平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇47番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝であります。
 会派を代表し、質問いたしますので、県民にわかりやすい答弁を願うものであります。
 達増県政6年目、震災後3年目を迎えるに当たり、この広い県土の均衡ある発展をどう進めていくのか、東日本大震災津波からの一日も早い復興、県民の所得向上を図る上での景気、経済対策、雇用促進、産業振興策、県民の安全・安心を守る医療、保健、福祉をどう進めていくのか、また、ILCの東北への誘致など、挙げれば切りがないほど課題が山積している中にあっては、県民の求める施策を重点的、効率的に展開することが必要であり、そのかじ取りを担う県民のトップリーダーとして、知事の使命は極めて重要であると考えます。
 そこで最初に、知事の政治姿勢について伺います。
 私がこの場から何度かお聞きしていることでありますが、知事の姿勢として、党派に属することの善悪はともかく、特定政党に偏り過ぎているのではないでしょうか。国政との連携を危ぶむ声もあり、また、結果として県民に不利益となるようなこともあるのではないかと言う県民も少なくありません。知事の政治的スタンスとして、現在、どこかの党に属しているのでしょうか、もしくは属していないのでしょうか。また、どちらであるとしても、それはどのような理由からなのでしょうか。私は、県民のトップとして、まず、県民のほうをしっかりと向き、特定政党との関係を強くすることを避け、いわば県民党的立場で県民のかじ取りをすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 続いて、最近の知事の動きについて何点かお伺いします。
 一つ目は、知事の任期についてであります。
 県政6年目を迎え、復興計画の推進に取り組んでいる今日、いずれ2年余りすれば改選期が来るわけでありますが、知事が公的に掲げている2期8年という考えに変わりはないのか、すなわち3選目には出馬しないと捉えてよいのでしょうか。
 二つ目は、知事の発言の真意についてであります。
 昨年末の衆議院選挙に当たり、マスコミ等に対する知事記者会見においてたびたび政権交代民意という言葉を使っていますが、その意味するところをお聞かせ願います。
 あわせて、知事は、衆院選において、基本は4年前の政権交代選挙、あのときの民意というものが非常に大事だと思っていると答えていますが、昨年末の総選挙において、国政の状況や県内の結果をどう捉えているのかお伺いします。
 また、昨年末、衆院選の直前に、日本未来の党結成に当たり、滋賀県知事と小沢さんを結びつけたのは達増知事御自身であり、日本未来の党は民意の受け皿として期待するとの発言をされたと記憶しておりますが、その後の分党を含め、現在どのような思いを持っているのかお聞かせ願います。
 三つ目として、知事は、第2次安倍内閣が誕生して間もない昨年末の12月28日及び年明け早々の1月8日と続けて自民党本部並びに各省庁等に出向き、県の要望活動を行ったと承知していますが、政権がかわり、安倍内閣に対する知事の所感と、新たな政権に対し何か期待することがあればお聞かせ願います。
 次に、平成25年度当初予算についてお伺いします。
 平成25年度は、復興計画における基盤復興期間3カ年の最終年度であり、震災対応に要する経費として前年度を509億円上回る5、161億円の予算を措置したことなどから、過去最高だった平成24年度の当初予算を334億円上回る1兆1、500億円余の予算規模になったとのことであります。
 一方、その財源を見ると、通常分については、地方公務員給与の削減を前提とした地方交付税の減少や県債発行額の減少により依存財源が減少する一方で、個人所得の向上や雇用状況の回復による個人県民税の増収、建設業を中心とした業績の回復による法人県民税の増収など県税の増収が見込まれるほか、基金からの繰入金の増などにより自主財源の増加が見込まれており、そのため、自主財源の割合は前年度の37.4%を1.5ポイント上回る38.9%と伺っております。自主財源である繰入金には財政調整基金や県債管理基金といった財源対策関係基金からの繰入金160億円も含まれるなど、いわば貯金を取り崩して対応している状況であり、また、平成26、平成27年度には県債償還のピークを迎えるなど今後も厳しい状況が続くと思われますが、ただ、そのような中にあっても復興を加速させることが何よりも必要であり、また、それとあわせて、本県の将来を見据えた事業にも取り組んでいくことが求められると考えます。これまで以上に事業の選択と集中を行い、確かな判断のもとにしっかりとした財政運営を行っていくことが必要と考えますが、知事は、今後の財政運営にどのような方針で取り組もうとしているのかお伺いします。
