平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇2番(中平均君) 自由・県民会議の中平均です。
 ことし4月の統一地方選挙におきまして県議会に議席をいただきました。改選後初の定例会におきまして、先輩・同僚議員の御配慮をいただき、一般質問の機会を得ましたことに感謝申し上げます。
 一般質問最終日であり、重複する点も出てまいりますが、知事並びに執行部の率直な御答弁をお願いいたします。
 現在、岩手県を取り巻く環境は激変しており、今後も急激な変化が予想される中で、政治、行政の果たすべき役割と責任は、これまで以上に大きくなってくるものと思われます。
 知事が常に言われているように、中央省庁主導の明治以来の中央集権型から、住民が主役の地方分権の推進が求められています。その実現のためには、県議会においては、行政のチェック機能の充実はもちろんのこと、より積極的に政策の提言など、県民の生の声を直接聞き、行政に反映できる立場にあることを自覚し、行動していかなければならないと考えます。
 また、行政においては、職員個々人の公僕としての意識をより徹底するとともに、責任の所在がより明確な体制を一層強めていかなければならないと考えます。
 以上の視点に立ちまして順次質問をさせていただきます。
 まず、責任ある政治と行政の確立についてお伺いいたします。
 知事は、約8年前の所信表明で、県政の究極の目標は、県民一人一人が心から幸せを感じるとともに、夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる生活を実現することであり、このため、常に県民の先頭に立ち、渾身の力を込めて県勢の発展と県民生活の向上に取り組む決意であると表明され、県政推進の基本姿勢とされたところであります。このことを、活力に満ちた夢あふれる県土づくりに挑戦と要約され、きょう今日に夢県土いわてのキャッチフレーズとなって今にあります。実現に向けての具体的な手段として、人、もの、情報が県施策推進の綱領とされました。まずこのことを申し上げまして、以下お伺いいたします。
 知事は先般の演述で3期目を新たなスタートとしたいと宣言いたしました。また、今までの2期の公約、施策でも、見直すべきところは大胆に見直し、また、大胆に改革を進めると明言されています。その姿勢は高く評価されるべきものと考えます。
 そこで知事、今までの2期8年間に実施してきた政策のどこに問題があり、見直す必要に迫られたのか、具体的にお示しください。
 県財政の悪化は、県側の資料によれば、夢県土いわて実現のために行ってきた事業のためと記載してあります。現在の県財政の悪化は、知事及び執行部にとって数年前から予測できたことではないかと推察します。そのうちに景気がよくなるということで対応を放棄してきたとは思いませんが、ことしに入ってからの知事の発言及び財政再建の動きは余りに急激な印象を受けます。
 2期8年間の施策を見直す上で、責任を持って説明する義務が知事にはあると考えます。その責任を果たしてこそ、今任期4年間の知事の施策の成否にも直接つながってくるものであると考えます。政治家として、県行政のトップとして、まず説明責任をきちんと果たしていただきたいと考えます。御答弁をよろしくお願いいたします。
 次に、知事の3期目に臨む姿勢と施策についてお伺いいたします。
 前段でも触れたところでありますが、8年前知事は、所得水準の向上と県北・沿岸地域の振興について、特に他地域と比較して格差が見られる県北・沿岸地域の振興について、恵まれた環境を大切にしながら、地域が持つ発展の可能性を最大限引き出し、経済の活性化と生活環境の整備充実を図ることにより、地域の個性や特色を生かした地域づくりを進めることが重要であり、とりわけ県北・沿岸地域については、基盤整備に努め、収益性の高い農林水産業の展開などを提唱されておられました。
 現在の県北・沿岸の状況を見るとき、今なお当時の知事の発言は地元要請の高い課題と思っております。このことについて、知事が3期目に臨むに当たり、みずからを評価されてどのように認識しておられるか、率直な所見を伺いたいと思います。
 次に、地域振興について伺います。
 まず第1に、新幹線盛岡以北の開業に関する県の対応についてお伺いします。
 青森県八戸市まで新幹線が延伸して半年が過ぎました。県は盛んに、新幹線開業効果を上げるため、アクセス道路整備と各種観光PR活動を行ってきましたが、同じ岩手県内である二戸駅を中心とした点にとどまっているように見受けられます。
 県北地域は、二戸市、そして青森県の八戸市とも、歴史的、地域的、経済的なつながりが強い状況にあるにもかかわらず、県の新幹線開業時に際しての新聞広告、また、県の各種資料等にも、二戸市からのアクセス道、所要時間しか掲載されていません。本当の意味での開業効果、岩手県内への観光目的の流入人口をふやし、経済効果を上げるためには二戸市だけとの連携のみでなく、乗降客が多い八戸市からの県北・沿岸へのアクセスを充実しなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
 八戸経由の観光客誘致のために、アクセス道路の整備を進めると同時に、積極的に県北・沿岸の観光PRを行うべきであると考えます。知事が言う北東北3県の連携強化を目指す上でも必要なことであり、積極的に取り組むべきだと考えますが、県の方針をお伺いいたします。
 次に、県内港湾の積極活用策についてお伺いいたします。
 岩手県の重要港湾4港の港湾使用料は、東北他県の港湾に比べ高い使用料のものもあります。この港湾の使用料の大幅な低減を行うとともに、各港湾のポートセールスの充実を図ることにより利用促進が図られ、荷揚げ料の増加を促すことになると考えます。それによって、新たな雇用の創出等、はかり知れない経済効果が上がると考えます。県においても現在検討中と伺っておりますが、県当局の考え方をお伺いいたします。
 続きまして、沿岸部と盛岡とのアクセスについてであります。
 今述べました港湾の積極活用を促すためにも、県内陸部への現在のアクセス道路網の整備は必要不可欠であります。また、知事の盛岡への90分構想は、長年地理的なハンディキャップを負わされている沿岸住民にとって、まさに胸を打つものでありました。厳しい財政環境の中での今後の道路網の整備計画及び90分構想についてお聞かせください。
 次に、花巻空港の利用促進についてお聞きします。
