平成25年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成25年10月23日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    高 橋 勝 重
  議事管理担当課長 鈴 木 文 彦
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    清 川   勝
  主任主査    村 上   聡
  主任主査    藤 澤 壮 仁
  主査    引屋敷   努
  主査    藤 枝   修
1説明員
  農林水産部長   東大野 潤 一
  理事    高 橋 嘉 行
  副部長兼
  農林水産企画室長 菊 池   寛
  農政担当技監   工 藤 昌 男
  農村整備担当技監
  兼農村計画課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  漁港漁村課
  総括課長    大 村 益 男
  競馬改革推進室長 鈴 木 浩 之
  理事心得    熊 谷 正 和
  農林水産企画室
  特命参事    黒 田 敏 彦
  農林水産企画室
  企画課長    藤 代 克 彦
  農林水産企画室
  管理課長    及 川 健 一
  団体指導課
  総括課長    宮 野 孝 志
  指導検査課長   菊 池 光 洋
  流通課総括課長  泉   裕 之
  農業振興課
  総括課長    高 橋   渉
  担い手対策課長  千 葉 和 彦
  農業普及技術課
  総括課長    前 田 一 人
  農村建設課
  総括課長    伊 藤 栄 悦
  農産園芸課
  総括課長    下 村   功
  水田農業課長   中 南   博
  畜産課総括課長  渡 辺   亨
  振興・衛生課長  及 川   団
  林業振興課
  総括課長    菊 池   透
  森林整備課
  総括課長    阿 部 忠 一
  整備課長    赤 澤 由 明
  森林保全課
  総括課長    佐 藤 順 一
  水産振興課
  総括課長    五日市 周 三
  漁業調整課長   山 口 浩 史

  競馬改革推進監  内 宮 明 俊
  競馬改革推進室
  特命参事    高 橋   徹

  会計管理者    熊 谷 俊 巳
  出納指導監    田 中 耕 平

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 門 口 正 雄
  監査第一課
  総括課長    佐 藤 和 彦
  監査第二課
  総括課長    豊 岡 直 人

  参事兼財政課
  総括課長    佐 藤   博
〇工藤勝子委員長 これより本日の会議を開きます。
 初めに、10月21日の部局審査におきまして、山田町が特定非営利活動法人大雪りばぁねっと。に委託した緊急雇用創出事業に関して、嵯峨壱朗委員及び及川あつし委員から申し出のありました当該事業に関し改めて審査を行うことを求める件について、及川あつし委員から申し出のありました当該事業に関し改めて審査を行う際は、執行部に対し、経過報告書、平成24年3月16日付の復命書、事業費の精査結果、支出調査一覧表等の提出を求める件について、及び嵯峨壱朗委員及び伊藤勢至委員から申し出のありました当該事業に関し参考人の出席を求めることについて、10日21日、22日開催いたしました世話人会の協議経過を報告いたします。
 まず、嵯峨壱朗委員及び及川あつし委員から申し出のありました当該事業に関し改めて審査を行うことを求める件については、改めて審査を行うことといたしました。
 次に、及川あつし委員から申し出のありました当該事業に関し改めて審査を行う際には、執行部に対し、経過報告書、平成24年3月16日付の復命書、事業費の精査結果、支出調査一覧表の提出を求める件については、提出を求めることといたしました。
 次に、嵯峨壱朗委員から申し出のありました、元沿岸広域振興局副局長の菊池正佳君を参考人として出席を求めることにつきましては、参考人として出席を求めることといたしました。
 次に、伊藤勢至委員から申し出のありました前山田町長沼崎喜一君を参考人として出席を求めることにつきましては、参考人として出席を求めることといたしました。
 なお、それぞれ具体の日程、審査方法等については、引き続き世話人会で協議することとしておりますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、並びに議案第39号から議案第41号までの以上18件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部については林業関係分野及び水産関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇東大野農林水産部長 農林水産部関係の平成24年度の決算につきまして御説明申し上げます前に、農林水産部所管の事務事業に係る主な取り組み、成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
 平成24年度は、東日本大震災津波からの復興を軌道に乗せる復興元年として、第1期復興実施計画に掲げる漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築、産地魚市場を核とした流通、加工業の構築を一体的に進めたほか、漁港や海岸保全施設、被災農地、木材加工施設の復旧整備などに取り組みました。
 また、原発事故に起因する放射性物質の影響対策として、牧草地の除染、原木シイタケの生産再開などの取り組みを進めるとともに、県産農林水産物の放射性物質検査やその安全性の国内外への発信など、風評被害の防止に取り組みました。
 さらに、本県農林水産業が、地域経済の基幹産業として再生、発展できるよう、復興の取り組みと軌を一にしたいわて県民計画第2期アクションプランに掲げる各施策を推進しました。
 具体的な内容につきまして御説明いたします。
 まず、大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、水産業関係では、補助事業による新規登録漁船数や養殖施設の整備数は第1期計画に掲げる目標の約9割、産地魚市場の荷さばき施設等の共同利用施設の整備数は約8割の推進状況となるほか、漁港等の整備につきましては、被災した県管理31漁港全てで、市町村管理77漁港のうち73漁港で本格的な復旧工事に着手しております。
 また、農林業関係では、当面復旧が可能な被災農地のうち248ヘクタールの復旧やトマト等のハウス団地の整備、合板工場等21施設のうち20事業体での整備が完了しております。
 放射性物質の影響対策につきましては、牧草地の除染は、対象約1万3、600ヘクタールのうち約6、200ヘクタールの除染を実施したほか、原木シイタケの生産再開に向けた原木、ほだ木の処理、落葉層除去等のほだ場環境の整備の支援などに取り組み、本年4月には、盛岡市の原木シイタケの出荷制限は解除されたところです。
 また、県産農林水産物の定期的な放射性物質検査や、その安全性の発信、消費者や実需者を対象とした県産農林水産物のPRなどに取り組み、地域産品の購入意向が大幅に向上したとの評価で、日経リサーチの地域ブランド大賞2013部門賞を受賞したところです。
 次に、いわて県民計画の第2期アクションプランに係る取り組み、成果についてでありますが、農林水産業の未来を拓く経営体の育成につきましては、地域農業マスタープランの作成と実践の支援や担い手への農地利用集積による経営規模の拡大、地域けん引型林業経営体の施業集約化等の能力向上などに取り組み、認定農業者等への農地集積面積や施業が集約化された森林面積は着実に増加しております。
 また、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立につきましては、地域が主体となった園芸産地づくりや市場ニーズに対応した県オリジナル品種、優良種雄牛の開発などに取り組み、主要な園芸品目の単収の向上や酒蔵好適米結の香などの品種育成などが進みました。
 また、農林水産物の高付加価値化と販路拡大につきましては、6次産業化や安全・安心で高品質な商品開発の促進、国内外における販路拡大などに取り組み、6次産業化による販売額や農林水産物の輸出額は順調に推移、回復しております。
 次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、大震災津波からの復旧、復興に向けましては、引き続き、漁船、養殖施設等の整備、防波堤、岸壁など漁港施設や防潮堤などの海岸保全施設の本格的な復旧整備を進めるとともに、地域再生営漁計画の活動支援を通じた担い手の確保、被災農地と周辺農地の一体的な圃場整備による農地の利用集積、野菜ハウス団地の整備、県産材の安定供給と利用拡大などのほか、放射性物質の影響対策として、引き続き、牧草地の除染や原木シイタケの産地再生、風評被害対策などに取り組んでまいります。
 さらに、本県農林水産業の振興に向けましては、地域農業マスタープランに位置づけられた中心経営体の経営基盤の強化など、農林水産業の未来を拓く経営体の育成や、生産力やブランド力が高い園芸産地の形成などの生産性、市場性の高い産地づくりの推進、6次産業化の推進など、農林水産物の高付加価値化や販路の拡大などに重点的に取り組んでまいります。
 以上、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
 続きまして、当部関係の平成24年度の決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計についてでありますが、恐れ入りますが、平成24年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの及び16ページの11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費のうち当部が所管するもの並びに4項農林水産施設災害復旧費を合わせまして3、117億7、747万円余であります。
 これに対する支出済額は1、314億4、135万円余となり、前年度に比較して、金額で372億6、785万円余、率にして39.6%の増となっております。
 また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波被害からの復旧、復興に向けた事業等につきまして、計画調整や設計、工法の検討等に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の558億8、268万円余及び入札不調により工事が遅延したことなどによる事故繰越の697億5、203万円余を合わせまして1、256億3、471万円余となっております。
 次に、決算の内容につきまして、便宜、平成24年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますので、御了承ください。
 歳入歳出決算事項別明細書の238ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費等の管理運営や国土調査に要した経費のほか、備考欄五つ目のいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、他産業と連携した新たなビジネスの創出や生産者の加工、販売分野への進出など、農林水産業の6次産業化に向けた取り組みの推進に要した経費です。2目農業金融対策費の主なものでありますが、241ページに参りまして、備考欄四つ目の農業経営改善促進資金貸付金は、農業経営改善計画等を達成しようとする認定農業者に低利な短期運転資金を融通するため、金融機関に貸付原資を預託する岩手県農業信用基金協会に対しまして所要の資金を貸し付けたものです。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要した経費のほか、備考欄六つ目のいわてニューファーマー支援事業費は、新規就農者の確保、育成を図るため、就農前の研修期間及び経営が不安定な就農直後の所得を確保するため、新規就農者に対して就農給付金を交付したものです。4目農業振興費の主なものでありますが、243ページに参りまして、備考欄三つ目の中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域等において耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能を確保しながら、農業生産活動等を行う農業者等に対して交付金を交付したものです。その三つ下の東日本大震災農業生産対策事業費は、被災地域の早期復興を図るため、農業関連共同利用施設の復旧及び生産資材、農業機械等の導入に要する経費に対して補助したものです。5目農作物対策費の主なものでありますが、備考欄二つ目の鳥獣被害防止総合対策事業費は、市町村被害防止計画に基づく被害防止対策等の実施に要する経費に対して補助したものです。244ページをお開き願います。6目畑作振興費は、花きセンターの管理運営に要した経費のほか、備考欄四つ目のいわての新園芸産地構築支援事業費補助は、地域が主体となった園芸産地づくりを推進するため、生産資材の導入等に要する経費に対して補助したものです。7目北上奥羽山系開発費は、北上・奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還などに要した経費です。8目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査などに要した経費です。246ページをお開き願います。9目農業協同組合指導費と10目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費です。11目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究等に要した経費です。248ページをお開き願います。12目農業大学校費は、同校の管理運営等に要した経費です。
 次に、2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等です。250ページをお開き願います。2目畜産振興費の主なものは、生産性の高い畜産経営体を育成するため、家畜の飼養管理技術の指導及び改良増殖を初め、生産から流通、消費に至る総合的な畜産経営対策を実施した経費のほか、備考欄下から四つ目の放射性物質被害畜産総合対策事業費は、原発事故による放射性物質の影響に対応した牧草地の除染、汚染牧草等の移動、管理及び廃用牛の適正出荷対策などに要した経費です。3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成及びこれを核とした畜産主産地を確立するため、草地の基盤整備や畜舎等の整備に要した経費です。252ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染性疾病の検査や、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査などに要した経費です。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究等に要した経費です。
 254ページをお開き願います。次に、3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費等です。2目土地改良費のうち当部関係は、水田の大区画化や排水条件の改良を行う圃場整備や農業水利施設の老朽化に伴う機能保全計画の策定及び補修、更新、農村環境の保全、農道の整備など、農業の生産基盤と農村の生活環境基盤の総合的な整備等に要した経費です。少し飛びまして、258ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等の自然災害を未然に防止するための防災ダム、農業水利施設、防潮堤などの整備、改修に要した経費です。4目農地調整費の主なものでありますが、備考欄二つ目の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借などの業務に要する経費に対して補助したものです。
 260ページをお開き願います。次に、4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費等の管理運営や県有林事業特別会計への繰出金などです。2目林業振興指導費の主なものでありますが、263ページに参りまして、備考欄中ほどのいわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源としたいわての森林づくり基金の造成、及び公益林の水源涵養などの公益的機能を保持増進するため、針葉樹と広葉樹の混交林化に要する経費などに対して補助したものです。その下の森林整備加速化・林業再生事業費は、森林の整備や間伐材その他の森林資源の利用を促進するため、間伐の実施、作業道の開設、間伐材の運搬、木材の加工、流通施設及び高性能林業機械の整備、導入などに係る経費に対して補助したものです。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要した経費です。264ページをお開き願います。4目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の整備に対して補助したものです。5目林道費は、林業生産基盤の整備と山村地域の生活環境の改善を図るための林道整備などに要した経費です。266ページをお開き願います。6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要した経費です。268ページをお開き願います。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究等に要した経費です。
 次に、5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費等の管理運営や水産科学館の管理運営に要した経費などです。270ページをお開き願います。2目水産業振興費の主なものでありますが、備考欄九つ目のさけ・ます増殖費は、サケ・マス資源の増大を図るために、サケ稚魚の放流への支援及び調査研究等に要した経費で、特にも、震災により壊滅的な被害を受けた本県サケふ化放流事業の再開に向けて技術的支援を行ったものです。272ページをお開き願います。3目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の検査、指導監督に要した経費や漁業近代化資金等の貸し付けを行う金融機関に対して利子補給等を行ったものです。4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整に要した経費です。274ページをお開き願います。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や老朽化した漁業取締船はやちねの代船建造のための実施設計に要した経費などです。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究や老朽化した漁業指導調査船北上丸の代船建造のための実施設計に要した経費です。276ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費です。9目漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要した経費です。10目漁港漁場整備費の主なものは、安全・安心な水産物供給体制の構築や、豊かで潤いのある漁村環境の整備等を重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備を行った経費であり、備考欄一番下の漁港機能復旧事業費は、震災により十分な安全が確保されていない漁港施設の機能復旧を図るとともに、今後発生が懸念される地震、津波に対する漁港及び背後集落の安全を確保するため、避難施設及び防波堤、岸壁等の漁港施設の整備を行ったものです。
 次に、大きく飛びまして、346ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費であります。1目庁舎等災害復旧費のうち当部関係は、備考欄下二つの事業で、災害により被災した水産技術センター及び同種市研究室、大船渡研究室、並びに農業研究センター南部園芸研究室の復旧に要した経費です。
 次に、348ページをお開き願います。4項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、震災及び大雨などにより被害を受けた農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧及び津波により浸水した農地の除塩を実施したほか、卸売市場施設の復旧に要する経費に対して補助したものです。2目林業用施設等災害復旧費は、震災により流失した林野火災用資機材の再配備に要した経費です。3目林道災害復旧費は、大雨などにより被害を受けた林道の復旧に要した経費です。350ページをお開き願います。4目治山災害復旧費は、震災及び大雨などにより被害を受けた治山施設の復旧に要した経費です。5目水産業用施設等災害復旧費は、震災により被災した漁船、定置網、さけ・ます種苗生産施設及び水産業共同利用施設等の復旧に要する経費に対して補助したものです。6目漁業用施設災害復旧費は、震災などにより被害を受けた漁業用施設の復旧に要した経費です。352ページをお開き願います。7目漁港災害復旧費は、災害などにより被害を受けた漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費です。8目水産養殖施設災害復旧費は、震災により被災した養殖施設の復旧に要する経費に対して補助したものです。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成24年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただき、32ページをお開き願います。
 農業改良資金等特別会計の予算現額は2億7、424万円余であります。これに対する収入済額は2億8、087万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等です。次に、支出済額は1億2、735万円余で、円滑な就農を促進するため、新規就農者に就農支援資金を無利子で貸し付けたもの、及び平成22年度の農業改良資金貸付事業終了に伴い、回収した償還金に係る国庫補助の返還と一般会計への繰り出しを行ったものです。
 34ページをお開き願います。県有林事業特別会計の予算現額は39億5、759万円余であります。これに対する収入済額は37億9、101万円余で、一般会計からの繰入金等です。次に、支出済額は35億3、517万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育等に要した経費です。
 なお、翌年度繰越額は、計画調整に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の4億310万円です。
 36ページをお開き願います。林業改善資金特別会計の予算現額は11億8、741万円であります。これに対する収入済額は11億8、068万円で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等です。次に、支出済額は5億6、718万円余で、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し、林業・木材産業改善資金を無利子で貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資の一部を金融機関に対して預託したものです。
 38ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の予算現額は7億8、419万円余であります。これに対する収入済額は8億571万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等です。次に、支出済額は70万円余で、貸し付け及び償還事務費です。
 以上で決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇工藤勝子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、一人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇嵯峨壱朗委員 簡単に質問させていただきます。
 食と緑の創造県いわてを目指して、さまざまな施策を平成24年度も行ってきたわけですけれども、直近の農業産出額はどうなっているのか。できれば分野ごとに説明いただければと思いますけれども、よろしくお願いします。
〇高橋農業振興課総括課長 現在の農業産出額についてでございますけれども、主なものを申し上げますと、これは直近の平成23年度でございます。上位から申し上げますけれども、米が582億円、ブロイラーが469億円、等ということになります。
 もう少し詳しく申し上げます。大変失礼申し上げました。
 米が582億円、野菜が265億円、果実が113億円、花卉50億円、工芸56億円、畜産1、293億円となってございます。総額で、2、387億円ということになっております。
〇嵯峨壱朗委員 もう少しわかりやすく言ってもらえばいいんです。いわゆる農業、畜産とほかの生産物と分けると畜産が1、293億円、そしてその他のものが1、090億円、合わせてということですよね。畜産のほうが多いわけですけれども、主要施策の成果に関する説明書を見ますと、平成22年度の現状値、これは平成21年度の生産が2、395億円で、平成24年度2、450億円を目指していると。平成26年度が2、500億円を目指していると。平成24年度の数値はまだ出ていないということですけれども、おおむねどういうふうに捉えていますか。昨年のことですから大まかには押さえているとは思うんですけれども、どう捉えているかお聞かせ願いたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 まず、見込みということでございますけれども、平成24年度の産出額、これは12月ごろ出る見込みでございますが、米の販売額が若干前年よりも下がっておると。一方で、畜産物は前年よりもやや上がっておるという見込みでございまして、若干減少するのではないかと考えておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 高齢化とか生産者の減少とか、風評被害も含めていろんな要素があって、恐らくなかなか苦戦しているんだと思います。そうした中で、前は畜産よりもそのほかの生産物が多かったかと思うんですけれども、ここ数年は畜産のほうがふえていて、そして今の説明でも畜産は伸びるという、大まかに言うと牛と豚と鳥とかあると思うんです。それはどういう状況と捉えていますか。どれが伸びているとか、そういったものは。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました主要畜産物の算出額の推移等についてでございますが、酪農とブロイラーの産出額につきましては、震災の影響によりまして、平成23年度はそれぞれ若干減少はしておりますけれども、酪農の部門につきましては、戸数が減少しているものの、現在生乳受託販売数量は、達成してございますし、ブロイラーにつきましては、出荷羽数が1億羽を超える、もとに戻ったということで、生産量は確保していると思っております。
 また、養豚の産出額につきましても、平成23年度につきましては、前年度に比較しまして増加傾向にあると認識してございます。
〇嵯峨壱朗委員 何を言いたいかというと、何年か前、岩手県の農業産出額、最大で3、000億円近くあったんじゃないですか。その辺わかりますか。一番多いときであればとか。
〇高橋農業振興課総括課長 本県の農業産出額のピークは昭和60年でございまして、その当時3、595億円ございました。
