平成26年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成26年3月18日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長     高 橋 勝 重
  議事管理担当課長 鈴 木 文 彦
  主任主査     佐々木   誠
  主任主査    清 川   勝
  主任主査    村 上   聡
  主任主査    藤 澤 壮 仁
  主査    引屋敷   努
  主査    藤 枝   修
1説明員
  農林水産部長   東大野 潤 一
  理事    高 橋 嘉 行
  副部長兼
  農林水産企画室長 菊 池   寛
  農政担当技監   工 藤 昌 男
  農村整備担当技監
  兼農村計画課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  漁港漁村課
  総括課長    大 村 益 男
  競馬改革推進室長 鈴 木 浩 之
  理事心得    熊 谷 正 和
  農林水産企画室
  特命参事    黒 田 敏 彦
  農林水産企画室
  企画課長    藤 代 克 彦
  農林水産企画室
  管理課長    及 川 健 一
  団体指導課
  総括課長    宮 野 孝 志
  指導検査課長   菊 池 光 洋
  流通課総括課長  泉   裕 之
  農業振興課
  総括課長    高 橋   渉
  担い手対策課長  千 葉 和 彦
  農業普及技術課
  総括課長    前 田 一 人
  農村建設課
  総括課長    伊 藤 栄 悦
  農産園芸課
  総括課長    下 村   功
  水田農業課長   中 南   博
  畜産課総括課長  渡 辺   亨
  振興・衛生課長  及 川   団
  林業振興課
  総括課長    菊 池   透
  森林整備課
  総括課長    阿 部 忠 一
  整備課長    赤 澤 由 明
  森林保全課
  総括課長    佐 藤 順 一
  水産振興課
  総括課長    五日市 周 三
  漁業調整課長   山 口 浩 史
  競馬改革推進監  内 宮 明 俊
  競馬改革推進室
  特命参事    高 橋   徹

  参事兼
  財政課総括課長  佐 藤   博
〇樋下正信委員長 本日は延べ22人の質問者が予定されておりますので、進行に御協力願います。
 これより本日の会議を開きます。
 佐々木努委員は欠席とのことであります。
 これより議事に入ります。
 議案第2号から議案第22号まで、議案第36号から議案第44号まで、議案第46号から議案第57号まで、議案第62号、議案第63号、議案第67号、議案第68号、議案第70号から議案第77号まで、議案第79号、議案第82号、議案第84号、議案第86号から議案第94号まで及び議案第166号の以上67件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いします。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月6日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野についてそれぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇東大野農林水産部長 農林水産部関係の平成26年度の予算関係議案につきまして御説明申し上げます。
 予算関係議案の説明に入ります前に、平成26年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 まず、本県農林水産業を取り巻く状況についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興は、これまでの取り組みにより、漁船や養殖施設、水産業共同利用施設等の整備が進み、産地魚市場の水揚げ量も回復傾向にあるものの、いまだ途上にあるほか、放射性物質の影響からの、原木シイタケの産地再生や風評被害対策を的確に進めていかなければならない状況にあります。
 また、本県農林水産業は、高齢化の進行による従事者の減少や、生産物価格の低迷による所得の減少など、農林水産業、農山漁村の維持、発展の上でさまざまな課題を抱えております。
 このような状況を踏まえまして、平成26年度は、本格復興推進年の位置づけのもと、東日本大震災津波復興計画に掲げました取り組みを着実に進めるとともに、いわて県民計画第2期アクションプランに掲げた取り組みも推進し、本県農林水産業が地域経済を支える基幹産業として再生、発展できるよう取り組んでまいります。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けましては、地域に根差した水産業の再生のため、引き続き、漁船や養殖施設、漁港等の復旧、整備を進めるとともに、地域漁業の再生を担う経営体の確保、育成や、水産物の漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理サプライチェーンの構築を推進します。
 また、農地や農地海岸保全施設の復旧、整備のほか、施設園芸団地を核として沿岸地域の気象特性を生かした産地づくりに取り組んでまいります。
 さらに、放射性物質影響対策として、原木シイタケ産地の再生に向けた取り組みや粗飼料生産基盤再生のための牧草地の除染を進めるとともに、風評被害対策として、消費者の信頼回復、販路の回復、拡大を図ってまいります。
 この復興に向けた取り組みと軌を一にして、全県の農林水産業の振興を図るため、生産者みずからが地域農業全体の将来ビジョンを描いた地域農業マスタープランの実現に向け、担い手への農地の集積、集約化や、小規模農家も参画した園芸作物の生産拡大等を進めるとともに、農業、農村が持つ多面的機能の維持、発揮などの取り組みを進めてまいります。
 また、里山資源である地域材を生かした復興住宅等整備への支援や木質バイオマスの利用拡大に取り組むとともに、地域漁業の強化に向けた担い手の育成や、流通、加工体制の強化に取り組んでまいります。
 さらに、6次産業化支援などによる農林水産物の高付加価値化と販路の拡大や農林水産物の輸出促進に取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第2号平成26年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その2の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の776億8、006万9、000円のうち、県土整備部所管分を除く774億2、803万9、000円及び9ページの11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費の5億5、456万8、000円のうち、農林水産部関係の予算2、607万8、000円と3項農林水産施設災害復旧費の611億6、931万3、000円を合わせまして1、386億2、343万円となります。
 国の経済対策に対応し、災害復旧予算の一部を平成25年度に前倒し措置したことなどから、前年度当初予算1、556億183万6、000円と比較しますと、金額で169億7、840万6、000円、率にして10.9%の減となります。
 この予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に説明いたします。
 予算に関する説明書の145ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費です。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であり、説明欄上から五つ目のいわて農林水産業6次産業化推進事業費及び下から三つ目のいわて6次産業化ネットワーク活動推進事業費は、6次産業化を通じた農林水産業者の企業化に向けた取り組み支援や農協等による推進体制の整備、創業、経営のサポート、加工施設の整備等を進めようとするものです。146ページをお開き願います。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対して利子補給等を行うものです。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費のほか、いわてニューファーマー支援事業費は、新規就農者の確保、定着を図るため、就農前の研修期間や経営が不安定な就農直後に就農給付金を交付しようとするものです。次に、4目農業振興費の主なものですが、147ページの説明欄の中ほど、農業経営基盤強化促進対策事業費は、地域農業マスタープランの発展的な見直しと実践を支援するとともに、農地中間管理機構を活用して中心経営体へ農地を集積する場合の農地の出し手に対する協力金等を交付しようとするものであり、その下の中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において農業生産活動を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件の格差の範囲内で交付金等を交付しようとするものです。下から三つ目、被災地域農業復興総合支援事業費は、被災市町村が農業復興を実現するために行う、被災農業者等への貸与などを目的とした農業用施設、機械の整備を支援しようとするものです。また、148ページに参りまして、上から三つ目のいわて地域農業マスタープラン実践支援事業費は、地域農業マスタープランの実践のため、機械、施設等の整備や大規模園芸経営モデルを育成するための園芸施設の整備を支援しようとするものです。5目農作物対策費の鳥獣被害防止総合対策事業費は、野生鳥獣による農作物被害の拡大防止のため、市町村被害防止計画に基づく侵入防止柵の設置等を支援するとともに、効果の高い被害防止技術の実証、普及や被害防止対策の担い手の育成、確保のための指導者育成研修等を実施しようとするものであり、説明欄一番下、強い農業づくり交付金は、米、麦、大豆などの土地利用型作物について、生産性の高い営農システムの確立等を図るため、共同利用施設の整備に要する経費を助成しようとするものです。次に、6目畑作振興費の主なものですが、説明欄中ほどの園芸産地新生プロジェクト推進事業費は、園芸産地の生産力やブランド力の向上を図るため、産地、生産者みずからが、市場の評価や市場のニーズを直接把握し、それを生産、販売に反映させる産地マネジメントの仕組みづくりを支援しようとするものであり、下から三つ目のりんどう産地活性化応援事業費は、リンドウの盆向け出荷量の拡大を図るため、新植から採花までの収益のない期間の栽培管理に要する経費を支援しようとするものです。7目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査等に要する経費です。150ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費です。10目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費で、11目農業大学校費は、同校の管理運営等に要する経費です。
 次に、153ページをお開き願います。2項畜産業費です。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費などの管理運営費等です。2目畜産振興費の主なものですが、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、黒毛和種及び日本短角種の改良増殖等を推進しようとするものであり、154ページに参りまして、説明欄下から四つ目、放射性物質被害畜産総合対策事業費は、県産畜産物の安全性を確保するため、県内産粗飼料の放射性物質の調査を行うとともに、牧草地の再生対策や廃用牛の適正出荷等を推進しようとするものです。下から二つ目のいわて肉用牛経営強化モデル事業費は、肥育農家への繁殖部門の導入による一貫経営の実証や、繁殖農家の増頭のための取り組みを支援しようとするものです。3目草地対策費は、生産性の高い畜産経営体の育成と畜産の安定的な発展を図るため、畜産農家等の生産基盤の整備への補助に要する経費であり、4目家畜保健衛生費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する牛海綿状脳症防疫対策事業費のほか、家畜伝染病予防費が主なものです。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費です。
 次に、157ページをお開き願います。3項農地費です。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であり、2目土地改良費のうち農林水産部関係の主なものは、説明欄上から六つ目、経営体育成基盤整備事業費は、圃場の大区画化や排水改良など生産基盤の整備と担い手への農地集積を一体的に推進するとともに、高い農地集積を目指す先導的な地区への支援を強化し、地域の中心となる経営体の育成を図ろうとするものです。説明欄下から四つ目、農地維持支払交付金は、次に説明いたします資源向上支払事業費とあわせて日本型直接支払制度として国が創設したものであり、農業、農村が有する多面的機能の維持、発揮のため、農地や農業用水を守る地域共同活動を支援しようとするものです。その下の資源向上支払事業費は、これまで農地・水保全管理事業で取り組んできた水路、農道等の軽微な補修や植栽による景観形成等の地域資源の質的向上を図る共同活動等を引き続き支援しようとするものです。158ページに参りまして、3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の更新等に要する経費のほか、説明欄中ほどの農用地災害復旧関連区画整理事業費は、東日本大震災津波により被災した農地と、これと隣接する非被災農地の一体的な圃場整備により、生産性、収益性の高い農業の実現を図ろうとするものです。159ページに参りまして、4目農地調整費は、農地中間管理事業推進費において、農地中間管理機構による担い手への農地集積を促進するため、同機構の業務推進経費等を支援しようとするものです。
 次に、161ページをお開き願います。4項林業費です。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や、県有林事業特別会計への繰出金等です。162ページをお開き願います。2目林業振興指導費の主なものですが、説明欄下から二つ目のいわての森林づくり推進事業費は、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林の混交林誘導伐を実施するとともに、伐採された間伐材を有効に利用するモデル的な取り組み等を支援しようとするものです。その下の森林整備加速化・林業再生事業費では、地域の森林資源、里山資源のエネルギー利用等の地域循環システムの構築を図るため、新たに、間伐材等の未利用材の低コスト生産、供給システムの実証に取り組もうとするものです。163ページに参りまして、説明欄四つ目、特用林産施設等体制整備事業費は、価格が高騰しているシイタケ原木や菌床用培地の導入や簡易ハウスの整備を支援しようとするものです。また、三つ下、木材加工流通施設等復旧対策事業費は、東日本大震災津波で被災した木材加工流通施設の復旧を引き続き支援しようとするものです。その二つ下、原木供給先確保緊急対策事業費補助は、震災により喪失した合板原木の供給先の確保を図るため、合板工場の新たな整備を支援しようとするものです。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要する経費等で、松くい虫被害の北上阻止と保安林等の公益的機能の高い松林の保全を図ろうとするものです。164ページをお開き願います。4目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、間伐や作業道の整備に対し補助等を行うものであり、5目林道費は、民有林林道網整備計画等に基づく森林整備の基盤となる林道の開設、改良等に要する経費です。165ページに参りまして、6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要する経費です。166ページに参りまして、7目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費です。
 次に、168ページをお開き願います。5項水産業費です。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費です。169ページに参りまして、2目水産業振興費の主なものですが、説明欄上から七つ目の地域再生営漁計画推進事業費は、引き続き、地域漁業の将来の姿を描く計画策定に取り組むほか、計画の実践を支援しようとするものであり、その下、高度衛生品質管理型水産物生産加工体制構築支援事業費は、水産物の漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理地域づくりの取り組みを支援しようとするものであり、新たにアドバイザーの派遣や先進モデルの構築を図ろうとするものです。また、その四つ下のさけ、ます増殖費は、本県の基幹魚種であるサケ資源等の回復を図るため、ふ化場に対する技術指導を行うとともに、漁協等が行う稚魚の生産、放流に要する経費などを補助しようとするものであり、栽培漁業推進事業費は、本県の栽培漁業の復興を図るため、漁協等が行うウニ等種苗放流等の取り組みなどを支援しようとするものです。下から三つ目、浜のコミュニティ再生支援事業は、いわての浜料理選手権の開催などを通じて、浜やコミュニティのにぎわいを呼び戻すための漁家女性の活動の再開を援助しようとするものです。次に、3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金等の利子補給に要する経費です。170ページをお開き願いまして、4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費です。171ページの6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営に要する経費や、老朽化した漁業取締船はやちねの代船建造に要する経費です。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究に要する経費です。172ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であり、9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費です。次に、10目漁港漁場整備費の主なものですが、説明欄下から四つ目、漁業集落防災機能強化事業費は、集落内の地盤かさ上げや、集落道、避難路等の生活基盤整備を行う市町村への補助であり、その下の漁港施設機能強化事業費は、災害復旧事業と連携して漁港の機能強化を図るため、漁港施設用地のかさ上げや避難施設等の整備などに要する経費です。
 次に、大きく飛びまして、225ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費です。1目庁公舎等災害復旧費は、被災した水産技術センター大船渡研究室及び種市研究室の施設、設備に係る災害復旧に要する経費です。
 次に、228ページをお開き願います。3項農林水産施設災害復旧費です。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、農地、農業用施設に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費であり、2目林道災害復旧費及び3目治山災害復旧費は、それぞれ、林道及び治山施設に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費です。230ページに参りまして、4目水産業用施設等災害復旧費は、漁協等が行う漁船、漁具の整備や、養殖施設、水産業共同利用施設等の復旧、整備を継続して支援しようとするものであり、5目漁業用施設災害復旧費及び6目漁港災害復旧費は、漁業用施設や漁港施設、海岸保全施設等に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費です。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その2にお戻りいただき、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、9公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページの33漁港災害復旧事業までの25件です。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が9件、平成26年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが15件で、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものです。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 21ページをお開き願います。議案第4号平成26年度岩手県農業改良資金等特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ1億2、026万1、000円としようとするものです。
 22ページ、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 23ページに参りまして、歳出の主なものですが、2款就農支援資金貸付費は、円滑な就農を図るため、認定就農者に対し、無利子資金を貸し付けようとするものです。
 24ページをお開き願いまして、第2表地方債は、就農支援資金貸付費に充当しようとするものです。
 次に、議案第5号平成26年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ32億464万5、000円としようとするものです。
 26ページ、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものですが、2款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、4款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等です。
 27ページに参りまして、歳出の主なものですが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理や、県債の償還等に要する経費です。
 28ページをお開き願います。議案第6号平成26年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算ですが、今般、特別会計の名称を岩手県林業改善資金特別会計から岩手県林業・木材産業資金特別会計に変更しております。これは、同特別会計における木材産業部門への貸し付けが過半を占めている最近の状況を踏まえまして、融資動向を反映した名称に見直したものです。同特別会計予算につきましては、予算の総額を、歳入歳出それぞれ12億8、760万2、000円としようとするものです。
 29ページに参りまして、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 30ページに参りまして、歳出の主なものですが、1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものです。
 次に、31ページに参りまして、議案第7号平成26年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ8億7、452万2、000円としようとするものです。
 32ページをお開き願います。歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 33ページに参りまして、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものです。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 67ページをお開き願います。議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか11事業の、農業関係建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものです。
 次に、73ページに参りまして、議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市町に負担させようとするものです。
 次に、74ページをお開き願いまして、議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか4事業の、水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものです。
 次に、予算関係の条例について御説明申し上げます。
 議案その3により説明いたします。55ページをお開き願います。議案第51号岩手県手数料条例の一部を改正する条例ですが、本条例のうち、農林水産部関係は85ページです。これは、薬事法の一部改正に伴い条項に繰り下げが生じたことから、所要の整備をしようとするものです。
 ページを戻りまして、42ページをお開き願います。これから申し上げる八つの条例改正は、使用料等の改定に関するものです。
 最初に、42ページの議案第46号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例、申しわけございません、171ページに飛びまして、議案第71号農業ふれあい公園条例の一部を改正する条例、172ページの議案第72号森林公園条例の一部を改正する条例、174ページの議案第73号緑化センター条例の一部を改正する条例、175ページの議案第74号林業技術センター条例の一部を改正する条例、176ページの議案第75号水産科学館条例の一部を改正する条例、177ページの議案第76号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例、179ページの議案第77号海岸休養施設条例の一部を改正する条例についてでありますが、これらの条例改正は、平成26年4月から消費税が引き上げられることなどに伴い、使用料や手数料、占有料、利用料金の上限額を引き上げようとするものです。
 以上で予算関係議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇樋下正信委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行うこととし、他の委員と重複した内容や質疑は極力避けるとともに、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないよう議事進行に御協力をお願いします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇工藤勝子委員 原発事故の発生によりまして、畜産、シイタケ、キノコ類、山菜、さらには風評被害と多大な被害を受けたと思っております。
 その中で、牧草地の除染作業も入りました。3年計画で始まったわけでございますけれども、平成25年度までの進捗率についてお伺いいたします。また、非常に悪条件と申しましょうか、環境が悪くて、客土が浅くて、石が多くて除染も進まないところの公営牧場があると思っておりますが、除染が終了していない市町村、またその面積についてお示しいただきたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 牧草地における除染の進捗率及び除染作業の完了に向けた対応等についてでございますけれども、平成24年度から実施しております牧草地の除染の進捗率は、現時点で、耕起対象面積の1万3、606ヘクタールに対しまして9、298ヘクタール、68%となってございます。
 除染作業の完了に向けて課題となっております、ただいま委員からお話があったとおり、小規模圃場などの耕起困難箇所あるいは急傾斜地、石れき等の耕起不能箇所への対応につきましては、原則、土壌分析結果による肥培管理を条件に、牧草の放射性物質検査の継続実施により、暫定許容値及び酪農における基準値を下回った場合に利用自粛を解除することとしてございますけれども、耕起不能箇所におきましては、県の定める標準工法によらない除染実施を希望する場合には、平成26年度の東日本大震災農業生産対策交付金の活用により除染を行う予定としてございます。
〇工藤勝子委員 市町村とかの面積は今示されましたけれども、例えば遠野市もまだ残っているという状況だろうと思っております。あわせてお示しいただきたいと思います。
 それから、県南地方、遠野市も入りましたけれども、汚染牧草とか稲わらが大量に発生いたしました。これを、今、家庭のごみと一緒にして、遠野市とか他の市においても焼却を進めているわけでありますが、焼却のほうに入ると環境生活部の所管ということでありますので、例えば農林水産部として現在の保管状況はどうなっているのか、どれぐらいの量を保管しているのかお願いしたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました市町村によってどのぐらい残っているのかといったことにつきましては、遠野市も含めまして、現在、現地工程会議、現場のほうで、今後の除染の実施状況の再確認等も踏まえて、最終的な作業面積の再確認をさせていただいてございます。今年度中には市町村別に残っている面積というのは確定されると考えてございます。
 ただいま御質問のございました2点目の汚染牧草、稲わらの保管状況等についてでございますけれども、汚染牧草につきましては24市町村で約2万トン、稲わらにつきましては18市町村で約600トン発生してございまして、昨年の12月1日現在で、牧草は16市町村で約1万2、000トン、稲わらにつきましては6市町村で約400トンが、それぞれ県単事業等を活用しながら、公共牧場や市町村有地等におきまして、シートなりパイプハウス等で保管されており、今後も引き続き適切に保管、管理していきたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 それから、廃用牛も発生したと思っております。民間による廃用牛の出荷ミスもあったと私は思っておりますけれども、その中で出荷も滞っていた部分がありますが、廃用牛の適正出荷に向けて今どういう状況になっているのか、スムーズに流れる時期ということを示していただければと思っております。これは、将来に向けて畜産県岩手として、そして、いわて牛の信頼にもつながっていく部分でありますので、よろしくお願いいたします。
〇及川振興・衛生課長 廃用牛の滞留状況と今後の見通しについてでありますが、まず、出荷できずに滞留してございます廃用牛につきましては、平成26年1月末で約2、000頭と試算してございます。滞留している廃用牛につきましては、市場への上場または屠畜場での処理によりまして、昨年の12月以降、毎月700頭程度が出荷されておりまして、今後もこの水準で出荷された場合は、平成26年内に解消するものと推定してございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ進めていただきたいと思っております。
 次に、担い手の関係についてお伺いしたいと思っています。これは古くて新しい課題でありまして、私たちが担い手と認定されるその当時から担い手の話をしてまいりました。今度新たに国からの事業として農地中間管理機構が設置されるということであります。これは、担い手に農地利用の集積や集約化を促進するためという形の中で、今までも地域農業マスタープラン等でそれぞれの集落で計画を立てながら、担い手にそういう農地を集積する形の話し合い等を進めてきているわけですけれども、さらにそれを進めるというための機構の設置になるのだろうと思っております。その観点から、震災後、新規就農者、担い手、Uターン、Iターンも含めて、若者の就農状況についてお伺いしたいと思っております。
 今、問題は、農業、農村において、都市部よりは人口減少がかなり進んでいると思っております。結局は高齢になった人たちが農業をしているわけですけれども、父親なら父親が亡くなって、息子が帰ってくるかといえば、帰ってきていませんし、現状を見ていると、母親と息子、息子と父親という世帯も非常に多くなっているところでもあります。ですから、今後、こういう農地集積を進めるためにも担い手の育成というのは非常に大事な要素になってくるのだろうと思っているところでお聞きしたいと思っております。
 あわせて、今後、農地を集積して経営を拡大したいと思っている担い手の現状はどのぐらいあるのかも把握しておりましたら、お示しいただきたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 震災後の新規就農者の状況についてでございます。
