平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇5番(神崎浩之君) 自由民主クラブの神崎浩之です。
 一般質問の機会を与えていただき、先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、質問してまいります。
 東日本大震災の復興を全力で進めているさなかでありますが、ことしの7月、8月、9月と、観測史上初めてと記録される大雨が襲い、自然は再度多くの被害を岩手にもたらしました。我々には何ともしがたい自然災害が襲っております。地元県南の東山町松川の床上浸水、紫波、雫石の農地被害、そして、県央玉山、そしてつなぎ温泉などの山津波の惨状を目の当たりにし、改めていかんともしがたい自然の猛威を感じております。
 世の中は無常であります。それに伴って幾多の困難があります。私は、本日、取り上げます震災復興における土地問題の複雑さ、原発事故被害解決の困難さに対し、住民や行政の皆様が解決に奔走する姿を見て、今、話題となっております、そして私が感銘を受けております皇后陛下のお言葉にあらわされ、まさしくこのお言葉を胸に抱きながら困難なことに向かっていかなければならないのであると感じております。
 知事に後から所感を求めますが、そのお言葉とは、今から15年前に国際児童図書評議会のニューデリー大会に寄せたビデオ講演であります。皇后様は、幼少期の読書体験を振り返って、読書は、人生の全てが決して単純でないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても、国と国との関係においてもと述べられております。また、橋を比喩に語って、生まれて以来、人は自分と周囲との間に一つ一つ橋をかけ、人とも物ともつながりを深め、それを自分の世界として生きています。この橋がかからなかったら、また、かけても橋としての機能を果たさなかったり、時として橋をかける意思を失ったとき、人は孤立し、平和を失います。知事も職員も、そして議員も、困難さを感じ、複雑さに耐え橋をかけていく、こういう言葉をかみしめながら質問をしてまいります。
 大きく七つの点でございますが、それでは、一つ目の質問であります。
 けさのNHKテレビでも、大槌町は20年後の人口が3、000人減るというような町長のお話がありました。それは、まず初めに住まいの問題があるということでありました。そこで、復興における今後の課題であります特に住まいについて取り上げてまいります。
 3回目のお正月を応急仮設住宅で迎える方がおられます。その中には、生活していた地元を離れ、友達と離れ、みなし仮設住宅でお正月を迎える方も多くおられます。お正月とは、1年の中でも一番家に人が集まる日ではないでしょうか。毎年、東京から孫が来るのを楽しみにしていた。しかし、岩手に行ってもいる場所がない。田舎で生活をしていて、1年に1回の唯一の楽しみが奪われるということはとてもつらいことだと感じております。
 岩手県議会同僚議員におかれましてもお二人が―いずれも自民クラブでありますが、そして県職員も何と202名が応急仮設住宅にお住まいとのことであります。その方々の一番の望みは、やはり住宅再建。それについては、土地の売買についてを質問してまいります。また、住宅が取得できたとしても大きな返済が伴うわけで、就労状況についてもお聞きしてまいります。
 被災地では、高台団地造成等の工事に順次着工しておりますが、時間の経過とともに、被災者の住宅再建の意向にも変化があらわれてきているようであります。事業を進めるに当たっては、宅地の場所―位置や広さ、完成時期などとともに、売却価格等も示しながら住民の意向をしっかり確認する必要があります。
 そこで伺いますが、浸水した区域から安全な高台に移転する事業であります防災集団移転促進事業について、知事は現状をどう認識し、課題は何であると考えているか。また、当局には具体的にお伺いしますが、浸水した地域から移転対象となる住宅の戸数はどのくらいになるのかお伺いいたします。
 さらに、今まで住んでいた浸水区域の土地を売り高台等の土地を買う、売って買う、これがスムーズにできないとほとんどの方の住宅再建が進まないわけでありますが、高台の住宅団地の場所―位置の選定や分譲価格、浸水した土地の買い取り価格の決定方法はどうなっていくのか。あわせて、移転予定者の意向把握のやり方や頻度、移転希望者が変化した場合の計画変更はどのように行われるのかを伺います。
 また、住宅が取得できたとしても大きな返済が伴うわけで、震災に伴って発生した失業者の数と現在の就労状況はどうなっているのか、また、就労意向がありながらも就職していない方がいると聞くが、その理由はどこにあると認識しているのかお伺いいたします。
 次に、二つ目の質問であります。
 これもまた復興の中でなかなか進まない課題でありますが、放射性物質の除染の推進であります。特に、焼却以外の新技術について深く聞いてまいりたいと思います。
 まず、農林分野でございますが、農林業系副産物の処理について。本県においては、汚染稲わらが平成23年7月に確認されて以降、放射性物質により汚染された稲わらや牧草、堆肥、シイタケほだ木等の農林分野における農林副産物の処理が大きな課題となっております。特に地元一関市を初め、保管をどうするのか、どのように処理していくかが大きな問題となっております。たび重なる住民説明会を行い、汚染稲わらについては市内33カ所に分け保管されているほか、牧草については、市内に二つある焼却施設のうち、大東清掃センターで住民合意を経て焼却処理が行われていたのでありますが、現在は当初の住民との合意であった計画量が終了し、次の合意に向けて中断しているところでございます。このような問題について10月の決算特別委員会でも質問したところでありますが、改めて、汚染稲わら、牧草、堆肥、シイタケのほだ木について、現在の保管状況はどのようになっているのか、また、焼却処理以外の処理としてどのような処理が行われているのか。さらに、処理が完了するまでさらに時間を要するものと考えますが、長期保管に備えた対応等についてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
 原発事故は本県の農林水産物の生産に大きな影響を与えており、その中でも現在の大きな課題は、牧草地の除染と原木シイタケの生産再開のためのほだ場の環境整備と考えております。安全な牛乳や牛肉を生産していくためには、牧草の除染について、目標面積が約1万3、000ヘクタール、11月末現在で約9、000ヘクタールについて除染作業が行われたと聞いております。しかしながら、一部の地域では、除染実施後も牧草の基準値を超過する事例が発生していると聞いております。どの程度超過する事例が発生しているのか、また、基準値を超過した牧草地について、どのように今後対応していくのかをお伺いいたします。
