平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇25番(喜多正敏君) 希望・みらいフォーラムの喜多正敏です。
 会派の先輩、同僚議員の御配慮により登壇の機会をいただき、心から感謝を申し上げます。
 さきの質疑と重複するところもあると存じますが、そのまま質問いたします。知事を初め当局には前向きの御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 最初に、県財政についてお伺いします。
 岩手県東日本大震災津波復興計画における基盤復興期間3カ年の最終年度に当たる平成25年度は、当初予算並びに9月までの補正予算合計1兆2、023億円を震災津波対応分5、332億円を含むいわて復興加速予算として執行しているところですが、人や資材不足、価格高騰、用地問題、原発被害などに人口減少も加わり、困難な状況の中、取り組んでいる復興事業の一層の加速が求められております。ILC立地評価会議から国際リニアコライダーの候補地として北上山地が適当である旨の明るい報告も出される一方、消費税増税や社会保障関係費の削減や負担増、TPP交渉や米政策の転換など、基幹産業である本県の農業や県民生活を取り巻く情勢は予断を許しません。本県の平成24年度決算で、特別会計を含む県債残高が1兆5、296億円に上り、実質公債費比率は18.6%であり、今後数年内に県債償還のピークを迎えるなど、厳しい財政状況です。平成25年の予算特別委員会の私の質問の平成18年8月に試算された財政の中長期的な見通しの見直しに対し、加藤総務部長から、早期に見込みが立てられるように努め、中期財政見通しを作成、試みていきたいとの答弁もありました。
 そこでお伺いします。こうした中、本県の中長期的財政見通しのもと、平成26年4月に予定されている消費税増税による本県財政への具体的な影響と、平成26年度の予算をどのような方針で編成しようとしているのか知事にお伺いします。
 県民の負託に応え、復興など山積する政策課題への対応策の決定や執行、国を初め内外の団体や関係者との折衝や要請活動などを適切かつ迅速に推進していくためには、トップのリーダーシップや組織、職員体制の強化が不可欠であり、これまで副知事2人制や職員定数の増加や他自治体からの職員派遣など応援もいただいてきましたが、職員の処遇も含め、さらなる充実が必要と思われますが、知事に御所見をお伺いします。
 次に、医療、福祉のICT活用についてお伺いします。
 我が国における急速な高齢化の進展や社会構造の多様化、複雑化等に伴う患者の疾病構造の変化に対応するため、医療法に規定する都道府県の医療計画においては、新たに精神疾患や在宅医療連携体制、東日本大震災津波を踏まえた災害時医療提供体制などの構築が求められました。県では、都道府県医療費適正化計画と一体のものとして、平成25年度から平成29年度を目標年次とする5カ年間の岩手県保健医療計画を策定し、この中で医療に関する情報化が掲げられています。
 東日本大震災津波で医療機関の患者の既往歴や治療、投薬を記録した紙のカルテや薬局の処方記録が流失し、データを保存したパソコンも破壊され診療情報が喪失し、バックアップも十分でなかったことなどから、避難所生活を送る多くの患者などの治療や服薬に支障が出たと報じられました。お薬手帳を持っている患者は、服用している薬がわかり治療に大変役立ったとのことですが、果たして非常時においてお薬手帳を持っている人が何人いたでしょうか。治療や投薬情報が個々の医療機関に保存され、これが異なる場所にバックアップされていないことから生じたもので、このままでは今後も同様のことが起こると思われます。
 こうした中、参考となったのが、医療費明細が書かれたレセプトが審査支払機関のオンラインデータに残っていたことです。しかしながら、東京の国保中央会や支払基金から情報を入手するまでには時間と手間がかかったとのことです。
 そこでまずお伺いします。県立病院や本県のその他の医療機関の診療情報などカルテや投薬情報の電子化やそのバックアップ体制はどうなっているのか、現状と課題についてお伺いします。岩手県保健医療計画においては、医療情報のバックアップの推進について、各保健医療圏における医療、健康情報整備の中で診療情報のバックアップが図られるよう促すとありますが、どのように促進しようとしているのかお伺いします。
 情報セキュリティーの確保や国民の理解が必要ですが、医療健康情報を自己管理することや、医療機関相互に治療や投薬、検査、アレルギーなどの情報を見ることができれば、被災していない医療機関でも閲覧でき、天災のみならず、転居、旅行、外出時の事故や傷病にかかったとき、迅速、的確な医療や緊急処置が行われ、無駄な検査や重複、不適切な投薬が避けられ、医療費の削減にも資するものと思われます。
 国では、経済成長戦略に医療情報のIT活用を掲げております。その一つは、どこでもMY病院構想で、国民一人一人がみずからの調剤情報、診療明細、母子手帳情報など医療や健康情報を電子的に管理し、これを医療、介護、健康関連サービス事業者に提供できる環境を整備すること。二つ目は、医療、介護、健康などにかかわる関係機関の間で、シームレスに一貫した専門的医療情報の共有、活用を可能にする地域連携医療の環境、シームレスな地域連携医療などを掲げております。国内の先進的な事例では、NPO法人長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会が運営するあじさいネットワークや、千葉県立東金病院が中心となって立ち上げたわかしお医療ネットワークなどがあります。
 あじさいネットは、中核病院と病院、診療所が患者の紹介、逆紹介を活発化させるため、患者の了承を得られたものに限って患者の診療情報をリアルタイムに参照できるシステムで、診療情報提供病院は22施設、情報閲覧施設数は209施設、全登録患者数は3万人を超えているとのことです。病院側は、紹介先の検査、診断結果や治療内容を正確に説明でき、自分の専門外の領域でも心強く対応でき、高額な先端医療機器があるような感覚でMRIやRIを利用でき、患者はかかりつけ医で中核病院の検査結果などが確認でき、症状と診断に応じた適切な医療施設の選択と最適な医療が受けられるメリットがあるとのことです。
 わかしお医療ネットは、地域内の人口1人当たりの医師数が全国平均の半分以下の千葉県山武医療圏1市7町1村の診療所、保険薬局、訪問看護ステーション、福祉施設などが参加しており、地域の病院と診療所、薬局は各患者の診療指針や検査データを共有し、在宅看護も含め、適切な時期に一貫した医療を受けることができるとのことです。さらに、検査や治療内容、ケア状況などについて現場でタブレットにインプットしてデータ化し、逆に現場でデータを見られるなど、ICT技術で医師や現場の担当者の負担を減らした上で情報共有化が図られるシステムを導入している例もあります。
