平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇48番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 通告の順に、以下お伺いをいたします。
 初めに、有事関連三法が成立したことに伴う県が担う具体的措置についてであります。
 私は、昨年6月議会一般質問でこの問題に触れ、知事にお伺いをいたしました。私はその際、武力攻撃事態対処法案について、1、これまでの我が国の防衛施策を根本的に転換する重大問題法案と受けとめていること、2、地方公共団体の責務と役割を想定した上で、関係する地方公共団体の長等に対し、当該対処措置を実施すべきことを指示する権限や、国による代執行権が定められていること、3、こうした内容を持つ同法案は、著しく地方自治権を侵害するものであることを指摘し、知事の見解を求めました。これについて知事は、我が国の平和と安定の確保のためには、日常における諸外国との対話、交流、協力を通じた信頼関係が第一であるが、万が一の有事に備え、その対処法や手続等についてあらかじめ法を整備しておく必要があると考えており、有事法制そのものの必要性は認めるものである。しかし、今回の武力攻撃事態対処法案等の有事関連法案については、有事のとらえ方や有事におけるさまざまな国民保護のための措置に当たって、国の判断と地方自治体の判断の整合性など、国民や地方自治体にわかりにくい内容になっていると感じている。この武力攻撃事態対処法案が成立した後2年以内に整備するとしている国民保護に関する法制こそが基本法であり、国民の主権や地方自治にかかわる極めて重要な内容を含んでいる。したがって、国においては、その具体的内容をできる限り早期に明らかにして、その上で一つ一つきちんとした議論を積み重ね、広く国民の合意を得ることが必要であると考えているとの認識を示されました。
 また、自衛隊法改正案については、知事権限にかかわって、防衛出動時における関係法律の特例など、知事権限の抑制をどう考えているかとの私の質問に対して、知事は、自衛隊法改正案では、自衛隊の防衛出動時などにおける関係法律の特例措置等が規定されている一方で、内閣総理大臣の指示や代執行に関する要件等は今後定める法律で規定することとしているが、その内容によっては、指示や要件が無制限なものになるおそれがあるものと懸念している旨の答弁がありました。
 さて、有事関連三法が今国会で成立したことに伴い、予想される国民保護法制を含め、有事への具体的対応とその措置はいよいよ地方自治体の場に移ることになります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、先ほど述べたとおり、知事が懸念を表明された点について、有事関連三法が成立した現時点で、どのように知事の懸念は払拭されたとお考えでしょうか。また、今後想定される警報発令を受けての避難誘導などは、どのようなものになるとお考えでしょうか。
 関連して、警察本部長にお伺いをいたします。
 この有事関連三法は、極めて高度ないわば軍事作戦を伴うものと思われます。治安の維持や県民の生命、身体、財産の保持の面で、自治体消防や、場合によっては自衛隊との共同行動が予想されるものでありますが、県警察はどのような対応が求められるとお考えでしょうか。
 次に、本県の人口見通しと地域経済についてお伺いいたします。
 県は、新しい総合計画を策定するに当たり、本県の人口をどう見通すか、また、その予測の上に立って、地域経済の担い手を含む人材の確保を図りながら、活力ある地域経済をどう築くことができるかなど、県総合計画審議会の場で活発な議論がなされたところであります。1999年――平成11年の総合計画策定時に問われたのは、人口見通しで県民に何を示すかであったと思います。
 さて、これら地域社会を構成する基本要素である人口の見通しについてでありますが、1998年――平成10年の実績値は141万8、207人、2002年――平成14年実績値は140万8、079人で、1万128人の減、総合計画最終年度である2010年――平成22年の推計人口は138万2、163人で、平成14年との比較で2万5、916人の減、さらに10年後の2020年――平成32年の推計人口は131万5、730人で、平成14年との比較で9万2、349人の減と予測をしております。
 そこでお伺いいたします。
 質問の第1点は、ただいま述べました人口推計値が現在も基本数値として位置づけられているのか、改めてお伺いしておきたいと思います。その上で、人口の社会増加要因、すなわち、転入増、転出減をどう図るかでありますが、工業施設等の新設整備など産業基盤の整備、勤労者の就労の場の確保対策、また、都市から地方へといった生活者の価値観の変化に岩手の優位性をどう発信すべきかなど、本県の人口減に歯どめをかけていく対策をどう図るお考えか、お伺いをいたします。
 第2点は、人口減少の中にあって、人口規模とその構造が地域経済と社会にどのように影響していくかであります。県の個別計画において、これらの課題がしっかりと把握され実施に移されているか、県総合計画策定から4年が経過した現状をどう認識しているのか、お伺いをいたします。
 次に、地方分権と財政問題についてお伺いをいたします。
 この問題は、国の三位一体改革論議に見られるように、実に複雑であります。こうした中で、岩手県議会は6月19日に臨時議会を開き、いわゆる三位一体改革に対する意見書を採択し、国に提出しました。この議論は、国においては大きく三つの機関で行われております。地方分権改革推進会議、経済財政諮問会議、地方制度調査会であります。
 さて、首相の諮問機関である地方分権改革推進会議は、2003年度予算編成前の昨年10月に事務事業のあり方に関する意見を発表し、その中で、財源確保措置に一切触れないまま、義務教育の教職員退職手当など、約5、000億円の国庫負担金の廃止を提案しました。これを受けて財務省は、2003年度予算で義務教育の共済長期負担金、公務災害補償費負担金、在宅福祉事業等2、400億円の国庫負担金を廃止し、その財源として交付税と地方特別交付金の半々で補てんする措置をとりました。続いて本年7月7日に、同推進会議は、事務事業のあり方に関する意見のフォローアップを出しましたが、その内容は、社会保障費で5、752億円、義務教育費等で2兆7、879億円、公共事業費5兆8、286億円など、合計9兆2、149億円を整理、廃止するとしました。しかし、これらに対する税源移譲などの財源補てんには、一切触れられていないものであります。さらに、同推進会議は、本年5月14日、1、税源配分は増税を伴う改革の中で実施する、2、住民税均等割を引き上げる、3、地方交付税を地方共同税と財政調整交付金に再編成するなどとした三位一体改革の試案を出しました。
 一方、経済財政諮問会議は、地方分権改革推進会議の調査審議を踏まえ、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税財政のあり方を三位一体で検討し、改革案を2003年6月を目途にまとめるとし、骨太の方針第3弾の決定に至ったところであります。本議会の意見書は、これに向けたものであることは各位御案内のとおりであります。
