃棄物や産業廃棄物に分類され、埋め立て処理されてしまいます。太陽光発電設備には取り出し可能な有価物が含まれているほか、古い製品を中心に鉛ハンダが含まれており、埋め立て処分では、有価物が回収できないこと、有害な物質が溶出してしまうこと、有害物質が一元管理されていないことなど、全国に統一廃棄ルールがないことが問題だという指摘もあります。
普及について支援してきた経過は理解しておりますが、今後増加が予想される廃棄処理についても対策しなければならないと考えます。
岩手県において、これまで廃棄されている太陽光発電設備の量や取り扱い方法など現状について、市町村への指導を含めてお伺いいたします。
また、火災現場などにおける取り扱いについても危険が伴うことが報告されております。火災や自然災害などでの消火や救援活動に際して、専門的知識や必要な装備を持っていなければ、感電など危険を伴う現場がふえてくることが予想されます。これらに対する安全確保についての周知も必要と考えておりますが、県としての現状認識と対応についてお伺いいたします。
以上、答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 軽石義則議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、県内の正規雇用に関する雇用状況及び就労状況についてでありますが、就業構造基本調査によりますと、本県における正規の従業員等の割合は低下傾向にあり、また、人手不足の傾向も強まっていることから、いわて県民計画第3期アクションプランやふるさと振興総合戦略におきましては、雇用の質の向上を図る観点から、一層強化すべき取り組みの一つとして正規雇用の拡大を位置づけているところであります。
県では、これまでも岩手労働局等と連携しながら、非正規から正社員への転換等について関係団体に要請してまいりました。産業界においても、働きたいと思えるような雇用労働環境の整備に向けた意識の共有化が図られてきたと捉えているところでありまして、また、企業の中には、正規雇用への転換を進める動きも出てきているところであります。
こうしたことから、平成28年度におきましては、いわてで働こう推進協議会におきまして、正規雇用の拡大等についての対応を進めるとともに処遇改善啓発セミナーを実施するなど、雇用の質の向上に向けた一連の取り組みを一層加速してまいりたいと考えております。
次に、生産性運動と格差の是正についてでありますが、若者を初めとする働き手の県外転出を食いとめ、岩手への新たな人の流れを創出するためには、労働生産性を高め、企業収益を上げて賃金等の処遇を改善し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出することが重要であります。
県といたしましても、生産性運動に関する3原則は、今日ますます意義あるものと考えるものでありまして、労働生産性の向上につながる設備等の高度化への支援やカイゼンの普及などを進めますとともに、関係団体等との連携によって働き方改革の取り組みを推進してまいります。
次に、国体終了後の組織体制の整備等についてでありますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正によって、平成20年度以降、スポーツと文化行政を首長が所管することができることとされたことから、全国の自治体においては、地域振興の観点や国体開催後におけるスポーツ行政の一元化の観点などから、首長部局に移管する動きも出てきています。
現在、本県では、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功に向けて、県の組織を挙げて各部局が連携を図りながら取り組んでいるところであり、文化プログラムや国体・大会プラスの展開による文化面での盛り上げや情報発信など、スポーツ、文化両面による地域振興の取り組みを進めております。
これらの本県の取り組みを将来に引き継ぐべき財産として残していくことが重要と考えておりまして、国体開催後のスポーツや文化を基軸とした地域振興の取り組みや推進体制につきまして、知事部局への一元化も視野に検討してまいりたいと思います。
また、スポーツ振興に関する条例につきましては、国体、全国障害者スポーツ大会の開催を契機に制定している県もありますことから、岩手国体、岩手大会開催による県民のスポーツに関する意識の高まりも踏まえながら検討してまいりたいと思います。