 そこでお伺いします。県立病院など中核病院への患者の集中、地域や診療科による医師や高度な医療施設の偏在や不在、広大な面積を抱える本県の医療事情の改善を図るとともに、かかりつけ医や在宅医療機関の充実支援のためにも、医療情報ネットワークには、広く地域の病院、診療所、在宅医療の医師の参加や、地域包括支援センターなど福祉部門もネットワークに入れ、保健、医療、福祉の連携を図るべきと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
 このような複雑で大規模な保健、医療、福祉の総合的なICT化については、国の動向を注視するだけでなく、これにとらわれず、あるいは先取りし、関係機関や各領域の人材を結集し、各地の先進事例なども参考とし、岩手県保健医療計画に記載した計画をさらに具体化、充実させ、本県としての保健、医療、福祉の総合的なICT化計画や実施計画の策定に着手すべきと思いますが、知事に御所見をお伺いします。
 次に、食を通じての産業振興や食育等についてお伺いします。
 さきの2月定例県議会予算特別委員会において岩渕誠委員から質疑が交わされましたが、日本の和食がこの12月上旬に開かれるユネスコ政府間委員会で無形文化遺産に既に登録されているフランス、スペイン、メキシコ、トルコに加わり正式に登録されることが確実視されています。県を初め、関係者の皆様の御努力に敬意を表したいと思います。
 和食は、一汁三菜やうまみ、バランスのとれた食事、自然の美しさ、季節感を表現するため盛りつけや食器にも工夫が凝らされ、正月や収穫祭など年中行事とのかかわりも深く、世界から評価も高く、ジェトロが米国、フランス、中国など7カ国地域で実施したアンケートでは日本料理は好きな外国料理第1位となっており、海外の日本食レストランは5万5、000店に上ると伝えられています。
 我が岩手は、三陸海岸の魚介類、おいしい米やリンゴなどの果実や野菜、農業、酪農品、マツタケなど特用林産物などの素材に恵まれ、四季や旬が楽しめ、加工食品や地酒も多彩であり、郷土食や餅などの地域の食文化も息づき、最近はまめぶなども人気でB級グルメにも取り組まれており、魅力ある料飲店、観光宿泊施設なども県民や観光客を楽しませております。美しい南部鉄器や漆器など伝統工芸品の食器や調理器具などもあります。
 そこでお伺いします。農家レストランやカキ小屋、郷土料理の紹介や提供、通信販売などいろいろな取り組みがありますが、これらを含め、直接生活者とかかわる取り組みなどによる第1次産業の振興について、本県の取り組みや成果、課題と対策についてお伺いします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 ところで、観光庁の平成23年版観光白書の若年層の旅行性向調査分析による旅ですることや買い物、飲食によれば、国内旅行の目的は、第1位が自然景観を見る、触れるで62%、第2位が飲食を楽しむで59.7%、第3位が温泉に入るで51.1%でしたが、県では、食や和食をテーマとした観光の意義をどう考えているのかお伺いします。
 観光宿泊施設における地場産品、例えば県産米などの使用割合やお客様への紹介などの状況と課題、今後も含めた地場産品利用促進の働きかけなどの取り組みについてお伺いします。台湾などに人気のあるリンゴ狩りなど、いろいろなメニューや仕掛けの開発も考えられます。地元食材による食や郷土食の発掘や調理師など人材養成も含め、開発支援、食をテーマとした旅行商品の造成状況、地元旅行業界との連携状況についてお伺いします。
 一方、食の欧米化による和食離れが進行し、一汁三菜も揺らぎ、学力や体力で劣り、すぐキレるなどの影響が指摘されている朝食の欠食や、スナック菓子などで済ませたり、家族が勝手に好きなものを食べる個食など食卓崩壊も指摘されています。子供や保護者、若者に対する正しい食事や地域の食文化などを伝えていくことが喫緊の課題だと思います。
 そこでお伺いします。まず、和食や伝統食を含めた学校における食育の現状と課題、今後の取り組みについてお伺いします。
 岩手は日本の食料供給基地を標榜しており、ソフトパワーとも言える正しい魅力ある食文化を進化させることは、人と人をつなぎ、健やかな県民生活の推進や、地域や県産品に対するブランドイメージを高め、内外からの来訪者をふやし、観光や地域振興に寄与するものと思われます。国体やオリンピックを控え、フードツーリズムの高まりの中、ユネスコの和食の無形文化遺産登録は、誘客や地場産品普及、郷土食や健康によい食や地域文化の県民理解と意識を高める絶好のチャンスと思われますが、県として今後どのようにこれを生かし、どのように対応しようとしているのか知事に御所見をお伺いします。
 次に、米政策と農業の振興についてお伺いします。
 最初に、米政策の転換についてお伺いします。
 先日、国は、経営安定所得対策と米政策の見直し内容を決定したとの報道がありました。見直しの内容では、行政による生産数量目標に頼らずとも、国が策定する需給見通しなどを踏まえつつ円滑な需要に応じた生産が行えるよう、行政、生産者団体、現場が一体となって取り組むとしています。現在、生産数量目標以内で主食用米を生産した販売農家に米の直接支払交付金として10アール当たり1万5、000円と、当年産米の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合、その差額として米価変動補填交付金が交付されていますが、平成26年産米から単価を削減し、30年産米からは廃止とし、米の直接支払交付金を転作助成金に当たる水田活用の直接支払いに移し、450万トンの潜在的需要のある飼料用米に数量払いを導入するとともに、地域の判断で振興したい作物に助成できる産地交付金を充実させ、飼料用米の多収品種などに交付金を活用し、誘導するとしています。
 また、米価下落時に標準的な価格との差額を補填する米価変動補填交付金は、2014年産米は現行どおりとし、ナラシ非加入者にも一定の補填を行う激変緩和措置を行うとしています。2015年産から、法改正し、新しい対象者要件は認定農業者、集落営農、認定就農者とし、規模要件は課さないとしています。畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタは2014年度は現行どおりとし、全ての販売農家、集落営農を対象とするとしています。2015年から、新しい対象者要件は認定農業者、集落営農、認定就農者とし、規模要件は課さないとしています。こうした政策の定着状況を見ながら、5年後をめどに国による生産数量目標の配分をやめるかどうか判断するとしています。
