平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(及川幸子君) 希望・みらいフォーラムの及川幸子でございます。
 まず最初に、東日本大震災津波の犠牲者の方々の御冥福を心からお祈りいたします。
 このたび、会派の皆様の御理解のもと、代表質問の機会をいただきましたことに御礼を申し上げ、順次質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、平成25年新年度予算についてお伺いいたします。
 総額1兆1、517億円余と、県政史上最大の予算規模となった昨年度当初予算額を334億円、3.0%上回る積極型の予算となっております。このうち、東日本大震災津波からの復旧、復興予算としては5、161億円余、平成22年度からの累計予算額は1兆8、729億円余に及んでおります。知事は、知事演述において本年を復興加速年と位置づけ、この当初予算について、いわて復興加速予算として編成し、復興を加速していくと述べておられます。改めて、この平成25年度当初予算案に込められた知事の思いはどうなのかお伺いいたします。
 また、知事の思いやお考えがこの当初予算にどのように具現化されているのでしょうか。特に、今回の予算には、岩手の将来を見据えた中長期的な取り組みにも配慮し、希望郷創造推進費による取り組みが計上されておりますが、このことをどのように評価なさっているのかお伺いいたします。
 一方、本県の財政状況は、公債費が数年以内のピークに向け年々増加し、いわゆる政策的な経費へのしわ寄せが強まっていくものと考えられ、また、財源対策関係基金の残高も大幅に減少しており、平成25年度当初予算においても110億円の財政調整基金の取り崩しを行うなど、本県財政はまさに危機的な状況にあると認識いたしております。今後も、大震災津波からの本格的な復旧、復興に向けて多額の財源が必要と見込まれますが、知事は、今後の本県財政をどのように運営していくのか基本的な考え方をお伺いいたします。
 昨年、国の復興予算19兆円の使途が明るみにされました。被災地以外の道路整備や建設費に流用された復興費、決して許されるものではありません。復興予算全体の見直しを図り、被災地の復興のおくれを取り戻すことであります。一日も早い復旧、復興を望むものであります。
 次に、第71回国民体育大会及び第16回全国障害者スポーツ大会についてお伺いいたします。
 第71回国民体育大会は、関係機関、団体、市町村、県が一丸となって、県民の総力を結集して、夢と感動を与え、復興のシンボルとなる国体として開催するものであり、国体開催が一過性のイベントに終わることなく、全ての県民が岩手の財産として実感し、スポーツを通じて活力にあふれた地域を実現していくことが重要だと感じております。特に、平成25年度からは専担組織として国体・障がい者スポーツ大会局も設置され、開催準備も本格化しております。そこで、知事に改めて国体開催の意義をお伺いいたします。
 第71回国体は、東日本大震災津波災害からの復興への取り組みが進められている平成28年に開催されることから、可能な限り簡素、効率化に努められると伺っております。そのような中にあっても、復興のシンボルとして、ある程度のにぎわいや華やかさも必要だと思うのですが、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 また、本県での全国障害者スポーツ大会の開催を契機として、障がいについての理解や障がい者の社会参加を一層推進すべきと思いますが、こうした観点から、大会の開催に向けてどのように取り組まれるのかお伺いいたします。特に本県において、全国3番目で、平成22年に障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例を制定しております。条例づくりに参加した一人として、大いに大会開催に心を寄せるものであります。知事の心強い、期待に胸躍る答弁をお願いいたします。
 次に、国際リニアコライダーについてお伺いいたします。
 昨年12月15日に東京都内でILC技術設計報告書の完成発表会が開催されました。さらに1月18日には、下村文部科学大臣は、閣議後の記者会見で、我が国としてぜひ日本に誘致したい、関係国に働きかけると発言されました。これは、世界の研究者の長年にわたる研究開発活動の成果であるとともに、本県が中心となり、東北各県や東北ILC推進協議会などと連携し、関係大臣などに粘り強く働きかけてきた成果でもあります。いよいよILCは建設に向け大きく動き出したことから、東北誘致に向けた期待が大きく膨らむものであります。ILCは世界でただ1カ所に建設されるものであり、我が国だけで建設できるものではありません。県として、ILCをめぐる国際情勢をどう把握されているのでしょうかお伺いいたします。
