平成27年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(田村勝則君) 一般質問の機会をいただきました創成いわての田村勝則であります。
私は、9月の選挙において、紫波から新しい風を起こし、津波からの復興、この岩手を元気にとの思いで立候補し、今この場に立たせていただいております。
初心忘るべからず。この思いを心に刻み、お年寄りから子供たちまで、ともに敬い支え合う心豊かな地域づくりの推進を初め、五つの政策目標実現に向けて頑張ってまいりたいと存じます。
また、これからの4年は、我が県にとりましても、大震災津波からの本格復興、地方創生、国体、ラグビーワールドカップ開催、国際リニアコライダー誘致活動など、今後の県政を左右する重要な4年になると思われます。このような時期に県政に参画する議員の一人として、是々非々の立場を貫き、微力ながらその務めを果たしてまいりたいと存じますので、当局を初め諸先輩各位の御教導をお願い申し上げ、質問に入ります。
まず初めに、いわて県民計画第3期アクションプランの推進に向けた取り組みについて伺います。
知事はさきの定例会において、当会派代表の五日市議員を初め4名の議員の代表質問に対し、3期目の抱負とマニフェスト実現について、おおむね次のように御答弁されました。
これまでの取り組みは希望郷いわて実現のため、そして、東日本大震災津波以降は一日も早い復興を目指し県政の執行に当たってきたとし、これからの4年につきましては、復興の推進とふるさと振興に県の総力を挙げて取り組み、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現を目指していくと述べておられるのでありますが、その御答弁を見る限りにおいては、県民の奮起を促すような表現力あるいは発信力といった工夫も必要ではないかと率直に感じたところであります。
昨年、時代が求める後藤新平という本が出版されました。前知事であり、地方消滅を唱え、今、時の人でもある増田寛也氏は、この中でトップリーダーについて次のように論じておられます。その文を要約すると、現在の我が国は社会経済情勢の変化に対応不能の制度疲労状態にあるとし、このような時代には、理念や目標、新たな価値といったものをみずから提示して先導するトップダウン型のリーダーが求められるとし、今こそ時代の先駆者後藤新平の先見性と実行力に学ぶ必要があると述べております。増田氏の現職時代の評価は別にして、私も後藤新平に心酔する者の一人として、この視点に共感を覚えるものであり、危機を希望にとの期待を担い、3期目となる達増県政には、トップリーダーとしての達増カラーを前面に出した積極的な発信力を御期待するものであります。
そこで、第3期アクションプラン達成に向けて県民が総力を挙げて前進するためにも、改めてお伺いいたします。知事の考える希望郷いわて実現のための希望が持てる暮らしとはどのような暮らし方を言うのか、希望が持てる仕事とは、また、希望が持てる地域とはどのような地域のあり方を目指しているのか、県民の皆様が理解しやすい平易な言葉でお示しくださるようお伺いいたします。また、その成果はどのような基準によって評価するのかにつきましても、あわせてお伺いするものであります。
さらに、過日の報道によりますと、次期計画を見据え、マニフェストにもある幸福度というキーワードについても熱く語られたようであります。希望郷いわての実現と、どちらかといえば心のありようを基準とする幸福度という考え方の関連性についてもあわせてお伺いいたします。
次に、行財政改革の推進についてお伺いいたします。
県は、これまで、東日本大震災津波という未曽有の大災害に対しかつてない規模の予算と体制を構築し、総力を挙げて復旧、復興に取り組んでこられました。その真摯な姿勢には敬意と感謝を申し上げるところであります。
しかし、その一方で、県人口は平成26年で128万人、ピーク時に比べ約12%減少しております。また、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によれば今後も減少を続けると見込まれております。急激な人口減少は本県の行財政運営にも大きな影響を与えることになります。こうした厳しい現状の中、ふるさと振興に取り組むことが今後の課題となっております。
県では、これまで、いわて県民計画の第1期及び第2期アクションプラン改革編により行財政改革の取り組みを進めてこられたようでありますが、このたび素案が示された第3期アクションプラン行政経営編では、その課題をどのように認識しておられるのか、また、どのような視点で取り組みを進めていくのかについてもお伺いいたします。
