平成27年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(小野共君) 改革岩手の小野共です。本日の一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝いたします。
通告に従い、一般質問を始めます。
震災から4年と9カ月がたとうとしております。震災後の私の一般質問は今回で6度目となりますが、今までの質問は、きょうも含め、全て冒頭で震災から経過した年月を話しました。昭和20年の終戦から11年後の昭和31年、当時の経済企画庁は経済白書の中で、もはや戦後ではないとの記述をいたしました。被災県岩手において、もはや震災後ではないと言えるのはいつのことになるのでしょうか。
震災から5年が経過しようとする中、改めて思うのは、復興事業はスピードが何よりも優先されるべきではなかったのかということです。応急仮設住宅の被災者の方々と話をすると、皆、口をそろえておっしゃるのが、応急仮設住宅にいるのは長くても3年だということです。確かに、3年を境に応急仮設住宅に住む高齢者の方々の身体機能は急激に衰え、心肺機能低下、鬱病、筋力低下などの生活不活発病になるという研究結果もあります。少なくとも住まいの再建は3年以内に完了させなくてはいけなかったのではないかということです。
岩手の沿岸自治体はどこも東は海と西の北上山系に囲まれた狭隘な地形にあり、広大な土地を確保できる状況にはありません。これが歴史的に沿岸への産業や工業の集積を拒んできた大きな要因でもありました。面整備いわゆる土地の造成なしに、災害公営住宅や自力再建のための家屋の建設の土地は沿岸にはほとんどありません。
災害公営住宅の最後の完成は山田町の平成30年度でありますが、当初のロードマップでは平成27年度の完成見込みでした。おくれた要因はさまざまありますが、結果として土地の造成に時間がかかり過ぎたということです。
現在、被災地での土地の整備は、大きく四つの事業を組み合わせて行っております。防災集団移転促進事業、漁業集落防災機能強化事業、土地区画整理事業、津波復興拠点整備事業です。この四つの事業のうち、津波復興拠点整備事業だけが震災後にできた制度であります。ほかの3事業は震災前からある制度であり、つまりこれらの事業は災害の後の抜本的なまちづくりのためのスピードのある事業ではありません。つまり津波からの復興のような事態を想定したものではありません。これら震災前平常時の事業を、現在、国と折衝し、変更、準用して無理やり使っているのが現状です。従来の制度のこういった使い方で、全く違った津波からの復興事業に対応しようとしていることに、そもそもの無理があるのではないかと思うのです。
一つの地域に住んでいても、建築制限区域にかかる被災者と、そうではない被災者での補助のメニューが全く違っていたりすることがあります。家が隣り合っており、どちらも移転しなくてはいけない場合でも、対応する事業が違うと、補助のメニューが全く違っていたりすることもあります。
発災以来、被災地から何度も要望があり、ようやく実現した土地収用の改正東日本大震災復興特別区域法は、現在、県内で大船渡、大槌、宮古など五つの事業でしか適用されておりません。それもそのはずです。被災地では、いつ成立するかわからない改正特区法を待たず、土地の取得に時間がかかりそうな場所は、その場所に社会資本を建設することを避けてきたからです。防潮堤の位置だけは変えられないので、この改正特区制度の効果は出ておりますが、少々乱暴な言い方をすれば、この制度は遅きに失した状態です。
それでは、土地造成についてはそもそも何が問題だったのでしょうか。復興事業に関する土地の整備は、行政が買い上げるか、それとも行政が盛り土して所有者に返す、基本的にこの二つしかありません。事業はシンプルであればあるほどわかりやすく、速く進みます。被害の似ている岩手と宮城の土地整備事業は、全体を復興特区に指定し、先ほど来話しております従来の4事業にこだわらず、全く新しい土地整備事業で対応すべきではなかったのかと思うのです。
震災から5年が経過しようとしております。立ちどまって客観的に分析する必要もあります。先ほど来話しております復興事業は、少なくとも二つの選択肢がありました。一つは、現在進めている現行制度の運用準用、そしてもう一つは、先ほど来話しております全く新しい復興のための枠組みをつくり、それを運用適用することです。震災から5年を振り返り、県では、現行制度の運用で復興を進めることと、全く新たな復興のための枠組みをつくり復興を進めることのどちらが客観的に望ましかったと分析しているのか、技術的な観点も含め知事の見解を聞かせてください。
加えて伺います。南海トラフでマグニチュード8から9クラスの地震が、この30年以内に発生する確率が60%から70%と言われております。岩手と宮城の沿岸被災地の5年前の震災と復興事業の経験は国の最大の財産となるはずです。次の有事に備える体制を整えておくことは、国民の税金を大量に投入し、復興事業を進めておる我々被災県の役割であります。今までの復興事業の中で何が問題だったのか。面整備4事業のそれぞれの課題、それぞれの使い勝手の悪さは何だったのか。奥尻と違い、岩手、宮城で浸水区域に応急仮設住宅をつくらなかったのは正しい判断だったのかなど、この5年、復興事業を進める上でさまざまな課題、論点が多くあったはずです。
県は、被災自治体に聞き取り調査などを行いながら、現行の復興制度のさまざまな課題や問題点を明らかにし、将来の大規模災害に生かすことが被災県としての責務であると考えますが、知事の見解を聞かせてください。
復興計画に定めております三陸創造プロジェクトについて伺います。周知のとおり、復興計画の安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生と並ぶもう一つの大きな柱であります。その中身は、復興はもとより、長期的な視点に立ち、世界に誇る新しい三陸地域の創造を目指すというものであります。
