平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(佐々木茂光君) 自由民主クラブの佐々木茂光であります。今期最後の登壇の機会を与えていただきました議員の皆様方に心から感謝を申し上げます。
それでは、通告に従い質問してまいりますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
初めに、東日本大震災津波からの復興についてお尋ねいたします。
東日本大震災津波から4年3カ月が経過し、5度目の夏を迎えようとしておりますが、今なお2万5、000人を超える方々が応急仮設住宅等で大変不自由な暮らしを余儀なくされております。
先般、県は、沿岸7市町村の応急仮設住宅への入居期間について一律1年間延長し、平成29年7月までの6年間とする方針を発表いたしました。いましばらく応急仮設住宅での生活が続くことになります。
県は、第2期復興実施計画の平成26年度の進捗状況について、341指標中、いわゆる実質的おくれが57指標で16.7%としており、計画が順調に進んでいるとしております。しかし、6月に公表された直近の復興計画の主な取組の進捗状況では、災害公営住宅は計画戸数5、921戸のうち完成は28.2%、被災者の住宅再建の目安となる被災者生活再建支援金の加算支援金の申請の割合は基礎支援金支給者の41.7%にとどまっております。
私の住む陸前高田市では、大規模なかさ上げ工事が佳境に入り、高台移転工事も進んでおりますが、復興はまだ道半ばであります。
そこで知事にお尋ねいたします。被災者は時間の経過とともに多くの課題を抱えることとなっておりますが、被災地の現状をどのように捉えているのか、どのような決意のもとに復興に取り組まれているのか、率直なお考えをお伺いいたします。
次に、内陸等への避難者に対するアンケート調査についてお尋ねいたします。
先般、県が、内陸部などへ避難した方々を対象にしたアンケート調査では、住宅を再建していない被災者のうち約5割が内陸部への定住を希望し、地元に戻ることを希望する人は2割にとどまっているとのことであります。被災した方々の意向を十分に踏まえつつも、地元に戻りたいと希望する方への支援、沿岸地域の復興のためにもそのことは重要と考えますが、この実態についてどのように捉え、今後どのような取り組みを講じていくのかお伺いいたします。
次に、住まいの確保についてお尋ねいたします。被災地の復興の土台は何よりも住まいの確保にあると考えます。
まず、災害公営住宅の整備についてでありますが、災害公営住宅については、当初、入居を希望していた被災者の中に入居をためらう方も多く生じております。
陸前高田市は、気仙町に建設予定の災害公営住宅今泉団地については105戸を61戸に、長部団地については60戸を13戸に変更し、市内全体では、当初予定1、000戸の約1割を減らす予定となっております。また、既に完成した市内の災害公営住宅のうち、5分の1近い空き室があるとも聞いております。その要因として、自立再建した方がいる一方で、高齢化、住みなれた戸建て住宅から集合住宅に環境が変わることへの不安、経済的事情などさまざまな事情が考えられ、時間が経過すればするほど被災者のためらいや不安は大きくなり、今後も入居者の意向は刻々と変化していくことが考えられます。
そこで、災害公営住宅の整備について、当初計画に固執することなく必要に応じて戸建てをふやすなど、被災者一人一人の状況を踏まえた柔軟な対応が必要と考えられますが、御所見をお伺いするものであります。
次に、住宅再建についてお尋ねいたします。
住宅再建への支援については、国の被災者生活再建制度のほか、県と市町村が共同で行う被災者住宅再建支援事業や、市町村の独自の支援制度も行われております。しかし、被災地では資材高騰や人材不足により建設単価が高騰しており、坪単価が80万円とも100万円とも聞こえており、こうした助成では必ずしも十分ではありません。災害公営住宅の整備に要する費用や将来の維持管理等の行政コストを考慮すれば、自力再建を希望する方をより手厚く支援するべきと思うのであります。これから持ち家再建が本格化してまいりますが、被災者生活再建支援金の増額を考えるべきと思いますが、見解を伺うものであります。また、これまで被災者住宅再建支援事業の増額については困難との見解を示されておりますが、改めて見解を伺うものであります。
次に、復興事業の一部地方負担についてお尋ねいたします。
政府は、先般、復興事業について、これまでの考え方を改め、集中復興期間後の平成28年度から被災自治体に一部負担を求める方針を決定し、岩手県の負担額は平成32年度までの5年間で、県が約73億円、沿岸12市町村が約16億円、合計で90億円と見込まれております。今後は、復興支援道路等のハード整備に使われてきた国直轄事業や社会資本整備総合交付金、まちづくり等に使われてきた復興交付金の効果促進事業などが一部自己負担の対象となります。こうした国の方針については、事業費が膨大であることから、地元負担の割合がわずかであっても、被災自治体にとっては負担が大きい。被害が大きく、平成28年度以降も復興事業が継続する自治体に一部負担が生ずることは著しく公平性に欠けるといった意見が被災地から出されているところであります。
また、復興大臣の、みずから負担することで自立への強い思いを持つことが重要、一部のリスクを負うことで人間は本気になるといった発言については強い反発の声もあったところであります。県、市町村を挙げての要望を聞き入れられず、まことに残念な結果となりましたが、知事は、この国の方針をどのように受けとめているか、また、今後どのような方針で復興事業を進めていくのかお伺いいたします。
次に、人口減少対策についてお尋ねいたします。
人口減少問題について、県では、今年度、5カ年計画の地方版総合戦略を策定し、人口減少対策、地方創生に本格的に取り組むこととしております。平成27年4月現在の沿岸部の人口は、震災前と比較して2万5、729人、9.4%の減少となり、内陸部の減少率2.4%を大きく上回っており、被災地は、人口減少問題と復興の二重の課題に取り組まなければなりません。
陸前高田市においても、震災前の人口約2万3、000人が約1万9、000人にまで減少しており、今後、地域に人を呼び戻し、とどめ、そこで仕事をし、生活ができるような復興後の姿、ビジョンが見えない限り、この傾向は容易にとまらないものと考えられます。沿岸地域においては、人口減少問題はまさに復興と表裏一体の課題でありますが、今後、どのような方針で総合戦略を策定しようとしているのかお伺いいたします。
次に、第1次産業の振興についてお尋ねいたします。
初めに、農林水産業のビジョンについてお伺いいたします。
本県の農林水産業は、県内総生産に占める割合は3.6%ですが、第1次産業の就業者比率は全国で第3位、12%を占め、多くの者の生活基盤となっており、まさに本県の基幹産業であります。いわて県民計画においても、本県は全国の食料、木材供給基地と位置づけられ、農林水産業は県の重要施策の一つであります。
