平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(高橋孝眞君) 自由民主クラブの高橋孝眞でございます。
まずもって、1月18日から22日にかけての暴風雪等により被災された皆様にお見舞い申し上げます。
今回の災害による被害総額は2月15日現在で約71億円と、甚大なものとなっております。特に水産関係で約7億円、漁港施設等で約55億円となっており、漁業関係者の皆様には改めてお見舞いを申し上げます。関係各位の御協力により早期に復旧が図られますよう、お願いを申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問をさせていただきます。
まず最初に、地方創生について伺います。
政府においては、我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、希望を生み出す強い経済、夢をつむぐ子育て支援、安心につながる社会保障の新3本の矢の実現を目的とする1億総活躍社会の実現に向けて取り組んでおります。この取り組みについて、知事はどのような御所見を持っておられるのか、また、いわて県民計画第3期アクションプランに生かしたのか伺います。
人口減対策について伺います。
国においては、我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯どめをかけ、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくための施策を実施することなどを目的に、平成26年11月に、まち・ひと・しごと創生法を制定し、同年に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を閣議決定したところであります。
まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、人口減少を克服し、地方創生をなし遂げるため、人口、経済、地域社会の課題に対して、一体的に取り組むことが何より重要としております。
また、地方創生は、言うまでもなく人が中心であり、長期的には、地方で人をつくり、その人が仕事をつくり、まちをつくるという流れを確かなものにしていく必要があるとしております。しかしながら、現状は、総務省が公表した2015年の人口移動報告によると、東京圏への転入超過が11万9、357人と、前年に比べ9、949人増加し、転入超過の拡大は4年連続となっています。一方、本県は、転出超過4、122人となっており、2014年の3、200人に比べ転出者が増加となっています。
昨年10月に取りまとめた岩手県人口ビジョンにおいては、本県の人口の現状を分析し、今後の人口の展望を示したところでありますが、本県の人口は1997年以降減少し続け、また、社会減は、進学期、就職期の若者の転出による影響が大きく、特に就職期の女性の転出が多くなっているようです。
県内大学及び専門学校卒業後の平成26年度の県内定着率は、それぞれ43%と50%となっています。これまでと同じことを行っても、定着増は見込めないのではないでしょうか。
人口減少を克服していくためには、若者の県内の定着率を上げるなど、社会減に歯どめをかける仕組みをつくる必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
また、いわて県民計画第3期アクションプランにおける人口減対策の指標について、例えば、県外からの移住、定住者数を毎年50人の増加を目指すことになっておりますが、4、000人以上の転出超過の現状を見ますとそれぞれの指標が余りにも低いと感じますが、知事の御所見を伺います。
過疎地域などにおけるコミュニティーの維持について伺います。
国内では、東京圏一極集中となっておりますが、これを県内で見ますと、盛岡市及び周辺の市町に人口が集中し、国内の状況と同じようになっています。さらに言うと、市町村内においても中心街に人が集まり、過疎地域などにおける人口は減っているとお聞きします。
県では、岩手県過疎地域自立促進方針を策定するなどして、人口の減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能や生活環境の整備が他の地域と比較して低位にある地域などの自立を図り、住民福祉の向上や雇用の拡大、地域格差の是正を図ろうとしております。県内の過疎地域などにおけるコミュニティーを守り維持するためには、産業や医療、教育、道路整備等の対策を総合的に進め、相乗的に効果が上がるようにすることが重要であると考えます。
そこで、県では、過疎地域等の目指す姿をどのように描いて維持しようとしているのか、また、その実現に向け、いわて県民計画第3期アクションプランにおいて、どのような方策を推進しようとしているのか伺います。
地方創生の円滑な推進について伺います。
地方創生に関連する国の事業は、内閣府や総務省、厚生労働省、国土交通省、農林水産省と多岐にわたっていますが、例えば集落再生・活性化モデル支援事業は、申請者が市町村を通じ県に申請する事業で、県では15件分の事業を確保し、1次、2次募集をしましたが、市町村が十分に把握していなかったこともあって、結局、11件分は実施できなかったとのことです。県としては、募集をかけていることから手続上問題はありませんが、市町村の体制もそれぞれであり、活用できると思われる全ての事業を確実に把握することは大変難しいことから、もっと丁寧な説明が必要だったと思います。
地方創生に係る国の事業など、地域で使える事業がうまく伝わらず、事業が活用されないということになると、国が進める地方創生もうまく進まないと考えますが、今後、どのような対応が必要か伺います。
次に、障がい者及び高齢者福祉について伺います。
