平成27年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(阿部盛重君) 改革岩手の阿部盛重でございます。
今回、一般質問の機会を与えていただきました先輩、そして同僚議員の皆様に感謝申し上げます。これまでの議員の質問と重複するところはありますが、通告に従い、順に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
間もなく東日本大震災津波から4年9カ月が経過しようとしております。犠牲になられました皆様に改めて心から哀悼の意を表しますとともに、御家族や資産など多くを失い、いまだ応急仮設住宅などで不自由な生活を送られています皆様に心からお見舞い申し上げます。
平成26年度から3年間を本格復興期間と位置づけ、今後は第3期の準備とその実行を視野に取り組んでいかれるわけですが、これとあわせて、平成27年10月30日に策定した岩手県版まち・ひと・しごと創生総合戦略である岩手県ふるさと振興総合戦略を強力に推進されていくことと思います。
まず初めに、東日本大震災津波からの復旧、復興についてお伺いいたします。
県の復興計画は平成23年度から平成30年度までの8年間とされ、最初の3年間を基盤復興期間、昨年度からの3年間を本格復興期間と位置づけ、復興が強力に進められております。災害廃棄物の全量撤去から三陸鉄道の全線運行再開、復興道路の着実な延伸、住宅再建や医療機関の早期再開、漁港や漁船、養殖施設の復旧、整備などが図られ、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の各分野で本格復興へ事業が着実に進められております。
来年度は、本格復興期間の3年目、最終年度となります。次の第3期復興実施計画で復興の総仕上げに向かうこととなります。来年度の予算編成作業が進められていると思いますが、平成28年度を復興の進捗の中でどのようなステージとして捉え、取り組まれているのか知事にお伺いいたします。
一方、ことし10月末現在でいまだ約2万4、000人の方々が応急仮設住宅での生活を余儀なくされ、また、まちづくり面整備事業の進捗率は20%であるなど、本格復興はこれからが正念場と言えます。
復興を進める上での大きな課題に復興財源の確保があります。県の復興事業費総額は約5兆6、000億円、そのうち約4割に相当する約2兆2、000億円分が平成28年度以降必要と試算されています。そういう中で、復興事業の一部で地元負担が拡大されるとなったことはまことに遺憾であります。県、市町村における一部地元負担の見通しと、その財源確保に向けた取り組みについて知事にお伺いいたします。
また、被災地における産業再生について、これまでに中小企業などがグループ補助金を活用し、131グループ1、322社、812億円が採択され、事業所の再建が進んでいます。しかし、人手不足が恒常化する中で業績が伸び悩む水産加工業者も散見され、土地区画整理事業後の新たな市街地でいかに商店街を再建させるかなど、厳しい課題があります。これらの課題への取り組みについて知事にお伺いいたします。
次に、人口減少対策についてお伺いいたします。
県では、昨年、人口問題対策本部を立ち上げ、人口問題に関する報告を取りまとめ、岩手県人口ビジョンを策定しています。人口減少に歯どめをかけ、活力ある岩手を持続していくため、2040年に100万人程度の人口を確保するとし、超長期的に人口増の可能性も視野に入れるとしています。
この人口ビジョンを踏まえ、まち・ひと・しごと創生法に基づく地方版総合戦略として岩手県ふるさと振興総合戦略が策定されました。人口減少問題を東京一極集中問題と若者、女性問題として捉え、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つをふるさと振興の柱に据え、社会減ゼロや出生率向上、岩手に住みたい、働きたい、帰りたいに応えるという大変意欲的な戦略となっています。
人口減少問題は中長期的な課題と捉え直し、果敢に対策に取り組まなければなりません。総合的に、多角的に取り組まなければならない課題でありますが、これから来年度に向け、特に重点的に取り組む施策について知事にお伺いいたします。
いわて若者文化祭の開催、いわて女性の活躍促進連携会議の立ち上げ、また、第4回いわて復興未来塾で女性が拓く三陸の復興がテーマとして取り上げられるなど、岩手、被災地で活躍される若者や女性に光を当てる事業が展開されています。これらの事業の成果を踏まえ、今後に期待されることについて知事の御所見をお伺いいたします。
また、東京一極集中問題と若者、女性問題については、国が取り組むべきことこそ大きいと考えます。県から国に対しさまざまな要望を行っているところと思いますが、国に求める施策についてお伺いいたします。
知事は先般、講演で、岩手コモンウェルス構想を表明されました。岩手がふるさと振興に向かう知事の理念、思想を示したものと理解しております。岩手コモンウェルス構想について知事のお考えを披瀝願います。
次に、環太平洋パートナーシップ協定─TPP協定における岩手県への影響とその対応についてお伺いいたします。
日米など12カ国は、環太平洋連携協定の大筋合意を発表しました。市場開放の分野では、全品目の95%で関税を最終的に撤廃するとされています。日本政府は、2010年10月、新成長戦略実現会議からTPP参加に関して本格的な検討を始め、自由化で輸出に弾みをつけたい日本の自動車や機械のメーカーなどを中心に、参加を支持する声が大きかったと思います。
その一方で、米などの農林水産物の関税が撤廃されることにより、国内の農林水産物にマイナスの影響が出ることを懸念する声もありました。また、工業製品、農産物、繊維、衣料品など、さらに非関税障壁の撤廃など関税以外の自由化についても話し合われ、例えば、労働、金融、電気通信、知的財産権といった分野で自由化に向けた統一ルールを決め、各国で参入規制の撤廃や法律の改正が実施され、国境を越えて人やサービスが移動するとも言われています。
農業分野においても、他国から安い農産物が大量に輸入されれば、価格競争で劣る日本の農産物は不利になり、特に米や乳製品など高関税により保護されてきた農産物のみならず、農薬や肥料、輸送などの関連産業、洪水や土壌崩壊の防止、水質浄化、気候緩和など農業によって支えられていた農業の多面的機能にも及ぶとされています。高関税が維持されている米、麦、牛・豚肉、乳製品などの農産物重要5項目、日本の食料の最後のとりでとも言われるこれらの項目まで開放すれば食料自給率39%がさらに低下し、水田の減少、農村の衰退、地域経済やコミュニティーの崩壊を招くと考えられています。また、輸入牛肉などの食品安全基準の緩和や遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃なども予想され、国民生活の根幹にかかわる問題も出てきます。
