平成25年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成25年10月22日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    高 橋 勝 重
  議事管理担当課長 鈴 木 文 彦
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    清 川   勝
  主任主査    村 上   聡
  主任主査    藤 澤 壮 仁
  主査    引屋敷   努
  主査    藤 枝   修
1説明員
  教育長    菅 野 洋 樹
  教育次長兼
  教育企画室長   堀 江   淳
  教育次長兼
  学校教育室長   作 山 雅 宏
  教育企画室
  企画課長    蛇 口 秀 人
  予算財務課長   永 井 榮 一
  学校施設課長   宮 澤 寛 行
  学校企画課長   藤 澤 敦 子
  主任指導主事兼
  特命課長    松 葉   覚
  首席指導主事兼
  義務教育課長   佐 藤   進
  首席指導主事兼
  高校教育課長   川 上 圭 一
  首席指導主事兼
  特命課長    福 士 猛 夫
  首席指導主事兼
  特別支援教育課長 佐々木 政 義
  首席指導主事兼
  生徒指導課長   大 林 裕 明
  生涯学習文化課
  総括課長    西 村 文 彦
  特命参事兼
  文化財課長    佐々木 一 成
  首席指導主事兼
  スポーツ健康課
  総括課長    平 藤   淳
  教職員課総括課長 戸 舘 弘 幸
  首席経営指導主事
  兼小中学校
  人事課長    小 菅 正 晴
  首席経営指導主事
  兼県立学校
  人事課長    土 川   敦

  企業局長    佐々木 幸 弘
  次長兼
  経営総務室長   畠 山 智 禎
  技師長    丹 野 幸 矢
  経営総務室
  管理課長    菊 池   満
  経営企画課長   細 川 普 基
  業務課総括課長  中屋敷   暢
  電気課長    榎     充

  会計管理者    熊 谷 俊 巳
  出納指導監    田 中 耕 平

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 門 口 正 雄
  監査第一課
  総括課長    佐 藤 和 彦
  監査第二課
  総括課長    豊 岡 直 人

  参事兼財政課
  総括課長    佐 藤   博
〇工藤勝子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで並びに議案第39号から議案第41号までの以上18件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会、企業局関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇菅野教育長 平成24年度の教育委員会関係の決算について御説明を申し上げます。
 初めに、教育委員会所管の事務事業に係る総括的な評価、結果と、これを踏まえた今後の取り組み方針等について御説明を申し上げます。
 教育委員会におきましては、最優先課題である東日本大震災津波からの学びの場の復興に全力で取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けて、家庭・地域との協働による学校経営の推進、知・徳・体を備え調和のとれた人間形成、生涯を通じた学びの環境づくり、文化芸術の振興及び豊かなスポーツライフの振興の五つを主要な柱として重点的に取り組んできたところであります。
 まず、家庭・地域との協働による学校経営の推進につきましては、各学校において、自己評価や学校関係者評価を実施、公表しているほか、学校行事等の教育活動に地域人材を活用し、教育振興運動と連携しながら、学力向上や体験活動の充実など学校経営計画改善に取り組んできたところであります。
 また、いわての復興教育の推進につきましては、理念の周知とプログラムに基づいた教育活動に関する研修会の開催や、県立学校及び復興教育推進校を中心とした実践活動の展開、部局横断や産学官連携体制の構築などに取り組んできたところであります。
 今後は、各学校における特色ある復興教育の推進を引き続き支援するとともに、総務部や県土整備部などの関係部局との連携を深め、防災教育のさらなる充実に取り組んでまいります。
 次に、知・徳・体を備え調和のとれた人間形成についてであります。
 まず、児童生徒の学力向上につきましては、義務教育における算数、数学、英語の学力向上について、県や国などの諸調査の結果を生かした授業改善を推進する必要があることから、学校の主体的な取り組みが行われるよう学習定着度状況調査の位置づけを見直し、分析や効果的な活用事例を示すなど、授業改善への支援に努めてまいります。
 また、高等学校においては、基礎学力の着実な定着が課題であり、高校1、2年の基礎力確認調査を今後も継続し、調査結果をもとに学力向上研究協議会を開催するなど、授業改善の取り組みを充実してまいります。
 豊かな心を育む教育の推進につきましては、まず、震災により心にダメージを受けた幼児、児童生徒の心のサポートについて、子供たちの支援ニーズが多様化し、子供たちを取り巻く環境の問題等も調整していく必要があるため、スクールカウンセラーに加えてスクールソーシャルワーカーの配置を拡充するなど多職種の連携を強化するほか、引き続き、関係部局や関係機関と連携しながら、教育相談体制の充実に取り組んでまいります。
 また、情報モラル教育につきましては、スマートフォン、タブレット端末等の急激な普及など、児童生徒の情報環境の変化に対応する必要があることから、これらの新型情報端末機器を用いた情報モラル指導の工夫改善や、教員研修、保護者への啓発活動などの充実に取り組んでまいります。
 健やかな体を育む教育の推進につきましては、特に沿岸被災地の学校において依然として厳しい運動環境が続いているほか、スクールバス通学や校地内の仮設住宅からの通学による運動時間の減少も見られることから、これまで取り組んできた体育授業や運動部活動への支援に加え、通学時間を活用した運動支援などに取り組んでまいります。
 特別支援教育の充実につきましては、特別な支援を必要とする幼児、児童生徒の増加に伴い教育的ニーズが多様化していることから、特別支援学校のセンター的機能を活用し、地域内の学校への相談、研修支援に取り組むとともに、特別な支援を必要とする児童生徒の個別の教育支援計画作成と活用を推進してまいります。
 次に、生涯を通じた学びの環境づくりにつきましては、特に沿岸被災地において、放課後の居場所づくりなど学習活動支援の充実が課題であり、各市町村の実態を踏まえ、民間団体等とも連携を深めながら支援環境の整備に取り組んでまいります。
 次に、文化芸術の振興につきましては、沿岸被災地において、被災した公立文化施設や文化財の復旧、民俗芸能団体の活動再開などが課題となっていることから、引き続き支援に取り組んでまいります。
 また、世界遺産登録につきましては、ユネスコへの推薦が決定した明治日本の産業革命遺産の平成27年の登録に向けた準備を進めるとともに、北海道、北東北の縄文遺跡群の早期登録、平泉の文化遺産の追加登録に向けて取り組んでまいります。
 次に、豊かなスポーツライフの振興につきましては、第71回国民体育大会に向けた競技力向上を図るため、各競技団体の強化事業を引き続き支援するとともに、計画的かつ継続的なトレーニング指導によるスポーツ健康科学サポートを進めてまいります。
 以上、総括的な評価と取り組み方針について申し上げました。
 続きまして、決算額等について御説明を申し上げたいと存じます。
 お手元の平成24年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開きいただきたいと存じます。教育委員会所管に係る一般会計予算現額は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費まで1、389億8、416万円余と、16ページの11款災害復旧費7項教育施設災害復旧費6億3、732万円余のうち、教育委員会所管分5億4、317万円余を合わせて1、395億2、733万円余で、これに対する支出済額は総額1、378億8、557万円余、翌年度への繰越額は11億502万円余となっており、翌年度繰越額を除いた執行率は99.6%であります。この結果、県の一般会計決算額に占める教育委員会関係の決算額の割合は12.5%となるものであります。
 以上、個々の内容につきましては、便宜、お手元の平成24年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。
 決算事項別明細書の322ページをお開き願います。備考欄に記載している主な事業等について御説明を申し上げますが、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきたいと存じますので、御了承いただきたいと存じます。
 10款教育費の1項教育総務費でありますが、1目教育委員会費の支出済額1、606万円余は、教育委員会の運営に要した経費であります。2目事務局費の支出済額25億9、988万円余の主なものは、事務局職員人件費等の管理運営費のほか、東日本大震災津波により被災した幼児、児童生徒の就園機会や就学機会を確保するため市町村が行う被災幼児就園支援事業及び被災児童生徒就学援助事業に要した経費への補助、親を失った児童生徒等に奨学金の給付を行ったいわての学び希望基金奨学金給付事業費、県立学校のグラウンドや牧草地の除染等に要した放射線対策費であり、繰越明許費1億1、818万円余は、県立学校のグラウンド放射線除染及び市町村が行う認定こども園の整備への補助に係る経費であります。324ページをお開き願います。3目教職員人事費の支出済額122億9、381万円余の主なものは、教職員健康診断等の人事管理費、児童手当、子どものための手当、退職手当の支給に要した経費であります。4目教育指導費の支出済額9億8、655万円余の主なものは、震災により心にダメージを受けた幼児、児童生徒や学校不適応の生徒のためスクールカウンセラーの配置等を行った児童生徒健全育成推進費、県立学校等を結ぶいわて教育情報ネットワーク運営費、特別な支援を必要とする児童生徒のため支援員や看護師の配置等を行った特別支援教育推進事業費、県立学校における進学対策講座の開催や各学校の進学指導の取り組みを支援したいわて進学支援ネットワーク事業費、県立学校等における実践的な外国語指導を行った外国語教育推進事業費、326ページに参りまして、新規高卒者の求人開拓や就職支援を行った就職支援相談補助員配置事業費、震災の体験を踏まえた復興教育プログラムの作成導入と、公立小中学校及び県立学校の取り組みを支援した復興教育推進支援事業費及び県立学校復興担い手育成支援事業費、小中学校の学力向上対策等を行った指導運営費であります。5目教育センター費の支出済額4億1、344万円余は、総合教育センターの管理運営に要した経費であります。6目恩給及び退職年金費の支出済額1億4、222万円余は、恩給及び扶助料等の支給に要した経費であります。
 次に、2項小学校費でありますが、1目教職員費の支出済額474億8、079万円余の主なものは、328ページに参りまして、教職員の人件費、旅費、多人数学級等に非常勤講師を配置したすこやかサポート推進事業に要した経費であります。
 3項中学校費でありますが、1目教職員費の支出済額287億6、734万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費等であり、2目学校管理費の支出済額786万円余は、一関第一高等学校附属中学校の管理運営に要した経費であります。
 次に、4項高等学校費でありますが、1目高等学校総務費の支出済額257億6、261万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費等のほか、330ページに参りまして、被災した高田高校の仮校舎への通学バスの運行等に要した経費であります。2目全日制高等学校管理費の支出済額15億259万円余及び3目定時制高等学校管理費の支出済額5、664万円余は、県立高等学校の管理運営等に要した経費であります。332ページをお開き願います。4目教育振興費の支出済額10億1、186万円余の主なものは、県立高等学校に係る産業教育設備、情報処理教育設備等の設備整備費、農業実習や共同実習船運行のための教育実験実習費、財団法人岩手育英奨学会に対する高校奨学事業費補助、被災した生徒への教科書、制服及び修学旅行に要する経費の一部を給付したいわての学び希望基金教科書購入費等給付事業費であります。5目学校建設費の支出済額21億7、560万円余の主なものは、盛岡商業高校の耐震改築を行った校舎建設事業費、宮古商業高校の校舎等の耐震補強などを行った校舎大規模改造事業費であり、繰越明許費3億7、466万円余は、花巻農業高校の校舎増改築に係る経費、雫石高校等の校舎、大迫高校等の体育館の耐震補強に係る経費、旧久慈山形校教職員住宅の解体に係る経費であります。334ページをお開き願います。6目通信教育費の支出済額581万円余は、通信教育の管理運営に要した経費であります。
 次に、5項特別支援学校費でありますが、1目特別支援学校費の支出済額99億9、650万円余の主なものは、教職員の人件費を含む管理運営費、盛岡聴覚支援学校寄宿舎等の改修に係る施設整備費であり、繰越明許費2、512万円余は、釜石祥雲支援学校高等部の作業棟整備に係る経費であります。
 336ページをお開き願います。次に、6項社会教育費でありますが、1目社会教育総務費の支出済額11億4、175万円余の主なものは、県立青少年の家の管理運営費、子供たちの放課後の安全・安心な居場所づくりや、地域の学びの場を中心とする地域コミュニティの活性化支援を行った学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業費、社会教育に係る職員人件費等の指導運営費であります。2目文化財保護費の支出済額6億6、068万円余の主なものは、指定文化財の保存、修理に対する補助や、沿岸市町村の被災した文化財の洗浄、腐敗防止処理等の支援を行った文化財保護推進費、被災地における埋蔵文化財調査の支援を行った遺跡調査事業費、柳之御所遺跡に係る整備調査事業費及び土地公有化事業費、平泉の世界文化遺産の登録、普及啓発等に要した経費であり、繰越明許費62万円余は、平泉町の指定史跡購入事業に対する補助に係る経費であります。338ページをお開き願います。3目芸術文化振興費の支出済額2億1、176万円余の主なものは、青少年へのすぐれた芸術鑑賞機会の提供等を行った芸術文化振興事業費、県民会館の管理運営費であり、繰越明許費315万円は、県民会館の重油タンクの改修に要する経費であります。4目図書館費の支出済額1億9、306万円余は、県立図書館の管理運営に要した経費であります。340ページをお開き願います。5目博物館費の支出済額3億422万円余は、県立博物館の管理運営に要した経費であり、6目美術館費の支出済額4億6、457万円余は、県立美術館の管理運営に要した経費であります。
 次に、7項保健体育費でありますが、1目保健体育総務費の支出済額5億2、299万円余の主なものは、県立学校児童生徒の健康診断等の保健管理費、学校管理下での災害に係る共済の掛金及び特別弔慰金を含む給付金、市町村が行う学校給食放射性物質濃度測定機器整備への補助を行った児童生徒放射線対策支援事業費、保健体育及びスポーツ振興に係る職員人件費等の指導運営費であります。342ページをお開き願います。2目体育振興費の支出済額3億7、652万円余の主なものは、小学校体育指導者の授業力向上や、被災地域の部活動に係る移動バス借り上げ等を行った児童の体力向上推進事業費、国民体育大会等への選手団派遣及び県民体育大会の開催事業費、岩手県体育協会等への選手強化補助及びスーパーキッズの発掘、育成を行った競技力向上対策事業費、第71回国民体育大会(希望郷いわて国体)に向けた選手強化事業費、被災した生徒の運動部活動の県大会や東北大会等への参加に要する経費を補助したいわての学び希望基金被災地生徒運動部活動支援費補助であります。3目体育施設費の支出済額3億967万円余の主なものは、県営体育施設の管理運営及び施設整備に要した経費であり、繰越明許費5億4、643万円余は、第71回国民体育大会の競技会場として県営運動公園で予定されているサッカー競技施設及び山岳競技施設等の改修に係る経費であります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、356ページをお開きいただきたいと存じます。11款災害復旧費7項教育施設災害復旧費でありますが、1目学校施設災害復旧費のうち教育委員会所管分に係る支出済額は4億7、905万円余で、これは、東日本大震災津波により被害があった高田高校等の学校施設の災害復旧等に要した経費であります。繰越明許費664万円余は、同じく被害があった共同実習船翔洋の代船建造設計に係る経費であり、事故繰越1、960万円余は、同じく被害があった高田高校の校舎解体に係る陸前高田市への解体費負担金であります。358ページをお開き願います。2目体育施設災害復旧費の支出済額160万円余は、同じく被害があった高田松原野外活動センターの災害復旧に要した経費であり、事故繰越1、060万円余は、同じく高田松原野外活動センターの解体に係る陸前高田市への解体費負担金であります。
 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇工藤勝子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、一人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇城内愛彦委員 一般質問でも行いましたけれども、教育問題についてであります。
 今年度の大卒者が56万人に対して3万人超のニートが出たというんですか、存在したということでありまして、一般質問でもキャリア教育の重要性についてお伺いしたところであります。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、キャリア教育と離職率の関係というのはどのようになっているのか。新聞等ではわかるんですが、県内の状況がどのような状況なのかお伺いしたいと思います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 キャリア教育と離職率の関係についてでございますが、岩手労働局の調べによりますと、就職後3年間の離職率は、平成17年3月高校卒業生は50.0%でございましたが、以後、年々減少しまして、直近の平成21年3月高校卒業生は39.4%となっております。この要因としましては、卒業後1年間の離職率が減少傾向にあるということでございます。キャリア教育によりまして、高校生がみずからのあり方、生き方を考え、そして、興味、関心を踏まえて主体的に進路を決定することが、より望ましい就職につながり、ひいては離職率も減少するものと期待しておるものでございます。
〇城内愛彦委員 数字で見て、実績が出ているんだなと実感したところであります。以前も私はこの場で訴えたんですけれども、就労意欲を高めて、就職観というものを早いうちに養うことが大事だと思うんです。事が起きてからだとすごく大変ですし、国のほうでもすごくお金をかけて、今、ニート対策をやっているわけでありまして、今、被災地のほうでは若者の力を、就労する方々を大変欲しがっています。そういったことに結びつける意味でも、しっかりとしたキャリア教育というんですか、地元ではどういう職種があるのか、また、地元でどういう形で社会に貢献できるのかという、そういうつなぎ合わせる役割という意味もあると思います。ぜひ、そういったこともしっかりと取り組んでほしいと思いますが、今後、どういう形で取り組んでいくのか、もし、そのプラン等があればお伺いしたいと思います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 ただいまの御質問ですけれども、今年度につきましては、国費を活用しました震災担い手事業等で、沿岸地域だけではございませんが、県内の生徒、主に専門学校にかかわる生徒たちの育成を図っているところでございます。専門学校だけではなくて普通高校もございますので、その生徒たちもあわせて今後もキャリア教育を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
〇城内愛彦委員 今、被災して、Iターン、Uターンということで、中央に出た大学生を呼び戻したいということでいろいろやっているようであります。国のほうでも中小企業に向けた施策を打ち出してきています。ぜひ、そういったことをアンテナを高くして、中央に行って大学は出たけれども働く場所がないということのないような形で、いずれ出ていく若者に対しても、普通科の若者に対しても、しっかりとした地元企業のイメージというものを持っていただいて、なるべく地元に帰ってきてもらう。もちろん、中央に残って、優秀な人材として能力を発揮するのも大事ではありますけれども、岩手としても毎年1万人ずつ人口が減っているわけですから、貴重な人材を地元に戻すような施策というのをしっかりと時間をかけてやっていかないと、今やったからといって、あすあす成果が出わけではありません。ぜひ、長い目で、じっくりと腰を据えつけた形で事業展開してほしいと思いますが、教育長、どうでしょうか。
〇菅野教育長 復興教育の場などを通じて被災地の子供たちといろんなお話をする機会があるんですが、やっぱり自分たちこそが復興の担い手で、地域のために貢献したいという、非常にその思いを語ってくれています。ですから、そういった思いを生かしていかなければならない。そのためには、おっしゃるとおり、まず、キャリア教育とかいろんな面で、働くとはどういうものなのか、地域にはどういった企業があるのか、そのために自分が何をしなければならないのかということを一つ一つ、時間はかかると思いますが、そういう子供たちの思いに応えられるよう、私どもとして取り組んでまいりたいと思っております。
〇城内愛彦委員 ぜひお願いしたい部分であります。また、岩手ではILCに取り組むということで、これから10年後、20年後、そういったものが具体のものになったときに、いざ、できたはいいが、地元の人材がいないということのないような形で、しっかりとした、そういう将来を見据えたキャリア教育をしてほしいと思います。
 次に移ります。教育施設についてであります。震災前に、国の補助等があって老朽化した教育施設の耐震化というのが進められてきましたが、震災が間に入って、その後どういう形になっているか。県内にもまだまだ老朽化施設があって、建てかえと耐震とはまた違うものだと私は思っています。とりあえず寿命が来るまでは耐震化をして、しっかりと安全・安心を守るということをしなければならないと思いますが、県内でどれぐらいまだ耐震化をしていないかという部分をお伺いしたいと思います。
〇宮澤学校施設課長 県内の公立学校の耐震化の状況についてでございますけれども、まず、県内の市町村立小中学校の耐震化率は、平成25年4月1日現在の文部科学省の耐震改修状況調査の結果におきましては86.8%の改修率となってございます。
 次に、県立学校でございますけれども、県立学校につきましては、岩手県耐震改修促進計画に基づきまして、平成27年度までに耐震化率100%を目標に取り組んでいるところでございまして、平成24年度末の耐震化率は89.7%となってございます。今後、一層の耐震化に向けて計画的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ、これは積極的に進めてほしいと思いますし、市町村で持っている小中学校も、そういう意味でいうと15%ぐらい残っているわけですので、積極的な指導も含めて、もちろん、各市町村での財政負担というものも発生するわけですので、そういったことも支援――できるのかどうかわかりませんけれども、早目に対応してほしいと思います。いざ何かあってからでは大変だなと思いますので、その点についてはよろしくお願いしたいと思います。
 次の3点目の最後の質問に入りますが、土曜日の授業についてであります。土曜日の授業を国のほうではやる方向なのかどうかというのは新聞等で見たところでありますが、お伺いしたならば、岩手県で取り組んだところはなかったというところでありました。先ほど教育長は、開かれた学校づくりというお話もしておられましたけれども、今後、岩手県で土曜日の授業というのを、再開も含めて取り組む方向にあるのかどうかお伺いしたいと思います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 7月に行われました文部科学省の全国調査によりますと、本県では、昨年度、土曜日授業を実施した公立高校はゼロということになっております。しかしながら、休日に文化祭、体育祭等で活用した学校もございまして、全て代休日を設けておりますので、教育課程上の位置づけは平常日扱いとなっているものでございます。