〇嵯峨壱朗委員 そこまで行くのは至難のわざかもしれませんけれども、少なくとも、平成26年度の目標値の2、500億円をどうやって達成していくのか。まだ平成24年度のも出ていないわけですけれども、その辺の考え方もお聞かせ願えればと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 目標達成に向けまして大きな原因となりますのは従事者の減少、高齢化の進行による生産力の低下でございます。したがいまして、これに向かって、本県の農業をリードします担い手の育成、これは地域農業マスタープランに基づく中心経営体の育成を図るところでございますが、それを進めてまいりたいと。
 あともう一つは、一時ピークを迎えていた米につきましては、今や3分の1をちょっと下回っているところでございまして、まず売れる米づくりの徹底等によりまして、産出額の維持を図っていきたいと。さらには、需要拡大が見込めます園芸、そして今畜産課総括課長から申し上げましたが、畜産の生産拡大を図ることによりまして、目標達成に向けて頑張っていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 こうして見ていると畜産が順調に、例えばブロイラーは全国で生産額3位ですか、そして豚は6番目ぐらいですか。(「7番目」と呼ぶ者あり)7番目、そして肉牛もかなりの水準です。そういったことからすると、かなりのポテンシャルが高いのかなと見ています。しかも金額もいくので。そういった意味では、その振興施策をきっちりやるべきだと思っています。
 ここでは聞かないんですけれども、前に宮崎に行ったときに、レンダリングでしたか、結局、つくるけれども必ず廃棄物が出てくるわけですね。その処理とセットじゃなければ、恐らくどんなに振興してつくっても、どっかで行き詰まるんじゃないかと思って見ているんです。それを今聞いても部長は答えられないかもしれませんけれども、どう考えているか、感想でもいいんですけれども。
 私、民間に任せてもなかなか難しいかと思うんですけれども、出口をきっちりやっていかないと、幾らつくっていってもどっかで行き詰まるんじゃないかと、それを心配しているんですよ。その辺の考え方もあればお聞かせ願います。
〇東大野農林水産部長 畜産に係るレンダリング施設、レンダリング処理の件ですけれども、それにつきましては、県としても畜産業を振興するからにはレンダリング処理というのがつきものですので、宮崎ももちろんそうですが、そこでやられているように、レンダリング産業がきちっとなっていることが畜産振興につながっていくと承知しております。ただ、これが民間企業でやられていることですので、今までも公害等の施設に対する補助とか、そういった取り組みは県としてもやってまいりましたけれども、それが健全に機能が維持されるような取り組み、そういったことについて支援してまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 結構複雑な背景もあるのは承知しておりますけれども、畜産センターもそうでしょうけれども、公の県としても、それぞれ連携してやっていかないと難しいんじゃないかと思っているんです。民間に任せているだけですと、そういった公害の問題もあるし、規模の問題もあるし、処理の質の問題もあるし、将来的には考えていくべきだと思っているんです。ですから、今の話は前向きですけれどももっと積極的にやっていかないと、結構難しいのはわかっているんですけれども、そうしないと岩手の畜産の未来は危ういと私は思っているんです。明るいけれども危ういと。その辺はぜひきっちりと積極的に対処していただきたいと思っております。
 ということでやめますけれども、何か所感があれば、なければいいです。
〇東大野農林水産部長 繰り返しのような形になりますけれども、畜産とレンダリング産業、必ず不離一体といったようなことであると承知しておりますので、民間の方々ともよく話し合い、生産者団体ともよく情報交換しながら対応してまいりたいと思います。
〇渡辺幸貫委員 関連。今のレンダリングに関して言うんですが、岩手県では花巻に太田油脂ってありますし、私のそばには東北油化というのがあります。ところが、ここ何年間か、今言われた設備を強化していくという中では、片方は努力しているけれども、片方はちっとも努力していない。それで、危険部位はどっちに行っているかというと、努力していないほうに許認可させてそこでやらせているという、そういう矛盾があるんですね。ですから、許認可をこれから――二つの工場に一応は頼んでいるんだけれども、まさか県外に頼むということが、これは宮崎県を見て承知のとおり、いつか病気が起きれば県外に頼めといっても、県外では全く受け付けませんから、許可しませんから、県内処理と必ずなりますから。だから、そのときにその許認可をどちらが適切な業者なのかということを――それは六、七年前のペナルティがあった事件も十分承知していますから、再度、その辺の許認可も含めて、適正なレンダリング処理のあり方を根本的に考えたいと思うとか何か、そういうお答えをいただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 御指摘のあった内容につきまして、申しわけありません、私、着任前ですので詳細は存じ上げておりませんが、ただ、御指摘のあった点も、産業として維持、発展していくという中の当然要素と考えますので、そういったことも含めて、よくよく関係団体等と情報交換しながら取り組んでまいりたいと考えます。
〇小田島峰雄委員 今回は畜産関係に絞って御質問をさせていただきます。
 最初に部長にお尋ねをいたします。本県肉牛振興に向けた将来展望についてお尋ねをいたします。
 本県の肉牛農家の推移を見ますと、ここ数年、飼養頭数、飼養戸数ともに着実に減少いたしております。今のところ、それでも全国で、飼養頭数で見ますと第5位、飼養戸数で見ますと第3位と上位を占めているんでありますけれども、もう少し広い範囲で、10年、20年のスパンでこの状況を見ますと、本県の将来がちょっと心配される状況になっているものと思っております。そういうことから、この現状について、まず部長はどのような御認識を持っておられるのか、お聞きをいたします。
 続けてまいります。それから繁殖牛、肥育牛の最近の市況を見ますと、一時期、震災の影響によって価格が著しくダウンしたときもありましたけれども、今は回復をいたしまして、特に子牛価格は高値に張りついてそのままになっております。一方、枝肉については、品薄感あるいは値ごろ感ということもあるんでしょうけれども、A5、5等級を除いて、まず平成21年度時点まで価格が回復をいたしております。
 こうして見ますと、繁殖農家、肥育農家ともに、順調に推移しているんじゃないかと思われるんですが、決してそうではありません。中身が問題なのであります。
 繁殖農家というのは、押しなべて高齢化してどんどん生産現場から撤退しているというのは、もうおわかりのとおりでございましょう。また、肥育農家も、高どまりの飼養コストなんかを考えますと、厳しい農家経済になっている。これも先刻御承知のとおりなんだと思いますが、そういう中で、本県の肉牛振興に向けてどういう方針で支援を進めていくお考えか、お聞きをしたいと思います。
 また、県内の市町村においては、独自の支援策を講じているところもありますけれども、その状況をもしつかんでいるのであれば、それについてもお答え願いたいと思います。
〇東大野農林水産部長 本県肉用牛の生産現場の現状と認識、あるいは支援策についてでございますけれども、先ほど委員御指摘のとおり、本県の肉用牛の現状は、平成22年度以降、繁殖では、高齢化による小規模生産者の廃業、肥育では、大規模経営体の倒産あるいは放射性物質の影響による肥育素牛の導入の減少といったようなことがございまして、平成25年2月に調べた時点では、繁殖の頭数自体には回復傾向が見られますけれども、戸数は、繁殖、肥育とも減少しているという状況にございます。
 また、経営状態についてでありますが、輸入飼料価格の高騰あるいは子牛価格の上昇などがございまして、特に肥育の生産者にあっては厳しい経営状態になっていると認識してございます。このような状況から、繁殖では、規模拡大に向けまして、国庫補助や県単事業の導入による低コスト牛舎の整備、あるいは優良素牛の導入のほか、キャトルセンターなどの外部支援組織の育成強化などに取り組んでおります。
 また、肥育につきましては、生産費を補償いたします肉用牛肥育経営安定特別対策事業への加入促進、これにより経営安定を図ること、また、生産者の要望に応じまして、飼料用米を活用したブランド化などの取り組みを支援しているといった取り組みを進めてございます。
 さらに、お尋ねのございました市町村における肉用牛の生産者の支援制度につきまして、22市町村で、素牛導入や放牧料等の助成を実施していると承知してございますが、今後におきましても、市町村や関係団体、これらの方々と連携しながら、本県の肉用牛の生産振興に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 ただいまの部長のお答え、いささか残念であります。現状認識の捉え方によって施策も大いに変わってくると思うんでありますけれども、私は今の畜産業を取り巻く現状というのは、大げさに聞こえるかもしれませんけれども、畜産王国岩手崩壊の危機だと私は捉えております。
 いろんな今お答えがありましたように、さまざまな施策を展開されていることについては評価をいたしておりますけれども、よりきめ細かい強力な支援策がないと、ここ5年、10年、長くても十四、五年を見た場合に、本県畜産業というのはえらいことになってしまうと。
 具体的に申し上げますと、例えば子牛価格で言えば、冒頭申し上げましたけれども40万円から50万円ぐらい、場合によっては60万円に届きそうな価格で推移をいたしておりまして、一見、繁殖農家はいいんじゃないかと思われるかもしれませんけれども、その飼養農家のほとんどがじいちゃん、ばあちゃんで、せいぜい1頭か2頭やっているところなんであります。1経営体で何十頭も繁殖牛をやっているなんていうのは、県内にあるんでしょうか、私は記憶にございません。そういう中で、どんどん高齢化によって生産現場から撤退をしていく。この人たちがいっぱい今いるから、子牛が供給されているのであります。この人たちがやめてしまったら子牛は入ってこないと、こういうことになるわけであります。
 また、肥育農家を見ましても、5等級、A5で大体2、000円強ぐらいでしょうか。ひところはこれが3、000円を超えた時代もありました。今は望むべくもない、2、000円ちょっと。4等級、5等級についても、品薄感から1、700円から2、000円程度で今推移しているから全体的には安定しているように見えるけれども、しかしながら、1頭当たりの価格で見ますと、せいぜい500キロやそこらでございましょうから、いいときで1頭100万円。一方、飼養コストは幾らかということで、いただいた資料によりますと、さっきもありましたように、えさ代だ、労務費だ、何だかんだといいますと96万円という数字が出ています。100万円で売っても手に残らないという、今の肥育農家の現状を直視していかなければならないのではないか。特に多頭飼育農家というのは、ほとんどが少なからぬ負債を抱えた農家なんです。やめたくてもやめられない。こういう状況下で今経営をやっているということなのであります。
 そういうことで、市町村もいろんな施策を講じながら対応しておりますけれども、もう一編申し上げますが、5年、10年先、わずか5年、10年先を見越した施策の投下というのは必要だと思いますが、もう一度部長の御見解をお聞きしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 今委員御指摘のあったとおり、5年先、10年先を見据えた畜産振興施策の展開、まさにそのとおりだと存じ上げます。そういった意味でも、今、高齢の生産者に頼ったような繁殖の生産構造とか、あと、飼養頭数が全国の中でも非常に少ないという本県畜産の現状を考えれば、やはりコストのことを考えても、できるだけ飼養の負担を減らしながら飼養頭数を拡大していく方向に進んでいくのが、畜産県岩手を維持していくのに非常に大事だと考えてございますので、委員御指摘の点も重々踏まえながら、生産対策に取り組んでまいりたいと考えます。
〇小田島峰雄委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。今、特にも、肥育農家というのはのるか反るか、ぎりぎりの状態で経営をしていると、そういう方々がたくさんおられますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に移ります。
 昨年長崎で開催されました第10回全国和牛能力共進会の評価と、4年後宮城県で開催されます次回共進会への対応についてお聞きをいたします。
 昨年長崎で開催されました全共でございますけれども、私を初め研究熱心な同僚議員数人と、現地に行って見てまいりました。そういう中で、昨年は、本県は第1区で全国2位、団体表彰でも九州勢に続き5位、こういう成績であったわけであります。まず、この成績をどう評価しておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
 また、もうすぐ4年後は隣の宮城県で開催されますけれども、どういった姿勢で臨んでいくお考えか、お聞きをいたしたいと思います。
 次に、現地で見た限り、本県の出品牛は、全国からたくさん集まっておりましてすごい熱気、応援団が全国から集まってきますから、そういう熱気の中で拝見をいたしたのでありますけれども、九州勢に比べると一回り、二回りちっこいのが我が県の牛です。肉質を重視しているんだと思いますけれども、一定の評価が本県牛にはあるんでありますけれども、いかんせん、がさが大きくないと、体が大きくないと、結局のところ農家収入に結びつかないということも言えるわけであります。そういう意味で、どういった方針で育種に取り組んでおられるのか、この2点お聞きをいたします。
〇及川振興・衛生課長 第10回全共の評価、それから4年後の宮城大会に向けた対応についてでありますけれども、まず第10回長崎全共におきましては、ただいま委員がお話しになられましたとおり、第1区優等賞2席、それから出品団体表彰では第5位と優秀な成績をおさめまして、東日本の主産県といたしましては全国に実力を示すことができたものと考えてございます。しかしながら、肉牛の部におきましては、出品条件が24カ月齢の若齢肥育であったといったようなことから、肉質が期待どおりではなくて、残念ながら上位入賞は果たすことができなかったということも事実でございます。
 県といたしましては、この結果を踏まえまして、4年後の宮城大会でさらなる好成績をおさめることができるよう、関係団体と連携いたしまして、出品条件に合わせた若齢肥育技術の向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、産肉性の向上に向けた改良についてでございますけれども、肉用牛生産者の所得向上を図り、主産県としての地位を確立するためには、肉質にすぐれ、同時に、増体能力も兼ね備えた本県独自の種雄牛を造成することが重要であると認識してございます。
 県といたしましては、これまでも、関係機関や団体と一体となりまして、産肉性にすぐれた種雄牛の造成に取り組んでまいりました。さらに、今年度からいわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業、これを開始してございますけれども、こういった事業を活用し、県有種雄牛を利用いたしました地域内一貫生産を推進して、繁殖基盤の強化を図っていきたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 御存じのとおり、全共というのは牛のオリンピックと言われております。人間の世界でもオリンピックに出場するというのはそれだけで大変名誉でありますけれども、このオリンピックで金メダルをとったり銀メダルをとったりするというのは、多くの農家にとって大きな励みになるわけであります。今回の全共を参考にされまして、今お答えをいただきましたけれども、ぜひ一工夫も二工夫もして、農家の道しるべになるような、希望になるような、そういうお取り組みをお願いするものでございます。
 次に、優良種雄牛開発の現状と対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 この平成24年度決算の中に、いわて和牛改良増殖対策事業というのがございまして、決算額が5、300万円余であります。まず、この事業の内容をお聞きしたいと思いますし、また、今ちょっと課長の答弁の中にもございました種雄牛開発の現状と対策についてお伺いをいたします。
 続けてお聞きします。本県が開発をいたしました菊福秀、これにつきましては今現在販売数のトップでございます。現場の農家でも極めて好評でございまして、うちのあたりの畜産農家から、この点は必ず県の施策を評価してくれと、褒めてやってくれと、こう言われてまいりましたのでまず褒めますが、しかしながら、この菊福秀も平成12年の生まれといいますから、もう13歳。せいぜいあと六、七年で後継牛と交代しなければならない年格好になっております。そういうことで、具体的に、この菊福秀に続く、全国に出してやっても恥ずかしくない、1等賞、2等賞をとれるような後継牛の候補牛があるのかどうか、そういうことについてもお答えいただきたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 まず、いわて和牛改良増殖対策事業の内容と、それから種雄牛造成の現状と対策についてでありますが、まず、この事業につきましては、本県の肉用牛生産の安定、それから競争力の強化を図るために、優良な種雄牛を造成し、その精液を県内農家に安定的に供給するため行っております産肉能力検定に係る費用の一部を、検定に協力していただきました生産者の皆さんに対して助成するといった内容のものでございます。こういった取り組みの結果、昨年度――平成24年度は月山桜など3頭を選抜してございまして、本年4月から基幹種雄牛として凍結精液の販売を開始し、9月末現在、約1、500本が販売されてございます。
 県といたしましては、今後も、先ほど申し上げましたけれども、質量兼備の種雄牛造成に取り組むとともに、交配しやすい純系の作出あるいは遺伝的多様性の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、他県に勝てるような優良種雄牛の候補についてでございますけれども、近年、選抜いたしてございます秀福安あるいは花安勝が脂肪交雑等におきまして菊福秀を上回る種雄牛として期待されてございます。さらに、昨年度、選抜いたしました月山桜など3頭もいずれも産肉性にすぐれまして、これらの産子につきましては平成27年から順次子牛市場に上場される予定でございまして、全国的な評価が一層高まるものと期待してございます。
 県といたしましては、今後とも、生産者のさまざまな多様なニーズに応え得るような種牛づくりに取り組むとともに、こういった新しい種牛の普及拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 ところで、通告しておりませんでしたけれども、この決算の5、300万円余というのは、比較する材料がございませんのでわかりませんが、例えば鹿児島県とか宮崎県とか岐阜県とか兵庫県とか、そういうところと比べてどうなのか今おわかりでしょうか。鹿児島県、宮崎県が2億円も3億円もということはないと思いますが、それをちょっと参考までにお聞きしたいと思います。
 それからもう一つは、御存じのとおり、県内の市場へ行ってみますといろいろ頑張っておられる。そういった優良種雄牛の産子を農家が市場に出すんだけれども、実際は他県のバイヤーが来て、全部押さえて買ってしまう、こういう実態があるんです。そして、買っていった子牛が松阪牛になったり神戸牛になったりして1頭何百万、場合によっては1、000万円超えるときもありますが、そういった値段で取引されているというのは極めて不本意なんです。そういう意味で、県内で産出された産子が県外に出ていっている割合など、そういったデータがあるのかどうかわかりませんけれども、大体、勘で結構ですので、そういう現状についてお知らせいただきたい。
〇及川振興・衛生課長 いわて和牛改良増殖対策事業の予算規模が他県と比較してどうなのかといったお尋ねでございますが、南九州の鹿児島県につきましては8、200万円余の予算と聞いてございます。それから東北圏でございますけれども、宮城県については750万円余(後刻「3、900万円余」と訂正)と聞いてございます。宮崎県につきましては、申しわけございません、現在持ち合わせた資料がございませんので、お答えしかねます。
〇工藤勝子委員長 県外に出た頭数は。
〇及川振興・衛生課長(続) それから、県内市場の購買者の構成でございますけれども、先ほど委員おっしゃいましたとおり、これはおおむねでございますけれども、県内と県外購買者の割合は、県外購買者のほうが約6割、7割くらいを占めると聞いてございます。したがって、購買頭数は、これも把握してございませんけれども、おおむねそれに準じた割合で県外に買われていくのが多いのではないかと推察してございます。
〇小田島峰雄委員 そろそろ終わります。
 他県の同種の事業への投資額ですけれども、さっき宮城県は7億5、000万円と言いましたか、750万円と言いましたか、それを後でお答えいただきたい。
 それから、今お話がありましたように、県内と県外の割合ですが、県外が6割、7割。やっぱりこれは極めて重大問題だと思います。参考例を申し上げますけれども、花巻市の場合は、市と農協が半々ずつ出し合って、域内で産出した産子を留保した場合に7万円交付するんです。7万円が高いか安いかは別といたしまして、やっぱり市町村においても懸命な努力をしている。できるだけ地元に残すと。そして、地元で育てて高く売る、こういう努力をしております。県におきましても、今年度から、県有種雄牛の産子を留保した場合に幾らという新制度を創設されたそうでありますけれども、それはそれで高く評価いたしますけれども、思い切った施策を講じませんとみんな県外に行ってしまうということだろうと思います。100%県内で留保せよということは申し上げませんけれども、その割合が少なくとも2割やそこらでとどまるような政策のあり方というものは検討されてしかるべきだと思いますけれども、そういう点についてもお答えいただきたいと思います。それを聞いて終わります。
〇及川振興・衛生課長 先ほど委員が御指摘されましたとおり、県内購買者の購買力が県外購買者に比べてやや弱いのかなというふうな感じは持ってございます。したがいまして、まず、そういった県内購買者の購買力をつけるためには、今あります国の安定対策の制度も活用しつつ、先ほども申し上げましたけれども、いわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業、あるいは県有種雄牛の産子を保留して肥育するといったものに対する助成事業を活用しながら、少しでも県内購買者が買える、そういった環境整備を図ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員長 宮城県の予算について。
〇及川振興・衛生課長(続) 先ほど、宮城県の予算については750万円(後刻「3、900万円余」と訂正)と申し上げました。
〇渡辺幸貫委員 関連。私も昔、種雄牛に携わったことがありまして、今の菊福秀の先祖というか、3代ぐらい上がれば菊谷と。和人、恒徳、菊谷というのは我が農協の誇るところであります。ただ、それがピークにいきますと、これを維持するためには何をしたらいいかということになると、今度は雄ばかり見たってだめなんですね。やっぱり雌も買ってきて、そしていい子が育つということを考えるんですよね。そういうことで雌牛導入というのをやったわけでありますが、今はその辺を岩手県はやっていらっしゃるのかどうなのか、そこだけ聞きたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 委員御指摘のとおり、改良を進めるためには、雄だけではなくて、当然半分は雌の遺伝子が入るということで、雌牛の果たす役割は非常に大きいと認識してございます。したがいまして、県といたしましても、県外からの優良基礎雌牛の確保に力を入れていかなければならないと考えてございます。現在、優良雌牛の確保につきましては、既存の家畜導入事業もございますので、そういった活用によって県内外の優良な雌牛確保に努めてまいりたいと考えてございます。
〇渡辺幸貫委員 今は農家が適当にその事業で買っているのではあるまいかというふうに私には聞こえてならないんですね。今、小田島委員がおっしゃった和牛共進会に行っていい成績をとろうというのは、我が県はこういう方向でいくんだという方向性を示してもらわなければだめなんですね。量なのか質なのか、これは永遠の課題でありますけれども、やっぱり我が県のこれは欠点だったなと。もっと詳しく言うと、胆江だとか一関のあたりだとか中央だとか、市場によって牛が違うのは私は嫌というほどわかるんだけれども、ただ、今は全部の種雄牛は県が持っているわけだから、和牛共進会に向けてこういうふうな改良方針でいきたいという夢を聞かせてもらえればと思います。
〇及川振興・衛生課長 委員御指摘のとおり、これまでの改良の主体というのは、各地域にございます育種改良組合が例えば中国地方の主産県から優良な繁殖素牛を導入して独自に改良を進めてきたという経緯がございます。県は、昭和62年度からこういった種雄牛あるいは繁殖雌牛と計画交配を実施しながら、本県独自の多様な種牛を造成してきたということでございます。
 最近、生産者の間では、質はもとよりですけれども、やはり体積感があるといいますか、増体を重視する傾向がうかがわれますので、県といたしましても、引き続き、そういったニーズに応え得るような質量兼備の種雄牛造成に努めてまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 私は、通告していたものを多少省きながらやりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず最初に、きのうからけさにかけてこれを新聞、テレビで取り上げておりました。平成24年度も、この場で、あるいは別な場で私も議論させていただきましたけれども、和食の世界無形文化遺産、これがユネスコのほうでどうやら登録に向けた記載勧告ということになりまして、いよいよ本決まりという方向になってまいりました。
 そこで伺いますが、岩手県として、平成24年度の和食の無形文化遺産に向けた取り組みはどのように行ってきたんでしょうか。
〇東大野農林水産部長 今お話がございましたとおり、和食の世界無形文化遺産について、ユネスコ機関から登録に向けて登録の勧告があったという報道がけさございました。この件に関しまして、本県は地域の食材を生かした食文化がございまして、県としても、食の匠の認定制度といったようなことを通じて、食文化の伝承とか、あるいはその中身を地域に広めていくという取り組みを支援してまいりましたし、世界無形文化遺産への登録につきましても、登録申請前から国に対して本県の食文化の伝承とか普及の活動をお知らせして、いわば登録に向けた素材の提供ということに取り組んでまいりました。そういう意味で、そういった取り組み自体はもちろんこれからも続けていくというふうに考えてございまして、その地域の食文化の伝承などの活動の活発化を図っていきたいという方向性はそのような取り組みで続けてまいります。
〇岩渕誠委員 実は、政府がユネスコに対して行った推薦書の記載、たしか40ページぐらいあったと思いますけれども、この中で一番出てくる県の事象というのは岩手県。岩手県が一番、食文化、日本の和食の代表として、餅文化を初めとして出されている。これは、そもそも京都の料理人等がつくっているNPOが提唱して政府に働きかけをしたんですけれども、いずれその推薦書の中身を見れば、岩手県の食文化が果たした役割というのは極めて大きいという意味で、私はこの無形文化遺産というのは、本当に岩手の食文化がなかったらなかったんじゃないかとさえ思っております。
 そこでお尋ねしますが、食の匠、これは平成24年度の審議あるいは取り組みの中でも出てくるわけでありますが、もう少し幅を広げて取り組む必要があると思っております。
