平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇22番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
 請願受理番号第94号TPP交渉に関する請願について、委員長報告に反対の討論をいたします。
 今、TPP交渉が重大な局面を迎えております。私ども岩手県議会は、もともとこのTPP問題については、本県の主要基幹産業である農林水産業への重大な影響を及ぼすことを認識し、本年3月26日、TPP交渉参加の撤回を求める意見書を可決し、政府に意見書を送付しています。その意味で、現政府・与党がTPP交渉参加そのものに反対する多くの国民の声を無視して交渉参加に踏み切ったこと自体にも憤りを覚えるものであります。
 そうした中で、この6月の参議院議員選挙におきまして、与党の自民党が国民に示した選挙公約は、自然的、地理的条件に制約される農林水産分野の重要5品目等の聖域を確保するとし、さらに、衆参農林水産委員会では、実現されない場合は交渉から離脱することを決議するなど、政府としても情報開示の約束と国民的議論の重要性を強調してきました。
 しかし、今日までの経過を踏まえると、請願者が指摘しているとおり、10月のTPP首脳会議と前後して、政府は重要5品目の聖域見直しを容認する動きを強め、その情報は秘密保持契約を理由に公開を拒否しており、交渉の内容や経過、日本の主張などが一切明らかにされないまま、結論だけを押しつけられる危険性があります。
 非民主的な政治手法については断じて容認できないとの観点から、請願が求める第1項の交渉内容の開示は、与党の自民党が公約した重要5品目の堅持の対応がどのような事態にあるか、国民の側から見きわめる上からも至極当たり前の請願事項であります。そして、今まさにシンガポールで閣僚協議がなされている中で、昨日までの経過を報道から得た情報に照らしてみた場合に、関税の全面撤廃を求めるアメリカとの協議は平行線とのことであり、重要5品目を堅持するためには、妥協のための安易な交渉を無原則に継続するのではなく、国民との約束を履行し、TPP交渉から撤退という決断を請願事項のとおり行うべきであります。
 今回の請願は、この間の国民の反対を押し切って交渉参加に踏み切った政府に対して、改めて、国民に対する交渉経過を含む情報の開示と、その結果を踏まえて、交渉からの撤退を政府に求めるものであります。まさに県議会が、本年3月26日に交渉参加の撤回を求める意見書を可決した経緯からしても、私どもの議会の意思の原点において危惧していた我が国及び本県の農林水産業への重大な影響などに鑑みて、このまま交渉することの意味が見出せない情勢だとすれば、現時点において交渉そのものからの撤退を求めることは、参加そのものを否定した議会の意思と、本請願の趣旨及び請願事項と何ら変わるものではないはずであります。
 繰り返しますが、私ども岩手県議会は、TPP交渉において問題とされる点について指摘し、その意思として、本年3月に交渉そのものに参加すべきでないと意見書を可決したのであります。それは、TPP参加による経済的影響において、農林水産業の生産額だけで3兆円減額するとの政府の発表を踏まえて、大きな打撃を農林水産業が受けることを指摘しました。
 また、国民の命と健康を守る医療制度の改悪、食の安全・安心の基準改悪、外国企業が国を訴えるISD条項導入への懸念など、国民生活の根本にかかわる重大問題があると指摘しました。こうした問題点や疑念は何一つ明確にされておらず、不安感と不信感だけが強まっております。ましてや、過日の特定秘密保護法をめぐる政府の強硬的対応やその政治姿勢は、今後のさまざまなTPP交渉における政府の対応においても、国民の政府に対する信頼を大きく損ねるものとなりました。今後、政府の密室協議によって一方的にTPP交渉を進めるようなことがあってはならないと危惧するものであります。
 そのような意味においても、国民の側から政府の独善的な対応を押しとどめさせる意思を示すことが今こそ必要であり、このTPP交渉は隔たりも大きく、平行線をたどっているという今次の厳しい情勢からしても、まずは撤退すべきであることを申し上げ、TPP交渉に関する請願を不採択とした委員長報告に対し反対の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、高田一郎君。
   〔1番高田一郎君登壇〕

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