 現在におきましては、国の制度設計もまだ固まっていないという状況でございますので、県教委といたしましては、保護者、学校あるいは地域等の意向、そして国、他県の動向を踏まえながら対処したいと考えておるところでございます。
〇城内愛彦委員 私とすれば、やったほうがいいんじゃないかと思っています。お父さん、お母さん方も土日も働いている方もたくさんいますし、もちろん、限られた時間で先生方も忙しい思いをしていらっしゃる。そういう点からいっても、少し取り組む方向にあるべきではないかと思いますが、再度、どうでしょうか。
〇菅野教育長 いわゆる土曜日授業でございますが、いろんな議論がなされています。昔みたいにというと恐縮ですが、土曜日も平常の授業を行うのがいわゆる土曜授業というお考えもおありになるようですし、また、一方で、土曜日を活用して、例えばボランティア活動ですとか、学校に来てもらって、地域の方々に指導してもらいながら土曜日を活用するとか、いろんな考え方が言われています。ですから、一概に土曜授業といいましても、どのタイプなのかということはいろんな議論があるところでございますが、国においても、将来的にどういう方向に進むかというのは、必ずしもまだ明らかな状況ではありません。
 土曜日を活用した取り組みというのは、先ほど高校教育課長からも申し上げましたとおり、各学校で代休を設けた上での活用はやっているんですが、通常の授業を行うとしますと、やはり教職員配置の問題もございますし、あとは、地域の方々に御支援をいただきながら学校を使って何かをやるとしますと、当然、地域人材の活用をどう扱うのかと、いろんな議論をしていかなければならないと思いますし、また、何よりも、今お話のありましたとおり、それぞれの親御さん、子供たちのニーズというものをしっかり踏まえて対応していかなければならないと思っていますので、私どもとしても、先ほど高校教育課長が申し上げましたとおり、まずはニーズを十分に把握しながら、どのような対応でやっていくのが最も妥当なのかということについて、いろいろ検討してまいりたいと思っております。
〇城内愛彦委員 先ほど答弁で、代休ということで対応しているということでありました。代休で、平日に中学生、高校生が私服で町なかを歩いているのを――最近、中総体も含めてスポーツの大会等で代休、文化祭の代休ということで対応しています――見るにつけて、余りよくないなと思うんです。子供たちが、夏休みや冬休みであれば、それはそれとしていいとは思うんですが、一気に町なかに出て、いろんな意味で、いろんな体験をするというのはいいんだとは思いますけれども、一方で、そういう風景が余りよく映らないものですから、ぜひ、しっかりとしたカリキュラムの中で組み立てをしてほしいと思います。そうするといいんじゃないかと私は思います。別に授業を復活させろというわけではなくて、先ほど来、地域との交流だったり、文化祭も含めていろいろあると思うんですが、その辺、再度、前向きなところをお伺いしたいと思います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 土曜日の平常日扱いですけれども、岩手県では実施している学校はゼロということで回答しておりますが、実態としましては、当然、クラブ活動等も行っておりますし、あるいはPTAを主体としたさまざまな活動、例えば資格取得の講座、進学の講座、あるいはそれに伴う資格試験、模擬試験等々、そして、先ほども話がありましたが、PTA向けの講演会等も活用しておる状況にございます。したがいまして、実質的にはゼロという回答にはなっておりますが、実態としては、ほとんど全ての学校で先生方が土日に活動しているという状況にございますので、その辺も御理解いただければありがたいと思っているところでございます。
 あわせまして、振りかえ日の服装につきましては、また、別な観点で生徒指導上の問題もありますので、指導させていただければと思っております。
〇佐藤首席指導主事兼義務教育課長 義務教育における土曜日授業については義務教育のほうでお話しさせていただきますが、設置者である市町村教育委員会が地域や学校の状況を考慮し、適切に判断するものであり、県としては、保護者、地域や学校の意向を踏まえ、それぞれの役割を明確にしながら、児童生徒の生きる力が育まれるように市町村教育委員会を支援してまいりたいと考えます。
 先ほど、土曜日等の子供たちの服装等のお話もありましたが、本県の状況でありますが、今年度実施された全国学力・学習状況調査等の結果を見ますと、地域の行事に参加しているという回答は、小学校が82.6%で、全国比よりも18.5ポイント上回っている。中学校も62.6%ということで、これは全国比で21ポイント上回っている。非常に岩手の子供たちは地域の行事に参加している。これは土日に行われている地区の行事に参加していると考えられます。また、地域社会などでボランティア活動に参加したことがあるかという数も、小学校で39.4%、全国比で1.9ポイントプラス、中学校で57.1%ということで、全国比で12.5ポイントプラスで、これも土日に行われていることが多いのかなということで、いろんな形で土曜日、日曜日が活用されているのかと思います。
 今後も、先ほども申し上げましたけれども、地域や保護者、学校の意向を踏まえながら、必要に応じた支援をしていこうと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 城内委員のキャリア教育に関連して御質問をさせていただきたいと思います。
 先日の商工労働観光部の審査におきまして、現在、岩手県が進めているものづくりについて、工業高校等々でどのような技術が求められているかという私の問いに対して、商工労働観光部からは、機械加工、機械保全、また、電気機器組み立て及び電子機器組み立てということで、現在事業を行っているものについて御指摘をいただいたわけであります。しかしながら、地域、PTAや地元の企業からは、もう少し現状に沿った技術について工業高校においても取得していただきたいと。また、PTAの皆さんからも、専攻課程をつくって、岩手のものづくりの方向に合わせたスタイルに高校もしていただきたいという話も聞いております。その点について、今、高校再編については震災の影響で凍結となっているわけでありますが、今後の高校再編に向かっては、キャリア教育の面からもそういった専攻課程の設置も考えていただきたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇福士首席指導主事兼特命課長 工業高校等への専門的な学科の設置についてでございますが、県が取り組んでいる産業集積や、地元市町村の企業誘致の方向性等に沿った専門的な学科を県立高等学校に設置することは重要であると考えているところでございます。
 一方で、学科の設置につきましては、その必要性に加え、卒業後の進路等も含めた検討が必要になると考えておりますので、特に工業高校につきましては、基幹となる学科を中心としながら、次の整備計画策定の中で位置づけていく予定としているものでございます。
 なお、策定検討を再開した場合におきましては、地域から意見を十分に伺いながら、学科の設置等を検討してまいりたいと思ってございます。
〇佐々木朋和委員 以前から、ものづくりの集積について、人材育成の話になると、商工労働観光部から次は教育委員会ですよということで、部局をまたがって質問させていただいているわけでありますが、ぜひ、一体となって進めていただきたいと思いますし、城内委員から御指摘もありましたとおり、今度、高校再編を考えるときには、現状、岩手の産業ですとか、また、岩手にとって必要な人材、看護でありますとか医師不足、リニアコライダーの関係からは理数系の人材をふやしていくとか、そういう観点からぜひ再編を行っていただいて、県立高校もそれぞれの高校で特色の際立った高校にしていただきたいという思いがあるわけであります。
 しかしながら、そういうような高校再編の検討の前に、本日、高校入試の実施要項が発表されたということで新聞にもございまして、全日制の定数が120人減少の、高校3校で3クラス募集減少ということで記事が載っておりました。全体的な議論の前にこういう結果になったというのは私も残念であると思ったわけでありますが、その中で、どのようなデータの裏づけからこのような判断をなされたのか、また、地域やPTAとの話し合いは行ったのか、そして、クラス減少によって、生徒たちの受験回避行動によってそれ以上に減少の結果とならないのか、その点にもついても配慮すべきと思いますが、この点を聞いて終わりたいと思います。
〇福士首席指導主事兼特命課長 昨日、県教育委員会で決定いたしました県立高校の募集定員にかかわる件でございますが、次期整備計画が策定されるまでの間につきましては、基本的な考え方といたしまして、ブロックごとに、中学校の卒業予定者数の状況、高校進学希望者の志望動向、各高校の定員充足状況等を勘案しながら、毎年度調整することとしているものでございます。
 平成26年度の学級数調整につきましては、被災地の状況を踏まえブロックごとの学級数調整は行わず、募集定員に対して1学級定員以上の欠員が生じた個別の学校を検討の対象といたしまして、今後の中学校卒業予定者数の状況及び高校への入学者の見込み等を勘案いたしまして、学級数調整を実施させていただいたところでございます。
 募集減といたしました学校につきましては、今年度の入試で1学級の定員40人を上回る欠員が生じてございます。一方で、地域であったり、ブロックであったりのところの中学校卒業予定者数は、来年度、横ばいという状況がございますし、あわせて、ブロックで100名を超える欠員が生じているということもあり、定員に大分余裕がある状況でございますので、それぞれ1学級減とさせていただいたものでございます。
 なお、福岡高校浄法寺校につきましては、入学者が定員に対しまして半数を割った状況が4年続いている状況、今年度につきましては入学者数が10人、全校生徒24名ということで、著しく生徒数が少ない状況が続いているということでございまして、生徒にとってより望ましい高校教育環境を整備するという観点から、来年度、募集停止とさせていただいたものでございます。
 なお、地域、PTA等への説明につきましては、募集停止にかかわる浄法寺校につきましては、昨年度から地域への説明を行っておりますし、今年度も数回にわたって地域にお邪魔して御説明を申し上げ、募集停止に御理解をいただけるよう努めてまいったものでございます。
 また、学級数調整につきましては、学校であったり、市町村であったり、地元に対して説明をさせていただいているという状況でございます。
 また、受験の回避の懸念につきましては、今回、学級数を減とした学校につきましては、学級減後も一定の規模を有してございまして、高校教育の質は保証されるとともに、ブロック単位で定員を大きく割り込んでいる現状もございますので、中学生の志願動向に大きな変化はないものと考えているものでございます。
〇及川あつし委員 教育委員会の皆さんには、実はたくさんお聞きしたいことがあるのですが、きょうはかなりぎゅっと絞り込みました。
 今、城内委員の質疑を聞いていて、土曜日の関係ですけれども、両課長からの答弁は間違ってはいないと思うんですが、あえてわかってああいう答弁をしていると思うんですけれども、私は、ちょっと実態と違うような質疑だなと思いました。もっと丁寧に、高校、中学校、小学校で何が行われているのかというのをきちっと情報開示しながら議論しないと、多分、間違った方向に行くんじゃないかと思って、今の質疑を聞いて感じました。
 これは通告の内容じゃありませんけれども、例えば高校においては、どこまでが学校で教育を負担して、そして、実態は子供たちも先生も土日にほとんど出ているわけです。公立高校の3年生の先生なんかは、恐らく年間で10日間も休んでいないんじゃないですか。土日の授業については、正課じゃないけれども、課外授業と称して、PTAの教育振興会の会計から何千万円も出して、学校の先生も出て、本当にこれでいいのかなというようなところも私はいつも感じていますので、土曜日の授業が云々というよりも、実態を見て、子供をどこに導こうとして、そのために学校の先生はどこまでやって、民間の業者にどこまで任せるのかという仕分けは今必要だし、その中で土曜日の云々という話はしてもらいたいと思います。文化祭の振りかえ云々なんていったって、それは1年に1日の話ですよ。もっと大きなところから議論してもらいたいというのが率直なところであります。
 通告の内容に入りますが、まず1点目は入試の関係であります。7月2日に一般質問で聞きました。あえて伺います。各委員の皆様にも改めて御理解いただきたいのは、今の中学校1年生が3年生になったときに新しい入試制度が始まるということになっていて、1年生の段階から調査表が入試の基準になるという内容でありますけれども、改めて、平成24年度はどういう周知をやったか、概略で結構ですからお答え願います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 平成24年度ということでございますので、昨年4月から各教育事務所及び市町村派遣の指導主事への入試改善の周知を図り、10月から11月に開催しております入試説明会で、高校、中学校の先生方へ内容説明を行ったところでございます。
 また、生徒、保護者の皆様に対しましては、新入試の対象となる子供たちが昨年度の小学校6年生全員ということでございますので、その児童に対しましてリーフレットを配付し、加えまして、今年度、中学校の入学段階において各学校に説明を依頼するなど、小学校、中学校で情報を与えまして、2段階で周知を図ったところでございます。
〇及川あつし委員 私が7月にお尋ねしたときに、答弁で、具体的にどの程度浸透しているかまでは調査していないという答弁がありました。調査はされましたか。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 この件につきましては、委員の御指摘を踏まえまして、幾つかの中学校の校長先生方にお伺いしたところでございますが、中学校入学段階で説明を行っているとの回答を得たところでございます。
〇及川あつし委員 学校の先生たちはそういうふうに答えると思うんです。私はこれをなぜ聞くかというと、これをほとんど知らないんですよ。実は、答弁いただいた7月2日、夏休み前に各地域で懇談会というのがあって、私もいろいろな関係があって出席します。その他の項目で、あえて1年生の生徒と保護者に各地で私は尋ねましたけれども、認識している人は10%もいないです。しかも、私は学校の先生に、どういう制度か説明してくださいと言ったら、答えられないんです。これはうちの学校だからなのかなと思ったら、ほかの学校も同様で、意外と保護者も、何が変わってどうなるのか、子供たちも、確かにリーフレットとか説明もやっていると思うんだけれども、肌の感覚でほとんど認知していないといのうはどういうことなのかと思っていましたので、改めてお尋ねしたところでありますけれども、この件についての課題の認識と今後の取り組みについて、改めて伺いたいと思います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 委員の御指摘を受けまして、7月2日以降の取り組みを御紹介しますと、各教育事務所及び市町村教育委員会あて、再度、周知徹底の文書を依頼しまして、お願いしたところでございます。さらに、教育事務所長会議、中学校長会に対しまして、夏休み前の三者面談等を通しまして、新入試の内容の周知徹底を依頼したということでございます。
 なお、また、新入試の内容を記載しましたリーフレットをダウンロードできるように県のホームページに掲載しまして、その折、本来カラーなんですけれども、中学校でも印刷しやすいように若干色を変えまして、ダウンロードしてすぐ印刷できるような形の取り組みをしたところでございます。
 また、この周知につきましては極めて重要だと考えておりますので、今後につきましては、来週以降、県内6地区で実施いたします高校入試説明会には全ての中学校が出席いたしますので、再度、周知の徹底をお願いする予定でございます。
 また、現在の小学校6年生を対象に、昨年度のリーフレットを印刷して配付する予定としておるところでございます。
 さらに、再度、中学校長会に対しまして、今のお話もございますので、制度等を含めまして、周知の徹底を図りたいと考えておるところでございます。
 以上、三者面談は冬もございますし、いろんな教育活動、進路ガイダンス等もさまざまあると思われますので、そのような機会を通じまして、新入試について一層周知を図りたいと考えておるところでございます。
〇及川あつし委員 よろしくお願いします。私が一番懸念するのは、1年生から調査の対象になるので、2年生になってから、えっ、1年生も対象だったの、知らなかったじゃと、今のままでは絶対なるんですよ。これが一番危惧されるので、ドライブをかけて、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 2点目は携帯電話、スマートフォンの関係であります。今定例会の一般質問で3人、五日市議員、城内議員、名須川議員からも質疑がありましたが、その前提の話をもう一度確認させてもらいたいと思います。
 以前、法貴さんが教育長だったころだと思うんですが、携帯電話について持ち込み禁止のような原則を打ち出してここに至っておりますけれども、私は、震災を契機に学校の取り扱いの状況が一変したというのをわかっています。その上で聞くわけですけれども、今でも学校内に携帯電話、スマートフォンを持ち込んじゃだめだよとしている割合、持ち込んでいいよとまでは言わないけれども校内使用禁止、持ち込みまでは事実上いいよという取り扱いをしている学校といろいろあると思うんですけれども、わかるのであれば、校種別にどうなっているのかお知らせ願いたいと思います。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 学校における携帯電話、スマートフォンの取り扱いについてでありますが、小学校及び中学校については、県小学校長会、県中学校長会からの情報によりますと、県内の小中学校においては、校内への携帯電話の持ち込みを原則禁止しているということを伺っております。ただし、やむを得ない事情がある場合、具体的に言いますと、携帯電話を緊急の連絡手段とせざるを得ない場合など個別に事情がある場合ということをやむを得ない場合ということになりますが、申請等により例外的に認めている学校もあると伺っております。高等学校につきましては、本年3月に、私立学校及び高等部を置く特別支援学校を含む県内全高等学校を対象にしたアンケートによりますと、持ち込みを全面禁止している学校が3.8%、使用申請書や持ち込みの許可願などの提出を求めている学校が49.5%、許可願等の提出は求めていないが、何らかのルールを定めている学校が40.0%でした。他は、通信制を中心として、特に定めていないという学校が6.7%でありました。
〇及川あつし委員 この数字は大きく変わったと思うんですけれども、これは震災の後に大きく変わったという状況なのでしょうか、背景があれば、経過を含めて御報告願います。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 小中学校につきましては、特に持ち込みを全面的に原則禁止しているという状況は変わっていないかと思います。高等学校につきましては、済みません、今、前回のデータが手元にございませんので、比較することはちょっと難しいかなと思っております。
〇及川あつし委員 今、御答弁があったように、私の認識もそうなんですけれども、あの震災を経て各学校の取り扱いが大きく変わったんです。結局、持ってきちゃだめという話から、でも、いざとなったら、あの3月11日を思い出して、連絡がとれなきゃ困るでしょということで、特に高校などでは厳格に持ち込み禁止まではしなくなったというのが実情で、それについては実態に合わせた行動かなと思っています。
 小中学校も原則禁止にしていますけれども、どういう表現がいいのかわからないけれども、子育てに熱心な親は、例えばGPSを使って自分の子供が今どこにいるかといって見ているんです。だから、子供に持たせているんです、原則禁止にしても。だから、まず、こういう実態を踏まえた上で、きょう、教育長から、教育委員会の報告等の中で今後の情報リテラシーの問題とかいろいろ出てきましたけれども、だめだ、だめだ、だめだじゃなくて、実態を踏まえて対策をとらないと、ちょっとかけ離れた状況になるんじゃないですかというのが、きょう、私の申し上げたいことです。
 この取り扱いについて、県教委の現段階の見解があるのであれば、お示しいただきたいと思います。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 県教育委員会の見解についてでありますが、平成21年に、これは震災前になりますけれども、文部科学省から示された見解に従いまして、携帯電話等は学校における教育活動に直接必要がない物という前提のもとに、児童生徒や地域等の実態を踏まえた上で各学校で方針を定め、指導しているところであります。
 県教育委員会では、平成21年2月4日付の通知で、小学校及び中学校では、先ほど申し上げましたように、携帯電話の持ち込みについては原則禁止すべきであり、やむを得ない事情がある場合は、保護者から学校長等に対して持ち込みの許可を申請させるなど、例外的に認めることも考えられる旨、通知をしております。高等学校につきましては、学校での教育活動に支障が生じないよう、校内における生徒の携帯電話の使用について何らかの制限をすべきであり、生徒による携帯電話の学校への持ち込みを禁止することも考えられる旨、通知をしておるところであります。
〇菅野教育長 本会議でも御答弁申し上げましたとおり、今の高校生はほとんど携帯電話、スマートフォンを持っている。ですから、そういった状況からしますと、持ってくるなだけではなかなか、委員の御指摘のとおり、対応はもう不可能であろうと。ですから、携帯電話とかスマートフォンが実はこういうものなんだと。当然、便利な機械でもありますが、一方で影の部分も非常に大きく持っています。自分たちがごく気軽に投稿した情報が、実は第三者を傷つけてしまう、もしくは第三者に全部見られているかもしれないというその影の部分も含めて、しっかり子供たちに認識してもらわなければならない。また、親御さんに対しても、そういった利害、特質をよく御理解いただいた上で子供に対応してもらう必要があろうと思っていまして、教育センターにおいてはかねてから携帯電話を使ったシステムを開発しまして、いろいろ研修等を行って、それなりの成果を上げていたわけなんですが、今、新たにスマートフォン等の高機能端末が出てきていますので、なかなかそのシステムだけでは対応できなくなったという問題もあります、やっぱり日進月歩ですので。今回、改めて教育センターにそういう設備を導入してシステムの開発を行いまして、子供たちと親御さんに対する――教員も含めてですが、そういう啓発活動を行い、携帯電話の持っている便利さとあわせた裏側としての危険性といいますか、そういったものを認識してもらうという取り組みも教育委員会としては力を注いでいきたいと思っております。
〇及川あつし委員 これは要望なんですが、まず、二つあります。
 小学校の高学年ぐらいから保護者が子供に携帯電話を――五日市議員の今回の一般質問にもありますけれども――持たせる、持たせないでかなりの会話の中心になるんです。今、いろんなところで講演をやられている、教育新聞にも連載していると思いますが、尾花さんという人が書かれたものを見ると、どうやって携帯電話を持たせるかというプロセスが大事だと。例えばいきなり買い与えるのではなくて、借りてやる方法もあるし、パスワードは親子で共有したほうがいいですよとか、いろんなやり方があると思うので、できれば小学校の間に、携帯電話は何ぞやということで保護者ときちっとコミュニケーションがとれる手段を確立してもらいたいと思うのと、あとは、これは今、教育センターの話をされましたけれども、学校教育室も含めて、だめだと言っているのではないですよ、さっき答弁あったように日進月歩ですから。でも、常に後手になっているんですよね。ですから、これも先に、次に、今どんどんいろいろなものがあって、このLINEだって、利用者倍増、3倍増ですよね。どんどんふえているので、開発する側は、社会問題がどういうふうに展開されるかなんて考えないで開発しますから、やっぱり受ける影響を持っているところは、事前に予見をしてやれるような体制をつくるべきだと私は思うんです。ですから、そこの点については、特にもお願いしたいと思います。
 通告していませんが、関連して一つ伺いますが、いじめ防止対策推進法というものができたと思うんです。その中に、インターネットを通じたいじめへの対策を推進するという項目もあって、地方公共団体がいじめ防止基本方針なんていうものをつくって、学校も参酌して計画をつくれとなっているんですけれども、現段階で何か見解があれば示してもらいたい。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 いじめ防止対策推進法の取り組みにつきましては、10月11日付で国から、いじめ防止の基本方針の通知が県にありました。それを受けまして、今後、県として、いじめ防止の基本方針につきまして策定する予定となっております。それの中には、当然、先ほど委員が御指摘したようなインターネットにかかわるいじめというものもありますので、その辺のところについては、県としてのいじめの基本方針――いじめ防止の基本方針を策定の中で検討してまいりたいと思います。