重ねて、県の未利用資産等の活用についても伺います。
県は、現在も多額の県債残高を抱え、今後の公債費負担も高水準で推移する見通しであり、財政の硬直化が懸念されております。その解消に向けて歳入確保が必要であり、未利用資産等の活用もより積極的に進めるべきと私は考えます。
そこで、未利用資産等の売却等の実績と今後の取り組みについてもお示し願いたいと存じます。
次に、第三セクター等の現状と課題についてお伺いいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
全国的に第三セクターの経営状況について累積赤字が過大となり、自治体経営に深刻な影響をもたらしていることから、国は通達を出し、運営健全化の推進について従来より踏み込んだ対応を求めております。平成26年8月5日には第三セクター等の経営健全化などに関する指針が示され、効率化、経営健全化と地域の元気を創造するための活用の両立について適切に取り組むよう通知も出されております。
本県においても、市町村等が出資する第三セクターでは、平成25年度で見ると、125法人のうち、黒字は76法人60.8%、赤字は49法人39.2%で、前年度に比べて黒字が13法人減少し、赤字が14法人増加しております。また、個別の損益動向を見ますと、損益が改善した法人数は54法人であるのに対し、損益が悪化した法人数は67法人となり、前年度に比して損益が悪化した法人数が改善した法人数を上回り、一部法人においてはさらに多額の赤字を計上するなど、その経営状況は予断を許さぬ状況にあることも仄聞されるところであります。
県として、このような第三セクターの現状と課題についてどの程度把握し、課題があるとすれば、どのような対応策をもって臨んでおられるのかもお伺いいたします。
次に、国体に向けた安全対策の構築についてお伺いいたします。
去る11月13日、フランス、パリの中心部において無差別同時多発テロ事件が発生し、少なくとも130人が死亡したほか多くの負傷者を出し、世界を震撼させました。報道によれば、この犯行はイスラム過激派組織イスラム国によるものとされ、我が国もその標的とされております。当時、トルコを訪問中の安倍首相は直ちに非難声明を出し、国際社会と連携し、テロの未然防止に取り組むとの強い姿勢を示しておられます。
しかし、国内においても、11月23日の祝日、靖国神社の公衆トイレ内において爆発物と思われるものが爆発する事案も発生いたしました。この事件の約2週間前、私自身、22人を引率して靖国神社に参拝していたこともあり、治にいて乱を忘れず、テロは遠い外国で起きているという認識を改め、対岸の火事のような感覚ではなく、私たちの暮らしにも、今そこにある危機として受けとめるべき治安情勢になっていると感じます。テロはどこにでも起こり得る、そんな脅威に対する対策は今や喫緊の課題となっております。
このような情勢下にあって、来年5月には、第42回主要国首脳会議いわゆる伊勢志摩サミットを初め全国各地で関係閣僚会合が開催されるほか、本県においては、来年早々から始まる国民体育大会冬季大会や10月に行われる本大会など、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会が開催されることとなっております。
そこで、国体等大規模な行事の開催に当たり、テロ等を未然に防ぐために、県警察ではどのような体制でどのような対策を実施するのか、安全対策の取り組みについてお伺いするものであります。
次に、心の健康と自殺対策についてであります。
本県は、知事の掲げる希望郷いわての実現に向けて心のケア活動を推進しております。とりわけ被災者の心のケアに対しては積極的な取り組みがなされているものと承知しておりますが、果たして現状はどう進んでいるのかについてお伺いいたします。
また、自殺対策についてでありますが、昨年、全国の自殺者は2万4、417人。5年連続で3万人を下回り、減少傾向にあるとはいえ、交通事故での死亡者が6、000人を切る中、依然として改善しているとは言えない状況にあります。その要因には病気やいじめ等多様な動機が考えられますが、15歳から34歳における死亡者数では、先進7カ国のうち自殺が事故を上回っている国は日本のみであり、国を挙げて取り組むべき重要課題であろうと存じます。
とりわけ本県は、平成26年の自殺者数が341人、人口10万人当たりの自殺死亡率が26.6と全国でワーストワンになっております。我が岩手は、県民一人一人のかけがえのない命を守る、何としてでも自殺を防ぐ、このような意識を共有しつつ、県下の自治体、地域、企業、家庭など県民が一体となって自殺防止に取り組むべきと思いますが、当局の取り組みについてもお伺いいたします。
