平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇45番(佐々木博君) いわて県民クラブの佐々木博です。
 会派の先輩、同僚議員の御配慮をいただき、一般質問の機会をいただきました。3年2カ月ぶりの登壇でありまして、新人議員に戻った気持ちで質問させていただきますので、前向きで誠意ある御答弁をお願いいたします。
 また、一問一答方式で質問いたしますが、時間の都合により、質問の順序を変えたりあるいは割愛したりするかと思います。あらかじめ御了承賜りたくお願いいたします。
 それでは、順次質問いたします。
 震災から2年8カ月余りが経過し、3年目の寒く厳しい冬を迎えましたが、今なお、応急仮設住宅での生活を余儀なくされている方が約1万2、700世帯、2万7、000人にも及びます。最初に、一刻も早く復旧、復興を進めなければならないとの観点から、震災にかかわって何点か質問いたします。
 その第1は、上野前副知事の後任についてであります。
 上野善晴前副知事が退任し、財務省に戻ってから4カ月余りが経過しました。この間、副知事は千葉副知事の1人体制ですが、上野前副知事の後任についての知事の御所見を伺います。
 上野前副知事の選任は、臨時議会を招集しての同意案件という異例の形をとったこともあり、議会での賛否は大きく分かれての選任でした。しかしながら、今振り返ってその功績は大きく、特にも、大震災後の復興局長としての仕事ぶりは多方面で高く評価されているところであり、それゆえ、後任の副知事が強く待望されるところであります。
 ところで、上野副知事選任の臨時議会における知事の提案理由は、本県が直面するさまざまな危機的状況を克服し、中長期的に足腰の強い岩手の経済と社会を構築していくため、トップセールスを初めとするトップマネジメント部分を一層強化したいというものでしたが、この提案理由は、震災からの復旧、復興を進める今、より一層、強く該当するものと言えます。
 上野前副知事の後任についての知事の御所見を伺うとともに、国と協議しているなら、その進捗状況についてお知らせください。
 第2は、被災地での人材確保についてであります。
 被災した沿岸12市町村のうち10市町村の本年度職員確保状況は、11月1日現在で、必要数615人に対し確保数が581人、不足数が34人で、充足率94.5%となっていますが、来年度はさらに復興事業が本格化することから、土木建築の技術職員や用地交渉に当たる事務系職員を中心に、本年度実績より130人多い711人の応援職員が必要と見込まれており、その確保が危惧されるところであります。
 そこで伺いますが、現在確保されている応援職員の内訳は、県内の職員と県外からの職員とで、その比率はどうなっているでしょうか。
 総務省や復興庁を通じて、全国知事会や全国市長会、全国町村会などから職員の派遣を受けていますが、多くの自治体は行政改革の一環で職員数の削減をしていること、また、震災から間もなく3年を経過することなどから県外からの派遣は現状維持が限界で、追加の増員分については、その大部分を本県が主体的に募集する覚悟で臨まなければならない状況にあります。
 県では、来年度、内陸市町村からの派遣目標を、本年度実績より24人多い80人に設定したほか、県自体も任期付職員の採用をふやし、本年度より53人多い115人を市町村に派遣する計画を立てていますが、これだけでは全て達成したとしても77人の増員で、必要数にまだ約50人足りません。復興には職員数の確保が不可欠でありますが、この50人の不足を県はどのように充足させようとしているのか、御所見を伺います。
 第3は、用地取得についてであります。
 用地が取得できなければ復興は進みませんが、用地取得には大きな壁があります。本年10月末時点での権利者調査の状況を見ると、事業用地について、県、市町村合わせて契約予定件数が約2万件と膨大で、かつ、相続未処理や多数共有等の課題がある土地が、県、市町村合計で約4、000件にも及び、市町村においては、権利者調整がなお4割以上残っていることから懸案件数がさらに大幅に増加することが確実で、通常手続での早期着工はほとんど不可能な状態と言えます。
 このような状況下、政府は10月19日、財産管理制度の手続を円滑化することや土地収用手続の迅速化など、新たな対応策を公表しました。しかしながら、この方針はあくまでも現行法の運用改善にとどまっており、一歩前進とは言えても抜本的な解決になるとは思えません。財産管理人の選任のスピード化が図られてもその後の手続は既存の法律どおりであり、また、土地収用の手続が迅速化されても、高台移転のメーン事業となる防災集団移転促進事業は同法の適用外だからです。
 このような状況下、県は、岩手弁護士会と事業用地の確保に係る特例制度につき共同研究を行ってきたところであり、このたびその骨子がまとまり、知事は、11月27日、政府や各政党に要望活動を実施したところであります。
 そこで、特例制度の骨子の概略と、政府や各政党に要望した際の感触につき御所見を伺います。
 用地取得に当たり、国は、憲法29条に抵触することを恐れているように見えますが、訴訟リスクを恐れていては復興は進みません。戦後、我が国では、GHQの指揮のもととはいえ、農地改革を断行した歴史もあります。特例制度の骨子案に携わった関係者に心から敬意を表するとともに、知事には、命がけでも必ず立法させるという強い意欲を期待するものでありますが、決意のほどをお聞かせください。
 第4に、入札不調と工事発注のあり方について伺います。
 11月18日、東京都の築地市場から豊洲への移転のための建築工事4件の入札で3件が不調となりました。この3件は新市場の中核施設であり、いずれも予定価格が150億円を超える東京都発注案件では近年最大規模であったことから、関係者に大きな衝撃を与えました。お隣の秋田でも、ことし最大規模と言われた秋田市庁舎の建築工事の落札者が決まらず、やっと3回目の入札で、先日、落札業者が決定したようです。
 本県でも、本年4月から10月までの県発注工事の入札不調は、発注件数873件中162件でその率は19%に及び、平成22年度の3%、平成23年度の9%、平成24年度の12%と比較してもかなり高くなっております。
 このように、入札不調が全国で相次いでおりますが、復興の加速化を進める本県にとって大きな阻害要因となることは明らかであり、その解消は喫緊の課題であります。一般に、入札不調の原因は、資材の高騰と建設労働者の不足にあると言われていますが、県はどのように分析し、どう対策を講じられようとしているのか、御所見を伺います。
 本県の建設投資の推移を見ると、平成12年度に官民合わせて9、736億円あったものが、平成22年度には5、323億円、平成12年度を100%とすると54.7%まで大きく落ち込み、それに合わせるかのように、建設業従事者も、平成12年度の8万8、483人から平成22年度は5万5、170人、62.4%と激減しました。業者は、生き残りをかけ人員削減を断行、その過程で、工事現場を支える職人や技術者のみならず、新卒者の採用も控えてきたのです。そして現在、震災からの復旧、復興で工事量は多くありますが、いずれまた縮小することが明らかなため積極的な拡大路線はとり得ず、人の奪い合いが続く状況は避けられません。
 私が懸念しているのは、このような状況にもかかわらず、来年の2月定例議会に、予定価格5億円以上の大規模県営建設工事の請負承認案件を61件も予定しているということです。果たして、全て落札してもらえるか大いに危惧するところですが、県はどのような見通しを立てているのか伺います。また、あわせて、なぜもう少し平準化して発注ができないのか、その理由を伺います。
 入札の不調を防ぐには、業界とのコンセンサスが必要ですが、県では、岩手県建設業協会からの施工確保対策等に関する要望に迅速に応え、復興JVにおける代表者の地域要件の拡大や複数等級で構成する復興JVの導入など、制度の一部見直しを行いました。このことを高く評価するものですが、復興を加速化するためには、大手ゼネコンとのコンセンサスも必要と考えます。大手ゼネコンとの意見交換等は行われているのか、お知らせください。