 現在、県では、利用促進に向け各種の取り組みを行っているところでありますが、より積極的に活動するべきではないかと考えます。他県の自治体においては、民間旅行会社等に商品として組み込んでもらうべく、積極的なポートセールスが展開されていると仄聞しています。地元の花巻市のみの活動ではなく、県としても運動を強力に推進していくべきであり、また、このことは、花巻空港に限らず全般に言えることですが、県に多大な経済効果をもたらす観光客を呼び込むために、従来の価値観にとらわれない発想を持って利用促進を図るべきだと考えますが、今後どのように取り組まれるかお伺いいたします。
 次に、地産地消についてでありますが、地産地消を推進するためには、まず県民に密着した活動が必要と考えられます。他県の人に、また、地元以外の人から、地域の特産品を聞かれて何人の人が明確に答えることができるでしょうか。岩手県をアピールするのは、まず県民一人一人の見識によるものであると私は考えます。岩手県出身者からの他に対する発信がなければ、県の目指す岩手ブランドを、将来に向け確立するのは不可能であると考えます。地産地消を一過性のものにしないためにも、地域教育と連携をとり地元学を発展させることこそが、真の意味での地産地消の確立に向けた重要な一因になると考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 地方自治のあり方についてお尋ねします。
 知事は、霞が関スタンダードを廃し、地方が自立した存在になっていくことが必要と言われています。国に対して補助金等の一括配分をさらに求めていくべきだと考えます。また、県から市町村への補助金のあり方も同様にすべきであり、国から、直接市町村に補助金が行くような体制を目指すべきだと考えます。そうすることによって、県も市町村も、自己責任のもとで独自の考えで施策を行えることになり、地方自治の推進とともに、個性ある自治体となっていくと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、知事は、財政再建の一環として、県の人件費を初めとするあらゆる面について、聖域を設けることなく大胆に改革を行うとありますが、人件費の削減は非常にデリケートな問題を内包しているように思えます。まず、職員のモラルの低減を誘引する点、行政の高度化、多様化に伴う人材の確保が難しくなる点など、また、加えて、岩手県の給与水準は全国的に低く、公務員給与は、岩手県の場合、平均所得水準を押し上げるとともに、消費動向を牽引している一面は否めないと考えますが、具体的にどのように削減していくのか、所見をお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 国との制度の関連についてお伺いいたします。
 国の3月決算時期に合わせ、県、自治体も予算は3月決算となっています。そのことにより、岩手県にとって公共工事の施行に一番不利な条件下、また、発注者側にとっても冬期の補正をしなければならない時期に、あえて予算を執行せざるを得ない状況であります。また、予算処理上、原則として繰越金を認めない決算制度により、予算を使い切らなければならないという意識が存在し、予算消化のための事業執行という、手段と目的が変わってしまうおそれがあります。抜本的な制度改革、意識改革を国に対しても求めていくことが、財政再建の観点からも必要なことと考えます。簡単に変革できる問題ではありませんが、県としても発信していくべきではないかと思料いたします。知事の考えをお伺いいたします。
 IT施策についてお伺いいたします。
 岩手県の広大な県土の中、地理的要因により、社会資本の整備がおくれているのは事実であります。その中で、情報の分野こそが技術開発の進展等の社会的要因により、先進地と同等のサービスとなり得るものではないかと考えます。現在、インターネット端末としての利用法も飛躍的に進んでいる携帯電話の不感地域の解消こそが、情報先進県を目指す岩手県にとって必要だと考えます。現在、県でも国庫補助制度を活用し整備を進めているところではありますが、より積極的に県単独の政策として立ち上げ、最低でも主要道路沿いの不感地帯の解消の促進を早急に進めていくべきではないかと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、教育を取り巻く環境についてお伺いいたします。
 現在、小中学校周辺における安全環境の整備が望まれています。現実には、通学路に歩道がなく、あっても旧基準のために狭く、街路灯も少ない地域が多いのが実態です。次代を担う子供たちが、安心して学ぶ環境をつくっていくことの整備が必要ではないかと強く考えますが、県としてどのように整備を進めていくかお伺いいたします。
 また、教員の不祥事が続出している今、質の向上が盛んに言われています。身内意識にとらわれず、教員みずからの意識改革のための施策を、より強力に推進することを強く望むものであります。適切な教育環境や教育体制・制度を整えていくことが、あすの岩手を担い得る人材を育成することになります。しっかりとした道筋をつくることこそが、将来の郷土発展に向け、私たちが今なすべきことではないでしょうか、県の所見を伺います。
 また、先ほどの地産地消の推進についても触れましたが、教育の現場において地元学と連携し、地場産品の積極的な活用とともに、事業の場において地元産品の安全性、優位性を理解することにより、初めて自分のふるさとで何がつくられているかわかるのではないでしょうか。これは、1次産品に限らず、2次、3次、また、地域に伝わる伝統行事等にも言えます。
 少子・高齢化、核家族化が進み、地域社会の共同体としての意識が失われつつある今、各地域における地元学の発展がより必要であります。この推進により、週休2日制の土曜日の積極的な活用とともに、地域と触れ合うことが健全な青少年の育成につながっていくと考えます。また、地域のコミュニティーの文化、すなわち、結の精神の再構築にもつながっていくものと考えます。現在、県でも地域教育推進員の配置などを行っていますが、予算措置を一過性のものではなく、継続的なものにしなければ効果は期待できないと考えますが、いかがでしょうか。
 また、各部局で分散している地元学関連の予算を一括に、効率的に使用していくことが、知事の言う、縦割り型の行政から真に住民の側に立った行政サービスになると考えますが、統一的な予算運用についてお伺いいたします。
 県立高校の再編についてお伺いいたします。
 各地域において高校の再編が進められておりますが、千厩においては、統合後の高校においてグラウンド整備がいまだ進まず、旧校舎のグラウンドを使用している実態と聞いています。生徒にとって、多大な不利益を与えていると考えます。また、このようなことは、今後の高校の統廃合についても影響が大きいと考えますが、県として今後の方針について伺います。
