平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
通告に従いまして一般質問を行います。今任期最後の登壇となりますが、よろしくお願いいたします。
初めに、復興対策についてお伺いします。
去る5月に、平成28年度以降の復興事業費の一部について、新たに地元負担を導入する国の方針案が示され、県として被災関係自治体とともに、全額国負担の継続を求めてきたわけでありますが、全額国負担の声は届かず、結果、1%から3%、県負担約73億円、市町村負担約16億円、合わせて約90億円の地元負担を強いる厳しい方針が6月3日公表され、18日に枠組みが示された後、24日の復興推進会議で正式決定されました。
被災地の現状を踏まえない国の理不尽な姿勢と竹下復興大臣の、全てを与えられるより一部のリスクを負うことで、人間は本気になる。被災地は必死でやっているが、さらに必死のギアをもう一段上げていただきたいと被災地の自立を殊さらに強調し、被災地がまるで何も努力せずに国、国と頼るなと切り捨てるような発言であり、このような政府の姿勢に強い憤りを禁じ得ません。
こうした事態を踏まえ、改めて本県の国への対応がどうであったのかを含めて確認をしたいのですが、知事は6月3日の臨時記者会見で、三陸沿岸道路、任期付職員支援、社会資本整備総合交付金事業が措置されたことなどを取り上げ、国の方針について一定の評価をしたいですと言い切りました。一部負担拡大は残念というコメントとともに、新たな財政負担割合にも配慮がなされたと、事実上の国の方針の受け入れ表明と、それまでの全額国負担を求める旗をおろし、ある意味で了解したという印象を国に対して早々に与えてしまいました。
知事の判断と具体的な方針、あるいは姿勢転換について、県内被災自治体との連携において、果たして適切な判断に基づくコメントとタイミングであったのか、疑問を感じます。
そこで、まずは、この一連の経緯と全額国負担を事実上断念したともとれる国への評価について、足並みをそろえていた被災自治体の意向も踏まえたものであったのでしょうか。当日の国の説明会を踏まえた市町村との意思疎通を図り、その後の日程に向けた対応方針をしっかりと組んだ上で会見の対応に当たるべきではなかったのかという点について伺います。
次に、今日的に示されている国の方針についての所見と今後の対応について何点か伺います。
自治体負担に伴う復興計画とその事業のおくれが懸念される中で、何よりもそのダメージは厳しい避難生活の継続を余儀なくされ、再建、再生が遠のくという被災者に与える心身への影響が心配されます。1分1秒でも早く、せめてもとの暮らしを取り戻したいと願う被災者の思いを国は踏みにじるものであり、平時に比して、それでも大幅な軽減だと言ってはばからない政府の姿勢に対し、通常ではない被災地の実相と、まさに係数にあらわすことのできない問題がそもそも被災地にはあるということを伝え、復興大臣を初めとする現政権の被災地に対する認識をよくよく改めていただく必要があると思いますが、知事はどのような御認識か、そして国、政府に対して今後どのような対応をしていくのか伺います。
政府方針に基づく自治体負担の拡大による県及び被災市町村の財政に与える影響はどうなのでしょうか。一般会計等による既存事業へのしわ寄せも懸念されますが、そうした影響に対して、県としてどのように対策を講じていくのか伺います。
また、県復興計画は平成30年度までの計画期間とされており、一方、国では、次年度以降の新たな財政措置の方針とあわせ、平成28年度から平成32年度までの5カ年を対象とする復興・創生期間が示されましたが、これらを受けて、本県の復興計画の期間や内容等への影響はあるのでしょうか。現行の復興計画による事業の実施見通しについて伺います。
次に、保健医療対策についてお伺いします。
現行の県保健医療計画は、平成25年度から平成29年度を計画期間としており、今年度はその中間年となっています。本計画では、疾病別、事業別の医療提供体制の整備に向けた取り組みなどを盛り込んでいますが、精神疾患の医療体制及び在宅医療の体制に係る目標項目の達成状況と今後の取り組みの方向性について、地域の現状を踏まえた上でお示し願います。
2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護サービスの需要拡大が予測されることから、国は昨年、医療介護総合確保推進法を制定し、医療については、構想区域ごとの医療需要の推計を踏まえた将来の医療提供体制に関する構想を定めることとしたところです。県では、この構想策定に向け、本年4月に県医療審議会への諮問を行い、同審議会計画部会において、国のガイドラインを踏まえた具体的な検討を行うものと承知しています。
7月9日には第1回計画部会の開催が予定されておりますが、4月27日に行われた県医療審議会においては、具体的にどのような質疑、意見が交わされたのか、その特徴的な点について伺います。
そして、本年6月15日、こうした地方の構想審議がこれから始まるという段階において、政府は、有識者による医療費適正化のための専門調査会を開催し、2025年時点の望ましい病院ベッド数に関する報告書を発表しました。
報道によると、最も低い推計によっても全国41道府県でベッドが過剰になるとし、削減を求めるとしています。本県の推計についても、削減幅が20%以上とされ、平成24年の既存病床数は1万3、889床で、基準病床数1万1、157床に対して2、732床上回っている状況にあり、今回の報告書に基づいた場合、約4、400床の削減が想定されていますが、実際の影響をどう見ているのか伺います。
次に、奨学金養成医師の配置計画についてですが、県は、今日の慢性的な医師不足に対応するために各種医師確保対策を講じてきましたが、依然として厳しい医師不足が続いています。近年の医療の高度化、専門化による医療業務の増加や初期臨床研修制度の導入により、大学では医局員が減少し、地域の中小医療機関での医師不足が深刻さを増している中で、国は医学部定員抑制策を転換し、平成20年度から既存医学部の入学定員を拡充してきました。
このような情勢のもと、本県も従来の奨学金制度の拡充や新設を行い、現在の県医師修学資金、医療局奨学金、市町村医師養成修学資金の制度を生かし、合計55名の貸付枠により医師の養成確保に努めています。そして、平成20年度に貸与を受けた奨学生が平成28年度以降、順次、従事対象医療機関に配置されることとなるほか、今後、最大300名前後の養成医師の配置が見込まれる中で、円滑に地域の医療機関に配置するため、県地域医療対策協議会のワーキンググループが昨年2月に報告書をまとめ、ことし2月には、奨学金運営主体などで配置調整に関する基本協定が締結されました。
5月18日に行われた第1回県奨学金養成医師配置調整会議では、平成28年度から県内医療機関に配属される1期生配置調整案について、平成28年1月をめどに方針を決定するとし協議がスタートしています。
そこで、改めてこの奨学金養成医師の配置の考え方などについて伺います。
第1は、そもそも養成医師の配置対象となる公的医療機関は、協定の基本方針第2条第2号で、本県の奨学金制度条例及び岩手県国民健康保険団体連合会規則に定める公的病院等とされ、同条第3号の公的基幹病院である県内初期臨床研修病院を含む61施設が奨学金返還免除となる勤務対象医療機関となっています。これら61施設以外にも、救急医療など公的な役割を担う医療機関があると思いますが、配置対象の考え方とその根拠について伺います。
