平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇47番(田村誠君) 民主党の田村誠でございます。
東日本大震災の発生から4年の月日が過ぎ去り、この間、非常に厳しい環境の中、一生懸命生活の立て直しに取り組まれておられる被災された方々に対し、改めて心よりお見舞いを申し上げます。
一日も早い復旧、復興、安心・安全なまちづくりと、日夜を分かたず積極果敢に取り組まれた成果は、今、着実にあらわれつつあり、まさに、本格復興に向けた大変重要な時期を迎えております。この間の取り組みに対し、職員の皆様はもちろんのこと、関係者各位に対し、深甚なる敬意を表するところであります。
以下、震災復興に係る諸課題への取り組みについて順次質問いたしてまいりますので、達増知事を初め県当局におかれましては、ぜひとも積極的かつわかりやすい答弁をお願いいたします。
初めに、復興財源の地方負担についてお伺いをいたします。
内閣府が発表した月例経済報告によれば、好調な企業収益を設備投資の増加や賃上げ、雇用環境のさらなる改善などにつなげ、地域や中小、小規模事業者も含めた経済の好循環のさらなる拡大を実現し、さらに経済の脆弱な部分に的を絞り、かつ、スピード感を持って、地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策を迅速かつ着実に実施することにより、大震災からの復興を加速させ、デフレからの脱却を確実なものとし、経済再生と財政再建の双方を同時に実現していくとしています。
多数のとうとい生命と大切な財産を一瞬にして奪い取ってしまったあの忌まわしい東日本大震災津波から5年目を迎えた今、経済の好調さ、あるいは復興に対する政策態度とは裏腹に、政府は、今後の復興に水を差すように、2011年度から2015年度までの集中復興期間終了を機に、復興予算の被災自治体への地方負担を求める方針を決定したところであります。
県の試算によれば、2016年度から2020年度に要する復興事業費は、国、市町村分を含めた県全体では、約2兆2、000億円と見込まれております。復興支援道路として整備が進む東北横断自動車道釜石秋田線や宮古盛岡横断道路などの整備費が大きく、地方負担が強いられることになれば、今後の復興に大きな影響が出ることが懸念されます。
県、市町村の財政状況からしても、起債の償還残高が大きく、今後、公債費が高水準で推移すると見込まれ、また、財政調整基金の残高も少なく、わずかな率の負担であっても、まだかなりの事業量が残っていることから、財政運営がより一層厳しくなると予測されます。
県は、方針が示されてから特例措置の継続等の要望活動を活発化させるなど、さまざまな取り組みをされてきましたが、国は、地方は自立の意識を持つべきとの判断から、これまでどおりの特例措置の継続を認めず、2020年度までの復興事業費を約6兆5、000億円と見込み、自治体の負担割合は、復興支援道路などの国直轄道路は1.7%、東北自動車道より東側で行う社会資本整備総合交付金による道路整備などが2.3%、復興交付金の効果促進事業が1%などと示したところであります。
県は、新たに生じる地方負担額は2020年度までの5年間で、県分が73億円、沿岸12市町村分が16億円で、合わせて約90億円と見込んでおります。
そこでお伺いいたしますが、知事は、今般、政府が決定した復興財源の地方負担についてどのように受けとめられておられるのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
国は、復興財源に地方負担を求める一方で、今後増嵩する社会保障費への財源確保のため、それ以外の歳出規模を抑えることを目的として、地方交付税の算定方法の見直しも進める方針であるとの報道もなされており、自主財源の脆弱な本県は、今後、ますます厳しい財政環境になるものと思われます。
今般の決定が、現在の中期財政見通しに及ぼす影響、そして、今後どのような財政運営を進めていくことになるのか、お伺いいたします。また、市町村財政に及ぼす影響についての県のお考えもあわせてお伺いをいたします。
次に、被災者の生活再建についてお伺いをいたします。
平成27年5月末現在、本県では、今なお応急仮設住宅で暮らす被災者は2万2、077人であり、ピーク時に比べ4割弱の方々が災害公営住宅などに移行する一方、残った住民は、建物の老朽化などで生活環境が悪化しております。被災者が入居する災害公営住宅は5、921戸を建設予定であり、5月末現在、完成が1、667戸、28.2%、工事中は2、191戸、37%となっております。
津波被害を防ぐため、造成した高台に住宅などを移転する防災集団移転促進事業は88地区で計画され、ほとんどの地区で着工済みであるものの、宅地造成の完了は5月末時点で約3割にとどまっており、また、長期の避難生活による体調悪化などが原因の震災関連死は5月末現在の申し出数が790人であり、認定数は453人となっております。