 また、統合後の旧校舎の活用について、現在どのように行っているのか。県の現在の方針では、積極的な活用を考えていないようにとれますが、地域のコミュニティー施設として、県有財産の枠にとらわれることなく、柔軟な活用を考えていくべきではないかと考えます。使用されない建物は急激に劣化していくものですから、方針を速急に決め動き出さなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
 県のスポーツ振興についてお伺いいたします。
 知事は、所信の重点7項目の中で、スポーツ振興を行うに当たり、スポーツセンターをつくり、生涯スポーツを推進することとありますが、どの程度の規模の施設を考えているのでしょうか。スポーツ振興は、国体等の大会でいい成績を得ることのみを目的とするのではなく、中長期の視野に立ち、スポーツの振興によって住民や地域に活力があふれるような計画を求めます。
 私が考えるに、スポーツ施設を整備するに当たり、高校の廃校舎の活用とともに、新設施設に関しては県外からのスポーツ合宿等を受け入れられるだけの規模・内容の充実を図り、完成とともに誘致活動も徹底させる、そのことが、ふだんテレビ等でしか見ることのできない本物を地域の子供たちが直に見ることになり、スポーツの振興につながるとともに、地域に経済効果を生み出していくと考えます。中途半端に立派な施設は維持費だけがかかり、地域に負担のみを強いることになるのは今までの箱物行政の典型ですので、同じ失敗を繰り返さないためにも、県の所見をお伺いいたします。
 環境問題についてお聞きいたします。
 環境を維持し、次世代に残すことが必要なのは言うをまたないところであります。そのためには、まず、生活排水等の処理をしていくために下水道等の整備が必要だと考えます。岩手県内の下水道普及率は非常に低い実態にあり、また、森林環境の悪化、河川の汚染、最終的に海が汚染され、基幹産業である漁業への影響は深刻なものがあります。下水道整備、各集落排水事業の整備が急務であると考えますが、現在の整備計画では、非常に遅々として進まない現状にあります。環境首都を目指す県として、もっと重点的に整備を推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 防災対策についてお伺いいたします。
 現在の予算配分を見ると、災害復旧の予算は計上されていますが、事前の防御とも言うべき危険地域の整備は進まず、毎年同じ路線でまた同じ箇所で、同じような崩落などが起きているなど、結果が出てから動き出すというのが現実であり、後追いのそしりを免れない実態があると聞いております。予防的な観点に重点を移すことによって最小限の被害となり、結果として費用も少なくて済むと考えますが、県の考えをお伺いいたします。
 行政評価についてお聞きいたします。
 県は、政策形成・予算編成システムを今年度より導入しました。政策形成、予算編成において、画期的なものであると考えます。しかし、疑問な点もありますので質問させていただきます。
 まず第1に、評点をつけるのが知事を初めとする行政側の人間のみであり、公益性、緊急性等、決定の要素が行政側の視点にのみ偏ってしまうのではないかというおそれがあると思います。外部の有識者の意見を取り入れ、さらに評点の各人のつけた点数を公開するとした手法をとることにより、第三者や県民の理解につながるものと推測しますし、より自主性及び責任の明確化、透明性が図られると考えます。いずれ、実態を見て改善していくということだとは思いますが、県の考えをお伺いいたします。
 第2に、経済効率のみを優先されるのではないかという懸念であります。
 知事に留意していただきたいことは、B/Cすなわち費用対効果、また、人口比率を優先していくことになれば、岩手県の中でそのような費用対効果が上げられる地域というのは限られている中、国の施策と同じように、実質的な地方切り捨てになっていくのではないかという懸念があります。公共事業の性格上、費用対効果は少なくても公益性、緊急性の観点がより重要であることは言うまでもありません。また、新聞記事にあったように、県が各種事業に対する県費かさ上げ補助を削減するという報道により、国の直轄の事業で、地域にとって必要な事業に対しても、県負担の補助金を出さないのではないかという不安が市町村に広がっています。県の負担がなければ、地元市町村だけで国の事業を受け入れるのは実質不可能であり、この点についてどのように考えているのかお聞きします。
 知事は、霞が関スタンダードの中で、社会資本整備は進んだが、地方の自主、自立の精神は損なわれたと判断されておられます。自主、自立、責任が損なわれたとの見方には、私も異論はありません。ただ、社会資本の整備が進んだというのは、どの時点のどの地域を基準とされて言っておられるのか。岩手県の中でも社会資本整備に格差がある中で、あとは各地域の自助努力でと言われても、現状に差がある以上、地域間の格差が先に生じるという矛盾は、明らかであると言わざるを得ません。知事も、市町村要望等県内各地を実際に見て、決して最低限の社会資本が整った地域ばかりではないのを実感していると思います。必要な公共事業は推進していく、その中で知事の所信表明の中にある選択と集中により、今まで並行型だった予算配分を、集中投資していくことでより早く効果を上げていく、また、現在行われている各事業主体施行の公共事業の連絡調整をより徹底することによって、効率的な事業施行をしていくべきだと考えます。そうすることが、予算の削減にもつながり、また、県民の評価も得られるのではないかと考えます。これからの公共事業の進め方について、選択と集中により改める気持ちがあるのかどうか、知事にお伺いいたします。
 最後の質問となりますが、産業廃棄物不法投棄に代表されるような、行政の瑕疵によっていわゆる負債が大きくなったものに対して、行政の責任、反省をしっかりと踏まえて事後の対処に進んでいくべきだと考えますが、現在、県から明確な態度というものが出ていない状況です。これでは、県民は納得できないのではないかと考えます。当時の担当者、責任者のみの問題とするのではなく、県として責任論とともに、今置かれた現状、ミスを起こした県の体質改善と実際の対応について、中長期的な観点に立って、いかに打開し解決していくべきかという将来設計を打ち出すべきだと考えますが、この点を知事はどのように考えておられるかお聞きします。