 また、地方制度調査会は、本年5月12日に専門小委員会論点メモを発表し、国税対地方税の割合を1対1にすることを目指す財源調整、財源保障を一体として果たす地方交付税は必要とするなどの考えを示しました。こうした流れの中で、国、地方をあわせた長期債務残高約700兆円を抱えながら、国と地方の役割分担のあり方、それに伴う税財政改革の議論がなされていると私は思います。しかし、国の姿勢は、借金体質からの脱却を地方に転嫁しようとする姿勢を隠そうとしておりません。先ほど述べたとおり、地方分権改革推進会議など三つの諮問機関は、その根底において、見事に一致しているのであります。
 そこでお伺いいたします。
 第1点は、税源移譲のあり方についてであります。本来、地方分権は、国の関与を極力少なくする中で、地方自治体が地域の特性を生かして、まさに自主、自立の行政を行う姿に近づけることにあろうと思いますが、本県のように、県民すべてが1年間に納める国税の額が約3、000億円という状況では、すべての国税を移譲されても成り立っていかないのが現状であります。国から地方への税源移譲のあり方をどうお考えか、知事の御所見を承りたいと存じます。
 第2点は、国庫補助負担金のあり方についてであります。特に生活保護や教育関連など、地方財政法第10条関係の民生費や教育に関する経費が削減の対象となるような事態は許してはならないものと考えますが、知事の御認識を承りたいと存じます。
 これまでも、義務教育費における国庫負担金制度は、本県の教育振興に大きな役割を果たしてきたものでありますが、課題は、統制の強い学校教育システムと校舎等の建設費補助のあり方にあると考えますが、いかがでしょうか。この点については、財政にも精通している教育長の見解もあわせてお伺いをいたします。
 第3点は、地方交付税制度のあり方についてであります。地方交付税は、自治体間の財政力格差是正のための財政調整と、ナショナルミニマムの維持形成のための財源確保の二つの役割があり、かつ、この二つの機能は一体をなすものであります。しかし、今の国の議論を見ますと、財政調整機能に偏り過ぎ、肝心のナショナルミニマムの維持形成機能が軽視されているのではないかと思われてなりませんが、いかがでしょうか。いわば、この基本認識こそが、これからの地方交付税制度のあり方を決めるポイントになると考え、お伺いするものであります。
 第4点は、市町村合併と地方交付税のかかわりについてであります。地方交付税カット論こそ、借金体質からの脱却を地方に転嫁しようとする具体的あらわれであります。しかし、残念ながら、地方自治体は、交付税カット論を受けて浮き足立っているのではないでしょうか。市町村合併に係るいわゆる優遇措置などの交付税問題は、単に算定方法の一つにすぎないのであって、地方交付税制度の抜本改革と区別して考える必要があるのではないでしょうか。もし、区別できないとしたなら、特に現在、合併を検討している市町村に県はどのように説明されるお考えか、お伺いをいたします。
 次に、米の生産調整のあり方についてお伺いいたします。
 国は、昨年12月に、米政策の基本となる米政策改革大綱を決定しました。この大綱は、2008年度から農業者、農業団体が主役となる米の需給調整システムを構築することとして、2004年から、1、米の生産を生産数量で管理する方式に変更し、同時に生産者には米作付面積も配分する、2、配分された基準生産数量を超える過剰米の処理対策として短期融資制度をつくり、二元集荷システムとする、3、水田面積の一定規模以上の認定農業者と集落経営体には、生産調整への参加を条件に、米価下落などによる減収分を補てんする担い手経営安定対策の対象とする、4、生産調整助成金は、産地づくり推進交付金に切りかえて国からの交付金で都道府県に基金をつくり、市町村と農協等でつくる地域水田農業推進協議会を通じて、農業者等に助成する仕組みにするなどとしました。これらの対策は、本年の秋ごろには具体策を農業者に示すことになると思われますので、以下の点についてお伺いをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 質問の第1点は、こうした新たな米生産調整への農家の参加方式でありますが、これまでの生産調整達成率では、大都市圏での達成率は低かったのではないでしょうか。これは、大消費地を抱え、生産調整に参加しない農家が多いことを意味いたします。新たな生産調整方式では、こうした傾向がさらに強まるものと思われますが、どう見ているでしょう。また、生産調整に参加した農家は、参加しなかった農家に比べ、どのようなメリットを持つことになるのか、お伺いをいたします。
 第2点は、過剰米処理の問題であります。
 基準数量を超える過剰米は、一時的に過剰米短期融資制度による現物担保での融資対象になるようであります。販売ができなかった場合は、担保流れとなって引き渡されるようでありますが、この場合、県はどのように対処することになるのでしょうか。
 第3点は、都道府県段階に基金を積む産地づくり推進交付金でありますが、これは、担い手育成や大豆、麦などの本作化などに重点を置く産地づくり対策と、価格下落影響緩和対策をあわせて行う方式のようでありますが、基金、すなわち国からの交付金が不足する場合は、どちらの対策も要件が厳しくなるものと思われます。したがって、国に対しては、財政措置の明確化を強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、県として、これら大綱の実施に当たり、県単独の事業のお考えがあればお示しいただきたいと思います。
 次に、森林・林業問題についてお伺いをいたします。
 国は2001年に、新たな森林・林業基本法に基づき、日本の森林・林業・木材産業を活性化させ、農山村の振興を図るとしてきました。また、地球温暖化対策推進大綱を昨年3月に策定し、我が国の温室効果ガス排出を京都議定書に基づき6%削減するため、森林等で3.9%の温室ガス吸収を確保するとしております。これらの目標達成のために、農水省は現行の森林整備水準を1.3倍に引き上げることが不可欠として、昨年12月、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策をまとめ、平成15年から諸対策を講ずるとしたところであります。
 そこでお伺いいたします。
 質問の第1点は、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策に対する県の対応についてでありますが、1、整備がおくれている森林をどのように地域や市町村の森林計画に組み入れて森林面積を確保するのか、2、市町村及び流域活性化協議会における市町村森林整備計画や森林施業計画等の計画策定に当たっての精通者等、人材確保は図られているのか、3、採算面より多面的機能を維持・強化するための広葉樹林等、公的森林整備の拡充をどう図るか、4、間伐等により生産された木材の積極的活用をどう図っていくか、これらの点についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
 第2点は、労働力等の担い手対策としての緑の雇用事業についてであります。