 また、平成25年度当初予算のポイントとしては、震災対応分とあわせて復興の先の未来につながる戦略的プロジェクトに要する経費を確保したとされておりますが、この経費としてどのような予算を確保され、また、それはどのような未来を目指したものとして位置づけているのかお伺いします。
 次に、本県の景気動向についての認識と経済対策についてお伺いします。
 県が今月2月6日公表した県内景気の動向によりますと、新設住宅着工戸数は12カ月連続、公共工事請負金額は6カ月連続でそれぞれ前年水準を上回った一方、大型小売店販売額は8カ月連続、乗用車新車登録台数は4カ月連続でそれぞれ前年水準を下回っているということであり、東日本大震災津波の影響が残る中、緩やかな回復基調にあった県内景気はこのところ足踏み状態にあるとされているところであります。また、盛岡財務事務所が先月1月30日公表した昨年10月から12月の県内経済情勢では、総括判断を一部に弱い動きが見られるものの持ち直しているとし、4期連続で持ち直しているとの判断が示されております。
 全国的には、昨年12月に安倍政権が発足したことにより、最近では景気回復への期待を先取りする形で株価等も回復し始めており、国では、こうした兆しを景気回復につなげるべく、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢を一体的かつ強力に実行していくこととしております。
 そこでお伺いしますが、知事は、県内の景気の現状をどのように捉えているのでしょうか。また、県内経済の再生に向けてどのような戦略を持って対処していかれるのかあわせてお伺いします。
 次に、東日本大震災からの復興についてお伺いします。
 東日本大震災津波発災から間もなく2年になりますが、今なお1、000名を超える方々が行方不明であり、約4万人の方々が応急仮設住宅等で暮らしております。知事は、昨年2月定例会の知事演述において、平成24年を復興元年とし、復興を軌道に乗せ、加速させる1年とすると述べ、当初予算で4、652億円を、その後の補正も合わせると5、444億円を震災対応に投じ各種事業の推進に当たってきましたが、その成果をどのように捉えているのでしょうか。
 平成25年度予算は、これまで取り組んでこられた事業の成果を踏まえ、復興をさらに加速化することによって、復興基本計画に定める、いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸を一日も早く実現するための予算であると考えますが、復興を進めるに当たって、解決すべき課題としてどのようなものがあり、また、それにどのように取り組もうとされているのか知事の御所見を伺います。
 さらに、平成25年度当初予算では、総額1兆1、517億円のうち5、161億円を復旧、復興等の震災対応に充て、復興の基盤となる取り組みをさらに加速するとし、予算全体をいわて復興加速予算と位置づけております。先ほど申し上げましたように、来年度は第1期復興実施計画期間である基盤復興推進期間の最終年度に当たることから、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づく基盤づくりを仕上げなければならない年になるわけでありますが、昨年11月のいわて復興ウォッチャー調査では、被災者の生活の回復度への実感について、ようやく半数の方が回復した、やや回復したと回答したものの、地域経済の回復度については、やや回復した以上に回答された方が4割強にとどまり、安全なまちづくりでは、達成した、やや達成したと回答した方がまだ1割に達していない状況であり、まだまだ復興の回復度が遅いと言わざるを得ません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 来年度に向け、これまでの取り組みの成果と課題をきちんと認識し、また、被災地の方々の実感を踏まえて、足りないところは補い、さらに進めるべきところはしっかりと進めていかなければならないと考えますが、提案されたいわて復興加速予算では、どのような考えのもとに事業を展開し、基盤づくりを進めようとしているのかお伺いします。
 次に、国際リニアコライダー、略称ILCについてお伺いします。
 本県の北上山地が候補地の一つになっている超大型加速器、国際リニアコライダーについては、研究者による国際推進組織が推進しているところであり、昨年12月には国際設計チームによる技術設計が完了し、いよいよ最終設計に向けた調整に入る段階となってきております。