 また、原木シイタケの生産再開のためには、汚染ほだ木の排除、落葉層の除去や泥のはね返り防止資材の敷設等によるほだ場の環境整備を行うことが必要であります。ほだ場の環境整備についてはどの程度進んでいるのか、また、このような対策を行い、生産を再開していくためには生産者の負担を軽減化していくことも必要でありますが、生産者の経済的な負担はどうなっているのかお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、生活環境分野における除染の課題と対応についてでありますが、内陸南部における生活環境分野における除染については、特にも県内陸南部においてはなかなか作業が進まず、住民が不安から解消される道筋がなかなか見えてこない状況であります。知事は、現時点における状況と今後の取り組みについてどのように認識しているのか、まずお伺いいたします。
 奥州市、平泉町、一関市では、放射性物質対処特措法に基づき、除染実施計画を策定し、現在、生活環境における除染に対応しているところでありますが、3市町全体の生活環境分野における除染の進捗状況について、学校や公園等子供が利用する施設、公民館等公共施設の状況、ホットスポットも含めた住宅や事業所の状況、側溝から出された土砂の処分の状況についてお伺いいたします。また、県内の除染実施計画地域以外の地域において、こうした各分野における問題はないのかあわせてお伺いいたします。
 現在、農林系副産物の処理として、国の補助事業によります焼却処分が行われているところでありますが、この焼却処分の課題について、当局はどう認識しているのかお伺いいたします。
 また、県内における放射線影響に関する状況が変化している中、市町村の現場における技術的な課題に対応するため、焼却以外の処理方法について、原発放射線影響対策本部で実施しております放射性物質除去・低減技術実証事業の取り組みについてお伺いいたします。
 三つ目の質問であります。
 委託事業等の評価について、ただいま決算審査中であります緊急雇用創出事業における岩手県と山田町、NPO法人の事件、また、県の障がい保健福祉課が岩手県社会福祉協議会に委託した障がい復興支援センター事業の問題が明るみになってきております。私も昨年から委員会で取り上げているわけでございますが、先輩、同僚議員のさらなる調査、質疑により、問題がさらに深刻に、明るみになってきております。当局には、私も以前から事業の内容や推進状況や内容の評価についてただしてきた経験と照らし合わせても、行政の事業の評価方法、実施後の結果の検証のやり方には疑問を感じているところであります。出納局、それから監査委員事務局等にお伺いしておりましたが、お金の支出の手続の適正化についてはよく議論なされておるわけでございますが、今回の質問は、特に、ソフト面の事業の評価についてであります。
 例えば、今回の障がい復興支援センターの事業は、約5億円の震災復興のお金がつぎ込まれておりながら、職員の交通費の不祥事もあったわけでございますが、内容の成果として、本当にこの5億円が障がい者のためになっていたのか、障がい者の支援になっていたのか、いまだ多くの疑問を持っているところでございます。
 知事のこの事業に対する評価は、適切に行われたというような答弁ではありましたが、道路をつくる、建物をつくるというようなハード事業については、目に見える形ではっきりしており評価もしやすいところでございますが、これは直営の事業でもそうでありますが、各課共通の課題でもありますが、例えば、保健福祉分野などでは、ソフト事業が多く、科学的にしっかりとした評価がなされず、おざなりになっているのではないかと強く感じております。
 そこでお伺いいたしますが、今回問題となっている補助事業や委託事業のケースを踏まえ、県の事業、政策評価制度のあり方についてどう認識をしているのか、見直す考えはないのか、知事の御所見をお聞きいたします。
 四つ目の質問であります。防災体制、防災意識の向上について。
 被災地の消防団の被災状況と対応についてでありますが、東日本大震災津波において、消防団員は、みずからも被災しながらも献身的に活動してきたところであります。同時に多くの消防団員が、活動中に犠牲になったわけでございます。消防屯所など消防団の施設も甚大な被害をこうむったところであります。
 被災地の消防団員は、活動中には90名の団員が犠牲になられ、しかし、登録は118名の消防団員が亡くなられております。婦人消防協力隊も、活動中では1名ですが、107名の登録している婦人消防協力隊員が亡くなられております。
 消防団員、施設の被災状況、その後の復興状況や被災した消防団員への補償の状況についてお伺いいたします。
 また、消防団は、地域に密着した組織であり、地域の防災体制や防災意識の向上に向けて、その果たす役割は大きいものであると考えますが、その充足状況や報酬等の処遇等について、本県消防団の課題、消防団の充実強化に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 次に、県立総合防災センターの充実についてでありますが、このセンターは、昭和61年の開館以来、県民の防災意識の向上のために、館内での展示や防災指導者を活用した普及活動を実施しております。私は、特に東日本大震災津波の経験、記憶の継承や教訓を生かした防災意識の継続的な普及活動が、今後ますます重要となってくると考えます。
 これまでの利用状況について、特に震災前と震災後と比較してどうなっているのか、今回の震災を踏まえ、今後の充実に向けた課題や対応についてお伺いいたします。
 次に、五つ目の質問でありますが、大雨被害の河川等の対応状況についてであります。
 ことしは、7月から9月にかけて県内各地で局所的な豪雨災害に見舞われました。今後の治水対策を検討するに当たっては、多くの議員が今回、一般質問でも取り上げております。
 今回の洪水被害についての検証を行うことが極めて重要でありますが、特に7月の豪雨により大きな被害を受けた砂鉄川についての検証はどのようになっているのか、また、検証結果が出ている場合にはどのような内容になっているのか、お示しをお願いいたします。
 また、砂鉄川の洪水被害の原因としては、水門の管理や河道内の土砂、立ち木等の問題を指摘しているところでございますが、このことについて9月定例会の決算特別委員会でも指摘したところでありますが、その後、水門の管理、越流箇所のかさ上げ、河道の改修等について、どのような対応を行っているのかお伺いいたします。
 六つ目の質問といたしまして、高齢者介護体制、介護保険制度の見直しであります。
 昭和38年からの老人福祉法から平成12年の介護保険法の導入は、日本の福祉の歴史の中で大きなエポックであった。介護保険法は、走りながら考える、また、不備のままスタートするという画期的な法律であり、ゆえに3年ごとに見直しが行われておりました。消費税導入の議論の中での新たな社会保障のあり方の検討が行われる中、社会保障制度改革国民会議の報告を受け、社会保障審議会介護保険部会において検討が進められ、先週、意見(素案)が示されたところであります。まだ正式決定ではありませんが、要支援者への対応等、被保険者、利用者にとって、また保険者、市町村にとって、現時点でも大きな混乱が予想されております。
 そこで、その内容や危惧されることとして、施設の入所基準が厳しくなるのではないか、利用者負担が上がるのではないか、要支援者への対応について、また、それらの実施に向けてのスケジュールがどうなっているのか、また、県の役割、今後の課題についてお伺いいたします。