災害公営住宅への入居や自宅再建が少しずつ進む一方、いまだ多くの方々がプレハブの応急仮設住宅に残っており、ここが我が家と思うようなところに早く落ちつきたいと願いながら、3年以上暮らす応急仮設住宅は天井にカビが生えるなど老朽化が進み、また、生活用品などで狭隘化も進んでおります。希望の糸口すらなかなかつかめず、将来の生活に大きな不安を抱えながら、本県では、今なお2万人を超える方々が応急仮設住宅の厳しい環境の中で、歯を食いしばって生活を営んでおります。
このような地域や住民を目の当たりに見るにつけ、また被災地に暮らす一人として、一刻も早く、安全で安心して暮らせる環境を取り戻すため、その対策を迅速に進めていくことが求められております。
そこでお伺いをいたしますが、被災者に直接行き渡る支援が足りないという指摘もある中で、知事は、被災者の生活再建を進めていく上での課題をどのように捉え、どのように進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。
今後、新たに持ち家を建築する方、新たに建設された災害公営住宅に入居する方、さらに当分の間は応急仮設住宅に残らざるを得ない方など、被災者の生活環境はさまざまな形態への分化が進んでいくものと思われます。
こうした生活環境の分化が進むであろう被災地において、応急仮設住宅、新たな団地や災害公営住宅における地域コミュニティの維持、構築について、どのように進めていこうとしているものか、お伺いをいたします。
次に、子供の心のケアについてお伺いをいたします。
地震や津波等による自然災害、事故や犯罪による人為災害は、被災した子供たちの身体だけでなく、心にも大きな損傷を与えることから、心のケアが必要とされております。
災害体験は、被災者の心身にストレスをもたらし、災害の主たる影響がなくなった後も、引き続き生活に支障があるときは心的外傷後ストレス障害と診断され、現に阪神・淡路大震災の後の数年後に、子供が夜に突然起き上がり泣き出すというような症状が報告をされております。
子供にとって死別体験は、災害の種類によって大幅に違うため、孤児や遺児というくくりで大まかに捉えてはならないと指摘されており、心のケアは、災害の大きさ、個々の子供の状態やニーズ等を考慮して取り組まれることが求められております。
心的外傷後ストレス障害の発症は、災害からの立ち直りがおくれるばかりでなく、自殺などの取り返しのつかない事態に至ることも考えられ、ストレスがもたらす症状は、数年後に出る可能性もあると言われております。
震災で生活が一変し、住宅環境や家庭内の問題、経済的困難などについて人知れず悩みを抱えた子供も少なくなく、心のケアが長期間に及ぶ場合は継続した対応が求められますが、県は、こうしたケアを必要とする子供の現状をどのように把握し、次世代を担う子供の心のケアをどのように進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。
また、県教育委員会においては、東日本大震災以降、幼児、児童生徒の心のサポート事業を実施しているものと承知しております。そこで、この事業により、学校現場で取り組んでいる状況についてもお示しいただきたいと思います。
次に、水産業の振興についてお伺いをいたします。
東日本大震災から4年が過ぎ、産業面では、復旧工事が盛んな建設業や製造業などで復興が進む一方で、沿岸部の水産業では、なお厳しい経営を強いられている事業者が多く見られています。
産業分野では、震災後に早々と復旧した大手企業の工場などが牽引し、東北全体の経済指標は災害前近くまで戻っております。しかし、津波に遭った沿岸部では、主力の水産加工業が苦戦するなど、業種や地域による格差は大きいままとなっております。きつい立ち仕事というイメージや、高齢化に被災が重なり人手不足が深刻になっており、外国人技能実習生を採用するにも限界があり、加えて、得意先を失う、建設業などに人材が流れるといった悪循環が生じております。
東北経済産業局が、施設復旧のための補助金交付先の経営状況を調べた結果によると、昨年6月現在で、震災前の水準以上に売り上げが回復したと答えた割合は、水産、食品加工業ではわずか19.4%となっており、復旧事業で繁忙な建設業が約7割に上回ったのとは対照的な結果となっております。
水産業が活気を失うのは人手不足だけではなく、幾ら安全だとPRしても消費者に手にとってもらいづらいと、本県のワカメ養殖業者は原発事故の風評被害に頭を抱えております。
一方、企業の資本の導入を可能とする水産業復興特区の宮城県石巻市桃浦地区におけるカキ養殖から加工、販売を行う桃浦かき生産者合同会社では、2014年度、軌道に乗りつつあると初めて収穫が目標を超えそうであるなど、生産から加工、販売までを担い、ブランド産品を生む6次産業化に光が差し始めている面も見られております。
私は、常に、浜がよければおかがいいと申し上げ、特に沿岸地域の県民所得の向上の原動力として、水産業の振興を一貫して主張してまいりました。