 一つは、例えばその食材の背景をきちんと理解するということだと思います。それをアピールするということだと思います。例えば、委員長の地元である遠野市は時々ふるさと村でみそづくりなんかをやりますけれども、それにはわらのつまごというのを使って、しかもそれは無農薬の稲からとったもので編んで、そしてたるをつくって、踏んで、入れて、そしてふたは笹を使うとか、そういう先人の知恵、それは殺菌効果とかいろいろあるんですけれども、そういったところを紹介していくことで、無形文化遺産という価値を、背景を知ってもらうことにもなると思います。
 それからもう一つは、これは政府も言っていますけれども、この無形文化遺産を機に風評被害対策もやりたいし、東日本大震災の復興の象徴としてこれをアピールしていく必要があると。食の復興ですね。こういう二つの観点も今までの食の匠というところだけではなくやっていかないと、せっかくの無形文化遺産というのが岩手にとって有効に機能しないのではないかと思っているんですが、部長、見解はいかがですか。
〇東大野農林水産部長 今、県が取り組んでいる制度としての食の匠について、もっと広がりを持たせる、あるいは御提案のあった食材の背景とか先人の知恵、それもきっちり伝えながらアピールしていくといったことに取り組んではどうかという御指摘でございますけれども、県としても、そういった食文化とか地域の伝統みたいなものも地域に伝わっていくことが非常に大切なことだと思いますし、地域活性化の点からも、交流してその地域を訪れる人に対してもそういったことを伝えていくということは非常に有効だと思います。
 さらに、風評被害対策の話がございましたけれども、まさに復興の象徴としてそういったものをアピールしていくといった方法もあると考えますので、今さまざま御提案のあった内容も含めて今後の取り組みについて検討してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ことしはまめぶというのが大分全国的に広がったわけでありますけれども、無形文化遺産、和食のではなくそれが一つ大きな復興の柱という一面を持つというぐらいの気構えでやっていただきたいと思います。
 次に行きます。
 牧草地の除染の進捗状況について、平成24年度はどういう状況であったでしょうか。それから、3カ年計画の初年度ということであったと思いますが、当初の見込みに対してどのような評価を持っているのかお示しいただきたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 牧草地の除染状況と今後の見通し等についてでございますが、平成24年度から実施してございます牧草地の除染状況につきましては、原乳対策分を含めました対象面積の1万3、606ヘクタールに対しまして、平成25年9月末現在の除染状況は9、115ヘクタールと全体の進捗率は67%となっているところでございますが、除染作業は、播種適期の都合上、秋施工が中心となっておりますことから、現在、鋭意取り組みを進めているところでございます。
 今後は、残りの4、491ヘクタールにつきまして、県の牧草地除染マニュアルや国等の知見を踏まえまして、十分な除染効果が発揮できるよう丁寧に牧草地の除染を進めまして、除染工程計画に基づき、来年度には完了するよう取り組んでまいりたいと思っております。
 今年度の進捗が、御案内のとおり7月から9月にかけまして雨にやられたということもございまして、若干作業が右のほうにずれているということでございますけれども、当初の予定どおり、まだ播種適期でございますので、完了するように努めていきたいと思いますし、できない部分につきましては、年度内には必ず次年度の作業に続けるように耕起の作業は進めるように現地には指導させていただいているところでございます。
〇岩渕誠委員 今お話ありましたようにこれは天候にも大きく左右されますので、67%という数字が一概にいいのか悪いのかという評価というのはなかなかできないだろうと思います。ただ、1年目はやりやすいところはやっていますからこれぐらいの数字は出ると思いますけれども、これから出てくるところというのはかなり厳しい状況が出てくるだろうと思っております。
 一つは、やる時期を逃してしまうと、自力施工しますと言ったもののやっぱりちょっと難しいなということでお願いしたいというところが私のところにもよく相談に来ますけれども、そういった話の中でどんどん大変になってくる。それからもう一つは、公社施工に頼んだとしても、今度は機械の入らないところが多くなってくるということが出てきますから、そこをもう一度本当にできるのかできないのかという見きわめをつけないと、この後の農地利用ということを考えてもどうなのかなと思っているんですが、そのあたりの課題についてはどう捉えていますか。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま委員から御質問のございましたなかなか計画どおりに進まない部分、例えば耕起不能箇所という話がございましたが、この耕起不能箇所への対応につきましては、主に牧場で多いものですから、そこの牧場を中心に、関係機関、団体で構成する現地工程会議で、牧草地の継続利用と除染の実施可否等の方針につきまして、国や本県の試験等を参考にして年内にはその方針を定めまして、順次必要な対策を講じてまいりたいと思います。
 また、当初の予定どおり農家に委託する施工につきましては今年度中には終わらせたいということで、なかなか難しいというところにつきましては来年度に集中して農業公社でもって施工していく、そのような段取りで進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 今、牧野の話をしましたけれども、私はちょっとその見通しは甘いんじゃないかと思っています。というのは、どうしても公社の委託ということになると大型機械が頭にいくんですが、恐らく非常に難しいというところはむしろ、面積が小さくて田んぼがいっぱいあって中山間地の奥にあると。そこまで行くものがないんですよね、今の状況の中で。そういったところは農業公社に委託したとしても多分難しいだろうと。逆に言うと、そういうところをこれからもそういう農地の使い方をしていって果たしていいのだろうかという農地管理の問題をもう一回これを契機に問い直さないと、私は農地政策としてちょっと問題があるんじゃないかと思っているんですが、いかがですか。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま委員がおっしゃったとおり、耕起不能箇所は、なかなか除染が困難だといっている割合的にいきますと、農家が所有している農地ですと大体200町歩ぐらいあると思っております。今、委員がおっしゃったなかなか難儀するという部分についてはその200町歩のうちに含まれるんじゃないかと思っていまして、現在、国で提示してございます無線のトラクター、これでもって除染できるものについてはして、それでできないものにつきましては、個々に圃場単位に現地工程会議でどういった対応を講じていくか、場合によっては東電との損害賠償のかかわりもありますので、そのように整理をしていきたいと思っています。
〇岩渕誠委員 いずれ最新鋭の機器だろうと何だろうと、除染が難しい地域というのはそこまで行く道がないんですよ。入らないんですよ。自力というわけにもいかないですし、そういったところを踏まえて、除染の問題は、残っているところというのは農地政策に大きく絡んでくるところですから、よくよく検討した上で今後の展開を考えないと、お金をかけたんだけれども、結局そのお金はどういうふうな意味づけがあったのかということにもなりかねないと私は思っております。確かに先祖伝来の田畑を維持するということからいえば私らの世代なんかもプレッシャーはかかっているんだけれども、本当に実際にやるという段階になれば、それはわかるけれども、やっぱり現実に即した対応をしてもらわないと、農家の経営を維持するとか農地を維持するというのは本当に難しいということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 次に、米の販売対策についてお伺いいたします。
 岩手県では、米の特に良食味米、トップブランド化に向けてプレミアムブランド米についての開発も進めてきて支援もしてきたと思いますが、平成24年度につきましては、若干県としての取り組みは薄かったのかなと思っております。これは、米改革大綱が出て以来、このプレミアムブランド米に対しての期待は大きかったものの、数量目標も200トンと出したものの、全くそこまでいかなかったというのが現実だと思うんですが、今のプレミアムブランド米に対しての県の位置づけ、取り組み、評価はどうなっていますか。
〇泉流通課総括課長 プレミアムブランド米の位置づけについてお答え申し上げます。
 県産米の販売対策においては、消費者や市場から支持される付加価値の高いプレミアム商品の開発、PRを通じまして、販売促進はもとより、県産米全体の知名度の向上及び評価の向上を図ることが重要と認識しており、安全・安心、良食味に徹底的にこだわりましたプレミアムブランド米を県産米の広告塔と位置づけて、その確立支援に取り組んできてございます。
 具体的には、現地での栽培実証を継続しつつ、首都圏や県内の百貨店におきまして試食販売会を実施し、安全・安心や良食味を積極的にPRするなど、露出度を意識した販売を現在進めております。
 プレミアムブランド米は栽培基準が非常に厳しいことから栽培面積が拡大しないという状況にもございますが、県としては、今後も県産米の広告塔といたしまして、首都圏の飲食店における提供も視野に積極的にPRに取り組んでまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ことしの状況も私、聞いていますけれども、販売――出口戦略でかなり御努力をしていただいていると聞いておりますし、栽培支援についても農研センターを中心に頑張っていただいているということも承知しておりますが、やはり供給側の広がりがないですよね。それをどうしていくかということをもっと真剣に考えないと、目標は皆さんが立てた200トンというのがあるわけでありまして、今、実績が何トンとは聞きません。恐らく何十分の1とか100分の1とか、そういう世界だと思いますのでやっていただきたいんですが、そこで問題になるのは、一方で良食味米の県の販売対策、将来を見据えては良食味米の開発ということが非常に日程的にも見えてきたと。2月の予算特別委員会でも、平成29年度に岩手県として、良食味米としては初めてでしょう、オリジナルブランド米を市場投入するとはっきりとおっしゃっているわけでありますけれども、現状の開発状況についてお示しいただきたいと思います。
〇中南水田農業課長 新しい良食味米の開発の状況についてのお尋ねでございます。
 県では、生物工学研究センターで作出しました良食味に関する遺伝子の有無を調べるDNAマーカーを活用しまして、これまでに交配を実施して得られた良食味の系統の中から、より食味のすぐれた遺伝子を持つ複数の系統を選抜してございます。平成25年度――ことしは、これらの系統につきまして収量性ですとか耐病性等の特性を調査するとともに、食味の官能試験も行って、コシヒカリを超える良食味品種候補の絞り込みを進めておる状況です。
〇岩渕誠委員 この良食味米に対してはプレミアムブランド米以上に農家の期待が大きい。他県の状況を見ても、やっぱり新しい良食味米のブランドが出ますと通常よりも二、三千円高く取引できるというような状況にありますから、これは本当に期待が大きいんですが、一方で、なかなかその状況が農業関係者にすら余り知られていない状況であります。私は、やはりある程度の開発の秘匿性というのは当然あるわけでありますけれども、平成29年度に市場投入するということから考えると、やはり逆算して流通対策なり試食販売なり栽培対策なりをきちんとしていかないと、せっかくこれまで平成24年度も含めて積み重ねてきたものの効果が出ないんじゃないかと危惧しているわけでありますが、特にも大事なのは、一般の農家に対して、平成29年度の市場投入の前の3カ年ぐらいで、特に意欲のある若手の農業者に対して試験栽培を積極的にやって、そういった意見も聞きながら開発を共同でやっていかないとやっぱり大変だと思うんですが、いかがですか。
〇中南水田農業課長 生産者を巻き込んだような形での新しい品種の周知というようなお尋ねでございますけれども、平成26年度までにその候補を選抜した後、平成27年度からの2カ年間、現地での試験栽培、これは現地数カ所で栽培することとなるかと思います。この栽培に当たっては、当然現場の農家の協力を得ながら栽培を行うわけでございますが、その際、生産者あるいはJAの方なども対象とした説明会を開催しながら、その品種の栽培の特性ですとか、それから、今、広く栽培されていますひとめぼれとの違いといったところも理解していただくということを行っていきたいと思いますし、実際にその食味のよさを確認してもらう試食の機会なども設けて、意欲を持って生産を開始していただけるように準備を進めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 いずれ、ある程度情報を提供しながら、ある程度ロッドを広げて意欲のある農家とやっていただきたいんですが、実は、農家側でも、そこまでのいわゆる品種改良という段階までいかなくても、例えばひとめぼれの超早場米みたいな早く登熟する種子を集めて、おととしぐらいからやっているところはもう8月下旬には刈り取りができるというようなことで販売をしている。ロッドはそんなに大きくないんですけれども、やっているようなところもあります。そういった民間の動きもありますので、ぜひ総合的な対策というのは打っていただきたいと思います。
 最後にします。
 小作の実態についてお尋ねしたいと思います。
 最近、やっぱり高齢化等なかなか状況が大変なものですから、普段の管理も含めてお願いしたいという農家がふえていると思います。作業受委託以上にその性向が強まっていると思うんですが、どのように県は把握されていますか。
〇高橋農業振興課総括課長 県内の小作の実態でございます。
 小作は2種類ございまして、お金を払ってやる賃借権、もう一つは、無償でございますけれども使用貸借権というものがございます。これにつきましては、国が毎年行ってございます農地の権利移動等に関する調査によりますと、直近が平成23年でございますが、件数7、350件、面積で約6、600ヘクタールの賃借権等が設定されております。5年前、これは平成23年の5年前となりますが、これと比較しますと件数で536件減少してございますが、一方で面積は935ヘクタール増加してございます。
〇岩渕誠委員 これは年々増加してくるのであろうと思っています。普段の水回り、それから、一番はやっぱり草の管理ですよね。これが全然追いつかないというところで、これは、本当に高齢化、担い手をどうするんだというところが実はもう相当なところまできているという一つの大きな証左なんだと思いますが、一方で、受けるほうの立場、頼むほうは頼みたいというのはそうなんですよ。私らの世代でいいますと、おやじ、おふくろが元気じゃなくなるか機械が壊れるかするとこれを何とかしてくださいという話になるんですが、受けるほうからすると、条件のいいところはいいけれども、悪いところは受けたくないと。あとは勝手にやってくれということでだんだん衰退してくるというのが一気にくるような状況になるかと思うんですが、その辺でいうと、特に中山間地の小規模な圃場の整備ということからすると、今そこに合う整備というのはなかなか難しいのかなと思っているんですが、現状でどういう状況になっていますか。
〇高橋農業振興課総括課長 小規模な基盤整備、恐らく簡易な整備だと思いますけれども、その現状につきましては、一方で中山間地域等直接支払いの中で管理等をしていただいているところでございまして、どれくらいのものが整備という、いわゆる団体以下のものについてはちょっと把握してございませんが、最近の小規模基盤整備、特に県単でやっている部分がございます。それをひもときますと、平成24年度ではおよそ7ヘクタールちょっとのものが岩泉などで実施されてございます。
〇岩渕誠委員 いずれ、そんなことはないですよね。私が心配しているのは、そういったところに手をかけないと、例えば赤線道路なんかもそうですけれども、本当に少しでいいんですよ。面工事を大規模にやれと、土地改良区の立派なところを2町歩にするとかそういうのではなくて、本当にちょっとしたところに手をかけるだけでそういった困っている農地が生き返るし、受けてもいいよという人たちが結構出てくるんですね。そこが制度的にどうなのかなと思っているんですが、そういう中で政府の農地中間管理機構みたいな話が出てまいりまして、どうもきょうの新聞によると地方負担を2分の1求めるなんて話が出ているんですけれども、私は、そういう農地機構に地方負担のお金を出すぐらいだったら、そういう小規模なところの使い勝手のいい圃場整備なり農地基盤整備というのをきちんとやることによって生き返ってくる農地のほうがはるかに高いし、そのほうがニーズがあると思っているんですが、これは沼崎農村整備担当技監に、いいですか。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村振興課総括課長 中山間地域の基盤整備のお話でございますけれども、平場に比べますとやはり地形条件が厳しいということで、委員御指摘のとおり中山間地域はまだまだ整備がおくれておりますけれども、今、盛んに平場から中山間地域のほうに軸足を移しまして基盤整備を進めておりますので、今後におきましても、本県は何しろ中山間地域が県土の8割を擁しているということもありますので、中山間地域に軸足をしっかり置きながら基盤整備を進めていきたいと思っております。
〇軽石義則委員 私は1点お伺いしたいと思いますが、グリーンヘルパー導入事業費についてでございます。
 この制度は、繁忙期の労働力不足の解消、また、就労の拡大、雇用対策ということで始められた事業であるとお聞きしておりますけれども、導入の背景、また実施状況、課題などについてお示し願いたいと思います。
〇下村農産園芸課総括課長 グリーンヘルパー導入事業費についてでございます。
 導入の背景、実施状況、課題等ということでございますけれども、本事業は、被災地域――宮古の被災者の雇用を目的といたしまして、収穫最盛期の作業軽減が課題となっておりました宮古のキュウリ農家の作業支援を行うと。そのために国の緊急雇用創出事業を活用し、事業化されたものでございます。具体的には、農協が被災者を雇用してキュウリ農家の作業を3カ月間でございますがお手伝いするという内容でございます。
〇軽石義則委員 期間限定の被災者支援の事業ということでございますけれども、実際、そこで課題等については何の発生もなかったのか。また、その雇用条件は被災者であればいいということであるのか。また、雇用契約がどのような状況なのかお示し願いたいと思います。
〇下村農産園芸課総括課長 今回の事業は国の緊急雇用創出事業を使ってございますので、条件とすれば、被災者というよりも失業者であるということが条件になってございます。
 雇用条件につきましては、今回、公募で採択されました新いわて農業協同組合の規定に基づきまして、就業時間は午前8時半から午後5時までの7時間30分、日給につきましては6、000円ということで雇用されてございます。
 なお、今回、キュウリの収穫の最も忙しい時期の7月から9月の3カ月間に限って雇用ということで、短期でございますので、特に長期間の希望等とのミスマッチという課題はないと聞いてございます。
〇軽石義則委員 非常にいい事業であると思いますけれども、その事業によって、受益者、いわゆるその作業によって助かる農家の方々の負担は発生するものなのでしょうか、教えていただければと思います。
〇下村農産園芸課総括課長 今回の事業は国の緊急雇用創出事業を使ってございますので、人件費につきましては全てこの緊急雇用の事業費で賄うということで、利用者の農家の負担はないものという内容になってございます。
〇軽石義則委員 3カ月限定でございますけれども、その後の雇用期間終了後の対応というものはそれぞれの方にどのような形でなされていたのかお示し願いたいと思います。
〇下村農産園芸課総括課長 今回は、最初から夏場の3カ月間に限ってということで募集し、応募してきた方、4名と聞いてございますが、その期間だけということでございますので、例えば雇用期間の延長等は行われていないと聞いてございます。
〇軽石義則委員 そういう状況の中において、地域とか農産物の種類に限らず、多分県内全体的に、このヘルパー制度等があればかなり仕事が軽減されたり、就農または後継者の皆さんも助かるという声も多く聞こえているわけですが、このような制度を、被災者支援ということであれば限られてくると思いますけれども、雇用対策ということであれば全県的にさらに広げることも可能ではないかと思いますけれども、他の農産物や地域において、同様の要望、そしてそのような現状があると思われますが、それはどのように把握されているのかお示し願いたいと思います。
〇下村農産園芸課総括課長 確かに委員おっしゃるとおり、園芸農家におきましては、夏場等、労力が集中する時期に支援が欲しいという声はございます。県といたしましても、実は平成11年度から農協等が中心となりまして、労力を確保しますグリーンヘルパー制度につきましてはその利用促進を図ってきてございます。平成24年度におきましては県内7農協で178名のヘルパーが雇用されておりまして、主にピーマン等の果菜類あるいは小菊、リンゴ等の品目での作業支援が行われておりまして、おおむね内陸部の主産地を中心に定着してきているところでございます。
 なお、平成21年度から平成25年度にかけまして、先ほどありました国の緊急雇用関連対策の交付金を活用いたしまして、5農協、3農業生産法人がヘルパーを雇用しまして、農家の作業を支援する取り組み、そういったものを促進する事業を実施してきたところでございます。
〇軽石義則委員 そうすると、かなり県内でも実施されているということでありますけれども、決算事項別明細書の239ページのグリーンヘルパー導入事業費のほかにはどの部分にそれが入っているのかお示し願いたいと思います。
〇下村農産園芸課総括課長 決算事項別明細書の245ページになります。畑作振興費の備考欄に記載しておりますいわての新経営体育成支援事業費でございます。
〇軽石義則委員 その部分の金額はどのぐらいになっているんでしょうか。
〇下村農産園芸課総括課長 支出済額でございますが、1、069万1、581円となってございます。
〇軽石義則委員 そういう制度があるということを知っている方と知らない方の差もあるのではないかと思いますが、周知はどのようにされているんでしょうか。
〇下村農産園芸課総括課長 こういったグリーンヘルパーの取り組みにつきましては、県と農業団体等が協力して周知してきているところでございまして、各農協で、こういう仕組みがとれるところにつきましては、農家にチラシ等を配りながら農家の作業を受託する、あるいはヘルパー希望者に新聞折り込み等をしながら募集を募るといったような取り組みをしているところでございます。
〇軽石義則委員 まだまだ周知がしっかりされていないようなところも見受けられますので、ぜひさらに制度として周知されるようにお願いしたいと思いますし、生産者の中には、やはり高齢で、自分では生産ができなくても、そういうヘルパー制度で長年培ってきた技術というものをしっかり後継者に伝えていくような制度があればそこで働きたいという方々もいるようでございますので、そういう貴重な技術をしっかり継承できるようなものにしていくような制度にさらに充実を図っていただければと思いますし、そうすることによって、耕作面積の拡大や収量の拡大、新規就農者の拡大など、改めて雇用の拡大にもつながっていくし、収入もふえていくのではないかと思いますので、そういうサイクルができるような形の制度にしていただくことをお願いし、そのことを最後に部長から所感を聞いて終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 現在の本県の農業について、生産者の方々はさまざま課題を持ってございます。その対策も我々で日々検討させていただき、できるものから実施させていただいてございますけれども、今回の雇用基金も農林水産省の事業ではなく厚生労働省の財源をもとにしてございますので、そういったさまざまな省庁の取り組みで農林水産業の振興に役立つものは活用させていただきながら農業の振興を図ってまいります。
〇工藤勝子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時54分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇柳村岩見委員 けさほど委員長が、世話人会の検討結果というよりは検討経過報告をされました。その中で、参考人を招聘して審査を行うという事項の中で、結論ではないそうでありますが、前山田町長沼崎氏を議会に参考人招致をして審査をするということについて、仮にも人格が独立しておって自己完結を持っている山田町が、執行者があり、議会があり、監査が行われ、一つの仕事の終結を済ませていく――ほかのことはですよ――そういう過程において存在をしている自治体の前町長を議会に招聘して参考人質疑を行うという、このことについて、恐らく法律的にはそれを制約するものはないんだと承知しています。ですが、法律にそういうことがないからそのことが行われて何の抵抗もないということがしょっちゅう行われるとか、あるいはそれにはそれなりのものという意味も含めて存在しなければならないと、こう思いますので、そのことについては世話人会検討経過が報告されたのであって結果ではないと承知しましたが、結果が出ていないそうでありますので慎重に検討されるべきだと思います。ある意味においては、そういう前例事例――参考人招致をして審議をしたということは岩手県議会にはあります。同じ立場の人を呼んだことはないのです。そういう意味では、慎重に検討されるべきだということを申し上げて、取り扱いについてお願いしたいと思います。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 きょうの朝の委員長報告は、あすの採決を前にして、継続審議を前提にして2人を呼ぶという報告ですよ。それは何回も会派に持ち帰って世話人会が合意した中身じゃないですか。今ごろ、そういう改めて慎重になんていう、何のために、何回も会派に返して、きのうなんか2時間も中断してそして夜もやってですよ、そういう、会派が何なんだと。私、これは問われると思うので、そのことも踏まえて世話人会をしっかりやっていただきたい。(柳村岩見委員「はい」と呼ぶ)
〇佐々木努副委員長 ただいまの件につきましては、本日、散会後に世話人会を開催し、その内容について話し合いをさせていただきたいと思います。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇及川振興・衛生課長 午前中、小田島委員からの御質問の中で、他県の家畜改良に係る事業費についてのお尋ねがございまして、その際、宮城県の事業費を750万円とお答えいたしましたが、平成25年度の事業費で3、900万円でございますので訂正させていただきます。
 なお、750万円につきましては、種雄牛を利用したブランド化対策の費用として750万円を計上しているということでございます。訂正しておわびいたします。
〇佐々木努副委員長 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ14人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇熊谷泉委員 私のほうからは、農地の災害復旧事業についてお伺いをいたします。
 ことしは大変農林被害が多くて、7月の一関地方、そして8月9日の県央部、それから9月16日の台風18号、それぞれ甚大な被害があったわけでありますが、私も会派で調査に行ってきました。それぞれ被害の状況は違うわけでありますが、うちのほうの90歳の古老も、今まで経験したことのない大雨だという話でありまして、本当に100年に一度、被害も大変甚大だったわけでありますが、県当局の農林水産部、本当に迅速に対応していただきまして、まず、それに対しては敬意を表する次第であります。
 また、国のほうも、8月のお盆の最中に内閣府の調査団が来て、農林被害については激甚災害に指定すると早期に方針を出されましたので、被災した農家も、本当は土砂の入った場所が大変な状態でありまして、ある意味、茫然自失の状況だったんですが、今は来年の作付に向けて順次復旧を急いでいるところであります。大きくは、うちのほうの土地改良区もあるんですが、そっちのほうは事業費も大きいわけでありまして、査定前の事前着工も認められたということで、来年早期に向けて通水の見込みで今作業が進められております。これらは今調査も進められている、あるいは小さい被害も今調査されているということでありますが、まずは来年の作付に向けて、これらの事業が大体どのような時期と手順で進められていくのかをお伺いしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地の災害復旧のスケジュールについてでございますけれども、農地あるいは用排水路等の農業施設の復旧につきましては、可能な限り来春の営農に間に合わせるよう、国と災害査定の早期実施についてこれまで調整してまいりました。その結果、10月15日から行われておりまして、年内に終える予定となってございます。