〔議長退席、副議長着席〕
しかし、第1次産業を取り巻く状況は、TPP問題を初め厳しく、先行き不透明な時代であります。これまで、一般質問のたびに本県の農林水産業のビジョンを知事に尋ねてまいりましたが、答弁は個別の政策への言及にとどまるものでありました。県全体が農林水産業の振興に取り組むためには、目指すべき姿、魅力ある将来像を明確に意識することが重要であります。
そこで、改めて伺いますが、知事は、本県の農業、林業、水産業についてどのような姿を目指すのか、ビジョンをお示しいただきたいと思います。
次に、林業の振興についてお尋ねいたします。
まず、県産材の利用促進について伺います。
本県は、森林面積が県土の総土地面積のおよそ8割を占める森林県であり、森林は、木材生産のみならず、水源涵養、環境保全などに重要な役割を果たしております。この豊富な森林面積の約4割は終戦後に人が植えて育ててきた人工林であり、その蓄積は年々増加し、本格的な利用期を迎えております。震災後、住宅供給が喫緊の課題となる中で、一部の応急仮設住宅や災害公営住宅等に県産木材が利用されてはいるものの、地元材の利用は必ずしも進んでいない状況と認識しております。
先般完成した住田町や紫波町の役場庁舎など、木材活用の象徴的な存在となっている事例も多く出てきております。県産材の利用促進は地域の産業振興にもつながる重要な取り組みと考えますが、今後、公共施設等を含め、本県の県産材利用促進についてどのような方針で取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、県産材の販売戦略についてお尋ねいたします。
イタリアで開催されているミラノ国際博覧会に出展している日本館の外壁は岩手県産カラマツの集成材で建造され、これは、震災復興支援のため本県の木材が選ばれたと聞いているところであります。こうした機会を捉え、海外も含めた販売戦略についても展開していくべきと考えますが、今後の県の取り組みについてお伺いいたします。
次に、木質バイオマスの利用促進についてお尋ねいたします。
今後、資源の循環的、効率的利用を進め、環境への負荷の小さい社会を築いていく上で木質バイオマスの利用促進が重要な手法の一つであります。現在、木質バイオマスの中でも間伐や主伐の際に発生した林地残材はほとんど利用されておらず、その活用が重要な課題となっております。また、森林がその機能を十分に発揮するためには、間伐等により樹木を適正に整備していくことが不可欠であり、全国で年間約2、000万立方メートルとも試算される未利用間伐材等を活用していくことで、林業経営にも寄与するものと考えられます。そこで、本県の木質バイオマスの利用促進の取り組みについてお伺いいたします。
次に、水産業の振興についてお尋ねいたします。
水産業は本県沿岸地域の基幹産業でありますが、平成25年の県内の漁業就業者数は5年前の6割近くまで減少しており、平成26年度の産地魚市場水揚げ量は震災前の約8割まで回復したものの、養殖生産量は震災前の約6割にとどまっております。水産物の生産量を回復し、将来にわたって維持していくためには、漁業の新たな担い手を確保するとともに、地域の核となる経営体を育成していくことが喫緊の課題であります。各漁協においては、担い手の確保や生産性の向上などに向けた取り組みを地域再生営漁計画として策定したところであります。
そこで、県として、水揚げ量、養殖生産量の回復にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。また、漁業の新たな担い手を確保するため、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、水産物等の輸出拡大についてお尋ねいたします。
東京電力福島第一原子力発電所事故後、韓国においては、岩手県産の全ての水産物について輸入禁止の措置がとられているほか、台湾でもこの5月15日から輸入規制が強化され、日本から輸入する全ての食品について産地証明書が必要とされ、本県産の水産物については放射性物質検査証明書の添付が義務づけられたところであります。こうした規制は科学的根拠のないものであり、復興途上にある被災地の水産業にとって深刻な問題であり、一刻も早く輸入規制を解除すべきと考えます。
これまでも本県の食品、水産物等の安全性についてはさまざまな機会にPRを行ってきたことと思いますが、いまだに風評被害がおさまらないことはまことに遺憾であります。県として、規制解除の取り組み、風評被害の防止、さらには本県の食品の輸出拡大に向けた支援にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、農業水利施設を活用した小水力発電についてお尋ねいたします。
東日本大震災津波による東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機として、太陽光や風力、地熱など地球環境に配慮した再生可能エネルギーの活用が注目され、平成24年の固定価格買取制度の開始により、太陽光を中心に全国各地でその取り組みが急速に進められています。小水力発電は一般にはおおむね1万キロワット以下の発電を対象としており、一般河川、農業用水路、砂防ダム等で行われています。また、先般、県土整備委員会の調査で訪問した宮城県では上水道施設に設備を設置する取り組みも行われており、大変興味深い事例でありました。
日本はエネルギーの94%を海外からの輸入に頼っており、エネルギー自給率の向上が課題の一つであります。小水力発電は再生可能エネルギーであるとともに二酸化炭素を発生しないクリーンなエネルギーでもあり、農業県でもある本県の農業水利施設を有効に利用することのできる将来性のある取り組みであると考えられます。また、農業水利施設については、用水路の落差を活用した小水力発電の導入により、みずから消費する電力の供給や、売電収入による施設の維持管理費の軽減にも寄与することとなります。
そこで、本県の農業水利施設における小水力発電の設置状況はどのようになっているのかお伺いいたします。また、導入拡大に向けた課題と今後の取り組みについてお伺いいたします。
次に、復興道路の整備についてお尋ねいたします。
まず、復興支援道路の整備について伺います。
復興道路等については、国に対し、全額国庫負担とされた縦軸の三陸沿岸道路に加え、復興支援道路の東北横断自動車道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路についても全額国費負担とするよう強く求めてきましたが、その願いは聞き入れられなかったところであります。この方針により、復興支援道路の整備が大きく後退することが危惧されるところでありますが、今後、復興支援道路の整備についてどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。
