平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇30番(工藤勝博君) いわて県民クラブの工藤勝博でございます。
 会派の御配慮により登壇の機会をいただき、一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、農林業の振興について何点かお伺いいたします。
 1点目は、農業政策の見直しについてであります。
 今、政府・与党が検討を進めている米政策や経営所得安定対策の見直しが、生産現場に大きな不安と混乱を招いております。国が生産目標数量の都道府県配分をやめ、生産調整を廃止して、計画生産が本当にできるのでしょうか。またもや激変しようとしている農政に、生産者は不安と不信に陥っております。
 日本は瑞穂の国だ、美しい田園風景を活力あるものにしたい。農業は国の中核的な産業だ。安倍総理はこう力説していますが、果たして信じてよいのでしょうか。
 40年前の減反政策、生産調整がなぜ始まったのか。その原点は、食料管理制度で国の全量買い上げが基本だったことにあります。その後、品種改良、生産技術の向上、土地基盤整備、農機具の発展などにより米の生産状況が著しく進歩し、消費と生産量のバランスが崩れて政府の在庫が過大となり、食糧管理特別会計の赤字が大きな社会問題になったのです。
 米、国鉄、国保が財政赤字の元凶と言われ、3Kともやゆされました。私は、本来の減反政策は、今報道されているような米の価格維持のための政策ではなかったと思っております。現に、米の価格は、1995年に60キロ当たり2万1、000円だったのが、2010年には1万3、000円弱と4割も落ち込んでおります。さらに、1人当たりの消費量は、ここ50年間で半減しています。
 このような状況の中で、定着したかに見えた農家戸別所得補償から経営安定対策制度も5年後には廃止するという、人・農地プランを作成し地域の担い手が立ち上がろうとしている矢先に、農政がまたも方向転換をしました。農地の集積を進め稲作の競争力を高める政府の方針は、余りにも拙速ではないでしょうか。
 基盤整備もおくれている岩手県、さらに、中山間地の条件不利地域での農業生産、県は、どのような方針で農業振興に臨むものか、知事にお伺いいたします。
 次に、農林業関係の2点目は、飼料用米の生産と畜産振興についてであります。
 水田政策の見直しの中で、飼料用米の生産が大きく取り上げられています。主食用米並みの所得が得られる制度設計が進められていることは唯一評価できますが、現在10アール当たり8万円とされている交付金については、生産努力によって加算される数量支払いの仕組みも導入するなど、さらに魅力ある制度の確立が望まれます。
 県の農業産出額の6割は畜産であります。水田のフル活用で飼料用米生産が定着されれば、畜産経営にとっても安定した飼料確保と輸入飼料の代替にもなると考えます。
 そこでお伺いいたします。望める生産量と需要の確保はどのように把握しているのでしょうか。また、飼料用米に適する品種開発の状況についても、あわせて伺います。
 本県の畜産産出額は全国有数の額となっております。また、広大な県土が何よりの資源であり、生産基盤の環境もすぐれています。ブロイラー、酪農、養豚、和牛等の規模拡大が進み、大きな産業として位置づけられており、さらに、生産、加工、販売と6次産業化も畜産が先進的な役割を果たしています。
 しかし、TPPの先行き、放射能汚染による被害など、経営不安がまだまだ払拭されておりません。そのような中、県内では、キャトルセンターの整備による和牛の増頭、酪農のメガファーム構想等の新たな経営形態が模索されていると聞いております。畜産県岩手の畜産がさらに発展に結びつくような支援策について伺います。
 3点目は花卉振興についてであります。
 全国の花卉産出額は、花卉の需要が低迷する中、切り花の輸入増加や農家の減少などで、1995年の6、200億円をピークに減り続け、2011年には3、700億円まで落ち込んでいます。本県においても、低単収圃場の栽培中止や高齢化によるリンドウ栽培農家数の減少が進んでおり、主力品目のリンドウ、小菊等の生産維持が急務となっております。特にもリンドウは水田転作に向く唯一の高収益品目として貴重な花であり、40年の歴史で培った日本一の生産量、生産高の維持には官民一体となった取り組みが必要です。
 今、国では、日本の文化に果たす花卉の役割や輸出品目としての期待などを踏まえ、消費拡大を初め総合的な振興に取り組む(仮称)花卉産業等振興法の制定に向け準備を進めていると聞いております。県においては、担い手の選択品目として今後も花卉振興に力強く取り組むべきと考えますが、県の考えを伺います。
 4点目に松くい虫防止対策についてであります。
 被害が急速に拡大している松くい虫被害は、平成25年6月には住田町、雫石町、滝沢村、また、この秋には九戸村、宮古市まで確認されました。県全体を対象とした監視体制をより強化しなければならない事態となっています。森林資源は、庭園、公園等美しい景観をつくり出すとともに、水源涵養、土砂流出防備、保険等の機能を有する、後世に引き継いでいかなければならない貴重な財産でもあります。ここ数年の松くい虫被害の状況から、一刻の猶予も許されないと思われますが、岩手県の木、南部あかまつを保護し、被害地域の拡大を防止するための当局の取り組みについてお伺いいたします。
 5点目は補助事業のあり方についてであります。
 農業振興に係る補助事業メニューは多岐にわたり、それぞれの目的によって執行されております。国からの予算づけ事業、県単の事業等で生産現場の生の声を届けたいと思います。地域の担い手として認定農業者の認定を受け、生産拡大に努めている農業者の声です。
