平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(清水恭一君) 無所属の清水恭一でございます。
 県議会議員として2回目の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
 はかり知れない傷跡を残したあの災禍から、早いもので2年を迎えようとしております。本県においてもその被害の爪跡は被災地に深く刻まれたままであり、いまだ多くの被災者が心に癒やし切れない傷を負ったまま春まだ遠い寒さの中でたたずんでおられ、仮設住宅などでの困難な生活を余儀なくされています。また、生活再建や瓦れき処理、原子力発電所事故の影響など多くの課題が山積いたしております。引き続き県の総力を挙げ、被災市町村を強力に推進していかなければなりません。
 今次定例会の前に、高田高等学校音楽部の合唱ミニコンサートがこの議事堂で開催されました。勇気100%や坂道のうた、ふるさとはここだけ、ほかのどこでもないから。14人の部員の皆さんの歌声に心が洗われ、大きな元気と勇気をいただきました。会場にいる全員が決意を新たに一生懸命に頑張ろうと思ったことでしょう。
 その後、この第9回県議会定例会が開催され、達増知事の所信表明がされたわけですが、残念ながら知事の決意が私には感じられませんでした。県民誰もが笑顔になれるよう復興を全力で推進する、かけ声だけではなく、本当に現場で必死に立っている被災者の心に届くようにしっかりと伝えていただきたい。お願いします。
 それでは、順に質問させていただきます。
 被災企業等の再建支援の強化についてお伺いします。
 震災から2年を経ても生計のめどが立たない中小商店経営者は多く、いまだ厳しい生活を送っております。それだけに、再興を進め、再建につなげていくことは切実な要求であります。救援、復旧、復興、補償の全てにわたる問題で、県の役割を十分に発揮していくことが求められています。その軸が定まることによって、地域で奮闘する人々の力を引き出し、希望を開いていくことができるのではないでしょうか。
 今、盛り土や災害復興住宅の着工等、復興へのつち音が聞こえ出し、区画整理事業、防災集団移転促進事業等が進展していくに従い、店舗、工場等産業施設の整備も進むと見込まれるところであります。その中で、定住の基盤となる産業施設整備のスピードを速めるため、不動産取得税の減免措置の拡充を国に要望するとともに、再建費用の借り入れに係る金利の補給等、支援が必要と考えますが、県の御所見をお伺いします。
 次に、自立再建が困難な商業者対策についてお伺いします。
 震災前からの販路を失い、事業が立ち行かないなどさまざまな困難に直面しながら、必死で仮設店舗等で営業を再開しても、店の売り上げは、震災前の半分にも3割にも満たない厳しい現実であります。自立再建が困難な商業者対策として、テナント入居できる商業施設の公設整備などによる支援や再建を支える商工会等、流失した指導施設の早急な整備が必要と考えますが、県の御所見を伺います。
 次に、商店街等活性化支援の強化対策についてお伺いします。
 大型商業施設の進出や消費者ニーズの多様化、経営者の高齢化、後継者難、さらには震災等内外の課題により、商店街は衰退傾向に歯どめがかからない状況になっています。このような状況にあっても、商店街は地域との生活、文化の継承等に果たす役割が大きく、地域コミュニティの担い手としての役割が一層求められております。空き店舗活用や買い物弱者対策等、地域コミュニティ維持活動に係る事業費補助が必要であると考えますが、県の御所見をお伺いします。
 加えて、商店街の再生には推進する人財が必要であり、リーダーシップはもとより、経営基盤の強い事業者、商業人財育成強化が必要であると思いますが、県のお考えはいかがでしょうか。
 また、商工会等の中小企業支援機関は国や県の施策の推進に重要な役割を担っていると言えますが、近年、商工業者の減少や震災等により収入の減少が進み、震災からの経営再建や改善等の支援活動に支障を来していることから、人件費補助の拡充等を強化すべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、小規模企業者への支援を位置づける小規模企業基本法の法制化について、全国の商工会が連携し法制化のための運動を展開しているところであり、県においても政府に働きかけるべきと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
 加えて、中小企業金融円滑化法がこの3月で終了するということに伴い、中小企業の資金繰り悪化が懸念されております。制度を利用した中小企業の調査などでは、資金繰りが非常につらくなる、現状は極めて厳しく、県として引き続きしっかりと対策をとっていただきたいと考えますが、御所見を伺います。
 過疎対策の推進についてお伺いします。
 多様な対策にもかかわらず人口減少が続いており、山村を中心に、過疎、高齢化で65歳以上の方が半数をはるかに超え、自治会活動や住民同士の助け合いが困難になっています。中山間地域集落の現場に立つと、大変厳しさを感じます。限界集落とはまだ呼ばれていない集落にしても、現在の過疎、高齢化から反転して人口増加や若者化に戻る可能性をほとんど見出せないのでありますから、中山間地域の多くの集落が既に限界集落になっているとも言えます。
