平成27年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(城内よしひこ君) 私は、自由民主クラブの城内よしひこです。
このたび、6度目の登壇の機会をいただきました同僚議員、諸先輩に対し感謝を申し上げ質問に入りますが、当局の明快な答弁を期待するところであります。
東日本大震災津波から4年8カ月が過ぎ、5度目の厳しい冬に入り、応急仮設住宅で新たな年を迎える被災者の方々にお見舞いを申し上げ、改めて、お亡くなりになられた方々に、衷心より哀悼の意を表する次第であります。
質問の第1点目は、東日本大震災津波からの復旧、復興についてであります。
東日本大震災津波から5年目となる来年度で集中復興期間が終了し、新たな5年間で本格復興を行う節目の時期を迎えるに当たり、発災時から考えると、復旧、復興は、確実に目に見えて進展しているものと評価するところであります。また、県復興局の公表する復旧・復興ロードマップも12回を数え、この間、多くの復興事業にかかわった方々に感謝をするものであります。
先月22日に、宮古市田老地区において、高台移転用地の造成並びに土地区画整理事業の順調な推移により、まちびらき記念式が開催されました。残念ながら知事は参加されませんでしたが、多くの市民の方々の参加のもと、宅地161区画、232世帯が住める造成地を被災された方々が訪れ、にぎわいを見せていました。その式典の中で、山本正徳宮古市長は、復興は道半ば、立ちどまっている余裕はないと、力強く話されたことがとても印象深く耳に残っています。また、これからここに住まわれる方々の目は希望に満ち、自分たちの未来に向けた明るい笑顔が印象的でありました。
これから、被災各市町村において本格的に土地が造成され、災害公営住宅が完成されてきます。本来であれば、待ちに待ったついの住みかができたのに、入居されない方も多くいらっしゃるとの報道がなされています。これまで、このようになるだろうことを予測する現場の声を県にお伝えしてきたことが、現実のものとなってきたと感じています。一刻も早く、住まいの再建をするべきであります。特にも、内陸に避難をされた方々の意向調査によれば、約5割が、そのまま内陸部で生活をしたいとの結果が公表されました。
これまでも、県は被災者の方々の意向を調査し、復旧、復興の計画を立てて、きめ細かく、その事業を推進してきたところでありますが、被災者にとっては余りにも時間がかかり過ぎ、それぞれの避難場所での生活が定着してきたのではないでしょうか。
そのような矢先に発生した旭化成建材によるくい工事問題は、我が県の被災地の工事にも使われたと伺いましたが、ただでもおくれぎみの復旧、復興に対して、そのことによる事業への影響はないか、まず伺うものであります。
次に、災害公営住宅の空き室について伺います。
今後、随時完成してくるだろう災害公営住宅、建設予定は5、771戸に対して、10月末現在で、県、市町村合わせて2、497戸が完成し、321戸の空き室が出ている状況と聞きましたが、空き室に対して、どのように県として対応するのか伺います。また、特にも、災害公営住宅におけるコミュニティーの再構築についてもあわせて伺います。
次に、復興支援道路に関して、今、急ピッチで進められている国道106号の高規格化に伴う現道の維持管理について伺います。
現道沿いにある道の駅区界高原は、旧川井村時代に、第三セクターが1987年にレストランや売店をオープンさせ、1993年には本県初の道の駅として登録をされました。
平成22年度の交通量調査によれば、1日3、500台からの自動車の交通量があり、冬場の峠越えは、交通の難所とも言われる区界峠で、この道の駅は、国道106号を利用する方々はもとより、地域の方々からも愛されている施設であり、この施設が区界地区の中心的役割を果たしてきたことは言うまでもありません。
まず、今後、宮古盛岡横断道路の整備に伴い、延長5キロメートルに及ぶトンネルによる路線の変更がなされることから、現道の維持管理はどのように行うのかについて伺います。また、地域の足として、公共交通の一つである路線バスはどのように運行されるのか、あわせてお伺いします。
質問の第2点目は、漁業の振興についてであります。
東日本大震災津波発災後、直ちに沿岸部の基幹産業である漁業の再生、復旧、復興にいち早く取り組まれたことを高く評価するところであります。特にも、本県沿岸漁業は、つくり育てる漁業にいち早く取り組んでおり、養殖漁業も盛んでありますが、裾野の広い産業で、生産、加工、流通と、そのつながりは緊密なものがあります。
昨年であれば、夏から秋にかけて、浜はサンマやイカの水揚げに活気づき、市場の上空には、多くのウミネコが乱れ飛ぶ様子が見られました。また、11月には、アワビの漁獲に沸き、魚市場はサケの水揚げが最盛期を迎え、岩手の沿岸にとって最も元気になる時期であります。魚市場から加工原料を入手する水産加工業者も、サンマやイカ、サケが冷蔵庫に蓄えられ、加工作業に大忙しの時期であります。ところが、ことしは県内の魚市場の水揚げが思わしくなく、私の地元の宮古市場では、10月末でサンマが3、590トン、前年の45%、イカ1、380トン、前年対比107%、サケ270トン、前年の82%にとどまるなど大変厳しい状況にあって、水産加工業者にとって加工原料の確保に大変苦労をしています。
県は、魚の資源状況や市場への水揚げ状況をどのように把握しているのか、伺うものであります。
また、宮古以外の魚市場に水揚げがあるなら加工原料を確保することは可能でしょうが、魚の資源そのものが減少しているのであれば、水産加工業者は、加工原料の変更や業態変更などを含めて、さまざまな対応を進めなければなりません。