 知事におかれましては、今議会の知事演述、また、答弁において、聖域を設けない大胆な改革、痛みを伴うといったフレーズを多用されています。ぜひとも、言葉だけに終わらない、パフォーマンスだけに終わらないよう期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 中平均議員の御質問にお答えいたします。
 まず、2期8年の私の進めてきた行政の総括についてお尋ねいただいております。
 重複する部分がありますので、要点のみ申し上げますけれども、一言で言いますと、国に依存し過ぎた行政ということで、この間に国に対しての信頼感が全く崩れたと、こう私は思っております。
 具体的にということでございましたが、今まで申し上げておりますとおり、公共事業等による社会資本整備なども集中的に実施をしてまいりましたけれども、いい面が大変多かったわけでございますが、財政的にはやはり多く負担がかかったということ、それから、景気低迷やさらには交付税の大幅なカットといったようなこともございました。こうした過程の中で、経済的のみならず精神的にも、安易に中央の考えを受け入れていく、そうした傾向がやはり助長されてきたのではないか。全国画一的ないわゆる霞が関スタンダードの受け入れというのは、公共事業にとっては必ず起こり得ることでありますので、そうしたこともありまして、こうした姿勢を全面的にこの際切りかえていかなければならない。これからの4年間を、自立に向けていろいろやるべきことをやっていかなければならないという、そういう考え方に立ったのは、今のようなことを背景にしてのものでございます。
 それで、こうした県財政の悪化が知事ないし執行部にとって数年前から予測できたのではないかと、こういうことでございますが、現在の中期財政見通しのベースになっておりますのが、平成11年6月現計予算をベースにしてつくり上げられたものでございまして、この中期財政見通し、平成11年10月に策定をしたものでございます。その当時としては、総合計画に掲げられております大規模プロジェクト、それから最新の経済指標を踏まえて推計をしているわけでございますが、その後、景気低迷が今日までずっと、しかもなおかつ大幅に続いていると、そのマクロ経済全体の動きと、それから、例えばこの2年ちょっとになりますけれども、小泉政権が発足して以来、国の財政構造改革がより加速をしてございますけれども、その中で交付税等の大幅カット、それから臨時財政対策債の創設といったようなことで、こうした財政状況をめぐる環境が大幅に変わってきております。私どもも事業を進めていく上で、起債などに財源を求めるということを多く行ってまいりましたので、公債費が後年度どれだけ増嵩するかということはもちろんわかっているわけでございますけれども、今申し上げましたような急激な激変、特にこの2年間、小泉政権が成立してから2年間というのは大変大きな変化でございまして、そうしたことで、中期財政見通しと予算との乖離が非常に拡大をしてしまった。11年の10月に策定をした我々の見通しの想定をはるかに超えるものでございまして、そういったことを予測し得なかったということでございます。
 それから、県北・沿岸地域の振興についてでございますが、この地域について申し上げますと、冒頭の吉田議員にも申し上げたとおりでございますけれども、21世紀におけるフロントランナーとしての地位を占めることのできる可能性の大きい地域と、こういうふうに考えております。
 今までのネットワークについて見ますと、新幹線それから新幹線に関連する道路など、それから情報ネットワークや生活基盤などの整備も進んできておりますし、それから産業面で見ますと気候を生かした雨よけホウレンソウの栽培、先般も久慈でホウレンソウ大地を視察したわけでございますが、あるいは山形村の日本一の炭の里構想の推進、それから、地域づくり団体の活力ということでも、久慈地域にやませデザイン会議、今度NPOの資格を取りましたけれども、ああした活発に活動する団体等もございますし、そういった地域づくりの団体の活動も進んできているということを考え合わせますと、いろいろこの間の変化があるというふうに考えております。
 一方で、内陸部との格差という観点からこの地域を見てみますと、まだ県道の改良率や水洗化率、それから医師の不存状況などを見ましても、内陸部と県北・沿岸部との格差が依然として存在しているということは厳然たる事実でございますが、こうした生産や生活の根幹にかかわるような基盤の格差解消に向けて、最大限努力していくということがこれからも一層必要になると考えております。
 そこで、こうした県北・沿岸部と内陸部との格差の解消ということにこれからも力を用いていかなければならないということで、3期目の施策、そのときには特に地域でいろいろ意欲ある地域づくりに取り組んでいるさまざまな団体がございますけれども、そうしたところのこれからの地域をどういうふうに描いていくのかという将来像を、いろいろ構想などをお持ちになってございますが、そうしたものをよく把握をしながら、さまざまな事業を進めていきたいと考えております。
 地方自治の関係で、地方自治体に補助金がいろいろ交付されておりますけれども、これの自由度をもっとより高めるべきではないかということでございまして、これはお話のとおり、最終的にはこうした補助金などはすべて交付金化をすると、これが本来の姿であろうというふうに思います。しかし、一どきになかなかすべてを交付金化するということにも行き届かないと思いますので、そこに至るまでの改革プロセスにおいて、それでは幾つかの補助金をまとめて総合補助金化という形にして、そこで地方の自由度を段階的に高めていく、こういう方法もあると思っておりまして、そうしたことを使って、そして徐々に交付金化の方に持っていくということが必要かと思っております。それから、県としても、もう既に総合補助金を交付してございますが、今後もさらに市町村の自由度を高めるために、こうした補助金のあり方についても検討していく必要があると思っております。
 それから、国から市町村に直接交付することのお話がございましたが、これも一つのとるべき手法であろうと考えます。気をつけなければいけないのは、国と市町村ですと、直接にそこがいろいろ事務の当事者になりますと、力関係に余りにも差があり過ぎまして国の言いなりになるというか、国が勝手なことをし過ぎないかということが非常に心配になりますのと、それから、国の方の事務量が非常に煩雑になるので、その国の体制をスリム化すると意欲がそがれるのではないかというあたりが非常に気になるところでございますけれども、しかし、わざわざ単に経由するために都道府県を使うというのもどうかと思いますし、やはりこうした補助金は極力なくして、交付金化をして我々が自由に使えるような体制に持っていくということが一番大事かと思います。