 ところで、本県の農家戸数は、水稲共済加入農家戸数で見ると、平成20年度6万2、410戸から平成24年度には4万7、125戸に約24%減少しており、平成22年度の65歳以上の就農人口の割合が63.5%と、若者や担い手の確保や規模拡大などが課題となっております。本県の水田面積は、平成20年度8万9、600ヘクタール、平成24年度は8万8、700ヘクタールに減少し、一方、減反面積では3万4、988ヘクタールから3万6、608ヘクタールに増加し、水田面積に占める割合は39%から41.3%へと上昇しており、減反による需給調整や農業収入補填が重要であり、一方、食料自給率向上や農業の多面的機能や国土保全の上からその有効活用が課題であることを示しています。
 転作作物を見ると、平成24年度では、麦、大豆はそれぞれ約3、400ヘクタール、保全管理など不作地が7、407ヘクタールであり8.4%、飼料作物などその他は1万7、128ヘクタールとなっております。非主食用の水稲は5、135ヘクタールで、加工用米が992ヘクタール、新規需要米は3、071ヘクタール、備蓄米が1、072ヘクタールとなっており、特に新規需要米は平成20年度の386ヘクタールから大きな伸びを示しており、適地適作が課題となっています。
 国は、水田活用の直接支払交付金の充実を図り、主食用米偏重でなく、新規需要米や加工米など総合的な米の需給安定を確保しようと考えておりますが、過去にもあったように、結果として主食米の過剰作付や流通により、行政の需給調整が行われないまま市場原理だけで米価が下落することが危惧されているところであります。
 そこでお伺いします。まず、本県の米の直接支払交付金総額、水田活用の直接支払交付金総額、これらの農家所得に占める割合や農家経営や米価安定に対する効果について御所見をお伺いします。
 次に、国の見直しによると、平成27年から畑作物の直接支払交付金と米、畑作物の収入影響緩和対策の新しい対象要件、すなわち認定農業者、集落営農、認定就農者に該当する農業者はどの程度か。対象とならない農業者が少なからずいると思いますが、こうした農業者に対し、県として何らかの対策が考えられるのかお伺いします。
 現在、飼料用米の作付には事前に畜産業者などとの販売契約の締結が条件とされていますが、本県の飼料用米の作付拡大を図るためには、輸入トウモロコシなどと比べ、価格や品質、ロット、輸送面などで優位性を保つことにより販売先を確保することや、米の乾燥や圧扁などの加工、配合飼料メーカーとの連携強化、また、生産者が積極的に取り組めるよう、国などの施策が十分措置されることなどが課題であり、重要であると考えられます。
 そこでお伺いします。本県の飼料用米の10アール当たりの収量や収入、生産数量や生産額の動向、飼料用米の需要と専用種子の確保の見通しについてお伺いします。
 また、飼料米と同程度の栄養価値があるとされている輸入トウモロコシの価格と飼料米価格、先ほど述べた飼料用米への転換の課題などへどのように対応されるのか御所見をお伺いします。
 非主食用の新規需要米には飼料用米のほかホールクロップサイレージがありますが、その作付面積の動向と今後の見通しについて御所見をお伺いします。
 また、ホールクロップサイレージを推進するためには、収穫、包装農機具など生産体制の整備、コントラクターや耕作農家と畜産農家との連携などが必要となると思われますが、課題と対応について御所見をお伺いします。
 米生産調整について、かつて政府は、2002年に生産者、生産者団体の需給調整に移行する方針を決定しました。2004年から過剰作付が増加し、2007年産米では過剰作付面積が7万ヘクタールに拡大し、米価暴落により政府は生産調整を強めざるを得なくなり、米緊急対策を決定し、過剰米の政府買い入れや生産調整の指導を強化し、2008年には過剰作付面積が5万ヘクタールに減少したと報じられております。政権交代により導入された農業者戸別所得補償制度は、生産米の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合、その差額を補填し、麦などの戦略作物、地域の特産品への転作を誘導し、耕作放棄地解消や規模拡大、品質向上へ加算を行うなどし、農業経営体の農業所得は、2009年の104.2万円から2010年122.3万円に、また、集落営農も同様に1万3、436経営体から1万4、742経営体へ増加し、さらに過剰作付面積も2007年の約7万ヘクタールから2011年、2012年には2万ヘクタールに減少したと報じられ、米の需給調整にも寄与し、農家からも評価を得ていたところであります。
 生産調整を廃止した場合、主食用米の生産が自由となり、過剰生産から米価の下落を招き、農業収入の減少により中小農家が打撃を受け、多様な農業の担い手の存続や農業施設や農村共同体の存続が懸念され、津波や地震、相次ぐ集中豪雨で甚大な被害を受けた本県の水田耕作者の再建や農業の振興に多大な影響を及ぼすことが危惧されます。農業所得の減収や離農は、商店街や地域経済、地域コミュニティの活力をそぎ、食料自給率の一層の低下を招きかねないと危惧しております。こうした農政の変革についての御所見を含め、県として今後どのように本県農業の振興を図っていくのか、来年度の予算編成も迎える中で、改めて知事に御所見をお伺いします。
 気象庁統計によれば、日本の1898年から2012年までの平均気温は100年当たり1.15度の割合で上昇し、この9月に公表された国連の気象変動に関する政府間パネルの地球温暖化に関する報告書によれば、今世紀末まで最大4.8度上がる可能性を伝えています。温暖化は農林水産業に大きな影響を及ぼすと思われますが、本県農業に対する影響と、これらも踏まえた新品種の開発や改良の課題と今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、岩手県農業公社の事業についてお伺いします。
 平成24年2月定例会において、雫石町南畑地区における岩手県農業公社の新規就農者の受け入れ策の一環とした事業について質問いたしました。この事業は、昭和63年以降これまでに開発費や管理費など約20億7、700万円が投入され、平成24年度末まで約3億2、500万円の土地売却があり、差し引き17億5、200万円余の差が生じております。
 そこでお伺いしますが、平成24年度末の公社の有利子借入金額と支払い利子額、公社の平均支払い率で計算した場合の17億5、200万円に対する利子相当額、また、この事業の土地販売代金計画額と、これにより投入資金はどの程度回収する計画となっているのかお伺いします。
 東大野農林水産部長は、これまでの取り組みに加え、小区画販売や宿泊して農作業を楽しむ滞在型市民農園の開設などの新たな取り組みについて、関係機関、団体と連携しながら検討を進め、次期活性化方策に反映させていきたいとの答弁でしたが、小区画販売など、平成24年度、平成25年度と今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、馬っこパークについてお伺いします。