 営農上、早急な対応が求められる地区につきましては、災害復旧事業の査定前着工を活用して既に復旧工事に着手しておりますし、残る地区につきましても、査定を受け次第、順次着工することとしております。
〇熊谷泉委員 年内に完了ということで、それで終われば大変ありがたいということであります。
 それで、実は今回の災害は、非常に土砂の流出の激しいところ、あとは畦畔の崩落とか、小規模な被害が広範囲に広がっております。町も大体調査は終わっていると思いますが、それらの復旧について、一つは、小規模等農地災害復旧事業ということで県も指導されているようでございますが、それは13万円以上40万円未満という事業のようでありますが、その13万円未満の被害も、調べれば調べるほど出てくるというぐらい数多くあるわけでありまして、今、農村も高齢化していて、10年ぐらい前であれば多少のことは自分の田んぼはある程度自分で直すという基本でできたわけでありますが、今ほとんど、もう70歳代の方々が作付するだけでもやっという状況であります。それで、田んぼの状況を見て、放棄とは言いませんが、もう作付を断念するというような地区も出てきております。
 そこで、農地等災害復旧事業に盛られない細いところを手当てする方法がないのかと考えるわけであります。従来から、農地・水保全管理事業というのがなされていまして、今回もある意味、平常時の共同作業で水路等を整備してきたところは、今回の大雨でも災害が比較的少なかったわけです。それで、この事業そのものは大変有効な事業だと思うわけでありますが、今回の小規模、13万円以下の事業に乗らないものをぜひこの事業でやっていけないものかというのが、今地元でも言われております。
 それにつきましてちょっとお伺いしますが、平成24年のこの農地・水保全管理事業、全体で約5億2、000万円の事業なんですが、これで共同活動支援交付金というのが全体で2億600万円ぐらいですか、それから、復旧活動支援交付金というのが3億円使われているんですが、単価も高いわけで、これは去年のある特殊な事情があったのか、あるいは沿岸の被災地にこれが多く使われたのか、その辺もちょっと伺いたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地・水保全管理事業の執行についてでございますけれども、共同活動につきましては、農地の草刈りとか水路の泥上げとか、そういった基礎的な活動に使うものでございます。一方、向上活動につきましては、水路とかあるいは農道の長寿命化に向けて維持、保全をするという事業でございまして、そのために執行交付金についても多くなってございます。
〇熊谷泉委員 今農村で行われているのは、今回40万円以上は全然規模が違いますが、小さな事業は、集落で大体土木会社の土木作業の経験のある方がいるので、大体この事業で、機械さえ買って、あるいは集落の人たちが日を決めて出役するとかなり細かいところまでこれは補修できるものがいっぱいありまして、それで実は、この事業をぜひ今回の事例を見ながら緊急に使えるように――といいますのは、確かに今、毎年もらっている交付金200万円とか、ある程度の蓄えがあるところはいいんですが、ところが恒常的に使ってしまって手持ちのお金がないところは、実は来春までに復旧したいというある意味時間差が出てくると思うんです。来年の事業で災害復旧という、単価の高いもので認められてお金が来る場合もありますが、ところが、作業としては来春までにやってしまいたいという、そういう時間的な差が出てくるので、この事業をもう少し、農地・水・環境保全向上対策地域協議会というものが組織されているようですが、そこが迅速に運用できる仕組みとか、今後県としても仕組みを考えていただきたいと思いますが、所感について伺います。
〇伊藤農村建設課総括課長 まず、小規模農地等災害復旧事業でございますけれども、この事業につきましては、今般の大雨及び台風災害の被害が甚大であったということで、国の災害復旧事業等の対象とならない小規模の災害の復旧について一部を補助するというものでございます。
 この事業の内容でございますけれども、先ほど委員13万円以上というお話をされましたが、まず、農地、農業用施設の災害復旧事業、いわゆる国の補助事業ですけれども、これは40万円以上が対象となりますし、それから今回激甚災害に指定されておりますので、13万円以上のものにつきましても市町村等が行う農地等小災害復旧事業債、これで対応は可能となっております。そして、小規模農地等災害復旧事業でございますけれども、これは1戸の復旧事業費、1戸の農家が各箇所で被災していた場合に、その合計が13万円以上となるものについて補助するというものでございますので、1カ所あたりの被災規模というものはかなり小さい規模まで拾えると認識してございます。
 この小規模農地等災害復旧事業にも該当しない極めて小規模な被災箇所につきましては、農地・水保全管理事業で取り組んでいる地区におきましては、同事業の交付金を復旧活動に充てることが可能とされておりますので、この交付金の活用について検討するように、市町村を通じて活動組織を指導してきたところでございます。
 このような利用ができますので、今後とも、市町村土地改良区と連携しながら、この取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 はい、わかりました。この事業についても資料を見ると、ちょっと返上といいますか、組織を維持するのになかなか難しくなっているところもあると思いますが、このようにゲリラ豪雨といいますか、県内、いつ、どこで、こういう災害が起きてもおかしくない状況ですので、水保全の事業はこれを基礎としてさらに工夫をしていただくようにお願いをしたいと思います。
 最後に、東大野農林水産部長にお伺いしますが、本当に今回、各被災場所にすかさず出かけていって現場を見ておられると思いますが、まず、今回の大規模な災害についての所感と復旧についての決意を伺って終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 災害に関する所感と、あと、復旧に向けた決意というお尋ねでありますけれども、被災したものについては、一関にも参りました。あと、紫波、雫石、それから八幡平それぞれ被災した状況を見させていただきました。その中でやはり一関地区とそれから盛岡地区、それから八幡平地区、それぞれ被災の様相が全く違いますので、一つのフレームワークだけで対応していくというのはなかなか難しいというのが正直なところですし、それぞれ農家が懸命に復旧に向けて取り組んでいらっしゃいますので、先ほど農村建設課長が申し上げたとおり、来年の作付に何とか間に合わせていかなければという気持ちもございますし、今回、追加補正も出させていただきました。林道と花卉の被害も相当出ているということで、できる限りのことで県として対応させていただき、あと、地域の活動団体、それから生産者団体とも連携しながら、来年の作付、農地の再生に向けて取り組んでまいりたいと思います。
〇高橋昌造委員 私からは、決算事項別明細書250ページの畜産振興費のうち放射性物質被害に関連してお伺いします。
 まず1点目は、通告しておりました牧草地の除染の進捗状況と今後の対応については、岩渕誠委員と質問内容が重なりますので、1点だけ確認をさせていただきます。
 この除染の結果、基準値はクリアしたかと思いますが、再除染しなければならないような実態があったのか。もし、あったとすれば、その内容をお伺いいたしたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました基準値等の超過事例の実態でございますが、平成24年度以降実施してございます牧草地の除染後の効果測定結果におきまして、暫定許容値及び酪農における基準値を超過している事例は、1.9%の圃場で認められているところでございます。
〇高橋昌造委員 その超えたものの対応はどのようになされているのか、お伺いいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました超過事例への対応でございますが、基準値等を超過した面積でございますけれども、現時点におきまして、全体で58.2ヘクタールございます。そのうち、実際に昨年度時点で2町歩検査を実施してございまして、それ以外の部分についてはこれからの検査になります。ですので、基本的には、この58.2ヘクタールにつきましては、牧草地の除染マニュアルに基づきまして超過要因に応じた対策を講じてございますし、さらにまた超えた部分については、酪農家の基準値を1圃場で超えた事例もございますので、そこにおきましてもさらに調査原因に沿って、次の段階の除染をさせていただきたいということで考えているところです。
〇高橋昌造委員 それでは次に公共牧場の関係なんですが、牧草地の除染状況のうち、県内の公共牧場における進捗状況と、耕起不能箇所の現状と対応についてまずお伺いいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 公共牧場における除染の進捗状況と耕起不能箇所への対応等についてでございますけれども、公共牧場の除染につきましては、放射性物質の影響を受けまして牛の放牧や採草に影響を来している23牧場におきまして、耕起不能箇所の2、033ヘクタールを除きました1、718ヘクタールを対象といたしまして、平成25年9月現在で1、123ヘクタールを実施しており、進捗率は65%となってございます。
 耕起不能箇所への対応につきましては、先ほどもお話し申し上げましたが、主に牧場が多いということで、牧場ごとに関係機関、団体で構成いたします現地工程会議で牧草地の継続利用と除染の実施可否等の方針につきまして、国や本県の試験結果等を参考に、年内にそれぞれ牧場ごとに整理をしまして、順次必要な対策を講じてまいりたいと考えています。
〇高橋昌造委員 それで、公共牧場は性格上、除染の結果を公表しておるのかどうか。もちろん、利用される方々にはもう周知をしていらっしゃると思うんですが、公表しているのか、1点だけ確認させていただきます。
〇渡辺畜産課総括課長 公共牧場の除染につきましては、基本的には県が検査をいたしまして、その結果を公共牧場の事業主体にお返しをして、その結果をもって公共牧場ごとにその対応を決めているということになります。
〇高橋昌造委員 それでは次に、廃用牛の現在の滞留状況と、そしてその解消に向けた対応についてお伺いいたします。
〇及川振興・衛生課長 廃用牛の滞留状況と解消に向けた対応についてでありますが、まず、出荷できずに滞留している廃用牛につきましては、本年2月の約3、000頭をピークにその後減少に転じておりまして、9月末でございますけれども約2、100頭と試算をしてございます。
 滞留しているこれらの廃用牛につきましては、成牛市場への上場または岩手畜産流通センターにおいて屠畜処理されてございますが、本年4月以降、毎月800頭程度が出荷されてきておりまして、今後も同程度の出荷が見込まれますことから、今年度内に滞留は解消するものと推定してございます。
〇高橋昌造委員 それで廃用牛の滞留した牛ですが、最終的には適正に全部出荷されているのかどうかについてお伺いいたします。
〇及川振興・衛生課長 出荷する牛についてでございますけれども、県といたしましては、昨年の10月から、いわゆる生体のままで牛肉中の放射性セシウム濃度を推定するいわゆる生体推定検査を実施してございまして、これで基準値を上回るものについては飼い直しをしていただいて、安全だという状態のものだけを出荷するという仕組みを構築してございまして、これにつきましては、その機能が十分果たせていると考えてございます。
〇高橋昌造委員 それでは、県産牛肉に対する消費者への信頼確保に向けた具体的な取り組み、どのように取り組まれているかについてお伺いいたします。
〇泉流通課総括課長 県産牛肉に対する消費者の信頼確保に向けた取り組みについてでございますが、平成24年度は放射性物質検査を継続して行いました。それから、県内食肉店、量販店270店舗でのいわて牛の消費拡大キャンペーン、それから首都圏におけるいわて牛の集い、いわて牛フェアなど、安全で安心な県産牛肉の消費宣伝活動を、トップセールスを交えながら県内外におきまして実施してきたところでございます。
 このような中、牛肉の枝肉価格は徐々に回復し、ことし8月には原発事故前の水準に戻ってきておりますが、これを維持しさらに上昇させるためには、いずれもいわて牛の知名度の向上、それから消費拡大に向けた継続的な取り組みが重要と認識しております。
 平成25年度においても、平成24年度の取り組みを拡充するとともに、生活情報誌の活用や産地見学会の開催など新たな取り組みを通じまして、いわての牛肉が安全であり、安心して食べていただけることを強く内外にアピールしていきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 流通課総括課長、これからもさらになお一層取り組んでいただくように、特にもいわて牛は全頭検査によって消費者の信頼を得たわけでございますので、これからもしっかり取り組んでいただきたい。
 通告しておらなかったんですが、最後に、総務部か農林水産部で聞けばいいのか迷ったあげく、今質問させていただきますが、原発事故で被害を受けた畜産農家の損害賠償の実態について、わかりやすく言えば、どのぐらいの請求額でどのくらい賠償されて、その割合がどうなのか。それから、賠償されないものについては、将来、本当に見通しを立てることができるのかどうか、畜産農家は非常に関心を持っているわけでございますので、そこのところをお伺いして終わります。
〇千葉担い手対策課長 畜産関係の賠償請求及びその支払い状況ということについてでございますけれども、まずは、肉牛を初め請求額108億円程度、合計額で206億円余の請求額になってございます。それから、支払い額につきましては、全体額171億8、700万円ということで、支払い割合は83%にまで上っております。
 これからも請求を続けてまいるわけでございますけれども、県といたしましては、今後も十分な賠償が速やかに行われるように、今後も協議会の支援について引き続き努めてまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私も放射性物質被害畜産総合対策費についてお伺いするわけでありますが、通告しておりましたが、午前中の岩渕誠委員そして高橋昌造委員の質問がございましたので、一つ目の牧草地の除染の進捗状況と検査結果については了解をいたしました。
 その流れで、畦畔草についての現在の対応と今後この見通しについてお伺いをしたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 畦畔草についての対応と今後の見通しについてでございますけれども、本県では、国が示しました畦畔草の取り扱いに基づきまして水田ごとに放射性物質検査を行い、暫定許容値以下と判断された場合、利用自粛を解除することとしてございます。
 今年度の検査につきましては、6月から10月までに、7市町において、畦畔草を家畜の飼料として利用を希望している農家364戸を対象といたしまして、各振興局単位で、市町村、農協等の協力を得て、検査体制を構築した上で実施しているところでございます。
 9月末現在、335戸の検査が終了しておりまして、うち暫定許容値以下であった322戸につきましては、10月末までに、これらの全てについて利用自粛が解除されるものと認識してございます。
 今後、10月末までに残りの29戸の検査を行う予定としております。
 なお、今回検査を要望しなかった農家に対する自粛解除に向けた取り組みにつきましては、国が今道県を含めまして各県でいろいろと検査をしている最中でございますので、この検査結果等に基づきまして、近々方針を示すと聞いているところでございます。
〇佐々木朋和委員 見通しとして、明るい方向に向っているということで安心したわけでありますが、ただ、一方で、利用されている農家にとっては代替飼料をもらっている関係で、今後どういうふうに利用自粛解除されてまた代替飼料からそちらに移行していくのか、そのつなぎについて敬遠の声もあるわけでありますけれども、その代替飼料の切りかえについてどのような仕組みになっているのか、お知らせをいただきたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 畦畔草の利用自粛解除と代替粗飼料の供給についてでございますけれども、利用自粛の解除につきましては、検査日に応じまして、年に3回――3回といいますのは、6月、8月、10月でございますが、この3回に分けて実施しておりまして、8月と10月に利用自粛を解除した場合には、畦畔草の収穫期間に対して、利用自粛をした期間に応じまして代替粗飼料が供給されているものと認識しております。
〇佐々木朋和委員 これは牧草地の除染作業が今進んでいるわけでありますけれども、牧草地についても同じような取り扱いでしょうか。
〇渡辺畜産課総括課長 牧草地につきましては、基本的には、利用自粛要請をした時期と代替飼料の供給期間というのが決まってございまして、例えば1番草で利用自粛が要請された場合には翌年の6月30日まで、2番草については翌年の8月末まで、3番草については翌年の10月末までという基本的なルールがございます。
〇佐々木朋和委員 ある程度移行期間はとっているということで認識をさせていただきました。しかしながら、農家にとっては、なかなかその点についての情報がわからなくて不安だというお声も聞いておりますので、ぜひ情報徹底をお願いしたいと思います。
 次に、通告しておりましたが、私も熊谷泉委員と同じく、ことしの水害によりまして、高齢化も農家が進んでいる中で、共済のない花卉やトマトなどの園芸品について、水害を受けて農家も意欲の減退があるというところでいろいろな施策をとっていただきたいという思いでございます。
 今、農地の復旧とか、また細かい被害に遭ったところの手当てについては御説明をいただいたわけでありますが、確認の意味を込めて、今後そのような農家に対する意欲減退が懸念される中でどのような施策をとっていくのか、お聞きをして終わりたいと思います。
〇下村農産園芸課総括課長 特に園芸農家の生産意欲の減退に対応しての施策でございます。
 県内の園芸産地におきましては、これまでの高齢化の進行に加えまして、今般、豪雨災害の影響もございまして、生産意欲の低下が懸念されております。こうしたことから、平成25年度、本年度からでございますが、いわての園芸産地パワーアップ支援事業によりまして、現在、23部会において生産性向上に向けましたさまざまな技術対策等、生産部会が一体となった取り組みを実施しているところでございます。
 また、園芸産地新生プロジェクト推進事業によりまして、本年度、6産地におきまして産地みずからが実需者のニーズを把握し、生産、販売方式を改善するような取り組みを実施しておりまして、こうした取り組みを支援することで、農家が意欲を持って営農に取り組めるように進めてまいりたいと考えております。
 また、今般の豪雨あるいは台風による被害を受けました農家に関しましては、農作物災害復旧対策事業によりまして、作物の生育回復対策あるいは花卉等の改植、まき直し等の経費に対しまして、市町村と連携しまして、被災農家が再び意欲を持って再生産できるように支援することとしているところでございます。
〇城内愛彦委員 私からも1点だけ質問したいと思います。端的にお伺いしますので、明快な答弁をお願いしたいと思います。
 復旧工事、請負業者の経営破綻ということで新聞等でも出たわけですが、この工事の中断によって、今後、復旧に向けた状況がどう推移するかというのをお伺いしたいと思います。
 1点目は、その業者が請け負っていた件数、そして2点目が工事に対する影響。今後、どういう形で進めていくのか、見通しも含めて3点、あわせてお願いします。
〇伊藤農村建設課総括課長 復旧工事請負業者の経営破綻に関しての影響等でございますけれども、平成25年9月24日に、民事再生法の適用を盛岡地裁に申請しました建設業者――秋柴重機建設株式会社が請け負っている沿岸地域の県営農地災害復旧工事等の件数でありますけれども、陸前高田市内で実施しております県営農地等災害復旧事業が2件、それから宮古市と山田町内で実施しております農用地災害復旧関連区画整理事業で2件、計4件となってございます。
 工事に対する影響でございますけれども、陸前高田市内で実施しておりました2件につきましては、この10月15日、16日に完成検査を実施し、工事の完了を確認しているところでございます。
 一方、宮古市及び山田町内で実施中の工事2件につきましては、現在、工事が休止の状態になってございます。
 今後の進め方についてでありますけれども、休止状態となっている工事2件につきましては、これまで、当該業者から工事継続の意思表示があったことから、資金計画等についてヒアリングを行ってまいりましたけれども、10月21日に、同社から、工事再開の見通しが立たないということで工事履行不能届の提出があったところでございます。これを受け、現在、工事契約の解除手続を進めるとともに、並行して来春の営農再開への影響を最小限にするため、休止状態となっている工事2件の後続工事につきまして早急に着手できるよう、発注手続を進めているところでございます。
〇城内愛彦委員 下のほうの2件、宮古管内のものですけれども、特にも山田町の小谷鳥、今回の台風被害で大分被害があって、その後、工事そのものもそうですけれども、いろんな意味で影響が出ていると私は聞いていましたけれども、当初、平成26年3月中に工事が完了するというお話でしたけれども、これは間に合いそうがないんではないかなと思います。もう一方で、今のこの時期のこれからの工事発注になれば、もう一つのほうの宮古地区の摂待の工事も、来春の営農に間に合うのかなと少し危惧するところですけれども、その辺の対応も含めて、わかれば詳細にお伺いしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 工事2件についての進捗あるいは今後の進め方のスケジュールということでありますけれども、まず、山田の小谷鳥でありますが、これについては、現在三陸国道事務所から出てくる土等を受け入れて敷きならしをしていたと、それが今休止しているということでありますけれども、これについては、土を受け入れながら敷きならすというところの業者を確保し、これについて早々に着手することになってございます。それから工事につきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、現在、発注手続の準備を進めておりまして、11月中には工事に着工したいと考えてございます。現在のスケジュールでは、来春には水田等6ヘクタール、これを作付できる状況に持っていきたいと考えておりますし、昨日、小谷鳥につきましては、地元農家の方々にその旨を現地機関から説明させていただいたところでございます。
 一方、宮古の摂待工区につきましては、工事の進捗が既に7割程度になってございますので、今後、後続工事の発注によって、整地8ヘクタールにつきまして来春の営農再開に向けて整備していきたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ来春の営農に支障のないように進めていただきたいと思いますし、あわせて、被災地の復旧工事というのはたくさん今出ています。こういった業者が紛れ込まないようにしっかりとした審査をして工事を進めてほしいと思います。そういった業者はないとは思いますけれども、ぜひその辺をお願いして終わります。
〇久保孝喜委員 きょうの審査においても、岩手県の経済に大変大きな影響を持つ農林水産部の事業についての議論が交わされておりますが、そういう中にあって、きょう私が取り上げるのは極めて小さな、ささやかな案件でございますけれども、しかし、何回目になるでしょうか、3回目ぐらいなると思いますが、金ケ崎町の旧陸軍省軍馬補充部の官舎の問題、しつこく取り上げておりますが、これは本質的な問題を含むと思っているからこそ聞いているわけです。
 つまり、どういうことか。これまでも言ってきたように、岩手県が馬事振興に力を入れてきた、あるいは馬産地岩手の歴史とどういうふうに向き合っていくのかという本質的な問題もございますし、あるいは官舎の保存活用の問題について言えば、地元の市町村と県との関係性、パートナーシップと言われて久しいわけですが、本当にそういう意味でのパートナーシップが築けているのかどうかということを検証するという意味でも、これは非常に象徴的な問題だと思って取り上げているところでございます。
 そこでまず、この旧軍馬補充部官舎ですが、これについて所有者、管理者である県が、平成24年度、どんな対応をされたのか、建物の現状も含めてまずお示しをいただきたい。あわせて、この間の県教育委員会とかあるいは金ケ崎町との協議などの経過について、あるいはその結果について御報告をいただければと思います。
〇及川農林水産企画室管理課長 軍馬補充部官舎の保存活用につきましてでございますけれども、旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎につきましては、昭和30年代に今の農業大学校の職員公舎としての利用を終了したところでございまして、平成12年度までに行政目的を終えたものとして普通財産としております。これは、これまでも申し上げているところでございますけれども、その後、所在市町村でございます金ケ崎町と今後の活用方法を協議してまいったところでございますが、平成24年度におきましても、4月それから9月に正式な協議を重ねてきたところでございますけれども、残念ながら合意には至っておりません。
 なお、建物の状況ということでございますが、御承知のように大分古くなっておりまして、建物の屋根や外壁の痛みが激しくなっております。雨漏り等による腐食、倒壊等のおそれもありましたことから、昨年度、当面の処置といたしましてでございますが、危険防止のため、昨年11月に、ブルーシートをかぶせまして養生しているところでございます。
〇久保孝喜委員 これまでの経過の中で、とりあえずブルーシートの処置については一歩前進なのかどうかよくわかりませんが、それを称して一歩前進だとすればかなりのものですが、基本的に、この官舎についての文化財的価値については、この間県教育委員会でも質疑をさせていただきましたけれども、必ずしも足並みがそろっていないというか、意思統一がされていないというか、そういうところが実はあるわけですね。しかも、金ケ崎町が報告書を出したのが1992年、ですからもう20年以上前になるわけです。その間に、例えばこの官舎を含む一群の旧軍馬補充部については文化庁が詳細調査、全国51カ所の中の県内ただ一つの調査箇所として選んだということ、あるいは平成18年でしたでしょうか、文化庁の調査官が来て、県も含めた三者協議の中で一級の遺構であると発言したと伝えられておりますが、そういう経過がありながら、実際に管理している県が、その価値について対外的に、あるいは金ケ崎町との話し合いの中でもその価値を認めていないのではないかという感じがしてならないわけですが、平成15年ごろですか、文化庁の詳細調査、この結果を県はどのように受けとめたのか、管理者としてはどういうふうに認識しているのか、まずはそこを示してください。
〇及川農林水産企画室管理課長 平成15年9月に文化庁が行いました軍事に関する遺跡調査、こちらの結果、それから、その後の文化庁の担当者の御意見等も教育委員会を通じて私どもも聞いておりまして、近代様式の建築物として非常に歴史のある建物であると、それから建物を含む一帯が近代軍事遺跡として、史跡として歴史的、文化的価値のあるものであると私どもも認識しているところでございます。
