平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇21番(高橋元君) 民主党の高橋元であります。
 現任期3度目の登壇となります。任期中間年に当たり、県民生活の向上と県勢の発展に向け、第2期アクションプランへの対応を念頭にして御質問いたしますので、実現性の高い御答弁を御期待いたします。
 まずもって、未曾有の東日本大震災発災から3回目の冬が訪れ、今なお厳しい環境の中で働き、そして生活されている皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、今夏の集中豪雨で被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げ、来るべき新年が幸せ多き年となりますことと、心安らぐ生活となりますことを御祈念申し上げます。
 これまでの登壇者と重複する質問もありますが、通告に従いまして順次質問いたします。
 第1の項目、人口減少社会と県民計画について伺います。
 第1点は、人口減少対策推進本部の設置についてであります。
 国立社会保障・人口問題研究所の資料によれば、本県の人口は、2010年の133万人から2040年に93万8、000人まで減少すると予測されています。毎年1万人を超える人口減少が続き、中でも団塊の世代の退職により就業人口が急速に減少し、また、大震災津波による沿岸部の大激変等も加わって、今後、労働力不足がより顕著となり、県内における全産業の縮小、衰退が懸念され、県民所得の減少へと負のスパイラルが加速していくことが懸念されております。
 地域経済縮小の影響は県民所得にとどまらず、地域社会の体制やコミュニティ、行政、教育、医療や福祉などさまざまな分野において行き詰まる懸念が指摘されており、県においては、県総合計画審議会人口検討部会、ゆたかさ検討部会を設置し、第2期アクションプランの実行に向けて2012年度から2013年度にかけて検討され、近々提言書がまとめられるとのことであります。提言書の素案は県ホームページを通じ公表されており、人口減少社会において多様な豊かさを高めていくために必要と考えられる施策の方向性についての提言とし、人口減少社会の原因である少子化の課題に対応しつつ、当分の間、避けることのできない人口減少社会に適応することで、県民一人一人がこれまで以上に豊かさを実感できる地域が実現でき、ひいては将来的に人口減少を食いとめることが可能であるというものであります。人口減少社会への対応について、議会でこれまで幾度となく議論がなされ、私もたびたび一般質問で取り上げましたが、提言書がまとめられるということは待ちに待ったことと歓迎するものであります。
 さて、提言書の今後の活用ですが、県民計画を補強し、具体的に展開するための検討推進本部、仮称ですが、人口減少対策推進本部を組織するべきと思いますが、どのように考えているか伺います。
 2点目、持続可能な財政についてであります。
 人口減少に伴う就労人口の減少は、消費支出の縮小、事業所の統廃合等を招き、地域経済に大きな影響を及ぼすとともに、県民所得と事業所所得の減少により県税収入が落ち込み、加えて、長期にわたり県債の償還が予定され、一方で、医療や福祉費用の増加、公共施設の耐久性問題による更新等、広範にわたってさまざまな問題が顕在化することから資金需要がますます増大し、県財政は危機的状況を迎えることが予想されます。このようなことから将来の行政負担を推測し、県民にもわかりやすいよう進行表等を用いながら適切な対応をしていくことが望まれます。将来の財政見通しと対応策についてどのように捉えているか伺います。
 また、新年度予算編成時に限らず、財政の実情や対応策を恒常的に調査検討する体制を強化すべきと思いますが、どのようになっているか伺います。
 3点目、人口減少と超高齢化に対応した新たな地域づくりについて伺います。
 本県は四国4県に匹敵する広大な県土を有し、人口が密集する市街地がある一方、郊外や山間部での散居も全県的に存在しております。核家族化が進行して高齢者2人世帯、独居世帯が急速に拡大しており、買い物難民、医療難民、介護難民など独自での生活が困難な方々が年々増加し、孤独死もふえております。人口減少と超高齢化社会に対応し、県民生活を守るため、福祉等の集中化と行政コスト等の削減に、共同住宅を整備し、新たな地域コミュニティづくりを進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 今冬は厳しい寒さと昨年以上の降雪予想がなされております。県内一の豪雪地帯である西和賀町では、冬期間における生活困難に対応し、遠隔地の住民や高齢者の方々が共同生活する施設を早くから整備し、利用されております。年々入居者が増加し、入居できない方もあるとのことであります。冬期間限定の施設ですが、ここにこれからの高齢化社会での地域づくりのモデルがあると思うところですが、知事の所感を伺います。
 第2の項目、組織体制について伺います。
 1点目は、県と市町村との行政組織連携についてであります。
 県は、組織体制の見直しや市町村への権限移譲、事務事業の移管等により職員の削減を図り行財政改革へ取り組んでおり、多くの市町村も、合併により事務事業の見直しや職員の削減に取り組んでおります。県及び市町村の事務事業において、福祉や建設関連等の事務事業が似通っており、県及び市町村の同部署が同じ庁舎や同じフロアで業務することにより、事務事業の円滑な推進と互いの不足分をカバーし合えるメリットが生まれてくることが予測されます。県民、市町村民にとっても、ワンストップ的に業務を完結できて利便性が増すことは明らかであります。隣県秋田県平鹿振興局と横手市でこのような取り組みが始まっており、本県でも同様に同庁舎、同フロアでの業務を検討すべきと思うところでありますが、いかがでしょうか。
 2点目、業務において技能、資格を必要とする職員について伺います。
 人口と業務の増加とともに増員してきた職員の定年退職が増加しておりますが、業務の円滑な継承のため、特殊技能や資格を有する職員の確保が心配されるところであります。現在、行政事務や環境、福祉関係、農林水産、農業基盤整備、各種土木工事等で県行政を遂行するために必要な技能、資格、指導資格等はどのようなものがあり、職員の充足状況はどうなっているのか伺います。