第2は、基本方針には第4条第2項の配置調整方法で、配置調整会議は各市町村及び義務履行対象施設の意見を聞きながら配置調整案を決定するとありますが、市町村から意見聴取を行う趣旨と手続についてお示し願います。
第3に、各市町村としても、地域医療の体制を確保するために、この奨学金養成医師の配置調整のあり方と決定の行方について高い関心を持っています。厳しい財政事情をやりくりして市町村医師養成修学資金の拠出に対応しており、当該地区内及び医療圏における医療機能や地域病院の実態として、医師不足と診療科偏在の解決への一助になればと期待も大きいのであります。しかし、義務履行対象施設が全て公的病院等という区分で定義されることにより、地域の主要な医療機関でありながら、民間の医療機関は対象とされておりません。
そこで、地域事情を考慮し、今後の市町村における官民の医療機関が一体となった包括的な医療サービス提供体制の構築に支障を来すことがないよう、対象医療機関の枠組みについてさらに追加的検討をすべきでありますが、考えを伺います。
次に、地域診療センターの経営実態と地域医療対策についてですが、平成21年4月、岩手県立病院等の新しい経営計画により無床化となった五つの地域診療センター、平成23年4月、さらに無床化となった沼宮内地域診療センターを合わせ、現在、県立病院として六つの無床の地域診療センターが存在します。それぞれ基幹病院の附属という位置づけのもとで、いわゆる医療過疎地と言われる地域の重要な医療機関としてそれぞれの地域性を踏まえた特色ある対応などを進め、当該自治体との連携や施設の有効活用などを図りながら運営されております。
地域診療センターの運営状況として患者数のここ4年の推移を6センター合わせて見た場合に、平成25年度までは全体で8万人台半ばで推移していますが、平成26年度には、総じて患者数が減って8万人台を切っています。特に平成26年度で約5、000人近い患者数が減少した要因についてどのような分析がされているのでしょうか。医師や診療科等の不足や偏在による影響はなかったのか、具体的な内容について伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
また、センターとして、紫波、九戸、住田、大迫では、地域に密着した訪問診療対応を初め、沼宮内では、岩手町との連携による検診事業などにも貢献されていますが、地域医療を支える保健福祉事業について、2025年問題への一体的な対応がますます求められる中で、今後策定される地域医療構想を踏まえ、これら地域診療センターの役割をどのように捉え、その充実強化に向けて取り組まれていく考えなのか伺います。
さらに、現在、施設の有効活用策として、3施設の一部が特別養護老人ホームに利用されていますが、保健福祉との連携という観点から、患者が一貫した治療方針のもとに、切れ目のない医療介護サービスを受けることができるよう、在宅療養患者や施設入所者等の一時受け入れ態勢の確保、在宅医療連携拠点のチーム連携の機能として、また、在宅や介護の連携体制の構築に伴い、課題となっている退院調整の役割を担うため、地域診療センターの入院機能の再開についても検討すべき時期にあると思いますが、所見を伺います。
次に、教育環境の改善についてお伺いします。
小中学校の教職員の多忙化解消に向けた対策については、これまでも少人数学級の拡充を初めとする論議が行われる中で、少人数学級の推進と義務教育国庫負担制度の負担割合の復元について、毎年、国に対し意見書を上げ要望を展開しているところでありますが、今、現場では、改めて教職員の多忙化がますます深刻になっているとして、その解決を求める声が強まっています。
現行の教職員の配置実態とともに、多忙化の問題の要因をどのように認識しているのでしょうか。また、現場からはどのような意見が上がっているのか、特徴的な課題について明らかにしていただきたい。
また、その意見を踏まえ、課題解決のための対応策について、市教育委員会等を初め教育関係団体と協議を行っているのか、県として多忙化の解消に向け、どのような取り組みがされているのか伺います。
特にも、学校規模が小さい学校ほど教職員配置にも限りがあるため、1人の教職員に係る分掌業務の負担が大変だと言われています。その実態を把握し、必要な教職員の確保に向けて市町村とも連携しながら、サポート要員等の拡充について県としての支援を含めて検討すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、インクルーシブ教育と現場の課題についてですが、今、学校現場では、いわゆる多様な子供たちがそれぞれの事情等を抱えながら、地域の学校や通常学級での教育環境を望み、特別支援学校や特別支援学級への就学より、ともに学ぶ教育環境を望む保護者の意向にも沿いながら対応していると聞きます。子供たちにとっても、できる限り地域の学校生活で互いの存在と立場を理解し、思いやりや助け合う心を育む機会にもなり、大切な教育の機会とも言えるものではあります。しかし、一方では、そうしたハンディキャップをカバーし、適切な指導が確保されるためには、ハード面での施設整備とともに、マンパワーによる支援が最も重要であります。
県内の小中学校の特別支援学級における平成26年度の障がい種ごとの児童生徒数と学級数を資料としていただいており、小中合わせて在籍児童生徒数が1、698人、学級数が632学級ということですが、在籍児童生徒数と学級数の推移と今後の傾向をどう捉えているのか伺います。
また、いわゆるグレーゾーンと言われる注意欠陥多動性障害等が疑われる児童生徒について、通常学級で指導する場合に、状況によってはその子にかかり切りとなり、学級運営に支障を来す場合などの事例が現場の声として伝わってまいります。
現行の支援員の配置やソーシャルワーカーの対応では、市町村の取り組みも限定的なものであるため、必要なときに必要な支援が行き届かないなど、最終的には担任への負担が増している重大な要因となっています。子供たちも十分な支援が受けられないまま、小学校から中学校にそのまま持ち上がっていくと、さらに深刻になるとも言われています。
インクルーシブ教育の必要性は誰もが認めている一方で、その受け皿である現場の実態は、マンパワーの体制が追いついていないという指摘について、教育委員会ではその実態をどう把握し対策を講じているのか伺います。
次に、公共交通対策についてお伺いします。
まず、JR大船渡線の復旧対策についてですが、本年6月5日、大船渡線沿線自治体首長会議が東京で開催されました。実に平成26年2月に開催された復興調整会議以来の動きとなりました。
事前の議案等説明会においては、この動きについて重要案件としての報告もなく、報道を通じた情報だけが、我々に伝えられているものであります。
今回の会議招集は、どのような経緯の中で開催されることとなったのか。なぜ、今日まで復興調整会議を含む協議が停滞をしていたのか、これまでの県の対応も含めてお伺いします。
また、この会議において、結果として、どのような内容について協議され今後に向けた方策が明らかになったのでしょうか。今後の方針もあわせて伺います。
