平成27年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(名須川晋君) 改革岩手の名須川晋でございます。
改選後、初の一般質問の登壇の機会を得ました。ありがとうございます。
前の質問者と重複する点もございますけれども、通告に従いまして質問を進めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まずは、地方創生についてであります。
人口減少、超高齢化が急速に進む日本において、各地域がそれぞれの特徴を生かした自立的で持続的な社会をつくり上げることを目的とした地方創生が動きつつあります。まち・ひと・しごと創生法の規定に基づき、本県においても、今般、岩手県人口ビジョン、地方版総合戦略である岩手県ふるさと振興総合戦略が策定されました。
国の総合戦略に掲げられた政策を踏まえた県の10の基本姿勢を自分なりに読み込んでの感想を申し述べれば、いわて県民計画にある既存の施策が盛り込まれただけとの感を覚え、総花的になってしまっている印象は否めなく、例えば、人口減に立ち向かうため、平成32年に人口の社会減をゼロにするという推進目標を掲げてはいるものの、人口減にあらがう内容まで至っていないという印象であります。
地方創生事業は、地方それぞれのいわば地域間競争、知恵比べであり、人材の奪い合いに陥りかねず、岩手県も全国各地の熾烈な競争に埋没しかねません。地方創生に特効薬はなく、さまざまな観点から広範な施策の推進を図るべきであるのはもっともでありますが、特筆すべき新規事業、本県の地域の特色を発揮した新たな観点による施策はどの程度盛り込まれるのか、戦略の柱は何か、また、事業費の見込み、その確保の見通しについてお伺いいたします。
生涯活躍のまち、日本版CCRC構想について伺います。
日本創成会議・首都圏問題検討分科会による東京圏高齢化危機回避戦略が提言されました。この提言によれば、出生率の低下と人口の東京一極集中による地方消滅に警鐘を鳴らす一方で、東京圏、いわゆる東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県においては、団塊の世代が大量高齢化、後期高齢者は今後10年間で175万人増加することから、医療、介護や住まいの問題が深刻化することに着目し、これに対する処方せんとして示されたものであります。
この中では、医療介護体制が整っている41圏域を例示して、東京圏の高齢者の地方移住の提言に大きな波紋を呼びましたが、高齢者を地方で受け入れるとすると、地元の雇用などが生まれる反面、移住される高齢者の医療、介護サービスの負担による自治体の財源問題の課題もあります。また、心身ともに元気なうちに移住すれば、地域における新たな人材ともなり得ますが、高齢者よりも若者のIターンやUターンに期待する面もあり、単に地方移住を促進するだけでは、地方の人口減少に対する解決策にはならないとの指摘もされるところであります。
県内では、既に八幡平市と雫石町が地方創生先行型交付金を活用し、取り組みを始めております。さまざまな課題はあるものの、地方の高齢化や人口減少問題をチャンスに変える可能性も秘め、地方創生のエンジンとも捉えられる日本版CCRC構想については、知事はどのように考え、果たして地方創生に結びつけようとされるのか、所感をお聞きします。
公務員の地域活動推進についてでございます。
地方創生のためには、外からの人材、いわゆるよそ者を呼び込むだけではなく、何よりもそこに住む私たちが、まず、地域に自信を持ってますます元気になることが求められます。中でも、県職員を初めとする事務能力にたけた公務員の皆さんには、お住まいの地域において、地域活動のリーダーあるいは黒子として一層の御活躍を願うものであります。公務員が自分の時間を活用して、職場や家庭における役割に加え、公務とは別にプラスワンとして、社会貢献活動、地域づくり活動、NPO法人などの活動に参画することは、地域住民と地域への思いを共有し、住民目線で行政を推進することにつながるものであります。
一住民として役所を飛び出して地域でさまざまな活動を行う公務員を応援する組織、地域に飛び出す公務員を応援する首長連合は、現在、8知事52市町村長が参加していますが、このような活動に対する知事の認識を伺います。また、知事御自身の参画についてのお考えもあわせてお答えください。
まちづくり人材としての地域おこし協力隊の活用について伺います。
地域おこし協力隊は、外部からの人材を積極的に誘致し、一定期間、農林漁業への応援、住民の生活支援などの各種地域協力活動に従事しながら、その地域への定住、定着を図る積極的な活動を行っています。
隊員自身にとっても、みずからの能力を生かした活動に取り組むことができるほか、都会ではかなわない暮らし方や新たな生きがいの発見につながり、地方にとっては住民がふえることによる地域の活性化のみならず、行政ではできなかった柔軟な地域おこし策が可能となることから全国各地で導入が進み、その数、今や1、500人超となっております。
まちづくりに大きな影響を与えると言われる、よそ者、若者、ばか者をふやし、地域を巻き込み、地域住民で活気あるまちづくりを進めていくことが非常に大きいインパクトを与えるのではないかと考えますが、これら隊員は県内に何人おられますでしょうか。また、その活動をどう評価されるのか伺います。
農業問題について伺います。
政府のTPP総合対策本部が総合的なTPP関連政策大綱を決定、発表しました。衆目を集める農林水産分野では、農林漁業者の経営発展に向けた投資意欲を後押しするための体質強化策、いわゆる攻めの農林水産業への転換や重要5品目関連では、経営安定、安定供給のための備えとして、政府備蓄米の運営見直しなどが盛り込まれたところであります。
一方、こうした大綱が示されてもなお、農林漁業者や関係団体等から不安の声が寄せられています。知事におかれましては、この2日に、森山農林水産大臣に対して、協定に関する合意内容や農林水産業、商工業等への影響の情報開示と説明を求められたのは承知しているところでございます。政府は、その詳しい影響試算について年内に発表するとしていますが、こうした国の動きを受け、県としてどう対応していく考えかお伺いいたします。
県産農畜産物の輸出拡大について伺います。
輸出先において日本各地の農畜産物同士が競合し、結局は、棚の奪い合いにより、価格競争が激化しているとの指摘があります。こうした競争に打ち勝ち、県農畜産物の輸出拡大に向けた県としての今後の取り組みについて伺います。
米価対策について伺います。