政府が決定した総合的なTPP関連政策大綱では、農林水産業の体質強化対策などについて示されましたが、具体的な影響や対策などについては明確にされず、県民の不安はいまだに払拭されておりません。農業分野における本県への影響とその対策について県としての御所見をお伺いいたします。
次に、6次産業化戦略についてお伺いいたします。
2015年の農林業センサスによると、全国の農業就業人口は約209万人、平均年齢は66.3歳、39歳未満は6.7%となっております。また、たびたび発生する食の安全・安心を揺るがす事件、11月5日に発覚した秋田市の肥料メーカーが販売した肥料の有機原料配合割合表示が偽装された事件もありました。食品産業、食品製造、流通業などにおける雇用、労働問題、1次産業における高齢化、担い手不足、高齢化とともに増大する買い物弱者など、日本の食と農に関する問題は多々あります。
こうした中、2012年に政府は農業の成長産業化を掲げ、農林水産物の輸出とともに、農業・農村の所得倍増計画などによる農業の成長戦略として6次産業化を打ち出しました。6次産業化の広がりは、地域の人々の共感と参加により、商品やサービスが本物の地域ブランドとなり、それが地域外の人からも信頼を得ることでブランドとして広く認知され、地域が持つ個性や風土を生かし、観光、生活、福祉、教育などの地域との関連性が生まれてくるものと考えられます。
人口減少、高齢化はハンディキャップでありますが、地域が個性的な商品、サービスを生み出す条件として、地域に密着した人々の知恵や自由に使える時間、また、人々とのつながりが大きな強みと思います。県では、6次産業化を具体的にどのように進めていくのかお伺いいたします。
次に、子ども・子育て支援についてお伺いいたします。
まず、児童虐待防止対策については、2000年11月に児童虐待防止法が施行されましたが、2014年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待件数は8万8、931件と24年連続で増加し、また、近年の虐待による死亡件数は年間50件を超え、1週間に1人の子供が命を落としています。
〔議長退席、副議長着席〕
岩手県内の状況は、虐待の通告件数で2014年度は450件、2015年は11月1日現在の速報値で382件となっています。
こうした中で、増加する児童虐待への対策を議論する厚生労働省専門委員会のワーキンググループは11月に第4回の委員会を開催し、児童の自立支援のため、児童福祉法の対象年齢を18歳未満から20歳未満に引き上げし、20歳に至るまで児童養護施設の利用を可能とする新たな対応策の案が示されました。また、児童虐待件数が増加を続ける現状では、児童相談所が通告への初期対応に追われて継続的な家庭への支援が行き届かない問題もあり、子供を保護する機能は児童相談所が、親子への支援は各自治体が担当するなどの役割分担を明確化し、虐待通告を一元的に受け付け、緊急度を判断した上で対応を振り分ける仕組みづくりをするという案も出ています。
ことしの7月に通告や相談を24時間受け付ける全国共通ダイヤル189の運用がスタートし、限られた情報の中で、緊急性を判断し的確に対応していくためには、豊かな経験と知識を有する専門職員の養成が欠かせないということにもなります。今後、こうした専門職員の養成にどのように取り組んでいくのかお示しください。
次に、保育士の確保について、厚生労働省は2014年10月現在の待機児童数を4万3、184人と発表しましたが、潜在的な待機児童は200万人前後という見方もあります。保育の充実や待機児童の解消は社会保障分野における重要な政策課題でもあります。2017年度には保育士が7万4、000人も不足すると予測されております。原因は、事務作業、保育計画や指導方針の作成、日誌や記録の記入作成など、責任が重く重労働の割合には、全産業の平均より10万円ほど給料が低いなど待遇が悪いという指摘もなされています。
政府は、今年度から職員の平均勤続年数や賃金改善の取り組みに応じた人件費の加算を行ったり、退職した保育士の再就職の支援や、ICT情報通信技術を活用した業務の効率化による負担軽減策も検討されています。保育士確保について、どのような施策を実施していくのかをお伺いいたします。
次に、地域医療確保対策についてお伺いいたします。
医療技術の進歩は目覚ましいものがあります。新たな診断方法や治療方法の確立、新たな医療機器の開発、新たなリハビリや介護療養方法の確立などが進んでおり、人口の高齢化や社会構造の変化などの影響もあって、医療、介護のニーズは多様化しております。
このような中、施設設備や診療体制が充実している中核病院に、風邪などの軽症の患者から高度な手術や治療が必要な患者、リハビリが必要な患者、介護療養のため長期的な入院が必要な患者など多様な患者が集中し、医師や看護師を初めとした医療従事者への負担が大きくなり、本来中核病院が担うべき専門性の高い医療を提供することができなくなったり、医師や看護師の離職の要因となっています。医療の基盤となる医療従事者の不足が地域医療崩壊の危機を招いているものと思われます。
このような状況に対するため、国では、地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針を定め、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築を、地域において医療及び介護を総合的に確保していくための車の両輪として進めていく必要があるとの方向性を示しております。また、昨年6月に成立した医療介護総合確保推進法に基づき策定が求められている地域医療構想については、先ごろ開催された県医療審議会計画部会で素案が承認された一方、在宅移行は困難などの不安の声も上がっているとの報道もありました。
本県の地域医療のあるべき姿をどのようにお考えか、また、実現に向けた決意を知事にお伺いいたします。
次に、空き家対策についてお伺いいたします。