次に、ホストタウンの取り組みについてでありますが、ホストタウン構想は、東京オリンピック、パラリンピック競技大会を契機に、全国の地方公共団体が、大会参加国、地域との人的、経済的、文化的な相互交流等を行うものであり、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に資することが期待されています。
県内におけるホストタウンの実現は、東日本大震災津波からの復興に当たって、全世界からいただいた御支援に対する感謝の思いと、復興の姿を世界に向けて発信する絶好の機会になるものと考えております。
このため、県では、ホストタウンの推進に向けて、これまで、市町村、競技団体等を対象とした説明会等を通じて制度の周知を図りながら、登録を働きかけてきたところであります。
その結果、現在、登録に向けて、姉妹都市のつながり等を生かした取り組みや事前合宿誘致とあわせた取り組みを検討している市町村もありますことから、市町村への情報提供や相談等に対応するとともに、国や東京都等の協力もいただきながら、ホストタウンの実現を図ってまいります。
次に、ラグビーワールドカップ2019岩手県・釜石市開催の準備状況についてでありますが、昨年3月のラグビーワールドカップ日本大会の釜石市開催決定以降、釜石市においては、スタジアムの基本設計を行うとともにスタジアム敷地の造成に着手してきたところであります。開催に向けて大きな課題であるスタジアム建設の財源確保等につきましては、昨年4月以降、釜石市とともに国や日本スポーツ振興センターへの支援を求めてまいりました。その結果、先月にはスタジアム建設費に対する復興交付金の拡充方針が示されるなど、着実に進展が図られていると認識しております。
ラグビーワールドカップ2019組織委員会が平成29年4月に予定している開催都市ごとの組織委員会の設置を見据え、県は、釜石市とともに全県的な準備体制を構築し、それをもとに実行体制に移行させていく予定であります。
今後におきましては、組織委員会との役割分担を図りながら、宿泊施設や輸送手段の確保、外国人の受け入れ態勢整備等の課題に対応し、万全の態勢で大会を迎えられるよう取り組みを進めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、災害の経験を生かした対策等についてでありますが、県では、東日本大震災津波以降、大幅に地域防災計画を修正し、避難場所等への非常用電源の配備、家庭における物資の備蓄等について明記し、市町村等とともにその推進に取り組んできたほか、みんなの防災手帳や防災の特集を組んだいわてグラフの全戸配布、テレビ、ラジオによる広報等を通じ、県民の防災意識の高揚に取り組んでまいりました。
今回の災害では、長期間の停電が発生したところでありますが、あらかじめ発電機や石油ストーブ、まきストーブなどを用意していた避難所や家庭があったと聞いておりまして、東日本大震災津波時の経験や県の取り組みが生かされたのではないかと考えております。
また、今回、除雪がおくれた主な原因としては、湿った降雪に伴い倒木や電線の垂れ下がりが発生し、倒木の撤去や電線の処理に時間を要したことなどによるものと認識しております。
そうした中、今回の災害では、除雪が終わるまでの間、外部との往来が不可能となったため孤立した地域が発生したところであり、孤立化対策の重要性を改めて認識したところであります。
県としては、今後とも、市町村に対して、県地域防災計画で求めている通信手段やヘリコプター離着陸場の確保、避難所への非常用電源の配備などを働きかけるとともに、家庭における備蓄の奨励や自主防災組織の育成に努めてまいります。
次に、関係機関との連携についてでありますが、県では、気象庁から暴風雪警報が発表された後、直ちに災害警戒本部を設置し、被害発生状況や市町村における対応状況の把握を行うとともに、応援要請があった場合、即応できる体制を整えておりましたが、市町村や関係機関からの応援要請はございませんでした。
仮に応援要請を受けた場合、当該市町村等への県職員の派遣、県が所有する施設、資機材等での応援、消防や防災関係機関による応援などを検討するとともに、場合によっては自衛隊に対し災害派遣要請を行うこともあります。
今回は、そういう事態には至らなかったものの、停電が広範囲にわたり、その対応が一つの焦点となる中、東北電力から職員の派遣を受け、復旧の見通しなどについての説明を聞くなど、その状況把握に努めたところであります。
東北電力などのライフライン事業者や道路啓開に力を発揮する岩手県建設業協会は、災害対策基本法上、防災に関し行政に協力する責務を有する指定公共機関や指定地方公共機関に指定されておりまして、県は、これらの事業者と緊急時における連絡体制を相互に確認するなどして、災害対応に当たっているところでありますが、迅速な応急対応ができるよう、今後も十分な情報交換を行うなど、緊密に連携を図ってまいります。