このような状況に対して、加工原料の確保に向けた支援が必要と考えますが、県はどのように対応していくお考なのか伺います。
質問の第3点目は、港湾振興についてであります。
我が県には、他県に類のない四つの重要港湾があり、その特色を生かした港湾政策がようやく打ち出されたところであり、どの港もその政策を歓迎しております。北の久慈港は、石油備蓄を中心とした港湾振興を展開し、南の大船渡港は、世界に開く港湾として、釜石港は、新日鉄のプライベートバースを中心とした港湾として、また、宮古港は、フェリー航路を中心としたそれぞれの港湾の特性を生かした方策が示されました。
今般、宮古港に北海道の室蘭港との定期フェリー航路の開設が平成30年6月を目途として計画され、宮古市、室蘭市両市とも、明るい話題として、経済界を中心に歓迎ムードでいっぱいであります。折しも、宮古市は南部藩港として開港され400年の記念の年に当たり、このニュースは錦上に花を添える形となっています。
この事業内容は、川崎近海汽船シルバーフェリーにより運航され、1日1往復、片道10時間、停泊2時間で復路につくというハードなスケジュールであります。何より、川崎近海汽船が宮古港を選んだ理由は、トラックドライバーの休憩時間の確保に最適な条件であること、平成32年を目途として三陸沿岸道路が開通予定であること、しかもその料金が無料で、沿岸部は冬場に降雪が少ないことが挙げられました。県の専用ターミナルの設計調査など、前向きな、しかも素早い対応に敬意を表するところであります。
常任委員会で佐賀県唐津港を視察した際、港は生き物だとの説明を荷役の方から受け、目からうろこが落ちる思いでありました。港湾は時代とともに荷主や積荷の内容、人の流れの変化に翻弄されるものであります。今般の定期航路が安定的に末永く継続されるためにも、運用開始までに準備をしなければならないことはたくさんあるはずであります。関係者によれば、短時間での入港、出港を行うには、運航のためのノウハウやタグボートも必要になる、前段に述べたターミナルの整備もしかりであります。
今後、開設までの間、関係をする宮古市とどのような連携のもと、ターミナルの運営や必要な施設整備を行うのか、また、利用客と貨物の掘り起こしの取り組みなど、ハード面とソフト面について伺うものであります。
質問の第4点目は、マイナンバー制度についてであります。
ことし6月、マイナンバー制度の準備状況について質問させていただきました。前回は個人を中心に伺ったところでありますが、いよいよ年明け1月から本格運用が始まるぎりぎりの今、手元に通知カードが届かないなど不手際が報道されています。10月以降に市町村を通じて県民に通知がされているところでありますが、その内容は、一般に社会保障分野で、年金、雇用保険、医療、福祉と税金一般と災害時の対策が挙げられ、導入の趣旨は、複数の機関に存在をする個人の情報が同一人の情報であるということの確認を行うための基盤であり、社会保障、税金制度の効率性、透明性を高め、国民にとって利便性の高い、公平、公正な社会を実現するための社会基盤であるという位置づけがゆえに、行政機関においては、その運用に係るシステムの準備は万全か、また、多岐にわたる分野をどのように管理活用するのか伺ったところであります。ここに来て、市町村の情報管理の問題もさることながら、個人の情報を扱う事業主の間で、その管理のあり方について不安視する向きもあります。
導入を間近にして、県内の普及状況と問題はどのような受けとめ方をしているのか、伺うものであります。
1月から運用が開始され、個人の情報と同一人情報であることの確認を行う期間が1年ほどかかると言っても、いまだにその全体像を理解しかねている県民に対して、さらなる広報の活動も必要と考え、質問するものであります。
1点目は、各市町村における現状はどのようになっているのか伺います。
2点目は、事業主への対応について伺います。
特に、中小の事業主の方々への対応状況はどのようになっているのか。また、県内在住の外国人の方々に対する対応についてもあわせて伺います。
質問の第5点目は、第71回国民体育大会、第16回全国障害者スポーツ大会についてであります。
完全国体の幕開けとなる冬季大会が、年明け1月27日から、スケート、アイスホッケーの競技会の5日間の開催を皮切りに、翌2月20日からは、スキー競技が4日間と、待ちに待った大会がいよいよ開催をされます。全国から大勢の選手団とその関係者をお迎えする準備も最終チェックの段階に入ったことと思いますが、東日本大震災直後の状況を考えると、よくここまで来れたものだと感慨深いものがあるのは私だけではないと思います。
完全国体及び全国障害者スポーツ大会の開催に向け、その準備状況について伺うものであります。
まず、食の安全に係る取り組みと沿岸市町村の宿泊確保についてですが、来年10月の開催時には、宿泊先での食事や昼食の弁当等、食の安全に対しての配慮が特に必要と考えますが、取り組み状況について伺います。
また、ピークを迎える復興工事などと重なる時期であり、復興工事関係者との宿泊のバッティングが懸念されますが、特に沿岸市町村における宿泊確保の見込みについて、あわせて伺います。
次に、ボランティアの養成についてですが、全国から訪れる選手、大会関係者や観客等のお世話やおもてなし等により、大会運営に参加するボランティアの方々は大会成功のために欠かせない存在でありますが、ボランティア経験のない方や経験の少ない方も多数参加されると考えられます。
ボランティアの研修等も行っているものと思いますが、どのような取り組みを行っているのか伺います。