次に、内陸と沿岸部を結ぶ道路整備等についてお尋ねいたします。
かねてより内陸と沿岸部を結ぶ横軸の道路整備は、物流網の確保、観光振興等の観点から重要な意味を持つと考えられており、震災時、こうした横軸の道路が物資や人員の輸送に大きく貢献したことを考えれば、復興支援道路に加え、東北横断自動車道釜石秋田線の宮守インターチェンジから気仙沿岸に至る道路の整備、同じく滝観洞インターチェンジへのアクセス道路の整備等がより重要になっているものと考えます。復興事業の一部地方負担を求められる中、厳しい情勢にありますが、三陸地域の復興、地域創生をなし遂げる上で、その整備は必要と考えますが、県の見解についてお伺いいたします。
また、陸前高田市から一関市に通じる国道343号については、笹ノ田峠の冬場の通行等に大きく支障があります。震災を契機に、内陸部と沿岸部の交流が進んできている中、新笹ノ田トンネルの早期整備が望まれますが、あわせて御所見をお伺いいたします。この路線については多くの先輩議員たちがこれまでも声高らかに挙げてきた路線であります。よろしくお願いいたします。
次に、気仙川流域の治水対策についてお尋ねいたします。
住田町に計画していた県営津付ダムについて、県は、岩手県大規模事業評価専門委員会の答申を踏まえ、昨年7月に建設中止を決定したところであります。震災により被災した気仙川下流域の復旧、復興に向けた新しいまちづくりへの取り組みにあわせて、費用や土地の利用状況、環境への影響を総合的に考慮し、治水対策を見直した結果、河川改修が妥当と判断されたところであります。
気仙川については、これまで豪雨時の水位の上昇により、国道107号や国道340号などの幹線道路が冠水し通行不能になる被害や、河川沿いの住宅の浸水、農地の流出などの被害にたびたび見舞われてまいりました。近年の記録的集中豪雨などにより住民の不安が一層高まっておりますことから、津付ダム建設中止に納得し得ない地区もあるわけであります。早期の河川改修が強く求められていることから、今後、大雨や洪水などから住民の生命、財産を守り、安全で安心な暮らしを確保するために、気仙川流域での治水対策をどのように進めてくのかお伺いいたします。また、地元住民にどのように説明されていくのかお伺いいたします。
また、津付ダム建設事務所については、本年4月1日より住田整備事務所に改められたところであり、今後の気仙川の治水対策等を実施する機関として重要と考えますが、地域とのかかわり方、果たす役割についてお伺いいたします。
次に、地域の医療と福祉についてお尋ねいたします。
初めに、被災した県立病院の再建について伺います。
震災により沿岸地域の医療機関は甚大な被害を受けましたが、現在、震災前の約90%に当たる217カ所で診療が行われるまでに回復しております。被災した沿岸地域の3県立病院の再建については、県立山田病院、県立大槌病院については平成28年度、県立高田病院については平成29年度に開院する旨の再建方針が示されており、一日も早い再開が望まれるところであります。そこで、これら3県立病院の現在の再建の状況について伺います。
次に、医師及び看護師、介護人材の確保についてお尋ねいたします。
深刻な医師不足の状況にある中で、沿岸被災地を含め、安定した医師及び看護師の確保に向けてどのような取り組みを行っていくかお伺いいたします。また、介護人材については、低賃金で身体的負担が大きいとのイメージがあり、人材確保が難しい状況にあることから、その確保に向けた取り組みについてお伺いいたします。
次に、気仙地区の医療体制についてお尋ねいたします。
沿岸被災地では、高齢化の進展、震災やそれに伴う生活環境の変化による精神的、肉体的ストレスなどの問題を抱えております。県立高田病院は、震災前から、医療と福祉の連携など、高齢化の進む地域の状況を踏まえた全国に誇れる病院であり、地域医療の拠点として大きな役割を果たしてまいりました。しかし、気仙地域の診療人口6万5、000人は決して多い数ではなく、今後の人口減少を考えると、さらに特色を持った医療体制を構築していく必要があります。今後、気仙地区において特色ある医療をどのように展開し、医療体制をどのように整備していくのかお伺いいたします。
次に、地域包括ケアについてお尋ねいたします。
陸前高田市は、65歳以上の高齢者の割合が36.6%と県全体の29.6%を大きく上回っており、高齢化が進行しております。現在、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、可能な限り住みなれた地域で自分らしい生活を人生の最後まで続けることができるような支援体制を整備する地域包括ケアシステムの構築の取り組みが進められており、陸前高田市でも、保健医療福祉未来図会議において、保健、医療、福祉の専門家や行政、市民が、地域の健康づくり、介護予防、在宅医療などについて検討を進めてきたところであります。被災地においては、災害公営住宅への移行や住宅再建の時期を迎え、コミュニティが解体され、高齢者が孤立し、介護についても、身寄りが避難し、家族の支援が難しいなどさまざまな課題があり、地域全体での取り組みが求められているところであります。
そこで、今後、沿岸部の地域包括ケアの取り組みを県はどのように支援し、進めていくのかお伺いいたします。
次に、JR大船渡線の復旧についてお尋ねいたします。
三陸沿岸の住民にとって鉄道は通学や通院などの生活の足であり、観光など沿岸地域の復興にはなくてはならないものであります。昨年4月に三陸鉄道が全線運行開始し、ことし2月にはJR山田線の三陸鉄道への移管が決定し、久慈―大船渡間が三陸鉄道によって一貫運行されることは、沿岸住民にとって大きな希望となりました。被災地の復興にとって鉄路の復旧は象徴的な取り組みであります。JR大船渡線については、震災から4年以上経過した現在は、BRTによる仮復旧はなされているものの、気仙沼―盛間43.7キロメートルは不通のままであり、鉄路復旧の見通しは立っていないのが現状であります。
こうした中、震災後、相当期間を経過した後の内陸へのルート変更の提案など、移設に係る増額経費を自治体に負担を求めるというJR東日本の対応についてはいささか疑問を禁じ得ないのであります。JR大船渡線の鉄路による復旧に向けた取り組み、今後の見通しについてお伺いいたします。
最後に、復興祈念公園の整備についてお尋ねいたします。
東日本大震災津波により、陸前高田市を初め沿岸市町村では多くの方が犠牲となりました。県が整備する復興祈念公園に国営追悼・祈念施設が整備される予定とされておりますが、公園等の整備の今後のスケジュール、国や市とどのように連携していくのかお尋ねいたします。