 馬っこパークについては、これまでも千葉議長、軽石議員、柳村議員から質疑が交わされてきました。まず、馬事振興や観光、教育振興、保健休養など馬との触れ合いが果たす効果や、これを懸命に支えているNPO法人乗馬とアニマルセラピーを考える会の活動についての御所見、また、その貴重な場である旧ポニースクール岩手の施設が平成26年度末に法定耐用年数を迎えることとなっておりますが、当面、安全な使用に支障があるのか、また、必要があるとすれば改修等に要する費用についてお伺いします。
 この施設については県内部で対応を検討しているとのことですが、運営に成功している馬事施設なども参考とし、関係団体や有識者の意見も聞きながら、積極的かつ総合的な対応を検討すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 御清聴まことにありがとうございました。答弁によっては再質問させていただきます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 喜多正敏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、消費増税による本県財政への影響と平成26年度の予算編成方針についてでありますが、消費税の増税に伴う歳出への影響については、平成25年度当初予算ベースに単純に試算した場合、95億円程度の影響が出るものと見込まれます。
 一方、歳入については、税収や地方交付税の算定にどのような影響を与えるのか国の予算編成及びそれに伴う地方財政対策が示されていないことから、消費税の収入が社会保障関係経費やそれ以外の歳出の財源として実質的な収入増となるか、不明な状況でございます。
 このような中、本県財政は、多額の県債残高を抱え、その償還が今後数年をかけてピークに達しますことから、また、財源対策基金の残高が大幅に減少することが見込まれますことから、これまでにも増して、厳しい局面を迎えることが見込まれます。こうしたことから、消費税増税の影響や、財政制度等審議会などで議論されている地方交付税の別枠加算の廃止などの動向を注視しながら、平成26年度の予算編成に当たっては、東日本大震災津波からの復旧、復興事業を最優先に、限られた財源の中、全ての事務事業を精査し、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成してまいります。
 なお、中期財政見通しについても、国の予算及び地方財政対策や当初予算編成を踏まえ策定作業を進めてまいります。
 次に、リーダーシップと職員体制の充実についてでありますが、増大する復興業務に対応するためにはマンパワーの確保が重要であり、年度途中において、任期付職員の採用や正規職員の前倒し採用を行いましたほか、来年度の他県からの応援職員の確保に向けて、各自治体への要請活動等を積極的に展開しております。
 また、8月1日付で復興局に専任の副局長を置き、復興に係る体制強化を図るとともに、9月1日付で企画参与を設置し、政策形成に関して専門的かつ女性の見地から助言や提言を行う体制とするなど、適時の組織体制の強化を図ってきたところであります。
 こうした組織、職員体制の強化を進めますとともに、10月、部課長研修におきまして、老、壮、青3世代のきずなや地域資源の発掘、磨き上げの重要性など、復興を進めるに当たっての考え方として伝えましたほか、庁議や復興本部員会議、さらに広域振興局職員との意見交換などさまざまな機会を通じて、部局長を初め、職員とミッションを共有した業務の遂行に努めているところであります。あわせて、厳しい環境で勤務する職員に対するメンタルヘルス事業を通じた心身の健康管理や住環境の改善などに意を用い、組織パフォーマンスの向上に努めてまいります。
 次に、医療情報ネットワークにおける連携についてでありますが、本年3月に策定した岩手県保健医療計画におきまして、医療に関する情報化として、被災地を中心とする各地域における医療、健康情報の共有基盤の整備と、岩手医科大学附属病院と被災地の地域中核病院等との間における医療情報連携システムの構築を推進することとしています。
 地域における医療、健康情報の共有基盤の整備におきましては、議員御指摘のとおり、医療機関はもとより、広く保健、介護、福祉等の関係機関が参画し、情報共有することによって、相互に連携した取り組みが進められることが重要であります。
 県内において先行して整備されています、かまいし・おおつち医療情報ネットワークでは、今年度から医療機関のみならず介護事業所等も参画しており、こうした取り組みをモデルとして、他の地域においても順次整備が進められてきており、県としても、このような取り組みを支援してまいります。
 次に、保健、医療、福祉の総合的なICT化計画等の策定についてでありますが、保健医療計画に記載した岩手医科大学附属病院と被災地の地域中核病院等との間における医療情報連携システムについて、現在、その具体化のための検討を進めております。また、保健、医療、福祉が連携した地域の医療情報ネットワークは、先ほど申し上げた釜石地域のほかに宮古市においても構築され、久慈地域や気仙地域においても構想されているなど、具体化してきております。
 県としては、将来的には、岩手医大を中心とする医療情報連携システムを基幹として、地域の医療情報ネットワークとの連携を検討する必要もあると考えておりまして、まずは、被災地における医療の復興に資するこれらのシステムやネットワークを計画的に構築し、その運営状況や課題を検証しながら、保健、福祉と連携した医療の情報化を進めてまいります。
 次に、和食の無形文化遺産登録への対応についてでありますが、日本の食文化いわゆる和食は、四季や地域に根差した新鮮で多様な食材を活用し、栄養バランスにすぐれた健康的な食生活を実現するとともに、正月などの年中行事と密接にかかわりながら育まれ、家族や地域のきずなを深めてきたことが認められ、新規登録を求める勧告があったものと認識しております。
 本県におきましては、和食の無形文化遺産登録申請の前段階から、国に、本県の食文化やその伝承、普及活動の取り組みを紹介し、また、ユネスコへの提案書には、一関市のもち文化の活動事例が盛り込まれるなど、本県の食文化は全国的にも特色あるものと考えております。
 本県では、これまで、食の匠の認定制度などによる県民への食文化の伝承、普及や地域の食材を生かした食育活動に取り組み、魅力ある地域の農林水産物や食文化を観光資源の一つとして捉え、情報発信してまいりました。
