平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(佐々木努君) いわて県民クラブの佐々木努です。
今回、任期最後の定例会において6度目の登壇をさせていただくことになりました。登壇の機会を与えてくださいました先輩議員に心から感謝申し上げます。
さて、東日本大震災津波発災から早いもので4年が過ぎました。被災地では、復旧へのつち音が響いてはいるものの、災害公営住宅建設のおくれや、高台移転、土地区画整理事業のおくれから、いまだに2万6、000人余りの方々が応急仮設住宅などで不自由な暮らしを余儀なくされています。また、震災後も被災地の人口の流出は続き、働き手の不足によってなりわいの再生にもブレーキがかかるなど、沿岸地域の活力の低下が危惧されています。
この復興のおくれは、子供たちにも暗い影を落としています。沿岸被災地には、いまだに校庭が使えない学校が数多くあり、子供たちは今もなおさまざまな制約を受けながら学校生活を送っています。そのような環境が子供たちの精神面に大きな影響を及ぼしていることは子どものこころのケアセンターの相談件数の増加が示しており、子供たちの不安を一日も早く取り除くことができるよう、インフラの復旧とともに心の復旧、復興も進めていかなければならないと強く思っています。
そのように被災地はまだまだ多くの課題を抱えている中で、国は、来年度以降の復興事業費に対し、被災自治体から一部負担を求める方針を決めました。竹下復興大臣は、方針決定後の記者会見で、全て与えられるより、一部のリスクを負うことで人間は本気になる、被災地は必死でやっているが、さらに必死のギアをもう一段上げていただきたいと語りました。被災地は本気になっていない、負担がないから本気にならない、自分たちも金を出せばありがたみがわかってやる気を起こすだろう、そうとでも言いたかったのでしょうか。これが政府の本音としたら本当に悲しいことであります。
知事は苦渋の選択という表現でこの決定を容認されましたが、被災自治体や被災者の多くは納得していません。そうでなくても財政基盤の脆弱な被災自治体にとっては、数%の負担であっても自治体運営に大きな影響を与えかねず、資材の高騰やマンパワー不足が続けば負担はさらに大きくなり、復興のおくれにつながりかねません。それは、実質公債費比率の高い県においても同様です。知事は、国の方針が打ち出されてから決定するまでの間、発言に一貫性を欠きましたが、被災自治体が安心して復興を進められるよう、今後はぐらつかずに、被災地の負担軽減を国に訴え、国が責任を持って復興に当たるよう強く働きかけてほしいと思います。
冒頭にそのことを強く求め、以下、質問に入ります。
我々議員の任期、そして知事の任期があと2カ月少々になり、9月には岩手の将来が決まると言っても過言ではない県知事選挙が行われます。知事においても、2期8年でやめるという初回マニフェストをほごにして3期目の出馬を表明されています。
思い起こせば、知事は平成18年、当時民主党の幹事長、現在は生活の党と山本太郎となかまたちの共同代表である小沢一郎衆議院議員の要請を受け、議員としての任期を残して辞職し、翌19年4月の岩手県知事選に立候補、小沢王国の力をまざまざと見せつけるような圧倒的な勝利で当選されました。そして、4年後の平成23年、東日本大震災津波発生後の混乱期の中、43万9、000票というこれまた圧倒的な得票で再選を果たしました。多くの県民は、知事が師と仰ぐ小沢一郎衆議院議員とタッグを組み、必ずや岩手を発展させてくれるだろうという大きな期待を持っての投票行動だったに違いありません。私もそんな一人であり、4年前の知事選で知事の名前を連呼したことが懐かしく思い出されます。
そんな県民の大きな期待を背負って県政を担ってきた知事でありますが、この8年は苦難の連続であったと思います。特にも、突如として岩手を襲った東日本大震災津波の発生、そして、知事が最も頼りにしていた小沢勢力の衰退は、知事にとっては大きな誤算ではなかったでしょうか。そんな状況下でも被災地岩手の先頭に立って県政を担ってきた知事には敬意を表すものの、偏った政治姿勢と議会軽視の姿勢によって8年の任期中に5度も決算不認定を招くなど、県政の混乱を招いてきたことは、議員として、一人の県民として非常に残念に思います。私は、これも全て知事のリーダーシップの欠如が招いた結果だと思っていますが、知事は2期目の任期も終わろうとしている今、この8年間の自身のリーダーシップをどう評価しているのか伺います。
壇上での質問は以上とし、以下は質問席で行います。
〔9番佐々木努君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木努議員の御質問にお答え申し上げます。
2期8年の評価についてでありますが、危機を希望に変えるというスローガンのもと、知事に就任して以来、職員と危機意識を共有し、岩手が直面する重要課題に的確に対応してきたところであります。特に復興については、東日本大震災津波復興委員会やいわて未来づくり機構に代表されるオール岩手の力を結集し、市町村、国、県が一体となって、被災地や被災者に寄り添う復興に尽力してきたところであります。
その間、雇用の確保や県民所得の向上、医師の確保など、本県が直面している重要な課題に取り組み、一定の成果が生まれているところであります。また、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功やILC国際リニアコライダーの実現に向けた取り組みなど、復興を後押しし、未来につながる取り組みについても先頭に立って推進してまいりました。
今後、喫緊の課題である人口減少にも県の総力を挙げて取り組んでいく必要があると考えており、みずから先頭に立ち、本格復興とふるさと振興に取り組んでまいります。
〇9番(佐々木努君) 私の質問の趣旨はリーダーシップをどう評価しているかということでありまして、8年間の実績ということではなかったんですが、わかりました。では、リーダーシップのことについて質問させていただきます。
県というのは、いわば市町村の合同体みたいなものだと私は思っていまして、知事はそのリーダー的な立場にあると思います。そういう意味では、知事には市町村を引っ張っていくというリーダーシップが必要だということは知事もおわかりだと思いますが、沿岸被災地の市町村長の方々もそうですが、多くの市町村長の方々は、知事とまともに話ができない、コミュニケーションが図られてこなかったということをよく話されます。それがどこにあらわれているかというと、今回の知事選のマニフェストに三陸復興防災博覧会の開催なんていうものが盛り込まれていて、私はこれを見たときぶっ飛びましたが、被災自治体の首長も、多分これにはあきれているのではないかと思うんです。知事が被災地の首長の方々と話をしてそういうものをやろうと決めてマニフェストに載せるのならわかりますけれども、私は、首長の方々は非常に疑問を持っていると思います。しっかりと被災地に向き合って、被災地の自治体の方々、首長の方々と常に連携を図って話し合いをしていればこういう発想には私はならないと思うわけです。
