平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇27番(熊谷泉君) 自由民主クラブの熊谷泉であります。
 質問の中に、さきの質問者と重複する箇所もありますが、通告に従い、順次質問をしてまいります。
 初めに、東日本大震災津波からの復興の取り組みについてお伺いいたします。
 東日本大震災津波は発災から2年8カ月が経過しましたが、本県においては、まだ被災者の生活再建や高台移転など多くの課題が山積しています。また、東京電力原子力発電所事故に伴う除染や損害賠償の確実な実施なども迅速に対応していかなければならない大きな課題として残っております。被災市町村等からは、第2期復興実施計画の策定に当たって、被災状況や土地利用の状況、産業構造等の地域特性を十分に尊重しつつ、市町村等の意見を十分反映させるとともに、迅速な本格復興が積極的かつ効果的に推進される計画とすることや、被災市町村における復興計画が着実に推進されるよう十分配慮するとともに、長期に支援するよう要望が出されているところであります。
 こうした状況を踏まえてお尋ねいたします。
 県では、震災後、いち早く岩手県東日本大震災津波復興計画を策定し、被災地の迅速な復興の推進を図ってきたところであり、この復興計画の平成23年度から平成30年度までの全体期間を大きく3期に分けて取り組みを進めてまいりました。
 このうち、復興実施計画の第1期は基盤復興期間とされており、来年3月までが一つの区切りとなっておりますが、これまでの進捗状況と成果について知事の所感を伺います。
 また、平成26年度から平成28年度までの3年間を第2期とし、本格復興期間と位置づけられておりますが、平成25年度末に策定予定の第2期復興実施計画では何を重点と知事は考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、今後さらに復興を加速するために、事業用地の円滑な確保と並んで被災地の復興を担う人材の確保、復興財源の十分な確保、特にも自由度の高い財源の確保が急務であり、被災地の第一線で復興を担っている市町村からも強い要望があったところであります。これらの課題について、今後はどのように対応されていくのかお伺いいたします。
 次に、いわて復興塾について知事に伺います。
 オール岩手を学びの場にしたいとの設立趣意書をもって広く塾生を募っているようでありますが、11月には、東日本大震災津波からの復興に関する要望書として町村会などから多くの提言もなされており、また、岩手県東日本大震災津波復興委員会委員の皆様からも専門的な意見が寄せられているものと考えます。被災地の各市町村の首長においても、その地域の課題については十分に把握され、今、復旧に当たり日々奮闘されている最中と思います。
 一方で、震災から2年8カ月を経過して、今なお、2万7、000人もの方が応急仮設住宅での生活を余儀なくされている現状の中、同趣旨の塾の開講は時期尚早だと考えます。もし、この塾により知事御自身が学ぶものがあるとお考えならば、いつから政策に反映していかれるのかお伺いいたします。
 次に、農林業政策についてお伺いいたします。
 本県は食料供給県として位置づけられ、農業振興を産業振興策の一つの柱としてきましたが、農業生産額が低下してきているのが実情であります。過去において、千田知事は畜産、中村知事は野菜を奨励し、ビニールハウス建設を進めるなど、目玉となる農業政策を掲げた時代もありました。
 米づくりに適さない鹿児島県、宮崎県は畜産振興で、そしてまた地の利を生かし、関東圏でも本県より高い農業での生産額を示しております。
 本県においては米中心の経営が主体であり、国の米政策が大きく転換しようとしている現在、本県でも発想を大きく変える時代にあると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、具体的に何点か伺います。
 今回の減反政策の見直しで飼料用米が注目されるものと考えます。政府は2018年度をめどに減反を廃止する方針で、その中で主食用米から飼料用米と米粉用米への転作を促す方針であり、飼料用米への補助金も2014年度から収穫量に応じて支払う仕組みに変えるとしており、支給の上限は10アール当たり10万5、000円、下限を5万5、000円と示しております。これらを踏まえて、本県においても、今後さらに飼料用米が注目されるものと考えます。
 また、形状は異なりますが、米を飼料用米として栽培し、処理されているホールクロップサイレージは、田植えも直まきにより行われ、収穫もクローラー型の専用機が開発されるなど作業効率がよく、牛の飼養者に広く利用され、拡大しつつあります。