 私の住む岩手県北沿岸地域でも3人に2人が高齢者で、共同作業や地域の小さな祭り行事などが維持できなくなっております。1960年代までは、林業が栄え、農林業を営みながら暮らしてきましたが、木材価格低迷で衰退、子供たち跡継ぎ世代は職を求めて集落を出ていく、地域に雑貨屋が1カ所あるだけ、地域の小学校は閉校した、中心部の診療所や役場まで町や村のバスが朝夕1往復だけなど、大変な現実であります。
 何とか過疎化に歯どめをかけて地域を活性化しようと過疎の市町村は知恵を振り絞って対策を講じているわけですが、厳しい状況にあります。大震災津波で甚大な被害を受けた沿岸地域も、過疎とともに人口流出が急速に進んでおります。県として、この厳しい現状を踏まえ、実効性のある活性化対策を講じていただきたい。対策をお示しください。
 情報化の推進についてお伺いします。
 広大な県土を有する岩手県においては、災害からの住民の生命、財産を守り、地震、津波、豪雨などの自然災害等に対し迅速かつ的確に対応するため、県と市町村の通報連絡体制を強化し、地域の情報ネットワークを積極的に進めておりますが、全ての県民が平等に情報推進技術を活用し、その恩恵を享受できる社会を実現することが重要な課題であります。情報格差、通信格差の是正や、住民サービスの向上のため、総合的な地域情報化を推進していただきたい。
 地上デジタル放送移行後、テレビが視聴できない条件不利地域等の世帯に対しては万全な措置を講ずるとともに、光ファイバーによる超高速インターネットサービスが受けられない地域への早期の開設や、災害に強い中継局の増設については強力に関係機関に働きかけるとともに、必要な補助制度も創設してはいかがでしょうか。また、非常時や災害時に有効的情報収集手段となるラジオの難聴地域の解消対策を速やかに推進していただきたい。
 県北と県南地区との格差是正あるいは県北・沿岸振興と言われて久しいわけですが、久慈広域や沿岸地域には高速道路もインターチェンジも新幹線もありません。また、県の施設などは極めて少なく、その上、この高度情報化社会の中でも、そのインフラ整備はいつも後回しであります。地理的条件も悪く、不便なところに生まれた子や孫たちの世代にせめて情報格差社会だけは感じさせたくない、農山漁村に住む親たちの切なる願いであります。県民ひとしく利用できる高速情報ネットワークなどの整備を進めるべきだと思いますが、所見を伺います。
 次に、教育環境の整備促進についてお伺いします。
 21世紀を切り開く、心豊かでたくましい子供の育成を目指すため、それぞれの多様な個性を尊重し、生かし、育てる教育環境を整備し、社会全体の活性化を図っていくことが重要であります。いじめ、不登校、暴力行為など個々のケースに対応し、児童生徒に心のゆとりを持てる環境を提供できるよう、スクールカウンセラー等の配置対策を一層推進するなど柔軟な支援措置を講じていただきたいと考えますが、御所見をお伺いします。
 また、教職員の配置の充実についてですが、近年、年度末になると閉校式の案内が届きます。児童減少に伴う再編や統合によるもので、大変に寂しくありますが、このような教育環境の中で、県教育委員会として他県に先駆けて少人数学級の拡大を進めたことに敬意を表します。引き続き地域事情に応じた小中にわたる少人数教育を一層推進するとともに、小規模な学校や複式学級を有する学校に対しても教職員の配置を充実させることが大切だと考えますが、県のお考えはいかがでしょうか。
 また、校舎等の解体費に対する助成についてでありますが、統合により既に廃校や休校となっている極めて古い校舎等の解体費に対する補助制度創設を国に働きかけるとともに、県独自の財政措置を講ずることも必要と考えますが、御所見を伺います。
 農業、農村対策の推進についてお伺いします。
 県では、総合食料供給基地として、生産性の高い農業の確立に努めてきたところでありますが、農業、農村を取り巻く環境は、担い手の減少、耕作放棄地の増加という長期的な衰退傾向に歯どめがかからず、深刻さが年々強まっています。市町村が行う新規就農者への支援事業に対する助成措置を拡大するなど、新たな担い手の確保、育成対策を強力に推進することが必要であると考えますが、県の御所見をお伺いします。
 また、地産地消の取り組みについて、地域や企業等との協働による県産食材の利用拡大など努力されておりますが、さらに取り組みを強化、推進することが必要であると考えますが、御所見を伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、6次産業化による起業について、県は、農商工連携の推進、安全・安心で高品質な農林水産物のブランド化などにより農林水産業の高付加価値化を図り、販路拡大に積極的に取り組んでおります。今後もさまざまな工夫や取り組みが6次化による起業として各地で展開されれば、住民の意識を変えることになり、被災地の復興への大きな手がかりとなることを期待するものであります。県の御所見をお伺いします。
 次に、風評被害対策についてお伺いします。
 放射性物質による汚染の影響で、シイタケなどは出荷できなくなり、牛肉など多くの県産品が風評被害の前で苦しんでおります。消費者からの信頼の回復に向けて、食の安全を民から発信する、民の力を活用することも大事なのではないでしょうか。県など行政だけではなく、消費者や主婦の団体など台所に近いところにいる人たちに岩手の農産物を評価してもらい、その結果を全国に発信する、あるいは、被災が大きい3県で食安心安全推進部隊のようなPRキャラバン隊を設けて組織的に展開したらどうでしょう。幾ら高品質で安全な農産物をつくっても、売れないのでは農家は心が折れてしまいます。県や市町村、農家の懸命な努力や徹底した放射性物質の検査で少しだけ光が見えてきたかもしれませんが、確かな希望を農家の皆さんへ示していただきたいと考えます。風評被害に対してどのように取り組まれるのかお伺いします。