〇及川あつし委員 いじめ防止ですね。いじめをやるための基本方針ではないと思いますので。
 ちょっと日程をきちっと出してもらっていいですか。いつごろまでに本県としての基本方針をつくるとか。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 今月末に各県の担当者が国のほうに集められまして、そのいじめ防止基本方針もしくはいじめ防止対策推進法にかかわる説明会が予定されております。それの説明を受けまして、いじめ防止基本方針については、今年度できるだけ早い段階で県としての策定を進めてまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 わかりました。よろしくお願いします。
 次に参ります。4目の教育振興費、部活動設備整備費について伺います。
 決算額1、157万4、489円、この額を見て、私は実は改めて驚きました。全県でたったこれっぽっちかと。部活の設備整備費ですね。中身の概要もちょっとお知らせいただきながら、この整備費に関しての予算化の原則を示してもらいたいし、近年の予算化の状況を示してもらいたいと思います。
〇宮澤学校施設課長 教育振興費の部活動設備整備費についてでございますけれども、この経費につきましては、基本的に備品を中心に措置しているものでございまして、毎年度、予算編成の際に各学校からの要望を調査いたしまして、学校の優先順位あるいは整備の緊急性を考慮して予算要求し、予算化されているものでございます。
 近年の決算の状況でございます。備品費を中心に申し上げたいと思いますが、平成20年度から平成24年度までの5年間の決算状況を申し上げたいと思います。平成20年度は1、637万5、000円でございます。平成21年度でございますが1、477万4、000円、対前年度比で160万1、000円の増(後刻「減」に訂正)でございます。平成22年度でございますが、この年度は、国の交付金を活用したということもございまして額が大きくなってございますが、1億6、496万8、000円でございます。対前年度比1億5、019万4、000円の増となってございます。平成23年度でございますが1、065万9、000円、対前年度比1億5、430万9、000円の減となってございます。平成24年度でございますが1、142万5、000円でございまして、対前年度比76万6、000円の増となってございます。
 なお、平成24年度の整備内容を例にとって内容を御説明したいと存じますが、運動部関係におきましては、例えばバッティングケージでありますとかバッティングマシン、ボート、バレー支柱、弓のセットなどを購入してございます。それから、文化部系でございますが、楽器の関係といたしまして、クラリネット、シロフォン、コントラバス、トランペット、それから指揮台、それからカメラのレンズキットなどの備品用に充てられてございます。
 失礼しました。先ほど、平成21年度のところで、対前年度比のところ、160万1、000円の増と申し上げましたが、減の誤りでございます。失礼いたしました。
〇工藤勝子委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇及川あつし委員 ありがとうございます。平成22年度は交付金があったので1億円を超えて特別だったということですが、いずれ1、000万円オーダーレベルでしかこの分がない。各学校は確実に予算要求しているはずなんです。これは、どの程度予算化されているんですか。概算で結構ですから教えてください。
〇宮澤学校施設課長 概算でございますが、例えば平成24年度の決算を例にとりますと、学校の要望額が8、170万4、000円に対しまして、当初予算で措置された金額が1、183万2、000円でございますので、約14.5%でございます。
〇及川あつし委員 そういうことであります。各学校は、県教委に予算要求してもつかないという前提で、それでも絞り込んで八千幾らで、実際予算化されるのは2割もないというのが実態なんですね。だから、PTAの別会計とか寄附を集めたりとかして、本来的にどっちがいいかという問題もあると思うんですけれども、実態のニーズに合わせて何とかお金を工面してやって、それが適正だ、不適正だとなっているんですが、やっぱりもう少し、学校も絞り込んで予算を上げているはずなので、この予算化というのは、私は非常に低過ぎると思うんです。これは国体の関係もあると思うので、しっかりと学校の要望に従って、学校も過大な予算要求していると私は思いませんので、県教委としてもしっかり予算化するべきだと思うんですが、見解を伺いたいと思います。
〇菅野教育長 学校の要望に十分応えられていないというのは非常に心苦しく思っています。ただ、一方でなかなか厳しい財政環境もありまして、これをふやすとどこかを減らさなければならないというジレンマもございます。国の交付金等があった場合に、何とか今まで滞留していたものを一挙に整備したということもございますので、何とかいろいろな財源を工夫しながら、私どもとして、学校の整備に一つでも二つでもプラスになるように努めてまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 財政課長もおりますので、よくお聞きいただいて、結局ここをやり過ぎると、いろいろな問題が派生して出てくるので、つけるところにはきちんとつけるという方向で、ぜひ平成26年度お願いしたいと思います。
 最後の最後です。これは簡単にお伺いします。平成24年2月11日に全国高校PTA連合会総会で、岩手県大会の平成27年開催が決定されたところであります。平成27年8月19日から21日の予定ということであります。
 参加者何と1万人、盛岡市のみならず、雫石町、滝沢村、八幡平市、花巻市、北上市などで宿泊地もありますし、事業の予算規模で1億円、経済波及効果も大だという内容であります。
 被災県で初めての全国大会の開催だということでいろいろな準備が平成24年から進んでいるところでありますけれども、これについては、いわゆる文部科学省が、大分前から委託事業費などを削ったりしている状況もあって、各県教委ともかかわり方にいろいろ悩んでいるようですが、この全国高校PTA連合会の岩手大会、平成27年、これに対しての県教委の基本姿勢と今後の具体的な協力について、コメントできる部分があればコメントを伺って、終わりたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 平成27年度に本県で開催予定の第65回全国高等学校PTA連合会大会岩手大会に対する県教育委員会の基本姿勢と今後の具体の協力ということでございますけれども、PTAにつきましては、学校と家庭をつなぐ重要な役割を担っていただいていると認識しております。平成27年に全国から高等学校PTAの関係者が岩手県に集い、PTAの役割や今後の取り組みの方向性等について研究協議を行う大会ということは、極めて有意義であろうと認識しておりますし、また、この大会は、現在、県を挙げて進めております復興教育への取り組みとその成果、PTAが果たした役割等について全国に発信できるよい機会になるとも考えてございます。
 そういったことも踏まえまして、県教育委員会といたしましては、この大会を主管する岩手県高等学校PTA連合会に対しまして、積極的に協力してまいりたいと考えてございます。
 具体的な協力につきましては、今後、岩手県高等学校PTA連合会と調整させていただきたいと考えておりますけれども、例えば、各単位PTAに対しての本大会の情報提供や参加の奨励、あるいは実施計画立案に係る助言等の支援をしていきたいと考えております。
〇久保孝喜委員 私からは1点だけ、近代化遺産についてお尋ねしたいと思います。
 まとめてお聞きいたしますが、この近代化遺産という考え方は、ここ20年ぐらいの最近の考え方であるわけですが、特にも、明治期から戦前にかけてのさまざまな遺物、遺跡を含めて大きく注目され始めております。産業遺産もそうですし、あるいは軍事遺産と呼ばれるたぐいもそうです。いろいろな類型があるわけですが、こうした近代化遺産については、県内においてどのようにリストアップをされているのか。あわせて、この近代化遺産にかかわって、文化庁などがどういう動向になっているのか。そして、県は、この先、どのようにこの文化行政に取り組んでいくのか、この点をまずお示しいただきたい。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 近代化遺産の県内における状況でございますが、平成7年、8年度に岩手県近代化遺産(建造物等)総合調査事業を実施しており、平成9年3月に岩手県の近代化遺産として報告書にまとめられているところです。本調査は、本県における近代化遺産について市町村に調査を依頼し、その報告により取りまとめたものでございまして、その結果を申し上げますと、近代化遺産は275件となっております。また、そのうち51件については、調査委員による詳細調査がなされているところでございます。
 次に、国の文化庁における近代化遺産にかかわる動向と県の方針についてでございますが、文化庁におきましては、重要なものを厳選し、許可等の強い規制と手厚い保護を行う重要文化財の指定に対しまして、それを補完する制度として、現在さまざまな用途で使われている建造物を、より緩やかな規制のもとで幅広く保護の網をかけるため、文化財登録制度というものを平成8年に建造物の分野に導入したところでございまして、近代化遺産(建造物等)総合調査などの国庫補助による調査において取り上げられた物件等を、重点的に登録有形文化財として登録する取り組みを進めているところでございます。
 登録有形文化財への登録といいますものは、多くの場合は市町村が中心となって進めているところでございますので、県といたしましては、その登録が円滑に行われるよう、文化庁との調整を図るなどの支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 今、説明があったように、国においては、かなり積極的にこの近代化遺産については、法整備も含めて取り組まれているわけですが、問題なのは、全県調査まで含めて行ったその結果が、県民も含めてきちんと開示されているのかどうか、そういう情報発信が今現在十分に行われているのかという私自身の問題意識があるわけです。
 その一つが、取り上げるのはもう3回目ぐらいになりますが、金ケ崎町の農業大学校敷地内にある、いわゆる軍馬補充部支部時代の官舎ですね、建造物なわけです。これについては、かねてから所有している農林水産部と教育委員会、そして現地の金ケ崎町との間で何回かの話し合いが持たれているということは聞いておりますが、一つ、その経過の中でこういうことがあったということを私は初めて知ったんですが、文化庁でそういういわゆる近代化遺産にかかわる総合調査というものが行われて、その後、その近代遺跡の中の一つの分野である軍事関連遺跡、遺構についての調査が行われたわけですが、全国で6、000件ぐらい報告されたと。その中から544件が抽出され、さらにこの544件は、全国116件についてAランク指定をしたと。指定というかAランクにしたと。この116件の中から、さらに詳細調査として全国50カ所、これを詳細調査対象ということで調査をしたと。そのうち、県内においてはたった1件指定をされた場所があると聞いていますが、それはどこでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 文化庁が近代遺跡調査の一環として平成14年度から15年度にかけて近代の軍事遺跡を対象とする詳細調査を実施した際、金ケ崎町にございます旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎を含む六原支部全体の遺跡群が、全国50カ所の調査対象の一つとして選定されたところでございます。
〇久保孝喜委員 つまり国においても、まさに文化財的価値を認めたからこの詳細調査を行った、こういうことなんですね。
 ところが、県においてもあるいは農林水産部においても、この文化的価値ということを前提とした話し合いになっているのかどうか、ここが実は一番の大きな肝だと私は思うんですね。
 金ケ崎町から県に対する予算要望、今は政策協議という名前ですが、そういう中でも、この保存活用について県に要請がたびたび出されております。それに対する回答書を見ても、文化的価値に関しては一切コメントがないんです。県の答弁といいますか回答書の中にはですね。それは、つまり教育委員会文化財課を含めて、その文化的価値の発信というところをかなり遠慮しいしい、農林水産部の顔色もうかがい、金ケ崎町の顔色もうかがいというような、そういう腰の引けた状況の中で行われているからではないのかと、私の疑念はまさにそこにあるわけです。
 そういう意味で、これほどに価値が高いとされているものについて、野ざらし状態、草ぼうぼうの中にたたずむ遺跡というのも、また趣があるかもしれませんけれども、実は、これは文化行政としてはあってはならないことなのではないかと。
 ましてや、岩手県は達増県政になって、ソフトパワー戦略などというものを打ち出して、文化というのは、やっぱりその土地に根づいて、しかもそこでさまざまな思いや祈りや、そういう願いというものがさまざまな遺構や遺物に写し出されているわけですよね。そういう意味で、それだけの価値を持ったものに対する県の姿勢というのが実は問われていると思いますし、なおかつ、この先ほど説明のあった、指定までは行かないけれども登録をするという新たな文化財保護法の改正によって、その登録制度というものができているわけですね。
 47都道府県の中で、この登録制度を活用していない県が17県ある。東北では岩手県と山形県と秋田県がこの登録制度を採用していないと言われていますが、ここも含めて、実際問題、お話があったように、いわゆるこれまでの指定制度によれば、法律やあるいは条例などによってかなり強い規制がかかるわけですが、そこには至らないけれども、特に建造物なんかの場合、ましてや近代化遺産の場合は、さまざまな開発行為なんかによって廃れてしまうというようなことを危惧して、この登録制度においてその価値を発信するというようなことがほかの県ではやられているわけですが、その点に関して、この登録制度を県においてはどのように考えられているのか、お答えをいただきたい。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 今、委員から本県において登録有形文化財の制度が活用されていないというお話がございましたが、現在、岩手県におきましても登録有形文化財が登録されてございまして、全体で77件が登録されてございます。
 今回の御指摘にございました金ケ崎町の軍馬補充部官舎につきましては、これからどういったことが考えられるのかがございますので、さまざまな可能性も含めて、今後検討してまいりたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 私の持っている資料で、2011年7月現在では、岩手県、山形県、秋田県はゼロだとなっていますが、それ以降の話ですか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 委員がお持ちの資料がどういった資料なのかちょっとわからないのですけれども、先ほど申し上げましたように、本県におきましては、登録有形文化財の登録は現在77件、それは、平成9年ごろから国でその制度が始まってございますが、その中でずっと、先ほど申し上げました調査に基づいて指定されてきたものでございますので、最近になって、それがすぐに数多く登録されたものではございません。
〇久保孝喜委員 その点については後で教えていただきたいと思いますが、その登録制度の中に、その軍馬補充部は入っているのですか、入っていないのですか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 軍馬補充部の建物につきましては、登録有形文化財としては現在、登録されてございません。
〇久保孝喜委員 全国で50件、岩手県でたった1件、詳細調査の対象になった軍馬補充部が、なぜその登録制度において、県にあるとしているその登録制度において登録になっていないんですか。その理由は何でしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 先ほど私が申し上げました文化庁の近代遺跡調査は、いわゆる近代遺跡としての調査でございます。建造物としての調査ではございません。遺跡の調査の中の部分として六原官舎群があったというものでございます。
 冒頭申し上げました岩手県近代化遺産(建造物等)総合調査事業というのは、建造物を対象とした調査でございます。この調査の際には275件がリストアップされているわけですけれども、その中には、この六原の官舎群が入っております。そして、そのうち51件を詳細調査したわけでございますけれども、その51件の中には、六原の官舎群の建造物については含まれてございません。
〇久保孝喜委員 文化庁の詳細調査したその50件というものに入っていないということですか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 文化財にもさまざまな種類がございますけれども、そういった中で、文化庁が平成14年から15年にかけて行った六原支部の調査というのは、いわゆるエリア全体を遺跡として考えて、それで調査したものでございます。その中の構成要件として官舎群の建物があったと。文化庁は、そのエリアの価値を考えながら調査をしたということでございます。
 登録有形文化財というのは、その個々の建物の価値について着目して登録をしていく制度でございます。ですから、その観点が違いますので、文化庁が史跡ということで全国で50カ所選んだからといって、イコールそれが個々の建造物の価値ということにはならないものでございます。
〇久保孝喜委員 厳密な法解釈の話をしているのではなくて、我々一般の県民が、そこまでして調査したぐらいの場所であり、なおかつ、そこの中心的施設がその建物なわけでしょう。そうしたら、それについての情報発信なり庁内での情報のやりとりというのは、当然にして重要なことだと私は思うから聞いているわけですよ。それが、厳密な意味で建物とかエリアということだけの話で済むことなのかどうか、ここはきちんと整理をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇菅野教育長 今こういう御議論をいただくと、やっぱり私どもとしても、この近代化産業遺産群といいますか、近代化遺産といいますか、こういったものは、岩手県にどういったものがあるのかという県民の方々への広報が足りていなかったという反省をいたしてございます。
 その中で、金ケ崎町のこの施設につきましては、地域からもいろいろなお話をいただいてございます。また、一方で、これが現在、農林水産部が管理しておる六原の施設であるということも含めまして、私どもも一緒になってこの将来のあり方を検討していかなければならないと思いますし、現在、そういった場が設けられております。その中で、私ども文化財を所管する立場の者として、よりよい方向でこういう施設の保存活用が図れるよう努めてまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 そういう方向で、毎回同じような答弁なのですけれども、これを加速させていただきたいという思いなわけです。
 例えば福島県などの場合でも、同じように軍馬補充部の建物が登録されて、これが、西郷村でしたかというところで管理、保存されているわけですね。しかも、福島県の場合は、この登録についての市町村別の一覧表がネットで公表もされていると。ところが、岩手県の場合は、その公表もちょっと私は調べられなかったんですね。
 ちなみに、生涯学習文化課のページは今年度に入ってから更新された気配がないという感じがあるように、体制の問題を含めて、文化財に対する県のスタンスというものが、ソフトパワーを言っている割には、ほとんど脆弱であるなという感じがしておりますので、心して取り組んでいただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
〇高田一郎委員 私は、まず最初に、被災した子供の学習環境の改善について伺います。
 第1に、放課後の学習支援の取り組み状況、それからニーズ、これがどうなっているのか、まずお伺いしたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 被災地における児童生徒の放課後の学習支援についてでございますが、現在も被災した沿岸各市町村では多くの児童生徒が仮設住宅に入居しておりまして、これらの児童生徒の多くは、通学に時間がかかることや家庭学習に集中して取り組めるスペースが確保できないといったようなことによりまして、放課後の学習を進めていくことに困難を抱えていると認識しております。
 そういったような状況から、現在、沿岸の9市町村におきまして、民間のボランティア団体等と市町村教育委員会が連携した取り組みを進めており、平日の夕方から夜間及び休日の昼間の時間帯に、学校の空き教室ですとか地域の集会施設等、今現在は22カ所、約800人の児童生徒が、地元の塾講師や大学生ボランティアの支援を受けながら放課後の学習に取り組んでいるところでございます。
 この事業は国の事業でございます、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業などを活用して実施されておりまして、平成23年度以降取り組んでおりまして、今現在は、学習支援の箇所数としては基本的に充足しているものと考えております。
 ただ、一方で、いろいろな取り組みがなされているわけでございますけれども、その内容によりましては、地域の方からは、対象学年が、今、例えば中学2年生以降が対象だというような取り組みもございまして、そういった内容によっては対象学年を広げてほしいといったようなニーズもあると聞いておりますので、こういったニーズを的確に把握しながら、今後とも学習支援の継続と支援内容の拡充に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 ありがとうございました。
 これまで、本当に国の事業を活用して、NPOとか、あるいはボランティアなどを中心に対応してきたと思います。9市町村とそれぞれの教育委員会が連携して対応してきたという話ですけれども、やっぱりその中心となっているのはボランティアの皆さん、その中では大学生が中心だと思うんですね。ボランティアに頼らざるを得ない状況になっているんですが、今後の国の支援事業がどうなるのか、そして、ボランティアに頼っているわけですけれども、今後どういう展開になるのか。これは、やっぱり仮設住宅がまだまだ長く続くということで、学びの環境といいますか放課後の学習環境が悪化しているという状況は今後も続くことになると思うんですが、今後の国の支援の状況、ボランティアが今後どういう対応をされていくのか、この辺も含めてお伺いしたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 まずは、今現在、国の事業等を活用しておるわけでございますが、これについては、まだ被災地の状況が、先ほど申し上げたとおり、なかなか放課後の学習を進めていくことに困難を抱えているという状況がすぐさま改善されるわけではございませんので、これについては、引き続き国に対して予算を要望してまいりたいと考えてございます。
 それとあともう一点、その人的な面でございますけれども、確かに、今現在、学生ボランティアの方にさまざま御支援いただいているところでございます。中には、学生ボランティアで参加した方がそのまま、例えば東京から来られた方が、今回、被災地のボランティアに入りまして、そこで新しく、これまでの東京の職をやめて、岩手にずっといて、本格的に支援をしていただくというような方も実際におられます。
 ただし、やはり長期で携わっていただけるボランティアの確保をしていくことが、まずは当面の課題と聞いておりますので、そこは我々、県内の大学と連携しながら、できるだけ県内の学生に長期で参加していただけるような形にしてまいりたいと思っておりますし、そういった取り組みを進めていく中で、行く行くは継続的に支援をしていただける方を是非とも育てていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 この放課後の学習環境の問題については、今、課長がお話ししたように、今後やっぱり継続して取り組んでいかなければならない課題でもありますので、ぜひ対象を広げてほしいという要望もあります。これまで県も、灯油とか帰りの交通手段への支援とか、さまざまな形で支援をしてきましたので、そういう被災地の現場の実態を踏まえて的確に対応していただきたいと思います。
 次に、被災した学校の再建状況、それから、仮設グラウンドの整備状況がどうなっているのか、示していただきたいと思います。