 私ども農林水産部それから教育委員会のほうと足並みがそろっていないというお話もございましたけれども、そういった御指摘も踏まえまして、本年の7月、旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎の利活用等検討委員会なるものを、私ども内部の勉強会になりますけれども、県の内部の関係者と外部の有識者、外部のそういった知識をお持ちの方の意見も聞きながら、おくればせながらということになるかもしれませんが、改めて私どもで勉強しているところでございまして、その結果を踏まえまして、今後、金ケ崎町とも協議を重ねながら、有効な活用を探ってまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 そういう検討会を立ち上げているということについては敬意を表したいと思いますし、やっとスタートラインについたのかなという感じもいたします。いずれにしても、所有者は県ですし、県内で近代軍事遺跡として価値を認められている唯一のものが県の所有であるというところにこの問題のポイントが私はあるんだと思うんですね。ですから、これから先、近代化遺産がさまざまな分野あるわけですけれども、この問題で県が動き出さなかったら他の近代化遺産は動かないと言ってもいいぐらいに、私は象徴的な対応になっていくと思うからこそ、この問題を取り上げさせていただいています。
 そういう文化的価値について一定の理解と共通認識があるんだとしたら、例えば平成24年度、昨年度の金ケ崎町からの予算要望といいますか、政策協議の中で出されたこの保存活用の問題についての回答書のコピーがここにあるんですけれども、その価値認識が県の回答の中に全く触れられていないんです。
 先ほど冒頭御説明のあった普通財産としていますと、活用策がありませんと。したがって、金ケ崎町と協議しています、ならば引き取ってくださいと言わんばかりの、そういう極めて事務的な――価値そのものをまず共有すると。その上で、これをどういう利活用するのかという、まさに検討会の勉強というのはそういうことなんでしょうけれども、そういう姿勢がちゃんと表に出ていないと私はいけないんだろうと思いますし、ここはまさに県が保有する唯一の近代軍事遺跡としての価値を含めて、文化財とそれを活用した地域づくりという観点も含めて農林水産部の判断というのは非常に重いものがあると思いますので、最後、その点、部長から決意のほどを聞かせていただきたい。
 朽ちるに任せるのか、それとも活用して誰がどういう保存活用できるかどうかも含めてこれからの協議でしょうけれども、そういう判断をするのか、まさに分かれ目だと思いますが、いかがでしょうか。
〇東大野農林水産部長 金ケ崎町の軍馬補充部官舎の件でございますけれども、この文化的価値等につきましては、先ほど及川管理課長が説明申し上げましたとおり、検討委員会で我々今それを勉強しているという段階でございまして、その中で利活用の方針も探っていくという方向で今取り組みを進めているということでございます。
 御指摘のございました、近代軍事遺産として、そういったものであるからという視点はなかなか当農林水産部としては持つのが難しい担当部局ではございますが、委員御指摘のことも参考とさせていただきながら、勉強を進めたいと考えております。
〇斉藤信委員 東日本大震災津波からの被災農地、農業用施設の復旧状況を最初にお聞きをします。あわせて、被災農家の再開状況はどうなっているでしょうか。
〇伊藤農村建設課総括課長 東日本大震災津波で被災した沿岸部の農地、農業用施設の復旧状況でございますけれども、復旧対象農地717ヘクタールについて、他の整備計画等との関連で、工事に着手できない267ヘクタールを除く450ヘクタールのうち、平成25年9月までに249ヘクタールの復旧を完了してございます。
 今後の進め方でございますけれども、現在進めている工事によって、平成26年5月末までにさらに201ヘクタールを復旧し、来春の作付が可能となる見込みとなってございます。
〇前田農業普及技術課総括課長 被災農家の再開の状況でございますけれども、ただいま説明がありました復旧された農地のうちの作付された面積は、全体の7割に相当する180ヘクタールでの作付という状況になってございます。
〇斉藤信委員 この間、陸前高田市の小友地区の復旧事業を我々議員連盟で見てきたんですけれども、再開する農家が激減をしていると、それで組合をつくって何とか対応するという話でした。面積は今お聞きをしましたが、再開農家戸数といいますか、それはわかりませんか。
〇前田農業普及技術課総括課長 そういった農地を所有する農家数については、出入り柵があったりいろいろ原型復旧した農地の所有者だったり、これから今進めている区画整理事業の受益者であったりということで、なかなか正確な数字が今つかめていない状況でございますので、農家数としては今ちょっと申し上げる数字になってございません。
〇斉藤信委員 先ほど180ヘクタールをことし作付されたということでした。72.5%になるんですけれども、作付できなかったのはなぜですか。その分は。
〇前田農業普及技術課総括課長 作付の状況は地域差もございまして、山田町以北の県北地域では、おおむね復旧された農地についての作付は進んでございますが、大槌町以南のいわゆる沿岸南部地域では、被害面積の大きさもありますけれども、作付率が全体で7割に対してこの地域については6割程度にとどまっているという状況でございます。
 こういった作付できなかった農家の声をお聞きしますと、一つは、震災後2年たち、仮設住宅で暮らしている中で体力的な問題があったり、あるいは仮設住宅から農地までの距離が以前よりももっと遠くなってしまってなかなか自分では耕作できないというようなことで、まずは生活の再建といったものを最優先していきたいということで、特に規模の小さい農家については、すぐすぐ作付を再開するというような意欲といいますか、そういったところが若干低くなっているところがございますけれども、それでも地域の担い手に対しての作業委託とか、そういうことで、できるだけ復旧した農地については利用していくということで、我々も相談に乗りながら誘導しているところでございます。
〇斉藤信委員 農地もそして農業用機械等も全部流失したと、こういうことで、今回激甚災害の指定ですから、恐らく30分の7程度は農業機械の場合でも自己負担ということになるのではないかと思いますが、この農業用機械の整備状況はどうなっているでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 津波等で流失してしまった機械類については、その後、速やかに国の復興交付金等を活用して、農家負担が少ない条件のもとで必要な機械については整備してきておりますので、当面、必要なあるいはその機械を導入して営農を再開しようとする意欲のある方については、機械は十分に再整備されていると理解してございます。
〇斉藤信委員 なかなか農業の再開に向かえない農家も出ている中で、せっかく復旧して、それが活用されないということがあってはならないと。小友はそういう意味でいけば生産組合をつくって農地は守るという、そういう方向も含めて、ぜひ必要な支援をしていただきたい。
 次に、農地海岸保全施設の復旧状況と今後の見通しはどうでしょうか。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地海岸保全施設の復旧状況と今後の見通しについてでありますが、被災した農地海岸保全施設10海岸のうち、本年7月までに、野田村の野田海岸、それから大船渡市の沖田海岸の復旧が完了してございます。残る8海岸につきましても復旧工事に着手しておりまして、平成27年度を目標に全ての海岸を復旧する計画としてございます。
〇斉藤信委員 では次に、先ほども質問ありましたけれども、ことしの豪雨災害、台風18号、そして先日の26号による農地、農業用施設等の被害と復旧の状況を示していただきたい。作目別の被害状況も示してください。
〇藤代農林水産企画室企画課長 私のほうから被害状況について答弁を申し上げます。
 今般の大雨洪水災害による農地、農業用施設の被害状況につきましてですが、農地や水路ののり面崩壊、土砂流入などの被害が発生してございまして、7月26日から28日の災害では、被害箇所数3、889カ所、被害額で19億6、000万円、8月9日の災害では、被害箇所数4、351カ所で被害額約52億9、000万円、台風18号災害では、被害箇所数2、259カ所で被害額27億8、000万円となってございます。また、台風26号の被害状況についてでございますけれども、これにつきましては、今週月曜日、10月21日16時現在、調査率60%というような状況でのものになりますけれども、農地や水路などの被害が8カ所、金額で約1、100万円(後刻「400万円」に訂正)という状況になってございます。
 また、作物別の被害状況についてですけれども、7月26日から28日の災害では――主な作物の被害額だけ申し上げます、水稲で4、200万円、野菜、果樹の園芸品目で5、000万円、牧草やトウモロコシの飼料作物で500万円となってございます。また、8月9日の災害の被害額ですが、水稲で3億6、700万円、園芸品目で1億7、900万円、飼料作物で3、600万円、また、台風18号災害につきましては、現在、現地確認を行いながら被害額の最終精査を行っているところでございまして、大変申しわけございませんが被害額についてはまだお出しすることができない状況ですけれども、被害面積で見ますと、水稲で527ヘクタール、園芸品目で68ヘクタール、飼料作物で78ヘクタールとなってございます。
〇斉藤信委員 7、8、9月の豪雨災害、台風18号の関係で、農地、農業用施設だけで100億円超える被害と。私はかつてなかったのではないかと思うぐらい連続的な災害になって、先日はさらに台風26号で、特に沿岸の陸前高田市では、これは全農の調べということで新聞に出ましたけれども、リンゴが6割落果したと、大変な被害状況でした。
 先ほども質問がありましたけれども、来年の作付に間に合わない、そういうところがあるのかないのか。
 それともう一つ、陸前高田のリンゴ被害は大きかった。全体としてもリンゴ農家は多かったんですが、共済の加入状況、そしてリンゴ農家の救済策はどうなっているか示していただきたい。
〇伊藤農村建設課総括課長 大雨、台風によって被災した農地、農業用施設の復旧の状況でございますけれども、まず営農上、早急な対応が求められる地区につきましては、災害復旧事業の査定前着工制度を活用しまして既に復旧工事に着手してございます。それから、先ほども申し上げたとおり、早期の復旧に向けて国の災害査定も急いでいただき10月15日から始まっているところでございまして、査定を受けた地区から順次復旧工事に着手する予定としてございます。
 なお、復旧が間に合わない農地ということですけれども、現在、事業実施主体となります市町村が被害の詳細であるとか復旧に関する農家の意向確認を行っているところでございますのでまだ確定したものにはなりませんが、市町村から聞き取ったところによりますと、河川護岸と一緒に被災して、河川復旧との調整を要する、そういったところにつきましては復旧に一定の時間を要する可能性があるということでございました。
〇宮野団体指導課総括課長 農業共済のリンゴの加入率でございますけれども、平成24年度で28.1%となってございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 農地の復旧では、13万円以上、13万円以下もさまざまな支援策があるんですけれども、農家は待っていられないので自力復旧しているんですね。ところが、自力復旧するとこの対象にならないということもあるので、やっぱり市町村がその事業を認めて、市町村の事業としてやれば私はこうした小規模も補助対象になると思うので、そこは工夫して、頑張っている農家が対象にならないということになったらこれは困るので、そこは私は指摘だけにとどめておきますので、ぜひ工夫して、多くの農家が救済されるようにお願いしたい。
 次に、放射能汚染による被害状況と賠償について、流れがあるので、重複するところもありますが改めてお聞きします。
 放射能汚染による損害額は、現段階で項目ごとに主にどうなっているか。損害賠償請求に対する支払い額はどうなっているか。産直施設の被害と賠償請求はどうなっているでしょうか。
〇藤代農林水産企画室企画課長 放射能汚染による損害額の状況についてでございますけれども、農林水産関係の損害賠償協議会における損害賠償請求額に基づきまして答弁させていただきますけれども、9月末現在で農畜産関係が208億7、000万円、シイタケなどの林産関係が約35億5、000万円、水産関係が2億7、000万円で、総額で247億7、000万円というような状況になってございます。
 また、この損害額に対する支払い状況についてですが、農畜産関係では171億円の82%、シイタケ等の林産関係では支払い率92%の32億7、000万円、水産関係では支払い率95%の2億6、000万円ということで、総額で見ますと約84%の207億円というような状況になってございます。
〇泉流通課総括課長 産直施設の被害と賠償請求の状況についてお答え申し上げます。
 県が実施いたしました県内の有人産直277施設を対象といたしましたアンケート調査によりますと、販売額の減少など何らかの被害を受けたと回答した産直施設は60施設となってございます。このうち、賠償請求を行った産直施設は19施設、請求額約4、500万円、賠償金額を受領した施設はそのうち16施設、約3、500万円となっております。このほか、13施設におきまして賠償請求の手続を進めるというふうに聞いてございます。
〇斉藤信委員 今、最後の産直施設のところで60施設が被害を受けて19施設が請求をしたと。16施設に3、500万円の支払いがあったと。今、13施設が準備をしているということですね。60施設で被害なわけですから、私は、やっぱりこういうところをしっかり援助して、支援して、全面的に請求して支払わせるようにやるべきだと。特に山菜、キノコなんていうのは、その季節に産直に呼べるものなんですよね。だから、そういう意味でいくときめ細かな支援をお願いしたいけれども、いかがですか。どういうふうに支援していますか。
〇泉流通課総括課長 県ではこれまで、東京電力を出席させての説明会への参加案内や、それから個別相談のための東電への個別訪問をそれぞれの被害を受けた産直に個別に一施設ずつ電話をかけてそういった対応をさせていただいております。今後も、引き続き産直施設の賠償請求に向けて、個々の産直の事情を踏まえながら対応していきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 次に、牧草の除染問題は先ほどから質問がありました。今まで除染をされたところで、活用できる面積は全体の中でどのくらいになっているのか。もう一つ、牧草再生事業がありますね。いわば基準以下でも風評被害対策でやっている。これはどこまで進んでいるのか、今年度末の見込みも含めて示していただきたい。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました1点目でございますが、牧草の除染によって活用できる面積についてでございますが、牧草の除染実施面積につきましては、原乳対策分を含めました対象面積の1万3、606ヘクタールに対しまして、平成25年9月現在9、115ヘクタールと、全体の除染進捗率は67%となっております。
 このような中で、平成24年度及び平成25年度の春に播種を行って牧草の生育が確認され、除染後の効果測定検査が完了した面積が4、382ヘクタールとなっておりまして、そのうち、暫定許容値及び酪農における基準値を下回って利用自粛が解除され、活用が可能となった面積は4、324ヘクタールとなってございます。
 もう一点のいわゆる基準値以下の対策でございますが、いわて型牧草地再生対策事業の進捗でございます。
 平成24年度におきましては、6町村で171ヘクタールの実績でございます。今年度は20市町村で約2、500ヘクタールの除染計画で、今、作業を取り進めているところです。
〇斉藤信委員 わかりました。
 最後の質問ですけれども、TPP交渉と岩手の農業について、特にこれは部長にお聞きしたい。
 日本政府がアメリカに示した自由化率は92%と報道されています。自民党の西川TPP対策委員長の発言を含めて、TPP交渉の動向を部長はどういうふうに受けとめているでしょうか。
〇東大野農林水産部長 TPP交渉の受けとめでございますけれども、重要5項目とされますうちで、米、牛肉、豚肉、そして乳製品につきましては、本県にとって関係する農業者も多く、また、農業生産額でも相当なウエートを占めてございます。非常に重要な品目であると認識しており、これらの品目の関税が撤廃されれば本県の農業に大きな影響が生じる、そして、農村社会にも重大な影響が生じると懸念されます。そうしたことから、これまでも取り組んでまいりましたが、北海道・東北地方知事会あるいは全国知事会を通じて要請していくことが重要だと考えてございます。
 重要5項目につきましては、自民党のTPP対策委員会あるいは衆参両院の農林水産委員会におきましても関税撤廃を認めないという決議がされてございます。そういったこともございますので、重要5項目につきましては必ず守られるべきものと我々は認識しております。
〇斉藤信委員 まともな答弁だと思います。
 自由化率92%というのは、これは重要5品目がもう既に崩れる、そういう話なんですね。岩手の農業は、県の試算で、TPP交渉参加した場合に899億円の生産減少と試算されています。国は農業の持つ多面的機能の影響額も示していますが、それに準ずると。岩手県の場合、この多面的機能への影響額はどういうふうになるでしょうか。
〇藤代農林水産企画室企画課長 多面的機能への影響額についてでございますけれども、今、委員御指摘のとおり、国ではTPP協定への参加による農業の多面的機能の喪失額を1兆6、000億円程度と試算してございます。ただ、この具体的な試算方法というものにつきましては公表されていないことから、県段階での試算は難しいと考えてございます。
 一方、国試算の喪失額から見て、水源の涵養や洪水防止など、本県の農業の多面的機能に及ぼす影響も、試算はできませんけれども、少なからずあるものと捉えているところでございます。
〇斉藤信委員 TPP交渉に参加した場合には3兆円の生産額の減少でしたか、そして、多面的機能は1.6兆円。恐らく前の試算で、私は、国の多面的機能の喪失、そしてその際の岩手の多面的機能への影響額というのは出ていたと思うんです。だから、そこの推計額からいったら、国が1.6兆円であれば岩手の場合はこの程度推計されるというのは出るんじゃないですか。違いますか、出ませんか。
〇藤代農林水産企画室企画課長 国のほうについては農業の多面的機能評価額は8兆2、000億円というふうに全体で試算されていまして、それに基づいて、生産減少額と日本学術会議の答申をもとに、TPP協定参加による生産減少額から算出した水田や畑の作付面積の減少部分に相当する機能の喪失額を積み上げ、試算したとされてございますが、個々の具体的な生産減少額から水田や畑の作付面積がどの程度減少するのか、こういったようなところの具体的な算出方法が明らかにされておりませんので、本県での試算は難しい。前回においても行っていないところでございます。
〇斉藤信委員 残念ながら出ないというので、しかし、この影響額もまたかなりの額になりますから、岩手の農業、岩手の環境から見たら本当に取り返しのつかないことになると。自民党政権の公約違反というのは、私は絶対許せないと。
 やっぱり県民を挙げた運動の先頭に、今、JAとかJF、森林組合を含めて共同の宣伝や取り組みをやっていますよ。私は行政もかかわって、紫波町なんかは行政も一緒になってやっているんですね。そういう県民挙げての取り組みをすべきじゃないですか、部長。
〇東大野農林水産部長 今お尋ねの件でありますが、本県としては、北海道・東北地方知事会あるいは全国知事会と連携しながら、TPP交渉に関する要望を政府に対して要請していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますが、私は、農業問題を考えるときに、食料自給率の向上こそ一番大事な問題だと思うんですね。国民の食料を国が責任を持ってこれを向上させる、守る。ところが、TPPというのは、食料自給率を大幅に低下させて、外国――アメリカに胃袋を握られるということですよ。前にブッシュ大統領が、その国の食料を守れない国がその国の安全は守れない、こういう発言をしたことがあります。食料というのはまさに国家安全保障にかかわる大問題だと私は思いますが、岩手の農業生産額がどう推移しているのか。そして私は、世界の流れはTPPではなくて食料主権、その国の食料はその国が自主的に守る、こういう流れにこそあると思いますけれども、この2点を聞いて終わります。
〇東大野農林水産部長 最初に、本県の農業生産額についてでありますけれども、平成10年に本県の農業生産額は3、000億円を下回ってございますが、米の産出額の縮小等によりまして減少が続いており、平成23年には2、387億円と、5年前の平成18年と比べて45億円、そして10年前の平成13年と比べると400億円の減少となっております。
 次に、食料自給についてでありますが、農林水産業については、本県は、安全・安心な食料の供給県として、食と緑の創造県いわての実現を目指してその振興を図っているところでございます。本県にとって農林水産業はまさに地域経済を支える基幹産業であり、TPP協定の参加いかんにかかわらず、将来にわたり持続的に発展していけるように、その再生、強化に向けた施策が講じられていくことが重要と考えております。
〇吉田敬子委員 環境に配慮した農林水産業の推進についてお伺いいたします。
 主要施策の成果に関する説明書の38ページの中でも環境保全型農業に取り組む産地数というのが一番低い状況になっております。地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い農業、環境保全型農業等に取り組む産地について、それぞれ成果の状況と課題はどのように認識されているか伺います。
 その中で、市町村別での取り組み状況、また、新規就農者の方が多かったりするのか、年代等ももしわかればお知らせ願います。
〇前田農業普及技術課総括課長 環境に配慮した農林業の推進についてのお尋ねでございます。
 まず、地球温暖化防止等に効果の高い技術の導入について、アクションプランの施策目標にもなっているわけですけれども、これについては、平成23年度――前年度に比べて平成24年度は1、547ヘクタール、2.3倍の面積にふえてございます。また、補給型施肥導入に取り組む産地数につきましては、やはり平成23年度に比べて10産地ふえまして27産地となってございます。こういった施肥体系の見直しによって、土壌環境の負荷軽減に取り組む産地が増加しているところでございます。その結果、環境保全型農業に取り組む産地数として35産地となってございます。しかしながら、アクションプランの施策目標を下回っていることから、今後は、生産環境の負荷を軽減して、持続的な農業に取り組む産地、農業者をさらに拡大していく必要があると考えてございます。
 こうしたことから、取り組みがおくれている補給型施肥の展示圃を設置したり、また、こういった農業者の取り組みを消費者に理解していただけるような取り組みを展開しながら、さらに環境保全型農業の取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
 市町村別、地域別でいいますと、例えば地球温暖化防止等に効果が高い技術の導入について見ますと、全体で18あるいは19市町村が取り組んでございまして、例えば盛岡市、滝沢村、雫石町、このあたりの面積が多くなってございますし、平成25年度――ことしから新たな取り組みのメニューに加えられた堆肥の施用については、本年度、花巻、北上、奥州といった地域での取り組みが増加してございます。
 新規就農者については、一部、有機農業を志向する方々が取り組んでいるという状況はございますが、数としては多くはないと把握してございます。
〇吉田敬子委員 市町村別での状況で、盛岡市、滝沢村、雫石町が全体的には多いというところですが、沿岸市町村の取り組みがなかなか見えていないと私は認識しているんですけれども、環境に配慮した環境保全型農業の説明会というのも3回開催されているみたいなんですが、これは県内のどこの場所で開催されて、参加者というのはどのくらいあったのでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 県内で、一応環境保全型農業直接支援対策の普及、周知といったところを重点に説明会等を開催しておりまして、10カ所ほど開催してございますが、確かに沿岸地域においてのそういう説明会、特に取り組みの多い県央地帯を中心に開催したということはございます。沿岸地域等については、個別に各地域を訪問した際に、こういった情報を提供しながら取り組みの誘導は行っているところでございます。
〇吉田敬子委員 これからの復興支援にもつながると私は思っておりますし、風評被害対策のためにも環境に配慮した農林水産業の振興というのがこれから特に大事になってくる中で、沿岸市町村でももうちょっと普及してもらえるような説明会も含めてやっていただきたいと思います。
 その中で、ただ普及、導入するだけでは意味がないと思うんですけれども、実際に平成23年度から始まっているんですが、これが販売額にどのくらい推移していって売り上げにどのくらいつながっているか、もし状況がわかればお示しいただきたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 こういった環境に配慮した農業については、消費者としても安全・安心な農産物の産地という観点から一定の評価をいただける取り組みだとは思っておりますけれども、さらにこういった取り組みの周知を図りながら、できれば風評被害の払拭のような取り組みまで進めればいいとは思いますが、現時点ではまだそこまでいっていない状況がございますし、沿岸地域にとってはなかなか取り組みづらいメニューがあって、県央地域だけでなく、沿岸地域あるいは県北地域も含めて全県下にそういった取り組みを広めていくということは今後の課題として認識してございます。
〇吉田敬子委員 これは通告していない内容なんですが、流通課との連携というのが私は大事なのかなと思っているんですけれども、前田総括課長の答弁でも、流通のほうの売り上げまではまだきちんとつながっていない、もっとできるところがあるのかなという答弁なのかと認識いたしました。
 原発放射線影響対策のために、流通課では、県産品の風評被害対策のために首都圏等で電車のつり革広告だったり雑誌等に県産品の広告をしていると思うんですが、資料はいただいているんですけれども、そういった風評被害対策の中に環境に配慮したものに対する農林水産物も一緒に含めた取り組みというのは行われていたのか、今後は行われるのか教えていただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 岩手県の安全・安心な農林水産物を全国にアピールするために、昨年度実施いたしました首都圏におけるJRの中づり広告におきましては、牛肉と米とシイタケとホタテガイをテーマにいたしまして、その生産者が一生懸命につくっているというものでアピールさせていただいておりまして、今年度――平成25年度には、岩手町でキャベツをつくっている農家の生産者にポスターの主役になっていただきまして、その方は、自分の牛の堆肥を使って畑にまいて農作物をつくっているというような方で、我々も安全・安心というところを押し出しながら、そういったものも配慮しながらポスター等の作成で訴えております。
〇吉田敬子委員 先ほど岩渕委員からも和食の無形文化遺産という話がありましたが、それだけでなく、風評被害対策プラス岩手らしいというか、環境にも配慮している農林水産物という付加価値の高いものをつけて県内外、海外も含めて発信していくことはこれからもっと大事になると思いますので、ぜひ環境保全型農業というところに、一番取り組みが進んでいないようですので、積極的に力を入れていっていただきたいと思います。それは部長の答弁をいただきたいと思います。
 最後に、県産牛肉安全安心確立緊急対策事業についてお伺いいたしますが、ほかの委員の方々からも質問がありましたので、今、全頭検査によって安全性が確認されているということなんですけれども、その中で県として認識されている課題があればお示し願います。
〇東大野農林水産部長 環境に配慮した農業の推進についてでありますけれども、例えば補給型施肥のような手法はコスト低減にもつながるような手法ではありますけれども、一方で、施肥しないことによって生産量が落ちるのではないかというリスクも伴うもので、よくよく生産者の方々の理解を得ながら進めていかなければならないということで普及がなかなか進まないといった実態もございます。ただ、我が県は安全・安心な食料を供給するということを標榜してございますので、そういった看板に偽りのないような取り組みが進むようにこれからも努力してまいります。
