平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 東日本大震災から2年9カ月になろうとしておりますが、県内の震災関連死は422名となるなど、被災者の命と健康が脅かされています。大槌町の仮設住宅入居者を対象にした岩手大学教育学部社会学研究室の調査では、震災後の心の変化について、ほとんど変わらない、厳しくなった、これが合わせて66%となりました。昨年度と比較しても8%も増加し、社会活動への参加や仮設住宅への訪問も減少している実態も明らかになりました。住宅再建も進まず、先の見えない不自由な避難生活が被災者の精神状態を悪化させています。知事は、この調査結果をどう受けとめ、被災者支援に取り組んでいくのでしょうか。
 心のケア対策、保健指導など被災者に寄り添った長期的な支援が必要であります。内陸の被災者を含めて、心のケア対策は十分に実施されているのでしょうか。保健師による保健指導なども行われていますが、重点的にケアが必要な被災者及び仮設住宅でのひとり暮らしの実態はどうなっているでしょうか。
 次に、震災関連死について質問いたします。
 震災関連死を認められず、災害弔慰金の支払いを求めて、陸前高田市と釜石市の遺族が盛岡地裁に提訴いたしました。死因の急性心筋梗塞は、津波による著しい生活環境の変化とストレスが原因で発症したものと死亡診断書を提出しているにもかかわらず、なぜこれが認められなかったのでしょうか。震災で苦しみ、震災関連死の認定で二重の苦しみを受けています。岩手県は震災関連死の認定率が低いと指摘されてきましたが、この間どう検討されてきたでしょうか。
 次に、被災者の医療費、介護保険利用料の減免措置について質問いたします。
 医療費、介護保険利用料などの免除措置が1年継続となり、被災者から歓迎されています。応急仮設住宅での暮らしは、今後2年から3年以上も続くこととなります。期限を切った生活となりわいの再建への支援が被災者の不安を広げています。せめて避難生活の期間は減免措置で対応する、こういう支援策にすべきですが、いかがでしょうか。
 宮城県の被災者が多い一関市では、同じ被災者でも減免が受けられないということで不満が出ております。岩手県だけの対応では不公平です。国の対応はどうなっているでしょうか。
 被災地福祉灯油については、4、900万円余の補正予算が今議会に提案されています。3年連続実施は評価いたしますが、しかし、同じ被災者でありながら、内陸部に避難されている被災者は対象となりません。全ての被災者を対象とするようにすべきでありますが、なぜできないのでしょうか、その理由を示してください。
 次に、被災者の最も切実な住宅再建についてであります。
 資材の高騰などで建築単価も坪60万円になっており、用地購入費用も含めれば、40坪の住宅を建設した場合3、000万円にもなり、財産を失った被災者にとってはさらなる支援が必要となっています。災害公営住宅の1戸当たり建設コストは1、600万円にもなっており、完成後の維持費を考えれば、持ち家再建へのさらなる支援が必要であります。日本共産党は、県として100万円から200万円のさらなる支援をこの間求めてきましたが、どう検討されているでしょうか。
 災害公営住宅の買い取りは入居後5年後となっており、平成27年に完成の災害公営住宅の買い取りは平成32年以降となってしまいます。被災者生活再建支援法による申請期限は平成30年4月10日まで、県の100万円の補助は平成29年3月31日となっています。被災者から、申請期限が過ぎて買い取りできない、お金をもらえるかどうかは老後を左右する問題だ、こういう声も寄せられています。加算支援金の申請期限の延長を国に求めるとともに、県の住宅再建支援事業も延長すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 災害公営住宅の建設を急ぐことも重要課題であります。知事はこれまで、希望する全ての被災者が入居できるようにするとの方針で取り組まれてきましたが、災害公営住宅の建設はどうなっているでしょうか。8月8日の県の復興ロードマップでは3、025戸となり、1、700戸も減少いたしました。さらに9月末段階の復興庁ロードマップでは2、405戸となり、わずか2カ月間でさらに600戸も減少する事態となっています。その要因と対策を示してください。
 災害公営住宅は、住宅供給というハード面だけでなく、買い物、交通の確保など居住環境、生活環境などソフト面と一体で整備することが必要であります。どう検討されているでしょうか。
 住宅再建にとって二重ローン問題も切実な課題であります。個人版私的整理ガイドラインに基づく債務整理の申し出件数は125件、債務成立は182件と、合わせても307件にとどまっております。これは、申請のわずか3分の1であります。審査の収入基準が730万円になっており、復興の中心となる共働き世帯は対象外になっており、これでは住宅再建も復興も進むことができません。個人版私的整理ガイドラインは1万件の目標でありましたけれども、債務整理が進まない原因、どう県として具体的に改善を求めていくのでしょうか。
 次に、応急仮設住宅での生活の改善についてであります。
 被災者は、応急仮設住宅で厳しい3度目の冬を迎えています。床や壁がゆがんできた、こういう声も寄せられており、寒さ対策は十分実施されているのでしょうか。保守管理センターによる年2回の定期点検、24時間の相談体制も行われていますが、その結果と改修状況はどうなっているでしょうか。
 次に、復興事業用地の特例措置について伺います。
 相続未処理や多数の共有地など、多くの復興用地の取得が進まず、復興の足かせになっています。復興事業用地の契約予定件数は2万件と言われていますが、県、市町村の相続未処理などの懸案件数はどうなっているでしょうか。
 県は、弁護士会と共同研究をして特例制度をまとめて、先週、政府に要望を行いましたが、国の対応はどうだったでしょうか。議員立法の可能性も含めて取り組むべきであります。知事もこの間、政党要望されたようですが、なぜ日本共産党には要請しなかったのでしょうか。要請した他の各党の対応も示してください。
 次に、いわて東北メディカル・メガバンク事業についてお聞きします。
 いわて東北メディカル・メガバンク事業が被災地で実施されています。この事業は、地域住民の健康調査とともに、被災者の遺伝子情報を3世代にわたって調査するものであります。究極の個人情報である遺伝子情報を系統的に調査、解析しようとするものですが、被災者には十分な説明がなく進められ、健康調査とともに実施されていることは重大であります。
 日本学術会議は、7月26日、100万人ゲノムコホート研究の実施に向けての提言で、事業参加者からの提供目的を限定しない包括同意や将来の健康情報の提供についての了解を得ておくことが不可欠であり、倫理問題について十分検討して適切なプロセスを構築しておく必要があると指摘されています。研究に当たっては、第1に、被災者と自治体に丁寧な説明と包括的な合意を得ること。第2に、条例を制定した長浜市の例に学んで、遺伝子情報の保護など厳格なルールを岩手医科大学と市町村で確立すること。そして第3に、この事業が被災地の医療再生と医療機関の復興にどのような役割を果たすか具体的に明らかにすること。こうした課題が示されないままでの研究の取り組みは中断を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、原発事故、放射能汚染対策などについて質問いたします。
 干しシイタケの価格が震災前の2割に下落するなど、深刻な風評被害が続いております。県内農産物などの風評被害の実態、そして県としての対策を示してください。
 出荷制限されたシイタケ農家は1、000戸に上り、再開に向けた農家はわずか335戸になっています。出荷制限解除の見通しが立たず再建をあきらめる農家がありますが、解除に向けた対策と見通しはどうなっているのでしょうか。産直施設の賠償の進捗状況についても伺います。
 原発問題では、小泉元総理も原発ゼロを提言しています。事故の原因も明らかにされず、汚染水問題を制御できない非常事態に陥っています。今こそ汚染水問題の抜本的な解決を最優先にして英知を結集しなければならないときに、政府は原発の再稼動や輸出政策を進めています。既に全ての原発が停止しており、原発の再稼動を中止して廃炉にしていくことこそ現実的でありますが、知事の見解を求めます。
 次に、大雨災害対策について質問いたします。
 7月、8月、9月と県内を襲った豪雨、台風災害の被害総額は400億円余となり、大きな被害となりました。9月補正では、住宅再建、観光施設、農地災害などで大震災並みの支援が示されました。最大の問題は、来春の作付に間に合うかどうかにあります。被災農家では、個人負担が高くて復旧をあきらめる農家も出ております。農地被害、治山施設及び林地荒廃被害の復旧状況はどうなっているでしょうか。
 砂鉄川、松川、岩崎川など災害が繰り返されており、抜本的な治水対策が求められています。内水排水施設のポンプが稼動しなかった、水位周知河川となっていなかった、堆積土砂が被害を拡大したなどの問題点もこの間指摘されました。どう検証され、改善が図られてきたのでしょうか。
 今、局所的な豪雨災害が全国各地で相次いでおります。気象庁では局地的な豪雨予測は困難としておりますが、自分の住んでいる地域が豪雨災害などになったらどうなるのか予測し、事前に行動を決めることが大事になっております。洪水による浸水の被害範囲を予測したハザードマップの作成と、災害危険箇所を住民に徹底周知する取り組みを強化すべきでありますが、現状と対策はどうなっているでしょうか。
 次に、市町村合併による防災力の低下について質問いたします。
 平成の大合併による職員の削減で旧町村の支所では4割から5割も減少し、防災担当職員が不在、あるいは人事異動により、地域の実情がわからない職員が災害対応に追われ十分な対応をとれなかったともこの間指摘されています。合併した新潟県長岡市では、被害状況は旧市町村ごとに異なることから、対策本部も一本化するのではなく、支所と本部と2本立ての体制としております。平成大合併で防災力が低下していると指摘されていますが、県は課題をどう捉えているでしょうか。
 次に、介護保険制度について質問いたします。