〇宮澤学校施設課長 被災した学校の再建状況についてでございますが、市町村立小中学校につきましては、現在、7市町村17校におきまして再建等についての取り組みや検討が行われてございます。中でも、山田町の船越小学校は平成25年度内、その他の学校の多くにつきましては平成27年度の完成を目指して、それぞれ現在取り組みが行われているところでございます。
 県といたしましては、被災した学校の早期再建が図られますよう、国との調整及び市町村に対する助言や情報提供など、必要な支援に努めてまいります。
 県立学校でございますが、県立高田高等学校の第一体育館の建設工事でございますが、本年4月に着手いたしまして、現在、平成26年2月の完成を目指して工事を進めているところでございます。校舎等の主要な施設につきましては、現在、入札不調等の状況もございますが、現状におきまして可能な手段を講じまして、平成26年度末までの完成を目指してございます。
 次に、仮設グラウンドの整備の状況でございます。学校のグラウンドに仮設住宅及び仮設校舎が建設されたことによりまして、グラウンドの使用の全部または一部が制約されている学校が現在39校となってございます。
 その他の学校につきましては、仮設グラウンドの整備に適当な用地の確保ができない等の事情によりまして、校地内の空きスペースあるいは近隣の他校や他の施設、空き地等を活用するなどいたしまして、それぞれ工夫して体育の授業等を行っているところでございますが、今後、仮設グラウンドの整備を進める市町村につきましては、国の復興交付金の活用が可能でございますので、引き続き国との連携を密にいたしまして、復興交付金の活用についての助言あるいは情報提供などをして、市町村の支援に努めてまいります。
〇高田一郎委員 仮設グラウンドの整備状況もお聞きしたんですが、具体的な数字、どの程度まだ整備されていないのかということも答弁がなかったので、その数字をまず示していただきたいと思います。
 それで、県立高田高校の再建状況も今答弁いただきましたので、あわせてお伺いしたいと思いますけれども、新聞報道によりますと、7月から2回の入札は、いずれも応札ゼロということで、私も大変びっくりいたしました。高校の学校の教育施設が応札ゼロで大変な状況だということで、これは一体どういう見通しなのかということをお聞きしたいのですけれども、新聞報道では、開設予定に合わせて、あらゆる方法を検討して予定どおり頑張るんだというコメントもありますが、あらゆる方法を駆使して頑張るんだというその見通しについてお伺いしたいと思います。
 先日、現地へ私も行ってきまして、体育館が今建設途上にあります。これは来年春の高校の卒業生は、ぜひあの体育館で卒業式をさせてあげたいなと。震災直後に入学した高校生が、ずっと大船渡市まで3年間も通って、新しい高校で卒業できないなんていうのは非常に気の毒だと思いますが、ぜひ、間に合うのかどうかというのも含めて答弁いただきたいと思います。
 それから、被災した学校の再建状況をお聞きいたしました。実は、復興のロードマップを見ますと、かなりの学校が平成26年度に集中しているんですね。ほとんどの学校と言ってもいいと思いますけれども、今のこの高田高校の入札状況、2回応札ゼロだという状況を見て、平成26年度に被災した小中学校が集中されるということで、本当にロードマップどおりにうまくいくのかどうかというね。災害公営住宅も、なかなかロードマップの予定どおりにいかなくて大変な状況になっているんですけれども、私は、住まいの再建とか学校施設、これは本当に優先してやってほしいという思いもしているんですが、この見通しについてお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 高田高校の卒業式の関係でございますが、私どもも同じ思いで完成を急ぎましたし、物理的には間に合うだろうと思っています。
 ただ、一方で、学校のお話を聞きますと、子供たちや御父兄は、やっぱり今学んでいる萱中校舎が自分たちの学びやで、こちらで卒業式をしたいという御意向もあるやに伺っています。何よりも、卒業式は子供たちと御父兄が主役ですので、そういった方々の御意向を十分踏まえて、学校において適切に御判断いただきたいと考えております。
 それから、入札不調の問題は報道等のとおりでございまして、私どもとしても、何とか被災地の象徴であります高田高校の再建、そういったものに、なかなか私どもとして、こうすることで必ずできますという決定的なものがあるわけではございません。相手のあることですので。ただ、いろいろな方策を講じまして、国に対しても、何とか一刻も早く実態に合う単価を見直してほしいということを、この間も担当部長にもお願いいたしましたし、いずれあらゆる方策を通じながら、何とか子供たちの期待に応えるよう取り組んでまいりたいと思っておりますし、市町村に対しましても、市町村も同じ思いで、とにかく一刻も早く子供たちを迎え入れたいということでああいうロードマップにしているわけでございますので、市町村と一緒になって、私どももいろいろ汗をかいてまいりたいと考えております。
〇宮澤学校施設課長 仮設グラウンドの整備状況につきましてでございますが、現在、仮設グラウンドを整備いたしましたのが16校、整備中が1校となってございます。
〇高田一郎委員 被災した学校の再建については、本当に今、復興を進めていく上で、用地の確保とか資材の高騰とか人手不足とか、さまざまな課題があってなかなかロードマップのとおりに進まない状況があります。先ほども繰り返し言ったように、公営住宅の問題とか学校施設の整備とか、これを本当に優先してやらなければいけないと思うんですが、内部ではその問題についてどんな議論がされているのかということで、ちょっとお伺いしたいということ。
 それから、仮設グラウンドの整備状況ですけれども、東日本大震災から2年7カ月、8カ月たっても、まだグラウンドが整備できない、仮設グラウンドも整備できないという状況なんですが、これは、恐らく仮設住宅が建設されて、なかなか学校の再建が進まない中でうまくいかないと思うんですが、これはやむを得ない面があるんですけれども、これはどの程度期間がたてば解消されるのか。仮設住宅がなくなれば改善すると思うんですけれども、その辺の見通しについてもお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 なかなか明確な解決策がなくて私どもも苦慮しております。これは、復興公営住宅も含めて、恐らく全庁的な課題でございます。県土整備部に中心となっていただきながら、関係部局でいろいろ情報交換をさせていただきながら、どのような方策が可能か、また、どうしても設計単価の問題は、国土交通省の単価にほかの各省庁がならうという傾向もございますので、まずは、一体となって国に対する要望と、それから、中での調整を進めてまいりたいと思っております。
 それから、いつになったらグラウンドの状況が解消するのかということは、お答えするのが非常に難しいです。私どもも一刻も早く子供たちを伸び伸びとグラウンドで遊ばせてあげたいと思っておりますが、仮設グラウンドの整備につきましては、やはり用地の問題があって、なかなか用地確保がままならないというところから、我々としては、今の範囲でできることをまずやっていく、それからあとは、現在の校庭がいつ使えるかということにつきましては、全体的なそれぞれの市町村の復興の状況にもよりますので、その辺については関係部局とよく意思疎通を行いながら、私どもとしても、一刻も早く子供たちが良好な教育環境で学べるよう努めてまいるということだろうと思っております。
〇高田一郎委員 わかりました。仮設グラウンドについては、やっぱり長引けば長引くほど、子供の体力の低下とか、さまざまな問題に波及しますので、最善の努力をして取り組んでいただきたいと思います。
 次に、少人数学級についてお伺いいたします。
 平成24年度は中学校1年生まで拡充されまして、さらに今年度、来年度と小学校3年生、4年生と拡充になるということでありますが、この少人数学級の実施状況と効果、それと、実施対象校になっているにもかかわらず、なかなか実施されていない学校もあると伺っておりますが、その理由について示していただきたい。
〇小菅首席経営指導主事兼小中学校人事課長 少人数学級の実施状況についてでありますが、岩手県の少人数学級は、小学校1年生、2年生、3年生、そして中学校1年生と四つの学年で35人以下学級となっております。
 今年度の少人数学級の状況についてですが、小学校1年生は国レベルで法制化されておりますので、小学校2年生につきましては、1クラス36人以上となる対象25校中25校全てで35人以下学級を実施しております。中学校1年生は、対象39校中31校で実施しております。それから、今年度から小学校3年生が選択制で実施ということになったわけですが、これは対象校34校中28校で実施しております。
 次に、少人数学級の効果につきましては、昨年度行いました少人数学級に係るアンケートの結果によりますと、小中学校ともに、学級集団としてのまとまりやすさや安全、健康管理、人間関係の把握、基本的な生活習慣の定着といった学級経営や生徒指導の面で有効であるという回答を得ております。
 一方、このアンケートでは、少人数指導について、小中学校ともに、教師の授業改善の意識、指導力の向上、それから児童生徒の学力向上といった学習指導面に効果があるという回答も得ております。
 次に、実施されない理由についてでございますが、小学校3年生で対象校34校中6校で少人数学級を選択しないで、中学校1年生では、対象校39校中8校が少人数学級を選択しておりません。これについては、小学校では、これまで継続して効果を上げてきた少人数指導をさらに充実させたいということが最も大きな理由でありまして、中学校では、少人数指導充実のためと、学校行事等において学年の縦割りの活動が盛んに行われている関係で、そのためなどが挙げられております。
〇高田一郎委員 今、答弁がありましたように、生徒指導にとっても学力向上にとっても大変大きな効果を上げているということで、この対象を拡充していくことが非常に大事になっていると思います。
 最近、文部科学省が、世界トップレベルの学力・規範意識を育むための教師力・学力向上7か年戦略ということで、今後7カ年で教職員体制を強化するということで3万3、500人ふやすという報道もされております。この文部科学省の2014年度からの工程表で、岩手県の少人数学級といいますか教育環境というのはどのように変化するのか、どのように見ているのか、この点についてお伺いいたします。
〇小菅首席経営指導主事兼小中学校人事課長 文部科学省の工程表についてでありますけれども、文部科学省では、少人数学級の推進として、平成26年度から平成32年度までの7カ年で、全ての学年において36人以上学級の解消を図ることとしております。ただし、これは1学級が20人以下になる場合を除くという部分でありますが、ティームティーチングとか習熟度別指導といった少人数指導の推進も同時に掲げております。
 これらは、少人数学級と少人数指導を市町村の裁量で選択的に実施できるよう定数改善をしようとするものでありまして、平成26年度、次年度には国全体で2、100人の改善数を見込んでおるところであります。
 これらにつきましては、現在のところ国における概算要求の段階でありまして、県としては、国の動向をより注視しながら、よりよい少人数教育の方向を検討してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員長 高田一郎委員の質疑の途中でございますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 高田一郎委員、御了承願います。
   午前11時51分 休 憩
午後1時8分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ7人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇高田一郎委員 先ほど、文部科学省の7カ年戦略の工程表について、岩手の少人数学級にどういう影響を与えるかということをお聞きしましたけれども、平成26年は2、100人ということですが、ただし、1学級が20人以下になる場合は除くということですから、岩手の少人数学級を拡充する上でそんな大きな力にはならないのではないかと思うんですが、県としての7カ年戦略に対する評価と、35人学級をさらに拡充する上での今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 この項目の最後ですけれども、特別支援教育についてお伺いいたします。
 先ほど、教育長の冒頭の報告の中で、対象児童がふえているというお話をされました。これについては、市町村でも独自に支援員を配置している自治体も広がっていますので、その実態についてどうなっているのか、市町村の要望がどうなっているのか。そしてまた、特別支援学級の配置基準についても、どういう基準になっているのかお伺いいたします。
〇小菅首席経営指導主事兼小中学校人事課長 まず、文部科学省の7カ年戦略についてでありますが、少人数学級の方向性は基本としつつも、少人数指導のこれまでの成果を踏まえて、それぞれの地域、学校にできるだけ近いところが判断できるようにという趣旨で、文部科学省はこれを出していると捉えております。本県としましても、そういう文部科学省の方向性を捉えつつ、より岩手の実態に合わせた形でこれについては進めていきたいと考えております。
 なお、35人学級、少人数学級につきましては、市町村に対して、学校に対してのさまざまアンケートを繰り返しつつ、そのメリット、デメリットを比較しながら進めているところでありますが、それぞれのよさがあるものですから、それを十分比較、検討した上で進めてまいりたいと考えております。
 次に、特別支援学級のことについてでありますが、まず、配置基準についてお話をさせていただきます。
 平成24年度から義務標準法が改正されまして、学級編制につきましては、それまでは都道府県教育委員会の同意を要する協議を必要としたものですが、これを廃止しまして、現在は市町村教育委員会からの事後の届け出制になったところであります。市町村教育委員会が特別支援学級を設置しようとする場合には、市町村の就学指導委員会により、児童生徒の障がいの程度や保護者の意見等をもとに市町村が総合的に判断して、決定することになります。
 県の配置基準によりますと、小中学校では対象児童が8名までは一つの学級という形になっておりますが、県では、特別支援学級1学級につき1名の教諭を配置することとしております。特別支援学級への教諭配置は県が決定しますが、その際に、市町村と県との相談が行われて、市町村の考えが十分反映されるように努めているところであります。
 なお、教諭以外に、国の交付税措置を活用しまして、県内の33市町村においては、独自に非常勤の支援員が配置されているところであります。
〇高田一郎委員 特別支援教育の体制問題では市町村が判断するという話でありましたが、今のお話を聞きますと、33市町村全てで独自の対応を行って支援を強化しているという話でありました。これについては、ここ数年、障がいやあるいは経過観察の必要な児童生徒が非常に増加しているということで、33自治体全てが独自の予算を使って対応しているわけですけれども、この財政負担について県に対して要望もあるわけであります。これに対して県は積極的に取り組んでいただきたいと思いますし、先ほど言った国の7カ年戦略の中でもこういったメニューがないわけでありますから、そういった独自の県としてのさらなる財政支援が必要じゃないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇小菅首席経営指導主事兼小中学校人事課長 現在、33の市町村全てでそれぞれ措置されておりまして、非常勤は、人数にしますと457人ほどと聞いております。
 県としましては、先ほど述べた特別支援学級の定数1名のほかに県の定数を活用いたしまして、特別支援教育支援の非常勤を、合計34名でありますが、現在、配置しているところであります。ただ、これにつきましては、教職員の基礎定数を崩して活用しているものですから、これについては若干限りがある状況であります。いずれ、市町村と連携を深めながら、できるだけ子供たちの実態に合わせて人的配置が充実するよう努めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 了解いたしました。充実に努めていただきたいと思います。
 最後に、高校授業料の無償化の所得制限導入についてお聞きいたします。
 今、政府は、来年の4月から高校授業料の無償化について所得制限を導入するという方向性になっています。この所得制限導入によってどれだけの生徒が対象になるのか、あるいは教育的な効果についてどのように県教育委員会として見ているのか。
 あわせてお聞きしますけれども、所得状況の調査というのはどこで行うのか。学校現場なのか。途中で失業などがあって収入が減少したという場合に、現場で大変実務がふえて混乱するのではないかと、さまざまなことが予想されるわけでありますが、県教育委員会として、これをどのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇永井予算財務課長 まず、1点目の高校授業料の無償化の見直しに伴い負担が生じる生徒等についてのお尋ねでございますが、文部科学省におきましては、所得制限を導入した場合に、基準額――4人の標準世帯で年収910万円――以上の全国世帯の割合を、家計消費状況調査などから全国数値として22%と試算されたようであります。
 本県の県立高校生徒の世帯収入の確認は、いわての学び希望基金による給付を受ける被災生徒の一部を除いて、現時点では実施してございませんので、したがいまして、政府案による見直し後の制度下において、授業料徴収の対象となる生徒の数の把握は困難であります。今後、県の各種統計調査等を活用するなど、所得の定義や対象範囲など所要事項が明らかになった段階で試算する必要があると考えてございます。
 あわせて、この導入に伴います教育的な効果と申しますか、影響についてのお尋ねかと存じますが、今回の政府見直し案によれば、所得基準額を超える世帯の生徒には、就学支援金、年額約12万円と聞いてございますが、これの支給がされないということでございますので、当該生徒や保護者が進路等を検討するに当たって何らかの影響が生じないとも言い切れない状況にあるのではと考えてございます。
 今のところ、生徒、保護者の方々から県教委に直接お問い合わせをいただくことはほとんどございません。数件程度でございますが、今回の見直しに対する関心は非常に高いと考えてございますので、国と連携しながら、丁寧かつタイムリーに情報提供を行っていきたいと考えてございます。
 続きまして、2点目のお尋ねでございます、所得状況の実態把握ですとか、あるいは確認事務の対応についてのお尋ねでございますけれども、国におきましては、先日、10月18日に現行の不徴収制度を見直す改正法案を閣議決定して、今次の臨時国会に提出されたと聞いてございます。今後、こういった所得の定義でありますとか範囲、あるいは世帯人数による基準額の調整など制度の基本事項については、法令事項――法律、政令、省令の事項として検討されると伺ってございますし、また、委員お尋ねの親の失業など家計の急変した世帯への何らかの対策、対応等については、予算事項として、それぞれ国政の場で審議されるということで聞いているところでございます。
 また、その確認事務に伴う作業について、学校現場での対応についての御心配のお尋ねでございますが、当該作業について、所得額は市町村が発行いたします課税証明書等を対象者から提出いただいて確認することになると考えておりますが、これまでやったことのない新しい事務でございますので、県教委と県立学校あるいは関係する団体等で協議を進めてまいりまして、具体的な事務手順をきちんと整理していきたいと考えてございますし、こういった事務について、文部科学省に対しましては、必要な情報の提供、準備経費の確保を求めて、しっかりと対応してまいりたいと考えございます。
〇高田一郎委員 最後にしますけれども、今、制度の全容がまだ明らかになっていないので、その影響についてはしっかりとした数字が明らかにできないというのはわかりますけれども、しかし、同じクラスで、一方では無償化、一方では有償化ということで、ある意味では教育現場で新たな混乱が伴う問題にも発展するのかと思いますし、何よりも事務作業が非常に膨大になるのではないかと思います。そういう点で、このたび、県議会も、この継続を求める請願を受けて採択されたわけですけれども、県教育委員会として、この問題に対してどのようなスタンスでこれから対応していこうとしているのか、この問題をお聞きして、終わりたいと思います。
〇永井予算財務課長 先般の高校授業料無償制度堅持に関する請願を受けての県の対応についてでございますけれども、県といたしましては、これまで、現行の高校授業料無償化制度の継続、拡充を、ことし6月の政府予算要望など、これまで公式なもので6回にわたり求めてまいりました。また、ことし8月には、全国知事会として、都道府県として歩調をそろえまして、無償化制度の見直し実施は慎重に取り扱ってほしい旨の要望を行ってまいりました。さまざまなチャンネルを通じての行動を行ってきたところでございます。今後も、全国知事会等で要望活動に共同歩調をとる機会があれば、これに呼応してまいりたいと考えてございますし、また、並行いたしまして、実務的な準備、生徒、保護者への周知、御懸念いただいております事務処理体制の整備など、必要な検討などもあわせて十分にしっかりと行ってまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 私からは2点質問させていただきます。
 まず最初に、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業についてということで復興実施計画の進捗状況が紹介されているわけでありますが、別名、放課後における児童生徒の居場所づくり事業ということで、第1期目標80教室に対して、実績55教室、68.8%となっているわけですが、まずは、この事業そのものの実施主体、あるいは対象児童生徒の実態等を含めて、その内容についてお伺いしたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業のうち、いわゆる放課後子ども教室につきましては、放課後における主に小学生を対象とした児童の放課後の安全・安心な居場所を確保するというものでございます。
 これにつきましては、市町村が実施主体となって実施しているものでございますけれども、特に沿岸部については、震災後、沿岸被災地の生活環境は大きく変化し、放課後の安全な遊び場や家庭学習に集中して取り組める学習の場を確保することは困難な状況が続いていると考えておりまして、今現在、平成25年度といたしましては、沿岸部では7市町村が実施主体となり、34カ所で実施されているところでございます。
〇木村幸弘委員 そうすると、この実績で報告されている55教室、68.8%というのは全県の数字ということでいいでしょうか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 復興実施計画の第1期の目標値の80教室につきましては、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業を使いまして、平成23年度から平成25年度までの3年間の累計の目標値となっております。今年度の34教室を合わせますと、最終的な実績値では80教室を上回るものと考えてございます。
〇木村幸弘委員 そうしますと、これは第1期という形の位置づけで目標値を掲げておりますけれども、この計画自体の今後の見通し、あるいは最終的な目標というのはどういう計画で進めようとしているのかお伺いします。
〇西村生涯学習文化課総括課長 この放課後子ども教室につきましては、全県的な目標といたしましては、児童生徒の放課後の居場所づくりというものについて、教育委員会で実施しております学びの場である放課後子ども教室と、もう一つは、保健福祉部で実施しております放課後児童の保育の場としての児童クラブというものがあるわけでございますが、これらをあわせまして、これは全県的にでございますけれども、各小学校区で何らかの公的なこういった放課後の子供の居場所を確保するということを目標に進めておるところでございます。
〇木村幸弘委員 平成24年度の主要施策の成果に関する説明書の99ページには、放課後の公的な居場所がある小学校区の割合というところで、達成度Aという形で実績値が87.2%ということが紹介されているんですけれども、そうすると、この事業そのものは、この取り組みとリンクした事業ということなのか。
 あと、先ほど、高田委員の質問の中にも放課後の学習支援の取り組みというのがありました。そちらは22カ所で800人の対応だということでやっているようなんですが、いろいろとその事業が、ネーミングというか、対応部局、部署の関係も含めて混在しているような事業になっていまして、その辺のところの整理も含めて、どういう形でこれらの事業が取り組まれているのか、もう一度ちゃんと説明していただきたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 御指摘のとおり、平成24年度の主要施策の成果に関する説明書に記載しております数値でございます放課後の公的な居場所がある小学校区の割合で、平成24年度実績値87.2%というものについては先ほど申し上げたとおりでございますが、保健福祉部で実施しております児童クラブも含めて、各校区に公的な居場所がある割合ということでございます。