 それから、人件費の関係でございますが、これについては職員給与のあり方もやはり聖域とせずに、これからの行財政改革プランの中で検討していきたいと、公務員だけを例外にというわけにいきませんので、その中で聖域とせずに検討していきますが、職員の皆さん方との共通の認識のもとで、こうしたことを推進していきたいというふうに考えております。
 それから、予算執行について、特に決算時期などについてのお話がございました。これも大変大事な観点だろうと思っております。会計原則の根幹というのは変えられないと思いますけれども、しかし、今言ったような端境期をめぐってのいろいろな問題もあります。岩手県が今まで事業をやる場合には、随分ゼロ県債あるいはゼロ国債、債務負担行為を設定して、それでその年度間の端境期をうまく円滑に乗り切るような事業実施に努めてきたところでございますが、そうしたことや、あるいは繰り越しですけれども、以前はここを随分厳密にやって、絶対繰り越ししてはまかりならんということでしたが、最近は、理由のあるものは、むしろきちんとした理由を明示した上で、その手続をとって繰り越しをするように運用を改めてきております。
 繰越明許費や事故繰り越しの制度をうまく活用することが大事だと思いますので、こうした今お話になったような問題、会計原則の根幹にかかわる問題というのは動かせないと思いますが、運用の適正化を十分に図って、そして御指摘いただいたような懸念がないようにしていきたい、それから、こうしたことについては国の方の協力も当然必要なので、国にもいろいろ問題意識をぶつけていくということにしたいと思います。
 なお、予算の使い切り意識は大変問題なところでございまして、これは一般的にもいろいろな方からも御指摘いただいています。したがって、予算の当初配分のときからもいろいろ考えるべきことがあるだろうと思いますので、各部局に予算の調整を任せておりますが、予算枠の配分に当たって、経費節減分を翌年度以降の配分枠に加算するなど、予算節約のインセンティブとなる仕組みの導入を検討していく必要があるだろうと、来年度に向けてこうしたことを検討していきたいと思っております。
 そして、今触れましたこの予算編成システムでございますが、これは、ことしが初年度でつくりましたものですので、まだ大分改善の余地があるなと思っております。先ほどは、外部の方を参画させたり、一層の透明性を確保したらどうかということでございましたが、特に私は、これは予算の中身につながるような当初の段階でのアイデアとか提案は、いろいろ外部の方から幅広くいただくことが大事かと思っております。
 この予算については、最終的には最高責任者である私が判断をして、私の責任において議会にも御提案をし、そして県民の皆さん方にもお示しするというものでございます。その中で、私の最終的な判断とはいいながら、そこが独善的にならないようなアイデアを凝らす仕組みということで、今いろいろ工夫をしているところでございます。そういうことが必要だという問題提起だと今認識してございますけれども、特に外部の方々からいただくとすれば、当初の段階でのアイデアなどをいろいろいただいて、それを我々なりによく吟味をして、そして予算の中に取り入れていくということが必要かと思っております。
 それから、県の補助金の削減で、特に県単のかさ上げ補助金の削減について御懸念をお示しになられましたけれども、この県単のかさ上げ補助は、今いろいろございますが、冷静に見ますと、政策誘導効果が大分薄れてきていまして、単なる財源補てんとなっている実態が数多く見受けられます。そこで、今回見直しをしよう、原則廃止の方向に持っていこうということを考えております。
 まだ具体的な内容等についてはこれからということでございますけれども、一方で、市町村の総合補助金ですとか、活性化事業調整費などをうまく組み合わせることによって、御懸念の点がないようにしていきたいと思っております。
 それから、公共事業の選択と集中でございますが、選択と集中を進めていくというのは、公共事業を進めていく上で大変大事なことでございまして、そのときの基準をどうするかということ、地域間の査定もどう見るか、これは以前からこの議会でもいろいろお話があって、地域での加算点をまた別途設けるとか、地域的に設けるとか、いろいろな工夫をしてございます。いずれにしても、選択と集中はこれからもさらに徹底していきたい、効果の早期発現に向けてとにかく重点的な整備をしていく、新規箇所の採択も十分に厳選をしていきたいと考えております。
 最後に、行政評価の関係で、失敗がいろいろ出てくるわけですけれども、その際の問題についてお尋ねがございましたが、県境の産廃の不法投棄の事案のような、あれは規制行政と言われている分野の中で起きたものでございます。それから、一方で森のトレー事案がございますが、あれは産業の奨励、新しく間伐材を使ったトレーを製品化するという、産業奨励などのいわゆる助長行政と言われている中で発生した事案でございます。
 いずれにしても、危険負担を県が強いられるような事案が発生してきているわけです。こうしたことについて、それぞれの行政分野での検証を今、全庁的に行っているところでございますけれども、今後、こうした事案をかんがみるに、関係機関との連携の強化や危機管理への対応など、問題の発生を早期に防ぎ得るための積極的かつ責任のある行政対応によって、まずもって行政品質の向上を図っていく必要があると考えております。
 特に、今後産業支援の中で、ベンチャー企業の支援ですとか、ベンチャー的な取り組み、これは当然危険負担を覚悟しなければならない事案ですけれども、こうした事案に果敢に取り組んでいかなければならないということが数多く想定されますので、そういう事案に対してどのように対応するのか、どういう危険負担を負っていくか、どこまでのことが許されるのかということについては、これからの検討課題と認識をしております。
 いずれにしても、こういうことは必ずやらなければならないことでありますので、ぜひ意欲がそがれないように、しかし、結果責任は明確にして、そして責任をしっかりと負うということが原則だと思いますので、なおいろいろな取り組みを検討していきたいと思っておりますが、今後大変重要な検討課題であると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させます。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) アクセス道路の整備についてでありますが、八戸から県北・沿岸へのアクセスとしては、計画路線も含めまして、八戸久慈自動車道、国道45号、主要地方道八戸大野線などがあります。