次に、JR山田線の復旧対策についてですが、JR山田線の今後の復旧については、本年6月12日の山田線沿線市町首長会議の結果が報告され、復旧と開業への対応方針が示されました。
平成30年度までの全線一括開業を目指し、さらに復興まちづくり事業との調整を踏まえるなど、沿線自治体の意向を明確に示す調整が図られていることについては理解いたしました。しかし、三陸鉄道への運営移管に向けての対応については、30億円の移管協力金の具体的使途について、2月定例会では、赤字想定額の補填、運賃差額の補填、災害時、施設、設備更新時の費用負担の3点を内容とするものの、全く決まっていないとのことでありました。
そこで、運営移管に係る三陸鉄道と県及び沿線自治体の調整協議が具体的に今後どのような予定のもとで行われるのか伺います。また、その際の調整課題として、移管協力金に係る先ほどの3点に加えて、JR東日本から三陸鉄道への運営移管に伴う自治体財政等への税制面の影響なども課題として検討が必要ではないかと思いますが、県の認識について伺います。
次に、岩手国体開催時の輸送力の確保等についてお伺いします。
来年10月1日から11日まで岩手国体が県内各地で開催されますが、選手団、大会関係者、一般観戦者などの輸送手段のかなめとなるバスについて、県では、大会期間中延べ4、409台、輸送がピークとなる開会式当日には569台必要と試算しています。それに対して、現段階での開会式当日の確保見込みが462台と、100台以上が不足しており、国体時の輸送力確保のため早急に必要台数の確保を図り、万全を期すべきではないかと関係者の声が寄せられています。改めて、現状における実態と対応について伺います。
また、国体開催期間中とその前後を含む期間において、選手団、観戦者等の観光対策においても、あらかじめ観光バスの確保、鉄道や路線バス等の臨時便の増発などについて、関係機関等と連携して対応策の検討を進めるべきと考えていますが、いかがでしょうか。
最後になりますが、人口ビジョン・ふるさと振興総合戦略についてお伺いします。
本県の最重要課題として、国のまち、ひと、しごと創生法を踏まえ、岩手県人口ビジョン(素案)が示されました。今後、さらに深堀りの議論がされて施策の具体化を期待するものであります。そこで、素案に対する意見として幾つかのポイントについて指摘をし、考え方を伺いたいと思います。
第1は、岩手県人口ビジョン(素案)において、ポイントになる事項として、ふるさと振興の三つの柱のうち、(1)の項で社会減の要因に触れて、若者の社会減を食いとめるには、単なる雇用の量ではなく、質を伴う仕事を確保していく必要があると明示。そして、県外転出は、都会へのあこがれという特有の感情だけではなく、仕事に相応した賃金や安定した雇用形態、やりがいの持てる仕事が地方で得られない点なども指摘しています。しかし、後段のまとめにおいて、岩手にはチャレンジできる環境があるとし、若者が仕事にやりがいや生活に満足できる所得の向上などにより、多くの方々が岩手に向かう人の流れを生み出す必要があると結んでいますが、岩手における最大の課題である安定した雇用形態に対する考え方、すなわち、我が会派で再三にわたり指摘している正規雇用率の低迷との関係に触れていないのであります。
前段の課題認識では、安定した雇用形態という課題を示しながら、結論では抜けている点について、対策への本気度という観点からもその真意を伺いたいと思います。
第2は、(3)の項で、我が県のふるさとを支える基盤について、地域医療のネットワークを生かした医療提供体制や高い図書館普及率など、全国にまさる社会環境が整備されていますということですが、県民の実感として、高い医療提供体制に満足しているような実態なのでしょうか。心豊かに安心して暮らしていけるよう高めていくと結んでいますが、どうもこの分析を素直に受けとめることができません。医師不足や診療科の偏在について、盛岡医療圏を除く他の医療圏では不安が先行しています。自殺死亡率が全国最悪という不名誉な数字が発表され、図書館普及率も利用度合いがどうなのか示されないなど、よくその実態がわからないのです。
学校図書における司書の配置は、6月2日、文部科学省の調査発表によると、全国平均に対して本県は50%以下というありさまで、余りにも実態と認識が乖離しているのではないでしょうか。このような認識で果たしてよいのかと疑問を持ちます。改めて、こうした認識について伺います。
第3に、10の基本姿勢が掲げられていますが、三つの柱との整合性として、特に、先ほどの三つの柱の(1)に関する仕事や雇用の対策について、10の基本姿勢のどこにも関係する方策が見えないということを指摘しておきたいと思います。
いずれ、人口ビジョン(素案)の前書きにもありますが、ふるさと振興総合戦略の策定のための展望であるとしていますから、こうした分析や課題の認識がしっかりと整えられていなければ、戦略そのものが誤った認識のもとに構築されます。その意味で、しっかりと検討をしてほしいと思います。
これらの指摘については一部の中身ですが、最後に、このビジョンのふるさと振興の展開として表現されています、さまざまな生きにくさをしっかりと受けとめ、どのように生きやすさに転じていくのか、知事の所見を伺いたいと思います。
以上で登壇しての一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興事業費の地元負担拡大への対応についてでありますが、3月に安倍総理が、これまでの取り組みの総括と今後の復興支援の枠組みの策定を指示して以降、県、市長会及び町村会は、4月15日に合同で要望を行い、国に対し被災地の実情を訴えたところであります。
また、5月に入り、国が復興交付金効果促進事業などへの自治体負担導入を検討する方針を示して以降、復興局長による沿岸市町村長の訪問、さらには、私自身が沿岸市町村長と意見交換をし、5月26日、政府の復興推進委員会で、市町村の意見を踏まえた本県としての意見を表明したところであります。
国が6月3日に示した自治体負担の対象事業及び水準に対しては、市町村と一緒に訴えてきた内容が一部認められたこと、引き続き被災自治体からの意見を聞いた上で最終的な方針を決定する方向が示されたことについては、沿岸市町村長との意見交換等を踏まえて、一定の評価を行うとともに、自治体の負担拡大ができるだけ少なくなるよう、引き続き市町村と連携して対応していくことを表明したところであります。
その後も、政府に対して沿岸市町村復興期成同盟会との連名による要望や、市長会、町村会との合同要望を行うなど、一連の対応については、市町村と十分に連携しながら対応したところであります。
次に、国の被災地に対する認識についてでありますが、今回の地方負担拡大を行う理由として、国では、他の都道府県で実施されている同種の事業や、阪神・淡路大震災など過去の大災害でも、自治体が一定の負担をしていることとの制度的なバランスを挙げています。
しかし、今回の東日本大震災津波は、これまでの災害と異なり、大規模な津波災害ということで、被害規模が人的にも物的にも非常に大きかったことや、被災した区域が東日本沿岸一帯を中心として極めて広範な地域に及んでいること、浸水地域には、原則として住宅等をそのまま再建することができないことから、高台への造成移転や地盤のかさ上げを行わなければならないなどの特殊性があり、さらに、被災した市町村や地域では、それぞれ被害の状況や今後の復興に向けた条件などが異なっています。