 そこで伺いますが、県は多収量の飼料用米の開発を行っていましたが、現状はどのようになっているでしょうか。また、ホールクロップサイレージ作付面積はどのぐらいあるのでしょうか。これらも今後増加していくのでしょうか。さらに飼料用米がふえた場合、今までの流通体系では処理できないと考えます。具体的な流通の対応をどのように行っていくのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、薬用作物について伺います。
 葉たばこの栽培面積が減少する中、中山間地において、これにかわる作物として薬草が有望ではないかと考えます。近年、漢方薬の需要は増加傾向にあり、原料となる薬用作物の需要も拡大が見込まれる一方、主な輸出国である中国からの輸入量が減少していることから、製薬会社では国内の原料調達を強化する動きがあると聞いております。薬用作物は収益が安定しているほか、冷涼な気象条件に適した品種も多いことから、本県においても、岩手町を中心に、製薬会社との契約により栽培が行われております。しかし、生産現場においては病害虫防除対策等が明らかになっていないことも多く、また、除草については、薬用作物に使用できる除草剤が少ないことから、新たな除草技術等の栽培技術確立への支援が求められております。
 そこで、県として、薬用作物の栽培に関する技術開発や指導についてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 また、薬用作物以外にも県内には地域特産物として伝統野菜や山菜などが栽培されており、中山間地域における有望な品目と考えております。今後、地域特産作物についても、県としても支援していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、松くい虫被害についてでありますが、ことし、雫石町、滝沢村等でも新たに被害が確認され、現在の被害市町村は18市町村となっておりますが、新たな被害市町村においては被害が小さく、現状では面的な広がりまでに至っていない現状となっております。しかし、雫石町の場合は一帯が松林となっており、初期の対応が重要と考えます。
 薬剤のヘリ散布は、飲料水、人体や環境への影響等についても考慮しなければなりませんが、日本海側のクロマツの防潮林ではラジコンヘリを使用した薬剤散布による防除が行われており、被害の発生を最小限に抑えるなど効果が発揮されております。
 そこで、面的な広がりのない被害の初期段階では、薬剤のヘリ散布による防除が効果的と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、道路行政についてお伺いいたします。
 道路の管理区分につきましては、道路法等で一般国道、県道の認定基準が定められており、全国的な幹線道路網を構成しているものは一般国道とし、地方的な幹線道路網を構成するものは県道とするとされているところです。
 しかしながら、これらの管理区分は固定化されるべきものではなく、交通量の変化とともに見直しをしていく必要があります。例えば市町村道であっても、他の市町村道と一体となって県道の認定基準に合致するような道路もあると考えられるところであり、また、逆に、市町村道の整備により、基準に合致しなくなっているような県道もあるように見受けられるところであります。つきましては、県では、道路の交通量を把握し、管理区分の見直しを行っていく考えがあるのかお伺いいたします。
 一例を申し上げますと、一般県道紫波雫石線は、東根山の裏側を通り志和稲荷前に通じる路線とされていますが、現実には林道に等しく、特に今年8月9日の大雨災害により道路が崩落しており、この路線を県道として位置づけされているのは、現在の交通事情から見ると非現実的であります。
 一方、盛岡市内の国道46号線を起点とし、盛岡市道、矢巾町道、紫波町道、一般県道紫波雫石線を経由して主要地方道紫波インター線に接続するいわゆる盛岡紫波線は、盛岡方面から花巻、北上方面へのアクセス道としての利便性が非常に高く、交通量が年々増加している、物流上、重要な基幹道路であります。
 また、同路線のうち町道西部開拓線は古くより稲荷街道としてその名を知られ、沿線には志和稲荷神社、志和古稲荷神社、水分神社、曲がり家武田家住宅などを有し、歴史探訪上、価値ある道であるとともに、ラ・フランス温泉館、山王海ダムなどの存在とあわせ、紫波地区活性化計画の中で都市農村間交流エリアとして位置づけられる観光経済を支える重要な道路であります。
 実は、この西部開拓線は今年8月9日の大雨で道路が崩れ、現在、片側通行となっていますが、それでも大型車両が次々と入ってきております。そのぐらい大型車両にとって重要な道路となっております。
 このように、一般県道矢巾西安庭線と一般県道紫波雫石線の間約8キロの町道西部開拓線は、盛岡圏と花巻、北上圏を結ぶ物流及び観光経済上、重要な広域的幹線道路として県道に移管することが適当と考えられますが、県の見解をお伺いいたします。