復興基本計画と実施計画には、三陸創造プロジェクトの説明はありますが、過去の三陸地域の振興策についての分析と反省の記述は全くありません。いわて県民計画における沿岸・県北振興策についても全く同様です。
三陸創造プロジェクトにしても、いわて県民計画にしても、その沿岸・県北振興策について説得力と迫力に欠ける理由は、過去の沿岸・県北振興策についての県の評価、分析と、その評価が現在の振興策にどのように生かされているかの記述がないからなのではないでしょうか。つまり、今回の三陸創造プロジェクトも、過去の沿岸・県北振興策のように絶大な効果を期待できないと我々県民に思わせてしまっているからではないでしょうか。
質問いたします。県では、過去の沿岸と県北の振興策をどのように評価、分析しているのか、何がよくて何が悪かったのか、うまくいった施策と、いかなかった施策はどのようなものだったのか、そして、その理由は何なのか、これらの分析を聞かせてください。あわせて、これらの分析が今回の三陸創造プロジェクトにどのように生かされているか聞かせてください。
平成24年度現在の広域振興圏別の1人当たりの市町村民所得は、県央約285万円、県南244万円、沿岸234万円、県北217万円という状況です。1人当たりの所得で県央と県北では実に約70万円弱の差があり、沿岸と県北の所得は県央の約8割の所得という計算になります。確かに、この1人当たりの所得の差が、まず、県央の人口と純生産の規模に起因するのはそのとおりであります。
質問いたします。県内4圏域の振興策が違うのは当然です。沿岸圏域と県北圏域の振興策も違います。沿岸、県北圏域内の純生産と所得が劇的に向上するためにはどのような条件が必要だとお考えか。言いかえれば、どのような条件が整えば沿岸・県北圏域の純生産と所得が向上すると考えるか、知事に伺います。
子供の貧困対策について伺います。
貧困の連鎖という言葉があります。定義はさまざまあるようですが、総じて、貧困の状態にある家庭の子供が十分な教育を受ける機会がなく、低収入の仕事についてしまう、これを指すようです。子供は自身の生まれる環境を選べません。つまり貧困の家庭に生まれたことにより、将来、自分も貧困に陥ってしまうのであれば、それは国の社会システムが全く機能していないことになります。努力した結果が不平等であるのは公平です。しかし、社会システムとして、努力する機会は国民全員に平等に与えられなくてはいけません。
しかし、現実は、平成24年度時点で、全国で平均的な所得の半分、つまり122万円であるそうでありますが、この金額を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合が16.3%で、過去最悪の水準にあります。
本県においても、平成25年度現在で、家計が厳しく、修学旅行費の補助など行政の就学援助の対象となった小中学生が1万3、959人おり、震災前の通常時と比べ2、772人の増加となっております。
平成27年度の文部科学省の概算要求を読み込むと、全ての子供が平等に学ぶことができる社会を構築するとの記載が最初に出ており、国も子供の貧困についてかなりの問題意識を持っていることもわかります。しかし、子供が、自身の生まれた家庭により将来の大部分が決まってしまうような国には未来はないでしょう。
子供がいる家庭の経済状況について、全国的な課題として、そもそも、まず子供の貧困の実態を把握しにくいということが都道府県に対する調査でわかりました。学校や自治体が子供の家庭の経済状況がわからないということです。
質問いたします。それでは、県では、全国的に課題となっております子供の貧困の県内の実態をどのように把握しているのか、把握の方法と貧困の実態を聞かせてください。
全国では、学校を拠点に貧困の状態にある家庭の実態を調査し、支援を行うスクールソーシャルワーカーが平成26年度現在で約1、100人となっており、本県では12人しかいないという状況です。国では、平成28年度の概算要求において、平成31年度までにスクールソーシャルワーカーを10倍の1万人にふやす計画をしております。県の対応を伺います。
今年度の文部科学省の子供の貧困対策の目玉事業の一つとして、全ての子供を対象に、地域未来塾という原則無料の学習支援を、今後5年以内に国内5、000の中学校区で実施する方向で予算措置がされております。
沿岸被災地においては、平成23年度から文部科学省の予算で、別の事業ではありますが、現在、20カ所で放課後の学習支援が行われ、1、000人ほどが利用しております。それでは、県全体として、子供の貧困対策としての地域未来塾事業はどのようになっているのかということになります。
質問いたします。県内の今年度から予算化された地域未来塾への対応状況を聞かせてください。
子どもの貧困対策の推進に関する法律には、全国の都道府県で子供の貧困対策の計画の策定に努めることとなっており、本県では、計画の素案を取りまとめ、今月からパブリック・コメントを経て年度内の策定の予定となっております。特に、本県を含む宮城、福島は、東日本大震災の被害という他の都道府県とは全く違う子供の貧困の要因があり、当然、それに伴う他都道府県とは全く違う貧困対策が存在するはずです。この本県特有の貧困の要因と対策が本県の計画にどのように反映されるのか、現時点での考えを伺います。
子供の貧困対策計画の素案について伺います。
県内での高校等進学率は県全体で99.5%でありますが、生活保護世帯では90.6%となっております。大学等進学率では、一般家庭と生活保護世帯とでさらに大きな差が出ており、県全体では、大学等進学率が67.1%でありますが、生活保護世帯だと29%ほどであります。計画の素案の中に、施策の進捗を図る指標として生活保護世帯の高校等進学率が確かにありますが、これに、一般家庭との差がさらに大きい大学の進学率も指標に加えるべきだと思うのですが、見解を伺います。