2014年11月に空き家対策特別措置法が成立し、2015年5月に施行されました。空き家の適正管理の指針が示され、所有者に対し、改善の命令や勧告に従わない場合は50万円以下の罰金と、倒壊の危険がある場合は行政代執行も行うことができるようになりました。空き家が放置されることにより、建物の老朽化による倒壊のおそれ、雑草、悪臭、害虫の発生などによる衛生の悪化、ごみの不法投棄や不法侵入、防災上の不安など近隣の住民は多くの不安を抱えています。空き家の大きな原因は人口減少ですが、雇用が都市部に集中していることや介護施設の利用増加、高齢化、立地が悪く売却や賃貸に向かないなど、さまざまな原因が絡み合っていることがこの問題です。
2013年、空き家の数は全国で820万戸で、2033年の空き家数は2、147万戸と予測されています。報道によると、盛岡市の空き家は3、093戸で、問題のある空き家は802戸、地区別では、上田地区282戸、緑が丘地区258戸、青山地区231戸になっています。
市町村に対しどのような支援をされていくのか、利活用対策を含め、今後の対応についてお伺いいたします。
次に、地方版ハローワークについてお伺いいたします。
政府は、地方分権改革の一環で、都道府県などに対し独自に無料職業紹介事業を行うことを認める方向で、11月12日に発表しました。住民に身近な行政はできる限り地方に委ねる地域主権改革のモデルケースとして既に埼玉、佐賀両県で導入され、埼玉県では2012年10月からハローワーク特区としてスタートしました。利用者数は、2012年度は10月から5カ月間で1万3、049人、2013年度は5万2、432人、就職確認数は、2012年度は670人、2013年度は3、882人という結果が出ています。
自治体が求職者に対し就職相談から職業紹介まで一貫して対応でき、地元中小企業の育成や企業誘致の施策と連携した求人情報の充実やマッチングに取り組むことも可能になるというメリットがあります。本県での取り組みについてのお考えをお伺いいたします。
次に、岩手山の火山対策についてお伺いいたします。
1998年に噴火危機のあった岩手山については、最近ではその活動が落ちついた状況にあり、6月22日に開催した岩手県の火山活動に関する検討会において、火山性微動は発生せず、地殻変動も見られず、落ちついた状況にあると判断されているところです。しかしながら、東日本大震災以来、全国的に地震や火山活動が活発化しているとも言われており、現状では、これからも日本列島のどこかで火山噴火が起きても全く不思議ではないと考えられます。
これらの現状を踏まえると観測体制の強化は緊急の課題であり、現に県立大学において、活火山の岩手山を素粒子観測装置で透視して火山を監視する計画も進められているとのことです。高エネルギー加速器研究機構の協力で、宇宙から常時地表に降り注いでいる素粒子のミューオンによる観測を行うことで山体内部の様子がわかり、ほかの観測を組み合わせれば、よりわかるということです。また、岩手山は盛岡市から20キロメートル圏内にあり、噴火の規模によって都市災害が発生します。四十四田ダムが埋没する可能性もあり、土砂にはヒ素などが含まれる可能性もあります。
県では、岩手山の登山者、居住地域の住民に対する火山防災対策の強化にどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
次に、台湾との交流についてお伺いいたします
去る11月10日に台湾の台北で、つなりがりに感謝東日本大震災津波・岩手県復興報告会が開催されました。報道によると、東日本大震災津波の際、台湾から日本に寄せられた義援金は世界最大規模の200億円超とのことです。台湾赤十字組織を通じ、保育園や幼稚園の建設、児童クラブの施設、災害公営住宅の建設などに支援いただきました。さらに中華航空のチャーター便を通じての交流、台湾と岩手県のつながりをより一層深められたと思っております。台湾からの宿泊者数も2014年に4万5、560人で、2010年の3万5、970人を上回り、2015年はさらにふえると伺っています。
今後、2017年に花巻?台湾間の国際定期便の就航を目指すためにも、需要が少ない夏も含めた通年での誘客をどのように図るのかお伺いいたします。また、知事のトップセールスに対する県民の期待は大きく、今回の訪問で、今後の産業、経済の交流拡大に対する手応えをどう感じられたのか、知事にお伺いいたします。
次に、岩手国体の輸送、交通についてお伺いいたします。
希望郷いわて国体、いわて大会に必要な選手などの輸送バスについては、東北各県からの協力を得て確保に努めていると伺っております。行楽シーズンでもあり、難しい点もあると思いますが、現状をお伺いいたします。
一方で、地域のタクシーも、選手の輸送など大会を支える重要な資源として積極的に活用を図るべきと思いますが、お考えをお伺いいたします。
今年度開催されたわかやま国体の開会式では延べ260台のタクシー利用があったとのことでしたが、タクシーが待機場所に戻るまでの時間が30分から40分かかっているという問題も起きました。タクシー利用者への対応についてどのように配慮されるかお伺いいたします。
そして、岩手国体開催後にラグビーワールドカップ2019釜石開催、2020年東京オリンピック開催と続きます。選手団の事前合宿誘致について、11月12日に市町村担当課長会議を開催し、県内で合宿誘致の取り組み予定のあるのが4市町、今後検討予定が11市町であったと伺っております。
栃木県では、合宿誘致を成功させるために、旅行会社の現役社員を任期つきの職員として採用し、民間の営業力を生かし、PR活動や外国との交渉に本腰を入れているという対策を講じております。また、全国の自治体やオリンピック参加国との交流による地域の活性化、観光振興などに資する観点からホストタウン構想の推進もあります。
県として、事前合宿誘致実現に向けての施策とホストタウン構想についてのお考えをお伺いいたします。
次に、平泉の文化遺産の活用推進についてお伺いいたします。
まず、観光客誘致についてですが、日本の世界遺産登録数は、文化遺産15、自然遺産4、計19カ所で、このうち岩手県では、2011年に平泉?仏国土浄土を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群、2015年に釜石の橋野鉄鉱山を含む明治日本の産業革命遺産が決定しております。
平泉では、地域による積極的な景観整備などの努力もされ、2011年6月の世界遺産登録後は多くの観光客でにぎわうようになりました。ただ、現在訪れている観光客はほとんど国内旅行者で、海外旅行者比率は1%に満たないと伺っております。2014年度の平泉の観光客入り込み数は198万9、479人で、外国人観光客は計1万4、131人ということです。平泉においても観光客は重要な収入源で、訪日客は欠かせない存在であることは間違いないと思います。