 森林、林業、山村対策の振興についてお伺いします。
 豊富な森林資源を有する本県においては、長期的展望に立った森林の整備、木材産業の活性化による地域振興を図ることが重要な課題となっておりますが、高齢化や林業従事者の減少、間伐のおくれなど、森林、林業、山村を取り巻く環境は極めて厳しい現状にあります。東日本大震災により多くの木材加工、流通施設が甚大な被害を受け、震災からの復旧、復興のため、ますます地域の木材を活用する加工体制の再生が重要となります。予定されている公営住宅も、可能な限り高齢者に配慮して、海や中山間地の原風景に調和した、全て地元の木材を活用し、地元の大工が建てる地域循環型の住まいを建築していただきたいと考えます。
 森の循環に取り組むためにも、新たな木材需要が被災地の農林水産業という資源を見直し、復興への力にもなっていくのではないでしょうか。林業振興の中で滞っていた循環を被災地で広げていくことが県の林業振興へつながる。決意をお伺いします。
 次に、松くい虫被害と防除対策についてお伺いします。
 1971年に日本で初めて発表されて以来、松くい虫被害対策特別措置法などに基づき被害防止対策の徹底を図ってきたにもかかわらず、被害は年々拡大し、現在は北海道を除く日本全土に蔓延し、2011年度の全国の被害材積量は65万立方メートルと膨大な量に達し、これら被害木の大部分は、再利用されることなく林内に放置されている現状であります。
 2009年には盛岡市で確認され、駆除を実施してきましたが、今後も被害の拡大が懸念され、県は、被害を受けた松の木を全量駆除することと防除監視帯を拡大する方針を示し、盛岡市と隣接する滝沢村の松林も追加、早期駆除を徹底するとしているわけですが、さらに拡大を続けると、北上山地にある大切な資源、天然キノコ、マツタケなど山の恵みも危機に直面することになるわけで、県内の松林が壊滅してしまうのではないかと住民も不安になっております。早期駆除への強力な取り組みをお示し願います。
 観光産業の復興についてお伺いします。
 東日本大震災津波によりかつてない大きな被害を受けるとともに、改めて命のとうとさやきずなの大切さを思い知ることになりました。今、日本の各地では、地震がいつ、どこで起きるかわからない危機に立たされています。
 そうした中で岩手は、震災の経験を役立てるさまざまな活動に取り組んでいかなければなりません。被災地だから伝えられることがあります。まちを見て、歩いて、実際に生活する人々の口から震災や復興の経験を生の声で聞き、みずから体験、発言することは、展示や映像を見るだけでは得られない貴重な体験です。大きな被害を受け、復興を遂げたまちと、そこに暮らす人々のエネルギーを肌で感じることができる防災グリーンツーリズムに取り組むべきと考えます。ここ岩手に震災学習の生きた教材があります。
 また、三陸海岸の地質遺産の保存、活用を目指す三陸ジオパーク構想、エリアは、本県沿岸部の13市町村に八戸市、階上町、気仙沼市が加わり、日本最大級のジオパークになる見込みであります。
 環境省は、防災教育に活用してもらおうと、津波の被害に遭った施設の一部を災害遺構として保存する方針であります。沿岸沿いを結ぶ長距離歩道─東北海岸トレールを整備する計画は、津波の痕跡や脅威を実感できる場所を通るよう配慮する方針を示しました。課題は、受け入れ環境整備です。沿岸部を走るJRや三陸鉄道の一部路線はいまだに復旧しておらず、また、宿泊施設がない地域もあり、観光客を受け入れるためのインフラ整備を求める声が強まっています。
 観光も近年大きく変わってきています。観光する側の意識の高度化に伴って、中途半端に都会生活に近づいた農山漁村の生活文化を提供するだけでは誰も喜ばなくなっています。本物の伝統的な田舎の生活や、農村、漁村からより質の高い体験と学習を求める人々のニーズは多くなっています。また、農山漁村地域において観光的な価値があるのは農業や漁業が存続していくことが前提であり、農業や漁業の成り立つ形の中において観光が成立し、維持、再生に貢献できるのではないかと考えます。
 沿岸地域の観光資源の早期復旧、復興を実現し、津波、防災等の研究、学習拠点や、ジオパーク、防災ツーリズムなど新たな魅力を付加した三陸沿岸観光の振興が復興に向けて果たす役割は大きいと言えますが、県としての取り組み姿勢をお示しください。
 最後に、エネルギー対策の推進についてお伺いします。
 再生可能エネルギー先進国のデンマークは、早くから原発を保有しないことを決め、地球温暖化防止のための温室効果ガス排出削減目標についても世界に先駆けて発表しました。私も、あの地域暖房用熱プラントを見せていただいたとき、日本ではもっと恵まれた資源があるのに、放置されていると改めて考えさせられました。私たちの岩手には活用できていない豊富な森林資源があり、休耕地でのエネルギー作物の栽培や、より多くの新たなバイオマス資源を生産できる可能性があります。山岳、森林の多い岩手は、水力資源も豊富です。また、全国2番目の地熱のポテンシャルがあると言われております。岩手県を再生可能エネルギー中心の社会にすることは可能だということです。将来のエネルギー需要を賄うために必要な資源は十分に存在します。その普及において、市民参加を重視し、県民主導の再生可能エネルギー普及を推進すれば、社会にさまざまな好影響がもたらされ、持続可能な社会への発展にもつながるのであります。