 この事業は、昨年度に国が新設し、失業労働力10万1、000人確保を目指そうとする事業であります。一方、増田知事を初めとする8県知事が共同で、都市と地方の共感を深める緑の雇用推進県連合共同アピールを本年5月に発表しました。この共同アピールは、極めてタイムリーなものと受けとめております。
 そこでお伺いいたしますが、既に共同アピールの一員である和歌山県においては、18事業、17億円を予算化して具体的取り組みに入ったようでありますが、本県を含む8県の緑の雇用事業の取組状況をお知らせ願います。
 次に、環境施策についてお伺いいたします。
 知事は、今定例会の演述において、平成15年度の主要施策について七つの重点施策を挙げ、その中で緊急課題として、雇用と青森県境産業廃棄物不法投棄事案への取り組みと循環型社会の形成を、任期前半の2年間で成果が上がるように最優先で取り組むとの決意を表明されました。また、この間、環境首都を目指して、平成10年の環境基本条例の制定以来、環境影響評価条例を初め、平成13年には、岩手資源循環型廃棄物処理構想を策定するとともに、昨年12月議会では、産業廃棄物に関する3条例を制定するなど、まさに資源循環型社会の形成に向けた土台づくりに努力されてきたことを高く評価するものであります。しかし、真の資源環境型社会の形成にはまだまだ多くの課題があり、越えなければならない壁が存在しているものと思います。
 そこでお伺いいたします。
 質問の第1点は、昨年制定した産業廃棄物に関する3条例についてでありますが、この3条例には、廃棄物の発生抑制を促すため、再利用や再使用を推進し、県外産廃の搬入に関して事前協議を取り入れるとともに、産廃税の導入や県内で発生する産廃については、原則として、県内もしくは規則で定める圏域内で処理することを定めております。これらの施策を推進するためには、県内外の廃棄物排出事業者及び処理関係事業者を初め、市町村や関係機関の理解と協力体制が必要であり、県としての説明責任が重要になるものと考えます。県として、関係者の理解を得るために、この間どのような事業を展開してきたのか、今後の計画とあわせてお伺いいたします。
 また、県は、産廃の発生量や処理状況の把握を行い、不適正処理や不法投棄の防止に努力されてきたのでありますが、これまでの成果と今後の対応をお伺いいたします。
 第2点は、特別管理産業廃棄物の処理についてでありますが、この量は、平成9年度において約1万5、000トンであり、そのうちの87%が県外に排出されております。このような状況を打破するには、県内で特別管理産業廃棄物を処理する施設を早急に整備すべきと考えます。第2クリーンセンター構想とも言える資源循環型モデル施設の基本構想には、特別管理産業廃棄物が処理対象に含まれておりませんが、新たに整備するモデル施設に、当該廃棄物の処理を加えてはいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 質問の第3点は、県境産廃不法投棄事案についてであります。
 事件発覚以来、関係職員の精力的な取り組みに敬意を表し、高く評価をいたします。
 さて、具体的にどう対応するかであります。特別管理廃棄物の無害化処理の方法としては、溶融炉等による現地焼却処理の方法があると思われますが、この場合は処理施設を建設することになりますが、廃棄物を搬出して行う全量撤去方式との比較を、費用、処理期間、自県内処理の原則等を総合的に勘案する価値はあるのではないかと考えるのでありますが、御見解を承りたいと存じます。
 次に、障害者福祉のあり方についてお伺いいたします。
 身体障害、知的障害、精神障害のそれぞれの児(者)が、可能な限り地域の中で普通に暮らすことができるようにすることは、本人、家族はもとより、みんなの願いであります。しかし、今まで障害者への福祉施策は、措置制度として国や地方自治体が行政の責任として行い、障害者の要望にこたえるよう努力することが義務づけられてきましたが、4月1日よりこうした措置制度ではなく、障害者が福祉事業を行う事業者と直接契約して、ヘルパーの派遣や施設を利用し、国はそれに対して補助金を出すという契約制度に変わったところであります。先ほども国庫補助負担金制度のあり方をめぐる国の議論の現状に触れましたが、この支援費制度は、国の補助金交付基準をめぐり、障害者団体等からサービスの低下をもたらすものとの厳しい声が寄せられております。県は、どのような基本方針のもとに対応しているのか、市町村の実情を含めお伺いをいたします。
 次に、インランド・デポ――内陸通関基地の本県設置についてお伺いをいたします。
 この課題は、機会あるごとに申し述べてきたところでありますが、特にも今日、地方、地域の活力が求められていることから、あえてお伺いするものであります。
 この施設の有効性は言うまでもなく、現在立地している企業はもとより、新たな企業の立地と本県港湾を結ぶ物流の活発化、さらには雇用の創出を誘導するなど、すぐれたメリットを持つものであります。ついては、県においても、これまで以上に積極的な対応があってしかるべきものと考えますが、このインランド・デポの本県設置に向けての決意ある対応策をお示しいただきたいと存じます。
 次に、地震災害対応についてお伺いをいたします。
 まずもって、さきの三陸南地震によって被災されました皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧を願う次第でございます。また、県におかれては、鋭意御努力中とは存じますが、災害改良復旧に万全を期されるよう要望いたします。
 さて、既に触れられましたが、災害時における連絡手段の問題であります。実は、私もその日、会議があり東京におりまして、なかなか連絡がとれず困りました。こうしたこともあって、つくづく考えさせられたのであります。こうした緊急時における連絡手段について、関係機関とも協議し、県民向けのマニュアルをつくってはいかがでしょうか。また、消防等出動を要する方々に対しては、自宅や近所の災害状況によっては出動に対応できない事態もあると思いますが、こうした状況における連絡方法、行動基準はどうなっているでしょうか、お伺いをいたします。
 以上で本席からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、有事関連三法案についての御質問でございますが、この法案が成立したことによる現時点での評価でございますけれども、国民保護法制の整備が武力攻撃事態法施行から1年以内を目標とされているわけでございます。昨年2年ということを言われておりましたんですが――遅いという気がしますが――1年以内というふうに目標が明記されたこと、また、内閣総理大臣の地方公共団体に対する例の総合調整権と指示権、代執行権が国民保護法制が整備されるまでの間凍結されている、これは動かさないということになったわけでございまして、有事関連法案と国民保護法制を一体のものとして議論すべきと主張してまいりましたので、こうした観点から、この部分については一定の評価をしております。
 ただ、地方自治権とのかかわりで問題が提起されているこの指示や代執行の対象について、我々が今得ている国民保護法制の骨子において、6項目是正措置ということで例が示されているんですけれども、具体的に運用するための基準や内容がその中では明確に示されておりません。まだ骨子の段階ですので、その内閣総理大臣の指示や代執行の対象について明確になっていないということがありますので、今後、議論を深めていく必要があると考えております。
