平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 日本共産党を代表して、2012年度岩手県一般会計歳入歳出決算について不認定とする決算特別委員長報告に対する反対討論を行います。
 東日本大震災津波からの復旧、復興は県政の最大課題であり、国政の最優先課題であります。11月末現在、大震災津波による犠牲者は、死者4、672人、震災関連死428人、行方不明者1、143人となり、合計6、243人となる戦後最大の大災害となりました。
 2012年度の決算を評価する最大の基準は、県政が、東日本大震災津波の復旧、復興の取り組みで被災者の立場に立った取り組みを進めてきたかどうかであります。
 2012年度決算は、歳出総額で1兆1、072億円となりましたが、東日本大震災関連が約4、400億円に及びます。その主なものは、住宅再建に県独自に100万円の補助を行う被災者住宅再建支援事業費補助が1、703世帯に11億700万円、被災住宅補修への補助が3、667件など、バリアフリーや県産材の活用、宅地復旧、利子補給など、新築、改修に県独自の補助を行う生活再建住宅支援事業費に17億8、300万円の補助が行われています。214億6、000万円余の東日本大震災復興基金は全額被災市町村に交付され、市町村独自に住宅再建に100万円から300万円の上乗せ補助と、250万円から700万円の住宅ローンの利子補給が実施されていることも重要なことであります。
 国による被災者の医療費、介護保険利用料の免除措置が昨年9月で打ち切られましたが、県は、市町村と共同して免除措置を継続しました。これらは今年度も継続されるとともに来年12月までの継続も明らかにしたことは特筆すべき取り組みであります。被災地福祉灯油等特別助成事業として1万6、359世帯に県として4、089万円の補助、全体では1億424万円の補助を行っています。今年度の実施を含めて3年連続となるものであります。これらの事業は他県では行われていない積極的なものであります。
 なりわいの再生の分野でも、共同利用漁船の確保に222億7、500万円の補助を行い、5、439隻を確保し、養殖施設の再建整備では72億1、100万円の補助で6、157台を復旧しました。こうした取り組みによって、壊滅的な被害を受けた漁業、水産業は約7割近くまで復旧してきたのであります。中小企業の再建でも、県独自の被災資産復旧費補助は2億5、300万円で192件の事業者を支援し、グループ補助金は259億円の補助で95グループ、1、159者の再建を支援してきました。特に、申請の約8割が採択され、水産加工や造船など被災地域の地場産業を重点に支援してきたことは評価できることであります。
 三陸鉄道の再建整備に23億円余が投入され、来年4月には全線開通の見込みであります。
 災害廃棄物、いわゆる瓦れき処理には442億円が投入され、今年度末での処理の見通しが立ちました。
 東日本大震災津波からの復旧、復興の現状は、被害が余りにも大きかったこと、国の取り組みのおくれと規制によって、被災者の立場から見れば深刻な現状を変えるまでに至らず、被災者の命と暮らしを脅かす状況となっています。しかし、岩手県の復旧、復興の取り組みは、不十分さがありながらも、被災者の立場に立った取り組みと評価できるものであります。被災した他県と比べても積極的な取り組みとなっております。
 復旧、復興の取り組みは、今年度も県内外から職員が派遣され、岩手県には163人、市町村には581人もの応援を受けて取り組まれているものであります。こうした東日本大震災津波からの復興の取り組みを柱とする2012年度決算を不認定とすることは、献身的な復旧、復興の取り組みに背を向けるものであります。
 緊急雇用創出事業にかかわって、山田町が事業主体となる山田町災害復興支援事業で6億7、000万円の事業費の返還を求める不祥事が明らかになりました。この問題は、本来、受託団体として不適格な、実績も経理能力もないNPO法人大雪りばぁねっと。に、履歴書や実績を確かめることなく、山田町が2年間で12億2、000万円の事業を委託したことに最大の問題がありました。委託後も山田町は、大雪りばぁねっと。の乱脈な経理にまともな指導、監督も行ってこなかったことは重大な問題であります。山田町の責任は極めて重大です。
 同時に、県の責任として、県社協の専務理事とともに当時の地域福祉課総括課長が、5月2日にNPO法人大雪りばぁねっと。の問題を山田町長に直訴、指摘したことを県として共有できなかったこと。無料入浴施設御蔵の湯が当初計画とは違って大規模に建設されたにもかかわらず、リース、材料費、組み立て費というごまかしで認めてしまったこと。2011年度の3月に行われた1億6、900万円に及ぶ第5回の契約変更は、事業費使い切りの不足払いだったにもかかわらず認めたこと。2011年度の完了検査は、伝票も現金出納帳もなく、収支が全く合わなかったにもかかわらず認めてしまったこと。さらに、こうした経理の問題を把握しながら、翌年度、7億9、000万円の事業を認めてきたことは、県の指導、監督、チェック機能と責任が問われる問題でありました。
 日本共産党はこの問題を徹底して追及してきました。県の検証委員会によって、県議会の審査を踏まえて、徹底した検証と責任が明らかにされることを強く求めるものであります。
 県が県社協に委託した障がい福祉サービス復興支援事業について、知事を呼んでの集中審議が行われました。過大な事業費に対して十分な体制と取り組みが行われなかったという問題がありますが、事業費の不正支出という問題でないことは明らかであります。
 また、山田町が事業主体の緊急雇用創出事業の不祥事をもって、県政最大の課題である東日本大震災津波からの復旧、復興の積極的な取り組みを否定するものではないことも明らかではないでしょうか。
 以上申し上げ、2012年度岩手県一般会計歳入歳出決算を不認定とする決算特別委員長報告に対する反対討論、2012年度一般会計歳入歳出決算に対する賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔36番飯澤匡君登壇〕

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