 次に、大雨洪水対策についてお伺いいたします。
 今年は、7月末に一関地方において、8月9日には県央部において、そして9月には台風と、自然の猛威が大きな被害をもたらしました。本県の治水対策は、アイオン・カスリン台風の被害を受け、北上川上流域へのダム建設や北上川の築堤と、災害のたびに防災対策が整備されてきた歴史があります。
 そこでお伺いいたしますが、今回の大きな被害の中から何を教訓とし、今後の治水対策にどのように生かしていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、水門の管理者への情報伝達についてでありますが、北上川築堤が進められると同時に支流の水門も整備されています。他の河川でも大小の水門が設置されていますが、大雨洪水時、この水門の開閉が重要になっております。これらの作業は地元の市町村等に委託されるものが多いと把握していますが、今回のような短時間での大雨では、何より作業者への情報伝達が重要と考えます。体制はどのようになっているのかお伺いいたします。
 次に、排水ポンプ等の整備についてでありますが、北上川の築堤が進むことにより内水の被害も大きくなっております。今回の大雨洪水において、被災地の排水ポンプの能力と設置が適当であったのかお伺いいたします。また、国土交通省において高能力の排水ポンプ車が配備されていますが、盛岡市から一関市までの間に適当な台数となっているのかお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 今回の洪水では、北上川に流入する一級河川流域でも大きな被害が出ました。今までに整備計画されたさらに上流部まで築堤が必要と考えますが、御所見を伺います。
 8月9日の大雨により、紫波町の滝名川では、農業用水路に水を引く頭首工上流部の河道が大量の土砂で埋塞しました。そのため、取水できる最小限の範囲については、頭首工を管理する土地改良区が土砂を撤去し、さらに上流部については河川管理者が河道を確保することとなりました。河川において災害復旧事業が認められるのは河川の周辺に人家や工場のあるところとされ、今回のように周囲が山の場合は土砂の撤去は対象とならないと聞いております。しかしながら、頭首工の多くは山間部に設置されており、今後、このような事例がほかにも生じることが考えられます。農業用水を安定的に確保するためには頭首工上流部の土砂撤去は重要であると考えるところであり、今後、激甚災害時においては河川災害復旧の補助対象となるよう国に要望するべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、企業誘致についてお伺いいたします。
 トヨタ自動車東日本岩手工場が20周年を迎えました。トヨタアクアの生産ラインが現在フル稼働であり、2012年度は過去最高の年産41万台を達成したとされています。岩手工場の誘致で県内経済は大きく躍進し、輸送用機械器具製造業の出荷額は2012年に6、858億円と、誘致前の1992年の14.5倍にふえ、本県ものづくりを牽引する象徴となっております。創業20年を迎え、トヨタも部品現地調達率を4割から8割に拡大する目標を掲げていると聞き、この機会を積極的に捉え本県も動くべきと考えますが、現在の対応についてお伺いいたします。
 今年、商工文教委員会で調査した花巻市東和町の竹内真空被膜株式会社はバックミラーを製造している会社で、関東自動車が稼働する前に千葉県から移転した会社であります。東和町を中心に70名程度が働いておりまして、ある意味、地場企業の参入の一例であり、いち早く東北に拠点を移したことは先見の明があったと言えます。
 一方、一次サプライヤーの多くは北上周辺に立地しているようでありますが、その下の部品供給についてはもっと裾野を広げるとともに、今まで自動車部品を製造していなかった地場企業にも参入の機会が考えられますが、これらの対応はどのようになっているのかお伺いいたします。
 現在のところ、自動車関連企業を初めとしたものづくり企業の進出は県南地域が中心となっておりますが、県北地域でも企業誘致による雇用の確保は喫緊の課題となっております。地元ブロイラー産業と提携した食鳥加工の工場が立地されたのは朗報でありますが、盛岡周辺、さらには県北地域へのものづくり企業の進出を図るべきと考えますが、これらの地域の企業誘致の現状と今後の戦略についてお伺いいたします。
