平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇41番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信でございます。
 質問の機会を与えていただきましたことに感謝いたします。
 東日本大震災津波から間もなく2年9カ月を迎えようとしていますが、被災地の自治体とそこで暮らす住民の方々は、あらゆる困難に直面しながらも、復興への道筋を力強く歩もうとしております。この場をおかりしまして、被災された皆様並びに関係者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、ことしは7月から9月にかけ県内各地をかつてない豪雨が襲い、多くの被害が発生しました。被災された皆様並びに関係者の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問させていただきます。
 初めに、農業政策についてお伺いします。
 現在進められているTPP協定の交渉の影響により、自由貿易に耐え得る農業を目指すべきとの議論が高まっています。しかし、日本の農業は、就農者の6割を65歳以上の高齢者が占め、耕作放棄地の面積が滋賀県の面積に相当する40万ヘクタールに達し、産出額もピーク時から3割減少するなど、既に衰退が深刻化しており、TPPへの参加のいかんを問わず、再生に向けた策を講じることが急務となっています。農業政策として、これまで、米の生産調整による需給調整のほか、大規模経営化による生産基盤の強化や輸出拡大などの競争力強化策がとられてきましたが、農業の再生を図るためには、これまで以上に競争力強化策にウエートを置いていく必要があると考えます。
 安倍総理は、農業を成長分野と位置づけ、産業として伸ばしていくとし、農業、農村の所得を10年間で倍増する目標を掲げ、農地の集積、集約化による大規模化、経営所得安定対策の見直し、国による米の生産調整の廃止など、競争力強化策にウエートを置いた農業改革を加速させ、強い農業を支える基盤づくりを進めようとしています。特にも米政策の見直しに当たっては、経営所得安定対策における米の直接支払交付金や米価変動補填交付金の削減、廃止、需要に応じた飼料用米などの作付による水田のフル活用などの実施が、先般、安倍総理を本部長とする農林水産業・地域の活力創造本部において決定されたところであります。
 グローバル化が進展する中、農業者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増大の課題を克服し、グローバル化に即応した強い農業、若者が農業に期待と希望を持つことができるような農業を確立していくためには、なりわいとして成り立つ農業を確立していくことが必要であり、そのためには、生産意欲がある農業生産法人などに生産基盤を集積していくことが必要と考えます。農業の大改革が進められようとしている中で、本県においても国策を見据えつつ強い農業を目指していくべきと考えますが、岩手の農業のあるべき姿をどのように捉え、県としてどのように対応していこうとしているのかお尋ねいたします。
 農業は、世界の人類という広い顧客対象を持っています。世界の農産物貿易額は毎年10兆円規模でふえていると言われています。とりわけアジアは、新興国の経済発展などを背景に、今後、大幅な増加が見込まれているところであります。このような中、安全性が高く、品質のすぐれた日本の農産物は、今後ますます輸出の拡大余地が大きいと考えられています。
 安倍総理は、世界に冠たる高品質な農林水産物、食品を生み出す豊かな農山漁村社会を目指し、日本の農林水産物、食品の輸出額を現状の約4、500億円から1兆円にすることを目指すとしています。強い農業を築いていくためには輸出の促進が重要であると考えますが、本県の農産物の輸出の現状と課題、今後の取り組み方針についてお伺いします。
 次に、6次産業化の推進についてお伺いします。
 農産物の加工や産地直売所、いわゆる産直での販売、農家レストランの展開など6次産業化の取り組みが県内各地で展開され、拡大してきています。6次産業化の取り組みを推進していくことも強い農業を築いていくために重要であると考えますが、現状と課題、今後の取り組み方針についてお伺いします。
 次に、豪雨災害の対応状況についてお伺いします。