〇泉流通課総括課長 県内の牛肉の放射性物質の検査の課題という御質問でございますが、本県では、安全・安心な牛肉を提供するために、牛肉の出荷再開時には、外部機関への検査の委託、それから平成23年10月17日からは株式会社岩手畜産流通センター内に設置いたしました検査室におきまして、センター内で屠畜される牛の全頭について牛肉の放射性物質検査を行っております。この中で、平成23年度は外部委託検査も含めまして8、600頭余り、平成24年度は1万3、400頭余り、平成25年度は現在まで7、600頭という牛の検査を行っておりますが、この中での課題というのは、放射性物質検査におきましては、この検査を実施するということと、それから、この検査を関係機関に報告し、そしてそれを公表する手続を行ってございます。こういったところで業務量がやはり震災前と比べてふえているというのが課題でございますが、放射性物質検査の影響がなくなり、県産牛肉に対する風評被害が払拭されるまでこの検査は必要ではないかと考えておりますので、引き続き検査を実施していきたいと思っています。
〇吉田敬子委員 確認なんですが、盛岡近郊で牛を持っていらっしゃる方から話を間接的に聞いたので確認の意味も込めて質問したいんですが、その方は、余り頭数を多く牛を持っていない。5頭とか10頭しか持っていないので、検体として出すのになかなか厳しくて出していない状況で、そういった肉は県外に出してはいけないということで県内に流通が回っていると思うんですけれども、そういった農家というか畜産家というのは結構いらっしゃるのかなと、私、その話を聞いて改めて思ったんですが、そういったものはどのようになっているのかを改めてお伺いいたします。
〇泉流通課総括課長 委員のおっしゃるとおりでございまして、飼育頭数の少ない農家の方々には大変迷惑をかけているかと思います。というのは、まず、必ず農家から1頭は検体として出していただき、1頭屠畜して放射能検査を受けまして、それが基準値以下であればその後出荷はできますが、50ベクレルを超えた農家についてはまた次の検査をしていただくということで、その間は牛が移動できなくなるというのは事実でございます。ただ、県外へ基準値を超えた牛を出さないということで、そういった措置に御協力をいただいているということでございます。
 これにつきましては、本来、牛は全部出荷停止なんですけれども、一部解除、県が管理して検査をするということを条件に国にこの出荷を認めていただいたという経緯がございます。
〇東大野農林水産部長 流通課総括課長の答弁に補足させていただきます。
 委員御指摘の例は、恐らく繁殖農家とかそういった例かと思います。そうしますと廃用牛が出現する期間が長くなるので、なかなか検査が受けられないという実態があるというお話と理解します。そのような場合、現在、先ほど及川振興・衛生課長が答弁差し上げたとおり、今は屠畜して検査する方法ではなく生体のまま検査する方法も併用してございますので、その方法で廃用牛を市場に出荷することが可能になります。市場に持っていったときに、もし生体検査でクリアできれば競りで売り払いができますし、そうではなく、もし指標としている値を超過するのであれば、持ち帰っていただいて放射性物質の影響が抜けるまでもう一度飼い直していただくという仕組みになってございます。
 それともう一つ、基準値を超過した牛は、食肉の市場には決して流通しておりません。本県、1年目には何頭か超過した牛がおりましたけれども、それも一切市場には流通しておりません。そういうことで、そこのところは決して誤解なきように、うちの県から今まで1頭でも基準値を超過した牛が市場に流通したという例はございません。
〇喜多正敏委員 当該委員でありますので、簡潔にまとめてお伺いします。
 畜産振興費に関してお伺いします。
 一部では値下がりの報道もありましたけれども、配合飼料価格の高騰が伝えられております。平成24年、平成25年の配合飼料価格の動向について、そしてまた、この配合飼料価格の動向は酪農経営について大きな影響を及ぼすわけでありますけれども、この5年間、特に平成21年、平成23年、平成25年の搾乳牛1頭当たりの飼料費、生産費の額、生産費に占める飼料費の割合についてお伺いします。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございましたのは、飼料価格の高騰の状況と搾乳牛1頭当たりに占める影響ということだろうと思いますので、その関連でまとめてお話をさせていただきます。
 配合飼料価格の高騰につきましては、ここ数年高どまり状況でございまして、平成25年度の第3・四半期は、主原料であるトウモロコシの国際価格の下落によりまして、過去最高でありました第2・四半期と比較しますと1年半ぶりにトン当たり2、000円値下がりしまして6万5、900円となったものの、依然高どまって推移してございます。
 今、委員からお話があった部分でございますが、酪農家への影響につきましては、飼料価格の今般の高騰によりまして、搾乳牛1頭当たりの飼料費につきましては、前年度と比較しまして2万円増加してございます。一方で、飲用向け乳価につきましては、御案内のとおり本年10月からキロ当たり5円値上がりしてございまして、副産物の収入も増加していることから、収入の部分でいきますと1万8、000円増加するものの、収益性は減少するものと認識しているところでございます。
〇喜多正敏委員 平成24年の第1・四半期の配合飼料価格はトン当たり幾らであったか。それから、平成21年、平成23年、平成25年の飼料費、生産費、生産費に占める飼料費の割合は幾らだったでしょうか。
〇渡辺畜産課総括課長 平成21年度につきましては、生産費の総額が80万円につきまして、飼料代としまして23万円となってございます。それに比較いたしまして、震災時点でありました平成23年度につきましては、生産費が78万円に対しまして餌代が24万5、000円、平成24年度につきましては、大体同額の、生産費が79万円に対しまして購入の飼料代が25万円、そして今年度、10月から乳価が上がったということで試算いたしますと、生産費81万円のうち27万円が餌代だというふうに試算してございます。
〇喜多正敏委員 生産費に占める飼料費の割合は何%でしょうか。
〇渡辺畜産課総括課長 ここ数年のデータで平均いたしますと、酪農家においては42%ということになってございます。
〇喜多正敏委員 質問したことについて正確に答えてほしいのでありますが、それでは申し上げますが、いただいた資料によれば、平成21年度は38%で平成25年度は42%になっているということでありますので、簡潔に答えてもらいたいんですよ。
 こういうことで生産費に対する飼料費の割合が上昇してきているということでありまして、酪農家としては大変困っているという状況であります。この配合飼料価格高騰に対する対策や支援、そしてまた、生産費の上昇が市場価格に転嫁できればコストは吸収されるわけでありますけれども、乳価とか枝肉価格の動向についてはどうなっているかお伺いします。
〇渡辺畜産課総括課長 まず、1点目の乳価の動向でございますが、乳価につきましては、飲用向けが本年10月から5円値上がりするということで先ほど申したとおりでございまして、本県の飲用向けの割合が70%でありますことから、実質の農家の受け取り価格については、5円ではなくて7割の3.5円ということになります。ちなみに、平成24年度のプール乳価につきましてはキロ101.5円でございましたので、それに3.5円を加えますとキロ105円になるものと試算してございます。
 飼料価格の動向につきましては、現在の為替相場の動向から、現在の高どまりの状況が今後も継続していくものと考えてございます。
〇喜多正敏委員 通告をしているわけでありますけれども、枝肉価格の動向については答えがなかった。これについてもお伺いしますが、一方、確かに乳価は上がったわけでありますけれども、これは要望になってくるわけでありますけれども、中央酪農会議の資料によれば、4月から9月までは配合飼料の高騰や猛暑で生産量が落ちたということであります。確かに乳価は上がったわけでありますけれども、過去においても、上がった部分が量が同じであれば収入になるわけでありますけれども、どうも収量も減少するということになっているわけであります。したがいまして、これからも本県の基幹産業である酪農について、戦略的かつタイムリーな振興について、それから、なお一層需要、販路の拡大について強化をお願いしたい。
 それから、枝肉価格の動向についてはどうだったんでしょうか。
〇渡辺畜産課総括課長 子牛等の枝肉価格の動向につきましては、平成24年度、搾乳牛1頭当たりで3万800円でございます。今年度値上がりしてございまして、4万2、700円といったような状況になってございます。
 今後の対策等についてでございますけれども、今後、県におきましては、飼料費の低減を図るために、トウモロコシ転換緊急支援事業によりまして配合飼料の代替となりますトウモロコシの作付拡大を推進するとともに、引き続き、省力管理や規模拡大を図るための外部支援組織の育成強化などに取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 通告しているので、答弁は簡潔に的確にお願いしたい。
 終わります。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、第1部農業関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時47分 休 憩
午後3時8分 再開
〇工藤勝子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇藤代農林水産企画室企画課長 第1部において、斉藤信委員の農地、農業用施設の被害状況の御質問について答弁に誤りがございました。台風26号による農地、農業用施設被害金額について1、100万円と答弁をさせていただいたところでございますが、ただしくは400万円という金額でございます。1、100万円につきましては、農業関係全体の被害金額でございます。訂正しておわび申し上げます。
〇工藤勝子委員長 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定されている部局について、延べ7人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 次に、第2部林業、水産関係についての質疑はありませんか。
〇嵯峨壱朗委員 水産業振興費にかかわってお尋ねしたいと思います。
 主要施策の成果に関する説明書を見ると、水産業の生産額、平成21年で399億円だったようです。それが震災を受けて平成23年、228億円と下がっているんですね。当然かもしれませんけれども、これを平成26年の目標330億円としていました。加工ベースで見ると、この資料によりますと、399億円の生産額で、加工品は、これは恐らく正式な統計ではないのかもしれませんけれども741億円となっています。つまり、それだけ漁業の、平たく言うと魚を加工して出すというのは非常に付加価値が高くなっているという、そういった面があるなと思って改めて数字を見させていただきました。
 そこで、特に私どもの岩手県で主要な魚種でありますサケについて、いつも聞いておりますけれども、またお伺いしたいと思います。
 さけ、ます増殖費が3億8、200万円余となっておりますけれども、この事業の決算内容について説明願いたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 さけ、ます増殖費の決算内容についてでございます。
 さけ、ます増殖費は二つの項目から構成されておりまして、一つは、民間団体に対するサケ稚魚放流費補助でございまして、二つ目は、県が行う調査研究指導費でございます。
 まず、民間団体に対するサケ稚魚放流費補助につきましては、一般社団法人岩手県さけ・ます増殖協会などが行います、約2億9、400万尾のサケ稚魚放流に対する買い上げ費用に対して3億7、400万円余を補助したものでございます。
 次に、調査研究指導費は、サケ親魚の年齢とかサイズなどについて調査を行いまして、サケ不漁要因の究明と、早期資源回復に向けた指導に必要な経費として800万円余を支出したものでありまして、これらを合わせた決算額が3億8、200万円余となったものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 増殖費として3億七千何がしですか、そして、それがどれぐらいの金額になっているかわからないですけれども、ただ、平成23年の震災を受けて大分減っていますよね。加工も3分の1以下になっています。だから徐々に復旧していますけれども、なかなかおぼつかない状態かもしれませんけれども、ほぼ一歩一歩進んでいまして、加工場も大体震災前の8割ぐらいまでできてきたんですか。サケの稚魚の増殖場もほぼ前に戻ってきたということで、これを継続していくことが本県の漁業の振興、復興につながっていくと思っております。秋サケもほぼ始まっていいところに来ているのかな、それが今どういう漁獲の状況になっているのか、お尋ねしたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 秋サケの最新の漁獲状況についてでございますが、秋サケは10月20日現在、県内13魚市場におきまして、漁獲尾数で37万2、000尾ほど、漁獲量では約1、032トン、金額では約4億9、000万円となっておりまして、前年同期と比較いたしますと、尾数で154%、漁獲量で179%、金額で165%となってございます。
 今期の秋サケの平均体重は1尾2.8キログラムぐらいとなっておりまして、極端に小さかった、小型であった前年と比較すると116%ぐらいとなってございます。
〇嵯峨壱朗委員 ふえてきているというのは大変いいことだと思うんですけれども、ただ、去年が極端に少なかったからこういう数字になっていると捉えられるのかどうかも、ちょっとその辺も説明願えれば。
〇五日市水産振興課総括課長 10月20日現在までの水準は、平成22年、震災の前の年の漁獲量よりも若干よくなってございます。ただ、平成21年、この年に比べますとそれほど多くないといいますか、6割、7割という状況になってございます。
〇嵯峨壱朗委員 最盛期と比べればもちろんそうでしょうけれども、若干戻りつつあるということでいいなと思っておりましたが、この傾向がずっと続けばいいんですけれども、震災の影響がどう出るか、稚魚を放流した年の部分がどう出るか心配するところでありますけれども、どうしても必要な事業でありますので、このサケの増産のための今後の取り組みについて改めてお尋ねしたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 今後のサケの増産のための取り組みということでございます。
 サケの増産のためには、まずどうしても種卵の確保が非常に重要であると認識しておりまして、私ども県としては、業界団体と連携いたしましてその確保に努めておりまして、10月20日現在、採卵計画を上回る7、300万粒ほどの種卵を確保いたしてございます。
 また、今後とも、健康な稚魚を生産して放流することが最も重要であるという観点から、県では、関係者や関係機関とともに、整備、復旧されたふ化場におきまして、それぞれの飼育池ごとの適切な飼育管理や放流に適した時期、そして放流に適したサイズの徹底に取り組むことといたしております。
 さらには、不漁要因の究明も重要でございまして、県水産技術センターにおきましては、国の研究機関などと共同研究いたしまして、サケ稚魚の初期生残と減耗要因について、現在解明を進めているところでございます。
 これらの取り組みを通じまして、早期のサケの増産を図ってまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 3年、4年後の話ですのでなかなかわからない面が多々あるんですけれども、健苗という意味で言うと元気な稚魚、これが結構いろんな理由がある。
 この間、エスポワールいわてで研究会、発表会があって出てきましたけれども、非常にいいことなんですけれども、何となく現場から離れているような感じが否めなかったと思っているので、ぜひああいった研究者の方々にも現場の――もちろん水産業のために研究があるのじゃないのかもしれませんけれども――現場の何を知りたいのかというのをきっちりと伝えながら、そういった研究をしていってもらえばさらに実も上がっていくのかなと思ってきました。けれども、どうだったでしょうか、その辺の感想を。これは大村水産担当技監、行っていましたからお願いします。
〇大村水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 確かにサケの不漁原因というのはさまざまな要因があると思っておりまして、今研究者がいろいろな方面から研究を重ねているということでございまして、現段階では、放流した稚魚が最初に夏を越すのがオホーツクということになっておりまして、そのオホーツクに行くまでにかなりの量が減耗しているのではないかと今推察しているところでございまして、その辺のところを調査しましょうとなっております。
 オホーツクはロシアとの関係があって、あの辺から採捕して調べるということがなかなかできない状況になっておりまして、その辺のところが北海道の研究者とか、あと、うちのセンター、国の機関等でいろいろ研究しているところでございまして、確かに委員御指摘のとおり、研究のための研究であってはならないのでありまして、きっちりと漁業者に反映できるような研究に努めるように今後ともやっていきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 関連。避けられない議論ですから、サケについて私も1点お伺いします。
 今の大村水産担当技監から、1年目のサケはオホーツクにいきなり行くというお話で、その間に減耗しているというお話を初めて伺いました。実は川につきましても、ここ十二、三年前から、川井村あたりまでカモメが川沿いに上がってきているようになっていまして、そして同時に、川のウが相当アユを採捕しているという話があります。一方で、ウミウのほうが、各サケのふ化場から放流されるころから、放流口もしくは海に至るまでの間に随分並んで待っていて、海に入るまでに相当食われてしまうのではないか。そういうのを研究していきませんと、いろんな手法を研究して、いいところの稚魚までおがして放した。だけれども、海に行く前にやられてしまったというのでは非常にこれは困るわけでありまして、その辺についてはどのようにお考えですか。
〇大村水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 確かに今御指摘のウにつきましては、カワウもありますし、ウミウもありまして、かなり被害が起きていると認識しております。河川のほうでは、網を張ったりいろいろどかせるような形でやっておりますけれども、おどかしますと違う河川のほうに行って、またそこで食い散らかすような格好になっていますので、適切に間引ければいいんですけれども、それもなかなかうまくいかないということで非常に困った問題だと認識しております。サギは、ある程度自分のところにとまっていて魚をやるそうですが、ウのほうは自分から潜っていって軒並み、アユもそうですけれども、サケの稚魚も食べているのではないかという研究の報告もありますので、これは今現在、内水面のほうで調査を始めておりまして、どの程度の被害があるかというのを今被害状況を調査しているところでございますので、今後ともこれをきっちりやっていかなければいけないと思っていました。
 基本的には、北上川の県南のほうからどんどん北上してきていまして、それから二戸とか海のほうにも来ていましたので、今後ともきっちりと調査をしまして対処していきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 閉伊川漁協では、アユが採捕されるのを非常に心配しまして、猟友会に委託をしまして1羽当たり幾らと玉代を払って駆除してもらっている。今の空気銃の玉は鉛でなくてプラスチックなんだそうですね。
 実は平成23年の発災前、平成22年あたりから重茂漁協もその情報を聞きまして、平成23年ごろから猟友会のほうに頼んでやろうとしている矢先に津波が来てしまって、一旦中断しているという話もありましたが、こういうことを研究して、むしろ県のほうから各漁協にあっせんといいますか、そういうこともしてくださいという働きかけをするべきだと思いますので、お願いしておきたいと思います。
 それから、今のサケの話でありますが、当初、県では、本年度は1万3、000尾ぐらいまで回復するのではないかというお話をされたときがあります。しかし、現在、北海道釧路沖等での漁獲は、何とブリが定置網にかかっているというきのうの放送でありました。ブリは本来、北海度あたりまでは来ない魚なんでありまして、これが来ているということは、暖流が相当上ってきているのではないか。そうしますと、暖流が来ていると、サケが陸に寄りつかないという懸念がされるのではないかと思うんですが、これは大自然の海の中のことで予測もつきませんけれども、相当海流に変化があって、異常といいますか、通常ではないことが起こっているような気がして大変心配をしております。そういうところについてはどのようにお考えなのか、伺って終わります。
〇五日市水産振興課総括課長 北海道の漁獲状況でございますけれども、全体的に見ますと、地域によっては好不漁ございますけれども、10万トンを超えるような昨年よりも多い数量で水揚げがされてございます。それで、今お話のとおり、海峡によりましては暖水が寄りついたところにはサケが帰ってこない場合がございます。今年度もサンマがなかなか集約しなかったとか、サバが沖のほうに行かなければとれなかったとか、そういう暖水の影響というものはかなりあったと考えておりますが、これから例年ですと親潮が南下してまいりまして、ちょうど宮古のとどヶ崎近辺まで、直接は下がりませんがその辺を目指して下がってくる時期でございますので、これから11月、12月、水温が下がってくるころが岩手県の主な漁獲の盛期でございますので、その辺を注視してまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 水産業についてお伺いをしたいと思います。
 復興局のほうからいただいた復興実施計画における主な取り組みの進捗状況という資料等でも、県内のこれまでの共同利用漁船等の復旧状況、これは大体第1期目標に対して進捗率が87.9%、また、稼動可能な漁船数は8月31日現在でも9、892隻になっているということ、また、養殖施設の復旧整備についても約85.9%の1期目標に対する進捗状況、また、流通、加工施設等においても、もう既に着工が121のうち竣工が99カ所あるという報告を受けたところであります。そういった中で、施設等はまた復旧し、そして漁船等は確保している状況にあるわけですけれども、アワビ、ウニ、そして先ほど嵯峨委員からも質疑があったわけでありますがサケの放流の実績等、実際にできた施設の稼動の状況がどうなっているのか、予定どおり、計画どおり進んでいるのか、そちらのほうをお伺いしたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 被災後の施設の利用状況、復旧した施設の利用状況ということでございます。
 今、委員お話しになりましたように、施設についてはおおむね希望どおりといいますか、漁業者からの今希望に沿って進めているところと我々も考えております。そのうち、主にサケのふ化放流施設につきましては、被災前のものが統廃合をいろいろした部分もございますが、現在、ことしで20カ所のサケのふ化場が稼動することになりまして、予定しているふ化場がことしで全部整備がとりあえずされるということで、昨年度は3万1、000尾ほどの放流でしたが、今年度は3億9、000万尾ほどの放流数になって、被災前の4億4、000万尾にかなり近づくという状況になっております。
 また、種市にございます栽培漁業協会の種市事業場におきましては、既にウニを今年度200万個出荷するということでございますし、来年度に向けて既に250万個を出荷できるぐらいの種といいますか下地はつくってございます。あと、養殖施設、漁船につきましてもそのとおり整備が進んでおりまして、今後、これらを使用して生産をふやしていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 また、産地魚市場の水揚げ量ということで、平成25年4月から25年6月までの資料でいくと、過去3年平均比で86.1%まで水揚げ量が来ているということの数値等も復興局の説明ではいただいたところです。
 そこで、なりわいの再生ということで言うと、復興局の資料ではこのような状況でいいのかもしれません。ただ、本当のなりわいの再生がどうなっているかということは、施設整備が順調に進んだからそこで完成だということではなく、特にも水産関係であれば、水産振興課の皆さん方、他の部局で、農であれば農のほうのとか、それぞれの担当者のほうで、そこにかかわる生産者がどうなっているかということを実際に詳しく見ていただきたいと思います。水揚げ量がどのぐらい上がったといっても、魚種がどうだったとか、それが外来船からの水揚げなのか、それとも本県で非常に多い小型漁船だとか、いずれ漁船漁業からの水揚げなのかということについてそこをチェックしていかないと、本当のなりわいの再生ということには私はならないんだと思います。
 そこで、これは被災後からやっと船を手に入れた漁船漁業の方々が、魚価が低迷しているだとか、燃油高騰だとかの影響で非常に厳しい状況になっていると私は聞いておりますが、担当課では、現在、県内で多い小型漁船の実態についてどのように認識をしているのか、お伺いします。
〇山口漁業調整課長 小型漁船の現状認識についてでございますが、沿岸小型漁船の対象とする魚種の水揚げについて、マダラにつきましては、これは主に底はえ縄で漁獲されるところですけれども、ここ数年、岩手県沖海域の水揚げ量が大幅に増加しております。平成25年1月から9月までの水揚げ量は約9、000トン強と、10年前の5倍を超えておりますが、県内の産地魚市場の平均単価は1キログラム当たり91円と、10年前の3割まで低下しております。また、主に刺し網で漁獲されますヒラメにつきましても、ここ数年来の水揚げ量はほぼ毎年100トンを超えております。しかし、単価は10年前の半分と、1キログラム当たり704円に低下しております。
 小型漁船は、1隻当たりの水揚げ量が少ないということで、このような価格が低下した中では、なかなか採算がとれないと推測しております。また、燃料代も増加しておりますので、厳しい経営状況を強いられるのではないかと認識しております。
〇工藤大輔委員 そこでなんですけれども、私はこの件について、正直、県がどこまで支援できるかというのは恐らく限定的なものもあるんだと思いますが、いずれ今の沿岸の漁船漁業の実態を踏まえて、これまでどのような支援をしてきたのか、また、これから必要としているのか、お考えをお伺いしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 小型漁船の振興の基本的な考え方ですけれども、漁業は基本的に天然の資源を活用いたします。その振興のためには、秩序ある操業ができる漁場を確保するということで県が行う漁業調整、これは具体的に言いますと、漁業の許可の発行とかそのようなものを適正に行うこと、また、漁業の取り締まりによって公平性を維持していくことが最も重要であると思います。
 また、小型漁船の乗組員は、地元の出身者でワカメ養殖等を兼業している者が多いため、各地で安定的に漁業や養殖を営むような環境をつくっていくことが大事だと思っております。その上で、乗組員確保対策、経営支援対策、関係機関と連携して進めていかなければならないと思っております。
 具体的には、なかなか水揚げの回復等見通すことが困難でございますけれども、実際に幾つかの漁協で既に取り組まれておりますが、朝市などの直売とか前浜を生かした飲食の提供など、水揚げしました水産物に漁協や漁業者がみずから付加価値をつけて取り組むような試みもこれからは必要になってくるのかなと思っております。