 1月23日には、県議会新産業創出調査特別委員会で、ILC計画について東北大学大学院理学研究科の山本均教授が講演されました。その中で、国内候補地の一本化について、ことしの7月までに技術的評価や経済的評価を行い、候補地の一本化を行うと述べられております。ことしの7月までということであれば、緊急を要することであります。県としては、国内候補地の一本化の動きについてどのように把握し、どのように対応しているのでしょうかお伺いいたします。
 また、山本教授は、国際学術研究都市整備の明確なグランドデザインを示す必要があるとも述べられております。140万都市の福岡市に隣接する九州脊振山地に対し、北上山地の候補地の都市づくりが誘致の大きなポイントであると考えます。具体的なまちづくりのデザインを示すことについて、県としてはどのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
 建設候補地を抱える県南地域では、ILCの理解も徐々に深まってきていると感じております。その一方で、県都盛岡以北や沿岸部などではILCに対する関心は高くないという声も聞こえております。ILCがもたらす経済波及効果、雇用創出効果に加え、青少年の科学への関心の醸成など、ILCの誘致の効果は建設地以外にも広く波及するものであると考えております。県北や沿岸部などにILC建設の意義やその及ぼす効果を普及啓発する必要があると考えますが、県としてどのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
 先日、2月6日のテレビ放送で、ILCの候補地、北上山地、脊振山地の二つの候補地をめぐって7月までに一本化するとの報道がありました。日本につくられることの意義、日本に対する世界の目が変わる、それほど胸の躍ることが今、私たちの地にやってくるのです。岩手県民一人一人が熱い思いで岩手誘致に対して頑張ってまいりたいものであります。
 次に、山田町の緊急雇用創出事業についてお伺いいたします。
 山田町が緊急雇用創出事業を委託していたNPO法人大雪りばぁねっとの予算使い切り問題で、その報道が連日私たちの目に飛び込んでまいりました。昨年来、山田町で緊急雇用創出事業による復興支援活動を行ってきたNPO法人をめぐり、不適切な経理処理などさまざまな問題点が指摘されたところであります。岩手県議会商工文教常任委員会でもこの問題について質疑が交わされたところでもあります。
 本県においては、かつていわてNPOセンターをめぐり助成金不正受領などの一連の不祥事が発生し、県民のNPOに対する信頼を失墜させるという不幸な過去がありましたが、その再現になるのではないかと危惧しております。東日本大震災津波の発災後、被災地では県内外のさまざまな団体が活動しておりますが、多くの団体は日夜骨身を惜しまず被災者支援に取り組んでおり、ごく一部の団体の不祥事により、真面目に活動している団体が萎縮し、その活動が滞ることがあってはならず、県として適切に対応することが求められてまいります。今回は緊急雇用創出事業の問題ですが、一般的に県外団体が県内で不祥事を起こした場合、NPO法人に対する指導監督という点から県ではどのような対応が可能であるのか、そして、今回どのように対応してきたのか伺います。
 また、今回の問題が他の団体の活動に影響しないよう、NPOの信頼回復に向けた取り組みを行うことが必要であると考えますが、県の認識をお示しいただきたいと思います。
 同法人の代表は、2012年度予算の不足は計画時からわかっており、町と補正対応への約束をしていたと主張しております。また、無料浴場の整備はリースで大丈夫かという思いもあったが、県と協議済みとのことだったと前町長が説明していることなど、町と県の責任は十分あると思うのですが、このことについてもお示しいただきたいと思います。
 次に、三陸鉄道及びJR各線の復旧についてお伺いいたします。
 復旧後の三陸鉄道の経営見通しについて、平成25年度政府予算案に三陸鉄道の復旧費用として9億円が計上され、来年4月の全線での運行再開のめどが立ちました。三陸鉄道の全線復旧は復興のシンボルでもあり、大変喜ばしいことであります。一方では復旧後も厳しい経営が予想されますが、今後の経営の見通しと対応策についてお伺いいたします。
 三陸鉄道の全線復旧のめどがついた一方で、JR山田線、大船渡線の復旧の見通しは立っていない状況であり、地元としては交通網に大いに支障を来している現状であります。そんな中、JR東日本から大船渡線の気仙沼-盛間について、バス高速輸送システム─BRTでの運行を開始するとの発表がありました。地域住民の公共交通機関による足の確保が図られることは歓迎されるところではありますが、地域が求めております鉄路による復旧が進まなくなるとの懸念も出てまいります。県は、今回のBRTによる運行開始をどう評価されているのでしょうかお伺いいたします。また、JR線の鉄路による復旧に向けて今後どう取り組んでいくのかもお伺いいたします。