加えて、東日本大震災という本県特有の貧困の要因があります。子供の貧困改善の進捗を図る指標として、当然、計画には、震災により遺児、孤児となってしまった子供の高校と大学の進学率も入れるべきです。見解を伺います。
県内の高齢者の介護体制について伺います。
毎年約1兆円ずつ増加する国の医療費の伸びを鈍化させるため、国は大きく医療サービスから介護サービスへ利用者をシフトしてきました。同じく介護保険料の伸びを鈍化させるため、今度は介護は施設ではなく在宅でするよう体制を整えてきました。しかし、1億総活躍社会では、年間10万人と言われる介護による離職をゼロにするため、今度は特別養護老人ホームをふやす方針を打ち出しております。
しかし、常識的に考えて、医療費の伸びを鈍化させるためには、ベッドを削減するのではなく、医学部の定数を少なくするのでもなく、病気にならない施策を考えるべきですし、介護体制は、現在の国の人口構成を考えれば、在宅や包括ケアで対応できるはずもなく、施設で見なくてはいけないのは明らかです。
首都圏では、将来、介護施設の不足により混乱を来してしまうという理由から、日本創成会議は高齢者の全国41の二次医療圏への移住を提言し、政府においても、高齢者の首都圏から地方への移住を推進しようとしておりますが、果たしてこれは現実的に可能なのでしょうか。移住すべき医療圏域の中に、本県では盛岡と、可能性のある地域で釜石についての言及もありましたが、盛岡と釜石の介護施設にそれほど余裕があるのでしょうか。
高齢者住宅のコンサルティングをする民間のタムラプランニングアンドオペレーティングという会社が、日本創成会議の地方移住の見解とは全く相反する分析をしているとのマスコミ報道がありました。日本創成会議が有望な移住先として挙げた41圏域のうち、盛岡を含め、青森、秋田、富山、金沢など48市で介護施設がむしろ足りなくなると分析しております。
自治体の担当者からは、多数の高齢者移住による介護保険料や社会保障費の増加を懸念する意見がありましたが、これに対する政府の対応案は見えておりません。
団塊の世代が全て75歳に達する2025年─平成37年には介護職員が全国で37万7、000人不足すると言われております。現状が続けば、当然そういう状況になることはすぐわかるはずです。その中で、処遇改善加算のアップはありましたが、介護報酬は引き下げです。
都道府県知事を対象とした共同通信のアンケートで、東京圏の高齢者の地方移住を進めることに明確に賛成した知事は4人しかいなかったそうです。ちなみに、山形、和歌山、鳥取、徳島の知事でした。医療介護体制についての国の方向性に、全国の知事たちが少なくとも不安を感じるのは当然ではないでしょうか。
そもそも首都圏の高齢者は、入る介護施設がないからという理由で、全く知らない土地に移住したりするものでしょうか。例えば岩手に縁もゆかりもない夫婦2人暮らしの人が、夫の介護施設のために、本当に縁もゆかりもない盛岡に住むのでしょうか。どう考えても現実的とは思えません。自分の住む場所を変えるとは人生の一大決心なはずです。国の方向性はそれとして、県としては慎重に、常識的に対応すべきだと思います。
知事に伺います。政府の高齢者移住政策に対する考えを聞かせてください。
準備をしておかなくてはいけないのは、むしろ岩手出身の都会で暮らした方々が、定年後、やはりふるさと岩手で暮らしたいと、2025年にかけて都会の団塊の世代が大量に岩手に帰ってくる。都会に住む中高年の方々が、定年後はふるさとに帰りたいと思うのは当然な気持ちです。県内居住者を含んだ団塊の世代の社会保障体制は準備しておかなくてはいけないのは、そのとおりであります。
ここで、2025年、本県での介護に必要な職員に対し、実際に確保できる見込みの職員数は8割ほどとの推計があります。
質問いたします。県では、2025年にかけてどのぐらいの高齢者世代の移住を見込んでいるのか伺います。また、現時点でどのぐらいの介護職員が不足すると予測しているのか伺います。
2点目、介護職員の給与が低く、職員が集まらないのは既に社会問題となっております。介護施設の職員をふやし確保するためには、基本的には、介護職員の給与を高くするか、現時点では、EPAあるいは技能実習生を活用した外国人の採用の大きく二つしかないはずです。職員を確保するために県ができることも限られているのも理解します。介護職員を確保するために県が現実的に考えていることを聞かせてください。
県内の小中一貫教育制度の導入について伺います。
この6月、小学校と中学校の9年間の義務教育を一貫して行う小中一貫校を制度化する改正学校教育法が参議院本会議で可決し、成立しました。これにより小中一貫教育が来年4月1日から、学校教育法上、正式な制度として認められることになります。文部科学省は、今後、小中一貫教育の導入は増加していくものと考えられるとの発言をしております。
現在、県内で小中一貫教育をしている小中学校は、ことし4月から始まっております大槌の大槌学園、吉里吉里学園のほか、盛岡、奥州、普代のケースがあります。今までは、学校教育法上、一貫教育校の学校が認められていなかったので、一貫教育をしていても、届け出は、公式的にはそれぞれの小学校、中学校と別々でありましたが、来年4月からは一貫教育校として、一つの学校として存在することが可能となります。
改正学校教育法が施行される来年4月から、県内の学校には、学校制度のあり方について三つの選択肢があります。一つは、義務教育学校と呼ばれる今回改正の小中一貫校、二つ目は、現行の大槌学園のような、法律上は通常の小中学校ではありますが、小学校と中学校で一貫した教育をする小中学校、三つ目は、通常の小学校、中学校です。
質問いたします。現在、県内で一貫教育をしている学校は、来年4月の改正学校教育法の施行に向け、この3パターンのうち、どれにするか現在検討中とのことであります。先日、マスコミで一部報道がありましたが、現在の検討状況、課題を聞かせてください。