これは県のリーダーとしてということですが、職員のリーダーという一面も知事にはあると思います。私は、この4年間で2度、職員の挨拶について取り上げさせていただきました。知事も覚えていらっしゃると思いますし、知事は4年前、職員から自分も挨拶をされないとお答えになりました。覚えていらっしゃいますね。全然あれから変わっていないわけです。知事は、そういうことすら改善できない、改善しようとしていなくて、どうしてリーダーシップが図られてきたと言えるのか、私は非常に疑問に思っています。その辺は多分知事と私は認識が違うんだと思いますが、私はそういうところで知事のリーダーシップは非常に欠如しているのではないかと話をさせていただいたわけです。
答弁は多分いただけないと思いますので結構ですが、次に、希望郷いわてについてお伺いしたいと思います。
知事は、希望郷いわての実現を唱えて、県民に訴えてこられました。知事の目指す希望郷いわての姿は、県民一人一人が、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことができる希望あふれる社会、実にこれはすばらしい理念だと思いますが、この8年でどれだけその姿に近づいたのか、誰もが実感できる希望郷いわてはいつ実現するのか、そのことについてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) いわて県民計画では、いっしょに育む希望郷いわてを基本目標として、その具体的な姿として、県民一人一人が、共に支え合いながら、生き生きと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことのできる希望あふれる社会を目指しています。その実現に向けて、第2期アクションプランにおいては、人口の社会減を減らすこと、県民所得水準の国との乖離を縮小すること、求人不足数を改善することなどを政策推進目標に掲げ、取り組んでまいりましたが、これらの結果はおおむね良好に推移してきたところであります。さらに、東日本大震災津波からの復旧・復興を最優先に、被災地や被災者に寄り添いながら取り組みを進めてきたところであり、東日本大震災津波復興計画を着実に推進していくことにより、いわて県民計画が描く目指す姿にも着実に近づいております。
復興の着実な推進に加えて、ふるさと振興総合戦略を適切に策定し、それを実施していくことによって希望郷いわてが実現されるものと考えておりまして、今後、そのような総合戦略を県民の皆さんとともにつくり上げていきたいと思います。
〇9番(佐々木努君) 復興が進んでいる、それは私も理解しています。県が一生懸命頑張っていることは理解していますが、復興を除くと、私は、まだまだ希望郷いわてにはほど遠い状況だと思っています。
先ごろ、平成26年の人口動態統計月報の年計が厚生労働省から発表されました。それによりますと、我が県の出生数は、前年の9、231人から428人も減って8、803人、これで8年連続しての減少です。まさに知事になってから8年連続しての減少。合計特殊出生率も1.44で、これも前年の1.46から0.02ポイント減少しています。
それから、きのうも随分と取り上げられましたけれども、自殺死亡率は秋田にも抜かれて全国ワーストワン。さらには、脳血管疾患の死亡率も全国ワーストワン。今の岩手は、まさにワーストワンとワーストツーのオンパレードのような状況です。このような数字を見ると、私には希望郷どころか失望郷に向かっているのではないかと思えるわけです。これはまじめにそう思えるわけです。知事は、このような数字、それからこのような岩手の実態をどう思われますか。
〇知事(達増拓也君) 平成26年の人口動態統計で、出生数が減少し合計特殊出生率も低下したこと、また、自殺死亡率及び脳血管疾患死亡率が全国で最も高くなったという結果については残念であります。
本県の自殺死亡率及び脳血管疾患死亡率は、長期的には減少傾向にありますが、全国的には従前から高位にあり、また、合計特殊出生率は全国平均を上回っているものの少子化が進んでいる状況にあります。したがいまして、自殺対策、脳卒中予防、そして少子化対策は県としても重要な課題であると認識しておりまして、県民や関係団体と一体となった取り組みをさらに進めてまいります。
〇9番(佐々木努君) 知事が1期目に出たときのマニフェストには自殺率を下げるということがうたわれていたような気がしますが、今もこのような状況で、非常に私も残念に思っています。知事も残念だということですから御理解はされていると思いますが、次の質問に行きます。
私の友人は、知事のことを政局を除いては失点が少ないけれども得点も少ないとよく私に言うわけです。つまり何もしなかったということらしいんですが、私には、知事が県政を大きく変えていくために、何かにチャレンジした、チャレンジする知事というイメージが全くないわけですが、知事として他県に負けないぐらい自分は頑張ってきた、そう自信を持って言えるものはあるでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 私は、日々県政のあらゆる分野で他県に負けないよう頑張り、常にチャレンジを心がけてきたつもりでありますが、特に、東日本大震災津波への対応と復旧、復興については、最大の努力と工夫をもって全力で取り組んでまいりました。
例えば、被災県の知事として、国の東日本大震災復興構想会議や復興推進委員会の委員となり、三陸縦貫自動車道や復興支援道路の整備、三陸鉄道の早期再開、二重ローン解消のための復興支援ファンドの設立、産業施設の早期復旧と事業継続のための大型補助制度の創設などを提言し、その実現を図ってまいりました。また、岩手県弁護士会の協力のもと、国に対し、用地取得迅速化のための制度創設を求め、東日本大震災復興特別区域法の一部改正もなされたところであります。
来年度以降の復興財源についても、本県が見込んだほぼ全額が国費対象額として確保されたほか、三陸沿岸道路の整備に関する全面的な国庫財源の継続や復興交付金効果促進事業の運用改善を実現するなど、被災地の知事として、被災者代表として、復興を前に進める取り組みに全力で当たってまいりました。さらには、この間、平泉の世界遺産登録を実現しさまざまな振興策を展開しておりますほか、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功やILC国際リニアコライダーの実現に向けて努力しているところでございます。
〇9番(佐々木努君) 全ての分野において頑張る、チャレンジするというのは知事として当然のことだと思います。そうではなくて、私が聞いているのは、絶対他県には負けない、自分はこれを絶対やり遂げるんだということで、知事がみずからの思いで進めてきたそういう政策の一番のものは何だと思いますか。