 県内の特別養護老人ホームの待機者は、3月末現在、6、542人、うち早期入所が必要な待機者は前年度を上回る1、233人となっています。今、全県で852床が整備予定となっておりますが、施設整備が追いつかない現状にあります。待機者解消の見通しはどうなっているでしょうか。
 介護保険のサービス削減と費用負担をふやす介護保険制度の見直しが議論されております。特養ホームの入所を制限し、要介護3以上に限定するものです。入所する軽度者は、介護者不在、居住問題などそれぞれやむを得ない事情を抱えていますが、影響はどうなるのでしょうか。要支援者への訪問介護やデーサービスの給付サービスをやめ、市町村の地域支援事業に移す方向も示されています。通所、訪問サービスの保険外しでサービスが受けられなくなる人数はどうなるのでしょうか。市町村事業で本当に対応できるのでしょうか。
 次に、難病の医療費について伺います。
 難病の医療費助成の対象を56から約300に拡大する難病の医療費見直し案が検討されています。対象を広げるかわりに、今まで制度の対象だった難病患者に負担を求める、難病の中で負担し合えということに対して、家族から不安と怒りの声が寄せられています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 重症筋無力症の53歳になる男性からこんな声が寄せられました。外来で1、120円から1万2、000円と10倍となってしまいます。10日間入院して窓口負担は2、250円でしたが、差額ベッドで6万円の支払い、通院費も大きな出費と訴えられました。県内の難病患者の数、影響を受ける重症認定患者はどうなるのでしょうか。治療や薬で症状を抑えている難病は、いつ発症してもおかしくない病気です。新たな負担とならないよう国に改善を求めていくべきであります。
 次に、保育制度について質問いたします。
 次女が入れず離職したことで長女も保育所から退所させられてしまった、こんな訴えが寄せられました。今、子育て環境改善を求める父母の声は切実であります。待機児童、保育士不足の実態はどうなっているでしょうか。保育所の整備、保育士の処遇改善についての県の取り組みを示してください。子ども・子育て支援新制度では、多様な主体による保育所設置、運営を促すとしていますが、市町村の保育実施義務は残されたままであります。父母の願いに応えていくためにも、認可基準など、現行の基準より後退させず、市町村の保育所整備への財政支援を行うべきであります。
 市町村に子ども・子育て会議を設置する努力義務がありますが、十分なニーズ調査を行って保育関係者の声を反映できる子ども・子育て会議とすべきでありますが、設置状況についてどうなっているでしょうか。
 次に、子供の医療費助成について質問いたします。
 岩手県は、平成16年度に就学前まで拡充して以来、9年間、医療費助成は拡大されていません。非正規労働者など不安定労働者が拡大し、また、扶養控除の廃止など、子育て環境が悪化している中にあっても医療費無料化を拡充する自治体が広がっています。今年度は7自治体が拡充し、小学校卒業までは9自治体、中学校卒業までは11自治体、高卒までは3自治体となっており、県基準より拡大している自治体は25自治体にも広がっています。子育てするなら岩手県という視点で、県はせめて小学校卒業まで広げるべきであります。なぜこの間、放置してきたのでしょうか。岩手の未来と復興を担う子供たちの成長を応援することは県政の仕事ではないでしょうか、県の対応を伺います。
 次に、生活保護の改悪問題についてお聞きします。
 生活保護基準額引き下げは、この8月から始まっております。特に子供を持つ世帯は影響が大きく、月2万円も引き下げられた母子世帯もあります。しかも基準額引き下げは、就学援助、個人住民税の非課税限度額、保育料や介護保険の減免にも影響を与えるものであります。帯広市の調査では、50事業、市民の75%に影響するとの試算を出しました。政府は、保護費削減で制度に影響しない措置をとるよう、各自治体に対して予算措置をするとこの間述べてきました。影響はないのでしょうか。県、市町村の対応はどうなっているか伺います。
 次に、国保の広域化計画への対応についてであります。
 国保を納めるために土地を売却しなければならない、こんなやりくりでは大変だ、こういう声もこの間寄せられました。一関市では、高過ぎて払えず、苛酷な徴税攻勢の中で自殺に追い込まれる事態にもなりました。国保は、加入世帯の53%が課税所得100万円未満、課税所得金額に占める負担は、この10年間で5%も増加して16.72%にもなりました。高過ぎて払えない国保税になっていると思いますが、どう認識しているでしょうか。
 財産の差し押さえや人権無視の取り立て、保険証の取り上げが行われていますが、県内では、資格証明書の発行は346件、短期被保険者証は9、173件となっております。盛岡市では基本的にやめています。医療を受ける権利を保障すべきであり、税の徴収と切り離すべきでありますが、いかがでしょうか。
 低所得者が多く加入する国保制度は、年々国保運営が苦しくなっています。にもかかわらず、この間、逆に国庫負担を50%から25%に引き下げました。こうした問題を改善するどころか、国の役割を放棄する都道府県化を進めようとしています。自治体の努力で行われてきた一般会計からの繰り入れは、平成24年度、10市町村で12億6、000万円余となっております。広域化になれば市町村の独自の繰り入れができなくなってしまいます。また、地域の実情や住民の声を踏まえた対応は困難となってしまいます。市町村国保は、被保険者が参加する運営協議会の議論を通じて、予防活動あるいは減免要綱を策定するなど、地域の実情に合わせて事業運営を行っています。こうした市町村の国保運営の努力を踏みにじる広域化には明確に反対すべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、いじめ問題であります。
 いじめはどの学校でも起こり得ると言われていますが、いかなる形をとっても許されない暴力行為であり、子供の人権にかかわる問題であります。子供の命を優先し、教職員で情報を共有して対応すること、そして、子供の自主性を高めていじめが起きない人間関係を築くこと、被害者がいじめから立ち直るまで対応することなど、日本共産党は、子供の命優先で取り組むことを提言してきました。昨年のいじめ緊急調査では2、004件と報告されていますが、学校現場での研修など、どんな具体的な取り組みが行われているのでしょうか。
 いじめを禁止して罰則で取り締まる、道徳教育の強化などを盛り込んだいじめ防止対策推進法が議員立法で成立いたしました。地方公共団体には基本方針を策定する努力義務が定められていますが、いじめ対策連絡協議会も設置することができるとされています。いじめは教育の営みの中で解決するものであります。厳罰や道徳教育に流れることなく、いじめに詳しい専門家や被害者など現場からの意見聴取や参加で実効ある対策が進むようにする必要がありますが、いじめ防止対策推進法の評価と今後の対応について教育委員長の見解を伺います。
 次に、教育現場の実態調査についてであります。
 いじめ対策は学校の先生が果たす役割が重要です。教職員が子供の命最優先で取り組む上で、子供と向き合う時間が確保できない現状を改善することが急務であります。給食指導で昼休みもなく、報告などが多過ぎて準備ができない、もっとわかるまで教えたい、こういう声が寄せられており、多忙化解消は切実であります。県教育委員会は県立学校の勤務実態調査を行いましたが、その結果はどうなっているでしょうか。多忙化解消策として、会議、研修会の精選、短縮などに取り組まれておりますが、多忙化は改善されているのでしょうか。
 次に、学力テストの公表問題であります。
 文部科学省も従来の実施要綱を変更して、市町村教育委員会による成績公表を認めると発表いたしました。2007年度の開始に当たり、いたずらに競争をあおることがないよう学校の序列化に配慮すべきだと述べてきました。全国学力テストは競争を目的とするものではないと説明してきた文部科学省の説明の破綻を示すものであります。成績を公表されたら弊害があり、絶対にやるべきではありません。市町村の対応はどうなっているでしょうか、教育委員長の見解も伺います。
 次に、障がいのある子供たちの教育条件の改善であります。
 障がいのある子供たちが学ぶ特別支援学校、小中の特別支援学級、通級指導教室の在籍児童生徒数がこの10年間で911人も増加して4、487人となりました。特別な教育を必要とする生徒がふえている要因は何でしょうか。
 設置基準がなく、既存の人的、物的資源で対応するというのが文部科学省の方針であり、このため、今、教室不足は、この5年間で22教室もふえて75教室となりました。特別支援学校では、音楽室や図書室を転用し、あるいはトイレの男女共同化など劣悪な環境の中で学んでいます。国に対して設置基準を求めるとともに、県としては整備計画を策定すべきですが、いかがでしょうか。また、教員不足についての配置基準の改善を求めるべきですが、いかがでしょうか。
 次に、TPP交渉であります。
 大詰めを迎えたTPP交渉は、他の参加国から関税撤廃を迫られています。聖域としてきた重要5品目を例外としても自由化率93.5%にとどまることから、自民党の西川TPP対策委員長が重要5品目の中で関税撤廃する品目を検討すると報道されています。聖域が確保できない場合は脱退も辞さないという国会の決議、守るべきものは守るという公約に明らかに反するものであります。フローマン米通商代表が、原則、関税を最終的に撤廃するのだと述べているように、関税撤廃が原則であり、例外を認められても、経過措置を経ていずれ関税はゼロになることは明らかであります。交渉参加を表明したときに国民への情報提供を約束したにもかかわらず、秘密保持契約に署名するなど、明らかに公約違反と言わなければなりません。国民にとって取り返しのつかない不利益となるこのTPP交渉からの撤退を知事は強く求めるべきですが、いかがでしょうか。
 次に、生産調整の廃止など、政府が決定した農政改革であります。
 政府は26日、5年後をめどに米の生産調整を廃止するなど、新たな米政策を決定いたしました。TPP参加によって輸入がふえることを見越した措置で、米の需給と価格を市場任せにするものであります。40年間続いた農政の大転換を短期間で決定することに対して、戸惑いと怒りの声が広がっています。