 また、問題、課題はどのようなものがあり、今後の退職、定数補充、技能伝承指導などの計画はどのようになっているか伺います。
 第3の項目、ICT活用について伺います。
 1点目は、現地業務、技術指導での情報端末の活用についてであります。
 行政改革による統合や機構改革による業務統合などにより、広域振興局、行政センター、普及所、研究所などは広範な地域を担当しております。現地業務には携帯する資料もかなり多いと聞き、時には現場での判断ができず持ち帰り、後日、再業務などもあると伺っております。ノートパソコンを持参して対応するということも考えられますが、盗難や紛失等の危惧があり、佐賀県では、同様な問題を解決するため、より軽量で操作性のアップしたタブレットを導入し、自席のパソコンに入ったデータを庁外でも引き出すことができるなど携帯資料を少なくする改善や、現地写真を本庁部局に紹介し指導を受け、現地完結の業務に取り組んでいるとのことであり、また、ペーパー資料だけでなく、各種写真等によるプレゼンテーションで指導力の向上も図られていると好評とのことであります。熊本県でも、農家への農業技術、経営に関する指導、普及活動に導入し、指導員は生産現場から病害虫などの相談内容を写真つきで送り、短時間で専門員から回答を得られるようになったとのことであります。ベテラン県職員の退職に伴う業務の円滑化や、広大な県土、広範な地域を担当しなければならない本県こそこのようなICT機器を導入すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 2点目、学校教育でのICT活用について伺います。
 いわて県民計画の策定を受け、平成22年3月に教育委員会が所管する分野の今後10年間の基本方向について、より理解を深めるガイドラインとして岩手の教育振興が示されました。教育の現状、課題、方向性等について記述されていますが、何かしら主役である児童生徒の姿が見えてこないと感じているのは私だけではないと思うところであります。
 そのような思いが残る中、官庁速報で、電子黒板や学習者用端末を用いて新しい学びを実践している佐賀県教育委員会の取り組みについて知り、先般、視察調査をしてまいりました。このときにいただいた資料は教育委員会事務局に提供いたしておりますが、佐賀県の先進事例について教育長の率直な所感を伺います。
 学校教育におけるICT活用は、さまざまなデータやグラフ、映像、音声などの活用でわかりやすい授業となり、児童生徒の学習力向上を図れるほか、教員の学習指導の均一化が図られ、学校と家庭の距離を縮める効果があると導入事例から高評価を得ております。教室での電子黒板、デジタルテレビ、教員のパソコンと児童生徒所有のタブレット端末との連携による教育や、中継機能を活用して、教室で授業を受けることができない入院者や不登校者への同時進行による教育なども可能で、テスト問題の作成や採点、成績表管理など教員の業務負担軽減も図られることなど、これからの学校教育の進め方として主流となっているのは明らかであります。本県でも早期に導入すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 第4の項目、がん医療の充実について伺います。
 1点目は、がん緩和ケア体制の充実についてであります。
 平成24年6月に閣議決定されたがん対策推進基本計画において、重点的に取り組むべき四つの課題の一つとして、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進が掲げられ、緩和ケア推進検討会において全国397カ所のがん診療連携拠点病院に求められる緩和ケアや、緩和ケアに関する院内組織基盤を強化した緩和ケアセンターの具体的推進方針、方策、緩和ケアに関する研修体制、緩和ケアに関する普及啓発等について検討が行われ、第2次の中間的な取りまとめが本年8月に行われております。
 本県において、がん診療連携拠点病院の整備が進み、整備に伴って緩和ケア体制も組織されてきていることは評価できます。がんは、発症部位や病状、進行度によって患者が受ける苦痛が異なり、精神的な負担、不安もはかり知れません。こうした患者や家族に寄り添い、病院の治療方針、各医療担当者連携による治療、精神的な不安の除去など、緩和ケアチームの役割は大きく、期待されております。県立病院における緩和ケアチームの設置状況、チーム員の研修、技術指導体制等はどのようになっているのか、緩和ケアチームと患者等団体による連携した相談体制はどのようになっているのか伺います。
 2点目、がんサロン、ピアサポーターについて伺います。
 がんサロンは、岩手医大のほか、県立病院では中部病院、磐井病院などに設置され、院外でもがん患者等団体が複数活動しており、がん患者の立場に立った相談や、共同してがん克服の活動等を行っております。各団体は、厳しい療養生活を続けながらの相談、会の運営をみずからの会費の中で行っておりますが、県立病院内のがんサロンの活用方針及び活動状況、支援内容はどのようになっているのか伺います。
 また、県は、がん経験者としての患者の相談支援を行うピアサポーターに関して、今年度、研修を実施するなどその育成に取り組んでいますが、ピアサポーターを活用しピアサポートをどのように推進していかれるのか伺います。
 3点目、がんと就労について伺います。
 日常生活やがん治療費の捻出に、就労の継続は必要であります。がん診断の会社報告による解雇という事例が全国にありますが、本県での実態はどうなっているのでしょうか。充実したがん医療の継続のため、本県がん対策推進計画においてもがんと就労について今回記載されましたが、これまでの取り組みと今後の計画をお示しください。
 第5の項目、介護給付の適正化について伺います。
 平成12年4月、それまでの老人福祉、老人保健、医療保険の各制度の中から高齢者の介護に関する部分を再編し、社会全体で介護を支える新たな社会保障制度として介護保険制度が創設となりました。介護保険法における実施主体は市町村ですが、都道府県の役割として、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう、必要な助言及び適切な援助をしなければならないと定められております。