 高齢化、後継者のいない農家からの作業受託を受け入れているが、面積拡大とともに施設整備に大変苦労している。個人経営とはいえ、地域の農業、農地を守るために取り組んでいる。このような状況の中で、担い手であれば、個人経営でも補助事業の対象になるということなら助かるのだがというものであります。
 現下の農業情勢を思うに、3人以上の組合もしくは法人にすることは容易なことではありません。現在、県では、個別の担い手に対して施設整備などを支援する事業を実施していると聞いておりますが、地域の農業者は、この事業の仕組みを十分知っているのでしょうか。改めて伺いますが、どのような農業者であればこの事業の助成対象となるのでしょうか。また、地域の担い手に対し、今後どのようにして事業の内容を周知していくのかという点もあわせてお聞かせ願います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、観光の推進について伺います。
 議員発議により、みちのく岩手観光立県基本条例が施行され、それに基づいた第1期基本計画が平成25年度で終了します。本県では、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故等、全く予想もしていなかった事態に遭遇し、観光産業にも大きな影響がありました。しかしながら、平泉の世界遺産登録やいわてデスティネーションキャンペーン、そして本年の連続テレビ小説あまちゃんの放映で岩手の魅力が大きく発信されたものと思います。
 そんな状況の中で、このたび2期目の基本計画が示されました。観光によるいわての復興と日本一のおもてなし。まさにこれからが岩手の観光を推進する正念場と考えます。観光客入り込み数を最終年度に延べ1、640万人、宿泊客数を同700万人とするなど目標値が設定され、東日本大震災を踏まえ、第1期計画から観光振興施策に三陸沿岸観光の再構築を盛り込むなど、大幅な見直しが図られます。
 民間の2013年度調査で、本県の総合的な満足度は全国21位と真ん中より上でありました。項目別では、地元の人のホスピタリティーを感じたが3位と高い水準で、県民性があらわれていると思います。
 計画では、地域資源を生かした魅力的な観光地づくりなどの五つの観光施策が掲げられ、そのうち沿岸観光については、沿岸観光施設の早期復旧、復興ツーリズムの促進などの取り組みが示されています。さまざまな逆風の中から大震災前の水準を回復し、さらに追い風も味方にしながら、交流人口の拡大に結びつける絶好の機会でもあると考えますが、そこで知事にお伺いいたします。
 岩手の復興は、総合産業として大きな経済効果をもたらす観光が握っていると言っても過言ではありませんが、日本一のおもてなしを目玉にしながらも、PR下手と言われる県民性を踏まえ、どのような手法で誘客に取り組むのかお聞かせ願います。
 また、この第2期計画では、本県の観光に影響を与える機会として外国人観光客の増加が掲げられており、とりわけ経済成長が著しく、訪日指向も高い東アジア圏からの誘客が本県の観光振興において非常に重要な課題であります。受け入れの拡大を目指すに当たって、観光施設などにおいて外国語対応が可能なスタッフの拡充や、各種案内表示の多言語化を初めとした受け入れ環境の整備が必要であると考えますが、今後の県の対応についてお伺いいたします。
 また、県では外国人観光客の誘致において台湾を最重点市場と位置づけ、これまで取り組んできたチャーター便運航の拡大に加え、いわて花巻空港への台湾からの定期便誘致を目指しておりますが、台湾側から、路線開設に当たり一定の岩手側からの需要が必要との指摘を受けているとうかがっております。相互交流の拡大に向け、いわゆるアウトバウンド対策も重要だと考えますが、このことについて知事の御見解をお聞かせ願います。
 次に、県北地域における産業振興と人材育成について伺います。
 県北地域には企業集積もなく、企業誘致が進まず、有効求人倍率は県内最低の水準を続けています。また、1人当たりの所得は、県央、県南地域の企業集積地と比較してその格差が大きく、加えて、新規学卒者を初めとした労働力の流出が続くなど、人口減少の大きな要因となっており、産業の活性化と雇用の創出が最重要課題であります。
 全国には、地場産品を活用した食産業の進展が地域経済や雇用を支える大きな基幹となっている事例が多くあります。本県の県北でも、例えばあまちゃんで一躍全国区になったまめぶ汁など郷土食を商品化し、企業起こしに結びつくような、地場の特産品を活用した産業の振興に対する支援がもっと必要ではないでしょうか。
 また、ことし、三陸ジオパークが日本ジオパークに認定されたことを契機に、久慈琥珀などのジオサイトを活用した観光振興、交流促進の取り組みが一層求められております。厳しい環境の中からこそ新たな発想が生まれるものと思いますが、地域資源や特性を生かした県北振興策について、知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、若者の定着に結びつくための食品関連学科の創設について伺います。
 食品関連企業は、食品衛生や品質管理など基礎的知識を有している人材を求めています。地域の食産業の担い手を育成するために、さらには即戦力の人材を育成することで若者の地元定着にもつながります。県北地域の食産業をさらに発展させるために、地元高等学校に特色のあるカリキュラムが組める食品関連学科の創設が必要ではないでしょうか。
 県立種市高校海洋開発科は、潜水と土木の基礎知識と技術を学ぶことができる全国唯一の学科です。長い歴史を持つ南部もぐりの伝統を生かし、海洋工事全般に関する技術者として国の内外で活躍している。東日本大震災以降も震災復興でニーズが急速に高まっています。このように、岩手ならではの特色ある学科を創設することにより、人材育成そして産業振興につながるものと考えますが、御所見を伺います。
 次に、河川災害について伺います。