 今後におきましては、和食の無形文化遺産登録を積極的に生かし、本県の食文化の伝承、普及活動の活性化や県内外への情報発信の強化を図り、全国や世界に本県の特色ある農林水産物や食文化を広くアピールしてまいります。
 次に、本県農業の振興についてでありますが、国では、経営安定対策などを見直し新たな施策を実施することとしましたが、国から制度見直しに関する十分な説明はなく、農業者も将来を見通せず、不安を抱いている状況と認識しております。
 本県の農業、農村は、多くの農家が中山間地域で生産活動をしており、小規模農家が多いことや、農業が地域社会を支えているという実態を踏まえれば、国においては、生産活動や地域づくりに懸命に取り組んでいる農家が、地域に根差して、暮らしもよくなっていくような農業政策となるよう、政策構築を進めてほしいと考えております。
 県といたしましては、地域の話し合いにより、地域農業全体の展開方向を明らかにした地域農業マスタープランを基本に据えながら、意欲ある農業者の経営体質の強化や小規模農家も含めた産地づくりなどを進め、農業、農村が将来にわたり持続的に発展するよう取り組んでいく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、医療情報の電子化についてでありますが、県が実施した平成24年の医療機能調査によれば、県内の94病院中、電子カルテシステムが23病院、オーダリングシステムが48病院で導入済みとなっております。こうした電子化には病院の既存システムと整合を図るとともに、初期経費や運用経費を確保する必要がありますが、平成19年の調査で電子カルテの導入が10病院であったことからすれば、本県において医療情報の電子化は着実に進展してきていると考えております。
 一方、医療情報のバックアップについては、県立病院において、昨年度から外部のデータセンター等に保管する仕組みの構築に取り組んでいるほか、宮古や釜石地域において、地域の医療情報ネットワークを構築する中で、医療情報のバックアップを図っている事例もあります。
 医療情報を電子化することにより、そのバックアップは比較的容易に可能になると考えられますが、外部にデータを保管するための厳重なセキュリティの確保や、避難所等通信インフラが不十分な環境で必要な情報をどのように参照するかなど技術的な課題のほか、それぞれの医療機関が、バックアップのためだけに費用を負担することに対するメリットを見出しがたいといった課題もあることから、保健、福祉とも連携した地域の医療情報ネットワークの中で、データのバックアップを図る取り組みが有効であると考えております。
 次に、医療情報のバックアップの推進についてでありますが、医療、健康情報の共有基盤の整備を先行して行っている宮古や釜石地域においては、先ほど申し上げたとおり、バックアップ機能も有していることから、こうした事例を紹介しながら医療の復興計画に基づく地域医療再生基金を活用し、沿岸被災地を中心に地域の医療情報ネットワークの構築が進むよう支援し、医療情報のバックアップの促進につなげたいと考えております。
〇議長(千葉伝君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農家レストラン等の取り組みによる第1次産業の振興についてでありますが、県では、農林漁業者が生産した農林水産物の加工、販売や、飲食の提供等に取り組む6次産業化の取り組み拡大に向け、これまで、延べ144の事業者の事業化を支援してきた結果、自家生産の農畜産物を活用した直営の農家レストランの開設や、地元の農産物を活用した商品の開発と産直やインターネットでの発売など、6次産業化の取り組みは着実に拡大してきております。
 一方、これらの取り組みのさらなる発展のためには、事業運営や商品開発、販売などの経営ノウハウの一層の蓄積等が課題と認識しており、県といたしましては、いわて6次産業化支援センターによる経営サポートや加工、販売等各分野の専門家の派遣など、それぞれの取り組みの発展段階に応じてきめ細やかな支援を行い、6次産業化の定着と拡大を図っていきたいと考えております。
 次に、観光宿泊施設における地場産品の利用促進についてでありますが、観光宿泊施設における県産米の利用につきましては、例えば、平成22年度に県南の旅館、ホテルを対象とした調査では、回答のあった122施設のうち94%で県産米を使用しているとの回答がありました。また、県産ひとめぼれを常時提供している県内の旅館、ホテルや飲食店78施設をいわて純情米ひとめぼれの店に指定し、シンボルプレートを掲げるなど、県産米の利用促進やPRに努めておりますが、県産米使用施設の拡大が課題と認識しております。
 今後におきましては、旅館、ホテル等が加盟する団体とも連携しながら、食材情報の提供や農林漁業者とのマッチングを進め、米を初めとする県産農林水産物の利用促進に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、米の直接支払交付金等についてでありますが、平成24年度の本県への米の直接支払交付金の交付額は約66億6、000万円、水田活用の直接支払交付金の交付額は約96億8、000万円となっております。これらの交付金の農業所得に占める割合は、農林水産省の農業経営統計調査によると、平成23年産では全国ベースで30.5%となっており、農家の収支に大きく貢献しているものと認識しております。
 また、米価安定に対する効果につきましては、米の直接支払交付金は、生産調整に応じることを前提に交付されていることから、主食用米の供給量の調整を通じて、米価の安定に一定の効果が及んでいるものと認識しております。
 次に、畑作物の直接支払交付金等についてでありますが、国では、平成27年度から、畑作物の直接支払交付金等の対象を、認定農業者、集落営農、認定就農者とすることを検討していると聞いておりますが、平成25年3月末での認定農業者は7、444経営体、集落営農は415組織、認定就農者は108経営体となっております。
 直接支払交付金等の対象とならない農業者につきましては、検討されている制度の具体的な要件等が不明であることから、どのような支援策が必要となるかを申し上げることは困難ですが、できる限り、対象者の要件を備えるよう働きかけていく必要があるものと考えております。
 次に、飼料用米の生産額、需要等についてでありますが、飼料用米の生産額、需要等について、農林水産省の公表資料によりますと、平成24年度の10アール当たりの収量は498キログラム、販売収入と戸別所得補償制度の交付金を合わせた収入は9万4、940円となっております。また、県内の生産数量は1万74トン、生産額は約3億円で、戸別所得補償制度が導入された平成22年度は4、025トン、約1億5、000万円であったことから、約2倍にふえております。
 飼料用米の需給見通しについて、県内の畜産経営体や飼料メーカーからは、現状の取引価格の水準であれば、2倍程度までは拡大可能と聞いております。