次に、中小企業の振興策についてであります。
去る11月25日の報道によりますと、厚生労働省は、雇用政策研究会を開き、今後の就業者数の推計を示しております。その推計によると、本県における就業者数は減少傾向にあり、産業別で見ると製造業が大きく減少し、卸売、小売業も落ち込むとされております。そのような見通しのもと、長時間労働の抑制といった改革や働き方の改革を進めることで、女性や高齢者などの雇用をふやすことのほか、生涯を通じた能力開発によって生産性の向上を図ることが不可欠という指摘がなされております。
そこでお伺いいたしますが、県では、女性や高齢者の就業促進に向けどのような取り組みを進めておられるのでしょうか。また、働き方の改革を進める上での課題をどのように捉えておられるのか、あわせてお伺いいたします。
本県の企業のほとんどは中小企業であり、こうした中小企業が経営力を向上させていくためにも、働き方の改革を初め積極的に人材を確保、育成していくことが重要となります。
知事も、県勢発展のかなめは人、人がつくる岩手、人をつくる岩手と述べております。今、高視聴率のドラマのような感動的な展開のようにはいかないとはいえ、あの革新的経営で観光ホテルの再生を手がけ成功をおさめてきた星野リゾート代表星野佳路氏も、社員のエンパワーメントで経営力を高めるということの大切さを近ごろ出版された本で述べておられましたが、現在、県が策定を進めている中小企業振興基本計画においては、人材の確保、育成策をどのように位置づけ、具体的にどのような取り組みを展開しようとしているのかお伺いいたします。
次に、いじめ、不登校対策についてお伺いいたします。
平成26年度問題行動等調査における本県の結果によれば、いじめを認知した学校数は369校で、前年度と比較して118校増加しております。また、いじめの件数は全体で1、774件となっており、前年度と比較して937件増加しております。
この内訳でありますが、小学校が1、031件、中学校が492件、高等学校が162件、そして特別支援学校が89件とそれぞれ増加となっており、前年度と比較して全校種で増加したことが示されました。
いじめ発見のきっかけとして最も多かったのが、アンケート調査など学校の取り組みにより発見されたもので35.2%、次に本人からの訴えで22.9%、当該児童生徒の保護者からの訴えが19.7%となっております。
また、不登校については、30日以上学校を欠席している小学校、中学校における児童生徒数は934人となっており、昨年度と比較して71人増加しております。一方、高等学校における不登校生徒数は354人となっており、前年度と比較して19人減少しております。
これら不登校の児童生徒のうち、指導の結果、再登校または好ましい変化の見られた児童生徒の割合は、小学校で62.2%、中学校で66.9%、高等学校では42.4%であるということでありますが、1人でも多くの子供たちが改善されたとすれば、まことに喜ばしいことであります。
昨日の岩手日報に、いじめ撲滅へ合言葉との見出しで、矢巾町内の中学校で生徒の自主的な取り組みによって、ありがとうで広がる笑顔と思いやりという新たな合言葉を加えたことが報じられておりました。県教育委員会も、いじめ防止ポスターを公開との記事も掲載されておりましたが、このような取り組みが子供たちを大きく成長させ、県としても、啓発ポスターでの呼びかけを初めとして、問題解決のためのさらなる努力を期待するものであります。
そこで、今回の調査結果を踏まえてお伺いいたします。
まず、いじめの認知件数が増加したのはどのような要因であるのか。県教育委員会では、そのような要因についてどのような分析をしておられるのか、また、今後どのように対応していくのかについてもお伺いいたします。
次に、不登校が小中学校で増加した要因について、どのような捉え方で結論づけておられるのか、また、今後どのように対応していこうとしておられるのかについてもお伺いいたします。
最後に、文化財の現状についてもお聞きいたします。
文化財保護法第1条、この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化財向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。また、第27条には、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができると記されております。