平泉へのインバウンド誘致につなげるためにも、平泉を核とする観光ルートの開発、特徴ある食などの楽しみ提案、外国人の集客力をより高めるための宿泊施設の整備、また、外国人は訪れる世界各国の美しい風景を写真に撮り、それを最高のお土産とされるそうですので、景観の阻害要因ともなる電柱、電線をなくする無電柱化を図ることも重要と考えます。このほか、県内外の教育活動に連動させ修学旅行のさらなる誘致のほかバリアフリー対策なども必要と思います。インバウンドを含めた一層の観光客の誘致に向けた対策についてお伺いいたします。
また、平泉町長島のお大師様は12世紀初頭の石像で、重要なものと言われておりますが、県としての評価と、これを踏まえた今後の取り組みについてお伺いいたします。
次に、岩手大学平泉文化研究センターについてお伺いいたします。
本センターは、浄土の理想郷として創出された平泉庭園文化を中心に、その意義を総合的に解明することを目的として岩手大学が設置しております。このセンターを中核として、県教育委員会、平泉町教育委員会、県内の五つの大学で構成するいわて高等教育コンソーシアムや文化庁、奈良文化財研究所などとの連携を図り、平泉文化研究を国際的、学術的な観点のもとで総合化することを目指し、東アジアにおける平泉文化の国際的意義を解明し、平泉の普遍性に関する国際理解の一層の進展及び地域に立地する文化遺産を生かし、地域振興への貢献も期待されるところであります。
来年は世界遺産登録5周年を迎え、県や関係市町、関係団体などで推進会議を設置し、記念事業の実施を企画されていると聞いております。平泉伝統文化の研究をさらに進展させる観点から、県として、同センターとどのように連携していくのか、今後の取り組みについてお伺いいたします。
以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 阿部盛重議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、平成28年度における復興の取り組みについてでありますが、平成28年度は、議員御指摘のとおり、第2期本格復興期間の最終年度となっており、第3期のさらなる展開への連結期間につなぐ重要な1年であると認識しております。
具体的には、今年度から来年度にかけて事業量がピークを迎える災害公営住宅や海岸保全施設の整備、三陸沿岸道路を初めとする復興関連の道路整備や市町村が行うまちづくり事業などを、市町村、県、国の連携を密にしながら復興が目に見えるよう行うほか、応急仮設住宅等での生活の長期化に伴う心と体の健康の問題など、被災者一人一人が抱える課題に寄り添った支援、そして、地域に根差したコミュニティーの再生やまちのにぎわいの創出に向けた取り組みなどを強力に進めてまいります。
さらに、中長期的な三陸地域の振興も見据えながら、復興計画の最終年度である平成30年度に向けて、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を実現するため、第3期復興実施計画の策定に着手し、一日も早い復興を目指して取り組んでまいります。
次に、復興財源についてでありますが、県及び市町村において、平成28年度以降の5年間の新たな地元負担額は現時点で約90億円と見込まれていますが、このために復旧、復興事業の進捗に影響が出ることがあってはならないものであります。
国における平成28年度予算の概算要求を見ますと、復興まちづくりや災害公営住宅を初めとする社会インフラの整備はもとより、被災者支援やなりわいの再生など必要な事業の所要額はおおむね盛り込まれていますが、確実に予算措置がなされるよう、先般、国に対して改めて要望活動を行ったところであります。
今後におきましても、国に対して被災地の実情を丁寧に説明しながら、国費による力強い支援を求めるとともに、県において新たに生じる負担分につきましては、地方債の活用も視野に入れながら、東日本大震災津波からの復旧、復興に邁進してまいります。
次に、産業再生についてですが、本格復興を力強く進めていくためには、被災地域の産業が抱える課題に的確に対応し、着実に産業の再生を図りながら、将来を見据えた産業振興を推進していくことが重要であります。
地域の基幹産業である水産加工業では、現在、人材確保と販路回復が課題となっていますことから、県では、求職と求人のマッチング支援や宿舎の確保に対する助成、就労環境改善の促進などにより人材確保を支援するとともに、商品力の向上や商談会の開催など県産品のPRや販路の拡大を促進しており、引き続き、事業者の状況をしっかり把握しながら課題に対応した支援を行ってまいります。
また、復興まちづくりの進展にあわせ商業者一人一人の本格的ななりわいの再生を進め、一日も早い本設店舗への移行と活力ある商店街の構築を図るため、事業者の意向も踏まえながら、事業計画に対する助言指導や、グループ補助金など助成制度の活用により市町村のまちづくり計画と連動した商店街の整備を積極的に支援してまいります。
次に、平成28年度において重点的に取り組む施策についてでありますが、人口減少を食いとめるために、県では、さきに策定した岩手県ふるさと振興総合戦略で掲げた三つの柱に基づいて、商工業・観光産業、仕事創出プロジェクトを初めとする10のプロジェクトによる総合的なふるさと振興施策を推進していくこととしております。
推進に当たりましては、国が掲げる東京一極集中の是正にも呼応し、特に、若者を中心とした人口流出や、若者、女性の生きにくさの解消を重点に、岩手への新しい人の流れを創出していくことが必要であります。
総合戦略を策定し、初めての予算編成となる平成28年度におきましては、戦略を踏まえた仕事の創出や移住、定住の促進、出産や子育て支援などふるさと振興を展開する取り組みについて積極的な施策立案を図ることとしており、引き続き事業の検討を進めてまいります。
次に、若者、女性の活躍についてでありますが、復興や地域振興の現場では若者や女性の活躍が著しく、その活躍へのさらなる支援が重要でありますことから、若者と女性の活躍支援に取り組んできたところであります。
若者の活躍支援については、いわて若者文化祭の開催やいわて若者交流ポータルサイトの運用を通じて若者の地域活動等への参加が促進され、関連情報の共有による若者の交流の輪が広がりましたほか、若者団体の復興や地域づくりなどの取り組みに対する補助制度を創設して、その活用によって若者みずから積極的に地域づくりに参加する動きが見えてきております。