このため、これまでも政府に対して、ただいま申し上げたことについては説明を行い、被災地、そして被災者の皆さんに寄り添う形での配慮をお願いしてきたところであります。
今後も、市町村と連携しながら、政府に対して、引き続き被災地の実情、被災者の実情をしっかりと説明し、市町村、県、国が一体となって復興に邁進していきたいと思います。
次に、ふるさと振興の展開についてでありますが、本県の人口減少は、出生率の低迷や若年層を中心とした県外転出が相まって発生しており、背景には、首都圏との経済格差や非正規雇用の拡大などの雇用情勢の悪化、育児や教育に要する支出の上昇、出産、育児と就業の両立が困難であるなどと指摘されており、こうした生きにくさを生きやすさに転換しなければなりません。
そのため、県としては、さきに公表した人口ビジョンの素案において、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出し、岩手への新しい人の流れの創出を目指すこと、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指すこと、医療・福祉や文化、教育など豊かなふるさとを支える基盤の強化を進め、地域の魅力向上を目指すことの三つをふるさと振興の柱に据えたところであります。
今般公表したふるさと振興総合戦略の骨子案をたたき台に、仕事の創出や子育て支援、魅力あるまちづくりなどに関し、県議会を初め、有識者会議や各種審議会、市町村の方々から意見をいただきながら、総合戦略をつくり上げ、県民総参加でふるさと振興を展開していきたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) まず、地方負担の拡大に伴う財政的な影響についてでありますが、今般、国が決めた今後5年間の復興事業の枠組みにおきましては、本県では、県と市町村に約90億円の新たな負担が生じると見込まれておりますが、あわせて、これらの負担に対しましては、地方債の発行を認めるという方針も示されております。
また、国では、地方負担の対象とならない復興交付金の効果促進事業の一括配分について、今年度、市町村に対し、追加の配分も予定されております。
今回の地方負担が被災自治体の財政に与える影響については、団体によって必ずしも同じではありませんが、今後の具体的な対応につきましては、それぞれの団体の予算編成過程の中で検討が行われるものと考えております。
今後も、市町村に対しましては、その事情を伺いながら、必要な助言等を行い、復興におくれの出ることのないよう進めてまいります。
次に、国の復興・創生期間の県復興計画への影響についてでありますが、本県の復興計画では、迅速な復興の推進を図るとともに、県の総合計画である岩手県民計画の計画期間が平成30年度までとなっていることとの整合性を勘案し、平成23年度から平成30年度までの8年間を全体計画期間としております。
一方、国では、復興期間を10年としており、今般、平成28年度からの後半5年間を復興・創生期間と位置づけ、その財源フレームにおいては、本県が国費により措置されるべき財源として見込んでいた、ほぼその全額を国費対象額として措置されたところであります。
県では、第2期復興実施計画の中間年である今年度を本格復興邁進年と位置づけ、延べ342事業に取り組んでおりますが、この復興実施計画の推進に当たりましては、毎年度、被災地の課題や国の制度変更等に対応し、新たな事業を加えるなど、必要な見直しを行いながら柔軟に推進しております。
平成31年度以降の復興に関する計画の取り扱いにつきましては、復興の進捗状況や次期総合計画の策定等を勘案しながら、総合的に検討してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、保健医療計画の精神疾患及び在宅医療分野の達成度についてでありますが、精神疾患分野の平成29年度目標に対する進捗状況を目標項目ごとに見ますと、入院を要しない軽度患者の精神科救急受診率については、76.0%まで低下させる目標値に対し、平成25年度実績で76.3%まで改善されています。
1年未満入院者の平均退院率は、目標値79.3%に対し平成25年度は72.2%の実績であり、在院期間5年以上かつ65歳以上の退院患者数は、地域での受け入れ先の確保や介護サービスとの連携などに課題があったことから、目標値159人に対して平成25年度実績は64人にとどまったところです。引き続き地域生活支援広域調整会議等事業などにより、精神障がい者の地域移行や地域定着支援に取り組んでまいります。
また、在宅医療分野では、在宅等死亡率は、目標値18.0%に対し平成25年度実績で19.0%と目標を既に上回っておりますが、在宅医療連携拠点数は、県内9圏域での設置目標に対し、平成25年度時点では2圏域のみの設置にとどまったところです。
現在は、7圏域で拠点が設置されていますが、地域によって取り組みに差がありますことから、今後も、未設置の地域などを含め市町村の取り組みを継続して支援してまいります。
次に、地域医療構想の策定についてでありますが、本年4月27日に開催された岩手県医療審議会では、県から地域医療構想の策定について諮問するとともに、構想策定の背景や趣旨、策定プロセスなどについて説明を行ったところです。
委員からは、構想区域の設定の考え方や地域の現状を踏まえた在宅医療への移行、総務省が策定した新しい公立病院改革ガイドラインとの関係などについて質疑があり、また、パブリック・コメントの実施などについて御意見をいただきました。
今後、これらの意見や同審議会医療計画部会における審議を踏まえながら、構想の策定に取り組んでまいります。
次に、病院ベッド数に関する報告書についてでありますが、先般、内閣官房の専門調査会が公表した将来の必要病床数等は、厚生労働省令で定められた算定式を用い、一定の条件のもとで試算された参考値であり、今後、地域医療構想の策定の中で、入院患者の県外流出と県内流入をどう見込むかにより、必要病床数等は変動するものであります。
地域医療構想の策定後、その達成に向けては、構想区域ごとに設置する協議の場において医療関係者等が協議を行い、その協議を踏まえ、不足することが予測される医療機能への転換などに医療機関が自主的に取り組むことが基本となります。
このように、地域医療構想の取り組みは、2025年を見据え、今後10年程度をかけて、地域の実際の病床の状況と構想で定める目指すべき医療提供体制が次第に収れんされ、不足する機能の解消や患者ニーズとの整合が図られていくよう取り組んでいくものであり、直ちに急激な病床削減を行うものではないと承知しております。
次に、奨学金養成医師の配置対象となる公的医療機関についてでありますが、公的医療機関は、医療法に基づき、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な地域医療を提供する役割を担っておりますが、本県では、慢性的に公的医療機関の医師が不足している状況にありますことから、その解消に向けて三つの奨学金制度が設けられているところです。
奨学金養成医師の義務履行対象施設は、それぞれの運営主体の実情に応じ条例や実施規則で定められており、医師修学資金では、公的病院等、医療局奨学金では、県立病院等、市町村医師養成修学資金では、市町村立病院等となっているところです。