次に、太陽光発電システムを設置した住宅火災現場等における消防活動についてでありますが、現在、国の消防研究センターにおいて防火、安全対策に関する研究が進められているところであります。平成25年3月には、総務省消防庁から消防活動の安全を確保するための留意点が示されております。
県としても、消防活動における安全確保は重要であると考えておりまして、この留意点について県内各消防本部に周知し、注意喚起を行ったところであります。今後とも必要な情報について周知を図ってまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、災害時における要配慮者への対応状況と課題についてでありますが、本年1月の暴風雪等の際は3市町村で避難所を設置し、幼児1人を含む9人が避難したところです。これ以外の市町村においても、避難行動要支援者名簿を活用するなどして、職員等が、停電した地区のひとり暮らし高齢者世帯等に対し、巡回訪問や電話により安否確認及び必要な支援などの聞き取りを行ったところです。
停電による医療機器のふぐあいの発生等については、人工呼吸器を利用している方に対して、非常用発電装置の手配や病院への搬送を行った事案があったと伺っております。
また、避難行動要支援者名簿については、平成25年の災害対策基本法の一部改正により、その作成が市町村に義務づけられたものであり、県内では、現在までに29市町村が整備済み、残る4市町村も年度内の整備を予定しているところです。
次に、重症心身障がい児・者実態調査についてでありますが、調査対象機関の見直しについては、前回の調査結果において回答のあった診療所のうち、重症心身障がい児・者に対応しているのは全体の3.1%と極めて少なかったこと、また、市町村からは、医療的な判断を伴う調査であったため対応が困難との意見があったことから、今回の調査の実施に当たり、医療関係者による重症心身障がい児・者支援体制検討委員会の意見を伺った上で見直しを行ったものです。
重症心身障がい児・者や御家族を対象としたアンケート調査については、検討委員会のほか家族団体等から調査項目や調査方法などについて意見をお聞きした上で実施したところです。
今回の実態調査結果では、重症心身障がい児・者数は588人、うち入院及び入所者が276人、在宅者が312人であり、在宅者の割合は53.1%でした。年齢別では、19歳以上が393人で66.8%、このうち40歳から64歳の方が28.2%、65歳以上の方が7.5%でした。
また、アンケート調査によると、回答のあった376人のうち24.5%の方が経管栄養などの医療ケアを受けており、ニーズとしては短期入所等の充実が最も多い結果となりました。
これらの調査結果について、検討委員会の委員からは、以前に比べ、医療の高度化やケアの充実などにより長命化していると考えられるなどの見解をいただいているところです。
次に、今後の対策についてでありますが、重症心身障がい児・者の家族団体からは、日中活動や短期入所の充実、盛岡圏域における18歳以上の超重症者が利用できる入所施設の確保について要望をいただいているところであります。
県では、県立療育センターにおいて、平成24年度から、順次、生活介護事業所の受け入れ人員をふやしているほか、今年度から、地域の支援体制の充実を図るため、訪問看護ステーションに勤務する看護師等向けの研修を開催するなどの取り組みを行ってまいりました。
また、国に対しては、重症心身障がい児・者の支援に多くの事業者が取り組みやすいよう、障害福祉サービス報酬の引き上げや施設整備補助に係る予算の充実等について、継続して要望しているところです。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) 繰り返される雪害への対策についてでありますが、本年1月の暴風雪等によりまして、農業関係では、県南や沿岸部を中心とする12市町村で、パイプハウスを中心に約1億2、000万円の被害が発生しているところであります。
県では、繰り返される暴風雪などの自然災害に対応するため、これまで、農業共済への加入を促進しますとともに、パイプハウス等の施設整備に当たりましては、はりや補強材等により風や雪に対する強度を増すよう指導、助言をしてきております。