最後に、本日は、議員任期最後の一般質問ということで、このたびも多くの住民が傍聴に駆けつけていただいております。被災住民それぞれ4年目の思いを振り返りながら知事の答弁に耳を傾けることになります。また、執行部の皆さんは住民と予算のはざまで努力されてまいりました。これからもどうか地域、現場の実情の理解に努められ、その声が一つでも多く反映されますよう心から願うものであります。将来に希望が描ける答弁を心から期待申し上げ、一般質問を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木茂光議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災地の現状と今後の復興についてでありますが、これまで、かつてない規模であることに加え、かつてない技術を導入しており、また、かつてない行政の体制をとるなど、復興事業に取り組んでまいりました。
なりわいの再生については、一部再開を含め約8割の被災事業所で事業が再開されております。漁業協同組合を核とした漁船や養殖施設の一括整備、漁港や魚市場などの整備によって、水揚げ量は震災前の水準の約8割にまで回復しております。そして、まちづくりや住環境の整備については、予定する災害公営住宅約6、000戸のうち約3割が完成、そして、宅地供給予定のほとんどの区画で着工というところであります。
復興が長期化する中で、依然として多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされ、心と体の健康の問題や将来の生活への不安など、被災者の方々が抱える課題について、一人一人に寄り添った、より丁寧な対応が必要となっています。
このようなことから、本年度を本格復興邁進年と位置づけて、これまでで最大規模の予算によって、復興の量の確保とあわせて質の向上にも努めていくこととしております。今後4年間、市町村、県、国の連携を密にしながら、また、行政と民間が力を合わせて、復興計画に掲げます、いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造、これを実現するよう邁進してまいります。
次に、復興事業の一部地方負担についてでありますが、県では、平成28年度以降5年間の復興事業費のうち、国費により措置されるべき財源として約1.6兆円を見込んでいましたが、今般、国から示された復興財源フレームにおいて、そのほぼ全額が国費対象額として措置されたことや、三陸沿岸道路整備や任期付職員の経費などが引き続き国の全額負担で実施されることとなったことなどについては評価しております。一方で、市町村の期待も大きく、特段の要望を行ってきた復興支援道路などについて、自治体負担の対象となったことは大変残念な結果と受けとめております。
本県の復興は、今年度末においても全体の半分程度の進捗見込みであります。今後の復興を進めていく中では、当初想定していなかった困難が生じてくることも考えられますし、また、財政的に脆弱な自治体が復興を続けていくことにはさまざまな苦労が伴いますので、引き続き国にはこうした点に対する配慮を求めてまいります。
また、来年度の復興に関する事業で内容等がまだはっきりしていないものも多くありますので、必要に応じて、本県から各省庁に対して、被災地イコール復興地、被災者イコール復興者の実態や課題をしっかりと伝えながら、復興を確かなものにする国の予算となるように取り組んでまいります。
次に、農林水産業のビジョンについてでありますが、本県の農林水産業は、豊かな大地や豊富な森林資源、世界有数の漁場である三陸の海を生かしながら、多様な農林水産物が生産され、主要品目の生産量は上位に位置するなど、全国有数の食料供給県としての地位を確立してきたところであります。
近年、人口減少や少子高齢化、経済のグローバル化など社会経済環境が大きく変化している中で、担い手の減少や高齢化の進行、生産物価格の低迷による所得の減少などさまざまな課題が生じていますが、本県の農林水産業は地域経済を支える基幹産業であり、将来にわたって持続的に発展していくことが重要であります。
このため、生産者が豊かさを実感し、意欲と希望を持って生産活動にいそしむことができる強い農林水産業と、豊かな自然と共生して農山漁村で生き生きと暮らすことができる活力ある農山漁村を車の両輪としてつくり上げていくことを目指して、その実現に向け、生産性、市場性の高い産地の形成や、6次産業化、輸出の促進などによる所得の向上、地域コミュニティの発揮等による地域資源の維持や都市住民との交流、移住、定住の促進による農山漁村の活性化などに取り組んでまいります。
次に、復興支援道路の整備についてでありますが、東北横断自動車道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路の2路線については、新たに自治体負担の対象となったものの、国から示された復興財源フレームにおいて、必要な国費については全額が確保されています。復興支援道路は、復興道路とともに被災地の復興に不可欠なものであり、国土交通省のほうでは、5月に、釜石市内の復興道路及び復興支援道路がラグビーワールドカップ2019の大会開催に合わせて開通するなど、新たに10区間の開通見通しを発表しています。県としても、一日も早い復興に向けて、復興支援道路の整備がしっかりと進められるよう国と連携して取り組んでまいります。
次に、JR大船渡線の復旧についてでありますが、県としては、これまで沿線の大船渡市、陸前高田市と意見交換等を継続して行うとともに、JR大船渡線と沿線地域の復旧、復興に向けて、復興調整会議を早期に開催するよう国に求めてまいりました。このたび、沿線自治体の首長を初め、国、JR東日本を含めたハイレベルな協議に格上げして関係者が一堂に会する会議が開催され、JR大船渡線の復旧についての協議が開始されました。次回の首長会議は今月下旬に開催される予定と聞いているところでありますが、沿線自治体の復興まちづくり事業も進んできていますので、これらに支障が生じないよう、沿線自治体の意向を踏まえながら協議の進展が図られるように対応していきたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) まず、内陸等への避難者に対するアンケート調査についてでありますが、東日本大震災津波から4年3カ月余りが経過し、さまざまな事情により、避難先である内陸地区にそのまま定住を考えている被災者の方々が数多くいらっしゃることが今回のアンケート調査結果にもあらわれております。
県では、これまでも、内陸等に避難されている方々に対し、被災地のまちづくりや災害公営住宅の進捗状況などについての定期的な情報提供や内陸市町村と連携した交流会での相談対応などを通じ、被災者の方々の生活再建に向けた支援を行ってまいりました。また、アンケート調査結果から個別に支援が必要と判断した方には、本年1月から戸別訪問や電話等により生活再建の障害となっている要因を詳細にお聞きし、解決を図るなど、きめ細かな相談対応も実施してまいりました。今後とも、被災者一人一人の意向を伺いながら、被災元や避難先の自治体とも連携し、被災者に寄り添った生活再建が実現できるよう支援してまいります。