 次に、農林水産業の復興についてお伺いいたします。
 一関市において市内の原木シイタケ生産者338戸を対象に行った意向調査で、全体の71.6%に当たる240戸が生産を再開しないと回答したことが明らかになり、福島第一原子力発電所事故に伴う放射性セシウム汚染の問題で、岩手農業に及ぼす影響が大であることを思い知りました。また、本県の県南ひとめぼれが最高評価の特Aに選ばれました。1994年に特Aになって以来、冷害の2003年を除き18回目の特A獲得は誇るべき成果と言えますが、放射性セシウムの影響が懸念されるところであります。米、野菜、シイタケに与える影響について、また、今後の方策についてお伺いいたします。
 また、水産業では、秋サケの深刻な不漁で、さまざま今後に向けた取り組みが急務のようであります。被災した定置網が約80%まで復旧する中での不漁は極めて深刻であるようですが、いち早く要因を突きとめ、今後に向けた取り組みを急ぐべきと思うのですが、御所見を伺います。
 また、本県の畜産業は農業産出額の過半を占める産業であり、とりわけ肉用牛の生産には繁殖、肥育の両部門で全県で多くの生産者が携わっていることから、その経営安定のためにこれまでもさまざまの施策が講じられてきましたが、これからも引き続き振興策が期待されているところであります。一昨年の原子力発電所事故により出荷制限を受けたものの、全頭検査体制を整えていただきました。早く全頭検査に踏み込んで予算確保していただいた知事に心より感謝申し上げます。全頭検査体制を整え、市場関係者に本県の牛肉の安全性を説明するなどにより、現在では本県の牛肉に対する評価も出荷制限以前の状態に回復するところまで来ております。
 そこで、今後に向けての本県の肉用牛の生産振興を展望すると、これまでの生産者の努力や県の支援により、本県産牛肉に対する市場関係者等の評価は高いレベルにあることがうかがえます。しかし、先般、長崎県で行われた第10回全国和牛能力共進会に参加した私は、各都道府県もかなりの力を入れて産地力の向上に取り組んでいる姿を目の当たりにし、岩手県産に対して大いなる声援と、これまで以上に何か対策を講じていく必要性を感じたところでした。
 県は、畜産県岩手のブランド力を高め、将来に向けて維持していくため、これまで以上の積極的な畜産振興策を講じていく必要があると考えますが、その推進の方向性についてお伺いいたします。
 次に、再生可能エネルギーについてお伺いいたします。
 東日本大震災津波の影響で福島の原子力発電所が停止し、私の近隣市町村においても多くの被害を受けながらの生活を強いられております。今こそ原子力に頼らない再生可能エネルギーの普及が求められております。
 1月29日より3日間、再生可能エネルギー調査特別委員会で大阪堺太陽光発電所を見学してまいりました。国内最大級10メガワットの施設は、ソーラーパネル7万4、000枚で、膨大な広さでありました。自治体と電力会社の共同事業の大規模太陽光発電が今後大きな課題と言えるでしょう。我が県における取り組みはどうなっているのかお伺いいたします。
 また、二酸化炭素の削減からも森林の保全が求められてまいります。私は今、里山環境林蘇生ボランティア協会で活動しておりますが、協会の菊地会長は、23年前より中国へ植栽をし、成功させております。森林を保全するためには、植栽をし、間伐をしながら木質バイオマスなどの活用策を考えていく必要性があると思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 将来、再生可能エネルギーとして重要な役目を果たす我が県の森林に対してどのような思いでいるのかお伺いいたします。
 先日、県議会再生可能エネルギー調査特別委員会において、風力発電の現状と課題で足利工業大学学長牛山泉氏による講演をいただきました。風力発電が発電上、世界的にも効力が大であるとのことで、我が国は風力発電に適している地形なのに余り進捗が見られない結果の報告を受けました。以前と違い、風力発電機器製造会社も国内に多く、以前は故障したたび国外より技術者を招いて整備に当たっていましたが、今はそれもなくなりました。今後、風力発電の開発を推進していく必要性が多大であります。被災地沿岸の海沿いが適地であることも伺いました。国外の洋上風力発電の現況を知り、もっともっとスピード感を持ち、本県でも推進してほしいものです。知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、教育施策について何点かお伺いいたします。