 第5に、第2期復興実施計画の策定について伺います。
 復興計画は8年間を計画期間としておりますが、第1期実施計画期間は今年度で終了し、来年度からは第2期実施計画期間に入ることとなります。そこで、第2期実施計画策定のスケジュールにつきお示しください。
 また、第2期実施計画の策定に当たっては、当然第1期実施計画の3年間に実施した施策、事業の達成状況や被災地の復興状況など総合的に検証して策定作業に入るわけですが、特にも、被災市町村の意向をよく把握した上で実施すべき具体的な施策や事業を決定することが重要なポイントとなると考えます。
 そこで、被災市町村の意向をどう把握されているか、また、今後どのように把握に努めようとされるのか、御所見を伺います。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、副知事人事についてですが、副知事を含めた職員の人事については、地方自治法に基づく県の任務を全うし、県民の負託に応える体制をつくることが重要と考えており、適材適所の考え方のもと対処してまいります。
 次に、用地取得についてでありますが、今回、県が岩手弁護士会と取りまとめた特例制度は、取得が困難な事業用地における工事着工を早めることを目的に検討したものであり、二つの柱からなっております。
 第1に、公益性を認定する特例として、高い公益性を有する復興事業については、復興特区法に基づく復興整備協議会において同意を得ることにより、土地収用法の事業認定相当の公益性の認定を可能とするものであります。
 第2に、工事着工を早めるための用地取得手続の特例として、私有財産との調整手続や補償金の支払い手続等を担う第三者機関である機構を設置し、取得する土地の区域が確定したときは、事業者が補償見積額を機構に納めることにより、個々の所有者への補償完了を待たずに工事着工を可能とするものであります。
 これらの実施には、復興特区法の一部改正や土地収用法の特別措置法制定が必要でありますが、現行制度で約1年半から2年程度の工事着工までの期間を約6カ月程度に短縮できるものと見込んでおります。
 先月27日に行った特例制度の創設に係る要望活動では、復興を進める上で、事業用地の円滑かつ迅速な取得が非常に重要な課題であると改めて認識をしていただくとともに、今後、個別具体の事例に基づいて、その解決に向けて検討を重ねたいとの意向が示されました。
 また、根本復興大臣からは、私有財産の特例的取得に関して憲法上の懸念も示されたところでありますが、用地確保の円滑化、迅速化に向けて、今後さらに協議を継続していくこととなったところであります。
 一方、現在においても、3万5、000人を超える被災者の方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、その一日も早い解消が最重要課題でありますことから、復興事業に係る用地の円滑かつ迅速な取得を可能とする措置がぜひとも必要であると考えます。
 今後、さらに被災市町村や岩手弁護士会などの関係者と連携を密に図りながら、特例制度の法律上の問題点などを国等と十分協議を重ねつつ、被災地の実情を強く訴え、一刻も早く大震災特例とも言える措置を講じていただけるよう、引き続き求めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) まず、被災市町村への応援職員の内訳についてでありますが、現在確保しております581人のうち主なものにつきましては、岩手県及び県内市町村からの派遣が138人で約24%、県外の都道府県及び県外の市区町村からの派遣が284人で約49%、復興庁や民間企業等からの派遣が67人で約12%、そのほか、被災市町村における任期付職員の採用等が92人で約16%という状況になってございます。
 次に、市町村派遣職員の確保についてでありますが、さらなる職員確保のためには、第一に県内における職員確保の取り組みの強化が必要と考えており、このため、県職員の派遣拡大の検討や、被災市町村における任期付職員や再任用職員等のさらなる確保、市町村OB職員の掘り起こし、県内市町村職員の短期ローテーション派遣の実施などに取り組んでまいります。
 また、今年度と同様、全国自治体への要請活動を継続し、さらなる支援を粘り強く求めていくとともに、復興庁採用職員や民間企業職員等の確保にも取り組んでいくこととしており、今後とも、国や市町村と連携しながら、あらゆる手段を講じて復興に必要な人材の確保に取り組んでまいります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、入札不調の原因と対策についてでありますが、入札不調の原因は、復旧、復興工事の工事量の増加に伴う技術者や労働者の不足、沿岸部における石材や生コンなどの建設資材調達への不安など、さまざまな理由によるものと認識しております。
 技術者や労働者の不足につきましては、復興JV制度の拡充に加え、宿泊等に要した費用を実費精算することを沿岸部から県内全域への工事へ拡大することや、沿岸部の一部の工事において労働者宿舎を建設する費用を工事費に計上することなどにより、被災地以外からの技術者や建設者の確保に努めているところであります。
 建設資材の価格につきましては、特に沿岸部の生コンクリートや石材などが震災前と比較して上昇しておりますが、毎月実勢価格の動向を把握し、随時設計単価に反映しているところであります。
 また、工事請負契約締結後における単価適用年月の変更や急激な価格上昇に伴う価格改定、いわゆるインフレ条項の適用、遠方から資材を調達した場合に実態を反映した輸送費を計上するなど、契約後の価格変動への対応にも取り組んでいるところであります。
 次に、2月議会で承認を予定しております工事の落札見通しと発注の平準化についてでありますが、入札不調の発生状況は、御指摘がありましたように過去と比べて高い水準となっており、今後さらに復興関連の工事が増加する見込みであることから、さらなる入札不調の発生に懸念を持っております。
 一方で、多くの被災者の方々が、今なお応急仮設住宅等で不自由な暮らしを余儀なくされている状況にあり、まちづくりの根幹となる防潮堤や恒久的な住宅となる災害公営住宅などにつきましては、一日も早い整備が必要であると認識しております。
 このことから、今後の入札不調対策として、先ほど申し上げた取り組みに加え、近接する工事を合併して発注する発注ロットの拡大や、より多くの企業が入札に参加できるよう入札参加条件のさらなる緩和なども行いながら、一日も早い復旧、復興に取り組んでまいります。
 次に、大手建設企業との意見交換についてでありますが、去る11月7日に、一般社団法人日本建設業連合会東北支部と意見交換を行ったところであります。この会議では、労働者確保に対する費用の取り扱い、配置技術者の施工経験の要件緩和など、震災復興の推進に係る事項や労務、資材価格高騰に対する対策、工期の柔軟な対応など、工事の実施に係る制度の状況について意見を交わし、本県の取り組み状況については一定の御理解をいただいたものと考えております。
 今後、WTO対象工事を含め、復旧、復興工事に係るさまざまな工事の発注が続くことから、より多くの企業が入札に参加され、円滑に工事が進むよう、引き続き関係業界団体との意見交換を通じ、課題の解決に取り組んでまいります。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) まず、第2期復興実施計画策定のスケジュールについてでありますが、現在、今年度で終了する第1期復興実施計画における事業の進捗状況や被災地の復興の状況等を検証しつつ、次期復興実施計画に盛り込むべき取り組みや具体的な事業などについて検討を進めているところであります。
 今後、来年1月には計画の素案を作成し、岩手県東日本大震災津波復興特別委員会や議会からの御意見をいただいた上、1月中に第2期復興実施計画の1次案を取りまとめたいと考えているところでございます。その後、パブリックコメントを実施するとともに地域説明会を開催し、広く県民や市町村の意見を伺い、さらに諸般の情勢を加味しながら2次案として取りまとめ、再度、復興特別委員会や議会にお諮りし、来年3月には第2期復興実施計画を策定する予定であります。