次に、被災者の住宅再建についてでありますが、県では、これまで、国に対し、被災者生活再建支援制度の拡充を繰り返し要望してきたところでありますが、国では、個人の資産形成につながる支援の拡充については慎重な姿勢をとっております。このため、県では、要望の実現に向けて、限られた財源の中で、最大で100万円を補助する被災者住宅再建支援事業を市町村と共同で実施してきたところであり、県独自でのさらなる支援の拡充については、厳しい財政状況を勘案すると難しいものと考えております。
国は、資材高騰等の物価上昇等に対し、災害公営住宅の建設費を含む公共事業費やグループ補助金の額については引き上げており、被災者の住宅の再建支援についても同様に扱うべきと考えられることから、被災者生活再建支援制度の支援額の増額などを引き続き国に対して強く要望してまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) まず、災害公営住宅の整備についてでありますが、災害公営住宅の建設に当たっては、被災された方々の意向にできる限り応えられるよう、市町村と十分に協議を行い、建設する場所や戸数などを決めるとともに、必要に応じて、車椅子対応住戸の設置、漁業従事者用のかっぱ置き場の設置、商業施設などの併設、ペット飼育に対応した仕様などの対応を行ってきたところです。
陸前高田市においては、入居者の公平性の観点から、全ての災害公営住宅を鉄筋コンクリート造の集合住宅として整備するという市の強い意向があり、1戸建てを建設する予定はありませんが、これまでも、被災者の意向の変化に対応して、工事着手前の団地の整備戸数や2DKをふやすといった住戸タイプ割合の見直しなどを適宜行ってきたところであり、今後も可能な限り柔軟な対応をするよう努めていきます。また、被災された方々が安心して入居できるよう、内覧会や具体的な家賃算定などを行う災害公営住宅入居相談会の実施などの取り組みを行っていきます。
次に、内陸と沿岸部を結ぶ道路整備についてでありますが、宮守インターチェンジと気仙沿岸部を結ぶ幹線道路であります国道107号及び国道340号については、国道340号山谷地区で交通隘路の解消に取り組んでいるほか、防災対策、橋梁耐震化等も推進しているところです。
滝観洞インターチェンジへのアクセス道路については、県道釜石住田線や県道上有住日頃市線の利用が想定されますが、これらの路線は、一部を除き幅員が狭く未改良となっており、抜本的整備については、トンネル等の構造物が必要となり、大規模な事業となることから、県全体の道路整備計画の中で交通量の推移などを見きわめながら検討してまいります。
次に、新笹ノ田トンネルの整備についてでありますが、国道343号については、今回の震災において内陸部と気仙地区をつなぐ道路として大きな役割を果たしたことから、県の復興実施計画において復興支援道路に位置づけ、重点的に整備を進めているところです。
御質問の笹ノ田峠は、急勾配、急カーブが連続し、交通の難所となっていたことから、昭和49年から平成元年にかけてループ橋を含む延長約6.5キロメートルについて総事業費約69億円を投入し整備したところであり、一定程度の道路サービスが確保されていると考えております。一方で、昨年12月の一関市や気仙3市町など関係8団体の9万人を超える署名により示されているとおり、新笹ノ田トンネルの整備に関する地元の期待は大きなものがあると受けとめております。笹ノ田峠のさらなる整備については、大規模な事業となることが見込まれることから、現在、国において、かつてないスピードで進められている復興道路の整備により形成される高速交通ネットワークでの物流の変化や、国際リニアコライダーの立地構想による大規模な開発計画の進展に応じて必要な検討をしてまいります。
次に、気仙川流域の治水対策についてでありますが、気仙川流域においては、これまでにたびたび洪水による浸水被害を受けており、一昨年にも住田町の一部で被害が発生するなど、治水対策の必要性は変わるものではなく、早期に浸水被害の防止を図ることが重要であると考えているところです。
治水対策として、まずは近年の洪水による浸水被害を防止するよう、おおむね30年に1度の洪水に対応する河川改修を早急に進めることとしています。このため、平成26年度には測量設計を行い、概略の計画を取りまとめ、本年6月29日から昨日まで陸前高田市及び住田町において住民説明会を開催したところであり、地域の皆様からいただいた御意見や御要望を今年度からの詳細設計や工事に反映させていくこととしております。
また、住田整備事務所については、引き続き気仙川の治水対策を担う組織として設置し、調査設計及び工事の実施や、これに伴う説明会、広報誌の配布による情報提供などを行っているところであり、今後とも、地域の皆様の声によく耳を傾けながら事業を着実に進めてまいります。
次に、復興祈念公園の整備についてでありますが、平成26年6月に公表した復興祈念公園の基本構想を具体化していくため、平成27年3月に基本計画案を取りまとめたところであり、今年度は夏ごろに基本計画を策定、公表し、引き続き基本設計の策定に取り組んでいきます。復興祈念公園の中心となる国営の追悼・祈念施設は平成32年度末をめどに整備される予定となっており、県の公園整備についても、これと進捗を合わせて事業を実施してまいります。
国や陸前高田市とは、これまでも基本構想及び基本計画の策定に当たり設置した有識者委員会の事務局を共同で担ってまいりましたが、基本設計の策定や整備、管理に関する具体的な役割分担などの検討についても連携して取り組んでまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 沿岸地域における人口減少対策についてでありますが、本県の人口は、社会減と自然減が相まって減少が続いているところであり、沿岸地域においては、東日本大震災津波の発災もあり、社会減、自然減が拡大し、人口減少がさらに進んだものです。