岩手107号が銀河のしずくと命名され、いよいよ来年度から作付が始まります。銀河のしずくは、炊き上がりが艶やかで白く、食味がよく、耐冷性や耐病性にすぐれ、さらに収量も多いという特徴を持ち、県央部の生産者の期待も高まっています。また、再来年には、全国最高水準の品質と食味を兼ね備えているとされる岩手118号の上市も控えておりますが、一方で、ひとめぼれ等既存の主力米の単価の低下が懸念され、少なくとも早期の作付は難しいと予想される農家には、早くも不安を抱える状況が見受けられます。
こうした農家の不安を解消し、既存米の価格の底上げを図る施策をどう講じていくのかについて伺います。
中山間地域の活性化について伺います。
中山間地域は、地形条件が厳しく農業生産が不利であることから、農地集積のおくれや耕作放棄地の増加等の問題が発生しています。この地域を対象に直接支払制度が実施されていますが、今後も、高齢化や人口減少がより一層深刻となっていくことが容易に予想されます。
農業生産活動の維持、継続を通じて、地域交流による活性化、産業の6次化を図るなど、地方創生の動きに絡めたソフト事業を進めていくべきと考えますが、今後の活性化対策にどのように取り組むのかお伺いします。
強い農業づくり交付金の活用状況について伺います。
11月に公表された2015年農林業センサスの概数値によれば、本県の農業の販売の農家数は、平成22年の5万5、347戸から平成27年には4万5、254戸と18.2%減少し、平均年齢は、平成22年の66.3歳から平成27年の67.3歳と高齢化も進んでおります。
〔議長退席、副議長着席〕
このような状況を踏まえ、地域農業の維持、発展を図るため、担い手の規模拡大や小規模農家も参画した産地づくり、地域の資源を活用した高付加価値化などの取り組みを推進していくことが重要と考えます。国では、高付加価値化や生産コストの低減など、産地の収益力強化や合理化を図る取り組みに必要となる共同利用施設等の整備を支援する強い農業づくり交付金を予算措置しているところですが、本県におけるこの交付金の活用状況はどうなっているのかお伺いいたします。
地球温暖化適応計画について伺います。
まず初めに、岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しについてでございます。
私は、これからのまちづくりに関する重要な課題として、冒頭での質問にも挙げた地方創生、人口減少、超高齢化社会への対応に加えて、地球温暖化の進行に係る地球的な異常気象への対応ではないかと考えおります。気候変動、地球温暖化はもはや疑いようのない現実であり、環境、経済、あらゆる分野において地球全体の最大の問題となっております。
先月30日に、フランスのパリで始まった気候変動枠組条約第21回締約国会議、通称COP21は、150にも上る世界各国の首脳が集結し、今週11日までの日程で開催されております。
2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みを決定する会議でいわゆるパリ合意が果たされるか、世界中の関心が高まっております。合意文書の草案を取りまとめた実務者レベルの作業部会は閉幕、いまだ先進国と発展途上国の対立が続いていて、きょうから始まる閣僚級交渉でこの意見の隔たりを埋められるか、まさに、たった今、人類の勇気と英知、果断な実行力が問われていると言っても過言ではないでしょう。
人為起源による気候変動、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988年に世界気象機関と国連環境計画により設立された組織であるIPCC─気候変動に関する政府間パネル第2作業部会が昨年3月に公表した第5次評価報告書によれば、温暖化はもはや疑う余地はなく、21世紀の半ばからの温暖化の要因は人為的要因が極めて高く、今世紀末には、地球の平均気温が最大4.8度、海面水位は82センチメートル上昇すると予測しております。また、その報告の中で、温暖化の緩和と適応が必要であるとの知見を述べています。
日本でも相次いで大規模な自然災害が頻発しておりますし、世界気象機関は、ことしのエルニーニョ現象が年末から来春をピークとして、観測史上、最大規模となるとの予測を発表しました。これもやはり地球温暖化を原因とする異常気象ではないかとの観測があります。
最近のある報道では、意外なことに、頻発するテロ発生の背景にシリアの大干ばつが影響しているとの指摘もあり、今日、私たちは、予測不能の未来に、一層真剣に向き合わなければならない時代に存在していることを再認識すべきであります。
こうした状況の中、環境省は、先月27日に地球温暖化適応計画を発表し、いよいよ国を挙げて適応化に乗り出しました。もはや二酸化炭素排出抑制のみを地球温暖化対策として挙げるのではなく、これら予測を現実のものとして捉え、苛酷な環境変化の中、どう国民、県民の安寧の暮らしを守っていくのか、防止策とともに、温暖化を前提とした適応策をどう構築していくのかということも、並行して検討していかなければなりません。
本県においても、岩手県環境基本計画及び岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しにより適応について盛り込もうとしているところですが、今後、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。実施する事業及びその効果について具体的にお示し願います。
農林水産省気候変動適応計画について伺います。
気候変動適応計画については、国土交通省、農林水産省がそれぞれ策定いたしております。特にも、農林水産省気候変動適応計画につきまして、農林水産業の盛んな本県の農林水産部ではどう受けとめられているでしょうか。本県でも、試験研究機関等において早期に対策の検討を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
スポーツ庁創設に伴う県の組織改編及びスポーツ行政の一元化について伺います。
10月1日に設置されたスポーツ庁は、初代長官に、ソウルオリンピック100メートル背泳ぎ金メダリストの鈴木大地氏が就任し、日本のスポーツ史に刻まれる大きな転換期を迎え、いよいよスポーツ立国としての道を歩み出しました。これまで、学校体育や社会人の生涯スポーツは文部科学省、障がい者スポーツは厚生労働省管轄に分れておりましたが、スポーツ庁へ一元化されたことで施策を総合的に推進できるものと期待するものでございます。
一方、本県では、教育委員会スポーツ健康課と保健福祉部障がい保健福祉課がそれぞれの施策を行っており、現状を鑑みますと、特にも、障がい者スポーツ振興の観点において、縦割りの弊害を生み出していると感じております。
県内のスポーツ振興に係る施策を総合的に推進していくためには、県の組織改編にどのようにつなげていくのかという検討がいま一度必要であり、理想としては、文部科学省外局だからとの理由による教育委員会所管ではなく、子供から高齢者まで、県民各層がスポーツに取り組む目的の多様性に配慮した専門の部局を県の組織として設置するべきであると考えます。