 ことしは、全国各地で集中豪雨による災害が発生しました。本県においても、7月から9月にかけ、3カ月連続してかつてない豪雨に見舞われました。7月26日から28日にかけての大雨では、釜石市や住田町において観測史上最大の時間雨量を記録し、8月9日の大雨では、雫石町、紫波町、花巻市大迫において観測史上最大の時間雨量を観測しました。さらに、9月16日の台風18号による大雨では、八幡平市松尾、雫石町葛根田、盛岡市玉山区好摩において9月の観測史上最大の時間雨量を記録するなど、これまで本県では余り関係がないと思われていたゲリラ豪雨が多発し、多くの被害が発生しました。これら一連の大雨により、県、市町村全体で、土木施設関係では約199億円、農地、農業用施設では100億円余りの甚大な被害が発生しました。これらの被災箇所については、一日も早く復旧し、住民の方々に安心していただく必要がありますが、国の補助を受けるための災害査定の進捗状況はどのようになっているのか、また、復旧の見込みはどのようになっているのかお伺いします。
 また、8月9日の豪雨では、盛岡市猪去地区においても水田やリンゴ園に土砂が流入し堆積するなど大きな被害が発生しました。被災直後、不安になっている住民に対し、行政が直接状況を説明する機会が必要であると感じた私は、農林水産部長に住民に対する説明を依頼したところ、盛岡広域振興局に指示され、盛岡市と連携して、迅速かつ丁寧に説明会を開催していただきました。心より感謝申し上げます。
 その後も盛岡市と連携しながら対応に当たっていただいていると承知していますが、リンゴは、水稲や野菜などの一般作物と違い、園地の復旧に加え苗木の植え直しに新たな投資が必要となるものであり、さらに数年間はその園地から収入が途切れることになることから、生産を再開するためには、農家の意欲をなえさせないことが重要と考えます。9月定例会の一般質問において被災したリンゴ農家の支援策に関する質問が出され、国庫事業を活用し支援をしていくとの回答があったところでありますが、その後の対応はどのようになっているのかお知らせ願います。
 次に、航空レーザー測量を活用した森林の災害予測についてお伺いします。
 今般の一連の豪雨災害では、森林の崩壊や渓流からの土砂の流出などにより下流域に甚大な被害が発生しました。近年、全国的に局所的な豪雨災害に伴う森林の災害が多発している中で、崩壊の危険箇所の把握など、森林の災害予測は防災の観点から大変重要であると考えます。
 現在、広範囲の地形を均質な精度で三次元化できる航空レーザー測量の技術が進歩し、こうした森林の災害予測の手法としても期待されています。本県でも一部市町村がその導入を検討していると聞いており、広大な森林を有する本県において、航空レーザー測量の防災対策への活用は有効な手法と考えられます。
 そこでお伺いしますが、航空レーザー測量を活用した森林の災害予測について、県として検討状況はどのようになっているのかお知らせ願います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、災害時の地域防災体制についてお伺いします。
 災害時においては、県や市町村、消防、警察といった行政が主体となって被災者の救出、救援の応急措置を実施しておりますが、特に、一義的に応急措置を実施する責務を要する市町村においては、避難所開設や運営、災害時要援護者への対応のほか、住民の要請による土のうの配布など対応すべき業務が多く、消防などと連携しながら対応しているものの、その全ての業務を完璧に担うことは困難な状況にあると考えます。
 災害時においては、自治会などの地域住民が主体となって組織される自主防災組織が一定の役割を担いつつ、市町村と連携しながらさまざまな防災活動を進めていくことが重要であり、そのためには、地域住民が一定の役割を十分に担うことが可能となるよう、自治会などの自主防災組織の育成強化が必要と思いますが、本県における自主防災組織の現状と課題、県の対応はどのようになっているのかお伺いします。
 次に、東日本大震災からの水産業の復旧状況についてお伺いします。
 まず、サケふ化場の復旧状況についてでありますが、去る11月7日の県議会東日本大震災津波復興特別委員会の現地調査で、野田村にある下安家漁協のサケ・マスふ化場を訪問しました。その際、漁協関係者から、震災で壊滅的な被害を受けたふ化場施設の復旧については、8月から始まるサケ親魚の安家川への遡上や、10月から始まる稚魚の飼育に間に合うよう、そして何よりも、震災翌年の平成24年春にはサケ稚魚の放流を絶対に再開させるという明確な目標を定め、強い決意と使命感のもと、職員一丸となって県内で最も早く復旧させたこと、その結果、平成24年、平成25年とも計画どおり稚魚が放流できたとの説明をお聞きしました。サケは本県水産業の重要な資源であり、稚魚の放流により造成されているものであることから、ふ化場の早期復旧が何よりも重要であり、下安家漁協の取り組みには敬意を表するところであります。