次に、配置調整における市町村からの意見聴取についてでありますが、奨学金養成医師の配置に当たっては、それぞれの市町村の医師不足の実情などを踏まえた上で、県内全体のバランスを考慮し、調整を進める必要がありますことから、各市町村の意見を聞くこととしているものです。
具体的には、市町村医師養成修学資金の運営主体である国民健康保険団体連合会が取りまとめる市町村の実情や意見に加え、市町村から県に対する地域医療に関する要望等も踏まえ、奨学金の運営主体などで構成する奨学金養成医師配置調整会議において、配置調整案を決定することとしております。
次に、義務履行対象施設への医師の配置についてでありますが、各地域において、公的医療機関と民間医療機関が、それぞれの役割分担と連携のもとに地域医療を担っており、そうした中で、多くの民間医療機関が、救急医療など政策医療を行っていることは承知しています。
一方、それぞれの奨学金制度は、公的医療機関の医師確保を目的として創設されたものであり、公的医療機関が地域医療に大きな役割を担っている本県としては、まずは公的医療機関に医師を配置し、民間の医療機関とも連携しながら、広域的な医療提供体制を充実することが、県民の安心につながるものと認識しております。
今後、奨学金制度を運用する中で、市町村や国民健康保険団体連合会から義務履行対象施設の拡大の意見などが出された際には、そうした意見を踏まえつつ、県全体の医療提供体制を十分に考慮した上で、奨学金養成医師配置調整会議において検討を進めてまいりたいと考えています。
〔医療局長八重樫幸治君登壇〕
〇医療局長(八重樫幸治君) まず、地域診療センターの患者数が減少した要因についてでありますが、県内6カ所の地域診療センターにおける患者数は、平成25年度8万4、582人に対して、平成26年度は7万9、706人であり、4、876人の減少となっております。
診療体制については、非常勤医師による診療応援回数が減少した地域診療センターが一部あるものの、常勤医師数及び診療科目数に変化は見られないものであり、患者数減少の要因としては、処方日数の伸びによる通院回数の減少や地域で民間医療機関の開業があったことなどによるところが大きいものと考えております。
次に、今後の地域診療センターの役割についてでありますが、平成25年12月に策定した県立病院等の経営計画においては、20病院、6地域診療センターでの現行体制を基本とし、県立病院のみならず、福祉、介護を含めた地域との連携を進めながら、県民に良質な医療を持続的に提供することとしており、地域診療センターは、プライマリーケアなど地域住民に身近な医療を提供する役割を担うこととしております。
医療局としては、今年度策定される地域医療構想を踏まえ、必要に応じて経営計画の見直しを行うことも想定しており、地域診療センターについては、基本的に、引き続き地域のプライマリーケア機能を担うこととし、限られた医療資源の中で、他の医療機関との役割分担と連携をさらに進めながら、その地域で求められる医療を提供してまいります。
次に、地域診療センターの入院機能の再開についてでありますが、県立病院における危機的な医師不足の中、限られた医療資源のもとで良質な医療を提供するために地域診療センターの病床を休止したところでありますが、現在においても医師不足の状況に変わりがないことから、地域診療センターの入院機能の再開は、依然として難しい状況であります。
県立病院の医師不足解消については、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘活動、臨床研修医の受け入れ拡大に継続して取り組むとともに、県奨学金養成医師の効果的な配置などに努めることとしているところであり、今後とも、医師不足解消にしっかり取り組んでまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) まず、JR大船渡線の首長会議の経緯等についてでありますが、6月5日に国土交通省が開催した大船渡線沿線自治体首長会議は、これまでの復興調整会議での議論を踏まえつつ、JR大船渡線の復旧方針について、よりハイレベルでの協議を行うことを目的に開催されたものです。
県としては、平成26年2月以来開催されていなかった復興調整会議を早期に開催するよう国に求めてきたところであり、首長による協議の場の設置を求める沿線自治体からの声も受けて、出席者を首長等に格上げした会議として開かれることになったものと認識しております。
次に、協議の内容等についてでありますが、JR東日本からは、乗客の安全確保等の観点からルート移設が必要であること、復旧費の自社単独負担は難しいこと、鉄道とBRTのサービスレベルの比較、BRTの運行ルートや新駅設置などの取り組み状況について説明があったものです。
また、出席者からは、原則としては鉄道復旧が望ましいというのが地域の立場であること、営業主体が復旧方法等についてきちんと考え方を示すべき、まちづくりとの関係からなるべく早く方向性を決めるべき等の意見が出されたところであります。
次回の首長会議は今月下旬に開催される予定と聞いているところでありますが、復興まちづくりの事業も進んできていることから、これらに支障が生じないよう、沿線自治体の意向も踏まえながら協議の進展が図られるよう対応していきたいと考えております。
次に、JR山田線の復旧対策についてでありますが、6月12日に山田線沿線市町首長会議を開催し、一日も早い全線一括開業を目指す方針を決定したことから、現在、移管協力金や車両の提供時期、方法、復旧する鉄道施設の仕様等について、関係者間で協議を行っているところであります。
このうち移管協力金の使途については、まずは、三陸鉄道の収支計画策定の前提となる山田線に係る三陸鉄道の組織体制や要員数、施設、設備更新計画、運賃差額補填の内容等を検討する必要があると考えているものであります。
また、自治体財政への税制面への影響については、JR東日本から沿線市町が鉄道資産を譲り受けた場合においては、当該鉄道資産に係る固定資産税が減収となりますが、南北リアス線においても鉄道資産を沿線市町村が所有しており、三陸鉄道への経営支援の観点から、山田線も同様となるものと認識しているところであります。
次に、人口ビジョンの雇用形態に関する戦略への反映についてでありますが、本県の有効求人倍率は、平成25年5月から1.0を超える状況が続いている一方、依然として社会減が続いており、より質を伴う仕事を確保し、社会減をとめていく必要があると考えております。
このため、さきに公表した人口ビジョン(素案)では、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出することをふるさと振興の三つの柱の一つに据え、まずは、県がすべきこととして、県内企業の労働生産性を上げる取り組み等を掲げたところであります。
また、議員御指摘のとおり、仕事の質の向上には、労働生産性の向上等に加え、正規雇用率を高めることが重要であると考えております。このことから、6月に行った政府予算要望においても、正社員雇用の拡大や非正規雇用労働者の正社員への転換の促進など、地方の雇用環境の改善に関する制度の拡充について強く訴えたところであり、こうした取り組みの必要性について、8月以降にお示しいたします、ふるさと振興総合戦略の素案に盛り込んでいきます。