そこでお伺いをいたしますが、知事は、これまでの水産業の復旧、復興状況をどのように評価されているでしょうか。また、さらなる水産業の本格復興の推進に向けてどのように取り組まれる決意なのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
次に、東日本大震災からの水産業の復興状況を見ると、岩手、宮城、福島の各県の主要な魚市場の水揚げの被災前年比は、水揚げ量で見ると、岩手88%、12万3、400トン、宮城81%、25万1、500トン、福島58%、6、300トンとなっており、水揚げ額は岩手96%の186億2、000万円、宮城89%、521億6、000万円、福島35%、6億2、000万円となっております。また、陸揚げ岸壁の機能回復状況は、平成27年3月末現在で、岩手96%で104漁港、宮城96%で136漁港、福島80%の8漁港となっております。
水産業の早期復旧は関係者の御尽力の賜物であり、感謝を申し上げます。しかしながら、漁獲量の減少、漁業コストの増大など我が国水産業を取り巻く環境は厳しく、漁業者の所得、経営力の向上が急務の課題となっているところであります。また、漁村地域では、漁業者の高齢化や集落の人口減少等が都市部に比べて進行し、漁業活動の停滞や漁業集落の機能の低下が懸念されます。
復旧に伴い、やはり水産業の確かな歩みを固め、漁村地域の再生を図るためには、浜ごとの特性や資源状況等を踏まえ、漁業者みずからが漁業収入の向上とコスト削減を図り、漁業所得の向上を目指す総合的かつ具体的な取り組みを定めた浜の活力再生プランを策定し、浜の改革を進めることが重要であると考えております。
本県においては、大船渡市漁協を初め9漁協などがこのプランを策定し、浜の再生に取り組まれていると思いますが、その実施状況をどのように把握し、今後、どのような支援を行っていくお考えなのか、お示し願います。
次に、人口減少問題についてお伺いをいたします。
総務省が昨年6月に発表した住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数によれば、秋田、青森、山形の3県における平成25年1月から12月までの1年間の人口減少率が全国ワーストスリーであり、福島、岩手の減少率も全国平均を大きく上回っているなど、東北の人口減少は深刻さを増しております。最も深刻なのは秋田県であり、県人口は1年間で約1万3、000人が減少していますが、本県においても約9、000人が減少しております。
また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、本県の2040年の人口は93万8、000人と見込まれ、2010年を100として年齢構成別に見ると、65歳以上の老年人口は103に上昇し、15歳から64歳までの生産年齢人口は59.5%で、また、0歳から14歳までの年少人口は53%まで減少するなど、2040年には、現在と大きく異なる人口構造となることが見込まれております。
私は、人口減少に歯どめをかけ人口を定着させていくためには、やはり人々が安定した所得を確保できることが重要であり、そのための産業振興や雇用の創出が大きな鍵になるものと考えております。
県が本年3月にまとめた人口問題に関する報告の中の現状分析において、人口の社会減は、進学期、就職期の若者の転出による影響が大きく、特に就職期の女性の転出が多いとしております。
若年層の県外流出は従前からの大きな課題であり、高卒者や大卒者の地元定着に向けたさまざまな取り組みを展開している状況であると承知しておりますが、特に就職期の女性の転出が多くなっていることの原因をどのように捉え、このことに対する対策をどのように講じようとしているのか、お伺いをいたします。
次に、県は、かねて産業成長戦略の中で、人口減少を初めとしたさまざまな社会経済の環境変化に能動的に対応し、安定的で持続的な地域経済基盤の構築に向け、本県産業の力強い成長を実現していくことが必要であるとし、また、特にも、地域経済の基盤が弱い県北・沿岸圏域については地域活力の低下が強く懸念されることから、地域の資源や人材をより広域的に結集し、官民の総力を挙げた取り組みが重要であるとして、地域経済の基盤が弱い県北・沿岸圏域については、地域に潜在する資源を掘り起こし、その付加価値を高めていく取り組みを強化するほか、県南圏域のものづくり産業の二次展開などに取り組んでまいりました。こうしたこれまでの取り組みを通じ、県内の各圏域の所得格差はどのように変化し、現状はどのようになっているのでしょうか。現状に対する所感についてもあわせてお伺いをいたします。
東日本大震災に見舞われたことにより、なりわいの再生を主眼とした産業の復興計画が進められておりますが、県北・沿岸部における産業再生の格差を是正するためにも、産業成長戦略に掲げる食産業を初めとする地域資源活用型産業振興と県南圏域のものづくり産業の二次展開を、より一層強力に進めていく必要があると考えております。
