平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇東日本大震災津波復興特別委員長(佐々木大和君) 東日本大震災津波復興特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
東日本大震災津波から、間もなく4年4カ月が経過いたします。この間、県民一丸となった取り組みにより、復旧、復興事業は本格化の段階を迎えているものの、復興を実感できるまでには至っておらず、復興は今なお途上にあります。
本県においては、沿岸地域を中心に、本年5月時点で死者5、125人、行方不明者1、129人、家屋の流出、倒壊等家屋被害は2万6、000棟を超えており、被災地にあっては応急仮設住宅等での生活が長期化するなど、一段と厳しい状況に置かれているところであります。
このような中、本委員会は、災害対策特別委員会を継承する形で、平成23年9月定例会において、議長を除く全議員を委員として設置されて以来、22回にわたり委員会を開催し、復旧、復興の現状、課題、今後の取り組み等について執行部や関係者から説明を受け、質疑、意見交換を行ってまいりました。
また、内陸を含めた被災市町村や復興に向けて取り組んでいる方々を対象に、延べ43の市町村等に対する現地調査を実施し、その結果を踏まえ、県に対して対応を要請してまいりました。
さらに、平成26年6月には、本県同様、甚大な津波被害のあった宮城県の現地調査を実施し、復興に向けた課題と解決策について意見交換を行ったところであります。
この間、県では、岩手県東日本大震災津波復興計画に掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づき各種の取り組みを推進してきており、平成25年度までを基盤復興期間、平成26年度から平成28年度までを本格復興期間とし、被災者が一日も早く安定した生活を取り戻すことができるよう、復旧、復興事業を進めております。
これらの取り組みにより、安全の確保については、平成26年3月で災害廃棄物の処理が終了するとともに、面整備事業による造成工事は9割以上の地区で着手され、改正復興特区法による特例制度等の活用により、事業の加速化が期待されているところであります。
また、三陸鉄道については、国の全面支援により平成26年4月に全線で運行再開をするとともに、鉄路による復旧を求めていたJR山田線宮古-釜石間については、粘り強い交渉の末、関係者間で合意が図られ、JR東日本による復旧工事が平成27年3月に着工されております。さらに、沿岸地域の大動脈となる三陸沿岸道路の一部が供用開始されるなど、復興道路の整備も進みつつあります。
暮らしの再建については、災害公営住宅の整備率が今年度中に6割と見込まれるなど、急ピッチで進められているところであり、また、被災地の住民の健康を守るために欠かせない医療提供施設は、被災前に比べて約9割まで回復するとともに、学校施設は、被災した県立学校の全て、市町村立学校と私立学校の7割以上で復旧しております。
さらに、被災者の生活の基盤となる雇用環境は依然として厳しいものの、産業振興施策や雇用促進施策などによる効果も加わり、沿岸地域を中心に有効求人倍率が1倍を超える状況が続いているところであります。
なりわいの再生については、甚大な被害を受けた水産業に対し、漁船や養殖施設等の復旧整備が着実に進むとともに、魚市場における水揚げ量も震災前の8割まで回復しているほか、商工業者に対する各種支援により、被災した事業所の再開率は7割を超えております。
このように、復旧、復興に向けた取り組みは、分野による差はあるものの、本格化しているところであります。
その一方で、安全の確保では、事業用地の取得が進まず、社会基盤の整備におくれが見られる地域があるとともに、安全なまちづくりの達成度合いに対し、達成と感じている人の割合がいまだ3割程度であるなど、被災者が復興を実感できるような状況にまでは至っておりません。
また、復興事業が進捗していく中で、将来を見据えたまちづくりが求められるほか、建設資材の不足や労働者の不足、入札不調の発生等により、復興事業や被災者の住宅再建のさらなるおくれが懸念されているところであります。
暮らしの再建では、まちづくりのおくれに伴う住環境整備の進捗に差が生じつつある中、住宅再建に向けたきめ細かな支援がより求められているとともに、災害公営住宅への入居、高台移転等に伴い、住民間のきずなやつながりの低下が憂慮されております。
また、応急仮設住宅での生活が長期化する中、被災者の心身の健康状態の悪化が一層危惧されているところであります。
なりわいの再生では、被災した多くの事業所において事業再開が進んでいるものの、業績が回復しない業種も多く、また、原子力発電所事故に伴う放射性物質による直接被害や風評被害の影響が続いております。さらに、これらの課題が顕在化することにより、被災地での人口流出がより深刻化しつつあります。