 あわせて、地域包括ケアシステムの構築も掲げられておりますが、これは、現在もやらなければならないことでありまして、私は一般質問でもずっとただしてまいりましたが、県として市町村を支援していると答弁はいただいておりますが、なかなか進んでおらず、具体的な市町村への支援がない現状であると認識しております。
 地域包括ケアシステムの現状と課題、県の支援状況はどうなっているのかお伺いいたします。
 最後の質問であります。大人社会におけるネットいじめ対策について。
 サイバー犯罪、ネットいじめ等の犯罪があり、また、これらをきっかけとした、特に女性が被害者となる犯罪が毎日のように報道されております。
 そこでお伺いいたしますが、ホームページ、SNS、LINE、画像、出会い系サイトを利用したサイバー犯罪に関する相談の現状はどうなっているのか、また、そのうちネットいじめに該当するような名誉棄損や誹謗中傷の相談状況は全国的にはどうなっているのか、特に、本県における相談及び対応はどうなっているのかお示し願います。
 また、カナダでは痛ましい事件があったわけでございますが、それを受けて具体的な法制度の整備を進めているところであります。国、県においては、どういう動きがあるのか、あわせてお伺いいたします。
 最後に、迷惑防止条例についてであります。
 今、岩手県の迷惑防止条例の見直しの内容が、全国でも話題になっているところでございます。現時点での見直し案とそれらの狙いについてをお伺いいたします。
 以上、この場からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 神崎浩之議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、冒頭、皇后陛下の読書に関するお言葉についての所感を求めるという御質問をいただきました。
 皇后陛下は、東日本大震災津波発災直後に、三月ひなのつきという本を岩手の被災地の子供たちにということで送ってくださったということを記憶しております。戦後まだ間もない日本が舞台になり、たしか、母一人、子一人―娘一人で暮らすその女の子が、3月、おひな様が欲しい、そのおひな様をさあ買おうかというような話と記憶しておりますけれども、戦後まだ間もないころであります。さまざま悲しい状況、また苦しい状況、そうしたことがあるわけですけれども、ただ、その悲しさや苦しさというものが、自分の底力を引き出していくことにつながり、また、母と子を初めとする人と人とのきずなというものにつながる。人生において、悲しく苦しいということと人生の幸せということが紙一重であるという、まさにそこが、人生が決して単純ではない、その複雑さに耐えて生きていかなければならないということ、被災直後にも私たちにそういうことを直接お届けくださっていることに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 そして、一方、その境地というのは、ある意味、宗教的な境地であり、行政としては、やはりそういう悲しい状況、苦しい状況をなくすように、事業を着実に前進させていかなければならないと考えております。
 続いて、防災集団移転促進事業の現状と課題についてでありますが、10月末現在、県内で予定されている53地区全てで国土交通大臣の同意を得ており、そのうち、およそ半数の25地区で工事に着手し、4地区では、一部において宅地造成工事が完成しています。工事に着手する地区が着実にふえてきている一方で、団地への移転希望者数の変化も見られますことから、住民の意向を踏まえた団地計画に見直しながら、着実な事業執行が図られるよう支援していく必要があると認識しております。
 事業の実施に当たりましては、土地の境界確定や相続の未処理等により一部地区において用地取得に時間を要していること、高台団地の宅地造成工事により発生する土砂の活用先や仮置きヤードの確保が必要なこと等が課題となっています。また、今後、浸水区域の買い取り後の移転跡地について、具体的な活用を検討していく必要があります。
 県としては、国に提案した事業用地確保の特例制度の実現に向けて取り組んでいくとともに、施工確保対策連絡調整会議等を通じて円滑な工事進捗を図り、被災された方々が、早期に住宅再建ができるよう支援してまいります。
 次に、生活環境分野における除染の課題と対応についてでありますが、内陸南部の一関市、奥州市、平泉町では、これまで、学校、公園など子供が利用する施設や公民館など公共施設を優先して除染を行ってきたところ、おおむね放射線量が毎時0.23マイクロシーベルトを下回っており、これらの施設では除染が終了したものと考えております。
 また、3市町では、住宅及び事業所の除染についても取り組んでおり、本年度末には、これらについても除染がおおむね終了する見通しとなっております。
 このように、一般住民の生活空間の除染は進んでおりますが、一部、除染に伴う廃棄物の処理など課題も残っていると認識しております。
 これまで、県では、除染促進のため県独自の財政支援や住民説明会への県職員の派遣を行っており、今後も、県南3市町と連携し、課題解決に向け取り組むとともに、引き続き国に対し、財政支援の拡充などを要望してまいります。
 次に、評価制度のあり方についてでありますが、本県の評価制度の中の事務事業評価におきましては、上位施策の目標を達成するため、事業の内容と成果について目標値を設定し、その達成度に基づいて当該事業の有効性等を評価するとともに、達成できない場合の原因や課題を整理した上で見直しを行うというPDCAサイクルを機能させるよう努めているところであります。
 このように事務事業評価は、成果重視による行政運営を主な狙いとし、事業内容が委託や補助などの形態にかかわらず、目標の達成度を中心に評価しています。
 このうちソフト事業については、事業結果が直ちに県民が享受する結果としてあらわれにくいわけですが、事業内容に応じて、できる限り成果が測定できるような客観的な指標を設定するように努めているところであります。
 今後におきましても、今般の事案を参考としながら、事業実施に当たって、目的に適合する目標をより明確に設定するとともに、事業成果を適切にあらわす指標の設定に努め、より的確で利用価値の高い事業の評価に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、防災集団移転促進事業において移転対象となる住宅についてでありますが、この事業では、災害が発生した地域または災害危険区域のうち、住居の集団移転を促進することが適当と認められる移転促進区域を定めることとされており、10月末現在、対象となる住宅戸数は7、700戸余りとなっており、このうち3、600戸余りが、高台造成地への集団移転を希望されております。
 なお、残る4、100戸余りは、防災集団移転促進事業による造成地以外の場所での自力再建や災害公営住宅への入居等を希望されているところであります。
 次に、防災集団移転促進事業の計画変更等についてでありますが、高台の住宅団地の位置につきましては、事業主体である市町村が、それぞれの復興計画に基づき、計画段階から住民と意見交換を重ねながら、安全性、利便性、地形等を考慮し選定しているところであります。