女性の活躍支援については、官民連携組織であるいわて女性の活躍促進連携会議を設置し、女性の活躍を支援する機運の醸成や関係団体との連携強化が図られたところであります。また、第4回いわて復興未来塾においては被災地での女性の活躍事例が紹介されており、今後の復興の推進に女性の力が生かされるものと考えております。
若者や女性の活躍は新たな発想や行動を生み出し、若者、女性主導で岩手の未来を切り開き、また、男女が対等な構成員として地域づくりなどに積極的に参画することによって、誰もが生きやすい社会につながることが期待されます。今後とも、ネットワークのさらなる拡大や、意欲ある若者、女性に対して、地域の課題解決に資する事業、就業、起業を支援する取り組みを進めてまいります。
次に、岩手コモンウェルス構想についてでありますが、コモンウェルスとは、共通のをあらわすコモンと、富や財産をあらわすウェルスの二つを合わせた言葉でありますが、アメリカ独立の際の主力だったバージニア、ペンシルバニア、マサチューセッツの3州がコモンウェルス・オブ・バージニアなどと名乗り、バージニアから独立したケンタッキーを含めた4州が今なお正式名称としてコモンウェルスを用いています。このコモンウェルスには、生命、自由、幸福追求の権利を保障するための自立と共生の共同体としての意味が込められていると考えておりまして、岩手においても、県がこのような役割を果たしていくことが重要と考え、さきの部課長研修で岩手コモンウェルス構想という講話を行ったところであります。
東京一極集中型の政策が、地方消滅ひいては日本消滅につながるのではないかという思いが全国に広がる中で、今求められているのは、中央集権型の東京一極集中を是正して地方が主役となる政策を地方主導で進めることであり、コモンウェルスの気概を持ってふるさと振興を進めてまいりたいと思います。
次に、地域医療確保対策についてでありますが、医師不足や地域偏在が解消されることにより地域に必要な医師等が確保され、また、県民にもみずからが地域医療を支えていくという意識が浸透している中、効率的かつ質の高い医療を適切に受けることができる医療提供体制が構築されていることが地域医療のあるべき姿と考えております。その実現に向けて、これまで充実してきた奨学金制度による養成と適切な配置などにより医師の不足と偏在の解消を進めるとともに、引き続き、県民みんなで支える岩手の地域医療推進運動により県民総参加型の地域医療体制づくりを推進してまいります。また、今後、高齢化の進展等に伴い、医療需要の変化に対応するため、急性期の医療から在宅医療に至るまで切れ目のない良質な医療提供体制の構築が求められており、このような認識のもと、将来の目指すべき医療提供体制を定める地域医療構想を今年度中に策定する予定であります。
構想の策定後は、構想区域ごとに医療関係者や市町村等を構成員とする協議の場を設置し、地域における協議を踏まえながら、病床機能の分化と連携の推進、医療と介護の連携、在宅医療等の体制整備、医療従事者の確保等を重点的に進めてまいります。
次に、今回の台湾訪問の手応えについてでありますが、11月の訪問では、馬英九総統、王金平立法院長のほか台湾の各界を代表する方々とお会いし、これまでの復興支援に対するお礼を直接伝えるとともに、産業、経済分野や地域間の交流など幅広い話題について有意義な懇談ができたところであります。また、大手企業による経済団体台湾三三会、トヨタ自動車の現地法人である国瑞汽車やデンソー台湾の訪問では、今後の経済交流などについて意見交換し、さまざまな助言をいただいたところであります。
本県を訪れる外国人観光客の約62%を台湾が占め、その比率は全国で一番であり、後藤新平や新渡戸稲造に代表されるように、台湾と古くからかかわりのある本県は、いわば台湾と特別な関係にあると言えると考えます。
今回の訪問では、このつながりを強めることができたと感じておりまして、産業、経済はもとより、さまざまな分野において台湾との交流拡大にさらに取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 国への要望についてでありますが、人口減少の克服に向けては、国の総合戦略にも掲げられているとおり、東京一極集中の是正と、若い世代の就労、結婚、子育ての希望を実現する社会経済環境の実現、若者と女性の活躍支援などが求められるところであり、地方のさまざまな努力とあわせて国の総力を挙げた取り組みが不可欠であります。
特に、東京一極集中の是正に関しては、地方の人口の社会増減が、有効求人倍率の全国との差など経済状況や財政政策の影響を強く受けることから、国による地方重視の経済財政政策の実施が欠かせないものです。このほかにも、移住、定住の促進、高等教育機関への支援の充実など、地方に人の流れを生み出す施策の充実が必要と考えます。また、若者や女性の活躍支援に関しては、正社員雇用の拡大や長時間労働の抑制などの適正な雇用環境の改善、乳幼児等医療費助成の全国一律化など、全国的な人口減少の要因となっている生きにくさを生きやすさに転換する取り組みが必要であります。
このような施策の実現を求め、県では、政府予算要望において地方創生関連事項の重点的な要望を行ったほか、さきの北海道東北地方知事会においても決議を取りまとめ、国に対して本県知事から直接要望を行ったところであります。
次に、東京オリンピック・パラリンピック等の事前合宿誘致についてでありますが、本県においては、国体に向け整備した施設があることなどに加え東京との時間距離が短いなどの利点を生かし、積極的に事前合宿の誘致を図っていく考えであり、これまでに市町村、競技団体等を対象とした会議等を開催し、事前合宿誘致に関する情報やノウハウの提供に努めているところであります。
本年11月に取りまとめた市町村の意向調査の結果、15市町が計21種目の誘致について取り組み予定、もしくは今後誘致に向けた取り組みを検討するとの考えであり、県内に誘致機運が浸透しつつあると認識しております。
県といたしましても、一層の誘致機運の醸成と取り組み予定の市町村に対する支援を図るため、今年度中に国内外の競技団体の事前合宿等の誘致に向けた市町村の競技施設の情報を掲載したパンフレットを製作し、協力の意向を示している東京都等と連携し、今後の誘致宣伝活動に活用してまいります。