 しかしながら、震災後の本県のサケ稚魚放流数を見ますと、平成24年が約2億9、000万尾、平成25年が約3億1、000万尾と震災前の4億4、000万尾を大きく下回っており、4年後、5年後のサケの漁獲量への影響が懸念されます。
 本県水産業の復興はやはりサケの水揚げ量に負うところが大きいと考えており、一日も早く被災した全てのふ化場の復旧により震災前と同程度のサケ稚魚放流数を確保し、資源を回復、維持させる必要があると考えますが、ふ化場の現在の復旧状況はどうなっているのか、また、サケ稚魚放流数の回復状況についてあわせてお伺いします。
 次に、アワビ種苗生産施設の復旧状況についてお伺いします。
 本県では、サケに加え、アワビ、ウニの栽培漁業やワカメ、昆布などの養殖漁業など、つくり育てる漁業を積極的に推進し、漁家所得の向上に取り組んできた歴史があると承知しておりますが、これらを支えてきた種苗生産施設も今回の震災津波により壊滅的な被害を受けたものと承知しています。特に、現在、漁期の真っただ中にあるアワビについては、震災からの水産業の復興を加速するため、サケと同様、被災した全ての種苗生産施設の早期復旧により震災前と同程度の種苗放流数を確保する必要があると考えますが、アワビ種苗生産施設の現在の復旧状況と稚貝の放流見込みについてお伺いします。
 次に、ドクターヘリについてお伺いします。
 私の知人が県北でバイク事故に遭った際、ドクターヘリが15分で駆けつけ、病院に搬送したと聞きました。残念ながら知人は助かりませんでしたが、山間部までヘリが駆けつけたと聞いたときは、その必要性を再認識させられました。
 本県ドクターヘリは、昨年5月に運航を開始し、本年4月から青森県、秋田県との広域連携による試行的な運航が行われていると承知しています。県民の命を救うため、365日体制で救命医療を担っておられる関係機関の労を多とするものであります。
 一方で、より多くの県民の命を救うためには、常に実態に即した効果的な運航を実現していくことが重要であると考えます。さきの9月定例会においても、この観点から、北東北3県のドクターヘリの広域連携について、自県ヘリ優先の運用を見直すべきではないかとの議論があったところであり、県からは、本格的な広域連携による運航に移行していく過程において、3県において運航の実績や課題を検証しながら、地域の声や関係者の意見も踏まえて、より効果的な運航が実施できるよう協議を進めていくということが表明されたところであります。広大な面積を有する本県においては、隣接県とのドクターヘリでカバーできる地域については、地域の実情に沿って、隣接県との連携により、より早くドクターヘリが対応できる体制とすることは重要な視点であると考えます。
 そこでお伺いしますが、広域連携による効果的な運航に向けた取り組みの状況と今後の見通しについてお示し願います。
 次に、次期産業廃棄物最終処分場の建設についてお伺いします。
 県内で発生する産業廃棄物の管理型最終処分場として実質的に唯一となっているいわてクリーンセンターは、東日本大震災津波による災害廃棄物の埋め立てなどにより埋立終了時期が早まる見込みとなり、早急に次期処分場の整備を行う必要が生じたとのことから、県では産業廃棄物最終処分場整備基本方針を策定し、この取り組みに着手したところと承知しています。
 県はこれまでも、産業廃棄物の適正処理の観点から、その時々の需要に応じて、処理施設を県が関与する形態、いわゆる公共関与型にて整備してきた実績があり、次期処分場においてもこの形態での整備に向けて取り組んでいるとうかがっており、現在、候補地の選定作業を進め、去る9月には115カ所の調査対象地が公表されたところであります。当然のことながら最終的には1カ所に絞り込んでいくこととなると思いますが、その後の建設に向けたスケジュールについてどう考えているのかお伺いします。 
 また、最終処分場は、県民生活や産業活動に必要不可欠な施設である一方で、その整備においては、立地先となる地域の住民との合意形成が課題となるなど、慎重な対応が求められ、この対応への観点からも、まずは市町村との協力関係の構築が重要であると思いますが、この関係の構築に向けた県のこれまでの取り組みと今後の課題についてお伺いします。
 次に、再生可能エネルギーについてお伺いします。
 本県の風力発電と地熱発電の推定利用可能量は、県の温暖化対策実行計画にも示されているように、それぞれ全国第2位にあり、国においても、今後の再生可能エネルギーの導入促進に当たって、利用者の負担が重くならないよう、大規模開発が可能で、開発コストも合理的と言われる風力発電と地熱発電を拡大する方向で検討を行っていると報道されるなど、本県の再生可能エネルギーの導入拡大において、風力と地熱は期待できる資源であると考えます。