 整備した団地の分譲価格や浸水した移転元の宅地等の買い取り価格は、市町村が不動産鑑定評価額等を参考に設定した価格とされております。
 移転希望者の意向につきましては、各市町村において、計画策定、設計等の事業の進捗に応じて行われているアンケート調査や個人面談、説明会等を通じて、その把握に努めているところであります。こうした中で、移転希望者の意向の変化等により計画変更の必要が生じた場合は、随時、事業計画の変更手続を行っていくこととなります。
 なお、総事業費の20%未満の変更の場合は、軽微な変更となり、手続が簡略化されているところであります。
 県といたしましては、今後とも、住民意向を反映した住宅団地の整備が早期に進められるよう、引き続き支援に取り組んでまいります。
 次に、砂鉄川における洪水被害の検証についてでありますが、県では、一関市や下流区間の河川管理者である国と連携しながら、降雨の解析、浸水範囲や浸水の程度などの現地調査、水門等の操作状況などについての聞き取り調査、河道内の土砂の堆積状況の測量調査などを実施し、被災の検証を行ったところであります。
 この結果として、千厩雨量観測所における3時間の降雨が114.5ミリメートルであったように、短時間のうちに非常に強い降雨があり、河川の水位が急激に上昇したこと、また、過去の中小洪水による部分的な土砂の堆積や河道内の立ち木の繁茂により河道の流下能力が低下し洪水の水位が高くなったことなどが明らかになったものと考えております。
 また、これらのことが夕刻から夜間にかけて生じており、水門管理など想定していた対応がとれない状況になっていたということも認識しております。
 さきの決算特別委員会で御指摘のありました課題への対応についてでございますが、県では、一関市や下流の河川管理者である国土交通省と連携、調整しながら、可能なものから順次対応してきております。
 具体的には、治水施設整備事業などにより対策を進めており、堤防からの越流箇所につきましては、9月中旬にかさ上げ盛り土工事を終了したところであります。また、河道内の立ち木伐採は11月末に終了しております。堆積土砂の撤去は10月末に着手し、現在、鋭意進めているところであります。水門操作場への照明の設置や待機場所の確保などについては、現在、設計や工事発注手続を進めているところであります。
 これ以外の対応が必要な事項についても、継続して取り組んでまいります。
 なお、一関市東山町松川地区の屈曲部の改善を行うために、国に申請しておりました災害対策等緊急事業推進費がこのたび11月末に採択されたところであり、これらの事業も活用しながら、砂鉄川沿川の再度の災害防止に向けた対策を進めてまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 震災に伴う失業者の就労状況についてでありますが、震災に伴って発生した失業者数を雇用保険被保険者数の変化で見ますと、沿岸4安定所分で、平成23年2月と同年4月を比較すると9、782人減少したところでありますが、平成25年10月には、同じく平成23年2月と比較して2、546人、4%増加しており、震災直後に多数の失業者が発生しましたが、現在の被保険者数は震災前を上回っているところです。
 また、現在も仕事を探している方の事情につきましては、ハローワーク窓口での聞き取り等によりますと、応急仮設住宅入居による転居や家族の世話などの生活環境の変化、あるいは希望する職種や条件に合う求人がないなどがその理由となっております。
 今後とも、関係機関と連携し、就職相談や面接会の開催など、就職に向けて支援を行ってまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農林業系副産物の処理についてでありますが、一時保管につきましては、牧草や稲わらは、各農家や地区ごとにパイプハウスなどの施設で、堆肥は、各農家や堆肥施設で、また、シイタケほだ木は、ほだ場周辺の山林内や保管施設で保管されております。
 また、焼却処理以外の処理につきましては、国は、農地へのすき込み、還元施用、地中保管、堆肥の水分調整用資材としての処理を可能としておりますが、県では、平成24年11月に策定いたしました放射性物質により汚染された廃棄物等の焼却処分等に係る対応ガイドラインに基づき、現在は焼却処理を推進しております。
 また、長期保管に備えた対応につきましては、焼却処理までに長期間を要し腐敗が懸念される牧草について、保管量が多い一関市や金ケ崎町では、乾燥、圧縮処理により安定した保管を可能にするペレット化を進めております。
 次に、牧草地の除染等についてでありますが、牧草地の除染実施後も暫定許容値や酪農における基準値を超過した事例につきましては、11月までに検査を実施した1万1、934圃場のうち2%の圃場で超過が確認されており、それぞれの圃場ごとに超過要因を検討した上で、2回目の除染作業内容を決定し、作業に着手しております。
 また、ほだ場の環境整備につきましては、指標値を上回ったほだ木のうち約341万本の一時保管が終了しており、ほだ木の一時保管が終了したほだ場から、順次、落葉層の除去やはね返り防止資材の敷設を進めておりますが、できる限り早期にそれぞれのほだ場の環境整備が進むよう取り組んでまいります。
 なお、ほだ場の環境整備に要する経費につきましては、県が市町村に全額補助し、市町村が事業主体となって進めており、また、生産再開に向けて、簡易ハウスの導入等の支援にも取り組んでおり、引き続き、生産者の経済負担を考慮しながら産地の再生を図っていきたいと考えております。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 生活環境分野における除染の進捗状況についてでありますが、一関市、奥州市、平泉町の3市町では、これまで各市町の全域において、子供が利用する施設として、学校、保育園など242施設、公園、スポーツ施設302施設や公民館などの公共施設86施設について優先して除染してきた結果、除染を予定していた施設について、除染を終了したところであります。
 また、住宅や事業所の除染の進捗状況については、現在、一関市において、敷地内で平均的に放射線量が高い住宅や事業所21件の除染を行っているほか、3市町とも全域で、地域の住民の方々の協力を得ながらホットスポットがある住宅等の除染を進めてきており、平成26年3月末までには除染を完了する見込みとなっております。
 道路側溝の土砂や汚泥等については、一時仮置き場の設置について住民理解が得られるよう努力をしているところですが、現時点では撤去や処理が進んでいない状況にあります。
 次に、除染実施計画地域以外の地域の状況についてであります。県では、県内全域で放射線量の低減を図るため、平成23年度に、県内市町村や私立学校等に対し、放射線量の調査事業や放射線量が高い施設の除染事業に対し補助制度を創設したところであります。
 これまで、放射線量の調査事業が675施設、除染事業が142施設において活用され、現時点において、除染実施計画地域以外の地域の生活環境において放射線量が高い地点はなく、問題はないと考えております。
 道路側溝の土砂や汚泥等については、県南3市町以外の市町村ではほぼ通常どおりの処理が行われているとお聞きしております。
 次に、焼却処分の課題についてであります。