次に、社会環境に対する認識についてでありますが、社会環境としての県立病院や図書館については、ハード面の全国比較において高い普及率を有しており、こうした優位な点を生かし、さらに地域の魅力の向上を目指すこととしているものであります。
一方、議員御指摘のとおり、医師不足や自殺率など、ソフト面においては、まだまだ本県が取り組むべき課題は多いと認識しており、総合戦略のたたき台においても、医療人材の確保や自殺対策の強化を主な取り組みとして盛り込んでおります。このほか、基準に基づいた司書教諭の配置や県立図書館の利用率の向上に向けた各種企画展の開催など、ソフト面の充実にも努めているところであります。
県といたしましては、さきに掲げた県立病院ネットワークなど、本県が持つ優位な部分を生かしながら、さらに、御指摘のような課題を解決していき、魅力ある地域をつくり上げていきたいと考えております。
〔国体・障がい者スポーツ大会局長岩間隆君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(岩間隆君) 国体参加者に係る輸送力の確保についてでありますが、県が行う開閉会式輸送、会場地市町村による競技会輸送とも借り上げバスが主要な輸送手段であることから、必要な台数を県において確保することとしてございます。
昨年度は、国体期間中の必要台数を日別に試算したほか、岩手県バス協会の協力を得て、県内事業者にバスの提供を働きかけるとともに、青森、秋田、宮城、山形の各県バス協会に協力を依頼し、各事業者の提供可能台数を取りまとめたところであります。
現段階では、開会式当日や競技会の初日が集中する開会式翌日において必要台数に達していない状況にありますが、現在、国体期間中を通した必要なバス台数を精査しているところであり、今後、協力を依頼する県外事業者の拡大も視野に入れ、バスの調達に専門的なノウハウを有する旅行事業者等とともに、個々のバス事業者と具体的な交渉を進めていくこととしてございます。
輸送手段としてのバスの確保は、国体及び全国障害者スポーツ大会の開催、運営に不可欠であり、必要台数の確保に向け万全を期してまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) 国体開催時の観光対策についてでありますが、国体の開催は、本県観光にとって誘客やファン拡大の一大契機であり、この機会を生かして、選手団や関係者、観戦者の方々の本県観光地への回遊促進を図るためには、二次交通の確保が重要であると認識しております。
このため、県や市町村、バス協会、鉄道事業者、観光関係者などで構成する、いわて観光キャンペーン推進協議会において、具体的な取り組みについて協議、調整を行っており、鉄道、バスといった基幹的交通網の充実やレンタカー、タクシーなど、小回りのきく交通手段の確保などについて対応を進めているところです。
これまで、同協議会では、県内回遊促進を図るための二次交通の確保策として、内陸と沿岸各地をバス、鉄道を利用して移動する三陸観光応援バスツアーや臨時のリゾート・イベント列車の運行を実施しており、数万人の方々に回遊していただくなど、一定の成果を上げてきたところです。
県といたしましては、国体を契機に、多くの方が岩手のさまざまな魅力に触れ、ファンとなり、何度も訪れていただけるよう、同協議会を母体として、二次交通を初め受け入れ態勢の充実に取り組んでまいります。
 〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) まず、多忙化の要因等についてでありますが、教職員の配置については、いわゆる義務標準法に基づき、その定数の範囲内で各学校に対して人員配置をしておりますが、各市町村、各学校の要望内容も踏まえながら国の加配定数を活用するなどして、各学校のニーズにできるだけ対応した配置に努めてきているところでございます。
各学校に共通する多忙化の要因といたしましては、休日や放課後における部活動の指導、各種の調査研究、諸会議などの事務的業務の増加などが主なものであると認識しているところでありますが、学校訪問等の機会に現場の教職員からの意見を聞き取る際にも、会議の資料作成などの事務的業務の増加についての意見などが出されているところでございます。
次に、多忙化の解消に向けた取り組みについてでありますが、これまで、調査、照会文書や会議、研修の精選などに取り組むとともに、各学校においても、行事等の見直しや職員会議の時間短縮、開催回数の縮減などに取り組んできているところであります。
また、本年1月には、より効果のある具体的な取り組みを推進するため、県教育委員会、職員団体のほか、市町村教育委員会も交えた協議の場を設置し、教職員の負担軽減に向けた具体的な検討を重ねているところでございます。
現在、各学校における労働安全衛生体制の確立を最初のテーマとして取り組んでいるほか、順次、勤務時間の把握や部活動指導などについて検討を進めることとしております。
今後におきましても、引き続き学校現場からの声を把握しつつ、市町村教育委員会とも連携しながら教職員の負担軽減に努め、教職員が児童生徒と向き合う時間の一層の確保に取り組んでまいります。
次に、サポート要員の拡充についてでありますが、県教育委員会におきましては、小規模校、特別支援教育への支援などに国からの加配定数措置を活用するとともに、児童生徒の学習や学校生活の支援には、単独事業であるすこやかサポートや学校生活サポート事業による非常勤職員を配置し、きめ細かな指導を行ってきているところでございます。
今後におきましても、引き続き学校現場の実情を把握しつつ、市町村教育委員会と連携しながら必要な要員の配置に努めるとともに、国に対しても教職員定数の改善の実現を要望するなど、指導体制の充実に努めてまいります。
次に、特別支援学級の在籍児童生徒数等についてでありますが、公立小中学校における特別支援学級は、議員御案内のとおり、昨年5月1日現在で、学級数は632学級、在籍児童生徒数は1、698人となっており、5年前と比べ学級数は165学級増、在籍児童生徒数は357人増となっております。これは、特別支援教育に対する保護者の理解が浸透したことや、学校での受け入れ態勢の整備が進んだことによるものと考えておりますが、当分の間は、この傾向は続いていくのではないかと捉えております。
次に、現場の実態把握と対策についてでありますが、県教育委員会におきましては、市町村教育委員会からの要望を踏まえ、特別支援学級の設置校のうち、児童生徒数や障がいの程度等を考慮し、指導が困難な学校に対し、特別支援教育加配による非常勤講師を配置しているところであります。
特別な支援を要する児童生徒の増加に伴い、マンパワーの充実を一層進めてほしいという声も寄せられておりますので、今後におきましても、市町村教育委員会と連携しながら、学校の実情を踏まえつつ、必要な人員の配置に努めてまいります。
〇22番(木村幸弘君) 御答弁いただきましてありがとうございました。
それでは、幾つか再質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初に知事にお伺いをいたしますが、いわゆる地方負担にかかわる問題でございます。