 専用品種の種子につきましては、県オリジナル品種つぶゆたか、つぶみのりを指定採種穂で生産しており、農産物改良種苗センターでは、次年産として51トン、1、275ヘクタール相当の種子を供給できる見通しです。
 次に、飼料用米転換への対応についてでありますが、輸入トウモロコシの価格は、財務省の貿易統計によると、直近の平成25年4月から9月の平均が1キログラム当たり33円、飼料用米価格は、県の調査によると、平成24年度は1キログラム当たり30円となっております。
 また、飼料用米への転換を図るためには、安定的な販売先の確保や輸入トウモロコシより低い価格での販売、専用保管施設の整備などが必要と考えられますが、生産現場の要請を踏まえながら、取り組みに対する支援を国に働きかけていきたいと考えております。
 次に、ホールクロップサイレージの生産動向等についてでありますが、生産動向については、平成25年度の作付面積は879ヘクタールで、平成22年度の329ヘクタールに比べ、約2.7倍にふえております。
 また、今後の生産動向につきましては、価格動向や経営所得安定対策の交付単価、畜産農家の需要動向等で変動していくものと考えております。
 また、ホールクロップサイレージの生産拡大には、収穫のための専用機械等の整備が必要となりますが、国庫補助事業の活用などの支援に取り組んでおります。
 次に、農作物の新品種の開発についてでありますが、本県では、高温の影響として、出稲の斑点米カメムシ被害の増加や白未熟粒の発生、リンゴの着色不良、野菜の生育停滞などが見られております。こうした影響を緩和するため、病害虫防除や遮光対策などの技術指導のほか、品種開発につきましては、リンゴでは、高温でも着色が良好な紅いわての品種登録、出稲では、富山県と共同した高温条件下でも品質を確保できる品種の選抜など、温暖化に対応した県オリジナル品種の開発を進めております。
 今後におきましても、国や他県の試験研究機関とも連携しながら、高温耐性に関するDNAマーカーの特定と、これを活用した県オリジナル品種の開発などの取り組みを進めていく考えです。
 次に、農業公社の有利子借入金等についてでありますが、県農業公社は、平成24年度には、畜舎整備や暗渠排水工事に係る施工業者への支払いのために一時借り入れを行っており、同年度末の有利子借入金額は23億2、900万円余、同年度の支払い利子額は930万円余、有利子借入金の期首と期末の平均残高から算出した平均利子率は年利約0.5%となります。
 お尋ねのあった17億5、200万円とこの平均利子率で計算した利子相当額は、年額で約876万円となります。
 また、南畑地区の分譲地販売計画のうち、今後の販売予定は定住促進エリアとしている19.3ヘクタール、簿価で5億2、800万円余で、農業公社は販売にできる限り経費をかけずにとの方針で取り組みを進めていることから、これに近い額の資金が回収できるものと理解しております。
 次に、雫石町南畑地区における平成24年度、平成25年度と今後の取り組みについてでありますが、南畑地区の活性化につきましては、平成24年度は、首都圏での定住促進セミナーでのPRやコテージむら祭りの開催、農業体験塾の開催などに継続的に取り組み2区画の販売につながったほか、平成25年2月には、これまでの活性化方策を評価した上で、第3期の活性化方策を策定いたしました。また、平成25年度は、第3期活性化方策に基づき、定住者のサポートや南畑地区の魅力を発信する新たな取り組みを開始し、平成26年度には、小区画販売にも着手することとしております。
 今後とも、活性化方策に基づき、関係機関、団体や地元関係者が連携しながら、小区画販売や農業体験塾の開催などに取り組み、南畑地区の活性化を図っていく考えです。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、食や和食をテーマとした観光の意義についてでありますが、観光関係調査会社が実施している平成24年度の宿泊旅行調査では、岩手県における宿泊旅行の目的について、温泉や露天風呂の45.8%に次いで地元のおいしいものを食べるが36.7%と、食を観光の目的とした割合が高くなっております。また、県が平成24年度に実施した観光客アンケート調査におきましても、岩手県への旅行に何を求めているかとの項目について、おいしいものを食べるが32.3%と最も多くなっており、本県各地域の魅力ある食を観光資源として活用していくことは、本県への誘客を図る上で大変重要であると認識をしております。このため、本年4月から9月まで、食の魅力を前面に打ち出しながら本県の多彩な魅力をアピールする、うまっ!いわて観光キャンペーンを実施するなど、食を重要なテーマの一つとして、各地の宣伝、誘客活動を積極的に展開しているところであります。
 次に、食をテーマとした旅行商品の造成等についてでありますが、食の魅力による誘客を推進するため、地域の飲食店や旅館、ホテル等と連携し、雑穀や食肉、もち食など、県内各地域の特色ある食材や食文化を活用した御当地メニューの開発や、食をテーマとした誘客イベントの開催、首都圏の有名なシェフを招聘した雑穀を使用した料理セミナーの開催など、食をテーマとした地域の魅力づくりに積極的に取り組んでいるところであり、このような取り組みを通じ、食を提供する側としての資質の向上も図られているものと考えております。
 このような中、鉄道会社での食をテーマとする企画列車の運行を初め、旅行会社においては、岩手の食文化をテーマとした各種旅行商品の造成、販売が行われているほか、旅行会社や地元の観光事業者と連携し、沿岸地域で地元料理や買い物を楽しんでいただく復興応援バスツアーの運行や、食のイベントに合わせた旅行商品の造成、地域の食文化をテーマとした着地型旅行商品の造成などに取り組んでいるところであります。
 今後とも、本県独自の食文化を切り口とした観光資源の一層の磨き上げや、これらを活用した誘客の促進に取り組んでまいります。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 馬っこパークについてのお尋ねでありますが、当該NPO法人は、県民に対して人と動物に関する事業を行い、健康、教育、福祉などの増進に寄与することを目的に設立された団体であり、その活動も、被災地での触れ合い活動や保育園、幼稚園等への訪問事業、地域との交流事業等、いずれも高く地域へ貢献されているものと認識しております。
 また、施設の安全に関してですが、敷地内のほとんどの施設が平成元年に建築され、税法上の耐用年数を迎えることとなるものの、調査の結果、新耐震基準に基づき建築されており、構造的には直ちに対応が必要な状況ではないと認識しておりますが、個々の施設、設備を見ると、大型浄化槽、外壁、配電盤など老朽化が進んでいる部分もあり、今後の活用方法によって一定の改修等を要する場合があるものと考えております。