県では、障がいのある人もない人も、それぞれの力を生かし、ともに助け合いながら生き生きと暮らしていける、ともに生きる岩手の実現に向けて、障がい者施策を総合的、計画的に推進するため、平成26年2月に岩手県障がい者プランを作成したところであります。このプランをより推進するためには、現状をしっかりと認識することが必要であると考えます。
県では、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の方々について、それぞれの障害者手帳で把握されていると思いますが、それらの方々を支援するにしても、それぞれに対応の仕方が異なると思います。
そこで、障がい者別にどのような対応がなされているのか。特にも、知的、精神障がい者への支援や介護が不足していると聞きますが、実態はどうなのか伺います。
介護の人材確保について伺います。
全国的に介護人材の不足が言われておりますが、介護労働安定センターが行った平成26年度介護労働実態調査結果を見ますと、事業者から、採用が困難になっている理由では、賃金が低い、身体的、精神的に仕事がきついとの回答の割合が高く、また、介護職員からは、人手が足りない、仕事内容の割に賃金が低いとの回答の割合が高いということであります。
県内の介護福祉養成施設、いわゆる専門学校は、平成26年度末で4施設あり、平成26年度の卒業者数は167人、うち、県内で介護分野への就職者は144人とのことであります。平成27年度は新たに1施設が加わり、定員が292人になりましたが、入学者数は115人と4割を切っているような状況であります。
そこで、県内の介護人材は足りているのでしょうか。また、今後、人材を確保するためにどのような対策を講じていくのか伺います。
障がい者の権利擁護について伺います。
障がい児を持つ親は、自分たちが元気なうちはいつまでも一緒に暮らしたいと希望していますが、いつかは高齢者となります。子供の世話や介護もできず、権利も守れなくなることは、親としては深刻な問題であります。
前回も質問しましたが、県では、親亡き後の権利擁護の課題として、条例の認知度が低く、不利益な取り扱いの相談件数が少ないこと、障害者差別解消法の施行に伴う相談窓口の一元化が求められていること、市町村や障がい者支援施設等の虐待防止体制が不十分であること、成年後見制度の利用が低調なことと認識されておりますが、その後、課題解決に向けた取り組みの実績について伺います。
高齢者虐待の予防対策について伺います。
65歳以上の高齢者人口が国民の4人に1人となっている現在、高齢者は、安全で安心な生活を送るために、特別養護老人ホームなどに入所すると思いますが、その介護施設の職員による虐待が全国的に増加していると言われています。ただ、公表されている件数ですら氷山の一角で、実数はかなりの件数に上がっているとの専門家の話もあります。
平成26年度において、虐待した職員は30歳未満が多く、原因としては、職員の教育、知識、介護技術の問題との回答が6割以上となっています。虐待が生まれる原因は、職員だけにあるのではなく、施設を運営する側にも問題があると思います。
県内の介護施設においては、平成21年度から平成26年度の虐待はなかったとのことですが、平成27年度は、これまでに2件の虐待事案があったとお聞きしています。
虐待の把握は、入所者本人や家族等からの苦情、通報、施設からの事故報告等により行っているとのことですが、県では、虐待を未然に防ぐため、どのような予防対策に取り組んでいるのか伺います。
障がい者施設の充実について伺います。
障がい者と暮らす家族は、長期間にわたって世話をしながら生活を送ることになりますが、拘束される時間が長いことから、精神的、肉体的に疲労することがあります。逆に、障がい者本人がストレスを感じている場合もあるとお聞きします。それでも、家族の中でやりくりしながら生活されていますが、親御さんからは、短期、長期で入所できる施設が欲しいとの声もあります。ただ、地域の理解を得ることが難しいともお聞きします。
そこで、特にも、精神障がい者のグループホームなども含めた障がい者施設の充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。
県立花巻清風支援学校の分教室設置について伺います。
花巻清風支援学校に在籍している北上市の児童生徒の数は100名を超え、長時間の通学、送迎が、子供と保護者にとって大変大きな負担となっているとお聞きします。平成29年4月の分教室開設に向け、平成28年度から北上市内小中学校に1学級当たり6人、小中学部それぞれ3教室の設置が計画されていますが、それで十分な対応とお考えなのでしょうか。
また、一般就労を希望する生徒の高等部教育においては、職業学科に特化し、キャリア教育を充実させた学校が少ないため、子供たちに少しでも多くの職業教育、キャリア教育を受けさせたいと思う親の思いをかなえることが難しくなってきているともお聞きします。そこで、高等部についてはどうなるのか、あわせて伺います。
次に、農業振興について伺います。
知事のトップセールスでありますが、先月、第26回いわて牛枝肉共励会が東京都中央卸売市場で開催されました。60頭の上場で上物率100%、平均単価2、666円と高値で販売され、買参人、市場関係者から高い評価を得たところです。前夜祭には、出品者、買参人、関係者、知事にも出席をいただき、畜産業にかかわる者として感謝にたえないところでありますが、翌日の上場の競り場にも参加され、ワッショイワッショイと知事のかけ声があれば、生産者として励みになり、さらに枝肉単価にも影響があったものと思います。
そこで、平成28年秋にデビューする県オリジナル品種銀河のしずくや、その後デビュー予定のブランド米を初め、農畜産物の販売戦略において知事のトップセールスが極めて重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
肉用牛の生産拡大について伺います。