 国民の権利制限について、こうした国民保護法制の中で対処措置ごとに個別具体的に定められるとなっているわけでございますが、こうした国民保護法制の内容が、これから説明などがあって順次明らかになっていくと思いますので、市町村や関係機関から幅広く意見を聴取して、やはり国に対してきちんと意見を申し述べていかなければならないと考えています。
 それから、警報発令を受けた避難誘導についてでございますが、これも現時点で示されている国民保護法制の骨子によりますと、国から避難措置の指示を受けた都道府県知事は、住民に対して避難の指示を行い、それから、市町村長は職員を指揮して避難住民の誘導を行うとされているわけでございます。
 県でも、いざ何か事案が起こったとき、住民を安全な場所に避難させるためには、いずれにしても現場でのシミュレーションが大変大事であると思っておりますので、いろいろな想定に基づいた対応について、市町村や関係機関と詳細を詰めていく必要がございます。それで、早急に検討を始めなければならないと認識しております。
 また、この点についてもいろいろ課題や問題点が出ましたら、それについてその都度国に対しても意見を述べていく必要があると考えております。
 それから、三位一体の改革の関係で税源移譲についてお話がございましたが、この税源移譲は大変大事なことである、そして、ぜひこれを進めて、地方の歳入構造を地方税中心としていく方向づけが重要であると思っております。
 この税源移譲につきましては、でき得る限り地域的偏在が少なくて、そして税収に安定性がある、しかも相当の税収規模を有する、いわゆる基幹税目を選定することが大事だということで、具体的には、所得税と消費税を中心とする税源移譲を進めることが適当であると考えております。酒税ですとか、たばこ税などについては大分偏在があるので、いずれにしても基幹税目、所得税、消費税ということを主張しております。
 こういう税源移譲全体については、広く国民全体の理解と支持を得ながら進めていく必要がありますので、これからさらに、そういう国民世論の喚起ということにも取り組みを進めていきたいと思っております。
 それから、国庫補助負担金でございまして、これは今申し上げました税源の移譲と切り離して議論できるものではないわけであります。この国庫補助負担金を減らして、そして税源移譲でしっかりとした事業ができるようにしなければならないわけで、今議員からお話ありましたように、児童保護費等の負担のような民生費の部門ですとか、それから、例の問題になっておりました義務教育費国庫負担金のような教育関連経費など、これは国が実施を義務づけているものでございまして、こういったものは必ず所要額の全額を措置してもらわなければいけない。所要額の全額を一般財源化すべき話でございまして、こういったものは削減対象とすることは許されないと考えております。
 先般示されました骨太の方針の中で、地方交付税の財源保障機能について、その全般を見直して、改革と展望の期間中に縮小していくと記述されているわけで、これが変なふうにならなければいいということを大変心配するものでございます。
 改めて申し上げますが、この地方交付税制度の中で、財源保障という機能、この地方交付税を通じた財源保障というのは、まさしく国の責務であると考えているわけでございまして、特に、国が法令などによって地方公共団体に対する義務づけや一定の行政サービス水準の確保を要請する仕組みが存在している限りは、これはもう、財源保障というのは必ず国がしっかりとやってもらわなければ困ると考えております。
 また一方で、一定の行政水準が達成されたものがあったとしても、その行政水準を維持するためには、毎年度の財源確保が不可欠であって、そういう意味で、よくナショナルミニマムの達成がなされたということをもって、今申し上げました財源保障機能をもう縮小したり廃止をしていいのではないかということを言われるんですが、その論はやっぱりおかしい、それは不適当である。維持のためにも財源確保が必要なので、やはりナショナルミニマムが達成されても、こうした財源保障機能というのは続けていかなければならないと思います。
 そこで、こうした財源保障、そのほかもう一つの重要な機能として財源調整をするという機能もございますので、こうしたものを一体として果たす地方交付税制度の役割は重要であると考えております。もちろん、交付税の中でも補助金化している政策誘導的な部分というのも地方交付税の使い方として最近随分行われてきていますので、そういうものは見直しをしなければならないと思っていますし、交付税改革ということも進めていかなければなりません。その本来の目的である財源保障や財源調整的なものにこの交付税制度を限定して、本来の姿に戻す、それを必ず確保して適切に運用していく、こういう仕組みにしていかなければならないと考えております。
 最後に、こうした交付税と市町村合併との関係でございますが、この市町村合併に係る地方交付税の算定上の特例措置としては、例の合併算定がえとか、合併補正とかいろいろあるわけでございまして、こういうものは市町村の合併の特例に関する法律の中でいろいろ規定されています。こうしたものは、わざわざそういった形で法律にまで規定をされ、措置をされているものでございますので、当然、全体の地方交付税の増減にかかわらず、所要額が確保されるものと私も理解しているところでございます。
 交付税改革、先ほど申し上げましたように、交付税としても、本来の姿に戻すような改革を進めていかなければならない部分があると思います。しかし、合併についての交付税算定上の特例措置というものは、これはこれで大変重要なもので措置されなければならないと思っているわけでございまして、こうした特例措置はきちんと措置していただいた上で、県としても合併についてこれからも地域地域で議論を深めて、こうした措置も使って、いろいろと地域形成に携わっていただきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させます。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) まず、総合計画策定時における人口推計値の位置づけについてでございますが、総合計画策定時において、人口見通しの上でこれからの課題として明らかになったことは、本県でもこれまでとは違って人口減少時代を迎えるということ、しかも、全国より早く、計画期間の初期から人口減少に突入するということ、したがって、少子・高齢化の急速な進展とともに、次代を支える生産年齢人口、いわゆる現役世代が減少していくという厳しい時代を迎えるという見通しを踏まえて、今後の諸施策の展開が必要であるということであったと認識いたしてございます。
 県総合計画の人口見通しですが、最近の人口の動向と比較すると、自然減は人口見通しをやや下回って推移している反面、社会減は人口見通しをやや上回って推移していることから、全体としては、現時点まではおおむね県総合計画が想定した人口見通しに沿って推移しており、各種政策立案の基礎としての位置づけには変わりはありません。しかし、社会減が拡大傾向にあることから、このままの趨勢が続けば、この人口見通しの見直しをしなければならない場合もあり得ると考えております。