安倍内閣の諮問機関であります教育再生実行会議は、第五次の提言において、現在の6・3制で人材の質と量を将来にわたって持続的に確保できるのかという現行の教育制度に対する根本的な疑問と懸念も投げかけ、昭和の20年代前半に導入された現行の教育制度の転換の時期であるとの認識も示しております。
学年に1クラスしかなく、学校統合の対象になるような県内の小学校、中学校においても、一貫校となり、一つの学校になれば、ある程度の規模は確かに確保できます。
全国的にも、安易な学校統合の手段にされそうだと心配する声もあります。しかし、全国的に過疎地域で学校統合に反対するのは、統合される学校の地域とその子供たちに、統合による未来と期待が全く見えないからです。義務教育学校と小中一貫教育は、過疎と少子化に対する確かな一つの対応策であると思います。本県におきましても、腹を据えて対応する必要があります。
質問いたします。まず、小中一貫校に対する基本的な認識を伺います。
今後、全国的に小中一貫校がふえていくことが予想されますが、岩手における一貫校の今後の方向性を伺います。基本的に一貫校になるか否かを全て県内の学校長に任せるというわけにはいかないはずです。義務教育学校で教える教師には、今後、小学校、中学校両方の学校の免状が必要となり、免状の講習の開催、教員の配置など、県教育委員会の役割も当然出てきます。
県では、その学校が一貫教育校になるべきか否かをどのような基準で判断するのかとの話になります。そして、どのような環境、条件の場合、その小学校、中学校は一貫校になるべきなのかということです。
質問いたします。県では、どのような条件、環境の場合、その地域の小学校、中学校が一貫校になるのに適切だと考えているのか聞かせてください。
2点目、来年4月、義務教育学校ができた場合、県教育委員会はどのようにサポートしていくのか聞かせてください。
秋サケ漁の動向について伺います。
今期の漁船漁業は、秋サケ、サンマ、スルメイカなどの魚種で軒並み前年を大きく下回る水揚げとなっております。先日のマスコミ報道によれば、スルメイカの水揚げ量は昨年同期の3分の1に満たず、サンマは昨年の半分、秋サケも昨年度の約半分との状況でした。この三つの魚種はどれも本県の漁業、水産加工業において主要な対象魚種であり、地域産業において極めて重要な位置を占めております。
秋サケについては、昨年度は、震災の年に放流した稚魚が4歳魚で回帰するため大幅な漁獲量の減少が懸念されましたが、5歳魚が順調に回帰したことから、水揚げは約1万7、500トン、金額で約80億円となり、一定程度、浜にも活気が戻ったところとなりました。しかし、今期は各市場の水揚げが思ったほど伸びておらず、前年同期のほぼ半分という状況です。世界を泳ぐサケのような回遊魚の生態は地球規模で調査しなくてはならず、岩手沿岸への回帰の量を予測したり、その理由を分析することが難しいのは理解します。
質問いたします。秋サケの水揚げが前年を下回っている理由をどのように分析しているのか伺います。
2点目、回帰するサケが前年を下回っている状況では、4年後の資源を造成するための親魚の不足が考えられるところです。将来的にサケの資源を造成していくためには安定的に稚魚の放流が必要となりますが、4年後に向けたサケ資源の造成についてどのように対応しているのか伺います。
壇上からの質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野共議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興の枠組みと復興制度の課題についてでありますが、現行制度によって復興を進めるという場合には、今回のような未曾有の大災害への対応という状況に制度がそぐわないという課題や異なる複数の制度を組み合わせながら対応する必要があるため、事業の選択や事業間の調整に時間と労力を要するという問題点があります。
県では、発災以来、国に先駆けて前例のない対応を行いあるいは計画し、それを国に認めてもらうという形で、国による制度や運用の変更を実現してまいりました。
また、国に対して、用地取得の特例制度を初め、応急仮設住宅に係る災害救助法の適用範囲の拡大などの制度改正を求めるなどして、法律や制度の改正も実現してきたところであります。また、将来見込まれる大規模災害に備えるためにも、復興に要する土地等の私有財産の制限のあり方などについて検討を進めるよう、提言しているところであります。
本年3月の国連防災世界会議の開催に合わせて、東日本大震災津波の被災県として世界の防災力向上に貢献するためにも、大震災で得られた教訓や、防災、復興に関する岩手県の取り組み事例及びそれらを踏まえた岩手県からの提言を取りまとめて発表いたしました。
また、国内外からの視察への対応や首都圏などで復興フォーラムを開催するなど、復興への取り組みや被災地の状況等を情報発信しているところであり、今後とも、沿岸市町村とも連携を図りながら、被災県としての責務を果たしてまいりたいと思います。
次に、沿岸・県北圏域の純生産と所得の向上についてでありますが、県では、これまで、県北・沿岸地域における県民所得の向上を図るため、いわて県民計画において、産業振興による地域経済の基盤の強化と産業を支える社会資本の整備の二つの柱で取り組んできたところであります。
沿岸地域におきましては、復興計画に基づく復旧・復興推進対策を重点的に推進し、なりわいの再生としては、製造業の生産設備の復旧支援のほか、水産加工業の本格復興に向けて被災企業の販路拡大や生産性の向上を図るとともに、被災地域における起業の促進にも取り組んできたところであります。
このような中で、復興道路の整備や沿岸部を貫く三陸鉄道の一貫経営、平成30年に予定されている宮古・室蘭フェリー定期航路の開設など、産業を支える基盤も大きく進展しようとしており、こうした状況の変化を踏まえつつ、沿岸地域の一体的、総合的な地域振興や産業の活性化を図ってまいります。