 そこで知事に質問いたします。
 第1に、米価下落対策がなく、中小農家に離農を迫るものであります。大規模経営ほど総所得に占める所得補償の依存度が高く、影響はむしろ大規模農家であります。本県農業への影響をどう考えているでしょうか。
 第2に、転作を促す補助金は市場原理が前提であります。米価暴落及び加工品、畜産品を聖域としない、こういう方針のもとでは助成単価が下がり、所得増にならないと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、生産調整の廃止やコスト削減政策のもとでは、暴落は必至であります。市場任せにせず、需要と供給は国が責任を持つことを国に強く求めるべきですが、いかがでしょうか。
 最後に、特定秘密保護法案について知事の見解を伺います。
 本法案は、政府の持つ重大な情報の中から特定秘密を指定して、それを漏らした公務員や聞き出したりする者に対して懲役刑を科すものであります。この間の国会審議で明らかになったのは、政府の恣意的な判断で特定秘密を広げられ、原発事故情報、TPP交渉も特定秘密となり、しかも秘密を取り扱う公務員や家族まで調査をされ、ジャーナリストの取材活動あるいは一般市民の情報公開など特定秘密へのアクセス行為、国会議員などの調査権や立法権も制限するものであります。
 地方公聴会の翌日、衆議院で採決を強行するなど国会審議にも問題があります。法曹界やマスコミ界など広範な国民が反対している特定秘密保護法案に知事は明確に反対すべきと思いますが、知事の見解を求めて私の質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、大槌町の調査についてでありますが、岩手大学教育学部社会学研究室では、大槌町内の応急仮設住宅入居者を対象に、被災者の心の問題や生活環境への不満、就労状況や生活費などの暮らし向きなどの内容について調査を実施し、約1、100人から回答が得られたものと承知しております。
 県でも、NPOと連携し同様の調査を実施しており、時間の経過とともに、生活に関する安心度が向上している方がいる一方で、今なお、生活に不安を抱えている方がいる状況と認識しております。
 県としては、被災者一人一人の問題や悩みに耳を傾け、市町村やNPO等の関係機関が情報を共有しながら、きめ細かな支援を行っていくことが重要と考えており、これまでも自治会活動による住民同士の支え合いの促進を図ってきたほか、生活支援相談員の戸別訪問による見守りや、NPOや社会福祉協議会による住民が気軽に集えるお茶っこ会の開催など、被災者が孤立しないよう取り組みを行ってきたところであります。
 今後も、関係機関と連携し、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行っていくとともに、一日も早い生活再建に向けて、被災地の復興を加速させてまいります。
 次に、住宅再建に対する支援策の拡充についてでありますが、県としては、持ち家での再建を望む被災者の意向は、復興に弾みをつけるものであり、支援の充実を図ることが極めて重要と考えております。
 県では、被災者生活再建支援制度の支援額の増額と震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を国に要望しているところでありますが、国では、被災者に対する国の支援の在り方に関する検討会を立ち上げ、検討を行うと聞いております。
 一方、住宅再建への支援策の実施期間の延長についてでありますが、住宅の建設、購入に際し、市町村と共同で補助する本県独自の被災者住宅再建支援事業については、平成28年度までを実施期間としているところでありますが、土地区画整理事業などの面的整備にはさらに時間を要することが見込まれますので、現在、市町村の意見を伺いながら、実施期間の延長について、具体的に調整を指示しているところであります。
 さらに、平成30年4月10日まで延長されている被災者生活再建支援制度の加算支援金の申請期間についても、面的整備の進捗状況等を総合的に勘案し、事務を取り扱っている財団法人都道府県会館に再延長を要請してまいります。
 次に、復興事業用地の特例措置についてでありますが、11月27日に行った特例制度の創設を求める要望におきましては、国には、復興を進める上で、事業用地の円滑かつ迅速な取得が非常に重要な課題であると改めて認識していただいたものの、根本復興大臣からは、憲法上の懸念も示されたところであります。
 今後は、個別具体の事例に基づき、用地確保の円滑化、迅速化に向けて、さらに協議を継続していくこととなったところであります。
 なお、当日は、実質的に半日という短時間で要望活動を行わなければならない状況にあったことから、日程の都合上、全ての政党、政治団体を対象とすることができなかったものであります。
 当日要望した各党からは、事業用地の確保が非常に重要な課題であると認識していただくとともに、今般、県が提案した特例制度について、党としても研究したいなどのお話をいただいたところであります。
 次に、いわて東北メディカル・メガバンク事業についてでありますが、実施主体である岩手医科大学においては、遺伝子情報の保護は最優先事項であるとの認識のもと、7月以降、順次、関係市町村と秘密情報の取り扱い等に係る覚書を取り交わすとともに、住民に対しても、事業の目的や実施内容を丁寧に説明し、同意された方のみ参加いただくなど、厳格な運用をしていると聞いております。
 個人情報の取り扱いについては、生命倫理の専門家等による国の審査を経て事業を実施しており、また、大学では、今後、各界の専門家や地域代表による外部委員会を設置する予定であるなど、厳重な保護、管理がなされていると聞いております。
 本事業では、被災地の県立病院に延べ8人の医師が派遣され地域医療に従事しているほか、これまでに約5、000人の健康調査を実施するなど、地域医療の復興に寄与することが期待されているところであります。
 次に、原発ゼロについてでありますが、原発事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、昨年度のエネルギー政策をめぐる国民的議論においても、エネルギーに対する国民の問題意識や再生可能エネルギーへの新たな意欲の高まりがあらわれており、こうした意識の変化を踏まえたエネルギー政策が求められているものと考えます。
 岩手県としては、再生可能エネルギーは、地産地消のエネルギー自給率の向上はもとより、地球温暖化防止や防災のまちづくり、地域振興など多面的な効果をもたらすものと認識しており、再生可能エネルギーによる電力自給率を平成32年度までに平成22年度の約2倍の35%とする目標の達成に向けて、力強く導入を推進しているところであります。
 次に、生産調整の廃止などの農政改革についてでありますが、まず、本県農業への影響については、国は、5年後を目途に米の生産数量目標の配分をやめることとしていますが、現時点では、制度見直しに関する十分な説明がないことから、その影響を申し上げることは困難でありますが、本県の農家は、経営転換が難しい小規模農家のみならず、規模拡大を進めている意欲的な担い手も、米価下落や販売競争激化への懸念など、将来に不安を抱いていると認識しております。
 なお、国が公表資料で示している経営所得安定対策見直し後の農家所得のシミュレーションは、転作した場合、現行制度より所得が増加するとの結果となっていますが、これは、一定の前提条件を置いた上で制度を見直した場合の試算であり、当てはまらない場合もあると承知しております。
 また、国への要請については、国が検討を進めている農業政策の見直しの内容等の速やかな情報提供を求めていますが、今後とも、米政策を初めとする農業政策について、農業者が展望を持って生産活動に取り組むことができるよう、必要な施策を求めていく考えであります。
 次に、特定秘密保護法案についてでありますが、この法案は、我が国の安全保障に関する一定の事項のうち特に秘匿を要するものを特定秘密として保護するため、その漏えいの防止を図り、国及び国民の安全の確保に資する趣旨で提案されたものと聞いております。
 この法案については、国民の知る権利が損なわれるおそれがあるなど、国民の間に懸念する意見が数多くあります。そのような懸念が残る中でこのような法案が成立することは、好ましくないものと考えます。
 TPP交渉についてでありますが、TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業のみならず、投資、医療、労働、政府調達など、国民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されているにもかかわらず、交渉内容の詳細は公表されていないところであります。
 TPP協定の交渉については、拙速に走ることなく、国民に対し十分な情報提供と説明を行い、国民的議論を尽くし慎重に進めるべきであり、交渉を行う政府は、地方の経済活動や国民生活に影響が生じると見込まれる場合には、交渉からの撤退も含め、断固たる姿勢で臨んでもらいたいと考えております。
 政府に対しては、これまでも機会があるごとに本県の考えを要請してきたところであり、今後とも、あらゆる機会を捉えて要請してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇議長(千葉伝君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、被災者の心のケア対策についてでありますが、沿岸被災地では、こころのケアセンターと地域の関係機関が連携を図りながら、震災こころの相談室の開設や訪問活動による個別支援とあわせて、住民に対する健康教育や普及啓発、支援者支援や人材育成等、包括的な取り組みを行っております。
 内陸では、被災者支援を行う機関、団体と保健師等の連携により、こころの健康に係る相談支援を行っており、こころのケアセンターも、支援者への専門研修等により技術支援を行っております。