スポーツ庁設置という国の動向を踏まえて、スポーツ行政の一元化に向けた組織改編についてどのように考えているのか、県の姿勢を伺います。
岩手県スポーツ推進計画の策定について伺います。
これまで何度も指摘させていただいているところでございますが、残念ながら、いまだ本県には独立したスポーツ推進計画が策定されておりません。本県のスポーツ推進計画は、いわて県民計画の中に位置づけられるとされておりますが、今般、第3期アクションプランの中で見直しがなされ、豊かなスポーツライフの振興として、障がい者スポーツ振興の観点が盛り込まれたところは一定の評価はできるものの、やはり内容に乏しく、具体性が不十分であると見受けられます。何よりも、スポーツ基本法に定められた理念、スポーツ基本計画を参酌して、その地方の実情に即したスポーツの推進に関する計画、地方スポーツ推進計画を定めるよう努めるものとされているこの理念を結実させる内容には至っておりません。
いわて県民計画の中に掲げる一施策としてではなく、岩手県スポーツ推進計画として独立した計画が必要であると改めて訴えさせていただきますが、知事のお考えについてお伺いいたします。
国体選手の就職支援について伺います。
希望郷いわて国体本大会・希望郷いわて大会の開催まで残り10カ月を切り、冬季大会は年明けの1月27日に開幕と、いよいよ46年ぶりのスポーツの祭典が目前に迫ってまいりました。
ことしの紀の国わかやま国体は、男女総合成績である天皇杯順位が、昨年の37位から16位へと大躍進を果たし、岩手国体8位以内入賞という目標を掲げた本県選手団の一層の活躍に大いに期待するものでございます。
そこで、岩手国体に出場する選手のうち、県外出身の選手は果たして何人おられるか、まず伺います。
優秀なアスリートには、選手活動に加えて、将来的には指導者としての活躍も期待されます。したがって、国体以降もぜひとも岩手に住み続けていただきたいと思うのでありますが、そのためには、やはり安定した生活基盤が必要であり、県としても就職支援が必要ではないでしょうか。
県内各自治体には、率先してスポーツ分野の逸材を確保してもらいたいと考えますが、職員採用においてスポーツ特別枠はどれほどあるのかお伺いいたします。また、制度が整っていない場合は働きかけを進めるべきと考えますが、県としての対応をお伺いします。
希望郷いわて国体・大会における県民総参加の状況についてでございます。
希望郷いわて国体・大会は、県民総参加の手づくりの大会を目指して、県民運動を展開することとされ、130万人で参加宣言などの取り組みが行われています。本県にとっては、復興のシンボルとも言える両大会の成功に向けて開催準備も詰めの段階ですが、県民総参加の状況に関連して、大会運営の一翼を担うボランティア募集の状況はどうなっているのでしょうか。また、企業や団体からの寄附金状況はいかがでしょうか。目標数値の達成に向けどう活動していくのか、お伺いいたします。
リノベーションによるまちづくりの動向についてでございます。
江戸時代、地主や家主にかわって、その土地や家屋を管理し、地代、店の賃料の徴収を行った管財人のことを、家を守ると書いてやもりと称したそうであります。今、福岡県北九州市小倉地区での現代版家守の取り組みを先鞭としたリノベーションによるまちづくりの手法が全国各地に広まりつつあります。
現代版家守とは、都市活動が衰退したエリアで、空きビル、空き家、空き店舗などの遊休化した不動産をうまく活用して、その地域に求められている新しい産業を生み出し、まちを変えていこうとする活動を行うまちのエリアマネジャーを指しています。
敷地に価値なし、エリアに価値ありという理念のもと、この現代版家守によって半径200メートル圏内の魅力を高め、エリアに人を呼び込み、にぎわいを図るというまちづくりの新しい動きについて、県はどう把握されておりますでしょうか。あわせて、県内各地の状況はどうなっているかお伺いします。
事業化に向けた支援策について伺います。
現在、先行事例として、花巻市において空きビルを活用して飲食店、ヨガスタジオ、コワーキングスペースであるco?ba HANAMAKIなどを併設した株式会社花巻家守舎が挙げられますが、大変興味深いことに、事業説明会においては、市内外から特にも若い層の参加が目立ち、注目度は非常に高いものとなっています。
リノベーションまちづくりは、空き家、空きビルを活用するだけに、例えば用途変更の難しさ、消防設備の導入による費用の高騰、老朽化対策等の課題が指摘されておりますが、空き家対策を所管する県土整備部として不動産オーナー等がリノベーションを行う際、資金調達に活用できる支援制度の構築、この事業は基本的には行政からの補助金は活用しないというのがスタンスでありますが、必要であれば有利な補助事業の提案あるいはモデル事業の実施などの施策の展開が必要と考えますが、対応について伺います。
また、この際、寄ってたかって花巻市を本県の成功事例として育て上げ、知見を蓄積し、県全域に広めていく意気込みが必要ではないでしょうか。そのためにも、このような新しいまちづくりの一手法を広く知らしめるセミナー等の機会を多く提供するとともに、現代版家守の育成を図るリノベーションスクールを開催するべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
相談窓口の一本化について伺います。
リノベーションまちづくりは、不動産オーナーや既存の事業者のみならず、新たに起業を志す経験の浅い若者や女性にとっても、少額の投資で始められる魅力的なチャレンジであり、あるいは高齢化した商店主の事業承継問題にも一つの解が見出せる可能性があります。
この新しいまちづくりにおいて、店舗のリノベーションから創業、経営支援まで、縦割り行政にとらわれず、ワンストップで相談できる窓口が必要であると考えますが、その整備についてどのようにお考えか、あわせて伺います。
最後に、ドクターヘリの運用の柔軟化について伺います。
先ごろ、青森、秋田、岩手3県の若手議員たちの研修視察で八戸市立市民病院救命救急センターを訪問する機会がございました。当病院は、ドクターヘリを2009年に運用開始、今では年間470件の出動実績があり、豊富な専従医のもと、2010年3月には、医師が同乗する緊急車両であるドクターカーの運用も開始し、圏域の救急医療活動に奔走しております。天候不良でドクターヘリが現場に到達できるか不明の際は、空陸同時出動サンダーバード作戦と命名した同時出動も行うなど、目をみはる活動を行っております。