 ILCについては、現在、政府が正式に認めたプロジェクトになっていないところでありますが、ことし1月18日に、下村文部科学大臣が閣議後の会見において我が国としてはぜひ日本国内に誘致したいと明言し、ことし前半に欧米などの関係国に資金協力や連携について働きかけたいと述べたとの報道があり、政府として公の場で初めて誘致に言及したものであります。マスメディアでも、地元紙のみならず全国紙やテレビ番組で盛んに報道されるようになり、我が国への誘致、そして東北への期待が日に日に高まってきております。
 ILCは、宇宙の謎、時空の謎に挑む知のフロンティア拠点であると同時に、世界の頭脳が集結し、最新の研究成果が発信されるとともに、次世代の人材が創出され続ける国際科学イノベーションの拠点になり得るものであることから、基礎科学の実験施設の一つでありながら、加速器関連産業の規模は国内で65兆円に及ぶとも言われております。ILCを誘致することによって、東北に世界最先端の科学技術研究施設を有し、国内外から約1万人の科学者や家族が移り住む国際研究都市が形成されることになり、また、海洋研究、災害科学研究、医療研究、エネルギー資源研究などの施設が連携することにより、科学技術の一大拠点として東北全域の産業を復興させるとともに、新たな雇用の場が生み出され、震災からの真の復興へとつながっていくものと考えます。
 私は、ILCは、本県にとって計り知れない効果を生み出す世紀の一大プロジェクトであり、何としても誘致を実現させなければならないと考えるものでありますが、ことしの夏とも言われている国内候補地の一本化を見据え、知事は、現状をどう把握し、今後どのように取り組もうとされているのかお聞かせ願います。
 一方、国内のもう一つの候補地である九州の脊振山地─福岡、佐賀両県の強みは、国際空港などのインフラ整備や、数千人の外国人研究者とその家族を受け入れるための住宅や多言語対応の医療機関、インターナショナルスクールなど、受け入れ環境の面であると言われております。ライバルの強みは、言いかえれば本県の課題でもあるわけでありますが、これらの課題に対し、どのように対応しようとされているのかお伺いします。
 また、これらの課題に対応し、誘致活動をより強固にして進めていくためには、東北各県との連携が欠かせないとともに、岩手大学や東北大学等の学術研究機関など、各種関係団体との協力体制の構築も必要と考えられることから、私ども自由民主クラブ会派は、本県と隣県宮城県が主体となって、県内市町村議会、東北各県議会と連携し、東北全体が誘致活動を展開するための方策として、本県議会に、議長を含む全員で構成する(仮称)ILC誘致特別委員会を提案し、本会期中の設置を目指して県と一体となって取り組む考えでありますが、知事は、東北各県や関係団体との連携、協力の状況についてどのように取り組んでいくのか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、平成28年冬季国体の招致についてお伺いします。
 平成28年に開催される第71回国民体育大会は、紆余曲折もありましたが、スポーツ関係者を初め、多くの方々から本県での開催に向けた強い要望が寄せられたことなどを受け、東日本大震災津波からの復旧、復興を支援していただいた多くの方々に対する感謝の意味を込めて、広げよう感動、伝えよう感謝をスローガンに、希望郷いわて国体と銘打ち、本県で開催されることになりました。まさに、復興のシンボルとなる大会として開催しようとするものであり、大会の成功に向け、県民が一丸となって取り組んでいく、それがまた県民一人一人の活力になっていくものと考えております。
 一方、先般2月16日から、お隣秋田県において、47都道府県の選手、役員約1、800名が参加して、第68回国民体育大会、スキー競技会あきた鹿角国体2013が開催され、本県からも68名の選手団が参加したところであり、天皇杯8位以内を目指し、がんばろういわての旗のもとに奮闘した本県選手の様子が報道されました。
 冬のスポーツであるスキー、スケートなどの種目では、アルベールビルオリンピックのノルディック複合団体で金メダルに輝いた三ケ田礼一選手を初め、本県から多くの優秀な人材を輩出しており、今後も、ワールドカップを転戦している小林潤志郎選手など、期待される若手選手が育ってきております。
 こうした中、さきの報道では、平成28年の岩手国体に当たり、県体育協会が冬季国体開催に向け検討に入ったと伝えられたところであり、3月の理事会で招致の可否を判断するとのことでありました。
 平成28年のスケート、アイスホッケー競技会及びスキー競技会が本県で開催される場合、平成7年に福島県で開催された第50回大会以来、21年ぶりの完全国体が実現します。夏、秋の国体とともに、本県が震災から復興した姿をアピールするためにも、ぜひとも岩手国体を完全国体として、より発進力の高い大会として開催すべきと考えます。本大会の招致を決定するまでにも、震災を挟み、さまざまな苦労や努力があったことと思いますが、逆に、そうした体験を生かしながら、今大会と一体となった冬季国体招致への取り組みを強化していくべきではないかと考えます。