また、ホストタウン構想は、東京オリンピック・パラリンピックを契機とし、自治体が相手参加国、地域の選手や関係者等との交流や応援などを行うものであり、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に資することが期待されております。
県といたしましては、合宿誘致の取り組みと連動し、ホストタウン構想に取り組む市町村に対して、交流相手国等に係る市町村ごとの希望に応じた相談や情報提供等を行うなど、国、組織委員会等と連携の上、支援してまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、TPP協定の本県への影響等についてでありますが、TPP協定が発効した場合、農業分野におきましては、農産物の輸入拡大につながり、本県の農業生産額が減少するなど、生産活動や農村社会等に大きな影響を与えることが懸念されております。
国では、農林水産業の体質強化対策や重要5品目関連の経営安定対策を盛り込んだ総合的なTPP関連政策大綱を決定したところでありますが、具体的な政策の内容については、平成28年秋を目途とするなど、いまだ全容は明らかにされておりません。このことから、12月2日に、知事が国に対し、農林水産業や国民生活等に及ぼす影響、大綱に示された対策を早期に明らかにするよう要請し、農林水産大臣からは、補正予算でしっかり対応するなどの発言をいただいたところであります。
県では、年内に公表予定の国の影響分析等を踏まえながら、本県農林水産業に及ぼす影響について分析する予定であり、引き続き、国に対し必要な対応を強く求めてまいります。
次に、6次産業化についてでありますが、県では、これまで、6次産業化の定着と拡大に向け、商品開発や販路開拓のための専門家の派遣や商談機会の提供、地域で育まれた発信力のある特産品のPR等の支援を行ってきており、6次産業化による販売額は、平成22年度の131億円から平成26年度は159億円と順調に伸びてきております。
6次産業化のさらなる拡大に向けましては、地域の関係者が一体となった地域ぐるみでの商品開発や販路開拓とともに、品質やおいしさ等の積極的な発信による商品のブランド力の向上などに取り組むことが重要であります。このため、県では、地域関係者との協働により、商品、レシピの開発、多様な事業者等との交流機会の提供を行いますとともに、シェフ等を招聘した産地見学や首都圏等での販売促進活動を通じ、商品の認知度の向上や取引の拡大などに取り組んでまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、児童虐待防止対策についてでありますが、児童相談所では、増大する児童虐待への的確な対応が求められておりますことから、虐待対応研修等の受講に加え、定期的に精神科医師等からの助言を受けながら職員の知識、能力の向上を図っているほか、警察と合同での実技訓練を実施するなど、現場における対応力の強化にも力を入れています。
また、職員の配置に当たっては、年齢や経験年数、適性などを考慮し、経験を積み重ねながら職位に応じた知識や技能が身につくよう、人事ローテーションに配慮しているところであります。
児童相談所は、虐待の相談対応や市町村等関係機関への専門的見地からの支援など、虐待対応の中核となる機関でありますことから、専門性を高める研修体系や人員配置等について不断の見直しを行いながら職員の養成に取り組んでまいります。
次に、保育士の確保についてでありますが、県においては、岩手県保育士・保育所支援センターを平成25年10月に設置し、潜在保育士の掘り起こしやマッチング支援、保育士や保育所に対する相談支援等を行っているほか、潜在保育士の再就職支援研修や新任保育士の就業継続支援研修を実施しているところです。
また、子ども・子育て支援新制度における保育士等の賃金改善に係る処遇改善加算措置について周知するとともに、保育士資格取得を目指す方に対して支援するなど、保育士の確保に取り組んでおります。
国においては、議員御案内のICTを活用した保育士の業務や事務処理の効率化による職場環境の改善のほか、就職準備金の助成による潜在保育士の再就職支援などの実施を検討しておりますことから、国の動向を注視しながら、今後とも保育士の確保に向け取り組みを進めてまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 空き家対策についてでありますが、本年5月に施行された空き家対策特別措置法により、市町村は、危険な空き家に対する指導等の措置を行い、都道府県は、市町村に対する情報提供や技術的助言等の支援を行うこととされたところです。
また、空き家を有効活用するためには、不動産業や建築業の関係者への情報提供や連携が重要であり、リフォーム工事やインスペクションの普及により、中古住宅の市場が形成され、活性化されていくことが望ましいと考えています。
県においては、国や民間の専門家を講師とする行政職員向けの勉強会の実施、民間事業者も対象としたセミナーやトークセッションの実施、市町村が行う勉強会等に対する県職員の派遣といった取り組みを行っているところであり、今後も、市町村や不動産関係団体等と連携しながら空き家対策に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、地方版ハローワークについてでありますが、全国知事会では、埼玉県及び佐賀県が実施しているハローワーク特区について成果と課題の検証を行い、先月、地方版ハローワークの設置を含むハローワークの地方移管を国に求めました。これを受けた内閣府地方分権改革有識者会議の雇用対策部会では、地方公共団体にハローワークの設置権限を移譲し、国と同列の立場で無料職業紹介事業を実施できること、知事が国のハローワークを実際上、都道府県の組織として活用できることなど、国と地方の連携を抜本的に拡充すべきとの結論を取りまとめました。この報告内容については、今後、閣議決定の上、法制化される見通しと聞いておりますが、人員の確保、財政上の措置、業務運営上のノウハウの蓄積などについて課題があると認識しております。
特に本県では、現在、他の都道府県職員の応援を受けながら東日本大震災津波からの復旧、復興業務に邁進しているところであり、ハローワーク関係業務を円滑に運営できる体制を整えることが難しいことから、当面は、現在、県央及び県南地域で行っております岩手労働局と連携した一体的なサービスの提供に取り組む中で、求職者のニーズに対応した就職支援を図っていく考えでございます。