そこで、本委員会では、これまでの調査結果を踏まえ、県当局に対し、東日本大震災津波からの復興を被災者が実感できるものとするよう、次の事項に配慮して取り組まれるよう要請するものであります。
まず、まちづくりのおくれが生活再建や事業所の復旧に影響を与えることのないよう、社会基盤の整備を加速化させるとともに、被災市町村の職員不足、事業用地の確保、建設資材の不足等、今後本格化する社会基盤整備事業の円滑な進捗を妨げる課題への対策を講ずるほか、被災跡地の活用など、地域の将来を見据えた、発展するまちづくりの取り組みを支援すること。
また、鉄道は、地域の重要な社会的基盤であることに鑑み、JR東日本に対し、大船渡線の早期復旧を引き続き要請すること。
さらに、震災の経験、教訓を次世代に継承するとともに、記憶の風化防止に向けた取り組みを継続すること。
次に、住宅の再建は、被災者が安定した生活に戻るための根本的な条件であることから、被災者の声を十分に反映しながら、災害公営住宅の供給を一層加速化させるとともに、自立再建を促進するよう、各種住宅再建に向けた支援制度の継続、充実させること。
また、応急仮設住宅の入居期間が長期化する中、被災者の心身の健康を守ることを最優先とし、心のケアや医療、介護、福祉施策の充実を図るとともに、安全で安心な教育環境の確保に引き続き取り組むこと。
さらに、災害公営住宅への入居や高台移転等の際には、コミュニティの維持、再構築に十分配慮すること。
次に、産業の復旧、復興については、被害を受けた施設等の現状復旧にとどまることなく、被災者の生活再建の基盤となる雇用の幅広い受け皿となるよう、労働者不足の解消や販路の回復、拡大など、本設に向けた支援を初めとする経営安定に向けた支援を継続、充実すること。
また、地域経済の活力の拡大に向け、国際リニアコライダーの建設実現や国際的海洋エネルギー研究拠点の構築など、新しい三陸地域の創造、発展につながる地域特性を生かした産業の育成を戦略的に展開すること。
さらに、放射性物質影響対策については、放射性物質による直接被害や放射能汚染廃棄物の処理のほか、農林水産物や観光に対する風評被害に対しても十分な対策を継続、充実すること。
これらの復興に向けた取り組みの推進に当たり重視すべきは人口減少問題への対応であることから、被災地の人口流出に歯どめをかけるため、市町村と緊密に連携しながら、人口減少対策を総合的に推進すること。
最後に、国は、平成28年度以降の復興事業について新たな自治体負担を求める方針を示したところであるが、自治体負担の導入は復興の大幅なおくれにつながりかねないことから、必要に応じ、国に対し十分な配慮を要請するとともに、今後必要となる財源の確保に努め、一日も早い復興に向けて総力を挙げること。
以上のとおりであります。
終わりに、県当局においては、被災地、被災者の状況の変化を的確に捉え、真に復興を実感できる本格復興に英知を結集し、なお一層の努力を傾注されることを切望し、東日本大震災津波復興特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、軽石人口減少・少子化対策調査特別委員長。
〔人口減少・少子化対策調査特別委員長軽石義則君登壇〕
〇人口減少・少子化対策調査特別委員長(軽石義則君)
人口減少・少子化対策調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
本委員会は、平成25年9月定例会において設置されて以来、7回にわたり委員会を開催し、人口減少に対応した地域づくり、少子化対策及び子育て支援等に関する調査において、現状、課題、取り組むべき方向性などについて関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内2回、県外1回の現地調査を実施してまいりました。
我が国の人口は、2008年をピークに減少に転じており、出生率の大幅な低下による少子化がその主な原因であります。また、若い世代を中心とした東京圏など都市部への人口集中が出生率低下に拍車をかけています。
国の機関の推計によると、2040年までに3割減少し、特に生産年齢人口は4割減少するとされており、現在と大きく異なる人口構造となるとともに、夫婦のみの世帯や単身世帯がふえると見込まれています。
本県の人口については、若年女性の減少と未婚化、晩婚化の進行を背景とした出生率の低迷による自然減と、進学、就職期における若者の転出による影響が大きい社会減により、1997年以降減少し続けています。
また、沿岸地域の人口は、東日本大震災津波の被災により、平成27年4月時点で、震災前に比べマイナス9.4%と大きく減少しています。
未婚率の上昇、晩婚化の背景の一つには、非正規労働者の増加が挙げられますが、非正規雇用の問題に対しては、良好な就業構造のもとでの若者の安定した雇用、収入が確保される就労環境の整備が求められます。