 本県で、要支援、要介護の認定を受けた方は、平成13年6月末の時点で3万7、000人であったものが、平成25年6月末には7万2、000人とおよそ1.9倍に増加しており、また、介護給付費も552億5、900万円から1、034億1、800万円へ約1.9倍増加しております。ふえ続ける認定者と給付費、マスコミ報道によれば、介護給付金の不正受給事件が時折発覚し、大きな事件となっておりますが、本県での発生は平成24年度で2件のみであったとのことであります。この数値は、県内事業者のモラルが極めて高いことか、あるいは、チェック体制が整わず、実施内容と請求内容をチェックできないことでの数値なのか、県としてどのように把握しているか伺います。
 介護認定、介護給付費が大幅に増加することが予測される中、厚生労働省から都道府県が市町村などと連携して介護給付適正化運動を実施するよう通知が出されているようですが、介護実態と介護給付費の請求内容をどのようにチェックしていくのが望ましいか伺います。
 第6の項目、観光振興について伺います。
 1点目は、イスラム圏からの誘客についてであります。
 我が国の観光政策として年間3、000万人の外国人観光客の誘客目標が掲げられておりますが、総じて受け入れ態勢がおくれているのが実態であります。欧米や中国、韓国、台湾からの観光客については国内誘致競争も熾烈であります。本県が期待する台湾は隣県青森県でも取り組んでおり、台湾国内でのテレビCMも実施しているとのことで、特にリンゴの収穫体験ツアーは好評とのことであり、今後、青森県との連携や、本県独自の特色を前面に出す方策を検討する必要を感じます。
 アジア地域において、経済成長が著しく、今後に来日観光の期待が大きい国はイスラム圏の国ではないでしょうか。イスラム圏からの誘客には礼拝施設や礼拝用広間等の必要があり、食事にもハラール食品を使用とのことであり、特殊な対応が必要であるからこそ、他県に先駆け、県内観光施設や宿泊施設とともに、共同で誘客に向けた施設整備、体制整備等調査研究を行うべきと思いますが、いかがでしょうか。
 2点目、観光案内板、公共施設、宿泊施設等への外国語表記について伺います。
 先日、宿泊施設内浴場において、入浴前のかけ湯をめぐって、注意した日本人に注意された外国人が殴りかかり、日本人は鼻の骨を折るけがを負い、外国人は傷害で逮捕される事件が発生したとの報道がありました。かけ湯の呼びかけ表記が不十分であったことも一因とのことであったようであります。このようなトラブル防止や、おもてなしをうたう本県観光振興に向け、観光案内板や公共施設、宿泊施設等への外国語表記を県民挙げて取り組む必要があると思いますが、どのように検討し、取り組んでいるのでしょうか伺います。
 第7の項目、教育委員会の運営について伺います。
 1点目は、教育委員会制度改革についてであります。
 教育委員会制度改革を議論している中央教育審議会の教育制度分科会において、地方教育行政の最終権限を教育委員会から首長に移行し、首長を執行機関とする答申案の素案と、教育の政治的中立性が損なわれるとのことから、従来どおり教育委員会を執行機関とする案の両論併記の答申案が年内にまとめられる予定にあります。今後、国会において議論が深められると思いますが、知事は、この答申案素案をどのように捉えておられるか所感を伺います。また、最終権限が知事となった場合、どのような本県教育を目指すのかあわせて伺います。
 現行制度において、教育委員会委員の選任は知事で、地方教育行政の最終権限は教育委員会ということに、責任の所在において矛盾を感ずるところであります。教育行政の最終権限を付与する教育委員会委員をどのような基準、どのような立場等を考慮し選任しているのか、また、委員の公募を行う考えはないのか伺います。
 2点目、教育委員会の運営について伺います。
 県及び市町村の教育委員会会議の傍聴者に伺ったところ、県及び市町村34団体のうち、傍聴があったのは、県のほか北上市、釜石市、宮古市、久慈市の4市のみであります。開催の周知は、県及び12市町村で、それぞれのホームページ上であります。文部科学省の調査によれば、平成23年度において、委員会会議の開催回数は、都道府県、指定都市で平均29.2回、市町村で15.3回であり、本県の実態は、平成24年度数値で県委員会が33回、市町村委員会は平均16.7回となっております。傍聴者は、都道府県、指定都市で年間20人以上の割合が71.2%、市町村では年間傍聴者0人が69.8%となっており、本県では、県委員会は58人で全国を上回っておりますが、市町村においては0人が29市町村と、実に87.8%に上っております。委員会の形骸化とならないよう、各委員会会議の開催周知、開催日時、開催会場等について何らかの工夫をする必要性を感ずるところでありますが、このような県及び市町村の教育委員会の現状について、教育長の所感と今後の対応策について伺います。
 第8の項目、文化財の保護について伺います。
 近年、国内の神社仏閣から国宝級や県、市町村指定の文化財等が盗難に遭い、他国にて競売に付されるという事態が増加しているとのことであります。現在のところ西日本を中心とした被害がほとんどでありますが、本県においても同様な盗難事件発生の危険性を内在しているものと推測されます。
 そこでお伺いいたしますが、県内に国や県、市町村指定の文化財はどのようなものがあり、その文化財がどのように管理されているのか、文化財を盗難、紛失、破損や焼失などから保護するため、どのような取り組みを行っているのか伺います。
 第9の項目、県立高校の学科について伺います。
 1点目は、時代や産業界の求める人材育成についてであります。
 高齢化の進展や産業構造の変化に伴って、地域社会の求める人材が変化しております。その時々の求める人材を輩出するため県教委の柔軟な対応が求められていると思いますが、地域の求める人材、産業界が求める人材をどのように調査分析し、教育体系の構築、学科再編を図る考えか伺います。
 2点目、学科の見直しについて伺います。