沿岸地域においては、復旧、復興を進めることそのものが人口減少対策であり、漁協を核とした漁業の再生、グループ補助金の活用による水産加工業、商店街、観光業の再生、医療機関の機能回復に努めてきたところです。こうしたこともあり、平成26年度においては、岩手県全体で社会減が拡大する中、沿岸12市町村では社会減が縮小しております。今般公表しております人口ビジョンの素案においても、被災者一人一人に寄り添い復興を推進することをふるさと振興の基本姿勢の一つに掲げたところであります。今後は、沿岸市町村との意見交換会や広域振興局における地域経営懇談会、パブリック・コメントなどを通じ、幅広く現場の意見をいただき、被災地の復興と一体となったふるさと振興総合戦略をつくり上げてまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、県産材の利用促進についてでありますが、県では、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画に基づき県立学校等への木材利用に率先して取り組んでおり、市町村においても、木材利用方針を策定し、役場庁舎など、地域の特性を生かした木材利用が進められております。特に、今年度に着工のピークを迎える災害公営住宅等につきましては、県内の木材加工事業体で組織される岩手県木材産業協同組合が県産材を共同受注し、安定供給する体制を整備したところであり、県としましても発注者側とのマッチングなどを支援してまいります。また、民間における木材利用については、県産材利用を推進する工務店等のPRや、優良な木造建築物等に対し知事賞を授与するなど、県産材利用の機運が拡大するよう取り組んでいるところであります。今後も、希望郷いわて国体やラグビーワールドカップなどの大規模なイベントについても関連施設への木材利用を積極的に進め、県産材利用がさらに拡大するよう取り組んでまいります。
次に、県産材の販売戦略についてでありますが、人口減少社会の到来に伴い、今後の我が国の住宅着工戸数は減少していくことが予測されており、県内においても、中国など海外の巨大な市場に向けた木材製品の輸出など、新たな取り組みを展開する事業体があらわれ始めております。このことから、県では、これまで取り組んできた国内大手ハウスメーカー等が求める品質、性能の確かな木材製品の製造販売への支援などに加えまして、日本木材輸出振興協会と連携して、海外市場のニーズや輸出のノウハウを学ぶセミナーを開催するなど、木材の海外への輸出を目指している事業体への支援にも取り組んでまいります。
次に、木質バイオマスの利用促進についてでありますが、県内では、釜石市や宮古市内で稼動中の木質バイオマス発電施設に加え、一戸町、野田村、花巻市内でも新たな施設整備が進められるなど、木質燃料の需要が急速に増加してきております。県では、こうした需要に応えるため未利用間伐材等の利用促進に取り組んでおり、これまで、燃料用丸太のストックヤードの整備や林地残材も処理できるチップ製造機等の導入への支援を行いますとともに、平成26年度からは林地残材を効率的に利用するための実証調査などに取り組んでおります。今後、この実証調査で得られたノウハウを広く県内の事業体に普及するなど、未利用間伐材等の林地残材の活用を促し、木質バイオマス利用の促進を図ってまいります。
次に、水揚げ量等の回復に向けた取り組みについてでありますが、水揚げ量については、本県の主要な魚種であり、減少している秋サケの稚魚放流や栽培漁業の中心であるアワビの種苗放流を支援するなど、資源の増大に取り組むことにより一層の回復、拡大を図ってまいります。
また、養殖生産量については、生産作業の共同化や省力化機器の導入による効率化、漁協の自営養殖などの取り組みを支援しますとともに、ホヤの種苗生産や新たな養殖種目として期待されるエゾイシカゲガイの生産拡大などへの技術支援を行うことによりまして着実な回復を図ってまいります。
次に、水産業の新たな担い手の確保についてでありますが、県内の漁業就業者は、平成20年度の9、948人から平成25年度には6、289人に減少し、高齢化も進んでおりますことから、新たな担い手の確保は喫緊の課題であります。県では、これまで、新規就業者の確保や定着を図るために漁業就業フェアの県内での開催支援などを行ってきましたが、今後、強力に取り組みを進めるため、今年度、新たな担い手育成ビジョンを策定することとし、全ての漁協が策定した地域再生営漁計画に掲げる新規就業者の確保や、中核的漁業経営体の育成、地域の共同生産体制の構築などが着実に進むよう、ベテラン漁業者による技術研修や新規就業者の住宅確保などについて、市町村や漁業団体と一体となって支援してまいります。
次に、水産物等の輸出拡大についてでありますが、県では、韓国及び台湾政府が講じた日本産水産物の輸入規制が一刻も早く解除されるよう、両国の政府に対して強力に働きかけることなどを国に対して要請してきたほか、台湾への食品輸出に関しては、県内の事業者による輸出に支障が生じることがないよう、産地証明書を発行してきております。また、生産者団体と連携しながら、県産水産物の放射性物質検査を実施し安全性の確認に万全を期すとともに、検査結果をインターネットを通じて国内外へ情報発信するなど、風評被害の払拭に取り組んでおります。
輸出拡大に向けては、国際定期便化を目指しております台湾や水産物輸出の伸びが期待されるフィリピンなど経済成長が著しいアジア地域等をターゲットに、輸出コーディネーターを通じたマッチング機会の創出や海外量販店でのフェア開催などによる販売促進活動などに取り組み、本県の水産物等の輸出拡大を支援してまいります。
次に、農業水利施設を活用した小水力発電についてでありますが、県内では、一戸町の大志田ダムや八幡平市の後藤川幹線用水路など3カ所の小水力発電施設が稼動しており、水利施設等の維持管理費の負担軽減などが図られております。
県では、小水力発電の計画的な設置を推進するため、これまで県内の36カ所で導入可能性調査を行ってきましたが、導入に当たっては、対象施設が主にかんがい用の水利施設であることから、年間を通じての安定した発電用水の確保と建設コスト等の縮減が課題として挙げられております。このため、今後の導入拡大に向け、利用可能水量の把握や費用対効果の検証など課題解決に向けた取り組みを行うとともに、モデル的な発電施設の設置により普及啓発を図り、採算性が見込まれる施設につきましては、事業化に向け、土地改良区や市町村など施設管理者の取り組みを支援してまいります。
〔医療局長八重樫幸治君登壇〕
〇医療局長(八重樫幸治君) 被災した県立病院の再建についてでありますが、県立大槌病院については、昨年7月に建築工事に着手し、現在、工事を進めております。県立山田病院についても本年3月に建築工事に着手し、工事を進めているところであります。県立高田病院については、陸前高田市において高田地区土地区画整理事業の中で用地造成を進めており、これと並行して、医療局において、本年3月に設計業者を決定し、現在、病院の意見を聞きながら設計作業を進めております。
現在のところ、3県立病院とも順調に進捗しており、再建方針に基づき、県立大槌病院及び山田病院は平成28年度、県立高田病院は平成29年度の開院を目指し、引き続き各市町と緊密に連携しながら取り組みを進めてまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、医師、看護師及び介護人材の確保についてでありますが、医師については、奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘などの取り組みのほか、今年度、県、医療局、国保連及び岩手医科大学の4者で構成する奨学金養成医師配置調整会議を設置し、養成医師への支援と、被災地を含めた地域への円滑な配置を進めることとしております。