また、本県人口の社会減が進学、就職期に顕著であることは、高校卒業者の希望する進学先や、若者の希望する就職先が確保されていないことが影響していると考えられます。
次に、結婚に関する国の調査結果によれば、未婚者の9割はいずれ結婚しようと考えていますが、独身でいる理由に、適当な相手とめぐり会えないことが挙げられています。結婚を意識した出会いの場の提供と出会いを後押しする制度が必要でありますが、市町村単位のイベントには女性が参加しにくいことがあります。
また、結婚、出産に関する民間の調査によれば、30代以降に親になった人の9割が、もっと早く子供を持てばよかった、子供のいる40代の人の6割が、もっと子供が欲しいと思っているという結果があり、結婚、出産に関する若い世代への啓発などが必要であります。
さらに、不妊治療に対する支援や妊娠、出産に関する相談体制の充実も重要であります。
次に、子育て支援に関しては、少子化を脱したと言われるフランスやスウェーデンなどでは、GDPに占める子育て支援に関する公的支出が3%以上であるのに対し、我が国は1%にとどまっています。
社会保障・税一体改革により、ようやく子育て支援のための財源がふえることになりましたが、保育所や認定こども園などの施設整備や、保育士、幼稚園教諭及び保育教諭の処遇改善など、保育、幼児教育の量及び質の充実が引き続き必要であります。また、子育てを支えるには、仕事を両立できる職場環境づくりも必要であります。
これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、今後の人口減少対策及び少子化対策に関する施策の推進に当たって、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し入れるものであります。
1、未婚化、晩婚化対策に関しては、正規雇用率の向上など就業構造の改善などにより、若者と女性を中心とした雇用安定及び所得向上のための取り組みを促進する必要があること。
また、U・Iターンを促進するため、県外へ転出した社会人、学生が県内へ帰ってこられるような魅力ある雇用の場の創出支援など、地元定着に向けた取り組みが必要であること。
2、結婚支援に関しては、婚活イベントなどへの幅広い参加を促進するには、市町村の枠を超えた取り組みが求められることから、県による結婚支援拠点の設立が必要であること。
また、多様な出会いの機会を創出するため、登録制のお見合いや婚活セミナーとの組み合わせ、お見合いサポーターや企業と連携した結婚応援団の活用などが必要であること。
3、妊娠、出産への支援に関しては、若い世代のうちから、結婚、出産、不妊、子育ての知識習得の機会を設けることが必要であること。
また、不妊相談に応じる認定看護師を確保するため、資格取得経費への補助の創設や男性の不妊治療に当たる医師の確保など、不妊に関する相談体制の拡充や医療体制の確立を図ることが必要であること。
4、子育て支援に関しては、高齢者施設との併設も含めた保育所や認定こども園などの整備、病児、病後児保育など、多様なニーズに対応した保育サービスの拡充、保育料の軽減を図るなど、子供を預けやすい環境を整えることが必要であること。
また、子育てと仕事の両立支援が重要であることから、従業員100人以下の事業主に対しても、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を求めるなど、雇用環境や多様な労働条件の整備などの取り組みを企業等に対し促すことが必要であること。
さらに、本委員会の調査では、フィンランドの事例紹介として、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援のためのネウボラという無料相談施設の整備により子供の良好な発達に効果を上げているとされ、このような国内外の成功事例に学びながら、本県がもともと持っていた地域を挙げて支援する伝統文化を取り戻していくことが重要であること。
以上のとおりであります。
終わりに、各地域では、子育て支援などについてさまざまな工夫や努力による民間の取り組みが行われています。行政はこれら民間と協働し、その取り組みを支援するのはもちろんのこと、みずから強いマネジメント力を持って人口減少、少子化対策に臨む姿勢が求められます。
県当局においては、人口減少対策が最重要課題であることに鑑み、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら県政運営になお一層の努力を傾注し、少子化対策、人口減少に対応した地域づくりに取り組むことを切望いたしまして、人口減少・少子化対策調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、喜多環境・防災対策調査特別委員長。
〔環境・防災対策調査特別委員長喜多正敏君登壇〕