人口問題対策本部の本部長を務める知事は、常々、復興とはふるさとを消滅させない取り組みだと話しておられますが、そうした知事のお考えを受け、なりわいの再生を超え、県内の所得格差の是正のためにも、今後、県北・沿岸の産業振興、雇用の創出などをどのように図っていかれるのか、県北・沿岸振興本部長である副知事にお伺いをいたします。
次に、沿岸地域の産業振興戦略に関連して、その基盤となる大船渡市と東北横断自動車道を結ぶ大船渡遠野連絡道路についてお伺いいたします。
この道路は、岩手県広域道路整備基本計画で、交流促進型広域道路として位置づけられております。今後、被災した大船渡港の物流機能が復旧し、その利用促進を図ることにより、交流人口の増大を図っていくためには極めて重要な意味を持つ路線と考えております。
全線事業化された三陸縦貫自動車道、東北横断自動車道にアクセスするこの大船渡遠野連絡道路を復興道路、復興支援道路として位置づけるとともに、調査費等を措置し早期に整備していくことが必要と考えますが、その整備の見通しについて知事にお伺いをいたします。
次に、道路整備と相まって、ものづくり産業の二次展開に関連した物流の拠点としての港湾地域の活性化についてお伺いをいたします。
地球温暖化が進む中で、環境に優しく大量輸送が可能な海運の活用を図ることこそが必要であり、港湾整備をより一層進めていくことが課題となっております。
大船渡港湾の平成26年度の取扱貨物量は263万トンであり、震災前の平成22年と比較して約2%の減となっており、震災前からの主要貨物であるセメントが増加し、一時的な復興需要による増加ではなく、震災前の貨物量に戻りつつあります。
私は、大船渡港港湾施設の使用料の低減や利用奨励制度の創設などを図り、大船渡港の利用促進に向けた振興策を進めるよう主張してまいりました。大船渡港に企業を誘致し、また、その利用促進を図ることにより、沿岸地域の活性化にもつながるものと考えております。
大船渡港の港湾整備とその利用促進施策を今後どのように進めていくお考えなのか、お示しを願います。また、背後にある県有の工業用地の利活用についてもお示しをお願いいたします。
次に、北里大学三陸キャンパスについてお伺いをいたします。
北里大学三陸キャンパスは、震災による被災を受け相模原キャンパスに移しておりますが、これまでも三陸キャンパス早期再開促進期成同盟会を通じて署名活動を行うなど、地元における再開に向けた期待は非常に大きいものがあります。こうした中、昨年8月には、三陸臨海研究教育センターでの初の海洋実習として、磯採集や調査船実習などが行われました。
学生たちに行ったアンケート調査によりますと、三陸キャンパスを希望する学生も多かったとのことであります。
三陸キャンパスは、水産関係研究施設と連携して、本県の水産業の進展に大きく寄与してきたばかりでなく、学生たちの日常生活を通じ、地域は大きな活力を得てきたところであります。
現在、北里大学三陸キャンパスの再開に向けた動きはどのようになっているのでしょうか。また、県は、大船渡市とともに、三陸キャンパス活用検討協議会を設置しているところですが、その検討状況についてもお伺いをいたしたいと思います。
以上で質問を終了いたしますが、今任期最後となる一般質問登壇の機会を与えていただきました同僚議員の皆様に、心から感謝申し上げます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興財源の地方負担についてですが、本県では、平成28年度以降5年間の復興事業費を約2.2兆円と試算し、そのうち国費により措置されるべき財源は約1.6兆円と見込んでいたところです。
今般、国が決定した復興財源フレームにおいて、ほぼその全額を国費対象額として措置されたことや三陸沿岸道路整備、任期付職員の経費などについては、引き続き国の全額負担で実施されることとなったことなどについては、評価しております。
一方、市町村からの期待も大きく、特段の要望を行いました復興支援道路などが自治体負担の対象となったことは、大変残念な結果と受けとめております。
県及び市町村に今後5年間で見込まれる地元負担としての約90億円という金額は、決して小さな額ではありませんが、このために復興事業の進捗に影響が出ることがあってはならないと考えておりまして、その対応については、来年度の予算編成の中でしっかり検討しながら、一日も早い復興を目指して全力で取り組んでまいります。
次に、被災者の生活再建についてでありますが、被災者の皆さんは、置かれた状況や復興の進みぐあいがそれぞれ異なりますことから、一人一人に丁寧に寄り添いながら、一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻すことが、何よりも重要であると考えております。
このため、まず、生活の基本である住宅の再建については、災害公営住宅の整備に全力で取り組むとともに、本県独自の持ち家再建の支援策として、市町村と共同で1世帯当たり最大100万円の補助を実施しているほか、各市町村でも独自の住宅再建支援策を講じていますが、資材高騰により建設費が増大していますことから、さらなる支援の拡大について、国に対し強く要望しているところであります。