〇知事(達増拓也君) 復興が一番でありますし、また、今、ふるさと振興ということで、いわゆるまち・ひと・しごと創生関係のことにつきましても、他県が全然気がついていなかった、国の経済財政政策により、言いかえると、都会の経済状態と地方の経済状態のバランスによって地方から中央への人口流出というのは年によって全然違ってくる。日本創成会議は、ある一定の人口流出が毎年続くことが前提になっているんですけれども、人口流出の実態は全然そうではないということを岩手県が47都道府県分の資料をつくって、それを去年、全国知事会で紹介し、そして、その趣旨については北海道東北地方知事会議の皆さんにも御理解いただいて、今、私が発信し、全国的にも一つ岩手から発信された主張として進んでいると思います。
また、私は、例えばこいのぼりの掲揚みたいな仕事についても、全国のどの都道府県にも負けないくらいきちんと子供と心を通わせるように、挨拶をする際にもちゃんと保育園の子供にもわかるような挨拶をして、そしてこいのぼりを揚げるときの一緒にひもを引くときも心を合わせるように努めておりまして、そういう努力というのを常にあらゆる政策、あらゆる分野についてやっていくよう努めております。
〇9番(佐々木努君) そういうことを聞いているのではなくて、例えば知事がおやめになったとき、達増知事はこういうことをやった知事だ、こういう知事だと県民の方がはっきりと認識できるものって何ですか。達増知事は何を頑張った知事だと県民に思ってもらえる、そういうふうなことを知事はやってきたと思われますか。
〇知事(達増拓也君) 私は、民選2代目の阿部千一知事が戦後、岩手の形を基本的に決めた知事だと思っていて、その業績を高く評価しているんですけれども、今、そういう認識というのは、余り県民、さらには県外にも残っていないと思うんです。でも、阿部千一知事がやったことというのは、医療局をつくるとか企業局をつくるとか5大ダムを国の直轄事業で実現するとか、そして、今の県庁、この県議会議事堂をつくることを決める、花巻空港建設を決める等々、今の県民の福祉の向上にもそれは役立っていて、知事というのはそういうものだと思います。自分の業績がどうあったかというのを他人に理解してもらうことに時間をかけていたのでは、特に現職である間は、今、岩手がどういう問題に直面しているのか、どこで人が困っているのか、どうすれば解決するのかということに時間をかけられなくなる。それでも私も、A4の紙にして40ページぐらいの復興覚書というのを書いてブログに掲載し、誰でも読めるようにして、この8年間に私がやった主なこととか、そういうものをA4、40ページぐらい、項目にして、数え方にもよりますけれども100とか200ぐらいになるでしょうか、書いたりはしているんですけれども、本当はそういうものにエネルギーや手間暇を割くよりは、今、目の前にある課題に目を向けてやっていかなければならないと思っております。
〇9番(佐々木努君) 例えば、達増知事は、農業を一生懸命頑張った―岩手の基幹産業は農業ですから、そういう知事だったなとか、少子化対策を頑張った、子育て支援を本当に一番頑張った知事だったな、そういうものが県民にあれば、県民はもっと元気が出ると思うんです。残念ながら知事からそういうものが全然伝わってこないんです。さまざまな全ての分野でチャレンジしたとおっしゃいますけれども、なかなかそういうものが見えてこない、その辺が非常に残念だと思っています。
次の質問に行きます。
知事は、昨年から若者、女性の活躍支援を掲げてさまざまな事業に取り組んでまいりましたが、その成果と課題についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、岩手の復興を成功させ、希望郷いわてを実現するためには、若者や女性の活躍を一層推進していくことが必要という認識のもと、若者の活躍支援については、いわて若者文化祭やいわて若者交流ポータルサイト、いわて若者アイディア実現補助などに取り組み、それにより若者の交流の輪が広がり、また、若者みずからが積極的に地域づくりに参加する動きが見られました。
また、女性の活躍支援については、経済団体や産業団体で構成するいわて女性の活躍促進連携会議を設立し、女性の活躍に関する講演会、ロールモデル提供事業などを実施することにより、構成団体においても、独自に女性の活躍に向けた取り組みが行われるなど、女性の活躍支援への機運の醸成が図られたところであります。
沿岸市町村では、過去2年間で20歳から24歳の人口が8.2%増加しているというデータもあり、また、ものづくり産業分野での若手女子後継者グループモノづくりなでしこや、農業分野での牛飼い女子の活動など、女性の活躍に広がりが見られ、若者、女性の活躍のフロンティアがまだまだあると考えられますので、今後とも、若者や女性の声を取り入れながら、拡大している自主的な動きを一層支援してまいります。
〇9番(佐々木努君) 昨年、さっき知事もおっしゃいましたが、若者文化祭が行われました。これは知事の肝いりのイベントだと伺っていますが、私も見に行きました。確かにおもしろい試みだったとは思います。職員の方々も、知事からの突然のリクエストに、時間のない中、一生懸命取り組まれたということでありますが、しかしながら参加者というのはほとんど盛岡市内の大学生とか高校生だったわけで、多分県内のほとんどの若者は、こういうものが開催されたということすらわからなかったのではないかと思います。知事は、これに参加したことによって、あるいはさまざまなポータルサイトの運営によって地域活動が進んだとさっきおっしゃいましたが、私はそういう感覚が全くないということで、一体何のためのイベントだったのか、今、非常に疑問に思っているわけで、若者、女性の活躍支援というのは、そういうイベント的なものではないのではないかと思うわけです。
例えば、進学したくてもお金がなくて行けないとか、働きたくても働く場所がない、結婚したくても出会いがない、出会いがあっても給料が安くて結婚できないとか、それから、仕事に復帰したいけれども子供を預ける場所がない、養育費がかかるから子供をたくさんつくれない、そういうたくさんの若い方々を支援する、そういうものが本当の意味での若者、女性の支援なのではないかと私は思うわけです。
知事は毎年、若者と懇談会をやっておられますけれども、その相手というのはいつも活躍している方々ばかりなんです。そういうことがあるから、多分、医大跡地に若者、女性支援の拠点施設をつくろうなんていう発想になるんだと私は思います。イベントをやって箱物をつくれば若者支援になるというのは大きな間違いだと私は思います。知事は、沿岸で一生懸命汗水流して真っ黒になって働いている若い人を見たことがありますか。話をしたことがありますか。その方々が何を考えているかわかりますか。知事は、答えは現場にあるとよく言いますけれども、現場にあることはわかっていても、現場にあるものがわからなければ、私は答えって見つからないんじゃないかと思うわけです。知事と我々県民の間にはそのような感覚のずれがあるということを指摘させていただきたいと思います。
今、全国の知事たちの間で、連携を図って国に働きかけを行っていこうという取り組みが行われているわけですが、平成25年4月には、三重県や鳥取県など10県の知事が子育て同盟を結成して―昨年度は11県になったんですが―知事たちによって国に対して提言活動を行った、そういう活動が行われています。その同盟は、ことし4月に新たに1県を加えて地方創生の提言等を行う同盟に発展させたということでありますが、知事は、全国の若い知事の方々のこういう活動についてどのように思われますか。