このとき御説明いただいた今センター長によれば、救急患者に県境は関係ない、特に県境において青森のヘリをファーストチョイスにできるようにするべきではないかとの御提言がございました。広域連携出動要請要件には、まずは、自県ヘリ要請の原則があり、自県ヘリが対応できない場合に、他県のドクターヘリを要請することができるとあります。
なお、岩手県北、秋田北東、青森県南地域の24市町村で組織する北奥羽開発促進協議会においても、自県ヘリ優先のもとでは、極めて緊急を要する患者であって、他県ヘリが現場から直近に位置する場合であっても、まずは自県ヘリに出動要請をしなければならず、結果として搭乗医師の判断で他県ヘリに出動要請をすることになったとしても、一刻を争う状況下では、致命的な初療のおくれとなることが懸念される。一分一秒でも早い治療開始が救命率の向上と後遺障がいの軽減に大きな影響を与えることを考慮すれば、県境にとらわれず、直近の基地病院からドクターヘリが出動し、医師がより短い時間で患者のもとに駆けつけ、治療を開始することが最も望ましいあり方であり、ドクターヘリの持つ本来の機能、効果が十分に発揮される体制の構築が必要であるとして、救急要請を受けた消防本部の判断で、柔軟に他県ドクターヘリの出動要請ができる体制を構築する旨の内容の特別決議を行い、3県知事に対し要望書を提出しております。
本県の立場から、この運用の柔軟化について、どのようにお考えかお伺いいたします。
以上で登壇しての質問を終わります。積極的な御答弁をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、岩手県ふるさと振興総合戦略についてでありますが、人口減少は、今、目の前にある課題であるとの認識のもと、今般策定した人口ビジョンでは、全国的な人口減少の背景にあるさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、岩手への新しい人の流れを生み出すため、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱を掲げたところであります。
さらに、これらの柱を実現するために、ローカル経済の振興や東日本大震災津波からの復興で得られたさまざまなつながりを生かし、新たな発想で前進することなど、県独自の基本姿勢を掲げたところであります。
このような人口ビジョンの考え方を踏まえて、総合戦略におきましては、従業員1人当たりの労働生産性の向上に着目して、本県ものづくり産業で取り組まれているカイゼンの全県的な普及や、東日本大震災津波をきっかけとして本県で活動している復興支援員と連携した移住、定住の促進、県内の高等教育機関や産業界等と連携した地域課題の解決に向けた取り組みなど、本県の特性を生かした取り組みも盛り込んだところです。
今後の戦略期間を通じては、これまでの取り組みを強化していくとともに、この10月に設置した“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i?サポによる、出会い、結婚支援や地元産業界等と連携した奨学金に関する取り組みの具体化など、新たな取り組みも推進してまいります。
現在、平成28年度当初予算に向けて事業の立案を行っているところであり、現時点で事業費を示すことは困難でありますが、総合戦略の推進に必要な額を確保していくこととしており、また、こうした総合戦略の推進には、安定的な財源の確保が重要でありますので、一般財源総額の確保や地方創生のための新型交付金など、必要な財源の確保について、全国知事会や北海道東北地方知事会と連動して、国に対して強く訴えてまいります。
次に、人口減少と日本版CCRC構想についてでありますが、高齢者の地方移住については、移住政策を進める上で一つの選択肢でありますが、高齢者の医療や介護等を支える人材の確保や地方移住に伴う受け入れ自治体の財源負担など、なお検討すべき課題も多いものと認識しております。
岩手県においても、今後、2030年まで後期高齢者人口が増加しますので、医療従事者や介護人材の確保などが課題であり、こうした人材の確保や定着、育成、地域包括ケアシステムの構築等について、総合戦略に盛り込んだところであります。
県内でも、民間企業が中心となった取り組みや受け入れに前向きな市町村があると承知しておりますので、県といたしましては、高齢者がいつまでも元気で長生きし、高齢者にとって、より住みやすい地域をつくり上げることとあわせて、若者が希望する仕事の創出や結婚、妊娠、出産、子育てまでのライフステージに応じた切れ目のない支援など、県の総力を挙げたふるさと振興を展開して、子供からお年寄りまで、あらゆる世代が生き生きと暮らす岩手を目指してまいります。
次に、公務員の地域活動推進についてでありますが、県職員が一住民として地域活動に参加し、地域課題の解決に取り組むことは、地域のためにも職員の資質向上の観点からも望ましいことでありますので、平成20年に策定した岩手県職員憲章の五つの信条の中でも、地域意識を位置づけて、さまざまな機会を捉えて、職員に対し地域活動への参加を促してまいりました。
現在お示ししています、いわて県民計画第3期アクションプラン素案の行政経営編におきましても、基本理念の中に、職員一人一人の行動指針として岩手県職員憲章を位置づけ、今後も引き続き、職員に対して、地域社会の一員としての自覚を持って地域活動に積極的にかかわるよう促してまいります。
また、地域に飛び出す公務員を応援する首長連合については、その発起人の古川前佐賀県知事が、平成26年の全国知事会議において、地域に飛び出す公務員応援宣言を提案して、採択されたところであり、本県もその趣旨に賛同するものであります。
次に、スポーツ庁創設に伴う県の組織改編及びスポーツ行政の一元化についてでありますが、国においては、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、本年10月1日、複数の省庁にまたがるスポーツ行政の関係機関を一元化してスポーツ庁を設置しました。
本県におけるスポーツ行政については、議員御案内のとおり、障がい者スポーツを保健福祉部、それ以外を教育委員会が所管し、相互の連携のもとに本県スポーツの振興を推進してきていますが、一方では、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正によって、平成20年度以降、スポーツと文化行政を首長が所管することができるとされておりますので、全国の自治体において、地域振興の観点や国体開催後におけるスポーツ行政の一元化の観点などから、首長部局に移管する動きも出てきております。
本県におきましては、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を目前に控え、現在の組織体制のもとで、各部局が連携を図りながら、その成功に向けて全力を傾注しているところでありますが、国体終了後のスポーツ行政に関する組織体制のあり方につきましては、スポーツに関する県民の関心や行動も踏まえて検討してまいりたいと思います。