また、県北地域においては、高速道路や新幹線を活用しながら、食産業やアパレル産業など、地域の特性を生かした産業振興の取り組みを積み重ねていくことが必要と考えており、このような中で、企業の主体的な取り組みとして北いわてアパレル産業振興会の設立や、健康食品や鶏肉の食品製造企業、電気機械製造企業の生産設備の増強などが行われています。
さらに、今年度末に開業する北海道新幹線は、教育旅行などの道南地区を初めとした北海道との交流人口の拡大はもとより、首都圏の観光客や外国人観光客の北海道からの還流を図る絶好の機会と考えています。
今後におきましても、県北・沿岸振興の後押しとなる流れを生かしながら、これまで以上に、市町村を初め関係団体、企業等と連携を強化し、地域の特色を生かした産業の振興による雇用の創出や所得の向上に取り組んでまいります。
次に、政府の高齢者移住政策についてでありますが、政府においては、高齢者の移住希望の実現などを目指し、有識者会議において議論を進めていると承知しております。このような議論については、移住政策を進める上で一つの選択肢でありますが、高齢者の医療や介護等を支える人材の確保や地方移住に伴う受け入れ自治体の財源負担など、なお検討すべき課題も多いものと認識しております。
岩手県におきましても、今後、2030年まで後期高齢者人口が増加するため、医療従事者や介護人材の確保などが課題であり、こうした人材の確保や定着、育成、地域包括ケアシステムの構築等について総合戦略に盛り込んだところであります。
一方、議員御指摘のように、定年退職などでふるさと岩手に帰りたいという方々の思いに応えていくことが重要であり、移住希望者のニーズに応じたオーダーメイド型の移住施策を総合的に進めることとしております。
県といたしましては、高齢者の皆さんがいつまでも元気で長生きし、高齢者にとって、より住みやすい地域をつくり上げていくこととあわせ、若者が希望する仕事の創出や、結婚、妊娠、出産、子育てまでのライフステージに応じた切れ目のない支援など、県の総力を挙げたふるさと振興を展開し、子供からお年寄りまで、あらゆる世代が生き生きと暮らす岩手を目指していくことが必要と考えております。
その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 沿岸・県北振興策の評価分析と三陸創造プロジェクトについてでありますが、県では、平成18年に、それまでの県北・沿岸振興の取り組み、成果と課題などを検証しております。
検証では、農林水産業の担い手確保と産地づくり対策、1次加工品の付加価値向上対策、ものづくり産業集積戦略、インフラ活用対策などが不十分であるとしており、これをもとに、産業振興の基本戦略や具体的取り組みを県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向として取りまとめております。
このようなことを踏まえまして、平成21年に策定した現在のいわて県民計画において、優れた地域資源を生かした産業振興による地域経済の基盤の強化と、産業を支える社会資本の整備を県北・沿岸振興の柱に位置づけ、全庁的な取り組みを進めてきたところです。
その結果、農林水産物のブランド化や販路の拡大などによる食産業の振興、新規企業の誘致やコネクター産業、空気圧縮補助機器企業の成長などにおいて一定の成果があらわれております。また、東日本大震災津波からの復旧、復興についても、産地魚市場の水揚げ量が震災前の約8割まで回復し、被災した事業所も一部再開を含め約8割が再開するなど、着実に進んできております。
このような成果があるものの、県北・沿岸地域の人口減少率は、若者を中心とした県外流出などにより、依然として県平均を上回る状況が続いており、その要因として、すぐれた地域資源の活用がまだ十分でないこと、若者に魅力ある企業や雇用機会が十分でないことなどが考えられます。
また、復興計画においては、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指し、中長期的視点に立った横断的な取り組みとして、三陸創造プロジェクトを掲げたところであります。
このプロジェクトでは、産業振興策として、三陸地域の農林水産物などの資源を生かした地場産業の振興や新たな産業の創出、三陸ジオパークの推進による広域観光振興、三陸の海洋資源を生かした国際海洋研究拠点の形成などを掲げ、沿岸市町村や民間事業者、大学、NPO等と連携しながら取り組んでいるところであります。
三陸創造プロジェクトは、地域資源を活用し、若者の定着につながる魅力ある産業の振興や雇用機会の確保につながるものであり、この取り組みもあわせて推進することにより、県北・沿岸圏域の産業振興を図ってまいります。
次に、高齢者世代の移住についてでありますが、県の人口移動報告年報における平成27年度までの直近5年間を見ますと、県全体では社会減となる転出超過となっているのに対し、55歳から69歳までのいわゆる定年退職前後の世代は年によってばらつきがありますが、200人から500人程度の社会増となっております。この傾向は今後も続くものと見込んでおりますが、定年退職などでふるさとに帰りたいという方々の思いに応えていくことは、重要と考えております。
2025年における高齢者世代の移住数の見込みについての試算は行っておりませんが、今般策定いたしました社会減ゼロを目標とするふるさと振興総合戦略においては、県外からの移住者数について毎年50人の増加を目指し、平成31年度の目標値を1、350人と設定しているところであり、これを達成し、さらに拡大していけるよう、あらゆる世代の岩手への移住を希望する方々のニーズに応じたきめ細かな移住政策を総合的に進めてまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、子供の貧困の実態についてでありますが、貧困率は、世帯ごとの可処分所得と世帯員数をもとに算出された所得の中央値の半分の額、いわゆる貧困線を用いて算出されており、子供の貧困率は、17歳以下の子供全体に占める、この貧困率に満たない子供の割合とされています。