肉用牛の肥育頭数が減少しております。現在、酪農家が乳牛にET技術を活用し、和牛の受精卵移植が行われ、生まれた子牛を約2カ月間保育、育成して、中央家畜市場に上場されております。これらの子牛の割合が平成24年度の1.2%から平成26年度の2.9%と、年々増加しております。この子牛が宮城県を初め、関東、北海道の購買者へと競り落とされておりますが、和牛の繁殖頭数が減少している中で、速やかに県内で肥育頭数を確保するためには、せっかくの岩手の資源を流出させないようにする必要があると思います。
岩手で9カ月間育成して、さらに県内に保留させるような施策を講じる必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
全国和牛能力共進会に向けた取り組みについて伺います。
平成29年9月に、宮城県で全国和牛能力共進会が開催される予定です。本大会は、全国の優秀な和牛を5年に一度、一堂に集めて、改良の成果やその優秀性を競う全国大会で、通称、全共、別名、和牛のオリンピックとも呼ばれています。雄牛、雌牛の体型のよさなど、改良成果を月齢別に審査する種牛の部と、枝肉の状態で脂肪の入りぐあいなどの肉質を審査する肉牛の部に全国の代表牛約500頭が出品され、優秀な成績をおさめることでその和牛ブランドの市場価値が全国的に高まるため、参加道府県にとってはまさに威信をかけた大会となります。
そこで、この共進会に向け、県としてどのように取り組み、どのような成果を上げようと考えているのか伺います。
農業法人の支援について伺います。
平成26年度の新規就農者は246人で、そのうち農業法人への雇用就農が82人となっており、平成24年度以降、雇用就農者は増加傾向となっています。農業法人への雇用を通じて、新規就農者を農業経営者として育成することも担い手の確保、育成の一つとして考えます。このことから、農業法人が担い手育成の受け皿となれるよう、経営指導や経営支援が必要と考えますが、御所見を伺います。
平成30年産以降の米政策について伺います。
平成27年産米については、全国的に飼料用米等への転換が進み、現行制度となって以来、初めて過剰作付が解消されたことにより、平成28年6月末の民間在庫量は207万トンと、前年より19万トン減少すると見込まれ、全国の相対取引価格は、平成26年産米より1割程度上昇しております。
国は、平成30年産米からは、行政による生産数量目標の配分を行わないこととしております。行政による生産数量目標の配分が行われない場合であっても、米の需給調整は必要であると考えますが、県はどのように考えるのか伺います。
あわせて、平成26年産米価の大幅な下落に対して収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策により、県内の農業者に23億3、000万円余の補填金が交付されたところであり、平成27年産米のナラシ対策の加入申請では、主食用米作付面積の約49%がカバーされております。
県内の圃場整備率は約51%と、全国平均より大幅に低く、多くの水田が10アール程度の圃場と見受けられ、こうした圃場が加入していないものと思われます。また、加入要件が認定農業者、集落営農、認定新規就農者に限定されています。県において、ナラシ対策の加入を促進する必要があると考えますが、対応を伺います。
鳥獣被害対策について伺います。
農業や林業に与える被害額が全国で平成25年度200億円を超え、年々増加していると言われています。被害増加の原因は、集落の過疎化、高齢化による人間活動の低下、害獣のえさ場や隠れ場になる耕作放棄地の増加、少雪傾向に伴う害獣生息域の拡大、猟師の減少、そして高齢化と言われております。もはや、農家みずからが自衛のために狩猟免許を取得し、鳥獣被害を回避することが求められているのではないでしょうか。
そこで、県としても、農地の周りに電牧柵の設置を支援するなど対策を講じておりますが、現在の県内の被害額はどの程度と算出されているか伺います。
また、狩猟免許取得のためにも、免許取得のための講座を開設したり、男性ばかりではなく、農業女子、牛飼い女子にも免許取得を推し進めるなど、さらなる対策が必要だと考えますが、どのような対策を考えているか、あわせて伺います。
次に、災害公営住宅について伺います。
災害公営住宅の整備戸数は、平成28年1月末現在で、計画では5、771戸、完成されたのが2、748戸となっております。そのうち、空き戸数が361戸であります。現在、応急仮設住宅入居戸数は7、813戸であり、災害公営住宅に入居しないのは、自分の希望するところが整備されていないなどが原因とお聞きしています。
県では、東日本大震災津波により、岩手県内の内陸部等に避難され、このまま現在お住まいの市町村にとどまる意向をお持ちの方々の住宅再建支援を目的に、岩手県内陸部における災害公営住宅への入居希望調査を行いました。入居希望調査をしたのは、内陸部に災害公営住宅建設をすることが前提なのでしょうか。
調査票を見ますと、入居要件は、収入の合計が一定の基準額以下であること、そして、沿岸市町村の災害公営住宅に応募または入居希望していないことや、防災集団移転促進事業等により、市町村が整備する宅地の取得を希望していないことなど、これまでの意向調査等において、沿岸市町村に戻る意向を示していないこととあります。
そもそも、これまでの意向調査等において、戻る意向を示していないのは、内陸のみなし仮設住宅で一旦は暮らすけれども、後々内陸で持ち家を持つなり、また一般の賃貸住宅で暮らそうと考えていた方々だと思います。
内陸部での生活を考えている方への対応は、災害公営住宅を建設するということではなくても、別の対応策があるのではないかと思いますが、どのようにお考えか伺います。
あわせて、仮に災害公営住宅を内陸に建設するのであれば、今、内陸で避難生活を送られている方全員を対象に建設するのかしないのかを最初に検討すべきではないか。内陸で避難生活をしている方も沿岸で仮設暮らしの方も、同様に考えるべきではないのかと思うのですが、御所見を伺います。