また、応急仮設住宅等での生活が長期化する中で、健康面や経済面の不安を抱えている方も多いことから、医療費の窓口負担免除や介護サービス利用料の被災者への減免措置を実施しています。
今後も、被災者の方々の意向を丁寧に把握しながら、一日も早く全ての方々が恒久的な住宅に転居することができるようにするとともに、それまでの間、安心して生活できるよう、応急仮設住宅の必要な修繕等も進めてまいります。
次に、水産業の復興についてでありますが、水産業は沿岸地域の重要な基幹産業であり、漁業生産を一刻も早く再開し、漁業と流通、加工業を一体的に再生する必要がありますことから、これまで、生産基盤の復旧、整備や漁業活動の再開支援に全力で取り組んできたところであります。
その結果、生産面においては、産地魚市場水揚げ量は震災前の約8割まで回復し、被災した水産加工事業所の8割が事業を再開しましたほか、今年度には、アワビの種苗放流数が震災前を上回る見通しとなっており、また、被災した108漁港全てで本格的な復旧工事が進み、ほぼ全ての漁港で水産物の陸揚げが可能となるなど、本県水産業の本格復興に向けた取り組みは、着実に進んでいるものと認識しております。
今後は、養殖生産量の回復や減少が続く漁業就業者の確保、失われた販路の回復などを図るため、全ての漁協が策定した地域再生営漁計画に基づく取り組み、具体的には、養殖生産量の回復に向けた作業の効率化や規模拡大、地域漁業を担う経営体の育成や新たな就業者の確保、水産物の販路回復、拡大に向けた商品力や販売力の強化などの取り組みを支援していくこととしています。
さらに、漁業就労環境の改善に資する浮き桟橋や防風雨施設などの整備につきましても、一層進めるなど、意欲と希望を持てる水産業の復興に向けて邁進してまいります。
次に、大船渡遠野連絡道路についてでありますが、この道路は、遠野市近郊の東北横断自動車道と大船渡市を結ぶ路線として、平成5年度に策定した広域的な幹線道路の長期的なマスタープランであります岩手県広域道路整備基本計画の中に位置づけられた道路の一つであります。
一方、県内の復興道路、復興支援道路は、既に事業を行っていた高規格幹線道路、地域高規格道路について、震災後に国の復興のリーディングプロジェクトとして、おおむね10年間での全線開通を目標に整備が進められているものであります。
復興道路等の3路線の供用率は現在31%でありますことから、まずは、これら3路線の早期全線開通を目指して取り組んでいくことが必要と考えております。
復興道路等へのアクセス道路の整備については、それぞれの道路の果たす役割を勘案するとともに、事業の規模や交通量、周辺の道路ネットワーク状況等も考慮しながら、総合的に判断していきたいと考えております。
その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 県北・沿岸振興についてでありますが、県におきましては、産業成長戦略をも踏まえて策定いたしました県民計画におきまして、優れた地域資源を生かした産業振興による地域経済の基盤の強化を柱の一つと掲げ、部局横断的な推進措置として、県北・沿岸振興本部を設置し、全庁的な取り組みを行ってきているところでございます。
被災地であります沿岸地域におきましては、なりわいの再生として、水産加工業の本格復興に向けた専門家によります商品開発やカイゼンの指導などにより、被災企業の販路拡大や生産性の向上を図りますとともに、議員御指摘の県南圏域のものづくりネットワークとの連携によります企業人材の育成や被災地域の起業化の促進に取り組んできているところでございます。
加えて、本年4月には、政策地域部に三陸総合振興準備室を設置し、復興道路の整備や沿岸部を貫く三陸鉄道の一貫経営などによる復興の先を見据えました地域振興策の検討を開始したところでございまして、三陸ジオパークの推進や震災学習によります交流人口の拡大の取り組みとあわせまして、ラグビーワールドカップ釜石開催の好機を捉えた国内外への情報発信を強化しながら、三陸地域の一体的、総合的な地域振興や産業の活性化に取り組むこととしております。
また、県北地域におきましては、食産業やアパレル産業など、地域の特性を生かした産業振興を重点として推進してきておりますが、関係企業の主体的な推進体制として、北いわてアパレル産業振興会の設立や地方創生先行型交付金を活用し、二戸市にあります健康食品製造企業が、生産設備を増強し、雇用創出を図るなど、地域の主体的な取り組みが展開されてきているところでございます。
一方で、県北・沿岸地域は、県平均を上回る人口減少や若者の地元定着が喫緊の課題と考えております。現在、県におきまして、産業の振興による地域での安定した雇用の創出などを柱といたします、人口減少問題に対応するためのふるさと振興の総合戦略の策定に取り組んでいるところでございまして、同様の課題に取り組む市町村を初め、関係団体、企業等との連携を強化し、総力を挙げて県北・沿岸振興に取り組んでまいります。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) 被災地における地域コミュニティについてでありますが、応急仮設住宅から災害公営住宅等への転居が本格化することに伴い、これまでの被災者の方々への支援に加え、新たなコミュニティづくりへの支援についても重要な課題と認識しております。