 今後、仮設住宅からの転居が進むなど地域の状況の変化による孤立感や精神的負担に適切に対応するため、専門職による支援を継続するとともに、人材育成やネットワークづくりを通して、一人一人が心の健康を大切にする地域づくりを推進し、長期的に被災者を支援していきます。
 次に、重点的なケアが必要なひとり暮らしの方の実態についてでありますが、重点的にケアが必要な被災者については、精神的な不安、不眠、多量飲酒や運動不足などが課題となっており、特に、ひとり暮らしの高齢者については、病気などの発見のおくれが懸念されることから、定期的な見守りが必要となっております。
 これらの方々に対して、市町村では、生活支援相談員や民生委員等との情報交換を緊密に行いながら、治療が必要な者には医療機関への受診を勧奨しているほか、継続した支援が必要な者には、個別訪問等による保健指導などを実施しております。
 次に、医療費の一部負担金、介護保険サービス利用者負担金等の免除措置についてでありますが、県としては、多くの被災者が、いまだ応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされ、健康面や経済面での不安を抱えており、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要があることから、平成26年1月以降も、これまでと同様、県内統一した財政支援を継続することとしたところであり、平成27年1月以降については、被災地の生活環境や被災者の受療状況等を勘案し、市町村等との協議を行いながら改めて判断したいと考えております。
 国の対応については、福島県の避難指示等対象地域を除き、既存の特別調整交付金の仕組みである免除額が一部負担金等の所要額の3%を超える市町村について、免除に要した費用の8割を交付金の対象としております。
 次に、被災地福祉灯油等特別助成事業費補助についてでありますが、この事業は、東日本大震災津波により甚大な被害を受け、財政事情が極めて厳しい中で福祉灯油を実施しようとする沿岸部の市町村を支援するため、平成23年度、平成24年度に引き続き実施しようとするものであります。
 補助事業の対象世帯は、これまでと同様に、市町村民税非課税の高齢者世帯、障がい者世帯、ひとり親世帯または生活保護世帯で、市町村が助成を必要と認める世帯とし、これらのうち内陸に避難している世帯についても、市町村が助成する場合は県補助の対象と考えております。
 次に、介護保険制度についてでありますが、特別養護老人ホームに早期入所が必要と判断されている在宅の待機者1、233人に対し、平成25年4月1日以降、第5期介護保険事業計画期間中に、特養852床のほか、認知症高齢者グループホーム279床の整備が計画されており、一定の対応は可能と考えております。
 県としては、必要な施設整備とあわせ、地域包括ケア推進の取り組みについても積極的に支援していくこととしております。
 また、国では、現在、特別養護老人ホーム入所を原則、要介護3以上とする中重度者への重点化について検討しており、本年8月時点の広域型特養入所者のうち、要介護2以下の方は520人となっております。
 あわせて、要支援の方が受けている訪問介護と通所介護を地域支援事業に移行することも検討しており、本年8月時点の要支援の方の利用人数は、訪問介護2、975人、通所介護6、399人となっておりますが、いずれも、既にサービスを受けている方は、移行後も既存サービス相当のサービスの利用が可能とされており、必要なサービスは継続されるものと考えております。
 次に、難病の医療費についてでありますが、平成25年3月末現在、特定疾患治療研究事業による医療費受給者証の交付を受けている難病患者が8、901人であり、このうち、これまでの医療費の自己負担がなかった重症認定患者等については、新たな自己負担の導入が検討されており、その数は934人となっております。
 また、今回の見直しについては、要綱による治療研究事業の制度を、法制化により公平かつ安定的な制度として確立しようとするものであり、具体的には、制度として確立された医療の社会保障給付とすること、対象疾患の拡大、対象患者の認定基準の見直し、類似制度との均衡を考慮した自己負担の見直しなどについて、現在、国の難病対策委員会で検討されていることから、今後、国の動向を注視してまいります。
 次に、保育制度についてでありますが、県内の待機児童数は、平成25年4月1日現在、7市町村168人となっており、また、平成25年7月に全保育所を対象に実施したアンケート調査によると、定員には余裕があるが保育士が不足していると回答した保育所は32カ所、不足している保育士は60人となっております。
 県では、待機児童の解消に向け、保育所の緊急整備に集中的、重点的に取り組んでおり、平成25年度の保育所整備は7市町村12カ所、331人の定員増を計画しております。
 また、喫緊の課題である保育士の人材確保のため、保育士等処遇改善臨時特例事業として6月補正予算では4億4、000万円余を計上したところであり、各市町村で順次事業が実施されており、処遇改善が図られるものと考えております。
 子ども・子育て支援新制度施行後の保育所整備の財政支援については、現在、国の子ども・子育て会議において検討されており、その動向を注視していくこととしております。
 市町村の子ども・子育て会議は、平成25年11月1日現在、22市町村で設置済みであり、今年度中に全ての市町村が設置予定となっております。県としては、市町村が地域の多様な保育ニーズ等を把握し、子ども・子育て会議において、子育て当事者などのさまざまな関係者の意見を伺いながら、子ども・子育て支援施策の審議を行うことが重要と考えており、引き続き必要な支援を行っていきます。
 次に、子供の医療費無料化についてでありますが、本県の乳幼児医療費助成制度は、乳幼児の適正な医療を確保することにより、心身の健康を保持するとともに、生活の安定を図ることを目的として、市町村が医療費を助成した場合に、その経費の一部を補助しているところであり、これまでも助成対象等の見直しについて検討してきたところです。
 しかしながら、その対象を小学校卒業まで拡大した場合、粗い試算ではございますが、これに要する県費負担額が約4億円と見込まれ、現在の厳しい県財政の状況を考えると、直ちに実施することは難しいと考えております。
 次に、生活保護基準額の見直しによる他の制度への影響についてでありますが、国では、できる限り他の制度への影響が及ばないようにするとの対応方針を示しており、国から通知を受け、速やかに市町村に周知を図ったところであります。
 本年度の対応としては、例えば、生活保護基準額をもとに決定される要保護者に対する就学援助については、本年度当初の対象世帯は引き続き援助を受けることが可能となっており、各市町村とも国の方針に沿って対応していると聞いております。
 また、個人住民税の非課税限度額や非課税限度額を参照している保育所保育料や介護保険料などの制度については、本年度は影響がなく、平成26年度以降の税制改正において対応するとしております。
 次に、国保の広域化への対応についてでありますが、国保税に対する認識でございますが、近年の医療の高度化や高齢化の進展等により保険給付費が増加している中で、厳しい経済状況や雇用情勢により県民の収入が伸びない状況にあることから、県民の国民健康保険税に対する負担感は、増加しているものと認識しております。
 それから、資格証明書、短期被保険者証の発行については、市町村が滞納者と接触し、納付相談の機会を確保することを目的としているものであり、滞納者の生活実態など状況をきめ細かく把握した上で交付しております。
 県においては、市町村に対し、滞納者個々の実態を十分把握した上で細やかな対応をするよう通知し、また、会議等の場でも、この基本的な考え方に沿って適切に運営するよう要請しているところでございます。
 国保の広域化については、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆるプログラム法案では、国保が抱える財政上の構造的な問題を解決することとした上で、都道府県が財政運営を担うことを基本としつつ、保険料の賦課徴収、保健事業の実施等に関する市町村の役割が積極的に果たされるよう、都道府県と市町村との適切な役割分担について検討し、必要な措置を講ずることとされております。
 国では、今後、地方団体と十分に協議を行うこととしており、県としては、全国知事会等を通じて、十分意見を述べてまいります。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) まず、災害関連死についてでありますが、現在、訴訟として係争中であることから、県としては、具体的な発言は差し控えさせていただきますが、県で審査会を受託していることから、市担当弁護士等との打ち合わせや必要な資料の提出などにより支援してまいりたいと考えております。
 次に、災害関連死の認定率についてでありますが、本県においては、震災から死亡までの経過期間にかかわらず、申し出を全て受け入れることとしております。他県では、本県の取り扱いとは異なり、国が示した新潟県中越地震における審査事例を参考としているため、震災から死亡までの期間が6カ月を超える申し出が、平成25年9月末現在で、本県では全体の34.4%の235件、比較して、宮城県は11.9%の134件と少なくなっております。認定率も、震災から死亡までの経過期間が6カ月以内のケースで区切って算出いたしますと、本県では77.7%、宮城県では81.4%と著しく低いものではないと考えております。
 次に、二重ローン問題についてでありますが、個人版私的整理ガイドラインに基づく債務整理が進まない原因については、被災者に制度の内容が十分に伝わっていないことに加え、一定額の収入や資産があることにより返済が可能と判断されるケースや震災前に滞納があったことにより制度利用対象外と判断されるケースなど、利用要件が厳しいことも原因と聞いているところであります。
 本年7月の東北弁護士会連合会での決議では、被災各県において2万人近い債務者が条件変更の契約を締結し、金融機関に対し、今なお支払いを続けている現状が指摘されており、県としても、これら被災者に対し、改めてガイドラインを周知することが重要との考えのもと、先月開催された県主催の岩手県中小企業金融連絡会議においても、参加金融機関に対し、ガイドラインの利用を積極的に勧めていただけるよう要請したところです。