 このうち八戸久慈自動車道については、本県では久慈市の3.2キロ間が既に供用開始されて、残る延長27キロ間の整備計画区間への格上げについて国へ強く働きかけているところであります。
 また、主要地方道八戸大野線については、順次隘路区間の整備を進めており、現在、大野村明戸地内において交差点改良に向けた調査も行っております。
 県としては、これらのアクセスルートについては、引き続き青森県と連携を密にしながら、その整備促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県内港湾の積極的活用につきましては、昨年9月に策定した岩手県港湾ビジョンの実現に向けましたアクションプランを今年度中に策定して、定期航路の誘致・開設などの県内港湾利用の促進を図ることによりまして、物流、リサイクル、観光産業等、港湾に関連する産業界における新たな雇用の創出と地域に対する経済効果を発現させたいと思っております。
 県内の港湾施設利用料につきましては、本県と隣接している青森県、秋田県、宮城県の利用料と比較してみますと、大体平均的な水準にあるものと考えておりますが、港湾ビジョンの実現に向けた取り組みの中で、荷主、船会社など港湾関係者などのヒアリング、また他県の取り組み状況等を勘案しまして、検討していくこととしております。
 次に、90分構想についてでありますが、これは、県土の広い本県において、広域的な交流・連携を促進するための基本となる構想と考えておりますが、この久慈ルートにおいて、宮沢工区などの完成によりまして到達時間が99分になるなど、沿岸部からの4ルートいずれも県総合計画の中間年次である平成17年度の目標年次を達成しており、今後とも本構想の実現に努めてまいりたいと考えております。
 次に、小中学校周辺の安全環境の整備についてでありますが、通学路における歩道の整備につきましては、特にも児童生徒の安全を確保する上で重要な事業でありまして、厳しい財政状況下でありますが、必要性や緊急性の高い箇所から計画的に整備を進めることとしております。
 平成15年度、本年度の歩道整備は、補助、県単合わせて94カ所について実施する予定でありますが、そのうち91カ所は通学路における整備となっております。
 また、通学路における街路灯の整備につきましては、防犯灯の整備を実施しております市町村などと調整を図りながら、主として交差点部や橋梁部などについて整備を進めているところでございます。
 今後とも、地域の要望などを踏まえまして、通学路における安全・安心な歩行環境の整備を着実に進めていきたいと考えております。
 次に、汚水処理施設の整備についてでありますが、その整備率はまだまだ低いものがありますが、全体としては、これまで各市町村が策定した実施計画の年次計画に沿った進捗が図られているのではないかと思います。
 しかしながら、汚水処理施設の主要な事業主体でございます市町村財政は非常に厳しい状況にありまして、平成22年度の総合計画の目標値を達成するためには、より徹底したコスト縮減を図り、効率的かつ計画的な事業を推進する必要があると考えております。
 このため、県といたしましては、下水道を初めとする各種汚水処理施設の役割分担の再点検を行いまして、市町村と連携して既定計画の見直しを平成16年度末までに行うこととしております。
 今後とも、計画目標の達成に向けて、市町村と一層連携を図りながら、汚水処理施設の整備促進に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、防災対策でありますが、本県の急傾斜地等土砂災害危険箇所は1万4、000カ所ありますし、また、道路のり面の落石・崩落による危険箇所は約2、300カ所と非常に多くて、これまで緊急を要する箇所から順次整備を進めてきたところでございます。
 今後とも、このような災害を未然に防止するためのインフラ整備を計画的に進めることとしております。
 しかしながら、危険箇所の整備には多額の費用と期間を要するということから、これらハードの対策のほかに、危険箇所の周知、また、きめ細かいパトロールを行うなどのソフト対策というのをあわせて実施いたしまして、災害の未然防止を図っていきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 県北・沿岸の観光PRについてでございますが、東北新幹線盛岡-八戸間の開通に合わせて、新幹線開業観光キャンペーンやJR6社とタイアップした北東北大型観光キャンペーンの中で、八戸と県北・沿岸をリンクした観光PRにも努めてきたところであります。
 八戸駅から県北・沿岸地域への観光アクセスということでは、昨年12月からJR八戸線のジョイフルトレインうみねこ号が、また、本年4月からは、八戸駅から久慈市を経由して宮古地域をめぐる観光周遊バスがそれぞれ運行されております。さらに、夏休みの時期には、三陸鉄道で八戸-仙台間を結ぶリアスシーライナーの運行が予定されております。
 これら八戸駅から県北・沿岸地域への二次交通の情報も盛り込みながら、久慈地域と一体となって、首都圏などに対し積極的な観光宣伝を展開するとともに、魅力のある旅行商品の開発に努めてまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君) 花巻空港の利用促進についてでありますが、基本的な考え方といたしましては、まず、花巻と国内4大都市と結ばれております現行の路線の維持・拡充が重要であると考えております。
 今年度は、新たな取り組みといたしまして福岡線、また冬季間の利用が落ち込んでおります名古屋線を重点といたしまして、岩手県空港利用促進協議会と連携しながら、県内の旅行会社に加え、特に福岡地区や名古屋地区の大手旅行エージェントをも対象にいたしまして、花巻空港を利用した旅行商品の販売を働きかけるなど、従来になかった取り組みとして、双方向からの需要の掘り起こしを行っているところであります。
 また、沖縄線復活の取り組みといたしまして、夏場の需要を把握して通年運航の可能性を探るため、この9月にチャーター便3便を日本旅行業協会と共同して運航いたしまして、航空会社に実績を示しながら働きかけていくこととしております。
 なお、台湾の航空会社等にチャーター便の継続就航を働きかけてまいりました結果、チャーター便の連続運航が図られ、海外旅行客の誘致にもつながっておりますので、さらにまた、機会を見つけて誘致を働きかけてまいりたいと思っております。
 今後とも、花巻空港の利用促進が図られるよう、関係団体と連携しながら努力してまいる所存であります。