 焼却後の焼却灰の汚染濃度が高くならないよう生活系ごみと混合焼却する必要があるため、処理が複数年にわたる市町村等があることや、処理施設周辺の住民理解を得ることが課題となっております。
 国の財政支援については平成26年度概算要求に盛り込まれたところではありますが、市町村において処理が完了するまでの間、財政支援を継続するよう引き続き国に対し要望するとともに、市町村と連携し、課題解決に努力してまいります。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、放射性物質除去・低減技術実証事業についてでありますが、原発事故から2年8カ月が経過し、県内における放射線量は減衰傾向にあり、また、県南3市町を中心に除染は計画的に進捗していると認識しています。
 一方、身近な生活圏の除染や、除染に伴い生じた廃棄物及び道路側溝汚泥の処理など、市町村ごとに抱える課題も変化してきており、この事業は、これらの課題に的確に対応するため、市町村と密接に連携を図りながら、情報収集や必要な実証試験等を行っているものであります。平成25年度は、道路側溝汚泥を対象とした技術や、原木シイタケほだ場の管理に関する技術、さらには、生活圏等の放射線量低減に関する技術などを重点課題として取り組んでいるところであります。
 この実証試験等の実施に当たっては、外部有識者による評価を行い、結果について市町村や生産者に提供し情報を共有しているほか、あわせて県ホームページにおいて公表しているところでありますが、今後、効果が認められる技術については、市町村と調整の上、具体的な事業の導入につなげてまいります。
 次に、被災地の消防団の現状と課題についてでありますが、今回の震災における消防団員の被災状況は、水門閉鎖中に2名、水門閉鎖後の避難誘導や救助活動中に46名など、90名の消防団員が消防活動中に殉職されており、消防団の施設等においても、11市町村で96カ所の消防団詰所が流失、全壊したほか、9市町村で42台の消防車両が失われるなど、甚大な被害をこうむったところであります。
 消防団の施設等については、消防団詰所は昨年度までに5市町村で10カ所が復旧したほか、今年度も5市町村17カ所が復旧する見込みとなっており、現在、仮設施設で対応している詰所についても、今後、市町村のまちづくりに合わせて順次復旧していく見通しになっています。
 なお、消防車両については、昨年度までに現状での活動に支障がない台数を確保しており、おおむね今年度で復旧する見通しであります。
 また、被災した消防団員への補償の状況でありますが、殉職された90名全ての方に特殊公務災害が適用され、損害補償や賞じゅつ金の支給が行われているところであります。
 次に、本県消防団の課題と消防団の充実強化に向けた取り組みについてでありますが、平成25年4月1日現在における本県の消防団員数は2万2、524名であり、市町村が定める条例定数2万6、287名に対し85.7%の充足率となっています。また、市町村の条例に基づき支給される報酬、出動手当については、一般団員における県平均額で、報酬の年額が2万3、155円、火災への出動手当が1回の出動につき2、063円となっています。
 消防団員数は、少子高齢化や住民意識の変化等に伴い年々減少する傾向にあり、新規団員者を確保し、活動を活性化していくことが大きな課題と認識しております。このため、消防団員の意識高揚、資質向上、市町村や関係機関と連携した新規入団者の確保等に引き続き取り組むとともに、消防団に対する地域住民の理解促進や、女性や事業所など多様な主体の消防団活動への参画、自主防災組織等との連携強化等に努めてまいります。
 次に、県立総合防災センターの利用状況と充実に向けた課題や対応についてでありますが、県立総合防災センターの利用状況は、平成22年度が1万1、218人であり、平成23年度は震災の影響により7、687人と大幅に減少したものの、平成24年度は9、316人と増加しております。
 このセンターは、開館以来27年が経過し、設備の老朽化に伴う修繕費が増加する傾向にあるとともに、現在、東日本大震災津波発災時のパネル展示はあるものの、多くは阪神・淡路大震災を踏まえて平成8年度に更新したままとなっており、展示内容の見直しや充実が課題となっています。したがいまして、老朽化した設備を計画的に修繕するとともに、東日本大震災津波の教訓等を踏まえた展示コーナーの設置など、展示内容の見直しやセミナーの開催等を行い、震災の記憶と教訓を伝承し、県民の防災意識の高揚を図ってまいります。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、介護保険制度の見直しについてでありますが、現在、国において、特養への入所を原則要介護3以上に限定する、利用者負担を、一定以上の所得のある方は2割とする、要支援の方の予防給付のうち、訪問介護、通所介護サービスを市町村事業へ移行するなどが検討されております。スケジュールについては、来年の法律改正を経て平成27年度から順次移行し、最終的には平成29年4月までに全市町村で移行する予定とされております。
 県としては、おのおの制度改正が円滑に実施されるよう、市町村等を支援していくことが求められると認識しておりまして、今般の制度改正により市町村の役割がさらに大きくなるということもございますので、市町村事業への円滑な移行に向け、十分な準備期間の設定などについて全国知事会を通じて要望しているところであり、今後とも、検討状況を注視しながら、必要な措置を国に要望していきます。
 次に、地域包括ケアシステムについてでありますが、県では、高齢者が要介護状態となっても住みなれた地域で暮らし続けられるよう、平成37年度を目途に、全市町村での地域包括ケアシステム構築に向け必要な支援を行うこととしており、この一環として、今年度、市町村と地域包括支援センターの実態調査を実施いたしました。その結果、医療と介護の連携のシステムがない、地域ケア会議の機能が十分に活用されていないなどの現状と課題が明らかとなりました。
 県では、これらの課題に対応するため、平成37年度までの市町村の取り組みや県の支援策をロードマップとして取りまとめ、10月に市町村に示したところです。現在、県による支援の具体化として、医療、介護連携の仕組みづくり支援、地域ケア会議の活用推進などの支援を検討しているところであり、今後とも各市町村の状況に応じたきめ細かな支援をしていきます。
   〔警察本部長田中俊恵登壇〕
〇警察本部長(田中俊恵君) まず、サイバー犯罪等に関する相談の状況についてでありますが、警察安全相談におけるサイバー犯罪等に関する相談件数は、平成24年中、全国で約7万8、000件、そのうち、名誉毀損、誹謗中傷等に関する相談件数が約1万件となっております。また、当県内では、本年10月末現在でサイバー犯罪等に関する相談件数は1、341件、そのうち、名誉毀損、誹謗中傷等に関するものは175件となっており、前年同期に比べ、相談件数全体は112件の増加ですが、名誉毀損、誹謗中傷等に関するものは1件減少しております。