次に、競技施設整備の取り組みと進捗状況についてですが、今回の国体開催に当たっては、東日本大震災の被災地での開催ということもあり、大規模な施設の改修は行わず、競技の施設基準等を満たす最小限の改修と仮設での対応であることは理解をしています。
一昨年は、全日本の体操競技において吊り輪が切れる事故がありました。また、ことしは、幸いにも大会開催までには改修できる見込みと聞きましたが、県営体育館において、天井の一部が剥落するという出来事もありました。
競技の開催に向けたこれまでの競技施設整備の取り組みと進捗状況を伺います。
次に、市町村が行う選手団輸送への対応についてであります。
選手団の移動には、競技におくれることのないよう配慮が必要と思いますが、交通量も通常の観光シーズンと重なり、沿岸部においてはカーナビにない道路ができています。必要なバスの確保等、市町村が行う選手団の輸送に対して、県としてどのように対応しているのかについて伺います。
また、東日本大震災からの復興状況を訪れた方々に見ていただくことも、開催に当たっての大きな意義の一つであります。大会参加者の皆様にとって、競技に参加、出場するだけでなく、被災地のそばまで来ていただくこと、あわせて、二つの世界遺産を初め、岩手の観光資源をアピールすることが、後の岩手ファンをつくることと東日本大震災を風化させないことの大きな意味を持つと思い、競技大会の開催と観光は別物ではなく、連携できればと思い伺います。観光地への誘導策はどのように考えているのか伺います。
質問の第6点目は、人口減少対策についてであります。
知事が就任して以来、残念ではありますが、おおよそ毎年1万人ずつ人口が減少してきました。その主な要因は、自然減少、社会減少と二つが挙げられますが、県内の人口の推移を見ますと、最大140万県民と言われた時代から、ことし130万人を割ってしまいましたことに対して驚きを禁じ得ません。県北・沿岸部の人口減少が著しいことは周知のところであります。特にも、東日本大震災津波を経験した沿岸部は、その減少に拍車をかける勢いであります。
ことし、5年に一度の国勢調査が行われました。その内容はまだ公表されていませんが、関係者は固唾をのむ思いでいます。
県では、10月に、岩手県人口ビジョン及び岩手県ふるさと振興総合戦略を策定しました。2040年に100万人の人口を確保することを目標に、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすをふるさと振興の三つの柱とし、そのコンセプトに、生きにくさを生きやすさに、住みにくさを住みやすさに、学びにくさを学びやすさに、働きにくさを働きやすさに、結婚しにくさを結婚しやすさにと挙げていますが、国の総合戦略に挙げられた政策5原則、自立性、将来性、地域性、直接性、結果重視を踏まえながら、岩手独自の10の基本姿勢で三つの柱を力強く推し進めるとしています。
これまでも、県北・沿岸振興はありましたが、その政策の結果は、前段で取り上げた政策5原則の5番目、結果重視を引用するならば、この10年間の人口減少はその大半が県北・沿岸であることから、大きな問題であると言っても過言でありません。
本県沿岸部は、東日本大震災津波という未曾有の大災害を経験し、多くのとうとい生命と財産を奪われ、息も絶え絶えの中、ようやく立ち直ろうとする今、県北・沿岸振興に対し、これまで以上の大胆な政策を打つべきと考えますが、今般の岩手県人口ビジョン及び岩手県ふるさと振興総合戦略の中に期待をするような内容が伝わってこないのは私だけでしょうか。もし、踏み込んだ形での政策があるのであればお示しをいただきたいと思います。
質問の第7点目は、主権者教育についてであります。
70年ぶりの選挙年齢の変更による18歳以上への選挙が、いよいよ来年夏の参議院選挙から適応対象の選挙となるわけでありますが、前回、今年度で高校を卒業する方々に対する教育の準備等を質問したところ、総務省、文部科学省から副教材が出されるので、それからの対応であるとの答弁でありました。今般、その副教材が出されたことにより、来春卒業予定の学生に対しての指導は、卒業を控えたこの時期に時間がとれるのでしょうか。そして、その副教材は、私たちが拓く日本の未来と題し、有権者として求められる力を身に付けるためにとの副題がついた、100ページに及ぶ内容であります。解説編と実践編はそれぞれ5章からなり、参考編は3章で構成されています。大変わかりやすい副教材でありますが、指導の対象は、高校に在学をする全ての生徒を対象とすると言われています。
これまでの教育現場での政治の意義や制度に関する指導は、知識を暗記するようなテストのための指導でありますが、今般の改正による内容は、より具体的で実践的な活動につながる指導が必要と考えられます。心配される点は多々あるわけでありますが、今日、高校生は、ネット社会にあって切っても切れない状況のもとで、その使用によって選挙違反にならないか、心配をするものであります。
実践を指導するがゆえの選挙権を有しない生徒に対する接し方など、数え上げれば切りがない、そんな走り陣立てに指導をする現場の先生方に不安はないのでしょうか。指導に当たっては、政治的中立性が求められることから、それを担保する方策はあるのでしょうか、伺うものであります。
質問の第8点目は、ジオパークについてであります。
三陸ジオパークは、東日本大震災津波を経験した我が県沿岸部はもとより、北隣の青森県八戸市及び階上町から南は宮城県気仙沼市まで、16市町村で構成をする珍しい形の団体であります。
平成25年9月に、日本ジオパークに認定されたことは、震災後の被災地に明るい話題でした。我が県を中心に3県での事業は、地域ごとに温度差が感じられます。日本ジオパークに認定をいただいた直後は一定の盛り上がりもあり、次は世界ジオパークへの挑戦との声も耳にしました。