 今年は国内外に大きな災害が起きた年でありました。国内においては、中国地方から東北地方までの各地で大雨洪水の被害があり、台風では東京都の大島で大きな土石流の被害がありました。フィリピンでは台風30号による悲惨な状況が伝えられてきました。東日本大震災津波と同じような光景が全世界に報道されたわけでありますが、その後の対応は、国情の違いはありますが、日本人の行動と比べ、被害者の混乱と行動は極限に達していたように感じられます。自然災害から人間は多くのことを学び、それを乗り越えながら現代の社会基盤をつくり上げてきた歴史があります。
 本県は、岩手・宮城内陸地震や東日本大震災津波を経験し、安全の確保や暮らしの再建、なりわいの再生に向けて官民一体となって進んでいるわけでありますが、一日も早く被災者の皆様が復興公営住宅等に移られ、防潮堤、商業地域が再建されることを望むものであります。その復興の過程は、今、東南海地震が予測されている地域の自治体にとっても大きな教訓となると思います。いわて復興塾が、全国からの塾生を集め開催されることも意義のあることと思うところであります。
 今回の一般質問は私の県議会議員としての最後の質問となりましたが、この12月議会に質問の機会を与えていただきました議員の皆様に感謝を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 熊谷泉議員の御質問にお答え申し上げます。
 第1期復興実施計画の成果等についてでありますが、県では、第1期復興実施計画の期間である3年間を基盤復興期間と位置づけ、応急仮設住宅の建築等緊急的な取り組みを進めるとともに、安全、暮らし、なりわいの三つの原則に基づく復興の基盤づくりを全力で推進してまいりました。
 具体的には、災害廃棄物の8割以上の処理を終えたほか、防災集団移転促進事業などの面的整備はほぼ全ての地区で国の事業決定を得ました。また、県と市町村が建設を予定する災害公営住宅約6、000戸のうち約6割の用地を取得し、事業を進めているところであり、被災事業所についても一部再開を含め約8割で事業が再開され、県内13産地魚市場の水揚げ量も平年水準の約7割まで回復しております。
 このように、第1期復興実施計画は、まちづくり事業などにおくれがありますものの、全体として指標の8割以上で目標を達成し、応急復旧を終え、本格復興に向けた復興基盤づくりを進めることができたところであります。
 一方で、今なお3万5、000人を超える方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされたまま3年目の冬を迎えています。安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、この三つの原則に沿って、迅速な本格復興を実現していかなければならないという思いを強くしているところであります。
 このため、現在策定中の第2期復興実施計画におきましては、若者、女性など地域社会の担い手や多様な主体と連携しながら、地域の社会経済活動の基盤となる復興まちづくりの概成、被災者の方々が安心して心豊かに暮らせる生活環境の実現、的確な風評被害への対応や、復興まちづくりと一体となったなりわいの再生による地域の経済活力の回復を図り、被災者一人一人が安心して生活を営むことができ、将来にわたって持続可能な地域社会の構築を目指す本格復興を実現することが重要と考えております。
 次に、いわて復興塾についてのお尋ねでありますが、岩手の復興にかかわる者が、復興について、分野や組織の壁を越え、自由な個人として教え合い、学び合う場としていわて復興塾を設立しております。この趣旨に賛同いただいて、これまで岩手の復興にかかわってこられた有識者や各種団体の長、そして県内市町村長など多くの方々に講師サポーターとして参画いただくこととなり、また、復興について学びたい、復興推進の担い手となりたいという意欲を持った方々から、塾生として県内外から数多く応募いただいております。講師や塾生の中から、さまざまな現状の課題や復興促進への提言が提起されることを期待しておりまして、県政にも積極的に反映してまいりたいと考えております。
 次に、県の農業政策についてでありますが、本県の農業は、県内各地域の農業者が、地域の立地条件や資源などを生かし、英知と努力によって特色のある産地を形成してまいりましたが、近年、高齢化の進行等による農業従事者の減少、生産物価格の低迷による農業所得の減少などのさまざまな課題を抱えています。
 このため、県では、これまで地域が取り組んできた産地化や担い手育成の成果を踏まえながら、地域が主役となる農業の振興を図るため、県下全域で、地域の話し合いのもと、担い手や農地、生産の状況を点検した上で、地域農業全体の展開方向を明確にする地域農業マスタープランの作成と実践に取り組んでいます。
 今後とも、地域農業マスタープランを基本に据えながら、意欲ある農業者への農地集積による経営体質の強化や産地みずからが生産、販売方式を改善していく産地マネジメントの仕組みづくりによる産地づくり、消費者のニーズを踏まえた農産物の高付加価値化などに取り組み、本県農業の振興を図っていきたいと考えております。
