平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(及川あつし君) いわて県民クラブの及川あつしでございます。
総務委員会提案の安全保障関連法案の廃案を求める意見書に反対の立場から、会派内での意見の一致を見なかったことで、個人の議員として討論をいたします。
この意見書は、請願陳情受理番号第148号、受理番号第149号、受理番号第150号が委員会で採択されたことに伴う発議であります。
総務委員会提案の意見書では、国は安全保障関連法案を廃案とするよう強く要望するとされております。提案理由の中にある各種世論調査で、国民の多くは政府の説明が不十分であること、違憲であるとの憲法学の専門家も多いこととの指摘は事実そのとおりであり、今国会での成立に反対あるいは否定的な声が8割超に上ったとの調査もあり、現状の世論動向に危惧の念を持つことについては私も全く同感であります。
しかし、一方で、合憲を唱える憲法学者もいるところであり、何より、日本を取り巻く安全保障環境は年々厳しさを増していること、政府には、憲法の平和主義、専守防衛の原則を堅持した上で国民の生命及び財産並びに我が国の領土、領海及び領空を確実に守る観点から、安全保障政策を構築する責任もあることも事実であり、平時において有事に備えることは必要不可欠であります。
政府答弁では、この二、三十年の間、安全保障環境は大きく変化し、特にアジア太平洋地域をめぐる安全保障環境は変化をしていること、例えば自衛隊のスクランブル防空識別圏に通告なしで入ってくる外国の爆撃機や戦闘機など、外国、国籍不明機等に対するスクランブルはこの10年間で7倍以上にもなっているということ、また、北朝鮮は弾道ミサイルを数百発持っていると推定されていて、搭載する核の技術も向上させているということ、中国の台頭、東シナ海、南シナ海における活動、さらにはサイバーテロ、過激主義などは国境を越えてやってくる可能性もあるということ。もはや、一国のみで自国を守ることができる時代でないことについて明らかにされております。
つまり、政府は、政府の責任として、国民の命と平和な暮らしを守るという趣旨のもと、紛争の未然防止を図り、抑止力を高め、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能にする法整備を行う必要があり、国会での質疑においては、その点についてはおおむね各党の認識は一致してきているものと私は感じております。
ある世論調査では、今国会で審議中の安全保障関連法案に関し、必要とする回答が必要ないを上回っているとするものもあり、国民の多くも抑止力の向上の必要性については理解しつつあるものとも解されます。
また、集団的自衛権の限定容認が日本の安全保障に必要かどうか尋ねたところ、必要とする意見が必要ないとする意見を上回っているという調査も見られます。
さらに、報道によれば、国会において、維新の党が、本日には安全保障関連法の対案を国会に提出するとしており、一部与党からは修正協議の動きもあるとされております。
また、民主党と維新の党は共同提案を見送ることとしたものの、安全保障関連法案の対案である領域警備法案を提出する見込みとのことであり、つまり、安全法制の見直しの必要性や国会の審議の状況に鑑みれば、安全保障関連法案を廃案とすることでは問題は解決しないと私は考えるところであります。
以上のことから、私とすれば、本県議会として、政府に対しては、世論の把握に努め、違憲である、歯どめとして機能していないなどの法案に関する国民の疑念や不安を真摯に受けとめること、国民への丁寧な説明を行い必要な修正協議なども行いつつ、今の通常国会での法改正の成立にこだわらずに、国会での審議を慎重かつ丁寧に進めるよう要請するべきであると私は考えることから、総務委員会提案の意見書には反対とするものであります。
以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、喜多正敏君。
〔27番喜多正敏君登壇〕

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