 県では、これまでも国に対し、個人の二重債務解消に向けた支援について、繰り返し要望してきたところであり、先月26日にも、復興庁及び金融庁に対し、現行制度の効果的な運用や法整備を含む新たな仕組みの構築について、本県の実態を踏まえて強く要望してきたところであります。
 今後とも、ガイドラインの利用促進に向けた周知とあわせ、あらゆる機会を捉え、国に対し、個人の二重債務解消に向けた支援について要望してまいります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、災害公営住宅についてでありますが、災害公営住宅の建設は、全体6、079戸のうち11月末現在で304戸完成しており、これも合わせて今年度末までに689戸の完成予定となっております。平成26年度に1、716戸、27年度に2、953戸、28年度に721戸の完成を見込んでおります。
 復興庁が10月末に公表した住まいの復興工程表においては、来年度までに県内で完成する見込みの災害公営住宅の戸数が、8月8日公表の復興ロードマップと比較して620戸減少しております。その要因としては、設計の遅延、工事の入札不調、資機材や作業員の不足による工事の遅延、造成工事の時期の精査等により工程の精度が上がったことなどが考えられます。
 おくれに対する対策といたしましては、設計施工一括選定方式や敷地提案型買取方式による発注に取り組んでいくとともに、施工確保対策連絡調整会議等を通じての円滑な工事の実施に努めてまいります。
 居住環境や生活環境につきましては、一部の比較的大規模な団地では、商業施設を併設する計画があること、グループ入居や地域住民を特定しての入居を必要に応じて行っていること、市町村が入居者の見守り等を行う場合に、その費用を県が補助する復興住宅ライフサポート事業を今年度より行っていることなどの取り組みを進めているところでありますが、市町村と連携しながら、今後とも被災者の方が暮らしやすい環境の整備に努めてまいります。
 次に、仮設住宅の生活改善についてでありますが、県では、応急仮設住宅の居住環境を適切に維持していくために、応急仮設住宅保守管理センターを設置し、建物及び設備の維持修繕、浄化槽などの保守点検を行っているほか、入居者からの相談等への24時間対応を一元的に行っているところです。
 寒さ対策につきましては、建設当初の床、外壁及び天井面の断熱に加え、外壁部への断熱材の追加、窓の二重化、風除室の設置を行い、その維持修繕に努めてきたところです。
 次に、定期点検及び相談の内容についてでありますが、梅雨期、厳冬期の前の年2回の定期点検では、主に敷地や建物の屋根、基礎ぐいなどの項目について、全団地について、外部からの目視による点検を行っております。これまでの点検では、主に強風対策のための建物固定用ワイヤーのたるみやフェンスのぐらつきなどについてふぐあいが確認されておりますが、梅雨期、厳冬期の前までに修繕対応を行っております。
 次に、日常の相談の内容といたしましては、給排水設備からの水漏れ、建具の建てつけ不良、通路や駐車場の路盤の不陸調整など、さらに外部に面した木製の階段など雨が当たる部分の腐食対策に係る依頼が多くなっているところであります。
 定期点検によるふぐあいや入居者から相談があった修繕依頼につきましては、資材や作業員の手配がつき次第、できるだけ早急に対応するとともに、長期化してきている応急仮設住宅での生活に支障が生じないよう、適切な居住環境の維持に努めてまいります。
 次に、復興事業用地についてでありますが、県事業では、10月末現在で契約予定件数を4、759件と見込んでおり、このうち相続未処理や多数共有などで取得に時間を要することが懸念される件数は1、501件となっております。
 また、市町村事業については、9月末現在で契約予定件数が約1万4、700件となっており、このうち取得に時間を要することが懸念される件数は約2、300件となっておりますが、このほかに相続調査などの権利者調査が未了なものが約6、400件ありますことから、今後、取得に時間を要することが懸念される案件は、さらに増加するものと見込まれるところであります。
 次に、大雨災害の検証と改善についてでありますが、ことしの大雨災害では、短時間で局所的な非常に強い降雨に伴う水位の上昇、そして部分的な土砂堆積等により、各河川で氾濫等の被害が生じたところであります。
 また、内水排水施設のポンプ等の管理においても、夜間に水位が急激に上昇している中で、想定した対応がとれない状況となるなど、検討課題があるものと認識しております。
 水位周知河川につきましては、流域内の人口や資産が集中する河川、過去に浸水被害が発生した河川等の指定を優先的に進めており、ことし被害のありました砂鉄川の一関市東山町の区間、松川、岩崎川は未指定でありましたが、平成16年度から、県では順次、水位周知河川の指定を進めてきており、これまでに20区間19河川の指定をしてきたところであります。
 県では、今般の被災状況や氾濫要因、過去の被害データの調査、分析に基づき、沿川の土地利用状況や上下流のバランス等を勘案した上で、国や地元と十分に協議しながら必要な対策を進めてまいります。
 現時点では、砂鉄川におきましては、国に申請しておりました災害対策等緊急事業推進費が採択され、岩崎川におきましては、広域基幹河川事業の事業区間の延長について県政策評価委員会に諮問しており、ほかの河川においても、被災の状況に応じた治水対策の手法やそれに対応した事業の導入の検討を進めているところであります。
 なお、堆積土砂等につきましては、河川巡視による状況把握に努め、緊急性の高い箇所から掘削等を進めており、内水排水施設等の管理については、操作する方の安全確保のための照明や道路の整備等について地元と調整を進めているほか、操作等に関する勉強会を開催しているところであります。
 一方、降雨の強さや継続時間等によっては、改修を行った場合でも氾濫のおそれがあることから、雨量や水位情報のさらなる周知に努めるとともに、今般、被災のありました砂鉄川や松川等の水位周知河川の指定を進めるなど、国や市町村と連携し、ハード対策、ソフト対策を組み合わせた総合的な治水対策を推進してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農産物などの風評被害対策の実態についてでありますが、農産物などの風評被害の実態の対策については、JA系統及び森林組合系統の損害賠償協議会が、これまでに、風評被害があったとして東京電力に損害賠償請求した額は約18億5、000万円となっております。
 県では、風評被害の払拭に向けて、県産農林水産物の魅力の発信や産地見学会の開催などに取り組んでおります。
 また、原木シイタケの出荷制限解除の対策と見通しにつきましては、出荷再開に向けて、汚染ほだ木の処理や落葉層の除去等に取り組んでいるほか、出荷制限解除に向けて、出荷制限地域を、ほとんどの生産者が基準値を超過している地域と基準値を超過した生産者と超過していない生産者が混在する地域に区分し、区分ごとに、それぞれの出荷制限解除に向けた検査方法等について国と協議を進めております。
 産直施設の損害賠償請求につきましては、本年10月時点で賠償請求した施設数は25施設、うち22施設に賠償金が支払われております。
 県といたしましては、東京電力に出席を求めての相談会の開催や東京電力担当者による個別訪問のあっせんなどにより、引き続き、産直施設の取り組みを支援していく考えです。
 次に、農地、治山施設の復旧状況についてでありますが、農地の復旧につきましては、国の災害査定が10月15日から順次行われており、11月29日までに査定予定件数850件余りのうち、約5割が完了し、残る5割につきましても、査定の実施班数をふやすなどの対応を行い、年内には全ての検査を完了させる予定としております。
 また、復旧工事は、災害復旧事業の査定前着工制度を活用し既に着工している地区があるほか、査定を終えた地区から順次着手することにより、可能な限り来春の営農に間に合うよう取り組んでおります。
 次に、治山施設と林地荒廃被害の復旧につきましては、緊急に対策が必要な16カ所のうち、規模の大きい8カ所は、年度内の事業着手に向けて災害関連緊急治山事業の導入を国と協議中であり、国の採択基準に満たない8カ所は、県単独事業により今年度中に復旧する予定としております。
 このほかの被災箇所につきましては、人家や公共施設などの保全対象の状況や緊急性を勘案しながら、順次、通常の治山事業で復旧に取り組んでいく考えです。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、災害防止対策についてでありますが、市町村におけるハザードマップの作成状況は、平成25年3月末現在で、洪水災害では、33市町村のうち20市町村が作成済みとなっており、およそ3分の1の市町村が未作成となっています。
 県では、今般の一連の大雨災害を踏まえ、関係機関と連携し災害対応に関する市町村との意見交換を実施したところでありますが、この意見交換の中では、浸水想定区域や避難所等をあらかじめ住民に周知するため、ハザードマップの必要性等を再認識した市町村もありました。
 こうした市町村の意見等を踏まえ、県では、市町村におけるハザードマップ作成の促進に向けて、国に対し、市町村に対する財政支援措置を講ずるよう要望したところであります。また、県といたしましても、引き続き、浸水想定区域等の指定の際に活用したデータを市町村に提供していくなど、技術的な側面から市町村を支援していくことといたしております。
 次に、市町村合併による防災力についてでありますが、今般の一連の大雨災害を踏まえた災害対応に関する市町村との意見交換において、合併した一部の市町村からは、本庁と支所との連携に不備があったとする意見があったほか、合併した市町村に限らず、災害に対応できる職員が限られているため、災害時に十分な対応ができなかったとする意見や、庁内各課や消防等との連携が不十分であったとする意見もあったところであります。