次に、台湾からの誘客についてでありますが、台湾から本県への観光客の入り込みは春、秋に集中しておりますことから、さらなる誘客の拡大を図るためには、通年での入り込みの底上げ、特にも夏と冬の入り込みを増加させることが重要と認識しております。
このため、夏では、盛岡さんさ踊りを初めとする夏祭りや、台湾でも放送されたNHK連続テレビ小説あまちゃんで知名度の上がった三陸鉄道やジオサイトなどの観光資源を、冬では、冬のレジャーや雪などの観光資源を活用した情報発信や、台湾の旅行会社の招請事業などによるプロモーションを展開しているところです。さらに、東北各県等で構成する東北観光推進機構と連携しながら、季節ごとのテーマ性やストーリー性を持った広域モデルルートの構築に取り組んでおります。今後も、東北各県等とも連携しながら、台湾からのフルシーズンでの誘客拡大に取り組んでまいります。
次に、平泉への観光客の誘致についてでありますが、世界遺産平泉の集客力を高め、県内各地の魅力ある観光資源を組み合わせて売り込むことによって、外国人観光客を初め、本県への誘客の拡大を図ることが重要と認識しております。そのため、県では、今年度の秋冬期観光キャンペーンにおいて平泉を前面に打ち出したPRを展開するとともに、無料公衆無線LANや多言語表示への整備補助、多言語コールセンター設置による通訳サービスの提供、中尊寺通りの電線地中化やユニバーサルデザインの推進など、受け入れ態勢の充実に取り組んでいるところです。また、東北観光推進機構と連携しながら、平泉を核として、三陸の食など魅力あるコンテンツを組み合わせ、国内外へ強くアピールする広域周遊観光ルート日本の奥の院・東北探訪ルートの構築にも取り組んでおります。
今後は、来年の平泉世界遺産登録5周年記念に向けた取り組みとも連動しながら、北海道新幹線開業も踏まえて、歴史、文化学習と震災学習との組み合わせによる北海道からの教育旅行の一層の誘致や、外国人観光客の人気が高い北海道からの誘引などにより国内外からの誘客の拡大を図ってまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 岩手山の火山対策についてでありますが、県では、岩手山の火山活動が活発化した平成10年以降、国や岩手山周辺市町、防災関係機関と連携し、県地域防災計画に新たに火山災害対策編を設けるとともに、岩手山で想定される噴火の被害等を示した火山防災マップや、噴火前から復旧、復興までの具体的な対策を示した岩手山火山防災ガイドラインの作成を行うなど、さまざまな火山防災対策を実施してまいりました。
こうした中、昨年9月に御嶽山の噴火災害が発生したことを踏まえ、県地域防災計画やガイドラインを改訂し、異常データ観測以前の平時からの防災対策、緊急時を含めた入山者等に対する情報の提供など、突発的な火山噴火を想定した内容も加えたところです。また、いわてモバイルメールを活用した噴火警報等の自動配信、県ホームページでの入山者向けの火山情報の充実、火山防災に係る講演会の開催など、登山者や住民などへの岩手山に係る情報発信にも努めているところであります。
今後は、本年7月に公布された改正活火山法を踏まえ、関係市町村や防災関係機関、学識者とも連携しながら、岩手山周辺の地域住民等の避難に係る具体的な計画の策定など、岩手山の火山防災対策のさらなる充実に向けた取り組みを進めてまいります。
〔国体・障がい者スポーツ大会局長岩間隆君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(岩間隆君) まず、国体及び全国障害者スポーツ大会におけるバスの確保についてでありますが、選手等の輸送に必要なバス台数は、現時点で、国体では、県が実施する開閉会式の輸送と市町村が実施する競技会の輸送を合わせて延べ約5、000台、全国障害者スポーツ大会では延べ約1、900台と試算しております。
今年度、県内及び青森、宮城、秋田、山形の事業者を対象に実施した第2次のバス提供可能意向調査では、競技会の練習日と重なる国体総合開会式当日が必要台数646台に対し56台、全国障害者スポーツ大会の開会式当日が必要台数505台に対し22台それぞれ不足する結果となっております。今年度から旅行事業者と県内バス事業者2者で構成する共同企業体とともに、そのノウハウやネットワークを活用しながらバス確保に取り組んでおり、まずは県内の事業者から最大限の協力が得られるよう、借り上げ条件など具体的な交渉を進め、その上で不足する分を県外事業者に要請していくことにより必要なバス台数の確保に万全を期してまいります。
次に、選手の輸送などへのタクシーの活用についてでありますが、開閉会式においては、短時間に多くの参加者を輸送することから、確実な運行管理や効率的な駐車場利用に加え、渋滞の発生防止の観点から大型バスによる輸送を主体に実施することとしております。
一方、市町村が実施する宿泊場所と競技会場間の選手の輸送については、1行程の輸送が少人数単位になることも想定され、この場合、効率性や経済性からタクシーによる輸送が好ましいと考えております。このため、必要バス台数の抑制の観点からも、各市町村に対し、少人数単位の輸送にはタクシー利用を検討するよう助言してきたところでございます。現時点で各市町村の利用見込み台数を合計いたしますと、延べ1万200台程度となっております。現在、市町村において輸送計画の作成を進めており、県タクシー協会の各支部と調整を図りながら、積極的に地域のタクシーを活用するよう促してまいります。
次に、タクシー利用者への対応についてでありますが、タクシー利用台数は、開閉会式会場とJR北上駅間の利用を中心に、開会式で延べ180台程度、閉会式で延べ130台程度と見込んでおり、現在、県タクシー協会などと協議を行いながらタクシー輸送計画の作成を進めております。