 次に、人口減に歯どめをかけていくためには、何といっても新規雇用の場の確保と、交流を通して定住する人口の拡大を図ることが重要であると考えております。
 そこで、岩手が持つものづくりの技術を生かした自動車関連産業などの集積、すぐれた人材や先進的技術を生かしたベンチャー企業の育成、コミュニティ・ビジネスなど地域資源を生かした特色ある地域産業の振興、新規就農希望者などの受け入れ支援など、多様な就業機会の創出を図ってまいります。とりわけ、若者が希望する仕事につくことができるよう、きめ細かい支援を行い、県内定着化を図ってまいります。
 こうした施策を進める一方、保健・医療、福祉サービスの充実など生活基盤の整備を図り、そこに住む人々が快適で安心して暮らせる環境づくりを進めてまいります。
 また、近年、真の豊かさを求めるスローライフの考え方が浸透する中で、都会生活から離れ、田舎暮らしへとライフスタイルを変える都市生活者がふえてきておりますので、岩手ならではの歴史や風土、伝統、文化、自然などの魅力を生かしたブランド化を図り、岩手に暮らしたい、岩手で働きたいと思うような地域づくりを進めてまいります。
 さらに、グリーンツーリズムや岩手らしいゆったりとぬくもりを感じられる旅などを推進し、都市と地方の交流を活発に行い、こうした交流を通した定住化を促進してまいりたいと考えております。
 次に、人口規模とその構造が地域経済と社会に及ぼす影響についてですが、人口減少の中にあって、少子・高齢化に伴う人口構造の変化は、例えば女性や高齢者の労働分野などへの社会参加を高めるという側面もありますが、人口が減少する社会においては、需要・供給の両面において地域経済にマイナスの影響を及ぼすとともに、社会のさまざまな面において地域の活力を低下させることとなるものと考えております。
 本県の個別計画の基本数値は、総合計画の人口推計値を基礎としておりますので、個別計画に掲げる施策の展開に当たっては、先ほど申し上げましたように、人口の社会減が拡大傾向にあるなどのその後の状況変化を十分に踏まえて、今後においては適切に対応してまいらなければならないものと考えております。
〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 米の生産調整に関連いたしまして、まず、大都市圏の生産調整の達成状況と今後の見通しについてでありますが、平成14年度で生産調整が未達成となりましたのは11府県でございまして、そのうち大都市圏の関東、近畿地域で半数を超える6府県となっております。
 新たな米政策のもとで安定した稲作経営が行われるためには、大都市圏、農村部を問わず、米の需給と価格安定を図るための生産調整にも取り組まれるべきものと考えております。
 生産調整に参加した農家のメリットについてでありますが、来年度からの新たな米政策への移行に伴い、国におきましては、産地づくり対策、米価下落影響緩和対策、担い手経営安定対策、過剰米処理対策が実施されることになっておりますが、これらすべてが生産調整を実施した農業者だけを対象とすることとされております。
 したがいまして、生産調整に参加する農業者の方々は、こうした国の支援対策により、みずからの発想と戦略を生かした経営が可能となり、また、米価が暴落した場合でも、一定の稲作所得が確保されるものと考えております。
 次に、過剰米処理の問題についてでありますが、県としては、過剰米につきましては、可能な限り麺やパン、菓子等、新たな需要に仕向け、そのことによって生産目標数量を確保することが重要であると考えておりまして、農業団体等と一体となって、ふだんから食品製造業など実需者との連携を密にし、過剰米が発生した場合には、こうした用途に仕向けられるような体制と仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、産地づくり推進交付金、価格下落影響緩和対策の予算の関係でございますが、今回の米政策の改革の成否は、産地づくり推進交付金を初め、新たに導入されます諸対策の予算が十分に確保されるかどうかにかかっているものと考えております。このため先般、産地づくり推進交付金等の対策内容の充実とあわせ、特に予算の確保につきまして、国に対し施策提案を行ったところであります。
 米政策改革大綱の実施に係る県単事業の実施についてでありますが、県では、新たな米政策に対処するため、集落の目標と戦略を掲げた集落水田農業ビジョンを策定していただくこととしておりまして、その実践活動を支援するため、集落水田農業ビジョン実践支援事業の予算化を今議会に提案しているところであります。
 この県単事業は、ビジョンに掲げました適地適作による体質の強い水田農業を確立するため、稲作作業の受委託や地域振興作物の導入・拡大など、地域特性に応じて必要なメニューが選択できる自由度の高い事業として実施することといたしております。
 次に、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策に対する県の対応についてでありますが、まず、森林面積の確保についてであります。
 この10カ年対策において、全国で適切な森林整備が必要な森林は、全国森林計画に定める育成林1、160万ヘクタールとされております。このほか、約590万ヘクタールの保安林等の適正な管理・保全を図る必要があるとしております。
 県におきましては、この全国森林計画を踏まえまして、整備・保全すべき育成林や保安林等を地域森林計画――これは県がつくるものでございますが――に位置づけたところであり、各市町村におきましても、これに基づき市町村森林整備計画を策定したところであります。
 さらに、本年度管理不十分な森林を明確にし、当面5カ年間でその森林の整備を図る行動計画として、森林吸収源対策推進プランを策定することとしておりまして、今後はこれに基づきまして、森林整備事業、治山事業等の重点的・効率的な実施や森林整備地域活動支援交付金の活用などにより、計画目標の達成に向けて着実に森林の整備を推進してまいりたいと考えております。
 次に、計画策定に係る人材の確保についてでありますが、県ではこれまで、市町村森林整備計画の策定を円滑に推進するため、市町村の林業担当職員を対象とした研修会を開催いたしますほか、森林組合や森林所有者に対し、森林施業計画樹立のための指導を行ってきたところであります。
 また、これら計画の策定に当たって、市町村等に対し県が保有する森林資源データの提供を行ってきたところであり、平成14年度には新たに森林施業計画の認定事務を支援するシステムを市町村に提供したところであります。
 さらに、市町村森林整備計画の策定に当たりましては、検討組織を設置し、地域住民や林業関係者、有識者等の参画のもとに、住民の意向や専門的な見地からの意見が反映された計画づくりが行われているところであります。
 次に、公的森林整備の拡充についてでありますが、県におきましては、公益的機能の低下が懸念されます保安林については、治山事業により広葉樹林等の整備を推進してきたところであります。
 また、盛岡市など15市町村において、起債措置により住民の水源となる森林、地域のシンボルとなる森林を公有化し、広葉樹林の育成を図っているところであります。