 震災後2年で見ますと、県全体とすれば、毎年200人ぐらいの新規就農者がございまして、横ばいという状況にございます。その内訳としては、UターンなりIターンという方々については、合わせて全体の6割程度を占める割合の方がございます。その中で、40歳未満の若い就農者の割合がここ数年ずっと増加している状況がございまして、特に平成24年度については全体の8割を占めるという、若い方々の割合が今までで一番高いという状況にございます。震災後心配された、顕著に新規就農者ががくっと落ちるのではないかという状況にはなっていないと考えてございます。
 今後の農地利用集積について、どの程度の方が拡大の意向を持っているかということについては、今時点で個々具体のお話はちょっとできませんけれども、地域全体としてそういう担い手を育成していくという観点から、地域が協力して、本人の意向に沿って農地を効率よく集めていくという地域の取り組みといったものの支援もあわせて進めていきたいと考えてございます。
〇千葉担い手対策課長 経営を拡大したいと希望している担い手の現状についてということでございますけれども、県では、みずから経営改善目標を定めまして、その達成に向け経営力の向上を図ろうとしている認定農業者約7、400経営体を、今後、経営の拡大を図ろうとしている担い手として捉えております。
〇工藤勝子委員 私も農業をやってきたわけですけれども、今まで農業を進めてきて、そんなにもうけたと思ったことはありません。ただ、農業をしていてやっぱりいいなと思うのは、自然とともにつくる喜びとか、育てる喜びとか、収穫の喜びがありますし、また、地域とのコミュニケーションが農村、農業はいいということで農業を続けてきたところでもあります。そういう意味において、今後とも価値観をしっかりと持っていただいて、担い手が地域に定着するように進めていただきたいと思っていますし、そういう方向で地域でも話し合いを進めるべきだと思っております。
 そこで、新規就農者について、UターンやIターンが6割であるという話もずっとされてまいりました。認定農業者は7、400経営体と言われていますけれども、その中で女性の占める割合はいかがでしょうかということです。認定農業者は市町村のほうで認定しているわけでありますけれども、その割合についてもわかったならばお示しいただきたいと思っておりますし、今年度、県は若者と女性にかなりスポットを当てた事業を出してきたと思っております。その中で、農林水産部で新たに若者と女性に視点を当てたそういう事業について、ちょっと私も調べてみたんですけれども、どこに視点を当てたのかというところをお示しいただきたいと思っております。
〇千葉担い手対策課長 認定農業者における女性の割合についてでございますが、直近の平成25年3月末現在では、夫婦による共同経営も含めまして、445経営体が認定されてございます。その割合は約6%となっております。
〇藤代農林水産企画室企画課長 若者と女性にスポットを当てた事業についてでございます。農林水産業、特に農業で従事者の減少、高齢化というのが進んでおりますので、こういったところを踏まえまして、農林水産業あるいは地域の活性化に向けまして中核的な担い手候補として期待される若者、あるいは地域資源を生かした起業や食文化の伝承、発信を行っている女性の活動を支援していくといったところに視点を置いて事業を組み立ててございます。
 具体的には、当初予算のほうでございますが、若者支援としまして、新規就農者の確保、育成、定着を図るため、新規就農者に対して、就農前の研修期間ですとか、経営が不安定な就農直後の所得を確保する青年就農交付金を交付するいわてニューファーマー支援事業ですとか、また、女性支援としましては、農山漁村において女性の社会参画を進めるため、家族経営協定の締結ですとか女性リーダーの育成、地域の食文化の発信、伝承活動、起業を支援する農山漁村いきいきチャレンジ支援といったものを事業として組んでいるところでございます。
〇工藤勝子委員 いろいろと農業、農村においても女性の人たちが活躍しているんだと私は思っているところであります。その中でどのぐらいの人が―経営者は男の人なわけでありますけれども、農家においても財布を握っているのは女性なんです。そういう中において、経営者と同じだろうと私は思っていますし、逆に男の人も、自分の母ちゃんに財布を預けたほうが安全だと言っている人たちもあるわけです。
 そこで、農業農村指導士制度は知事が認定する制度であります。歴史もありますし、前は女性は農村アドバイザーという形でもありました。最近は、経営者であることというのが一番の条件であります。ただ、財布を握って一緒に経営して、いろんな産直の加工部門で頑張っているのも女性でありますけれども、経営者であることという条件がネックとなりまして、農業農村指導士になれないというんでしょうか、そういう女性がいるのではないかと私は踏んでいるところでもあります。1年に2人か3人は認定されていると伺っておりますけれども、そういう中において、頑張る女性を応援するためにも、経営者であるという規定をもうちょっと女性のために緩和できないのか。経営者ではないけれども、どの程度経営に参画しているかという部分だとか、先ほどの家族経営協定の部分だとか、そして、新たないろんな6次産業化みたいなものにしっかり取り組んで産直もやっているのかとか、地域活動をどう進めているのか、地域のリーダーとしてどういう活動をしているのかというようなところに主に視点を当てて、この部分を少し緩和できないでしょうかというお願いでありますが、どう考えているか、所感をお伺いいたします。
〇前田農業普及技術課総括課長 農業農村指導士制度における女性の認定でございます。農業農村指導士制度は、農業技術や農業経営の向上あるいは農村の活性化に積極的に取り組むすぐれた農業者の方々を認定する制度でございまして、その要件は幾つかございます。例えば、地域のリーダーとして指導活動ができる見識、能力があること、あるいは年齢の面もありますが、年齢がおおむね55歳以下で、農業農村指導士としての活動がある一定期間できることというような要件がございます。
 近年は、先ほど委員がお話しされたように、毎年の女性の新規認定が2人ないし3人という形で推移してございますけれども、県内にはまだ農業生産活動あるいはアグリビジネスといった活動の中で中心的に、積極的に地域の活性化に向けて取り組んでいる女性の方もいらっしゃいますので、この辺について、推薦主体である市町村と十分連携しながら、もう少しで要件を満たすとか、そういう方でまだそこまで踏み切れないという方もいらっしゃるのも事実ですので、そういった方に漏れなく農業農村指導士になっていただくということを基本に、より多くの女性の方に農業農村指導士になっていただくということをまず取り組んでまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いしたいと思っております。いかに農業、農村において女性の人たちが力を発揮するかということで、地域の活性化もかなり図られていくのではないかと私は期待しているところでもあります。
 次に、飼料用米についてお伺いいたします。国の補助金であります。今までは一律8万円だったわけでありますけれども、収量が上がれば10万5、000円と示されましたし、収量に応じて最初は5万5、000円という形であります。ですから、とれようと、とれまいと―頑張っているのだろうと思いますけれども、非常に収穫が悪くても一律8万円いただいてきたものが、今後、5万5、000円ということになってしまうと、その中で2万5、000円下がるということにもなるわけであります。そういう中において、米の直接支払交付金も半額になるということもございまして、今後、飼料用米は岩手県でどのぐらいの面積を作付しようとしているのか、その辺のところがわかればお聞きしたいですし、岩手県内で、北上川流域のほうは多分10万5、000円の補助金をもらえるのではないかと思いますけれども、この辺のところをどう捉えているのかお伺いいたします。
〇中南水田農業課長 飼料用米の作付についてのお尋ねでございますが、平成26年産の飼料用米の作付の見通しについては、現在、作付面積の調査を行っているところでございまして、調査結果が明らかになってからお示しできるものと考えております。
 それから、中山間地域等、あと、平場においての収量についてでございますが、国のほうでは県別の収量といったものは調査しておりますが、地域を区切ったような調査は行っておりませんので、そういった観点での把握している数字はないという状況でございます。
〇工藤勝子委員 間もなく、あと1カ月もすれば種まきの時期に入ってくるわけです。ただ、農家が迷っているのは、結局、自分たちが今まで飼料用米を作付して8万円をもらって、1キログラム30円で販売したにしても、それなりだったと思うんですけれども、こういう形になってくると、主食用米に変えようか飼料用米にするか迷っているのではないかと思うんです、その所得を考えながら。そういう部分で米作農家自体が非常に迷っている段階で、把握もできない部分があるだろうと思っています。
 そういう部分で、私は一般質問でもお話ししましたけれども、県のつぶみのりですか、あともう1品種あるようですけれども、多収穫できる品種の改良の話もいたしましたが、ぜひ、いろんな形の中でしっかりと指導のほうも徹底していただければいいのかと思っているところでもあります。
 そういう部分も含めて、今後、いろんな形の中で畜産農家との連携も入ってきますし、多収性品種などの導入とありますけれども、この辺のところを県はどのように考えているのかお聞きしたいと思っておりますので、お願いいたします。
〇中南水田農業課長 飼料用米の多収性品種についてでございますけれども、県のほうでは、先ほど委員がおっしゃいましたつぶみのりとつぶゆたかという二つのオリジナル品種を開発し、現場のほうで作付がされているところでございます。平成26年の作付に当たっては種子を52トン確保しておりまして、換算するとおおよそ1、300ヘクタール相当の多収米品種の作付は可能となるかと思います。平成27年産以降につきましては、現場の要望等を踏まえながら、採種圃のほうでしっかり必要な種を確保して供給していきたいと思ってございます。
〇工藤勝子委員 それでは、最後に、担い手と絡むわけですけれども、経営体の基盤整備事業についてお伺いしたいと思っております。これは圃場整備になるわけでありますけれども、平場では結構進んできているのではないかと思っておりますし、整備が進んだところは法人化にもなっていますし、担い手にきちんと農地の集積も進んでいると思っております。そういう部分において、今後、中山間地域の基盤整備事業をどう進めようとしているのか、その辺のところをお伺いしますし、最後に部長から、やはりしっかりと国からもこの基盤整備事業の予算を確保し、そして、県もそれにかさ上げをして整備を進めていくべきと思っておりますが、所感をお伺いして、終わりといたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 中山間地域における今後の整備方針と中期見通しについてでございますけれども、本県農地の約8割を占める中山間地域におきましては本県農業にとって重要な地域でありますけれども、高齢化とか過疎化が進行する中にあって、担い手の確保や農地の利用集積が喫緊の課題であると認識してございます。
 県では、こうした課題を解消するためには生産基盤の整備が重要と考えておりまして、急勾配、農地分散など中山間地域特有の条件を勘案した整備手法の導入であるとか、農地利用集積の達成度合いに応じまして、促進費の交付による農家負担の軽減などの工夫を凝らしながら、ハード事業とソフト事業を総合的に推進していきたいと考えております。
 また、今後の整備の見通しでありますけれども、中山間地域を中心とした水田の圃場整備につきましては、平成26年度から平成29年度までの4年間で25地区の新規地区の要望が寄せられているところでございます。そのうち4地区については、平成26年度に事業採択を予定するなど、計画的な整備推進に努めてまいりたいと考えております。
〇東大野農林水産部長 今後の予算確保等についてでございますが、本会議でも申し上げましたとおり、水田整備率が東北の中で最も低い本県においては、継続地区の早期完了あるいは平成27年度以降の新規地区の採択など多くの要望が寄せられており、今後、それらに応えるための予算確保が我々にとって重要な課題と認識してございます。このため、実際のところ国、地方ともに非常に厳しい財政状況ではございますが、整備がおくれている本県の実情を国に強く訴えながら引き続き必要な予算の確保に努めるとともに、事業の重点化や建設コストの縮減の徹底などによりまして計画的な整備を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 私は、予算に関する説明書153ページの畜産振興費のうち、肉用牛の振興対策の1点に絞ってお伺いいたします。
 まず、本県は、肉用牛の産出額や飼養頭数など全国有数の主産地であるわけですが、まずもって、平成22年度から平成24年度までの過去3年間の肉用牛の繁殖農家、肥育農家、そして一貫経営農家の飼養頭数の推移についてお伺いいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 平成22年度から平成24年度までの3年間の肉用牛の繁殖農家、肥育農家、一貫経営農家の飼養頭数の推移についてでございますけれども、繁殖農家の飼養頭数につきましては、平成22年度5万100頭まで減少していたものが、子牛市場価格が回復しておりますことから、平成23年度には5万2、600頭、平成24年度には5万3、100頭と増頭傾向にございます。
 一方で、肥育農家の飼養頭数につきましては、平成22年度4万1、600頭であったものが、大規模経営体の廃業、肥育素牛価格の高騰等によりまして年々減少し、平成24年度には3万4、010頭まで減少してございます。
 また、一貫経営農家の飼養頭数につきましては、平成22年度以降1万6、500頭と同程度で推移していたものの、平成24年度には大規模経営体の廃業によりまして9、090頭まで減少しましたけれども、この経営体を除きますとほぼ横ばいで推移しているものと認識してございます。
〇高橋昌造委員 ただいまの御答弁によりますと、肉用牛の飼養頭数は、繁殖牛は増加傾向にあるものの全体の飼養頭数は減少しておるということで、生産基盤の弱体化が懸念されるのではないか。また、近年、配合飼料価格が高どまり、それから子牛市場の価格高騰によって肥育農家の経営がより厳しい状況にあるわけでございますが、そこで県では、肉用牛農家の経営安定のために今後どのような対策を講じてまいるのかお伺いいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 肉用牛農家の経営安定に向けた対策についてでございますけれども、本県におきましては、繁殖牛は増頭していますものの、繁殖農家の飼養規模が小さいこと、肥育素牛価格の高騰の影響などによりまして肉用牛の生産基盤の弱体化が懸念されておりますことから、平成26年度にいわて肉用牛経営強化モデル事業を創設しまして、繁殖農家対策として、規模拡大を図るため、公共牧場とキャトルセンターとの一体的な活用による周年預託を支援する予定としてございます。あわせまして、肥育農家対策として、繁殖部門の導入による一貫経営化を進めるため、分娩施設を保有しているキャトルセンターを活用したモデル実証を実施する予定のほか、国庫、県単事業を活用しました牛舎整備等により生産基盤の強化を図るとともに、生産費を補償します肉用牛肥育経営安定特別対策事業への加入の促進を図るなど、肉用牛農家の経営安定を図ってまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 最後に、部長にお伺いいたしたいと思います。
 この予算に関する説明書の154ページには、いわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業、それから、いわて肉用牛経営強化モデル事業、これらそれぞれの事業は、畜産関係者の並々ならぬ御努力によって、少しずつではありますが確実に成果を上げてきておると。そこでお伺いしますが、今後の畜産経営のあり方について、部長の所感があればそのことをお聞きして私の質問を終わります。
〇東大野農林水産部長 今後の畜産農家の経営についてでございますが、今回、御提案申し上げているいわて肉用牛経営強化モデル事業、肥育農家に繁殖部門も導入して一貫経営を行うといったことでコストを下げる、そういった取り組みを一方でしながら、従前から申し上げてございまして恐縮ですが、作業委託ができるような団体への取り組みでお互いにコストを下げていきながら、規模拡大をしていかないと先に向かってなかなか経営が成り立っていかないということも考えられますので、全体で規模拡大なり生産コストを縮減する取り組みを進めて本県の畜産経営の改善を目指してまいりたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 幾つかの項目についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、岩手競馬についてお伺いします。
 競馬関係者は、厳しい条件のついた環境の中で、また、存廃の基準がある中で、経営安定に向けて本当に必死の努力をされているということで、私は高く評価し、また、敬意を表する次第であります。
 そういった中で、来期については払い戻し率の変更を行うということで、どういう経緯で、また、どういう考えで見直しを行おうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇高橋競馬改革推進室特命参事 競馬法の改正に伴います払い戻し率の見直しについてでありますけれども、競馬の魅力を高め、競馬の振興を図るという競馬法改正の趣旨を踏まえまして、JRAや他の地方競馬主催者の動向を注視しながら慎重に検討を進めてきたところでございます。他の主催者が設定する払い戻し率との間に違いが出てまいりますとファン離れを誘発することも懸念されますことから、地方競馬主催者の中で、発売シェアが大きく、岩手競馬との受託、委託規模の大きい南関東競馬主催者の払い戻し率を参考に設定したところでございます。
 今回の変更によりまして、的中しやすいかけ式の払い戻し率を上げることにより、多くのファンに的中の楽しさを味わっていただく機会がふえることを期待しているほか、選ぶ頭数に応じたわかりやすい払い戻し率としたところであり、ファンサービス向上の取り組みを充実させながら、安定的な事業運営につなげてまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 以前、競馬議員のときに、こういったことを国に求める考えはないのかと聞いたときには、岩手競馬もそうでしたし、他の競馬主催者もそうだったんですが、率の変更をすると売り上げ低下につながることを懸念して、全くその考えがなかったというのが実情でした。そこで、農林水産省の競馬担当の人たちにも、地方に主導権がある、また、経営権がしっかり得られる率の改正等はできないかと聞いたところ、当時は全く聞く耳を持ってもらえなかったということが以前にあったわけです。今回、競馬法が改正になり、新しくこのような方式を取り入れるということで私は評価するところであるんですが、実際にこれを今年度の売り上げに当てるとどういう収支になるのか。また、来期、この払い戻し率の変更による売り上げの見通しをどのように立てながらこの率にしていったのかどうか改めてお伺いします。
〇高橋競馬改革推進室特命参事 払い戻し率の変更を平成25年度事業に当てはめた場合の効果についてでありますけれども、仮に、払い戻し率の弾力化に伴う投票動向に変動がないとした場合においては、平均払い戻し率が約1%程度下がるものと試算されているところであります。これを開幕から平成26年1月13日までの通常開催の発売額213億1、200万円に当てはめてみますと、収支効果は約2億1、000万円程度と見込まれるところでございます。
 次に、来期―平成26年度の収支に与える効果についてでございますけれども、平成26年度当初予算編成時点では新しい払い戻し率を検討している途上にありましたことから現行の払い戻し率で予算編成を行ったところであり、来年度の競馬組合の補正予算において払い戻し率変更の効果を反映させることとしているところでございます。
 平成26年度当初予算におきましては発売額を225億4、400万円と見込んでいるところでございまして、平均払い戻し率が約1%下がると仮定いたしますと、収支効果は約2億2、000万円と試算されるところでございます。
〇工藤大輔委員 来期はJBCが開催されるということで通常の年とは違うわけですけれども、来期は今の数字が出ているわけですが、それ以降というのは例えばどのように見通しているのかどうかお伺いしたいのと、あとは、他の主催者の動向はどうなのか。私の知るところによると、ほぼ横並びのような形で、岩手競馬の独自性というのがどこまで出ているのかなという思いを持つところでありますが、いかがでしょうか。
〇高橋競馬改革推進室特命参事 来期以降、平成27年度以降の収支への影響というような部分でございますけれども、これにつきましては、単年度ごとで発売額見込みを立てるわけでございますけれども、現状では自場発売はやはり少しずつ落ちているという状況でございます。ただし、インターネット発売の部分でそれをカバーしてプラスが出ているという部分がございます。このインターネット発売の部分の動向が今後どのようになっていくかということでございますが、IPAT発売というような新しい取り組みが平成25年度においては当初からあったということで大きな伸びとなったわけでございますが、こういった部分が平年度化されてしまうという部分もございまして、なかなか難しい。全体の発売額については慎重に見ていきたいというところでございます。
 それから、他の主催者の動向等と岩手競馬の独自性はというところでございますが、岩手競馬を除く12の地方競馬におきまして、現時点で払い戻し率を公表している主催者は8団体となっております。そのうち、岩手競馬と同じ払い戻し率とする主催者は特別区競馬組合等の6団体となっているところでございます。岩手競馬といたしましては、やはり受委託の関係が一番大きい、地方競馬の中でシェアが一番大きいところと歩調を合わせることが必要だろうと。これは特にネット発売の購買者におきましては敏感に払い戻し率に反応するということがございますので、結果として大宗を占める部分に入ったということではございますが、そういった考え方で設定したところでございます。
〇樋下正信委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いします。
〇工藤大輔委員 今後、この売り方をしていきながら、より効果の出る、また、よりファンを獲得できる払い戻し等も含めて今後とも検討していきながら、ぜひ進めていただきたいと思います。
 また、馬券の買い方とすれば、五重勝式など三連単以上に高配当の確率で得られる馬券の種類もあるわけですけれども、実際には、売れ行き状況から見ればなかなか芳しくないようであります。
 そこで、やはりキャリーオーバーができるような部分ぐらい、例えば5レースということではなくて10でも幾つでもいいんですけれども、なかなか当たらない、でもキャリーオーバーしていく。そして、競馬開催から大体中期を迎えるころ、あるいは年末年始までもし引っ張ればそれが数千万円なり幾らまで膨らんでいって、そうすることによって、岩手競馬、あの馬券を買ってみようかと。全体的にも買ってみようか、あるいは注目されるようなことにもなるのではないかと思うわけでありますが、そういった馬券を設定するだとか、他にないものをファンに提供しながら岩手競馬の魅力を高める、あるいはPRするツールを一つでも多く私は持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 この競馬関係でもう一点、最後ですが、平成22年度から平成26年度まで猶予されている地方競馬全国協会の1号交付金の関係ですが、猶予期間がもう迫るということもあって、この払いがかなりきつくなる。経営においてもかなり影響を与えると思いますが、これについて、全額猶予とはならなくても何らかのことを全国協会に働きかけて、やっといい方向に進んできている状況を、さらに安定経営に向けて何らかの支援が得られないものかどうか、これまでどういった協議をしてきたのかお伺いしたいと思います。
〇高橋競馬改革推進室特命参事 重勝式の投票法についてでございますけれども、重勝式の投票法につきましては国の競馬法施行規則で定められておりますけれども、先般の改正において七重勝単勝式など四つの投票法が追加されたところでございます。まずは、認められております投票法の中で、御提案の趣旨も踏まえながら、岩手競馬にとって、的中の難易度とキャリーオーバー規模のバランスがとれ、ファンに支持される投票法について検討してまいりたいと考えてございます。
 それから、平成22年度から5年間の猶予を受けております地方競馬全国協会1号交付金についてでございます。
 この猶予金につきましては、大震災におきます復興支援をいただくということで御猶予いただくということでございましたが、これまで財政調整基金等に積み立てを行ってまいっております。満額というところまではなっておらないわけですけれども、平成27年度から10年間で交付していくという部分については対応できるものと考えております。
 協会等への猶予継続とか、その他のさらなる支援という部分については、いただいた支援についてきちんと返していくということが責務だと考えておりまして、これまで、その部分について追加で猶予のお願いをしてきたという経緯はございません。
〇工藤大輔委員 釜石地区における場外勝馬投票券の発売施設も平成26年度内からスタートということで、徐々に岩手競馬の販売できる体制が震災前に戻ってきたということもあり、私から見れば、まだまだ復旧、復興過程にあると考えています。ですので、十分使用できるものは私はあるものだと思いますので、受けられる支援というものもさらに考えながら安定経営に進んでいただきたいと思いますし、また、利益がしっかり出た年においては、これまでも厳しくカット、カットで来たわけですから、さまざまな関係者にその分が、よく頑張ったと、また来期も頑張ろうというようなことがしっかり出せるようなこともぜひ内部で、これは本当に要望したいと思いますが、検討し、実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうかお伺いします。
〇高橋理事 岩手競馬はこれまで、存廃議論、それから東日本大震災津波という大きな危機に直面した中で、競馬関係者の努力、それから構成団体の支援、それから全国の皆さんからさまざまな御支援等をいただきながら今があると認識いたしております。
 現在の経営状況でございますけれども、先ほど特命参事から申し上げましたけれども、単年度収支の均衡は実現しながら、また、必要最小限の設備投資等も行いつつ、地全協交付金の猶予の財源についても8割程度を確保しているという中で、将来的な継続に向けてある程度の明るい兆しが見えてきたというような状況にございます。そしてまた、来年度は岩手競馬の50周年という大きな節目の年でございまして、そういう中でJBC競走を招致したということもございまして、このJBC競走をステップに、将来に継続できるような経営体力をつけつつ環境を整えていきたいというように考えております。
 そういう中で、何よりも競馬関係者が生き生きとやりがいを持って仕事をしていくということが大事ですし、それから、関係する皆さんへの責務を果たしていくという姿勢が大事でございますので、ただいまいただきました御意見を十分踏まえまして、将来的な継続に向けた足固めをきちんとしていきたいというように考えております。
〇工藤大輔委員 了解しましたが、今の最後のことについては強くは触れられなかったわけですが、ぜひ内部で検討していただいて、もうかった年は、頑張った年はしっかりとそういったことができるようによろしくお願いしたいと思います。
 次に、ブランド力についてお伺いしたいと思います。
 県内の農林水産物等において、ブランド力を高める手法としまして、商標の登録であったり地域団体商標の登録があるわけでありますが、その登録状況について、また、登録に向けた現在の動きについてお伺いしたいと思います。
〇泉流通課総括課長 県産農林水産物等におけます地域団体商標と商標登録の状況についてでございますが、県産農林水産物の地域団体商標には、いわて牛、いわて短角和牛、江刺りんご、真崎わかめの4件が登録されてございます。また、商標につきましては、前沢牛やいわて純情米、安代リンドウ、一関特産曲がりねぎなど相当数が登録されている状況にございます。
 県では、このような登録商標につきましては、県としてその商標の申請に当たっては支援してございます。
〇工藤大輔委員 以前、常任委員会で鹿児島を訪れた際、地理的表示保護制度が導入されていました。これは、世界貿易機関の貿易関連知的所有権協定において知的所有権の一つとなっていることから、特にも輸出においてブランド力を高めたり、また、知名度を高めたりするなど、輸出促進に向けた効果が期待できるものであったと感じたところであります。国でもこの制度の導入を近々全国に結びつけるということで取り組もうとしておるようでありますが、本県においてこれらの対象となれるようなものがあるのかどうか、また、県としてどういった支援ができるのかどうかお伺いします。
〇泉流通課総括課長 地理的表示保護制度につきましては、国が2015年の導入を目標に取り組みを進めているものでございます。高品質な県産品を他地域の産品と差別するとともに、表示の悪用を防ぐことが可能となることから、国内外におけますブランドの戦略の構築に向けた新たな施策としてこれは大いに期待できるものと考えてございます。
 県といたしましては、品質や生産方法における厳格な基準など、登録に向けました課題も想定されますことから、国の動向を注視しつつ、県産農林水産物における当該制度の活用の方向を見きわめていきたいと思っております。
 なお、この地理的表示保護制度につきましては、生産地の厳格な表記ということで、本県におきましては、対象となれるものは、さきに挙げました地域団体商標のいわて牛だとかいわて短角和牛だとか、そういった地域を代表するような銘柄が該当するのではないかと考えてございます。
〇工藤大輔委員 海外展開を進めると必ず偽装や模倣品などのさまざまな事例が出てきたり、また、商標登録において裁判が発生する事例等も出ております。現在、本県において海外での裁判が行われている状況はどのようになっているのか、また、県としてどのようなサポートをしているのかお伺いします。
〇泉流通課総括課長 海外におけます商標権侵害に関する対応でございますが、平成22年に岩手の名称が中国で商標登録申請されております事例がございます。本県の輸出品と重複いたします海産物について使用申請がされているところでございますが、中国商標局に対しまして異議申し立てを行いました結果、中国商標局では商標登録を拒絶いたしまして、平成25年10月15日付で異議の決定が確定してございます。
 国が事務局を務めます団体から海外における情報収集を行っておりますので、今後も、これを引き続き行い、必要な情報を提供するなど、本県事業者が不利益をこうむらないように支援してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 最後に、やませの関係でお伺いしたいと思います。
 やませ地域においては、これまで、県においても雨よけホウレンソウや原木菌床シイタケなどを中心にしながら、さまざま所得が向上できるような体制に向けて努力をしていただいていると理解しております。現状においてやませ地帯の営農についてどのような評価をしているのかお伺いするのと、また、県北向け等において、食用米として耐冷性があるいわてっこを市場に出してきましたが、さまざま品種改良等において、私から見ると、やませを本当に克服するような品種がどこまで進んでいるのかという思いを持っているところであります。やませ地域に向けた特別な品種改良等を今後どのように展開していこうとするのかお伺いします。
〇下村農産園芸課総括課長 県北・沿岸部は、昔からやませに悩まされてきた中で、ただいま委員お話しのとおり、久慈地域で一大ホウレンソウ産地が形成されたところでございます。最近では高齢化等で少しずつ面積が減ってきておりますが、一方でやはり久慈の一大主要品目だと認識してございます。今後とも、地域で今、土壌消毒等の技術も導入しながら、再度ホウレンソウ産地の再生に向けて取り組んでいるところでございますので、県といたしましても、新たな施設の整備、あるいは新しい技術の導入等を支援して、ホウレンソウ産地の再生に向けて支援してまいりたいと考えてございます。
〇前田農業普及技術課総括課長 水稲の話でございます。
 やませ地帯での米づくりには厳しい地帯での米の品種育成ということで、これまで、平成12年にいわてっこという県北向けの、しかも食味のよい品種を作出しておりまして、現在、二戸あるいは久慈を含めて全体で水稲作付の7割がいわてっこになってございます。しかも、特色ある米、粒が大きくて加工業者向けに非常に適した米ということで、そちらのニーズが高くて、販売についても順調にいっている品種でございます。ただ、耐冷性とか、さらに久慈のやませ地帯でも安定してとれる米ということになれば、品種改良の中で、例えば、今、生物工学研究所で今まで以上に高い耐冷性に関するDNAマーカーの特定に取り組んでおりますので、そういった作出されたマーカーも活用しながら、農業研究センターでマーカー育種といったものに取り組み、県北に合って耐冷性があり食味もある程度いい品種といったものに取り組むことについては検討してまいりたいと考えてございます。
〇樋下正信委員長 工藤大輔委員、時間が長くなっておりますので、よろしくお願いします。