 次に、旧ポニースクール岩手の活用に係る検討についてですが、県では、NPOが当該施設を使用している現状を踏まえ、さらに、観光面、教育面、馬事振興等の観点から、広く庁内関係部局による検討会議を立ち上げ、より有効な活用方策について検討を行っているところであります。
 今後も、こうした庁内検討の状況を踏まえつつ、関係団体や存続について御要望を頂戴している市町村からの意見も踏まえ、総合的に検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 学校における食育の現状と課題についてでありますが、平成24年度の調査では、食に関する指導計画を策定するなど、体系的に食育の取り組みを進めている学校の割合は、小学校では全ての学校、中学校では98.4%、高等学校では75.3%、特別支援学校では92.9%となっております。
 また、学校給食は、地域の伝統的な食文化についての理解を深めることを目標の一つとして行われており、各学校においては、米飯を主食とした日本型食生活への配慮、ひっつみや雑煮などの郷土食や行事食の提供、地場産物を活用した献立の提供、また、それらを教材として活用した食に関する指導等の取り組みを家庭や地域と連携を図りながら行っているところでございます。
 食育を一層推進していくためには、学校教育活動全体の中で、全教職員の共通理解のもと、食に関する指導を進めていくこと、さらに、学校のみならず、家庭や地域との連携を図り、望ましい食習慣を身につけさせることなどが課題と認識しております。
 県教育委員会といたしましては、栄養教諭を初め、食育の取り組みのおくれが見られる高等学校等の管理者なども対象とした食育推進研修会などを通じて校内体制の整備に対する支援を行うとともに、家庭や地域との連携を図った取り組みを広く啓発するなど、引き続き学校における食育の推進に努めてまいります。
〇25番(喜多正敏君) 御答弁ありがとうございます。幾つか質問させていただきます。
 米生産調整の廃止はこの5年間の状況で見るということでありますが、その大前提となる飼料米の需要家である畜産、酪農自体がTPP参加により大きな影響を受けるわけであります。この3月の農林水産部のTPP協定参加による本県農林水産物影響額試算によれば、本県の農産物の減少率は牛肉で62%、乳牛100%、豚肉70%、鶏肉20%、鶏卵が17%と大幅な減少が試算されているわけであります。飼料米の需要自体が大幅に減少するという可能性があるわけでありますけれども、先ほどのお話では、飼料用米の需要については1万74トン、約3億円の生産額であると。これがどの程度かというと、2倍に伸びていると。大した数字ではないなと。果たしてこれで飼料米に転換が可能なのかなと非常に危惧を持ったところであります。
 やはりこうしたことについては非常に危機感を持って臨まなければならないと思いますし、それから逆に、種子はそういうことで用意しているということでありますけれども、果たして作付がふえた場合、この2年、3年とその種子の提供が可能であるかどうか。
 それから、コントラクターやいろいろな農作業の連携が必要になってくるわけでありますけれども、まだまだ疑問は払拭されないということでありまして、県としてもこうしたことにきめ細かな数量ベースの計画を立てていく必要があるのではないかという感じをいたしました。ぜひ緊張感を持ってやっていただきたいと思います。
 それから、制度が錯綜して容易ではないと思いますが、畑作物の直接支払交付金や米と畑作物の収入影響緩和対策の新しい対象要件、認定農業者や集落営農、認定就農者に該当しない農家を捕捉する必要があるのではないか。経営体、集落営農でみんな入っているわけですけれども、なかなかこれはつかめないわけでありますけれども、そういうことが必要だと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、医療ICTの活用についてでありますけれども、被災地以外の県立病院は岩手医大附属病院と全てネットワークで今後構築していくのか、被災地以外のその他の民間病院のネットワークについては今後どういうふうに進めていくのか。当面急がれる被災地との関係はわかりましたが、その他のところについてはどう考えているのか。
 また、ICTを活用した小児救急医療遠隔システムについては、おうかがいしますと、活用件数が平成17年は93件あったと。しかしながら、平成24年は年々減って1件しかなくなったということでありますが、その理由と対策についてお伺いしたいと思います。
 それから、食の戦略的な情報発信ということでお伺いしたいんですが、県では、いわて公式食の総合ポータルサイトいわて食財倶楽部が岩手県の公式ホームページに掲載されているわけでありますが、例えばいわて食財図鑑では飲料がわずか3点であり、地酒とか牛乳とかビールとか、そういったものが掲載されていないなど内容が非常に乏しい。これだけが公式の岩手の食材かとむしろ誤解を招くのではないか。
 一方、岩手県観光ポータルサイトのいわての旅で、大地のめぐみや海のめぐみでも素材や商品や飲食施設が比較的詳細に紹介されているわけで、内容に非常に差がある。一方、食の匠や詳細なレシピの郷土料理も別なサイトに掲載されているわけでありますが、これが連携されていいなと。
 また、岩手観光ガイドブック、岩手のイベントは1年を通じた催事が記載されてもいないわけで―マップのほうは記載されていましたけれども、催事と食は県民生活や観光の両輪と思うわけでありますが、庁内関係各部局が連携して、あるいは観光協会等関係団体も巻き込んで、食でいえばどんな食材や料理があるのか、いつごろどこに行けば買えるのか楽しめるのか、催事も同様であり、食と催事の相乗効果を上げるためにも、利用する立場に立って、あるいは誘導するように、専門家などの意見も聞きながら戦略的に情報発信をしていくべきと思いますが、御所見をお伺いしたい。
 それから、国体やオリンピックは、食をテーマとして、観光振興や第1次産業振興の絶好のチャンスであるわけでありますけれども、そもそも国体には非常に多くの競技団体あるいは応援団ということで来るわけでありますけれども、そうした来県者をどの程度予想して、これについての観光消費額、期待額というもの、あるいは岩手の食を含めた観光促進策についてどのように考えているかお伺いします。