 次に、第2期復興実施計画策定に当たっての被災市町村の意向の把握についてでありますが、市町村は、基礎的自治体として、被災地域の一線において復旧、復興の取り組みを進める主体であり、県は、その意向を十分に把握し、支援することが重要と考えているところであります。こうしたことから、これまで、沿岸13市町村長で構成する復興期成同盟会や県内副市町村長が出席する県市町村連携推進会議などの場を通じて、第2期復興実施計画の方向性や検討中の主な取り組み等を説明し意見交換を重ねるとともに、内陸も含めた県内各市町村と個別に意見交換を行い、市町村計画の進捗状況や直面する課題等の把握に努めたところでございます。
 今後においても、第2期復興実施計画の1次案に係る地域説明会と合わせ、被災各市町村との意見交換を行うなど、市町村の意向を十分に踏まえ、第2期復興実施計画の策定を進めてまいります。
〇45番(佐々木博君) 今、復興に関連して5点ほど伺ったわけでありますが、中でも一番重要だと思っているのが用地取得の問題であります。この骨子案は、私はなかなかいい骨子案だと思っていますけれども、この骨子案を我々がいただいたのは10月23日ごろだったとうかがっております。ですから、知事が先日、国にこのことで陳情に行ったときには、既に1カ月以上経過しているわけであります。それで、この間、どういった活動をされてきたのかということについて伺いたいと思うわけであります。
 例えば、今、これは本当に一番急がなければいけない事業でありますから、恐らく中央とそれなりの打診だとかそうしたこともされただろうと思いますし、あるいはまた、各党とも面会したようでありますけれども、岩手県にも各政党があるわけでありますから、そういったところとも十分打診してもらえるような、そういった下準備といいますか、経過があっての陳情ではなかったかと私は思うわけでありますが、その辺がどうであったのか、まず伺いたいと思います。
 それから、昨日、安倍総理が見えたわけでありますけれども、そのときにも、このことについてお話をされたのかどうか、そのことについてもあわせて伺いたいと思います。
 それから、副知事のことですけれども、随分あっさりし過ぎた答弁でびっくりしたわけでありますが、要するに、私が考えるには、上野副知事がいなくなっても全然業務に困っていないと、全然影響がないから現状のままなんだというような、そういった解釈でよろしいのでしょうか、確認をさせていただきたいと思います。
 それから、人数の確保の問題ですね。私は、大変苦労されているということは、もうよく承知しています。ただ、先日、県で人員確保の案をまとめましたが、全部足しても約50名まだ不足しているわけですね。とても不可能な計画の積み重ねはできないということでああいった計画になったのかもしれません。しかしながら、一方では当初計画において初めから不足している計画そのままでいいのかなと、そういったことも反対からいうと言えるわけなんですね。本当に人数の確保は、もちろん被災市町村でも任期付職員を採用してふやすだとか、いろいろなことをみんなで考えてとにかく対応しようと、そういったことになっているわけではありますけれども、できればやはりもう少し充足率を高めたような計画を策定できなかったものなのかどうなのか、そのことについて改めて伺いたいと思っておりました。
 それから、工事受注の件ですが、今、答弁でインフレ条項の適用の話がありました。私も実はそのことをもう少し詳しく聞きたいと思っているんですが、今、予定価格は、単価の見直しをしてそれなりの単価で多分発注されていると思いますが、既に工事が始まっている、そして資材が高くなった。インフレ条項の適用を多分いろいろ申請されている、あるいはこれから申請されるものが出てくるんじゃないかと思うんですが、それに対して適切にスピーディーに対応できているのかどうか、そのことについてまず伺いたいと思います。
 それから、11月、大手のゼネコン4社の中間決算が発表になりました。どこも売り上げは伸びていますけれども、2社は利益の下方修正です。要するに、売り上げは伸びているけれども利益は出ていない。したがって、これからますます工事量がいっぱいある中で選別受注が進んでくるだろうと思うんです。したがいまして、本当にこういった点で工事の発注というのは細心の注意を払いながらやっていかなければ非常に大変になるんじゃないかと。
 きのうの地元紙でも、独立行政法人の国立病院機構ですか、25病院中21病院、84%で不調だったと。本県の一関とか釜石の病院も含まれているという記事も載っておりましたけれども、東京オリンピックが2020年度に開かれるということで、恐らく東京でもこれからさまざまな事業が出てくるでしょう。それから、国土強靭化計画といったことで、全国各地でもさまざまな公共事業がふやされるでしょう。そういった状況の中にあって、やはり復興を進めるために、例えばインフレ条項のスピーディーな適用だとか、そういったことがますます私は要請されるのではないかと考えておりますが、その辺についての御所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 用地取得に関する特例制度についてでありますけれども、10月23日、特例制度の素案の段階で、その概要を県議会議員の皆さん、また県選出国会議員の皆さん、それから復興庁などに情報提供いたしまして、そして、並行して岩手弁護士会とともに制度創設に向けた論点の確認や詳細設計に取り組みました。また、宮城県や福島県を訪問し、特例制度の必要性や素案の内容を説明し、御理解をいただきました。11月中旬に岩手弁護士会との共同研究の成果として特例制度案としての取りまとめを行い、11月20日には岩手県沿岸市町村復興期成同盟会から要望を受け、その要望を踏まえ、11月27日、政府に対し特例制度の創設を要望したという経緯でございます。
 それから、県の現在の体制についてでありますが、増大する復興業務に対応するマンパワーの確保、政策課題に対応した組織の体制の整備など組織、人材体制の強化に努め、県として行政ニーズにでき得る限りの対応をしているところでございます。
 きのう釜石を訪問された安倍総理大臣とは県として正式な復興に関する協議の場はなかったわけでございますけれども、昼食時等を利用し非公式なやりとりの中では、安倍総理大臣、根本復興大臣、そして坂井政務官、その3者と、私、岩手県知事、また、野田釜石市長もいましたけれども、11月27日の県からの政府要望の際に確認されたことと同様、国と県、市町村、地元との間で深刻な困難事例について具体的な検討をする中で解決策について検討していこうという、その11月27日に確認された内容について改めてまた確認をしたという経緯でございます。
〇政策地域部長(中村一郎君) 職員確保の件でございますが、現時点での計画で今年度と比較いたしましてまだ足りない部分があるということで、数字的には、実は今年度の確保が581名で、来年度の確保でめどが立っている分が664名ですので、今年度に比較いたしますと来年度分の確保は既に80名ちょっとはふえてはございます。これはあくまで現時点で確保のめどがついた数字ということでございますので、議員お話しのとおり、市町村の要請数に対しては、これが約50名程度まだ不足しているというのはそのとおりでございますので、我々、何とか来年の4月1日までにはこの差をゼロにするように、引き続き全力を挙げて取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、工事受注後の価格変動等に対する対応でございますけれども、先ほど申し上げましたように、契約締結後の単価適用年月の変更やインフレ条項の適用等に取り組んでいるところでございますが、現場のほうでは当初想定した工期の中ではなかなかできないというような箇所がふえております。これらに対して、経費の増も含めてどのような対応をしていくかというような新たな課題もございますので、これらにつきましては、引き続き業界団体の皆さんとの意見交換等を通じながら課題の解決に取り組んでまいります。