次に、コールセンター業、DIOジャパンの緊急雇用創出事業の問題についてでありますが、立地7市町の職業安定所管内において、事業開始時である平成24年4月の有効求人倍率は、単純平均ですが0.74であります。当時は、雇用状況を考えると、誘致も当然ではなかったかと推測されますし、7市町の2年間の失業者新規雇用は延べ838人、その人件費総額は8億3、500万円ほどとなっています。この点はよかったことと思うのですが、知事はさきの東日本大震災津波復興特別委員会での集中審議の際、今回の件は申しわけなく思っている、県民の皆さんにおわびしたいと謝罪しました。一定の責任を認めたわけですが、知事はどの部分での責任を認めたのでしょうか、伺います。
山田町NPO事案について伺います。
DIOジャパンでは、知事と本門社長との対談があり、DIOジャパンのホームページに掲載されたことから、県の全面的なバックアップがあるとの認識で市町は事業を実施したと思います。大雪りばぁねっとも同様で、岡田代表が沿岸広域振興局宮古地域振興センターの推薦により、山田町での活動の評価から、知事との意見交換会に出席されています。この出来事から大雪りばぁねっとの活動が拡大されました。知事が意図したかどうかは別として、県の担当者がかかわったことは事実として受けとめ、大雪りばぁねっとの問題もDIOジャパンと同じように、県は一定の責任を認めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋孝眞議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、一億総活躍社会の実現についてでありますが、国の一億総活躍国民会議が昨年11月に取りまとめた一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策では、1、賃金引き上げによる消費の拡大や投資の促進によるGDP600兆円の実現、2、結婚、妊娠から子育てに至る各段階に応じた切れ目のない支援による希望出生率1.8の実現、3、介護サービス基盤の確保、介護人材の育成、確保などによる介護離職ゼロの実現の、いわゆる新3本の矢の政策が掲げられています。
これら出生率の向上や介護人材の育成、確保、長時間労働の抑制など働き方の改善、ひとり親家庭等の自立支援など、国として全国一律で取り組むべき重要な課題に関し、国がしっかりと取り組むことを期待しているところであります。
県といたしましても、産業振興施策を通じた仕事の創出や社会全体で子育てを支える取り組みなどを、ふるさと振興総合戦略とそれを包含する第3期アクションプランに掲げ、平成28年度当初予算案と、今般の国の補正予算を踏まえた平成27年度2月補正予算案にそれぞれ盛り込んだところでありまして、アクションプランに掲げた取り組みを着実に推進してまいります。
次に、人口減対策についてでありますが、県の人口の社会減は、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期に顕著であり、就職に伴う若者の社会減対策が課題となっています。
こうしたことから、県では、先般、産学官や金融機関、教育機関などで構成するいわてで働こう推進協議会を設置し、産業集積の促進や観光業、農林水産業の振興による県内就職の促進、また、創業の支援など雇用の量を確保し、それとともに長時間労働の抑制を初めとした働き方の改善など雇用の質の向上を進めることとしておりまして、官民を挙げて若者の地元定着に取り組んでまいります。
一方、全国的な人口動向を見ましても、直近1年間で東京圏の転入超過が1万人近く増加するなど、人口の東京一極集中の傾向は一層強くなっており、岩手県においても、昨年は人口の社会減が1、000人規模で拡大いたしました。
県といたしましては、国が掲げる東京圏の転入超過10万人解消の基本目標に呼応して人口の社会減ゼロを目標に掲げたところであり、高卒者や県内学卒者の県内就職率や県外からの移住、定住者数などについて、国の要請に応じた客観的な重要業績評価指標―KPIを設定いたしました。今後、これら指標の達成状況を検証しながら、効果的な事業推進に結びつけてまいります。
一方、地方の人口の社会増減は、国の経済状況や経済財政政策の影響を強く受けることが明らかであり、こうした県の取り組みとあわせて、国においても地方重視の経済財政政策を実施するよう、北海道東北地方知事会等とも連携して訴えてまいります。
次に、トップセールスについてでありますが、トップセールスは、直接的な販売効果に加えて、県産農畜産物の認知度やブランド力の向上、新たなネットワークの構築など、販路拡大の基盤づくりにつながる大変重要な取り組みであります。
このため、毎年、いわて牛の集いにおいて市場関係者等へのPRを行っていますほか、国内の主要な米卸売業者や大手総合スーパーのトップとの懇談などを通じ、県産農畜産物の品質の高さやおいしさをアピールしてきています。
また、海外においては、ミラノ博において本県食材の魅力やすばらしさを紹介し、また、台湾、シンガポール、アメリカ等でのイベントやフェアにおいて県産ひとめぼれなどを売り込んできたところです。
県オリジナル水稲品種につきましては、先般公表したいわてオリジナル品種ブランド化戦略におきまして、知事や農業団体の代表等によるトップセールスを実施することとしておりまして、こうした取り組みを通じて、産地の思いを流通関係者や消費者に直接伝えてまいりたいと思います。また、これを好機として本県の農畜産物のPRを強力に展開し、県産農畜産物のイメージアップと取引拡大につなげてまいります。
次に、DIOジャパンについてでありますが、会計検査院から、市町は、受託者から提出された委託事業に関する実績報告書等の内容の調査確認が十分ではなかったこと、県は、市町から提出された実績報告書等の内容の調査確認が十分でなかったこと及び市町に対する指導監督が十分でなかったこと、そして、厚生労働省は本県に対する指導監督が十分なかったこととの指摘がなされておりまして、県に対する指摘について真摯に受けとめているところであります。