〇知事(達増拓也君) 12県の知事が子育て同盟を発展させて日本創生のための将来世代応援知事同盟を立ち上げて、人口減少に歯どめをかけ、東京一極集中の是正に向け、先進事例の共有や政策提言を行うということは意義のあることだと思います。私も、東京一極集中是正について、都道府県別に有効求人倍率の全国差と人口流出の推移とを重ねたグラフを作成し、地方重視の経済財政政策を実施するよう国に働きかけるべきということについて北海道東北地方知事会議において賛同をいただき、8道県知事の皆さんと一緒に国に対して提言を行うなどの活動を行っております。
このほかにも、地域振興をテーマに複数県と連携し、知事が直接加わる形で活動したりもしておりますけれども、私も、今後においてもこのような連携活動に適宜取り組んでまいりたいと思います。
〇9番(佐々木努君) やっぱり、そういうやる気のあるといいますか、非常に思いのあるほかの知事の方々と同盟をつくってそういう活動をするというのは非常に大事だと思います。知事が一人で頑張ったって国は動かせないと思いますので。なぜ知事が入らないのかと非常に疑問を持っているんですが、お答えはいただかなくて結構です。
それでは、次の質問に移ります。地域医療改革についてお伺いいたします。
通告しておりました地域医療構想の策定についてと、政府の有識者会議が示した2025年時点の望ましい病床数についての県の考え方の二つにつきましては、昨日、渡辺幸貫議員が質問されましたので、これは取りやめさせていただきます。
いずれ、今後、構想をもとにして、県立病院も含めた公立病院は、それぞれの医療機関ごとに改革プランを策定することになりますので、関係する市町村、民間医療機関の意見をできるだけ反映しながら、岩手の実情に合った構想を速やかに策定されますよう、よろしくお願いいたします。
では、地域医療構想と密接な関係がある公立病院改革ガイドラインへの対応についてお伺いします。
公立病院改革ガイドラインは2013年に終了したわけでありますけれども、国では、引き続き改革が必要という認識で、ことし3月に新たなガイドラインを示しました。今回のガイドラインは、前回のガイドラインの3本柱、経営の効率化、再編ネットワーク化、経営形態の見直し、これに新たに地域医療構想を踏まえた役割の明確化が加わったものでありますけれども、公立病院の病床数に応じた地方交付税措置の算定基礎となる病床数が、許可病床数から稼働病床数に変更されたこと、そして、再編を伴わない病院の通常の整備においては、これまで30%の交付税措置があったわけですが、来年度以降は25%に減らされるということで、前回のガイドラインと比較すると、財政措置については非常に厳しいものになっていると私は思っています。
加えて、県立病院を含む公立病院の新設、建てかえなどに当たっては、県には、公立病院の機能、役割分担、統合再編のあり方、適正な規模、医師等確保の方策、収支見直し等について十分に検討して、意見を付して総務省に提出することが求められています。それを踏まえて、総務省では、適当と認められるものに対してだけ地方交付税を交付するということで、これまで以上に県の権限が大きくなると私は思っておりまして、あわせて指導力も問われてくる、県にも市町村にも相当の覚悟が求められているのだと私は思います。
そこで伺いますけれども、県として、この新たなガイドラインに示された国の方針についてどのように考えていらっしゃるのか。また、医療局にお聞きしますが、医療局では、ガイドラインに基づく新公立病院改革プランの策定にどのように対応されていくのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 新公立病院改革ガイドラインで示された国の方針についてでありますが、前回のガイドラインの3本柱に加え、今回、地域医療構想を踏まえた役割の明確化の視点が加えられたところでありますが、今般策定する地域医療構想は、地域における将来の目指すべき医療提供体制を示すものでありますことから、今後の公立病院改革は、地域医療構想と整合的に行われるべきであることを明確にしたものと考えております。また、都道府県は、地域医療構想の策定とその実現を通じて、以前にも増して地域医療体制の確保に向けた責任を有することから、新しいガイドラインに県の役割と責任が明記されたものと認識しています。
県といたしましては、市町村の新しい公立病院改革プランの策定に対する助言のほか、病院施設の新築等に際しての経営見通しや地域医療構想との整合に関する助言など、関係部局が連携しながら、その役割と責任を果たしていきたいと考えております。
〇医療局長(八重樫幸治君) 新公立病院改革プランの策定についてでありますが、平成25年12月に策定した県立病院等の経営計画は、総務省が平成19年12月に策定した公立病院改革ガイドラインに定める公立病院改革プランとして位置づけているものであり、県立病院が県民に信頼され、今後とも良質な医療を持続的に提供できるようさまざまな取り組みを進めているところであります。
総務省は、本年3月に新公立病院改革ガイドラインを示し、各公立病院において、新たなガイドラインに基づき平成28年度までに新公立病院改革プランを策定し、継続して改革に取り組むよう求めていることから、医療局といたしましては、引き続き現経営計画を着実に実行していくとともに、ガイドラインに基づく新公立病院改革プランの策定については、今年度策定される地域医療構想を踏まえ、必要に応じて現経営計画の見直しにより対応することを想定しています。また、計画の見直しに当たっては、病院長を初め各病院から意見を聞くほか、外部有識者による経営委員会からも意見を伺いながら検討を進めていきたいと考えております。
〇9番(佐々木努君) よろしくお願いいたします。
今回のガイドラインの肝は、地域医療構想に基づいて病床数を減らすことだと私は思っていて、そのために公立病院改革プランにおいて病院の統合再編を進めることが国から強く求められていると思っています。国も、病院統合による整備については40%の交付税措置をするなど、あめとむちを使い分けて病院統合再編に県が踏み込むように厳しく求めていまして、県としては、県立病院間の統合も含めた、市町村立病院、さらには民間病院との統合も見据えた議論を進めなくてはならないと私は思っています。
今回のガイドラインで求められている病院の統合再編について、県はどのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 病院の統合再編についてでありますが、公立病院改革は、公立病院が安定した経営のもとで、民間病院との適切な役割分担により、僻地医療や高度専門医療などの不採算医療等を提供する重要な役割を継続的に担っていくことを目的としたものと認識しております。
今後、国のガイドラインの考えに沿って、病院事業を行っている自治体が新しい公立病院改革プランを策定することとなりますが、病院の再編、ネットワーク化については、地域医療構想の策定と、その実現に向けた取り組みの中で行われる地域の医療関係者等による協議などを踏まえ、地域医療構想と整合を図る形で、一義的には病院の開設者、管理者が主体的に検討すべきものと認識しております。