〇環境・防災対策調査特別委員長(喜多正敏君) 環境・防災対策調査特別委員会のこれまで調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
本委員会は、平成25年9月の定例会において設置されて以来、7回にわたり委員会を開催し、地球温暖化防止対策や防災、減災対策などの現状、課題、対策等について関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内1回、県外2回の現地調査を実施してまいりました。
近年、全国的に記録的な猛暑やたび重なる集中豪雨など、地球温暖化との関連性が指摘されるような異常気象が頻発し、これに伴う土砂災害や洪水災害が多発しています。
本県においても、平成25年8月には記録的な豪雨を観測し、盛岡地域や花巻地域を中心に、人的被害のほか、多数の家屋やインフラが被害を受けたところであります。
また、昨年は、御嶽山の噴火災害が発生したほか、さらに、国土の広範囲に深刻な被害をもたらす南海トラフなどを震源とする大規模な地震や津波の発生が想定されるなど、我が国はさまざまな自然災害の脅威にさらされています。
東日本大震災津波からの復興途上にある本県においては、震災の教訓等を踏まえた地域防災計画の見直しや、御嶽山の噴火災害等を踏まえた岩手山火山防災ガイドラインの改訂を行ったほか、災害に強いまちづくりを目指し、防災拠点等への再生可能エネルギー導入の推進や釜石市の環境未来都市構想など、自立・分散型のエネルギー供給体制の構築などによる災害時の供給力向上に向けた取り組みが進められています。
地球温暖化の防止に向けた温室効果ガスの削減などによる低炭素社会の実現の取り組みを進めるため、地域資源を活用した再生可能エネルギーの普及が一層必要とされています。特に、本県は、再生可能エネルギーのポテンシャルが高いことから、これを最大限活用していくことが必要であります。
また、津波や地震などの広域にわたる大規模な災害への備えだけでなく、土砂災害や火山の噴火災害など、比較的被災範囲が限定される災害に対しても、それぞれの地域特有の地理的条件などを考慮し、常日ごろから住民の理解と参画を得ながら備えていくことが必要であります。
さらに、東日本大震災津波の際に経験した大規模な停電や燃料不足等の問題解消に向け、個々の施設単位で再生可能エネルギーの普及を進めるだけではなく、地域の実情に合わせ、まちづくりと一体的に、災害に強い自立・分散型のエネルギー供給体制を構築していく必要があります。
このように、環境面に配慮しつつ、災害に強いまちづくりを進めることで、将来世代にわたって持続可能な社会を築いていくことが必要とされています。
これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、環境面に配慮しつつ、災害にも強いまちづくりを進めていくため、次の事項に配慮し、施策に取り組まれるよう申し入れるものであります。
1、本県の再生可能エネルギーの豊富なポテンシャルを最大限活用するため、施設整備の導入経費に対する支援や低利融資制度の活用による導入を一層促進させるほか、小規模な温泉施設でも活用できるよう、蒸気と熱水を利用して発電する小型地熱発電システムの導入や、低温の蒸気や熱水でも活用できる地熱バイナリー発電施設の導入などを促進するほか、特に地熱発電のポテンシャルが大きい本県の特性に合わせて、地域資源を有効に活用できる施設整備の普及を促進し、それら施設整備の開発や製造を行う地元企業を支援すること。
また、バイオマス素材の生産につながる農林業など関連産業の振興と、その活用支援並びに省エネルギーへの取り組みを一層推進すること。
2、再生可能エネルギーの活用を地域に定着させるため、国に対し、一般電気事業者の送配電系統へ再生可能エネルギーの連系可能量を拡大するなど、電力システムの改革を一層推進するよう要望していくほか、地域においては、行政からの支援だけではなく、例えば市民や地元金融機関等から出資を募り、再生可能エネルギー発電事業に取り組む事業者に投資を行うためのファンドを設立するなど、再生可能エネルギー事業が持続的に進展していくようなシステムの構築が必要であること。
3、近年多発する局所的な豪雨に伴う土砂災害や洪水災害、また、岩手山、秋田駒ヶ岳及び栗駒山の3火山の噴火災害など、比較的被災範囲が限定される災害に関しては、被災の可能性がある危険箇所の住民等への周知や、避難勧告等の発令基準作成のための支援を行うとともに、自助、共助の取り組みを支援する観点から、自治会単位でのハザードマップや避難計画等の作成に当たって、住民みずからが協議に参画できる場を設けることで、被災時に的確な対応が行えるよう、市町村の取り組みの促進を図ること。
また、火山活動に対しては、日ごろからの監視体制を強化するほか、大規模な地震発生時の火災を予防するため、感震ブレーカー等の普及啓発に取り組むなど、さまざまな災害に的確に対応できる対策についても一層の取り組みを推進すること。