前任期の総務委員会においても、そのような機運を受け南伊豆を視察しました。現在、日本で世界ジオパークに認定されているジオパークは、洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、山陰海岸、室戸、隠岐、阿蘇、アポイ岳の8カ所あり、その他日本ジオパークに認定されているジオパークも31カ所あります。その審査も年々厳しくなっていると伺いました。そのような矢先、世界ジオパークがユネスコの正式事業に決まり、その審査もこれまで以上に厳格化されると伺いました。改めて、三陸ジオパークのこれまでの活動を検証し、さらなる活動の充実を図らねばならないと感じたところであります。その前段として、日本ジオパークの認定の更新も平成29年度に控えています。再審査の課題も山積しています。その課題は大きく分けて4点挙げられます。
1点目は、市町村の垣根を越えたジオストーリーとジオサイト体系の再構築、2点目はガイドの養成、強化、3点目はジオパークの情報の提供、そして4点目は運営体制などが挙げられます。
現時点で、活動の体制は三陸ジオパーク推進協議会が主体となっての活動と伺いましたが、協議会の取り組みは、ホームページの多言語化や報道媒体の活用、パンフレットの整備、案内解説板の整備など情報提供体制の整備、イベント情報の発信、広域観光資源の開発、ガイドの人材育成、関係小中学校においての普及啓発などが挙げられていますが、前段で述べた日本ジオパークの再認定とその上の世界ジオパークへの挑戦を考えるに当たり、まだ足りないものがあるのではないでしょうか。
我が県においては、平泉の世界文化遺産と橋野鉄鉱山の世界遺産を有し、その登録に向け鋭意努力をした経験と実績もあり、次は御所野遺跡の北海道・北東北の縄文遺跡群としての世界遺産登録を目指していることを思えば、この三陸ジオパークの世界ジオパークへの挑戦は、決して無謀なことではない、沿岸部の振興、ひいては地方創生にも寄与する取り組みと考えています。
そこで、この事業は、3県にまたがっての事業であること、その大半が本県の沿岸市町村であることを考えても、県が主体になって再度人員体制の充実も図りながら取り組むべきことと考えますが、その所見を伺います。
最後の質問に入ります。
知事は3期目を当選されました。その思いを改選前に伺ったところ、3期目に当たっては、第1に復興そしてふるさと振興、この二つを柱に、希望が持てる暮らし、希望が持てる仕事、希望が持てる地域である希望郷いわてを実現するため、必要な施策を推し進めていきたい。
具体的には、1、本格復興の推進とその先の三陸振興、2、若者、女性活躍支援と生きにくさの解消、3、地域医療の充実といきいき健康社会、4、学び、文化、スポーツの振興、5、地域振興を生かした産業の発展、6、環境保全と再生可能エネルギーの振興、7、ILC─国際リニアコライダー建設の実現、8、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功と2019ラグビーワールドカップ岩手県釜石市開催の成功の8項目を上げられました。
今後、これらの項目の成功に向け力強く取り組まれることを期待しておりますが、実現するためには、県内33市町村との連携もまた親密に行わなければならないと思います。
今期改選後、自由民主クラブでは、県内市町村を訪れ、各市町村長よりその要望をお聞きしました。その中で何人かの首長さん方から、知事との対話が少ないとの話を伺いました。さきの9月定例会で、市町村長との都合が合えば、可能な限りお会いするように努めてきた。また、市町村長から面談の申し出があれば、日程を調整してお会いしていると知事は答弁されていますが、少なくとも何人かの首長は、知事との対話が少ないと感じておられます。
広大な面積を有する岩手県は……
〇議長(田村誠君) 城内よしひこ君に申し上げます。
申し合わせの時間を超過いたしております。議事進行に御協力をお願いします。
〇21番(城内よしひこ君)(続) その課題解決を図るためにも、各市町村長との対話を充実させるべきと考えますが、その所見について伺います。
以上、壇上からの質問は終了します。なお、再質問は自席にて行います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 城内よしひこ議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、人口減少対策についてでありますが、これまで、県北・沿岸の発展なくして岩手の発展はあり得ないという基本的な考え方のもと、県北・沿岸振興を県政の重要課題に位置づけて、全庁を挙げて取り組んでまいりました。
東日本大震災津波の発災以降、沿岸地域については、復興計画に基づいて復旧、復興推進対策を重点的に推進してまいりました。
県平均を上回る人口減少が続いている県北・沿岸地域においては、若者の地元定着のための産業振興や雇用機会の確保、U・Iターン等の人口減少問題対策を重点的に推進する必要があると認識しておりまして、産業振興や仕事創出などによって人口減少問題に立ち向かう、ふるさと振興総合戦略を展開することは、県北・沿岸振興につながるものと考えております。
平成28年度当初予算の検討に当たりましても、県北・沿岸地域の産業振興や交流人口の拡大に積極的に取り組むよう指示したところでありますが、今後も、復興の取り組みを着実に進めるとともに、地域資源を最大限に生かした魅力ある産業の振興や6次産業化などの高付加価値化の取り組みを積み重ねていくことが重要と考えております。