 本年はたび重なる豪雨と台風により河川災害が多発しました。7月26日~28日は、県南部を中心に1時間当たり70ミリメートル前後と釜石観測所では観測史上最大の降水量、8月9日は県央部の雫石、紫波、大迫の観測所で1時間当たり78ミリメートルから68.5ミリメートルと、この日も観測史上最大で記録的な豪雨となり、河川の氾濫、田畑の冠水、農業施設への土砂の流入、林道ののり面崩壊など甚大な被害をこうむりました。さらに、9月16日、台風18号が追い打ちをかけ、松川、安比川の氾濫では、収穫期を間近に控えた水田に流れてきた倒木や大量の土砂が流入し、黄金色の稲穂をなぎ倒した。自然災害の猛威には、ただただ愕然とするばかりであります。温暖化により気象変動が激しくなり、局地的にゲリラ豪雨が発生しやすいとも言われますが、多発する災害に整備が追いつかない中で、県はどのように対応し、今後どのような対策を講じていくのか伺います。
 次に、一級河川である松川と安比川の整備計画について伺います。
 まず、裏岩手連峰を源にする全長38.4キロメートルの松川は、水田のかんがい用水にもなっている重要な河川ですが、今般の台風18号の被害により、改めて河川整備のおくれが被害の拡大につながっていることが確認されました。河川改修の済んだ上流部では軽微な被害ですが、未改修の部分は甚大な被害をこうむっていて、下流の盛岡市玉山区は水害常襲地帯になっております。水害統計によれば、平成になってからも10回ほどの水害が発生しておりますが、今回の被害は最大規模でした。特に被害の大きかった地区を対象に住民説明会が開かれましたが、抜本改修を求める声が各地で出ています。来年の作付の是非を決する時期が間近に迫っていることからも、早期の改修、整備計画を示すべきと考えますが、県のお考えをお聞かせください。
 次に、安比川について伺います。
 全長55.1キロメートルの安比川は平成になってからもたびたび氾濫して、平成19年度にはかなりの大きな被害に見舞われております。特に下流地域の二戸市では、本年の台風18号でも、一昨年の台風災害に引き続き、住家、道路、農地等に大きな被害が発生するなど、大雨に伴う増水、氾濫が恒常化しています。上流地域の八幡平市では一部の河川改修事業が進んでおりますが、未整備区間は豪雨のたびに氾濫を繰り返しています。人命はもちろん、住家や道路、農地等を守る、安全・安心な地域づくりのために、河道掘削など復旧事業のみならず抜本的な改修、整備が必要と考えますが、県の考えをお示し願います。
 次に、再生可能エネルギー発電の促進について伺います。
 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故の後、国においては、風力、太陽光、水力、地熱、バイオマス等、再生可能エネルギーの導入政策が積極的に進められております。固定価格買い取り制度の創設を初め、各省庁で補助事業や交付金等を新設しているところであり、原発、化石燃料によらないエネルギー確保は地方の活性化にもなると認識しております。
 昨今、民間事業者による大規模な太陽光発電施設も各地で完成されていますが、大きな課題として、送電網の脆弱な地域においては、発電所を建設したくても送電ができないという壁があります。特にも県北・沿岸部にあっては、送電網の強化がなければ再生可能エネルギーの事業展開が限定される状況にあることから、電力自給率を高める施策を遂行するためにも県の総合的な対策が必要かと思われますが、県はどのようにお考えでしょうか。
 さらに、エネルギーの地産地消に向けて積極的に取り組む一方、発電施設整備にあっては、農地法、森林法などの規制により事業展開が見込めず、取りやめに至った事例もあるなど、事業を推進していく上で土地利用規制の緩和や手続の簡素化が求められております。新規の発電事業がスムーズに運ばれるよう特段の配慮をすべきと考えますが、県の御所見を伺います。
 次に、いわて子どもの森の運営状況について伺います。
 平成15年に開館した県立児童館いわて子どもの森は、開館してはや10年が経過いたしました。平成20年7月で100万人、本年7月には200万人と、多くの方々が来館しています。子どもの森では、豊かな自然を遊びのフィールドとして活動すること、家族みんなで役割分担しながら楽しい食生活をすること、身近にある物に手を加え新たなものを創造すること、音(音楽)をみんなと共感し体を動かすことの四つの基本事業を通じ、岩手のたくましい子供たちの育成を目指してスタッフ一同頑張っておられることには敬意を表したいと思います。
 開館初年度は27万人を超える利用者があったものの、その後、数年間は落ち込み、平成19年度は15万人ほどでした。しかし、その後、少子化が進む中にあっても平成20年度からは増加に転じ、開館10年で入館者200万人を達成できたことは高く評価されます。
 そこで、開館10年を迎え、これまで子どもの森が果たしてきた成果と、今後取り組むべき課題について伺います。
 次に、交通事故防止と交通安全協会について伺います。
 本県には一般社団法人として岩手県交通安全協会があり、さらに県内16地区に地区交通安全協会が組織されております。岩手県交通安全協会は、交通事故を防止するため交通安全思想の高揚を図り、交通秩序の確立と交通安全の実現に寄与することを目的として、昭和29年6月28日に認可された団体であり、公益法人改革に伴い、平成24年4月1日に一般社団法人に移行しております。
 民間の交通安全活動の中核として、街頭や各種集会での交通ルールを守る呼びかけなどを行う啓発宣伝活動や交通安全教育、各種交通安全資料の作成、頒布等、交通安全、交通事故防止の活動に大きな実績のある団体であります。
 一方、協会の運営は、運転免許取得時または更新時における協会加入費や車庫証明の車庫調査業務、収入証紙売りさばき手数料などで賄われておりますが、近年では、免許取得者が減少したほか免許センターでの更新が多くなっていることなどから協会加入者が減少し、協会運営に大きな支障を来しております。