 また、オリンピックでは海外からたくさんの外国人観光客が来ると予測されておりまして、東京では1、100万人もの内外の観光客が東京に来ると予測しているようでありますけれども、東京とか九州のみに集中しないように、関心の高い和食などをテーマとして、また一方、世界で16億人を数えるイスラム教徒に対してはハラールへの対応なども欠かせないと思いますが、これらについて、今から東北や北東北3県で誘客や受け入れ態勢の整備や準備を計画的に着手して進める必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 畑作物の直接支払交付金についてでありますが、制度見直しの具体的要件が不明でありますことから、現在のところ対象とならない農業者を把握することは困難でありますが、今後、制度の具体的な要件が示されれば、制度の対象とならない農業者を特定することが可能になります。
 県といたしましては、先ほどの答弁と重複して恐縮ですが、市町村、関係団体と連携して、できる限り多くの農業者が制度の対象となるよう、認定農業者への誘導や集落営農への参加を働きかけていくことが必要と考えております。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 県立病院と岩手医大等とのネットワークの構築についてでありますが、現在検討している医療情報連携システムでございますが、被災地における医療の復興を力強く後押しするため、医療の復興計画に基づく地域医療再生基金を活用して、岩手医大と被災地の中核病院である大船渡、釜石、宮古、久慈の県立4病院をつなぐこととしているものでありまして、まずはこのシステムの構築、運用していくことが重要であると考えております。
 被災地以外の地域の中核病院とのネットワークでございますが、被災地での運用状況や課題等を検証するとともに、既存のテレビ会議システムなどや具体化してきている地域の医療情報ネットワークとの連携、統合も考慮しながら検討していく必要があると考えております。
 また、民間病院を含めた地域の中核病院以外の医療機関については、地域において保健、福祉と連携した取り組みを進めるなど、それぞれの機能を発揮していただくため、地域の医療情報ネットワークに参画いただくことが重要であると考えております。
 それから、ICTを活用した小児救急医療遠隔支援システムでございますが、当該システムは、県内各地域の中核的な病院で当直に当たる内科医などが、岩手医科大学の小児科専門医の指導、助言を受けながら、小児救急患者の診療を行うことができるよう整備したものでございますが、整備から10年近く経過しております。最初のころの診断や治療方針の確認といった比較的容易な相談が減少してきた一方で、先天性心疾患など難易度の高い症例に関する相談の事例が多くなってきておりまして、現在のシステムでは対応が難しい状況になっており、徐々に利用件数が減ってきたと考えております。このため、新生児の救命救急に対応できるよう、性能や操作性の向上のほか、診療情報を共有する機能の追加や、モバイル端末の導入により小児科専門医がリアルタイムでより的確な助言を行えるようにし、活用の促進を図ることとして、今年度、システムの更新を進めているところでございます。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 部局間連携による戦略的な情報発信についてでありますが、本県の観光ポータルサイトいわての旅は、いわてデスティネーションキャンペーンの開催に向けて、観光客の増加や旅行会社などを含む利用者の満足度の向上につながるよう、観光関係の専門家の助言も踏まえ、平成23年4月にリニューアルしております。このサイトでは、食も含めた年間の各種イベントを漏れのないよう紹介するとともに、食の分野につきましては、関係部局と連携し、岩手ブランドとして農林水産物や加工食品を掲載しているほか、岩手の三大麺や郷土料理を初め、地酒、ご当地グルメ、農家レストランなど、本県の特徴的な食やそれを利用できる店舗、飲食店などを紹介しております。
 一方、食に関連するサイトといたしましては、このほかに食の総合ポータルサイトいわて食財倶楽部や食の匠の郷土料理を掲載したいわての文化情報大事典などがあることから、関係部局との連携を一層図るとともに、県民や観光客が利用しやすく、本県の食への関心が高まるよう、専門家の御意見もお聞きしながら、それを生かした情報発信の強化に努めてまいります。
 次に、国体の予想来県者数と観光促進策、経済効果についてでありますが、平成28年に本県で開催される国体と全国障害者スポーツ大会では、選手や大会役員、観客など、県内外から期間中に延べ約93万人が来場するものと見込んでおり、財団法人岩手経済研究所が行ったいわてDCの観光客入り込み増加数に伴う経済波及効果額をもとに試算いたしますと、観光面での経済波及効果は82億円程度になるものと考えております。
 これらの大会は、本県の魅力を全国に発信する絶好のチャンスでありますことから、事前の大会開催PRに合わせた観光情報の発信を行うとともに、県民のおもてなし機運の醸成による受け入れ環境の整備に努めながら、期間中に県内各地の観光地に足を運んで本県の特色ある食文化に触れていただき、リピーターとなって何度も来県していただくよう、関係団体や宿泊事業者とも連携し、食を初めとする本県の観光情報の発信を強化していきたいと考えております。
 次に、東北や北東北3県の受け入れ態勢の整備についてでありますが、2020年の東京オリンピック開催の決定を受けまして、国においても、多言語対応、WiFi環境など外国人観光客の受け入れ環境の一層の整備、オリンピック開催国という注目度を生かした訪日観光プロモーションを初め、順次所要の対応を行っていくと承知しております。
 県といたしましても、外国人観光客誘致において大きな機会であることから、受け入れ環境の充実に努めるとともに、食を含め、本県の魅力を十分に訴求しつつ、今後、北東北3県あるいは東北各県とも連携しながら誘客活動を展開してまいりたいと考えております。
 また、ハラールにつきましても、東北観光推進機構の第3期中期実施計画においてムスリム観光客への対応強化を打ち出しており、こうした動きとも呼応しながら、県としても観光関係事業者向けのセミナーなどを開催するなど、適切に対応してまいります。
〇25番(喜多正敏君) 南畑事業でありますけれども、結局20億7、700万円を費やして8億5、300万円が回収される、こういうことで、その差額は県費負担であるということで理解をしていいかということ。
 いずれ、早目に販売するよう努力していると思いますが、なお一層、資金コストもかかっているわけで、真摯にやっているとは思いますが、アクセルを踏んでいただきたいと思います。
 それから、職員の皆さんは大変努力をしているわけでありますが、精神的な支援も大事でありますけれども、やはり人事院勧告を適正に遵守して、働いた者については相応の、報いるような仕組みを充実して頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時22分 散 会
第13回岩手県議会定例会会議録(第3号)

前へ 次へ