御提案のありました木骨ハウスについてでありますが、県農業研究センターにおきまして、地域に豊富にある木材資源の活用も図りながら、鉄骨ハウスより低コストで、同等の耐風、耐雪強度を持つよう、性能の検証と改良を重ねてきているところでありまして、この木骨ハウスの導入も含め、災害に強い農業施設への整備を支援してまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、新卒者の就職状況についてでありますが、岩手労働局によりますと、県内就職者数及び県内就職率は、高校生、大学生とも、震災後、増加傾向にございます。
県内での人材確保対策については、高校生に対しましては、各広域振興局に就業支援員を配置し、高校等と連携して県内就職を支援しております。
また、大学生等に対しては、お盆など帰省時期に合わせて、各地域で就職面接会を開催しているほか、ふるさといわて定住財団と連携し、就職ガイダンスや面接会を県内外で開催し、県内企業とのマッチングを図っているところでございます。
さらに、今般設立したいわてで働こう推進協議会において、若者や女性等の県内就業の促進や働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を行っていくこととしております。
次に、ことし3月卒業予定者の内定状況についてでございますが、昨年12月末現在で見ますと、高校生、大学生とも、県内就職希望者の数が減少してきておりますことから、前年同期比で、県内就職内定者の数は下回っておりますが、県内就職率は上回っております。
また、女性の就職内定状況は、高校生においては、男子生徒よりも県内就職内定者の数は少ないですが、県内就職率は高くなっております。大学生においては、県内就職内定者の数及び県内就職率とも、男子学生よりも高くなっております。
次に、現行の職業訓練についてでありますが、被災地では、復興需要による建設分野の人材不足に対応した訓練を拡充してきたところでありますが、今後の震災復興の進捗に伴い建設関連の需要が減少する一方で、商工業全般における事業の再開の本格化に伴う人材需要の拡大が予想されるところです。
内陸部においても、被災地における人材需要に対応して高まっておりました建設分野に係る訓練ニーズの減少が予想される一方で、全県的に人材不足となっている介護分野において一層の需要拡大が見込まれますほか、自動車関連産業やIT関連分野などの産業集積に応じた人材需要への対応も必要と捉えているところです。
このことから、県では、国が策定中の第10次職業能力開発基本計画の内容を踏まえて、来年度、次期の県の職業能力開発計画を策定することとしておりまして、少子高齢化や地域産業における人材需要の動きなど、今後の訓練ニーズの動向に適時適切に対応する職業訓練体系を構築していきたいと考えております。
次に、実質賃金の公正な分配についてでありますが、毎月勤労統計調査によりますと、近年、本県の実質賃金指数はほぼ横ばいで推移しておりますが、県民1人当たりの賃金額は上昇傾向となっており、まずもって、今後においても、この賃金額の上昇基調が維持されることが必要と捉えております。そのためには、企業の労働生産性を高め、企業収益を上げて賃金水準の向上につなげていくことが重要であると認識しております。
なお、労働者の賃金につきましては、経営状況や労使交渉等を踏まえ個々の企業において判断すべきものであり、労働者に対して、企業利益が適切に配分されることを期待しているところであります。
次に、労働問題の解決についてでありますが、労働問題の相談については、岩手労働局を初め、関係機関、団体等が実施しておりまして、県では、広域振興局等の就業支援員や労働委員会において相談に応じるとともに、関係機関が連携して、情報共有や合同労働相談会の開催などを行っております。
特に相談件数の多い岩手労働局への相談状況を見ますと、近年、セクハラや婚姻、出産等を理由とする不利益取り扱いなど、女性の雇用に関する相談がふえてきておりますが、相談に至っていない事例も相当数あるものと推察されるところです。このため、県では、労働問題を抱えた方が、労働相談を利用しやすく、円滑に解決へとつなげることができるよう、県内の相談窓口や無料電話相談先などについてさまざまな媒体を通じて周知を図るとともに、丁寧な対応に努めるなど、相談しやすい環境づくりに取り組んでいるところでございます。
次に、県が締結する契約に関する条例についてでありますが、昨年6月に、条例に定めます有識者で構成する岩手県契約審議会を設置し、条例施行規則案や107項目にわたる県が取り組むべき事項などを御審議いただいたほか、県内各地で条例説明会を開催するなど、周知、啓発に取り組んできたところです。
また、平成29年4月1日までに予定しております条例の完全施行に向けまして、県契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保などについて制度運用の詳細を詰めていく必要がありますことから、労使関係団体から意見を聞くなどしながら、契約審議会で御審議いただいているところです。