 こうした課題を踏まえ、市町村では、本庁と支所との連絡体制の見直しを行うなど、防災体制の充実に向けた取り組みが進められておりますが、県としても、一義的な災害対応を担う市町村の防災体制が充実されるよう、市町村地域防災計画の見直しや住民への情報伝達手段の整備なども含め、引き続き市町村に対し助言等を行っていくほか、市町村職員を対象とした研修や訓練の充実にも努めてまいります。
 また、被災した市町村を県としてもサポートしていけるよう、県の防災体制の見直し等にも取り組んでまいります。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) いじめ防止対策推進法についての質問にお答えいたします。
 いじめは、小・中・高等学校、特別支援学校、どの学校においても、いつでも、誰にでも起こる可能性のある問題として、平素の教育活動のあらゆる場面を通じて、粘り強く指導していかなければならない問題と捉えております。
 今般、公布、施行された法律は、児童生徒の心身の健全な成長と人格の尊厳を守るため、いじめを防止する組織を学校内に設けたり、被害者側の児童生徒や保護者に対して速やかに情報提供したりするなど、子供を取り巻く大人を含め社会総がかりでいじめ防止等に取り組むため、基本的な理念や体制を定めたものと承知しております。
 いじめの防止等に当たっては、素早く対応することはもちろん、全ての児童生徒が、互いに尊重し、認め合える人間関係を築くとともに、教育活動全体を通して、いじめを生まない、いじめを許さない土壌づくりに努めていくことが大切であると考えております。
 県教育委員会においては、平成25年8月に大学教授やスクールカウンセラーなどの専門家をメンバーとするいじめ問題等総合対策協議会を立ち上げたところでありますが、各委員から十分に御意見を伺いながら、県いじめ防止基本方針を策定するとともに、この協議会のあり方についても検討してまいります。
 次に、全国学力テストの結果公表についてでありますが、これまでは、都道府県による個々の市町村名、学校名を明らかにした公表及び市町村教育委員会による個々の学校名を明らかにした公表は行わないこととされてきましたが、平成26年度の調査より、市町村教育委員会は、それぞれの判断に基づき公表することが可能であること、都道府県教育委員会においては、市町村教育委員会の同意を得た場合には、当該市町村名または学校名を明らかにした公表を行うことが可能であると変更されたところであります。
 その際、主な配慮事項として、単に平均正答率等の数値のみの公表は行わず、分析結果や分析結果を踏まえた改善方策についても公表すること、児童生徒の個人情報の保護や学校、地域の実情に応じた必要な配慮を行うことなどが求められております。したがいまして、それぞれの市町村教育委員会において、今後、具体的な対応が検討されるものと思います。
 また、県といたしましては、配慮事項に十分留意するとともに、調査の目的である全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる、さらに、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証サイクルを確立するという調査本来の目的に沿った形で対応する必要があると考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) いじめ防止等の具体的取り組みについてでありますが、県内の公立学校全てにおきまして、職員会議等を通じて、いじめへの対応について共通理解を図った、いじめ問題に対応するため校内体制の整備など教育相談体制の充実を図った等の取り組みが行われております。
 また、教育委員会といたしましても、昨年度に引き続き、県内6教育事務所ごとに小中学校担当者への研修会の実施、高等学校につきましては、県内8地区において、生徒指導主事を対象とした研修会を実施しております。また、8月に、県内の公立、私立を含めて、小・中・高・特別支援学校の全児童生徒に対して24時間いじめ相談ダイヤル紹介カードを配布したところでございます。
 次に、教育現場の実態調査についてでありますが、平成24年4月から全県立学校において教職員の時間外勤務の状況を調査しており、平成24年度の教職員1人当たりの月平均時間は、県立高校では32.6時間となっております。また、本年度はこの調査に加え、実際に県立学校を訪問して管理職や教職員に聞き取りを行い、負担となっている勤務の実態等について把握、分析にも取り組んでいるところであります。
 学校訪問による聞き取りでは、私費会計を担当する非常勤職員の配置や部活動休養日の設定、校務分掌の統廃合などにより、教職員の勤務負担の軽減に一定の効果があらわれている学校が見られたところでございます。
 一方、部活動指導や課外授業対応、多様な事務的業務への対応など、教職員の勤務負担の軽減が容易でない事項も見られたところであり、今後、これまで行った調査等の結果を踏まえ、各種調査や会議、研修の見直しなど、特に事務的業務の効率化を図ること、優良取り組み事例の共有化などにより、学校における業務の改善を促進すること等によって一層の負担軽減に努めてまいります。
 次に、障がいのある子供たちの教育条件の改善についてでありますが、まず、特別な教育的支援の必要な生徒の増加要因につきましては、文部科学省が平成19年度に行った調査及び独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が平成21年に行った調査によれば、保護者の方々の特別支援教育に関する理解の浸透や、これまでの学習指導、生活指導、進路指導における実績への評価と期待、そして特別支援学級の増加、医療の進歩などが想定されるとされております。
 次に、国に対して設置基準を求めることについてでありますが、国におきましては、在学する子供たちの状況や施設の現状など、その時々においてそれぞれの学校が抱える課題も違うことなどから、その施設や設備について一律に基準を設けることが困難であるといたしております。
 また、県としての整備計画の策定につきましては、今後の地方財政の状況が見通せない現状にあっては、長期にわたる整備計画の策定が難しい状況にありますことから、それぞれの学校の状況に応じて対応してまいります。
 次に、教職員の配置基準の改善についてでありますが、県の政府予算提言、要望や全国都道府県教育長協議会等を通じ、教職員定数改善計画の早期策定を国に対して要望しているところでございます。
〇1番(高田一郎君) それでは、再質問させていただきます。
 まず、東日本大震災の関連についてお伺いいたしますが、被災者の生活を再建するために重要な役割を果たしている生活支援員というのは緊急雇用創出事業で対応してきました。県は来年度、事業を4割削減するということを市町村に示しているようでありますけれども、影響というものはないのかということをお聞きしたいと思います。被災者の現状というのは本当に大変になっておりまして、これからますます支援を強めていかなければならないと。絶対ケア対策というのは後退してはならないと思うんですけれども、影響についてお伺いいたします。
 次に、福祉灯油についてお伺いいたします。
 先ほど部長から答弁がありましたけれども、内陸における被災者についてはできないという理由を示してほしいという質問でありましたが、これに全く答弁がありませんでした。なぜできないのかということをお伺いしたいと思います。
 実は、盛岡市が行ったみなし仮設住宅で暮らす被災者へのアンケート調査を拝見いたしました。一番困っていることは何ですかという問いに対して、複数回答でありますけれども、35%が生活費だと。そして693世帯のうち、収入が生活保護以下で、生活用品などの支援を受けている家庭というのが116世帯、16.7%であります。まさに年金とか義援金を頼りにして、本当に不自由な生活をしていると。こういう実態を踏まえて、やはり対策をとるべきだと思うんです。そういう意味では、被災地を限定しているということは、これは明らかに差別にならないかと思うんです。その点についてお伺いしたいと思います。あわせて、内陸に広げた場合には、どの程度の人数、財源が必要なのかということがもしわかればお示しいただきたいと思います。
 住宅再建については知事から答弁をいただきました。加算支援金の延長については国に要請したいし、県の支援事業については市町村と調整したいということで、前向きの答弁と理解いたしました。
 いずれ、県の支援事業についても平成29年3月31日までというのは、明らかに期限を切ってしまえば住宅再建は進みません。ぜひ全ての持ち家再建を願う被災者を支援するという立場で、引き続き全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 県土整備部長にお伺いしたいんですけれども、釜石市の2次調査などを見ましても、災害公営住宅よりも、持ち家再建、自分の家を再建したいというほうがふえてきたという結果があります。そういう調査を見ました。やはりこの間、県とか市町村のさまざま支援措置があったために持ち家再建をしたいという被災者がどんどんふえているという結果だと思います。ただ、この間、資材の高騰とかさまざまな要因で坪単価も上がっています。消費税増税でさらに住宅再建が困難になるということも予想されるわけです。そういう中で、資材の高騰とか消費税増税などさまざまな単価が上がる要因がありますけれども、今、被災前と比べてどれだけ値上がりしているのか、そういう実態を踏まえて住宅再建に対する支援措置を国にも強く求めていくというのが大事だと思いますが、その点についての実態を把握しているかどうかを含めて答弁いただきたい。
 二重ローンについては、理事から、確かに利用条件が厳しいので公的整備を求めていきたいというお話でありました。私は、やはり持ち家再建にとって、二重ローン問題解決というのは避けて通れない大変大事な課題だと思っております。私は、ネックになっているのは収入基準が730万円になっているということだと思うんです。これから復興を進める中心的な方々である共働き世帯が二重ローンの個人版私的整理ガイドラインの対象にならないということは問題だと思うんです。そういう意味で、利用条件が厳しい、法的整備を求めるということでありますけれども、具体的にどういう点が県として利用条件が厳しいと思っているのか、具体的にどう国に対して法的整備改善を求めていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。