次に、スポーツ推進計画の策定についてでありますが、本県におきましては、いわて県民計画における健やかな体を育む教育の推進、豊かなスポーツライフの振興をスポーツ基本法に基づくスポーツ推進計画に位置づけ、本県のスポーツ振興を進めてまいりました。
現在、作業を進めている第3期アクションプランの策定においては、法に定められた理念や第2期アクションプランの成果、課題を踏まえて、これまでの取り組みに加え、障がい者スポーツ、スポーツ交流による地域振興、プロスポーツの振興といった分野などについても一体的に推進する方向で、審議会の御意見などもいただきながら検討を行っているところであります。
いわて県民計画の計画期間である平成30年度までは、その位置づけは維持する考えでありますが、本県のスポーツ行政を推進する上で、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会は、一層の弾みをつける絶好の機会でありますので、この機会を生かして本県のスポーツ振興に取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) まちづくり人材としての地域おこし協力隊の活用についてでありますが、本県における地域おこし協力隊制度の活用状況は、平成26年度は6市町村14名でありましたが、平成27年度は、12月1日現在で11市町村37名と増加してきており、都市部から移住してきた若者たちが、地域の観光振興や伝統文化の保全、農林水産業の支援活動などに精力的に取り組んでいるところであります。
その中で、任期満了を迎えた隊員が、引き続き地域に住み続けている事例もあることから、本制度は、都市部から若者に移り住んでもらう有効な手段の一つであると考えております。
県といたしましては、これまで市町村に対して、本制度の積極的な活用を促しているほか、研修会等において、県内外で活躍している隊員を招聘し、その具体的な活動を広く紹介しております。
国においては、地域おこし協力隊について、2016年に3、000人、2020年に4、000人を目途に拡充する方針であることも受け、引き続きこの制度の積極的な活用を促進し、県外から若者を地域に呼び込むとともに、市町村、関係機関と連携を図りながら、活動終了後の定住への誘導をも視野に入れた取り組みを積極的に進めてまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、TPP対策についてでありますが、国では、TPP協定交渉の大筋合意を踏まえ、品目ごとの農林水産物が受ける影響を示した上で、農林水産業の体質強化対策や重要5品目関連の経営安定対策を盛り込んだ総合的なTPP関連政策大綱を決定したところであります。
この大綱では、経済効果分析結果が示されず、必要な政策については、平成28年秋を目途に具体的な内容を詰めることとされるなど、その影響や対策の全容はいまだ明らかにされておらず、農林漁業者や関係者から不安の声が多く寄せられております。
県では、TPP協定交渉の大筋合意を受け、岩手県TPP協定対策本部を設置し、全庁的な情報共有と総合的な対策について検討を進めており、12月2日には、国に対し、農林水産業への影響や大綱に示された対策の具体を早期に明らかにすることなどを改めて要請するとともに、今月18日には、農林水産関係団体等を対象としたTPP協定に関する説明会を開催することとしております。
県では、今後、国の影響分析等を踏まえ、本県農林水産業への影響を取りまとめるなど、引き続き、農林漁業者が安心して経営を継続できるよう検討を進め、国に対し必要な対応を強く求めてまいります。
次に、県産農畜産物の輸出拡大についてでありますが、県では、これまで、関係団体、企業とで構成するいわて農林水産物輸出促進協議会を主体とし、海外の実需者との結びつきを深めながら輸出拡大に向けた取り組みを進めてきており、米や牛肉などを中心に順調に輸出実績が伸びております。
今後、さらなる輸出拡大に向けましては、品質の高さやすぐれた食味を有する本県農畜産物の魅力を発信し、現地の卸売業者、小売店等の実需者や消費者から高い信頼と評価をかち取っていくことが重要であります。
このため、経済成長が著しく、日本食への関心が高まるアジア地域等をターゲットに、優良なビジネスパートナーを確保しますとともに、海外フェアを開催するなど、海外への販路拡大に戦略的に取り組み、県産農畜産物の輸出拡大を図ってまいります。
次に、米価対策についてでありますが、県では、農業団体等と連携し、本年2月に策定した、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、県オリジナル新品種の早期ブランド化を含めた県産米全体の評価、知名度の向上に取り組んでおります。
この中で、ひとめぼれやあきたこまち等の品種につきましては、これまで以上に高値で取引されるよう、生産面では、良食味米の生産に向けた施肥等管理技術の定着や、消費者等と結びついた特色ある米づくりなどの取り組みを支援してまいります。
また、販売面では、取引先等のターゲットを明確化した上で、おいしさの見える化等の情報発信や米卸等と連携した外食、中食等への販路開拓、大消費地での販売促進活動を展開するなど、新品種の早期ブランド化とあわせて県産米全体の販売力強化に取り組んでまいります。
次に、中山間地域の活性化についてでありますが、本県農地の8割を占める中山間地域は、農業生産はもとより、多面的機能の維持、発揮においても重要な地域であり、多様な農業者が参画して地域の農業やコミュニティーを維持、発展していくことが重要と考えております。
このため、県では、条件不利地でのきめ細かなハード整備とあわせ、担い手の育成や産地づくり、地域の多彩な資源を生かした6次産業化、都市住民との交流などのソフト事業に取り組んでおります。
今年度は、新たに農業を核とした農村活性化の推進方法を示す活性化推進ビジョンを策定することとしており、中山間地域の活性化に向け、活力ある地域づくりを牽引するリーダーや組織の育成など、ソフト対策のさらなる充実に取り組んでまいります。
次に、強い農業づくり交付金についてでありますが、この交付金は、農畜産物の安定供給等に向け、生産から流通までの強い農業づくりに必要な共同利用施設の整備等を支援する国の事業であり、平成24年度から平成26年度までの3カ年におきましては、3市4町で、レタス栽培のためのドーム型ハウスや穀類の乾燥調製施設、家畜の飼養管理施設、ヨーグルト等製造施設など8施設の整備に活用されております。
県では、地域の要望を踏まえ、事業計画作成等への助言を行いながら、この交付金を活用した農業生産法人等の規模拡大や農畜産物の品質向上、高付加価値化の取り組みなどを支援しており、生産性、市場性の高い産地づくりを推進してまいります。