〇工藤大輔委員 県北という観点で見れば耐冷性というのが一つあると思いますが、厳密に見れば、県北の中でもやませの吹く地域と吹かない地域では、1日の気温も8度ぐらい違うんですよね。全く条件が違うと私は捉えるべきだと思います。食用米も新しい農業政策によって今後どうなるかということで、本当の適地となる産地でも心配されていますし、これまで、そういったなかなか厳しい状況の地域においても、長い目で見れば、米をつくれないのではないか、だんだん売れなくなってくるのではないかというような心配もされています。ですので、そういった意味では、やませということをもう少し考えてもらって、そこに向けて、北海道の特Aをとった米にはならなくても、さらに食味を上げる、また多収の品種をつくるというような研究をさらに進めていただきたいということを強くこれも要望したいと思いますし、先ほど飼料用米の質問もあったわけですが、私は飼料用米についても同様に思うところであります。現在、飼料用米について青森県と東北農業研究センターと共同開発をしているという話も聞いたことがあるわけですが、飼料用米については、そういった寒い地域においてどのような品種のものをつくろうとしているのか、また、いつごろそれを展開されようとするのか最後にお伺いします。
〇中南水田農業課長 県北の寒い地域に適した飼料用米の開発についてでございますが、先ほど委員おっしゃったとおり、青森県、それから国との間で飼料用米の共同開発について今、進めているところでございます。実際それがどの程度現地の適応性があるかということについて、なるべく早い時期に現場で栽培試験を行い、現在、県北向けとしてはつぶみのりという品種がございますが、それよりも今の段階で収量の水準は高くなるのではないかという期待もございますので、なるべく早く現場で試験をして、普及させられるように努めていきたいと考えております。
〇高橋元委員 私から3点お伺いしたいと思います。
 まず初めに、人・農地プランについてであります。
 農業が厳しい状況に直面している中で、持続可能な力強い農業を実現するためには、基本となる人と農地の問題を一体的に解決していく必要があり、そのため、それぞれの集落地域において徹底的な話し合いを行い、地域が抱える人と農地の問題を解決するため、未来の設計図となる人・農地プラン―これは地域農業マスタープランでありますが、被災地にあっては経営再開マスタープラン、これらを作成するとなっております。県内各市町村でマスタープランがつくられたと思うわけでありますが、どのようになっているのか、現在、計画を策定中のものも含めて状況をお尋ねしたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 地域農業マスタープラン及び経営再開マスタープランの作成状況についてでございますが、本年2月末現在で、全市町村377地区、全ての作成予定地区全体に対して81%の作成状況でございます。このうち、19市町村では全ての地区が作成済みとなってございます。残りの地区におきましても、本年3月までのプラン作成を目指しまして、地域での話し合いを今、鋭意進めているところでございます。
〇高橋元委員 まだ作成したばかりとか、これから3月末に向けてつくられるということだと思います。それらのプランは、県に全てプランが集まってきて、それをいろいろな評価をし、あるいはそのプランと県の総合計画との整合性とか、あるいは次期の総合計画、農業振興政策等々に生かしていくことも必要なような気がするんですけれども、このマスタープランを受けて、今後どのように県として対応していくのかお尋ねしたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 まずは、マスタープランといわて県民計画との整合性というお話でございますが、今現在、いわて県民計画第2期アクションプランにおきましては、地域農業マスタープランの作成、それからその実践活動の支援を通じまして地域農業の核となる経営体の育成を図るということでそのプランの中に明確に位置づけているところでございます。
 それから、マスタープランの作成に対する今後の県の取り組みということでございますけれども、今現在、地域の座談会に参加して、さまざまな作成助言、それから、農業者の話し合いを促進するために、地域連携推進員を配置して支援してございます。今後、各地域で作成されるマスタープランの内容を県としてもいろいろ検証しながら、次期アクションプランの推進に向けて、その位置づけをこれから検討していきたいと考えてございます。
〇高橋元委員 いろいろ私の地域でも部落の話し合いなんかもかなりやっていましたのでそれぞれの問題、課題が出てきていると思いますし、それらに取り組むさまざまな新たな取り組みも出てきているような気がしますので、ぜひそれらも生かした新しい農業政策を今後つくっていただきたいと思っております。
 2点目、お尋ねします。
 いわてニューファーマー支援事業についてであります。
 先ほども担い手の関係で少しお話もあったんですが、まず、この事業の概要と、平成24年度、平成25年度の実施内容、平成26年度の事業計画についてお尋ねしたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 いわてニューファーマー支援事業の概要及び実施内容についてでございます。
 本事業は、新規に農業に独立自営就農という形でチャレンジしようとする青年等に、就農初期の収入不安定がどうしても参入障壁になっておりますので、こういったところを乗り越えるために、参入を容易にすることを目的として青年就農給付金を交付するものでございます。
 これまでの実施内容ということで、平成24年度は171人を対象といたしまして2億1、687万5、000円を給付したところでございます。平成25年度については、今、最終的な詰めの段階ですけれども、若干さかのぼりますけれども、12月末時点の数字で283人を対象に3億5、528万3、000円を給付予定しているところでございます。
 ちなみに、平成26年度については、市町村からの要望調査を踏まえまして、408人を対象として6億5、003万4、000円の給付が見込まれているところでございます。
〇高橋元委員 数字だけお伺いしていると、非常にふえてきて楽しいなと、そんな思いをしておりました。この支援事業の概要について資料をいただいておりましたけれども、新規の参入者につきましては、45歳未満という一つの年齢、これは青年就農給付金という形で財政的な支援をされているようですけれども、若い世代にどんどん出てきてもらうということも私は大変いいのかなと思っております。
 その中身を見ますと、前年度所得が250万円を超えた場合には給付停止という条項もありますが、これは、平成25年度ですからまだその結果が出ていないと思いますが、この辺は、見込みというか見通しというか、現在250万円超えられない方が幾らぐらい出てきそうなのでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 この制度は、平成24年度にスタートいたしまして2年目ということになります。基本的には、5年先までの就農計画をつくって、その5年の間にしっかりと自立的な経営に移行していく、発展していくというようなことを目指しているものでございますので、2年目で計画目標を達成するというのはなかなか難しい。具体的に把握しておりませんけれども、ほとんどいらっしゃらないのではないかと。特に農外から独立就農営農を目指す方については、もう少しかからないと経営の安定にはまだたどりつかない状況と把握してございます。
〇高橋元委員 この制度を利用するのに積極的な市町村もあるし、展開したくてもなかなか応募してくれないとか、そのようなばらつきがあるような気もするのですが、その辺の状況はいかがですか。
〇前田農業普及技術課総括課長 市町村別に申請の濃淡とかばらつきがあるのではないかということでございますけれども、この2年間で見ますと、確かに人数とすれば県央地帯の人数が多いという状況はございますけれども、全体としてこの制度を利用して地域の新規就農者を確保していこうということについては前向きでございますので、今の時点でそれほど市町村間の差といったものはないと認識してございます。
〇高橋元委員 ぜひどの市町村でも似たようなステップで若い農業者をふやしていただきたい、そんな思いをしております。
 それと、今、都会で動いているというか、いろいろ問題、課題として浮き彫りになってきているのは、都会は確かに所得は高いと。ただ、非常に仕事もきついし、あるいは勤務時間も通勤時間を含めて大変だということで、所得が少なくても田舎に行って伸び伸びと生活しようと。家族ぐるみで田舎に来るという方々もかなり出始めている、そんな話もあるわけです。それを考えると、これから私は、田舎が新しい時代、注目されるのではないかということでいきますと、このニューファーマーの年齢制限45歳というのは非常に微妙だなという思いをしているんですけれども、この事業にかからないような年代のところは支援体制はできないものか、何か新しい支援体制はあるものかどうか、その辺はいかがですか。
〇前田農業普及技術課総括課長 45歳という線引きはどうかというお話でございます。
 あくまでもこの給付金は、余り手持ちがなくて、思いを持って農業にチャレンジしようという方々、特に就農直後の収入がかなり不安だという方々をバックアップし、担い手として経営発展していただくことが主たる目的でございますので、45歳という年齢制限があるわけでございますけれども、さらに定年期の方々については、こういう給付金というよりは、農地のあっせんとか技術の指導とか、あるいは地域の中でうまく関係をつくっていく、そういったところで支援していくことかなと考えてございます。
〇高橋元委員 50代とか定年間際の方とか、そういう方々も、大挙してというわけではないんでしょうが、ぜひ田舎に行って農業でこれから生活をしたいと。あまちゃんで潮騒のメモリーもすごくはやりましたが、地味な歌で地元へ帰ろうという歌もありましたので、非常にそういう意味では、それぞれの地域、さまざまなUターン、Iターンの受け入れ体制もかなり取り組んでおりますので、ぜひその辺の制度改革ですか、新しい制度の取り組み等も検討していただきたいと思っております。
 次の質問に行きたいと思っていましたが、ストップということでしたので。
〇樋下正信委員長 高橋元委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。高橋元委員、御了承願います。
   午前11時52分 休 憩
午後1時3分 再開
〇岩渕誠副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。これから質疑を続行いたしますが、この後、本日審査を予定している部局について、延べ19人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行うこととし、他の委員と重複した内容の質疑は極力避けるとともに、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないよう、改めてお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇高橋元委員 それでは、3点目の質問をいたします。
 被災地の農地復旧、園芸団地の形成についてであります。被災地の農地復旧状況について現状はどうなっているか、平成26年度の計画あるいはそれ以降の計画等はどうなっているか、まず1点。
 2点目は、園芸団地の形成への取り組み状況、どの程度団地形成するかも含めて、現状と計画をあわせてお尋ねしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 沿岸被災地の農地復旧状況についてでありますが、復旧対象農地717ヘクタールについて、市町村のまちづくり計画など、他の整備計画との関連で工事に着手できない267ヘクタールを除く450ヘクタールのうち、現在進めている工事によって、平成26年5月末までに累計で405ヘクタールを復旧するほか、残る45ヘクタールについても、ことしの9月末までには復旧する見込みであります。
 また、平成26年度以降の計画でありますが、市町村のまちづくり計画などとの調整に時間を要する267ヘクタールのうち、平成26年度中に調整を了すると見込まれているのはこれまでのところ約100ヘクタールございまして、調整が了され着工可能となり次第工事を進め、早期復旧を図ってまいりたいと考えております。
〇下村農産園芸課総括課長 園芸団地形成についてでございますが、東日本大震災津波の被害を受けました沿岸地域の農業振興を進めるため、これまで、国の交付金等を活用しながら、生産拠点となります施設園芸団地の整備を支援してきたところでございます。
 平成26年2月末現在までで、陸前高田市の横田地区でイチゴ、トマトの団地38アール、陸前高田市の浜田川地区でリーフレタスの団地53アール、山田町の大浦地区でトマト、ホウレンソウ等の団地21アールが整備され、営農を開始したところでございます。また、平成26年度におきましては、陸前高田市の浜田川地区でミニトマト、イチゴの団地1.5ヘクタールの整備が進められる予定となってございます。
〇高橋元委員 圃場整備とか市町村の土地利用計画などで調整しているということでありました。これについて、特別問題とか課題が出ていないのか。国とのさまざまな調整等々含めて問題ないか、その点が1点。
 それから、園芸団地のほうは、今の数量から言うと、地産地消ではないけれども、沿岸地域の中だけでの流通なのかなという思いをしているんですけれども、これを大きな団地化をして、沿岸地域以外に販路を求めていくという大きな計画になっていけるものなのか。その際、流通経路といったものは必要になってくると思いますけれども、その辺を含めてお伺いしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 まず、農地の復旧に関する課題ということでございますけれども、例えば高台造成によって発生した土の仮置き場に一時転用しなければいけない、あるいは市町村のまちづくり構想等がはっきりしないので、そこの農地の復旧について手をかけられないということでございまして、国の計画との課題ということは現在ないと承知しております。
〇下村農産園芸課総括課長 園芸団地での今後の販路についてでございますけれども、現在、営農を開始しております団地におきましては、確かに産地直売所あるいは地元のスーパーのインショップへの供給をしているところもございますし、中には県内外の量販店との契約取引をしている、あるいはメーカーと契約している等の取り組みも一部出てきてございます。
 今後におきまして、生産の拡大とともに大きくなってくれば、そういった量販店との契約取引等も主体として考えていく必要があるのかと。その際の流通体制についても、地元と協議しながら今後支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員 先ほどの地域農業マスタープランもあるわけでありますが、被災地だと経営再開マスタープランということになるわけでありますけれども、この園芸の関係は、その中でのいろんな位置づけ等も出てくるのかと思っておりますが、果たして園芸に対する地元の耕作者の方々はどんな体制なのか、あるいは意欲がある方がたくさんいて団地形成できる状況なのか、その辺の見込みはいかがですか。
〇下村農産園芸課総括課長 確かに沿岸地域は、これまでこういった大きな団地等の形成がなかったものですから、一気に進むという状況にはなかなかございませんけれども、近年、被災後、地元に新たな産直施設が設置される、今後も設置される計画が立っている、また、量販店等も設置が進んできているということで、地元では、農業者のそういったところに供給するための野菜づくりあるいは花づくりといった生産意欲は高まってきているものと思ってございます。こういったものをてこにしながら、設置しました園芸団地を核に、その周辺に園芸を広めていきたいと考えてございます。
〇高橋元委員 労働集約型ということでありますし、単価的にも少しいいという感じもありますので、園芸団地に対する期待は私は大いにしております。余り他の地域と競合しないように、また、地理的な気候風土を生かした園芸ということも言われておりますので、ぜひその辺のところを、栽培指導等も含めて、栽培種の検討も含めて、今後とも強力な支援をお願いしたいと思います。終わります。
〇福井せいじ委員 私は、まず初めに農林水産物の高付加価値化推進についてをお伺いします。
 高付加価値化推進については、6次産業化促進の取り組みということにつながるわけでありますが、まず初めに、現在の6次産業化の取り組みの売上額、そしてまた目標額についてお知らせいただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 6次産業化によります販売額についてでございますが、平成24年度の集計になりますが、岩手県の額は143億円が実績額になっております。139億円の目標額に対しまして143億円となってございます。
〇福井せいじ委員 目標額は上回っているということでありますが、そこで私がまたお聞きしたいのは、今、6次産業化というと、私たちが一般にイメージするのが産直とか農家によるレストラン経営という形でありますが、私は、もっと広めていく必要があるのではないかと。流通に働きかける、あるいは消費者の方々に広く販売できるような形で6次産業化を進める必要があると思っております。
 そこで、ことし、新規事業でいわて6次産業企業化促進事業あるいはいわて農林水産業6次産業化促進事業というものが掲げられ、事業に取り組むということでありますが、その内容についてお示しいただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 平成26年度に予定しておりますいわて6次産業企業化促進事業あるいはいわて農林水産業6次産業化促進事業につきましてでございますが、これは、生産者の方が6次産業化に取り組んでございますけれども、それらの方々に、一歩進んだ形で企業化に向けた取り組みに対して県が支援しようとするものでございます。ただし、これは農家の方々が主体的に取り組むということで、農家の方々からの提案を受けまして、その提案に対して補助をしたいと考えてございます。
 もう一つは、国の雇用基金を使いまして、地域の農協が生産者の方と一体となりまして、新たな商品開発や販路の開拓に取り組むといったものを支援するという事業になってございます。
〇福井せいじ委員 今、総括課長がおっしゃった中に農林業者が企業的な経営というお話がありましたが、その企業的な経営というのはどのようなイメージを持たれているのでしょうか。
〇泉流通課総括課長 現在のほとんどの6次産業化につきましては、自分の農産物を加工いたしまして、先ほどおっしゃいました産直に卸すとか、そういった取り組みをしてございますが、6次産業化を一歩進めるためには、雇用、経理といったものをきちっとやっていかないと、6次産業化の拡大、発展はないということで、そういったものを今回研修に加えながら、市場、マーケティングあるいは商品開発といったものをみずからできるような取り組みに対して補助していきたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 これは、いわて6次産業企業化促進事業に当たると思うのでありますが、もう一つ、新規で取り組まれるいわて農林水産業6次産業化促進事業というのは、今のお答えではなく、農協や漁協の生産者団体が取り組む6次産業化のビジネスの展開等と書いてありますけれども、こちらについてもう一度詳しくお知らせいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
〇泉流通課総括課長 これまでの取り組みは、どちらかというと農家が主体となってございますが、ここに、農協の持ちます組織力、経営力あるいは資金力といったものを活用しながら、地域の農家の方々と連携して6次産業化に取り組んでいこうとするものでございます。
〇福井せいじ委員 そうすると、農協の方とか漁協の方が中心になって取り組むということですか。漁協あるいは農協が生産者そのものとグループをつくりながら、一つの産業構築に向けて取り組んでいくといったイメージでよろしいのでしょうか。
〇泉流通課総括課長 農協のマーケティングあるいは組織といったものを使いまして、生産者が行う事業に対して委託をするということで提案を受けて、それに対して県が委託するということを想定してございます。
〇福井せいじ委員 私は、この前、4特別委員会でも視察はしてきたんですけれども、先ほどからお話ししているように、生産者の6次産業化についてはまだまだ非常に小さい市場にしか訴えてないのかなということを感じます。やはりもっと大きな市場に打って出ることが生産者の収入増にもつながりますし、また、生産物の高付加価値化につながっていくと思うのであります。
 そういった意味で、生産者が流通、販路の開拓であるとか、あるいは商品開発であるとか、企業としてのマネジメントを手がけるというのは非常に難しいのではないかと思うのであります。そういった意味では、むしろ、農協であるとか漁協であるとかがそういった部分を担いながら、もっと6次産業化を進めていくのが適当ではないかと思って、いわて農林水産業6次産業化促進事業というものに期待しているのですが、そういった観点からの6次産業化の拡大というものは考えておられないでしょうか。
〇泉流通課総括課長 これはあくまで生産者に対する補助と委託でございますが、そのほかに、県といたしましては、いわて6次産業化支援センターによります経営のサポートをしてございます。それから、流通、販売における専門家、食のプロフェッショナルアドバイザー等をお願いいたしまして、食の専門家による商品の開発やパッケージのデザインとか、そういったところに派遣したりとか、相談に乗ったりもしてございます。また、販路開拓のためには、盛岡、東京、大阪、福岡で商談会を開催しておりまして、その機会を捉えて、生産者の方々にも直接そこの商談会の会場に行って説明していただいて販路の拡大に取り組んでございまして、そういったところを全て今回の事業の中でも、事業を実施する人たちがそういったものにも参加し、あるいは支援を受けながら進めていくことによって、販路の拡大が開けていくのかと思っております。
〇福井せいじ委員 繰り返しにもなりますけれども、生産者が自分の手がけている農産物なり水産物を生産するということ以外に、結局、経営をするとか、商品開発をするとか、販路を拡大するというのはなかなか難しいのではないかと私は思うのであります。そういった意味で、私は、農協あるいは漁協あるいは流通業者とのマッチングによって、そのような6次産業化を大きく広げていく必要があると思うのでありますが、そういった点で何か、今、総括課長の考えていることというのはないものでしょうか。
〇泉流通課総括課長 委員のおっしゃるとおりでございまして、そういったマッチングの機会の提供といたしまして商談会―商談会も県が開催するだけではなく、各地域におきまして、あるいは銀行主催だとか、国の主催だとか、商談会はいっぱい機会があります。その中で生産者の方が、行っても取れないときもあるんですけれども、そういったいろんな地道な努力によって販路を開拓していけるものとして、県としては機会があるごとにそういった御案内もしますし、県独自の商談会への参加も呼びかけているところでございます。
〇福井せいじ委員 私は、商談会に行くまでに商品開発なり販路をいかに―自分自身の6次産業化に係るマーケティングとかマネジメントを生産者の方々にも教えていただきたい、そういう機会をつくっていただきたいということを私は思っているのであります。
 そういった意味では、企業化の成功者の事例、あるいは成功した方々を訪れて視察するなり、そういった6次産業化を希望する方に、そのような研修する場をぜひ設けていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇泉流通課総括課長 6次産業化を広めるという意味で、毎年、研修会を年に2回開催してございます。これは他県の成功した方を県内に呼びまして、県内で6次産業化に取り組んでいる方々にお集まりいただきまして研修会を開催してございます。今回も他県の方を講師に招きまして―こちらから出ていくというのは、生産者の方々も結構費用もかかるということもありまして、なかなか出ていけないんですが、そういった機会を通じて他県の事例等を県内の6次産業化に携わる方々に紹介してございます。
〇福井せいじ委員 まだまだ6次産業化への取り組みは足りないのではないかと私は思っております。6次産業化あるいは農商工連携、産地育成といった形で、岩手の農業、水産業をもっと広める、そしてまた生産者の収入をふやす、あるいは商品の付加価値を高めることが、これからの岩手の農林水産業の強さをつくっていくことにつながると思います。そういった意味では、6次産業化への取り組みを深めるあるいは高める、広げるといった取り組みをしていっていただきたいんですが、部長、いかがお考えかお聞かせください。
〇東大野農林水産部長 6次産業化の取り組みについてでございますが、6次産業化といっても、委員御指摘のように、大きなビジネス展開をしようとする事例もございます。一方で、地場の消費に対応しようという取り組みもございます。そういったさまざまなパターンがありますので、それぞれに対応していこうと考えてございます。
 その場合において、先ほど委員からお話のあったような農協なり漁協なりが、ある意味核となって生産者を支えて6次産業化を展開するといったようなパターンもあると思います。実際、漁協の例で見られるように、久慈漁協の取り組みとか、宮古市田老漁協のワカメの取り組みとか、重茂の漁協であってもそうだと思います。実際に先行して大きく展開されている例が既にありますので、そういった例も参考にしながら、さまざまなパターンがあるという中で、さまざまな取り組みを支援していきたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 ぜひとも生産者の所得増、そしてまた商品の商品力を強めるためにも進めていただきたいと思います。
 次に、若干関連するのでありますが、いわてブランド再生推進事業についてお聞きしたいと思います。ここで改めて、岩手のブランドというものは何であるかをお伺いしたいと思います。岩手のブランドとは何でしょうか。
〇泉流通課総括課長 いわてブランド再生推進事業についてでございますが、岩手県が岩手のブランドとして取り組んでいるのは、岩手の食材が、農林水産物が安全・安心であるということを県外にアピールする、それが岩手のブランド化につながるのだということで、我々は農林水産物の安全・安心の情報発信に努めておる次第でございます。
〇福井せいじ委員 それでは、ここでお聞きしますが、安全・安心というものをどのようにして訴えているのか、どのようにして売っているのか、どのようにして理解をしてもらおうとしているのか、その方法についてお聞かせください。
〇泉流通課総括課長 具体的には鉄道広告や生活情報誌、生産者が一生懸命に取り組むポスターなどを通じまして岩手の姿勢をアピールしてございます。いろいろな手段はあるかと思いますが、そのほかに実需者を招聘いたしました産地見学会によって、実際に使っていただく方々に、実際どのようにつくっているのかといったところを見学していただきまして、関心というか、岩手は非常にまじめに取り組んでいるという御理解をいただいておるというところがございます。
〇福井せいじ委員 安全である、安心であるというのはどのようにして担保するのか、あるいはどのようにしてそれを訴えるのかなんです。ポスターで訴えるとか、ウエブサイトで訴えるとかではなくて、なぜ安心なんだ、なぜ安全なんだ、これを訴えていかなければ、安全・安心というのは消費者に理解されないと思うんです。何を媒介にして訴えるのではなくて、安全・安心というその根拠を訴えていかなければいけない、ブランドはつくれないと思うんですけれども、その点についてはどうですか。
〇泉流通課総括課長 実際、具体として安全なんだよという話を―一時、放射性物質が入ったときには、県では全ての農産物については検査しております。それを訴えていくかどうかということは、それを直接訴えるべきかどうかというところがございまして、我々は、いろいろ議論した結果、やっぱり一生懸命な姿をアピールしていきましょうということのほうにたどり着きました。というのは、やはり関西方面では放射性物質に関するものに非常に神経質な方もいらっしゃるということで、実際、そのポスターには検査はしているということはちゃんと書いてございますけれども、安全で安心だという文字で訴えるということしかないのかなということで、そういった形のポスターでのアピールということになったものでございます。
〇福井せいじ委員 わかりますけれども、本当にそれで消費者に安全・安心というのが伝わるのか。そしてまた、県自体がそういった取り組みをなさるのはいいのでしょうけれども、やはり安全・安心というブランドを売っていく以上は、何かしらの根拠あるいは担保をするような説明なり伝え方、メッセージが必要であると私は思うのであります。
 実は、昨年の2月に東京で行われました食の商談会にお邪魔しました。出展者の方々にさまざまなお伺いをしました。その中では、風評被害のために売り上げが落ちているという業者がほとんどでありましたが、実はその中で売り上げを伸ばしているという方もおりました。それは、あるキノコ屋でありましたが、そのキノコ屋は、全ての商品に、自分の商品が安全であるというメッセージをつけて売っているそうであります。そういった自分の商品が安全であるという、何というんですか、こういうことだから安全なんだということを訴えることが消費者に直接響くのではないかと私は思っております。ぜひともそういった取り組みを支援できるような体制をつくっていただきたいと思います。いかがでしょうか、部長、お聞かせください。
〇東大野農林水産部長 ただいま流通課総括課長が申し上げましたとおり、流通課のほうではそういった形でアピールするという形をとっております。ただ、一方で、農産園芸課等は、環境保全型農業とか特別栽培といったものに代表されるように、生産段階でできるだけ農薬を使わない、あるいは化学肥料もなるべく使わないといった中で生産活動もしている、そういった取り組みも進めてございます。そういった生産段階の取り組みと、流通課で実施するアピールとあわせて、本県の農産物が安全・安心であるということを消費者あるいは実需者に伝えていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 流通課だけではなく、やはり生産する現場において、安全・安心を全うするということであります。そういった意味で、ぜひともそういったことを強く訴えていただきたいし、あるいは安全・安心の具体的な目標をつくることも必要だと私は思います。なかなかつくれないことでありますが、そういった取り組みをこれからぜひとも推進していっていただきたいと思います。以上で終わります。
〇高橋但馬委員 2点についてお伺いいたします。
 鳥獣被害防止について。
 シカやハクビシン等有害鳥獣の分布状況を見ると、全県に及んでおります。盛岡広域のリンゴ農家のほうも、今、頭を悩ませているところなんですけれども、市町村等が行う緊急捕獲活動の取り組みの支援のために昨年3月に設置された岩手県鳥獣被害防止対策推進協議会は、どのような対策内容を行っているのかお知らせください。
〇千葉担い手対策課長 岩手県鳥獣被害防止対策推進協議会の取り組みについてでございますが、国の平成24年度補正予算によりまして国が直接交付した交付金を活用しながら、市町村等が行う緊急捕獲活動の取り組みに対して支援を行っております。
 この協議会の具体的な取り組みといたしましては、市町村が作成いたします被害防止計画に基づきまして市町村が猟友会等へ有害鳥獣の捕獲を依頼しており、例えばニホンジカの場合、1頭8、000円、ハクビシンでありますと1頭2、000円を上限に補助しておりますし、処分業者等が捕獲いたしました個体を運搬、処分する場合に要する経費等について補助を行っております。
〇高橋但馬委員 例えば、これというのは一般の農家とかが捕まえた場合も対象になるのでしょうか。
〇千葉担い手対策課長 これについては、一般の農家が直接とったものについては対象となっておりません。あくまで市町村のほうへ委託するという形での取り組みになってございます。
〇高橋但馬委員 いずれ、農家のほうも、今、捕まえた場合の処分費という部分もわかってない部分がありまして、ちょっと相談を受けたものですから、今回のこれが対象にならない場合であっても、農家に対する処分費の補助などがあるということを周知していただいたほうが、農家としても非常に助かると思いますので、その辺をよろしくお願いいたします。
 次に移ります。8月9日の豪雨、さらには台風災害を受けて、今春の作付に向けた災害復旧の対応についてお伺いいたします。
 農地農業用施設の復旧に当たり査定前着工制度の積極的な活用や、災害査定後直ちに工事着手できるように、災害復旧事業の推進主体となる市町村に対して、災害査定や早期発注に関する助言、必要に応じた職員派遣など支援を行っていただいたと思いますけれども、今春の作付に向けた農地及び農業用施設の現状についてお知らせください。
〇伊藤農村建設課総括課長 8月9日に発生した大雨により被災した農地及び農業用施設の現状についてでありますけれども、現在、各市町村が鋭意復旧工事に取り組んでいるところでありまして、発注予定件数のうち2月末時点で約8割の工事が発注されております。被災した農地約760ヘクタールのうち、河川に隣接し護岸も被災している一部を除き、735ヘクタールが今春の作付に間に合う見込みとなっております。
〇高橋但馬委員 ほぼ作付に向けて準備が整っているとは思いますけれども、まだまだそれに対応し切れていない場所も残っておりますので、引き続き、作付に向けて農家の方々が活動できるように、よろしくお願いいたします。以上で終わります。
〇城内愛彦委員 私からは1点お伺いしたいと思います。