次に、山田町NPO事案についてでありますが、本事案につきましても、会計検査院から、町は、受託者から提出された委託事業に関する実績報告書等の内容の調査確認が十分ではなかったこと、県は、町から提出された実績報告書等の内容の調査確認が十分でなかったこと及び町に対する指導監督が十分でなかったこと、そして、厚生労働省は本県に対する指導監督が十分なかったこととの指摘がなされており、県に対する指摘について真摯に受けとめているものであります。
なお、現在、法制度や補助制度の仕組み等に精通している外部の方々で構成します有識者会議において、県が平成26年3月に取りまとめた報告書の妥当性等について検討いただいているところであります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 過疎地域などにおけるコミュニティーの維持についてでありますが、県では、今般策定した岩手県過疎地域自立促進方針において、過疎地域の自立に向けた基本的な方向として、地域資源を最大限に活用し、地域の個性や特色を生かした地域ならではの価値を高める取り組みを展開することにより、自立的な地域社会の構築を掲げたところであります。
この実現に向けては、今年度内に策定する県の過疎計画に基づき、産業の振興や生活環境の整備、高齢者等の保健、福祉の向上など、総合的、計画的な過疎対策を展開していくこととしております。
過疎計画に先立ち先般策定したいわて県民計画第3期アクションプランにおいては、過疎地域等のコミュニティーの活性化に向けて、元気なコミュニティ特選団体の選定や地域づくりフォーラム等の開催、各種コミュニティー助成制度の活用などによる住民主体の自立的な取り組みの支援や人材の育成、移住の促進や、移住者が地域の担い手として活躍できる環境づくり、農山漁村ビジネスに取り組む経営体の育成や、グリーンツーリズム等による交流人口の拡大などに取り組むこととしております。今後においても、過疎市町村と連携しながら、住民が主体となった取り組みが展開されるよう、積極的に支援してまいります。
次に、地方創生の円滑な推進についてでありますが、人口減少に立ち向かうための県及び市町村の総合戦略等に掲げた施策の推進に当たっては、地方創生のための交付金を初め地域の実情に対応した支援制度を効果的に活用していくことが重要と考えております。
御指摘のありました集落再生・活性化モデル支援事業費補助金につきましては、過疎地域において活動する住民団体を対象とした支援制度であったことから、市町村を通じて2回にわたり事業募集を行ったほか、ホームページへの掲載やNPO法人あてに情報提供を行ったところでありますが、結果的に予定の事業数に至らなかったものであります。
今後におきましては、市町村や住民団体等が活用可能な支援事業について、例えば、地域コミュニティーや過疎対策、地域資源を生かした産業振興など、地域が必要とするニーズの分野ごとに分類して支援策を提示するなどにより、より一層きめ細かな周知に努めるとともに、広域振興局とも連携し、市町村等との日常的なコミュニケーションを強化し、地域のニーズや課題の把握に努めながら、効果的に施策が推進されるよう取り組んでまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、障がい者支援の実態についてでありますが、障がい者への支援については、障害者総合支援法に基づく相談支援事業所において、障がい者本人の意向を聴取しながらサービス等利用計画を作成し、個々の障がい者の状況に応じたサービスの提供を行っています。知的及び精神障がい者への支援や介護に関しては、グループホームや短期入所事業所などが不足しているとの意見を関係団体より伺っているところです。
県では、平成27年度から平成29年度までを計画期間とする、第4期障がい福祉計画に基づく必要な障害福祉サービスの見込み量の確保に向け、地域の自立支援協議会において、関係者間の情報共有を図りながら、サービスの主体となる市町村を支援してまいります。
次に、介護人材確保についてでありますが、昨年12月の県内有効求人倍率は、全産業の1.30倍に対し介護職では2.03倍となっており、人材不足が顕著となっています。事業者団体からは、現状でどうにか対応しているが、もう少し人が欲しい、介護のイメージ低下で人材確保が困難との声が多くあり、一時的に本来の定員よりも少ない入所者で運営している施設もあります。
こうした状況を踏まえ、県内各地に配置したキャリア支援員によるマッチング支援や、若者と親の世代をターゲットに介護の仕事の魅力を発信するテレビ番組、介護deまんがの放映などを行っています。
平成28年度は、引き続きマッチング支援などの取り組みを行うほか、関係団体等の提案を踏まえ、生徒や住民を対象とした介護の仕事理解促進事業や、事業所の中堅職員等を対象とした新人介護職員指導者支援事業など新規の取り組みも予定しており、今後とも市町村や関係機関等と連携し、介護人材確保に努めてまいります。
次に、障がい者の権利擁護に係る取り組み実績についてでありますが、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例の認知度の向上についてはラジオ広報を実施したほか、本年4月から施行される障害者差別解消法の普及啓発とあわせ、パンフレット等により条例の周知に取り組むこととしております。
相談窓口の一元化については、同条例の推進協議会における検討を踏まえ、現在、市町村の状況等を確認しながら調整を行っているところです。
虐待防止体制については、昨年2月に、市町村担当者及び施設従事者等を対象とした虐待防止・権利擁護研修会を実施し、本年3月にも同様の研修を予定しております。
成年後見制度については、相談窓口となる市町村職員を対象とした成年後見申立支援講座を12月に開催したほか、成年後見人養成研修を2月19日に実施しました。
障がい者の権利擁護については、県民の間に広く浸透させる必要があることから、今後とも、障がい者団体に対する説明や県民に対する普及啓発に一層取り組んでまいります。