 被災地の復興においても、再生可能エネルギー利用の推進を取り入れることが有効であります。新たなコミュニティづくりにおいても、再生可能エネルギー100%地域のモデルづくりのような希望を持ったものにしたいものです。エネルギーの安定供給や、環境と調和した需給構造の構築に向けて、市町村が再生可能エネルギーを積極的に導入、推進することができるように支援措置をお示しいただきたい。
 また、大規模な災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制構築に向けた技術検証など、スマートコミュニティ形成への取り組みについて国に働きかけることなど、今こそ原発に依存しない再生可能エネルギー政策への転換を実現しましょう。それはまさに海と大地とともに生きるふるさと岩手の創造であり、希望郷いわての未来世代に対する責務も果たす取り組みではないでしょうか。県の今後のお取り組み、お考えをお示し願います。
 以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 清水恭一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、中小企業に対する県の支援についてでありますが、国では、金融機関に対して、中小企業金融円滑化法終了後も貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるとともに、貸付先の事業再生支援に一層取り組むよう求めています。
 県としても、金融機関のトップが参画する関係機関連携対策会議を平成24年12月に開催し、中小企業者への円滑な資金供給や再生支援など適切な対応を要請するとともに、平成25年2月に同様の趣旨の文書を発出して、改めて協力を求めました。
 また、具体の対応としては、平成24年12月に中小企業経営安定資金に信用保証料を引き下げた経営力強化対策枠を新たに設け融資制度を拡充したほか、今月から資金繰りや経営改善に関する相談窓口を開設して対応しています。これらの対策を周知し、中小企業者に積極的な活用を促して、資金繰りの円滑化が図られるよう取り組んでまいります。
 次に、過疎対策の推進についてでありますが、本県においては、ここ数年、人口の社会減が減ってきているものの、依然として転出者が転入者を上回っており、地域経済の規模縮小や若年層の減少による活力の低下、地域コミュニティの維持が困難になることなどが危惧されており、過疎地域においては、こうした傾向が一層顕著であります。
 このような現状を踏まえ、過疎市町村においては、情報通信基盤など社会インフラの整備を推進するとともに、地域の資源を生かし、特産品開発や体験交流事業の実施などにより、個性豊かな地域として積極的に情報発信し、雇用の場の創出や定住、交流に取り組む事例がふえています。
 一方、国の過疎対策においては、平成22年度に、いわゆる過疎法の改正によってソフト事業も過疎対策事業債の対象となったところであり、また、国の緊急経済対策の一環として、過疎集落のハード、ソフト両面の総合的な取り組みに対する支援事業が開始されました。
 県においては、こうした国の事業も積極的に活用しながら、過疎地域のそれぞれの課題解決に向けて市町村と十分連携し、地域関係者との意見交換や情報提供、具体的な事業の提案などを行うとともに、地域の個性や特色を生かした、その地域ならではの価値を高める取り組みを効果的に支援してまいります。
 次に、観光産業の復興についてでありますが、県では、沿岸地域の観光客受け入れの基盤となる宿泊施設など観光関連事業の早期復旧のため、グループ補助金や県単補助金により事業再開を支援してきており、宿泊施設については、これまで収容人員ベースで8割弱まで回復してきています。
 また、三陸鉄道は、平成26年4月の全線開通を目指し復旧が進められているところであり、JR山田線、大船渡線についても、復旧の方針が示されるよう、引き続き沿線市町村等と連携し、取り組んでまいります。
 これらのインフラ整備を進めつつ、国内外から多くの方々に被災地を訪れていただくことが、経済的な効果はもとより、現状を広く知っていただき、震災の風化を防ぐという意味でも非常に重要なものと認識しており、こうした認識のもと、これまで内陸と沿岸地域を結ぶ二次交通の充実による回遊の促進などに取り組んでまいりました。今後は、震災学習を中心とした教育旅行の誘致を沿岸観光の新たな柱とするための震災語り部ガイドのネットワーク化やスキルアップ、三陸復興国立公園や三陸ジオパーク、震災復興祈念公園などの構想の具体化を踏まえた観光地づくり、さらには県北・沿岸地域を重点誘客ポイントに据えたいわてデスティネーションキャンペーン後の大型観光キャンペーンなどにより、沿岸地域の本格的な観光産業の復興を図ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、店舗、工場等の再建に伴う附帯費用の軽減措置についてでありますが、不動産取得税の減免につきましては、震災により滅失、損壊した建物や土地にかわる不動産を取得した場合においては、被災した建物の床面積や土地面積相当分を課税しない特例措置を講じております。また、復興特区法に基づき指定された区域で事業を行うために建物や土地を取得した場合、不動産取得税を免除できる措置を講じており、負担軽減を図っているところでございます。
 再建費用の負担軽減につきましては、県では利子補給を行っておりませんが、事業者が再建のために県の融資制度を利用する場合、信用保証料を全額補給し、負担軽減を図るほか、市町村によっては利子補給を行っているところでございます。