 県といたしましても、今後とも市町村と連携を図りながら、これらの取り組みを一層推進いたしますとともに、北上高地の厳しい自然条件のために裸地化した林地の広葉樹等の植栽による復旧、国有林と連携した野生動植物の生息地を確保するための森林の整備、里山林の整備やボランティア等住民参加による森、川、海の保全を重視した森林整備への支援など、広葉樹林等の公的森林整備の推進に努めてまいります。
 次に、間伐材等の積極的な活用についてでありますが、県では平成12年度に岩手県緊急間伐5カ年計画を策定いたしまして、平成16年度までの5カ年間に8万2、000ヘクタールを目標に間伐を推進しておりまして、間伐材等の活用については、これまで以上に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 このため、県といたしましては、緊急間伐団地を設定いたしまして効率的な間伐を進めコストの低減を図っておりますほか、土どめ工や木さく工、道路側溝ぶたなど、公共工事等での利用拡大や木質バイオマスとしての活用に取り組んでいるところであります。
 間伐材の利用拡大は、林業経営の活性化や森林の多面的機能の発揮を図る上からも極めて重要な課題でありますので、川上・川下の両面から取り組んでまいります。
 次に、緑の雇用推進県連合と緑の雇用事業についてでありますが、緑の雇用推進県連合を結成しております各県におきましては、それぞれの地域の特性を踏まえて緑の雇用事業に取り組んでいるところでありますが、平成15年度の特徴的な取り組みといたしまして、特に和歌山県の例を御説明申し上げますが、一つには、山村へのIターン希望者に対する情報発信や県外での広報活動、Iターン者が地域資源を活用して山村で行う創業への支援、林業への新規就業者の定住化を支援するための住宅の整備などに取り組んでいるところでございます。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 産業廃棄物に関する3条例についてでございますけれども、まず、関係者の理解を得るために、市町村はもとより、産業廃棄物処理業の許可業者、それから排出事業者等を対象といたしまして、県内外各地で計11回の説明会を開催いたしましたほか、条例、規則等をホームページへ掲載いたしまして、さらには、産業廃棄物税及び環境保全協力金に関するリーフレット及びポスターの配布を行ってきたところでございます。
 今後、さらに3条例の一層の周知、普及を図るため、繰り返し県内各地域における説明会を実施するとともに、来年1月1日の産業廃棄物税条例施行にあわせ、直前の本年10月に特別徴収義務者等に対する申告説明会を実施し、手続面におきましても円滑な導入、運用に努めることとしております。
 次に、不法投棄廃棄物防止対策につきましては、地方振興局に適正処理指導員を増員するなど体制を強化してまいりました結果、指導を要する不適正処理の件数は減少に転じております。
 今後は、本年度新たに廃棄物監視指導実務マニュアルの作成や土、日及び祝祭日も含めた産業廃棄物処理施設等への立入検査の強化等に努めていくこととしております。
 次に、特別管理産業廃棄物の処理についてでありますけれども、平成12年度に循環型廃棄物処理構想を策定いたしました際は、特別管理産業廃棄物の処理については、県北地区における需要が少ないと見込んでおりましたことから、処理構想による資源循環型モデル施設では、この処理を想定していなかったものでございますが、特別管理産業廃棄物の県内の処理体制は十分とは言えませんで、その多くが県外に搬出されている状況にありますことから、廃棄物全体の自県内処理を目指すためには、特別管理産業廃棄物の処理を資源循環モデル型モデル施設におきましても行うことも検討する必要があると考えております。
 次に、県境不法投棄廃棄物については、基本的に全量を撤去し、既存処理施設に搬出して処理する方式を想定しているところでございますが、先月、特定産業廃棄物の除去に関する、いわゆる特別措置法の成立を見ましたことから、改めて考えられるいろいろな方法のメリット、デメリットをチェックいたしまして、適切な実施計画を作成していく必要があると考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) 障害者福祉のあり方についてでございます。
 支援費制度は、障害者によるサービスの選択と契約による利用というものが基本になることから、障害者のニーズを的確に受けとめ、必要なサービスを提供していくことが重要であります。
 このため県としては、利用者への利用制度の周知、相談窓口体制の整備、ケアマネジメント従事者研修の実施、サービス提供基盤の整備など、制度の定着促進を図ってまいりました。
 施行の状況でございますが、当初、御指摘のような交付基準につきまして不安がございました。その後、個々の支給料の上限を定めるものではないという考え方が示され、落ち着いたところでございます。
 支給状況でございます。居宅支援、施設支援合わせて6、300人が支給決定されておりまして、障害者の約1割が利用していることになります。当初、市町村が想定しましたのが約4、800人でございましたので、これよりも3割ほど多くなっているという状況にございます。
 また、サービスを提供する事業者指定状況でございますけれども、居宅支援、施設支援合わせまして532事業所と数が多くなってきていまして、特にホームヘルプ、ショートステイなど、サービス提供の中心として期待されます居宅支援事業者が大幅に拡大している状況にございます。
 施行後3カ月を経過しましたけれども、これまで、支援費支払事務を含め大きなトラブルもなく、おおむね順調に推移しているところでございますが、今後、さらなる検証なり点検というものを改めて進めてまいりたいと思いますし、制度上課題となっておりますのが、障害者のケアマネジメントの支援費制度上への位置づけ、あるいはホームヘルプサービスの国庫補助基準の見直しなどがありますので、これらは国に要望してまいりたいというふうに思っております。
   

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君)  インランド・デポの本県設置についてでありますが、インランド・デポ設置の実現を図る上で最大の課題は、端的に申し上げまして、通関実績が少ないことにあるというふうに考えております。その理由としては、県内の輸出関連貨物の大口を取り扱う誘致企業等の通関が、京浜地区等に陸送された後に、本社ですとか商社を経由して行われるということ、それから外貿コンテナを扱う内航フィーダー船が、宮古港の週1便しかないことなどであると承知しております。したがいまして、県内の通関実績を上げるため、本年度、改めて県内企業の輸出入の動向やインランド・デポ利用上の問題点などを調査し、その結果を踏まえながら、私どもとしても直接企業に出向き、インランド・デポの必要性について説明し、県内での通関実績向上へ向けて協力依頼活動を進めていきたいと考えております。また、県の港湾ビジョン、これに基づきまして、内陸物流と港湾機能のネットワークの強化、これについても検討してまいりたいと思っております。