 インフレ条項のスピーディーな対応についてでございますけれども、この部分につきましては、必ずしもスピーディーにこれまで対応できているとは言いがたい面が率直に申し上げてあったかと思います。そのようなことで受注されている業者の皆様には不安を抱かれている部分もあったかと思いますが、いずれ工事の中できちんと対応していくというようなことをお知らせしながら、そのような不安の解消にも努めてまいります。
〇45番(佐々木博君) 次に、農政の大転換と本県に与える影響について伺います。
 昭和45年に始まった生産調整が廃止の方向で検討されておりますが、約半世紀ぶりの農政の大転換を前に、農家、農業団体を中心に大きな不安、懸念が生じ、農業の生産現場は大混乱となっています。農地の集積化を促し、担い手として意欲ある中核農家を育てることで競争力を高めるとのことですが、小規模農家の切り捨てにつながりかねないこのたびの政府の方針転換に対し、どのような御所見をお持ちか伺います。
 我が国における米生産農家の耕作面積の平均は約1ヘクタールです。特にも、本県のように中山間地域等条件不利地域を多く抱える農家は、現行の戸別所得補償制度を改称した経営所得安定政策などの支援策によりかろうじて農家経営を維持している状況にあり、大規模農家や企業の農業参入にシフトしたこのたびの農政改革は、一方で農業社会そのものを崩壊させる危険をはらんでいるものと考えます。
 政府は、中小零細農家を保護する仕組みとして、新交付金日本型直接支払いの創設を検討しているようですが、制度設計の詳細は不明であります。生産調整の廃止により米価が大幅に下落することは必至であり、農業県岩手として国に積極的に働きかける必要があると考えますが、御見解をお示しください。
 次に、農地中間管理機構についてでありますが、年々増加する耕作放棄地対策として始まったはずなのに、現在は様相を異にし、大規模農家や企業の農業参入を念頭に置いた農地利用集積の仕組みとなっております。農業従事者の減少と荒廃農地の増加対策としての農地利用集積を否定するものではありませんが、政府の考える我が国農業の将来像が見え隠れする農地中間管理機構については懸念される点も少なくありません。
 当該機構については、業務の一部を市町村や農協等へ委託することも検討されているようですが、県の果たすべき役割など現時点でどのように分析されているか、課題や問題点をどう捉えているか伺います。
 また、さきに述べたように条件不利地域を多く抱える本県は、米の生産費も他県と比べて極めて高く、規模拡大も容易に進んでいない現状にあって、これまでどのように農地利用集積に取り組んできたのか伺うとともに、あわせて今後の方向性をお示し願います。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP問題について伺います。
 年内妥結に向けて現在交渉中と認識していますが、断片的に報じられる情報では、交渉の詳細は不明であります。しかしながら、聖域とされる米、麦、牛・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物の重要5項目を構成する586品目に対し関税撤廃の圧力が高まっており、聖域のうち、どれを守り、どの品目の関税撤廃に応じるかの段階に移っていることを強く懸念するものであります。
 西川TPP委員長の、農業も大事な国益だが、鉱工業が盛んになることも国益だ、産業界のTPPに対する期待は物すごく大きい、農業だけが国益でないことをわかってほしいとの談話にこの間の状況が如実にあらわれており、むしろこれまで述べてきた政府の農政改革がTPP交渉譲歩の前提と見るほうが自然と思われることです。品目にもよりますが、関税撤廃により本県農林水産業に与える影響は甚大であり、当然、交渉の推移を見守りながらその対策を講じられていると思いますが、その内容につき伺います。
〇知事(達増拓也君) 農業政策の転換についてでありますが、本県の農業は、高齢化の進行等による農業従事者の減少、生産物価格の低迷による農業所得の減少などのさまざまな課題を抱えていますが、こうした中にありましても、農業者が意欲を持って営農し、持続的に発展していくことが重要と考えております。国においては、農業の競争力の強化を図ることとして、経営安定対策などを見直し、新たな施策を実施するとしていますが、この間、国から制度見直しに関する十分な説明はなく、農業者も将来を見通すことができず、不安を抱いている状況と認識しております。
 本県の農業、農村は、多くの農家が中山間地域で生産活動に携わり、経営規模1ヘクタール未満の小規模農家が約7割を占め、また、農業が地域社会そのものを支えているという実態を考えますと、小規模農家も参画した地域農業、コミュニティの維持発展によって農業、農村の活性化を図っていくということが重要であり、国においては、生産活動や地域づくりに懸命に取り組んでいる農家が、地域に根差して、暮らしもよくなっていくような農業政策となるよう政策構築を進めてほしいと考えております。
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、国への働きかけについてでございますが、経営所得安定対策や生産調整の見直しに関する国への働きかけにつきましては、国から制度見直しの十分な説明がないことなどから、県では、農業者が意欲を持って営農を継続できるよう制度設計を行うことや、制度の創設、見直しの具体的内容の情報を速やかに提供することなどを、県独自のほか、北海道東北地方知事会や全国知事会を通じまして国に要請しております。今後におきましても、国に対して、制度の創設、見直しの具体的内容の速やかな情報提供を求めますとともに、農業者が将来にわたって安定した営農を継続できる制度内容とするよう、各都道府県とも連携しながら強く要請してまいります。
 次に、農地中間管理機構についてでありますが、農地中間管理事業の推進に関する法律案によりますと、当該事業の推進に当たって、県は、事業の農地集積目標などの基本方針の策定、方針に基づく機構の事業運営に対する指導、支援、事業目標の達成状況の管理などを行うこととされており、県は、地域で推進しようとする農地集積目標などの枠組みづくりや事業の円滑な推進を担うものと考えております。
 また、事業を円滑に推進していくためには、事業推進のための財源確保、農地中間管理機構と関係機関、団体での推進体制の構築、農地中間管理事業と人・農地プランとの連動、農地利用調整を担う人材の確保などが課題と考えておりますが、国からは、これら課題に対する対応は現在のところ示されておりません。
 次に、農地利用集積の取り組みと今後の方向性についてでありますが、県ではこれまで、県農業公社が行う農地保有合理化事業や市町村等が行う農地利用集積円滑化事業を活用いたしまして、農地の売買や貸借を促進して、地域の担い手となる認定農業者等への農地の利用集積を支援してまいりました。
 今後、県としては、地域の話し合いにより作成された地域農業マスタープランを基本に据え、地域の中心となる経営体への農地集積を進めたいと考えておりますが、国では来年度から農地中間管理事業を開始することとしておりますことから、この国の新たな制度の活用も図りながら、担い手の経営規模の拡大と効率的な生産の実現に取り組んでいく考えです。
 次に、TPP問題についてでありますが、県では、TPP協定交渉への参加前から、国に対し、十分な情報開示と説明を行うとともに、国益にそぐわない交渉は決して行わないよう要請してまいりました。しかしながら、十分な情報開示等がないまま交渉参加が決定され、年内の妥結に向けて交渉が進められ、また、関税を維持するとしていた米、牛肉・豚肉、乳製品など、いわゆる重要5項目の取り扱いも予断を許さない状況となっております。このため、県としては、北海道東北地方知事会や全国知事会を通じまして、国民的議論を尽くした上で慎重に判断することや、地方の経済活動や国民生活に影響が見込まれる場合には、交渉からの撤退も含め断固たる姿勢で臨むこと、さらに、農林水産業について、再生、強化を図る施策を講ずることなどについて国に対して強く要請してきたところであり、今後ともあらゆる機会を捉えて要請していく考えです。