全国の子供の貧困率は、国民生活基礎調査に基づき算出されておりますが、都道府県別のデータは算出されていないところであります。このため、本県では、公的支援の対象となっている子供に関する統計調査等により貧困の実態把握を行ってきているところであり、例えば、平成26年度においては、生活保護世帯の子供の割合は0.81%、就学援助を受けている子供の割合は13.45%となっており、最近3カ年では、おおむね横ばいの状況にあります。
次に、東日本大震災津波による子供の貧困対策についてでありますが、東日本大震災津波により保護者を亡くしたり自宅が被災したりするなど、被災した子供を取り巻く生活環境は大きく変化したところであり、こうした子供たちへの支援は、本県としても大きな課題の一つであると認識しています。
こうした状況を踏まえ、現在策定を進めているいわての子どもの貧困対策推進計画におきましては、国の子供の貧困対策に関する大綱に定める重点施策である教育支援、生活支援、保護者への就労支援、経済的支援に加え、本県独自の重点施策として被災児童等に対する支援を掲げ、震災により親を亡くした子供たちへの奨学金等の給付や、沿岸広域振興局に配置している遺児家庭支援専門員による家庭訪問を行うことなどを盛り込むこととしております。
次に、子どもの貧困対策推進計画の指標についてでありますが、本計画は、子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、子供たちが自分の将来に希望を持てる社会の実現を目指し、総合的に子供の貧困対策を推進しようとするものであります。このことから、生活保護世帯の子供や震災により保護者を亡くした子供が希望する進路を選択できるような環境の整備は重要であると認識しており、その指標として、生活保護世帯の子供の大学等への進学率や、被災により保護者を亡くした子供の高等学校等進学率と大学等進学率についても、計画に盛り込む方向で検討を進めてまいります。
次に、介護職員の不足についてでありますが、介護職員の将来の需給予測については、第6期介護保険事業支援計画の策定に当たり、厚生労働省から示された一律の基準により推計を行っています。
この推計は、今年度以降の人材確保に係る新たな取り組みの効果を見込まず、近年の入職、離職や人口動態を反映したシナリオにより行ったものでありますが、それによりますと、2025年における介護職員の需要推計数が約3万1、000人となるのに対し、供給推計数が約2万6、000人となることから、約5、000人不足すると見込まれております。
次に、介護職員の確保についてでありますが、介護人材を確保し定着させていくためには、幅広い年齢層からの新規参入や求職者の掘り起こしとともに、介護事業所における賃金や労働条件等の待遇改善が必要と考えています。
県では、県内各地に介護人材キャリア支援員7人を配置し、介護人材の新規参入や潜在的有資格者の掘り起こし、求人とのマッチング支援を行っているほか、単独での取り組みが難しい小規模事業所を対象とした合同研修会の開催や、介護分野のイメージアップを図るため、介護の仕事の魅力を発信するテレビ番組の制作、放映を行う予定です。
また、介護職員の待遇改善については、本年4月の介護報酬改定において処遇改善加算が拡充されたところでありますが、加算取得には、賃金体系の整備や職員の資質向上に係る計画策定などの要件を満たすことが求められており、県では、無料で受講できる労働環境整備・改善セミナーを開催するなど、加算の活用を働きかけているところです。
こうした取り組みなどにより、本年10月時点での届け出率は86.0%となり県内での加算取得が進んでおりますが、この加算は介護職員のみが対象となることから、本年6月の平成28年度政府予算提言、要望において、介護従事者全般に対する処遇改善を図るため、適切な水準の介護報酬を設定するよう国に要望いたしました。
介護人材の確保のためには、県だけではなく、市町村や関係団体の取り組みも重要であり、国、県、市、事業者団体及び養成機関などをメンバーとする岩手県介護労働懇談会において、メンバー間の情報交換や11月の介護の日フェスタへの共同参画など、連携した取り組みを行っています。
県としては、今後とも、介護に関係する多くの方々の参画、協力を得ながら、介護人材の確保、定着に努めてまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、秋サケの水揚げ状況についてでありますが、本県の秋サケの漁獲量は、11月末現在で約217万尾と、前年同期比62%、重量では約6、600トンと、前年同期比58%となっており、前年を大きく下回っております。これは、5歳魚については、東日本大震災津波によりふ化場で飼育中の稚魚が流失し放流数が少なかったこと、また、回帰主群となります4歳魚については、ふ化場施設が震災被害からの復旧途上であり、稚魚の放流数が約2億9、000万尾と、平年の約4億尾を3割程度下回ったことが大きな要因と捉えております。加えて、ことしは、サケの適水温よりも暖かい水温帯が長期に県中南部を中心とした三陸沖に分布しておりますことから、これがサケの南下を阻み、サケの回帰をおくらせていることも一つの要因と捉えております。
11月下旬には、県北から県央部での水揚げが増加傾向にあり、今後、三陸沖の水温低下に伴い漁獲の回復を期待しており、引き続き、水揚げ状況を注視してまいります。
次に、サケ資源の造成についてでありますが、サケの回帰尾数の減少による親魚不足に対応し、確実に種卵を確保するため、県では昨年度と同様、漁業関係団体と連携し、河川に遡上した親魚についてはふ化場に搬送し、蓄養した上で採卵するとともに、ふ化場間の連携による種卵の移出入調整を行っております。