なお、県内市町村における取り組み状況につきましては、その多くが県や他自治体の動向などの情報を収集し、研究を進めている段階にあると捉えております。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 県民所得の現状についてでありますが、雇用者報酬は、直近の平成25年度の統計データでは2兆1、623億円でありますが、その大半を占める賃金、俸給が、平成22年度に比べて401億円、率にして2.3%増加しております。これに対し、企業所得は1兆2、360億円でありますが、その主要な部門である金融機関を除く民間企業が、平成22年度に比べ2、857億円、率にして79.4%増加しており、その内容を見ると、建設業の増加が顕著であるなど、その多くが復興需要の大幅な伸びによるものと分析できます。
両者の増加率に開きがある要因としては、一般には、景気の変動に比べて賃金の変動が小さいため、雇用者報酬の増加率が企業所得に比べて小さくなる傾向があるとともに、企業所得の増加が雇用者報酬に反映されるまでタイムラグがあることなどが考えられます。
〔環境生活部長根子忠美君登壇〕
〇環境生活部長(根子忠美君) 太陽光発電設備の廃棄についてでありますが、使用済み太陽光発電設備は、個人がみずから撤去し廃棄を行う場合以外は産業廃棄物に該当し、非鉄金属などのうちリサイクルされるものを除き、金属くず、ガラスくずなどとして最終処分されていると考えられ、太陽光発電設備としての廃棄量を把握することは難しい状況にあります。
本県における住宅用太陽光発電設備の導入件数から廃棄量を推計すると、太陽光発電設備の耐用年数を20年とした場合、今後5年間では、毎年約13トン程度となる見込みとなっております。
また、平成24年7月から固定価格買取制度がスタートし、それ以降に設置が進んだ太陽光発電設備が耐用年数を迎える平成40年代後半から廃棄量が急激に増加するものと推定されます。
国では、今後、大量に発生する使用済みの太陽光発電設備のリユース、リサイクル、適正処分の推進に向け、平成25年度からガイドラインの検討を進め、平成27年度中に策定する予定と聞いております。
県では、国が策定するガイドラインの内容を踏まえ、使用済みの太陽光発電設備が適切に処理されるよう、市町村等と協力して取り組みを進めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 専門高校の入学、就職の現状等についてでありますが、専門高校における入学の現状は、それぞれの学校、学科ごとにばらつきはありますが、県全体としては、多くの学科で定員に満たない状況が続いております。これは、生徒数の減少が大きな要因と捉えておりますが、生徒一人一人は、各自の志望や保護者などからのアドバイスなどをもとに、学びたい分野を選択して、それぞれの高校に主体的に入学してきております。
昨年専門学科を卒業した生徒の就職率は99.8%と、極めて高い実績を上げておりますが、特に東日本大震災津波発災以降は、地域に貢献したいとする生徒たちの意識の高まりなどから、県立高校卒業者の県内への就職の割合は6割を超え、上昇傾向にございます。
地域産業の担い手の育成には、専門的な知識や技能を確実に身につけてもらうとともに、生徒、保護者、教員等が地域企業に対する理解を深めることが重要でありますので、県教育委員会といたしましては、これまで、産業界や関係機関との連携のもとに、インターンシップの充実や企業見学会などの取り組みを推進してきております。
若者の県内就職率の向上は、東日本大震災津波からの復興とともに、産業振興や地域活性化など、本県のふるさと振興を進めていく上で重要な視点と考えておりますので、今後、なお一層、地域に貢献する人材の育成やキャリア教育の充実に取り組んでまいります。
次に、指導者の不足についてでありますが、本年度においては、本務教員178人、本務教員の欠員に充てる臨時講師20人を配置し、岩手の産業を支える人材の育成に取り組んでいるところでありますが、ここ数年、工学部系の大学において教員志望の学生が減少し、若手本務教員の確保が非常に困難となっているほか、欠員に充てる臨時講師についても、60代の教員を任用せざるを得ない状況にあることや、20歳代の教員の比率が6%にとどまるなど、年齢構成にも大きな偏りが生じている状況にあります。
このような状況を踏まえ、県教委といたしましては、毎年工学部系の大学を訪問し、就職担当職員や就職活動期の学生を対象にしたガイダンスを行うなど、本県教員採用試験の受験の促進を働きかけてきているところでありますが、今後におきましては、ガイダンスの対象を1年生にまで拡大するなど、さらなる受験希望者の増加を図ってまいりたいと考えております。