 こうした取り組みを進めながら、地元商工団体等と密接な連携を図り、設置に向けて、函館税関を初め国に対して積極的に働きかけるなど、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 今回の災害におきまして、公衆電話や災害用伝言ダイヤル171の有効性は実証されているわけでございまして、こうしたものの災害時の利用マニュアルにつきましては、電気通信事業者においても検討されることと思いますけれども、県といたしましても、災害時におきます通信のふくそうの緩和を図る上で極めて重要と考えておりますので、市町村、関係機関と協力いたしまして、普及・啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、地震等の災害が発生した場合の消防団員等の連絡方法でございます。市町村で設置しております防災行政無線や有線電話というものを使っているわけでございます。そのほかに、一般回線電話、携帯電話等も用いられておりますけれども、一部の市町村では団員へのポケットベルの配布、あるいはメールの一斉連絡といった新しい取り組みも見られているところでございます。
 地震等の災害が発生した場合の消防団員の行動基準についてでありますが、消防団長からの招集があった場合のほか、災害の発生を知った場合にはみずから直ちに出頭し、その職務に従事するということになっているものでございます。
 なお、消防職員につきましては、一定規模以上の地震等の災害が発生した場合には、自主的に勤務場所に参集することになっているものでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 校舎等の建設費補助についてでありますが、義務教育は、すべての国民に対して教育の機会均等と一定の水準の維持向上を図るものであり、義務教育国庫負担制度がその財源的裏づけを担っております。児童生徒の学習の場である校舎等の整備につきましても、現在、この制度により進められてきたところでありますが、時代の要請でもあります地方の権限と責任の拡大という地方分権を推進する観点から、地方の財源保障が確実に措置がなされ、地域が主体的にその実情に応じた特色のある施設整備ができるような仕組みに持っていくべきものと考えております。
 次に、統制の強い学校教育システムについてでありますが、特色ある教育や学校づくりを進めるためには、何よりも学校の裁量を拡大し、各学校が自主性、自律性を高め、主体的に適切な学校運営を行い得るようにすることが重要であると考えます。これからの学校教育システムのあり方については、国と地方が適切な役割分担のもとで、可能な限り、地域の実態、実情に応じた教育を実施できる地方分権の立場に立った仕組みとすべきものと考えます。
 こうしたことから、義務教育費国庫負担金のような教育関連経費の扱いも含めまして、現在、作業が進められております一連の改革の動きを、あるいは検討経過を、細大漏らすことなく、厳しく注視してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) 有事関連三法成立に関連しまして、県民の生命、身体、財産の保持のための岩手県警察の対応ということでございますが、これにつきましては、国民保護のための法制ということが今後整備されることとされておりまして、政府においてその輪郭が示されているところでありますが、これによりますと、警察は、地方公共団体による避難の措置、それから武力攻撃災害に対する応急措置、交通規制等について消防、自衛隊等と連携して補完または支援するということとされております。また、都道府県公安委員会は、生活関連施設の安全確保のため、当該施設周辺の立入制限区域を設定すること、それから、緊急輸送の確保等のため交通規制をすることとされております。
 今後、同法制の制定動向を踏まえながら、関係機関との協議により、相互の連携などについて検討を進めていく必要があると考えております。
 それからまた、今国会で成立しました有事関連三法のうち、いわゆる武力攻撃事態対処法では、武装した不審船の出現、大規模なテロリズムの発生など、武力攻撃には至らないが、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼすような緊急事態、こうした事態に迅速かつ的確に対応するため、必要な施策として、警察、海上保安庁等と自衛隊の連携の強化ということを掲げておりまして、県民の生命、身体、財産保護のために、必要な場合には自衛隊等と連携して対応するということになります。
 それから、なお、岩手県警察と陸上自衛隊第9師団、この間で昨年5月20日に治安出動の際における治安の維持に関する現地協定というものを締結しておりまして、県内において一般の警察力をもっては治安を維持することができないというふうに認められ、自衛隊に対して治安出動が下令された場合に、その事態の対処ということはもとより、交通整理それから質問、避難等の措置などについても、相互に連携・協力して対処するということにしておりまして、これは既に具体的な検討段階に入っております。
 また、自治体消防との連携ということにつきましても、県民の生命、身体、財産の保護を要する事態が発生した場合には、当然、連携を強化してそれぞれの役割を果たすということになろうかと思います。
 いずれの場合におきましても、関係法令に沿って主要の措置を講じ、県民の安全確保に努めてまいる所存でございます。

〇48番(小原宣良君) 知事に2点お伺いしたいと思うんですが、一つは、有事法制にかかわることでございますけれども、有事法制を持つことは大事だが、発動させないことはもっと大事だという意見もあるんですね。それは私も聞きます。
 知事は、今お話がありましたように、国民保護法制こそ基本であると、こういう認識に立っておられわけですね。しかし、警察の方でもさまざまな対応というものを想定するわけでありますけれども、この国民保護法制という部分は、有事、戦争、こういうものが起きた場合にはあくまでも受身ですね。そうなった場合には県民をどう守るかと、こういう意味で受身であります。
 そこで、外国から攻撃を受けた場合にどう措置をするか、あるいは防衛をしていくかということが議論をされておりますけれども、外国から攻撃を受けない防衛策、これが必要ですね。もし、こういうことについて対応するということであれば、外国軍隊よりもすぐれて強力な軍事力を持つということが一つでしょうし、それからもう一つは、この戦争というのは外交の破綻から来ますから、徹底して、徹頭徹尾、外交に徹すると、こういうものの考え方の中で対応していく、こういうことですね。こういうことになってくると、この国民保護法制という中で具体的に対応が今求められようとしている。しかしながら、これは攻撃を受けない防衛策というものをしっかりととらえていかなければいけないということが、主張点としてなければならないと思うんですね。残念ながら、全国の知事さん方でも、こうした外交の必要性、そこにすべてをかけて日本を守っていく、国民を守るという視点、これは残念ながら見受けられない。
 そこで、防衛の基本は私は外交にあるというふうに思いますが、知事の見解を改めてお伺いしておきたいと、認識、これをお伺いしておきたいと、こう思います。
 それから、財政の問題について、地方交付税にかかわる問題等については、あるいは地方分権にかかわる認識について、知事の認識、よくわかりました。