 一般質問でも渡辺幸貫委員や、今委員会の中で高橋昌造委員が質問されておりましたけれども、私からは繁殖牛のあり方についてお伺いしたいと思います。
 その中で、いわて生まれ・いわて育ちの牛づくりということで、理想的な形になって、コスト削減しながら岩手のブランド化を図っていくということでありますけれども、特にも私が住んでいる沿岸部は、おじいさんやおばあさんあるいはお母さん方が、農業を守りながら、地域の基幹産業の一つである繁殖牛を育ててまいりました。その中で、今、高齢化が進んで繁殖農家が大分減ってまいりました。頭数については、先ほど、午前中の質疑でわかりましたので、経営体というのはどういう形で推移しているのか、わかっている範囲で教えていただきたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 肉用牛の経営体の推移でございますけれども、肉用牛の経営体は、繁殖農家、肥育農家、一貫経営農家がございますけれども、繁殖農家につきましては、平成22年度まで減少していたものが、その後、子牛市場価格の回復とともに増頭しているということでございます。肥育農家につきましては年々減少している。一貫経営につきましては、特定の大規模な経営体の廃業を除きますと、ほぼ一定の水準で横ばいといった状況で推移していると認識してございます。
〇城内愛彦委員 そこで、繁殖農家が一番困っているのが価格が安定しない。今は高どまりで大分落ちついてきているので、いいあんばいだなということでしたが、BSEがはやったころもそうですし、外国の飼料が高騰したりして経営がなかなかうまくいかないという方々がたくさんありました。そういったところで、安定して収入が得られるためには、種牛のブランド化というのは大事だと思うんです。高い種を買ってつけて失敗すると、そのリスクが結構大きくて、それが経営に反映されるのだそうです。その辺は多分皆さんのほうがしっかりと押さえていらっしゃると思いますが、その辺の対策も含めて、やはり大事なのは、県産で安全・安心で安定的に供給してもらえるような種だと思うんですが、その辺の取り組みというのはどうなっているかお伺いしたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 県有種雄牛の造成についてでございますけれども、県有種雄牛につきましては、県の定めます家畜及び鶏の改良増殖計画に基づきまして、増体量及び脂肪交雑に重点を置きまして、育種価を活用しながら選抜してございまして、産肉能力は年々確実に向上しているものと考えてございます。この取り組みにつきましては、昭和62年度から本格的に種牛の造成に取り組んでいるところでございますが、平成25年3月まで49頭の県有種雄牛を選抜してございます。
 今後とも、そういった増体量あるいは脂肪交雑に重点を置いた育種価を活用しながら、農家の皆さんが利用したいといういい種牛づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 最後にしますけれども、県有の種牛は立派ないい牛があるそうなので、そういうこともPRしていっていただいて、高い評価が得られるような形というものをつくってほしいと思うんですけれども、最後にそこをお伺いして、終わりたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 今、委員のほうからもお話がございました、そういった優良な県有種雄牛をどうやってこれから利用促進していくかというのが非常に大きな課題だと認識してございます。このため、県といたしましては、平成25年度に創設いたしましたいわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業によりまして、指定した種雄牛産子の生産に係る人工授精でありますとか、あるいは肥育素牛導入経費につきまして肉用牛農家を支援しております。今後とも、この事業を活用しながら県有種雄牛の利用を高めてまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 私からは大きく1点について質問させていただきます。
 台風、豪雨、雪害と自然災害が連続して発生しているわけでありますけれども、それらに対する農地の復旧などについては先般の総括質疑でも回答いただいておりますが、具体的に農家そのものを支援するためには資金の調達なども大事だと思いますけれども、被害別に共済、保険などの支払い状況はどのようになっているのか、また、現状、課題等があれば、どのように把握されているのかお示し願いたいと思います。
〇宮野団体指導課総括課長 まず、昨年の大雨、台風による主な作物等の被害に対する農業共済金の支払い状況についてでありますけれども、水稲につきましてはおおむね昨年の12月末までに約3億3、600万円の共済金の支払いを完了しておりまして、前年度の約1、900万円の支払いに対して大幅増となっております。また、パイプハウスなどの園芸施設共済についても、昨年の12月末までに約1、600万円、果樹共済のうち、比較的被害の大きかったリンゴにつきましては、例年どおり本年2月に約5、800万円の支払いを完了したところでございます。
 また、今冬の雪害で比較的被害の大きかったパイプハウス等の園芸施設共済につきましては既に被害調査を終了しておりまして、今月中には約2、400万円の共済金が支払われる予定となってございます。
 昨年来、今、委員からお話がありましたとおり、大雨、豪雨、台風、さらには今冬の雪害ということで被害が相次ぎましたけれども、農業共済組合の共済金につきましては、現地での、評価員でありますとか、組合の職員でありますとか、総出でその損害評価に当たりまして、おおむね例年どおりの支払いを行うことができたと考えてございます。
〇軽石義則委員 現状等につきましてはしっかりとやっていただいているということが確認できたわけでございます。しかし、まだまだその保険等だけでは足りないと思うところも多くありますけれども、それ以外の支援策等があるとすれば、それらは今どのように対応されているのかお示し願いたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 ハウスの再建助成でございますが、農業用ハウス、機械等の農業用施設につきましては、国の被災農業者向け経営体育成支援事業を導入いたしまして、盛岡市など5市町から要望のあった55件、107施設全ての再整備を支援してございまして、本年度内に完了する予定となってございます。
 今冬の豪雪により被害を受けました農業用ハウスの再建につきましては、3月13日の直近でございますけれども、その調査率およそ8割ということでございまして、今後さらにその被害の全容把握に努めまして、国の被災農業者向け経営体育成支援事業を導入しまして再建に取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 パイプハウスのお話がございますけれども、また同じような施設を再建しても、これよりも激しい自然災害が来ることも想定できるわけでございますので、であるとすれば、風、台風、雪に耐え得るものに変更していくというか、指導していくということも大事ではないかと思っております。そういう意味で、今、木材によりますビニールハウスなどが考えられて、県内でもその取り組みが始まっていると承知しておりますけれども、自然災害に強いもの、木製であれば特に県産材を利用してその普及拡大がされるものと思いますけれども、そのことを、今、県としてはどのぐらい把握して対応されているのかお示し願いたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 ただいまお話にありました園芸用の木材ハウスについてでございます。これまで、鉄骨ハウスと同等の強度を持つ木材活用の低コストハウスの開発を進めてまいりました。現在のところ、国が定めます耐風性―風に対する耐性、耐積雪荷重―雪の重みに対する耐性、これらの国の基準を満たした低コスト耐候性ハウスといったものが商品化として一応めどが立ったところでありまして、パイプハウスよりは若干高い段階ですので、今後さらに低コスト化を図りながら、この導入については検討してまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 そういう意味では、ぜひ県産材を活用―林業は次の段階ですけれども、農業の中にもそういう連携が図られていくことによって、さらに安心して農業を続けられる体制づくりの支援というものも大事だと思っております。
 そういう部分で、この大雪においては、報道等を見ますと、農林中金やJAからの融資に対しての補助について、関東甲信5県のほうでは県の支援などもあるようでございますが、岩手県としては現段階ではどのようなことを考えているのかお示し願いたいと思います。
〇藤代農林水産企画室企画課長 大雪被害への対応についてでございますけれども、これにつきましては、一般質問のほうでも御答弁させていただいたとおり、農業共済あるいは生乳運送保険の円滑な支払い要請といったものを行ったほか、先ほど、農業振興課総括課長からも若干御答弁申し上げましたけれども、農業用ハウスの再建助成等国の支援対策というものが出てきておりますので、こういったものの導入を図り、今後の生産活動に支障がないように対策を措置していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 そういういい制度、対策がしっかりと示されているとすれば、県民の方にも、農業者を中心に該当する方にしっかり周知していただくことを加えてお願いして、これら今後の取り組みなどを部長から最後に所感をいただいて、終わります。
〇東大野農林水産部長 昨年来、台風、大雨被害、そして今冬の大雪被害ということで農業被害が連続してございます。これにつきましては、できる限り生産者の生産再開に支障が生じないように、活用するものは活用して対応してまいりたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 先ほど、高橋但馬委員より大雨災害からの農地の復旧については質問、御答弁がございましたので割愛して、私からは1点、牧草のペレット化についてのみ質問させていただきたいと思います。
 今、放射性廃棄物関係で牧草のペレット化を進めているわけでありますけれども、本年度の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 牧草のペレット化の進捗状況についてでございますけれども、牧草のペレット化につきましては、牧草の焼却に時間を要し、牧草の乾燥、圧縮処理といった中長期保管対策が必要な一関市と金ケ崎町で実施してございまして、本年度末までには、一関市が2、400トンの計画量に対しまして863トンと36%、金ケ崎町が1、300トンの計画量に対しまして742トンと57%の実施の見込みとなってございます。
〇佐々木朋和委員 数字的になかなか進むことができなかったということでありますけれども、その阻害要因は何だったのかお教えいただきたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 ペレット化のおくれの原因についてでございますが、ペレット化がおくれた原因につきましては、特殊なシートを使用しまして、天日乾燥で実施してございます牧草の乾燥作業そのものが、昨年の7月から10月に発生した台風や大雨の影響によりまして大部分の牧草が直接浸水したということから、牧草の乾燥が大幅に遅延したことに加えまして、製造機本体が直接被害を受け、損傷したことが挙げられます。
〇佐々木朋和委員 関係市町村から、そのような乾燥するための機材の要望でありますとか、これは国の制度も入っているということで、来年度への繰り越しがどうなるか、また、来年度中に残りの部分が終われるのかという不安な声も出ているわけでありますけれども、それらの阻害要因の解決策と来年度の見込みをお聞きして、終わりたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 今後の対応等についてでございますけれども、前段でお話を申し上げました特殊なシートによる乾燥適期の4月以降からの集中的な作業、それに加えまして、ロール中心部の空洞化などの天日乾燥を促進するための手法を講じながら、今後も市町と連携を図りながら、早期に完了するよう計画的に取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 そういうものを施して、来年度中にはこのペレット化というのは完了の予定だということでよろしいでしょうか。
〇渡辺畜産課総括課長 委員がおっしゃったとおり、これは繰り越しをして行う事業ということですので、とにかく早期に完了を目指して進めてまいりたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 最初に、農業所得の減少についてお伺いいたします。
 新年度、国の新たな農政転換によって農業所得の減少という問題は非常に大きな課題になっていくものだろうと思いますし、議論もされてきたところなのでありますが、その所得減少にかかわって最大の懸念材料は、本県にあっては、被災地の営農再開の時期とこの新しい農政転換が一緒なるということにかかわって非常に懸念が広がっているわけなんですが、被災地での営農再開に対して、今度の新しい農政転換がどういう影響を与えるのか、そして、その対策はどのように考えているのか、その点をお示しいただきたいと思います。あわせて、被災地における営農再開の現状についても数字をお示しいただきたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 被災農家の営農再開状況についてでございますが、先般、国が公表いたしました農業経営体の被災・経営再開状況調査によりますと、本年2月1日現在の数字でございます。本県で津波被害を受けました販売農家480戸のうち、営農を再開してございますのは260戸、約54%となってございます。
 次に、被災地での営農再開に与える影響と対策についてでございますけれども、経営所得安定対策の見直しによります被災地における所得への影響につきましては、水田割合が平場よりも小さい県北・沿岸における水稲と園芸品目との複合経営の試算でございますが、所得が3%ほど減少すると試算されます。
 このため、県におきましては、沿岸地域の復興に向けまして、まず復旧農地を最大限に生かす、そして、地域の意向、合意を十分に踏まえまして、先ほどもお話がございましたが、気象条件を生かした園芸品目の導入や6次産業化への取り組みを進めまして、農家の所得確保、そして向上を図ってまいりたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 営農再開が54%ということなんですが、全体の農地の復旧率が高まっておりまして、先ほどの答弁では、9割近い数字になっていたように思うんです。
 そこで、これは教えていただきたいわけですが、復興インデックスで掲げている農地復旧率と先ほどの復旧率の話は全く別物なのでしょうか。数字がえらく違っているような気がするんですが、その点をまずお聞きしたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 今お話し申し上げました国の公表数値は、実は公表されている数値というのはこれしかございませんので、販売農家の数値ということになってございまして、まずは面積にしますと30アールという一つの枠、それ以上の農家の統計になってございますので、そういった数字のずれが起きているということでございます。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地の復旧率の関係でございますけれども、先ほど御説明しましたとおり、本県の沿岸部の復旧対象農地は717ヘクタールございますけれども、市町村のまちづくり計画との関係等で、実際、今、復旧しようにも着手できない農地があるということでございまして、それを除いた450ヘクタールについて、405ヘクタールを平成26年5月までに復旧するということで、本県の実際の復旧できる、着手できる農地に対して復旧している割合という御説明をさせてもらったものでございます。
〇久保孝喜委員 復旧対象農地面積は、このインデックスによれば311ヘクタールとなっているんですが、今の話とは違いますよね。平成26年1月31日現在とインデックスには書いているんですが、それとは違うんですか。何が違う数字になって出てきているのでしょうか。
〇岩渕誠副委員長 答弁できますか。
〇伊藤農村建設課総括課長 大変失礼しました。
 その時点においては、他事業との関連等で着手できない農地があって、復旧に着手できる農地が311ヘクタールだったということでありますけれども、その後、まちづくり計画との調整等が済んだものについては復旧対象可能となっておりますので、それを分母としているということでございまして、現時点では450ヘクタールを着手可能な分母として見て、それに対してどのように復旧が進んでいるかというような御説明をさせてもらったものでございます。
〇久保孝喜委員 このインデックスは1月31日現在ですから、そうすると、1カ月の間で、いわゆる復旧対象面積として組み込んだものが100ヘクタールほどあるということで理解すればいいわけですね。わかりました。インデックスですから、我々はこれをもとにして見るしかないわけで、その意味で、さっきの数字は、本年9月までに100%になるということについては非常に喜ばしいことだと思います。
 そこで、そういうふうに農地が復旧されていく。先ほど、販売農家だけの数字で、しかもこれが国の数字なわけです、いわゆる営農再開の農家数というのは。そうすると、復興を語るについては、復旧された農地に対してどれだけ農家がいわばなりわいとして再開できるかということに、県が独自の数字を持たないということでいいのだろうかと。先ほど、販売農家だけに限って言えば54%だという話でしたが、それ以外の農家も含めて、全農家がどれだけあの被災地において農業を再開できたのかというところでの数字というのは今もつかんでいないし、これからもつかまないということなのでしょうか、その点を説明いただきたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 実際には現地の広域振興局、農林振興センターなどでいろんな個別の農家を当たって、農協の組合員だとか市役所の職員と一緒に、地権者ということも、工事の関係もございますので、歩いてございますが、所在が把握できない人もおりますし、あとはなかなか答えてくれない人もいるということで、数字上の把握をしようとして努力はしてございますが、なかなかうまくまとまらないということがありまして、今、国の数値ということで公表していることを申し上げたところでございます。
〇久保孝喜委員 国の数字は数字としてしっかり受けとめていかなければならないと思いますが、岩手県のまさに震災復興にかかわって、先ほど申し上げたような農業を再開できる環境をどうつくるか、今、それにまさにかかっているわけですから、これからは、むしろ農地の復旧率から今度は営農再開率というところに、ある意味では視点を変えて取り組みを進めていかなければならないというのは誰もが思うところなわけです。
 その際に、具体的にその数字をつかむ仕掛けが農林水産部にない、あるいはやっているけれども、なかなかつかめないということなのかどうか。そこを含めて、復興事業と言うからには、そこが一番の肝だと私は思うんですけれども、その点に関しては、今後の方針を含めて何かお考えがあるのでしょうか、説明をいただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 復旧農地の営農再開についてでございますが、昨年春にも農地復旧したにもかかわらず営農を再開しない例があるといった御批判をいただきました。その後、一戸一戸の農家の事情をお伺いしながら、営農再開に向けた支援がどうあるべきかいうのを各普及センター等で取り組んでございます。
 先ほど国の統計資料の数値をお話し申し上げましたが、来春に向けての営農再開については、別途、営農再開意向を把握してございますけれども、国の通知とは大分様相が違って、8割程度の面積については営農再開したいという意向を伺ってございます。ただ、国の統計調査と大分数字が違いますので、その調査の違いがどこから出てきたのかはこれから研究させていただきたいと考えております。
〇久保孝喜委員 農業政策全体をつかさどるまさに所管ですから、そこが一番私は復興にとって肝だと思いますし、これからお聞きする農業所得全体の話も含めてそれは非常に重要な点ですので、ぜひこれからも取り組みを進めていただきたい。
 先ほど答弁の中で所得確保策として何点か挙げられました。こうした確保策によって、それでは本県全体の農業所得がこういうふうに推移していくという意味でのシミュレーションというか目標設定というものがあるのかどうか、ここをお聞きしたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 全体の所得目標の部分でございますが、この経営安定対策の見直しによって、先ほども申し上げましたが、沿岸部では3%、そして県中南部ではおよそ16%というような数値が出てございますけれども、その全体の所得目標、段階的にその目標を設定するということにつきましては、経営形態、そしてそれぞれの農家の資本装備、また地域によっても違いますし、労働力、また土地の条件、気象などもあって異なることから、一概に示すことは困難と考えてございます。
〇久保孝喜委員 きのうの新聞に、県が試算した農業所得の減少は16億円と、こういうふうに打ち出されているわけです。そうすると、それを見た県民も含めて、とりあえずこの16億円をどうやってカバーするのかと。もっと伸ばしていきたいわけだけれども、どうカバーするんだというときに、いや、それは一概に目標設定はできませんと言われたのでは、進むべき農業の方向、農業政策の方向性において説得力に欠けるのではないかという気がするわけです。農業政策に限らず、岩手県全体で例えば国の政策によって翻弄される例はいっぱいあるわけですが、そのときに岩手はこうするんだという目標提示が、残念ながら今の県政には非常に薄い、少ないと私は感じているわけです。少なくとも基幹産業である農業の問題などについては、ある種過敏に反応して、岩手はこうするんだと。こういうふうに目標設定してこれをやりますというぐあいに、県民に対する目標提示という問題をぜひ私は考えていただきたいと思います。
 そこも含めて、さらに安倍政権のもとで国家戦略特区という話が出てまいりまして、その中に農業特区というのが指定されてくると。ここには今のところ全国では数少ない自治体が手を挙げているという状況があるようですが、規制緩和の一環の中でこの農業特区などというのがこれから先、全国的に広がる気配ということも含めて、農業委員会のあり方にも議論がいろいろありますけれども、そういうことを含めて、農業情勢全体に岩手はこうするんだというメッセージをきちんと出していくというのは、先ほどの所得目標の問題とあわせて私は必要だと思います。その特区の問題と所得の目標提示を含めて所感をお伺いしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 私から所得の目標設定についてお答え申し上げます。農業特区の件に関しては担当課長から御答弁申し上げます。
 今回の新しい農業政策に対応して、御指摘のとおり、今までの交付金の支払いからいうと16億円減ずる見通し、そういった試算になるということでございますが、県といたしましては、現在、農業団体等と連携して新しい農業政策の展開にどう対応していくかの検討を進めてございました。2月中旬には中間取りまとめという形で一定の取り組みの方向性は公表させていただきましたが、その後さらに議論を続けてございます。具体的な取り組みについて議論の中で煮詰めて、生産者の皆さんに提示していけるようこれから取り組みを進めますが、所得を確保していく、それはどうしても達成しなければならないと承知しております。
〇高橋農業振興課総括課長 農業特区についてでございます。
 国が12月に施行しました新たな法律、国家戦略特別区域法でございますけれども、これで示しますいわゆる農業特区につきましては、まず一つの中身は、農地流動化を円滑に進めていくために、農地法の農地権利移動の許可を農業委員会のかわりに市町村が行う。二つ目として、農業生産法人の6次産業化を推進するため、農作業に従事する役員が必要ですが、この人数要件を緩和するという二つの特例措置が設けられまして、今後、国が提案募集を行って区域を決定するとしてございます。
 そして、今回の農業特区に対して、本県におきましては、農地の権利移動のほとんどが農地法以外の経営基盤強化法の手続で行われていること。また、生産法人の役員要件でございます農作業の従事者の緩和でございますが、本県においては農業者が農作業に従事しながら6次産業化に取り組んでいることから、県としては、これらの特例措置の本県での効果等を見定めていきたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 4月からは消費税の増税などを含めて大きな変わり目、節目を迎えるわけでして、新しい年度に心してかかっていかなければならないと思っているところです。
 さて、2番目については、何回かこれまで取り上げてまいりました旧軍馬補充部官舎の保全、活用についてお伺いいたします。
 金ケ崎町のこの施設については文化的価値の問題を含めていろいろ申し上げてまいりましたが、庁内に検討組織も協議の仕組みができて議論されてきたと承知しておりますが、この間、協議のポイントは何だったのか、そして、その結果はどういうぐあいに方向性が定まったのかお答えをいただきたいと思います。
〇及川農林水産企画室管理課長 旧軍馬補充部官舎の保存、活用策につきまして、設置した協議組織の協議のポイントと結果でございますけれども、まず、設置いたしましたのは平成25年7月でございますが、県内部の関係者と外部の有識者を交えまして旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎の利活用等検討委員会という組織を立ち上げております。
 この中で協議したポイントでございますが、一つには、この六原支部官舎の文化的価値を改めて関係者が確認し、認識するということが一つのポイントでございます。もう一つのポイントが、それを踏まえた上で、今後の具体的な利活用のあり方について協議を行うという二つでございます。
 その結果でございますが、これまで3回委員会を開催いたしまして、いろいろと勉強してきたと申しますか協議してまいりました。有形文化財とか史跡、いろいろな形態も含めまして文化財保存のあり方を検討してまいりました結果、軍馬補充部六原支部官舎と土塁、それから、現在の農業大学校敷地の桜並木、こういった周辺の一帯を史跡として指定することにつきまして一番可能性があるということで関係者の認識を統一したところでございます。建物としては若干難しい部分はありますけれども、史跡としてなら可能性はあるというふうな形で認識してございます。
〇久保孝喜委員 その史跡指定に向かって農林水産部として取り組むということを確認したということでよろしいのかということですが、そこの点についてはどうでしょうか。
〇及川農林水産企画室管理課長 言葉足らずで申しわけありませんでした。
 史跡指定に向かって取り組むということではなく、関係者が改めてこの文化財としての価値を確認したということでございます。その可能性があるということを確認したということになります。
〇久保孝喜委員 そこまでの確認をした上で、それでは、例えば当該自治体や関係者と今後どういうふうに折衝を図っていくのか。地元では依然として県の対応を注視しているという事態なわけですので、その点についてはどのようになされるのか方針をお示しいただきたい。
〇及川農林水産企画室管理課長 その上で、次のポイントでございます具体的な利活用でございますけれども、検討委員会の中では、一つには、指定のための調査等に要する期間、史跡ということになればかなりの調査を必要とします。それから、整備に要する経費といったものについてもさらなる検討が必要だと。そのほか、所在する市町村でございます金ケ崎町の利活用計画を十分尊重しながら検討しなければならないということで、それを受けまして、現在は、利活用計画、具体的な計画を金ケ崎町と協議しながら、作成に向かって詰めているところでございます。
〇久保孝喜委員 今までの答弁の中では一番踏み込んだ答弁をしていただいたと思いますので、ぜひこの文化的側面に基づいた、公の県としての態度をこれからもしっかりと地元にも県民にも示していただきたい、そのことを申し上げて質問を終わります。
〇斉藤信委員 最初に、私はTPP交渉と岩手の農林水産業への影響についてお聞きします。
 2月22日から25日までTPP閣僚会合が開催されて、合意に至らずと。次回会合の見通しさえ決めることができなかった、こういう状況でした。こうした現状をどう見ているでしょうか。この交渉の中でアメリカ政府がどういう要求をし、日本政府はどう対応しようとしたのか伺います。
〇藤代農林水産企画室企画課長 TPP交渉の現状についてでございますけれども、今、委員御指摘のとおり、今般行われましたTPP閣僚会合におきましては、2度にわたり日米間の閣僚の会談が行われたところでございますけれども、合意に至らず、交渉が継続されることとなったこと、また、その交渉内容の詳細につきましては、国から何ら資料が公表されてございませんので、承知していないところでございます。
〇斉藤信委員 岩手の農林水産業に死活的な影響を与えるのだから、あなた方はよく情報を分析して対応しなければだめですよ、そんな無責任な話では。
 アメリカ政府は日本政府に対して全ての農産物の関税撤廃を強硬に要求し続けたと。米や麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の農産物、重要5品目の部分譲歩での合意を狙っていた日本政府との協議は成立しませんでしたと。いわば日本政府は部分的な妥協を狙ったんですよ。ところが、アメリカ政府が全然妥協しなかったので決裂したと。
 私はここに二つの問題があると思います。アメリカ政府は、やっぱり関税撤廃原則で来ているということですよ。もう一つ、日本は部分的譲歩をやろうとした。これは国会決議違反ですよ。私は、こういう日本政府の対応というのは許されないと。国会決議にも公約にも違反すると。
 それで、次にお聞きしたいんですけれども、4月下旬の日米首脳会談が次の交渉の山場だとされると。日本の一方的譲歩以外合意する見通しがないというのが大方の見方ですが、アメリカは、TPA―大統領貿易促進権限法案というのが今、議会に提出されています。国会議員の4割がこれに反対しているというから簡単に通るような中身ではないと思いますが、このTPA法案の中身はどういうものですか。
〇藤代農林水産企画室企画課長 TPA法案についてでございます。
 今、委員御指摘のとおりの貿易促進権限、トレード・プロポーション・オーソリティーと言われている法案でございますけれども、アメリカ政府が外国の政府と通商協定を結ぶ場合に、大統領が議会に対して通商協定の合意内容について修正なしで承認するか否決するかを要求できる権限とされているものでございまして、現在、アメリカ議会に提案されている法案には、農業のほかに知的財産、投資などについて基本的な目標が盛り込まれていると聞いてございます。具体的な内容につきましては、これも英文でアメリカのホームページに掲載されているものでございまして、済みませんが、詳しい内容については承知していないものでございます。
〇斉藤信委員 アメリカ政府が交渉に強硬に出ているということは、そういう権限が今、与えられていない。外交権限というのは、アメリカの場合、議会にあるんですよ。だから、中途半端な交渉をすれば議会で否決されるから、そういう中途半端な交渉はアメリカはできないというのが実態です。
 では、そのTPA法案の中に何が盛り込まれているか。交渉相手国の関税を、合衆国、米国当該3品と同じかそれより低い水準まで削減する、こうなっているんですよ。いわばアメリカの水準以下に関税を引き下げなければだめだ、これを原則にしているんです。
 米は、今、関税率がどうなっているか。キログラム341円、アメリカはキログラム1.4セント、アメリカ水準にすると1円ということなんです。米の関税は1円。小麦は今、キロ55円ですけれども、これだって全くないような、0.35セントですから1円以下ですよ。牛肉、これなんかも全くないようなものですね。
 だから、アメリカと話をつけようと思ったら、アメリカの関税に合わせる、こういう譲歩というのはやってはいけない、私はそういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。部長に聞きましょうか。
〇東大野農林水産部長 本県といたしましては、従前から本県の農林水産業の持続的発展あるいは震災津波からの復興に影響が生じないようにということで政府に要請しているところです。
〇斉藤信委員 傍観者ではだめなんですよ。TPPで決まっちゃったでは、手の打ちようがないんだから。岩手県の試算でも、米は半減、酪農は100%だめですよ。肉牛は50%だめになるというんでしょう。あのTPP交渉の推移で、農林水産業なんていうのは何の手だてもとれませんよ、これ。そういう意味では死活がかかって、今までいろいろな議論をしているけれども、TPP交渉に参加したらこんな議論は全く意味がなくなってしまうんですよ。そのぐらいの重大な問題だから、私は、やっぱり閣僚会議の会合だとか、今回、4月に日米首脳会談があるのであれば、その前にきちんと東北6県なり北海道、東北なり、力を合わせて行動を起こすと。