申すまでもなく、文化財は我が国の悠久の歴史の中で育まれ、今日まで受け継がれてきた国民共有の財産であります。本県においては、このような指定文化財は国宝を含めて629点に上り、国指定が250点、県指定が379点、そのうち無形民俗文化財も43点と承知しておりますが、それら指定文化財の近年の指定状況と今後の見通しについてお伺いいたします。また、指定文化財の活用状況についてもお尋ねをいたします。
さらに、東日本大震災津波により、沿岸部の市町村では文化施設の損壊や展示資料の損傷、地域の民俗芸能に使用する道具や衣装が流失するなど、甚大な被害を受けております。
現在、こうした文化財の復活再生に向けて、さまざまな取り組みがなされていると思いますが、被災した文化財の現在の修復状況、復興に向けた取り組み状況についてもお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
なお、御答弁によりましては再質問があることも重ねて申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村勝則議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、希望郷いわての実現についてでありますが、いわて県民計画では、みんなの基本目標として、いっしょに育む希望郷いわてを掲げ、計画を推進することによりまして、県民一人一人が、共に支え合いながら、生き生きと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことができる希望あふれる社会をつくっていきたいと考えたところであります。
このような希望郷いわての実現に向けて、この4年間におきまして、東日本大震災津波からの本格復興を復興計画のゴールにつなげていくとともに、社会減ゼロや出生率の向上を目指すふるさと振興を軌道に乗せていく取り組みを推進してまいります。
私がマニュフェストに掲げました希望が持てる暮らし、希望が持てる仕事、希望が持てる地域も、県の復興計画やふるさと振興総合戦略に盛り込まれた政策を実行していくことで実現する岩手の姿を描いたものであります。
このため、復興計画に掲げます安全の確保、なりわいの再生、暮らしの再建の三つの原則に沿った施策や、ふるさと振興総合戦略の岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に沿った取り組みを進め、若者や女性を初め、あらゆる世代の人々が安心して生き生きと暮らしていくことができる社会経済環境の実現を目指してまいります。
次に、成果の評価についてでありますが、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けて、現在お示ししている第3期アクションプランの素案におきましては、東日本大震災津波からの復興をゴールに向かって進めるとともに、ふるさと振興を軌道に乗せ、県民一人一人が希望を持てる希望郷いわてへの道筋を確かなものとすることを政策推進目標として掲げております。
この政策推進目標を具体的にあらわすものとして、人口の社会減を縮小させるとともに、出生率を向上させること、雇用の質の向上を図るため、県内企業の生産性を上げ、県民所得の向上を図ることや正社員の有効求人倍率を高めること、県民の健康的な暮らしを支える地域医療の充実やこころと体の健康づくり、さらに再生可能エネルギーの導入や、安全・安心な社会基盤の整備や地域防災力の強化等を進めることを、七つの目標として掲げております。
これら七つの目標を初め、政策ごとに掲げた目指す姿指標や具体的な推進方策指標を活用した政策評価の仕組みに基づくマネジメントサイクルを確実に機能させることでプランの実効性を高め、その着実な推進を図っていく旨、お示ししているところであります。
次に、幸福度についてでありますが、希望郷いわての実現をより確かなものとするためには、物質的な豊かさに加えて、岩手ならではの生き方や豊かさを重視し、また、個人の幸福と集団全体の幸福との関係性にも着目して、幸福度を新たに導入し、施策の展開に生かしていくことが効果的ではないかと考えているところであります。このため、第3期アクションプランの期間内におきまして、県民や有識者の意見も伺いながら、試行的に幸福度指標の導入と評価等への活用を行って、次期総合計画での本格導入に向けて検討を進めてまいります。