 私は、先ほども質問いたしましたけれども、税の移譲、税の移管、こういう部分について基本税目である所得税、消費税がよいと、こういう認識であります。ただ、先ほども申し上げましたが、岩手県民が、全県民が1年間に納める所得税、これを全部集めても3、000億円程度なんですよ。そういう中で、基幹税目である所得税と消費税を仮に地方税として移譲されても、これはまさに部分の部分でしかないということです。したがって、地方交付税制度というのは、堅持をされるべしということなんですね。ですから、そこのところは、地方分権自立という点で、部分的であっても、それはこれからの地方分権という形に向かう一過程として評価できるんだと、そこから全体的に地方分権は展開できるんだという認識でございますか。これは、基幹税目である所得税、消費税、これを地方税という形で移譲されても、我が岩手のような部分についてはこれはどこにも足りない。そういう中で、どう一定の行政水準を保つための税源というものを確保していくのかということが、私は説明としては若干不足といいましょうか、弱いのではないかというふうに思い、お伺いをしたわけであります。
 それから、合併との関係についての議論でありますけれども、今の現行制度の中で優遇措置がとられるということであるから、それは信頼していいと、その現行制度の中で推移するであろうということでありますけれども、一方で、地方交付税の抜本改革という議論が三位一体の中でなされているということでありますから、そこが意識、認識として、錯綜しないようにしなければいけないということですね。逆を言うと、それは混同している部分があるのではないのかという部分をお伺いしたわけでありまして、その部分を県はどのように整理をしながらこの合併という、推進ということに対応をしようとしているのかという2点についてお伺いをして、私の再質問を終わります。

〇知事(増田寛也君) お答え申し上げます。
 まず、有事法制の関係でございますけれども、今、外交が基本であるというお話がございましたが、それはそのとおり、おっしゃるとおりだと私も思います。知事として、県民の生命、身体、財産を守るという大変重大な責務がありますので、あらゆる事態を想定して、法の空白があっては困るという意味で有事法制、それから国民保護法制と、こう言っておりますけれども、病気に例えれば、こういった有事法制というのは治療とか対症療法に当たる分野でございまして、それ以前の段階で今まで以上に予防に全力を尽くすと、このことが私は大変大事なことだろうと思います。したがって、外交がさらに広い立場で見れば、高い立場から見れば平和の基本であると、こういうふうに私も考えているところでございます。
 それから、交付税の関係でございますけれども、確かに本県で国税が3、000億円に満たない、2、900億円ぐらいだったかと思いますけれども、そのくらいの数字でございます。これは全国的にもいろいろ地域によって偏在がございますので、それを調整しているのが地方交付税ということで、この地方交付税の中で財源保障機能については随分いろいろな議論があって、縮小ということを言われて、これは断固として封じなければいけないということですが、見ておりますと、幸いにしてというか余り楽観視をしてはいけないんですが、財源を地域間で調整をする機能については、これは経済界の人も含めて大方の人が、そういう調整機能は残していかなければならないだろうと、こういうことを言っておりますので、これもよく気をつけて見ていかなければならないし、そういう機能はもちろん大事でございますので、我々も財源保障機能と同時に、そういう調整機能すべてをしっかりと守るということで交付税制度のことを考えていかなければならないと思っております。
 それから、あと、合併との関係でお話がございましたが、これはちょうど同時並行的にいろいろ進んでいるので、よく峻別をして考えなければいけないと思います。交付税総額がどうしても今、国のああいう特会が借金に頼っている状況でございますので、総額の中での取り合いのような形になってしまうというのがなかなか複雑でわかりづらくなっているのは事実ですけれども、合併のそういったさまざまな合併法制とか特例措置ですね、それはそれということ、それから交付税改革とか交付税を見直す動きについては、これは別にきちっと分けて、それでそれぞれで、いい地方自治が進展する、自立するためにいいあり方を分けてきちっと考えなければならないと、このように考えております。

〇48番(小原宣良君) 再々質問で恐縮でありますが、環境生活部から先ほど御答弁をいただきましたが、資源循環型モデル施設、第2クリーンセンターというふうに通称呼ぶわけでありますが、この部分に特別管理産業廃棄物の処理を含めることについて検討をすると、こういうお話でありましたね。それは大いに検討し実現に向けて御努力をいただきたいと、こう思います。
 それで、関連でありますけれども、県境産廃の不法投棄にかかわってこれの処理、私は、溶融炉等による現地焼却処理を考えてはどうかというふうにお伺いをしたんです。それについて、現地処理という部分についてはお答えがなかったんですね。これは、国との関係で整理中なのか、あるいはそれはちょっと考えにくいと、私の聞きようが悪かったかもしれませんけれども、そこのところをはっきりさせていただきたいし、県内処理を基本とすると、原則とするという点で言えば、この第2クリーンセンターの設置に合わせて、これは早急に特別管理産業廃棄物の処理と、これは県境の廃棄物処理ということと合わせた形で対応するか、要するに、現地処理対応をするか、それがなかなか無理だということであるならば、その第2クリーンセンターの施設を早期に立ち上げてそこで処理をしていくか、県外に持ち出さないで処理をするかというところについてはちょっと不明でございましたので、改めて御説明をいただきたいと思います。

〇環境生活部長(中村世紀君) まず、現地処理あるいは搬出をして処理をすると、いろいろな方法があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろな方法のメリット、デメリットをチェックした上で、計画を立てていかなければならないというふうにまず思ってございます。これが一つでございます。
 もう一つは、資源循環型モデル施設、これは私どもも早期に建設をしたいと思っておりますが、この施設は、地域の需要に応じた産業廃棄物と、それから市町村が処理することとされております一般廃棄物等を共同で処理をするということを基本といたしまして今まで検討してまいりました。したがいまして、この施設で県境産廃を仮に処理をするということにつきましては、関係市町村の理解を得ることが必要であると認識しております。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 議案第1号平成15年度岩手県一般会計補正予算(第1号)から日程第36 議案第35号公平委員会の事務の受託の協議に関し議決を求めることについてまで

〇議長(藤原良信君) この際、日程第2、議案第1号から日程第36、議案第35号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので発言を許します。斉藤信君。


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