 そういった観点から、先ほど復興実施計画の目標値に対してということがございましたが、復興実施計画については、その中でも特に沿岸部の市町村について抜き出してあったものでありますし、さらに言えば、教育委員会で実施しております放課後子ども教室だけの数ということでございますので、そういったことで観点が少し異なっておりますが、いずれもリンクしているものでございます。
 さらにもう一点、先ほど、高田委員からの御質問もありましたが、中高生への学習支援との関係でございます。
 まず、放課後子ども教室については震災の前から実施しておりまして、主に小学生を対象としたものでございます。先ほど質問がありました中高生への学習支援といいますのは、特に中学生、高校生でいえば受験というものがございますので、そういった観点から、新たに中高生に対する学習支援を行う必要があろうということで、これは震災以降に取り組んできたものでございますので、そういった観点から、小学生は放課後子ども教室、中高生に対しては、沿岸部について学習支援というものを行っているものでございます。全体像がちょっとわかりづらいかと思いますけれども、一応、そういったような役割分担をしながら進めているというものでございます。
〇木村幸弘委員 大体のところはわかりましたけれども、特に被災地の子供たちの放課後におけるいろんな居場所の確保については大変重要な課題であり、取り組みだろうと思います。
 学童クラブ、いわゆる学童保育クラブは内陸と沿岸では当然状況が違うと思いますし、被災の関係から、対応や対策がどういう状況になっているかなかなか比較できないんですが、今、一連の質問をした事業等の延長線上において、将来的には、学童保育クラブであるとか児童館の整備であるといった形でのいわゆる放課後対策というか、そういった方向にこれが事業としては発展していくものなのか、これはあくまでも継続的な今の独立した事業として当面進められていくものなのか、その辺の見通しというか、将来的な考え方はどうでしょうか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 まず、教育委員会でしております放課後子ども教室でございますけれども、これは、全ての子供たちを対象とした学びの場を提供するということでございまして、さまざまな取り組みが進められておりますけれども、自学自習の場を用意しながら、安全管理員がそれを見守るといった取り組みのほかにも、地域の方に参加していただいて、さまざまな体験学習や伝統芸能あるいは昔遊び等々を地域の方と一緒に行うといったような取り組みが行われているものでございます。
 一方、保健福祉部局が実施する児童クラブでございますけれども、これは、働いている親御さんたちのお子さんを預かるといったようなものでございますので、有料で、かつ対象も限定されているというものでございます。
 一方で、この両者は、いずれにしても放課後の子供たちの居場所あるいは学びの場ということでございますので、今現在、両者連携して進めていくように協力してございまして、その連携をすることにより、さまざまな相乗効果を期待しているところでございます。最終的には、いずれも役割が違いますけれども、連携をしながら、地域にあるさまざまな力を集結して、学校の内外を問わずに、子供たちの学びあるいは育ちを支える仕組みということを地域に定着させていきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 わかりました。
 次に、特別支援学校の教室不足の問題についてということですが、先日、新聞などでも報道されておりました。特別支援学校の教室不足が非常に問題になっているということでございました。平成24年度においては、こうした特別支援学校の定員超過に伴う教室不足の実態は具体的にはどのような状況になっているのか。そして、どういう状況の中で不足という事態になっているのか、その動向、推移の状況、なぜそうなっているかという原因等について県教委としてどう認識し、対策をしようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校の教室不足の現状につきましてですが、平成24年度の県立特別支援学校14本分校の教室不足数は75教室でございまして、前年度より9教室増となっております。これは、文部科学省が公立の特別支援学校に対し毎年実施している調査によるものでございまして、普通教室、特別教室のほか会議室や医療的ケア室などの管理諸室、さらには、かんしゃくやパニック等情緒不安定になった児童生徒をクールダウンするための部屋、授業で作成した工作物を保管する部屋など、学校が必要とする場合に教室不足としてカウントしているものでございまして、小中学校の教室不足とは必ずしも一致するものではございません。
 現在、知的障がい教育を対象とする特別支援学校を中心に教室不足の状況となっておりまして、教室不足の多い学校としては、盛岡みたけ支援学校15教室、花巻清風支援学校18教室、前沢明峰支援学校16教室、宮古恵風支援学校8教室等となっております。
 次に、教室不足の推移、これまでの動向ということでございますけれども、平成20年度は53教室の不足でございまして、この5年間で22教室増となっております。要因といたしましては、高等部入学生の増加や児童生徒の障がいの重度化、重複化に伴う少人数編制における学級数の増加などが挙げられます。
 今後の動向につきましては、高等部生徒の増加は、卒業後支援も含めた進路指導等多くの実績が評価されまして、特別支援学校での専門的な教育を望む本人や保護者がふえるものと思われますけれども、その一方で、今後、インクルーシブ教育の推進等、特別支援教育の動向などから特別支援学校へ就学する児童生徒数及び学級数については変動があるものと思って捉えております。
〇木村幸弘委員 今、県教委のほうでは、震災発生以降、特別支援学校の整備計画の策定なども凍結しているということの中で、特別支援学校におけるそうした教室不足というか、いわゆる生徒の増加の状況が続いているわけですけれども、そういった観点でいえば、現場にすれば、教育環境、指導に当たるさまざまな条件等の問題が随分発生しているやに聞いております。そういった点で、これについては、凍結している整備計画の問題はあるにしても、実態として教室不足が明らかに問題化していることなどを踏まえた中で、具体に何らかの整備を含めた対応が求められているのではないかと思うんですけれども、その辺についてはどのような方針を持っているのかお伺いしたいと思います。
〇宮澤学校施設課長 教室不足への対応につきましてでございますが、これまでも可能な範囲で、施設の内部改修や特別教室あるいは作業室を増設するなどの方法によりまして、教室不足解消のための整備を行ってきたところでございます。また、平成26年度には、花巻清風支援学校におきまして、高等部の教室確保のために、4教室でございますが、特別教室棟の新設を予定しているところでございます。これにより普通教室2教室が確保されまして、さらに2教室の特別教室との兼用が解消されるものであります。
 今後におきましては、必要とする施設の内容でありますとか、敷地、既存施設の状況などの諸条件を勘案いたしまして、学校との協議、検討を重ねながら、計画的に教室不足の解消に向けて必要な整備を進めてまいりたいと存じます。
〇木村幸弘委員 わかりました。ぜひ、現場の実情を十分に把握した中で、いろいろな整備に係る対策をしっかりとやっていただきたいと思います。
 一方では、今、佐々木課長から御答弁いただきましたけれども、いわゆるインクルーシブ教育という観点から、普通高校におけるそういった受け皿の問題であるとか、あるいは指導体制であるとか、本来、普通高校に行くべき生徒がなぜ特別支援学校へという形の流れができているのかという、教育現場サイドの受け入れ能力や対応も含めて、その対策をしっかりやっていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、改めて、そういったインクルーシブ教育の理念に立った普通高校と特別支援学校との連携というか、関係性についての考え方をお聞きしたいと思います。
〇菅野教育長 委員御指摘のとおり、やはりいろんなお子さんがおられる。そして、保護者、御本人の中にも特別支援学校を選択されるお子さんもおられますし、一方で、高校を選択されるお子さんもいる。私どもとして、受け入れたお子さんに少しでもいい教育環境の中で教育を受けてもらう必要があるということもございますので、両面にわたっての整備、充実が必要だろうと思ってございます。
 したがいまして、これからも、それぞれの高等学校におきましては、教員の研修や施設の整備等も含めて対応を進めてまいりたいと思っておりますし、先ほど申し上げました特別支援学校においても、現在の教室不足を解消できるように、その充実に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 今の特別支援学校の教室不足問題について、私も関連でお聞きしたい。
 75教室が不足して、この5年間で22教室ふえたと。私は、これは異常事態だと思いますよ。岩手の教育の中の矛盾の集中点と言ってもいい。今、震災復興から学校の再建整備は最優先だけれども、これは、それに次ぐぐらいの問題だと私は思います。
 それで、教育長も学校施設課長も不足数の解消に取り組むと言っているけれども、具体性は何もないですよ。大体、特別支援学校の整備計画を中断しているわけだから、これはもう中断できない事態だと思いますよ。5年間で22教室もふえた、75教室にもなっている。そして、一番手をかけてやらなくちゃならない学校なんですよ。ある意味でいけば、本当に最優先して整備をしていかなくちゃならない学校だと私は思うんだけれども、特別支援学校の施設整備の計画をどういうふうにするのか、75教室も不足しているこの不足分を計画的にどういうふうに整備しようとしているのか、教育長にお聞きしたい。
〇菅野教育長 今、被災した学校の再建に全力を尽くしている。あわせて、先ほどの御質問にもありましたが、残念ながら、まだまだ耐震化が100%に行っていない。一刻も早く、何かあった場合に子供たちの命を守らなければならない、そういう課題も抱えてございますし、委員御指摘のとおり、特別支援学校の教室不足に対する対応というのも急務だろうと思ってございます。
 したがいまして、そういった中で、毎年限られた財源の中でどういう格好でそれぞれの整備を進めていくかというのは非常に大きな問題でありますが、具体的に将来の財源見通しが現在非常に難しい中で、毎年、この学校について整備しますということを明確にお示しするのは非常に難しいことは御理解いただきたいと思います。
 ただ、一方で、それぞれの特別支援学校についても問題がございますので、一つ一つ学校と相談しながら、ことしは何ができるのかということを、入ってくるお子さん等の状況も踏まえながら、一つでも二つでも解消できるように努めていくというのが、今、私どもでやれることではないかと考えております。
〇斉藤信委員 今の教育長の答弁は、毎年毎年検討するでしょう。これは全然見通しが見えませんよ。5年間で22教室ふえたんだから、黙っていればもっとふえるということでしょう。それは財源の問題はもちろんあると思うけれども、施設の整備計画は、大震災があったという問題と、国の特別支援教育の方向性が定まらないという二つの要因が背景にはあったと私は思います。しかし、もう2年も3年もこれを引き延ばして、今後の見通しもないと。じゃ、子供たちはどうなるんですか、放置されている子供たちが。普通の学校でこんなに教室が不足だったら、パニックが起きますよ。家族が少数派で物を言えないから騒ぎにならないだけで、本当に異常事態、非常事態、この認識をまず教育長は持たれているのか。
 その上で、例えば一気に75教室を解決できないとしても、最優先して解消すべきところは3年でやりましょうとか、何かそういう方向を示さなかったら、私は、特別支援教育は成り立たないのではないかと。今、特別支援教育の推進プランの最終プランが出ると思うけれども、この問題は回避されているのですよ。一番大事な問題を回避して推進プランといったって、全く意味がないと私は思っているんです。だから、そういうことも含めて、毎年毎年じゃだめだ。やっぱり3年とか5年、どこまで緊急に改善するのか、できるのかという方向性ぐらいは持たないとだめなのではないかと私は思いますが、改めて教育長にお聞きしたい。
〇菅野教育長 先ほど担当課長から御答弁申し上げましたとおり、教室不足数については、それぞれの学校のいろんな要望を踏まえて各学校が文部科学省に回答した資料でございます。したがいまして、それぞれの学校の状況に応じて課題は一つ一つ違うと思います。もちろん敷地の制約等もございますし、いろんな問題を抱えてございます。ですから、先ほど申し上げましたとおり、何年で全てこれを解消するということはなかなか申し上げられないところはございますが、ただ、一方で、子供たちの置かれている状況というのは十分承知しておりますので、一つ一つの学校によくよくお話を伺いながら、今、我々として何ができるかということを――花巻清風支援学校についてはこれから着手しようとするわけでございますが、その他の学校についても、当面何ができるかということを学校と相談しながら、一つ一つ進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 関連ですから、最後にします。
 緊急に打開すべき、例えば男女共用のトイレが残されているなんていうのはあり得ない話ですよ。私は、これは人権感覚が問われるのだと思いますよ。特別支援学校だからそれが許されていいのか。教室不足の問題もそうなんです。教育が成り立たないような状況になっているんじゃないかと私は思うんですよ。教室を二つ、三つに分けたり、特別教室を分けたりしてやっているわけだから。男女共用のトイレが何校にあるんですか。そして、そういうものは直ちに解消するということで、しっかり対応していただきたい。緊急的な課題の検討をしていただきたい。
 最後にこれだけ聞いて、終わります。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 男女兼用でトイレを使用している特別支援学校の状況、そして、今後の対応についてお答えさせていただきます。
 男女兼用で児童用トイレを使用している県立特別支援学校は4校でございます。盛岡みたけ支援学校、気仙光陵支援学校、釜石祥雲支援学校、宮古恵風支援学校の4校でございます。この4校はいずれも知的障がいの教育を対象とした特別支援学校でございまして、小学部低学年のみ、男子、女子が児童用トイレを兼用しているということは承知してございます。
 知的障がいを有する低学年の児童につきましては、一人一人の発達段階を踏まえながら、衣服の着脱とか食事指導、そして排せつ指導等々、身辺処理能力の向上を目指した学習を基礎的な課題にして主に取り組まれております。特にもトイレ指導につきましては、指導上、安全上の配慮から、男女兼用トイレのほうがよいということもありまして、低学年においては男女共用のトイレを設置してきていると思います。
 それから、兼用トイレの改善についてでございますが、小学部低学年が使用するトイレにおきましても男女別にトイレを設置するべきであろうと思いますが、洋式トイレ化とか、あるいはトイレ内の個室ブースの拡張という部分の課題を優先して整備してきたことから、この部分の改善がおくれてきているところでございます。
 なお、平成7年以降に新築や改築いたしました特別支援学校におきましては、こうした男女兼用トイレの部分というのはそれぞれ解消されております。今後、男女兼用で使用しております4校につきましては、支援学校とよく相談させていただきながら、改善に向けて検討してまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 私は、1点に絞って、ある程度まとめてお聞きいたします。
 児童生徒の読書関係の整備の状況についてお尋ねします。
 まず、平成24年度ですが、県教委においては読書教育についてどのような位置づけをし、具体的にどのような施策を行ってきたのでしょうか。
 それから、決算の事項別明細書によりますと、高等学校費の中の図書整備費はおおむね3、500万円近くが決算になっておりますけれども、これでの購入図書はどの程度であったのか。そのことによって県内の学校の蔵書数はどの程度に上っているのか。
 あわせて、図書館は学校図書館と地域図書館というものがあると思いますが、その連携というのはどうなっているでしょうか、お示しください。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 まず最初の読書に対する考え方、施策についてでございますが、読書が大切であるということにつきましてはどの学校でも認識し、取り組んでいるものと思っております。
 各校におきましては、それぞれ図書館利用オリエンテーションを実施したり、あるいは図書館だより等を使いまして新着図書あるいは推薦図書の紹介など、生徒の読書意欲の向上に取り組んでいるものでございます。
 あわせまして、生涯学習文化課を中心にしまして、いわての中高生のためのおすすめ図書100選というものを発行し、本の紹介などに努めているものでございます。
 二つ目の整備にかかりました予算につきましては、ちょっと私の手元にございませんが、蔵書につきましては、最少の学校が約5、900冊、最も多い学校が3万9、000冊という状況で、県立高等学校におきましてはおよそ1万6、000冊の蔵書を有しているということになっております。
 学校図書館と地域図書館との連携につきましては、昨年度の文部科学省の調査によりますと、公立学校におきましては5校が連携したという回答を得ております。その内訳は、公立図書館資料の学校への貸し出しが1校、定期的な連絡会の実施が2校、公立図書館が実施する活動に高校の図書委員が参加した学校が1校、移動図書館訪問に参加した学校が1校というようなデータとなっております。
〇岩渕誠委員 今、力説いただいたと思いますが、成果を見ますと、残念ながら、そのところがあらわれてないと思います。
 主要施策の成果に関する説明書でありますが、児童生徒の1カ月の平均読書冊数という目標がここに出ております。小学校5年生は実績値で月に12冊、達成度B、中学校2年生は4冊、これはなぜか達成度Aです。高校2年生、目標値は2.3冊なんですが、これも、それ自体低いと思うんですが、実績値は1.6冊、D評価であります。これは平成23年もD評価でありました。1万6、000冊ですか、多いところで3万9、000冊という蔵書数があるんですけれども、この1.6冊というのはどう分析していますか。
 それから、この1.6冊というのは、恐らく地域図書館や学校図書館や、それ以外でお店で買ったというものの合算で1.6冊だと思います。そうすると、実際、学校図書館でどれぐらい借りているんですかね。
〇西村生涯学習文化課総括課長 学校に限らず、さまざま地域の方々のボランティアですとか、あるいは地域の図書館等も活用しながら、子供の読書活動の推進というものを進めていきたいと考えてございまして、県の教育委員会では、子供の読書活動の推進のプランというものも策定しながら進めておるところでございます。
 それで、目標といたしましては、高校2年生の読書の冊数というものも出しながら向上させていきたいということで目標値も設定しておりますが、ここの主要施策にもありますとおり、現状としては、中学生、小学生については読書冊数は伸びている状況にございますが、高校2年生についてはほぼ横ばいというような状況が続いてございます。
 これにつきましては、先ほども答弁がありましたけれども、我々としてもここを何とか伸ばしたいということで、いわての中高生のためのおすすめ図書100選というものも作成しまして、それを配付いたしましたり、あるいは学校の図書館担当者の研修会ということも開催いたしまして、担当されている先生方を対象にしながらの改修ということも実施しております。結果としてはなかなか伸びていないところではございますが、こういった取り組みも進めながら伸ばしていきたいと考えてございます。
 それから、学校図書館の貸し出し冊数でございますけれども、今、手元にはすぐに……、少々お待ちいただければと思います。
 手元のデータがやや前のものになりますけれども、済みません、今、手元に平成23年度の調査結果がございますので、それで御説明させていただきます。
 平成23年度は高校2年生の平均読書冊数1.8冊で、平成24年度に比べればやや高い数字でございますが、その冊数のうち、学校図書館を利用したものとしては0.4冊、それ以外で申し上げると、公立図書館の利用が0.1冊ということでございます。それ以外についてはデータをとっておりませんので数字はわかりませんけれども、内訳としてはこういった回答があったところでございます。
〇岩渕誠委員 端的に、その0.4冊というの私はちょっと衝撃なんです。3、400万円、3、500万円のお金を突っ込んで蔵書整備をして、1月に0.5冊というのは、その原因というのはもう少し分析すべきではないかと思うんですが、いかがですか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 まさに高校生のところが伸び悩んでいる状況でございますので、今現在、各高校の先生方に、現状あるいは実情などもヒアリングしながら、次の推進プランを作成したいと考えておりまして、もう少し現場の声を聞きながら、現状の課題等を分析していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 私は、自戒の念も含めて言うのでありますけれども、やっぱり高校のときにもう少し本を読んでおけばよかったなと、大人になってから私自身も日々反省するわけでありますけれども、多感な時期にやっぱり読むべき本というのはあると思いますし、高校生なんかは、特に大人の入り口ですから、少し背伸びをしていろんな本を読んで見聞を広めるというのは、人格形成の中で大変重要なことだと思うんです。そういう意味では、今、残念ながら、学校の図書館というのは書庫になり下がっているのではないかと。音読、黙読ということはありますけれども、どうも学校図書館は積ん読という場所になっちゃったと思います。
 そういう意味の一因は、やはり図書館に入りやすい環境といいますか、図書の専門家が実は県内の学校で措置されていないのではないかというところを私は一つ指摘したいと思います。
 昨年の5月現在で、学校図書館における人的整備状況調査というのを文部科学省の児童生徒課というところがやっておりまして、これは県教委も出しております。司書教諭の配置状況を見ますと、12学級以上のところは必置でありますから、これは岩手県も100%になっておりますけれども、11学級以下の公立高等学校については、何と、司書教諭発令学校数はゼロなんです。ちなみに、この全国平均は24%ぐらいです。それから、学校図書館担当職員、いわゆる事務の方です。これも全国平均というのは大体71%あるんだそうですけれども、岩手県はたった4校、6.2%。振り向けば広島県の3.3%というのがあるだけで、あとは軒並み結構高いんです。そういう環境の整備も一生懸命頑張ってもらうのはいいんですが、やっぱり専門家がいないということも一つ問題があるんじゃないかと思っているんですが、このあたりはどういうふうに思っていますか。
〇戸舘教職員課総括課長 司書教諭の配置の状況につきましては、今、御指摘のとおりでありまして、12学級以上の法令必置の学校に関しても100%配置しているということでありますが、11学級以下の学校への配置というのは滞っている実情にあります。
 司書教諭の有資格者でありますけれども、平成25年5月現在で、小学校においては478名、中学校では173名、高等学校では140名、特別支援学校には103名おりまして、年々資格取得者はふえている状況にあります。ただ、こういった有資格者に対して法令必置以外のところで、要するに学級数の少ない学校ということになりますが、司書教諭の発令をするかどうかというのは、さまざまな学校の分掌事務との兼ね合いの中で思うように進んでいないというのが実情ではないかと思っております。この辺が今後の大きな課題だと私どもは認識しておりますので、ここは学校ともよく話をしながら進めていきたいと思います。
 それから、担当職員の配置の関係でありますけれども、今までは、事実上、図書館業務を分担していても事務分掌としてはっきりさせていないというところがありまして、平成24年度の文部科学省の調査においては、先ほど御指摘のような状況になっておりますが、今年度、そういった事務分担の明確化をしてほしいということで各学校にも話をしまして、現在、12学級以上の高校37校については全校においてそういった分担がなされているということで、平成24年度の調査結果からは大きく増加しているということでございます。そういう意味では、ごくささやかではありますが、体制の強化は図りつつあるという状況にございます。