 関税撤廃、あわせて補助金廃止というのがあります。関税撤廃の影響も大きいけれども、補助金を廃止したら、今、さまざまな補助金で何とかやっている農業、また復興も莫大な補助金で復旧しているわけです。こういう補助金が認められなかったら私は復興も成り立たないのではないかと思うが、改めて関税撤廃と補助金廃止による県内農林漁業、復興に与える影響をお聞きしたい。
〇藤代農林水産企画室企画課長 関税撤廃と補助金廃止による県内農林漁業と復興に与える影響についてでございますけれども、政府統一試算として、関税を即時撤廃し、そして国内対策を何ら講じないといった前提で行った国の計算方法を参考にいたしまして本県への影響を試算した場合、農産物で899億円、林産物で10億円、水産物で106億円ということで、農林水産物の生産額の約33%に相当する1、015億円が減少するというような結果となっておりまして、本県の農林水産業生産はもとより、農山漁村そのものに大きな影響が生じると懸念してございます。特に、東日本大震災津波からの復興途上にある被災地域の活力を決して損なうことがあってはならない、そういうふうに進めなければいけないと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 次に、このTPPと関連するんだけれども、安倍内閣の農政改革の県内農業への影響について私はお聞きしたいと思います。
 国の農政転換による県内農業への影響、農業所得で16億円の減少と報道がありました。大規模農家、集落営農、それぞれの地域ごとの具体的な試算を示していただきたい。
〇高橋農業振興課総括課長 国の農政転換による県内農業への影響についてでございますが、本県農業には地域の特色を生かしましたさまざまな営農類型がありますことから、県内の地域ごとの代表的な営農類型における影響試算によりますと、まず、県南、県央部の水稲と小麦を生産する大規模個別経営で16%減少……(斉藤信委員「額で言ってください、平均的な規模で」と呼ぶ)額でいきますと、平成25年度現状の660万円余が561万円余に減少しまして16%減少。同じく、県南、県央部の水稲と小麦を生産する集落営農組織でございますが―これは水稲と小麦を合わせて40ヘクタール規模でございますけれども、平成25年度現状の試算で1、880万円余が1、680万円余で11%減。そして、三つ目でございますが、県北・沿岸部の水稲と園芸品目との複合経営ですと―水稲2ヘクタール、キュウリ65アール程度の経営で試算してございますけれども、平成25年度550万円余が530万円余ということで3%減少するものと試算されてございます。
〇岩渕誠副委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇斉藤信委員 突然出された安倍内閣の農政改革で、農家は大幅な所得減ですよ。やっていけないですよ、これでは。
 この農政改革の目標として、農地の8割を担い手に集約すると。米生産コストは4割減で、60キロ当たり9、600円を目指すと。5万の法人をつくっていくと。これは、今、1万2、500と言われています。4倍化ですね。岩手の現状はどうなっていますか。これにかみ合う計画はどうなっていますか。
〇千葉担い手対策課長 まずは本県の農地の集積状況でございますけれども、国が8割というものに対しまして、ここ5年間ほどで50%程度で推移してございます。
 それから、生産コストにつきましては、今のところ詳細の数字については持ち合わせてございません。そういった状況にございます。(斉藤信委員「法人は、法人も聞いたでしょう」と呼ぶ)
 失礼いたしました。
 法人につきましては、集落営農組織につきましては、現在85法人という状況になってございます。
〇中南水田農業課長 米の生産費の現状についてでございますが、直近の平成24年産米の生産費で60キロ当たり1万3、809円となってございます。
〇斉藤信委員 結局、TPP交渉に参加して、米輸入を前提とした国内体制をどうつくるかというのがこの安倍内閣の農政改革なんですよ。農地の8割集積なんて私は難しいと思います。ましてや米の生産コストを4割削減すると。これは何を意味しているかというと、米の暴落になっても対応できるという価格なんですよ。米の暴落が前提になっているんですよ。そして、5万法人というのは、農地中間管理機構をつくったのはここに最大の理由があるんだけれども、いわば普通の企業を参入させるということですよ。私は、岩手の農業の実態からして、この農政改革というのは岩手の農業の実態に合わないのではないかと思いますが、どうですか。
〇千葉担い手対策課長 農地中間管理機構等を活用して農地の集積を図っていくという取り組みが始まるわけですが、やはり本県といたしましては、規模拡大を図って農家を育成していくことが必要と考えてございます。その中で、企業が参入してくるという懸念があるということは従前から言われてございますけれども、今回の機構の仕組みの中で、農地の貸付先の決定につきましては、市町村などからの情報を参考に、当該地域の担い手の方々へ優先配慮しながら受け手を決定するという仕組みにつきまして今現在検討を進めているところでございまして、企業がどんどん各地域に入ってくるということについては、地域の優先性を考えた上で、大幅に入ってくるという状況にはなりにくいと考えてございます。
〇斉藤信委員 私、お聞きしたいんだけれども、担い手に農地の8割を集積するというけれども、担い手は減っているのではないですか。なぜ減っているのか。
 もう一つは、集落営農、これも減っていますね。集落営農がなぜ減っているのか、この実態も含めて示していただきたい。
〇高橋農業振興課総括課長 認定農業者の減少につきましては、やはり大きいところは、高齢化によりますところの再認定を受けない方がいるということが減少の大きな要因と捉えてございます。
 あと、集落営農の数そのものも減っているというお話でございましたが、実際には、集落営農を統合している部分もございますので、一概に全体の数が減少しているとは把握してございません。
〇斉藤信委員 実態というのは数を示して言ってください。そんな抽象的な答弁では全然わからない。数を示して言ってください。どう減っているのか、どうなっているのか。統合していると言うんだったら、面積は変わっていないと言うんだったら、そういうふうに答えなければ答えにならない、そんなのは。
〇千葉担い手対策課長 集落営農の変化でございます。
 平成21年から平成24年度までのデータでございますが、平成21年は424集落経営体、その後、平成22年は423、平成23年が421、平成24年が415ということで、大幅に減少しているという状況ではなく、ほぼ横ばいで推移していると捉えております。(斉藤信委員「認定農業者の推移は」と呼ぶ)
 認定農業者の推移でございますけれども、平成22年から申し上げます。
 平成22年3月末で8、332、平成23年3月末で8、076、平成24年3月で7、712、平成25年3月で7、444でございます。
〇斉藤信委員 そういう今の実態こそ重要で、国がそんな実態を無視してそこに8割集約するとか、やっぱり現実を無視したやり方だし、やらないんだったら、結局、企業なんですよ。
 農地中間管理機構の問題点についてお聞きしますけれども、当初、耕作放棄地はこれで解消できるのではないかという期待があったけれども、産業競争力会議では耕作放棄地解消の機関ではないんだと。再生できるところだけこれは借り受けるのだと、こういう議論になったんですね。中間管理機構というのは、ある意味、借り手があるところが前提になった借り受けじゃないのかと。違いますか。それと、耕作放棄地の解消にはつながらないのではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇千葉担い手対策課長 まず、中間管理機構の借り手等についてでございますけれども、機構が借り入れる農地につきましては、遊休農地など、農地として利用することが著しく困難な農地を除く農地ということでございまして、そのような農地につきましては、借り手がもしいない場合であっても一定期間は借り受ける制度となってございます。
 それから、機構が事業の対象とする耕作放棄地につきましては、所有者が機構への貸付意思を示しまして、それを農業委員会が再生利用可能と判断した農地でございます。機構がこうした農地を再生しまして、担い手へ貸し付けることによりまして耕作放棄地の解消というものは図られるだろうと考えております。
〇斉藤信委員 私はそんな単純な話ではないと思いますが、きのう、県内市町村長と東北農政局の意見交換会が県南部を中心にやられたと。首長からは、市町村は事務量の増加にたえられないと。行革で、市町村職員に余力がない。また制度変更かと。農家の間では戸惑いがある。被災で向こう数年耕作できない農地もある中で、新制度の一斉導入は厳しい。これが市町村長の共通した声ですよ。
 今回の農政改革というのは、まともな検討も議論もなく、実態を無視したそういう方針が突然出てきたと言わざるを得ないけれども、部長、そう思いませんか。
〇東大野農林水産部長 本県の農業振興につきましては、従前から、地域農業マスタープラン、地域で農業の将来の姿を描き、どうそれに対応し実現していくかというそういったものを基本にしながら振興してまいりました。
 国の農業政策の転換が今回あったわけですけれども、それらも生かしながら、我々がもともと描いていた姿の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 行政だから、悪法も法で、これに基づいてやらざるを得ないという側面があるので、私は、本当に新たな障害が加わったと。農家も減収せざるを得ない、そういう中で頑張らなければならないと。
 この悪政に消費税が加わるんですよ。岩手県内で、1、000万円以上の売り上げ、消費税対象になる農家というのはどのぐらいありますか。
〇高橋農業振興課総括課長 今、資料を持ってございませんので、お答えすることができません。
〇斉藤信委員 それでは、これは一般質問でも取り上げられましたが、国際家族農業年の意義と県の取り組みについてお聞きしたい。
 私は、国連が国際的にこういう家族農業を重視してやるということは大変大事だと思うけれども、この意義をどう捉え、岩手県としてどう取り組もうとしているか示してください。
〇高橋農業振興課総括課長 国際家族農業年についてでございます。
 国際家族農業年は、国連が、家族農業の果たしている役割の重要性を広く世界に周知するために提唱しているものと承知してございまして、家族経営体は、農業生産や農業・農村の多面的機能の維持などに大きく貢献しているものと考えてございます。
 国においては、途上国等における家族農業の果たす役割を評価しまして、あわせて途上国の農業振興の重要性を訴えていく方針と聞いておりまして、国連食糧農業機関―FAOとも協力しつつ、国際家族農業年に関する取り組みを国内に紹介することとしておりますことから、県といたしましても、必要に応じてこの動きに対応していきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 国連がこういう形でせっかく国際家族農業年と打ち出しているんだから、私は、やっぱり岩手県もこれに呼応した取り組みを進め、今、家族農業に光を当てて岩手の農業の再生を図る必要があるのではないか、これは強く具体化を求めたいと思います。
 最後です。
 先ほどから被災地の復興の問題が取り上げられていますから、私はそれを踏まえて、450ヘクタールを対象にして、5月までには405ヘクタールが復旧すると。実際に再開する見通しはどうなのか。先ほど部長は微妙な答弁をしました。農地の8割。8割だとすると、2割はせっかく復旧しても使われないということになるのか、これを確認したい。
 それと、私はこの間、議員で小友地区の調査に行ってきました。就農する農家が激減していると。それで生産組合をつくってやるんだと、こういう話でした。農業就業者をどういうふうに確保するのかというのは大変大事だと思うけれども、農業就業者の状況をどういうふうに把握しているでしょうか。
〇東大野農林水産部長 営農再開について申し上げます。
 営農再開は調査時点での営農再開の意向でして、ただ、農家個々によって機械の都合とか重機の都合とかさまざま事情がございますので、必ず約2割が営農再開しないという意味で申し上げたのではございません。
〇前田農業普及技術課総括課長 農業就業者の状況ということでございますが、こちらも、先ほどの答弁の中で出ました国の農業経営体の被災・経営再開状況調査による数字しか具体的な数字としては持ち合わせてございません。大変申しわけございません。
 市町村全体の農業就業者ということになれば、次回の2015年の農林業センサス調査の数字を待たざるを得ない状況であると。そうでなければ今時点で把握は難しいと考えてございます。
〇高橋農業振興課総括課長 先ほど質問のありました1、000万円以上の販売農家で消費税に対応する農家の数でございますけれども、平成22年の農林業センサスのデータによりますと2、627戸でございます。
〇斉藤信委員 これで本当の最後です。
 残念ながら具体的な答弁はなかったんですが、国の調査だと480戸が260戸に減っているという話でした。小友に行ったときにもこういう実感でしたね。
 そして、267ヘクタールがまちづくりとのかかわりですぐ復旧できないと。時間がたてばたつほど復旧は難しいんですよ。こういう方々に対する補償はどうなっているのか。補償があって期間が延びるのはいいんだけれども、補償なしだったら、私は、これはまさに農地としての復旧は難しくなってしまうのではないかと思うんだけれども、そのことを聞いて終わります。
〇千葉担い手対策課長 被災地の農家が経営再開に向けて取り組む、それの支援といたしましては、被災農家経営再開支援事業というもので支援してございます。例えば水田作物につきましては10アール当たり3万5、000円、それから露地野菜でありますと10アール当たり4万円といった経費を農家に支援しまして、復旧までの間、草刈りですとか瓦れきの処理ですとか、そういった取り組みに支援をするという事業を導入して支援しております。
〇吉田敬子委員 重複した質問もあるので、順番を変えながら簡潔に質問させていただきたいと思います。
 環境に優しい農業の普及、また、環境と共生する農業の推進についてまずはお伺いいたします。
 これまでの県の取り組み状況の今までいただいた資料の中で、環境保全型農業等の環境と共生する農業の普及がなかなか目標値にたどり着かないような状況で、進んでいないところも見えているんですけれども、これまでの取り組み状況と課題等をどのように把握していて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 あわせて、先ほど木材活用低コストハウスのことが軽石委員からもありましたが、これは平成25年度から取り組んでいる事業で、山と里と人に優しいいわてのふるさと産業育成支援事業の一環ですが、低コストハウスだけではなく木材活用簡易暖房機も含めた取り組みなんですけれども、これの実績、取り組み状況をまずはお示しください。
〇前田農業普及技術課総括課長 環境保全型農業の取り組み状況あるいは環境と共生する農業の推進についてでございます。
 平成25年度の環境保全型農業に取り組む産地数は、目標の60産地に対しまして達成率92%となっております。また、補給型施肥導入に取り組む産地数は、目標の64産地に対しまして達成率89%となってございます。今年度、今まで以上に取り組み産地数がふえたこともあって若干順調になりつつある状況でございますが、課題といたしましては、施肥量を低減する補給型施肥による生産者の減収への不安解消、あるいは環境保全型農業産地の取り組みに対する消費者の理解促進、こういったものが課題と考えてございます。
 それから、先ほどの山・里の事業の関係でございます。
 木材を燃料とするボイラーについて御説明させていただきますが、これは、沿岸の企業が従前から木を燃料としたボイラー、ストーブを製造しておりましたが、燃焼時間が非常に短いという欠点がございました。これを今年度、長時間燃焼できるタイプに改良したものが一つ商品化のめどが立ったところでございます。今後は、この暖房機を活用したトマトなりイチゴなり、収益性を上げられるような作型なり作目をセットで提案しながら、今後、この普及について検討してまいりたいと考えてございます。
〇吉田敬子委員 平成25年度は今まで以上に取り組みが進んだということで、御尽力には大変御苦労があったかと思いますが、先ほども安全・安心の農業ということでほかの委員からも話がありましたが、やっぱりこういう有機農業とかをこれから推進―先ほど生産者の減収に対する不安、確かにそうだということもあるので、そこは消費者の皆さんに対して安全・安心なものを売っていくことで解消されていくと思いますので、ぜひこれからも取り組んでいってほしいですし、簡易暖房機のほうも長時間使えることになったということで、今はまだモデルの確立の段階だと思いますので、今やっているものが今後内陸でも活用できるような取り組みをこれからも支援していっていただきたいと思います。
 次に、農山漁村における女性、また若者のリーダー育成についてお伺いいたしますが、これに関しては先ほど工藤勝子委員からも御指摘がありました。事業の内容についてはこれまでの取り組みを継続しての事業だと思いますので把握しておりますが、工藤勝子委員からも御指摘がありましたとおり来年度は若者、女性ということで県では大きく取り組んでいく中で、具体的にこれまでと違ったものがあるのかどうかお示し願います。
〇前田農業普及技術課総括課長 若者、女性の支援に係る事業、こういった取り組みでございますが、基本的に、例えば若者対策ということであれば、本日、説明もいたしましたが、ニューファーマー支援事業の青年就農給付金の事業であるとか、農業青年の研究グループ活動への助成であるとか、あるいは女性を対象としたものとすれば、女性参画を進めるためのいろいろな研修会なり、あるいは家族経営協定を推進するような支援事業、こういったものを展開しながら、さらに、当部だけではなく他部等の事業も組み合わせながら連携して進めてまいりたいと考えてございます。
〇吉田敬子委員 今までの事業の中で、むら・もり・うみ輝く女性フォーラムというのをずっとやられていて、これも来年度やられると思うんですけれども、所管課は環境生活部にはなるんですけれども、せっかく今回、新たに若者、女性というところにターゲットを置く中で、先ほどの環境に優しい農業の話でも取り上げましたが、県外から岩手に入ってきて農業を新しくされている方が、多くはないですけれどもいらっしゃいます。やっぱり有機農業に取り組みたいだとか、そういったことを一生懸命やっている若い世代、女性も含めてですけれどもいらっしゃいますので、そういった方を一緒に若者、女性施策の中に取り込んで、私はやっぱり若者、女性に取り組んでいくことを本当に期待しているんですけれども、岩手の基幹産業の農林水産業に携わる若者、女性を底上げしていくことが本当に長く続く若者、女性支援だと思っていますので、ぜひ農山漁村における女性、若者リーダーの育成については取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、岩手の馬事文化継承について、これまでの取り組み状況と、ことし新規に岩手の幸と馬事文化・絆推進事業費というものがありますが、この概要についてお伺いいたします。
〇内宮競馬改革推進監 岩手競馬も含めた本県の馬事文化の継承については大切なものと認識しているところでございます。
 これまでの取り組みといたしましては、岩手の馬事文化や岩手競馬の魅力や歴史を全国へ情報発信するためのホームページやフェイスブックページを開設するなど、岩手競馬とともに本県のさまざまな馬事文化につきまして情報発信してきたところでございます。また、今年度におきましては、場外発売施設を活用いたしましたチャグチャグ馬コとの触れ合いイベントの開催や、県内の馬事文化の歴史や岩手競馬の魅力を発信するラジオ番組を提供した取り組みを行ったところでございます。
 それから、来年度予定いたしております岩手の幸と馬事文化・絆推進事業の内容でございます。
 この事業でございますけれども、まず、本年11月、各地方競馬主催者が持ち回りで開催いたします、地方競馬の祭典と言われているJBC競走が12年ぶりに盛岡競馬場で開催されることとなったところでございます。そこで、東日本大震災津波の被災から再開を果たしました岩手競馬の場外発売所などのスペースを活用して、本県の農林水産物の物産フェア、それからチャグチャグ馬コの来場や馬事文化パネル展など、岩手の馬事文化と触れ合えるイベントなどを実施することによりまして、JBC競走、それから岩手競馬の認知度を高め、発売施設での集客とにぎわいの創出を図ってまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 馬事文化の継承について、この事業の資料を事前にいただいたんですけれども、その中で、岩手の中では遠野市で馬搬に取り組んでいる若者がいるんですけれども、そういった岩手ならではのものである馬搬の取り組みにもちょっとは触れられているのかなと思っていたんですけれども、そこには記載がなかったんですが、馬搬について、県ではどのように捉えているかお伺いいたします。
〇内宮競馬改革推進監 平成24年度に実施いたしました馬事文化情報発信事業でございますけれども、その取り組みの一つといたしまして馬事文化の座談会を開催いたしました。その座談会におきまして、遠野の馬搬の関係者の方をパネラーのお一人にお迎えいたしまして、馬搬の伝承と普及活動の取り組みを紹介していただいたところでございます。
 それから、平成25年度に実施いたしました事業の中では、馬事文化のポストカードを作製したわけですけれども、そのポストカードの中に遠野の馬搬の風景も採用して作製したところでございます。
〇吉田敬子委員 最後にぜひ部長に所感を伺いたいんですけれども、私も実際に遠野に行って馬搬をやっている青年に会って自分も見てきたんですけれども、そこでやっている彼は2011年の馬搬技術コンテストという世界大会で優勝しております。数は少ないですし、全国に何人もいるわけでもなく、馬搬というものは、実際に間伐材を搬出している作業ではあるんですけれども、正直、林業というなりわいとしてはなかなか採算性が合いません。ただ、私と一緒に東京からも仲間が行ったんですけれども、ツーリズムとしてもいいのかなという感じを受けました。岩手の馬事文化、チャグチャグ馬コ、競馬もそうですけれども、岩手にしかない馬搬というものを、ツーリズムになると所管課となる商工労働観光部も含めて盛り上げてもらいたいと思います。林業だけでなく、馬搬で農耕作業をするという、収入にはいかないけれども、ツーリズムとしてやっていきたいという若者が取り組んでいますので、そういったものをモデルというかツーリズム的に取り上げるのも私はいいのではないかと思っておりますが、最後に部長の見解を伺って終わりにしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 馬搬についてでございますけれども、馬搬については、今、委員からお話しのとおり、なりわいとしてはなかなか難しいという状況でございます。したがいまして、馬事文化の一つ、あるいは地域の文化の一つという捉え方もあるかと思います。そういうこともございますので、当部はもちろんですが、商工労働観光部なり、あるいは所管する広域振興局なりと意見交換しながら、どういった生かし方があるのか研究してみたいと考えます。
〇岩渕誠副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 1点だけ聞かせてください。
 145ページの国土調査事業費についてお伺いいたします。
 本県は、平成26年度を復興本格年という位置づけでさらに復興を加速させていこうとしているわけでありますが、その中で非常にネックになっている部分があるのではないかと思っております。それが今言いました国土調査、地籍調査についてでありますが、現在、平成24年4月1日現在で、県内33市町村のうちの約80%が100%完了していると。残りの何カ所かが90%台と。そして、今回、被災しました沿岸12市町村の中で、なぜか宮古市、山田町、大槌町、釜石市が軒並み率が悪い。進捗率が非常に低い。宮古市が36%、山田町が32%、大槌町、そして釜石市が47%ということでありまして、今、被災地で最も急がれますのが、応急仮設住宅から災害公営住宅に早く移りたいということだと思います。ですけれども、なかなか土地がない。その土地を探すためには、これが既に100%終わっていなければならないということだと思うんです。それについて、なぜこの4市町だけがこのくらい異常におくれてしまったのか、何か理由があったんでしょうかお伺いします。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 委員御指摘のとおり、県全体では80%ということで、全国でも6位、東北でも3位という非常に高い率なわけですけれども、御指摘のとおり沿岸の4市町がとりわけ低いということで、これまで、国土調査というものに対して、行政がある意味重点化しなかったところに大きな原因があると思っております。
〇伊藤勢至委員 これから高台移転をする、あるいは土地のかさ上げをする、あるいは防潮堤を新しく敷く、あるいは道路をかさ上げをしたところにつくる、いろいろな事業がこれから本格化してくると思うんですが、今、県が国に対してお願いしているのは超法規的な部分ということですよね。相続が終わっていないところは、下手をすると400年もさかのぼって江戸時代まで行ってしまうんじゃないかと。しかも、全く今、家がなくなってしまいましたので、隣の人がどこに移っているか全くわからない状況でこれから調査をしなければならない。
 宮古市は発災前はたった3人か4人しかいなかった担当が、今、20人ぐらいになって、前の新里村役場のところにみんな集まっていろいろやっています。今になって道路にチョークでラインを引いたりしていますが、それは他県から来た人でもいいんですが、隣同士の昔からのどうだったこうだったという議論をするには、他県から応援に来た人では無理なんですよね、様子がわかっていないから。したがいまして、これを何とか早く進めていくことが復興を進める一番のベースだと思っているんですが、この四つの市町の取り組み、何かこうしたいとかありますか。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 今の4市町、まさに大震災津波で大きな被害を受けたわけでありまして、我々も実は、大震災津波が発生する数年前からその沿岸地域がおくれているという危機感を抱いておりまして、県の中でも国土調査事業を実施している市町村が一緒になって協議会をつくっておりますけれども、その協議会長に宮古市長になっていただくなどして、いずれ沿岸のほうに重点を置こうということで進めてきたちょうどそのときに津波が発生したということで、我々もじくじたる思いでおります。
 現在、沿岸のほうでも、厳しい人員体制の中ではありますけれども、やはり国土調査事業は大切だということで人を配置していただいておりますし、さらに予算についても、ことしよりも来年、来年よりも再来年ということで年々予算をふやしていただいております。そういうふうな意味で、県でも市町村の要望をしっかりと受けとめて、通常の予算のほかに復興枠という復興予算も充当しまして、できるだけ市町村の期待に応えていきたいと思っております。
 さらに、それだけでは足りないということで、例えば市街地の部分とか、それから山村、山の部分についてはどんどん高齢化が進んでいって境がわからなくなってきているという現状もありますので、そういうようなところはまずは境を決めていこうということで、国の直轄調査がありますので、そういうものも導入しながら、まずは国土調査事業をしっかりやる、それから国の基本調査をやる、さらに、沿岸地域で進めております災害とあわせて行う圃場整備、あるいは都市の区画整理事業、そういうものも一緒に使いながら、地籍といいますか土地の境をしっかり決めていってこれからの復興を促進していきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 この事業は、平時のときは非常に地味な仕事なんですよね。なかなか評価されない。だけれども、発災の五、六年前から、宮城県沖地震が今後30年以内に90%の確率で来るといったころから実はこれに私は注目しておりまして、なかなか進まないなと。首長が積極的かどうかということもあったんでしょうし、保健、福祉、医療、そっちに回ってしまってこの地味なものが見えないということもあったんでしょうが、ただ、ここまでなってしまった以上そういうことを言ってもしようがありませんので、何とかこれを、復興のベースでありますので、いろんな手だてを講じながら、何とか支援をしていただいて前に進めていただきたい。
 ただ一つ、言っておきますけれども、悪いのは県ではないんです。市町村がやるべきものをやっていなかったということも腹の中に持って指導に当たってもらいたい。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 全く委員御指摘のとおりであります。幸いといいますか、例えば山田町に小谷鳥という集落がありますけれども、そこのところで、今、津波堤防の復旧をやっております。従来8メートルの堤防の高さを12メートルにするということで、その分、幅も広くなりますので、用地幅も広くなるということで、16ヘクタールの用地が必要になるとなっております。それを、今、土地の調査をしながら、1筆1筆用地を買収しているわけなんですけれども、その際にも、たまたまそこは国土調査が終わっていたということで、通常であれば何年もかかるものを数カ月でできたということで、期間と金が短縮できたという事例があります。そういうものを首長の方々にもPRしながら、あるいはこれから頑張っていこうという市町村の皆さんにもPRしながら、国土調査をしっかり進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
〇岩渕誠副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩渕誠副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後3時5分 休 憩
午後3時22分 再開
〇樋下正信委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。これから質疑を続行いたしますが、この後、10人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 次に、第2部林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇佐々木茂光委員 それでは、早速質問に移りたいと思います。予算説明書の169ページ、地域再生営漁計画推進事業費についてお尋ねいたします。
 震災から、早いもので3年が経過したわけでありますが、今年度は、知事いわく復興加速化と言っておりますけれども、加速するということは、少し助走をしていないと、実際は加速はかからないのかというところも思っております。実際、現地のほうはまだまだそういった復興が進んでいないというのが現状であります。
 そこで質問に入りますが、最初に、この事業は平成25年度から計画策定が進められていたようですが、政策評価結果を見ると、活動指標、成果指標がともにCという評価でありますが、この結果になった要因、課題はどういうところにあったのかお尋ねいたします。
〇山口漁業調整課長 地域再生営漁計画の評価要因でございますけれども、地域再生営漁計画の内容につきましては、震災からの復旧のために、漁船や養殖施設などの共同利用施設に多額の投資を行い整備しておりますことや、秋サケ資源の回復が懸念される状況下にありまして、漁業者みずからが地域の将来の姿を描き、その実現に取り組んでいくことが重要と考えておりまして、その中で地域再生営漁計画を策定し、計画に基づきます担い手対策、漁場利用対策、付加価値向上対策の活動を進めていくということで開始したものでございます。
 実際には、将来の姿を描き切るというのがなかなか時間がかかりまして、ことし、計画策定が3計画ほどにとどまるということでC評価になっていると認識しております。
〇佐々木茂光委員 当局の取り組みも十分理解できます。実は、そのとおり、なかなか自分の住まいもまだ決まっていない、漁場、漁港の整備が多少おくれているということもありまして、そういった状況がその要因になろうかと思います。そういった意味では、漁業者の方々が早く落ちついた形で本業である仕事に取り組めるような環境整備には、農林水産部のほうからも力を入れていただきたいと思います。
 そこで、営漁計画を立てていくということになりますと、人であったり、漁場であったり、漁港であったり、浜のあらゆるものがその計画の中に盛り込まれていくような形になろうかと思いますが、現状で、震災から発して漁業から離職された方、漁港の整備の状況、漁船等のそういった資材を含めた整備の状況等についてお示し願いたいと思います。
〇山口漁業調整課長 まず、漁業者の離職の現状についてでございますが、震災前の平成22年度の漁協の正組合員数は1万357人であったものが、震災後の平成24年度には9、330人に減少しております。
 県としては、高齢化や大震災津波の影響による廃業が相当あるものと認識しておりますが、漁業生産活動が震災前の水準に達していない経営体や、再開を見合わせている経営体があると考えております。
〇佐々木茂光委員 そうなってきますと、当然、離職された―漁場等の整備はまだ説明がないですけれども、どういったところを基軸にして計画策定を進められるのかお尋ねいたします。