〇9番(佐々木努君) おととしの夏に山形県酒田市にある日本海総合病院に私は行ってまいりました。部長は行かれたことがあるかどうかわかりませんけれども、いずれ行ってきたのですが、この病院は2008年に、当時の県立日本海病院、同じく酒田市にある市立酒田病院が統合して独立行政法人として新たな病院になったというものであります。当時、市内の県立病院と市立病院の二つの病院が、医師の奪い合い、患者の奪い合いをしていた。それで、県立病院のほうが非常に赤字が大きかったということで、実際には市立病院の院長先生のほうから、この際、一緒になってやらないかという話を持ちかけて、それがまとまって現在に至っているということであります。その結果どうなったかというと、全国各地から若くて優秀なドクターがどんどん集まってくるようになった。病床数も減らすことができた。内部留保は、今、50億円を超えているとも言われています。そのようにすばらしい病院経営になっているということであって、国は、多分、そういう取り組みを全国に広げたいという思いでこのガイドラインを作成したのだと思います。
県内には、当時の酒田市と同じような状況の地域が実は何カ所かあるわけです。県立病院と市立病院が一緒にあるというところがあって、やはり当時の酒田病院と同じような状況になっている。私は、山形県の日本海総合病院のようなものをモデルとして、ぜひ県が指導的な立場に立って県内の病院の再編を進めるべきだと思いますが、このことについて取り組むお考えはないか、所感をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 病院の統合再編につきましては他県でもさまざまな例があり、議員から御紹介のありました日本海総合病院のほか、例えば兵庫県でも県立病院等公的病院の統合を進めようとする動きもございます。他県のそういった事例、それから、県内でも県立釜石病院と釜石市民病院が統合したという事例もあります。そうした過去の事例を十分に検証する必要もあると考えております。
今後、病院の開設者等が、再編、ネットワーク化に係る計画等、そういう構想を策定する場合におきましては、要請に応じて、県といたしましても検討委員会に委員として参画するなど、地域医療構想の実現の視点に立って、その取り組みを支援していきたいと考えております。
〇9番(佐々木努君) ぜひ、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、教育制度改革について伺っていきたいと思います。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が4月1日から施行されました。この改正の柱は、首長が任命する新教育長の設置、教育長へのチェック機能の強化、総合教育会議の設置、教育大綱の作成の四つでありますが、教育の大きな転換ともいえるこの制度改革が岩手の教育にいい影響をもたらすように、我々もしっかりとこの流れについては注視していかなければならないと考えています。
今回の制度改革は、大津市のいじめ自殺問題で市教育委員会が機能しなかったことがきっかけと言われておりますが、いわば教育委員会だけに教育行政を任せられないという国の考え方が根底にはあると聞いています。そういう意味からの首長の権限を強化する改正であって、総合教育会議の設置、教育大綱の策定など、知事が教育に深くかかわることができる内容になっています。この知事の権限の強化がいいか悪いか、現時点で私にはわかりませんけれども、少なくとも今よりも岩手の教育が後退するようなことがあってはならないと思います。
そういう思いから、新制度移行後の教育の進め方を知事が示す第1回の総合教育会議に注目してみましたけれども、会議録を読んで、正直がっかりしました。初回ということもあったのかもしれませんけれども、総合教育会議のあり方、今後の進め方について、教育委員から何の質問も意見も要望もない。何よりも、知事から教育行政のトップとしての力強い意思表示がなかったのは私は非常に残念でした。
そこで伺うわけですが、知事は、この総合教育会議の役割をどのように認識されているのか。また、知事は今回の改正で実質的に、私の感覚では、教育行政のトップになったと思うわけですが、みずからの立場、みずからの役割をどう認識しているのか伺います。
〇知事(達増拓也君) 今般の法改正は、教育委員会は引き続き執行機関として教育に関する事務を担うという一方で、知事の教育行政に対する関与が強化されておりまして、それぞれがその役割を担って責任を果たすことで、より望ましい教育行政の実現につながるものと考えております。
総合教育会議は、既に1度開き、教育委員の皆さんからもそれぞれ御意見をいただき、私からも決意を述べたところでありますが、知事と教育委員会が地域の教育の課題やあるべき姿を共有し、相互の連携を図りつつ、より一層民意を反映した教育行政を推進するため設置されたものであります。
新しい教育委員会制度においては、知事が主宰する総合教育会議の設置のほかに、教育長を知事が直接任免すること等によって、知事がこれまで以上に教育行政にかかわる機会がふえます。県民の代表である知事が教育にかかわることは、教育を県民に対してより開かれたものにしていくこととなりますので、総合教育会議における議論のほかにも、教育関連行事にも知事が積極的に参加しメッセージを発するなど、県民に開かれた教育行政を推進するための役割を担っていきたいと思います。
〇9番(佐々木努君) 今回の制度改正では知事が教育大綱を策定することになりましたが、先日の会議においては、改めて大綱は策定せずに、いわて県民計画を大綱にかえるという説明が事務局からなされて、了承されたということでありました。大綱を改めて策定しない理由については、いわて県民計画が、知事部局と教育委員会が十分に協議して作成したものであるというものでありました。
しかしながら、これまで知事は教育分野には深く踏み込めませんでした。つまり知事部局としても予算面以外は教育に余り関与できなかったということで、そういう意味では、いわて県民計画は十分に協議されたものといっても、新制度上は知事の思いや考えが反映されない不十分なものだと私は思っています。それが策定しない理由にはならないと思いますが、知事の認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) 4月27日に開催した総合教育会議において、教育に関する大綱として位置づけたいわて県民計画でありますが、これは、希望郷いわての実現のための県政全体の指針であり、県の政策推進の方向として県議会の議決をいただいたものであります。
その内容には、総合計画審議会からの答申を踏まえて、知事と教育委員会が連携して策定した、学校教育を初め文化、芸術、スポーツなど教育振興全体の施策を盛り込んでありまして、まさに知事が定める大綱にふさわしいものと総合教育会議において合意したところであります。