 県警察におきましては、インターネット上の掲示板や電子メールにより誹謗中傷を受けたり個人情報を公開されるといった事案については、問題の書き込みを削除する手続の教示や被害防止に関する支援など、相談者の意向に沿いながら対応するとともに、名誉毀損や脅迫等、刑罰法規に触れる行為があった場合には検挙するなど、個々の状況に応じた対策をとっております。
 また、こうしたトラブルに巻き込まれないよう、インターネット上での個人情報の取り扱い方法やサイバー空間に潜む危険性について周知するため、児童生徒、保護者及び教育関係者を対象にサイバーセキュリティカレッジを開催するなど、情報モラルに関する意識啓発活動を推進しております。
 次に、法制度の整備等についてでありますが、カナダにおいて、インターネット上に他人に見られたくない画像が載せられたり悪口を書き込まれたりするネットいじめを取り締まる法律を制定しようという動きがあることは報道の範囲内で承知しております。我が国において同様の法律の制定に向けた動きがあるかについては承知しておりませんが、警察におきましては先ほど申し上げましたような対策を講じておりますほか、児童生徒間のネットいじめにつきましては、本年9月に施行されたいじめ防止対策推進法においてインターネットを通じて行われるいじめも対象となっており、今後、同法に基づく対策が講じられるものと考えております。
 次に、迷惑防止条例の見直し案等についてでありますが、近年、スマートフォンのシャッター音を無音化するアプリが悪用されるなど、女性を狙う盗撮行為が悪質、巧妙化しているほか、電子メールの連続送信による嫌がらせ行為等、現行条例では対処できない事案が発生しております。
 そこで、ストーカー規制法の改正や全国の迷惑防止条例の規制実態に照らして、本県の迷惑防止条例についても、盗撮目的でカメラ等を下着等に向けて差し出す行為自体を禁止すること、条例による規制の対象となるつきまとい行為等に電子メールの連続送信等を追加するなど、つきまとい行為等の範囲を整理、類型化すること、罰則を全国レベルに引き上げることなどの見直しを行い、県民生活の平穏と安全を確保しようとするものであり、来年の2月定例会に上程する予定で改正作業中でございます。
〇5番(神崎浩之君) まず、住宅再建についてお聞きしてまいります。
 これから個別具体的に進んでいくわけでございますが、一番心配なのはやはりお金の件でありまして、売ったお金で次の土地が買えるのかなというような心配をされております。売買の件でありますが、先ほど、評価については不動産鑑定を参考にということなんですが、その不動産鑑定等についてもう少し詳しく教えていただきたいと思います。
 もちろん新しい高台の不動産鑑定であるでしょうし、それから、今までの浸水地の評価について非常に心配しているところであります。お金の妥当性についても、第三者評価、第三者委員等を活用してということでありますけれども、この第三者委員についてはどういうふうな方々がなっていくのかということについてお伺いしてまいります。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 土地の売買単価を決定するための不動産鑑定についてでございますけれども、一般には不動産鑑定士の資格のある方でございますけれども、不動産鑑定士の方々にお願いをして価格を決定する。参考としていろいろ評価をしていただくということで、最終的には事業者が価格を決定するというふうな流れになっております。一般的には、近傍の取引事例等を参考にしながら、売買対象の土地の利便性、形状等について評価をして当該地点の価格を設定していくというふうなやり方で決められているものが多いという状況でございます。
〇5番(神崎浩之君) 心配なのは、売った値段と買う値段がどうなっていくのか。大きな差が出たらなかなか進まないのではないかと思っております。そこで、そういうふうな事態というのは想定されないのかどうか。
 それから、買って移るほうが早いような気がするんですけれども、そうした場合、買うお金の費用が最初に出ますよね。そして、売る分については、境界がなかなか確定しないとか土地所有者の関係もあると思いますが、そういうタイムラグみたいなことも起こるようなことが想定されるのか。
 それから、こういうことに対して、売って買うということなんですけれども、高齢者とか、高齢者にかかわらず若い人もそうなんですが、例えば自分が持っている土地についてはこうだ、そして借金がこうだ、そして今度買うときはこうだというふうなことで、やはりコーディネーターというか相談員、そういう方がいないとなかなかどうすればいいのかわからないんじゃないかなと。特に高齢者なんかはそうなんですけれども、境界の件もあるし権利もあるしというふうなこと、そう思っているんですが、こういうことはあくまで個人の問題として対応するのか、それとも市町村なり行政なりがおのおのの個別の件の状況、条件についても相談して円滑に進めるような体制を組んでいただけるのかあわせてお伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 防災集団移転促進事業に伴う高台の分譲についてでございますが、私どもが確認している範囲では、現時点ではまだ高台造成として分譲されたものはございません。一方で、浸水エリアについては一部の市町村で一部買収を始めているという状況でございます。そういうことを考え合わせますと、売買のタイミングというのはそれぞれの市町村の事業の進め方によって変わってくると考えておりますので、一概に高台の買収のほうが先になるということではないのだろうと思っております。
 あと、個人で売り買いするのかということについてでございますが、基本的に防災集団移転促進事業は市町村の事業として行われます。そういうことでございますので、移転促進地域、浸水エリアの買収あるいは高台の分譲、場合によっては借地も可能でございますけれども、それらは全て市町村が主体的に行っていくものでございますので、例えば御高齢の方がお一人で不動産屋と何かをするということではなく、きちんと行政がケアをしながら進められていくということで考えております。
〇5番(神崎浩之君) 二重ローンも含めてさまざまな問題を抱えながらということでありますので、ぜひ今言われたとおり、市町村がケアしながら進めていっていただきたい。
 それから、新聞報道では、大船渡を初め、高台移転の中止の記事が出ておりましたけれども、そういうことというのはほかにもあるのかどうか。大きい中止もあるでしょうし、小さい範囲の中での移行の変更とか調整なり、そういうことというのはどういう実態なのかお聞きします。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 防災集団移転促進事業は53地区で今、進められておりますけれども、今、御指摘ありましたように、大船渡の甫嶺地区では中止になる方向で動いているところでございます。それは、5戸という要件がございまして、5戸を下回ったがために甫嶺ではこの事業ができないということでございます。
 そのほかの地区につきましては、同じように戸数の変更はそれぞれございます。やはり被災者の方も、自力再建できるのか、あるいはどこに住まわれるのかということについては迷われる部分も相当あるんだろうと思います。