 次に、ことしの大雨洪水被害からの教訓と今後の治水対策についてでありますが、まず、本県において大雨が7月、8月、9月と3回も連続したこと、また、これまでに経験したことのないとされた8月の大雨を初め、それぞれにおいて、過去最大を上回る時間雨量が観測されたこと、東京都大島町など、全国的にも大雨による大きな災害が発生していることなど、いつ何時、どこにこうした災害が起こるのかわからないという自然災害への備えの意識を常に持たなければいけないということを再認識したところであります。
 この一連の大雨では県内各地で大きな被害が発生したところでありますが、北上川本川や県管理の中小河川において、洪水対策を講じてきたところについては一定の効果があったものと考えており、特に御所ダムや四十四田ダムでは、計画をはるかに超えた洪水量に対して、適切な洪水調節を行って、下流の河川堤防とあわせて盛岡市街地を洪水被害から防ぐことができたことなど、これまでの整備が効果としてしっかりとあらわれているものと認識しております。
 洪水から県民の生命、財産を守るとともに県土の保全を図ることは、行政の根幹的な責務の一つであり、今後とも、洪水対策を着実に進めていく必要があると考えており、洪水対策予算の確保や一層の拡充について、引き続き国へ提言を行っていくとともに、県としても必要な予算の確保に努めてまいります。
 また、防災対策の推進に当たっては、これらの洪水対策のみならず、日ごろからの防災意識の向上や防災教育の充実、防災情報の周知など、ソフト的な対策をあわせて実施していくことが重要であり、市町村等と連携を図りながら、こうした取り組みの充実にも取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) 復興加速化のための主要課題についてでありますが、まず、人材の確保については、今後、まちづくり事業の本格化に伴い、専門的知識を有する人材の確保がさらに深刻な状況となることが懸念されますことから、県任期付職員の派遣拡大や内陸市町村職員の派遣強化、被災市町村における任期付職員や再任用職員の採用、総務省の派遣スキーム等に基づく職員派遣要請の継続に加え、さらには、復興庁の支援による民間企業等の人材の受け入れなどにより、復旧、復興事業に対応するための人材の確保に全力で取り組んでまいります。
 次に、財源の確保については、これまでも、本県を初め、地方からの要望、提言が国を動かし、震災復興特別交付税の追加措置、震災遺構への復興交付金の充当など、一定の措置が講じられてきたところであります。
 今後、本格復興を迎えるに当たり、被災地域の復興のための必要な取り組みが確実に実施されるとともに、資材の高騰などにも対応できるよう、国の集中復興期間を超える平成28年度以降の確実な財源の確保や、なりわいの再生のための産業振興施策の充実など、被災地の多様なニーズに迅速、的確に応える自由度の高い財源措置が必要であり、引き続き国に強く要望してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、飼料用米についてでありますが、多収性品種の開発については、県は、10アール当たり収量が約700キログラムとなる県オリジナル品種のつぶみのり、つぶゆたかを平成20年に開発し、両品種合わせた平成25年度の作付面積は、飼料用米作付面積全体の約6割、940ヘクタールとなっております。
 また、現在、10アール当たり収量が800キログラム以上を目標に、新たな多収性品種の開発に国や他県と共同して取り組みを進めており、できる限り早い時期に開発し、普及を図りたいと考えております。
 また、ホールクロップサイレージについて、平成25年度の県内の作付面積は879ヘクタールでありますが、今後の作付は、価格や経営所得安定対策の交付単価、畜産経営体や飼料メーカーの需要等の動向が、農家の作付意向を左右するものと考えております。
 次に、飼料用米の流通の対応については、飼料用米の生産がふえた場合、既存の米の保管施設や農業倉庫だけでは対応が難しくなることや販売先の確保等が課題になるものと見込まれますが、今後の生産現場の実態も踏まえながら、必要に応じて、国の事業の活用などにより支援してまいりたいと考えております。
 次に、薬用作物についてでありますが、薬用作物は、製薬会社との契約に基づき、製薬会社が指定する栽培方法で生産されており、主に製薬会社が技術の開発や技術指導をしておりますことから、県といたしましては、栽培農家から依頼があった場合に、病害虫の診断や防除対策等について助言、指導しております。