 隣県宮城県では、観光産業の担い手を育てるため、観光系学科を平成26年度に創設するとされております。観光系学科は、観光地などを中心に全国で18県23校に設けられ、宮城県が19県24校目の設置であります。また、東日本大震災を受け、医療や国際支援、災害救助の現場などでの活躍を想定した防災専門学科を平成28年度に新設するとしております。本県でも、小規模校の環境、空き教室等を生かし、新学科の創設、あるいは既存学科の変更による新学科の検討をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 最後の項目、有害鳥獣対策について伺います。
 1点目は、有害鳥獣による被害の実態についてであります。
 全国に鹿や熊、ハクビシン、イノシシと、有害鳥獣による山林や農作物被害が年々増加しておりますが、本県における近年の被害エリア、被害額など鳥獣被害の実態、及びこれまでの対策とその効果がどうなっているのか伺います。
 また、全国的に鹿の樹皮食害による樹木枯れが発生しており、本県では今のところ被害は少ない状況ですが、今後、被害が拡大する心配があることから、これを防止するために有効な忌避剤等が求められるところであります。先般、テレビ放送の中で、鹿の農作物食害防止へオオカミのふんをまいたところ、しばらく寄りつかなかったとのことでありました。本県の研究施設を活用し、鳥獣被害の防止対策を研究してはどうかと思うところですが、いかがでしょうか、伺います。
 2点目、県特定鳥獣保護管理計画について伺います。
 著しく数が増加した鳥獣について、通常の狩猟とは別に県が特定鳥獣保護管理計画を策定し、個体数を調整することとなっており、本年11月からニホンジカについて個体数の調整をスタートしたとのことでありますが、調整個体数、市町村やハンターとの連携等どのような計画となっているのか伺います。
 以上、壇上からの質問を終わります。御答弁によりましては再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少対策推進本部の設置についてでありますが、本年10月1日現在の本県の人口は約129万4、000人で、前年同期と比較して約9、000人の減少となっていますが、そのうち社会減は2、226人で、過去10年間では最も少ない規模となった一方、少子化の進展により自然減は拡大傾向にあるところであります。
 このため、県では昨年度、総合計画審議会に人口とゆたかさの二つの検討部会を設置し、人口の社会減を減らす方策や人口の減少基調の中でも地域社会が生き生きと持続していく方策などについて、広く検討いただいているところであります。
 これまで、地域に残りたい、帰りたい、移りたいと思えるような魅力ある地域づくりや働く場を確保する方策、また、県民が安心して暮らしみんなで子供を育てる地域づくりなどについて御意見が出されているところであり、来年2月に、総合計画審議会において提言をまとめていただくこととなっております。
 こうした提言の内容も踏まえまして、人口減少社会における今後の地域づくりや各分野における取り組みについて、県としてしっかり検討し、各般にわたる施策を進めてまいります。
 次に、人口減少と超高齢化に対応した新たな地域づくりについてでありますが、豪雪地帯の中山間集落等においては、高齢者等の冬の生活や除雪等に対する不安を解消し、安全・安心な暮らしを確保することが重要な課題であります。
 このため、西和賀町において、冬期間、在宅のひとり暮らし高齢者等が安心して健康で明るい生活を送るための生活支援ハウスを設置し、運営していることは、先駆的な取り組みであると評価しているところであります。
 このような取り組みは、基本的に市町村が地域の状況や地域の方々の意向も踏まえ進めていくべきものと考えますが、県としても、市町村のニーズに応じ、西和賀町や他自治体などの先進事例の情報を提供するなど、今後の高齢化社会における地域づくりの構築に向けて、その地域にマッチした取り組みが進められるよう支援してまいります。
 次に、イスラム圏からの誘客についてでありますが、世界で16億人とも言われるイスラム圏からの誘客は、今後の外国人観光客誘致の上で非常に重要な課題と認識しております。
 国においても、人口約2億4、000万人を有し、世界最大のイスラム人口国であるインドネシアに、日本政府観光局の現地事務所を開設準備中であるほか、インドネシア向けに数次観光ビザの発給、マレーシア向けに観光ビザの免除といった訪日環境の整備を進めています。
 こうしたイスラム圏は、県としても有望な市場と捉えておりますが、イスラム教徒特有の旅行習慣にも対応していく必要がありますことから、県内観光事業者向けのセミナー開催などにより、まずは理解の増進を図り、民間事業者とともに、必要な調査、研究を行ってまいります。
 次に、中央教育審議会の分科会の答申案についてでありますが、11月27日に開催された中央教育審議会教育制度分科会において、首長を教育行政の執行機関とし、その補助機関として教育長を置くとともに、首長の特別な附属機関として教育委員会を置くとする案を中心とした答申案が提示されました。年内の答申に向けて、今後も審議が予定されていると聞いており、学校や児童生徒への影響を第一に考え、教育現場の実情や意見を十分に踏まえた議論がなされることを期待しています。
 また、本県の目指す教育についてでありますが、平成21年12月に策定したいわて県民計画に掲げます人材・文化芸術の宝庫いわての実現のため、家庭、地域との協働による学校経営の推進、知・徳・体を備え調和のとれた人間形成などを柱として施策を進めているところであり、今後とも、この計画に基づき本県教育の充実に努めてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 教育委員会委員の選任基準等についてでありますが、教育委員は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第1項の規定により、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有している者のうちから任命することとされており、任命に当たりましては、同条第4項の規定により、年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないよう配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるようにしなければならないとされているところでございます。
 具体的には、これらの規定に基づきまして、政治的中立性の確保、継続性や安定性の確保、地域の意向の反映等の観点をもとに、教育関係の活動歴や意欲等を踏まえ選任しているところでございます。
 また、教育委員の公募につきましては、ただいま申しましたとおり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に定めております配慮すべき要件等を備えた方を選任する必要がありますことから、難しいものがあると考えているところでございます。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、持続可能な財政についてでありますが、本県財政は、多額の県債残高を抱え、今後も公債費の負担が高い水準で続いていくことから、これまでにも増して厳しい状況が見込まれます。
 そうした中、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組む一方、地域経済の活性化や県民サービスの維持向上、公共施設の老朽化対策などに対応していく必要があります。
 人口減少に伴う就労人口の減少やそれに伴う地域経済への影響等を踏まえた財政運営は、本県のみならず全国の地方自治体が抱える共通の課題でもありますことから、国の政策や予算の動向とそれに対応する地方財政計画の動向を注視しながら、中長期的な財政見通しを策定し、その見通しのもとで財政運営を行ってまいりたいと考えております。
 また、総合計画審議会からの提言を踏まえて、人口減少に伴う行政ニーズの変化に対応できるよう、政策面、財政面ともに県庁全体で検討していく必要があると考えております。
 次に、業務において技能、資格を必要とする職員についてでありますが、県行政を遂行するための資格としては、保健師、薬剤師、獣医師、建築士等があります。これらを除く技術系職種については、総合土木職や農学職などの試験職種に応じて、基礎的な専門知識のもとに、業務遂行を通じて必要な業務スキルが習得されています。
 これまで、業務に資格を要する技術系職員については、将来的な退職者の状況や各分野における業務の状況を踏まえて採用してきているところでありますが、獣医師職や建築職で採用予定数に満たない状況も生じています。
 また、総合土木職等、近々多数の職員が退職を迎える職種につきましては、震災復興に伴う業務量の増大もありますことから、県行政の円滑な推進を図るため、必要な人材の確保はもとより、業務遂行に当たっての専門的な能力や知識等の継承が重要であると考えています。
 このため、資格を要する職については、当該分野のニーズに十分配慮した選考採用を随時実施するとともに、資格を要しない技術職についても、例えば、総合土木職において、新卒者を対象とする競争試験に加え、今年度から新たに民間企業等職務経験者を対象とした選考採用も実施したところであります。このほか、保健師について、人材育成方針を定め、その技術の継承を図る取り組みも実施しているところであります。
 今後とも、職種ごとに年齢バランスに配慮した計画的な採用や技術、技能の継承を行い、県行政の円滑な推進に努めてまいります。
 次に、現地業務、技術指導での情報端末の活用についてでありますが、議員御指摘のとおり、タブレット等の携帯端末は、出張や現地における技術指導でもデータ閲覧や情報交換ができることから、移動に伴う時間的ロスをカバーできるなどのメリットがあると承知しております。
 現地業務や技術指導において導入するに当たっては、無線LAN等からの盗聴に対応したセキュリティー対策や紛失や盗難といったトラブルに対応したシステム構築や運用の整備が必要でありますことから、今後、他県の導入事例や実績を十分把握し、費用対効果等も含めて研究してまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) 県と市町村との連携についてでありますが、市町村との連携に当たりましては、住民サービスの向上や事務処理の効率化等を推進する観点から、これまでも、県から市町村への権限移譲を積極的に推進してまいりました。
 これに加え、広域振興局と市町村との間では、相互の人事交流の実施や圏域の懇談会等を随時開催してまいりました。
 議員から御提案のありました県と市町村の同一部署が同じ庁舎で業務を行うことにつきましても、現在、遠野地区の県の合同庁舎に遠野市の建設、土木、農業等の関係各課が入るなど、県内4地区の合同庁舎において、各市の関係組織が入って、県と連携しながら業務を行っているところであります。
 今後におきましても、住民サービスの向上や事務処理の効率化等を推進する観点から、合同庁舎等の空きスペースの状況や市町村関係部門との連携の必要性等を勘案しながら、各地域の実情に応じて対応してまいりたいと考えております。
   〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) まず、県立病院におけるがん緩和ケア体制についてでありますが、現在、県立病院においては、中央、中部、胆沢、磐井、大船渡、宮古、久慈及び二戸の8病院が、地域がん診療連携拠点病院の指定を受けており、医師及び看護師など各職種による緩和ケアチームを整備し、がん患者に対する緩和ケアを提供しているところです。
 チーム員の研修、技術指導体制等については、チーム員を中心に緩和ケアカンファレンスをおおむね週1回開催するとともに、がん医療に携わる医師を対象とした研修を年1回実施しています。さらに、二次医療圏ごとに、がん医療に携わる医師等を対象とした放射線療法や化学療法の推進及び緩和ケアに関する研修を実施するなど、地域の緩和ケア医療の充実強化に努めております。
 また、緩和ケアチームと患者等団体とが連携した相談体制については、患者等団体の方に定期的に来院いただき、看護師等とともに入院患者等の相談を受けたり、患者等団体の研修会に緩和ケアチームスタッフが講師として参加するなど、それぞれの地域の状況に応じて取り組んでいるところです。