 いずれ事業を進めていく中で、被災者の皆様方の御意向をしっかり把握しながら、必要な地区に必要な区画数を、意向をしっかり反映しながら整備していく必要があると思っております。そういう意味では、これからもそういう変更は、各地区で、大規模かどうかは別にしてあろうというふうに思っております。
〇5番(神崎浩之君) いろいろな課題があって、最初の意向どおりにいかないということはやはり今後もあり得ることだと思いますけれども、ぜひケアをしながらやっていただきたいと思っております。
 次に、放射性物質の除染についてでありますが、特に焼却には大きな課題があると思っております。焼却以外の方法について推進すべきだと思っておるわけですけれども、一関の牧草についても、当初、試験焼却ということでやっておりましたが、途中で基準が変わりまして、当初の予定数は焼却を御理解いただいたわけですが、基準が変わってからのふえた分については、やはりまだ住民の合意が出ておらなくて、とまっているという状況であります。
 これに対して、農林系の処理について今後どうしていくのか。それから長期保存の件ですね。やっぱり一時保管についても、3年という約束の中でほとんど行われているわけですが、その3年というのをいよいよ来年は迎えるということに当たって、県としてはどういうふうに市町村を支援していくのかお尋ねしてまいります。
〇環境生活部長(風早正毅君) 焼却処分以外の方法もということでございますが、先ほど農林水産部のほうからもお話ございましたとおり、基本的にはまず、マニュアルにも書かせていただきましたとおり、焼却を基本的には進めていきたいと。ただ、今、議員から御指摘いただきましたとおり、焼却についても、やはり単年度で終わることが非常に難しい状況というのもございます。この点につきましては、引き続き、環境省が現時点では国庫補助事業、それから裏負担についても交付税措置ということで対応がなされているわけですが、これについて、来年度以降も継続するように求めているところでございます。現時点で、平成26年度―来年度の概算要求には入れておりますけれども、引き続き来年度以降についても継続して求めていきたいと考えております。
〇5番(神崎浩之君) さまざまな汚染物質があるわけですが、一番市町村で困っているのは土だという話であります。これは焼却できないと思っているんですけれども、この土、それから側溝の土砂についてこれからどうやっていくのかということであります。これは環境生活部にも聞きたいところなんですが、それから総務部の実証事業について、お二方から聞きたいところでありますが、この側溝の土砂、それから宅地等の土砂については、これもまた行き場所がなくて、どういうふうなことで市町村を支援していくのか。
 それから、土、土砂について除染をする新技術というのはどういうふうになっていくのか。先ほど総務部から幾つか焼却以外の除去の実証事業の取り組みで効果があるものがあるようだという話があったんですけれども、実際に市町村では具体的に進められているのかについてお伺いいたします。
〇総務部長(小田島智弥君) 私からは、先ほど御答弁を申し上げました新しい技術について市町村で実際に使われているのかということについてお答え申し上げたいと思います。
 平成24年度に、この事業におきまして、いろいろな公募によって実証試験を行ったところでございます。例えば道路舗装面での洗浄による道路の除染ですとか、先ほど議員御指摘のとおり、道路の側溝の土砂の扱いですとか、そのほかにも幾つかの実証で効果があると認められた技術がございます。これにつきましては、例えば市町村名を申し上げますと、道路舗装面の膜を剥離して除染するような方法については既に奥州市で導入いたしておりますし、道路の側溝の土砂について減容化を図る技術についても、奥州市で、今、実施について検討中というふうに伺っているところでございます。
 そのほか、道路側溝汚泥以外でも、例えば稲わら、牧草につきましては、先ほどペレット化のお話を答弁申し上げておりますが、こういうことについても、新技術として、いろいろ部局と連携しながら導入について協議をし、進めているところでございます。
〇環境生活部長(風早正毅君) 続きまして、除去した土ですとか汚泥、土砂等の処分における課題と対応について御質問いただきました。
 まず、除去した土につきましては、学校、公園などにおいては、周囲の土や水に影響がないようシートで包むなどの対応を行い、土の中などに一時保管している状況にございます。これら一時保管している除去した土につきましては、国が最終的な処分基準を定めていない状況にございます。国に対して、除去した土の処分基準を速やかに策定するよう要望しているところでございます。
 また、道路側溝の汚泥につきましては、除染実施区域内外にかかわらず、現時点で一時仮置き場の設置の理解が得られないことが課題でございます。県独自で一時仮置き場の整備に要する経費の一部支援をすることとしておりますが、それに加えまして、住民説明会に県職員を派遣するなど、技術的な支援を継続してまいっております。
 また、国に対しては、有効な処理方法の提示や財政支援の拡充についても、引き続き要望してまいります。
〇5番(神崎浩之君) 除染技術については、焼却がなかなか進まないわけでありますので、焼却以外の方法について、さまざまなやり方があるようでありますので、しかも、それは国のガイドラインに載らないと補助対象にならないということもありますので、ぜひさまざまな手法について取り上げていただいて、検証して、早急に国のガイドラインに載せていただけるようにお願いしたいと思います。
 答弁は要りません。
 次に、評価の話でありますけれども、先ほど知事も課題の中でいろいろ述べておられましたが、昨今の障がい者復興支援事業についても、知事は、行政の事業の執行としては適切に行われたと述べておられます。その中で、目標値とか社会科学的アプローチということをしていかないと、なかなか、やった、やっていない、やった、やっていないという評価になると思うんですが、これらの課題については述べられておりましたけれども、さまざまNPOの関係でも、検証するということも職員は述べておりましたが、再度、このソフト事業の評価について質問させていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) ソフト事業の特徴として、事業結果が直ちに県民が享受する成果としてあらわれにくいということがあるわけでありますけれども、やはりこの評価制度の中で、成果が測定できるような客観的な指標を設定することが重要だと思っております。
 この目的に適合する目標をより明確に設定することが必要であると考えておりますので、事業成果を適切にあらわす指標の設定に努めて、より的確で利用価値の高い事業の評価に取り組んでいきたいと思います。
〇5番(神崎浩之君) 次に、県立総合防災センターでありますが、私の見てきたところ、やはり我が県がこうむった津波被害については、パネル展示のみ実施されておるということで、非常に悲しい状況だと思っております。そこで、先ほどの答弁にもありましたけれども、やはり力強くこの大震災を踏まえた防災意識について展示しているような体制にしていただきたい。
 それから、防災指導車、防災カーですけれども、あれも、でかい、ある程度の年月が過ぎておりますし、雨ざらしでさびだらけで、それで、10トンというトラックの制限があって小回りができなくて、依頼されてもなかなか出向けないということもあるようであります。