 また、今般、県では収入証紙の売りさばきに係る手数料の見直しを行い、平成26年度以降に実施することとしておりまして、ますます厳しい運営になることが見込まれております。職員の中には半ばボランティアだと覚悟している人もおりますが、本県の交通事故防止、交通安全運動を推進する上で交通安全協会は持続させなければならない組織であり、車社会の変化に合わせた活動支援が必要と思われますが、県の対応について伺います。
 以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、農業政策の見直しについてでありますが、本県の農業は、高齢化の進行等による農業従事者の減少、生産物価格の低迷による農業所得の減少などのさまざまな課題を抱えておりますが、こうした中にあっても農業者が意欲を持って営農し、持続的に発展していくことが重要と考えております。
 国においては、農業の競争力の強化を図ることとして経営安定対策などを見直し、新たな施策を実施することとしておりますが、この間、国から制度見直しに関する十分な説明はなく、農業者も将来を見通せず、不安を抱いている状況と認識しております。
 県といたしましては、引き続き国に速やかな情報提供を求め、国の制度見直しに対応した本県での関連施策の展開の検討と具体化を急ぐことといたしますが、本県では多くの農家が中山間地域で生産活動をしており、小規模農家が多いことや、農業が地域社会そのものを支えているという実態を考慮しますと、小規模農家も参画した地域農業、コミュニティの維持、発展によって農業、農村の活性化を図っていくことが重要と考えております。
 このため、今後におきましても、地域農業全体の展開方向を明確にした地域農業マスタープランを基本に据えながら、意欲ある農業者への農地集積による経営体質の強化や小規模農家も含めた産地づくりなどを進め、農業、農村が将来にわたり持続的に発展するよう取り組んでいく考えであります。
 次に、第2期みちのく岩手観光立県基本計画についてでありますが、観光による岩手の復興を推進するためには、地域資源の磨き上げによる魅力的な観光地づくりや人材育成などの受け入れ態勢の整備、効果的な情報発信により滞在型、交流型観光を推進するほか、沿岸地域の観光産業の早期復興と観光需要の回復を図ることが重要と認識しております。
 さきに放映され、大きな反響を呼んだあまちゃんは、本県の知名度向上にとどまらず、地元の資源を活用した地域づくりの重要性を再認識する機会ともなりました。県といたしましても、これを契機に、県内各地域における観光地づくりや人材育成を推進し、いわてデスティネーションキャンペーンで築いた官民一体のオール岩手の体制を生かしながら継続的に大型観光キャンペーンを展開し、世界遺産平泉に代表される歴史文化や豊かな自然、特色ある食文化など、本県の多彩な魅力を強力に発信してまいります。
 また、回復がおくれている沿岸地域におきましては、教育旅行のテーマとして注目されている震災学習を沿岸観光の柱として推進していくとともに、三陸復興国立公園や三陸ジオパーク、全線開通となる三陸鉄道、SLの新規運行などのさまざまな誘客要因を活用して、観光客入り込みの早期の回復を図ってまいります。
 さらに、平成28年の国体と全国障害者スポーツ大会の本県開催に向けても、実直な県民性に裏打ちされたおもてなしの一層の磨き上げを図りながら、オール岩手での観光推進による復興に取り組んでまいります。
 次に、相互交流の拡大についてでありますが、国際定期便の開設により、いわて花巻空港から世界へ直接つながることで県民の利便性が飛躍的に向上し、経済、文化等の国際交流の促進や、本県への多大な経済効果をもたらすものと期待しています。
 本県では、これまで国際チャーター便の運航に力を入れてまいりましたが、世界的なオープンスカイの進展や、これまでの実績などから台湾へのセールスを強化し、本年4月に、中華航空に対し国際定期便の就航を要請いたしました。それを受け、9月、中華航空の会長など関係者が来県し、いわて花巻空港や県内観光地を視察するとともに、会長からは、国際定期便の実現に向けて本県から台湾への送客、いわゆるアウトバウンドの対策などが課題として示されました。このことから、県や県空港利用促進協議会では、県内の旅行会社に対する支援や関係団体への働きかけ等を通じて、台湾との観光やビジネスなどの交流の拡大に向けた取り組みの促進を図り、年間を通じたアウトバウンド需要を拡大し、国際定期便の就航に向けた機運醸成を図っていきたいと考えております。
 次に、地域資源や特性を生かした県北振興についてでありますが、県北地域の産業振興については、これまでもすぐれた地域資源を生かした取り組みを進めてきたところであり、ヤマブドウや雑穀等の商品開発や食材取引の拡大、農林水産物のブランド化や販売網形成など食産業の振興等を図ってまいりました。
 今年度におきましては、地元飲食店等と連携しながら、地元食材を活用した新たな御当地グルメの開発や食べ歩きラリー、北いわてプレミアムフードフェスタなどを開催し、食を通じた地域の活性化に取り組んでおります。こうした中、民間の取り組みとして、久慈まめぶ部屋のまめぶ汁が先月開催されたB−1グランプリで第5位に入賞するなど、全国的な認知につながるような動きも出てまいりました。