 そこでお伺いしますが、本県の風力発電と地熱発電の導入状況と、課題に対する県の認識はどうなのかお示し願います。また、これらの導入拡大に向け、県はどのように対応していこうとしているのかお伺いします。
 次に、海外からの誘客における広域観光の推進についてお伺いします。
 さきの観光庁の発表によりますと、平成24年の訪日外国客数は震災前の平成22年とほぼ同水準まで回復しており、平成25年10月現在では既に前年実績を上回り、悲願の年間1、000万人達成が現実味を帯びてきたと言われています。一方、本県の外国人観光客の宿泊者数は、観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、平成24年においても震災前の平成22年の約5割の水準にとどまっており、平成25年上半期は約8割まで回復してきたものの、日本全体の回復ぶりとの比較ではおくれをとっています。
 去る11月19日に開催された東北地方産業競争力協議会では、観光PRについて、東北全体としての発信がうまくいっていないとの指摘もあったと聞いています。海外からの誘客を拡大するためには、隣県はもとより、東北地域全体で広域的に連携を図りながら取り組みを進めることが重要と考えますが、県としてどのような広域連携策を進めていくのかお伺いします。
 また、広域連携により東北地域への誘客を図るにしても、当然のことながら本県へより多く訪問してもらうことが重要であると考えますが、そのために県としてどのような取り組みを進めていくのかお伺いします。
 次に、国体の運営費補助に対する財政支援についてお伺いします。
 先般行われた東京国体においては、ハンドボール少年男子や陸上競技成年少年女子共通400メートルリレーの優勝など岩手県の選手の活躍が目立ち、総合成績では、昨年の39位から23位に大きく順位を上げました。3年後に控えた岩手国体でも、多くの選手が活躍してくれるものと期待しています。また、岩手国体の開催が7月に正式決定され、県においては、8月に実行委員会に移行し、10月には開催決定イベントが行われ、本格始動したところであります。それぞれの市町村においても実行委員会の設立が進んできており、競技会開催について、競技団体との協議を重ねながら具体的な準備を進めているものと承知しています。
 さて、これまでの国体においては、市町村が負担する競技役員の旅費や謝金、医師、看護師の謝金、仮設施設の設置などの競技会運営に係る経費に対して県から補助が行われています。この補助の対象となる経費に対して、これまで先催県では補助率3分の2で県が市町村に補助してきている状況となっていますが、補助率2分の1も検討されていると聞いています。市町村では今後さまざまな経費がふえてくるものと思いますので、競技会運営に対する市町村への財政支援は先催県と同様の補助率3分の2で実施すべきと考えますが、県ではどのように考えているのかお伺いします。
 以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県の農業のあるべき姿についてですが、本県の農業は、食品産業、流通業等の他産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、地域経済を支える基幹産業の一つとして持続的な発展を図っていくとともに、食料供給基地としての役割をしっかり果たしていくことが重要と考えています。
 国においては、農業の競争力の強化を図ることとして経営安定対策などを見直し、新たな施策を実施することとしておりますが、この間、国から制度見直しに関する十分な説明はなく、農業者も将来を見通すことができず、不安を抱いている状況と認識している次第でございます。
 県としては、引き続き、国に速やかな情報提供を求め、国の制度見直しに対応した本県での関連施策の展開の検討と具体化を急ぐことといたしますが、本県では多くの農家が中山間地域で生産活動をしており、小規模農家が多いことや農業が地域社会そのものを支えているという実態を考慮しますと、小規模農家も参画した地域農業、コミュニティの維持、発展により、農業、農村の活性化を図っていくことが重要と考えます。このため、今後におきましても、地域農業全体の展開方向を明確にした地域農業マスタープランを基本に据えながら、意欲ある農業者への農地集積による経営体質の強化や小規模農家も含めた産地づくりなどを進め、農業、農村が将来にわたり、持続的に発展するように取り組んでいく考えであります。
 次に、農産物の輸出の促進についてでありますが、県では、官民で構成するいわて農林水産物輸出促進協議会を主体とし、国の補助事業も積極的に活用しながら、東南アジア等を主なターゲットとする輸出の促進に取り組んでおりまして、これまでも、本県産の米、リンゴ、牛肉等について輸出関係者との結びつきが強化されるとともに、輸出の実績も増加しております。