看護職員については、奨学金による養成等のほか、宮古高等看護学院の入学定員の増員により、被災地の看護職員の確保を目指していきます。
介護人材については、県内各地に介護人材キャリア支援員7人を配置し、新規人材の確保や潜在的有資格者の掘り起こし、小規模事業所を対象とした合同面接会を開催しているほか、介護の仕事の魅力を発信するテレビ番組によるPRを行うこととしています。また、被災地においては、介護事業所における新規採用職員のための住環境整備や就労支援金支給への支援を行うこととしております。こうした取り組みにより、医療及び介護の従事者確保と定着を進めてまいります。
次に、気仙圏域の医療体制についてでありますが、気仙圏域は県内でも高齢化率が高い圏域であり、こうした中、救急や高度専門医療等については中核病院である県立大船渡病院が担い、高齢者を中心とした医療は県立高田病院が、日常的な医療は公立の診療所や民間医療機関が担いつつ、それぞれが連携して医療提供体制を構築しています。
県では、地域医療構想を策定し、二次保健医療圏を基本とした構想区域における病床機能ごとの将来の医療需要を踏まえた目指すべき医療提供体制などを定めることとしております。構想の策定後は、医療関係者や市町村等による協議の場において、構想の実現に向けた具体的な方策について話し合いを行っていくこととしており、気仙圏域においても、圏域の特性や病院の特色を踏まえた機能分化や連携等について協議しながら、目指すべき医療提供体制を構築してまいります。
次に、沿岸部の地域包括ケアの取り組みに対する県の支援についてでありますが、高齢化が進み、人口動態や医療、介護等の資源に地域差がある本県におきましては、市町村が将来的なニーズを見通し、創意工夫を生かした地域包括ケアシステムの構築を進めることが重要であり、御紹介のあった陸前高田市の取り組みは他の市町村の参考になるもので、県としても注目しています。特に沿岸被災地では、災害公営住宅の完成等による応急仮設住宅からの移転に伴う生活環境の変化により、高齢者の新たな孤立化や生活不活発病の発生が懸念されますことから、県では、引き続き市町村が取り組む見守りや健康づくりなどへの支援を行うほか、運動教室や健康相談などの介護予防にも取り組んでまいります。
また、陸前高田市などが設置する在宅医療連携拠点の運営や、地域の医療機関と介護事業者等をつなぐ情報連携ネットワークの構築など、市町村が進める地域包括ケアの取り組みを支援していきます。
〇8番(佐々木茂光君) 皆様から答弁をいただきまして、まことにありがとうございます。
最初に答弁をいただきました知事、それぞれの部署の方々から答弁いただいたわけでありますけれども、皆様からは、これからのことというより、今の現実をどうやって前に進めるかという答えを私は受けたと思っております。
実は、私はここに来てちょうど4年目になるわけでありますが、今回の一般質問の内容は4年前とほぼ同じことでございます。復興のあり方、復興の進みぐあいというのが私の一番の命題でこの議会に来ておりましたことから、まず一つは、知事がどのような考えの中で―これは毎年言っています。1年目、知事は、被災者の方々にどのように声をかけるのか。2年目、知事は、2年たった皆様にどのような声をかけるか。3年目、4年目、そして今回は4回目のその質問になるわけでありますが、やはりもう少し現場を踏まえたというか、そういう思いを実は伝えてほしかったと思います。
これまでも、私も決して震災復興が進んでいないとは言っておりません。そういった中で、最初に言われたように、やはり被災者は早くこういう環境から出たい。そのためには住宅の復興があったり、もちろん道路もあったり、さまざまなものが復興計画の中に盛り込まれているわけでありますけれども、時間の経過とともに、遅くなることがあっても、決して早くはならない。その先をどうやって踏み込んで進めていくのか。そのときに生まれたものを、どうやって課題を解決して、そのおくれを取り戻すのかという判断が全体的なおくれを生んでいる。まさにトップリーダーの役割がそこにあるのではないかと。
私は、1年目のとき、知事はナンバーワンです、岩手県であなたが選ばれた一人なんです、そのトップリーダーの歩みによって、岩手県の進む方向、この復興の進む方向というのは、全てあなたに委ねられていたものと思っております。いずれ、私たちはそういう思いで来ています。それを、やっぱり知事の本当の言葉で、これから私たちが進まんとする方向をしっかりと自分の言葉で示していただきたい。これは最後でいいと思いますので、お示し願いたいと思います。
最初に言ったように、例えば復興予算についての自治体負担も今回生じたわけでありますけれども、先々、先々と行くことを進めていれば、また違った意味での受け方があったのではないかと思います。
まず、復興予算の自治体負担についてお尋ねしますけれども、正直なところ、知事は、自治体負担という声が出たときに、覚悟をしていたのか、それとも、これはあくまでも国に最後まで面倒を見てもらえるだろうと予測していたのか、そこをお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 自治体負担の問題については、当初からいろんな機会に言っておりますけれども、基本的にあってはならないことと考えておりまして、御質問の中にもあったような持ち家再建支援でありますとか、むしろ国のコミットをよりふやすような形で、この5年たった時点の復興のありようというものを見直して、今までやってこなかったような思い切った支援に踏み込むとか、今までやってこなかったような制度、これは浸水地域の用地の取得について、どの市町村長も今悩んでいるわけですけれども、移転先のみならず、移転元の浸水地域の用地取得を迅速にするための制度改正のようなものも、これからでもまだ遅くないので、必要になってまいりますし、そもそも5年目での見直しというのは、そのような前向きのものであれば意味はあるけれども、ここで国のコミットを減らす方向での5年目の見直しというのは全く理由がないと思っておりました。
今現在、来年度予算について、来年度まで各省庁の事業で、復興関係で続けられるのかどうかということがまだ確定していないことについて、それを確保していくことについて、県として国と折衝していかなければならないので、それをするためには、今後5年間のフレームというものを前提にしないと来年度予算の交渉ができないので、苦渋の決断でその作業に入っているわけです。
〇8番(佐々木茂光君) 確かに、苦渋の決断というのは、現状を見据えれば、そうせざるを得ないです、前に進むためには。