さらに、今後見込まれる復興道路の整備や宮古?室蘭フェリー定期航路の開設、北海道新幹線の開業やラグビーワールドカップの岩手県釜石市開催などの好機を生かしながら、引き続き、市町村を初め、関係団体、企業等と連携の上、県北・沿岸振興に重点的に取り組んでまいります。
次に、三陸ジオパークについてでありますが、三陸ジオパークの取り組みは、沿岸被災地における復興のシンボルの一つであり、第2期復興実施計画においても、沿岸地域の観光振興や交流人口の拡大などを図るための重要なプロジェクトとして位置づけています。
平成25年9月の日本ジオパーク認定後、三陸ジオパーク推進協議会を中心に、誘客拡大につながる情報発信や受け入れ態勢の整備の取り組みを重点的に展開するとともに、将来的な世界ジオパークへの申請を視野に入れながら、平成29年度に行われる日本ジオパーク認定の再審査に向けて、日本ジオパーク委員会から指摘された課題の解決に取り組んでおります。
また、これらの取り組みを円滑に進めるため、平成26年度からジオパーク推進員などの専任職員や県の兼務職員を増員するなど協議会事務局の体制を強化するとともに、協議会の構成員に沿岸広域振興局の副局長を加えるなど、県が主体的に推進体制の充実に努めております。
県といたしましては、日本ジオパーク認定の再審査や将来的な世界ジオパークへの申請に対応するため、広域的なガイドの養成及び質の向上のほか、震災の影響により活動が十分ではない市町村への支援を強化するなど、広域性、専門性の高い取り組みについては、引き続き、県が主体的な役割を果たしつつ、関係市町村等との連携を強化しながらジオパークの取り組みを進めてまいります。
次に、市町村長との対話についてでありますが、これまでも、できるだけ被災地初め、県内各地に足を運ぶよう心がけ、その際、市町村長との都合が合えば、可能な限り懇談の機会を設けるように努めてまいりました。
希望郷いわての実現に向け、復興とふるさと振興をなし遂げるためにも、県と市町村の信頼関係は極めて重要であり、両者の意思疎通を深める観点から、知事と市町村長が個別にお話しすることは、意義があるものと認識しております。
市町村側からの面談の申し入れに対しては、基本的にお断りしておりませんので、対話の不足を感じている市町村長におかれては、遠慮なく面談を申し入れていただきたいと考えております。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) まず、旭化成建材によるくい工事問題についてですが、旭化成建材の公表によれば、問題となった既製コンクリートくいの施工実績は県内で13件ありますが、現在のところ、調査が完了した11件については、データ改ざんがなかったとの報告を受けています。
このほか、旭化成建材が施工した既製コンクリートくい以外のくい工事については、県内の公共施設で9件判明しておりますが、いずれも問題がないことが確認されています。
今後も、本県に関する情報の収集を行うとともに、データの改ざんが認められた場合には、迅速に安全性の確認を行うなど、復旧、復興に影響のないように対応してまいります。
次に、災害公営住宅の空き室についてですが、空き室は、入居をまだ迷っておられる方がいるなど、さまざまな理由により発生しておりますが、県では、完成前の内覧会の開催や入居相談会の実施などを行ってきたところであり、今後も、市町村と協力しながら入居の促進に鋭意取り組んでまいります。
また、災害公営住宅のコミュニティーの形成支援として、これまで、集会所に備品を整備し、入居者による活動を支援するとともに、受け入れ先の地域における支援体制づくりや関係者の意識の醸成を図るため、生活支援相談員や自治会長などの方々を対象に、災害公営住宅への移行研修を行ってきたところです。
今後も、市町村や社会福祉協議会など関係機関と連携し、災害公営住宅におけるコミュニティーづくりを支援していきます。
次に、国道106号の高規格化に伴う現道の維持管理についてですが、現道の区間は、現在整備中の区界道路の開通後においても、自動車専用道路である区界道路を通行しない車両や区界高原を訪れる方、沿道にお住まいの方々などの利用が見込まれるため、これらの利用に不便を来さないように管理する必要があります。
国道106号については、国道46号とあわせ、国で一体的に管理するよう要望を行っているところであり、現道についても、宮古市、盛岡市と連携し、適切な維持管理が行われるよう対応してまいります。
次に、フェリー航路開設に向けての取り組みについてですが、本年3月に、川崎近海汽船株式会社より航路開設計画が公表されたことを受け、現在、フェリーの接岸バースやフェリーターミナルの位置、規模等について、藤原地区の埠頭用地を有効に活用しながら配置するように検討を進めているところです。
フェリーターミナル等の管理運営については、引き続き宮古市と協議を進め、他港の状況等も研究しながら、よりよい手法について検討していきます。
また、フェリー航路を定着させるためには、観光を含めた利用客や貨物の安定的な確保が必要であることから、今後、北海道と本県双方の誘客拡大のための検討や貨物の物流動向の調査などを行い、フェリーの利用促進に努めてまいります。
去る11月15日には、就航が想定されるフェリー、シルバークィーンが宮古港に試験入港したところであり、フェリー運航会社及び関係機関と連携しながら、平成30年の定期航路開設に向け取り組んでまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 国道106号の高規格化に伴う路線バスの運行についてでありますが、当該区界道路区間などを運行する路線バスの形態につきましては、今後、運行事業者において検討を進めるものと聞いておりますが、当該路線は、盛岡市と宮古市を結ぶ都市間交通という性格を有しているとともに、一方では、沿線地域の生活交通も担っていることから、沿線自治体等の意向を十分に踏まえた対応を求めてまいります。