 また、観光振興の取り組みとしては、県北地域の食と体験観光着地型ツアーの構築を目指してモニターツアーを実施しましたほか、三陸ジオパークの日本ジオパーク認定を契機に、あまちゃんのロケ地などを活用したツアーを実施し、交流人口の拡大に向けた取り組みも進めております。今後におきましても、あまちゃんや平泉を核として、県北・沿岸と県内外との交流、連携をさらに進めながら、三陸ジオパークや、来年4月に全線開通予定の三陸鉄道などの地域資源を活用した取り組みも積極的に進め、地域と一体となった産業振興に県の総力を挙げて取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、飼料用米の生産についてでありますが、飼料用米は、畜産経営体や飼料メーカーとの契約に基づき生産される仕組みとなっておりますが、県は毎年、畜産経営体等に対し需要調査を行い、把握した情報を農業者等へ提供しており、平成24年度は、県内で1万74トンが生産され、畜産経営体等に供給されております。
 また、飼料用米に適する多収性品種の開発につきまして、県は、県北、県央部向けに、つぶみのり、県南部向けに、つぶゆたかを開発し、普及を図っておりますが、平成25年度は、それぞれ440ヘクタール、500ヘクタールが作付されております。
 これらの品種の収量は10アール当たり約700キログラムでありますが、より収量の多い品種の開発に国や他県と共同して取り組んでおり、できる限り早い時期に開発し、普及を図りたいと考えております。
 次に、畜産振興策についてでありますが、本県の酪農、肉用牛生産は、全国に比べ経営規模が小さく、生産コストも高いことから、経営規模の拡大や生産性の向上を図っていくことが重要と認識しております。
 このため、県では、牛舎等の整備や優良家畜の導入、キャトルセンターの整備、TMRセンター等の外部支援組織の育成強化による経営規模の拡大、また、県有種雄牛の造成、乳用牛群検定成績の活用による生産性の向上などの取り組みを市町村や農業団体等と連携して支援してまいりました。
 さらに、これまでの取り組みに加え、キャトルセンターの機能強化による地域内一貫生産体制の構築に取り組むとともに、外部支援組織を活用したメガファームの育成を進めるなど、畜産経営の体質強化を図っていく考えです。
 次に、花卉振興についてでありますが、本県は、水田転作の高収益品目としてリンドウや小菊の生産振興を図っており、特にリンドウは、八幡平市を中心に、全国の生産量の6割を占める日本一の産地となっております。
 しかしながら、小規模農家が多く、高齢化も進行し、産地としての生産力が低下してきていることから、結束機など省力機械の導入による経営規模の拡大、難防除害虫の防除や暑熱対策など新技術の普及、栽培説明会の開催による新規栽培者の確保、需要期に対応した県オリジナル品種の開発と普及など、生産力の回復に取り組んでおります。
 今後とも、集落営農組織での花卉生産の取り組み拡大や新規栽培者の掘り起こし、産地を牽引している担い手の改植の促進や栽培面積の拡大、産地での話し合いによる圃場の確保等の取り組みを支援し、産地構造の強化を図っていく考えです。
 次に、松くい虫拡大防止についてでありますが、本県の松くい虫被害は、夏の猛暑の影響などにより、被害先端地域で被害が拡大傾向にあるなど、大きな被害が続いております。
 このため、今年度は、先端地域において被害木周辺の感染が疑われる松の伐採駆除、盛岡地域について農林水産大臣命令による駆除の導入、史跡、名勝等の重要な松林を保護するための薬剤散布や薬剤注入など、さまざまな取り組みを進めております。
 さらに、被害地域が拡大していることを踏まえ、11月から、全広域振興局に、ボランティアによる松くい虫被害監視協力員105名を新たに登録し、被害が疑われる枯損木の情報収集体制を整備したところであり、今後とも、被害木の早期発見、早期駆除に努め、被害の拡大防止に取り組んでまいります。
 次に、補助事業のあり方についてでありますが、個別経営体の施設等の導入に対する支援につきましては、国庫事業の経営体育成支援事業では、地域農業マスタープランに位置づけられた中心経営体を、県単独事業のいわて地域農業マスタープラン実践支援事業では、マスタープラン策定地区で同一集落内で組織化が困難な場合などに認定農業者を、また、県単独事業のいわてリーディング経営体育成支援事業では、県が公募し選定する販売額3、000万円以上を目指す経営体を、それぞれ事業対象としております。
 これらの各事業につきましては、市町村や農協等と連携し周知を図っておりますが、引き続き、地域農業マスタープランの実践に向けた地域での話し合いの場や普及センターの技術指導会、営農座談会など、さまざまな機会を通じて、事業内容が浸透するよう周知の徹底を図ってまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 外国人観光客受け入れ環境の整備についてでありますが、外国人観光客の宿泊者数は、平成24年は震災前の平成22年の約5割の水準にとどまっておりましたが、ことし上半期には回復の兆しが見えてきたところであり、さらなる誘客の拡大を図るには、プロモーションの強化とともに、宿泊施設や観光施設の受け入れ環境の向上が重要と認識しております。
 県では、県内観光関連施設で使用する中国語、韓国語、英語の翻訳ルールや代表的な観光用語の翻訳案を定めたガイドラインを作成しているほか、県内観光関係者を対象に、外国人観光客受け入れのための研修会の実施や外国人観光客から要望の強いWi−Fi利用環境の向上に取り組んでいるところです。
 今後は、外国語対応が可能なスタッフの拡充など、さらなる取り組みができるよう、国に対してインバウンド推進のための支援を要望するとともに、引き続き外国人観光客の受け入れ環境の整備に努めてまいります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 多発する豪雨災害への対策についてでありますが、近年、これまでに経験したことのないような豪雨が全国的に多発している傾向にあると認識しており、本県におきましても、ことしの7月から9月にかけて3回の記録的豪雨に見舞われたところであります。
 このたびの本県の豪雨につきましては、強い雨の範囲が流域全体の一部であったことから、改修済みの河道断面が洪水流量に対して一定の機能を果たしたものと認識しているところであります。