次に、農林水産省気候変動適応計画についてでありますが、本計画は、農林水産業が気候変動の影響を最も受けやすい産業でありますことから、気候変動の影響に的確かつ効果的に対応する計画として、農林水産省が本年8月に策定し、その後、国の気候変動適応計画に反映されております。
本県では、温暖化による農林水産業への影響は現時点で明確にあらわれていないものの、将来的には、高温による生育不良や自然生態系への影響などが懸念されておりますことから、生じ得る事象に的確に対応していくことが必要と考えております。
今後は、今年度見直しを進めております岩手県地球温暖化対策実行計画に、国の気候変動適応計画を踏まえた農林水産業分野における今後の方向性を盛り込みますとともに、予測される影響等を踏まえ、具体的な施策について検討を進めてまいります。
〔環境生活部長根子忠美君登壇〕
〇環境生活部長(根子忠美君) 岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しについてでありますが、昨年取りまとめられた国連の気候変動に関する政府間パネルの報告書において、今後、世界の平均気温は上昇し、災害、食料など気候変動の影響が高くなることが予測され、その影響に対して適応を進めることが求められております。
国においては、中央環境審議会から出された気候変動の影響報告と課題を踏まえ、11月27日に、21世紀末までの長期的な展望を意識しつつ、今後、おおむね10年間における適応策の基本的方向や農業、林業、水産業、自然災害などの分野ごとの影響や施策の方向性を盛り込んだ適応計画を決定したところです。
これを踏まえ、県では、本年度進めている岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しに合わせ、新たに気候変動に対する適応策として、予測される影響や農林水産業、自然災害などの各分野におけるこれまでの取り組みのほか、今後の方向性を計画に盛り込むこととしております。
具体的な施策については、高温耐性品種の育成などによる生育不良や品質低下への影響緩和、ニホンジカ等の個体数管理による食害等への対応、防災施設の整備による頻発する自然災害からの県民の生命、財産を守る取り組みなど、これまで行ってきた各分野の施策に加え、本県において予測される影響を踏まえた新たな施策も視野に、適応策の総合化、体系化を図る適応計画の策定の中で、関係部局と連携し検討を進めてまいります。
〔国体・障がい者スポーツ大会局長岩間隆君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(岩間隆君) 希望郷いわて国体・大会における県民総参加の状況についてでありますが、まず、ボランティアの募集状況については、県実行委員会では、両大会の開閉会式や全国障害者スポーツ大会の競技会場で、受付や案内、会場サービス等の業務に携わる運営ボランティアを来年3月まで募集しており、延べ5、300人の募集人員に対し、11月末現在で83%となる延べ4、421人の応募をいただいております。
 今後も、イベントの活用やマスコミを通じた募集に注力するとともに、企業等への個別の要請、市町村広報への募集情報の掲載依頼など、引き続き、きめ細かに周知を図り、目標人員の確保に努めてまいります。
次に、募金、企業協賛の状況についてでありますが、平成27年11月末現在の実績は、募金が、平成27年度末までの目標額4億5、000万円に対し、49.1%の2億2、100万円余、企業協賛は、目標額3億4、000万円に対し、78.5%の2億6、700万円余、これらを足し合わせた合計では、目標額7億9、000万円に対し、61.8%の4億8、800万円余となっております。
今後におきましては、スポーツへの関心が高く、協力を得られることが見込まれる企業への要請、県内企業や県内立地企業への再度の訪問要請、商工団体など各種団体を通じた働きかけ、テレビ、ラジオなどの広報媒体の活用、イベント募金の実施や職場募金の要請など、募金、企業協賛の最終目標額である10億円の達成に向け、全力で取り組んでまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) まず、リノベーションによるまちづくりの動向についてでありますが、このまちづくりの新しい動きは、人口減少や中心市街地の衰退といった課題の解決にもつながることから、県としても重要な取り組みであると考えているところです。
また、岩手県内では、盛岡市と花巻市が民間主導で、紫波町が行政主導で、リノベーションまちづくりの取り組みが始まっているものと承知しております。
次に、事業化に向けた支援策についてでありますが、リノベーションまちづくりは、県内ではまだ取り組みが始まった段階であり、まずは、不動産所有者、建築関係者、行政担当者等に、この取り組みを知っていただくことが重要であると考えています。
県は、これまで、リノベーションまちづくりに関し、行政職員を対象としたセミナーを開催するとともに、市町村や民間事業者等が行う勉強会などに県職員を派遣し講演を行うなどの対応を行っており、来年1月25日には、広く県民を対象としたセミナーやトークセッションを開催することとしています。
今後も、リノベーションまちづくりの担い手の育成や周知、普及に積極的に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) リノベーションまちづくりの相談窓口の一本化についてでありますが、空き家、空きビルの改修などに関しては、例えば、建築物の用途変更については県や市の建築主事等が、消防設備の設置については各消防機関が、それぞれ専門的な見地から指導しているところです。
また、県では、新規創業を目指す方に対し、商工団体やいわて産業振興センターと連携して、いわて創業スクールの開催や各種相談などを行っており、支援策の情報提供を初め、会計、マーケティング、経営戦略など、創業に必要なスキルの習得支援を行っております。
リノベーションの取り組みは、その地域のまちづくりに密接にかかわるものでありますことから、まずは、まちづくりの主体であり、リノベーションの現場である市町村に総合的な窓口機能を担っていただくことがふさわしいと考えますが、県としても、創業や経営に関する相談等に円滑に対応できるよう、市町村や関係機関との連携を十分に図ってまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) ドクターヘリの運用の柔軟化についてでありますが、青森、秋田とのドクターヘリの広域連携につきましては、平成25年4月からの試行運航を経て、平成26年10月に3県知事協定を締結し、各県ヘリの基地病院から100キロメートル以内を出動対象地域として正式運航を開始しているところです。