 また、県といたしましては、現在、各漁協に地域漁業の将来を描く地域再生営漁計画の策定を働きかけております。この計画を検討する中で、小型漁船の振興についても漁協や漁業者の方々と意見交換をしながら、一緒に方策を探っていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 これからつくられていく営漁計画の中で、漁船漁業の位置づけもより明確化し、そして、そこに対する対策ということで、漁協も含めて漁業者全体で、どうすれば共存共栄、また、水産振興という観点で進められるかということをぜひ強く進めていただきたいと思いますし、また、先ほど五日市水産振興課総括課長のほうからも答弁していただきましたけれども、つくり育てる漁業の中でも、市場性のあるものをどのように生産し種苗を提供していくのかということも大切な視点だと思います。そういった観点からすると、これまで以上に栽培漁業協会の役割が非常に大切だと思いますが、今後進めようとする対策について、あればお示しいただきたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 県の栽培漁業協会のほうでは、現在、アワビ、ウニ、そしてヒラメ、アユの生産を行ってございます。震災前ですけれども、種市の事業場のほうではナマコとイワガキなどを生産しておりました。特にナマコにつきましては、当時、中国のほうで非常に需要が高かったものですから、これを特産にしようということで取り組んだところでございます。被災前でございますけれども、県内に17万個ほど、県外に28万個ほど、合計で45万個ほどの出荷をした実績がございます。したがいまして、技術的には確立されたものでございましたが、これからというときに震災に遭ってしまいましたので、このナマコをこれからどういうふうに進めていくかということが一つの大きな課題だろうと考えております。
 現在、種市の事業場のほうで、その技術の継承をしていかなければならないということで、本年の6月から試験的な試みとして種苗生産を開始しておりまして、恐らくうまくいけば、来年の春には10万個ぐらいまでは生産できるのかなと。これは独自事業でやっておりますので、県から委託したりということではございません。そういうことがどういうふうにできるのかというところを見ながら、あとは栽培漁業協会と事業をどういうふうに進めていくかということを相談してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 今のはナマコということでいいんですよね。
 それで、小型漁船漁業が非常に多いというのが岩手県の特徴だと思います。そういった中で、現状がいいという声は何一つ聞かない。本当、厳しい状況しか聞かないんですね。天候がよくても、波がよくても、値段が高い、あとはとってきても値段がつかないということで、漁に出られないという声まで聞こえる現状を、国もあわせて、どうやればこの苦境を乗り越えられるかということを考えて支援策というもの、こうしてほしいというものがあると思いますし、漁業者からもよく意見を聞いて対策を考えてほしいと思います。これは要望にしたいと思います。
 それと、最後1点なんですが、午前中の審査の中では、高橋昌造委員のほうから畜産に関する放射性物質、東京電力の賠償の質問が出されたところであります。私のほうからは、水産の東京電力の賠償の請求そして支払われている現状について、どのように問題が解決していっているのかお伺いします。
〇五日市水産振興課総括課長 原発事故によります水産物の損害賠償請求の現状についてでございます。
 水産物につきましては、平成26年6月に設立されましたJFグループ等東京電力原発事故水産物損害賠償対策岩手県協議会が、東京電力に対して、平成24年12月から本年8月までの計8回、イサダやマダラの水揚げ減少等に係る損害につきまして、総額で2億5、900万円余を請求いたしまして、本年8月までに、99.6%に当たります2億5、800万円余を漁協等25団体に支払われているという状況になっております。
 一方、マダラの出荷制限期間中に、本来はマダラをとっていた漁業者ですが、マダラ以外のものを対象にして操業したという漁業者の減収分につきましては、その過去の漁獲実績の整理や調整が必要になっておりまして、現在も交渉が継続中でございます。
 県は、これまでも、JF協議会にオブザーバーとして参加して活動の支援をしているところでございますが、今後も、損害賠償が円滑に進むように、必要に応じて支援をしてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 請求分については99.6%の支払いということで、いずれ、これは来年、再来年と、その時々に応じてフレームが固まったことによって問題なく支払われていくという認識でいいのか、確認を1点したいと思います。
 それと、協議継続中の生産者の解決する見通しというのは現状においては立っているのかどうか、また、その課題が大きいんですか。恐らく細かい話をされている形のようなんですけれども、いずれ早期解決に向けた見通しについてお伺いします。
〇五日市水産振興課総括課長 現在まで支払われておりますフレームによって、例えば平成24年度の被害と同じフレームで25年度も計算されるものにつきましては、内容が固まれば請求されてそのまま支払いになるということになろうかと思います。一方で、フレームといいますか、請求の基準的なものがまだできていない。今申し上げましたように、本来であればマダラをとっていた場所で、例えば規制がかかって水揚げをしなかったという方が、ほかの漁場に移って別なものを漁獲したという場合に、これをどう算定していけばいいのかという、そういう細々としたところの交渉がまだ続いておりますので、この辺のところは、東京電力と漁業者あるいはJFのほうで今後も継続していくものと思っておりますし、やはり継続して協議していかなければならないものと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、シイタケと特用林産振興対策事業費、うち原木シイタケの放射線対策について伺いたいと思います。
 まず、平成24年度の生産者への東京電力からの損害賠償の進捗状況と平成25年度の見通しについて、どのくらいの間隔で支払われているのかも含めてお示しをいただきたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 原木シイタケの損害賠償請求の進捗状況についてでありますが、平成24年度内に原木シイタケの関係で損害賠償請求を行った額は32億1、609万円でありまして、そのうち年度内の支払額は21億6、744万円となっており、年度中の進捗は67%でございます。
 なお、年度内に支払われなかった賠償金は、これは森林組合系統が請求いたしましたほだ木に係る賠償と承知しておりますが、本年の6月末までに支払いが完了しております。
 平成25年度の見通し、どのくらいの間隔で支払われるかということでございますが、支払い間隔でございますが二系統ございまして、JA系統でございますが、基本的には請求の翌月に概算払い、その後本賠償ということで進んでおります。もう一つの系統でございます森林組合系統でございますが、これは東京電力におきまして、請求書類の確認に要する時間はありますけれども、請求後約1カ月半程度で本賠償が支払われている状況でございます。
〇佐々木朋和委員 今、生産者の皆さんも、そのような形で賠償が大分進んできたということで安心しているところでありますけれども、しかしながら、今、露地物についても出荷自粛解除、また、人工施設での再生産ということで取り組んでいる中で、かかり増し経費も出てくると思います。その点についての補助にならない部分も、自己負担についても損害賠償になるように県としても強く求めていただきたいと思います。
 次に、原木の充足率と単価高騰の現状についてお伺いをしたいと思います。
 原木について、平成24年度、県内でどのくらいの需要があって、充足率はどうであったのか。また、全国的な原木が足りないというところで単価高騰というお話も聞いておりますが、現状と対応策をお示しいただきたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 原木の充足率と単価高騰の現状についてであります。
 シイタケ生産者や農協などがみずからの確保が難しいと判断して、平成25年春の植菌用として供給要望がありました原木本数は約7万本でありましたが、これに関しましては全量の供給が完了しております。
 単価につきましては、平成24年度に、岩手県森林組合連合会等を通じて行いましたシイタケ原木の供給実績で見ますと、震災前のシイタケ原木の平均単価よりも、1本当たり約70円高い250円程度となっております。
 対応策といたしましては、岩手県森林組合連合会など関係団体と連携いたしまして、できるだけ安価な原木を安定供給できるよう取り組んでおりまして、昨年度、平成24年度、しいたけ等原木安定供給促進資金貸付金におきましては、2、300万円を森林組合が原木林を確保するための資金として県森連に低利で貸し付けをしておりますし、また、原木しいたけ経営緊急支援資金貸付金におきまして、ほだ木の更新分として21万本分、2、589万円を生産者に融資しております。
〇佐々木朋和委員 震災前よりプラス70円の250円ということでしたが、生産者に聞くともっと高いのではないか、もしくは今後高くなるのではないかということで、再生産に向けて二の足を踏んでいるという大きな原因の一つになっていると認識をしております。ぜひとも、県としては国とも連携しながら、岩手の原木を岩手で生産者が使えるようにしっかりと支援をしていただきたいと思います。
 最後に、ほだ場の除染についてお伺いをしたいと思います。
 ほだ場の除染の進捗状況と今後の見通しについて伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 ほだ場の除染についてでありますが、落葉層除去等のほだ場の除染の進捗状況は、出荷制限が指示されております13市町の計画面積69万3、000平方メートルに対しまして、着手済みが17万1、000平方メートルで進捗率が24.7%、完了が3、000平方メートルで進捗率がまだ0.4%にとどまっておるところでございます。
 今後の見通しでございますが、現在、ほだ木の移動、一時保管を先行して行っておりまして、ほだ木の一時保管等が完了したほだ場から順次ほだ場の除染を進めております。平成25年度内には事業を計画している市町におきましては、落葉層除去等が完了するように事業を実施しておるところでございます。
〇佐々木朋和委員 今年度中に除染を完了する計画だということでありますが、現在で24.7%ということで、これから雪も降ってくるという中にあっては、本当にこれが完了するのか心配なところでありますが、計画と比べてどのような進捗状況か、もう一度御答弁いただきたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 県といたしましては、できるだけ早く生産再開、出荷制限解除に結びつけるためにも、できるだけ早くほだ場の環境整備が必要と考えておりまして、計画を策定しております。
 なかなか進んでおりませんが、特に沿岸部なんでございますが、一番の原因は、作業をする方々が不足しておるという問題が実はございます。お話を聞きますと、実際、市町村が事業を行いまして、それは森林組合なり農協なりに仕事を委託する。実際は森林組合や農協が人を雇ってということになりますと、雇われる方々が地元の方でございますので、簡単に申しますと、稲刈りが終わってからという形で考えておりまして、今後、一気に進むと市町村からは報告を受けております。
〇佐々木朋和委員 そのようなお話を聞くと、少しはいいかなと思うわけでありますけれども、心配は拭い切れません。原木シイタケの農家に話を聞きますと、なかなかそういう制度の進捗を待っていられないと。自分たちの手でやりたいという声も聞きますし、シイタケ再開に向けて意思決定がみんなそろってというわけにはなかなかいかない中にあっては、やる気のある方から先行してやらせてくれという声も聞いております。その点をぜひ考慮いただいて、柔軟に対応していただきたいと御要望を申し上げて終わりたいと思います。
〇城内愛彦委員 それでは、私からも何点か質問させていただきます。
 先ほど来嵯峨委員、工藤委員のほうからも質問がありました。産地魚市場が復旧して前浜が元気になってきたところでありますけれども、被災地の水産加工業等の復旧状況についてお伺いしたいと思います。
 水産加工業、流通業の復旧、復興の状況についてでありますが、水産業は沿岸被災地において、生産、加工、流通まで関連する裾野の広い産業として、地域の雇用、経済を支える大きな役割を果たしてきた産業であります。魚市場に水揚げされた魚は、冷凍冷蔵庫施設や水産加工場などが受け入れ、これを流通に乗せる態勢が整って初めて水産加工が復旧したと言えると思われるのですが、そこで伺います。
 水産加工場、加工、あと流通業の復旧、復興の状況は今どのような形になっているのか、お伺いしたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 水産加工、流通業の復旧、復興状況についてでございますが、まず、水産加工業者の復旧状況につきましては、本年8月1日現在の被災事業所復興状況調査によりますと、被災した水産加工業者のうち、一部再開した加工場を含め78.2%が再開してございまして、昨年同時期から3%増加している状況でございます。
 次に、水産関係の流通業の復旧状況についてでございますが、漁業協同組合や水産加工業協同組合を対象といたします魚市場等の荷さばき施設、製氷、貯氷施設、冷凍冷蔵施設及び加工処理施設などの復旧、整備状況につきましては、8月末現在、着工施設は累計で121カ所となっておりまして、うち99カ所の施設が使用可能となっておりまして、昨年の同期に比較しますと、使用可能施設で45カ所増加しているところでございます。
〇城内愛彦委員 本県の水産物の強みを生かした新たな取り組みをこれからしていかないと、先ほど来お話にあった、とったものがなかなか消費されない、値段がどうしても上がってこないという状況にあると思います。
 今定例会でも一般質問をさせていただきました。水産加工業者は働き手がないとか、取引先との関係がもとに戻ってこないという部分を指摘させていただきました。それに対して、県では、さまざまな対策を講じられているという答弁もいただきました。水産加工業者のニーズという部分が多分あるんだと思います。これからどうしていこうかという部分。それに対して、きめ細かい支援を今後していただかないと、なかなか消費拡大というんですか、水揚げされたものが値段に反映されていかないと思うところであります。ぜひとも、それはお願いしたいというところであります。
 一方、本県に水揚げされる水産物は、全国に誇れる鮮度、素材のよさなど、高い品質を有しているわけでありますけれども、これを生かした新たな取り組みが水産加工業者が抱える問題の解決にもつながるものと考えますが、県の認識、どういう形でそのことを捉えているのか。また、この取り組みをどういう形で、応援も含めて支援していくのか、その点をお伺いしたいと思います。
〇五日市水産振興課総括課長 本県水産物の強みを生かした新たな取り組みということでございます。
 本県では、震災以前から、魚市場、水産加工場を対象といたしまして、衛生品質管理について推進をしてきたところでございます。鮮度や素材のよさなど、本県水産物の強みをさらに生かすために、漁船あるいは魚市場、製氷施設、冷凍冷蔵施設、水産加工場、全ての段階ではHACCP手法の導入など、衛生品質管理の高度化を進めまして、本県水産物の優位性というものをアピールしていくことが、販路の回復あるいは拡大に重要なことであると認識してございます。
 このため、県では、本年8月に、岩手県高度衛生品質管理基準を策定いたしました。漁業者、漁協、魚市場あるいは水産加工団体、市町村等と連携して、漁獲から流通、加工までの一貫した新たな水産物のサプライチェーンの構築に取り組むことといたしておりまして、市町村が地域の高度衛生品質管理計画を策定して、これを県は実行を支援するということで考えてございます。
 このような市町村、県を挙げた衛生品質管理への取り組みというのは全国にも例がないものでございまして、沿岸市町村の特徴を生かしたそれぞれの取り組みを積極的に発信することによりまして、他産地との差別化を図り、消費者から選ばれる産地づくりを目指すとともに、県産水産物の販路回復、開拓を図っていくと考えております。
〇城内愛彦委員 ぜひ他の地域に先駆けて差別化をして、岩手の安全・安心な水産物を全国に発信するということは午前中の審査でも岩渕委員のほうからも話がありました。食の無形文化財というんですか、そういうものにも寄与すると私は思います。ぜひこれは進めてほしいなと思いますので、よろしくお願いします。
 3点目、最後になりますけれども、震災前に大発生して問題となったエチゼンクラゲについてお伺いしたいと思います。
 過日、普代村を訪問した際、サケの状況についてお伺いしに行ったわけですが、その際、盛漁期を前に、エチゼンクラゲがぽつぽつと見え始めたということで心配をしているという話を伺ってきました。県として現状をどのように捉えているのか、お伺いしたいと思います。また、あわせて、今後どういう見通しがあるのか、対策も含めてお伺いしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 大型のエチゼンクラゲの来遊状況でございますが、本県では、9月17日に、久慈市付近の定置網で初めてことし入網が確認されました。その後、10月11日までで46カ統の定置網に延べ約3、500固体の入網が確認されております。
 来遊数は、大きな漁業被害がありました平成17年、18年及び21年に比べてかなり少ない程度でございます。クラゲの除去の作業はございますが、クラゲによって網が破れるといったような直接の被害は今のところ確認されておりません。
 また、今後の見通しですが、クラゲは津軽暖流に乗って回遊してきますので、本県より先に入網が確認されます日本海側、青森県の定置網には入網数に大きな変動ございませんので、本県におきましても断続的な入網はあるものの、今後、急激に増加することはないと見ておりますが、今後とも注視していきたいと思います。
〇城内愛彦委員 いずれ、大発生については注視をして、漁家の方々に情報を適宜に流してほしいと思います。
 クラゲが入ることによってサケに傷がついて、商品の価値が落ちるということが以前心配されてまいりましたので、ぜひその点も留意してほしいと思います。要望して終わります。
〇小西和子委員 私からは、いわての森林づくり県民税の推進事業についてのみお伺いしたいと思います。
 まず、平成24年度の実績についてお伺いいたしますけれども、まず、県民税の税収をお伺いいたします。
 まとめてお伺いいたしますが、事業実績、いわて環境の森整備事業、県民参加の森林づくり促進事業、いわての森ゼミナール推進事業等ございますけれども、まず、そのことについてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 まず、いわての森林づくり県民税の税収でございますが、平成24年度の税収は7億2、853万1、000円でございました。
 次に、事業の実績でございますが、いろいろな事業を行っておりまして、順次申し上げますが、いわて環境の森整備事業では、緊急に整備が必要な1、650ヘクタールの森林につきまして、強度間伐面積を確保したところでございます。また、県民参加の森林づくり促進事業では、県内33団体が間伐などの森林をつくる活動を実施いたしましたほか、県産材を使用したベンチを公共施設に設置する活動などを行いました。また、いわて森のゼミナール推進事業でございますが、これにつきましては、小中学校20校、約733名の児童生徒を対象とした森林学習会を実施いたしましたし、県内4地区で205名の県民を対象とした森の実践ゼミナールを行ったところでございます。
〇小西和子委員 若干参加者等が減った事業もございます。それとあわせまして、成果と課題についてお伺いします。
〇菊池林業振興課総括課長 若干参加が減ったものがございますが、分析しておりまして、これは大震災津波の影響によりまして税収が一時落ち込みましたので、事業費を圧縮せざるを得なかったということもございますし、各実施団体におきましても、震災後のいろいろなことがございまして、事業の実施体制がなかなか整わなかったのではないかと考えております。
 成果でございますけれども、県民税事業の大きな目標であります公益上重要な人工林を強度間伐して、針広混交林へ誘導するといういわて環境の森整備事業でございますが、事業開始の平成18年度から平成24年度までの7カ年で、ほぼ計画どおりの1万700ヘクタールの整備を行いました。
 また、全体の成果でございますが、県内各地の住民団体やNPO団体が行います森林環境保全活動には延べ150団体、3万人が参加いたしましたし、森林学習会等には延べ120回、4、000人が参加するなど、森林林業に対する理解醸成に大きく寄与しており、いわての森林づくり県民税の取り組みは着実に成果を上げておると認識しております。
 次に、課題でございますけれども、今後、限られた税収の中で、いわて環境の森整備事業による平成23年度から平成27年度までの2カ年、第2期5カ年の整備計画の目標は8、000ヘクタールでございますので、これを着実に達成するために、整備対象森林の確保と事業の効率的な執行が必要と考えております。
〇小西和子委員 それでは、その中の県民参加の森林づくりの促進事業についてお伺いいたしますけれども、先ほど御答弁いただいたものですけれども、平成22年度との比較から平成24年度の事業実績の変化につきましては先ほどの御答弁でよろしいかと思います。もし補足がありましたならお願いします。
 だんだん関心が薄れてきたんじゃないかとか、あとは大変厳格な審査があるものを、使い勝手が悪いのでもっと柔軟にできないものかといった声もございます。そのことを含めまして、事業を推進するための取り組みと課題についてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 先ほど県民参加の森林づくり促進事業の実績を申し上げまして、今、委員のほうから平成22年度の比較という話もありましたので、比較で申し上げますと、平成24年度の事業実績は25団体で5、058名の参加、これに対しまして平成22年度は35団体で7、704名の実施となっておりましたので、比較をしますと10団体減、参加人数は2、646人の減となっております。
 課題と取り組みというところでございますが、この事業は、県民みずからが地域で主体的に取り組む森林に係る諸活動に支援しているものでありまして、ずっと引き続き地域や団体からは継続実施の要望は多いです。ただ、同じ団体が要望するということで、新規の団体の掘り起こしということが課題になりますし、やはりいろいろ参加者をこれからもふやしていくということが必要だと思いますので、これまで以上に、事業の周知ですとかPRを積極的に行って事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 認知度とかPRとかということで、次に、いわて森林づくり県民税の認知度についてお伺いいたします。
 前回、同じように質問したときには、アンケート調査をその後行っていないので認知度は4割程度ということでお答えいただいておりますけれども、その後調査を行ったかのかどうかということで、まず平成24年度の認知度をお伺いしたいです。それを高めるための取り組みを平成24年度はどのように行ったか、まずお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 認知度を高めるための取り組み、平成24年度はということでございましたが、平成24年度からは、新たに木材の積極的な利用が森林環境の保全につながるということを普及啓発したいということで、先ほどもちょっと申し上げましたが、公共スペースに県産木製品の整備を平成24年度から行いました。例えば市民の森にベンチを置くですとか、観光地にベンチを置きますとか、そういうことをやりまして、そこのベンチには県民の森で整備しましたよと標板と申しますか、それを張ったりして、全く林業に関係ない人でも座って、ああ、これはこういう税金の事業なんだなと思ってもらえるような標示をしておりまして、これで一層のPRに努めていきたいと考えております。
 認知度向上ということでございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたが、森林林業にこれまでかかわりのある方ですとか、環境保全活動にかかわりのある方はそういったものに参加しますからそこでわかるんですが、県民税の認知度を広めるということは、そういうことに全くかかわりのなかった人にもPRが必要ということでございますので、ちょっと具体的にはまだあれなんですが、いろいろな場面で、こういう事業がありますよという宣伝に努めるということを地道に、あらゆる機会を捉えて取り組んでいきたいと考えております。
 なお、アンケート、前回答弁申し上げたときはそれ以降アンケートしておりませんと申し上げました。実はまだしておりませんで、平成22年度のアンケートで認知度が4割程度という結果でおりまして、来年度、再来年度、今第2期、現在の県民税の事業を総括する時期に今回後半入ってまいりますので、総括の前提としてアンケートの実施をするかどうか、そこら辺を検討していきたいと考えております。
〇小西和子委員 パンフレットをいただきました。これはすごくよくできていると思うんです。何ページかありますけれども、非常に字も大きいですし図もふんだんに取り入れていて、本当に私のような年齢の者には大変わかりやすいのです。それから、リーフレットもすごくいいと思います。その中に認知度の目標が書かれていまして、平成23年度から平成27年度までで70%にすると書かれてあったんです。今、40%で、あと2年後に70%というのはすごくハードルの高い目標だと思ったんです。そこで、この7割という目標に向かって今後どのような取り組みを行うのかお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 あともう少しの期間で4割を7割ということで、第2期がスタートする段階で、2期に入るときに一体どのくらいの認知度があるかということで調べて4割でした。今後を見通した場合でどうなのかということでこれから調べます。
 どういった場面でということがありますが、いろいろな会議でという話もありまして、私、全然森林、林業に関係ないような会議に呼ばれることもありまして、そのときにちょっとずうずうしく、わざとこの話をするですとか、あとはいろいろな会議で、大学の先生とかに委員になっていただいておりますので、ぜひいろいろな場面でお話をしてください、学生にもお話をしてくださいといろいろ行っていただいておりまして、岩大の林業の関係の先生はよく御存じですからいろいろなところでお話を出していただいておりました。この間の滝沢のイベントでもお話をわざわざしていただいたものでございまして、どのくらいの認知度向上になっているかという検証はこれからですけれども、引き続きいろいろな場面でPRに努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 私は前にも御提案申し上げたんですけれども、1人毎年1、000円ずつ納めているわけで、本当に本気になって取り組まなければならないものだと私は考えておりまして、何でこの県民税が必要なのかということを県民に納得してもらうような手だてが必要だと思います。これはとてもいいパンフレットだと思いますけれども、これを全員に渡すわけにもいかないので、ホームページ等にこういうものも活用したらいいんじゃないかと思いますし、いただいた資料の中に環境の森整備事業の実施位置というのをこのように岩手県の地図に落としたのがございますので、こういうものもやっぱり知らせたほうがいいと思うんです。かなり広い面積で行っているということがあります。視覚に訴えていくというのがうんと大事だと思います。
 それから、ホームページ発信することが非常に大事だと思いますし、あとは、先ほどもありましたけれども、どのくらい効果があるかというのを、これはちょっと小さくてわからないんですけれども、こんな暗かった人工林がこんなに明るくなりますよと。環境がアップしますよというようなことをもっと大々的にPRしたらいいんじゃないかと思います。
 森林というのは、木材資源を生み出すだけではなく、水を蓄えるとか、災害が頻繁に起こっていますけれども、災害を未然に防ぐとかレクリエーションの場であるとか憩いの場でもあります。そして二酸化炭素の吸収源としても重要な役割を担っておりますので、ぜひ貴重な県民税を活用して、今後とも着実な森林整備を推し進めることを要望いたします。
 何か御所感がありましたらお伺いして終わります。