〇大村水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 先ほどの御質問の漁港の復旧状況についてでございますけれども、被災しました108の漁港のうち、平成26年2月末までに、潮位にかかわらず陸揚げが可能な漁港は97となっておりまして、被災漁港数の約9割まで復旧しております。また、県北部を中心に30の漁港につきまして、防波堤や岸壁などの全ての漁港施設の復旧工事を完了しているという状況にありまして、引き続き、平成27年度末までには被災した全ての漁港が復旧するように取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、被災しました漁場につきましては、今年度中に全ての漁場の復旧は終わるものと思っております。漁場といいますのは、ウニ、アワビをやる漁場ということでございます。
〇佐々木茂光委員 漁場といいますと、養殖を含めて、そういったところは大体生産のラインに乗れるぐらいまで整備は進んでいるのでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 漁場の整備状況ということでございますけれども、特に養殖漁場についてお話をさせていただきますと、養殖施設の目標として平成27年度までにおおむね1万9、900台ぐらいの養殖施設を県下で整備しようと考えておりますけれども、現段階でその87%に当たります1万7、300台ほど整備を進めているところでございまして、今後も漁協の要望があれば、その要望に応じて整備に対して取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 今、漁場を含めて87%という数字がはじき出されていますけれども、実際、離職された方々の今まで受け持っていた数量なり水揚げなり、そういったものが残りの13%ぐらいに含まれて入ってくるものなのかどうかお尋ねいたします。
〇五日市水産振興課総括課長 生産数量そのものは養殖施設の数に比例して生産が上がりますので、どうしても全体的な数量そのものは落ちていく、現在では落ちている状況でございます。ところが、先ほど申し上げましたように離職者もございます。ということで、現在、一人一人の例えば養殖施設の台数だけを見ますと、平均しますと、個人の持ち台数というものはふえている状況になっておりますので、全体的には生産量が減少傾向ということではございますが、個々の漁業者の生産量は今後ふえていくものと考えておりますので、その方向で進めてまいりたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 計画なり振興策を立てていくというのは、現状に戻した数値設定ではなく、今言うように、減った分をどこかでカバーして前の数値までもっていく、さらにそれ以上の数値をもっていかせるようなものが計画であろうかと思います。
 先ほども言ったように、なかなかその環境が整わないがために、まだ、皆さん、正直言って腰が重いです。そういった中でやっていくということは大変だと思います。みんな年齢も当然上がってきていますし、もう既に3年ですから、67歳の人は70歳になって、今度は跡取りがいる、いない、そういう話が―実際再開はしたけれども、跡を見てくれる人がいないんだというのが、今になってちょっとそういう声も出てきます。また、震災後間もなく、40代、50代の方々でも浜をやめて、今は瓦れき処理とかそういう建設業に携わった方もおります。その瓦れきも、近いうちでは年内にその作業も終えると。今後、また海に戻るかなという方の声も実はあります。
 そういった形でこれからまたいろいろと動きが出てくるかと思いますが、実際、どういうものをベースにしてこれからの営漁計画というものを立ち上げてくるのか、また、目標設定というのはどのようなところまで目標として定めるのかお示し願いたいと思います。
〇山口漁業調整課長 地域再生営漁計画の取り組みの中に柱立てが3本ございます。一つは担い手対策、二つは漁場利用対策、三つ目が付加価値向上対策、この三つについて、漁協にそれぞれの取り組みを策定していただくということになっております。
 その中で、例えばなかなかひとり立ちできない方は共同作業に入っていただくとか、漁場利用を高度化させるために、グループ生産で省力化機器を導入しながら生産効率を上げていくとか、女性の方々に例えば6次産業化に取り組んでいただいて付加価値をつけながら物を売っていくとか、そういうことを計画の中に取り入れて計画策定を指導していきますし、取り組みをこれからも支援していきたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 その計画の取り組みの中に、最終的な到達点というのは、水揚げがあったり、生産額があったりということがある程度事業の中に明文化されるというか、出されてくると思うんですが、そこまでの作業があるわけですよね。
〇山口漁業調整課長 地域再生営漁計画の中にも生産目標なり担い手の確保の目標、その他さまざまな指標を設けて、それを目指して取り組んでいただくことになっておりますが、実際に個々の漁協、地区でそれぞれのさまざまな事情がございますので、先ほど冒頭にも述べましたが、例えば多大な投資をしていて、その地域を本当にこれからどうするのかということを踏まえまして、漁協にそれぞれの目標を決めていただきたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 要は、震災で岩手県の水産業が壊滅の状態に陥ったというか、それから立ち上がっていくためには、今までの水産業に戻すというのも一つは考え方としてはありますけれども、やはりそれよりも少しでも上に行くというものを、携わる方々に目標として標榜してもらわなければならないと思うんです。知事が言うように、沿岸部の復興なくして岩手県の復興はないと。本当にそう思っているのかどうだかわからないですけれども、本当にそういう気持ちで、漁業者の人たちというのは今はまだそういう状況にいるということなんです。だから、少なくとも岩手県はここまで皆さんに頑張ってもらわなければなりませんよというものが、これはやっぱり県のほうからの言葉として発していただきたいと思います。だから、人が減ったから、その分、数量も減ります、場所も減ったから数量が減りますでなく、少なくとも、少なくなったらなったなりに、今までは5の仕事をしてもらったけれども、あなたには8の仕事をしてもらいますよというぐらいの気持ちをかけていただきたいなと。ただ、そうするためには、今度はこういうものに予算をつけてもらいたいとか、こういうところに支援をしてもらいたいというものが必ず出てくると思うんです。そういうものに今度は当局がどうやって応えていくかということを踏み込んだ形で、この計画策定というものを早々にまとめていただければと思います。これは、所感がありましたならば。
〇五日市水産振興課総括課長 今おっしゃられた話につきましては、例えば水産物の数量を大きな数字で決めて、これに向かってみんなで進んでいこうという、かつてであればサケの3万トン計画あるいはサケの7万トン計画のようなものに匹敵するものをお話しになっているものと思います。現在、そういう放流して帰ってくる魚の計画というものと、また、実際の浜々で、目の前で特徴のある浜の生産というものを考えたときに、まず、地域地域の実情をある程度は押さえさせていただいて、それをもとにして、今後、進み方を検討していかなければならないものだと思っておりますので、まずは各漁協あるいは浜ごとで、今どういう課題があって、どう進めなければならないのか。我々が幾らつくりましょうという話を大きく1度しても、今度はそれとまたすり合わせの作業が出てまいります。ですから、そのすり合わせの作業をやる以前のものとして、各地域、地先ごとの進め方を具体的に、今、我々も入って検討させていただいているという状況ですので、今しばらくといいますか、あと1年、2年ぐらいは、その浜の具体的なものを検討させていただきたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 本当にそういう気持ちで声をかけながら、しっかりと地域の課題に取り組んで一緒になって計画策定、そしてもちろん水産振興、水揚げの向上に向けてやっていただきたいと思います。
 今、基幹魚種であるサケの話が出ましたが、震災から3年ということで、ことしはサケの回帰がちょっと見えないというような話が早いうちから出ておりましたが、現状ではどのように分析され、認識されているのでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 サケの回帰状況ということでございます。水産技術センターにおきまして、平成25年度の秋サケが河川に遡上した状況を、年齢を確認いたしましたところ、震災年に放流された稚魚がやはり非常に回帰が少ないということで、3年魚で帰ってきておりますけれども、過去の3年魚の回帰の中では一番少ないという状況が出ております。そのため、平成26年度に4歳魚、主群で帰ってくる親魚も沿岸に来遊する量も少なくなるのではないか、漁獲も非常に厳しくなるのではないかと考えております。その詳しいデータとすれば、夏以降、水産技術センターのほうの解析でまた予測値が出てまいりますが、現状でも厳しいという考えを持っております。
 このため、サケの親魚が恐らく大幅に減少するということもありますので、とにかく確実に卵をとって、4年後の資源に備えるということで対応していきたいと思いますし、来年の春には4億尾を目標としておりますが、確実にその稚魚を放流していきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 ちなみに、大体このぐらいのトン数ですよというのはわかるのでしょうか。1匹1匹数えているわけでないですけれども。
〇五日市水産振興課総括課長 現段階では、そこまでのデータ解析はできておりません。河川に上がってくるサケそのものについても全部の調査が終わっておりませんし、浜ごと、市場に上がってくる魚のデータもまだ解析ができておりませんので、その点はまだわかっておりません。
〇佐々木茂光委員 今、サケの話を聞いたというのは、結局、冬魚であれば秋サケになりますけれども、そうなってくると、サケが来ないのであれば、夏のうちに上がってくる魚を早くつかむべというのも一つの考え方に変わるのではないかと私は思うんです。例えばワカメをやって、カキをやってという人たちは、ワカメの値段が悪いと、じゃ、その分はカキでとるべという、オールシーズン、浜の人たちはそういう物のとり方をすると思うんです、考え方とすれば。だから、本来であれば、秋サケを一本で抱えている人たちも、例えば網に入る夏魚の分を、また何かの糧にするではないけれども、よしあしは別にしても、定期的にそういう情報というものはある程度流してやる必要もあろうかと思うんです。大網漁業船にだけ乗っていた方が、それじゃ、今、春先のワカメ仕事の手伝いに行って、例えば見えない分の所得をつかむとか、いろいろあることもあると思うので、そういった情報はやっぱり早目に出しながら、共有していくということもある程度大事かなという思いで今お話ししました。そういうことでございますので、お願いします。
 次に、海外からの貝類疾病の侵入防止対策についてお尋ねいたします。
 ワカメとか昆布というのは、ある意味、単年度で種まきしたり収穫したりということになりますけれども、ホタテとかカキというのは2年、3年で出荷までこぎつけていく。今、いろいろとお話を聞いておりますと、実は平成25年の2月に開催されました水産増殖懇話会の第2回講演会において、貝類の防疫を考える―東日本大震災からの復興にむけてと題した講演の中で、マガキ、ホタテガイ疾病の海外からの侵入についての警鐘が鳴らされたと聞いております。
 そこで、海外でのカキやホタテガイの疾病にはどのようなものがあるのかお示し願いたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 海外におけるカキ、ホタテガイの疾病についてでございますが、まず、カキについては、ウイルスの疾病としてカキヘルペスウイルス1型変異株というものが知られております。フランス、イギリス、オーストラリアなどで発生が確認されておりまして、夏場に稚貝の死亡をもたらしておりまして、フランスでは大体40%から100%がへい死したという報告がなされております。
 また、ホタテガイにつきましては、原虫によります疾病としては、パーキンサス・クグワディが知られておりまして、発生はカナダで確認されております。これも稚貝のへい死で、死亡率が90%以上と報告されております。ただ、本県あるいは日本での疾病は現在まだ確認はされておりません。
〇樋下正信委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いします。
〇佐々木茂光委員 ということは、これはそもそも種が持っているものなのか、その回遊海域が持っているものなんですか。
〇五日市水産振興課総括課長 それぞれのカキ、ホタテが体の中に持っているウイルスとかであります。
〇佐々木茂光委員 そうしますと、そういった海外疾病を持っているものの侵入防止についてはどのように考えられているのでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 侵入防止につきましては本当に重要なことでございます。それで、国のほうでも、それぞれ養殖用種苗の海外からの導入について注意喚起などをしておりまして、我々も、その通知が来る都度、漁協あるいは漁業団体に、その持ち込み禁止ということで指導徹底をお願いしております。今後も、直接生産者に働きかける、あるいは漁協のほうにそういう働きかけをするなどを通しまして、海外からのそういう疾病を持った種苗が入ってこないように対応してまいりたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 過去に韓国のホヤの種が、三陸の特にも北のほうで大きく発生したこともありまして、いずれ、地元で種をとるようにしましょうというようなことが漁連を通じてあった経緯もありますので、今後ともよく注意を払っていただきたいと思います。
 それから、外国から来る船が、よくバラストとしてそれぞれの地域の海の水を積んで行ったり来たりします。荷の積みぐあいによって、そのバラストを吐いたり吸ったりということで、そういった面では外来の水生生物がたまに見受けられるんですが、その辺に関しての注意というものは農林水産部でお持ちなのでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 海外から持ち込まれるものの防止策は直接は持ち合わせておりませんが、例えばホタテガイにびっしりとつくヨーロッパザラボヤみたいなものもその一つになっておりまして、対症療法にしかなりませんが、その発生したものに対しての対応を現在やらせていただいているという状況でございます。
〇佐々木茂光委員 今、いろいろと答弁をいただいたわけですが、最後に質問したいと思います。
 本来ならば知事に聞きたいところなのでありますが、地域再生漁業というものを今後どのように取り組まれていくのか、これは部長にお願いして、終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 ただいま御質問いただきましたように、各漁協単位になると思いますが、作成される地域営漁計画が再生のための大切なポイントと私どもは考えております。そこの中で、先々の地域地域の漁業の構成、養殖をどうするのか、定置網をどう取り組むのか、採海藻の部分をどう取り組むのか、そういったものまで含めて取り組みの方向を、それぞれ条件が違いますので、定めていただく。そして、その定めた方向について我々行政が支援して、その定めた方向に到達できるように後押ししていくといったことで、岩手の水産業の再生を図っていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 予算に関する説明書の163ページの原木供給先確保緊急対策事業費補助に関連して、内陸の合板工場の再建についてお伺いいたします。
 お聞きするところ、北上市に再建される合板工場についてはもう既に工事が始まっており、来年の2月には本格稼働なされるということでありますが、今回の工場は大船渡市にあった二つの合板工場にかわるものであるが、臨海部から内陸部に移ったことについて、山側への影響はないものかどうかお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 内陸の合板工場の再建に伴います山側への影響についてでございます。国内の合板工場は、外材の輸入を前提として臨海部に立地決定するのが従前の通例でございました。近年、全国的に合板原木の国産材への転換が図られておりまして、平成23年には、国産材を100%使用する全国初の内陸型の工場が岐阜県に建設されております。
 北上市の合板工場につきましては、岐阜県の工場に次ぐ内陸型の工場でございまして、原木を県内広範囲から集荷するため内陸部に再建されたものと考えております。山側にとりましては、特に西側の奥羽山脈山系沿いの地域で原木供給が容易になるなど、プラスの効果が大きいものと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは、国産材の利活用につながるということで、これは非常に結構なことだと思います。
 それで、今回再建される合板工場は年間10万立方メートルの原木を使用されるということですが、もう既に震災から3年以上経過しておりまして、原木流通も大きく変わっていると思います。そこで、新しい工場にしっかり原木を供給していくことが重要であると思うわけですが、県では、安定供給体制の整備に今後どのように取り組んでまいるのかお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 合板工場への原木安定供給についてでありますが、合板工場は、先ほど委員からお話のとおり、今年中に整備が完了して来年稼働ということになってございまして、工場側では原木供給側との調整を既に進めておりまして、原木供給に向けた準備が行われております。
 県では、工場側と供給側との原木安定取引協定の締結促進や、木材生産事業体の高性能林業機械の導入などを支援しておりまして、原木の安定供給体制の整備の取り組みを進めてまいります。
〇高橋昌造委員 合板工場がうまくいくかどうか、この成功の鍵を握るのは安定的な原木供給ができるかどうかということでございますので、体制整備にはしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、私は予算特別委員会の総括質疑でも質問させていただいたわけですが、木質バイオマス発電においても大量の原木が必要とされる。そこで、木質バイオマス発電、合板など多様な県内の原木需要に対して、資源の有効利用の観点から、県は今後どのように取り組んでまいるのかお伺いいたします。
〇竹田林務担当技監 多様な原木需要への対応についてでございます。
 森林伐採をしますと、そこから生産される丸太は、製材用に向けられるA材、少し曲がりがあって合板用に向けられるB材、あるいは紙用のチップ、小径木等なわけですけれども、そういったC材に大きく分けられます。北上市に再建されます合板工場は、委員からもお話があったとおり、大船渡市で失われた合板用原木B材の需要を回復させるものでございます。
 一方、今、宮古市に整備が進んでおります木質バイオマス発電所のほうは、チップ用のC材、あるいはこれまで利用されてなかったD材と呼ばれる未利用間伐材あるいは林地残材といったものを燃料として使用するものでございます。森林資源の有効利用の観点から、そういったA材、B材、C、D材がバランスよく需要があること、そして、それらの需要に安定的、継続的に原木を供給していくことが重要であると考えております。
 県といたしましては、このたびの合板工場の再建、木質バイオマス発電所の稼働といった状況の変化もあるものですから、伐採、収集、運搬等の実証調査を行いまして、本県に適合する効率的な原木供給方法も工夫いたしまして、地域の森林資源量に応じた原木の安定供給体制の整備を図りまして、地域の森林資源の利用と再生が両立できるよう取り組んでまいる考えでございます。
〇高橋昌造委員 最後に部長にお伺いいたしますが、バイオマス発電、合板工場への原木供給は、本県の震災復興や林業振興上、極めて重要な解決策というか、対応であると私は思います。今度のこの当局の対応については私も高く評価いたしたいと思います。
 そこで、部長、内陸の合板工場の再建について所感があればお伺いして、質問を終わります。
〇東大野農林水産部長 内陸の合板工場についてでございますが、大船渡市で合板工場が被災し、県内の10万立方メートルの原木の供給先を失ったということで、供給側としては非常に大きな痛手をこうむったと考えてございます。そういう中で、供給なさっている方々は供給先を県外にまで求めて非常に苦労なさってきたわけですけれども、県内にこういった形で新たな供給先が実現するということは、今まで苦労なさっていた分が解消するということでもございますので、私どももこれまでこの再建、再整備と申しますか、代替整備に向けて努力してまいりましたが、供給側の方々にとっても朗報であると考えてございますので、きっちり整備し、きっちり供給するということが実現するように引き続き努めてまいります。
〇伊藤勢至委員 1週間ほど前でありますけれども、三陸沿岸に春を告げるイサダがいよいよ帰ってまいりました。また、宮古市を中心としまして、今、ワカメの収穫の真っ最中でありまして、いよいよ浜が動き出してきたなという感じがいたしております。
 そういう中で、サケにつきましては、ひたすらこれは祈るしかない。3月11日に、まだふ化場にいた状態でがっぱりやられてしまいました。何尾かは三、四日前から放流していたようでありますが、仮に放流したとしても、1週間、10日、あるいは1カ月ぐらいは湾内にとどまっているようでありまして、最終的に相当のものが打ち上げられてだめだったのではないかと私は思っておりまして、これについてはひたすら神様にお祈りをするしかない。そして、ことしの11月、来年の11月の様子を見ながら、それについての手だてをしていかなければならないのかなと。ひたすら祈るだけであります。
 そこで、漁家の現金収入の最も高いと思います、1キログラム当たりですけれども、アワビについてお伺いしたいと思います。発災前に本県ではどのぐらいの蓄養場があって、どのぐらいの放流をして、どのぐらいの量がとれて、金額はどのぐらいだったか、まず教えていただきたい。
〇五日市水産振興課総括課長 震災前のアワビの種苗生産施設は7カ所で、種苗の放流数でございますが、いずれ800万個から、700万個になったときもございますが、それぐらい放流をされておりました。その放流していたアワビそのものが漁獲になったものとしては大体300トンから400トン、多いときで500トン、お金で大体30億円から40億円ぐらい。済みません、今、平均はちょっと頭にございませんので、それぐらいの漁獲でございました。
〇伊藤勢至委員 今回、アワビの取締船が被災しまして、岩鷲、はやちねともに新造船をはいで、しかも47ノット、車で言うと、危なく90キロメートルになるかもしれない速度を持った監視船を導入できました。これは、アワビの密漁をする船よりも速いスピードを出せる監視船を持つことになった。非常にいいことだと思います。
 そこで、実は本県の海岸線は、直線ではなくて海岸線で740キロメートルと言われていますが、時速70キロメートル、80キロメートルの船であっても、2隻では、仮に半分、350キロメートルに分けた海を1隻で守ると、現場に行くまで2時間はかかるんです。2時間だと、もう気配を察知した密漁船はいなくなってしまうかもしれません。したがいまして、これはすぐではありませんが、海岸線を考えた場合に、青森県境、宮城県境に1隻ずつ、中間に1隻というこの3隻体制が一番望ましいのだと思います。
 今回、新造船をいたしました岩鷲、はやちねは10億円ちょっとです。そうすると、アワビの収穫高が30億円、一説にはこれと同じぐらいの量が密漁されているのではないかという説もありまして、ある特殊団体の資金源になっているのではないかと。ある漁協の親分は、おかで捕まえてくれというんですけれども、今までも捕まえたことはあるんですが、どういう流通に乗せたか白状したやつは一人もいないんです。したがいまして、白状すると恐らく殺されるのでしょう。そういう状況もあるのだということを思いますと、30億円の倍の密漁がなされているとすれば、これを防ぐために、あと10億円の新造船をはぐというのは非常に合理的だと思いますけれども、来年、再来年やれというわけではありませんが、これは長期的な意味で、水産物としてのこれを守るという観点から、ぜひ3隻目をお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇山口漁業調整課長 アワビ等の密漁防止に対する漁業取締船の配備についてでございますけれども、本県では、隣県の漁業取締船、漁協の監視船と連携しまして、密漁船の監視、取り締まりを強化してきておりました。しかし、大震災津波によりまして漁協の監視船や監視施設が被災しまして、監視体制の強化が課題となっております。
 また、今年度摘発されました2件の大規模密漁事案につきましては、陸上から侵入してゴムボートを使って密漁を繰り返すというような、その手口が巧妙化しておりまして、過去の密漁事案の再調査もしくは陸上での内偵調査なども強化する必要があると認識しております。
 今後は、漁協や漁業監視員との密漁に関する情報の共有、県警、海上保安部等との捜査、取り締まりの連携を進めるとともに、密漁の監視体制につきましては、漁業取締船の隻数も含めまして、海上の監視、陸上からの海面監視など、総合的にあり方を研究していきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 監視船は現場を見つけたとしても逮捕権も何もないんです。やめてくれと言うしかないわけでしょう。逮捕するとか、そういうこともできない、鉄砲を撃つこともできないです。したがって、抑止力だと思うんです。つまり、本県には3隻の取締船が、しかも高速の船が配備されているということだけで相当な抑止力になるんだと私は思います。したがいまして、警察官を現在も1人配置していただいておりますが、740キロメートルに1人ですから、これも本当は3人いなければならないわけですけれども、これらも含めて、せっかく蓄養して800万個放流しているのに、その収穫と同じぐらいの量を密漁されているというのはまことに割が悪いので、時間をかけてでもいいですから、そういうものを再構築していただいて―もとに戻しただけでは復旧です。復興と言うんだったら、新しい体制を新しくつくりました、これが復興と言えるのだと思いますので、ぜひ長期的に考えていただきたい。
 それから、発災前にアワビとウニは大体行き渡ったので、これからはナマコの養殖を本格的にやりたいというお話でした。ナマコは海底にいるものですが、今回、ほとんどの浜が壊滅的に海の底の掃除がされてしまいまして、大体戻ってきたものか、戻ってこないものかまだわかりませんが、これについての考え方、発災前とどういうふうに変わっているのか、これからも頑張ってやろうとするのかお伺いします。
〇五日市水産振興課総括課長 ナマコの対応でございます。ナマコにつきましては、平成19年度から県栽培漁業協会種市事業所で種苗生産技術の開発に努めてまいりまして、平成22年度につきましては、県内の漁協に59万個、60万個弱ほどの種苗を供給することができました。その後、震災によってその生産は中止しておりますけれども、平成25年3月に種市の施設が完成いたしまして、今年度に入りましてナマコの種苗生産の試験を開始しましたところ、それなりの生産ができるということがわかってまいりました。
 それで、来年度からは本格的にまたナマコの種苗をつくりまして、来年度では大体15万個、その後、順次生産量をふやして、各漁協に配付してまいりたいと思っておりますし、それを使って養殖や、あるいは海に放流した状況でどれぐらい効果があるのかというところの調査も始めてまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 私からは1点だけお伺いしたいと思います。
 先ほど来議論もありましたけれども、平成26年度から第2期の復興実施計画がスタートするわけであります。そういう中にあって、予算書を見ていますと、災害復旧というところがまだ幾つか事業があるわけでありまして、これはいつごろまで続くのかなと、そんな思いをしておりまして、そのことを含めてお尋ねする次第でございます。
 漁業の災害復旧事業として今進められております三つの事業があるわけでありますが、共同利用漁船等復旧支援対策事業、水産業経営基盤復旧支援事業、水産業共同利用施設復旧支援事業という三つの事業なんですけれども、これまでの取り組みと平成26年度の事業内容、そして、それぞれの復旧事業なんですが、これは平成26年度で完了するものなのか、あるいはそれ以降までかかるものなのか、その辺の完了時期というものを伺いたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 今お話のありました三つの事業について御説明させていただきますが、共同利用漁船等復旧支援対策事業につきましては、これまで漁船の整備目標を6、800隻ということで、これは新しくつくる船ということで、平成25年度末までに、おおよそ95%に当たります約6、400隻ほどの整備を行うことになっております。平成26年度につきましては、新たに357隻ほど計画しているところでございます。
 また、水産業経営基盤復旧支援事業につきましては、養殖施設の整備目標を約1万9、900台にしておりまして、その87%に当たります1万7、000台ほどが平成25年度中に整備され、平成26年度は新たに130台ほど計画してございます。また、共同利用施設の整備目標140カ所に対しましては、99%に当たる139カ所を整備し、平成26年度は49カ所ほどの整備を計画しております。
 また、水産業共同利用施設復旧支援事業につきましては、施設の修繕を187カ所を目標としておりまして、これにつきましては、105%に当たる196カ所を整備いたしました。平成26年度は34カ所を計画してございます。これらの整備事業計画につきましては、漁協の要望に基づいて計画し、実施しているところでございますが、いずれの事業も平成27年度末まで行いまして、事業の完了を進めていきたいと思っております。
〇高橋元委員 そうすると、あと2年ぐらいかかるということなわけでありますね。わかりました。極力早期にこの復旧という文字を卒業したいものだと。復興に大きな力を集中していくということも含めまして、あとは予算措置とかいろいろ事情はあると思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、例えば船にしろ、養殖施設にしろ、共同利用という形なんですが、先ほどの漁師の方々の人数等も含めますと、共同利用といっても、ほぼ個人で使われているのかなという数字に近づいてきているような気もするんですけれども、海の仕事ですから、天候が思わしくなければ、使いたくても使えないとか、いろんな事情もあると思いますので、できれば本当は一つのところで1隻欲しいとか、あるいは一つの施設で自分で栽培管理もしたいというような希望もいっぱいあると思いますが、その辺はどんな状況になっているんですか。
〇五日市水産振興課総括課長 漁船につきましては、共同利用船ということで漁協が全て整備して漁業者に貸し出すというような立場をとっておりますので、貸し出された漁船は個々の漁業者が専ら自分で使っているといいますか、人と一緒に使うという部分ではなくて、個人個人が使っている部分もございます。あとは、やはり作業ですので、船に乗って共同で作業をする場合もございます。
 また、養殖施設につきましても、漁業者それぞれに貸し出すような形で、個々が施設を運営している場合と、あとは共同利用ということで何人かのグループが何台かの施設を同時に生産のために使っているという場合もございます。
 また、建物については、大体全体が同じ建物の中で共同作業をしているという実態にございます。
〇高橋元委員 わかりました。農業分野でも新規の就農者ということで、若い人たちもいっぱい参加するような形になってきているようですが、漁業についても担い手がどんどんふえてくれればいいなという思いをしておりますし、そういう方々もどんどん利用できるような体制を整えていくというのも大事かなと思っております。
 農業ですと、隣の農家と肥料の振り方も違うし、田植えの時期も違うし、管理の仕方もいっぱい違う。養殖施設なども同じような状況のような気がしますので、今後においても、希望があれば、どんどん個人でも経営できるような体制をバックアップしていかなければならないと思います。
 それから、養殖施設は、先ほどは1万7、300台ぐらいと。当初の計画が1万9、900台ということで、今年度は130台という計画のようでしたが、平成25年度末までに1万9、900台の目標に対して1万7、300台ということで、今後の足りない分を補っていくのかなというイメージをちょっと持っていたんですが、130台で終わりということであれば、この計画そのものがかなり下目に変更になったのかなと思います。先ほどの状況ですと、漁師が減ったということ、あるいは今新たに、当初想定していたものよりもちょっと手が伸びないとか、そんな事情もあったのかな思いますが、その辺の状況はどうなんですか。
〇五日市水産振興課総括課長 まず、先ほど申しましたように、漁業者が若干減少しているということ、おおむね8割だろうと思いますが、そういう漁業者の減少があるということが一つございます。ただ、それらの方々の生産台数を押しなべてみますと、1人当たりの生産台数は以前よりもふえている場合がございます。そういう中で、その方々は、これからは生産を伸ばしていくという形になりますし、目標に対して、浜でも、これからさらにもっと台数をふやして伸ばしていく希望を持っておられる方も、ちょっと様子見をしておられる方もあると聞いておりますし、また、まだ再開していないけれども、これからどうしようかなという方もあると聞いております。そういう方々が復帰していって、この養殖施設をもっと欲しいということであれば、さらに施設整備に対して我々も対応をしていきたいと思っております。そういう形で、生産そのものは今後伸ばしていくように対応したいと思っております。