 また、今後、未改修の河川において河道計画を策定する際には、これら直近の雨量データについても考慮した計画とするとともに、洪水により家屋の浸水被害が発生した箇所や資産の集中している箇所などを優先的に整備してまいります。
 一方で、降雨の強さや地域分布、継続時間によっては、改修がなされた区間であっても氾濫が起こる場合も考えられますことから、県では、雨量や河川水位情報のさらなる周知に努めていくとともに、被害の状況等を踏まえながら、順次、水位周知河川の指定を進め、市町村が行う水防活動や避難勧告、住民の避難が適切に行われるよう、国や市町村と連携しながら防災対策を推進してまいります。
 次に、一級河川松川及び安比川の整備計画についてでありますが、現在、今回の雨量や流量などの洪水データをもとに調査分析を進めており、住家の浸水対策や橋梁などのライフラインの確保などを基本的な方針として、治水対策の検討を行っているところであります。
 今後は、地形測量を実施するとともに、沿川の家屋の被災状況や土地利用状況などを勘案して、それぞれの地域に適した整備内容を検討し、地域の方々への説明等を行いながら、具体的な計画を取りまとめ、できる限り早期に治水対策を進めてまいります。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 再生可能エネルギー導入の課題についてでありますが、県では、再生可能エネルギーによる電力自給率を平成32年度までに平成22年度の約2倍の35%とする目標を掲げ、その実現に向けて取り組みを進めているところであります。
 このような中で、東北電力が本年6月に公表した接続制約状況によると、特に県北部において制約が生ずる可能性が高いと見込まれるなど、送電網の増強は、導入拡大に当たって重要な課題であると認識しているところであります。
 このため、県では、機会あるごとに国に対し、送電網の脆弱な地域への増強等の支援を要望してきているところであります。
 また、市町村担当部長等会議などを通じて、開発案件の相談に当たっては、連系に十分留意するよう注意喚起するとともに、本年度、送電線を含めた多様な情報を盛り込んだ導入適地マップを作成するほか、防災拠点施設や被災住宅等への導入支援などエネルギーの地産地消も図る中で、電力自給率の向上を進めていく考えです。
 次に、規制緩和や手続の簡素化についてでありますが、土地利用規制の緩和などについては、国において、規制改革実施計画を定め、取り組みを進めているところであります。このような中で、県では、本年9月に復興特区制度に基づき、国に対して、農地転用の制限の緩和及び農用地区域内における開発行為の規制の緩和を内容とする規制の特例措置を求める提案を行ったところであります。
 先月22日に公布されました農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律は、本県の提案も踏まえて検討された法律であり、市町村が定める基本計画に基づき整備を行う事業については、市町村から設備整備計画の認定を受けることにより農地法や森林法等の許可があったものとみなすなど、手続のワンストップ化を図るものとなっております。
 今後、国において省令や基本方針等が示されることから、県では、これらを踏まえて、農林地等に再生可能エネルギー導入を検討している市町村への情報提供や計画作成支援を進めていく考えであります。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) いわて子どもの森の運営状況についてでありますが、いわて子どもの森は、豊かな自然の中で、児童が伸び伸びと遊び、自由に自然に触れ合える体験を提供するとともに、児童の健全な育成を支援する中核的な施設として、遊びの指導者の育成や県内各地の児童館等を巡回しての遊びの提供にも取り組んできました。
 また、東日本大震災津波の発生後には、被災地の子供たちが、安心して多様な遊びを体験できるよう、被災地の児童を招待するなどの支援にも取り組んできたところであり、将来を担う創造性豊かな児童の育成に寄与してきたものと認識しております。
 今後とも、県立児童館として、各地の児童館等との連携を強化し、利用者の声や、いわて子どもの森に設置している事業運営委員会からの意見などをいただきながら、より多くの方々に利用していただけるよう、事業内容の見直しを図りつつ、さらなる周知にも取り組んでいきます。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 食品関連学科の創設についてでありますが、県内において、食品に関する学科を設置している高校は3校ございまして、食品製造や食品管理、流通等の基礎的、基本的な知識と技術を習得させ、地域産業の担い手として活躍できる人材を育てているところでございます。
 お話のありました種市高校海洋開発科は、潜水と土木の基礎的、基本的な知識と技術を習得させ、卒業生は、水中土木技術者として必要な専門知識や各種資格等を生かし、地元はもちろん、国内外において活躍しているところでございます。
 高校における専門学科におきましては、その特色や魅力等を高めながら、地域産業を支える将来の担い手を育成することが重要であろうと認識しております。
 今後、新たな学科の設置の必要性も含めた本県の高等学校教育のあり方について、地域の方々や産業界等の御意見も伺いながら、十分に議論し、検討を進める必要があろうと考えております。
   〔警察本部長田中俊恵君登壇〕
〇警察本部長(田中俊恵君) 交通事故防止と交通安全協会についてでありますが、一般社団法人岩手県交通安全協会及び県内16の各支部は、民間の交通安全活動の中核として、子供や高齢者の交通事故防止対策や自転車の交通安全指導等を推進しており、県民の安全を守り、交通安全意識の高揚を図る上で重要な役割を果たしております。