また、工業を担当する教員には工業高校の出身者が多いことから、工業高校から大学への進学を希望する生徒が教職を将来の選択肢に加えられるよう、工業高校において、人づくりの魅力を伝える教育も推進してまいります。
次に、実習機器の更新整備についてでありますが、実習設備の整備については、毎年度、各学校からの意向を調査して、資格取得や授業を行う上で必要な機器の整備とあわせ、設備の老朽化の度合い、更新の緊急性等を総合的に勘案しながら、産業教育設備整備事業全体の予算の中で整備を進めてきております。
財政的な制約などから全ての要望に応えることは難しい状況にはありますが、専門高校において、産業構造の変化や技術革新などに対応できる人材を育んでいくことは重要であり、平成28年度予算案におきましては、新たに被災地域県立学校産業教育設備等整備事業を計上させていただいており、工業高校における旋盤の更新なども行うことといたしております。
今後におきましても、専門高校における施設整備の充実に取り組んでまいります。
次に、奨学金制度の学校における指導についてでありますが、県立高校においては、生徒全体に日本学生支援機構の奨学金制度を初め、各大学や民間企業などのさまざまな団体が設けている奨学金制度についてパンフレットなどを活用したガイダンスを行うとともに、奨学金の借り入れや給付を希望する生徒に対しては、申し込みから返済方法まで、制度の内容について説明する機会を設け、また、保護者に対しても、PTA総会等を通じて制度の周知を図ってきております。
あわせて、生徒や家庭個々の進学にかかわる経済的な問題については、学級担任が面談などを通じた個別の相談に応じておりますが、進学に伴う経済的問題を乗り越えることは、生徒自身はもちろんですが、社会全体にとっても極めて重要でありますので、今後とも、生徒に寄り添った丁寧な対応に努めてまいります。
次に、奨学金の返済に係る課題等についてでありますが、大学生を対象とする現在の国の奨学金制度は、貸与終了後の返還金を次の世代への奨学金の原資に充てる仕組みであることから、その持続可能で安定的な運営のためには、奨学金返還の履行が不可欠とされております。
他方、雇用形態の変化による非正規雇用の増加などに伴い、卒業後も厳しい経済的状況に置かれ、奨学金の返還に苦慮するという実情が表面化してきており、国では、その不安、負担の軽減のため、一定の収入が得られない間の返還を猶予する制度を設け、さらに収入に応じて返還額を増減する制度の導入に向けた検討を進めているところであります。
県教委といたしましては、高等教育の機会均等を図る上で学生への経済的な支援は極めて重要であると考えており、繰り返しその拡充を求めてきておりますが、今後においても、県民の皆さんの思いを受けとめながら、意欲と能力のある学生が安心して学ぶことができるよう、より柔軟な返還制度や返還不要の給付型奨学金の導入など、国の奨学金制度の充実に向けて必要な要望を行ってまいります。
次に、労働環境の把握等についてでありますが、県立高校における労働環境や労働問題の実態の把握については、各種の求人情報をもとに把握することが基本となっておりますが、加えて、進路指導担当教員や就業支援員が、県内各地域の事業所を直接訪問しての情報収集も行っております。さらに、職場訪問や求人票などからは把握しにくい職場の実態等については、卒業生から直接聞き取ることも有効な手段となっております。
また、生徒、保護者が直接企業の実態を知ることも重要ですので、産業界や関係機関との連携のもとに、企業見学会などの取り組みも行ってきております。
課題といたしましては、就職の道を選択した生徒が職場で労働上の課題に直面した際に、一方的に退職の道に進むだけではなく、労働者保護制度などの知識を待ちながら、上司や同僚、専門機関に相談して解決を探る道を身につけていくことも大事であると考えております。
県教委といたしましては、高校生が労働関係法制や社会保障に関する基礎的な知識及び問題解決能力を身につけられるよう、岩手労働局や雇用担当部局等とも連携し、高等学校における労働教育の充実に努めてまいります。
〇19番(軽石義則君) 答弁ありがとうございました。何点か再質問をさせていただきます。