 そこで、小さい4トンクラスで小回りのきくようなことができないのか、あわせて、防災指導車の更新、充実についてお伺いしたいと思います。
〇総務部長(小田島智弥君) 県立総合防災センターの防災指導車についてでございますけれども、現在の防災指導車につきましては、平成9年9月に財団法人日本宝くじ協会の助成金を活用して整備したものでございます。総合防災センターの機能の一つとして、県内各地に赴き、地震体験や模擬消火体験など、これまで12万人余に利用されてきたということでございます。
 議員御指摘のとおり、この現在の車両は、導入以来16年が経過しておりまして、車体や設備の老朽化が進んでおります。この防災指導車をどのようにするかというのは非常に重要な課題であると認識してございます。10トン車という現在の車を、例えば4トン車で小回りがきくようにという御提言もございましたが、いずれにしても、新たな車両の整備となりますと多額の経費を要するものでございます。したがいまして、利用状況あるいは財源等を考慮しながら、あり方について検討させていただきたいと考えているところでございます。
〇5番(神崎浩之君) あれだけの災害をこうむった岩手県でありますので、ぜひ、その震災の防災について、防災カーも含めて充実していただきたいと思っております。
 次に、大雨被害の検証でありますけれども、平成14年に砂鉄川は大きな被害を受けました。その検証から10年たって、また床上浸水等が出ております。
 そこで、さまざまな対応はなされているという話でありまして、先ほど紹介もありましたけれども、国のほうでも災害対策等緊急事業推進費ということで、緊急に河道の掘削、川の土、泥上げの予算がついたということであります。これも、やはり県議会の県土整備委員会も調査していただいて、あの川を見ていただいて、土砂が堆積して、それから、草から木が川の中にあるということを見て、あれは川ではないんだという委員からの御指摘もありまして、そのおかげで約1億円、国費5、000万円のお金がついたということで喜んでいるわけですが、一方で、前回もなかなか手が届かなかった生出地区等に対する対応が遅いのではないかと思っているんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 一連の大雨被害につきましては、さまざまな地区で、さまざまな状況の被害が生じております。そういう意味で、緊急的に対応できるところ、あるいは速やかに国庫補助の事業が導入できたところがございます。一方で、非常に局地的ですけれども、住家が浸水被害を受けているというような地区もございます。それらの場所、場所に応じながら、どのような事業を導入できるかということも私ども検討しながら進めておりますので、できるだけ早く、個別の地区に合った事業の導入を進めながら、早期の治水対策を進めてまいりたいと思います。
〇5番(神崎浩之君) いずれ、10年前のときもそうだったんですが、砂鉄川の松川のほうは対策をとられたのだけれども、生出地区、大東地区のほうがおろそかだったという声がありますし、今回も、やはり同じように、松川のほうは進んでいるんですがということもありますので、意を配してお願いしたいと思います。
 次に、高齢者介護、介護保険についてでありますが、さまざまな課題がありますので、ぜひ、その課題に向けて早目に国のほうに上げていただきたい。
 その中で地域包括ケアシステムでありますけれども、これはなかなか、これからの話ではなくて、以前からもやらなければならないところでありました。私は、医療局もきょうおりますのでお話ししておきたいんですけれども、これは、保健福祉部の福祉、介護の話ではなくて、地域包括ケアセンターというのは医療の問題なんですよ。これから高齢化、要介護の方がふえてきて、それをどうするか、病院でも対応できない、医療が対応できない、それを在宅で、医療がパンクするので地域で見ていかなければだめなのだというのが、本当は地域包括ケアの神髄であります。
 ですから、恐らく保健福祉部で協議しても、福祉とか介護のほうばかりでやっていると思うんですが、そうではなくて医療の関係、それから、これは県立病院の医療の問題でもあります。
 そこで、そういう認識を持ってやっていただいているのかどうか、保健福祉部長と、それから医療局長にもお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 地域包括ケアの話でございますけれども、やはり医療と介護の連携が、この地域包括ケアでは非常に大事だと思っております。それで、県としては、平成23年度、24年度で、国の直轄事業でございますけれども、在宅医療連携拠点事業というものをモデル的に行っております。そうした中で、医師等、それからケアマネ等の多職種の協働による在宅医療を、その支援体制の構築を進めてきておりました。
 それからあと、ことしの9月補正でも、在宅医療の推進ということで、在宅チーム医療の人材育成事業とか、あるいは在宅医療介護連携推進事業等々、在宅医療に力を入れると。なおかつ、介護との連携も含めた事業も組んでおりますので、議員おっしゃるような、特に地域包括ケアの中での医療介護連携が重要だというのは認識しております。こういった取り組みを進めながら、市町村のほうにもいろいろなお話をしながら、支援してまいりたいと思っております。
〇医療局長(佐々木信君) 医療局におきましても、地域包括ケアにおいて医療が重要だという認識は持っております。来年度を初年度といたします次期経営計画は、現在、最終案の取りまとめの最終段階に入っておりますけれども、その中でも、今後の県立病院運営の事業の柱の一つとして、その地域における医療機関のほか、福祉介護施設との連携というものを柱の一つに掲げて取り組むこととしておりますので、県立病院も20病院6地域診療センターございますから、県立病院に求められる役割は地域によって若干変わってくる面はあろうかと思いますけれども、それぞれの地域において、県立病院が地域包括ケアのシステムを充実する上で果たすべき役割、ニーズに対応できるよう取り組んでまいりたいと思っております。
〇副議長(大宮惇幸君) 以上をもって神崎浩之君の一般質問を終わります。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時45分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
25  番 喜 多 正 敏 君
26  番 工 藤 大 輔 君
27  番 熊 谷   泉 君
28  番 嵯 峨 壱 朗 君
29  番 工 藤 勝 子 君
30  番 工 藤 勝 博 君
31  番 高 橋 昌 造 君
32  番 五日市   王 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時4分 再開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高田一郎君。
   〔1番高田一郎君登壇〕(拍手)

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