幸福度をあらわす指標については、幸福度の度合いをアンケートにより調査する主観的指標と、幸福度に関連する統計データを用いた客観的指標の設定が考えられますが、まずは来年1月に実施します県民意識調査を活用してモデル的な調査を行って、今後の検討につなげていきたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、第3期アクションプラン行政経営編についてでありますが、これまでのアクションプラン改革編の取り組みにより、復興を支える人材の確保、育成、貴重な財源や人的資源の効果的活用、企業やNPOなど多様な主体の連携、協働による取り組みなどが進展しているところであり、今後は、長期ビジョンに掲げた地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら、総力を結集していくという考え方が重要であると認識をしております。
こうしたことから、現在お示しをしております第3期アクションプラン素案の行政経営編では、行政運営に経営感覚を取り入れ、重要な課題に財源や人的資源を配分し、効果的、効率的に取り組み成果を上げる行政経営の視点を重視して、地域の特性を生かしつつ先進的な視野を持ち、ICTなども積極的に活用した取り組みを推進していくほか、多様な主体の動機づけや活動の促進を図るプロモーションを積極的に展開することとしており、公共サービス分野における連携、協働の輪のさらなる拡大を図ってまいります。
次に、県有未利用資産についてでありますが、まず、未利用資産等の売却実績については、平成26年度の実績で35件、13億4、600万円余となっております。
未利用資産等については、一つに、県が公用または公共用として利用することが適当と認められる資産については、全庁的に情報を共有しながら有効活用を図ることとしており、二つに、県が利用する予定のない資産については、地元市町村による活用や民間等への売却等の処分を推進するとしております。
今後とも、全庁的な情報共有や地元市町村への情報提供を行うとともに、建物の解体撤去など売却物件としての条件整備を進め、未利用資産等の有効活用及び売却に積極的に取り組み、歳入の確保に努めてまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 第三セクターの現状と課題についてでありますが、県では、毎年度、第三セクター等の状況に関する調査を行い、市町村が出資する第三セクターの経営状況等を把握しているところであります。
平成25年度の決算ベースでは、125法人中49法人が赤字となっており、その内容を見ますと、震災からの復興に伴う施設整備や自然災害対応による支出増などの一時的要因のほか、売上高の減少や生産コストの増など、経営環境の悪化が要因となっております。
平成26年度の決算の状況は現在取りまとめ中でありますが、黒字法人が二つふえまして、赤字法人が二つ減っております。全体の債務超過額は減少しているなど、一部に改善が見られるものの、全体での黒字幅は縮小しており、依然として厳しい状況が続いております。
公共性と公益性をあわせ持つ第三セクターは、地域住民の暮らしを支える事業を行う重要な役割を担う一方で、経営が悪化した場合には、市町村の財政に深刻な影響を与えることが懸念されております。
こうしたことから、県といたしましては、出資者である市町村に対し、国の経営アドバイザー派遣事業の活用や財務諸表の公表の徹底、経営状況の点検評価の実施などの取り組みを促していくとともに、経営悪化のおそれのある第三セクターを有する市町村に対しましては、県の行う行財政コンサルティングによる訪問指導の際に、国の第三セクター等の経営健全化等に関する指針に基づいて、抜本的改革を含む経営健全化を積極的に行うよう助言しているものであります。
今後も、第三セクターの経営健全化に向け、市町村を支援してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、被災者の心のケアについてでありますが、県では、東日本大震災津波で被災された方々の精神的な負担の軽減を図るため、岩手県こころのケアセンターを設置し、岩手医科大学に運営を委託して、継続した専門的ケアを実施しているところです。
具体的には、身近なところで専門家による相談が受けられる震災こころの相談室を沿岸7市町村で開設するとともに、市町村等が行う全戸訪問や特定健診、こころの健康調査などの保健事業及び地域住民を対象とした健康教育や人材養成研修、健康サロンなど、普及啓発活動への支援を行っております。
本年4月から9月までの対面相談の件数は延べ7、449件となっており、心のケアが必要な方々を適切な支援につなぐため、健康診断の会場で広く相談に応じるなど、きめ細かく対応した結果、前年同期比で1、290件、20.9%の増となっています。
