平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 総務委員長報告に対して質問をいたします。
 議案第8号政治倫理の確立のための知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例について、どのような審議が行われたのか、具体的に質問いたします。
 第1に、この条例が今議会に提出された緊急性、必要性はどこにあったのか、どう議論されたでしょうか。
 第2に、資産公開の対象を配偶者と扶養する子に拡大することになっていますが、拡大する具体的根拠は何でしょうか。拡大するとするなら扶養する親族としなかったのはなぜでしょうか。
 第3に、資産公開で問題となることは資産隠しが容易にできることであります。資産隠しのおそれがあるとすれば、その疑いのあるときに配偶者や扶養する親族の公開ができるとすべきだと思いますが、どのような議論がされたでしょうか。
 第4に、配偶者の場合、独自に資産を形成できる場合がありますが、配偶者と扶養する子のプライバシーはどのように保護されるのか、どう議論されたでしょうか。
 第5に、以上の点で、知事の資産公開を配偶者と扶養する子まで条例で規定することは、慎重に議論されるべき問題と考えますが、継続審議ではなく否決となったのはなぜでしょうか。
 第6に、知事が独自に資産公開を拡大するというなら、高知県知事のように自主的に行うことも可能であります。こうした点でどのような議論がなされたでしょうか。2日間にわたって審議がされたようでありますので、ぜひ具体的な答弁をお願いします。

〇総務委員長(佐々木博君) それでは、斉藤信議員の質問にお答えをいたします。
 まず、第1に、今議会にこの条例が提案された緊急性、必要性、並びに資産公開の対象を配偶者と扶養する子に拡大した具体的理由等についてのお尋ねでありますが、先ほど委員長報告でも申し上げましたけれども、改めて申し上げます。知事の職は、県政執行の最高責任者として社会的にも責任ある立場の者であることから、一層の透明性の確保、情報公開が求められている時代であると認識しており、知事の資産公開のあり方についても公開対象者の範囲を広げ、配偶者及び扶養する子まで含め公開することにより、資産等の内容の透明性を高める必要があるとの当局の説明、並びになぜ条例でなければいけないかということについては、県民に対して情報公開を進めるためにも、その制度として確保するために条例として提出したいという当局からの説明がありました。
 また、なぜ配偶者並びに扶養する子に拡大したかという御質問ですが、それに対する当局の説明は、扶養する子については社会通念上、その資産等の形成について知事の関与や管理が及んでいると考えられるということ、したがって、知事と準じて取り扱うのが適当だというそういった解釈のもとだという説明がありました。また、それ以外に扶養を受けている親族という規定をしなかったことについては、例えば父母などの直系尊属等の場合は、そこまで知事等が資産形成に関与していない、並びに内閣、国の閣僚の場合でも扶養する子について対象としているが、それ以外については記載していないというような説明がございました。
 次に、資産隠しのおそれがあるとすれば、そのときにでよいのではないかという御質問でありますが、今条例は、最初から透明性を確保するために提案された条例でありますので、このことについての委員会での議論はなされておりません。
 第4に、配偶者と扶養する子のプライバシーについての御質問でございますけれども、このことについては当委員会でもかなりの委員からいろいろな質疑及び意見が出されました。特にも、斉藤信議員もおっしゃるとおり、配偶者の場合、独自で職業を持っており独自で資産形成をするということが考えられること、あるいはまた、子供にとってもプライバシーの問題があること、そういったことからかなり慎重に審議をされたところでございます。
 第5に、慎重に議論すべきではないかということでありましたけれども、慎重に2日間にわたって議論をし、そして各委員、ほぼ意見が出尽くしたということで採決に及んだ次第であります。
 第6に、条例によらなくても自主的に公開できるのではないかという御質問でありますが、おっしゃられるとおり既に高知県ではその先例があります。したがいまして、条例によらずともそういったこともできるという意見が当委員会でも出されました。
 以上で終わります。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。
   〔26番斉藤信君登壇〕

〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第12号、第17号、第30号、第32号に反対の討論を行います。
 議案第12号は、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例です。その内容は、知事など特別職の退職金の二重取りを是正し、給料を知事は10%、副知事、出納長は7%削減しようとするものであります。退職金の49カ月分支給を48カ月分にという二重取りの是正は当然の措置であります。しかし、知事の退職金問題で問われていることは、わずか4年間で約5、000万円、48カ月とすれば
4、992万円の退職金が妥当かどうかということが問題です。民間の大学卒の退職金の平均は895万円となっており、平成13年度の県職員の平均退職金は約2、200万円となっています。知事の高額退職金の根拠は全くないばかりか、民間や県職員の退職金の実態からも大きくかけ離れたものであります。また、知事自身がみずからの責任を認めたように県財政の危機的状況は、今年度末で1兆3、600億円余の県債残高に示されています。特にこの4年間で2、800億円余の借金がふやされたのであります。新たに借金をふやし、深刻な県財政の危機をもたらした知事が、庶民感覚からかけ離れた高額の退職金を受け取ることは県民の理解を得られるものではありません。知事が財政構造改革を進め、県民に新たな痛みを押しつけようとするなら、なおさら高額退職金の是正にこそ取り組むべきではないでしょうか。岩手県の退職金の知事の場合の算定の一定率は100分の80となっていますが、全国では一定率を100分の60にしているところが5都道県あります。これだけでも1、200万円の違いとなります。特別職の給料の10%から7%の削減は、財政危機を招いた責任から見て当然の措置と考えるものであります。
 議案第17号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例であります。この中には法人事業税への外形標準課税の導入が含まれています。外形標準課税は、そもそも今日の深刻な不況のもとで、赤字経営で苦しむ企業からも税金を徴収しようとするものであります。一方で黒字の企業、特に大企業には減税となるもので、企業にとってはもとより地域経済にとっても打撃を与えるものであります。法人事業税は本来事業の利益に課税すべきであって、赤字の企業からも税金を取り立てるべきではありません。今回は、課税業者を資本金1億円以上としていますが、消費税と同じで一度制度を導入すればいつでもその対象を広げることが可能となるものであります。これは中小企業にとっては死活にかかわる問題であります。今回も税収中立の立場での導入ですから、決して県税の増収には結びつかないものであります。今、出口の見えない不況、深刻な経済危機のもとで、赤字の企業に増税を押しつけることは、企業の倒産と不況の悪循環をもたらすものと言わなければなりません。だからこそ日本商工会議所や全国商工連合会を初め、経済界を挙げて反対の声が上がっていたものであります。こうした声を無視して外形標準課税を導入することに強く反対するものであります。
 議案第30号は、簗川ダム建設橋りょう工事の請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。そもそも簗川ダム建設事業は、一昨年9月に十分な検討を行うことなく当初340億円の事業費を670億円に倍増させたものであります。治水上も利水上も科学的で抜本的な見直しが求められているものであります。特に増田知事自身が見直しを表明した盛岡市の利水問題は、64億円に及ぶむだ遣いをただす上で極めて重要な問題であります。盛岡市は既に御所ダムに5万1、000トンの水を確保しており、これは約10万人分の水に当たるものであります。この御所ダムの水はこれまで20年以上にわたって使われず、今後も給水人口が30万人を超えないと使われる見込みのないものであります。簗川ダムへの盛岡市の利水が必要ないとするなら、簗川ダム自身の性格が治水だけのダムとなり、全般的見直しが求められるものであります。見直しの検討をまず進めるべきであります。また、落札金額も4億8、100万円で、設計金額に対し94.9%となっており、予定価格に対する比率はさらに高くなり、公正な競争が行われたとは言いがたいものであります。
 議案第32号は、岩手県立紫波高等学校校舎改築(建築)工事の請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。県立紫波高等学校の校舎・産振棟の改築それ自身にもちろん反対するものではありません。しかし、この工事の落札金額は、13億4、000万円となっており、設計金額に対する比率は97.2%であります。条件付一般競争入札となってはいるものの入札参加企業体は6企業体となっており、とても公正な競争が行われたとは言いがたいものであります。
 以上、申し上げまして、議案に対する反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第8号政治倫理の確立のための知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案の委員長の報告は、否決でありますので、原案について採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立少数であります。よって、議案第8号政治倫理の確立のための知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例は否決されました。
 次に、議案第12号、議案第17号、議案第30号及び議案第32号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第12号、議案第17号、議案第30号及び議案第32号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第7号まで、議案第9号から議案第11号まで、議案第13号から議案第16号まで、議案第18号から議案第29号まで、議案第31号、議案第33号から議案第35号まで及び請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第7号まで、議案第9号から議案第11号まで、議案第13号から議案第16号まで、議案第18号から議案第29号まで、議案第31号、議案第33号から議案第35号まで及び請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第37 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第37、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
総務委員会
 政策評価結果(平成14年分)について
"
受理
番号
件名
国道281号久慈市川貫地内の横断歩道帯への歩行者用信号機設置に関する請願
"
  
環境福祉委員会
 感染症等に関する研究について
商工文教委員会
"
受理
番号
件名
「いわて教育の日」制定について請願
教育基本法改正に反対する意見書採択のための請願
"
農林水産委員会
 盛岡中央卸売市場の運営について
県土整備委員会
 岩手の実情に応じた社会資本整備の基本理念について

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   
日程第38 発議案第2号5月26日の宮城県沖を震源とする地震災害を踏まえた地震津波対策についてから日程第40 発議案第4号農林水産物に関するWTO交渉についてまで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第38、発議案第2号から日程第40、発議案第4号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第2号から発議案第4号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第4号までは、原案のとおり可決されました。
   
日程第41 発議案第5号イラク復興支援特別措置法案の慎重審議を求めることについて

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第41、発議案第5号イラク復興支援特別措置法案の慎重審議を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。伊沢昌弘君。
   〔36番伊沢昌弘君登壇〕


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