 本県には、これまで冬季大会として、スケート、アイスホッケー競技会を8回、スキー競技会を3回開催してきた実績があります。冬季競技のノウハウは十分蓄積されているのではないでしょうか。ぜひ、国体史上7回目の完全国体を岩手で実現し、岩手を全国に発信したいと考えるものでありますが、冬季国体の開催に向けた知事の意欲と現在の検討状況、また、今後の見通しについて伺います。
 次に、農業の振興についてお伺いします。
 まず、本県農業の振興策についてでありますが、本県の農業構造を見ると、この10年間で農業就業人口が約3割減少するとともに、平均年齢は4.7歳上がり66.3歳となり、高齢化が進行しております。また、家族経営を中心とした小規模な経営体が大宗を占め、農業産出額は昭和60年をピークに減少、さらに平成17年以降の生産資材費の大幅な高騰が農家の経営を圧迫し、産地の生産力低下に拍車をかけていることは明らかであります。この状況を打破し、夢と希望が持てる農業を実現していくためには、担い手の確保、育成を着実に進めるとともに、規模拡大や生産性向上などによる経営の効率化を図ることが急務と考えるものであります。
 こうした中で、現在、県内の全市町村において、農業団体と連携し、地域の農家の話し合いのもと、地域農業の振興ビジョンである地域農業マスタープランの作成が進められているところと承知しており、この地域農業マスタープランは、認定農業者、集落営農組織、新規就農者など、地域の担い手である中心経営体を明確化し、農地の利用集積による効率的な農地利用、園芸等の産地化、6次産業化の取り組みなどの地域農業のあり方、将来像を定めるものであると聞いております。
 そこで知事にお伺いします。この地域農業マスタープランを通じて、今後どのように農業振興に取り組まれていくのでしょうか。
 次に、畜産業の振興策についてお伺いします。
 本県において、畜産は農業産出額の過半を占める基幹部門であるとともに、牛乳や食肉等の生産、加工、流通を通じた関連産業での雇用創出など、地域経済全体にとって大きな役割を果たしております。とりわけ、酪農、肉用牛の生産には、本県の広大な土地で生産された自給飼料を活用しており、消費者に対し県産畜産物の安全性をアピールしてきたところでありますが、こうした中で発生した一昨年の原子力発電所事故に伴う放射性物質の飛散により、酪農、肉用牛生産農家は牧草の利用自粛を余儀なくされ、その経営に非常に大きな影響を受けております。県では、牧草地再生対策事業により牧草地の除染を進めていますが、除染が完了するまでには約3年かかると見込まれているところであり、今年度の耕起済み面積は、計画の8、224ヘクタールに対しまだ6、162ヘクタール、計画比約75%であり、公共牧場などの耕起不能箇所は全体で2、223ヘクタールもあると聞いております。
 消費者への信頼を回復し、畜産農家の営農活動を軌道に乗せるようにするためには、地域で大きな役割を果たしている公共牧場を含めた自給飼料基盤を早期に原状回復することが必要であると考えますが、知事は、畜産農家の営農活動を軌道に乗せ、足腰の強い岩手の畜産業を振興していくために、どのように取り組んでいこうとされているのかお伺いします。
 質問は以上でありますが、最後に一言申し上げたい。
 私ども県議会会派の自由民主クラブは、知事の進める希望郷いわての実現、そして、復興の加速化に向けた平成25年度予算の執行に当たり、昨年末、3年3カ月ぶりに政権に着いた自民・公明連立政権の第2次安倍内閣のもと、まずは一日も早い復興の実現、国際リニアコライダーの東北誘致を含め、国民、県民の生活が少しでも向上したと実感できるような社会の実現を目指し、最大限の努力をいたすことを申し上げ、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉伝議員の御質問にお答えいたします。
 まず、私の政党との関係及び知事3選出馬についてでありますが、昨年7月に民主党を離党して以来、いずれの政党の党籍も有しておりません。知事がいずれの政党に属するか、あるいは属しないかということは、それぞれの知事の思想信条、あるいはその時々の政局観に基づき、自由に判断されるべきものと考えております。
 また、3選出馬についてでありますが、知事の多選は好ましくないとの考えには変わりなく、原則として2期8年を超えないことが望ましいと考えます。一方、前例のないような大震災津波からの復興に県が取り組んでいるという平時とは異なる中で、私の1期目の任期も4カ月余り延長されており、大所高所から検討しなければならない状況にあると思います。