また、道路整備に伴い、沿線自治体において域内交通体系の見直しなどを図る際には、有識者の派遣やコミュニティーバスの実証運行などへの補助を行う公共交通活性化推進事業費補助などの制度を通じて支援してまいります。
次に、マイナンバー制度についてでありますが、まず、市町村の現状につきましては、市町村においては、平成28年1月の個人番号の利用開始に向けて、本年12月までに個別の業務システムの改修、個人番号を独自に利用するための条例の整備、情報管理体制の整備を行い、その後、平成29年7月に予定されている他の機関との情報連携開始に向けて、接続テストを行うことになっております。
これらの市町村の準備作業は、国が自治体に対して示している推奨スケジュールに基づき実施しているところであり、国、県としても進行状況を把握しながら進めており、現状においては、おおむね順調に進んでいると認識しております。
また、県内では、11月までにおおむね住民の方々に市町村から通知カードが送付されたところでありますが、住民の方々が受領することができずに返送された通知カードについて、市町村において、窓口での交付や居住地を確認の上、再送の作業を行っているところであります。
次に、中小の事業主及び外国人の方々に対する対応につきましては、マイナンバー制度の導入によって、事業主においては、給与所得の源泉徴収票、健康保険組合や年金事務所に提出する書類への従業員の個人番号の記載、また、個人の取引先等への支払調書への取引相手の個人番号の記載などが必要となるため、従業員等から個人番号を収集し、安全に管理する必要があります。
県におきましては、事業主、特に中小企業に対して周知を図るため、国や税務署等と連携して8月に事業者向け説明会を開催したほか、県内の商工団体を通じて、広報資料の配布及び広報誌による周知を行ってきたところであり、税務署等も独自に事業者向けに説明会を開催しているところであります。
また、日本語を話すことができない外国人の方々に対しては、国が日本語以外に5カ国語でホームページ及びコールセンターを開設しているほか、26カ国語で外国人向けの広報パンフレットを作成して周知を図っており、県のホームページにも掲載するほか、市町村に対しても周知を依頼しているところであります。
今後も、制度に対する理解が深まるよう、引き続き、国、市町村と連携し、事業主及び外国人を含め住民に対して周知を図ってまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、魚の資源状況と水揚げ状況についてでありますが、本県の魚市場に水揚げされる主要魚種の資源状況は、国の調査によりますと、サンマについては横ばい、スルメイカについては減少傾向、マダラやブリについては増加傾向にあるなど、魚種によるばらつきはありますが、総じて本県近海での資源は安定しているとされております。
また、11月30日現在の水揚げ状況は、本県沿岸域に長期に高水温帯が分布し、良好な漁場が形成されなかったことなどから、サンマは約2万トン、前年同期比50%、スルメイカは約5、700トン、前年同期比57%となり、サケについては、これらに加え、東日本大震災津波により放流数が少なかったことから約6、600トン、前年同期比58%と、いずれも大きく減少しておりますが、一方で、サバ類などが増加しており、水揚げ量全体では約10万3、000トン、前年同期比87%となっております。
次に、加工原料の確保に向けた支援についてでありますが、サケやサンマなどを加工原料としている水産加工業者は、原料の確保が困難な状況にありますが、地元魚市場以外から調達するなど、ほぼ前年並みの量を確保している業者が多いと把握しております。
県では、これまで、水産技術センターが中心となって、水揚げ量などの情報提供を行ってきており、加工原料の多様化や業態の変更を検討する水産加工業者に対しましては、必要な助言を行うとともに、遠隔地から原料調達をする場合にあっては、そのかかり増し経費等に対する国の補助事業の制度を活用するなど、必要な支援を行ってまいります。
〔国体・障がい者スポーツ大会局長岩間隆君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(岩間隆君) 国体及び全国障害者スポーツ大会における食の安全に係る取り組みと沿岸市町村の宿泊確保についてでありますが、まず、食の安全に係る取り組みにつきましては、昨年度策定した食品衛生対策実施要領に基づき、各保健所が市町村と連携を図り、大会参加者の宿泊予定施設や弁当調達先などを対象として、今年度において、これまで26会場で食品衛生講習会を開催するとともに、377施設に対し、保健所の食品衛生監視員が訪問の上、重点的な指導を実施しております。
なお、県が開閉会式会場で提供する昼食弁当の調達先につきましては、納入を希望する施設に対し、保健所とともに実地調査の上、衛生管理の水準が良好な施設を選定したところでございます。
今後も引き続き、保健所と緊密に連携し、食中毒等の事故が発生しないよう食品衛生対策に万全を期してまいります。
また、沿岸市町村における宿泊確保の見込みについてでありますが、沿岸地域では、依然、復興事業関係の宿泊需要が高い状況が続いており、昨年度、国などの工事発注機関や建設業団体を訪問し、各市町村ごとの宿泊見込み者数をもとに協議を行ったところでございます。