〇高橋元委員 最後に1点なんですが、そうすると、ハード面は平成26年、27年でおおよそは決まると。施設を使って震災前のような漁獲量を確保できればいいなというところなんですけれども、海中の環境がどうなっているのかよくわからないんですけれども、問題は、その辺の環境をうまく調査されて、それが栽培技術の指導といったものに密接につながっていけばいいのかなという思いをしているんですが、その辺の技術面のバックアップ体制などはどうなっているのでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 海面の例えば養殖漁場の環境条件というものにつきましては、水産技術センターのほうで、ポイントを絞ってということにはなりますが、栄養状況がどうなのか、水温がどうなのかということも含めて定期的に観測しておって、それを漁協あるいは漁業者の方々に情報として流しております。そういうことを通して、環境の条件はこれからも把握してまいりたいと思っておりますし、養殖なりあるいは栽培なりの手法につきましても、水産技術センターやら水産業の普及指導員と浜のほうに入っていって、一緒になって対応をさせていただきたいと思っております。
〇城内愛彦委員 私からは何点か、ダブらないように質問させていただきます。
 まず最初に林業のほうについてであります。
 今、震災復旧工事に林業の方々が大分奪われているという話を聞きます。また、三陸縦貫道等の支障木の伐採にも、なりわいとして林業をされていた方々が大分そちらのほうにシフトしておられると。先ほど来の北上市にできる工場に、いろんな意味で県産材を送る体制に支障が今出ていないのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 委員御案内のとおり、復興工事の道路等の支障木伐採などが優先されまして、その影響で、通常の木材生産が一時的に落ち込んだという地域がございました。
〇城内愛彦委員 製材所の方々にお話をお伺いする機会がありました。その際に、今、復興公営住宅やらいろんな意味で材を切り出すのに、山の方々がなかなか物を持ってきてくれないのだということで大変困っているということをお話ししておられました。ぜひ、そういったことも精査して、今後、復興に支障がないような体制をとってほしいと思いますが、これは確認で終わりたいと思いますが、どうぞ。
〇菊池林業振興課総括課長 先ほど申し上げました支障木伐採の話に加えまして、実は消費税アップの駆け込み需要等がございまして、全国的に原木不足の状況が見込まれておりまして、県内で生産された材を他県の業者が入札するといったようなこともあって、一時的に材が集まらない状況がありましたので、団体から聞き取りまして、困っている製材所に材の供給というのを緊急にお願いしましたし、最近だと、国有林のほうから材の情報提供をきちんと出していただくような取り組みも行いました。そういった取り組みも功を奏してか、2月ぐらいからはこの品薄感がやや薄れてきておりまして、今後もこういったことがないとは言えませんので、地域の材を地域で確保するという取り組みで、山から原木を工場に直送するといったような仕組みもございますので、そういった協定締結の指導などを今後取り組んでいきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 これまで、山の方々は大変厳しい状況の中で、バランスをとりながらしのいできたわけであります。これが需要と供給のバランスが崩れてバブル状態も含めてあるわけですので、注視しながら、そのバランスが崩れないようにぜひ見守っていただきたいと思います。
 次に、漁業関係に移りますが、何点か質問が重複しますので、省きながら進めてまいりたいと思います。
 共同利用漁船等復旧支援事業についてであります。先ほど高橋元委員からも質問がありましたので、私からは、平成26年度以降、どういう形で計画を持っているのか、また、中型船、大型船の配備、その辺はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 共同利用漁船等復旧支援事業の平成26年度以降の計画についてでございますけれども、実は、平成25年度中までに計画目標の92%まで整備を終了しております。今年度中には約6、400隻を補助事業で整備するということでございますが、平成27年度までの2カ年で、あと369隻ほどの整備要望が今ございます。県といたしましては、国と調整いたしまして、予算を確保して、平成27年度末の6、800隻の整備の完了を目指して適切に事業を進めてまいりたいと思っております。
 中、大型船につきましては、小型船と比べて艤装がかかるということですが、いずれこの2カ年で事業完了を目指していきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 ぜひその辺、おくれのないようによろしくお願いします。
 次に移ります。
 地域再生営漁計画推進ですが、このことも先ほど佐々木茂光委員からお話がありました。私は、今年度の実績と課題及び来年度にどういう形で対応していくのかという部分をお伺いしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 漁業担い手対策における目的としました地域再生営漁計画についてでございますが、今年度の実績でございますが、各漁協の計画策定支援を行いまして、ことしは3漁協の計画を策定する見通しとなっております。
 今年度から来年度にかけての課題でございますが、残る21漁協が早期に計画を策定すること、また、全ての漁協が計画の実行に着手するということが課題と考えております。
 来年度は、策定支援漁協を拡大いたしますとともに、新たに創設します地域再生営漁活動支援事業―補助事業でございますけれども、この事業などの活用によりまして、定置網に若者を雇用して養殖漁家として自立させるような仕組みをつくることや、女性漁業者が6次産業化に取り組むことなどを支援しまして、地域漁業の再生を加速させていきたいと思っております。
〇城内愛彦委員 ぜひ計画倒れにならないように進めていっていただきたいと思いますし、今議会で皆さんがおっしゃっているとおり、若者と女性の活用というのはやっぱり大事なことであります。どの分野を見ても、1次産業は高齢化が加速度的に進んでいます。何とかこの辺を、今、手を打っておかないと先細りになってしまう感がありますので、よろしくお願いします。
 次に移ります。
 水産業の施設のほうの利用状況についてでありますが、水産業共同利用施設の新設、修繕にかかわる事業ですけれども、事業内容は平成25年度と比べるとどうなっているのか、この辺をお伺いします。ざっくりな質問の仕方で大変申しわけないですけれども。
〇五日市水産振興課総括課長 まず、修繕事業のほうの水産業共同利用施設復旧支援事業につきましては、前年度とほぼ同じ、99.7%の10億2、500万円ほどの事業を予定しておりまして、主に平成26年度は、ホタテネット洗浄機や海水殺菌装置などの機器類の整備に取り組みたいと。建物の修繕のほうは大体終わっておりますので、機器類の整備のほうに対応していきたいと考えております。
 また、水産業経営基盤復旧支援事業、これは施設の新設事業でございますが、要望等をとりますと、およそ対前年比7割の31億円ほどの事業になってございます。これにつきましては、先ほども申しております養殖施設や陸上の荷さばきなどの共同利用施設を新設する形としております。
〇城内愛彦委員 漁家の方々は、まだまだ整備が以前のような形には戻っていないということでありますので、この辺も現場とすり合わせをしながらしっかりと進めていっていただきたいと思います。
 次に移ります。
 事業を実施する上での課題ということでお伺いしているんですが、本格復旧推進年にふさわしい対応、漁協等が復旧を希望している事業なのに実際に至っていない事例はあるのか、あるとすれば何が支障となっているのかお伺いしたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 先ほど申し上げました復旧するほうの修繕するほうの事業、機器整備の事業を行っておるわけでございますが、特にこれなどにつきましては、被災した際に機器類が全て流されているということがございます。この事業は被災した機器の数量をもとに戻すという原則がございますが、例えば、漁協の事務所などが全て流失して、書類なども流失し、もともとどれくらいあったのかを精査する時間がなかなかない、あるいは精査し切れていないということで、まだ国に計画をつくって要望できていないという事例もございます。そういうことで着手できていないということでございますが、今、そういう事例のある漁協につきましては、精査をお願いしております。精査が終わって数量等を確定しましたときには、我々のほうでも国に計画を持ち込んで採択に向けて働きかけていきたいと思っております。
〇城内愛彦委員 現場の漁師の方々は、テレビやいろいろなものについて、隣の漁協はあれだけ装備があったりいろいろなことで違いが見えてきてそういうことを言われますので、ぜひ相談に乗っていただいて着実に事業が進むようにお願いしたいと思います。
 次に移ります。
 つくり育てる漁業についてであります。
 岩手の漁業はつくり育てる漁業ということでこれまでも進めてきました。今もサケやアワビ等のお話が出ました。
 そこでお伺いしたいと思います。施設が大分復旧して、日曜日に新聞に出ていましたけれども、田老のアワビの種苗センターが再開したということで、田老漁協の組合長は大変喜んでおられました。しっかりとこれが物になって帰ってくるにはまだまだ時間があるけれども、やっぱり希望の光だというお話をしておられましたので、それはご報告します。
 そこでお伺いします。平成25年度のサケの部分については4億尾ということで報告をいただきましたが、ウニ、アワビの漁獲実績はどうなっているでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 ウニにつきましては、平成25年度漁獲実績で93トン、それから金額で7億4、000万円となってございます。アワビにつきましては、漁獲量で297トン、金額で27億1、000万円となっておりまして、震災前とほぼ同水準まで回復しているということでございます。
〇城内愛彦委員 ぜひこれはしっかりとやっていっていただきたいと思います。施設ができて放流ができて、あとはとるだけと。今度とるだけになったときにとる人がいなくならないように、人もちゃんとつかまえていってほしいと思います。
 そこで、最後になりますけれども、本年度のサケ、ウニ及びアワビ種苗放流実績と平成26年度に向けた計画はどうなのか。将来に向けてしっかりとした計画はお持ちなんでしょうけれども、その辺ちょっとお伺いします。
〇五日市水産振興課総括課長 サケの稚魚につきましては、この3月から5月にかけまして約3億8、000万尾の稚魚を放流することにしております。また、ウニにつきましては240万個を県内13の漁協で平成25年度に放流いたしましたし、アワビは県内24の漁協で15万個放流になっております。
 来年度につきましては、サケは、震災後、初になりますが、4億尾の稚魚を放流していきたいと思っておりますし、ウニ種苗につきましては震災前と同水準の250万個、アワビについては150万個を放流していきたいと思っております。
〇城内愛彦委員 しっかりとお願いします。
 最後にします。
 今、復旧工事が盛んに行われておりますが、南のほうで、工事に伴って、工事から発生した泥水が海に出て影響があったとお伺いしましたけれども、そういう話が届いているのか、またあわせて、対策は講じられているのかお伺いしたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 南のほうの海域での工事による水質の悪化ということでございますが、復旧工事に伴いまして河川へ土砂が流入しているということがございまして、当初、サケが河川に遡上しないのではないかということ、あるいは養殖場に影響があるのではないかという懸念を漁業関係者の方々から言われておりました。平成25年度の状況を見ますと、サケにつきましては、南の河川ではおよそ震災前と同程度の遡上が見られておりますし、漁場でも、一部、養殖の種類によっては減耗といいますかへい死がありましたが、特に県南の一番南のほうで行われておりますエゾイシカゲガイという養殖種は今年度、震災前を上回る出荷を計画しているということで、影響がないとは言い切れませんが、生産物の生産そのものについては順調に推移しているものと思っております。
 私たち水産サイドといたしましては、養殖場の水の環境といいますか、そういうソフト的な部分の調査あるいは漁業者へのお手伝いという部分を、水産技術センターあるいは普及指導員が現場に入って、水質調査などもして漁業者に情報提供させていただいております。
〇城内愛彦委員 いずれ1次産業は自然の恵みとその恩恵で成り立っていると思いますが、一方、災害復旧ということで、自然にあらがうような工事がたくさん進んでおります。山の工事もそうですし、その山から出る水が海に注ぐ、そういう河川の問題というものにもしっかりと対応しながら、守っていっていただけるような形をお願いして終わります。
〇高橋但馬委員 1点についてお伺いいたします。
 保安林強化事業について、8月9日の豪雨災害、台風災害において、山腹の崩壊や土砂流出などにより民家や宿泊施設に大きな被害が発生しました。このうち、緊急に治山対策が必要な場所については災害関連緊急治山事業の実施に向けて保安林の指定がされていると思いますけれども、現状についてお知らせください。
〇佐藤森林保全課総括課長 災害関連緊急治山事業に係る保安林指定の現状についてでありますけれども、平成25年の豪雨災害あるいは台風災害による林地荒廃被害地のうち、緊急に対策が必要な8カ所につきまして災害関連緊急治山事業を実施することとしております。
 このうち3カ所は保安林の指定済みとなっているほか、5カ所につきましては保安林指定の手続を進めておりまして、一部、未相続地のございます紫波町の1カ所を除きまして、遅くとも5月までには保安林に指定される見込みとなっております。
〇高橋但馬委員 その緊急の場所以外も、まだ多くの箇所が危険であると考えております。森林や渓流の侵食の状況等調査を進めていると思いますけれども、別の部分の保安林の指定というのは現状どうなっているでしょうか。
〇佐藤森林保全課総括課長 災害関連緊急治山事業の箇所以外の保安林指定の状況でございますけれども、災害関連緊急治山事業以外におきましても、現地調査の結果をもとに、通常の国庫補助事業ですとか、あるいは県単独事業によりまして19カ所で治山対策を実施することとしておりますけれども、保安林の指定につきましては、このうち6カ所が指定済みとなっておりまして、残る13カ所は現在、鋭意保安林の指定手続を行っているところでございます。
 今後も、引き続き調査を進めまして、必要な箇所につきましては、保安林の指定の手続を行いながら治山対策を進めていきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 これから、それこそ融雪期に入ります。豪雪に加え、春になって急激な気温の上昇や大量の雨で一気に雪解けが進むと考えられます。例えばですけれども、2008年に発生した岩手・宮城内陸地震において、東栗駒山の山腹で大規模な崩落、崩壊がありました。このときは土砂が雪解け水を含んで残雪も巻き込んで流動化して、雨は降っていなかったんですけれども土石流となって下って駒の湯温泉を被災させ、7人の死者が出た災害であります。昨年の豪雪の災害、台風で山の地盤自体が緩んでいる部分もあると思いますので、ふもとの住民は雨であるとか地震であるとか、不安を感じながら今も暮らしている部分がありますので、しっかりとした対策が必要だと考えます。
 最後に、部長に所感を聞いて終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 災害関連の治山につきましては、市町村等からも情報を得ながら、できる限りの手だてを講じていくように努力してまいります。
〇佐々木朋和委員 私からは、特用林産施設等体制整備事業費などについてお伺いしたいと思います。
 原木シイタケについて、今年度はほだ場の除染について進めてきたところでありますけれども、現在の進捗状況と来年度の見通しについてまずは伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 ほだ場の除染についてですが、現在、指標値を超過しましたほだ木の処理を先行して実施しております。ほだ木の処理が完了したほだ場から、順次、落葉層の除去等による環境整備を進めているところでございます。
 進捗状況でございますが、ほだ木の処理は平成25年度末までに約450万本の一時保管が完了する見込みです。進捗率は約72%となります。また、落葉層の除去は、平成25年度末までに約6万2、000平方メートルの処理が完了する見込みでありまして、進捗率は約15%となっております。
 ほだ木の処理、ほだ場の環境整備は出荷制限の解除の前提となる必須の事業でありますので、平成26年度内には完了するように進める考えであります。
〇佐々木朋和委員 作業員の不足であるとか、また農家にも生産者の方にもぎりぎりと迫るわけにもいかないということでいろいろな事情があったと思いますけれども、ぜひ平成26年度には全部終了して、再生産に向けて取り組んでいただきたいと思っているところであります。また、その進捗に合わせて、先行しているところが待たされないように御配慮もお願いしたいと思います。
 次に、来年度、また今回の補正でも原木の2分の1補助を行っていただいていることは大変評価させていただいておりますけれども、一関圏域でいうと来年春の原木購入は4万本ぐらいと予想されておりまして、まだまだ少ないというのが現状であります。やはり生産者にとっては先行きが見えないとなかなかもう一歩の足が出ないところでありまして、ぜひとも出荷制限解除に向けた今後の見込みでありますとかタイムスケジュールなどを具体的に示す必要があると思います。解除に向けた考え方とめどを具体的にお示しいただきたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 一関圏域におけます解除への考え方やめどについてでありますが、出荷制限の解除に向けましては、一つは、十分な調査、検査を行いまして、結果が安定して基準値以下であること、二つ目といたしましては、指標値を超過したほだ木がほだ場から撤去され、落葉層が除去されている―ほだ場の環境整備が終わっているということ、三つ目といたしましては、栽培管理に取り組んでいること、以上三つの条件を全て整える必要があります。これらの整備に向けて、現在、事業を実施しているところでありまして、一関市におきましては、一部生産者が平成25年春に指標値以下の原木を使用して新たな植菌を行っております。本年秋にはシイタケが発生いたしますので、本年秋までに先ほど申し上げました検査以外の条件を整えまして、シイタケの発生があり次第、出荷制限解除のための検査を行い、解除に結びつけたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 シイタケは発生まで時間がかかるものですから、一刻も早く植菌をしていただくことが大事だと思いますし、ぜひその情報を生産者の中でも共有するようにしていただきたいと思います。
 お話によると、やはりこれは一関全体でというよりも、出荷するほだ場ほだ場ごとに解除していくという考えでよろしかったでしょうか。
〇菊池林業振興課総括課長 出荷制限につきましては市町村単位でかかっておりますが、国との協議の中では、いわゆる個別の解除という考え方で進めております。
〇佐々木朋和委員 この平成26年秋には、一関産の露地の出荷制限が解除になった農家があるというニュースが載ることを期待しております。
 その中で、解除に向けて、今お話もありましたとおり、栽培管理、工程管理をどのようにしていくかというのが大きな課題であると思います。そこで、具体的なチェックの仕方等をお示しいただきたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 栽培管理の具体的な方法についてでありますが、主な具体例といたしましては、まず、原木、ほだ木を検査して指標値以下のものを使用する。ほだ木、生産物に土とか粉じんをつけない栽培を徹底する。あと、生産物を検査して基準値以下を確認して出荷するという仕組み。あと、ほだ木やほだ場の同じものをロットとして管理する。つまり、1人の生産者が幾つものほだ場を持っていれば、そのほだ場ごとの管理ですよ、ほだ木を買ったら、それは買った年度ごとの管理ですよというふうにロットの管理を徹底する、そういうことが国のガイドラインで提示されておりまして、そのように生産者の皆様方には説明しております。
〇佐々木朋和委員 その管理についてぜひ徹底するようにしていかなければならないと思うんですけれども、現場の生産者の方からは、なかなか口頭での説明、文書での説明だけではわかりにくいというお話も出ておりまして、現場研修なり、実際に見ながら、やりながら覚えたいという話も聞こえておりますので、ぜひその点を御考慮いただければと思います。
 次に、今、生産再開に向けて、地域で生産者の方々がまだまだ少ない状況で、今までは近所同士というか生産者の方がお互いに話したり情報共有したりしながら進めてきたところがあるんですけれども、生産者の物理的な距離が、お隣さんがすごく遠くなっている状況にあると聞きます。その中で、やはり系統を超えて、また、圏域を越えて生産者が集まってともに勉強したり、また、こうやって頑張っているんだという情報発信をしたり、そういった機会を設ける必要もあると思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 生産者の皆様が集まる機会や生産再開に向けての情報発信ということでございますが、昨年10月には、農協、森林組合及び県の3者が連携しまして、取り扱い商社の皆様や市場関係者を招きまして産地の生産者との交流会を実施いたしました。本県が行っている安全・安心な生産の取り組みについて意見を交換いたしました。交流会ですが、取り扱い商社の皆様などから、岩手の生産物に対する評価ですとか頑張れという応援の声が直接聞けましたので、生産者の皆様にとりましては系統を超えた一体感が生まれて、産地再生に向けて一歩前進することができたと受けとめております。
 県といたしましては、産地の生産者の生産意欲を呼び起こすということ、あとは産地再生に向けた県の意気込みを外部に発信することが必要と考えておりまして、今後とも、オール岩手で一丸となった取り組みを考えてまいります。
〇佐々木朋和委員 ぜひそのような機会を頻繁に持つように県も応援をしていただきたいと思います。
 シイタケ関係の最後に、乾燥シイタケの風評被害対策についてお伺いしたいと思います。
 今、震災前の30%ぐらいの価格ということで、やはり生産者の方々もここの改善がないとなかなか今後に向けて不安があると思うんですけれども、現在の取り組みと今後について伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 干しシイタケの風評被害対策等についてでございます。
 委員御案内のとおり、市場価格が低迷しておる状況が続いてございます。県ではこれまで、生産者をモデルとして作成しました安全・安心のPRポスターを掲示したり、先ほど申し上げました取り扱い商社を本県に招いて現地の生産者との交流会を実施するなど、安全・安心な県産シイタケの発信に取り組んできております。
 風評被害の解消に向けましては、これらの取り組みを継続することが重要と考えておりまして、来年度も、生産者団体、市町村と連携を図りながら、消費者に直接PRする物産フェアの開催などにより、安全・安心に対する岩手の姿勢を積極的にアピールし、県産シイタケの信頼回復、販路拡大に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 干しシイタケは岩手が誇る高付加価値の農産品だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、山菜、タケノコなどの制限解除について伺いたいと思います。
 シイタケについては、今説明をいただいたとおり、出荷制限解除に向けて、自粛解除に向けて動きが出ているところでありますが、山菜やタケノコなどについては管理をされていない物品ということで、制限解除への道筋がなかなか見えてこないというのが現状だと思います。ただ、地域からは、やはり出荷制限解除に向けた取り組みを何とかという話で出ているわけでありまして、現在、国から示されている制限解除に向けた考え方、指針、また今後の対応策などをお示しいただきたいと思いますし、可能であれば、解除困難なもの、また可能なものの見通しなども伺えればと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 山菜、タケノコなどの制限解除の関係でございます。
 委員お話しのとおりなかなか難しいところがございまして、原子力災害対策本部では、野生山菜類の解除の条件といたしまして、委員お話しのとおり、野生のものは栽培のものと異なり管理が困難であることから、検査結果が安定して基準値を下回ることが確認できることという条件が示されております。このため、林野庁からは、野生山菜類の出荷制限の解除というのは放射性物質の自然減衰を待つしかないという見解でございます。少なくなるのを待つしかないという見解でございます。ただ一方、タケノコにつきましては、最近の例でございますが、千葉県におきまして、昨年10月に放射性物質濃度が平均で1キログラム当たり20ベクレル程度という低い市町村に限りまして解除が認められた事例もございます。
 県では、出荷制限等の対象となっている野生山菜類、タケノコなどにつきまして、今年度から放射性物質濃度の経年変化を調査しております。解除の根拠となるデータの収集を行っておりまして、この結果や、先ほど申し上げました他県の事例等も踏まえて、可能なものから解除に向けた取り組みを検討していく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 自然減衰を待つしかないという本当に悲しくなるような御答弁でありましたけれども、ただ、経年測定をしていただいているということで、やはり種類を限定してでも何とか出せるものが一つでもふえていけばまた地域に明るい話題となると思いますので、ぜひともその努力を関係省庁ともお話をして、継続してお願いしたいと思います。
〇小西和子委員 森林、林業についてですけれども、近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中で、二酸化炭素を吸収、固定する森林に対して大きな関心と期待が寄せられているところであります。特に、原発事故に伴い原子力発電が停止し、火力発電が拡大する中で二酸化炭素の削減はさらに必要性を増しており、森林による二酸化炭素の吸収は一段と重要性を増しております。
 そこで、一つ目の質問ですけれども、森林整備加速化・林業再生事業についてお伺いいたします。
 この事業は、東日本大震災津波の早期復興に資するためということで事業期間が延長されました。時間短縮のためにまとめてお伺いします。間伐等森林整備・里山再生対策事業、それから復興木材流通支援事業、県産材活用促進緊急対策事業、これらの現状と新年度の取り組みについてお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 間伐等森林整備・里山再生対策事業の現状と新年度の取り組みについてでございます。
 本年度は、森林整備の強力な促進を図るため、本事業は平成24年度から平成26年度までの3カ年で1、920ヘクタールの間伐を実施するほか、約16万4、000メートルの森林作業道の路網整備等を行うものであります。
 平成25年度までの実績見込みでございますが、間伐は約1、180ヘクタールを行っておりまして、進捗率が61%になっております。路網整備は約10万4、000メートルで、進捗率が63%となっております。
 最終年度となる来年度の平成26年度は川下の需要増加も期待されておりまして、間伐で約740ヘクタール、森林作業道で約6万メートルの計画を予定しておりまして、これを確実に実施してまいりたいと思っております。
〇菊池林業振興課総括課長 2点ありました。復興木材流通支援事業の現状と新年度の取り組みについてでございます。
 この事業は、県内の木材生産事業体が原木を被災工場に出していたのですけれども、出せなくなりましたので、被災していない工場に振りかえ輸送する、遠くまで運ばなければならない、その経費の一部支援でございまして、今年度―平成25年度は、素材生産者等12事業体に対しまして流通実績は約9万立方メートルになる見込みでございます。来年度―平成26年度も引き続きこの事業を活用して支援を実施することとしておりまして、今回の当初予算におきましては2億1、300万円を計上し、13事業体における原木流通量は約10万立方メートルを支援する計画でございます。
 次に、県産材活用促進緊急対策事業の現状と新年度の取り組みについてでありますが、この事業は、復興に必要な木材の利用拡大と木材産業の活性化を図るため、木材の加工、流通施設や木質バイオマス燃料の製造、利用施設等の整備を支援するものでございます。これまで2年間では、プレカット加工機や製材機械の整備、貯木場整備、木質バイオマスボイラーの導入などを行う12事業体に対しまして支援を行っております。
 平成26年度は、木材乾燥機やチップ製造用の木材破砕機導入などを行う7事業体に対して支援を行い、県産材利用と生産拡大に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 ほかにもまだ事業があるわけですけれども、ただいまの3事業等は新年度で事業が終了ということになっておりますけれども、その後の取り組みの見通しはどのようになっているのかお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 来年度で事業が終了で、その後の見通しについてでありますが、この森林整備加速化・林業再生事業でございますけれども、平成21年度に創設された基金事業でありまして、国の補助金によりましてこれまで125億円の基金を造成しまして、間伐等の川上対策から木材加工、流通施設等の川中、木材の需要拡大等の川下対策まで総合的な林業振興策を推進してきたものでございます。事業期間が平成26年度まででありまして、これまでのところ国から事業の期間延長についての言及はございませんが、本県の森林、林業、木材産業の再生の取り組みに必要な事業と考えておりまして、国への提言や要望活動などを通じまして、引き続き事業の継続を要望してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 森林県である岩手県には必要な事業だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 先ほど高橋昌造委員への答弁にもありましたけれども、もうちょっとわかりやすく、里山再生エネルギー活用実証事業の背景と事業の内容についてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 里山再生エネルギー活用実証事業の背景、事業内容等についてでございます。
 木質バイオマス発電施設、宮古市では間もなく本格稼動でございますが、この5、000キロワット級の発電所で年間10万立方メートルという大口の大変多量な木材需要が見込まれます。特にこれまで利用されてこなかった切り捨てられていた間伐材ですとか林地残材の活用が期待されておりますが、未利用材を燃料として大量に供給するというのはこれまで経験したことがありませんので、本県に適合した供給の仕組みを実証事業により明らかにするというものでございます。
 具体的な内容でございますが、県内の木材生産の実態、あとは先進地の燃料供給システムを調査いたします。あわせて、木材生産現場におきまして実際に機械を導入して、未利用材の低コスト生産、供給システムの実証―実際やってみます。その上で効率的な木材搬出や燃料運搬の方法などを明らかにしたいと考えておるものでございます。
〇樋下正信委員長 5時を過ぎましたが、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇小西和子委員 先進地に学ぶというお話がありましたけれども、環境・防災対策調査特別委員会で岡山県の真庭市を調査いたしました。早くからバイオマスの活用に取り組んでバイオマスタウン真庭として有名だということでございますけれども、特にも私が驚いたのは、林業のことでしたけれども、真庭では放置された未利用木材をバイオマス資源として活用していこうとさまざまな取り組みを実践しておりました。将来はバイオマス事業の収益を森に還元していくことを目指しているということでした。岩手県は林業の担い手ということで頭を悩ませておりますけれども、何とここでは若手の林業者が多いんです。いただいた資料だと20代が20人、30代が33人、40代が30人、50代も35人ということで、平均年齢が40代ということでした。ですから、技術の伝承がうまくいっている。もちろんプロセッサなどの高性能機械を導入しているということもあって、若い人がどんどん就労するというようなお話を聞いてきました。これはすごいことだなと思ってきました。