 次に、がん患者や家族が療養体験や気持ちを分かち合い、勉強会などを行う、いわゆるがんサロンについてでありますが、県立病院においては、中部及び磐井病院に加え、本年9月から宮古病院でがんサロンを開設したほか、大船渡病院などで患者や家族の交流の機会を月1回設けておりまして、患者や家族同士が気軽に不安や悩みを語り合い、安心してくつろげる場の提供といった趣旨の活用方針を掲げ活動しています。
 主な活動内容は、がんに関する情報提供、患者や家族同士の情報交換、病院スタッフや傾聴ボランティアによる相談、勉強会や交流会等の開催などであり、それぞれ地域の状況に応じて取り組んでおります。
 こうした中で、例えば中部病院では、患者等団体が、がんサロンで行う催しや勉強会等での相談対応、サロンへの会報の設置による活動情報の提供や入会案内を行うなど、それぞれの病院において、患者等団体への支援を行っているところです。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、ピアサポートの推進についてでありますが、がん経験者ががん患者や家族の支援に当たることは、その不安や悩みの軽減につながることから、県としても、本年3月に策定した第2次がん対策推進計画において、がん患者、経験者との協働を進め、ピアサポートを推進することとしており、今年度は、ピアサポートをテーマに、患者、家族会等を対象とする研修を実施いたしました。
 県内でも、主として患者、家族会により、がんサロンを活用するなどして、患者等を交えた情報交換や傾聴、相談対応などのピアサポートが行われておりますが、拠点病院のがんサロンの設置は5カ所で、患者、家族会の活動範囲にも限りがあることから、今後、県内全域に広げていくことが必要と考えております。
 このため、県としては、患者、家族会の活動を支援することにより、ピアサポーターを育成するとともに、がんサロンの設置等を通じて活動の場を広げるなど、ピアサポーターの活用を図りながらピアサポートを推進していきます。
 次に、がんと就労についてでありますが、議員御指摘のとおり、国の調査では、がんに罹患した勤労者の4%が解雇され、30%が依願退職しているとの報告があり、県内での実態は詳しく把握してはおりませんが、一定程度はあるものと考えられることから、第2次がん対策推進計画に、初めてがん患者の就労を含めた社会的な問題を記載し、県としても取り組むこととしております。
 計画では、がん患者の就労に関する実態把握やがん診療連携拠点病院等と労働部門との連携による取り組みを進めていくこととしており、拠点病院等で構成する岩手県がん診療連携協議会において、本年9月から議論が始められ、ワーキンググループの設置と実態把握も含めた対応を検討していくこととなっております。
 県としても、これと連携し、各がん診療連携拠点病院の相談支援センターの機能の充実や、がん患者の就労への理解を促進するための事業者に対する啓発など、がんになっても安心して暮らせる社会の構築に努めていきます。
 次に、介護給付の適正化についてでありますが、介護保険制度がスタートした平成12年度から平成23年度までの不正受給等を理由とする事業者指定の取り消し処分は、本県で6件、東北6県では59件となっております。さらに、本県においては、平成24年度に2件の指定取り消しがあり、現在までに計8件となっております。
 介護サービス事業者の介護報酬の請求状況については、国保連の審査によるほか、広域振興局による事業者への指導の機会を通じても確認しているところであり、今後も、その適正化に努めていきます。
 また、介護給付の適正化の目的でございますが、介護給付が必要な受給者を適切に認定した上で、受給者が必要とするサービスを事業者が適切に提供するよう促すこととされております。
 具体的には、保険者が要介護認定調査の状況やケアプランの内容、また、事業者のサービス内容等について、点検、指導等を行うことでありますが、今後、県においては、事業者の請求内容を、情報システムを活用し効率的にチェックする取り組みが各保険者に実施されるよう、その支援、充実に努めることとしております。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 観光案内板、公共施設、宿泊施設等への外国語表記についてでありますが、外国人観光客への対応において、各種表示の多言語化は、県としても重要と認識しております。
 このため、県が整備する全県の観光案内板については、多言語化を順次進めております。また、県内観光関連施設で使用する中国語、韓国語、英語の翻訳ルールや代表的な観光用語の翻訳案を定めたガイドラインを策定するなど、多言語表示の推進に取り組んでいるところでございます。
 外国人観光客につきましては、今後さらなる増加が見込まれるところであり、県としても、引き続き、多言語化を初め、全県的な外国人観光客の受け入れ環境の整備に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 有害鳥獣による被害の実態についてでありますが、被害は、ニホンジカやツキノワグマは県内全域、ハクビシンやイノシシは主に内陸南部や沿岸南部で発生しており、有害鳥獣による飼料作物、水稲、果樹などの農作物や林木の被害額は、平成24年度で約5億2、000万円に上り、前年度の1.8倍に増加しております。
 県では、市町村被害防止計画の作成を促進し、侵入防止柵等の設置を進めるとともに、本年度から、国の新たな交付金を活用し有害鳥獣の捕獲を強化したほか、被害防止対策技術の実証や被害防止対策の専門家を招聘して指導者の養成を図っており、集落ぐるみで侵入防止柵を設置した地域では、被害が大幅に減少するなどの効果が見られております。
