平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(喜多正敏君) 希望・みらいフォーラムの喜多正敏でございます。
ただいま議題となっております発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書に対し、賛成の立場から討論を行います。
本県議会は、既に政府に、平成26年7月7日付で、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を行わないように求める意見書を提出しております。しかるに、安倍内閣は、集団的自衛権の行使を容認する誤った憲法解釈を前提として武力攻撃事態法、PKO法など、既存の10の法律を一括して改正する法案と、新法である国際平和支援法案を平成25年5月に国会に提出し質疑が始まりました。
これら法案に対し、多くの憲法学者や法律専門家、団体、国民は違憲であると考えており、また、各種世論調査においても、国民は、説明も不十分であり今国会での法案成立に反対しています。
事実、去る6月4日に開催した衆議院憲法審査会で、与党が推薦した参考人を含む全ての憲法学者の参考人が、集団的自衛権の行使を容認する解釈とこれら法律案について、憲法違反であると指摘がなされました。
さらに、集団的自衛権の行使について、国会の承認を得るために、政府によって不都合な情報が特定秘密保護法により特定秘密に指定され、適時適切に国民や国会に開示されない懸念も指摘されており、関連する情勢や国の判断の根拠となった情報を開示する制度的なしっかりとした担保がなければ、十分情報を知らされないまま、政府の武力行使により国民が再び戦火に引き込まれかねず、こうしたことがないよう、また、国民が反対している法案は、主権が国民にあるという国民主権を没却することになると考えます。
言うまでもなく、国の自衛権は憲法においても自然権として認められるものであり、国連憲章にもあるとおり、国際法上でも認められているものであります。
この自衛権の発動には、1954年の国会答弁で、急迫不正の侵害があること、これを排除するためほかの適当な手段がないこと、必要最小限の実力行使であることの3要件が必要とされています。
急迫不正の侵害があることについては、これまで国会の憲法関係答弁において、集団的自衛権は我が国に対する急迫不正の侵害に対処するものではなく、他国に加えられた武力攻撃を武力で阻止することを内容としており、国民の生命などが危機に直面している状況下で、個別的自衛権を行使する場合と異なるとされております。
集団的自衛権は地理的限定がなく、海外での戦闘参加を可能とするものであり、以上の要件に反するとされ、憲法改正なくしては行い得ないとされているものであります。
国会に上程されている法案には、国際平和のため活動しているとされる外国の軍隊などへの後方支援活動等について自衛隊が活動できる地域が拡大され、実力行使の一体化につながりかねない内容が盛り込まれており、攻撃、反撃により、事実上戦争へと突き進むおそれが極めて高いものであります。
これらを閣議決定し、法律を制定、改正しようとすることは、ある憲法学者が、安倍首相がかつて憲法改正を訴える際に憲法を国民の手に取り戻すと話しておりましたが、今や国民の手の届かないところで解釈改憲による変質を図ろうとしていると述べていましたが、まさにそのとおりであります。
平和憲法のもとでこれまで培ってきた我が国の安全保障政策を大転換させ、さらに憲法違反や従来の憲法解釈からの逸脱が指摘されている法案を、国民への十分な説明や合意もないまま安倍首相が独断で米国に成立時期を約束し、今国会で前例のない会期延長をしてまで成立を強行しようとしていることは大問題です。
歴代の政権が国会質疑も踏まえ、積み重ねてきた憲法の解釈を一内閣の解釈で変更し、法案の成立強行を図ることは、意見書で指摘しているとおり、権力保持者の恣意によることなく、法に従って権力が行使されるべきとする立憲主義や国民主権主義に反するものであり、国民の憲法制定権を侵害し、憲法96条を逸脱するものであり、断じて許されないものであります。
日本は、さきの大戦の悲惨な経験を踏まえ、専守防衛、恒久平和を国是とし、これまで自衛隊も、ただ1人の人も殺害せず、我が国の平和活動や国際協力は高い評価と日本に対する好感度を上げてきたことは事実であります。
政府は、現状においては、国民の主権と生命、財産、領土と領海、領空を守るため、憲法や国連憲章に基づく国連活動、日米安全保障条約などにのっとり、国民の合意をもって我が国の安全保障政策を構築する必要があることは言うまでもありません。よって、衆参議長、内閣総理大臣、関係大臣、内閣官房長官などに安全保障関連法案を廃案とするよう強く要望する総務委員会提案の意見書に賛成し、討論といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、小野寺好君。
〔48番小野寺好君登壇〕

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