実は、6月11日に我々自由民主党の沿岸部の議員で、竹下復興大臣、自由民主党額賀東日本大震災復興加速化本部長等に面会を申し入れまして、我々の岩手県としての実情を踏まえて行ってまいりました。そのときに私も発言を求められたので、東京に新幹線で行くために、陸前高田市をぐるっと回って、その旨を伝えるために、なぜ今ここで国が引くんですかということなんです。あのときに我々が被災して、国が打ち出した復興に対する志の高さ、全部国がやるよみたいな話をされて、我々はそれに応じてきたわけです。では、あの高い志はどこに行ったんですかと。陸前高田市は今やっとかさ上げが進み、これから動き出すときに来ているんですよと。大臣も何度となく、陸前高田市のみならず沿岸被災地には随分来てはいただいていますけれども、あの光景を私はそのまま伝えました。答えは、まさにこの5年目にして全部引いていくというのは、津波の引き潮と同じだというんです。根こそぎ持っていくような感じに我々は今ありますよということです。
ただ、残念なことに、知事からはそういう言葉は出なかったと。そういうところを私は、やはり被災地ももちろんそうなんだけれども、現場のその思いというものをしっかり背負ってもらった形で動いていかないと。これは、かといって我々が言ったからどうのこうのという話ではないですよ。やっぱり伝えるものはしっかりと伝えないと。それが知事の役割であろうと思います。市町村の方々からも言われますように、しっかりそこをつかんだ形で何事も話を進めていかないと、事は進まない。結局、我々は待ちの状態の中でこの事業が今進められているということですよ。いろんな課題が出てきたときに、それがトップリーダーの動きとして、いろんな面で切りかえ、切りかえてでも前に進めていくような立ち回りを私はこれからも期待するところでございますので、知事のそういったまた新たなこれからの復興に向けた決意を持って、しっかりとやっていただきたいと思います。
ところで、私も新聞で後から見たんですが、ちょうど私どもが復興大臣に会ったその日に、たしか、知事を含めて当局、執行部の方々も同じような要望に来られていたということは承知しております。非常に残念なのは、その後、復興庁のほうから、岩手県のそれぞれの財源の負担等の要望等についての一部知らせが届いたんですが、そのとき知事は台湾に行っておられたようでございました。あすあすその答えが出てくる、来ないかといっているときに、飛行機で海外に行っているというのは、どういう心境だったのかなと。
例えば、今々というときにいないということがどれほど―そういうところまで知事は実は考えていなかったのか。ぜひ俺が行かなければならないという問題だったのか。いや、副知事にこれはお願いして、俺はこっちに行くよりも、まず東京にもう一度行ってくるからという思いというのが私は大事ではなかったのかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 台湾に赴きましたのは、中華航空の孫会長と直接会うことができる、そういう機会を先方に設けていただき、その中で花巻―台湾の定期便化というのをより確かなものにできるチャンスがあり、私が行かなければ、それをこの時点で確認することはできないと判断して赴き、再来年度からの定期便化ということについて、そこを目標に準備をしていこうということを確認できたというのが台湾訪問であります。
復興予算地方負担拡大問題については、まず、県としてやれることはやったという思いがありました。特に市町村長の皆さんとしっかり意思疎通を図って、県、市町村一体となって、岩手県、地元自治体としてのやるべきことはやったという中で、ただ、こういう結果になり、もしあのときに、昔ながらの陳情行政、自民党本部の会議をしている部屋の前で、みんなで鉢巻きを締めて、全額国費、全額国費というプラカードを掲げるというようなことをしなければならない局面だったのかな、それをすれば横軸道路については国費ということになっていたのかなということについては、私も今でも思います。
〇8番(佐々木茂光君) やっぱりそういう詰めがいろんな面であるんだなと私は思います。正直言って、行ってお願いしたからいいというのではなく、もう少し詰めた話というものをお互い持っているはずなんです。それは、例えば知事ひとりだけの話ではなく、それぞれの被災した知事の方々と一緒になって要望行動もしているのも私も承知しております。もう少し踏み込んで理解をしていくためには、何をしなければならないか、どういうことを言わなければならないのかというのは、被災3県でそういうところはしっかり話をしながら行くと、本当に苦渋でない選択になったかもしれません。そういうところをもっと我々にもわかるように、本当に知事の復興に対する思い、岩手に対する思いというものも、これからそういう態度で示していただきたいと私は思うところであります。
さっき言ったように、非常に大事な局面で、それも大事だ、これも大事。確かにそれは大事です。だけど、全てにおいて、やっぱりこれが一番だというものがいろいろ事を動かしていくのではないかと思います。だから、決してトップセールスで―またその話になりますけれども、せっかく台湾に行ったら、輸入、輸出の規制がかけられていました。それについての話というのはなかったのでしょうか。これを最後に質問します。そこもあわせて二つお願いします。
〇知事(達増拓也君) 台湾にある日本側の交流協会の事務所長に、そのことについては、改めて岩手県のほうから、一日も早い制限解除になるよう交渉してほしいということをお願いしてきました。
〇副議長(大宮惇幸君) 暫時休憩いたします。
午後3時54分 休 憩
出席議員(43名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
26  番 五日市   王 君
27  番 喜 多 正 敏 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 嵯 峨 壱 朗 君
30  番 工 藤 勝 子 君
31  番 工 藤 勝 博 君
32  番 及 川 あつし 君
33  番 小田島 峰 雄 君
34  番 大 宮 惇 幸 君
35  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
44  番 佐々木 大 和 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時52分 再 開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
先ほどをもって佐々木茂光君の一般質問を終わります。
〇副議長(大宮惇幸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(大宮惇幸君) 日程第1、一般質問を継続いたします。岩渕誠君。
〔15番岩渕誠君登壇〕(拍手)

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