昨年10月の正式運航に当たっては、他県ドクターヘリの出動要請の際は、搭乗医師の判断が必要とする本県ドクターヘリ運航調整委員会の意見を踏まえ、3県の協議により要請要件の見直しを行い、自県ヘリ優先要請を原則としつつも、搭乗医師の判断で他県のドクターヘリを要請できることや、自県の防災ヘリよりも他県のドクターヘリを優先できる等の柔軟化を図ったところです。
広域連携出動要請は、気象条件や他事案対応中などの理由により自県ドクターヘリが対応できない場合に行われており、平成25年4月から平成26年9月までの1年6カ月の試行期間における出動件数は11件でありましたが、昨年10月の要件見直し後、本年9月までの1年間の出動件数は42件と大幅に増加し、順調に実績が積み重ねられていると認識しております。
他県ドクターヘリの要請要件のさらなる柔軟化につきましては、さきの要件の見直しによる運用実績等を踏まえた搬送時間の短縮や、発生事案に対する医学的判断の必要性などについての十分な検証が求められますことから、今後とも、ドクターヘリ運航調整委員会等において関係者の意見を伺いながら、3県間の協議により、必要な見直しを検討してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 国体選手の就職支援についてでありますが、希望郷いわて国体開催などを契機といたしまして、本県の自治体や民間企業に就職した県外出身の強化指定選手は、現在28人となっております。これらの選手のほか、県内出身者を含めた選手の就職支援につきましては、第71回国民体育大会強化委員会と各競技団体の連携による選手を対象とした県内企業の合同就職説明会─いわてアスリート就職マッチングと申しますけれども、この開催や、県内自治体のスポーツ特別選考の紹介などにより、県内への就職を推進してきたところでございます。
このような取り組みにより、県内に就職した優秀な選手に対しては、岩手国体後も引き続き選手として、また、引退後は指導者としての活躍を大きく期待しているところでありまして、引き続き、県内への就職を希望する選手に対しては継続した就職支援や本県への定住支援を実施し、その定着に努めてまいります。
県内各自治体のスポーツ特別選考枠についてでありますが、岩手国体を契機にスポーツ特別枠を設け採用を行った自治体は、本県のほか盛岡市及び北上市となっております。
スポーツ採用枠の創設は各自治体の主体的な判断によるべきものではありますが、岩手国体後の競技力の維持、向上などを図る観点から、引き続き、有望選手の採用などについて、広く理解を求めてまいりたいと考えております。
〇18番(名須川晋君) 御答弁ありがとうございました。
まず最初に、スポーツ行政ということで、スポーツの部局の一元化ということで知事の御答弁をいただきました。これまでは希望郷いわて国体・大会があるということで、まず、これが終わるまではなかなか検討できる状況ではないという、にべもない感じだったんですけれども、今回は希望郷いわて国体・大会が終わった後、恐らくは再来年度ぐらいになるかと思いますが、ある程度の組織の見直しが図られるのかなということで、その辺にちょっと期待をさせていただきたいと思います。
それと、岩手県ふるさと振興総合戦略について関連してでございますが、県内各市町村でそれぞれこの戦略を策定しているところでございますが、恐らく県とそれぞれの自治体とでは整合性が図られていない、それぞれ独自でつくられた計画だと思っております。そうしますと、例えば岩手の場合は、人口減を平成32年までにゼロとするという計画を掲げておりますが、もしかしたから、これがそれぞれの自治体を合わせますと、それよりプラスになったりする可能性も出てくるのかなと思われますが、いずれにしましても、これはそれぞれの市町村と県が協働で取り組むべき課題であると。それぞれが独自に単独で計画を遂行していくということではないと思うんですが、これについて、どういうふうにそれぞれの自治体と情報を密にしながら取り組んでいくのかという計画について、まだなかなか確固たるものはないかもしれませんけれども、御答弁をできる範囲で構いませんのでお知らせください。
それと、ことしのサケ、サンマの不漁が今いろいろと指摘をされておりました。金曜日の質問者の方の御答弁にもその理由がございましたけれども、いま一度、それを繰り返して質問させていただきます。サケ、サンマの不漁の理由についてお知らせください。
あと、ドクターヘリ、今年度でしたか、最近は42件、他県同士で運用がなされているとございました。その内訳、中身はどういうものだったのかというところを教えてください。以上3点です。
〇政策地域部長(大平尚君) 市町村の総合戦略につきましては、法律上、国及び県の総合戦略を勘案することとされておりますので、県といたしましては、市町村に先駆け、6月9日に人口ビジョンの素案及び総合戦略の骨子案を公表し、7月には、県・市町村人口問題連絡会議を初め、広域振興局ごとに説明会を開催し、県の考え方について、早い段階から市町村と共有を図ってきたところであります。また、そうした場でいただいた市町村の意見も踏まえ、最終的に県の総合戦略をまとめ上げたものであり、オール岩手で取り組む総合戦略が策定できたものと考えております。
人口の社会減に関しましても、県といたしましては、県全体のこれまでの人口移動状況や国が掲げる東京一極集中の是正に呼応し、県全体としての基本目標を設定したところであります。
一方、市町村につきましては、12月1日現在では14市町村が戦略を策定したと承知しておりますけれども、市町村それぞれが、個々の事情に応じまして意欲的な目標設定をなされている場合もありますので、それはそれとして好ましいことと考えております。
県の目標達成に向けても、具体的な人口問題の施策というのは市町村が中心となって行われるものが多ございますので、それらの市町村と連携をとりながら、その際には、今後行われる会議や意見交換会なども含めまして、具体的なところについては連携をさらに深めて取り組んでまいります。
〇農林水産部長(小原敏文君) サケやサンマの不漁の要因についてでありますが、水産技術センターによります過去42年間の海洋観測結果によりますと、岩手県沖海域全体で見た場合、統計的に有意な水温上昇傾向は認められておりません。
サケの不漁は、震災による稚魚放流数の減少が大きな要因と捉えておりまして、また、サンマにつきましては、盛漁期の10月から11月にかけて本県沖合に高い水温の塊が分布し、良好な漁場が形成されなかったことが漁獲の低迷の要因と捉えております。
〇保健福祉部長(佐々木信君) ドクターヘリ3県広域連携運航実績の内訳についてであります。