次に、高齢者虐待の予防対策についてでありますが、県では、介護保険法等に基づき、介護サービス事業者等に対する指導の中で、適切なサービスが提供されているかを確認するとともに職員の資質向上などについても助言しています。
また、高齢者虐待防止法では、国及び地方公共団体は関係機関と連携し虐待防止に取り組むこととされており、県では、地域の相談窓口である地域包括支援センター職員や施設で虐待防止を推進する指導職員を対象とした研修を開催しております。
昨年6月に県内で介護施設職員による虐待が2件発生したことを受け、今後は、施設に対する実地指導等の重点項目として虐待防止に向けた取り組みの確認や必要な指導、助言を行い、介護施設職員による虐待の防止に努めてまいります。
次に、障がい者が利用する施設の充実についてでありますが、市町村や相談支援事業所において障がい者の介護にお困りの方の相談に応じ、個々の障がい者の状況に応じて、障害者総合支援法に基づき、生活介護や短期入所、グループホームといった障害福祉サービスを提供しているところです。
このうちグループホームは、入所施設や精神科病院から地域へ移行する障がい者の生活基盤として、また、在宅の障がい者が必要な支援を受けながらひとり暮らしに近い形で生活できる場として、障がい者の自立と社会参加のために重要な施設であると考えています。
これら精神障がい者などが利用するグループホームも含めた施設の充実については、第4期障がい福祉計画に基づく必要なサービスの確保に向け、県では、社会福祉施設等施設整備費補助金などにより、事業者による整備の取り組みを支援してまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、肉用牛の生産拡大についてでありますが、県内和牛子牛市場では、子牛の上場頭数の減少に加え県外購買者の参入等によりまして子牛価格が高騰しており、県内の肥育農家は肥育素牛の確保が困難になってきております。
このため、農業団体におきましては、県等との連携のもとに、今年度から乳牛への受精卵移植による和牛子牛の生産を始め、来年度からは県内の肥育農家に適正価格で譲渡することとしております。
また、昨年からは、大規模な繁殖経営に参入しました民間事業者が、本県を含めた東北地域の肥育農家に肥育素牛の供給を始めており、これらの動き等も踏まえながら、県内の肥育農家へ肥育素牛の安定的な供給に努めてまいります。
次に、全国和牛能力共進会に向けた取り組みについてでありますが、県では、平成29年9月に宮城県で開催されます共進会に向け、生産者団体と連携しながら、出品候補牛の選抜、育成の取り組みを進めております。
具体的には、前回大会で成績がふるいませんでした肉牛の部では、出品候補牛の肥育農家への早期導入によりまして肥育期間を確保しますとともに、県、農協等で組織します対策協議会による巡回指導等により、若齢肥育技術の向上に取り組んでおります。
また、種牛の部では、県有種雄牛と体型や繁殖成績のすぐれた優良繁殖雌牛との交配により出品候補牛の計画的な生産を行いますとともに、平成28年度から、県単独の新規事業により、出品候補牛の調教や育成管理の強化を支援してまいります。
こうした取り組みにより、前回の総合5位を上回る成績をおさめ、本県が全国に誇れる優良な和牛産地であることを県内外に強くアピールしていきたいと考えております。
次に、農業法人への支援についてでありますが、本県農業の持続的な発展のためには、明確な経営ビジョンを持って、雇用を取り入れながら、経営の規模拡大や多角化に取り組む経営体を育成していくことが重要でありまして、県では、農業法人など意欲的な経営体に対し、農地集積や機械、施設の導入などを支援しております。
農業法人におきましては、今後、担い手育成の受け皿としての役割が一層期待されますことから、これまでの取り組みに加え、中小企業診断士や農業経営アドバイザー等で構成します支援体制を整備し、経営体それぞれのニーズに応じて必要な専門家を派遣するなど、経営力向上に向けたきめ細かな支援を行ってまいります。
次に、平成30年産以降の米政策についてでありますが、国では、平成30年産米から、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者や集荷業者、団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう取り組むとする、農林水産業地域の活力創造プランを決定しているところでございます。
県では、引き続き米の需給と価格の安定が図られることが重要と考えておりまして、米政策の見直しに当たりましては、国の一定の関与を前提とした需給調整の仕組みにするとともに、生産者や集荷業者等が行います取り組み内容や工程等を早期に提示するよう、これまで国に対して要望してきているところでございます。
今後、関係機関、団体や県で構成します岩手県農業再生協議会等におきまして、主食用米と転作作物を組み合わせた水田の有効活用による所得確保とあわせまして、平成30年産以降の米政策に対応する取り組みの方向を検討する予定としておりまして、必要な施策等の要望を国に対して行ってまいります。
また、収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策でございますが、米、麦、大豆の経営安定を図りますため、市町村や農協等と連携し、農業者への制度の周知に加え、加入要件を満たすよう、地域農業マスタープランにおける中心経営体等の認定農業者への誘導、小規模農業者等の集落営農組織への参加を進めてきておりまして、引き続き、ナラシ対策への加入を促進してまいります。
次に、鳥獣被害対策についてでありますが、平成26年度の県内の野生鳥獣による農林業の被害額は約4億8、000万円となっており、このうち、ニホンジカによる被害額が約2億6、000万円と全体の過半を占め、次いで鳥類が約8、000万円、ツキノワグマ、ハクビシンがそれぞれ約5、000万円となっております。また、作目別で見ますと、リンゴなどの果樹が約1億3、000万円で全体の3割、次いで飼料作物、水稲がそれぞれ約1億2、000万円となっております。