4、全国的な共助の輪を育み、広域的な行政間の連携体制を構築することは、大規模災害が発生した際、被害を最小限に食いとめ、迅速な復興を進める力となることから、東日本大震災津波への対応を行う中で築かれた、さまざまな段階における全国的なきずなを維持し、全国の都道府県や各防災関係機関との連携、また、NPO団体等とのネットワークの強化に努めるとともに、不幸にも県外の他地域で大規模な災害が発生した際は、県として積極的な支援を実施するほか、被災者支援のため被災地に向かうNPO団体等の活動が円滑に行えるよう一定の支援が必要であること。
5、安全で持続可能な社会を構築していくため、災害の発生による道路や通信の途絶により孤立した被災地においても、自衛隊及び緊急消防援助隊等の救助部隊や、食料及び燃料等の支援物資が到着するまでの間、一定量のエネルギーを自力で確保できるよう、地域の資源を活用した自立・分散型のエネルギー供給体制の構築を支援し、災害に強いまちづくりを一層推進すること。
以上のとおりであります。
終わりに、県当局においては、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら、県政運営になお一層の努力を傾注し、内外の先進地の事例や大学及び研究機関等の知見を生かして、将来世代にわたり、安全で持続可能な社会の構築に向けて取り組むことを切望いたしまして、環境・防災対策調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、福井産業・観光振興調査特別委員長。
〔産業・観光振興調査特別委員長福井せいじ君登壇〕
〇産業・観光振興調査特別委員長(福井せいじ君) 産業・観光振興調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
本委員会は、平成25年9月定例会において設置されて以来、7回にわたり委員会を開催するとともに、県内外での3回の現地調査を実施し、競争力の高い農林水産業振興方策、国際リニアコライダー等の国際科学技術研究拠点形成に向けた取り組み、国際競争力の高いものづくり産業や地域資源型産業の振興方策、世界遺産及び三陸ジオパーク等を契機とした観光、地場産業振興方策等について、調査を実施してまいりました。
まず、現状と課題についてでありますが、競争力の高い農林水産業振興方策の取り組みとして、県は、農林水産物の高付加価値化を進め、農林漁業者の所得向上と地域の活性化を図ることとしており、また、食のプロフェッショナルチームによる商品の企画、開発、販路開拓の支援や、いわて6次産業化支援センターにおいて、計画、創業、経営までの相談への対応など総合的に支援しているところです。
しかしながら、本県は、多彩で豊富な農林水産物に恵まれているものの、これらの資源を活用し、地域内で付加価値を高める活動が十分とは言えず、また、生産者が加工、販売まで行い成功している例もあるものの、現状は、6次産業化への意欲を持ちながらも、ノウハウ不足や運営面の不安から具体的な事業計画に至らない生産者も多い状況にあります。今後、6次産業化の拡大を図るため、地域を牽引する企業的な事業体の育成も必要となっております。
次に、国際リニアコライダーについては、県は、関係機関と連携したシンポジウムの開催等により国内外に情報発信をしていくこととし、また、いわて加速器関連産業研究会の設立や研究開発に対する補助の創設など企業の加速器関連産業への参入を支援するほか、東北大学との共同研究による地質調査も行うこととしているところです。
今後、オールジャパン体制の確立に向け、政府、経済界に対する働きかけや国内外への情報発信を強化するとともに外国人研究者等を受け入れるための環境整備を進めることが求められております。
次に、国際競争力の高いものづくり産業としては、北上川流域を中心とした自動車、半導体関連産業が県全体を牽引しており、医療機器関連産業を第3の柱として位置づけているところです。
また、東日本大震災津波により大きな被害を受けた沿岸県北地域と内陸地域とのものづくりネットワーク間の連携を強化し、多様で厚みのある産業集積を支える高度な産業人材の育成を支援しているところです。
今後においても、高度な産業人材を育成するとともに、企業間連携ができる範囲への企業誘致も求められております。
次に、観光産業においては、観光立県いわての実現に向け、関係機関、団体等と連携しながら、国内外の観光客の誘致拡大、受け入れ態勢の整備等、総合産業としての観光産業の振興を図っているところです。
また、東日本大震災津波により被災した観光施設の復旧を加速し、観光事業者の事業再開を支援するとともに、平泉の文化遺産の世界遺産登録やNHK連続テレビ小説あまちゃんの放映を契機とした国内外からの誘客を促進し、本格的な観光復興に取り組んでいるところです。