また、これらの取り組みにおいても、種卵の不足が見込まれましたことから、先月の中旬から、定置網漁業で漁獲した秋サケにつきましてもふ化場に搬送し、蓄養の上採卵しております。さらに、今後の種卵確保の状況によっては、定置網の垣網を短縮し、河川への親魚の遡上を促進することも検討しております。
これらの取り組みとあわせ、全てのふ化場に対し、飼育池ごとに密度を適正に保つことなど飼育管理の徹底を指導し、健全な稚魚の育成に取り組んでおり、目標としております4億尾の稚魚放流の実現につなげ、サケ資源の造成に努めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) スクールソーシャルワーカーについてでありますが、スクールソーシャルワーカーは、教職員とともに、経済的な困窮や問題行動などの課題を抱えた児童生徒に寄り添いながら、福祉関係機関等とのネットワークを活用した解決方策に取り組むなど多様な支援方法を探りつつ、課題解決への対応を図っていく大事な役割を担っております。
県教育委員会におきましては、現在、国の復興支援事業を導入し、県内6教育事務所を拠点に、計14名のスクールソーシャルワーカーを配置しているところでありますが、学校現場などからのニーズは年々高まってきております。
子供たちの抱えるこのような課題を踏まえ、今後一層、丁寧な対応が必要と考えておりますので、国の財政支援措置の動向等をも踏まえつつ、市町村教育委員会とも連携しながらその充実に取り組むとともに、具体的な人材の確保に当たっては、本県において、有資格者が限られている社会福祉士等を中心としたこれまでの任用に加えて、国からの支援の対象とされている県、市町村の福祉部門経験者や教員経験者等を含め、幅広い人材の確保に努めてまいります。
次に、地域未来塾についてでありますが、本年度から、文部科学省の事業として、経済的な理由や家庭の事情により、家庭での学習が困難であったり学習習慣が十分身についていない中学生等を中心に、全ての児童生徒を対象とした学習を支援する取り組みが行われているところであります。
本県におきましては、地域未来塾として位置づけて実施しているのは2市のみでありますが、放課後子供教室を活用した学習支援が21市町村で行われております。
子供たちの学習支援を地域未来塾として実施するか放課後子供教室として実施するかについては、各市町村の実情に応じて判断されるものでありますが、県教育委員会といたしましては、経済的な理由等により家庭での学習が困難な児童生徒も含め、全ての児童生徒を対象として学習環境が整備されることが重要と考えておりますので、今後、各市町村の取り組みが充実するよう、先進事例の紹介や必要な予算確保等に努めてまいりたいと考えております。
次に、小中一貫教育についてでありますが、まず、その検討状況については、現在、小中一貫教育を進めている学校の設置者であるそれぞれの市町村において具体的な検討が行われていると承知いたしております。
大槌町において、大槌学園である大槌小中学校は、東日本大震災津波の被災により、現在、小中一体の仮設校舎で学校運営が行われており、この1年間の小中一貫教育の取り組みの実績や、9年間を通じたふるさと教育の充実を図る観点、さらには、小中一体の新校舎を建設中であること等を踏まえ、来年4月から義務教育学校へ移行する方向と聞いております。
また、他の学校については、それぞれの校舎の設置場所との関係や、学校のあり方の検討にはなお時間が必要等の理由から、当面は、現行制度内での対応を継続していく方向と伺っております。
小中一貫教育の導入や義務教育学校への移行に当たっては、これまでの小中学校それぞれを基本とした学校設置の大きな転換となることから、それぞれの市町村においては、学校のみならず、保護者、地域を含めた皆様の理解の醸成を図ることとあわせ、9年間を見通した系統的な指導計画を作成するなどの指導体制の整備を進めていくことが重要であると考えております。
小中一貫教育校に対する基本的な認識についてでありますが、県教育委員会といたしましては、子供たちの成長に合わせて、9年間で一体的かつ系統的に教育を進めていくことは、義務教育の根幹をなす考え方であると認識しており、義務教育学校は、柔軟な教育課程の編成を可能にする有効な選択肢と捉えております。
次に、小中一貫教育校の条件等についてでありますが、小中一貫教育校の導入に当たっては、既存の小学校、中学校に加えて、一貫型小学校、中学校、そして義務教育学校という選択肢がふえたことを受けて、設置者である市町村において、義務教育学校に移行したいという強い意思と明確なビジョン、地域との合意形成がまずもって大切であると考えております。
加えて、教職員の校舎間の移動等を考慮いたしますと、現在の小学校、中学校間の位置関係や距離などの物理的な制約を解消することや、新たな学校づくりに関する方針と方向性などの考え方を学校関係者間で共有していくことが必要であるというように考えております。
次に、義務教育学校に対するサポートについてでありますが、平成22年度から小中一貫教育推進モデル校を指定し、小中一貫教育の研究と実践に取り組んできており、この取り組みを通じて、県教育委員会と市町村教育委員会間での知見の集積を図ってまいりました。この成果等を踏まえ、義務教育学校への移行を検討する市町村に対しましては、先進地域の取り組みの状況やこれまでの実践事例などをもとに助言、支援を行うこととしており、加えて、立ち上げの段階における教員の加配等をも行いながら、積極的に支援していく考えです。
また、大槌学園は、年度内に関係条例が成立いたしますと本県で初めての義務教育学校となりますが、県教委といたしましては、本県で第1号の義務教育学校としてふさわしい学校となるよう、大槌町からの相談や要請に丁寧に対応するとともに、教員体制や教育課程の充実に向けた支援を行ってまいる考えでございます。
〇29番(小野共君) 再質問をさせていただきます。