〇菊池林業振興課総括課長 委員おっしゃるとおりでございまして、一応ホームページにもいろいろ掲げてはいるんですが、なかなか認知度という点ではあれなものですから、委員おっしゃるような効果をもっとアピールするようなつくりにして宣伝に努めたいと考えております。
〇斉藤信委員 林業、水産業の復旧状況について、まず最初にお聞きします。
 漁船の確保の状況、1トン未満の小型漁船、2トン以上の養殖作業船等の状況はどうなっているか。登録漁船数、使える漁船数は被災前と比べてどこまで復旧しているか。今年度末の見込みはどうなっているか。
〇山口漁業調整課長 漁船の確保についてでございますが、8月31日現在の補助事業によります新規漁船の登録数は5、976隻、使用可能な漁船数は、震災被害を免れた漁船、補助事業で整備した漁船、自力復旧した漁船の合計で9、892隻となっております。震災前の漁船登録数に対しまして69%、復興実施計画第1期の目標に対しまして88%となっております。
 今年度の見込みについてでございますが、補助事業によりまして整備を予定しています漁船数の平成25年度末の登録数は6、443隻、使用可能な漁船数は1万359隻となる見込みでございます。
 なお、漁船のトン数別の隻数は年末に集計しております。平成24年12月末現在におけます漁船登録数は9、129隻、このうち1トン未満の漁船数は7、134隻、1トンから3トンまでが1、268隻、3トン以上が727隻となっております。
 なお、養殖作業船につきましては、多くが採介藻等の漁業と兼用されている状況にございます。
〇斉藤信委員 養殖施設の復旧状況は、海藻類の施設、貝類、ホヤ等の状況、そして漁業者の再開状況、生産量、生産額はどうなっているでしょうか。がんばる養殖業の取り組みを含めて示していただきたい。
〇山口漁業調整課長 養殖業の復旧状況についてでございますが、まず養殖施設につきましては、9月末までにワカメ、昆布等の海藻類の施設は約1万2、000台、カキ、ホタテ類等貝類の施設は約4、000台、ホヤ等の施設は約1、000台が整備され、全体で震災前の64%となります約1万7、000台が復旧しております。
 次に、養殖業者につきましては、国が平成25年3月11日現在で調査をしております結果によりますと、震災前の72%が再開しているということでございます。
 次に、養殖生産量、生産額につきましては、ワカメは平成25年度産で生産量が約1万6、000トン、金額が19億8、000万円でございます。平成25年度集計ができておりません昆布、ホタテガイ、カキにつきましては、昆布が平成24年度の実績で生産量が約5、000トン、金額が8億2、000万円、ホタテガイが約1、000トン、金額で4億7、000万円、カキは、むき身で換算した数字でございますが、数量で約87トン、金額で1億8、000万円となっております。
 また、がんばる養殖復興支援事業につきましては、本年10月末現在で12漁協39グループの計画が認定を受けております。延べ483名の漁業者が事業に参加しているところでございます。
〇斉藤信委員 再建整備が順調に進んでいますけれども、こうした漁業用施設の固定資産税などの減免措置はどうなっているでしょうか。
〇宮野団体指導課総括課長 漁業用施設への固定資産税の減免措置についてでありますが、若干これまでの経緯を含めましてお答えいたします。
 本年4月に県漁業協同組合連合会及び沿岸地域の各漁協から、県及び沿岸地域の12市町村に対しまして固定資産税の免除について要望がございました。その要望の趣旨、内容は、水産業の早期復旧を図るために創設された補助事業を活用しまして漁協が被災漁業者にかわって整備した漁船、漁具、漁網、それから養殖施設に係る固定資産税の負担が重くなっており、その免除をお願いしたいというものでございました。
 このため、県におきましては、沿岸12市町村の水産担当課長、それから税務担当課長、それから国の岩手復興局の職員も集めまして意見交換、協議を行いました。最終的には、固定資産でございますので市町村の判断によるものでございますけれども、被災者自身が被災施設、設備の代替資産を取得した場合に適用される地方税法附則第56条第12項に規定する被災代替資産取得特例と同等の軽減措置を講じる。つまり、本年度から4年間につきまして固定資産税を2分の1に減額する措置を講じることにされたところでございまして、沿岸地域の全ての市町村、12市町村でございますけれども、本年の6月定例会におきまして地方税法第367条の規定に基づく税条例の一部改正を行いまして、固定資産税の軽減が行われているところでございます。
 なお、固定資産税の軽減に伴う市町村の減収分につきましては、国と協議をいたしまして、平成25年度で約8、000万円、4年間で約2億円が見込まれておりますけれども、震災復興特別交付税が措置される予定でございます。
〇斉藤信委員 固定資産税が2分1減免、一歩前進と。ただ、2分の1課税でも大変な額だと思いますよ。宮古市ではさらに独自に軽減策をとっている。私は聞きましたけれども、この間の漁船の確保、養殖施設の整備は何百億円と、こういう資産ですよ。私は、本当にこれから再建、再開する漁協にとっては、これはもうたえ切れないもので、さらに各市町村が上乗せの減免をしていると思いますけれども、そこは把握されていますか。
〇宮野団体指導課総括課長 市町村から報告をいただいたのが古いデータでございますので、場合によってはちょっと違うかもしれませんが、県で現在つかんでいる情報といたしましては……
〇工藤勝子委員長 答弁できますか。
〇宮野団体指導課総括課長(続) 済みません、確認をして再度答弁いたします。
〇工藤勝子委員長 斉藤信委員、御了解いただきます。
〇斉藤信委員 例えば大船渡市の生産組合の漁民たちが民間から寄附を受けたと。それで冷蔵施設をつくったら所得税がどんとかかったと。何もないところからこういう施設をつくったらとんでもない税金がかかったということがあって、これは今、国とのやりとりをやっている最中ですけれども、私は、民間の場合もそういうことが減免されるような手だてをぜひ考えていただきたい、知恵も出していただきたい。これは要望だけにとどめておきます。
 次に、秋サケ漁の状況と不漁の要因について私からもお聞きしたいんですけれども、昨年度、今年度の秋サケ漁の状況は先ほど明らかになりましたから、不漁要因の調査研究について、これはシンポジウムのようなこともありましたので、その研究成果で示されたものはどういう問題だったのか、ぜひそのことを示していただきたい。
 そしてもう一つ、平成21年と比べればまだ六、七割だという答弁がありました。漁協経営に与える影響は私は大きいのではないかと。3月に聞いたときには、共済が入るから大丈夫だと。あの時点はそうでした。今年度はどうなのか、そこも含めて示していただきたい。
〇五日市水産振興課総括課長 秋サケの不漁原因の調査研究状況ということでございますが、これまでの調査研究の報告によりますと、先ほどちょっと申し上げた部分もございますが、放流直後からオホーツク海に至るまでの稚魚の減耗、これがやはり不漁原因の一つと考えられておりまして、県の水産技術センターでは、国の研究機関などと共同研究で、今年度から新たにサケの稚魚の回遊経路の解明、回遊と生残に影響を与える要因の検証等について着手いたしたところでございます。その一環といたしまして、今年度は6月下旬に水産技術センターの調査船岩手丸を用いまして、本県沿岸から北海道の沿岸にかけて岩手県で放流した秋サケの稚魚がどのように分布しているか、どのような経路で北のほうまで泳いでいくのかということ、それらの分布状況あるいは海況などを調査しておりまして、現在その調査結果を取りまとめておるところでございまして、その内容が明らかになりましたらまた皆様方にお示ししたいと思っております。
〇斉藤信委員 この間のレポートを見せていただきますと、県の水産技術センターの研究員は今できることは何かというので幾つか挙げているんですが、赤字で書いているのが、稚魚飼育、密度、水量、給餌の問題と。これはわざわざ赤字で書いて、北海道も減っているんだけれども、減り方がやっぱり岩手と北海道では違う。北海道の場合はオホーツク以北はふえている、そういうこともあるので、そういう北海道と岩手の共通性と、また違いというものもしっかり見て対応する必要があるのではないか。その点どうですか。
〇五日市水産振興課総括課長 おっしゃるとおり、北海道のほうと岩手県のほうと、同じ稚魚ではあっても北洋のベーリング海まで泳いでいく距離が物すごく違いますし、そもそも北海道ではオホーツクにすぐに入りますし、岩手県の場合はかなりの距離を泳いでオホーツクまで行かなければならない。そういう条件はあるにしても、やはりオホーツクまでたどり着けるような元気な稚魚をつくらなければならないというのが一番大きな課題であろうと思っております。
 そういう意味では、今年度、唐丹町漁協の使わなくなったふ化場を再度整備させていただいて、水産技術センターで飼育試験、あるいは放流した後どのような餌で育てたものがいいのかとか、さまざまそういう、今ここにありました水量とか密度とか給餌とか、そういう観点も含めた稚魚の飼育をいたしまして、最もよい飼育の仕方を探ろうということで今、取り組み始めているところでございます。実際は、施設整備がまだ若干かかりますので、来年度からの対応、取り組みにはなろうかと思います。
〇宮野団体指導課総括課長 先ほど漁協の決算の見込みについて御質問がございました。
 まず、平成24年度決算から若干申し上げますけれども、昨年度は、秋サケ漁が低調に推移したことから漁協経営への影響が懸念されましたけれども、先ほど委員からも御指摘がございましたとおり、漁獲共済や積立ぷらすの保険金の支払い、さらにはがんばる漁業支援事業の活用による水揚げ高の赤字補填収入などがありまして、また、復興需要による購買事業が好調であったことや、漁船、養殖施設などの生産基盤の復旧に伴う生産量の回復によりまして、平成24年度決算では、全体としては、各漁協が補助事業の導入や負債整理資金の活用などにより収支を見込んでおります復興再生計画を上回る当期剰余金を確保したところでございます。
 なお、本年度の決算見込みにつきましては、今後、各漁協から報告をいただいて取りまとめることにしておりまして、まさにこれから本格化するサケ漁、こういったものがどうなるのかといったようなことにも注視しておるところでございます。いずれ、各漁協が作成いたしました復興再生計画の進捗状況、こういったものも確認しながら、適時適切な助言、指導を行ってまいりたいと思っております。
 それから、先ほどの漁業生産施設の固定資産税の関係で若干補足いたします。
 今回、被災代替資産取得特例と同様の措置によって2分の1に軽減をするということにいたしたわけでございますけれども、実は、漁船あるいは養殖施設につきましては、震災復興対応の軽減措置以外に平常時の軽減措置もございます。したがいまして、例えば漁船についていいますと、既に平常時で2分の1に通常減額になっておりますので、それをさらに2分の1にするということで、実質4分の1に減額になるものでございます。
 それから、養殖施設につきましては、3年間2分の1に減額という措置が通常講じられておりますので、平成25年度から今回の措置を適用することによりまして3年間は4分の1、さらに1年間は2分の1、そういった軽減になるものでございますので、その点補足させていただきます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、漁船漁業の状況について、先ほど工藤委員もこの問題を取り上げました。岩手県における漁船漁業の復旧状況と漁業者の経営状況はどうなっているのか。
〇山口漁業調整課長 漁船漁業の復旧状況についてでございますが、漁業者の漁業再開状況につきましては、国が平成25年3月11日現在の漁業経営体の再開状況を調査しております。その調査結果によりますと、再開率は84%となっております。また、沿岸漁船漁業者で組織します岩手県沿岸漁船漁業組合によりますと、加入する沿岸漁業者の再開は8割以上あると。沿岸漁船漁業者はほぼ再開を果たしていると聞いております。
 また、漁船漁業の経営状況につきましては、国が、震災前の平成22年を基準にしまして平成24年の漁業所得を調査しております。その結果によりますと、漁業所得につきましては、平成24年で震災前の67%となっております。
〇斉藤信委員 先ほど工藤委員の質問に対して、とれることはとれているんだけれども、魚価が大幅に下がってというのが今、答弁された67%の中身ですか。
〇山口漁業調整課長 先ほど、漁獲量については、とれている魚種としてマダラとヒラメの例を挙げましたけれども、一方では、例えばスルメイカにつきましてはなかなか沿岸に漁場が形成されなくて漁獲量が少ないという状況になっております。先ほどの国の調査の漁業所得67%につきましては、トータルでこういうふうになっているということですので、漁獲量そのものをストレートにあらわしているということではないと思われます。
〇斉藤信委員 次に、シイタケの被害、復旧状況、そして出荷規制解除への取り組み、見通しについてお聞きします。
 被害額は先ほどの賠償額と受けとめてよろしいのですか。いずれそこも含めて示してください。
〇菊池林業振興課総括課長 被害額と賠償額とがイコールかと申しますと、県の業務にも被害がありますので被害全体としてはあれですが、生産者に支払うものとしてはイコールと考えてよろしいかと思います。
 被害、再生産の状況でございますが、生シイタケにつきましては平成23年に5、978トンでしたが、平成24年には5、036トンと16%減っております。ただ一方で、全国3位の生産量というのはそのままキープしております。
 一方、干しシイタケでございますが、平成23年には216トンありましたが、原木シイタケの出荷制限指示等がございますので、平成24年には残念ながら103トンと半減しておりまして、現在も13市町で出荷制限指示が継続されておりますことから、多くの生産者が出荷できていないという状況でございます。
〇斉藤信委員 出荷規制解除のプロセス、見通し。これはあれですか、環境改善をやって、そして、そこでの栽培をやって、出ないということが証明されないとこれはできないと。それで、1万2、000人のシイタケ農家がいるわけですよね。規制がかかっているのがそのうち1万人。今、再開をしようとしているのがそのうちどのぐらいなんですか、これもあわせて示してください。
〇菊池林業振興課総括課長 1万人というのは全国の話でしょうか。(斉藤信委員「1万2、000人というのは全国か」と呼ぶ)県内では、平成24年でつかんだところでは、生産者は大体1、500人ぐらいです。そのうち13市町で出荷制限がかかっておりまして、制限がかかっておって出荷できない方々はおよそ1、000人おります。
 先ほど制限解除のためのプロセスというお話もありましたが、実際に解除申請をするということでシイタケとほだ木の検査結果を今、調査しておりますけれども、現在、お話しのとおり関係機関や団体と一丸となりまして、指標値を超えたほだ木の処理、あとは落葉層の除去、あとは泥のはね返り防止の資材を敷設する、そういったほだ場の環境整備をする。あとは生産工程の安全管理の徹底を行う。そして、例えば新たな栽培方法、簡易ハウスを導入したいという方があればそれを補助する。そういったことをやりまして、実際それで生産して、国が定める基準を超えないということが明らかですねと、そういうことを説明して申請をして解除、そういう過程を経るということになるものと考えております。(斉藤信委員「1、000人のうち、再開を希望しているのは」と呼ぶ)
 13市町で1、006人の方々の生産が出荷できないんですけれども、そのうち、現在、先ほども答弁申し上げましたように制限解除のためのほだ場の環境整備を今進めておりまして、その対象の方々は355人となっております。
〇斉藤信委員 これで最後です。
 松くい虫対策についてお聞きしたい。
 盛岡が今、最前線になっていますが、県北まで飛び火したということで、この松くい虫の被害と対策、これを示していただきたい。
〇赤澤整備課長 平成24年度の松くい虫被害でございますが、12市町村で被害が発生しております。被害量は4万2、000立方メートルと、前年度3万9、000立方メートルに比べて8%の増加となっております。特に内陸先端地域の盛岡市、矢巾町、紫波町でございますが、その地域において増加傾向が見られると。また、沿岸部の大船渡、陸前高田地域、あと、遠野、花巻地域についても増加傾向となっております。今年度に入っても、委員御指摘のとおり、住田町、雫石町、滝沢村、飛んで九戸村でも新たに被害が発見されたところでございます。こちらの新たに発見された市町村においては、全て駆除は完了しております。
 被害の拡大傾向を踏まえまして、県では、これまでの防除監視員のパトロールに加え、新たに松くい虫被害監視協力員の制度として新たな方々を登録しまして、監視強化を図ることによって被害木の早期発見に取り組み、市町村と連携した早期駆除に努めたいと考えております。
 また、今年度は、これまでの防除事業に加えまして、新たに平成24年の補正予算を活用した里山再生松くい虫被害特別対策事業を実施しながら、内陸部の被害先端地域の盛岡市、矢巾町、紫波町においては農林水産大臣の駆除命令区域に設定し、全額国費で駆除を実施するなど、できる限りの対策を講じて被害の拡大、北上阻止に努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 森林、林業再生等にかかわる事業についてまとめてお伺いいたします。
 林業作業士等の林業人材の育成、また、再造林事業、林道、作業道の整備状況、そして木造公共施設整備の支援状況はどうなっているか。これら全体を踏まえて、県の森林、林業施策の課題を全体的にどのように捉えて取り組んでいる状況かお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 まず、林業人材の育成状況についてでございます。
 県では、安全かつ効率的な作業を行える林業従事者といたしまして林業作業士を育成しております。公益財団法人岩手県林業労働対策基金が行う緑の雇用事業によりまして、平成24年度は18名を育成し、昭和56年以降の累計では295名という状況となっております。また、林業技術センターでは、機械化作業に対応した林業従事者としまして高性能林業機械オペレーターを育成しております。平成5年度以降、累計で225名を育成してきたところでございます。
 一方、課題といたしましては、震災復興等の影響もありまして林業への新規参入者が減っている状況でございまして、人材の確保が難しい状況となっております。人材育成、確保は継続的な取り組みが必要でございます。引き続き、岩手県林業労働対策基金等の関係団体と連携しまして、森の仕事ガイダンス等の開催等によりまして、林業人材の育成、確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、再造林事業の成果と課題についてでございます。
 再造林の面積でございますが、平成24年度の実績が519ヘクタールとなっております。いわて県民計画の計画では560ヘクタールとなっておりまして、93%の実績となっております。
 また、再造林でございますが、近年、増加傾向にありますけれども、針葉樹の伐採面積の3分の1程度にとどまっているという状況でございます。この要因といたしましては、木材価格の低迷により森林所有者の再造林意欲が低減していること、主伐による収入に比べ、再造林及びその後の下刈り等に要する経費が大きいことと考えております。このため、県では、森林経営計画の作成等を通じまして持続的な経営を醸成すること、もう一つは、植栽本数を減らした低密度植栽や伐採と再造林の一体的施工の普及などによりまして再造林の低コスト化を促進してまいりたいと考えております。
 次に、林道、作業道等の整備状況でございます。
 林道につきましては、平成24年度のいわて県民計画の計画28路線12キロメートルの開設に対しまして、実績は28路線11.4キロメートルとなっております。また、作業道につきましては、平成24年度の計画80キロメートルに対しまして、実績は、森林整備加速化・林業再生事業等の活用によりまして117.7キロメートルの開設となっております。林道、作業道の整備量は合わせまして計画量を上回る状況になっておりますけれども、本県の森林を活用し、今後、木材の安定供給を進めていくためには、さらなる林道、作業道の整備を進める必要があると考えております。木材生産を行う森林を対象に重点的に整備を進めてまいりたいと考えております。
〇菊池林業振興課総括課長 私のほうからは、木造公共施設の関係で御答弁申し上げます。
 平成24年度事業といたしましては、県では、森林・林業・木材産業づくり交付金事業等を活用しまして、一関市立花泉図書館ですとか釜石市の橋野鉄鉱山インフォメーションセンター等につきまして木造施設整備を支援しております。今年度につきましては、森林整備加速化・林業再生基金事業を活用しまして、盛岡市や一戸町の公共施設の整備の支援を予定しております。
〇竹田林務担当技監 私のほうから4点ほどお答え申し上げますけれども、そういったものを全体をどう捉えて、今後どう取り組むかということについてお答え申し上げます。
 御案内のとおり、本県の森林資源は、戦後、造成されました人工林が成熟しつつございます。今、本格的な利用時期を迎えようとしております。ということで、この資源を最大限に活用すること、そして、切ったら植えるという持続的な森林経営を広く定着させること、これが本県の森林、林業の課題であると考えてございます。
 このため、具体的には、持続的な森林経営を担う経営体の育成を進め、森林資源の適切な整備と計画的な利用を図るとともに、復興住宅等への県産材の供給、あるいは期待されております木質バイオマスのエネルギー利用など県産材の利用拡大に取り組み、本県の森林、林業の振興を図っていく考えでございます。
〇吉田敬子委員 人材育成の件についてですけれども、農業や水産業と違って、林業というのはなかなか新しく入る方が難しいんだと思います。あと、フォレスターですか、国での制度というか認定が厳しくなったということで、多分そういったことも関係しているんだと思うんですけれども、関心はあるけれども、なかなか一人で始められる仕事ではないので、そういった部分の支援というか対策というのをこれからも引き続きやっていっていただきたいと私は思っております。
 路網の開設延長の部分についてですけれども、一般質問等でも取り上げましたが、平成46年が最終目標値にあっての進捗率であって、そもそも私は、この目標値自体がちょっと低いのではないかという問題意識をこれまでもお伝えしてまいりました。実際、細かい延長の密度等を見ると、例えば林道に関しては平成19年度5.6%だったのが平成24年5.7%ということで、たった0.1%の密度アップということで、少しずつは確かに着実に林道、作業道の開設は多くなってはいるんですけれども、森林、林業の育成または活性化につなげるためには、一番は林道の開設というか、そういったところをきちんと整備していかなければいけないと思っております。震災のときに林道というのが避難経路になったということで全国的に林道の重要性というのも再認識されていったと思いますので、そういった件についてもぜひ今後進めていっていただきたいと思います。
 一つ、県産材の木造公共施設の整備についてですけれども、県では、県産材のアドバイザーという方がいらっしゃると思うんですが、そういった方が具体的に各市町村で連携して積極的に活動されていて県産材の供給にもつながっているのか。また、県産材の高付加価値化生産技術開発事業というのも平成24年度にあったんですけれども、例えばそれが終わった後に、これは地域材の住宅への利用促進等を目的にされているんですけれども、こういった事業がどのようにつながっているのかお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 県産材の利用ということでございますが、民間の県産材利用に関しましては、工務店をいわて森の棟梁として登録してPRに努めるという事業を行っておりまして、現在、27事業体が登録されておりまして、県産材を使った木造住宅がつくられております。
 また、公共事業の関係でございますが、県では、公共施設、公共工事の木材利用の計画を定めておりまして、それに基づきまして進めておりますし、あわせて市町村も昨年度末までに全ての市町村で指針を定めていただいて、その中で公共施設における木材利用、県産材利用について進めていただいているという状況でございます。
〇阿部森林整備課総括課長 私のほうから、2点お答えをさせていただきます。
 まず、人材でございます。
 確かに林業の場合は新規学卒者の入ってくる人数が非常に少なくて、例えばここ3年ほどの平成21年から平成24年までの平均で申し上げますと、年間100名ぐらい新規に林業に入ってこられる方がいらっしゃるんですが、新規の学卒者は7名程度でございます。途中採用といいますか、途中から林業へ参入されてこられる方が多い状況にございます。ですので、途中から入られても、必要な技術あるいは安全知識、そういったものを十分研修して入れるように、緑の雇用とかいろいろな安全講習会、こういったものを開催しながら進めているところでございます。
 また、フォレスターのほうも、従来、1年だけの研修が、制度が変わりまして3年の研修と、雇用改善とか事業の合理化等に取り組んでいる事業体を対象とするということで枠組みが確かに狭くなってきておりますので、そういったところも含めて、いろいろなカバーができるような仕組みも検討しているところでございます。
 また、路網の関係でございます。
 路網につきましては、確かに毎年、相当な延長を整備しているところでございますが、路網延長は民有林の78万ヘクタールを分母にしておりますので、非常に進度が遅い状況になっております。それで、現在、森林経営計画等をつくっているところをとりまして、市町村では、市町村森林整備計画の中に路網整備等推進区域という形で団地的に整備を進めようと。そこに新しい道路を進めていきましょうとか、そういった動きがございます。まさにこれから林業が成熟してきている場所をある程度限定して、その進度に合わせて森林を整備すると。そこの中に、国でも整備水準を出していますが、例えば中程度の傾斜であればヘクタール当たり75メートルという水準があります。これを本県でも地域森林計画等で市町村の方々にお示ししまして、市町村と一緒になって、そういう場所を限定しながら進度に合わせて進めるという仕組みを今後とっていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほどの答弁の中でいろいろこれからも御尽力くださるということで、ぜひお願いいたしたいと思います。
 先ほど小西委員からもありましたとおり、私たち県民は、毎年1、000円、森林税を支払っている。ただ、認知度が低いというのが確かに私も残念だと思うんですが、やっぱり私たち自身もそういったことを広めつつ、県でも、これまでも御尽力は確かにいただいておりますが、ぜひ一生懸命取り組んでいただいて、住田町は林業の町日本一を目指しているんですけれども、私としては、岩手県でもぜひ森林、林業産業の日本一を目指していただきたいくらいなんですが、最後に、部長の御所見を伺って終わります。
〇東大野農林水産部長 林業の振興につきましては、山の振興もございますし、あと加工の振興もございます。それらをあわせて振興していって初めて森林、林業全体の振興になると考えてございますので、それらをどちらも見比べながら振興していくということもございます。
 あと、県民税をいただいて森林整備を行っているということもございますので、県民の皆様によく説明し、御理解いただいて施策を進めなければいけないと考えてございます。そういったさまざま配慮しなければならないものはございますけれども、本県は森林県でございますので、その資源が有効に活用され、持続していけるような取り組みをしていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇宮野団体指導課総括課長 先ほど、斉藤委員から固定資産税の減免の関係で、市町村の独自の措置を把握していればというお話がございました。申しわけございません、最終的な状況を確認しておりませんでしたので、今後、現状把握しておきたいと思います。
〇工藤勝子委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 農林水産部の皆さんは大変御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時57分 散 会

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