さらに、三陸ジオパークにおいては、世界ジオパーク認定を視野に、情報発信及び受け入れ態勢の整備等を推進することとし、ジオガイドの養成や民間企業等と連携したツアープログラム実施による教育旅行及び震災学習を中心とした誘客の拡大に取り組んでいるところです。
今後、人口減少が進む中、いかに交流人口をふやしていくかが重要であり、また、東日本大震災津波により被災した観光施設等の復旧や風評被害の払拭、震災遺構の整備、保存や震災語り部の育成など、震災学習を中心とした教育旅行や復興ツーリズムの受け入れ態勢の整備が求められております。
また、日本ジオパーク委員会から指摘された課題について改善提案を行い、県内外へ情報発信するとともに、世界ジオパーク認定に向け、海外への情報発信や、青森県、宮城県と連携しながら、県内の機運を高めていくことが必要であります。
これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、産業振興及び観光振興に関する今後の施策の推進に当たって、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し入れるものであります。
1、競争力の高い農林水産業の振興方策については、本県の多彩で豊富な農林水産物資源を活用した一大産地の形成や、農商工連携などの施策と連動させ、継続と成功を積み重ねながら農林水産業の活性化を図ること。
また、6次産業化においては、生産者が加工、販売まで全て行うのは厳しい現状にあることから、ニーズを的確に把握し、加工、流通などの関係機関、団体との連携を図りながら、農林水産物の高付加価値化を進め、農林漁業者の所得向上と地域の活性化を図るとともに、取り組み意欲のある人材を育成し、専門家のアドバイスを受けながら、何をつくり、どのような売り方をするか、創意工夫が生かされる6次産業化を進めるモデルをつくり普及させること。
2、国際リニアコライダーについては、オールジャパン体制の確立に向け、政府、経済界に対する働きかけや国内外へのさらなる情報発信の取り組みを強化するとともに、多言語表記や医療体制の整備、インターナショナルスクールの設置検討等による教育環境の整備など、外国人研究者等を受け入れるための環境整備を推進し、関連産業の振興等も検討していく必要があること。
3、国際競争力の高いものづくり産業については、企業間連携により県内調達率を高めるための事業誘致を推進するとともに、企業間連携の支援に取り組むこと。
また、企業における高度な産業人材を育成するための技術研さんや技能習得への支援、県立学校における企業が求める人材の育成に取り組むこと。
4、観光振興については、交流人口の増加に向け、インバウンドの受け入れ態勢の整備や情報発信に取り組むこと。
また、三陸ジオパークの世界ジオパーク認定に向け、日本ジオパーク委員会から指摘された課題を解消するとともに、認知度を高めるため国内外への情報発信に取り組むこと。また、青森県、宮城県と連携しながら、県内の機運を高める取り組みを進めること。
さらに、ジオガイドの養成、ジオ教育学習といった人材育成や、震災学習を中心とした教育旅行による誘客などの観光施策の展開を図ること。
以上のとおりであります。
終わりに、県当局においては、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら、県政運営になお一層の努力を傾注し、産業振興、観光振興に当たっては、本県の豊富な地域資源を最大限生かして岩手の魅力の発信に取り組まれることを切望し、産業・観光振興調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、城内スポーツ振興等調査特別委員長。
〔スポーツ振興等調査特別委員長城内愛彦君登壇〕
〇スポーツ振興等調査特別委員長(城内愛彦君) スポーツ振興等調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
本委員会は、平成25年9月定例会において設置以来、7回にわたり委員会を開催するとともに、県内外で3回の現地調査を実施し、希望郷いわて国体及び希望郷いわて大会や県民の健康づくり等について、調査を重ねてまいりました。
まず、現状と課題についてでありますが、全国でも21年ぶりの完全国体として開催される希望郷いわて国体及び希望郷いわて大会については、全ての県民にとって復興の力となるよう、企業や団体等とも連携し、県民総参加での大会の成功を目指し、施設整備、リハーサル大会の開催準備、各種ボランティアの募集、養成等が進められています。
しかし、両大会が開催される平成28年は、復興まちづくり事業の最盛期でもあり、特に沿岸地域においては、宿泊先の確保が厳しくなるものと見込まれるほか、冬季国体まで1年を切り、大会開催まで間がないことから、県民総参加の機運を高めるための広報活動等にも、さらに力を入れていく必要があります。