〇45番(佐々木博君) さまざまな課題を抱える農業問題でありますけれども、一番よくないのは、毎日、新聞を見ていてもころころ変わるくらいの猫の目農政ですよ。本当によくわからないですね。これではやっぱり農業従事者が希望を持って農業経営に取り組めないと思うんです。本当に今おっしゃったとおりでありますけれども、ぜひ本県の農業従事者の思い、さまざまな諸課題をストレートに国にきちんと届けていただけるように一層取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、来年4月から消費税の税率が5%から8%に引き上げられると、地方消費税の税率も1%から1.7%に引き上げられ、さらに平成27年10月1日から消費税率が10%になると、地方消費税率も2.2%となります。平成24年度の決算によると本県の消費税収入は約245億円であることから、本県分として、税率8%の時点で約172億円程度、10%に引き上げられると約290億円の地方消費税の増収と見込んでよろしいか伺います。
 また、地方消費税分が増収になることにより地方交付税が減額されることが想定されますが、今回引き上げられる地方消費税の増収分についてはその使途が明確化されており、社会保障4経費、その他社会保障施策に要する経費以外には充当できません。したがって、地方消費税の増収分の見合いで交付税が減額されるとなると財政の硬直化を招かないか懸念されるのですが、御所見を伺います。
 ところで、地方消費税は、主な地方税の中で人口1人当たりの税収額の格差は最も小さいものの、それでも平成23年度で最大の東京都と最小の奈良県では1.8倍の開きがあり、地方消費税の充実だけでは大都市と地方との格差はますます広がることとなります。財務省の試算によると、税率10%では東京都の消費税収は4、000億円ふえる一方、100億円に満たない県もあるようです。
 そこで政府は、格差解消のため、地方税である法人住民税の一部を国税化し、地方交付税として自治体に再配分することを検討しており、東京都を初め、神奈川県、大阪府、愛知県など大都市圏はこれに強く反発しています。政府は、平成20年度に都道府県間の税収格差を縮めるため、地方法人特別税をつくり、法人事業税の一部を地方法人特別税に振りかえ、大企業が集まる東京都や愛知県の税金を譲与税として地方に再配分していますが、これはあくまで税制の抜本改革が実現するまでの暫定措置だったはずで、それを温存したまま新たな対策を加えるのは筋違いだという主張であります。大都市圏と地方との格差解消のためにはやむを得ないとも思いますが、法人事業税、法人住民税など本来地方税であるものを国税化することは、地方分権の観点からいけば望ましいことではありません。知事は、この問題につきどのようなお考えか御所見を伺います。
 またあわせて、地方分権を尊重し、格差を解消するためにはどのような税制がふさわしいと考えておられるのか伺います。
〇知事(達増拓也君) まず、法人住民税の一部国税化についてでありますが、地方自治は、自分たちが納める税でサービスが賄えることが原則でありますので、そのためには、偏在性のない安定性を備えた地方税体系を構築することが必要であります。その上でなお存在する地方自治体間の財源の不均衡の調整、これは地方交付税制度で対応することが原則であると考えます。
 地方消費税は、主な地方税の中でも地域間の税収の偏在性の小さい税と考えておりますが、今般の消費税増税においては大都市の増収額が大きくなるということで地方との格差がさらに拡大するという問題が生じ、格差是正は重要な課題と認識しております。この格差是正のために、地方財政審議会から法人住民税について交付税原資化する意見が出されているところでありまして、このことによって安定的な財源確保につながるものと理解しております。
〇総務部長(小田島智弥君) 地方消費税の見込みについてでありますが、地方消費税実収入額は、消費動向等が増税後も変化がないものとした粗い試算で平成24年度の地方消費税額から推計いたしますと、議員お見込みのとおり、税率が8%の場合で約244億円から416億円となり、約172億円の増、また、税率が10%の場合で約538億円となり、294億円の増と見込まれるところでございます。
 なお、その2分の1を市町村に対し地方消費税交付金として交付しているため、県としての実収入額は残りの2分の1となるものでございます。
 次に、財政の硬直化への懸念についてでありますが、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から、地方税法等が改正され、消費税率及び地方消費税率が引き上げられることとなったところでございます。本県においても、歳出総額が縮小する中で社会保障関係費が急激な増加傾向にあり、税制改正は社会保障財源の安定的確保に資するものと考えております。
 一方、地方交付税は、地方財政計画の策定及び地方団体ごとの財政需要等の測定を経て決定するものであり、現時点では地方消費税増税が財政の硬直化につながるかどうかを予測することは困難でありますが、議員御指摘のとおり、地方消費税の増税見合いで地方交付税が減少する可能性もあると考えております。このため、税制改正の趣旨にのっとり、社会保障財源が安定的に確保されるとともに本県の財政運営に十分な一般財源総額が確保されるよう、全国知事会を通じて要望を行っているところであります。
〇45番(佐々木博君) この大都市と地方の格差の問題ですけれども、例えば今度の消費税の問題なんかでもそうですけれども、一番問題の根本にあるのは地方交付税です。要するに基準財政需要額から基準財政所要額を引く、その差額が交付税という考えですと、例えば東京都のような場合は初めから交付税がないわけでありますから、消費税が増収になれば全額そのまま丸々使えると。例えば本県のように地方交付税にある程度頼っているところは、ふえればその分減らされるということで、全然大都市と地方の格差の是正にはつながらないと思うんです。そういったことを考えますと、やはりある程度地方交付税自体の抜本的な何か改革をやっていかなければ、いつまでたってもこの差というのは縮まらないように思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
〇総務部長(小田島智弥君) 今回の消費税、地方消費税の増に伴って今まさに議員御指摘のような課題が提示されているところでございまして、今回、その一環といたしまして、法人住民税について交付税原資化の方向性ということが出されたものでございます。こういうふうなことを経まして、やっぱり交付税のあり方ということについてきちんと議論し、修正なり見直しを行っていくべきものと考えているところでございます。
〇45番(佐々木博君) 次に、新地方公会計制度への対応とその活用について伺います。
 現行の官庁会計は単式簿記、現金主義会計で、予算がどのように使われたかを明確に表示でき、現金の収支が主なためシンプルでわかりやすいというメリットはあるものの、ストック情報、特にも建物や道路といった資産の情報が得られない、建物や道路を建設しても、それをコストとして認識できない、貸付金や収入未済に関する不納リスクが見えないなどの欠点が指摘されております。
 そこで、現行の官庁会計では見えにくいストック情報や減価償却費などを含めたフルコスト情報をより精緻に把握し、わかりやすく開示することで行財政の信頼性、透明性を高め、住民や議会に対する説明責任の充実を図るとともに、財務諸表から得られる事業ごとのストック情報、フルコスト情報を行政評価や予算編成に活用し、行財政の効率化や持続可能な財政運営の実現を目指すため、複式簿記、発生主義に基づく新たな公会計制度の導入が全国的に進められております。