一方、市町村等への支援については、市町村や民間団体が独自に事業に取り組む機会がふえたことから、保健事業への支援件数は969回で、前年同期比566回、36.5%の減、健康教育や普及啓発活動等への支援件数は201回で、前年同期比86回、30.0%の減となっているところです。
心のケア対策は、中長期的な継続した対応が必要であり、今後も、生活環境の変化等に伴う新たな課題に対応できるよう、関係機関、団体と連携しながら、被災者に寄り添った取り組みを推進してまいります。
次に、自殺対策についてでありますが、県では、これまで、市町村、民間団体と連携、協力し、ゲートキーパーの養成、傾聴サロンの設置、保健師等専門人材に対する研修、自死遺族支援などを行う久慈モデルと言われる包括的な自殺対策プログラムの普及を図ってきたところであり、本県の自殺死亡率は長期的には減少しておりますものの、依然として全国的には高位で推移しています。このため、本年3月に策定した岩手県自殺対策アクションプランに基づき、これまでの取り組みに加えて、自殺者の多い働き世代の男性や高齢女性を主なターゲットとして、事業所訪問等によるメンタルヘルス対策の要請や、介護予防事業と連携した高齢者支援などに重点的に取り組むとともに、地域の状況に応じた自殺対策を促進するため、市町村職員等を対象とした専門研修を行っております。
自殺対策の推進に当たっては、官民を挙げた取り組みが重要であることから、本年7月に、48の関係機関等で構成する岩手県自殺対策推進協議会を開催し、県民一人一人の意識醸成と参画を促し、官民一体となった取り組みを展開していく岩手県自殺予防宣言を決定したところです。
現在、相談窓口を周知するチラシをコンビニエンスストア等へ配架しているほか、9月の自殺防止月間を始期として、県民の意識醸成と参画を促すテレビ、ラジオCMを放送するなど継続的な普及啓発に取り組んでいるところであり、引き続き、1人でも多くの自殺を防ぐため、さまざまな主体と力を合わせ、県民と一体となって自殺対策を推進してまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、女性や高齢者の就業促進についてでありますが、県では、広域振興局等に配置している就業支援員が女性や高齢者等の就業に向けた相談に対応するとともに、公益社団法人岩手県シルバー人材センター連合会活動への支援を通じ、高齢者の就業促進を図っています。
また、女性の就業を促進するため、介護、一般事務、情報などの訓練を職業訓練法人等に委託し、就業に必要な知識、技術の習得を支援しており、再就職希望者を中心に年間約1、000名の女性が受講し、修了者の7割を超える方々が就職を果たしております。
このほか、女性や高齢者が働きやすい職場づくりに企業が取り組むよう、国の助成制度の活用促進やセミナー等の開催による意識啓発を行うとともに、就職面接会等のマッチング支援を行うなど、国と緊密に連携した取り組みを進めております。
次に、働き方改革を進める上での課題についてでありますが、本県の1人当たり年間総労働時間は全国平均を大きく上回っている状況にあり、長時間労働を抑制し、ワーク・ライフ・バランスを実現していくことが重要であります。そのため、県では、長時間労働につながる職場の意識や労働慣行を変えていく必要があると考えており、関係団体への要請や普及啓発など、国や関係機関等と連携しながら、働き方改革を推進しているところであります。
次に、中小企業振興基本計画についてでありますが、現在策定作業を進めている基本計画案では、目指す姿として、県内の中小企業が付加価値の高い商品やサービスを生み出すことにより、企業としての魅力を高めていくことや、働きやすい環境を整備し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を提供していくことなどを掲げており、目指す姿を実現していくためには、人材の確保、育成が重要であると考えております。特に、厳しい経営環境に置かれている中小企業が持続的に事業展開していく上では、事業活動の中核を担うマネジメント人材や成長発展を支える高度技術者が求められており、こうした人材の育成を初め、将来を担う若者等の県内企業への就職促進や、中小企業の採用力強化を図るための施策などを重層的に展開していくこととしております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) いじめ問題についてでありますが、いじめの認知件数につきましては、本県におけるいじめを一因とする自殺事案の発生を踏まえ、文部科学省が全国を対象に再調査を行った結果、前年度に比して、およそ倍増となったものでございます。