6月3日に表明されたいわゆる知事の今回の国の対応についての一定の評価という、その発信の仕方でありますけれども、質問で求めた地元、いわゆる被災自治体との意向を十分踏まえたのかというところについては、意見交換を踏まえて一定の評価をその上で行ったと御答弁をいただいたわけでありますけれども、ただ、当日の6月3日の復興庁の事業負担案に対する沿線被災自治体に対しての説明会等が行われて、その内容等については、具体には、直接首長の、その終わった後のマスコミ等の報道を通じたいわゆる感想あるいは意見によって我々は知るわけでありますけれども、一様にして、この沿線自治体の首長からの当時のコメントは厳しい批判の声であったわけであります。そうした批判の声が、それぞれの被災自治体からは上がっていた。しかし、16時から行われた知事の特別記者会見においては、一定の評価ということが打ち出されるわけであります。そうしますと、ここで沿線自治体の首長の方々から厳しい政府方針に対する批判という声が上がっていたものについて、会見の前に知事は、こうした沿線の首長の方々と意見交換をまずきっちりと行った上で、そこで一定の評価という形の方向で意思統一を図ってこの会見に臨まれたということなのでしょうか。まず、その点についてもお伺いしたいと思います。
それから、この一連の6月3日の動きで、3県の知事の動きあるいは反応について、これも他県の情報ですからなかなか私ども直接知る手段がないのでありますけれども、今いろいろ言われている報道圧力に縁がないと思われるN新聞社の6月24日の記事によると、例えば福島県の内堀知事の発言は、明確にこの6月3日の時点で、国の考えは我々と明らかに異なるという厳しい批判の声を上げたわけであります。明確にここで強烈なメッセージを内堀知事は国に対して示しているわけであります。こういう状況が福島県では行われていた。宮城県知事の部分については、具体的にこれらの一連の記事の中で読み取ることができないのでありますけれども、しかし、本県の達増知事が一定の評価という形で下した表現とは明らかに異なって、福島県の知事については、この国の考えは我々と明らかに異なるということのメッセージを伝えました。
その結果、御承知のように、当初、福島県の地元負担は100億円とも言われていたその負担率が、50億円に半減をしたと言われております。相馬福島道路が、全額国費負担に切りかわったという報道などもなされているわけでありますけれども、こうしたことを考えると、先ほどの知事の答弁の中で、いわゆる地元沿線自治体の首長から特にも強い要望があったということで、この間のそれぞれの議員の質問にもお答えをいただいているわけでありますけれども、いわゆる復興支援道路について、なぜ本県はその対象から外されてしまうようなことになったのかという部分で、一元的には国のそうした姿勢そのものに問題があると言いつつも、しかし一方では、しっかりともっと言うべきところ、伝えるべきところ、あるいはもっと強い姿勢で国に対応すべき点もあったのではないかとも見えるわけでありますけれども、そうした点について知事のお考えをお伺いしたいと思います。
それから、奨学金養成医師の配置対象の問題でありますけれども、御答弁をいただいて、全く今の枠組みあるいは考え方から言えばそのとおりなんです。公的病院等というくくりの中で、まずは優先して公的病院にこの奨学金養成医師を配置しようということは理解いたします。しかし、一方で、公的病院等というくくりでくくられてしまったことによって、実はその地域の医療圏が、自治体の中における医療事情によっては、明らかに医師の不足やあるいは診療科の不足によってその医療機能そのものが停滞をしている地域があります。そういった部分については、国民健康保険団体連合会あるいは済生会、あるいは県立病院、あるいは自治体立病院、これらの病院をまず優先するという考え方も一方ではわかりますけれども、しかし、地域のそれぞれの事情によっては、この主要な医療機関として民間医療機関が医師不足や診療科を確保、維持できないために、どんどんその地域における医療機能を停滞させているという事情についても、十分に配慮して検討する必要があるのではないかと思うわけであります。
そこで、はっきり言いますと、例えば中部医療圏、この市町村医師養成事業に係って負担拠出の実績なども一覧としていただいております。3市1町の実態から言えば、まさしく、実は著しい医療機能の低下が心配をされている花巻市が一番拠出をしているんです、この医師養成資金については。そういう実態、事情もあり、いろんなそういった事情を十分に考えていく必要があるのではないかと思いますけれども、改めて、そうしたところへの配慮等を含めたお考えをお聞かせいただきたいと思います。
次に、教職員多忙化の問題でありますが、今、教育長からお答えをいただきまして、さらに具体的に対応していただく方針をお示しいただいたことについては歓迎をしたいと思います。そういう状況の中で、一昨日、城内議員のほうから、いわゆるグレーゾーンにかかわる問題での調査の結果に基づいての御答弁もいただきました。そちらのほうでも、初めて県内で全小中学校の通常学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒に対する実態調査が行われた。この結果の児童生徒数とそして割合が示されたわけでありますけれども、この初めて行われた調査の目的と、そして、この調査の結果をこれからどう生かそうとするのか、そうした点について改めてその考え方をお示しください。
最後に、JR東日本の問題でありますが、JR大船渡線の対応について、非常に今、JR山田線は具体的にようやく動き出したということと比べますと、なぜこれまでこれほどにおくれてきたのかという部分では非常に問題があるなと思っておりました。また、今回の会議招集によって、首長を格上げしてそこで協議を行うという意味がどういう意味だったのか。私は具体的にこのような動きがあったこと、しかも対象が首長であったことを考えると、より具体的な動きという形が示されるものではないかというふうにも期待したわけでありますが、ふたをあけてみますと、従前からの方針をもう一回説明し直すような、そんなレベルで終わってしまっているのではないか。そして、これからだというお話でありますけれども、いかにも国の対応を含め、あるいは県の対応もそうなんですけれども、この協議について本当にこれからどう具体的に進めていこうとするのか、大変心配するわけであります。どんどんその間にBRTという形で既成事実がつくり上げられておりますから、そういったことを考え合わせますと、鉄路復旧を原則とした対応については、よりスピード感を持っての対応と同時に、こうしたこの間の大きく放り出されてきたという表現も適切ではないのかもしれませんけれども、そのような状態にあった今回のJR大船渡線にかかわる協議について、しっかりと県の指導権を持った取り組みが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 6月3日の私の記者会見での発言の内容は、これは私の責任のもとに、また、あくまで私の考えとして述べたものでありますけれども、しかし、その内容については、5月26日の政府の復興推進委員会に出る前の22日に、私が沿岸市町村長の皆さんと意見交換した際の沿岸市町村長の皆さんの意見をもとに、そこから外れないように工夫して述べたものであります。