応急仮設住宅に居住されている方につきましては、心と体の健康問題や将来の生活への不安などについて、市町村や関係団体と連携し、引き続き生活支援相談員や仮設団地支援員による手厚い見守りを行ってまいります。
また、災害公営住宅につきましては、集会所等を活用しながら住民相互の交流を促しているほか、入居募集に際してグループ募集を行うなど、地域のコミュニティができるだけ維持、構築されるよう配慮しております。
社会福祉協議会においては、生活支援相談員の活動範囲を応急仮設住宅のみならず災害公営住宅や住宅再建した世帯まで拡大し、見守り活動を展開しているほか、県におきましても、災害公営住宅等へ転居された方々が孤立することのないよう、受け入れ先の生活支援相談員や自治会長等を対象といたしました研修を行っております。
今後も、市町村、社会福祉協議会、NPO等関係機関と連携をしながら、応急仮設住宅や災害公営住宅などのコミュニティづくりについて支援をしてまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 地方負担の拡大が県財政に及ぼす影響についてでありますが、今回、国において復旧、復興事業に係る自治体負担の拡大が決定されましたが、あわせて、新たに生じる負担に対しての地方債の発行を認める方針も示されたところであります。
仮に、地方債を活用し、単年度の負担が平準化されれば、中期財政見通しでお示しした収支ギャップが大きく拡大するような事態は避けられるものと見込まれますが、具体的な対応については、今後、来年度の当初予算編成過程の中で検討することとなります。
また、通常分の予算については、毎年度の地方財政計画における地方の一般財源総額の確保を国に求めていくとともに、県としても、引き続き歳入歳出両面での不断の見直しを行っていく必要があると考えております。
こうした取り組みにより、今後とも安定的な財政運営を実現し、決して復興をおくらせることのないようしっかり取り組んでまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) まず、復興事業への地方負担が市町村財政に及ぼす影響についてでありますが、県では、市町村からの報告に基づき3月末時点で見込まれる事業費を積み上げ、平成28年度以降の5年間で新たに市町村に生ずる地方負担額を15億9、000万円と試算いたしましたが、復興交付金の効果促進事業の一括配分を活用することで、その負担は軽減される見込みです。
今後、事業費の増減や、いまだに試算の段階に至っていない事業の実施も想定されるところであり、事業費や地方負担額が変動する可能性もありますが、今回新たに生じる負担額については、地方債の発行が認められる方針であり、復興がおくれるような影響は生じないものと考えております。
また、今回の地方負担に伴う影響については市町村ごとに異なることから、県といたしましては、市町村の個別の課題についても事情を伺いながら、復旧、復興事業がおくれないように適切に助言してまいります。
次に、人口減少に係る就職期の女性の県外転出についてでありますが、本県の社会減は、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期に顕著であり、特に22歳前後では、女性の県外転出が大きくなっているところであります。
こうした背景といたしましては、特に新卒時において、東京圏では管理や企画、営業など多様な職種の求人があり、初任給についても格差が見られる中で、県内企業の求人情報が十分に届いていないことなども原因にあるものと考えられます。
このようなことから、県においては、県内企業から効果的な情報発信が行われるよう、県内中小企業が大手就職情報サイトを活用する経費に対する補助や、就職面接会、企業見学会などを通じたマッチングの強化を行っているところであります。加えて、若者、女性を対象とした創業支援やNPOを活用した雇用の場の創出にも取り組んでいるところであります。
また、女性が働きやすいと感じる雇用環境の整備も重要であることから、岩手労働局と連携しながら、県内企業等に対し労働条件の改善を働きかけていくとともに、雇用環境の改善に向けた制度の拡充などを、さきの政府予算要望においても強く訴えたところであります。
国の総合戦略においても、管理部門などを擁する企業の本社機能の移転を促進するとの取り組みも盛り込まれており、こうした国の動きとも合わせ、若者、特に女性の県内就職、県内定着に努めてまいります。
次に、県内の各圏域の所得格差の変化と現状についてでありますが、市町村平均を100とした1人当たりの市町村民所得の水準で比較すると、東日本大震災津波発生前の平成21年度では、県央圏域が253万1、000円で113.7、県南圏域が213万4、000円で95.9、県北圏域が188万2、000円で84.5、沿岸圏域が196万5、000円で88.3となっております。