昨年の10月1日から本年9月30日までの42件のうち、本県岩手のヘリが他県からの要請を受け出動した件数が26件、内訳は、秋田からの要請が25件、青森からが1件、秋田のヘリが他県からの要請を受けて出動した回数は1件、これは本県からの要請であります。青森のヘリが他県からの要請を受けて出動した件数が15件、本県からが12件、秋田からの要請が3件であります。
本県からの要請は、青森県は2機を持っておりますが、この八戸のヘリに対して、主に久慈・二戸地域からの対応や依頼するものが多ございます。それから、秋田からの要請で本県が出動したものについては、その多くが鹿角地域から岩手医科大学附属病院への転院搬送を依頼するものが多いという実績になっております。
〇18番(名須川晋君) 金曜日のサケ、サンマの御答弁では、ここにまた海温の高さがたしか御答弁の中でつけ加えられていたと私は記憶をしておりまして、何を申し上げたいかといいますと、ここにエルニーニョが関係して、サケとかサンマが南下してこないんじゃないかということで、エルニーニョも一つの自然現象ではありましょうが、ここに人為的な影響も加わっているのではないかということでございました。統計的には海温の違いはなかなか見られないということでございましたが、いずれにしましても、先ほどニホンジカの影響も既にあるという根子環境生活部長の御答弁もありました。そうしますと、やはり農林水産業に既に影響が出ていると。鹿の部分でももう既に出ているわけでございますし、やはり真剣にもうちょっと捉えて研究を進めていただきたいと思うわけでございますが、これについての御感想をお願いいたします。
それと、ドクターヘリの関係でございますけれども、42件のうち、大半の二十数件が秋田と岩手の病院間の行き来ということでございました。救急の場合の要請というのにはなかなかつながっていないのではないかと思います。いずれ、北奥羽開発促進協議会ですか、こちらが引き続き要請をしているということでございますので、積極的に県も3県間できちっと対応していただきたいと。3県のそれぞれの対象自治体においてこういうニーズがあるんだと、今まさにこういう要望があるということでございましょうから、これについても分析をしながら継続して、3県で検討を進めていただければと思います。
あともう一点でございます。多目的屋内競技場ということでございます。
東北各県にはドームといいますか多目的屋内競技場が、岩手以外にはあるということでございまして、私も特にも野球の関係者あるいはゲートボールをやられている御年配の方々からよくその要望を伺うわけでございますけれども、岩手だけにないということで、震災の影響がありまして、その話が滞っている事実はわかっているつもりでございますが、やはりそういう要望もあり、もう一度、もう一度といいますか、そろそろ俎上にのせてもいいのかなと、そういう時期にもあるのかなというふうにも思います。
過日の樋下議員の新球場の建設に当たっての県と盛岡市とのいろんな話し合いが進められているということでございました。ドーム球場をつくってほしいとは言いませんけれども、できればつくっていただきたいですが、多目的屋内競技場、これについてはそろそろ話を進めていただければと思いますが、これについての県のお考えをお示しいただきたいと思います。
〇農林水産部長(小原敏文君) 気候変動適応計画についてでありますが、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、国の適応計画を踏まえまして、現在作業を進めております岩手県地球温暖化対策実行計画に農林水産業分野におきます今後の方向性を盛り込むこととしております。具体的な施策について、現在、検討を進めておるということでございます。
また、水産分野でございますけれども、こちらのほうにつきましては、定期的に海洋観測や漁獲試験等を実施しておりまして、漁業者に対して漁海況予報や漁獲情報等を提供しておりますけれども、こちらにつきましても、今後、農林水産省の気候変動計画で示しております将来予測されている影響等を踏まえまして、必要な施策を検討していくこととしております。
〇保健福祉部長(佐々木信君) ドクターヘリの広域出動要件のさらなる柔軟化についてでありますが、先月も3県の関係者による広域連携実務担当者会議を開催し、検討したところであります。
会議におきましては、各県の搭乗医師からは、議員からも御案内のありましたとおり、現場の救急隊員に判断の権限を与え、必要に応じて医師に相談する仕組みにしてはどうかとの意見があった一方で、医師ではなく、現場の救急隊員が他県ドクターヘリの出動要請について医学的判断をすることへの慎重な意見も示されたところであります。また、仮に、他県のドクターヘリが県境を越えた地域を所管出動エリアとする場合におきましては、現在出動する側の負担としております費用負担のあり方、各消防の所管区域の問題、さらにはヘリ運航会社が異なることへの対応など、検討すべき課題も多いと考えておりますが、引き続き、市町村の御意見も踏まえながら、ドクターヘリ運航調整委員会等において必要な見直しについて検討してまいります。
〇教育長(高橋嘉行君) 多目的屋内運動施設の東北各県の状況につきましては、それぞれの県で、規模とか機能には相違がございますけれども、議員御案内のとおりでございます。それで、本県における多目的屋内運動施設につきましては、希望郷いわて国体に向けて国体選手強化などを目的に整備するということで、実施設計の段階まで進んでおりましたけれども、東日本大震災からの復旧、復興を最優先に取り組むということのために、事業凍結等をせざるを得なかったということについては御案内のとおりでございます。
先日の本会議でも申し上げましたけれども、まずは目前に迫った希望郷いわて国体の成功に全力で取り組むということが大事であると考えておりますけれども、国体終了後、できるだけ早い時期に、多目的運動施設も含めまして、県営体育施設の総合的なあり方について、東日本大震災からの復興状況でございますとか、それから県と市町村との連携、協働、それから役割分担というような視点をも考慮しながら、さらには、外部の有識者の皆さんからも御意見等もお伺いしつつ、総合的な検討を行っていきたいというように考えております。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時24分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時43分 再 開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。高田一郎君。
〔13番高田一郎君登壇〕(拍手)

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