本年度は次期アクションプランの策定を進めることとなりますが、策定プロセスにおいては、総合教育会議における議論を踏まえるなど、教育委員会と十分な協議、調整を図りながら、県民の思いを具体の教育施策に反映させていきたいと思います。
〇9番(佐々木努君) 私は、知事には教育に対してさまざまな思いが多分あるのだと思っていたので、この質問をしたわけですが、知事としては、今回の法改正も含めて、大綱も含めたいわて県民計画に、改めて知事の思いを入れるということはされない、そのような認識でよろしいわけですね。
〇知事(達増拓也君) 今申し上げたように、県民の思いを具体の教育施策に反映させ、また、大綱であるところのいわて県民計画に盛り込んでいきたいと考えております。教育委員会も教育委員会として、県民に開かれた形で県民からさまざまな意見を取り入れて教育行政を行っているわけでありますけれども、知事は知事で、県民からさまざまな意見が寄せられますし、また、農林水産であるとか商工労働観光、あるいは保健福祉や医療、そういったさまざまな知事部局の所管にかかわるところからまた県民の意見をいただいて、岩手の教育かくあるべしというような、そういう県民の思いを、知事を通じて教育により反映させられるということが今の新しい制度のメリットだと思っておりまして、それを最大限活用していきたいと思います。
〇9番(佐々木努君) 私は、全く主体性がないような気がします。
それでは、お聞きしますけれども、今後、知事は岩手の教育に大きな影響を与える存在になっていくのだと思いますが、そういう観点から、子供たちの教育に限定してお伺いしますけれども、知事は、岩手の子供たちをどんな子供たちに育てたいのか、子供たちにどんな教育を施したいのか、どのようなお考えを持っているのかお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 東日本大震災津波からの本格復興をなし遂げるとともに、ふるさと振興を進めていく上で人材の育成は特に重要であります。人口減少問題に直面している県内のそれぞれの地域において、これからの岩手を担う人材を育成することや、さまざまな分野で急速に進みつつあるグローバル化社会に対応するため、岩手と世界をつなぎ、自立と共生の担い手となる人材を育成することは、子供たちの教育において極めて重要な視点と捉えています。
このような視点を踏まえて、本県の学校教育においては、次代を担う子供たちを、たくましく創造力あふれ人間性豊かな人に育むとともに、子供たち自身が、地域を支え、変容する社会に対応する確かな力を身につけられるように、教育委員会とともに本県教育の充実に取り組んでいきたいと思います。
〇9番(佐々木努君) 私は、できれば原稿を外して、知事の言葉で、これからの子供たちをどう育てていくかという答弁を聞きたかったんですが、その点は非常に残念ですけれども、わかりました。
それでは、次の質問に参ります。震災復興関連工事の発注の考え方についてお伺いいたします。
私は、震災復興に係る工事は可能な限り県内業者が行うべきだと思っています。それは、ここにいる議員全ての共通の思いだと思っています。その考えに立ちまして、昨年9月の一般質問で、被災した水門、陸閘の自動閉鎖システム整備工事においても県内業者が参加できるように配慮してほしいということを要望いたしました。それに対して県当局からは、県内業者で施工可能なものは県内業者を優先するという方針を堅持して復旧、復興に努めていくという答弁をいただいています。
改めてお聞きしますが、その考え方は現在も堅持されていると理解してよろしいでしょうか。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 震災関連工事の県内業者の活用についてですが、復興事業を進める上で地元業者の果たす役割は大きく、復興後においても、社会資本ストックの維持管理や災害時の機動的な対応などを担う地域の建設企業が存続、成長していく必要があると考えているところです。
復旧、復興工事を含め県発注工事においては、WTO案件は県内業者を優先する取り扱いはできませんが、それ以外については、県内業者で施工可能なものは県内業者を優先する方針に変わりはございません。
〇9番(佐々木努君) 去る6月9日に水門、陸閘自動閉鎖システム整備工事の発注が公示されたわけですが、私は、内容を見て非常に違和感を覚えました。この工事の業者選定はプロポーザル方式で行われるわけでありますけれども、参加資格が、2者若しくは3者の構成員からなる任意に結成された特定共同企業体又は単体有資格者であること、そして、元請として衛星通信のネットワークを利用した無線設備工事を施工した実績を有することとなっています。この要件だと、大手企業しか元請として参加できないことになるのではないでしょうか。
県内にはJVとしてなら十分に参加が可能な企業があるはずでありますけれども、そのことが考慮された参加要件になっているとは私には到底思えません。確かに、文言上はJVを組むことができることになってはいますが、プレゼンテーションの配点にJVを組むことを評価する項目がありませんので、大手企業は必然的に単体での参加を希望すると思います。つまり、県内企業が元請として参加することは実質的に不可能であると私は解釈しています。この手法のどこに県内業者への配慮が見られるというのか、非常に疑問です。県内業者がJVとしてこの工事に参加すれば、将来的にもこの維持管理は続くわけですから、県内企業の育成、地域経済を守っていくという面からも県にとっては非常にメリットが大きいと思いますが、そのようなお考えは県にはなかったのでしょうか。本来ならば、発注者である県が率先してこういう事業は県外企業と県内業者のJVを推進すべきだと私は思いますが、このようなやり方はちょっと納得がいきません。なぜこのような参加資格にしたのか、その理由について説明をお願いいたします。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 6月9日に公告しました当該工事でございますが、ジェイアラートによる津波警報等の信号受信を契機として、県庁などの統制局から、衛星通信のネットワークを利用し、閉鎖すべき水門や陸閘に―約240基ございますが―一斉に閉鎖命令を送信するシステムの整備工事でございまして、公募型プロポーザルによる設計施工一括選定方式により発注を行っております。
この工事は、衛星通信を利用することから、プロポーザルに参加する単体もしくは特定共同企業体の代表者には、衛星通信のネットワークを利用した無線設備工事の施工実績を有することという資格要件を設定したところであり、この要件を満たせば、大手企業にかかわらず参加が可能です。また、特定共同企業体の代表者以外の構成員については、企業の施工実績要件を付していないことから、県内業者なども参加することが可能となっています。
この工事は、統制局や水門、陸閘に設置される遠隔監視制御装置までを一体として整備する必要がありまして、WTO政府調達協定の基準額を超えるWTO案件となりますことから、発注において、県内業者を優先するような取り扱いはできないこととなっております。