〇岩渕誠委員 必置の12学級以上というのはともかく、11学級以下はゼロというところのもう一つの問題点は、岩手県の場合は、平成24年の調査段階では、12学級以上の学校は38に対して11学級以下の学校というのは27あるわけであります。他県の例を見ますと、12学級以上のほうがどんと多くて、小規模校が少ないと。それは人員の問題もあってなかなか配置できないというのがあるんですけれども、小規模校も同じぐらい、半分じゃないですけれども、かなりの数があるわけです。そういうところもきちんと手当てをしてもらえないと、図書に親しむ、知識を得る、学問するという意欲の部分からいっても問題があると思いますので、ぜひそこは検討していただきたい。どうしても教科のほうの整備が優先であるということはよく理解していますけれども、それだけではやっぱり人格形成はならないのだろうと思います。
 もう一つ、司書教諭の仕事、図書館の役割ということから言うと、今までの学校図書の貸し出し、整理とか調査というのはあるんですけれども、もう一つはやっぱり情報センターとしての役割が大きいのだろうと思います。司書教諭の仕事の中をいろいろ見てみますと、一つ気になるのが、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどの情報活用能力の育成、メディアリテラシーの育成ということがあるわけであります。今議会でもいろいろ議論になりましたけれども、インターネットあるいはいわゆるSNSでの発信をどう受けるのか受け方の問題、それから、最近いろいろワイドショーをにぎわしていますけれども、悪ふざけ投稿とか、あるいはブログで何かしゃべってという問題――これは、我が県議会もいろんな問題があって、本当につらい思いをした経験があるわけでありますけれども、そういったところもやっぱり図書館の役割、そして司書教諭に求められる役割だと思うんです。だとすれば、そこの部分をきちんと手当てをしていかないと、その辺は大変な思いをすることになるだろうと。子供たちにそこをどこで教えるかという部分はあると思うんですが、もう少し司書教諭だとか図書館というところを利用しない手はないだろうと私は思うんですが、いかがでしょうか。
〇菅野教育長 委員から御指摘いただいたとおり、どうしても本県は小規模校が多いと。そうしますと、定数措置もどうしても限定されますので、そういった大規模校と違って専任の担当の教員を配置するというのはなかなか難しい状況にある。それこそ各教科の全教科もなかなかそろえられていないという状況があります。
 ただ、一方で、先ほど御議論がありました情報リテラシーの問題等も含めて、子供たちに身につけてほしいというのはそのとおりでございますので、まずは図書館配置教員の充実に、いろんな学校の意見を聞きながら努めるとともに、また一方で、全教員が子供たちのそれに対応できるようにということもあわせて進めていかなければならない。今、恐らく待っていられない状況だと思いますので、私どもとしては、その両面から進めてまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 岩渕誠委員の質問に対して関連いたします。
 読書教育ということで、私は教育委員会にぜひ望みたいんですが、今の教育の現場というのは読書について余り力を入れてこなくなったのではないかと思うんです。というのは、夏休み、冬休みの課題を見ておりますと、読書感想文の書き方がとても雑であるということ。今までですと、私が子育てをしていたころは、同じ本をある程度認めて、それについて親子でいろいろ話し合った結果をまた教室に持っていってしゃべったものです。そして、いろいろ子供に読み聞かせしている間に涙を流した経緯もありますけれども、今、どちらかといいますと、子供たちは絵の多い簡単な本を借りてきて、何か、ノルマを達成すればいい、借りてくれさえすればいいというふうな、親も仕事を持っているから、そういうものには余り入りたくないというところがあるのではないかと思うんですが、今の課題で親子読書というものについてどうなのか、教育長にお尋ねいたします。親子読書があるのかどうか。
〇菅野教育長 子供たち、特に小さい世代で本に親しむというのは非常に大事だろうと思ってございます。それぞれの学校でいろんな工夫を凝らしながら取り組んでいるところでございます。
 委員から御指摘のあった親子で一緒に読むということ、もう一つは、地域の方々に読み聞かせとしてボランティアで入っていただいて、子供たちが本に親しむ環境をつくる。ただ、一方で、今、御指摘がありましたとおり、働いていらっしゃる親御さんがふえているので、なかなか時間的な制約があるというのは確かでございます。ただ、一方で、先ほど申し上げましたとおり、子供たちの読書環境は非常に重要でございますので、地域のボランティアの方々のお力もいただきながら、子供たちが、特に小さい世代で本に親しむ環境というものを少しでも身につけられるように努めてまいりたいと思っております。
〇及川幸子委員 これから、お忙しいのは十分わかりますけれども、読書教育についてもう一回見つめ直さないと、ゲームだけに興じて、ゲーム、ゲームですよ。ほとんどテレビかゲーム。落ちついて本を見る子供の姿がなかなか見られなくなっておりますので、教育長、もう一度、これからの教育、読書教育ということで振り返ってみていただきたいと思います。最後に御所見を伺って、終わります。
〇菅野教育長 確かに、身近な私どもの孫を見ていますと、委員と同じような懸念を持つことが多々ございます。子供を取り巻くいろんな環境というのは、昔に比べて刺激が非常に多いという問題があります。ただ、その中でも、子供たち一人一人にそういった将来に向けてのいろんな資質を養っていただくためには、やはり本に親しむということは非常に大事でございますので、先ほども申し上げましたとおり、地域の方々のいろんなお力もおかりしながら、少しでも子供たちが本に親しむ環境づくりのために取り組んでまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 キャリア教育の推進についてお伺いいたしますが、ほかの委員の方々が取り上げておりますけれども、私はキャリア教育の重要性というのはこれまでもやってまいりましたが、その中で、中身についてもっと課題があるのではないかということでこれまでも御指摘させていただきましたが、その中で、高校の中でのキャリア教育で、特にも、専門高校だけではなく、普通高校でぜひキャリア教育にもっと取り組んでいただきたいとこれまでお話ししてまいりましたが、その実践状況と課題等どのように受けとめられているかと、平成24年3月に、いわてが目指すキャリア教育というリーフレットを作成して、各小・中・高のほうで実践されていると思うんですが、この中では、教員の方を対象にした研究協議とか研修会をされているんですけれども、そういった教員の方からどのような声が実際上がっているのかもお示し願います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 普通高校でのキャリア教育ということでございますけれども、普通高校におきましても、職業人と申したらいいでしょうか企業人と言ったらいいでしょうか、その方を招聘しまして講話をしたり、あるいは体験活動を通じて、職業観あるいは勤労観の育成に努めておるところでございます。
 しかしながら、課題としましては、やはり普通高校の場合には、進学をする生徒もいる、あるいは就職をする生徒もいる、かなり多様な進路希望があるものですから、一人一人の希望に対してきめ細かく対応することが若干難しいというようなことが考えられております。
 それから、教員に対する研修ということで、教育委員会としましては、平成19年から24年にかけまして、小中高キャリア教育研究協議会を開催して、担当教員が合同で研修を重ねたところでございますが、昨年からは、3年間かけまして、総合教育センターにおきまして、いわてのキャリア教育実践講座等を開催しておるものでございます。
 その中で、実際、キャリア教育が小・中・高で進んでまいりまして、例えばですけれども、かつては高校で職場体験、職場訪問等をしていたものが、実際にはもう中学校で行われてくるという時代に入ってまいりました。そうしますと、その中身を変えなくてはいけないというようなことで、いわゆる発達段階に応じたと言ったらいいでしょうか、そういったものに対応することが必要なのではないかという考えに及んでいるところでございます。
〇吉田敬子委員 これまでもちょっとお話ししてきたんですが、そのキャリア教育の中で、先ほどの答弁の中で、教職員の方々の今後の取り組みにまだ課題があるということだったんですけれども、教職員の方は、授業とか部活、それ以外にもさまざまな業務がある中で、キャリア教育を教職員の方に担っていただくのは、実際問題大変じゃないのかなと私はこれまでも指摘しております。
 実際にも、リクルートの民間の調査でも、教員の知識不足や時間的な余裕のなさが原因でキャリア教育が進まないのではないかということをうたっている中で、キャリア教育は、人生設計力、総合生活力を育成することになっているので、進路だけではないはずなんですね。高校、大学へ進むのか、就職するだけではなくて、その後の人生設計、キャリアプラン、女性だと結婚、出産等も含めてなんですけれども、そういったところまでをキャリア教育だと位置づけていると思うんです。
 特に、岩手県内だと、さまざまなNPOが実践的に、例えば一つは、さまざまな社会人の方を学校に呼んで、いろいろな職業人がいらっしゃるよということで、当時を語ってもらって、こういう職業があるんだというのを実際にやっているNPOのほか、ドリームマップという、小学校、中学校がメーンだと聞いたんですけれども、実際のそういった、例えばいろいろな職業人の方、社会人に会った上で、自分はどういう人生設計を描くかというようなドリームマップの普及をやっているNPO等がいらっしゃるんですが、私は、そういった方々を、実際に岩手県としてキャリア教育に取り組んでいる中の一つの位置づけとしてやっていったほうがいいのではないかと。そうすると学校の先生の負担も減りますし、もっと幅広いキャリア教育になると思っているので、これまでもいろいろその件に関しては、検討させていただきたいとかという話で、もっと踏み込んだ前向きな御答弁はまだいただけていないんですが、そういったNPOが実際にやっているキャリア教育の事業に対しての評価または認識を県としてどのように感じていらっしゃるか。
 あともう一つ、特に被災地の高校で私は話を聞くんですが、不登校の生徒がすごくふえているということで、これは震災に限ったことではないと思うんですけれども、今、被災地支援で高校の不登校の子供たちに、そういった学習支援をやっているNPOから話を聞いています。震災だけが理由ではないと思うんですけれども、そういった子供たちもふえている中で、キャリア教育というものにもっと重点的に取り組んでいただきたいと思っているんですが、その辺、どのように認識しているか、まずこの2点をお伺いいたします。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 キャリア教育ですけれども、ただいまお話がありましたように、いわてのキャリア教育におきましては、総合生活力の育成、そして人生設計力の育成ということを柱にして取り組んでおるところでございます。
 今、御指摘のように、キャリア教育につきましては、外部機関との連携を図りながら、NPOを含めてですけれども、そういった方々のお力をおかりしなければできない事業と、あわせまして、キャリア教育の全体計画にありますように、学校の中で日常的に取り組まなければならないような事業、例えば人生設計力で言いますと、社会を把握する能力とかさまざまあるんですけれども、さらに、総合生活力ですと、この中に確かな学力等もありますので、両輪で取り組んでいかなければならないものと考えております。
 今もお話し申し上げましたが、学校の場合には、やはり外部に対する情報が不足しておりますので、NPOを初め、私の経験で言いますと、市の雇用協議会等のお力をおかりしまして、ジョブカフェ等を通じて、例えば、実際に講師を紹介していただいたり、あるいはインターンシップの受け入れ先を探していただいたりといったようなことに取り組んでおりますので、特定ということではありませんけれども、学校におきましても、こういった活用につきましては大変ありがたく思っているところですし、今後も進めていかなければならないと考えているところでございます。
 また、被災地につきましては、やはりいろいろな事情がございますので、学力的なもの、あるいは生活的なもの、さまざま悩みがあるようですけれども、そういう中で、将来にかかわってはやはり同じですので、インターンシップとかといった特定のものではありませんが、いろいろな学力的なサポート、あるいはこういった職業的なサポートについては、いろいろな事業といいますか、先ほども申し上げましたが、復興を担う人材育成とかといったものに取り組んでおりますので、また今後もそういう取り組みをしてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 いわての復興教育というものもやられていますので、被災地だけではもちろんないんですけれども、やはりいろいろな大人に会うことで、夢をもっと描きやすい子供たちになってもらいたいと思いますので、ぜひ、学校だけではなく、地域とか産業界の方々との連携が大事だと思いますので、今後もそういったNPOとの連携等も含めて取り組んでいただきたいと思います。
 それを、最後に教育長の御所見を伺いたいことと、もう一つ、最後に、今までに一度、資料請求させていただいた件で、これも教育長の所感を伺って終わりたいのですけれども、5月末に体操競技の選手の方が、東日本学生選手権で、ロンドンオリンピック代表の方が肩をけがされた事故がありました。その1カ月後に、一般の方ですけれども、ボルダリングの落下事故がありまして、その方は全治3カ月で入院されていた中で、その後に、入院している間の中で、指定管理者が岩手県スポーツ振興事業団なのですが、そちらのほうとの保険制度、補償に関する手続をいろいろやられていたそうですが、入院期間中、説明はしていただいたみたいなんですが、その後、8月10日に退院した後に、もうちょっと詳しい説明をいただきたいとその方がお話ししていたのが、1カ月も後になって具体的に書類を送付するとか、お盆中だから忙しいとか言われてしまって、ちょっと残念だったということを聞いております。
 前回の5月の大会は、こういった有名選手の方だったので表に出た事件というか事故だったと思うんですが、こういう一般の方が遭った場合は、表に出づらいですし、ボルダリングって確かにちょっと危険な競技ではあるんですが、ただ、やっぱりそういった施設を県として置いている中で、一般の方もけががないような、マットの基準についても明確に規定されていないそうで、今後、国体を岩手県でやっていく中で、スポーツ競技の方だけでなく、私たち一般人も不安を抱えるようなことがあってしまうと、せっかくの岩手国体が台なしになってしまわないようにこれからぜひやっていかなければいけないと思っているんですが、この件に関しても教育長の御所見を伺いたいと思います。
〇菅野教育長 キャリア教育につきましては、今、全県で取り組んでいるいわての復興教育の中の大きな柱の一つとして位置づけています。特に被災地においては、いろいろなNPOの方々、また経済同友会の各一部上場企業の経営者の方々も、それぞれ学校に入っていただいて、子供たちにいろいろなお話をしていただいています。子供たちは、随分そういった思いに応えてくれていますので、こういった取り組みを私どもとして一番大事にしたいと思っておりますし、学校が一生懸命取り組むとともに、あわせて外部の方々の力もおかりしながら、両方一生懸命やっていきたいと思っております。
 また、あと、施設の管理の問題についての御指摘がありました。体操選手の方々のけが、それからまた、今、お伺いしますとボルダリング競技の関係でけがをされた方がおられるということで、その辺は、私どもで管理している施設でございますので、そういったことで非常につらい思いをされたことについては、おわび申し上げなければならないと思います。
 また、そういう事故が二度と起きないように、私どもとしても、施設の管理のあり方について、指定管理者ともども、よく注意いたしまして、何とか安全な環境でスポーツに取り組んでいただくことに努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇佐々木博委員 これで終わりと期待した方には大変恐縮ですが、簡単に2点だけ伺いたいと思います。
 まず1点目は、文化財に対する県の財政支援の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
 本県にも非常に誇るべき文化財がいっぱいありますし、それを保全していくことは、県の一つの大きな責務だと思っております。ただ、これは本県に限らず、多分日本全体がそうだと思うんですが、大体文化財というのは、寺社仏閣とか、あるいはそこに所蔵されているようなものが多いわけです。そうしますと、憲法で、日本は政教分離のほかに、宗教的なものに対して財政的な支援をしてはいけないという大原則がありますので、そこが一つネックになりまして、そういった文化財に対する、例えば維持とか修繕をやるような場合の財政的な援助が、実例としてちょっと引っかかることがございます。
 そこで、県としてこの問題について基本的にどのように考えているのか、まず、そのことについてお伺いしたいと思います。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 県の文化財保護条例では、修理や管理をする際に多額の費用を要し、所有者又は管理団体がその負担に堪えないとき補助することができるとされており、寺社仏閣に対する補助につきましては、政教分離の原則がございますので、文化財に指定されていることが要件となっているものでございます。
〇佐々木博委員 ということは、文化財に規定されていれば、支障なくそれはできるということで考えてよろしいですか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 寺社仏閣に対する補助は、具体的には、寺社等の建物ですとか、あるいは寺社等が所蔵している仏像等の補修等に関することになるわけでございますけれども、その場合は宗教法人への補助になるわけですが、そういった文化財への補助というのは、宗教活動への補助ではなくて、あくまでも文化財の修理に対する補助ということで考えてございます。
〇佐々木博委員 ありがとうございました。非常にいい答弁をいただいたと思っておりますけれども、ただ、現実には、なかなか宗教法人に対する支援、何か私の感想では、やっぱりいろいろ難しい面があるのかなと実は感じております。
 それで、文化財はイコール、どこでもそうだと思うんですが、観光資源でもあります。したがって、文化財だとちょっと難しいので、あるいは観光の、要するに商工の分野から財政的な支援をしようとかといった例も時々現実にあるわけでありますが、問題は、私は、文化財の指定が、どういった基準で何が指定されているのかよくわかりませんけれども、いずれ、ある程度みんなが、これは大切なものだというものであるならば、その定義に該当しているか該当していないかにかかわらず、ある程度の財政支援をしても、恐らく県民はみんな納得してもらえるのではないかと思うんですね。ですから、余りしゃくし定規に、それに該当する、該当しないということではなく、もう少し幅広い対応が必要なのではないかと考えるわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 先ほど言いましたように、政教分離の原則というのは大事にしなければならないものだと思っております。ですので、例えば仏像等、どこのどういった仏像でも広い意味で文化財と考えて修理できるとなりますと、そういう形ではやっぱりいけないのではないかと思います。文化財指定に当たっては、県の場合は、文化財保護審議会で審議いただいて、県民が大事にしていくための文化財というようなことで認定された形で指定されてございますので、やはりそういった形での文化財指定というのが、文化財の補助に当たっての一つの要件ということで考えていく必要があると思っております。
〇佐々木博委員 それじゃ、伺いますけれども、県で文化財に指定されているものは、具体的に幾つぐらいあるんでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 県指定の有形文化財で建造物というものがあるんですけれども、要するに寺社仏閣の建物等が指定されておりますが、32件指定されているうち、神社及び寺院関係の指定件数は23件でございます。
 また、県指定の有形文化財の美術工芸品の彫刻というものは主に仏像等ですけれども、それは、74件のうち仏像等が65件でございまして、全部が全部寺社仏閣等が所蔵しているものではございませんが、大部分は寺社仏閣等が所蔵している仏像類の彫刻でございます。
〇佐々木博委員 わかりました。
 その次に、英語教育について伺いたいと思うんですが、英語教育といっても、子供たちの学力向上のための英語教育じゃなくて、むしろ教える側の先生のほうについて伺いたいと思っております。
 今、日本の英語の教育は間違っていたのではないかということが言われていまして、私も10年間ぐらい英語を学びましたが、全然会話はできません。そういう方が非常に多い中で、今、本当に英会話が大変大切になってきておりまして、例えば楽天なんかは、社内の公用語は英語で、全部英語で話をされますし、そうじゃなくても、グローバル企業は世界各地の方々がいろいろ集まっていますので、会議は全部英語でやるというようなところも随分ふえているようであります。
 そういった中にあって、本県の中学あるいは高校の英語教育が今どのように行われているのか、それから、先生方は英会話を十分指導できるだけの力があるのか、そのことについてまずお伺いしたいと思います。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 最初の英語教育についてでございますが、中学校におきましては、前の学習指導要領までは聞く、話すを中心にということで指導をしてまいりました。しかしながら、現在の学習指導要領になりまして、英語になれるものは小学校の外国語活動のほうにおりておりますので、中学校におきましては、聞く、話す、読む、書くと4領域の指導をするようにということになっております。
 高校におきましても、聞く、話す、読む、書く、4領域をバランスよく育成しましょうということになっております。その中で強調されているのが、英語でコミュニケーションをしようとする態度を育成するということがうたわれておりまして、高等学校におきましては、先般、生徒の実態に合わせてということになりますが、可能な限り英語で授業を行うというような流れになっているものでございます。
 次に、教員の英語力といいますか、聞く、話すという分野についてでございますが、もちろん中高でこのような流れになっておりますので、聞く、話すことを含めた英語によるコミュニケーション能力は、生徒はもちろんですけれども、教員にとっても大変重要であるということを認識しているものでございます。
 本県におきましては、教員採用試験の英語の教科専門の試験におきまして、以前、かつてはリスニングテストのみで対応しておりましたが、近年におきましては、リスニングテストに加えましてネーティブスピーカーを交えた英問英答など、つまりスピーキングテストを実施した上で選抜をしているものでございます。
 さらに、現在におきましては、英語科教員を対象とした中高連携中核教員研修会あるいはディベート授業などを通じまして、指導法の改善を図るとともに、可能な限り英語教員の技能も高めたいと考えて実施しておるところでございます。
〇佐々木博委員 本を読んだり、あるいは書いたりすることについては、多分今までの英語の教育でも、日本人は読解力が高いと言われていますから、その点については多分問題がないんだろうと思います。問題は、話ができるかできないか、話す言葉をきちんと聞き取れるかどうか、要するに会話力の問題だと思うんですね。
 それで、今、英語だけで対応できるものであれば授業をやっているというようなお話もありましたけれども、英語だけで行われている授業というのは、概算でも結構ですが、英語の時間の大体何割ぐらいになっているんでしょうか。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 基本的には、発達段階にもよるかと思いますけれども、高校におきましては必履修科目というものがございまして、コミュニケーション英語Iということになるんですが、週3単位前後、学校によって若干違います。その中で、基本的には、それ全て英語で行えればいいのですけれども、実際には、授業は英語で行うものを基本とするという文言の中に、その際、生徒の理解の程度に応じた英語を用いるように十分配慮するという事項もございます。したがいまして、指導するものが何かによって、日本語を交える場面もありますので、多い場合は1時間全て英語という場合もあるんですけれども、場合によっては50%、あるいは時間によっては、英語よりも日本語が多いという場面も想定されております。