 豊かな心を育む教育の一環として、まず最初に、全国に波紋を広げました大阪市立桜宮高校バスケット部の体罰問題、とうとい命を失ったこの事件に、人ごとではない、何ともやるせなさを感じるのは私だけでしょうか。何とか死に至ることをとめることはできなかったのか悔いるのです。
 本県の小・中・高校などで体罰による教職員の懲戒処分は過去5年間で14件あり、そのうち9件が部活動指導中の体罰ということですが、桜宮高校バスケットボール部の体罰問題が明るみになったことで、岩手県はどうなっているのかを思ったところです。県教委は、教職員による不祥事の未然防止策として、2011年度から3年間、法令遵守に関する職場研修を各校で年2回開くよう指示したとのことですが、この状況をお示しいただきたいと思います。教師側がこの件から生徒の指導に萎縮するようでは、生徒だけが図に乗ってしまうことが懸念されます。ただし、悪質と思える教師の体罰はやめさせなければならないでしょう。今後における適切な指導を目指しての施策をお伺いいたします。
 次に、学校週6日制の導入についてお伺いいたします。
 文部科学省は、公立の小中学校で土曜日も授業を行う学校週6日制導入の検討を始めたと報じられております。その目的は、授業時間をふやし、学力を向上させたい考えのようであります。1992年9月から段階的に土曜日休みをふやし、2002年4月から完全実施となったわけですが、11年たった今、あのころは親と子の触れ合いやゆとり教育を願ったものの、両親は土曜休みでなく、親子で自然を求めて出かけるには、親は仕事で何ともならない施策でした。ひとり勉強をするどころかテレビゲームに熱中する子供たち、岩手県から土曜日に学校に行かせることはできないのかと何度思い、何度口を開いてきたことでしょう。子供たちの学習意欲の低下が今深刻な問題になっております。要するに、生徒の目を授業に向けさせる、それは先生の工夫、話術にかかるものがあります。学校週6日制の導入についての知事の御所見と、あわせて授業増だけではない授業のあり方について、熱い教育への思いをお示しいただきたいと思います。
 最後になりますが、本県の復興に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 災害発生からあと2週間で2年を迎えます。忘れもしない3月11日、大切な命、大事な財産を一瞬のうちに失ってしまいました。議員として何かできることはないだろうかと、大槌町へ発災後間もなく、瓦れき撤去ボランティアで議員仲間、私の主人も加わり、1日、手作業で被災個人宅の瓦れきの山の片づけをしてまいりました。水を含んだ畳、布団の重さ、家族の思い出がいっぱい詰まった泥まみれのアルバム、晴れ着など、びっしりと頭に思い浮かぶのです。一日も早い復旧、復興を望みながら質問してまいります。
 来年度末が瓦れき処理の期限でありながら、処理量はまだ3割程度であります。1、286億円余の計上でありますが、広域処理も含め、今後の処理の方向を伺います。
 また、災害公営住宅の建設も本格化しますが、来年度手がける約1、400戸分、173億円余が計上されておりますが、全体の建設計画から見てどのような進捗状況かをお示しください。
 今後、被災地では復旧、復興工事が本格化していきますが、多くの工事を進める上で、現場作業員や建設資材の確保が大きな課題であると考えております。現場作業員や建設資材の確保について、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 また、医療現場の救済は急務であります。被災した県立高田、大槌、山田病院の再建について、高台移転も含め、その計画についてもお伺いいたします。
 以上、さまざま質問させていただきました。15回目の登壇になりますが、常に県民の立場になり、思いを述べてまいりました。知事におかれましては、どうぞ県政課題解決のため、自信を持って堂々と前に前に進んでいただきたいと申し上げて質問を終わります。御清聴いただきましてまことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川幸子議員の御質問にお答えいたします。
 まず、当初予算案に込めた思いについてでありますが、昨年は、震災からの復興を軌道に乗せる思いを込めて復興元年予算といたしましたが、平成25年度当初予算では、昨年から本格化した基盤復興の取り組みの上に、被災者一人一人が復興の歩みを実感できるようにとの思いを込めて、いわて復興加速予算として編成を行いました。
 次に、当初予算における具現化についてでありますが、当初予算では、平成25年度が基盤復興を目指す第1期復興実施計画の最終年度でありますことから、次のステージとなる本格復興につながる取り組みを加速することとし、あわせて、希望郷いわてを実現するための岩手の将来を見据えた中長期的な取り組みにも配慮しました。