なお、御質問の中に維持管理の話がございましたが、メンテナンス業務につきましては、システムの運用開始までに別途発注することとしてございますので、具体的な発注方式については、今後、検討してまいります。
〇9番(佐々木努君) 特定JVの代表者以外は参加できるというような話でしたが、問題は、JVに参加できるかどうかということだと思います。システムはまた別途発注ということですが、これは、基本的にはこの工事に参入したそういう業者がイニシアチブをとるのだと私は理解をしていて、何度も言うようですが、特定共同企業体に参加できるかどうかが県内企業にとっては非常に大きなことだと私は思います。
WTOは、確かに地域のそういう業者、県内の業者を優先することはできないということは、私は理解していますけれども、それ以外のプレゼンテーションの配点等々で十分配慮ができるのではないかと私は理解していますが、これを見直すお考えはないか、それをお伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) プロポーザルの評価項目の配点につきましては、設計、施工の内容を踏まえまして適切に設定したものでございます。WTO案件は県内業者を優先する取り扱いはできないことから、県内業者の参加を評価する項目は設けていないところでございまして、見直すことは考えてございません。
〇9番(佐々木努君) わかりました。ありがとうございます。
いずれ、私は納得はしていませんけれども、このような事業が今後も出てくる可能性はないわけではありませんが、やはりできる限り県内業者がそういう復興事業にかかわることができるように、将来的にもかかわることができるようにするのが県の大きな役割でもあると私は思いますので、そのことには気を配っていただきながら事業を進めていただきたいと思います。
次に、林業の担い手確保についてお伺いいたします。
県産材の取引価格については1980年代がピークでありましたけれども、徐々に下降線をたどって、現在はピーク時の3分の1程度になっていて、我が県の林業情勢は非常に厳しい状況にあると理解しています。しかしながら、近年、バイオマス発電の普及、そして、先ごろ本格稼働しました北上市にある大規模な合板工場の立地によって需要増がこれから期待されているところであると思います。
このように林業に明るい兆しが見える中で、私が非常に心配しているのは林業の担い手不足であります。2010年の国勢調査によりますと、全国の林業従事者は約5万1、000人で、昭和35年の約44万人から大幅に減少しています。我が県でも平成25年度の年間60日以上の林業従事者は2、098人にとどまっておりまして、今後の岩手の林業振興を図っていく上で担い手の確保が重要な課題となっていると思います。
そこで、初めに、林業の担い手確保のために県としてこれまでどのような施策を講じてこられたのか、その成果と課題をお伺いいたします。
〇農林水産部長(小原敏文君) 県では、担い手の確保に向け、岩手県林業労働対策基金と連携しまして、就業希望者を対象とした相談会や林業体験教室、また、高校生を対象としました高性能林業機械試乗体験や職場見学会を開催してきており、また、新規の就業者に対しましては、緑の雇用現場技能者育成対策事業によります養成研修などを実施してきております。
これらの取り組みによりまして、平成21年度から平成25年度までの5年間で470名が新規に就業しており、就業者数は平成19年の1、870人から平成25年は2、098人となるなど、回復傾向にございます。
一方で、依然として60歳以上の就業者が4割を超えており、世代交代のための若い林業就業者の確保や定着率の向上などが重要でありますことから、今後とも就職先としての認知度と評価の向上などに取り組んでまいります。
〇9番(佐々木努君) 担い手がなかなかふえてこない中で、近年、全国的に林業を志す若者がふえてきて、平成15年度に緑の雇用事業が始まって以来、上下しながらも一定の新規就業者を今おっしゃられたように確保しています。他県ではそのような林業を志す若者を支援するための取り組みが積極的に行われているようでありまして、京都府では林業の専門大学が設置され、山形県では来年4月に農業大学校の中に林業学科を設置することが決まっているということであります。
我が県においても、今後見込まれる林業従事者の不足への対応、そして森林経営の長期的なプランニングを行うことができる人材の育成支援のために、県としてもこの人材育成に取り組む必要があると思います。具体的には農業大学校に林業学科を新設するなどの取り組みが考えられますが、そういう取り組みを行っていくお考えはないかお伺いいたします。
〇農林水産部長(小原敏文君) 県ではこれまで、林業技術センターや岩手県林業労働対策基金で実施します研修について内容の充実等に努めてきたところでございますが、近年、大規模な木材加工施設や木材バイオマス発電施設の整備が進むなど木材需要が増大してきておりまして、効率的に素材生産を行う人材や持続的な森林経営を担う人材の育成が求められております。このため、県では、今年度、有識者によります林業人材育成のあり方検討会を設け、実践的な研修を受けられる養成機関などの設置を含めた林業就業者の育成のあり方についてさまざまな観点から検討を進めているところでありまして、今後、この検討会からの報告を踏まえて研修体系などを再構築し、議員から先ほど提案のありました趣旨も踏まえながら、本県の森林、林業の将来を担う人材の確保、育成に取り組んでいくこととしております。
〇9番(佐々木努君) よく新聞で釜石地方森林組合が取り上げられて、若い人がうんと頑張っているなと思っていますが、そういう方々がこれからも頑張っていけるように、あるいはそういう流れを全県に広めていくためにはやはり人材育成が必要だと思いますので、私が先ほど提案させていただいたことについてもぜひ積極的にその委員会等で議論をしていただければと思います。よろしくお願いします。
次に、農地中間管理事業についてお伺いいたします。
米価の低迷が続いておりますけれども、平成26年産米の大幅な下落は農家経営に大きな打撃を与えましたし、農業に対する意欲の減退も招きました。私の知り合いの農家の中にも、もうやっていけない、ことしで米をつくるのはやめるという方が少なからずおりまして、非常に残念に思うとともに寂しさを感じるわけであります。
図らずも、今回のこの米価下落でこれまで国が誘導してきた担い手への農地集積に拍車がかかって、また、先ごろ政府の規制改革会議が答申しました耕作放棄地への固定資産税の課税強化が現実のものになれば、農地流動化が一層進むのではないかと思います。
そういう中で、昨年度から始まった農地中間管理機構による農地のあっせん事業はことしで2年目を迎えたわけでありますけれども、全国的に貸付面積の年度目標が未達成となっている中で、岩手では初年度の農地の貸付面積が目標面積の2、000ヘクタールを超える2、359ヘクタール、今年度も既に1、484ヘクタールに達しておりまして、一定の評価がされていると理解しています。しかしながら、最終年度である平成35年度の目標面積11万9、000ヘクタールにはまだまだ遠いわけでありまして、今後も取り組みの強化を図っていかなければならないと思います。