和歌山国体では、タクシーも含め、開閉会式会場に出入りする全ての車両の運行が幹線国道に集中したことによりタクシーの運行に支障が生じたものと考えておりますが、円滑なタクシー輸送には、その経路を計画バスや乗用車の輸送経路と重ならないよう設定することが効果的であることから、本県におきましては、会場の正面入り口の向かい側にタクシーの乗降場と待機場を配置し、メーンルートを通行しない運行経路を設定することとしております。また、機動的な配車とスムーズな乗降を図るため、県タクシー協会和賀支部の協力を得て乗降場に運行管理員を配置するほか、乗降場と会場間の案内誘導看板の設置、降雨時の雨よけテントの設置など、適切に対応していくこととしてございます。利用者が長時間のタクシー待ちとならないよう、また、タクシーが円滑に運行できるよう、県タクシー協会及び同和賀支部などと緊密に連携して対応してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 平泉町長島の月館大師堂にある石仏についてでありますが、平泉町教育委員会におきましては、風雨による石仏の劣化を防ぐための覆い屋設置のため、本年7月から8月にかけて発掘調査を実施したところでありますが、この発掘調査では12世紀のかわらけ片と常滑片が見つかるなどの成果を踏まえ、この石仏を含めた周辺を本年度中に町の文化財として指定する予定と聞いております。この石仏は、12世紀初頭に制作された貴重なものと高く評価している研究者もおられますので、県教育委員会といたしましては、当該石仏が適切に保護、評価されるよう、文化庁の指導も受けながら、平泉町と連携し取り組んでまいります。
次に、岩手大学平泉文化研究センターとの連携についてでありますが、県教育委員会では、平泉文化の全体像を明らかにするため、岩手大学の研究者等と共同研究に取り組むとともに、その成果を広く発信するため、当該センターとの共催により、毎年度、平泉文化フォーラムを開催してきております。また、平成25年度には県教育委員会の平泉遺跡群調査事務所内に当該センターの研究サテライトが設置され、連携を強化してきているところであります。
県教育委員会といたしましては、平泉文化の解明には大学との協働は極めて重要だと考えておりますので、今後なお一層当該センターとの連携を深めながら、研究内容の充実や研究成果の活用などに取り組んでまいります。
〇7番(阿部盛重君) 御答弁ありがとうございます。
3点について再質問させていただきます。
1点目は、人口減少対策について。
人口減少の中にあって、持続可能な都市構造への再構築を図るため、その方策として考えられているのがコンパクトシティーであります。これまでの郊外へ向かって膨張する都市構造から中心拠点へ集約した都市構造への大転換であり、人口が減少しても都市機能や地域の活力が維持できることを目的としております。富山市はその成功例とされ、コンパクトシティーの先進都市と言われていますが、県としての御所見をお伺いいたします。
2点目は、TPP協定について、本県の畜産農家への大きな影響があるものと懸念しております。日本では畜産業は家族経営が多い産業形態でありますので、休みがとれない畜産農家は多く、今の時代、きちんと休みがとれない産業は後継者が育ちにくいとも言われています。この課題への対応として、法人化が考えられます。法人化によってシフトを組むことができ、労働条件を改善できるという大きなメリットがあり、担い手がふえ、生産性の向上も図られると期待されます。法人化推進について、県としての御所見をお伺いいたします。
3点目は、岩手山の火山対策について。
噴火により広域的な被害が想定され、自治体間で機能や役割を分担し、広域のネットワークの中で行政を行う体制にするべきではないかという声も聞きます。また、官民一体となることで、官にはない発想や行動力を生かした取り組みが期待されることから、NPOなどの民間との連携を積極的に進めていくことも必要と考えます。こうした広域的な自治体間の役割分担や民間との連携推進について県のお考えをお伺いして終わりにいたします。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) コンパクトシティーについてでありますが、国において、都市機能を集約したまちづくりに取り組む市町村を支援するため、改正都市再生特別措置法が平成26年8月に施行されたところです。これに先駆けて、先進都市と言われる富山市では、富山ライトレール線などの公共交通を軸とした拠点集中型のまちづくりが進められています。本県とは地域特性が異なるため、富山市の手法がそのまま適用できるものではないものの、富山市の取り組みは参考にすべき点も多いと認識しております。
県では、現在、人口減少や少子高齢化の進展、産業構造の変化などに対応した新たな都市政策に関する調査研究を行うため、県内自治体の担当者で構成するワーキンググループを設置し意見交換を行っており、引き続き、市町村を支援しながら持続可能なまちづくりに努めてまいります。
〇農林水産部長(小原敏文君) 畜産経営体の法人化についてでありますが、法人化は、経営管理能力や資金調達時の対外信用力の向上、従事者の福利厚生の充実によります雇用の安定確保等のメリットがあり、経営を維持発展させていくためには有効な手段と考えております。
本県の酪農及び肉用牛経営体は家族経営が中心でありまして、法人化により、補助事業や資金調達を有利に進め、搾乳牛約800頭規模の酪農経営を実現した事例もございます。
県では、法人化が経営力の強化につながりますことから、そのメリットを周知していくとともに、法人化を志向する農家に対しましては、経営計画の作成や補助事業の導入等について支援してまいります。
〇総務部長(風早正毅君) 岩手山の火山対策に係ります自治体や民間との連携についてでありますが、県では平成13年に県地域防災計画火山災害対策編を策定しましたが、この計画は、国、県、市町村のほか、交通運輸、通信、電気、ガス、医療、マスコミなどの民間の関係機関がメンバーとなっている岩手県防災会議が主体となって策定したものでありまして、この中で火山対策に係るそれぞれの役割を定め、連携しながら火山防災対策に当たることとしております。
また、本年7月公布されました改正活火山法では、警戒避難体制のさらなる整備に向け、県と関係市町村が共同で法定の火山防災協議会を設置しなければならないと定められるとともに、火山周辺のホテルなどに避難確保計画の作成を義務づけるなど、火山対策に係る民間の役割が高められているところであります。
県としては、こうした改正法の趣旨も踏まえ、関係市町村や民間の関係機関等との連携を引き続きしっかりと図りながら火山対策を進めてまいります。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時44分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時3分 再 開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。吉田敬子さん。
〔14番吉田敬子君登壇〕(拍手)

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