加えて、大会の開催を契機に注目されているスポーツ振興の取り組みを継続し、今後につなげていく必要があります。
経済情勢の低迷等を背景に企業のスポーツ活動が減少するなど、競技スポーツを取り巻く状況は厳しさを増しています。県内にはトップアスリートの育成を支援する企業が少なく、進学や就職をきっかけに県外に出ていく選手も多いことから、優秀な選手や指導者を確保し、競技力向上を図ることも求められています。
また、少子化や指導者不足により地域におけるスポーツ環境は厳しくなっていますが、スポーツは人格形成にも資するものであり、子供たちに多様なスポーツを体験する機会を与えることが必要とされています。
次に、県民の健康づくりについては、県において、平成26年度から平成34年度までの9年間を計画期間とする健康いわて21プラン(第2次)を策定し、共に生きるいわての実現に向け、健康寿命の延伸と脳卒中死亡率全国ワーストワンからの脱却を目指し、施策の推進を図っています。
生活習慣病の三大危険因子は、喫煙、運動不足、肥満であり、体力の維持、向上や生活習慣病のリスクの低減に有効な運動習慣を持つ人の割合をふやし、あわせて県民が運動しやすい環境整備に取り組むことが求められています。
また、心身の健康増進のため、健康や食への興味、関心を高め、学ぶ機会を提供することが必要であり、地域力を生かした岩手型食育活動の推進や食文化を伝える担い手の育成が求められています。
さらに、被災地の保健活動においては、肉親の喪失や生活環境の変化などに起因する処遇困難な子供のケースの顕在化、長期化する応急仮設住宅での生活による心身の疲労、職員のマンパワー不足と疲労の蓄積等が課題となっています。
本委員会としては、このような課題とこれまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、希望郷いわて国体及び希望郷いわて大会並びに県民の健康づくりに関する施策の推進に当たって、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し入れるものであります。
1、希望郷いわて国体及び希望郷いわて大会を全ての県民にとって復興の力となる大会とするため、特に沿岸地域においては、復興事業の進捗状況にも留意しながら、市町村や関係者と連携し、施設整備や宿泊施設の確保等を進め、受け入れ態勢に万全を期すこと。
2、両大会の成功に向けさらなる意識啓発や情報発信に努めるとともに、地域を巻き込んで、県民一丸となって盛り上げを図るための取り組みを工夫し、強化すること。
また、大会後もスポーツ振興への県民意識の高まりが継続するよう、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた事前合宿の誘致やイベントの開催、各種スポーツ大会の誘致等により、施設の有効活用や交流人口の拡大を図り、豊かな地域資源を生かしたスポーツによる地域振興を推進すること。
3、県内競技スポーツの一層のレベルアップを図るため、選手が県内にとどまり、安定した雇用のもとでスポーツ活動を継続し、引退後は指導者として活躍できる環境の整備に努めること。あわせて、県外からの優秀な指導者の招聘など、中長期的な視野に立って、指導者の養成、確保と選手の掘り起こし、育成に向けた取り組みを強化すること。
4、子供たちが、さまざまなスポーツを体験する機会を得て自分の可能性を見出すことができるよう、また、誰もがスポーツに親しみ、スポーツを通じて健康な生活を送ることができるよう、地域の競技団体や総合型地域スポーツクラブと学校との連携や、地域の特色あるスポーツの振興、スポーツ活動を支える指導者の養成等を促進し、地域におけるスポーツ環境の整備とスポーツ活動の普及に努めること。
5、生涯にわたり健康で、地域で助け合いながら暮らすことのできる社会の実現に向け、県を挙げて、健康づくりや食に関する知識の普及と意識啓発に取り組むこと。
また、市町村、生産者、事業者等と連携し、岩手型食育活動の推進や本県の食文化の継承を図ること。
6、被災市町村において、心のケアも含めたきめ細かな健康支援の取り組みが切れ目なく継続されるよう、関係機関、団体等と連携し、専門的知識を有する職員の活用等の協力体制の構築を図ること。
7、これらの施策を実効性あるものとするため、障がい者スポーツも含めたスポーツ行政の一元化に向け、スポーツ基本法の基本理念にのっとったスポーツの推進計画の策定や、スポーツや健康づくりに関する施策を総合的に推進する組織の設置について検討すること。
以上のとおりであります。