 本県においても平成10年度分決算から財務書類を作成しており、平成20年度決算以降は、総務省方式改訂モデルに基づく財務諸表作成要領に示された作成手法により普通会計及び連結財務書類を作成、公表しております。この財務諸表の作成には相当の労力を要しますし、一覧しますと、決算書だけでは不明な県の財政状況を理解することができるのですが、導入の目的である行政評価や予算編成に余り活用されているようにも見えませんし、議会や県民への周知も積極的とは思えません。この財務諸表が庁内でどのように活用されているのかお示し願うとともに、県民や議会に積極的に開示しない理由をお知らせください。
 また、東京都では、決算審査に当たり、官庁会計による決算資料とともに決算参考書として財務諸表も加えて審査しているようですが、目指すべき方向は本県も同じと思います。本県がそうするためには何が課題となるか伺います。
 次に、財務諸表のうち、貸借対照表の長期延滞債権と回収不納見込み額について伺います。
 財務諸表は平成23年度分しかないため、それを前提に伺いますが、長期延滞債権が約182億円で、回収不納見込み額が約51億円計上されています。この主なものは何か。県境不法投棄現場環境再生求償金と森のトレーの返還金が含まれていると思いますが、それぞれ幾ら計上されているのかお知らせください。
 また、財務諸表を俯瞰して、本県財政の課題をどう捉えるか御所見を伺います。
〇総務部長(小田島智弥君) まず、財務諸表の活用と開示についてでありますが、本県では、平成20年度以降、総務省方式改訂モデルにより、普通会計及び連結財務書類を現金主義会計による予算、決算制度を補うものとして作成し、公表しているところであります。
 現在、多くの自治体が採用している総務省方式改訂モデルは、決算統計情報を活用して財務諸表を作成することができる一方、固定資産台帳の整備が必須とされていないことから、貸借対照表の固定資産計上額に精緻さを欠く等の課題が挙げられており、本県においても庁内での活用が十分にはなされていないところであります。この点につきましては、総務省の今後の新地方公会計の推進に関する研究会において検討が進められておりますことから、その状況を注視しながら、引き続き研究してまいりたいと考えています。
 なお、財務諸表の作成については、相当の時間と労力を要するものであり、現在の業務体制においては年度末の取りまとめとなっているところでございます。
 次に、財務書類の決算審査への課題でありますが、財務書類の作成に当たっては、現在、統一的なモデルが存在せず、総務省方式改訂モデル、基準モデル、独自方式等の方法によって各団体が対応しているところでございます。
 東京都におきましては、東京都独自の方式により、官庁会計の処理に連動して自動的に複式簿記、発生主義会計のデータを蓄積できるシステムを整備し、財務諸表を作成しております。一方、本県を初め総務省方式改訂モデルを採用する団体の多くは、個々の取引の複式仕訳によらず、現金主義会計に基づく既存の決算統計情報等を活用して発生主義的な財務諸表を作成し公表しているところであります。
 個々の取引の複式仕訳や適正に評価された固定資産などの情報に基づいて、比較可能で利用者に有用な決算資料を作成し適時に開示するためには、地方公会計の統一的、標準的な基準が整備され、その基準に基づいた資産台帳の整備や財務会計システムの整備などの課題があると考えております。
 先ほども申し上げましたとおり、現在、統一的な会計基準の整備については総務省の研究会で検討が進められておりますことから、引き続き、国の動向を注視し研究してまいりたいと考えております。
 次に、長期延滞債権と回収不能見込み額についてでありますが、長期延滞債権約182億円のうち主なものは、県境産廃不法投棄事案に係る行政代執行費用求償債権に係る歳入未済額が約125億円、森のトレー補助金返還金請求権に係る収入未済額が約15億円、公正取引委員会排除勧告事案に係る損害賠償金が約1億円となっております。また、回収不能見込み額は、長期延滞債権約182億円に過去5年間の不納欠損の平均割合を乗じて算出しており、総額で約51億円となっております。
 次に、本県財政の課題についてでありますが、財務諸表から明らかなとおり、長期延滞債権及び回収不能見込み額が多額となっておりますことから、延滞債権の回収に努めていく必要があると考えております。
 また、これまで多額の県債を発行してきたことにより、住民1人当たりの負債額が133万1、000円と、類似団体平均の123万3、000円と比較しても高い状況にあり、今後、その償還がピークを迎えるところであり、公債費負担の適正化を図るため、本年9月には公債費負担適正化計画を策定し、本計画に基づいて徹底した歳出の見直しを初め、東日本大震災津波からの復旧、復興に支障の出ない範囲での総人件費の抑制や新たな歳入の確保に努めるなど、より効率的な行財政運営に努めていく必要があると認識しているところでございます。
〇45番(佐々木博君) よくバランスシートと言いますけれども、県の貸借対照表を見ますと、アンバランスシートと言いたくなるような、要するに、今おっしゃったとおり貸方の部分の負債が非常に多い。県債発行残高の問題が一方であります。
 一方での借方のいわゆる資産の中の長期延滞債権なわけでありますが、長期延滞債権がある程度発生するのはしようがないと思いますけれども、回収不能見込み額について、5年間の実績でとおっしゃいましたけれども、例えば県税収入なんかであれば、それはもちろんそういった過去の事故率、発生率を見て計上するというのは当たり前だと思いますけれども、例えば今も出ました県境の不法投棄のこの再生資金、これは要するに、5年間の発生見込み額とかそういった問題じゃないと思うんですね。それで平成24年度の決算書では、これは収入未済額が約177億円余になっていると思います。こういったものは、正直言ってほとんど回収不能だと思いますので、それは適時適切に処理するということが私は大切じゃないかと思うんですね。例えば森のトレーなんかも、今15億円とおっしゃいましたから、多分、全額回収不能として見込んでおられると思うんですけれども、これはバランスシートのつくり方としては全く正しいやり方だと思います。私は基本的に何かそういった問題が出たときには、すぐそういった処理をするということが大切なんだと思うんです。
 それはなぜかといいますと、将来世代にわたって、中身がないのに、張子の債権みたいなものをそのまま継いでいくということも間違っているし、それ以上に問題なのは、何か問題があったときすぐ処理をすることによって、仕事と責任ですね、それを明確化するということも大切だと思うんですね。今まで、特に森のトレーもそうですけれども、問題が出てずっと時間がたってから処理云々という話になると、責任の所在がもう不明になっていて、やっぱりこれではだめですから、問題が出たらできるだけ早く速やかに処理をしていく、そういった体制で、これからバランスシートをきちんとつくっていくということが大切だろうと思いますが、この点について御所見を伺いたいと思います。
〇総務部長(小田島智弥君) 回収不能見込み額については、過去5年間の不納欠損の平均割合を乗じて算出しているということで51億円という数字を申し上げましたが、これにはお話のありました森のトレーの関係あるいは県境産廃不法投棄に係るもの等が入ってございます。現在、この森のトレー事案に対する延滞債権、それから県境不法投棄事案に対する延滞債権、これらについては回収に向けて努力を行っているところでございますので、そういう動向なども踏まえながら、また、議員の御指摘も踏まえながら、今後の課題ということで捉えさせていただきたいと思います。
〇45番(佐々木博君) 例えば森のトレーですけれども、回収に向けて努力されているということでありますが、恐らく私はもう回収の見込みはないと思っているんです。最終的にこれが回収できない場合は、しからばどのような処理になるんですか。議会で債権放棄か何かするんでしょうか。その処理の仕方について教えてください。
〇総務部長(小田島智弥君) その手続も含めまして、またそこについては、きちんと議会のほうに説明をしていくことになろうかと思います。