また、直近の平成24年度のデータでは、県央圏域が285万2、000円で111.7、県南圏域が244万3、000円で95.7、県北圏域が217万2、000円で85.1、沿岸圏域が234万2、000円で91.7となっており、平成21年度より、県北圏域で0.6ポイント、沿岸圏域で3.4ポイント上昇し、県平均との格差が縮小しております。
このように、これまでの取り組みに加え復興需要もあって、各圏域において所得の向上が図られるなど一定の成果があらわれているものと考えますが、先ほど副知事が答弁申し上げたような、県北・沿岸地域での産業振興の取り組みを強化するとともに、県内各地域に根差した価値を生かした産業で地域経済を振興することなどにより、県全域の所得向上に努めてまいります。
次に、北里大学三陸キャンパスについてでありますが、北里大学は、東日本大震災津波発災以降、学生の生活、教育環境や入学志望者の確保、長期的な学部運営などの観点から、神奈川県相模原キャンパスを学生の教育の主たる拠点に位置づけているところです。
県や大船渡市では、三陸キャンパスの再開、活用に向け、要望、提言を行ってきたところであり、平成26年4月1日、同大学では、学生の海洋実習や研究交流の拠点として、三陸キャンパスに三陸臨海教育研究センターを設置したところです。
同センターについては、三陸地域での海洋研究における拠点施設であることから、県といたしましては、研究交流、研修部分の整備費の一部を補助することとしており、今月末には、それらの整備が完了する予定となっております。
また、三陸キャンパス活用検討協議会は、三陸キャンパスの地域貢献等を検討するために設置されたものであり、同センターの運用方針や施設整備を初め、三陸キャンパスの活用方策について検討してきたところです。
今後も、同協議会を通じて、研究プロジェクトの導入や地域との共同研究の展開など、さらなる三陸キャンパスの活用等について、大学、大船渡市とも連携しながら検討してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) 次世代を担う子供の心のケアについてでありますが、本県において、震災により親を亡くした孤児や遺児は、合わせて583名把握されております。また、いわてこどもケアセンターの沿岸地区での延べ受診件数を見ますと、平成25年度の896件から、平成26年度は1、446件と大幅に増加しており、依然として多くの子供たちが、震災そのものによるストレスに加えて、その後の転居などの環境の変化や被災生活の長期化に伴うストレスを受けているものと考えられます。
県では、児童相談所等の専門職員による家庭訪問や学校、保育所への巡回訪問などにより、こうした子供たちの状況を把握し、個々のニーズを踏まえながら相談対応を行っているところです。
特に、子供の心のケアにつきましては、いわてこどもケアセンターにおいて、心的外傷後ストレス障がいなどの治療も含めて児童精神科医による専門的な診療を行うとともに、子供たちがストレスを発散できるよう、NPO法人等と協力して、遊びの場や悩み事を分かち合える場を提供するなど、子供の状況に合わせた支援を実施しています。
議員御指摘のとおり、被災によるストレス症状は、時間が経過してあらわれることもありますことから、県といたしましては、引き続き中長期的な視点で、関係機関との連携を図りながら、子供たちの心のケアを進めてまいりたいと考えております。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) 浜の活力再生プランについてでありますが、国は、漁業者みずからが漁業収入の向上とコスト削減によって漁業所得の向上を目指すためのプランの策定を推進しており、県内では、平成26年度に9漁協等のプランが策定され、国の承認を受けております。
これらプランを策定した漁協等は、国の補助事業を導入して省燃油対策に取り組んでいるほか、保冷シートを利用したイカの白化防止や船上でのブリ等のサイズ別箱別出荷など、鮮度管理を中心とした付加価値向上に取り組んでおります。
県では、これら漁協等に対しては、今後、補助事業を導入した省エネエンジンの整備や高度衛生品質管理計画に基づくイクラの品質向上などの取り組みを支援するほか、現在プランを策定中の残る11漁協等に対しましては、今年度中のプランの策定、承認に向け支援してまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 港湾地域の活性化についてでありますが、大船渡港は、地域経済の発展に必要不可欠な物流拠点であることから、港湾施設の早期の復旧、整備に取り組んできたところであり、岸壁などの主要な施設の復旧については、今年度までに完了する見込みとなっております。