 県といたしましては、今後、国の税制改正の動向も注視していくほか、税制上の特例措置や保証料補給など、事業者にとって負担軽減となる制度を市町村と連携して周知を図り、積極的な活用を促すなど、被災企業の再建を支援してまいります。
 次に、自立再建の困難な商業者対策についてでありますが、県では、来年度、グループ補助金を拡充し、共同店舗の新設も対象とすることから、その中にテナントとして入居でき、さらに長期、無利子の高度化資金を活用することで、初期投資を抑えることが可能となります。このような商業者のグループ組成や事業計画づくりが円滑に進むよう、専門家の派遣を支援してまいります。
 また、多くの商工会館は、国の復旧整備に係る支援策を活用して再建しているところですが、土地利用の関係から、いまだ再建できない商工会館については、新たなまちづくり計画との整合を図りながら整備されるべきものと考えており、計画が具体化する時期に合わせて同様の支援策が活用できるよう、国に対して、その継続を要望してまいります。
 次に、商店街等活性化支援の強化対策についてでありますが、今般、いわて希望ファンドの対象を拡大し、小規模商店街での活用も可能としたところです。このファンドにより、空き店舗を活用したチャレンジショップの導入や移動販売による買い物弱者対策、また、商店主のカルチャー教室による地域コミュニティの維持などに幅広く支援できることから、意欲ある商店街に働きかけて積極的な活用を促進してまいります。
 また、商業人材の育成につきましては、魅力あるお店づくりを通して商店街の活性化につなげるべく、改善意欲のある商店に専門家を派遣して、接遇や販促活動、経営力の向上を支援することとしております。
 次に、商工団体への支援の強化についてでありますが、商工団体への人件費については、小規模事業経営支援事業費補助金により活動経費とともに補助しているところですが、被災直後には、被災地に所在する商工団体にあっては、事業者への相談、指導件数が集中したことから補助金を傾斜的に配分したほか、事業者の復旧状況などの動向を把握するために支援スタッフを新たに配置するなど、活動の支援をしてきたところでございます。
 また、この補助金に加え、今年度は、被災企業の事業再建のため、商工団体などの支援機関が連携して重層的な支援事業を行っており、商工会連合会に新たに専門系指導員を増員したところです。来年度は、所要の人件費を確保するとともに、被災した商工会議所地区に経営支援スタッフを新設するなど、重層的支援事業を拡充し、商工団体への支援を強化してまいります。
 次に、小規模企業基本法の法制化についてでありますが、本県における中小企業は、企業数、従業員数ともに全国の割合より高く、本県の地域経済を支える重要な役割を担っており、県では、いわて県民計画第2期アクションプランに中小企業の経営力の向上を政策項目として掲げ、商工団体による経営改善や円滑な資金繰りなどの支援を行ってきているところでございます。
 こうした中、全国商工会連合会で小規模企業基本法の制定に向けて国への要望活動を行っており、現在、その具体的な内容などを検討中とのことであり、県といたしましては、全国団体や国の動向を注視し、情報収集をしてまいります。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) 地域情報化の推進についてでありますが、光ファイバーや携帯電話等の情報通信基盤の整備は通信事業者が主体的に行うものであることから、大きな利益が見込める都市部においては先行して整備が進み、さまざまなサービスが提供される一方で、採算面を理由に整備が進まない地域も生じております。そのような条件不利地域においては、市町村が国の補助金等を活用して、光ファイバーの全域整備や携帯電話基地局の整備等を進めてきたところであり、ADSLを含めた本県のブロードバンド加入可能世帯率は今年度末に100%に達する見込みとなっております。
 しかし、県内には、伝送速度がより高速な超高速ブロードバンドを利用できない世帯や、日常生活において携帯電話が圏外となる地域がまだ存在していることから、県といたしましては、通信事業者による主体的な整備が進むよう、通信事業者に対して情報通信基盤の一層の整備推進を働きかけるとともに、国に対して、条件不利地域における通信事業者の設備投資を促進する支援制度の拡充や、通信事業者を事業主体とする補助制度の創設、ユニバーサルサービス制度の適用等について要望しております。
 また、市町村に対し、国の補助金や地方債の活用による計画的な整備について働きかけるとともに、市町村の負担を軽減するため、国に対して、設備の維持管理運営費や設備更新費を支援する制度の創設について要望しているところであります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、担い手の確保、育成対策についてでありますが、新規就農に当たりましては、農業技術の習得、経営の早期安定による所得の確保が特に重要な課題と考えており、県では、国庫補助を活用した就農給付金の給付のほか、就農相談会や実践技術習得のための農家研修の開催、就農計画の策定への助言など、新規就農者の発展段階に応じた支援に取り組んでまいりました。
 近年、新規就農者は目標の200名を確保し、定着率も92%となっておりますが、一方で、就農数年後の農業所得が200万円に達していない事例も見られることから、今後は、産地や地域の生産部会等が主体となって、農地や施設、機械、技能等を次の世代に継承する、いわゆるのれん分けに取り組んでいく必要があると考えております。
 県としては、地域の農業者組織が、地域農業や産地を担う人材を安定的、計画的に確保し、育成していくことができるよう、市町村や農業者団体と連携して支援していく考えです。