 次に、昨年末の衆議院議員選挙関連の御質問についてでありますが、まず、政権交代民意の意味は、平成21年の衆議院議員選挙において、国民の生活が第一という民主党マニフェストの理念、政策を支持する民意によって政権交代が実現したと考えており、その民意を政権交代民意と呼んでいるところであります。
 次に、昨年末の総選挙の結果についてでありますが、平成21年の政権交代選挙で託された民意から大きく乖離した政治に厳しい審判が下されたということは言えると思いますが、年末の突然の選挙で、いかなる民意を問う解散なのかも明確に示されない中、第三極と言われる勢力の結集が図られず、投票率は著しく低下し、総選挙の結果、いかなる民意が示されたかは、判断が難しい選挙になってしまったと思います。
 また、現在の私の思いについてでありますが、政権交代を実現するほどに高まった日本国民の民意が、東日本大震災津波とそれに伴う原発事故を経験し、さらに意識を高め、新しい日本のあり方を決める、そのような選挙になることを期待してさまざま行動した私からいたしますと残念な思いでありますが、各政党がしっかり準備をして適切なタイミングで総選挙が行われれば、日本国民は賢明な民意を示すものと期待しております。
 次に、安倍内閣に対する所感についてでありますが、私が政府予算要望活動を行った際には、東日本大震災津波からの復興に前政権以上にしっかり取り組もうとする意欲を感じたところであり、復旧、復興予算の総枠を見直し必要な財源を確保したことや、予算編成作業を通じて、経済再生に向けた財政出動を伴う施策を打ち出すなどのスピード感を持った対応については評価しております。
 安倍内閣には、日本全体の将来を見据えた国家プロジェクトとして復興を加速させ、地域の実情を踏まえた効果的な経済対策を、復興施策と一体的に切れ目なく実施していくことを期待しております。
 次に、財政運営の方針についてでありますが、本県財政は、復旧、復興に多額の経費を要することに加え、社会保障関係経費の自然増や、過去の経済対策等に伴い発行した県債の償還がピークに達すること、また、財政調整基金の残高が大幅に減少することなどから、中長期的に極めて厳しい状況が続くものと見込まれます。このような情勢のもと、復旧、復興のための事業については、国費による力強い支援措置を引き続き国に対して求め、優先的に取り組んでまいります。
 また、県においては、限られた財源の中、全ての事務事業の精査に努め、中長期的な県債残高の抑制など、財政健全化に配慮した財政運営を行いながら、希望郷いわての実現に資する事業に取り組んでいく考えです。
 次に、戦略的プロジェクトについてでありますが、平成25年度当初予算では、基盤復興の推進を基本としながら、岩手の将来を見据え、中長期的な視点に立って、先駆的、分野横断的に取り組む復興計画の三陸創造プロジェクトや、いわて県民計画の岩手の未来を切り拓く六つの構想を推進するための事業を盛り込んだところであり、具体的には、国際リニアコライダーの誘致や、海洋エネルギーに関する国際的研究拠点の構築、自立・分散型エネルギー供給体制の構築、三陸ジオパーク認定に向けた取り組みなどを進めることとしています。
 このような取り組みを通じ、復興をなし遂げ、世界に誇る新しい岩手を創造し、黄金に光り輝く希望郷いわてを実現してまいります。
 次に、景気動向についての認識と経済対策についてでありますが、東日本大震災津波により甚大な被害を受けた本県経済は、その後、復旧、復興関連事業の本格化等により緩やかな回復基調にありましたが、昨年夏ごろから、生産活動をあらわす鉱工業生産指数と雇用情勢をあらわす有効求人倍率に弱い動きが見られるなど、このところ足踏み状態にあるものと認識しております。
 このような中にあって、本県の地域経済を持続的に成長させていくためには、自動車や半導体関連産業など、国際競争力が高く、成長の牽引役となるものづくり産業の一層の発展を図るとともに、農林水産業や食産業、観光産業など、地域の特性や資源を十分に活用した安定的で持続的な地域資源型の産業の振興を図ることが重要と考えております。また、これらの取り組みに加え、大震災津波からの復旧、復興に関連する公共施設や住宅の再建、防潮堤や道路の整備などの建設事業の増加による経済効果や、復興計画の三陸創造プロジェクトに掲げるさんりく産業振興プロジェクトの具体的な取り組みなどを、本県経済の持続的な発展につなげていきたいと考えております。
 さらに、政府が決定した日本経済再生に向けた緊急経済対策等に呼応した補正予算を速やかに編成し、1、146億円の経済対策を実施することとしており、当初予算と一体となって、現下の足踏み状態からの脱却を図りたいと考えております。