 また、鹿の樹皮食害対策につきましては、今後の食害の発生状況の推移を見ながら、国や他県等での防除技術の開発等の情報入手に努め、対応を検討していきたいと考えております。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 鹿を対象とした特定鳥獣保護管理計画に基づく個体数調整についてでありますが、今般策定した第4次シカ保護管理計画では、市町村、狩猟者団体等との連携のもと捕獲の強化に重点を置いた保護管理施策に取り組むこととしており、計画の実施に当たり、効果的な対策を講じるため、鹿の生息状況に応じた地域区分を設定し、狩猟期間を1カ月延長するなど狩猟に関する規制を緩和するとともに、実施計画において平成25年度の捕獲目標数を7、700頭としたところであります。
 具体的な施策としては、市町村との連携により、市町村単位で行っている有害鳥獣捕獲を調整した早池峰山周辺地域における広域捕獲に着手したほか、春の妊娠中の鹿捕獲を狙った全県一斉捕獲についても取り組むこととしております。
 また、狩猟者団体との連携により、原発事故の影響による狩猟離れを補う県による捕獲を引き続き実施するなど、今後においても、市町村や狩猟者団体との連携による効果的な個体数調整を実施したいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 学校教育でのICT活用についてでありますが、まず、佐賀県教育委員会の取り組みについての所感でありますが、佐賀県におきましては、総務省のフューチャースクール推進事業や文部科学省の学びのイノベーション推進事業といった国の実証研究事業などを活用いたしまして、ICTを活用した学校教育に取り組んでいるところであります。具体的には、各教室への電子黒板の整備や情報携帯端末、いわゆるタブレット型パソコンの配備、教職員を対象とした研修の実施等による人材育成、さらには、学習管理や校務支援等の機能を統合した教育情報システムの構築などに取り組んでいると聞いております。
 このような佐賀県の取り組みは、学習指導の一方策として注目すべきものであろうと考えております。一方で、ICTの進歩は目覚ましく、初期導入費用に加え、ランニングコストや更新費用が見込まれるなどの課題も想定されているところでございます。県のみならず、小中学校を所管する市町村を含めて検討していかなければならないと考えております。
 次に、本県の学校教育のICT活用の導入についてでありますが、平成24年度調査によりますと、電子黒板がある学校の割合は、小学校で90%、中学校で56.8%、県立高等学校で86.8%、県立特別支援学校で92.9%となっております。
 タブレット端末につきましては、教育委員会から県立学校等へ配置しているものはございません。
 タブレット端末を用いた授業に関する教育的効果につきましては、さまざまな実践例が紹介されているところであり、特に特別支援学校におきましては有効であると指摘されておりますので、今後、検討を進めてまいります。
 なお、本県では、県立学校の教員1人1台端末を貸与しており、テスト問題の作成を含めた校務にパソコンを活用しているところであり、また、成績管理を含めた校務支援システムにつきましては、平成26年4月からの稼働に向け、現在、整備を進めております。
 次に、教育委員会の運営についてでありますが、教育委員会議の開催に当たりましては、会議に付議する議題や傍聴の手続などを県のホームページを通じ周知するとともに、会議資料や会議録を公開しているところであります。
 開かれた教育委員会を目指した取り組みとしては、例えば、県内各地区の学校現場において教育懇談会を開催し、教育委員が直接、地域住民の生の声を聞くことにより地域における教育の実情を把握し、各種施策に反映させる取り組み等を行っているところでありますが、さらに改善に向けて検証していく必要があろうと考えております。
 また、市町村教育委員会におきましては、市町村教育委員が住民懇談会へ参加し、保護者や地域住民の意見や要望を聞き、意見交換を実施するなどの取り組みが行われております。市町村教育委員会とのさまざまな意見交換の場などを通じて、このような取り組みを紹介しつつ、全国の市町村教育委員会における先進事例などもお知らせし、市町村教育委員会ともども教育委員会の活性化に努めてまいります。
 次に、文化財の保護についてでありますが、文化財の種類につきましては、文化財保護法で、建造物、絵画、彫刻などの有形文化財のほか、無形文化財、民俗文化財、史跡、名勝などの記念物、文化的景観、伝統的建造物群に分類されており、本県の有形文化財につきましては、国指定76件、国登録77件、県指定231件、市町村指定785件の計1、169件となっております。また、文化財の管理につきましては、原則として所有者が行っております。
 盗難、紛失、破損、焼失の防止に係る保護の取り組みについてでありますが、近年増加している盗難につきましては仏像等の有形文化財が多いと聞いているところであり、それらの適切な管理のためには、収蔵施設の設置が有効と考えております。国、県指定文化財につきましては、収蔵施設設置のほか、防犯、防災設備の設置、修理等に対しての補助制度があり、また、盗難、紛失、破損の防止及び早期発見のために、文化財保護指導員による文化財パトロールを実施しております。
 次に、地域や産業界の求める人材育成についてでありますが、急速な少子高齢化の進展、社会、産業構造の変化に伴い、地域や企業の求める人材も変化してきております。教育委員会におきましては、そのような生徒や学校を取り巻く環境の変化を踏まえ、今後もさまざまな機会を通じて、地域及び産業界等との意見交換を行い、求められる人材や学校のあり方等を含めたあるべき本県の高校教育の姿を検討していくことが必要であろうと考えております。
 次に、県立高等学校における学科の見直しについてでありますが、これまで、地域や産業界と連携いたしまして、地域や地域産業を担い、地域社会の発展に貢献できる人材育成を行うため、地域産業やその振興方向を念頭に置きながら学科を設置してきたところでございます。今後、小規模学校のあり方、新たな学科の設置の必要性も含めた本県における高等学校教育のあり方について、地域の方々や産業界等の御意見を伺いながら検討を進める必要があろうと考えております。
〇21番(高橋元君) それぞれに御答弁ありがとうございました。
 私の思うところと答弁と、かなりギャップがあるところもありましたが、2点に絞って再質問させていただきたいと思います。