終わりに、スポーツは、する者だけでなく、見る者にも夢と感動、希望を与え、そして、生きる力を育み、次代を担う子供たちの体力向上や人格形成に重要な役割を果たし、健康で活力に満ちた地域社会の構築にも寄与するものであることから、県当局においては、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら、本県のスポーツ振興と県民の健康づくりに向けた取り組みを強力に推進することを切望し、スポーツ振興等調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) お諮りいたします。各調査事件については、これをもって調査を終了したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(千葉伝君) 御異議なしと認めます。よって、各調査事件については、これをもって調査を終了することに決定いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午後2時28分 休 憩
出席議員(44名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
26  番 五日市   王 君
27  番 喜 多 正 敏 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 嵯 峨 壱 朗 君
30  番 工 藤 勝 子 君
31  番 工 藤 勝 博 君
32  番 及 川 あつし 君
33  番 小田島 峰 雄 君
34  番 大 宮 惇 幸 君
35  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時47分 再 開
〇議長(千葉伝君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第37 発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書
〇議長(千葉伝君) 日程第37、発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書を議題といたします。
提出者の説明を求めます。岩崎総務委員長。
〔総務委員長岩崎友一君登壇〕
〇総務委員長(岩崎友一君) 発議案第1号につきまして、総務委員会提案でありますので、委員長であります私から提案理由の説明を行います。
発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書でありますが、今期定例会において、請願陳情受理番号第148号安全保障関連法案の速やかな廃案を求める請願、請願陳情受理番号第149号若者を戦場におくる安全保障法制に反対する意見書提出を求める請願及び請願陳情受理番号第150号憲法違反の安全保障関連2法案(国際平和支援法案、平和安全法制整備法案)の廃案を求める請願が総務委員会に付託され、採択と決定したことに伴い意見書を提案するものであります。
その趣旨を御説明いたしますと、安倍内閣は、今国会に、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を前提として、武力攻撃事態法、PKO法など、既存の10法を一括して改正する平和安全法制整備法案と新法の国際平和支援法案を提出しました。
これらの法案には、国際平和のために活動する他国の軍隊等への後方支援活動等について自衛隊が活動できる地域が拡大され、武力行使の一体化につながりかねない内容が盛り込まれております。
各種世論調査では、国民の多くは政府の説明が不十分であるとしており、去る6月4日に開催された衆議院憲法審査会においては、憲法学の専門家3名を招いて参考人質疑が行われましたが、集団的自衛権の行使を容認する解釈及びこれらの法案については、与党が推薦した参考人を含む全ての参考人から憲法違反であるとの指摘がなされたところであります。
日本国憲法は、過去の悲惨な戦争と専制政治を反省し、人々の平和と民主主義の渇望の中から生まれ、国民主権主義、人権尊重主義、平和主義を基本原理とし、権力保持者の恣意によることなく、法に従って権力が行使されるべきであるという立憲主義を規定したものであります。
現在、衆議院平和安全法制特別委員会において審議されていますが、これまで、憲法上集団的自衛権の行使は許されないとしてきた歴代の政府見解を一内閣において変更することは、立憲主義に反するものと言わざるを得ません。
以上のことから、本意見書案において安全保障関連法案を廃案とするよう、国に要望しようとするものであります。
以上をもって、提案理由の説明を終わります。
〇議長(千葉伝君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書は、委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたします。
これより討論に入ります。
討論の通告がありますので、発言を許します。及川あつし君。
〔32番及川あつし君登壇〕

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