 交通安全協会の運営につきましては、近年、同協会への加入率の低下などによって、これまでのような活発な活動がしにくくなっていると聞いておりますが、県警察といたしましては、今後も交通事故に関するデータの提供を初め、交通安全協会の行う街頭広報、啓発活動や交通安全教室に警察官を積極的に参加させるなど、交通安全協会の活動が効果的な活動となるよう、より一層、連携、協働して、各種交通安全活動を推進してまいりたいと考えております。
〇30番(工藤勝博君) それぞれ答弁大変ありがとうございます。何点か再質問させていただきます。
 まず、農業政策の見直しについてでありますけれども、国からの制度見直しに関する十分な説明がまだなされていないということで、先ほど来答弁がありますけれども、農業者にとっては、来年の作付の準備等も含めて大変不安を持っているところでもあります。
 知事は、制度の見直しが示されて以降、記者会見等の場では何度かコメントされております。その中で、私は、特に11月5日の記者会見でお話になりました生産調整、減反制度の見直しについては、小規模農家を切り捨てる政策で、机上の空論だと批判しております。
 これについて知事は、力のある農家がどんどんやればいいが、政府・与党案では、小規模農家をなくして、大規模農家だけを保護しようとしているように見える。かつて自由党が打ち出した小規模農家を守る戸別所得補償制度とは正反対の政策であるということを言っております。
 経営所得安定施策の見直し、確かに、現状の米の置かれている状況、水田をフルに活用するという方向なんですけれども、それに対して、今度の政策を単に批判するというだけでは、私は、県内の農家には納得できない部分がたくさんあるのではないかと思います。
 この農業の大改革が進められようとしている中にあって、批判するだけじゃなく、県内の農業者、農業関係者に向けて、県としても今後の農業をどういうふうに進めるか、逆に強力に推進していくんだというメッセージが必要ではないだろうかと。知事の声が、やっぱり県内の農家も含めて一番大事ではないかと思います。その点が1点。
 次に、この政策にあわせて先進的に取り組んでいる県があります。山形県では、もう既に政府の政策見直しに伴い、山形県独自の対応策を探っていると。市町村や農業団体などと情報や認識を共有して、農業県としてしっかり対応していくプロジェクトチームを発足させているということであります。その中で市町村からは、基盤整備がおくれている中山間地域への支援や県としての水田をフルに活用するビジョンの策定を求める意見が出されており、山形県としては、12月中にそれを策定する予定だということもあります。
 本県では、この改革の中で今後どのような手順で進めていくのか、また、あわせて2014年度の作付数量、生産目標数量も発表されており、先ほど部長からは答弁がありました。それらも含めて、あわせて部長からもお聞きしたいと思います。
 知事に、もう一点お伺いします。東日本大震災後の知事のトップセールスで、私も去年、台湾のトップセールスに御一緒させていただきました。そういう成果だろうと思いますが、台湾からの観光客が大分多くなってきたということ、そしてまた、ことしの9月には、中華航空の孫会長が岩手県を訪れ、そしてまた、それぞれの地域で、地域の皆さんとも懇談を深めております。それが、やっぱり今後の相互交流の大きな原点といいますか力になると思いますし、さらには、逆に岩手からどういうアプローチをしてアウトバウンドに結びつけるかということが、これからの大きな課題だろうと思っております。
 そういう中で、孫会長が、岩手県ばかりでなく、東北、秋田県、青森県にも多分行っただろうと思います。県地域間交流といいますか東北交流、先ほど観光の部分で、東北一体となった取り組みをするというお話もありました。具体的に、例えば来年度は、2014年度はこういう形で進めるんだというお気持ちがあれば、計画があれば、お示ししていただきたいと思います。
 それから、アウトバウンドでやっぱり必要なのは、県内の県民がどれだけパスポートを持っているかだろうと思います。そのパスポートを取得しやすいような何か支援があればいいのではないかと思いますし、また、県が率先して、民間の旅行者も含めて力を示していくほうが、やっぱり相手方にとっても、岩手県は一生懸命だなという思いが伝わるのではないかと思います。
 例えばですけれども、盛岡広域振興局ではチャーター便3機なら3機を受けるとか、その分、アウトも3機やりますよ、そういう仕組みづくりもこれから必要ではないだろうかという思いもしております。
 それから、もう一点、先ほど子どもの森の運営について部長から成果のお話がありました。私も孫を連れて2度ほど行ったことがあります。確かに週末には大変混んでいる、小さいお子さんから、家族連れで遊びといいますか余暇を楽しんでいるということで、本当にいい場所だなという思いで帰ってきました。
 ただ、やはり一、二度行くと、低年齢層といいますか幼児、あるいは小学生でも、低学年のうちは、また行きたいなと言うんですけれども、中学年以上になると、もういいやと。行っても楽しくないというか、そういう感じになると。やはりその辺は改善するべきだろうと。もうちょっと年齢層を広げる工夫も必要ではないかと思っております。
 確かに自然の中での遊び、またそういう暮らしも大事です。もう一つ加えれば、ILCの誘致にもつながるような科学する空間もあったほうがいいのではないかと。簡単なそういう科学的な興味を持てるような仕組みも必要ではないかという思いでおりますので、その辺もあわせて、もし答弁できればお願いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、農業政策の関係についてでありますが、やはり岩手県といたしましては、地域農業マスタープランを基本に据えた政策ということで、地域の小規模であっても集落経営、例えば、先ごろも意見交換をする機会がありましたけれども、一関市の農事組合法人おくたま農産のような、中山間地域にありながら大規模経営、低コスト生産ということを集落経営として実現しているようなそういう取り組み、また、二戸市の浄門の里づくり協議会、こちらは、私も実際に訪問して意見交換しておりますが、集落ぐるみで6次産業化や都市との交流に取り組み、地域を活性化している。