 次に、復興元年の取り組み成果の認識と課題への取り組みについてでありますが、県では、復興計画に掲げる安全、暮らし、なりわいの基盤復興に取り組んできたところであり、安全の確保については、復興交付金を活用した123地区の防災まちづくり事業に着手し、被災地のまちづくりが本格化しつつあります。
 暮らしの再建については、県と市町村が建設を予定している災害公営住宅のうち、約4割の事業に着手したところであります。
 また、なりわいの再生については、県内全ての産地魚市場が再開するとともに、被災事業所も、一部再開を含め約8割が事業を再開するなど、産業の各分野がそれぞれ立ち上がってきているものと認識しております。
 平成25年度は復興加速年と位置づけ、復興を加速させることとしておりますが、そのためには、専門的な人材の確保や確実で自由度の高い財源措置、そして事業用地の円滑な確保などが必要と考えております。このため、これまで、国に対し、対症療法的な措置ではなく、非常時に対応した施策を講ずるよう、要望、提言を行ってきたところでありますが、今後とも、機会を捉えて、大震災復興特例とも言える施策を講ずるよう、要望してまいります。
 また、復興を加速するため、今後とも、内陸と沿岸が一体となったオール岩手による復興を推進するとともに、県内外の多様な主体との連携を強化しながら、一日も早い復興を実現してまいります。
 次に、いわて復興加速予算についてでありますが、被災された方々が一日も早く安心して生活ができるよう、国や市町村との密接な連携のもと、復興計画に掲げる三つの原則に基づく取り組みを迅速に進め、復興を加速させることが必要と考えております。
 このため、まず、安全の確保については、災害廃棄物の処理を平成26年3月までに完了させるほか、津波防災施設の整備などによる多重防災型まちづくりや、復興道路などの災害に強く、信頼性の高い道路ネットワークの構築を進めます。
 次に、暮らしの再建では、県が整備する災害公営住宅約2、800戸について、平成26年度までの完成を目指すほか、被災者の生活再建に向けた相談体制の充実を図る一方、被災した医療機関等の機能回復を推進します。
 また、なりわいの再生では、産業の再生を本格的な雇用につなげることが急務でありますことから、漁業関連施設の整備と水産加工業の高度化、被災した中小企業、商店街の事業再生を進める一方、ものづくり産業の振興や起業支援の充実を図ります。
 平成25年度は、このように、復興計画の三つの原則に基づいた基盤復興を加速させる一方、国際リニアコライダーや海洋エネルギー実証試験場、いわゆる日本版EMECの本県誘致への本格的取り組みや、洋野町沖で進める洋上ウインドファームの事業化に向けた取り組みなどを推進し、いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造の実現に全力で取り組んでまいります。
 次に、ILC誘致に向けた今後の取り組みについてでありますが、国内の研究者グループで組織するILC立地評価会議が、本年の7月ごろまでに国内候補地を一本化すると伺っております。この会議においては、地質などの科学的、技術的な観点での評価及び研究者の居住環境や経済的な視点での評価を行い、その後は政策的な観点での評価に委ねると伺っております。
 県としては、これらの評価検討に必要なデータの収集、提供を行うなど、まずは会議での評価において高い評価が得られるよう、最大限努力してまいります。
 次に、ILC受け入れ環境に対する課題への対応についてでありますが、国内候補地の一本化に当たりましては、外国人研究者やその家族の居住環境を含めた国際的な学術研究エリアの形成が評価の重要な観点の一つと言われております。東北は、豊かな自然、理想的な研究環境を一から整備できるという強みを持つ一方、受け入れ環境の整備方策について方向性を示し、評価を高めていく必要があると認識しております。このことから、東北ILC推進協議会等と連携し、東北における国際的なまちづくりのグランドデザインを年度内に取りまとめ、東北の優位性を訴えていきたいと考えております。
 次に、関係団体等との連携、協力の状況についてでありますが、東北全域の産学官による推進組織である東北ILC推進協議会は、会員数が31から64に拡大しており、会員相互の密接な連携のもと、東北一丸となった体制づくりが進められています。
 また、東北大学及び岩手大学においては、それぞれ学内にILC推進会議を設置し、北海道東北地方知事会及び東北市長会など、行政側においてもILC東北誘致に向けた決議や要望を重ねているところであり、今後、さらに普及啓発DVDによる東北全域におけるPRや日本海側の各県での講演会の開催など、東北全域での機運を盛り上げていく取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、平成28年冬季国体の招致についてでありますが、雪国岩手にとりまして、冬季スポーツの振興の観点はもとより、多くの支援をいただいた全国の皆様への感謝を伝え、復興をアピールするという観点からも大変有意義なものと考えております。また、希望郷いわて国体を冬季大会とあわせた完全国体として開催することとなれば、県民の国体に対する一層の機運の盛り上がりも期待されます。