 具体的には、復興計画の三つの原則に基づいて、平成26年3月までの完了を目指す災害廃棄物の処理や平成26年4月の三陸鉄道の全線運行再開など安全の確保、災害公営住宅の早期整備や住宅再建に向けた助成、被災した医療施設の機能回復など暮らしの再建、原発事故により風評被害を受けている県産農林水産物等のブランド化や、被災した中小企業の再建などなりわいの再生に重点的に取り組んでまいります。
 さらに、新しい三陸地域の創造を目指す三陸創造プロジェクトに本格的に取り組むこととし、正念場を迎える国際リニアコライダーの誘致や洋上ウインドファームの事業化に向けた取り組みなどを推進します。
 また、希望郷創造推進費の評価についてでありますが、当初予算においては、分野横断的に取り組む新たな視点に立った取り組みや、先駆性のある取り組みについて19事業、およそ5.1億円の予算を措置しております。この希望郷創造推進費の導入によりまして、しっかりとした部局間連携のもと、岩手の強みを生かした、将来の希望につながる取り組みに積極的に挑戦する姿勢がこれまで以上に出てきていると感じており、岩手のあるべき未来に追いつく復興と、その先にある希望郷いわての実現に向けた一歩になるものと考えております。
 次に、今後の財政運営の基本的な考え方についてでありますが、本県財政は、歳入面では、県税を初めとする自主財源の占める割合が低く、国の地方財政対策の影響を強く受ける一方、歳出面では、社会保障関係経費の自然増や公債費の増大などに加え、復旧、復興に多額の財源が必要なことから、厳しい運営を強いられております。
 このような現状のもと、今後、復興を加速するためには国費による力強い支援措置が不可欠でありますことから、引き続き国に対して財源措置の充実確保を求めてまいります。
 また、県においては、あらゆる手法による歳入の確保に努めるとともに、事業効果や効率性等を検証しながら、事務事業を1件ごとに精査して歳出の徹底した見直しを行うなど、一層の選択と集中を図ることにより、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めてまいります。
 次に、国体開催の意義についてでありますが、本県では、現在、全国から多くの御支援をいただきながら、県民一丸となって東日本大震災津波からの復興に取り組んでいます。希望郷いわて国体は、スポーツを通じて地域の一体感や活力の醸成、向上を図り、全ての県民にとって復興の力となることを目指し、また、多くの御支援をいただいた全国の皆様に復興を着実に進める姿を見ていただき感謝の意を伝える機会と捉えるとともに、大震災の記憶の継承につなげようとするものであります。さらに、県民の健康と豊かな心を育み、岩手の歴史、文化、伝統や岩手の心を広く全国に発信し、本県の文化的魅力を高めることや地域の活力を高めていくまたとない機会であると考えております。
 次に、国体におけるにぎわい等についてでありますが、希望郷いわて国体の開催に当たりましては、既存の施設を最大限に活用するなど、可能な限り簡素、効率化に努めることとしております。
 一方、国体のスローガンに、広げよう感動、伝えよう感謝と掲げておりますとおり、選手の力が十分発揮できるような環境整備や、全国からいただいた御支援に対する感謝の気持ちをあらわすこと、また、地域の特産品を用いた振る舞い、おもてなしや文化、伝統を生かして全国に本県の魅力を発信することなど、本県ならではのにぎわいのある心温まる大会となるよう、オール岩手で進めてまいりたいと考えております。
 次に、全国障害者スポーツ大会についてでありますが、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例を制定している本県においては、この大会の目的である、障がいの理解を深め、障がい者の社会参加の推進を図ることに加え、障がいのある人もない人も、ともに支え合う社会の実現にもつながる大会を目指していきたいと考えております。このため、大会開催に向けて、多くの県民の方々が、大会運営を支えるボランティアや選手の応援等として、積極的に参加する県民運動を展開してまいります。
 また、本県選手の活躍や、限界に挑戦する障がい者の姿は、県民に希望と勇気を与え、復興に向けた推進力の一つとなるものと考えており、関係機関と連携しながら、大会に向けて、本県選手の育成を図り、障がい者スポーツの普及と社会参加を推進してまいります。
 次に、ILCをめぐる国際情勢についてでありますが、国内の研究者グループの最近の情報によりますと、アメリカにおいてはILC建設の優先度は低く、ヨーロッパにおいては研究者組織が日本支援を表明するなど、日本に建設する機運が高まっていると聞いております。