また、記者会見の内容として、この全額国費としている部分について一定の評価をしたわけであって、そして全額国費ではなく、自治体の負担拡大をしている部分については、これはできるだけ少なくなるようにしていくべきだということを述べているわけでありまして、趣旨としては全額国費というところから退いたわけではありません。
5月26日の政府の復興推進委員会においても、宮城県知事が、自治体の負担拡大という政府の基本的な考え方は認めた上で、あとはそれをどのくらい小さくするかを各県ごとに国と交渉すればいいんじゃないかと、そういうことをこの場で確認しようと5月26日に発言したのに対し、福島県知事とともに、私は、それはできないとはっきり申し上げ、岩手県としては、この自治体の負担拡大ありきの話し合いには応じられないということは確認しているところであります。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 奨学金養成医師の義務履行対象施設についてのお尋ねでございます。
お話のありました市町村の負担金につきましては、市町村医師養成修学資金についてのものでございます。これにつきましては、制度の運営主体であります国民健康保険団体連合会がその市町村の御意見を聞きながら、まずはどういった施設を対象とするかというのを考えていただくことになるかと思います。その上で、先ほども答弁申し上げましたとおり、県全体の医療提供体制を十分に考慮した上で、奨学金養成医師配置調整会議で検討を進めていくことになりますが、県といたしましては、その基本ルールの中では、特に医師不足が顕著である沿岸部等への優先配置を考慮するといったことも掲げております。
こういった方針のもとに配置を進めていく考えでございますけれども、市町村によっては、この国保連の制度とは別に、市町村独自で奨学金制度を設けているところもあると承知しております。
〇教育長(高橋嘉行君) 通常の学級に在籍している特別支援を必要とする子供たちのその状況についての調査の目的でございますけれども、大震災以降、この調査を行っておりませんでした。そういう中で、各学校から寄せられている声が、そういう子供たちが総体的にふえていると。そしてまた、適切に対応する体制の構築を考えてくれというような要望等もございまして、改めてこの実態をきちんと調査する必要があるだろうということで、昨年度行わせていただいたところでございます。
そしてまた、その対応でございますけれども、これは本県のみならず、全国的にもその傾向というのは増加傾向にございます。そういう流れの中で、国におきましても、地方財政措置を拡充していただいておりまして、市町村教育委員会におきまして、公立小学校に配置している特別支援教育支援員というのがございますけれども、5年前と比べまして全県で160人の増、それから平成27年5月1日現在で512人、学校数に対する支援員の配置割合は101.8%というように、体制の構築が進んできております。
県教育委員会におきましては、特別支援教育支援員研修を毎年度実施し、実際の授業における具体的な支援方法などを取り上げ、なお一層の研修の充実に努め、支援員の質的な向上も図っているところでございます。
今後とも、市町村教育委員会と連携しながら、特別支援教育環境の充実に努めていきたいというように考えております。
〇政策地域部長(大平尚君) JR大船渡線の首長会議についてでありますが、平成23年に第1回の復興調整会議が開かれて以来、担当者による会議が6回今まで開かれてきております。今回は、それを首長に格上げしたということで、まずはこれまでの現状の取り組みについての説明があったのではないかと認識しております。
次回の首長会議は、まだ正式な日程は示されておりませんが、今月下旬にも開催される予定と聞いているところであります。その際、6月5日の会議においても、先ほども申しましたように、沿線の首長から、営業主体が復旧方針について考え方を示すべきということも意見が出されていることもありますことから、JR東日本から何らかの考えが示されるのではないかと、それによって今後の議論が行われるものと考えております。
〇22番(木村幸弘君) 自治体負担の問題、知事からそのような考え方で対応してきたということはわかりますが、ただ、一つ言っておきたいのは、知事のメッセージの発信の仕方や、あるいはメッセージがどう受けとめられるかによっては、やはり本来、私たちももっと頑張ってほしいという思いがあったわけですけれども、しかし、国の方針にもう従ってしまうのかということでは、非常にある意味の被災地、被災者からも落胆の声があったのは間違いないわけであります。事ほどさように、知事が発せられるメッセージの中においては、時折、これから前に進もうというときに、打ち消しにかかるような発信の仕方もあるんですね。そういう意味では、そのようなメッセージの発信の仕方については、より慎重であると同時に、その時々の状況というか、まさに実態に即した部分をしっかりと、ちょっと踏ん張って伝えていくという場面場面における対応の仕方というのをぜひ考えていただきたいということを申し上げたいと思います。
それから、JR大船渡線の問題ですけれども、今月末には2回目の協議が行われ、JR東日本側に提案をしろということの要求を出したというのはわかります。ただ、それも、逆にJR東日本側から提案されるのを待つだけでいいのかという部分なんですね。受身のままでいいのか。そういう部分で言えば、逆にこれまでさんざんこれだけ期間を置かれた部分を含めて、まさにまちづくりの復興に影響を与えてきたわけでありますから、そういう意味からも、県と沿線自治体が協調しながら、しっかりとJR東日本側に強い姿勢で、逆に提案をぶつけていくということも事前に十分に意識合わせをする、あるいは方針を確立するということがあってもいいのではないかと思うのですけれども、その点について再度お伺いして質問を終わります。
〇政策地域部長(大平尚君) JR大船渡線の次回の首長会議へ臨む考え方でありますけれども、今までも沿線の首長の方々とは意見交換も行ってきております。
今回はどのような提案が行われるかまだ明らかになっておりませんけれども、いずれ、沿線の首長の方々の意向をまずは十分踏まえた上で、県としての考え方をまとめていきたいと思っております。
〇議長(千葉伝君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時28分 休 憩
出席議員(44名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
26  番 五日市   王 君
27  番 喜 多 正 敏 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 嵯 峨 壱 朗 君
30  番 工 藤 勝 子 君
31  番 工 藤 勝 博 君
32  番 及 川 あつし 君
33  番 小田島 峰 雄 君
34  番 大 宮 惇 幸 君
35  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時48分 再 開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。清水恭一君。
〔2番清水恭一君登壇〕(拍手)

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