〇佐々木博委員 先ほど楽天の話をしました。社内の公用語が英語だということのようでありますし、それから、そうじゃないところも非常にグローバル化しているので、英語力が今非常に問われていて、入社試験で、TOEICを初め、幾つかの英語の検定の試験があるようでありますが、何点以上でなければもう受験させないというような企業も随分あると実は今聞いております。大変な時代になったなと思って、そういった時代に生まれなくてよかったなと思っているんですけれども、ただ、いずれ、これからますます恐らく英語の会話する力というのは子供たちにとって必要になってくると思います。
 そういったことを考えますと、やはり読解ではなくて、普通に会話をきちんとできる先生方を数多くふやしていくことが大切なんだろうと思います。そうしますと、今、民間でいろいろ取り入れられているTOEICを初めとした、何点以上でなければ云々ということも、英語教員の採用にはあるいは必要じゃないか、そういったことも考えていかなければいけないのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
〇川上首席指導主事兼高校教育課長 基本的には、採用の際にはTOEICの点数は課しておりません。実際、岩手県の採用試験の点数をもとに採用しているということでございますが、ただ、特別選考という形で、非常に高い方については、そういう制度もございますので、そういう方の採用もそういった方法を使って考えられるものと考えております。
〇佐々木博委員 ありがとうございました。リニアコライダーもいずれ必ず本県に誘致できると思っておりますけれども、そうしますと本県も非常に国際化するわけですね。そうしたときに、やはりきちんとそういった方々と会話ができる子供たちを育てていくことも大きな使命だと思いますので、英語教育について特段の御尽力を賜りますようにお願いしまして、終わります。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、教育委員会関係の質疑をこれで終わります。
 教育委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会を開催するため、暫時休憩いたします。
   午後2時34分 休 憩
午後4時26分 再開
〇工藤勝子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 10月18日に嵯峨壱朗委員及び飯澤匡委員から申し出のありました障がい福祉サービス復興支援事業に関して知事及び副知事の出席を求めて審査することについて、世話人会を開催し、協議を行いましたので、その結果を御報告いたします。
 嵯峨壱朗委員及び飯澤匡委員から申し出のありました障がい福祉サービス復興支援事業に関して知事及び副知事の出席を求めて審査することについては、10月24日の部局審査終了後に、知事及び副知事の出席を求めて審査するとの結論に至りました。
 お諮りいたします。10月24日木曜日に予定されている部局審査終了後に、知事及び副知事の出席を求めた上で、障がい福祉サービス復興支援事業に関して審査を行うこととしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〇斉藤信委員 審議することは賛成なんだけれども、どれだけの質問時間でやるのか、事態は重大なわけだから、きちんと質疑できるような時間を私は保障すべきだと思うけれども、質問時間はどうなっているんですか。
〇工藤勝子委員長 それでは、斉藤信委員、それから、皆様にもお話を申し上げます。
 質疑時間はおおむね60分ということで世話人会で決定いたしました。その中で、自由民主クラブ17分、いわて県民クラブ13分、希望・未来フォーラム12分、民主党8分、社民党4分、日本共産党3分、会派に属さない議員各2分とすることで決定いたしました。
〇斉藤信委員 せっかく重大な事案で知事、副知事を呼ぶというのに、日本共産党がたった3分ということはどういうことでしょうか。これだったら形だけですよ、質問になりませんよ、こんなのは。普通、最低の時間、例えば5分なら5分というのを決めて、これは簡単に議員数で割るべき話じゃないですよ。私は、こういう配分の仕方は、本当に少数会派を無視するやり方だと思いますね。せっかく呼ぶんだから、きちんとした最低の議論ができるようにすべきじゃないですか。
〇工藤勝子委員長 ただいまの斉藤信委員からの御質問についてでございますけれども、時間をかけましてきょうまで世話人会の協議において決定した事項でありますので、御了承願います。
〇斉藤信委員 これは、何を根拠にこういうふうに決めたのか。こういう例えば60分の枠だったら、国会だって、単純に議員数で割っているわけじゃないんですよ。普通は、最低の質問時間というのがあって、そして配分するんですよ。単純な議員の数だけで割るというやり方は、私は正しくないと思うよ。何を根拠にこれをこうしたんですか。何を根拠に。
〇工藤勝子委員長 休憩いたします。
   午後4時30分 休 憩
午後4時31分 再開
〇工藤勝子委員長 それでは申し上げます。この質問時間の配分方法でありますけれども、平成20年の決算特別委員会における不適切な事務処理に係る集中審査の際にお決めいただいた配分法、これによるものであります。このときは時間の総体でおおむね35分という中で審議をいたしました。ですけれども、やはり重要な案件であるということから、今回、おおむね60分としたものでありますので、できれば御了承いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 今、休憩中ですか。再開したんですか。
〇工藤勝子委員長 再開いたしました。
〇斉藤信委員 再開したの。
 それは、今の例は悪しき例ですよ。本当に配分の基準がはっきりしていない。それこそ私が言ったように、単純に割っただけの話ですよ。
 それで、そのときは共産党は私1人で2分だった。60分に約倍に拡大したのに3分ということはないでしょう。だから、割り算も間違っているんですよ。やっぱり少数会派の質問を最低保障するということを前提にして、こういうときには配分すべきですよ。世話人会をやり直してください。
〇工藤勝子委員長 ただいまの質問でございますけれども、この配分は議員数による配分としたものであります。これで御了承いただきたいと思います。
 なお、10月21日に嵯峨壱朗委員、及川あつし委員及び伊藤勢至委員から発言のあった山田町が特定非営利活動法人大雪りばぁねっと。に委託した緊急雇用創出事業の件に関しては、引き続き世話人会で協議中でありますので、御了承願います。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇佐々木企業局長 それでは、企業局関係の決算概要、未処分利益剰余金及び資本剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明申し上げます。
 初めに、平成24年度の事業運営における総括的な評価、今後の取り組み方針等について御説明申し上げます。
 平成24年度の事業運営に当たりましては、平成22年度から平成24年度までの第3次中期経営計画の最終年度として、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進を基本としながら、クリーンな電力と良質な工業用水の安定供給のため、施設の計画的な改良、修繕等を行ったほか、業務コストの節減を図り、効率的な運営に努めてまいりました。その結果、電気事業の損益については引き続き純利益を計上することができ、良好な経営を維持しているものと考えております。
 一方、工業用水道事業については、前年度を上回る経常利益を上げたものの、入畑ダム共同施設の一部有償譲渡に伴い特別損失を計上し、最終損益は純損失となりました。
 個々の取り組みでは、電気事業においては、東日本大震災津波発災後の電力の逼迫した需給環境の中で、夏場、冬場の需要期において安定かつ最大限の供給を行えるよう、発電停止を伴う工事、点検については、この時期を避けて実施してきたところです。
 また、稲庭高原風力発電所において、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の適用を開始いたしました。
 新規開発では、胆沢第四発電所が平成24年12月に運転を開始したのを初め、(仮称)高森高原風力発電所、(仮称)北上大規模太陽光発電所について、建設に向けた具体的な取り組みを始めたところです。
 このほか、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、県及び市町村等に対し、引き続き支援をしたところであります。特にも、沿岸被災地域については、補助要件を緩和し、補助率を引き上げたことにより、仮設住宅周辺でのLED街灯設置等を積極的に支えてきたところです。
 工業用水道事業においては、事業規模の適正化と将来負担の軽減を図るため、中期経営計画において主要施策に位置づけておりました入畑ダム共同施設の一部有償譲渡を計画どおり実施いたしました。また、施設整備の老朽化対策として、給水配管の劣化度調査を実施し、配管更新基本計画を策定いたしました。
 なお、中期経営計画の取り組みの評価についてですが、電気事業では、出水率が平年を下回ったことから供給電力量が目標値の93.3%となり、工業用水道では、実給水量が目標値の87.1%となりましたが、両事業とも年間を通して安定的な供給を行うことができました。
 さらに、経費の一層の効率的な執行に努めたこと等により、経常収支比率が目標を上回るなど、両事業ともに年度目標を上回る成果を上げたものと考えており、外部の有識者で構成される経営評価委員会からも同様の評価をいただいております。
 また、計画期間の3カ年を通しての評価も、各年度においてほぼ計画を達成し、良好であると考えており、経営評価委員会からも同様の評価をいただいております。
 本年度は、電気事業では、平成26年度に運転開始予定の胆沢第三発電所と(仮称)北上大規模太陽光発電所の建設を着実に進めるとともに、(仮称)高森高原風力発電所では環境影響調査等を進めてまいります。
 工業用水道事業では、配管更新基本計画に基づき耐震化を積極的に進めてまいりますとともに、欠損金の早期解消を目指します。
 これらの取り組みなどにより、長期経営方針及び新たに策定した今後3カ年の第4次中期経営計画に沿って、電力と工業用水の安定供給を続けながら、一層の経営効率化と健全経営に努めてまいります。
 それでは、お手元の決算書及び議案に基づき、決算概要等を御説明申し上げます。
 なお、決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成することとなっておりまして、金額に相違がありますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、横長の電気事業会計決算書の1ページをお開き願います。
 まず、平成24年度の収益的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目の収入の決算額は43億3、600万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、第1項営業収益41億8、900万円余は、水力発電に係る電力料等であり、第2項財務収益7、500万円余は、株式配当金、長期貸付金利息等であります。
 第3項附帯事業収益5、800万円余は、稲庭高原風力発電所に係る電力料であります。
 下のほうの表、右から4列目の支出の決算額は38億200万円余であります。
 支出の主な内訳でありますが、第1項営業費用35億3、200万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用1億3、000万円余は、企業債に係る支払い利息であります。
 第3項附帯事業費用5、800万円余は、稲庭高原風力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第4項の事業外費用8、000万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 続いて、2ページをお開き願います。これは、資本的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は12億5、900万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、第1項補助金5、000万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に係る補助金であり、第2項負担金6、600万円余は、仙人発電所等の共有施設に係る改良工事の負担金であります。第3項長期貸付金償還金11億4、100万円余は、一般会計等からの長期貸付金の償還金であります。
 下の表、右から4列目、支出の決算額は22億3、800万円余であります。
 支出の主な内訳でありますが、第1項の建設費4億6、600万円余は、胆沢第四発電所等の建設に要した経費であり、第2項改良費8億4、000万円余は、各水力発電所等の施設の改良や更新に要した経費であります。
 第3項電源開発費200万円余は、有根沢地点等の水力発電開発調査に要した経費であり、第4項企業債償還金4億700万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金であります。
 第5項投資4億8、400万円余は、利付国債の購入であり、第6項繰出金2、200万円余は、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を原資として、一般会計に繰り出したものであります。
 第8項その他投資1、500万円余は、(仮称)高森高原風力発電所電力受給仮契約に係る契約保証金であります。
 下段欄外に記載してありますとおり、小さい字で恐縮でございますけれども、資本的収入額が資本的支出額に不足する額4億9、300万円余については、中小水力発電開発改良積立金などをもって補填したところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は、右側の上段、5億3、000万円余となっており、この営業利益から財務収支、附帯事業収支及び事業外収支の合計の損失、右側の三角、5、000万円余を差し引いた4億7、900万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の左から2列目の資本金のうち自己資本金は、一番下の当年度末残高のとおり268億4、100万円余、その右隣の借入資本金の当年度末残高は34億4、500万円余であり、左から3列目の剰余金のうち資本剰余金は、国庫補助金以降、3列目の資本剰余金合計の一番下、当年度末残高のとおり21億4、600万円余であります。
 また、剰余金のうち利益剰余金につきましては、減債積立金から環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金までの額に未処分利益剰余金4億7、900万円余を加えた利益剰余金合計の当年度末残高は、一番下のとおり59億8、200万円余となっております。
 資本金と剰余金を合わせた当年度末資本合計は、表の一番右下のとおり384億1、600万円余であります。
 次に、未処分利益剰余金の処分についてでありますが、恐れ入りますが、お手元の議案その2の40ページをお開き願いたいと思います。議案第39号平成24年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについてであります。
 平成24年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金4億7、997万1、592円のうち、2億3、998万5、796円を減債積立金に、同じく2億3、998万5、796円を建設改良積立金にそれぞれ積み立てようとするものであります。
 次に、41ページをごらん願います。議案第40号平成24年度岩手県電気事業会計資本剰余金の処分に関し議決を求めることについてであります。
 処分の内容といたしましては、資本剰余金に整理すべき資本的支出に充てるために交付された補助金をもって取得した資産の撤去により発生した損失を埋めようとするものであります。この処分につきましては、従前、議会の議決等は求められておりませんでしたが、平成24年4月1日に改正されました地方公営企業法第32条第3項の規定により、資本剰余金の処分は議決等により行わなければならないとされたことから、議会の議決を求めるものであります。
 恐れ入ります、電気事業会計決算書の5ページにお戻り願いたいと思います。5ページは剰余金処分計算書でありますが、これは、これまで御説明申し上げました資本金、資本剰余金及び未処分利益剰余金に係る処分計算書であります。
 なお、6ページ以降は貸借対照表、その他の事項についてでございますが、説明を省略させていただき、以上で電気事業会計決算、同事業会計未処分利益剰余金及び資本剰余金の処分に関し議決を求めることについての説明を終わります。
 次に、工業用水道事業会計の決算書のほうの1ページをお開き願います。平成24年度の収益的収入及び支出についてでありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は10億2、200万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、第1項営業収益10億1、600万円余は、一般水及びろ過水の給水料金等であります。
 下の表、支出の決算額は17億5、600万円余であります。
 支出の主な内訳でありますが、第1項営業費用6億2、900万円余は、各工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用8、800万円余は、企業債及び電気事業会計等からの借入金に係る支払い利息であります。
 第3項事業外費用1億4、500万円余は、納付消費税及び地方消費税等であり、第4項特別損失8億9、300万円余は、入畑ダム共同施設の一部有償譲渡による固定資産売却損等であります。
 次に、2ページをお開き願います。資本的収入及び支出でありますが、上の表、収入の決算額は31億6、700万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、第1項企業債4億3、000万円余は、各工業用水道施設の改良工事に係る起債であり、第2項固定資産売却代金27億3、600万円余は、入畑ダム共同施設の一部有償譲渡による固定資産売却代金であります。
 下の表、支出の決算額は23億500万円余であります。
 支出の主な内訳でありますが、第1項改良費4億2、900万円余は、各工業用水道施設の改良や更新に要した経費であり、第2項企業債償還金5億8、400万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債に係る償還金であります。
 第3項他会計からの長期借入金償還金6億2、800万円余は、一般会計等からの借入金の償還金であり、第4項国庫補助金返還金6億6、300万円余は、入畑ダム共同施設の一部有償譲渡に伴い、譲渡した資産の国庫補助金相当分の国への返還金であります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は、右側の中段、3億5、000万円余となっております。この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失、右側の三角、8、200万円余を差し引いた2億6、700万円余が経常利益となっておりますが、入畑ダム共同施設の一部有償譲渡による固定資産売却損等による特別損失を8億9、300万円余計上したことから、当年度純損失は6億2、500万円余となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の左から2列目の資本金のうち自己資本金は、一番下の当年度末残高のとおり30億2、700万円余、その右隣の借入資本金の当年度末残高は41億100万円余であり、左から3列目の剰余金のうち資本剰余金は、国庫補助金以降、3列目の資本剰余金合計の一番下、当年度末残高のとおり33億7、300万円余であります。
 また、剰余金のうち利益剰余金につきましては、減債積立金の当年度末残高7、600万円余に当年度未処理欠損金6億2、500万円余を加えた利益剰余金合計の当年度末残高は、一番下のとおり、三角、5億4、900万円余となっております。
 資本金と剰余金を合わせた当年度末資本合計は、表の一番右下のとおり99億5、300万円余であります。
 次に、資本剰余金の処分についてでありますが、恐れ入りますが、議案その2の42ページをお開き願います。一番最後のページになります。議案第41号平成24年度岩手県工業用水道事業会計資本剰余金の処分に関し議決を求めることについてであります。これは、先ほど御説明申し上げました電気事業会計資本剰余金の処分と同様の趣旨で議会の議決を求めるものであり、議決をいただいた後の繰越欠損金は1億1、800万円余となる見込みであります。
 恐れ入りますが、工業用水道事業会計決算書の5ページにまたお戻り願いたいと思います。5ページは、欠損金処理計算書でありますが、これは、これまで御説明申し上げました資本金、資本剰余金及び未処理欠損金に係る処理計算書であります。
 なお、6ページ以降は、貸借対照表、その他の事項についてでございますが、説明を省略させていただきます。
 以上で、企業局関係2会計の平成24年度決算概要、未処分利益剰余金及び資本剰余金の処分に関し議決を求めることについての説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇工藤勝子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇福井せいじ委員 大きく三つについてお聞きしたいと思います。まず初めに、新規水力開発についてお聞きいたします。
 昨年から再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行され、全国的に再生可能エネルギー発電設備の導入が促進されていますが、国が公表した本年6月までの発電設備ごとの導入実績は、全体の9割が太陽光発電になっております。
 そこで、風力や中小水力など、ほかの再生可能エネルギーの導入が余り図られていない状況でありますが、今後は、この制度が活用され再生可能エネルギーの導入が飛躍的に増加するには、太陽光以外の開発が欠かせないものと私は考えますが、特に開発までに長期間を要する中小水力発電については、開発のノウハウ、実績がある企業局に期待するところが大であります。
 そこでお伺いしますが、企業局の今後の新規水力開発に関する具体的な取り組みとして、来年度運転開始するとされている胆沢第三発電所の現状と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
 また、胆沢第三発電所に続く新規水力開発には、企業局としてはどのような形で取り組んでいくのか、プランがあればお聞かせいただきたいと思います。
〇中屋敷業務課総括課長 まず、胆沢第三発電所の現状と今後の見通しでございますけれども、工事のほうは、おかげさまで順調に進んでおりまして、現在、発電所の建屋及び送電線工事がおおむね完成したところでございます。11月からは水車発電機等の電気機械設備を据えつけ、試験調整を経て、予定どおり、平成26年7月には、共同事業者である電源開発株式会社の胆沢第一発電所とともに運転開始する見通しでございます。
 次に、胆沢第三発電所に続く今後の取り組みということでございますが、まず、昨年度に概略設計を行っております簗川地点の発電計画につきましては、経済性にすぐれた有望地点であり、ダム事業の進捗状況を見ながら必要な準備を進めているところでございます。今年度は、基本設計等を行いますとともに、系統連系に関する問題点等、事業化の課題について局内で検討しております。
 簗川地点以外の取り組みにつきましては、現在運転している発電所の水路の一部を利用して発電する計画など2地点の可能性調査に加えまして、沿岸部を含む複数の河川で引き続き流況調査を実施しております。今後も、自然環境、経済性等の評価を踏まえまして、有望地点については事業化の可能性を検討してまいります。
〇福井せいじ委員 ありがとうございました。
 今、答弁の中で簗川ダムについても触れていただきましたが、簗川ダムは、発電について今後どのような形で発電事業を実施していくのか、今後のスケジュール等についてお聞かせいただければありがたいですが、よろしいでしょうか。
〇中屋敷業務課総括課長 簗川地点につきましては、先ほども申し上げましたが、ダム事業の進捗に合わせてということになってございます。現在、私ども局内で検討しておる状態でございますけれども、ダムの開発につきましては、平成32年ごろの運転開始と聞いておりますので、そういった状況に合わせまして、スケジュール調整しながら開発を進めてまいりたいと思っております。
〇福井せいじ委員 それでは次に、地域貢献についてお聞きしたいと思います。
 企業局では、電気事業の利益剰余金の一部を環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金として積み立て、それを活用して、県内の環境保全やクリーンエネルギーの導入促進を通じた地域貢献を行っていると伺いました。