このため、県では、侵入防止柵の設置等の支援を行いますとともに、有害捕獲を着実に進めるため狩猟者の確保に努めており、狩猟への興味や関心を高めるため、農業関係者を初め若者や女性などにも参加を呼びかけた狩猟の担い手研修会の開催に加えまして、試験の合格率向上に向けた予備講習会を実施するなど、狩猟免許の取得促進に取り組んでおりまして、狩猟免許の新規取得者数でございますが、平成23年度の78人に対しまして、平成27年度は279人と3倍以上に増加してきております。今後におきましても、こうした対策を一層進め、狩猟者免許取得者を確保してまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 災害公営住宅についてありますが、内陸避難者への支援策については、民間賃貸住宅に入居する場合の支援は被災者生活再建支援金によることとなっており、その支援があっても民間賃貸住宅に入居することが難しい低所得の世帯については、公営住宅による支援が基本であること、既存の公営住宅の優先的な提供は、空き室の数が少なく、募集時の応募倍率もおおむね高いことから困難であることなどから、災害公営住宅の建設が有効な支援策であると考えています。
内陸に災害公営住宅を建設することとした場合、県では、内陸避難者の方々には、もともとお住いの沿岸市町村に戻っていただくことが望ましいと考えていることから、これまで沿岸に戻る意向を示していない内陸避難者であることなどを入居の要件にするとともに、自力での住宅確保が困難な方に限定して支援を行いたいと考えていることから、通常の公営住宅に入居することができる一定以下の所得であることも要件にしたいと考えており、このような考え方で沿岸市町村とも調整を行ったところです。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 県立花巻清風支援学校の分教室についてでありますが、北上分教室の設置は、北上市などからの要望を受けて以来これまで、より近い環境で学ばせたいという保護者の皆様の思いと、北上地区の子供たちのともに学びともに育つ教育の場の実現に向けて、北上市を初め関係者間での協議を進めてきたところでありますが、現実的かつ速やかに対応できる方途として、平成29年4月に、北上市立南小学校、南中学校にそれぞれ小中学部の分教室を開室することとして、平成28年度当初予算案に関係経費を計上させていただいたところでございます。
設置規模については、現在、北上市とその細部を詰めている段階ではありますが、本校において引き続き学ばせたいという保護者の意向等もありますので、小中学部それぞれ3学級程度を予定しているところでありますが、本年10月を目途に、再度、保護者からの意向調査を実施し、分教室への入学希望者数が想定を超えた場合においては、改めて北上市と協議の上、対応してまいります。
高等部については、生徒の卒業後の生活的自立や就職の実現に向け、複数の作業学習の選択が可能となる作業学習に適した教育環境と、人間関係の広がりなどを育むための一定の学習集団が必要であること等から、小中学部の分教室を設置している一関地区や遠野地区と同様に本校での教育が望ましいと考えております。
なお、特別支援学校高等部におけるキャリア教育については、特別支援学校と地元企業との連携協議会での意見交換などを通じ、企業側のアドバイスを可能な限り取り入れた授業の改善や職業指導支援員の配置などに取り組んできており、一般就労の実績は高まっているところでありますが、今後におきましても、関係機関との連携を密にして、より一層のキャリア教育の充実に取り組み、生徒の一般就労や自立支援に努めてまいります。
〇24番(高橋孝眞君) 答弁ありがとうございます。
農業法人の支援についてを再度質問しますけれども、平成19年度に導入されました品目横断的経営安定対策への加入を機に、本県においても多くの集落営農組織が設立され、平成26年度末において、423組織のうち125組織が法人化したと聞いております。いまだ半分にも至っておりません。集落営農組織は、当初は5年以内に法人化することをめどに設立されてきたところであります。当初設立時のリーダーも年齢を重ねてきたと思いますし、後継者不足も考えられるところであります。
そこで、法人化できない理由はどこにあると認識しているのか。そして、法人化に至っていない集落営農組織をどう指導していこうとしているのか伺います。
また、県内の平成25年度の基幹的農業従事者数は5万5、200人と、平成15年度と比べ約29%減少し、高齢化も進んでいることから、県では、認定農業者等の農地集積による経営規模の拡大や経営管理能力の向上など、経営の質的向上を図る必要があると聞いております。
新規就農者については、平成26年度で246名と、いわて県民計画第3期アクションプランの毎年度目標260人の9割以上を確保している状況でありますけれども、今後さらに高齢化が進む中、新規就農者の確実な確保、育成が必要と考えますが、どのような対策を講じようとしているか、お伺いをいたします。
もう一点でありますけれども、山田町のNPO法人の関係につきましては、先ほど知事のほうから、一定の責任があると認めていただいたわけでありますけれども、今回、会計検査院の指摘を真摯に受けとめるということでありますが、そもそも会計検査院の指摘は、事業の実施に問題がありますと指摘したわけではありません。補助金の交付で一部経費の計上に問題、また、消費税の取り扱いにミスがあり、補助金の返還を求めたものであります。私は、県として、DIOジャパンという会社の調査なりコールセンター事業の調査が不足していたにもかかわらず、市町に積極的に紹介し、市町が事業を実施したことから問題が発生したと思うのですけれども、この点、責任を認めたということにはならないのでしょうか、お伺いをしたいと思います。