県教育委員会におきましては、7月に開催した総合教育会議における協議結果を踏まえ、各学校が策定しているいじめ防止基本方針の実態調査や、全県の学校長等を対象としたブロックごとでの臨時校長研修会の実施などに取り組んでまいりましたが、このような取り組みを通じて、各学校においては、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知した結果、県全体の認知件数が増加したものと捉えております。
今後におきましても、今般の痛ましい事案を教訓に、同様の事案を発生させないため、いじめの適切な認知と早期対応に努めるなど、教育界を挙げて、できる限りの努力をしてまいります。
次に、不登校対策についてでありますが、今般の調査における不登校児童生徒数は、小学校においては前年度に比べて10人の減少となっておりますが、中学校においては81人の増加となっております。
中学校の不登校者数が増加した要因といたしましては、規模の大きい学校において増加傾向が高かったことと、中学校2年生の不登校者数が増加したことが大きな要因と捉えております。
不登校の要因といたしましては、本人の意欲や対人関係、家庭環境、さらには複合的な要因が絡むなど、一律的にその解決方策を見出すことが困難な面もあります。
県教育委員会におきましては、東日本大震災津波発災以降、全県を対象に実施している心とからだの健康観察の個票も活用し、各学校において、いじめや不登校問題などを抱える児童生徒に丁寧な対応を行うとともに、スクールカウンセラー等の活用も含め、教育相談体制の充実に努めてきております。
児童生徒にとって、学校生活は社会人となる基礎的な能力を学習活動や部活動などを通じて磨く大事な時期でありますので、今後とも、不登校の解決に向け、市町村教育委員会や学校とともに、子供たち一人一人に向き合う教育の充実に努めてまいります。
次に、近年の文化財の指定状況とその活用についてでありますが、この3年間の状況について申し上げますと、平成25年度から本年度までに新たに指定された文化財は、国指定が8件、県指定が23件となっており、また、本年10月に紫波町の平井家住宅を国の文化財として指定するよう文化審議会から答申が出されており、年度内にも指定される見込みとなっております。
文化財の活用につきましては、原則として所有者が行うこととなっておりますが、県教育委員会におきましては、県立博物館において定期的に新指定文化財展を開催するとともに、無形文化財については岩手県民俗芸能フェスティバルを開催し、広く県民の皆様に文化財の鑑賞機会を提供してきております。
今後におきましても、文化財指定に向けた調査研究を進めていくとともに、文化財の適切な保存、活用がなされるよう、市町村と連携して取り組んでまいります。
次に、沿岸部での被災文化財等の復興に向けた取り組み状況についてでありますが、東日本大震災津波により、陸前高田市、大船渡市、釜石市、山田町の博物館等が被災いたしましたが、県教委では、国の被災ミュージアム再興事業を活用し、各市町が実施する工芸品、古文書、民俗資料などの被災資料の修復のための取り組みを支援してきており、平成26年度に大船渡市において復旧事業が完了し、本年度は釜石市、来年度は山田町において事業が完了する見通しとなっております。
また、民俗芸能につきましては、被災した郷土芸能団体の活動再開のため、文化振興基金等を活用した郷土芸能用具の修復に対する支援を実施してきております。
大震災津波からの地域再生や心の復興のためには、文化財の果たす役割が極めて大きいと存じますので、沿岸被災地において文化財などの復旧が一層進むよう、引き続き、市町村等と連携しながら取り組んでまいります。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 初めに、テロ等を未然に防ぐための体制についてでありますが、県警察では、岩手国体等への対応として、国際テロ情勢を受け、テロ等の未然防止のほか、警衛警備を初めとする諸対策を推進するため、本年4月1日に警備部内に国体対策課を、また、本年10月1日に警察本部及び全ての警察署に警衛警備準備本部をそれぞれ設置したところであります。
次に、テロ等を未然に防ぐための対策についてでありますが、日本型テロ対策と言われる官民一体のテロ防止対策としては、重要防護施設である電気、通信等のライフライン事業者あるいは官公庁などとの連携による警戒警備、また、鉄道、バス等の公共交通機関、大規模集客施設等の管理者と連携した利用者に対する注意喚起、そして警戒警備、これらの強化を図るとともに、関連施設やその周辺における検索等による不審者、不審物件の発見に努めております。