最初に、冒頭で私がやりました1個目の質問についてであります。現行の復興制度のさまざまな課題、問題点を明らかにし、自治体に聞き取り調査をしていただきたいという要望をいたしましたが、明確な答えはなかったんだろうと思います。
この1月に、県のほうで提言を公表しておるのは存じております。復興に関する岩手県からの提言であります。それはそれとして、より具体的な、私が冒頭で申し上げましたような、現行の面整備事業の問題点あるいは早期の復興事業のためにやっておくべきこと、何度か前にも申し上げましたが、不動産の登記の整理でありましたりとか、そういった具体的な問題点、あるいは作業でありますとかそういったものを洗い出して準備しておく作業を市町村のほうと連携してやっておいていただきたいと、このことを少なくとも検討しておいていただきたいと思うところでございます。質問ではありません。
高齢者世代の移住についての大平政策地域部長の答弁でありました。2025年にかけてどのぐらいの高齢者世代の移住を見込んでいるのかという質問に対して、私は答弁がよくわかりませんでした。通告していないですが、これをわかっていたら、把握していたら聞かせていただきたいのですが、2025年にかけて高齢者世代の移住をどのぐらい見込んでいるのかというのが、私はよくわからなかったんです、理解が。
地域医療構想の素案も出ておりますし、この10月に人口ビジョンの確定版も出ておりました。それでは、この地域医療構想と人口ビジョンというのは、この平成37年─2025年の高齢者というものをどのように試算して、これを出してきているのかという話になるのだろうと思います。これを把握していたら聞かせていただきたいと思います。
子供の貧困対策の話であります。私は、備えておかなくてはいけない全く基本的な社会システムだと思っております。こういった施策を一つ一つ整備していくことが、最終的に人口の社会増につながるのだろうと思っております。人口増の特効薬など、私はないものと思っております。だから、その人口増というのは結果であって、私は、目的ではないのだろうと思っています。こういった基本的に備えておかなくてはいけない市町村の、あるいは県のそれぞれ一つ一つの施策の結果が人口の社会増につながるのであって、恐らくこれは目的ではないのだろう、結果だろうと私は思っております。きっちり対応してほしいと思います。
先ほど、佐々木保健福祉部長のほうから答弁がありました。生活保護世帯の大学の進学率、そして、遺児、孤児の高校と大学の進学率も入れていただけるということでしたので、これは納得いたしました。
子供の貧困対策について、ひとり親など大人1人と子供で構成される世帯の貧困率54.6%。ひとり親家庭など、大人1人で子供を養育している家庭が特に経済的に困窮しております。ひとり親家庭への施策抜きには子供の貧困対策は進みません。ひとり親家庭への経済的援助を含めた施策を聞かせていただきたいと思います。
〇政策地域部長(大平尚君) 高齢者世代の移住でございますけれども、先ほど申し上げましたのがわかりづらくて申しわけございませんでした。
端的に申し上げますと、移住者という捉え方で年代別の現状の数字がございませんので、それをもとにした試算はしておりませんということを申しております。
ただ、一方で、移住者全体につきましては、現在、1、000人程度でありますけれども、毎年50人程度ずつふやすと。それはあらゆる年代であります。ですから、社会増というものの中に、転勤とかありますが、そういう方は移住者と見込んでおりませんので、移住者という方であれば、2019年度─平成31年度に1、350人を見込んだのがふるさと振興総合戦略でございます。
もう一つ申し上げましたのは、社会増となります、転勤も含めた方になりますが、55歳から69歳までの定年前後の方々は、毎年200人から500人程度来ております。その中には移住者の方も含まれるとは思いますが、冒頭申しましたように、年代別の移住者という分析はしておりませんので、その数値についての試算は行っていないと申したものでございます。
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、地域医療構想の策定に当たってのお話がございました。地域医療構想の策定に当たりまして、一定の人口の推計と傷病の受療率をもとに必要な病床数を算定しておりますけれども、その算定式は、国が法令で示した算定式に基づいて計算しておりまして、その場合の人口については、こうした社会的な移住、この要因は今回見ないということで算定することになっております。
それから、ひとり親家庭の子供の貧困対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、国民生活基礎調査によりますと、全国ベースでは大人1人と子供で構成される世帯の貧困率が高くなっており、本県においても、母子家庭の就労形態は臨時、パートが多く、就労収入が少ない傾向にありますことから、経済的に厳しい状況にあると認識しております。
このため、県では、ひとり親家庭への経済的支援として、児童扶養手当の支給や母子福祉資金の貸し付け、県単独医療費の助成を実施しているところであり、平成22年には医療費助成の対象に父子家庭を拡大したほか、平成26年には父子福祉資金を創設するなど、順次支援の充実に取り組んでまいりました。
また、ひとり親家庭に対しては、経済的支援のみならず総合的な支援が必要でありますことから、今般策定いたしますいわての子どもの貧困対策推進計画においては、生活困窮世帯の子供を対象とした学習支援や、ひとり親家庭の親への就業支援等の施策を盛り込むこととしており、こうしたひとり親家庭への支援も含めて、子供の貧困対策を総合的に推進していく考えであります。
〇議長(田村誠君) 次に、田村勝則君。
〔11番田村勝則君登壇〕(拍手)

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