 安全・安心で高品質な県産農産物の輸出は、国内生産拡大を通じた生産者の所得向上と国内市場における本県農産物の評価向上につながるものであり、今後とも促進することが重要と考えております。
 一方、農産物の輸出のさらなる拡大に向けては、国内他産地との競合が顕著になってきていますことから、新たな市場への進出に当たりましては、市場の特性を踏まえた品目の絞り込みや数量の確保、販売チャネルの開拓や拡充が課題であります。このため、輸出コーディネーターの人的ネットワークの活用や海外実需者を招聘しての商談会の開催などにより、現地の消費動向や販路形成の可能性を見定めながら、現地小売店等でのフェアの開催を通じて消費者の反応を確認するなど、輸出環境や現地の状況等を十分踏まえた、実効性のある展開となるよう取り組んでまいります。
 次に、海外からの誘客における広域観光の推進についてでありますが、海外からの観光客は、国内客と比較しまして一回の旅行期間が長く、多くの主要な観光地を広域的に周遊する傾向にありますことから、県境を越えた取り組みが必要と認識しております。このため、県といたしましても、平成4年に、青森県、秋田県と北東北三県観光立県推進協議会を設立し、北東北としての広域的な取り組みを開始しましたほか、平成19年からは、新潟県を含む東北7県の枠組みであります東北観光推進機構とともに、海外の主要市場におけるPR活動などを展開してきておりまして、今後においても、同機構を中心とした東北ブランドの確立などを含め、広域観光を推進してまいります。
 こうした取り組みを進める一方で、外国人観光客受け入れに積極的な大型宿泊施設を多く有しているといった優位性も生かして、各市場の嗜好に応じ、本県を重点的に周遊するルートを提案するなど、東北観光における本県の地位がより際立つよう、今後とも必要な取り組みを進めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、6次産業化の推進についてでありますが、農産物の生産量が減少し価格も低迷している現状にあって、生産者の所得を確保していくためには、経営規模の拡大や低コスト化などと合わせて、6次産業化による高付加価値化が重要と認識しております。本県における6次産業化の取り組みは農産物の加工や産直での販売、農家レストランでの地元食材を活用した飲食の提供など、生産を起点として多彩な取り組みが展開されております。
 一方、6次産業化の取り組みの推進に当たっては、商品開発や販売等のノウハウ不足、事業化に向けた資金の確保などの課題もあることから、今後とも、いわて6次産業化支援センターによる経営サポート、商品開発や取り組み支援のための専門家の派遣、販路開拓のための商談会の開催、資金確保のためのファンドや各種助成事業の活用など、経営の発展段階に応じたきめ細やかな支援を行い、さらなる取り組みの拡大と定着を図ってまいります。
 次に、農地、農業用施設の査定状況と復旧見込みについてでありますが、災害査定につきましては、国に対し早期実施を要請してきた結果、10月15日から順次行われており、11月29日までに、査定予定件数850件余りのうち約5割が完了しております。残る5割につきましても査定の実施班数をふやすなどの対応を行い、年内には全ての査定を完了させる予定としております。
 復旧の見込みにつきましては、営農上早急な対応が必要で、農家との調整等が整った地区は、災害復旧事業の査定前着工制度を活用し復旧工事に着手しているほか、査定を終えた地区から順次工事に着手することとしており、可能な限り、来春の営農に間に合わせるよう取り組んでまいります。
 次に、リンゴの被害のその後の対応についてでありますが、土砂の流入、堆積があったものの、樹体への影響が軽微であった園地につきましては、被害の程度に応じた技術指導を行い、できる限り本年産の収穫量の確保を図ったほか、来年の生産に向け土砂の撤去を進めております。
 一方、著しい土砂の流入、堆積や倒木等の被害を受けた園地では、災害復旧事業により土砂の撤去や農地の復旧を行うとともに、リンゴの木の植えかえに要する経費を果樹経営支援対策事業により支援し、また、植えかえから収穫が可能となるまでの未収益期間の育成経費の一部を果樹未収益期間支援事業により支援することとしております。現在、来春には、苗木を定植できるよう事業実施の手続を進めており、引き続き農家が意欲を持って営農を継続できるよう、関係機関、団体と連携しながら支援してまいります。