 まず1点目は、人口減少と超高齢化に対応した新たな地域づくりについてであります。
 特にも、人口減少に伴って、限界集落、あるいは、先ほども申し上げましたけれども、山間地における散居、こういったものがどんどん出てまいりますので、その中での高齢者の生活をどのようにサポートしていくかということを考えたとき、新たな視点でというか、新たな手法でやっていくか取り組んでいかなければならないであろう、こういうふうに思ったところであります。
 先ほども紹介しましたが、知事の答弁にもありましたけれども、この素案にもいろいろ方向性を案として出されておりまして、私もこういう方向にいけばいいなという思いをしておりました。その辺を含めながら質問したいと思いますが、まず、近未来の当県を考えたとき、残念ながら一部の市街地を除き、限界集落が大半を占める。そこに多くの高齢者が住み、手にする少ない年金で、細々と、しかも自給自足の生活をし、病院にも行けない、介護も受けられなく人知れず静かにこの世を旅立つ、このような県内各地での日常的な状態が発生している、そんな光景が目に浮かんできてなりません。
 このような寂しい状況をつくらず、安心して生活するためには、高齢者用の集合住宅が必要と思われます。用地はたくさんあります。統廃合された未利用の学校跡地なんかもありますし、こういった状況を踏まえながら、知事は、超高齢化時代の県民生活、これをどのように描いておられるのか。特にも、過疎地域あるいは散居の点在する地域、これらを念頭に置きながら、これからの岩手県民の生活、これをどのように描いておられるか伺いたいと思います。
 もう一点は、学校教育でのICTの活用であります。
 ただいま教育長からもありました。その有効性はいいものがあると。ただ、初期導入の費用の問題とかランニングコストの問題、ここが大きく立ちはだかっているのではないかと思います。
 佐賀県に行って導入の経過をお尋ねしましたけれども、そこではやはり知事がやろうという一つの方向性を示していただいて、それをもとに、では国のどんな事業があるのだというところ、そして、それをまた試験的に何校かで導入し、その効果を見て、県の財政を見ながらそれを順次拡大していくというふうな取り組みであったようであります。そういう状況を踏まえて、ぜひ本県でもというふうな思いをしました。
 本県の学校教育は、先ほど紹介した指針でも活字を見る限りはアナログ教育ではないか、こういうふうに思いますし、これが今後10年間も続くのかというと、少しその面では不安を感じます。ICTが発達している現代で、それぞれ活用した教育が行われないと、ますます本県の教育は取り残され、社会に巣立つ子供たちがデジタル化の中で悪戦苦闘せざるを得ない、そういう状況になります。
 教育にはお金がかかる、今は多額の予算を回せない、もう少し先にと思っておられないと思うところでありますけれども、達増知事、ここは最優先で、できれば思い切った大型予算を組んで、学校教育現場におけるICT教育の導入を行う、そのようなお考え、決断はないのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、超高齢化時代における県民生活についてでありますが、高齢化の進展が見込まれる今後の地域社会におきましては、県の総合的な高齢者の福祉、介護施策の基本的方針等を示すいわていきいきプランにありますように、高齢者が、長年の経験とこれまで培った知識、技能を生かして、地域社会の重要な構成員として主体的に活動することが求められます。年齢を加えることがその人の人生の充実につながり、老、壮、青各世代が協力し合いながら、活力ある地域社会を築いていくべきだと考えます。
 そのような中で、過疎、高齢化の進行が著しい地域にありましても、サービスつき高齢者向け住宅など、必要なときに必要な介護サービスなどが受けられる環境が整備されて、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせる地域づくりが重要であると認識しております。
 学校教育でのICT活用についてでありますが、佐賀県などにおいて、学校教育の情報化や児童生徒の情報活用能力の育成を図るため、電子黒板の整備やタブレット型パソコンを配備するなどの先進的な取り組みが行われているということをうかがっております。このようなICTを活用した指導は学習指導の一方策として効果的であり、電子黒板や情報端末は大事なツールであると考えております。したがいまして、岩手の児童生徒に、ICTの活用を含めてどんな方策で指導を行うことがより効果的なのかなど、教育委員会で議論をしていただきたいと考えております。
〇21番(高橋元君) ありがとうございました。決断というところではなさそうですが、一応教育委員会でその導入の方向性について検討はしていただくということ、そういうボールが教育委員会に投げられたのではないかと私は受けとめております。先ほどの教育委員会のあり方を含めても、知事がやりたくても教育委員会での検討がある、あるいは教育委員会でやりたくても知事の予算を伴う決断が必要だ、このところが非常に今、課題になっているところでありますけれども、ぜひそのことを乗り越えていただいて、この岩手の将来を担う子供たちのために、ICTの導入については、まず先駆けてどこかモデル校ででもスタートしていただきたいと思います。
 それから、高齢者の集合住宅については、西和賀町の状態も私、行って聞いておりましたけれども、もう少しそういう整備をしたいけれども、町の財政を考えるとなかなかそれは難しいというふうなお話もありました。できれば国の政治の拡充を求めるのも必要だと思いますが、県としても何かしらの相談なり支援体制も必要ではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) お年寄りの皆さんが、自分たちが暮らしたい地域で幸せに暮らしていくということについては、県としてもしっかりそこに対応していきたいと思います。
〇議長(千葉伝君) しばらくお待ち願います。
次に、神崎浩之君。
   〔5番神崎浩之君登壇〕(拍手)

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