 次に、地産地消の取り組みについてでありますが、多くの県民に県産農林水産物や地域の食文化に理解を深めていただく地産地消の取り組みは、県産食材の利用拡大につながる重要な取り組みであり、その展開に当たりましては、地域の加工や流通に携わる事業者との連携が欠かせないものと考えております。このため、県では、事業者を対象に、地域食材を活用した加工食品や料理メニューの開発を促進する食品コンクールや料理コンクールを開催するとともに、県産食材を多く活用した弁当の認証や、野菜の加工業者等と連携した学校給食向け冷凍野菜の供給体制の構築などを支援してまいりました。
 このような取り組みの中で、民間独自の取り組みとして、量販店での県産食材の販売イベントや飲食店での地産地消メニューの提供、地産地消レストランの認証なども行われているところであり、今後におきましても、引き続き生産者と事業者とのマッチングを図るなど、地域における県産農林水産物の利用拡大を進めていく考えです。
 次に、被災地の6次産業化による起業についてでありますが、被災地における農林水産業の復旧、復興と縮小した販路を回復、拡大していくため、被災地12市町村を対象に、6次産業化の取り組みを支援するいわて農林水産業6次産業化沿岸復興支援事業を創設し、取り組んでまいりました。この事業を活用し、例えば、漁業者10名が組合を組織し、地元の水産物を加工して首都圏の外食チェーンと直接取引する取り組みや、漁協が内陸部の産直施設内に直営店を設置して水産物を直接販売する取り組みが始まっております。
 県といたしましては、このような6次産業化の取り組みが被災地で広く普及し、地域の農林水産業の早期復旧、復興につながっていくことを大きく期待しており、引き続き、被災地における6次産業化の取り組みを積極的に推進していく考えです。
 次に、風評被害対策についてでありますが、県では、県産農林水産物の安全性確保の取り組みや生産者の一生懸命な姿をPRするポスターを作成し、その安全・安心を広く発信するとともに、流通業者に安全性を訴え、販路を確保していくための商談会の開催のほか、生産者団体と連携した試食販売などの消費者へのPRに取り組んでおり、全国の消費者から応援のメッセージもいただいております。
 しかしながら、依然として風評被害は解消されていないことから、今後におきましては、新たに女性誌等を通じて安全に対する岩手の姿勢をアピールし、消費者の購買行動につなげていくとともに、実需者等を招聘した産地見学会を開催するなど、県産農林水産物の信頼を取り戻し、生産者が意欲を持って生産活動を行っていくことができるよう取り組んでいく考えです。
 次に、林業振興についてでありますが、県では、東日本大震災津波での被災を踏まえて、被災した製材所や合板工場等の早期復旧を支援するとともに、復興資材として建築サイドが求める木材製品を安定供給できるよう、乾燥施設整備への支援や製材所間の生産連携を促進するなど、県産材の加工体制の復旧、整備を進めております。
 また、県産材の利用拡大につきましては、震災津波からの復旧、復興のための公共施設の整備や公共工事等での活用を進めているほか、市町村の災害公営住宅の整備を受託するUR都市機構に対し、地域産材の活用を助言するなどの取り組みを行っております。今後とも、震災復興への活用など県産材の一層の利用拡大を図るとともに、間伐や再造林等の適切な森林整備も進め、本県の森林資源が将来にわたって持続的に活用されていくよう取り組んでまいります。
 次に、松くい虫被害と防除対策についてでありますが、本県では、ここ数年の夏の猛暑の影響などにより、被害先端地域では被害が拡大する傾向にあります。このため、松くい虫被害防除監視帯の区域を拡大し、被害木の早期発見に努めるほか、これまでの被害防除事業に加え、国の平成24年度補正予算を活用し、感染が疑われる松も含めて、被害木の徹底駆除を実施することとしております。
 さらに、内陸部の被害先端地域である盛岡市、矢巾町、紫波町について、国に、全額国庫負担で駆除が行われる農林水産大臣駆除命令区域に設定するよう要望しており、これらさまざまな方策を講じながら、被害の北上阻止と拡大防止に努めてまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、再生可能エネルギーへの支援措置についてでありますが、再生可能エネルギーの導入に当たりましては、市町村の主体的な取り組みが重要でありますことから、県では、これまで、市町村を対象とした研修会等を通じて、再生可能エネルギーの先進的な取り組み事例や、県の低利融資制度、補助制度、国の各種支援制度等の情報共有を行うなど、その取り組みを積極的に支援してきたところであります。
 また、市町村と連携しながら、メガソーラーの立地候補地の紹介事業や風力発電の立地環境の整備促進などを通じて大規模発電の導入を具体的に推進するとともに、市町村等の防災拠点施設への再生可能エネルギーの導入を支援しているところであります。
 来年度は、メガソーラー等の適地や送電網などを含む地域ごとの適地情報マップを作成し、これまで以上に大規模発電の導入を推進するとともに、各種セミナーの開催、ポータルサイトの整備による情報発信の強化などにより、市町村の主体的な取り組みを一層支援してまいります。
 次に、再生可能エネルギーに対する県の考えについてでありますが、県では、復興計画において、さんりくエコタウン形成プロジェクトを掲げ、災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築を目指しておりますが、これは、再生可能エネルギーを活用した電力等の自給自足につながるものでもあります。