DIOジャパンは資金不足かわかりませんが、最終的に破綻をいたしました。従業員は途中で解雇されたわけでありますけれども、こういう点に責任を感じないのでしょうか。会計検査院の指摘がなければ責任がなかったということなのか、再度お伺いをいたします。
〇農林水産部長(小原敏文君) 集落営農組織の法人化についてでありますが、県では、いまだ法人化していない298の集落営農組織を対象としまして、平成27年8月にアンケート調査を行いました。その結果、86%の組織から回答がありまして、法人化に向けて取り組んでいる組織は約4割、残りの約6割の組織では、法人化の目途が立っていないという結果でありました。
法人化に向けた課題として、役員など人材の確保や、従業員に給与を支払いできるような収益性の確保などが挙げられまして、法人化の目途が立っていない組織からは、法人化に対する構成員の不安や抵抗感の払拭などが挙げられたところであります。このため、県では、市町村等と連携し、集落営農組織ごとに発展段階などを踏まえた支援内容を明らかにする法人化支援計画を作成することとしておりまして、組織運営に必要な人材養成講座の開催や経営ビジョンの作成支援、県内外の先進事例の紹介や、話し合いの徹底によります法人化に向けた合意形成の誘導などきめ細かな支援を行い、一層の法人化を促進してまいります。
次に、新規就農者の確保支援についてでありますが、県では、これまで、県内外における就農相談会の開催や農業体験の実施、研修受け入れ先のあっせんなどの確保対策に取り組みますとともに、生産技術の習得や機械、施設の導入、販売戦略を含めた経営計画の作成などの育成対策に取り組んできております。
今後、こうした取り組みに加えまして、より多くの就農者を確保するため、豊かな自然や人情、食、伝統文化など、本県農業、農村の魅力のPRや、個別ニーズに応じた農地、住居のあっせんなどきめ細かな支援を行うとともに、雇用就農の拡大に向け、引き続き、受け皿となります農業法人の経営の規模拡大や多角化等を支援してまいります。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) DIOジャパンの誘致の関係の御質問であったかと思います。
事の経緯としては、DIOジャパンから県に対しまして、コールセンターを立ち上げるために県内の市町村を紹介してほしいと依頼がございまして、県では、全ての市町村に物件の照会、問い合わせを行い、回答のあった物件情報を同社に提供しまして、その後、同社から7市町に事業所を開設したい旨の意向が示されたものであります。
県では、通常の企業誘致と同様に、各市町と連携しながら誘致活動を行ったところでありまして、その結果として4市町が同社と立地調印、それから3市が共同記者会見を行いまして、各市町に立地することとなったものでございます。
また、企業誘致においてトップセールスということがあるわけでございますが、そちらにつきましては、トップセールスが企業側の意思決定に大きな影響を与えると考えられますことから、これまでも多くの企業の方々と面会をさせていただいているところでございまして、DIOジャパンについても同様の対応を行ったものであります。
それから、早期の事業所閉鎖あるいは多くの離職者が出たことにつきましては、まずもって、DIOジャパンが被災地の復興を掲げて進出したにもかかわらず、そういった事態になりましたことは、立地市町そして県民に多大な被害を及ぼしたものでございまして、県、市町とも被害者であり、極めて遺憾と思っております。
〇24番(高橋孝眞君) それでは知事にお伺いしますけれども、私は会計検査院の指摘を真摯に受けとめるという点に特にこだわるわけでありますけれども、実際は今部長がお話をしたとおり、一般企業の場合、調査をしながら紹介をしているということだと思うのですけれども、今回のDIOジャパンについては、全くそこが県のミスではなかったかと思うわけであります。そういう意味合いでは、DIOジャパンが破綻したことによって、県が、何といいますか、積極的に紹介をしたことから、最終的には市町が受け入れたけれども破綻をしてしまった。そして、そこに働いていた従業員も雇用を失ったと。こういう部分については、紹介した県の責任があると思うのですけれども、この点はどのように考えるかということであります。
いずれにしろ、会計検査院の指摘で責任がありますというのは私はおかしいと思うのであって、会計検査院に委ねてしまったような格好でありますけれども、会計検査院は、先ほども申し上げましたとおり、事業に問題がありますよと言って返還を求めたことではない。ミスがあったからということでありますので、そういう意味で、再度、県に私は十分責任があったと思います。責任があったということは回答しているわけでありますけれども、この部分にも責任があったと認めていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 会計検査院からの指摘で、県が市町から提出された実績報告書等の内容の調査、確認が十分でなかった、そして、市町に対する指導監督が十分でなかったというのは、これは補助事業を法令に従って実施していく県としては、こういう指摘を受けたというのは、やはりこれは非常に大きなことでありまして、これは真摯に受けとめなければならないと考えます。
そして、DIOジャパンの企業誘致に関しましては、これは全国的にも多くの市町村やあるいは県が事業をしたわけでありますし、また、震災前にも有名な大手ネット事業者が事業をともに行って業績を大きく伸ばし、経済産業省にも、その点、評価されていたというような実態もございますが、いずれにせよ、県として企業誘致を行う際は、対象企業の信用調査を行って、企業の業績を見きめながら誘致活動を行っておりまして、DIOジャパンについても同様の調査を行ったほか、他県での実績や業界における知名度などの情報も収集したところであります。
〇議長(田村誠君) 次に、軽石義則君。
〔19番軽石義則君登壇〕(拍手)

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