平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇36番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
 会派を代表して、認定第1号平成24年度岩手県一般会計歳入歳出決算に対し不認定とする委員長報告に賛成討論をいたします。
 冒頭に、昨年もこの壇上で申し上げたことを改めて述べさせていただきます。
 そもそも、議会に与えられた決算認定の権限は、歳入歳出予算の執行の実績である決算について、その内容が適法かつ正当に行われたかどうかを確認することであります。執行の実績、結果を含めて議会に批判、監視の機会を与え、当該地方公共団体への財政運営の適正を期することとしているからであります。したがって、決算審議に当たっては、議会としては、法令、条例、規則等との関係法規に対する適合関係、計数的正誤の精査にとどまらず、過去の財政運営を通じて問題点を発見し、将来の財政運営にこれを反映させるといった視点からの検討も期待されているのであります。
 いわて県民クラブとしては、かかる議会の重要な権能に基づき、認定第1号について不認定とする理由を以下申し上げます。
 不認定とする理由の第1は、県の補助を受け、山田町が特定非営利活動法人大雪りばぁねっと。に委託した緊急雇用創出事業に関し、同法人の不正な経理と支出により多額の事業費が費消され、結果として、事業の実施を打ち切らざるを得ない事態に至った問題であります。
 この問題は、事業の委託元である山田町に一義的に責任があるとはいえ、参考人質疑等も通じて、県が関与していた責任は決して免れることはできないものと判断いたします。私たちは、県が主張している、県の立場としては問題がなかったとの見解には、到底納得がいきません。
 山田町緊急雇用創出事業に関する第三者調査委員会の報告書や参考人質疑で沼崎参考人から、県と一体となって行った事業であるとの発言内容、そして、我が会派が決算特別委員会に提出した、参考資料である平成24年5月8日決裁の山田町の回議用紙等の内容から、県が当該事業の具体的内容まで当初から深く関与していたと思料するに十分な確証を得ております。また、何よりも、節目節目で事業を確認する作業の精度を欠いていた事実は、平成24年度の事業展開にも多大な影響を及ぼしています。
 すなわち、県は、平成23年度の事業完了検査、問題の御蔵の湯を含んだものを山田町が了としたものを簡単に認めてしまったこと。御蔵の湯が当初より事業費が大幅に増加したことや、リースならば可という判断を行ったこと。なお、リース事業者の実態も把握せずに見過ごしてしまったこと。このことは、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第11条2項に定められる―間接補助事業者等は、法令の定及び間接補助金等の交付又は融通の目的に従い、善良な管理者の注意をもつて間接補助事業等を行わなければならず、いやしくも間接補助金等の他の用途へ使用をしてはならない―との規定に鑑みても、結果責任として県の責任は重大であると考えます。
 不認定とする第2の理由は、県が社会福祉法人岩手県社会福祉協議会に委託した障がい福祉サービス復興支援事業に関して、事業の実施に透明性を欠き、多額の事業費に対して明らかに成果が不十分であったことであります。
 障がい者の実態調査については、事業執行の準備不足等の理由で調査が重度の障がい者に限定されたなど、事業の意思決定過程や委託先における通勤費に係る不祥事の発生や、その情報の開示が報道されるまで隠蔽されていたことなどもありました。
 これらの事業の精度等にも議会から厳しい指摘があり、事業内容が不十分で契約変更を余儀なくされたことは、委託事業とはいえ、県の監督責任は厳しく問われるものであります。
 二つの事案に共通することは、東日本大震災の復興途上にある中で、国からの大規模な補助金に関して、補助金が意図とする目的を果たせなかったこと、このことは結果責任として重く受けとめる必要があります。
 大雪りばぁねっと。の事案は、山田町の実情に応じた県による心寄り添う対応が不十分であったと言わざるを得ず、被災地住民の雇用への切実な願いを断つばかりか、県の行政運営に対する信頼を大きく揺るがすことにもなっています。
 問題となっている二つの事案にかかわらず、議会から多くの指摘がこれまでされてきているように、県と被災地自治体との連携が課題となっており、上野副知事が退任された後、県との窓口がさらに狭くなったとの被災地の首長の発言も、我が会派の予算要望ヒアリングであったこともこの場で述べさせていただきます。
 また、被災地自治体には多数の県職員が赴任され、復興のために尽力されています。県は、特に知事は、議会の指摘を真摯に受けとめ、復興に係る基本的な体制を整えることを真剣に考え、実行に移すことを求めます。
 もし、本決算を認定することとなれば、これも昨年申し上げました。その意義は、知事が執行した予算の政治責任を解除することになります。私たちは、知事の政治責任の解除を認めず、さらに、再度十分な検証と今後の震災復興を市町村と一体となって行うことを強く求める立場から、決算を認定できないことを表明します。
 以上、決算を不認定とする理由を述べ、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号平成24年度岩手県一般会計歳入歳出決算を採決いたします。
 本決算の委員長報告は、認定をしないとするものでありますが、原案について採決いたします。
 認定第1号平成24年度岩手県一般会計歳入歳出決算は、原案のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(千葉伝君) 起立少数であります。よって、認定第1号平成24年度岩手県一般会計歳入歳出決算は、認定しないことに決定いたしました。
   日程第3 議案第1号平成25年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第39 請願陳情まで
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第3、議案第1号から日程第39、請願陳情までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。岩崎総務委員長。
   〔総務委員長岩崎友一君登壇〕

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