 それから、産直の賠償問題では、私、最近また一関市内の産直施設を訪問しました。昨年半年間の賠償請求を、半年かけてやっとこの6月に請求をしたというんです。しかし、住民票を出せ、所得証明を出せ、無理難題の要求を次々突きつけられて、いまだに賠償が実現していないという問題があります。やはり県のかかわりというのは、今、支援をするということを言っていますけれども、どういうかかわりをしているのか。具体的にどうやってこういう人たちに支援をしようとしているのか、この点について答弁をいただきたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 緊急雇用創出事業の事業費の削減による影響についてでございますが、震災後、県では緊急雇用創出事業などによりまして雇用の創出に取り組んでまいりましたが、平成25年5月以降、有効求人倍率は1倍を超え、雇用情勢は着実に改善してきているところでございます。このため、今後は、民間への就職を進めるためにも、緊急雇用創出事業は縮小する方向で考えているところでございます。
 そうした中にありましても、応急仮設住宅等に居住する方々の生活を支援する事業で緊急雇用創出事業を活用しているものにつきましては、継続の必要性を十分に認識しているところでございます。
 県といたしましては、全体の事業規模は縮小いたしますものの、被災者支援のために真に必要な事業は優先して事業費を確保し、支障が生じないよう、今後、市町村との連携を密にしてまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 被災地福祉灯油等特別助成事業費補助でございますが、この補助については、平成23年度、平成24年度と実施して、引き続き実施しようとするものでございますけれども、先ほど申し上げましたように、この事業については、東日本大震災津波により甚大な被害を受けて、財政事情が極めて厳しい中で福祉灯油を実施しようとする沿岸部の市町村を支援するということで考えております。その沿岸部の市町村が福祉灯油を実施する際に、補助対象は、先ほど申し上げましたように、市町村民非課税の高齢者世帯だとか、あるいは障がい者世帯、ひとり親世帯、生活保護世帯でございますけれども、市町村がいずれ必要と認める世帯として内陸に避難している世帯については県も対象とするという考えでございますので、被災地から内陸に避難した世帯について、今言ったような低所得者に該当する場合に、市町村が助成するということであれば県も補助の対象とするというふうに考えております。
 それから、内陸に避難した世帯の数でございますけれども、復興局の調査によれば沿岸部から内陸部に住居を移転している世帯が1、700世帯ということでございますけれども、このうち、低所得者に該当するかどうかというのは現時点では把握しておりません。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 被災者の方が切実な問題として捉えております持ち家住宅の価格の上昇についてでございますけれども、全体を網羅したような統計データというのはございませんが、岩手県、宮城県及び福島県の地域型復興住宅推進協議会がことし3月に公表した調査結果によりますと、岩手県の住宅生産者グループの平均的な工事単価は、震災の前後で坪当たり3.1万円上昇しているということを聞いております。
〇理事(佐々木和延君) 個人版私的整理ガイドラインの関係でございますが、議員御指摘のとおり、実例として、世帯の年収が700万円を超えているので、残債の返済可能ということで金融機関から断られたという実態については私どもも岩手弁護士会から聞き取りしてございます。ただ、実際、現在、債務整理が進んでございまして、今現在、相談件数は岩手県で974件で、申し出に向けて、登録専門家を紹介して準備中の件数が岩手県は47件。少ないですが、債務整理成立に向けて準備中の件数が172件ということで、徐々にではありますが、金融機関にも御理解をいただいて債務整理について進めているところでございます。
 国に対しては、復興庁及び金融庁に何度もこちらのほうでも出向いて要請はしておりますが、実態としてはなかなか芳しくないと。特に法律制定に向けてはなかなか手応えがないという感触でありますが、いずれこれは切実な問題ですので、やはり何回も粘り強く、繰り返し繰り返し金融庁等に金融機関に対する周知、指導を求めてまいりたいということでございます。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 産直の風評被害に対する支援でございますけれども、この風評被害について、県は直接風評被害を受けていないので、個々の産直施設の風評被害について直接東京電力に交渉できる立場にはございませんが、ただ、先ほど答弁申し上げましたとおり、説明会の開催、あるいは個別相談へのあっせん、さらに、個別の産直でさまざまな交渉がされるわけですけれども、それを受けての助言あるいは書類の簡素化等の全体に対する東京電力への要請、そういった形で産直の賠償請求に対しての支援を行っているという状況です。
〇1番(高田一郎君) 福祉灯油についてもう一度お伺いしますけれども、結局、内陸部も支援できるという話でありますが、住所を既に移した方は支援の対象にならないんですよね。内陸部に避難された方々は、それぞれの事情があってできないわけですよね。
 実は、内陸部の市町村の被災地支援灯油の実施予定状況を担当課からいただいたんですけれども、北上市が実施すると。それから、二戸市、金ケ崎町が実施する予定。葛巻町、九戸町が商品券で対応するとか、国や県の支援があれば実施予定が6自治体。灯油価格を踏まえて検討予定4自治体。内陸部の多くの自治体が前向きな姿勢なんですよ。だから、私は、県が決断すれば、内陸に避難されている方々に対しても支援ができると思うんです。私は、知事の決断が今、大事だと思っております。この点について知事の考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。
 次に、生活保護問題についてお聞きしたいと思います。
 親族による扶養義務が生活保護の要件でないにもかかわらず、扶養義務者の扶養を優先するという違法な文書をつくって申請を締め出しているということが今の国会で明らかになりました。我が党の小池晃参議院議員の質問によって明らかになりましたけれども、全国1、263カ所の福祉事務所のうち436カ所、34.5%の福祉事務所でこういう対応がやられているということが明らかになりました。やはり扶養義務者を優先してしまったら、申請をあきらめてしまうという実態がありますよね。つまり生活保護が必要な人が生活保護から排除されている。生活保護以下で生活せざるを得ない、これは大問題だと思うんです。
 そこで、県内市町村はどういう対応になっているのか、これについて実態を明らかにしていただきたいと思いますし、やはり違法な対応が行われているのであれば、これは是正をしなければならない問題だと思いますが、この点についてもお聞きいたします。
 それから、全国学力テストの問題について教育委員長にお聞きいたします。
 これまで県も、学力テストについては過度の競争にならないようにしなければならないという姿勢でありました。今回の文部科学省の対応を受けて、私は、公表すべきでないときっぱりと文部科学省に主張するのかなと思っていましたら、そういう答弁ではありませんでした。なぜそういうきっぱりとした姿勢に立てないのかというのが一つです。
 それから、今回、文部科学省が過度の競争にならないように配慮事項を実施要綱で示しました。これに教育委員長は留意したいと述べておりますが、本当にこの配慮事項が実施要綱で守れるのかどうかということなんですね。この点についてお聞きしたいと思います。
 それから、学力テストの効果です。そもそも公表以前に学力テストがどれだけ学習の向上に役立っているのかという点を再度改めてお聞きしたいと思います。学力テストの結果が出るのがいつの時期なのか、どう学力テストで学習の指導、改善に生かされてきたのか、この点についてもお伺いいたします。
 それから、多忙化の問題ですけれども、教育委員長から県立高校の実態を明らかにされました。平均が月32.6時間、さまざまな業務改善に取り組んでいるという話でありましたが、この調査結果を見て私も驚いたんですけれども、県立高等学校の月平均の時間外勤務は80時間以上が13.1%、100時間以上が6%ですから、13.1%の高校教諭が過労死ラインを超えるような勤務実態になっていると。厚生労働省の過労死ラインというのは80時間ですから、これは直ちに改善しなければならない、そういう問題だと私は思うんです。ぼちぼち改善するのではなく、直ちに改善しなければならない緊急の課題だというふうに私は思うんですけれども、その点について教育長の見解をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 福祉灯油を全県にということでありますけれども、過去に県内全域を対象として実施した平成19年度と平成20年度のケースでありますが、それまで1、400円、1、500円台であった灯油配達価格が1、800円台から2、300円台まで急激に、かつ著しく高騰したということで、生活弱者に及ぼす悪影響を軽減するためということで、国の特別交付税措置のもとに、全市町村を対象に灯油高騰対策緊急特別支援事業というものを実施したわけであります。
 今回、全市町村を対象とするか否かにつきましては、当時の状況を参考にしながら、灯油価格の動向や国による支援の有無、市町村の意向などを総合的に勘案して検討してまいります。
 なお、国に対しては、低所得者に対する灯油購入費助成など地方公共団体が自主的に行う灯油価格高騰対策に要する経費について、所要の財政措置を講じるように要請しているところであります。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 生活保護の扶養義務照会の関係でございますけれども、一部自治体において使用されております扶養義務照会において、親族が扶養義務を果たさないと申請者が保護を受けられないといった、扶養義務が保護を受けるための要件であると誤認されるような表現が使われていたというケースでございます。こういったものが判明しましたので、これについて国のほうでは11月8日に通知を出しまして、各福祉事務所に対して、扶養は生活保護に優先して行われるものとされております等の表現に改める、前提だというような表現があるのを是正するようにというような指示がございまして、県では、11月13日に各福祉事務所に国の内容を指示しております。