その中で、選手団などの宿泊が見込まれるホテル、旅館の復興工事関係者の利用は、短期の出張がほとんどを占めており、国体本大会関係者の宿泊との調整は、工程管理の中で十分可能と伺っております。
昨年度から宿泊施設を対象とした説明会や施設を直接訪問しての客室提供依頼を行ってきており、隣接市町村の施設の利用も含め、沿岸市町村で延べ1万9、000人と見込まれる大会関係者の宿泊は、確保できる見通しであります。
次に、ボランティアの養成についてでありますが、両大会の開閉会式や競技会の運営に当たり、ボランティアの役割は非常に重要であり、その活動は、大会参加者や来場者の両大会に対する印象に結びつくものと考えてございます。
このため、県実行委員会におきましては、運営ボランティア登録者などを対象とし、両大会の概要のほか、おもてなしのあり方、障がいのある方への基本的な接し方などを内容とする基礎研修会を11月から3月まで県内8会場で開催しております。
また、情報支援ボランティアには、手話、要約筆記等の種別に応じた研修会を県内各地で実施し、全104回中、11月末で99回を終えております。
さらに、全国障害者スポーツ大会に参加する各県選手団と行動をともにし、きめ細かなサポートを行う選手団サポートボランティアについては、大学や専修学校など養成協力校の多くが、来年度に学校のカリキュラムに位置づけた養成講座を行う予定でございます。
両大会の開催に向け、業務マニュアルの配布、会場地や総合リハーサルでの実地研修などを通じ、岩手らしい心のこもったおもてなしの担い手となるボランティアを養成してまいります。
次に、競技施設整備の取り組みと進捗状況についてでありますが、平成22年度に施設整備計画を策定して以降、毎年度、施設の安全確保に十分配慮するなどの見直しを行いながら、市町村とともに計画的に整備を進めているところであります。
特に、平成25年のつり輪事故の発生を受け、全ての競技施設について安全性の面から重点的に点検を実施し、この結果に基づき、体育館の床改修など5施設の整備を計画に追加し、改修を行ったところであります。
現在、最終となる整備計画の見直しを進めており、今年度に実施されたリハーサル大会をも踏まえ、危険防止の観点から、新たに盛岡市アイスアリーナの床面に設置されている体操器具の固定金具の改修や盛岡市立総合プールの高飛び込み台に敷設されている滑りどめマットの更新を計画しております。
こうした整備を含め、改修が必要な43施設のうち、40施設が今年度中に整備を終える見込みであり、水沢弓道場の防矢ネット増設など残る3施設の軽微な改修のほか、大会直前に行う仮設整備を含め、本大会開催前に全ての整備を完了することとしております。
次に、市町村が行う選手団輸送への対応についてでありますが、市町村が行う選手団の輸送に必要なバスは、現時点で延べ約4、100台と試算しており、県が実施する開閉会式等の輸送に必要なバス延べ約2、800台と合わせ、県において一括して調達し、各市町村に必要台数を配車することとしております。
バス事業者に対して今年度実施した台数提供意向調査の結果では、国体会期中は、競技会の練習日が重なる開会式当日を除いて必要台数を確保できる見通しとなっておりますが、今後、事業者と具体的な交渉を進めるなど、全会期を通じた必要台数の確保に万全を期してまいります。
また、選手団の輸送におきましては、必要台数の確保に加え、精度の高い輸送計画の作成が重要と考えております。このため、輸送手段、集合場所、輸送経路の設定や駐車場の利用計画の作成、案内誘導看板の設置などを内容とする手引書を各市町村に配布するとともに、計画作成の進捗状況に応じて必要な助言を行っております。
観光シーズンであることや復興事業が進められる中での開催であることなどを踏まえながら、安全かつ確実に選手団輸送が実施されるよう、引き続き市町村を支援してまいりたいと考えております。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) 国体等の開催に伴う観光地への誘導策についてでありますが、国体等の開催は、誘客やファン拡大の一大契機であり、この機会を生かして、大会参加者の方々に、沿岸地域を初め県内各観光地へ回遊していただくことが重要と認識しております。
このため、まずは冬季大会に向けて、大会参加者向けの観光ガイドブックの制作や参加体験型の全県周遊ゲームを実施するとともに、開催期間中は、震災語り部によるガイドつきの三陸観光応援バスツアーや、二つの世界遺産と沿岸地域の冬の食をめぐるバスツアーを運行することとしております。
なお、これらのガイドブックやバスツアーの運行情報等につきましては、既に大会参加予定者に提供済みであり、多くの方々が、県内各地を訪れていただくことを期待しているところです。
今後も、冬季さらには本大会の開催に向けて、より多くの方々に、岩手のさまざまな魅力に触れ、ファンとなり、何度も訪れていただけるよう、県や市町村、観光関係者等で組織する、いわて観光キャンペーン推進協議会を中心に、二次交通を初めとする受け入れ態勢の充実や情報発信の強化に取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 主権者教育についてでありますが、学校教育においては、これまで公民の授業を中心に政治的教養を育んでまいりましたが、総務省と文部科学省が作成した副教材は、総合的な学習の時間や特別活動等において活用することも想定されておりまして、今後は、より多くの教員が政治的教養を育む教育にかかわっていくこととなりますので、中には指導に当たり不安を抱いている者もございます。