 次に、航空レーザー測量を活用した森林の災害予測についてでありますが、航空レーザー測量は、従来の航空写真に比べて格段に高い精度で地形の判読ができることから、災害跡地の地形調査や森林資源の把握などに活用されておりますが、航空レーザー測量による森林の災害予測につきましては解析技術が開発途上であり、得られた地形データから危険度を判定できる水準には至っておりません。このため、国においては、航空レーザー測量の地形データから崩壊危険箇所を把握する手法の開発に来年度から取り組む考えと聞いており、県といたしましては、こうした国の研究成果や技術の進展などを踏まえながら、その活用について検討していきたいと考えております。
 次に、サケふ化場の復旧状況等についてでありますが、本県沿岸では、震災前、28のふ化場でサケ稚魚を生産し、4億4、000万尾を放流しておりましたが、震災により21ふ化場が壊滅的な被害を受けました。本県水産業の最重要魚種であるサケ資源の早期回復を図るため、震災直後から、官民一体となって復旧に努めたことにより、現在、一部復旧している1ふ化場も含め、20ふ化場で稚魚の生産を再開しており、来春には、震災前の約9割となる3億9、000万尾を放流する予定となっております。
 なお、一部復旧のふ化場は平成26年度中に整備完了予定であり、平成27年春には、震災前と同水準の約4億尾の放流が可能となる見込みです。
 次に、アワビ種苗生産施設の復旧状況等についてでありますが、県内では、震災前、県栽培漁業協会が運営する県有施設も含め6施設でアワビ種苗を生産し、約800万個を放流しておりましたが、震災により全ての施設が壊滅的な被害を受けました。
 アワビは、漁業者の所得を支える重要な資源であり、その回復のため、震災前と同程度の稚貝の放流を目指し、県有と民間を合わせた4施設の復旧に努め、これまでに2施設の整備が完了し、残る2施設につきましても年内に整備が完了いたします。来春は、県有施設のアワビ稚貝約150万個の放流を予定しておりますが、平成27年春には、広田湾、重茂及び田老町漁協の施設も加え、震災前を上回る890万個の放流が可能となる見込みです。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、土木施設の災害査定の状況についてでありますが、去る9月17日から11月1日までの6次にわたる査定で、7月豪雨に係る全413カ所及び8月豪雨に係る384カ所につきまして査定を終了しております。残る8月豪雨分の11カ所と9月の台風18号に係る479カ所につきましては、12月9日から12月26日までの3週で査定を実施し、年内に全ての箇所の災害査定を終了する予定としております。
 6次査定までの結果は、県施設が241カ所、約30億3、000万円、市町村施設が556カ所、約51億円、合わせて797カ所、約81億3、000万円となっております。
 次に、復旧の見通しでありますが、災害復旧事業につきましては、災害発生年度を含む3カ年以内に完了するよう財政措置がなされることから、緊急性等を考慮しながら早期復旧に取り組んでまいります。
 なお、復旧工事の発注に当たりましては、市町村や関係団体との情報交換等を行いながら、工事が円滑に進められるよう努めてまいります。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) 地域防災体制の強化についてでありますが、県内の自主防災組織については、平成24年4月1日現在、組織数は1、907組織、組織率は76.6%とほぼ全国平均と同じ水準にあり、今般の豪雨災害においても、自主防災組織が避難所の開設等に主体的に対応した事例が確認されております。一方で、県北及び沿岸部の一部市町村において組織率が低いこと、組織の活動の質的な向上が必要であることなどの課題も挙げられております。
 こうしたことから、県では、自主防災組織育成強化推進員による市町村訪問や、組織率が低調な市町村を対象とした防災ワークショップの開催支援などにより組織結成を働きかけるとともに、自主防災組織主体の避難所運営訓練等における岩手県地域防災サポーターによる助言や総合防災訓練への参加促進などにより、自主防災組織の育成強化にも取り組んでいるところであります。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) ドクターヘリの広域連携についてでありますが、県北地域を中心に、他県のドクターヘリへの出動要請を柔軟に行えるよう要望があったことを踏まえ、先月19日に開催された岩手県ドクターヘリ運航調整委員会において関係者の意見を聴取したところ、医療者側から、現場から遠い近いだけでなく、医療的な判断も重要な要素であることから、他県のドクターヘリの出動要請に当たっては、自県フライトドクターの判断が必要との意見がありました。このため、県では、同委員会の了承も得て、フライトドクターの判断によって他県のドクターヘリの出動要請ができるよう広域連携の運用の一部を見直すことを、去る11月28日に開催された3県の行政やフライトドクターなどの関係者会議に提案し、主として県北地域をカバーしていただくことが期待される青森県に協力をお願いしている状況でございます。