 しかしながら、電気を電力会社に販売するのではなく、一定の地域内の自給自足のために用いようとする場合、現状では自前で送配電網を整備する必要があることや、地域内での需給調整機能の確立、電力供給に係る法規制などさまざまな課題があると認識しております。このため、今年度、葛巻町をフィールドとして、役場や病院などの防災拠点を含む一定のエリア内において、太陽光やバイオマスを活用したエネルギーの自給自足のためのモデル構想づくりを行うことで、技術的、制度的課題等の洗い出しを行っております。
 沿岸市町村等では、大震災津波を受けて、スマートコミュニティなどの構想づくりが進められていることを踏まえ、来年度においては、さらに踏み込んで、エネルギーの自給自足体制の構築に向けた具体的なシステムづくりについて支援することで、さんりくエコタウン構想の推進につなげていく考えであります。
 また、国に対しては、技術的、制度的課題等の洗い出しを踏まえて、送配電部門の中立性の確保など、電力システムの改革を要望してまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、スクールカウンセラー等の配置についてでありますが、今年度におきましては、通常配置のスクールカウンセラーに加え、東日本大震災津波に係る児童生徒の心のサポートのために、巡回型カウンセラー9名、スーパーバイザー3名を沿岸部に配置し、重層的な支援体制を整備しているところであります。今後におきましても、臨床心理士等の資格を有する人材の確保に努めるとともに、学校心理士の資格を有する教員を養成するなどの取り組みを行い、児童生徒一人一人に丁寧かつきめ細やかに対応できるよう適切な配置に努めてまいります。
 次に、教職員の配置の充実についてでありますが、県といたしましては、国から認められた教員定数を活用し、小規模な小学校の一部には非常勤講師を配置し、特色ある教育活動の支援を行うとともに、小規模な中学校には、免許外の教科担任を解消するための非常勤講師を配置し、専門的な指導の充実が図られるよう努めております。また、県単独予算によるすこやかサポート推進事業により、児童数14人から16人の複式学級を有する小学校に非常勤講師を配置し、教育活動の充実を図っているところでございます。今後におきましても、小規模学校等において、児童生徒に対するきめ細やかな指導が図られるよう、特色ある教育活動が推進されるよう教職員の配置に努めてまいります。
 次に、校舎等の解体費に対する助成についてでありますが、これまで県では、統合により使用されなくなる既存校舎の解体経費の補助制度の創設について国に対して要望してまいりました。国におきましては、平成21年度から、統合により新築する場合は実施年度に、あるいは改築する場合には実施年度の翌年度までに行われる既存校舎の解体経費が補助対象とされるなど、国庫補助制度が活用されてきたところでございます。しかしながら、過去の統合により使用されなくなった校舎の解体経費につきましては、依然として補助制度がない状況にございますことから、県といたしましては、他の都道府県とも連携しながら、国に対し、校舎等の解体に対する財政支援制度の創設について働きかけてまいります。
 また、県独自の財政措置につきましては、本県の厳しい財政状況のもと、学校施設の災害復旧及び耐震化対策など、緊急性や優先度の高い事業から順次実施していかなければならない状況にございますことから、現時点では困難な状況であると考えております。
〇4番(清水恭一君) それでは、4点、再質問をさせていただきます。
 一つは農業の担い手対策でありますが、安倍総理は、美しいふるさとを守る機能を大切にすると大変ありがたい発表をされ、耕作放棄地の解消に取り組む方針ということです。しかしながら、その方針は、農業生産法人などで農地を集約して大規模化していくと。2ヘクタールぐらいの平均的な農地を50ヘクタールにも及ぶ大きな集約化を図っていくということですが、それは大変いいことだとは思うんですが、中山間地など不便な地域は農地の借り手もない。そういったところはますます耕作放棄地が逆に進むのではないかという危惧もあるわけでございますので、条件の不利なところの組合や小さな農業生産等も落ちこぼれのないように、育成強化にお力添えをいただきたいということでございます。
 もう一つは、6次化の支援ですが、これも、体力のない商店や農家にとっては、前に進むにもリスクがさまざま伴うわけでございます。さらにはネットワークもない。これは、それぞれの広域振興局の農政部の担当者の皆さんが本当に最前線で知恵を出しながらお取り組みをいただいていることには私も評価をするわけですが、さらに一歩踏み出せないでいるような人たちもおります。そういったところを背中を押してあげるようなお取り組みもいただければ、被災地の6次化も新たな特産品として成長する可能性は私は十分にあると思っておりますので、今も頑張っていただいておるわけですが、さらに連携を深め、6次化を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 3点目ですが、観光に携わる人材育成について伺いますが、いろいろなツーリズムがあるわけですが、行政、あるいは岩手県では大学との連携等も深めております。トータルな視点でやっていただくインストラクターみたいな人もあるわけですが、そうではなく、一方では、地域の身近な魅力を語れる人といいますか、地域の暮らしなどをしっかりガイドできるような、いわゆるその土地の案内人の役割も大切になってくると思います。県では、こういった人材をどういうふうに育成していくのかお示しいただければと思っております。