利用促進施策については、大船渡市と連携を図りながらポートセールス等を行っているほか、今後の港湾利活用のあり方を示す(仮称)岩手県港湾利用促進プランを今年度中に策定することとしており、この中で、具体的な戦略や取り組みなどを検討したいと考えています。
また、工業用地の利活用については、今年度、第1期分として永浜・山口地区工業用地南側の造成を行い、平成28年度の早期に売却手続を開始できるよう進めているところであり、今後は、大船渡市等と調整しながら、工業用地が有効に活用されるよう取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 心のサポート事業についてでありますが、大震災発災後から継続して実施している心とからだの健康観察の結果を見ますと、サポートを必要としている児童生徒の割合は、県全体としては減少傾向にございますが、沿岸部においては、被災地における生活再建が途上にあることなどから増加傾向にあり、子供の心のサポートは、中長期的な展望のもとに進めていかなければならないと捉えております。
こうした認識のもと、県教育委員会では、各学校でのスクールカウンセラーの活用とあわせ、沿岸被災地においては、県外から応援いただいている巡回型カウンセラーを13名配置し、重層的なサポート体制を整えております。
各学校においては、スクールカウンセラー等を活用した教育相談体制の整備や、多岐にわたるストレス症状に対応するための教員研修を実施するなど、子供や保護者の心のサポートに努めているところでございます。
今後におきましても、国に対して関係予算の確保を要望しながら、幼児児童生徒の心のサポートに取り組んでまいります。
〇47番(田村誠君) 逐一、御答弁を頂戴いたしましてありがとうございました。
そこで、もう一回、改めてお聞きさせていただきたい点がございます。
まず、大船渡遠野連絡道路の関係について改めてお伺いさせていただきますが、質問の冒頭で申し上げましたとおり、復興に向けた4年間、これの取り組みの成果は、着実に前進しているということは言えるだろうと思います。
これをいかに今後、本格復興に結びつけていくのが大事かということになるだろうと思いますが、特に、大船渡の沿岸地域の場合は、復興需要という形で、例えば、先ほど御報告がありました圏域の所得格差などもそのとおりでありますが、復興需要で伸びているわけですね。あと四、五年しますと、それが落ちついてくるということになれば、また、もしかすれば下がる可能性も見られるということに相なるような状況では、せっかくの復旧、復興という、あるいは、まさに本格復興から連結させるという知事の常日ごろ言っている課題等について、この大船渡遠野連絡線、この道路整備こそが、私は、沿岸地域にとって大変大事な道路であろうと思っております。
あわせて、遠野市長が、後方支援拠点ということで整備を進めていただいておりますし、あるいはまた、一朝有事あった場合の復興道路として、これまた大変重要な道路になっております。
さらにまた、重症患者が出た場合、内陸の場合ですと、これは防災ヘリが即出て、多少の天候の問題などは乗り越えられるわけですが、沿岸部の場合は、山脈を越えないと行けないということで、飛べない場合が非常に多いわけでございます。そうしたことから、命の道路としても、私は当然整備を急いでやらなければならない、そうした重要な道路であると認識しておりますし、まして90分構想という、道路の整備構想も生きているんだろうと思いますが、今少しなんですね、90分構想に持っていくにも。やはりそうした内陸との交流人口を促進するためにも、産業の再生のためには、道路の基盤整備というものが必要だろうという気がいたします。
我々沿岸地域に住む者にとりまして、各市町村を回って歩きますと、必ず一番先に要望が出されるのは道路整備であります。そして、時間短縮のための道路整備であります。そうしたことなどを考えますと、やはり大船渡遠野連絡道路の整備を早めるべきだという気がいたしますが、改めて、これは知事にもう一度、大変恐縮でございますが、先ほども御検討いただけるような立場での御答弁をいただきましたが、重ねて決意をお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 大船渡遠野連絡道路についてでありますが、県といたしましては、基盤整備に関しましては、物流や水産業、観光など、地域の振興、特にも東日本大震災津波からの復興に資するという観点を踏まえて、その必要性や重要性、そして緊急性などを十分検討しながら、道路についても整備を進めているところであります。
岩手県広域道路整備基本計画の大船渡遠野連絡道路につきましては、計画当時、大規模な事業として構想されていますが、その整備については、道路の果たすさまざまな役割を十分勘案しながら、将来の周辺の道路ネットワーク状況等も考慮して、総合的に判断してまいりたいと思います。
〇議長(千葉伝君) 次に、木村幸弘君。
〔22番木村幸弘君登壇〕(拍手)

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