 次に、国内候補地の一本化の動きについてでありますが、国内の研究者グループは、ことし1月、国内候補地一本化に向けたILC立地評価会議を設置したところであります。この会議においては、地質や電力供給など科学的、技術的な観点の評価と、研究者等の居住環境や波及効果などの経済的な観点の評価を行い、その後は政策的判断を求めると聞いております。
 現在、東北地域、九州地域の双方において、科学的、技術的評価の資料整備が進められており、東北においては、東北大学が中心となってデータの取りまとめを行っているところであります。県としては、これらの調査検討に必要なデータの収集、提供のほか、地質面で適正な評価が得られるよう、必要な現地調査について、追加の補正予算での対応も含め積極的に協力してまいります。
 次に、まちづくりのデザインについてでありますが、福岡市に隣接する脊振山地と比較しながら、本県の候補地周辺に国際的な研究圏域をどう整備していくか、その道筋を示していくことが必要と認識しております。このため、東北ILC推進協議会等と連携し、その整備は、民間活力を導入することで、多額の公的負担を伴わずに可能であることを示す国際的なまちづくりのグランドデザインを作成し、ILC立地評価会議に提案したいと考えております。
 次に、県北や沿岸部などへの普及啓発についてでありますが、ILC建設の効果は、県南部のみならず、県全域、さらには東北全域にも及ぶものでありますことから、県では、これまでもILCに関する県政特別番組の放送やいわてグラフへの記事掲載、沿岸部を含めた県内各所での講演などを行い、その普及啓発に努めてまいりました。今後も、東北ILC推進協議会が作成した普及啓発用DVDの県内全高等学校への配布を行うとともに、関係団体と連携し、県北・沿岸地域での講演会の開催回数をふやすなど、さらなる普及啓発に努めてまいります。
 次に、山田町の緊急雇用創出事業に係るNPOの信頼回復に向けた取り組みについてでありますが、今回の東日本大震災津波においても、多くのNPOがさまざまな活動を展開しています。新しい公共の主要な担い手であるNPOは、市民のチェックによる市民の信頼こそが活動の基盤となることから、県民のNPOに対する信頼を揺るがす問題の発生により、県内のNPO全体の活動に大きな支障が生じることのないようにしていかなければならないと考えております。
 今回の山田町の事案については、これまで、県としても、事実関係の解明に向けた町の調査に協力しているほか、法律上の所轄庁である旭川市の調査にも協力してきたところであります。今後も、今回の問題の早期解明に協力していくとともに、会計等団体運営の適正化に向けた各種のセミナー等の開催や、各団体のさまざまな活動を紹介する広報に引き続き取り組むなど、NPO活動の健全な発展を支援してまいります。
 次に、関係者の主張、説明についてでありますが、山田町では、この事案に関し、町の対応についての調査検証等を行うため、第三者調査委員会を設置したところであり、NPO法人代表の主張や前町長の説明については、この委員会において検証されていくものと認識しております。
 県といたしましては、解雇された方々の就業支援と緊急雇用創出事業の適正な実施について、責任を果たしていきたいと考えております。
 次に、三陸鉄道についてでありますが、三陸鉄道は、復旧後も、沿線人口の減少や少子化の進展等により利用者の減少が懸念され、厳しい経営になると認識しております。このため、復旧後は、沿線市町村が鉄道施設を所有し、会社は運行に専念する上下分離方式を確立させ、施設の維持に係る費用は県と市町村の負担とするなど、従前以上に三陸鉄道を支えてまいります。
 また、将来にわたり存続させていくためには、何よりも地元利用が大事でありますことから、地元の方々の利用促進に資する取り組みを支援してまいります。さらに、クウェート国の支援で導入されるイベント車両を活用した企画など、観光客の誘客拡大につながる取り組みについても、積極的に支援してまいります。
 次に、BRTの評価とJR線復旧の取り組みについてでありますが、これまでJR大船渡線の代替交通は十分な水準に達しておらず、BRT仮復旧により、地域住民の利便性の向上につながるものと考えていますが、BRTは鉄道復旧までの当面の交通の確保であり、沿線各市が鉄道復旧を求めていることや、JR線と三陸鉄道がつながることでさまざまな相乗効果が発揮されることから、鉄道の早期復旧が必要と考えております。このため、JR東日本や関係機関との協議をこれまで以上に加速させ、沿線市町村等と連携し、国及びJR東日本に引き続き強く要望を実施するとともに、利用促進策を検討することなどにより、鉄道の早期復旧に努めてまいります。