〇45番(佐々木博君) 次に、国民健康保険の広域化について伺います。
 政府は、社会保障制度改革国民会議の国保の保険者を市町村から都道府県に移行させることなどを盛り込んだ報告を受けて、8月21日、法制上の措置の骨子を閣議決定し、現在開会中の臨時国会に法律案を提出しておりますが、これにより、平成29年度末までに国保が都道府県に移管されることとなります。
 高齢化の進行に伴う医療費の増大で、極めて厳しい財政運営が続いている国保制度の抜本見直しは社会保障制度改革の重要課題でありますが、市町村国保の構造的な問題として、年齢構成が高く医療費水準が高いこと、所得水準が低いこと、保険料負担が重いこと、保険料収納率が低下していることなどが挙げられ、その結果、国保を運営する市町村は、赤字を埋めるために一般会計からの繰り入れを常態化し、平成23年度の全国の決算ベースでは、法定外繰り入れは約3、900億円で、うち赤字補填が3、500億円にも上っています。
 そこで伺いますが、本県の市町村国保の決算状況はどのようになっているでしょうか。また、法定外繰り入れを行っている市町村の数と金額をお示しください。
 国が国保を都道府県に移行する目的が、広域化により一つの財布にすることで、都道府県内の財政基盤が強い地域が弱い地域を支える形にする狙いにあることは明らかですが、単に保険者を都道府県に移行するだけでは国保の構造的な問題は解決せず、単なる赤字のつけかえにすぎないと言わざるを得ません。
 都道府県への移行に当たり最大の課題は、国保財政の赤字の穴埋めの財源をどこに求めるかということですが、このことにつき御所見があれば伺います。
 また、市町村単位で異なっている保険料をどのように統一するかということも大きな問題です。厚生労働省は、保険料を都道府県内の平均額に一本化すると、1人当たり平均保険料が最大で年約3万9、000円の値上げになるとの試算を示していますが、現在、県内市町村の保険料の最大格差はどの程度か、また、平均額で一本化すると、最大どの程度高くなると想定されるのか、お示し願います。
 ほかにも、保険料の賦課徴収や保健事業の担い手を市町村とするか否か、滞納分や未収分の対応をどうするか、被保険者の適用や資格についての管理はどこが担うのか、給付事務を担うのは県か市町村かといったさまざまな検討課題があると思われますが、県はこれらの諸課題をどう捉え、国に対してどう訴えていこうとされるのか、御所見を伺います。
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、市町村国保の決算状況等についてでありますが、県内市町村国保における平成24年度の決算は、収入合計額が約1、517億円、支出合計額が約1、471億円で、収支差引額が約46億円となっております。また、平成24年度決算において、一般会計から法定外繰り入れを行っている市町村は10市町村であり、繰入金の合計額は約12億6、000万円となっております。
 次に、国保財政の赤字と穴埋めの財源についてでありますが、国保の財政上の構造的な問題を解決するため、国では、低所得者が多く加入する市町村国保への財政支援の拡充―約1、700億円と言っておりますが―のほか、国民会議で議論された後期高齢者支援金の算定方法の見直しに伴う財源、これについては、現行の加入者割と総報酬割の併用から全面総報酬割にするということで、約2、300億円の国保への投入ということを検討していると伺っております。
 県では、これらの財源を含め、今後も持続可能な制度を構築するため、国保の財政基盤の確立及び今後とも赤字を生み出さずに運営するための財源を、国の責任において確保することが必要と考えているところでございます。
 次に、県内市町村の保険料の格差についてでありますが、平成24年度における県内市町村1人当たりの保険税の最高額が8万4、347円、東日本大震災津波による保険税の減免を行っている市町村を除いて最低額が5万4、259円となっておりまして、約1.55倍の格差となっております。また、県内平均1人当たりの保険税は7万188円で、仮に県内の平均保険税に統一する場合、最大で1万5、929円の増額となるところでございます。
 次に、広域化の諸課題に係る所見でありますが、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆるプログラム法案でございますが、国保では、国保が抱える財政上の構造的な問題を解決することとした上で、都道府県が財政運営を担うことを基本としつつ、保険料の賦課徴収、保健事業の実施等に関する市町村の役割が積極的に果たされるよう、都道府県と市町村との適切な役割分担について検討し、必要な措置を講ずることとされております。
 県では、国保の広域化については、国保の財政上の構造問題の解決や、安定的に運営するための財源の確保、国保運営に関する業務の都道府県と市町村の役割分担のあり方などが課題であり、国が責任を持って解決すべきものと認識しているところでございます。
 国では、今後、地方団体と十分協議を行うこととしており、県としては、これらの課題の解決に向け、全国知事会などを通じて国に働きかけてまいります。
〇45番(佐々木博君) 時間がなくなってまいりましたので、一つ飛ばしまして岩手競馬について伺います。
 震災により甚大な被害をこうむった岩手競馬ですが、JRAや地方競馬全国協会等の支援もあり、経営も安定しつつあるように見受けられます。本年度はまだ終了はしていませんが、当初計画を16.2%上回る211億円の発売収入が見込まれ、オーロビジョンとアトリウムの設備更新に発売収入から9、000万円計上しても黒字の確保ができる見通しで、関係者の御努力に敬意を表する次第であります。
 競馬組合の最大の課題は、申すまでもなく、競馬事業の継続と、構成団体から受けた330億円の巨額融資の返済にあります。返済については、1億円以上の利益が出るのなら、元金返済ルールに従って元本を返済すべきだとする意見もあります。しかしながら、まだまだ薄氷を踏むような経営が続き、元本返済に踏み出せる状況にはないと思いますが、管理者でもある知事の御所見を伺います。
 競馬組合の現在の課題を挙げると、構成団体である県から8名、奥州市と盛岡市から各2名、合計12名の職員が出向しており、その人件費は全て構成団体が負担だということです。本来、自前で負担すべき人件費を肩代わりしてもらっているのですから、自立した経営とは言えないのではないか。また、平成22年度より、地全協の第1号交付金の支払い猶予を受けていますが、平成27年度から、本来の交付金と合わせて10年間で均等交付しなければならず、大きな経営の圧迫要因とならないか。さらに、組合のプロパー職員が、55歳以上の退職勧奨と退職者不補充により毎年減少、平成17年度には38名だったものが本年度は16名まで減少しており、構成団体からの出向者なくして経営が維持できなくなるのではないか。加えて、出向者とプロパー職員とでは、給料や期末手当など待遇に差があることから、ベクトルを合わせて業務遂行できるのかなどといったことが挙げられますが、これら諸課題に対する管理者でもある知事の見解を求めます。
 ところで、競馬事業の今後を見通すと、その根幹をなすJRAですら売り上げが落ち込み、回復の兆しは見えておりません。私は、岩手競馬も、将来、売り上げの大きな伸びは期待できず、したがって、毎年何億円もの返済を期待するのは無理と考えます。
 企業再生は、業務のリストラと財務負担の軽減の両面で行わないと成功しないと言われ、リストラに合わせて、債権放棄や増資などの財務のてこ入れが行われるのが通例ですが、岩手競馬では、業務のリストラはともかく、財務負担の軽減は行われておらず、借入先が銀行から構成団体にかわっただけとも言えます。過大な債務は関係者のモチベーションを低下させるだけです。民間ベースで見れば、構成団体の債権は相当額の貸倒引当金が必要な債権と評価されるべきものであります。