そこで伺いますが、今後、事業を進めていく上での課題、そして、事業推進のための取り組みについてお聞きいたします。
〇農林水産部長(小原敏文君) 本県では、農地中間管理機構であります岩手県農業公社を中心に関係機関が一体となって取り組みを進めてきた結果、平成26年度の貸付実績は目標を上回ったところでありますが、今後、事業を進めていく上で、農地の出し手が少ないことや、中山間地域特有の、区画が狭小で急勾配な農地が多いことなどが課題でございます。このため、引き続き、機構や市町村等と連携しまして、まず、農地所有者への十分な制度周知によりまして農地の貸し出しを促しますとともに、中山間地域におきましては、県の職員で構成します中山間応援隊によります地域の話し合いの誘導、また、新たに創設されました国の農地耕作条件改善事業を活用した簡易な条件整備などによりまして担い手への農地集積を図ってまいります。
また、最終目標の達成に向けましては、地域農業マスタープランの継続的な見直しが必要となりますことから、それらを進めますとともに、基盤整備の一層の推進など、総合的な取り組みを今後行っていく必要があろうと考えてございます。
〇9番(佐々木努君) これまでの取り組みは私も非常に評価しておりますし、今後の取り組みの方針についても理解したいと思いますが、一つ確認させていただきます。
実際に契約の中で農地の借り手から出し手に支払われる賃借料がゼロという契約がなされて、出し手農家が困惑して不信感を持っているという話を何度か私は耳にしています。また、それを機構が奨励しているのではないかという疑問の声も聞こえてくるわけでありますけれども、県はそのような事実を把握されているでしょうか。また、実際の賃借料の取り決めについてはどのようにされているのか、そのことについてもお伺いいたします。
〇農林水産部長(小原敏文君) 農地中間管理事業を利用しました農地の賃料設定でございますが、機構が地域の農地情報に詳しい農業委員会と連携しまして、周辺地域の直近の相場や、圃場条件、収量水準など農地の生産力も勘案しながら、出し手と受け手の双方と協議の上、決定しております。その結果、圃場の条件などから、出し手と受け手の双方が合意した場合、賃料なしの契約も締結されております。その割合でございますが、昨年度の実績で申し上げますと、約1割が賃料なしの使用貸借契約で締結されているという実績でございます。
なお、機構との契約後におきましても、賃借の条件等につきまして相談がある場合には機構や市町村等の関係機関が窓口となって対応することとしておりまして、引き続き、出し手と受け手の双方が納得できるような調整が行われるよう、必要な助言、指導をしてまいります。
〇9番(佐々木努君) いずれ1割の方が賃借料ゼロということでありますけれども、その方々で多分中身をわかっていない、説明不足のところももしかしたらあるのではないかと思いますので、そういう疑念を持たれないような進め方をぜひしてほしいと思います。
いずれ、政府の規制改革会議は、実績を上げた都道府県に予算の重点配分を含めたさまざまな優遇措置を行うべきだという答申もされたということで、中山間地の多い我が県にとっては、非常に納得がいかないというか、非常に不利な条件であって違和感を覚えるわけでありますけれども、いずれにしろ遊休農地をできるだけつくらないという取り組みは絶対に必要だと思いますし、農家の規模拡大もこれからの岩手の農業を進めていく上では非常に大事なことだと思いますので、ぜひ農地中間管理機構のあっせん事業については、出し手と受け手の方々の両方に配慮した形で、できるだけ目標に向かって着実に進めていただきますよう改めてよろしくお願いいたします。
最後の質問になります。
昨年、東北油化が経営破綻いたしまして、死亡牛の受け入れができなくなってから約9カ月が経過いたしました。この間、死亡牛は群馬県の化製場に運搬されて処理されておりますけれども、県には、事案発生後、搬出経費の助成を行っていただいたことに対しましては、多くの畜産農家にかわりまして心から御礼を申し上げます。
そのような状況の中で、県南地域の死亡牛は、一度、検査のために中央家畜保健衛生所に運ばれておりまして、聞くところによりますと、中央家畜保健衛生所は大変な状況であると聞いています。そのためにも、県南地域に一日も早くBSE検査施設と48カ月齢未満の死亡牛の一時保管施設の早急な設置が求められています。この設置場所の選定では県も大分御苦労されていると承知していますが、現段階でどのような状況になっているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(小原敏文君) 施設の整備に当たりましては、県南地域の関係市町村や農協との協議により、BSE検査が必要な48カ月齢以上の死亡牛を保管する県の施設と、48カ月齢未満の死亡牛を保管する地域の施設を県南地域の1カ所に一体的に整備することとしております。
設置場所につきましては、交通の利便性や冬期の安全性などを考慮しながら関係市町村や農協等と鋭意協議を進めており、現在、候補地の絞り込みに向けた最終調整を行っております。近日中には地域説明会の開催を予定しており、その結果等を踏まえ、速やかに設置場所を決定し、早期の完成を目指してまいります。
〇9番(佐々木努君) 多くの畜産農家が待ち望んでいる施設だと思います。県としても非常に大変だと理解はしていますが、一日も早い設置に向けて一層取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、時間がかなり余りましたが、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 以上をもって佐々木努君の一般質問を終わります。
〇議長(千葉伝君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時15分 休 憩
出席議員(43名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
26  番 五日市   王 君
27  番 喜 多 正 敏 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 嵯 峨 壱 朗 君
30  番 工 藤 勝 子 君
31  番 工 藤 勝 博 君
32  番 及 川 あつし 君
33  番 小田島 峰 雄 君
34  番 大 宮 惇 幸 君
35  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
44  番 佐々木 大 和 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時33分 再 開
〇議長(千葉伝君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木茂光君。
〔8番佐々木茂光君登壇〕(拍手)

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