 4点目ですが、過疎の問題も知事から御答弁いただきました。非常に難しい問題だとは思っておりますが、私は、3月11日以降、さまざまな価値観がシャッフルされたのではないかと思っております。価値観が見直されたのではないか。今まで安全だと思っていた暮らし、便利だと思っていたものや、自分の住んでいる、いわゆる全く安全な場所、人々はさまざまなもののもろさを知ったのではないか。
 そういった中で、今、自分の住んでいるところは本当に安全なのか。さらには、価値観が多様化してきておりますので、大都市ではなく、地方にも自分の住みかを探していく人がふえてきたのではないかというような記事が目にとまりまして、こういったときこそ、今、過疎地といいますか、今まで誰もが余り目を向けなかったような、そういった場所の魅力を大いにPR、発信をするべきだと、私はそういうふうに感じました。地方こそが生活の拠点にふさわしい。そういった安全でゆとりのある生活ができる、そういう過疎の長所も県として発信に大いに努めていただきたい、いかがでしょうか。
 以上、4点お願いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農地、担い手対策についてですが、現在、県内各地域で、地域農業のあるべき姿と中心となる担い手を明確にする地域農業マスタープラン等の作成が進められておりますが、特にも中山間地域など農地や農作業の受け皿となる担い手が不足する地域では、例えば、遠野市の宮守川上流地域のような集落営農組織の育成を進めていくことが課題と認識しております。そのため、組織リーダーや経理担当者の育成を目的とした研修会の開催、組織運営や機械、施設等の整備に対する支援、地形あるいは勾配など立地条件に合わせた基盤の整備などを進めております。こうしたソフトとハード両面の対策に加えまして、立地条件を生かした園芸品目の導入や農産物の高付加価値化を進めて、中山間地域の農地、担い手の対策の推進に努めていく考えです。
 次に、6次産業化への支援についてですが、6次産業化に当たりましては、生産者の取り組みの推進や地域内の産業の活性化を図る観点から、商品開発や販売等のノウハウを有する企業と連携していくことも重要と考えており、生産者と企業が連携した6次産業化も支援しております。このような取り組みによりまして、県内では、飲食業者が地元の農業者と連携して、小麦の生産を拡大し、麺に加工してみずからの店舗で提供する、あるいは土産品として販売する、そういった事例や、建設コンサルタント会社が地元の農業者グループと連携して、リンゴやニンニクを活用した加工品を商品開発して販売するような事例が生まれております。
 今後におきましても、生産者が加工、流通、販売分野に進出する取り組みとあわせまして、このような生産者と企業が連携した取り組みも拡大させていきたいと考えております。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 観光に携わる人材育成についてでありますけれども、地域の多様な魅力を十分に来訪者の方々にお伝えしていくためには、議員御指摘のような案内人が重要な役割を果たすものと認識しております。
 現在、県内では700人余りの観光ボランティアガイドが活動しているほか、今年度、国と東北各県が連携いたしまして展開している東北観光博において、本県内の7ゾーンに164人の地域観光案内人が配置され、来訪者の視点に立った観光案内に取り組んでいるところでございます。
 県ではこれまで、観光ホームページにおける情報発信あるいはボランティアガイド団体の研修事業に対する支援に努めてきたところでありますが、今後は、さらに震災語り部の育成に重点的に取り組むことにしております。加えまして、議員から御指摘のありましたように、古くからその地域に伝わる伝承あるいは暮らしあるいは食、そういうふうなものもそういった研修の中に取り入れて、取り組みながら育成を図っていくようにしたいと考えております。
 県としては、これらの新たな視点に立った取り組みも研修の中に組み入れまして、その土地ならではのボランティアガイドや観光案内人の育成に努めてまいりたいと考えております。
〇政策地域部長(中村一郎君) 過疎地域の魅力の発信についてでありますが、近年、地方での暮らしを希望して移住する方や、ふるさと岩手にUターンして就職する方、さらには、被災地支援のボランティア活動などで県外から本県に移住または交流等で来られる方が確実にふえてきていると考えております。
 今後も、県内の市町村と連携いたしまして、首都圏における移住説明会に積極的に参加するとともに、インターネットやいろいろな広報媒体を活用した情報発信でありますとかマスコミへのタイムリーな情報提供によるパブリシティーの活用などによりまして、過疎地域を含む岩手の魅力を大いに発信してまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成25年度岩手県一般会計予算から日程第93 議案第92号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木博君) この際、日程第2、議案第1号から日程第93、議案第92号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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