また、政治的中立性の担保につきましては、これまでも教育基本法に基づき、学校における政治的中立性を保つよう留意してまいりましたが、今後におきましては、18歳以上の生徒も有権者となりますので、今まで以上に、より一層の配慮が求められていると捉えております。
県教育委員会といたしましては、生徒用副教材と学校の指導における留意点が示された教師用指導書を積極的に活用することが、教員の指導上の不安の解消と政治的中立性の担保につながるものと考えております。
このほかにも、選挙管理委員会と連携して、模擬投票などを体験できる明るい選挙推進授業の普及を図るなど、主権者教育の機会を提供するとともに、教員の研修の機会を確保し、指導する教員の不安の軽減と政治的中立性の確保を図りながら、高校生の主権者意識を高めるよう指導に努めてまいります。
〇21番(城内よしひこ君) 御答弁ありがとうございました。それでは、再質問させていただきます。
1点目は、災害公営住宅の空き室の活用についてであります。
震災直後から、これまでも現場の声として、応急仮設住宅の空き部屋の利用として、応援警官の方々の利用や応援職員の方々の利用、さらには、被災地に赴任する教職員の方々や復旧工事関係者の利用について提案してきました。簡単には利用できないものや利用がかなわないものもありましたが、非常事態ということで、前向きな検討と実現に向けた努力をしてきていただいたところであります。
今般の待ちに待った災害公営住宅の完成は、復興のつち音の象徴でもあります。ですが、壇上で質問したとおり、空き室が見えてきています。そのような中で、例えば、県内外から沿岸地域の大学や職業訓練機関等に学びに来る学生や若者の宿舎として、当面の間、そのような空き室の利用も検討していただけないものか、まず1点目をお伺いします。
2点目は、人口減少問題について、関連して、三陸沿岸道路の活用、産業振興についてであります。
先ほど知事が踏み込んだ形で答弁をしていただきましたが、来年、北海道まで新幹線が北進し開通いたします。ことしは北陸新幹線でにぎわいましたが、震災後注目された本県沿岸部は、その熱も冷めたかのようであります。
今後の沿岸振興を考えた上で伺うものでありますが、震災を機に、三陸沿岸自動車道路の建設が決定し、その工事が急ピッチで進められており、完成は平成32年と言われています。これまで、高速交通網から取り残された本県沿岸部の命を守る道路として、また、産業振興に期待を寄せる方々はたくさんいます。その象徴が、宮古?室蘭フェリー定期航路であります。復旧、復興後の沿岸部を考える上でも、また、新たな国際的観光産業や産業振興を行う上でも、三陸沿岸自動車道を活用した産業振興策、その準備が必要と考えますが、当局の考え方をお伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 災害公営住宅の空き室の活用についてでありますが、公営住宅の制度上は、災害公営住宅の空き室を、通常の公営住宅として低額所得者等を入居させることも可能となっていますが、一方で、いまだ多くの被災された方々が応急仮設住宅等で暮らしており、また、災害公営住宅の建設も途上であることから、現時点では、そのような対応は難しいものと考えております。しかし、今後、災害仮設住宅(後刻「災害公営住宅」と訂正)の整備が完了し、入居する可能性のある被災者がいなくなったと判断されれば、通常の公営住宅として低額所得者等が入居できるほか、学生については、これも同様に、今後のこととしてのお答えになりますが、地域再生法に基づく地域再生計画の認定を受けることにより、学生等の入居が可能となった事例もありますので、参考にできるのではと考えております。
〇政策地域部長(大平尚君) 三陸沿岸道路を活用した産業振興策についてでありますが、三陸沿岸道路を初めとする復興道路の整備や、今後予定されております宮古?室欄間の定期フェリー航路の開設により、時間距離の短縮など交通環境が大きく向上することから、産業面では、海産物を初め生鮮品等の販路拡大、広域的なアクセス向上による物流の拡大、企業集積の促進、また、観光面では、沿岸周遊の利便性が高まることによる観光客の増加や旅行消費の拡大など、沿岸地域の活性化に大きく寄与することが期待されるところであります。
県といたしましても、このような交通網の整備や沿岸地域における新しいまちづくりが進むことなどから、中長期的な視点に立った三陸地域の振興策が必要と考えております。このため、今年度、地域の抱える課題等を整理、分析し、その解決に向けた方策に係る調査事業として三陸復興・振興方策調査を実施し、水産物等の消費地への輸送時間短縮による販路開拓や付加価値の向上、三陸ブランドの形成などについて、沿岸市町村や企業団体、県内外の有識者と意見交換などを重ね、検討を進めているところであります。
また、本年4月には、三陸総合振興準備室を設置し、三陸鉄道の一貫経営などを見据えながら、三陸地域の交流人口の拡大を初めとする総合的な地域振興を図るための推進体制の準備を開始したところであり、そのあり方についてさらに検討を重ねてまいります。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 先ほどの私の答弁におきまして、今後、災害公営住宅の整備が完了し、入居する可能性のある被災者がいなくなったと判断されればと申し上げるべきところを、今後、災害仮設住宅の整備が完了し、入居する可能性のある被災者がいなくなったと判断されればと申し上げました。おわびして訂正させていただきます。
〇議長(田村誠君) 次に、名須川晋君。
〔18番名須川晋君登壇〕(拍手)

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