 こういったところに、県といたしましても、地域に寄り添い、また、生産者の皆さんたちと一緒に取り組んで、そして、東京を初め、消費者の皆さん、バイヤーの皆さんにも売り込みを図っていくということで、基本的には、このいわて県民計画でも農業というものは非常に大きな柱であって、この岩手が希望郷いわてとして全ての県民が希望を持てる県になるためには、農業の振興ということ、農業の持続的な発展ということがなくてはならないわけですから、そういうふうに取り組んでいるところでございます。
 台湾に向けての秋田県、青森県との合同でのアウトバウンドの数を伸ばす取り組みについては、申しわけありませんが、今、私の頭の中に具体的な事業というのは入っていないのでありますけれども、議員御指摘のとおり、大変大事なことだと思いますので、そうしたことを進めていきたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 現在、議員御指摘のとおり、さまざまな改革の対応が求められておりまして、事実上、農業団体との情報交換は既に始めております。ただ、制度見直しの内容をきちっと承知した上で、具体的なものについて農業団体と意見交換しながら、本県での対応の具体化を急いでいきたいと考えてございます。
 もう一点、米政策関連のことでありますが、これまでも制度の周知等の具体的な推進は、県段階では、県と農協中央会などが県農業再生協議会を組織して、地域段階では、市町村と農協などが地域農業再生協議会を組織して対応してまいっております。この生産調整配分の関係につきましても、基本的にはこのようなところで今年度は進めたいと思いますが、ただ、制度の大きな見直しもございますので、これまで以上に関係機関、団体と連携を強めて取り組んでいくことが必要だと考えておりますので、今後、そのような方向になるよう関係団体と十分意見交換、打ち合わせしながら取り組んでまいります。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 台湾へのアウトバウンド対策の取り組みについてでございますが、県では、県空港利用促進協議会の会員99団体を初め県内観光団体や経済団体などに働きかけて、年間を通じて広く県民のアウトバウンド需要の拡大を図っていきたいと考えております。
 また、県内各市町村の地域に根差した台湾との交流を促進していくことにより、それぞれの地域から国際交流の拡大もあわせて図ってまいりたいと考えております。引き続き、広域振興局と情報共有の上、県空港利用促進協議会等と連携しながら、アウトバウンド対策に率先して取り組んでまいります。
 また、パスポートについてお話がございましたけれども、国際定期便が就航している他県の事例を見ますと、国際定期便の利用促進を図る目的でパスポートの取得費の一部を支援している事例があるということは承知しております。本県においても、いわて花巻空港の国際定期便化に向けて取り組みを進めておりますので、これらの事例も参考としながら、本県にとって最も効果がある利用促進策を研究してまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(根子忠美君) いわて子どもの森の関係でございます。議員も何度かいらっしゃったということで、大変ありがとうございます。
 今、小学生の中学年以降になるとなかなか行かなくなるというお話、それから、ILCを契機として科学的な観点からのそういったものも必要ではないかというお話がございました。利用者のアンケートでも、小さい子供から年齢が幅広く利用できるというお話もありますが、一方では、やはり高学年向けのものも欲しいのではないかという意見も確かにございます。ものづくりや自然などのいろんな遊びの体験を提供しているわけですが、中には、例えば天体観測だとか、あるいは雪の結晶の観察だとか、そういった科学的な面の部分もございますけれども、さらにそういった視点から事業内容の見直しができないかどうか、先ほど申し上げました事業運営委員会の専門家の皆様からの意見を伺いながら検討していきたいと思っておりますので、今のお話については、そういった内容についての検討ということで御意見を伝えたいと思っております。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時8分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
25  番 喜 多 正 敏 君
26  番 工 藤 大 輔 君
27  番 熊 谷   泉 君
28  番 嵯 峨 壱 朗 君
29  番 工 藤 勝 子 君
30  番 工 藤 勝 博 君
31  番 高 橋 昌 造 君
32  番 五日市   王 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
欠席議員(1名)
48  番 小野寺   好 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時28分 再開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。熊谷泉君。
   〔27番熊谷泉君登壇〕(拍手)

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