 次に、携帯電話不感地域の解消についてでありますが、広大な県土を有する本県におきましては、特に交通事故発生時の連絡手段の確保などの面からいたしましても、携帯電話の不感地域の解消は必要性が高いものと認識しております。
 県といたしましては、市町村の要望を踏まえながら、主要道路沿いの地域における不感地域の解消も含め、民間通信事業者に対しましてサービスエリアの拡大を要望しておりますし、また、国庫補助事業の積極的な導入を図りながら、移動通信用鉄塔施設の整備を促進してきているところであります。
 特に今年度は、山間部あるいは沿岸部などにおきまして、事業者の採算性の確保が困難な地域で、国庫補助金を導入してもなかなか整備の進まない地域におきまして、基地局の整備を行う市町村に対し支援する県単独の事業を今議会に提案しているところであります。
 今後とも、市町村の要望を踏まえて、主要道路沿いも含め、不感地域の解消に努めていく考えであります。
 次に、教育と地元学との連携についてでありますが、県内各地におきまして、いわて地元学の手法によります自発的、自立的な地域づくりが実践されておりますが、取り組みの手法、対象などは多様であります。
 県といたしましては、NPOあるいは地域づくり団体等の多様な主体が行ういわて地元学の実践を支援するため、庁内の地元学関係課で構成するいわて地元学情報連絡会議を平成13年度に設置いたしました。この情報連絡会議を通じまして、庁内各部局で行われているさまざまな関係事業についての連携、調整を図り、総合的に推進することによって、地元学への取り組みが県内各地で展開されるよう努めてまいる考えであります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 地産地消についてでありますが、地産地消は、家庭や学校給食での県産農林水産物の消費拡大にとどまらず、学校での体験学習や生産者の出前授業などによる食育のほか、地元食材や伝統の技を生かした料理の提供など、地域に根差し、地域と一体となった取り組みを通じて、食の大切さや食料生産の尊さを学び、農林水産業やみずからの地域の理解を深めていただこうとするものであります。言うなれば、地産地消は食を通じてみずからの生活のあり方や地域とのかかわりを見つめ直すことでもあり、まさに地元学の実践そのものであると思っております。
 今後におきましても、地産地消がさらに定着しますよう、地域づくりや学校教育、健康づくりなど、幅広い分野の関係者と一層連携を図りながら、地域が一体となった取り組みを促進し、また、こうした成果を広く発信することにより、地域の活性化に結びつけていく必要があると考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 教員の不祥事についてでありますが、まず、不祥事の原因として、教育公務員に求められる倫理観と人権意識の欠如、あるいは自分の行動が児童生徒等に与える影響について自覚が薄い、あるいは欠けている、こういうことが最大の要因ではないかと考えております。
 これらについての自覚を促し、不祥事を未然防止するために、これまでも研修会、あるいは会議等におきまして繰り返し繰り返し指導してきたところでありますが、その指導が一人一人の教員に浸透していなかった、あるいは響いていなかったということが指摘できるわけでございます。
 そこで、今後においては、これをどうしてきちんと浸透させるか、あるいは心に響かせるか、特に教員の意識改革が大事であるということで、教員に対する研修あるいは保護者や地域住民の意見を聞くなどの地域と日常的に接触する中で、教育公務員としての責任の重さを改めて自覚させていくことが大事だということから、開かれた学校づくりを一層進めていくなどの取り組みを通じまして、これまで以上に強く教員としての自覚を促して、意識改革につなげていきたいと考えております。
 続きまして、地域教育推進員の配置についてでありますが、この地域教育推進員につきましては、学校とボランティア団体、あるいは地域づくり団体、あるいは活動拠点の施設等と地域との連携を進める、いわば学校と地域のかけ橋となることをねらいとして、昨年この事業は実施されているわけでございますが、学校と地域と家庭の連携を図る一つの道筋ができているということを考えております。また、子供はもとより、保護者からも好評であるということを得ているところであります。
 今後におきましては、この事業を一過性のものとしないように、地域の声もよく聞きながら、事例の活用を図り、今後の事業の効果がさらに深まるよう、意欲のある市町村に支援をしていきたいと考えております。
 次に、県立高校再編に伴う廃校舎の活用についてであります。
 再編等により廃校となった校舎等の県有財産につきましては、まず、県としての活用計画を検討することになります。その結果、県で将来とも活用する計画がない場合には、地元市町村の活用計画をお伺いいたしまして、公用、公共用として使用する場合にありましては、譲渡、貸し付けなど、個別に対応することにしております。既に幾つかの市町村からは、研修施設等としての活用の意向が示されているところであります。
 また、お尋ねのあったコミュニティー施設としての活用につきましても、地元市町村の意向を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
 なお、千厩高校のグラウンド整備につきましてですが、現在、野球部、陸上部、テニス部が部活動のため旧千厩高校のグラウンドを使用しております。御指摘のとおり、新校舎から約1キロほど離れているわけでございますが、将来的にはグラウンドの整備が必要と考えております。この新たなグラウンドの整備につきましては、現高校における学校用地の利用状況、今後の教育活動等を総合的に考慮しながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、スポーツ振興についてであります。
 スポーツ振興は、中長期的視野に立ち、計画的に進めるべきではないかというお話でございますが、県におきましては、平成11年度から平成22年の12カ年にわたる岩手県スポーツ振興計画に基づきまして、生涯スポーツの振興を推進しているところであります。
 この計画の中におきましては、指導者講習会の開催、スポーツリーダーバンクの登録、情報誌の発行、あるいは県民スポーツ・レクリエーション祭の開催――これは平成17年であります――学校体育施設開放事業の実施、総合型地域スポーツクラブの設立・育成の推進等を掲げまして、その着実な推進に向けて今現在取り組んでいるところであります。