 関係者会議では、秋田県からも本県と同様の提案があり、その取り扱いについて協議したところですが、2機体制としている青森県から、県内におけるドクターヘリの運航への影響を検証する必要があることから持ち帰って検討したいとの申し出があり、了承されたものです。
 本県としては、提案が実現できるよう、青森県に対し検証に必要なデータを提供するなど協力し、地域の実情やドクターヘリの運航状況などについても理解を得て、より効果的なドクターヘリの運航につながるよう、引き続き協議を進めていきたいと考えております。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) まず、次期産業廃棄物最終処分場の建設についてでありますが、スケジュールについては、いわてクリーンセンターの埋め立て終了を見据え、平成33年度に次期処分場を供用開始するために現在整備候補地の選定作業を進めており、平成26年度末を目途に、建設地を決定したいと考えております。その後、環境影響評価と基本設計におおむね3年、建設工事に3年を見込み、平成32年度末までの完成を目指しております。
 次に、市町村との協力関係の構築についてでありますが、地域住民に最も近い市町村から御協力をいただいて候補地選定を進めることが重要であると認識しておりまして、産業廃棄物最終処分場整備基本方針の内容や整備候補地選定の進め方について、県内全ての市町村長へ直接伺って説明するとともに、市町村の担当部課長会議を開催して選定に向けた各種調査への協力依頼を行うなど、理解をいただきながら業務を進めております。
 今後の課題としては、最終処分場の必要性について引き続き広く県民に意識を持っていただくこと、建設に向けて地域住民の御理解をいただくことであると認識しております。
 今後とも、産業廃棄物の適正処理の推進や県内経済産業の振興のため、また、災害時の最後の受け皿として不可欠な施設であることを丁寧に御説明し、候補地選定過程についても、適時適切に公表しながら県民の理解を深めるとともに、地域事情に精通した市町村とも協力しながら事業を進めてまいります。
 次に、再生可能エネルギーについてであります。
 本県の風力発電と地熱発電はともに全国第2位と豊富な賦存量を誇っており、これまでに、風力発電は67メガワット、地熱発電は104メガワットが導入されているほか、一戸町で企業局による風力発電の事業化に向けた取り組みや、八幡平市では民間企業による地熱開発調査が実施されるなど、新たな取り組みが進められているところであります。
 一方、これらのエネルギーは、地理的条件により導入適地が限られるところでありますが、県内の一部地域で送電線への連系制約が発生しているほか、特に風力発電については、出力変動等の影響を抑えるため送電線への接続の上限が設定されるなど、今後導入拡大を進めるに当たって、送電線の接続容量の制限や変電所設置に係る費用負担が隘路となる懸念があると認識しております。
 県では、これまでも、国に対して送電線増強支援などの要望を行ってきたところでありますが、今後も、機会を捉えて国に働きかけていくとともに、本年度、新たに作成する導入適地マップや地熱エネルギーの勉強会などを通じて、事業者等と課題の共有を図りながら、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔国体・障がい者スポーツ大会局長松岡博君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(松岡博君) 国体の競技会運営に対する市町村への財政支援についてでありますが、これまで、各市町村で行う競技ごとの所要額調査やヒアリングを実施したところであり、現在、先催県の補助の状況を参考にしながら、競技会の運営に係る補助対象とする経費の範囲や補助単価、補助率のあり方などについて、市長会や町村会からの御要望も踏まえ、さまざまな角度から検討を進めているところです。
 今後、さらに市町村の意向や各競技の事情をお聞きしながら、リハーサル大会の運営経費への補助も含め、市町村に対する補助制度の構築に取り組んでまいります。
 県といたしましては、市町村における開催準備が円滑に進められるよう、今後とも負担の軽減につながる取り組みを行いながら、市町村と力を合わせて国体の開催準備を進めてまいります。