 しかし、我々には、一般的に企業局は電気事業と工業用水道事業のみを行っているという認識が、非常に印象が深いので、地域貢献事業を積極的に行っているという姿が余り見えてきていないのが、私自身だけかもしれませんけれども、そういった印象があります。
 それで伺うんですが、この環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金は、これまでどのように活用されているのか、平成24年の実績と平成25年の見込みについてお聞きしたいと思います。
 また、このほかにも、これを含めて企業局が地域貢献するといった場合に、どのような形で取り組んでいくのか、お考えをお示しいただければありがたいです。
〇細川経営企画課長 電気事業会計の環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金の活用についてでございますが、平成24年度は、積立金から3、700万円余を活用したところでございます。活用額の内訳は、環境王国を担う人づくり事業など、環境・エネルギー関係の一般会計8事業の財源として2、200万円余を充てたところでございます。
 また、市町村等が公共施設等に小規模なクリーンエネルギー設備を導入した際の経費の補助として、計9団体に対して1、500万円余を充てたところでございます。このうち3団体については、東日本大震災津波に関連し、補助率を引き上げ支援し、仮設住宅周辺のLED灯などに活用されたところでございます。
 また、今年度については、総額4、400万円余の活用を見込んでおります。内訳は、一般会計繰り出しが6事業、2、000万円余、市町村等への補助が5団体、1、000万円余などを予定しております。
 次に、今後の地域貢献についてでございますが、企業局としては、水力、風力等の再生可能エネルギーの活用を推進する立場から、剰余金を活用した環境保全・クリーンエネルギー導入支援に継続して取り組んでまいります。
 また、県内各地の植樹活動への苗木提供や職員の参加など、今後も地域のニーズを踏まえながら、地域貢献に率先して取り組んでまいりたいと考えております。
〇福井せいじ委員 ありがとうございます。さまざまな分野にそういった貢献をしていることがこうやって聞くとわかるので、ぜひとももっと全面的にそういったことをPRしながら、この地域貢献活動をやっていっていただきたいなと。どちらかというと、稼ぐんだということが前面に出て、地域への還元という意味ではまだまだ見えてこない部分がありますので、ぜひとも、これからも積極的に地域に貢献している姿をPRしていっていただきたいと思っております。
 最後に、工業用水道事業について何点かお聞きしたいと思います。
 工業用水道事業の決算は、平成9年度に黒字に転換して以降、ずっと黒字を継続しており、平成21年度には最大13億300万円あった累積欠損を解消して、順調に経営改善が進められていると感じておりました。
 しかし、今回、平成24年度の決算を見ますと、当年度純利益で6億2、500万円余の赤字を計上しておられます。
 そこでお伺いしますけれども、この赤字の要因について詳しくお知らせいただきたいと思っております。
 もう一つ、6億2、500万円余の赤字は、今議会の議決で、資本剰余金5億700万円余を処分しても1億1、800万円余の繰越欠損金が出てきます。この繰越欠損金についてはどのように解消するのかお示しいただきたいと思います。
 もう一つ、基本的なことかもしれませんが、6億2、500万円余の赤字なんですけれども、資本剰余金全てを、この6億2、500万円余を使ってゼロにすることも可能ではないかと私は思うのでありますが、そこら辺の仕組みを教えていただきたいと思っています。
 さらに、この赤字の決算報告を受けて、今後の経営についての見通しについてお聞かせいただきたいと思っております。
〇中屋敷業務課総括課長 平成24年度決算の赤字の要因について御説明いたします。
 まず、一番大きなものは、入畑ダムの共同施設の一部有償譲渡に伴いまして7億9、200万円余の固定資産売却損が生じております。さらに、第二北上中部工業用水道で電気設備及び取水ポンプ等の更新工事を行っておりますが、こちらの更新工事に伴いまして1億円余の固定資産除却損が生じまして、これらを特別損失として合わせて8億9、300万円余を計上しております。このため、経常利益としては2億6、700万円余の黒字となりましたが、損益としては6億2、500万円余の当年度純損失となったものであります。この当年度純損失につきましては、今議会に提出しております資本剰余金の処分議案をもって議決いたしますと、最終的な繰越欠損金としては1億1、800万円余となるものでございます。
 次に、この1億1、800万円余の繰越欠損金をどのように解消するかということでございますけれども、こちらにつきましては、入畑ダム共同施設の有償譲渡というものを検討した時点から見込まれておりまして、今回、一時的な売却損により欠損金が生じたものでございます。今後は、この欠損金を3年程度で解消して、黒字を継続して解消する考えでございます。
 続きまして、6億2、500万円余を全部解消することができなかったのかということでございますけれども、こちらにつきましては、先ほど申しました資本剰余金の処分によりまして1億1、800万円余の欠損金が生じるわけでございますけれども、残念ながら、収益的収支は一旦赤字となってございます。しかしながら、収益的収支につきましては、入畑ダムのこうした売却に伴いまして26億800万円という収入が入ってございますので、こちらによりまして資本的収支の改善を図るとともに、収益的収支は3年後に利益をもって解消していくという考えでございます。
 最後に、今後の経営見通しについてでございますが、これら資金管理を十分に行って、資金不足のないような安定経営を維持できる見込みでございます。
〇工藤勝子委員長 いいですか。
〇中屋敷業務課総括課長(続) 補足説明をさせていただきます。
 資本剰余金処分の議案の中で、5億700万円余をもって埋めるとしておりますけれども、こちらにつきましては、地方公営企業会計では、国庫補助金は資本剰余金に計上されており、年数が経過いたしましても減価償却されずにそのまま残っております。これらの資産を売却あるいは除却等により処分した場合は、国庫補助金の減価償却相当分を整理することとされておりまして、今回の資本金の処分議案の5億700万円は、入畑ダムの売却及び改良工事等の除却により国庫補助金の減価償却相当分を整理するものでございます。
〇工藤勝子委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇福井せいじ委員 特別損失ということで今回赤字が出たということで、大変申しわけありませんでした。私ももうちょっと見ておればよかったんですが。
 最後にしますけれども、このように工業用水道事業は順調に推移していると私は見ております。この中で、工業用水を企業側としてはもっともっと安く提供していただければ、経営上は非常に楽になるだろうということも考えられます。地域貢献という話を先ほどさせていただきましたが、今後、そういった面からも、企業局として地域に貢献していただきたいと私は思うわけでありますが、その点について、局長、何かお考えがありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思っております。
〇佐々木企業局長 工業用水道の料金につきましては、ユーザーの方からも値下げについてたびたび要望もいただいているところでございまして、入畑ダムの一部有償譲渡に伴って平成23年度に少し値下げをさせていただいたところでございます。二部料金制も導入させていただきました。ただ、それでもやはり企業にとっては固定費になりますので、なかなか厳しいという状況もいただいておりますので、今後、さらにそうした経営状況を見ながら検討を進めてまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 2点ほどお伺いしたいと思います。電気事業の取り組み状況と今後の計画についてでございます。
 一つは、平成24年度の総収支について、純利益4億7、000万円余を確保したということでございますが、一方では、対前年度比においては7、800万円余の減額ということになっております。事業収益の関係で卸供給料金の単価引き下げと夏季の出水率が渇水量を大幅に下回ったということを主な要因として述べているところでございますが、夏場の渇水については、これは自然が相手ですから、やむを得ないものがあっただろうと思うんですけれども、供給料金の単価の引き下げということも一つの要因となっているわけですが、水力発電における単価引き下げの影響というのは具体的にはどういう状況であったのか、その点についてお伺いしたいと思います。
 あわせて、供給料金の契約単価が総括原価方式ということで、平成24年度、25年度は7.1円キロワットアワーということになっているわけでありますけれども、結局、収益の減収の要因となっていた単価の引き下げということが、総括原価方式の中において、引き続き平成25年度もその影響を受ける形となって、平成25年度においてもやはり同様に引き続きマイナスの要因という形になっていくものなのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
 それから、胆沢第四発電所の卸供給料金の契約単価については11.6円という形で高く設定されているわけでありますけれども、これは、同じ料金体系とは別の契約によるものだと思いますが、どういう位置づけになっているのか、その点についてお伺いします。
〇榎電気課長 平成24年度の収支について、水力発電における単価の引き下げの影響についてですけれども、平成24年度の電力料収入については、平成23年度と比較しまして、1キロワット当たり料金単価で16銭下がってございます。これに伴いまして8、100万円余の減収となっております。しかしながら、渇水による供給電力量減少の影響が大きくて、この渇水による減収によるものが1億4、800万円余になっております。これにより、全体で2億2、000万円余の減収となったところでございます。なお、費用についても1億8、100万円余が削減できたため、最終的な純利益では7、800万円余の減にとどまったものでございます。
 続きまして、単価引き下げによる平成25年度への影響についてですけれども、平成25年度の料金単価は平成24年度と同額になっております。このため、平成23年度と比較しますと、電力料収入には影響はあるものの、総括原価方式ですので、料金単価が当該年度に見込まれる費用の増減に見合った形で増減するため、費用が見込みどおりの範囲内で執行できれば、営業収支としてはマイナス要因にはならないと考えております。
 続きまして、胆沢第四発電所の卸供給料金の契約単価についてですけれども、昨年12月に運転を開始しました胆沢第四発電所については、供給開始時期の違いから、既設発電所とは別に、昨年11月に東北電力との電力受給契約を締結してございます。既設契約と同様に総括原価方式で算定しておりますので、建設当初の単価は、償却が進んでいない発電所でございますので、単価が割高に設定されているものでございます。
〇木村幸弘委員 引き下げの影響というのが、平成25年度においては、予定どおりいけば大きな影響はないという御答弁をいただいたんですけれども、監査意見などでは引き続き単価が下がるような指摘を記載して、なお経営が厳しくなるのではないかという意見の内容になっているわけです。そうすると、この引き下げの動向というのは一体どういう根拠で下がっていくものなのか、そして、契約上との関係でどういう影響なのか、もう一度詳しく説明いただければと思います。
 もう一点ですが、施設設備の関係でいろいろと改良事業等が行われているわけでありますけれども、今後の発電量等を一定程度確保しながら、また、既存の施設についての維持やあるいは長寿命化対策とか、いろいろな取り組みをして改良事業を進めていると思うんですけれども、逆に、維持、延命を図るだけではなくて能力アップという観点からの改良事業という考え方というのは、今の取り組みやあるいは決算の中身から、具体的にそういった考え方に基づくものというのはあるのかどうか、それについてもお聞かせ願いたいと思います。
〇榎電気課長 料金単価は総括原価方式で算定されていますので、総括原価方式の場合は対象年度の費用に利益をプラスした形で単価を決めてございます。費用自体が、平成22年度、23年度の単価と、平成24年度、25年度の単価では2年間で1億7、700万円ほど下がってございます。これは、主に減価償却費が前回と比べまして3億円ほど下がってございます。そのほかに起債の利息分が、たしか1億円ほど下がったかと思っていますので、全体的に費用が下がってございます。そのために料金単価が下がっているものでございます。
 続きまして、施設の整備についてですけれども、水力発電所の発電能力を向上する対策としては、水車設備の改良が一般的でございます。当局でも、岩洞第二発電所と胆沢第二発電所で水車を更新する際に高効率の水車に更新してございます。それで最大出力をアップしてございます。また、岩洞第一発電所においては主要変圧器を更新しておりますが、これによって約1%の効率向上を図ってございます。
〇木村幸弘委員 監査意見の中に、平成26年度から新地方公営企業会計基準が適用されることになると。その際、見直し内容が広範にわたって行われ、企業会計全般に影響があるものと見込まれるという指摘があるわけでありますけれども、これは、具体的に言うと、企業局にとってどのような影響というものが今考えられているのか、そして、それについてどう対応しようとしているのか、最後にお伺いしたいと思います。
〇佐々木企業局長 今回の会計制度の見直しにおきまして、見かけ上、企業局の経営状況が悪く見えるとか、よく見えるとかというところは特にはございません。
 ただ、議会の議決によって資本金の原資の処分ができるというようなことがございまして、企業局としては実際に適用することはないかと思います。ただ、透明性の確保という意味で、セグメント情報といいますか、それぞれ事業ごとに細分化した収支の数値を公表するということがございますので、そうした意味では、我々のこれまで取り組んできた会計のやり方もかなり細かく、詳しくなります。そうした意味では、会計システムの改修なども予定しているところでございますので、透明性の確保のための今回の会計制度の改正の趣旨でございますので、事務的なもので非常に影響が大きいかと我々は考えているところでございます。
〇斉藤信委員 最初に、稲庭風力発電所の実績をお聞きしたいのですが、平成24年度の実績を見ると、平均風速は計画値7メートル毎秒です。実績値も同じ7メートル毎秒になっているんだけれども、目標電力量に対して実績は79.3%にとどまっているんです。これはなぜでしょうか。
〇榎電気課長 実績が79.3%にとどまった原因ですけれども、落雷によりまして1号機のブレードの損傷があったということと、3号機においてコイルの焼損事故があって、これで長期的に発電を停止したということによって、達成率が目標の79.3%になったということでございます。
〇斉藤信委員 さっきの決算の報告を見ますと、稲庭風力発電は昨年度も赤字と。売電単価が平成24年11月1日から、11円50銭から18円29銭というんでしょうか、固定価格買い取り制度で大幅に引き上げられるので、私は、このまま行けば今年度は黒字転換できるのかと思いますが、昨年の赤字の要因と今年度の見込み、さらに累積赤字は解消する見通しはあるのかどうか示してください。
〇榎電気課長 昨年度の赤字の大きかったブレードの損傷については落雷によるものでございましたので、今年度、耐雷化の工事を行ってございます。委員がおっしゃられましたとおり、料金単価が上がったことで、今年度は単年度黒字になる見通しでございます。累積損益についても、平成27年度から黒字に転換できるものと見込んでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、高森高原風力発電所の取り組みですけれども、環境調査は今どうなっているでしょうか。そして、風力発電の開発の取り組みは今どういう状況でしょうか。
〇榎電気課長 高森高原風力発電所の環境アセスメントの取り組みの状況ですけれども、昨年度末に環境影響の調査、予測、評価の進め方を示しましたいわゆる方法書を作成し、国等への提出や地域住民に公告、縦覧してございます。さらに、ことし4月に二戸市や一戸町において住民説明会を開催してございます。地域住民や国、県からの意見等をそれぞれ方法書に追加してございます。その結果、8月に国の環境審査顧問会の審査を経まして、国から勧告不要との通知を受けてございます。これによりまして方法書の内容が確定してございますので、これから動植物の現況調査など、具体的な環境影響調査に取りかかることとしてございます。
 なお、猛禽類等の鳥類については、2シーズンの営巣期間のデータが必要なことから、ことしの1月から先行してモニタリング調査を行ってございます。
〇斉藤信委員 ことしの冬からのモニタリング調査はどうですか。
〇榎電気課長 ことしの1月から行って、クマタカ、ハイタカ、ノスリ――特にノスリの飛来が頻繁に確認されてございます。
〇斉藤信委員 私が予算特別委員会で聞いたときには、クマタカが生息している、繁殖もしているという話があったんですけれども、これはどうですか。
〇榎電気課長 現在、クマタカについては飛来が1回しか確認されてございませんので、現地では、営巣とか生息は現在のところ確認されていないのではないかと推定されております。まだ中間報告の段階でございますので、今後、調査の結果でどのような結果になるか確定してございません。
〇斉藤信委員 わかりました。いずれ、これから本格的な2シーズンの調査ということなので、きっちりした調査をやっていただきたい。
 次に、北上市での太陽光発電の取り組みの状況は今どうなっているでしょうか。これからの見通しを含めて示してください。
〇細川経営企画課長 北上市相去町での大規模太陽光発電事業の取り組み状況についてでございますが、本年6月に、北上市相去地区にお住いの方を対象に事業の説明会を開催して、事業についての御質問や御意見を頂戴したところでございます。また、8月にはプロポーザル競技方式により建設工事の受注者を選定し、9月に工事契約を締結したところでございます。
 現在は、本年度の固定価格買い取り単価の適用を受けるために、東北電力株式会社への系統アクセス検討の申し込み、また、国への設備認定申請の準備を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。これは、東北電力との関係で売電単価も決まっているようですからね。
 次に、簗川ダムの水力発電の取り組みですけれども、私は、簗川ダム自身が要らないと思っていますので、余り悪乗りしないでやったらいいんじゃないかと思いますけれども、今まで支出したダム負担金がありますね。もし、また再開してこれに乗っかるとすれば、どのぐらいのダム負担金が必要になるのか、そのことを示してください。
〇中屋敷業務課総括課長 現在の時点で、過去に負担金としては5、400万円ほど支払っておりますけれども、今後見込まれる負担金等につきましては、現在、ダム事業者との協議は行っていない状況ですので、予測していないところでございます。
〇斉藤信委員 簗川ダムでの水力発電をやろうというときに、まだ協議もしてないと。それはいつごろからやるつもりなんですか。本気でやるんですか。
〇中屋敷業務課総括課長 現時点では、ダム事業の協議をするというところまでは行っておりませんけれども、発電事業の中で我々が予測し得る費用、それは、当然、発電所の建設費を算出するために基本設計を行っておる状況でございます。
〇斉藤信委員 今、設計をやっていると思いますけれども、どのぐらいの見込みでやっているんですか。
〇中屋敷業務課総括課長 まず、基本設計でございますけれども、現時点では、総事業費として14億円程度になるのではないかという見通しのもとで、あらあらではございますので、これから精査するといったような状況でございます。
〇斉藤信委員 簗川は先日も新聞に出ましたけれども、高知県が毎年やっている清流調査で、アユをとって、アユが何を食べているかというので、その清流度を比べる調査なんですよ。これは全国の準グランプリで、簗川は2度目なんです。簗川のアユは全然味が違うと言われるぐらいの清流なんです。盛岡市内で残っている上流にダムがない川というのは、今は簗川だけなんですよ。私は、こういう本当に清流というのは残すべきだと。簗川自身は洪水にも耐える、そういう掘り込み河道になっていまして、私はここでダムの是非論はしませんが、そういう本当に貴重な清流だと。局長はこれを御存じですか。
〇佐々木企業局長 新聞報道等で存じております。
〇斉藤信委員 ぜひ慎重に、いわば再生可能エネルギーの開発には私は基本的に賛成だけれども、この簗川ダムというのは住民の間で賛否両論があって、5年ごとの大規模評価で何度も何度もこの議論をされてきた、そういう経過のあるダムですので、ぜひ慎重にやっていただきたい。
 最後です。私も工業用水道の決算状況についてお聞きします。
 入畑ダムの未売水――私は、過大なダムをつくったなと思っているんですが――を売却できたというのはよかったと。これは、工業用水道会計にとっても、財政体質、財務体質を強化することになったと思うけれども、入畑ダムの未売水の売買というのは、実態的には水利権の売買ではないのかと思いますが、決算上では共同利用施設の売買となっているんですが、ここらあたりを説明していただけますか。
〇中屋敷業務課総括課長 入畑ダムの売買についてでございますけれども、入畑ダムには、ダムの中に水利権というものを当然設けてございますし、また、一方ではダムの資産の一部を有しているということで、資産もあわせて有しているということでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、結局、水利権というのが決算上はダムの資産という、共同利用施設の一部の売買という形になるのですか。あれは水を売ったんですよね。どういうことか、そこらをよくわかるように教えてください。水でしょう。農業用水に転用をやったんだよね。
〇中屋敷業務課総括課長 売却した、譲渡したものについては、ダムの固定資産を売却したということでございます。訂正させていただきます。
〇斉藤信委員 よくわからないんだけれども、いわば未売水、過大な水があって、それを農業用水に転用することにしたわけです。それを売買したわけですよね。だから、実態とすれば、私は、水利権を売買したということになるのではないかと思うんですがね。
 それと、入畑ダムのいわば未売水、過大な水量というのはどのぐらいあったのか。今回、そのうちどのぐらいを売買することができたのか、わかりやすく言ってください。
〇中屋敷業務課総括課長 譲渡というのは、基本的にダムの使用権というものを売ったということになります。企業局が保有してあるダムの使用権の一部を売却したということでございます。
 それから、入畑ダムとしては、使用権として日量5万2、000立方メートルの水を使えることとなっておりましたけれども、その中の3万5、000立方メートルを売却、有償譲渡したものでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、今回、半分以上売却したと。それだけ過大なダムをつくってしまったということに結果的になるんじゃないですかね。
〇中屋敷業務課総括課長 本県の工業用水道事業につきましては、後発としての状況でありまして、他県のライバル等がいる中にありまして、企業を誘致するためには先行して工業用水の施設を整備して、工業用水を希望どおりに供給できる体制を示す必要がございました。この水源として、水源がなかったことから、入畑ダムを求めることにしたものでありまして、これについては、まず、知事部局の工業団地整備計画に基づきまして施設整備を行って、水を確保したものでございます。
〇斉藤信委員 これで終わります。知事部局の工業団地整備計画の中で工業用水を開発したと。それは、そのとおりでしょう。ただ、私は結果的にと言ったんですよ。結果的に7割近く、今回は農業用水に転用したと。これは、農業用水も必要だっから、結果的にはどっちも助かったということになりますが、ダム建設から見たら過大な投資だったといことですよ。これは指摘だけにとどめて、終わります。
〇佐々木企業局長 別件です。先ほどの木村幸弘委員の答弁でちょっと訂正させていただきたいと思います。
 先ほど、収支の見かけ上は変わらないというお話しさせていただきましたけれども、バランスシート上は、現在、資本剰余金の中に、その大部分を占める国庫補助金と企業債の部分が、新しい会計では負債のほうに回ってしまいますので、バランスシート上では経営が悪くなったと見えるような結果になります。実態については変わらないということでございます。
〇工藤勝子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑をこれで終わります。企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時37分 散 会

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