 先ほど回答もあったんですけれども、次に、木質バイオマス発電施設についてですけれども、もう動いているんでしょうか。施設設備の状況と発電開始見込みとか、先ほど発電量のお話もありましたが、再度、木質燃料の量もさっき10万とかと言いましたけれども、もう一度お願いします。安定確保の見込みについてお伺いいたします。そして、今後の木質バイオマス発電施設の立地の見込みについてもあわせてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 まず、木質バイオマス発電施設の施設設備の状況などについてでございます。
 宮古市に整備が進められております木質バイオマス発電所でございますが、3月に竣工しまして、4月からの本格稼動を予定しております。発電量は、先ほど申し上げましたが5、800キロワットアワーで、一般家庭の1万世帯分の電気でございます。木質燃料の使用量は、丸太換算で年間約10万立方メートルとなって大量の燃料が使われます。燃料は、先ほどちょっと申し上げましたが、未利用間伐材、そのほか、製材工場で出る端材などが使われます。既に原木の供給者との協定締結などが進められておりまして、燃料の安定確保の見通しは立っていると伺っております。
 次に、今後の木質バイオマス発電施設の立地の見込みなどでございますが、立地が具体化しておりますのは、このほかに、新聞報道とかでも出ましたが、一戸町に発電出力6、250キロワットアワーの発電所、これは平成28年2月の運転開始を目指して取り組みが進められております。
 このほか、FITという平成24年7月から始まりました再生可能エネルギー固定価格買取制度というのがございまして、それらを背景としまして県内に複数の立地の構想が検討されております。私どもといたしましては、森林資源の持続的な活用の観点から必要な助言を行っていくこととしております。
〇小西和子委員 株式会社グリーン発電会津に連れていっていただきましたけれども、あそこでの説明等のときにも、山林に放置してきた山林未利用材を木質バイオマス発電所の燃料として継続的に使用することで、二酸化炭素排出量の削減や森林資源の有効活用だけでなく、電力の安定供給と地域林業の活性化及び森林の持続的な再生という資源循環型社会の実現につながっていくという説明がありました。
 最後でございますけれども、持続可能な森林経営の構築についてお伺いいたしますが、経営体の育成、それから森林環境の保全等、持続可能な森林経営の構築についての構想をお伺いいたします。
〇竹田林務担当技監 持続可能な森林経営の構築についてでございます。
 森林法に基づきまして、国の森林計画制度がございます。この制度におきましては、市町村森林整備計画、これは地域の森林づくりのマスタープランであるということで、これについては県内33市町村全て立てられておりまして、中身が森林整備の方針、森林環境の保全等に関する基本的な方向を定めてございます。また、森林所有者等実際に経営をなさる所有者等におきましては、この市町村森林整備計画に沿いまして、個々の森林経営計画を作成して、計画的で合理的な森林施業等を推進するとなっております。
 この森林経営計画は、健全な森林を長期的な観点から計画的に維持、育成していくため平成24年度から国で新たに制度化したものでございまして、県といたしましては、このようなお一人お一人の森林経営計画の作成とその実践を促進して、県全体の持続可能な森林経営の構築に結びつけたいと考えております。
〇小西和子委員 先日、竹田技監から岩手の山を宝の山に変えるというお話をいただきました。ぜひその意気込みで取り組んでいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、東日本大震災津波からの水産業の復旧状況についてお聞きします。
 先ほどの質問もありましたが、漁船の確保については、補助事業、新規登録、稼動可能漁船、それがどうなっているか。それが震災前と比べてどういう水準にあるのか。養殖施設については1万7、139台となっていますが、これも震災前と比べるとどういう復旧の状況になっているかを示していただきたい。
 あわせて、水産物の生産量、生産額、そして主要水産物ではどうなっているか示していただきたい。
〇山口漁業調整課長 補助事業で整備しました漁船数と被災を免れました漁船数でございますが、稼動数1万215隻でございます。その内訳は、被災を免れたもの1、740隻、補助事業分6、250隻、その他のもの―いわゆる自力復旧等でございますけれども、2、225隻となっております。養殖施設は1万7、000台が復旧しておりますけれども、震災前と比べまして65%の復旧になっております。
 水産物の水揚げ状況でございますが、平成25年の生産状況ですが、震災前の3カ年と比べまして、魚市場の水揚げ量は11万6、000トン、65%、水揚げ金額は202億円、86%、主要水産物のうち、アワビにつきましては生産量が297トン、87%、金額は27億円、118%、養殖物につきましては、ワカメが1万6、000トンで73%、金額20億円で47%となっております。
〇斉藤信委員 漁船のほうは、自力復旧、あとは新規登録を含めて1万215隻ということで、これは震災前と比べると71.4%、大体7割ということだと思います。
 それで、漁業経営体の再開状況をお聞きしたい。
〇山口漁業調整課長 漁業経営体の再開状況は、県では約8割が再開していると認識しております。
〇斉藤信委員 養殖、それぞれどうなっていますか。
〇山口漁業調整課長 種目別の経営体の再開については詳細を把握しておりません。
〇斉藤信委員 漁業センサス、あなたから資料をもらっているけれども、あれじゃないですか。例えば、全体は72%、カキは74%、そしてワカメ類は78%というのが漁業センサスのあれじゃないですか。違いますか。
 あなたがよこした資料じゃないのか、これ。聞くって言っているんだから。これ、不意打ちじゃないよ。通告だよ、通告どおり。真面目に答えなきゃだめだ。
〇山口漁業調整課長 養殖経営体につきましては72.1%の再開ということになっております。
〇斉藤信委員 通告どおり、シナリオどおりやっているんだから、ちゃんとやってください。
 この養殖は、先ほど、台数でいって65%。結局、70歳を超えているとこれから借金してはやっていけないと、約2割、3割やめていると、この間漁業者の懇談会のときに私、聞きました。
 そこで、漁協では大変危機感を持って担い手の育成に取り組んでおります。これは新聞報道でも紹介されていますが、綾里漁協では、3人の研修生、これは漁船漁業の乗組員不足を確保していると。宮古の田老漁協では、真崎わかめを新規経営者集団の育成ということで、研修をしながら準組合員になってやっていると。その他のところでも、いわば養殖台数が減っているわけですから、減ったところを漁協が自営で経営して若手をそこで採用する、こういう取り組みが出ていると思いますけれども、そういう取り組みの状況、担い手確保の対策はどうなっているのかを示していただきたい。
〇山口漁業調整課長 漁業担い手対策につきましては、現在、漁協ごとに策定を進めております地域再生営漁計画の中で、漁協が自営する定置網や養殖に若者を雇用して定着させた上で自立を図るということで、新規就業者の確保に向けた取り組みを検討しているところでございます。
〇斉藤信委員 私の紹介より抽象的。何かもっと、私、質問しているんだから、県の担い手対策の具体的対策は何なんですかと。田老と綾里、その他のところでもやっていますよ。市町村独自に漁業の担い手補助事業をやっているところが陸前高田市とか宮古市とかあるじゃないですか。だから、そういう今、取り組んでいる担い手の対策がどうなって、さらにどう強化するのか、これは極めて重要ですよ、本格的な復興の時期には。どうですか。
〇山口漁業調整課長 県は、地域再生営漁計画の取り組みを担い手対策の中心としておりますけれども、その中で、担い手対策、漁場利用、生産物の付加価値向上等を漁協にそれぞれ地域の事情を考えていただきながら取り組んでいただく、それをまた補助事業等で取り組みを支援していくということを考えております。それに加えて、現在、陸前高田市、山田町、宮古市で研修費を支払って育成する取り組みがありますので、そのようなものも県といたしましても支援していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 ぜひその取り組みを本当に強力に推進していただきたい。本格的復興ということでいえば担い手確保は決定的ですよ。そのことを指摘しておきます。
 次に、秋サケの状況、これは先ほども質問があったのでダブらないように聞きたいんですけれども、秋サケの今年度の漁獲状況、そして震災前との比較、3年魚、4年魚、5年魚の回帰数、率というのがわかれば示していただきたい。
〇五日市水産振興課総括課長 2013年度の秋サケの漁獲状況についてでございます。
 沿岸の漁獲尾数は476万尾で前年比169%、震災前の3カ年を平均いたしますと70%となってございます。漁獲量全体では1万4、000トンで前年比189%、震災前と対比しますと64%。金額では57億円で対前年比131%、震災前と比べますと70%。平均単価は1キロ401円で前年比では69%、震災前との比較では106%となってございます。
 また、3年魚、4年魚、5年魚の回帰率でございますが、これについては、詳しくはうろこをとりまして、現在、水産技術センターのほうで調査中でございますが、県内の三つの河川で調べた状況を速報として水産技術センターでは出しておりまして、3年魚では非常に少ないという状況、一方、4年魚ではある程度好調に遡上があったということ、5年魚は平年並みであったという結果になってございます。
〇斉藤信委員 通常は、3年魚が1割、4年魚が6割、5年魚が3割と言われていますよね。3年魚は大変少なかったと。これは3河川の部分的なものだけれども、通常の1割と比べてどの程度少なかったかというのはわかりますか。
〇五日市水産振興課総括課長 今まで最も悪かったときの半分以下という状況になってございます。
〇斉藤信委員 わかるようでわからないような……、わかりました。
 それと、今後のことを考えれば採卵数の確保が重要でありますけれども、この間の採卵数、放流数の推移と、ふ化場の復旧状況は9割と聞いていますが、これはいかがでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 2013年度に沿岸の河川におきまして卵をとった量、採卵量は4億4、600万粒でございます。これを飼育いたしまして3億8、000万尾の稚魚放流を見込んでいるところでございます。
 それから、ふ化場の復旧状況につきましては、現在、部分復旧をしている一つのふ化場を含めまして20のふ化場が復旧して稼動しているところでございます。
〇斉藤信委員 2014年問題ということで、放流をしていないことしが大変心配されると。ことし、来年というのが一つの大変大事な時期かなと思っていますが、漁民から聞くと、トロールなどが秋サケを混獲して雑魚として水揚げしているのではないかという訴えがあります。1回の水揚げで1トンは出しているという具体的な告発もいただきましたが、その実態を県は把握しているでしょうか。
〇五日市水産振興課総括課長 トロールによる秋サケの漁獲ということでございます。沖合底びき網漁業の実績報告を見ますと、震災前で総漁獲量に占めるその他の魚―雑魚という形ですが、割合は0.75%でありまして、この中に含まれるサケの量というのはちょっと把握はいたしておりません。
〇斉藤信委員 これは本当によく言われることで、今、定置しかとれないという状況になっているんだけれども、トロールは根こそぎ持って、雑魚で小さい魚よりも大きいサケを水揚げしていると。私は、ぜひこれは実態を把握していただきたいと思います。
 ことしは定置漁業権の更新の時期に当たると思いますけれども、生産組合など実質個人の定置は、漁協優先の立場で見直すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇五日市水産振興課総括課長 定置漁業権につきましては、漁業法の規定に基づきまして免許しているものでございます。その内容としては、申請したものが適格性を有するかどうかというところで審査した上で、適格なもの、適正なものに対して免許しているということでございます。
〇斉藤信委員 例えば山田湾の場合、いわゆる生産組合、法人はいい場所に定置を持て、漁協が余りいいところを持っていない。だから、漁協は赤字だと。生産組合はしっかり利益を上げている、これはおかしいんじゃないかと。私は、その漁協経営を見ても、これはちょっと違うんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
〇五日市水産振興課総括課長 定置漁業権につきましては、あくまでも地元の調整やら、あるいは申請する方々の意思で申請してくるものでございますので、その申請の内容を我々は適正に判断して免許しているということでございます。
〇斉藤信委員 次に、風評被害の状況についてお聞きします。これは、せっかくですから、水産だけでなくて農林水でお答えしていただきたいと思いますけれども、風評被害の具体的な状況、損害賠償請求と支払いの状況、そして、今、大問題になっている関西以南では、東北のものを買うな、食べるなとなっているというんです。全然売れない。この関西以南の具体的な風評被害対策にどう取り組むのか、このことをお聞きしたい。
〇泉流通課総括課長 風評被害の状況とその対策についてお答え申し上げます。
 県産農林水産物に対する風評被害につきましては、品目や取引の形態によってさまざまであります。例えば牛肉や生シイタケにつきましては価格が震災前の水準まで回復してきておりますが、干しシイタケの価格は依然低迷したままとなってございます。また、今、委員御指摘のとおり、関西圏ではワカメ等の海藻類で買い控えなどの風評被害があると聞いてございます。
 風評被害に係る損害賠償請求と支払いの状況についてでございますが、被害の全体を把握するということは困難でございますので、これまでJA等を通じまして東京電力に損害賠償を請求した額を見てみますと、請求額全体が約298億円となっておりますが、このうち風評被害に係る金額は約23億円となっており、賠償金が確定した請求に対する支払いは約22億円、95%となっております。
 次に、関西以南での風評被害対策でございますが、関西圏においては、一部、ワカメ等の風評被害が続いていることから、これまで首都圏を中心に取り組んできました消費者向けの鉄道広告の掲出や、シェフなどの実需者を対象といたしました産地見学会の開催を関西圏においても充実させまして、消費者の信頼回復と、県産農林水産物の販路回復、拡大を図っていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 関西以南の問題は、ぜひ思い切って、こういうものは集中して、私は、日本人のきずなが問われているのではないかと思うので、適切で説得力のある取り組みをぜひやっていただきたい。
 最後のテーマですが、小型漁船漁業の復旧、復興の課題についてお聞きします。小型漁船漁業者の復旧状況、経営の実態を把握しているでしょうか。
〇山口漁業調整課長 小型漁船の復旧状況についてでございますが、平成24年12月末現在で、小型漁船漁業者がほぼ使用しているであろうという5トン以上20トン未満の漁船の登録数は、震災前の74%に回復しております。
 また、漁船漁業者個々の実態については把握しておりませんが、国の調査によりますと、平成24年の漁業所得は震災前と比べて67%になっていると承知しております。
〇斉藤信委員 1月28日に、沿岸12市町村の漁民の方々が約60人集まって、県の五日市総括課長、山口課長に要望もいたしました。その中には、後継者の若い漁民の方々も少なくなく参加して、私も大変驚いたのでありますけれども。
 震災で、漁船を確保したけれども、道具、資材が買えなかったと。そして、今のお話があったように67%の漁業所得で、震災前の借金が返せない、保険料、船の借金、燃油高騰で支払いができない、経営ができないと。せっかく船を確保しても、これは本当に自己破産を待っているような状況だという大変切実な実態も出されました。そういう状況を五日市総括課長もお聞きしましたけれども、どう受けとめましたか。
〇五日市水産振興課総括課長 経営の状況そのものにつきましては漁業者の方々が切実に感じていることであろうと思います。ただ、あの場で感じましたものは、漁業者は漁業者で大変だということもありましょうが、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、やはり経営体でございますので、個々の経営者の方々の経営努力ということも考えていただくべきものではないかと思いました。いずれ、私たちもできることはやっていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 言い過ぎの挑発的な回答でした。そういう状況ではないと私は思います。後継者の若手がどういうことを言ったかというと、こういうことなんです。船を確保したが、借金の塊。若い人が生活できるようにしてほしい。漁船漁業者は9月から11月は漁がないというんです。いわば、働きたくても漁がないんです。では、9月から11月、どうやって漁業者は食っていけばいいんですか。そういう対策は県にあるんですか、経営感覚を言っているけれども。とれる漁があるんだったら頑張りようがあるんです。漁ができなかったらどうするんですか、五日市総括課長。
〇五日市水産振興課総括課長 盆から12月までの漁模様ということでございますが、漁業の種類によってそれぞれとる魚種も違ってまいります。ちょうどこの盆から12月までの間は、例えばイカあるいはサンマあるいはタラというものも、これは周年漁獲できるというものでございます。そういう魚種もございますので、それぞれやはりそれなりの工夫もしていただかなければならないものと考えております。
〇斉藤信委員 タラの話をされたけれども、今はもう福島がとれないものだから、こっちでたくさんとれると。だから、タラはもう水揚げしないでほしいと漁民は言われているんですよ。あなたは知っていると思うけれども。
 それで、秋サケを9月、10月の早い時期に、こういう漁民の方々も刺し網でとれないのかと。底魚だから、その時期は遡上するサケではないんです。銀ザケのいいものがとれる、付加価値も高いと。黙っていれば宮城に行ってしまうと。こういうサケはとっても影響はないのではないかと。私は、せめて試験操業ぐらいはやって、これは対応を検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇山口漁業調整課長 現在、サケを刺し網でとることは漁業者間で合意がなされておりません。また、漁業許可の制限又は条件―許可証の裏にあるんですけれども、そこでも禁止されております。
 サケは沿岸を回遊しまして、いずれ河川に戻ってきますので、定置との競合はあると考えています。試験操業を実施するにも、県内の漁業者間の合意形成が必要なので、それがない状況では難しいと認識しております。
〇斉藤信委員 実際に9月から11月の時期というのは、とりたくても漁に出られない。そういう中で、せっかく船を確保して漁業の再建に取り組んでいる後継者もいる。こういう方々に、岩手県が責任を持って、こういう対策、こういう手だてがあるじゃないかということを示す責任があると私は思います。
 試験操業の問題だって、それは漁業者間の調整はわかります。議論して調整したらいいんですよ。調整もしないで理解が得られないというやり方では、これは本当に食っていけなくなってしまうので、そのことを最後にお聞きして、ぜひ、そういう食っていける具体的手だてを岩手県は示すべきではないかと改めて聞いて、終わります。
〇五日市水産振興課総括課長 今、現状をさまざま申し上げましたけれども、確かに、調整そのものはしていかなければならないことでありますし、漁業者あるいは漁業関係団体の皆さんとの話し合いというものも必要になってまいります。
 いずれ、サケの刺し網のみにかかわらず、漁業の振興あるいは漁船漁業の振興ということは図っていかなければならないという気持ちは十二分にございます。そういうことで、さまざまな漁業種類はございますが、漁船漁業を進めていくということについては、漁業関係団体あるいは漁業者と一緒になってこれからも考えていきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 重複した部分は割愛しながら質問させていただきます。
 県産材利用拡大の取り組みの重要性についてはほかの委員からも議論がありましたが、その中で、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画が平成26年度から第4期に入ることになっておりますが、これまでの取り組みの成果と、平成26年度からは具体的に木材利用の目標値をどのように設定しているかお示し願います。
〇菊池林業振興課総括課長 委員お話しの岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画でございます。県では、平成15年から、副知事を本部長としまして本部会議を立ち上げまして、県が発注する公共施設等の木材利用推進に取り組んでおります。平成22年度から25年度までの第3期の実績でございますが、目標値の106%となる見込みで、3期連続の目標達成となりました。今期の代表的な木造公共建築といたしましては、県立花巻農業高等学校の校舎ですとか、県の農業研究センター南部園芸研修室などが挙げられます。引き続き、各部局とも連携しながら木材利用を進めてまいります。
 第4期の計画でございますが、全体的には平成26年度から28年度までで2万1、000立方メートルの活用、利用を目標として掲げております。
〇吉田敬子委員 第3期の計画が6万6、000平方メートルの中で、それも達成して6万9、000立方メートルということで、来年度からは2万1、000立方メートルということで、多分、第3期のときは、平成22年度から25年度で、仮設住宅等を含めたもので設定値が6万6、000立方メートルと高くなって、平成26年度からは、第3期の前の第2期と大体同じぐらいの程度に戻るのかと思っております。前回、第2期の平成19年度から21年度のときに2万1、710立方メートルということでの実績がある中で、平成26年度からまた同じような2万1、000立方メートルの目標値を立てられていて、これまでの委員の質疑の中でも、県産材の利用の拡大をもっと取り組んだほうがいいということと、合板工場も再建されるという中で、設定値をもう少し高くしてもよかったのではないかと私は思っておりますが、その辺についてはどのような見解でしょうか。
〇菊池林業振興課総括課長 目標値の設定につきましてですが、もう少し高目に―第2期計画が2万1、710立方メートル、それを下回るのはどうかというお話でございます。高い目標を設定してということもありますが、3年間の計画でございまして、公共施設、公共工事は、御存じかあれですが、何年にはどこどこを建てます、何年にはどこどこをやりますというある程度長期計画がありまして、例えば林業サイドでもっと使ってくれという話をしても、計画がありますので、調整の中で2万1、000立方メートルと定めたということでございます。
〇吉田敬子委員 2万1、000立方メートルの中に、例えば現在建設中の住田町の庁舎等が入っているかちょっとわからないんですけれども、また、陸前高田市で再建した南部園芸研究室も、もともとはRC造だったものを、県の方々の御尽力で木造になったということを聞いております。そういったちょっとずつの取り組みで進められると思いますので、目標値は2万1、000立方メートルということではあると思うんですけれども、ぜひ、県産材の利用拡大については今後ともよろしくお願いいたします。
 木質バイオマスエネルギー利用の取り組みについては、大規模発電等についてはほかの委員からも質疑等がありましたが、大規模以外のところでの地産地消エネルギーといいますか、一般家庭での木質バイオマスエネルギーの普及状況、例えばまきストーブだったり、ペレットストーブに関してはいわて型ペレットストーブというものに結構前から取り組んでいたものがあったと思うんですけれども、そのような数の把握等をしていれば、また、ビニールハウス等、農業でも冷暖房で取り組んでいるところもあるんですが、そういった一般家庭または農業者での普及状況についてお示し願います。
〇菊池林業振興課総括課長 ペレットストーブ、まきストーブの関係でございます。その前に、先ほどちょっと答弁いたしましたが、利用計画の目標値の関係でございます。特別委員会で副知事からも答弁申し上げておりましたが、副知事からは、計画は設定したが、気づきがあるだろうと。その中でもっと積み上げなさいという指示を直接いただいておりまして、副知事からもそのように御答弁申し上げてありますので、目標は目標として、引き続き超えられるように頑張ってまいります。
 その上で、まきストーブ、ペレットストーブでございますが、ユーザー数につきましては、実はまきストーブについてはデータを持っておりませんが、ペレットストーブにつきましては、ストーブ販売店から聞き取っておりまして、平成24年度では70台の導入実績がございまして、これまでの累計では約1、700台が普及していると承知しております。
〇吉田敬子委員 大規模発電も大事なんですけれども、一般家庭での普及というものも森林、林業の活性化にもつながりますので、まきストーブだったりペレットストーブの普及については、これからもぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、林業従事者の推進について、県内の林業従事者の推移がどのようになっているか。まとめて質問させていただきますが、特に若年層についてどのようになっていて、課題をどのように捉え、今後、林業従事者をふやすための施策をどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 若年層の状況と課題、そして支援策についてでございます。
 平成24年度の本県の林業従事者数は2、100人と、私どもの課で調査したデータとして把握しております。
 近年、平成19年度の1、870人をボトムにしまして微増傾向にございます。このうち15歳から39歳までの若年層は平成24年度時点で423人と把握しております。平成20年度の311人に比べ36%ほど増加している状況でございますが、若年層が増加している一方、定着率が6割程度という形で低いという状況を課題として認識しております。
 このようなことから、公益財団法人岩手県林業労働対策基金を通じまして、助成事業により就労条件の改善等の取り組みを支援しておりますほか、3年間のOJT研修―技術指導の研修を行いまして、安全で効率的な作業を行える現場技能者の育成を支援しているところでございます。引き続き、林業団体等と連携しまして、若年層の林業従事者の確保、育成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇菊池林業振興課総括課長 先ほど答弁漏れがございました。まきストーブ、まきボイラーの関係の農業用のお話もいただいておりました。済みません。
 第1部のほうでも質疑がございましたが、農業用の事例といたしましては、まきストーブ、まきボイラーが導入されておりまして、花卉、野菜栽培等の暖房用として利用されております。県内にまきストーブのメーカーがございまして、聞き取りによりますと、これまでに約80台が設置されていると聞いております。
〇吉田敬子委員 先ほどの林業従事者の数で、特に若年層の数がふえているということで、以前に農業、林業、水産業それぞれの従事者の数の割合を資料としていただいた中で、農業だったり水産業の若年者の数が減っている中で、林業界は若年層の数がふえていると認識しております。定着率が6割ということで、やっぱりそこが課題なのかなと思っている中で、林業技術センターのこれまでの研究実績と研修等の取り組みについてお伺いいたしますが、林業技術センターでのさまざまな研究がされているんですけれども、研究されたものが実現場でどのように利用されているか、その普及率というのをお示し願います。
〇竹田林務担当技監 林業技術センターの研究の実績とその普及についてでございます。林業技術センターは、森林、林業、木材産業に関するさまざまな課題の解決に向けまして、さまざまな研究課題に取り組んでおります。林業研究開発推進目標を策定した平成11年度から今年度の平成25年度までの15カ年になりますけれども、この間、71の研究課題に取り組んできております。
 その研究成果の現場での活用、利用でございますが、課題ごとにチェックいたしましたら、おおむね8割が利用されているといった状況にあります。
 具体的な事例としましては、いわて型チップボイラーの開発は、県内のボイラーメーカーと共同で研究開発したものでございます。シイタケほだ場における落葉層除去による放射性物質の低減は、まさに今、生産者の皆様が取り組んでいるものであります。三つ目として、抵抗性が5割アップした松くい虫抵抗性アカマツの開発などが挙げられます。
 今後とも、現場で利用される研究、現場からのニーズの高い研究、そういったものを優先的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 林業技術センターは平成5年4月に現在の矢巾町に移動になってから20年たっていると思うんですけれども、研究の成果が普及率8割ということで、割合的には大きいのかなと思うんですが、その中で、総括質疑のときにもいろいろ秋田県の事例等を出したんですけれども、来年度から秋田県は、林業技術センターの中に秋田林業大学校ということで、そこは東北、北海道初の就業前の方々も含めた林業研修ができるということで、多分、今の林業技術センターの中だと、初めての方というよりは、今までやっている方々が主だと思います。定着率の問題からも、今やっている方の研修も含めてそうだと思うんですけれども、ただ、やりたいと思っている人たちが多いということは事実だと思いますので、新規で入ろうとしている方がこの林業研修にも参画しやすいような、林業技術センターの中の研修というのも大事なのかなと思っておりますので、その所感を伺いつつ、もう一つ、最後に浜のコミュニティ再生支援ということで通告していたので、この事業は来年度初めての事業なんですけれども、これは水産業の事業者の中でも、特に女性の方が対象になると思うんですが、その中で、4カ所に会場を置いて県大会が開催されるということなんですけれども、まずは、その機運の醸成も含めるのが大事だと思うんですが、県大会等出場の後、どのように活用されたりだとか、若者、女性支援のほかの連携等はどのようにされるのかお示し願います。
〇竹田林務担当技監 林業技術センターの研修、担い手育成のほうでございます。先ほど答弁漏れになったかもしれません。申しわけありません。
 林業技術センターにおいては研修部門もございまして、そちらのほうでは主に高性能林業機械の操作研修ということで実施しておりまして、委員お話のとおり、どちらかといえば現場を経験された方で、そういった機械の資格を取りたいという方を対象とした研修が主として行われております。
 新規就労を希望される方の研修につきましては、先ほど、阿部総括課長からお答え申し上げましたとおり、緑の雇用制度でありますとか、林業労働対策基金が行っている研修というもので経験をしていただきながら、就労に結びつけるということで取り組んでございます。
〇五日市水産振興課総括課長 浜のコミュニティ再生支援事業でございます。これは、震災によって活動の縮小を余儀なくされている浜の女性の方々がたくさんおられますので、その活動の再開を促すということで浜料理選手権を開催して、それを活用したいというものでございます。参加は、37団体ある県下全ての漁協女性部を見込んでございます。
 県大会の入選料理については、優秀料理作品集を作成して道の駅に配付するなど、水産物の利用方法を紹介いたしまして、魚食普及に活用できればと考えております。また、沿岸4地区で予選会を通過した漁協の女性部には、専門家を派遣して、産直施設のメニュー化など、できれば起業化に向けた取り組みなども支援していきたいと考えております。
 この事業は、浜料理を活用して、水産物の高付加価値化を図るなど、漁家女性の力によって浜のコミュニティの活性化を図ろうとするものでありまして、県といたしましても、若者、女性支援施策の一環として、女性が躍動する地域づくりが進むように一緒に取り組んでいきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 先日の水産振興議連の中でも、カキのバーニャカウダだとか、前の2月に大会で県知事賞をいただいた方のものを私たちもいただきました。本当においしい料理だったんですけれども、そういったもので水産業に携わる女性の方々が元気になるような事業になるように大変期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 林業技術センターなんですが、20年たつということで、これから、県の森林、林業の活性化事業の中でまた新たな転換期になる時期でもあるのかなと思っております。これまでの活動も大変すばらしい研究もされていますし、それが普及されるのが大事かなと思っております。岩手の山を宝の山に変えるというお話を、竹田技監から以前の研修会でも力強い言葉をいただきましたので、ぜひ、今後の岩手県の森林、林業界の活性化に御尽力いただけることを祈念いたしまして、終わりたいと思います。
〇樋下正信委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇樋下正信委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会します。
   午後5時54分 散 会

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