〇41番(樋下正信君) 御答弁大変ありがとうございます。
 1点だけ再質問させていただきたいと思います。
 海外からの誘客についてということでございますけれども、先月の29日の新聞で、花巻空港とタイのバンコク国際空港を結ぶ双方向のチャーター便が運航されるとの報道がありました。
 その記事によりますと、タイ国際航空が、花巻空港とバンコク国際空港を2往復し、タイから約240人の方々が本県を訪れると。そして本県からも、約230人の県民の方がバンコクを訪問するということでございます。ただ、今、タイのほうで国内情勢がちょっと不安定になっていますのでどうなるか心配なところですけれども、いずれ、こうした双方向の国際チャーター便は、海外から本県への誘客を拡大するとともに、県民が海外に行く楽しみにもなりますので、私は大変よい取り組みだと思っております。
 私は、以前から、こうした双方向の国際チャーター便が、近隣のアジアの国に限らず、さまざまなルートでいろんな国に運航できればいいなと思っていました。また、こうした取り組みが定期的に、あるいは年間スケジュール、要するに年間に、どこの国とどこの飛行機が飛ぶというようなことを示して実施されれば、県民も利用しやすいと思いますし、また、年間のスケジュールも組めるのかなと思っております。また、隣県からも利用されることにもなると思いますし、花巻空港の利用促進にも大いにつながるものと考えております。
 そこでお伺いしますが、このような双方向の国際チャーター便誘致についての最近の実績と、また、今後の運航の見通しについてお知らせ願いたいと思います。そして、国際チャーター便の誘致に向けた県の取り組み状況についてもお示し願えればと思います。
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、双方向の国際チャーター便の実績と今後の見通しについてでありますが、双方向の国際チャーター便の実績は、平成22年度には台湾4便のみでありましたが、平成23年度には台湾12便と韓国4便で計16便、平成24年度には台湾20便と韓国4便で計24便、今年度は12月2日現在で台湾8便が運航されており、双方向の国際チャーター便は増加傾向にあります。
 今後の見通しについてでありますが、航空会社の運航計画が正式に決定していない状況ではありますが、今年度中に双方向の国際チャーター便を計画している旅行代理店があるとの情報がありますので、引き続き運航されるものと見込んでおります。
 なお、12月3日から7日に予定されておりますタイとの間の双方向国際チャーター便については、運航される見通しとうかがっております。
 次に、国際チャーター便の誘致に向けた取り組みについてでありますが、台湾につきましては、定期便化に向けた働きかけを中心に展開しながら、あわせて、年間を通じての連続チャーター便の運航拡大に取り組んでいるところであります。特に、春、秋の連続チャーター便が好評で、冬もスキーなどの旅行商品を中心に連続チャーター便の予約が好調と聞いているところであります。来年度につきましても、引き続き、春の連続チャーター便の運航拡大等に向けて取り組んでいるところであります。
 なお、台湾以外の国につきましては、日本国内にある支店や県内宿泊施設等を通じて国際チャーター便の情報を収集し、旅行代理店への情報提供や支援に取り組んでいるところであります。
 今後とも、本県の国際交流の拡大に向けて、台湾を初め国際チャーター便の拡充に取り組んでまいります。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時49分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
25  番 喜 多 正 敏 君
26  番 工 藤 大 輔 君
27  番 熊 谷   泉 君
28  番 嵯 峨 壱 朗 君
29  番 工 藤 勝 子 君
30  番 工 藤 勝 博 君
31  番 高 橋 昌 造 君
32  番 五日市   王 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
24  番 小 西 和 子 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時7分 再開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。喜多正敏君。
   〔25番喜多正敏君登壇〕(拍手)

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