 一方、冬季国体の開催については、スキー、スケート、アイスホッケーの各競技会の運営の中心となる関係競技団体及び岩手県体育協会において十分なコンセンサスを得る必要があり、現在、岩手県体育協会において、各競技団体の意向を確認しながら、必要な検討を行っているところであります。
 また、開催市町村や会場となる競技施設など、市町村との十分な協議、連携を要するものであり、冬季国体の招致に向けては、こうした必要なプロセスをしっかりと踏まえながら、総合的に判断していく必要があるものと考えております。
 次に、本県農業の振興策についてでありますが、本県の農業は、食品産業、流通業等の他産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、地域経済を支える基幹産業の一つとして、持続的な発展を図っていくことが重要と認識しております。このため、県内各地域で作成される地域農業マスタープランの実現を目指し、地域の中心となる経営体の規模拡大や高度化、ハウス導入による新たな園芸団地の形成、農産物を活用した加工、販売による6次産業化などの実践活動を支援することとし、平成25年度当初予算において、新たに岩手地域農業マスタープラン実践支援事業や、いわての園芸産地パワーアップ支援事業などを計上しております。こうした取り組みを通じて、農業が若い人たちにとっても希望の持てる産業となるよう、農業者の皆さんや、関係機関、団体と一体となって全力で取り組んでまいります。
 次に、放射性物質により被害を受けた畜産業の振興策についてでありますが、本県畜産業の重要な自給飼料基盤である公共牧場を含めた牧草地は、今回の原子力発電所事故で飛散した放射性物質の影響を受け利用制限を余儀なくされ、畜産農家の営農活動に大きな影響を及ぼしています。
 県としては、牧草地をできる限り早期に再生するため、これまでの知見等を踏まえながら、十分な除染効果が発揮できるように丁寧に牧草地の除染を進めるとともに、公共牧場の利用自粛に伴う畜産農家の負担軽減などの取り組みを支援しているほか、当初予算には、飼料生産等を請け負う外部支援組織による飼料用トウモロコシの生産拡大を促進する事業を盛り込んでおります。
 また、公共牧場などの耕起不能箇所については、個別箇所ごとに関係団体等と協議しながら、利用継続等の方針を定めて、順次、必要な対応策を講じていくこととしておりますが、今後とも、畜産農家の営農活動を早期に軌道に乗せるため、自給飼料基盤の再生に地域の力を結集して取り組んでいきたいと考えております。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時33分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 名須川   晋 君
6  番 後 藤   完 君
7  番 佐々木 朋 和 君
8  番 佐々木   努 君
9  番 軽 石 義 則 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 岩 渕   誠 君
18  番 郷右近   浩 君
19  番 喜 多 正 敏 君
20  番 高 橋 但 馬 君
21  番 小 野   共 君
22  番 高 橋   元 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 関 根 敏 伸 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 高 橋 昌 造 君
31  番 五日市   王 君
32  番 小田島 峰 雄 君
33  番 大 宮 惇 幸 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 佐々木   博 君
43  番 田 村   誠 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(1名)
12  番 福 井 せいじ 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時53分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。及川幸子さん。
   〔40番及川幸子君登壇〕(拍手)

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