また、水際対策及び爆発物原材料対策としては、テロリストなどの入国を阻止するため、花巻空港保安委員会を初め入国管理局、税関、海上保安部及び港湾関係者と緊密に連携した国際海空港対策の徹底、爆発物の製造や使用事案などを阻止するため、その原料となり得る化学物質の取扱事業者などに対する不審者把握時の速報依頼などの諸対策を推進しているところであります。このほか、テロ関連情報の収集に努めるとともに、銃器対策、爆発物処理部隊などの対処能力強化に向けた訓練を実施し、警備の万全を期してまいりたいと考えております。
〇11番(田村勝則君) 1点だけ、前段のいわて県民計画第3期アクションプランの推進に向けた取り組みについてということで質問申し上げたわけですが、知事の御答弁に対してお伺いしたいと思います。
岩手は人材の宝庫であります。先ほど申し上げた後藤新平は、実は、わかりやすい言葉で言えば自治三訣ということも言っておりまして、人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬようというようなことも言葉として残っているわけですが、この後藤新平の新平たる要諦というのは人材の育成ということであったと私は思います。達増知事も、ボトムアップ、県の職員の方々を、その持てる能力をしっかりと発揮させるというところに視点を置きながら、この県政も進めてきておられると思いますが、一方で、やはり県民をその気にさせるということも大切であろうと思います。
先般、私も出席して感銘を受けたのでありますが、岩手大学の銀河ホールで開催された復興未来塾において、大槌町の3名の女性がパネラーとして出席しておりました。非常に若い女性方でありましたけれども、熱意があり、そして、その仕事に対する意欲というものを強く感じたわけであります。私自身は、このような取り組みがさらに県民に広がることによって、達増県政のおっしゃる復興を支える人材の育成、そして岩手県民の総力をさらに高めることにつながっていくのではなかろうかとも思います。
知事も、常々、答えは現場にありということを申しておられるわけでありますが、このような取り組みを知事みずからが先導して、4回目ということでありましたけれども、さらに県下に広げていくということも大切であろうと思いますが、その知事の考える人づくりという面でいま一度御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) おっしゃるとおり、県職員また県民の皆さんにその気になっていただくということが非常に重要でありまして、先ほど総務部長からの答弁にありましたが、多様な主体の動機づけや活動の促進を図るプロモーションを積極的に展開する。このプロモーションというのが、まさにその気になってもらうということであります。まず、県職員自身がその気になって、そして、その気を県民に伝え、県民の皆さんにもそれぞれの現場現場でその気になってもらう。復興にせよ、ふるさと振興にせよ、それは県民みんな、それぞれの持ち場でその気になっていかないと成功しないものでありますし、また、それら復興やふるさと振興を象徴するものとして来年は国体と全国障害者スポーツ大会があるわけですが、これもまた、選手の皆さんを初め関係者、そして県民みんながその気にならないと成功しないわけなのですけれども、ただ、それぞれ人がその気になって成功するという経験を地域の中で共有していくことが、そういうプロモーションを成功させるのに非常に効果的と考えますので、そういう意味で、来年の国体と障害者スポーツ大会を軸としながら特別な1年間を岩手県として展開していくというのは、県職員もピーク時には4割近くが国体、障害者スポーツ大会に直接仕事場に動員されていきますし、先ほど、警察本部のほうでも警備について答弁がありましたが、あらゆる現場で国体と障害者スポーツ大会の成功に向けて岩手が盛り上がっていく。来年1年を経験すれば岩手は変わると思います。ぜひ、皆さんにその気になってもらいたいと思います。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時11分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時32分 再 開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。樋下正信君。
〔45番樋下正信君登壇〕(拍手)

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