 また、除草技術につきましては、県内の野菜栽培で実用化されている機械除草技術の適用を検討しております。県といたしましては、栽培方法が指定されていること等の事情があることも考慮しながら、できる限りの支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、地域特産作物の振興についてでありますが、本県におきましては、岩泉町の畑ワサビ、宮古市のシソ、西和賀町のワラビなど、地域の気象や土壌条件の特性を生かした地域特産作物の振興について、病害虫防除対策、優良系統の選抜、生産機械、資材の導入等を支援してまいりました。
 今後とも、暮坪かぶ等の伝統野菜、小枝柿等の特産果実、行者ニンニク等の山菜類など、地域特産作物の生産振興に向け、栽培技術の確立や加工品の開発などの支援に取り組んでいく考えです。
 次に、松くい虫被害対策についてでありますが、松くい虫防除のためのラジコンヘリによる薬剤散布は、視界を確保しにくい山間部では導入が難しく、これまで本県では事例がありませんが、有人ヘリコプターによる薬剤散布については、毛越寺や猊鼻渓など特に重要な史跡、景勝地で、松くい虫被害の予防措置として実施されております。
 薬剤のヘリ散布は予防措置として有効な手段と承知しておりますが、地域住民の理解や周辺環境への配慮、また、被害の発生状況や現場の地形条件など、実施に当たってあらかじめ検討すべき点も多いことから、実施を希望する市町村と十分に協議しながら、実施の可否を判断していく考えであります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、道路の管理区分の見直しについてでありますが、現在、本県は膨大な延長の国県道を管理しており、これら道路施設の老朽化に伴い、維持更新に係る費用がますます増大することが見込まれているところであります。
 また、今後さらに厳しくなることが予想される県の財政状況を踏まえ、現状では、整備を伴う市町村道の県道への認定は難しいものと考えております。
 一方で、市町村道の整備が進んだことなどにより、地域における交通の流れが県道から市町村道へ変化していると認められる場合などは、市町村道の県道認定と既存県道の市町村道への移管をあわせて行うことも選択肢の一つと考えております。
 このような道路につきましては、今後も関係市町村の意向を踏まえ、地域の道路網における現道の位置づけなどを整理しながら、県や市町村の管理区分について検討してまいります。
 次に、(仮称)盛岡紫波線の県道移管についてでありますが、盛岡市から紫波町にかけては、国道や県道、市道、町道による道路網が整備された地域であり、現在も国道46号西バイパスや主要地方道盛岡和賀線羽場地区などで整備が進められております。
 こうした状況の中で、盛岡市と紫波町の間を結ぶ幹線道路が既に複数存在していることから、(仮称)盛岡紫波線の県道移管につきましては、この地域の道路網における県道の位置づけや維持管理面などで、検討課題があると考えております。
 今後も、地元市町の意向を踏まえながら、御指摘のありました一般県道紫波雫石線の取り扱いも含め、この地域の道路網のあり方について検討を進めてまいります。
 次に、水門の管理者への情報伝達についてでありますが、県では、河川水門の管理につきましては、水門の所在する市町村に委託しており、実際の操作は、地元の消防団や建設企業などにより行われているところであります。
 気象警報や県の水防計画に定められた雨量、河川水位等の情報をもとに市町村は警戒体制や出動体制をとっており、その中で、水門ごとにあらかじめ定められている操作要領に基づき開閉の操作がなされております。
 また、雨量や水位の情報伝達につきましては、県では、県内の雨量計183カ所、水位計121カ所の観測データをリアルタイムでホームページにおいても公開しております。
 このほか、国、県が水防法に基づき指定した河川におきましては、水位の上昇に伴い、段階的に水防団の準備水位、出動判断水位、避難判断水位の順で、水防警報として市町村等に対して通知を行っております。
 また、市町村を含めた関係機関による会議等を通じて、水防警報等に関する情報が確実に伝達されるような取り組みも行っております。
 次に、排水ポンプ等の整備についてでありますが、県では、これまで補助事業や県単独事業により、紫波町高水寺地区など13カ所の排水ポンプ施設を整備してきております。
 8月の豪雨の際には、紫波町高水寺地区において排水ポンプ施設を計画どおりに稼働いたしましたが、これまでに経験したことのないような降雨であったことから、国土交通省の排水ポンプ車の応援をいただき、対応したところであります。
 また、国土交通省の排水ポンプ車は、盛岡出張所に2台、水沢出張所に1台、一関出張所に4台の計7台が県内に配備されており、内水被害発生箇所への出動により被害の軽減に努めていただいているところであります。