 また、スポーツ合宿等を通じたスポーツ振興につきましては、一例として、松尾村で現在、村営のラグビー競技場にラグビーのコートを増設中であります。最終的には8面の芝生グラウンドにしたいということのようでございますが、長野県の菅平で盛んに開催されているような高校、大学の合宿を招致し、これが子供たちと直の触れ合いがありまして、こういう地域の観光であるとか、あるいは地域経済への波及効果も少なからずあるものということで、この期待をし、またこれらについても支援をしていきたいと考えております。
 なお、地域住民のだれもが、いつでも、どこでもスポーツに親しむことができる地域のスポーツ環境の整備事業ということで、現在、各市町村に総合型の地域スポーツクラブを設けるように進めているわけですが、このスポーツクラブの設置について、積極的にこれを支援する広域スポーツセンターの設立を今年度予定いたしているところでございます。

〇2番(中平均君) 御答弁ありがとうございました。
 知事に対しまして2点のみお伺いいたします。
 まず第1に、知事は、今回21世紀臨調に参加し、重要な役割を担っているところである。また、私はそれを否定するものではありませんけれども、現在の岩手県の財政改革を初めとする課題が山積みの状況下において、直接的に県政に関係ないと思える東京出張等の多いそのような活動、県政の改革を掲げる知事の姿勢として県民に理解されにくい点があるのではないかと思うのですが、改革を進めるに当たり、そのような余裕があるのか不安視する声も聞かれますので、知事の所見を伺いたいと思います。
 もう1点、次に、知事は政治家として、先日、先々日の答弁の中で、苦悶の表情や声のトーンは有権者にとって重要な判断材料であるとの認識を述べられておりました。私は、政治家は最終的に各種行政の責任をとるべき立場にある以上、まして行政のトップである知事が、そのような情緒的な面に頼るのでは大胆な改革というのは望めないのではないかと感じました。そのような情緒的な政治体質というものが、今日の危機的な状況をつくり出した一因とも考えるのですけれども、政治は結果責任をもって有権者に判断してもらうのが民主主義のあるべき姿と私は考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

〇知事(増田寛也君) まず、21世紀臨調の中の活動というのは、知事グループでやっているいろいろな活動と同じように位置づけられるのですが、ああいう活動を行うことによって、初めて三位一体改革を国に対してさらに求めていくことができるだろうと私は判断しています。
 ですから、今、三位一体改革が全く国民の中で共感を持って論じられていないと私は思っているんですけれども、それは、やはりそういう言論界ですとか、また学界、経済界、いろいろな各界の層にはっきりとこちらから働きかけをしていかないといけない話で、そういうことを全く抜きに、ただこの場で議論しているわけにもいかないというふうに私は思っています。
 したがって、当然成果をその中で求めていきたいと思っていますけれども、あそこも一つの大いなる足がかり、活動の場として使って、ちょうどきょう、7月4日が第1回目の総会が開催されているときですから、きょう午後だと聞いておりますから、参加者がみんな集まってやっているのではないかと思いますが、ああいう場を使って活動をしっかり展開していくということで、初めて三位一体改革が広がりを持っていくことにつながるのではないかと思います。
 あと、ザ・グレート・サスケ議員の関係についてそういうことを申し上げたんですけれども、これは有権者がそういうことも手がかりに、いろいろすべてを判断するだろうということを言っているわけでありまして、私がそういうことに頼るかどうかというのは別の話であります。
 私自身、いずれにしてもこれからの財政改革は、私の視点ではっきりとやっていく、それから、それを議員の皆さん方にもお示しをして、議員の皆さん方は議員の皆さん方で、いろいろな視点でそれについてお話があると思いますけれども、そういうお互いの切磋琢磨というんでしょうか、そういうことによって県政というのは初めて実現していくわけです。それぞれがこうした事態に責任を負っていると私は思うんですが、相互に高め合うことによって県政がいい方向に進んでいくことを期待しています。
 いずれにしても、とにかく4年間で結果を出さなければいけないと思っていますので、大いにいろいろなことを言っていただいて、私もそれにしっかりとこたえていきたいと思っています。
   

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時37分 休 憩
   

出席議員(50名)
1 番 亀卦川富夫 君
2 番 中平均 君
3 番 ザ・グレート・サスケ 君
4 番 木戸口英司 君
5 番 関根敏伸 君
6 番 野田武則 君
7 番 平野ユキ子 君
8 番 高橋雪文 君
9 番 嵯峨壱朗 君
10 番 工藤勝子 君
11 番 平沼健 君
12 番 平澄芳 君
13 番 柳村典秀 君
14 番 飯澤匡 君
15 番 田村誠 君
16 番 大宮惇幸 君
17 番 千葉康一郎 君
18 番 新居田弘文 君
19 番 工藤大輔 君
20 番 川村農夫 君
22 番 照井昭二 君
23 番 柳村岩見 君
24 番 阿部静子 君
25 番 阿部富雄 君
26 番 斉藤信 君
27 番 田村正彦 君
28 番 佐々木順一 君
29 番 佐々木博 君
30 番 及川幸子 君
31 番 阿部敏雄 君
32 番 吉田昭彦 君
33 番 小野寺研一 君
34 番 千葉伝 君
35 番 小野寺好 君
36 番 伊沢昌弘 君
37 番 瀬川滋 君
38 番 吉田洋治 君
39 番 佐々木一榮 君
40 番 伊藤勢至 君
41 番 渡辺幸貫 君
42 番 高橋賢輔 君
43 番 藤原良信 君
44 番 佐々木大和 君
45 番 藤原泰次郎 君
46 番 菊池勲 君
47 番 工藤篤 君
48 番 小原宣良 君
49 番 及川幸郎 君
50 番 佐藤正春 君
51 番 佐々木俊夫 君

欠席議員(1名)
21 番 樋下正信 君
   

説明のため出席した者
 休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
 休憩前に同じ
   

午後3時55分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小原宣良君。
   〔48番小原宣良君登壇〕(拍手)


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