 次に、放射能セシウムの影響と今後の方策についてでありますが、米や野菜については、放射性物質は不検出か基準値を大きく下回っておりますが、これら品目の生産に当たっても栽培管理を徹底し、消費者に安全・安心な農産物を提供できるよう、生産に取り組んでおります。
 一方、原木シイタケは、盛岡以南の地域で出荷が制限され、出荷できるものについても、販売価格が大幅に下落するなどの被害が発生しております。このことから、県としては、原木シイタケの出荷再開のため林野庁との協議を急ぐとともに、産地再生に向けて原木の確保やほだ場の落葉層の除去を進めるほか、人工ほだ場等のモデル的な整備や、安全・安心な県産農林水産物の一層のアピールに取り組み、一日も早く生産者が意欲を持って生産活動に専念できるよう支援してまいります。
 次に、秋サケ漁に向けた取り組みについてでありますが、平成24年度の秋サケ漁は、主産地である北海道でも前年度実績を下回っており、本県の水揚げ量も1月末日現在で約7、500トンと、2年連続で平年の約3割にとどまり、本県水産業の再生への影響が懸念されます。
 この不漁要因については大きな気候変動によるものとも考えられますが、これまでの研究によりますと、放流直後からオホーツク海に至るまでの稚魚の減耗も要因の一つとされており、今春から、県水産技術センターが国や北海道の研究機関と連携して、稚魚の初期生残と減耗要因に関する共同研究を実施することとしております。また、増殖事業関係団体と連携しながら、飼育池ごとの適正な飼育管理や適期、適サイズ放流の徹底などにより、健康な稚魚の放流に取り組むなど、サケ資源の早期回復を図っていきたいと考えております。
 次に、畜産業の振興についてでありますが、本県の肉用牛生産は、飼養頭数や産出額において全国トップクラスの地位にあるものの、小規模経営が多いことから、今後の肉用牛の生産振興のためには、経営規模の拡大やより一層の品質の向上を図っていく必要があると考えております。このため、県としては、低コスト牛舎等の整備や優良な繁殖牛の導入の促進、省力管理や規模拡大を図るための外部支援組織の育成強化などの取り組みを支援してまいります。さらに、産肉能力にすぐれた県有種雄牛の利用拡大を進め、いわて生まれ、いわて育ちの牛づくりを促進するなど、引き続き、いわて牛のブランド力の強化と肉用牛生産農家の経営の安定化を図ってまいります。
 次に、再生可能エネルギーについてでありますが、本県における大規模太陽光発電は、他県に先駆けて市町村と連携して実施した候補地の紹介事業や積極的な企業訪問、低利融資制度の創設などにより、現時点で18カ所、計45.8メガワットが計画されているなど、立地に向けた動きが急速に進んでいます。最近では、県内企業が取り組む事例がふえてきており、低利融資制度を活用した例として、県南の民間宿泊施設では、観光資源や地域の環境教育にも活用するなど、地域に密着した計画となっています。来年度は、新たに詳細な適地情報マップの作成や各種セミナーの開催などを通じて、市町村、県民、事業者との連携を一層強化し、より地域に根差した再生可能エネルギーの導入に努めてまいります。
 次に、我が県の森林に対する思いについてでありますが、本県の森林、林業は、地球温暖化問題を背景に二酸化炭素吸収源として期待されているほか、特に大震災後は、再生可能エネルギーとして大きな注目を集めるなど、その役割に対する期待はますます高まっています。このような中で、本県の森林資源は、戦後造成した人工林が成熟しつつあり、本格的な利用時期を迎えようとしており、木材の利用拡大と持続的な森林経営が、環境保全や県勢発展に寄与するものと認識しております。
 毎年、森林の感謝祭に参加し、地域の皆さんや子供たちと森林の中で間伐や植樹を行っておりますが、その活動は大いなる喜びであり、岩手の森林を守り続けなければならないとの思いを新たにしております。このため、復興住宅への県産材の供給や木質バイオマスのエネルギー利用など、県産材の利用拡大を図るとともに、間伐や再造林等の適切な森林整備を通じて、本県の森林の持つ多面的機能が将来にわたって発揮できるよう、取り組んでまいります。
 次に、洋上風力発電の推進についてでありますが、本県沿岸の沖合は高い風力エネルギーに恵まれ、特に北部の海域は遠浅な海底地形であることから、着床式の洋上風力発電が有望視されています。このため、平成23年10月から1年間、洋野町において風況観測などを実施し、事業化の可能性を確認したところであります。また、昨年5月には、県が、地元自治体や大学、漁業協同組合等からなる研究会を立ち上げ、洋上風力発電と漁業との協調のあり方など、事業化に向けた課題の明確化とその解決方策の検討を進めてきております。
 県におきましては、平成25年度には、漁業や環境等への影響に関する調査を実施し、漁業者の理解を得ながら、国内における本格的な外海での洋上風力発電の先駆けとなるよう、早期実現に向けて取り組んでまいります。