 県の状況でございますけれども、県内の福祉事務所に確認した結果、19の福祉事務所のうち、そういう誤認させるような表現のあったものは8カ所ございました。この8カ所については、11月20日までに全て改善済みというふうに聞いております。
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 文部科学省に言えないのかというふうな話だったでしょうか。言えますけれども、私1人が言ってもどうにもならないこともあるということもありますし、全国の教育委員長会議というのが年に2回あります。47都道府県が集まって、そこで文部科学省から出た施策についていろいろ意見を交わして、そこで委員長部会としての意見を言う会もあります。そこでいろいろな機会に言っております。ただ、中教審のところで議論されればそれが十分に生かせないこともあると思いますので、そのことは御理解いただきたいと思います。
 それから、この配慮事項を守れるかどうかということですけれども、守ってほしいと。守ってくれるだろうと私は思っていますし、改めてその配慮事項を紹介しますけれども、調査結果の公表に当たっては、調査によって測定できるのは学力の一部分であるということとか、それから序列化や過度の競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮する。このことは市町村の教育長だって学校長だって十分にわかるんじゃないかと思いますので、ただ、順位を公表することによって子供の意欲につながることだってあることもあるということを十分に考えてほしいと私は思っています。いずれ子供の立場に立って考えてほしいという考えであります。
 それから、学力テストは学力向上に役立っているかと。役立っていると思っています。
〇教育長(菅野洋樹君) いずれにしても、教職員の多忙化、そのために具体的に各学校を訪問して、一つ一つどうすればいいのかということを学校と一緒に考えているわけでございまして、そういう現場の実態に即した対応を教育委員会としても努めてまいりたいと思っております。
〇1番(高田一郎君) 福祉灯油についてですけれども、全県に広げられればいいんですけれども、私がお話ししたのは、被災地限定だと。内陸にも被災者がいるじゃないかと。実際に住所を移した人は全く対象にならないと。これは差別じゃないかと思っているんです。
 内陸の実態も、お伺いしますと、多くの自治体で県が支援すればやりたいと。既に独自で実施している自治体、決断している自治体もあるわけです。私は、そういう意味では、知事が決断すれば内陸の被災者にも支援ができるんじゃないかというふうにお話ししたんですが、そういう知事の決断というのはできないのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 生活保護については、これは本当に大変な問題だと私は思うんです。扶養義務といっても、嫁いだ娘に応援しろなんてことはなかなか言えないということで、申請を断念する、ためらうということがあって、実際、生活保護以下で生活せざるを得ないという状況になっているんですね。だから生活保護法で扶養義務は前提にしないということにしているわけです。この間、最長で5年、10年とこういう対応をしてきたということも国会で明らかになったんですけれども、今回の法律改正というのは、扶養義務を強化する内容になってしまうような法改正であります。そういう法改正になってしまうと私は非常に大変だと思いますので、この問題については、制度の改善をやはり強く国に求めていってほしいと思いますが、この点についてもお聞きしたいと思います。
 全国学力テストについて、教育委員長からは大変役立っているという話でありましたが、対象になるのは小学6年生と中学3年生ですよね。結果が出るのは9月以降じゃないですか。卒業する半年前に出て、どう指導、改善できるんでしょうか。学校現場からは疑問の声も上がっていますけれども、この学力テストに年間50億円、60億円と予算がつくわけですよ。だったら、やっぱり今、学校現場の声というのは、教職員をふやして、子供たちにわかるまで教えたいと。子供たちに向き合いたいと。そういうお金があったら、教職員をふやす、少人数学級にしてほしいんだという声が出て、私はそういうのは当然の声だと思うんです。教育委員長も教員を長く勤められましたけれども、学力テストは問題だと、そんなお金があったら教職員をふやせ、そういう現場の声に教育委員長としてはどう応えるのかということについてもお伺いしたいと思っております。
 教員の多忙化の問題は、何回も繰り返すようですけれども、盛岡市が7月に行った教職員の実態調査もあります。これも100時間も超えるような実態もありますけれども、高校だけではなく、小学校、中学校もそういう状況になっております。私は、ぼちぼちという対応ではなく、一刻も早い改善というものが必要だと思うんですけれども、先ほどの答弁ではちょっと頼りないなというふうに思うんですけれども、改めて多忙化解消に向けての教育長の考えをお伺いして終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 内陸のほうにいらしている被災者の皆さんについては、沿岸市町村の住所があれば沿岸市町村の福祉灯油の制度でカバーすることができるということで、また、内陸市町村の住民票を得ている皆さんに対しては、これはそれぞれ内陸の市町村も被災者支援という観点からの行政サービスをさまざま提供しているケースもありますし、また、同じ住民、当該市町村住民として低所得者向けにはさまざまな福祉をとっていると。そういう中で、福祉灯油を実施する場合には、実施主体である市町村においても負担を伴うことになりますので、これは丁寧に市町村の意向を確認しながら、灯油価格、国による支援の動向なども注視しながら対応を検討してまいりたいと思います。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 生活保護の扶養の関係でございますけれども、扶養は保護の要件ではないということは、この考え方は変わらないと国のほうでも言っておりますし、例えばその扶養義務者への通知とか、あるいは報告を求める、それから、いわゆる調査とかと入っておりますけれども、これについては、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないとか、極めて限定的にそういう取り扱いをするとうかがっておりますので、基本的な考え方を変えるものではないとは聞いております。
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 全国学力検査のことでありますけれども、例えば、きのう、PISAの結果が発表になって、日本がかなり上位に行ったという話があり、その中で、なぜなったかと。全国学力検査とか、あるいは学校で一生懸命そういう授業力向上、学力向上に取り組んだ結果だということも分析されているわけであります。例えばそういうことにも役立っている面もあると思いますし、分析結果がなかなか出ないという話もありますが、来年も4月にやるわけですので、8月かそのころには出ると思います。分析結果が出るまでもなく、学校でも、自分たちのテストをやった結果を分析しながら指導に役立てる方法もあるのではないか。それから、井の中のカワズにならないために、全国と比較しながら、どのくらいのレベルにあるか、そういうことも私は大事なことだと思っています。
 それから、教員をふやすことについては、私も同感です。世界のテストの結果、伸びたのは、少人数指導なんかの成果だということも言っていましたので、そういうことを文部科学省も言っていましたので、機会があれば、教員をふやすようにということも要望していきたいと思います。
〇教育長(菅野洋樹君) 多忙化については、私どもも少しでも改善したいと思っているところでございます。そのためには、やっぱり私どもと学校とが同じ問題意識を持って、同じ方向を向いて考えていかなければならない。そのために、先ほど申し上げた、個別の学校訪問を行って、学校と一体となって考えていく、そういう取り組みを行っているところでございます。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成25年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第39 報告第6号岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認に関する報告についてまで
〇議長(千葉伝君) この際、日程第2、議案第1号から日程第39、報告第6号までを一括議題といたします。
 議案第32号から報告第6号までについて提出者の説明を求めます。小田島総務部長。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
 議案第32号から議案第37号までの6件は、東日本大震災津波からの迅速な復興に向けて、災害復旧工事等に係る請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第5号は、岩手県新型インフルエンザ等対策行動計画の策定について報告するものであります。
 報告第6号は、岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認について報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(千葉伝君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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