 この際、今後の岩手競馬の収益力をよく見きわめ、県融資分に限ってでも相当額の債権放棄も視野に入れて検討すべきだと思いますが、知事の英断を期待して御所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) まず、元本返済についてでありますが、平成24年度で6年連続の収支均衡が達成でき、平成25年度においても、これまで発売額は当初計画を上回って推移しておりますが、現在、競馬組合は東日本大震災津波により被災したことなどから、事業収支改善計画を策定して、農林水産大臣の同意を得て、地方競馬全国協会の1号交付金の支払い猶予を受けているような状況にございます。低コスト経営体質の構造転換や発売体制の充実強化等に取り組んでいるところでございまして、まずは、1号交付金支払い猶予期間が終了して、支払いが再開される平成27年度に向けて経営体質の改善に取り組み、安定的な事業運営を実現していくということが重要と認識しております。
 次に、競馬組合の人件費等の課題についてでありますが、県、奥州市及び盛岡市は、競馬組合に職員を駐在させていますが、その人件費は、構成団体として競馬組合の経営状況に対応するために必要な人員配置に伴うものであり、競馬組合の経営改善に積極的にかかわっていくことが構成団体としての役割と考えております。
 支払い猶予を受けている地方競馬全国協会の1号交付金について、平成27年度から猶予分の追加交付が開始されますので、低コスト経営体質への構造転換や発売体制の充実強化等を進めるとともに、収支状況を勘案しながら、可能な限り財政調整基金への積み立てを行って、後年度の負担軽減を図ることとしております。
 競馬組合の人員体制について、競馬組合の経営状況に対応するため必要な人員を構成団体が支援しておりますが、安定した競馬事業の継続のためには、将来的には、計画的な職員採用について検討する必要があると認識しております。
 給与差のある構成団体職員と競馬組合職員での業務遂行については、構成団体職員と競馬組合職員は、相互に協力しながら競馬事業継続のため努力しており、業務遂行上、特段の問題は生じていないと認識をしております。
 構成団体融資の債権放棄についてでありますが、競馬組合に対する構成団体融資は、岩手競馬の再生のため、競馬組合が策定した新しい岩手県競馬組合改革計画を踏まえながら、県、奥州市、盛岡市の各議会で慎重審議の上、構成団体からの融資が実行されているものと承知しております。
 現在の競馬組合の運営状況から見ますと、構成団体融資を直ちに返済していくことは困難と考えられますが、融資実行に至るまでの経過や構成団体が一体となって競馬組合を支援していることを踏まえますと、競馬組合は、引き続き経営体質の構造転換等に取り組んで構成団体融資の返済に踏み出すことができるよう、最善の努力を傾注すべきと認識しております。
〇45番(佐々木博君) 競馬組合は6年連続黒字とおっしゃいましたけれども、黒字にせざるを得ないわけですね。収支均衡でなければやめなきゃいけないわけですから。ですから、私に言わせれば、黒字につくっている決算だと。ただし、今年度は、正真正銘の黒字になったと評価はしているところであります。
 それで、今、待遇が違うことについて、一緒に力を合わせてやっているから問題ないという認識でしたけれども、通常、やはり待遇が違う人が一緒になっていれば、なかなかベクトルを合わせながらやっていくというのは私は難しいと思います。ですから、この解消は優先的にやっていかなければいけない課題だということを強く訴えておきたいと思います。
 それから債権の問題です。通常、民間企業であれば、100年かかっても返済できるかできないような債権は、会計監査法人が相当の貸倒引当金でも積まない限り認めませんよ。ですから、私は、そういった常識に合わせてもいいんじゃないかと思っているんですね。なぜかといいますと、競馬事業は、もし存続することによって収益が上がってくれば、債権返済という形じゃなくても、収益分配という形で構成団体に貢献できるわけですね。ですから、どっちみち、どういった形にしろ、競馬事業がある程度順調になってくれば、構成団体にそういった恩恵があるということであるならば、むしろ債権を放棄して、職員のモチベーションを高めたほうがいいのではないか。
 加えてもう一つ言いますと、今は法律上のいろいろな規制もありますけれども、競馬事業が民間委託でもやれるようにもしなったとした場合、こんな過大債務があったら、受ける民間企業はありません。幾らかでも債務を減らしておいたほうが、民間で手を挙げるところが出てくる可能性もある。そういった点でも、私はぜひ、このことも視野に入れて検討すべきではないかと思いますが、もう一度御所見を伺いたい。
〇知事(達増拓也君) 岩手県競馬組合議会のほうでは、むしろ6年連続黒字なのだから債務の返済ができないかという質問もある状況でございまして、今の段階で、この債権放棄ということを決められる状況にはないと考えております。
〇45番(佐々木博君) この問題はもっと大きな問題だと思いますけれども、後回しにしまして、時間がないですから最後に知事に伺います。
 知事は、政治家としての顔と行政の長としての顔と二つの顔があるのだと。政治家としては自由にやらせていただくが、行政の長としては公平性を旨とすると、よくおっしゃっておられる。
 そこで伺いますが、政治家と行政職の違いを知事はどう捉えているか、御所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) まず、行政職としての知事は、地方自治法で規定されている普通地方公共団体の長でありまして、各種法令等に基づいて適正に事務を執行する義務と責任が課されている、そういう存在でございます。
 政治家としての知事は、近代民主主義国家におきましては、憲法が保障する政治的自由に基づいて、政治的理想を目指して政治的活動を行う存在であると考えます。
一方、最近、私は、あまちゃんファンあるいはあまちゃん評論家として、岩手県民や県外の方々と交流したり意見交換をする機会が大いにふえるなどしておりまして、政治でも行政でもない、いわば社会的存在としての知事という立場も重要であるというふうに最近感じているところでございます。
〇45番(佐々木博君) なかなかおもしろい答弁だとは思ったんですが、私は、政治家は、やはり自分の理想とか希望を語って、住民、有権者に夢を与えるということが大きな部分だと思うんですね。行政は、今おっしゃったとおり、法律、条例に従って執行するのが行政であります。政治は、場合によっては法律をつくったり変えたり、条例をつくったり変えたりすることによって自分の理想を追い求めることができる。そして住民に夢を持ってもらう。このことが、行政と政治の一番違う点だと思います。そういった点では、ぜひとも残された任期、政治家として大いに自分の理想を語っていただいて、住民に復興に対する夢を与えるような、そうした仕事をぜひ精励してやっていただきたい。そのことを申し上げまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〇議長(千葉伝君) この際、暫時休憩します。
   午後2時29分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
25  番 喜 多 正 敏 君
26  番 工 藤 大 輔 君
27  番 熊 谷   泉 君
28  番 嵯 峨 壱 朗 君
29  番 工 藤 勝 子 君
30  番 工 藤 勝 博 君
31  番 高 橋 昌 造 君
32  番 五日市   王 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
24  番 小 西 和 子 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時48分 再開
〇議長(千葉伝君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。樋下正信君。
   〔41番樋下正信君登壇〕(拍手)

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