 さらに、国が設置を予定している海洋エネルギー実証試験場、いわゆる日本版EMECの本県への誘致に取り組み、海洋エネルギー開発を推進してまいります。
 次に、職場研修会の実施状況についてでありますが、県教育委員会では、重大な不祥事が続いたことから、不祥事を許さない職場風土を醸成するため、県立学校や小中学校等において研修を実施するように通知したところであり、平成23年度には、この通知に沿って、全ての公立学校において研修が実施されたと聞いております。
 次に、適切な生徒指導についてでありますが、県教育委員会において、さまざまな機会を通じて、体罰の禁止を含めた適切な生徒指導のあり方についての研修等が行われていると承知しており、今後とも、それぞれの状況に応じて、必要な取り組みが行われるものと考えております。
 次に、学校週6日制の導入についてでありますが、授業時数や学習内容が増加している流れの中で、土曜日を授業日に活用してはどうかという意見があることは承知しております。一方で、例えば、地域の方々や保護者とともに種まきから収穫まで行う農作業など、学校週5日制の趣旨に沿った自然体験、社会体験等が行われているということも聞いております。したがいまして、学校週6日制については、今後、このような各地域での状況等も踏まえて、国においても十分な議論がなされることを期待しております。
 次に、授業のあり方についてでありますが、私も復興教育の授業の参観などを行っておりますが、それぞれの学校においてさまざまな工夫を凝らしながら授業が行われており、その成果を期待しているところであります。
 次に、災害廃棄物の処理についてでありますが、可燃系廃棄物については、広域処理も含めて、本年12月までにおおむね処理が完了できる見込みであります。処理がおくれぎみの津波堆積土は、大規模公園や防潮林整備などの公共工事の具体化に伴い、資材としての需要の増加が見込まれており、今後、さらに公共工事とのマッチングを進めてまいります。また、土砂を多く含む不燃系廃棄物についても、太平洋セメント大船渡工場で水洗いにより土砂分を分別するなど、可能な限り再生利用に努めてまいります。それでもなお、資材として利用できないものは、県内市町村等の最終処分場への埋め立てを要請するなどして、一日も早く処理を終えることができるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、災害公営住宅の進捗状況についてでありますが、岩手県の全体計画戸数は5、639戸で、そのうち県が2、821戸、市町村が2、818戸整備する計画としています。現在、県が整備する予定の2、821戸のうち、地権者の内諾を得ているものが2、124戸で全体の75%、設計に着手しているものが1、146戸で全体の41%、工事を行っているものが200戸で、全体の7%という進捗状況になっております。このうち、野田村門前小路地区で建設している8戸については、3月10日に内覧会を行い、4月1日から入居を開始する予定です。
 県といたしましては、被災者の方々が一日も早く安心して暮らすことができるよう、平成26年度末までの完成を目指して、全力を挙げ取り組んでまいります。
 次に、復旧、復興工事を円滑に進めるための現場作業員や建設資材の確保についてでありますが、これまで業界団体などと情報共有を図りながら、復興JV制度による技術者や作業員の確保、生コン用仮設プラントの誘致や、県外からの石材調達などの資材確保に向けた対策を講じてきました。今後、さらに広域的な土量調整や作業員宿舎確保など、新たな課題への対応も必要となってきますことから、本庁や沿岸各地域に施工確保対策連絡調整会議を設置し、これらの解決に向け、関係機関や業界団体と連携を密に取り組んでまいります。
 次に、被災した県立3病院の再建についてでありますが、被災病院が立地する地域はいずれも高齢化率が高く、高齢者を中心とした地域医療を提供する必要があることから、入院機能の確保を最優先として、病院の立地場所や規模、機能の検討が進められているところであり、今年度末を目途に整備方針が決定されると承知しております。このうち、立地場所については、高台など津波による被災の可能性がない場所であること、早期に病院建設が可能な場所であることを基本に各市町から推薦されています。これら推薦の箇所については、各市町のまちづくり計画との整合性を図る上でも候補地として適当であり、これを基本に調整が進められているところであります。
〇議長(佐々木博君) 傍聴者の入れかえがありますので、しばらくお待ち願います。
〇議長(佐々木博君) 次に、飯澤匡君。
   〔27番飯澤匡君登壇〕(拍手)

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