災害の経験を生かした対策についてはそれぞれ生かされているところもありますし、これからさらに充実をしなければならない点もあると思いますが、災害の場合は、特に今回、ライフラインが停止する起因として、倒木等の障害が多かったというお話でしたけれども、そういうことであれば、雪が降る前に、倒木になりそうなところは事前にしっかり管理をして、事前対策もとっていくことが今後はさらに必要だと思います。植物ですから、どうしても切れば伸びるということも考えられますけれども、毎回同じような災害対策の繰り返しでは、生かされていないところもあると思いますので、ぜひそれらについて、今後どのように対応していくお考えであるか、お聞きをしたいと思います。
もう一点は、農業被害への支援の状況で、共済関係についてもしっかりと対応、支払いするようにという答弁でした。国では、災害対応を共済制度で行うこととしているとのことでありますけれども、それが農家のほうに十分浸透していない実態もあるのではないかと私は承知をしているのですが、今回の被災地域においては、共済の加入率が40%にとどまっているとも聞いております。現に、被害に遭った農家が加入をしていないなど、補償額についても細部をしっかり熟知していれば、さらに検討する余地もあったという声もありまして、そういう共済制度がしっかりと周知をされていないところもあるとすれば、国と連携して、その制度がいかに必要か、共済ですので当然掛金等も発生してきますし、負担も出てくることもあると思いますが、それらに対する支援も含めて、今後、具体的な取り組みがあれば、あわせてもう一度お伺いをしたいと思います。
スポーツ振興におきましては、知事から、スポーツ、文化を発信する中心的な組織を検討したいという、非常にいいお答えをいただいたと思っておりますけれども、既に国体、障害者スポーツ大会終了の時期のめどがもう立っているわけであり、ことしがその年です。そうすると、どの時期に検討結果が見えてくるのかというのが、それら関係するところを含めて、県民の皆さんは注目をされていると思いますので、検討結果がどのぐらいの時期に示されるか見通しがあれば、再度お聞きをしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 先ほど答弁で、国体開催後のスポーツや文化を基軸とした地域振興の取り組みや推進体制について、知事部局への一元化も視野に検討していくということで、今までは知事部局への一元化も視野にということは述べていなかったわけでありますが、視野に入ったところでありますので、そのくらいの感じと御理解いただければと思います。
〇総務部長(風早正毅君) 災害の経験を踏まえた対応についての再質問をいただきました。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、災害が起きたときには、県と市町村、それからさらには、これも御答弁でも触れさせていただきましたが、ライフラインを持たれている、関係しているような民間企業の皆様方、こういうところとの非常にきめ細かいネットワーク、情報のやりとりというのが非常に重要になってくると考えております。
今回の状況、倒木等により除雪に時間がかかったというような教訓がございましたので、こういった教訓を踏まえて、今後とも、なるべく幅広く対応していくということに心がけてまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(小原敏文君) 農業共済制度の件でございますけれども、パイプハウスなどの被害を補償します園芸施設共済の平成26年度の加入率を見ますと、地域によってばらつきはありますものの、県全体では66.7%となっております。
国では、自然災害への備えは園芸施設共済への加入が基本であるとしまして、平成27年2月に、パイプハウスの耐用年数を5年から10年に延長しましたほか、補償価額の引き上げや、さらには撤去費用も補償対象に追加するなど、制度の大幅な見直し、拡充を行ったところであります。
実施主体であります農業共済組合では、広報誌や未加入者への戸別訪問などにより、これらの周知や加入の促進を図ってきておりますが、県といたしましても、国や団体等とも連携しながら、ホームページや栽培指導会での働きかけなど、周知が十分でないという御指摘も踏まえまして、さまざまな機会を通じ、制度の周知徹底に努めてまいります。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時29分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時47分 再開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木宣和君。
〔9番佐々木宣和君登壇〕(拍手)

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