 今後とも、内水などの情報の速やかな伝達、共有に努めながら、国や市町村と連携を図り、適切な大雨洪水被害の防止に向けた取り組みを強化してまいります。
 次に、北上川上流域の築堤についてでありますが、本県では、ことしの7月から9月にかけて3回の記録的豪雨に見舞われ、8月の豪雨では、紫波町、矢巾町を流れる一級河川岩崎川においても、400戸を超える家屋が浸水するなどの甚大な被害が発生したところであります。
 当該河川におきましては、平成4年度から広域河川改修事業に着手し、全体計画約10キロメートルのうち、北上川合流部からうずら沢橋までの約5キロメートルが完成しており、残りの区間についても鋭意事業を進めていたところであります。
 今回の洪水被害を踏まえ、全体計画区間の延伸を図るとともに、新たな事業導入に向け国と協議を進めているところであります。
 今後とも、県全体の治水対策の中で緊急性、重要性を勘案して、重点化を図るなどの工夫により、早期の事業効果発現に努めながら治水対策を推進してまいります。
 次に、河道の埋塞土砂の撤去についてでありますが、大雨等により大量の土砂が河道に堆積し、流下断面を阻害することで、人家、公共施設、農耕地等に甚大な被害を与えた場合やそのおそれがある場合には、埋塞した土砂の撤去は、公共土木施設災害復旧事業の対象となります。
 一方で、両岸が山地斜面で、人家や公共施設等に被害を与えるおそれがないような区間につきましては、公益上の観点から対象とはならないものとされております。
 このようなことから、農業用水の確保は地域の営農に不可欠なものであり、重要なことと認識しておりますが、公共土木施設災害復旧事業での土砂の撤去は、難しいものと考えております。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、トヨタの現地調達率向上への対応についてでありますが、トヨタ自動車による部品の現地調達拡大の方針を踏まえ、本年2月に自動車関連産業振興アクションプランを策定し、4月には自動車産業振興のための専担組織を設置して、本県の企業が部品供給の中核となるサプライチェーンを構築するための取り組みを進めております。
 県内での自動車部品の生産拡大を促進するため、有力サプライヤーに対し、本県への進出とともに、地場企業との連携による部品生産について、トップセールスを初め、さまざまな機会を通じて働きかけるなど、企業誘致に加え、事業誘致を強化しているところでございます。
 また、今年度は、地場企業等がグループを形成し、各社の強みを合わせ、部品生産拡大を目指すための設備整備や研究開発に対する補助制度を創設するなど、受注体制の拡大、強化を図っております。
 今後も、このような取り組みを通じ、現地調達率の向上を促進してまいります。
 次に、地場企業の参入への対応についてでありますが、県では、自動車メーカーOBによる生産工程の改善指導、トヨタ東日本学園や1次サプライヤー等への従業員の研修派遣、新技術開発や生産技術高度化への補助等を通じ、地場企業等による部品生産や新規参入を支援しているところでございます。
 また、本年7月に株式会社デンソーで開催した商談会において、県北・沿岸地区も含む多くの地場企業に出展いただき、自動車メーカーやサプライヤーに新たな技術や工法をアピールしたところです。
 さらには、新技術の動向や先進地である九州地区の地場企業参入の取り組み事例を学ぶセミナーや講演会を開催するなど、自動車業界への理解を深めるための取り組みを進めております。
 今後も、自動車関連産業振興アクションプランに基づき、地場企業の新規参入を支援してまいります。
 次に、県北地域等への企業誘致の戦略についてでありますが、近年の盛岡地域、県北地域の誘致実績は、平成23年度以降、盛岡地域が19社、県北地域が6社で、うち製造業は、盛岡地域3社、県北地域3社となっております。
 また、業種としては、製造業は、食品、電気、縫製などで、非製造業では、盛岡地域においてソフトウエア関連、コールセンターが多く進出しております。
 このような状況から、今後は、盛岡地域ではITシステム関連企業を、県北地域では農林水産資源を生かした食品関連企業を中心に、これまでの誘致活動を強化するとともに、県南地域のものづくり企業と関連する企業の誘致に取り組んでまいります。
 なお、久慈地域は、津波被災地域にもなっていることから、今年度、国が創設した津波・原子力被災地域雇用創出企業立地補助金を活用して、補助対象業種である工場、物流施設、試験研究施設などの誘致に努めてまいります。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時22分 散 会
第13回岩手県議会定例会会議録(第4号)

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