平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇14番(飯澤匡君) 政和会の飯澤匡でございます。
 改選後最初の定例会において一般質問の機会をいただき、先輩・同僚議員各位に感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問してまいります。
 知事は、施政方針演述の中で、また選挙前に県民に公示したマニフェストの中にも本県の自立を高らかに掲げました。中央の依存から脱却する経済的自立、岩手に誇りを持つ精神的自立を目指すとしております。
 地方から国を変えていく、増田知事は2期目から積極的かつ行動的に地方から改革できることを具体的に実践し、その姿を国に示してまいりました。まさにこのたび掲げた自立は、それを進化させ、自己責任、自己決定のあるべき地方自治の姿をみずから示そうとする決意のあらわれと私は理解いたしました。
 右肩上がり経済の負の遺産として、経済成長とともに行政が肥大化し、社会のあらゆる領域に行政の役割が浸透した結果、地域の自治の活力が失われてきた経過があります。そこで、地域内の課題であっても、行政への依存が当然のこととされてきた住民の意識改革が迫られております。住民が主体的に地域活動に参加できる環境、条件の整備や地域の公共的な問題を住民自身で意思決定できる仕組みづくりを知事の示す精神的自立の中に見出すことができれば、最良と考えるものであります。
 それでは、具体的にお聞きをいたします。
 自立には行財政構造改革が不可欠と申されております。県は、予算主義から成果主義への転換を図り、より効率性の高い行政運営を行うため、政策評価システムや現場に最適な施策を集中するという考え方に基づいた政策推進を行うため、また限られた予算を最大限に活用するため、政策形成・予算編成システムを導入してまいりました。財政構造改革を断行するということは、すなわち既存の両システム自体の存在価値が問われるものであり、今後の活用に課題があると思いますが、御認識を伺います。
 公共的な問題を住民自身が意思決定できる仕組みづくりを考えるとき、住民自身の自立と助け合いの考え方をいかに醸成させていくかということがポイントであると考えます。自立を殊さら命題とするのであれば、住民の生活により近い公共サービスを、相互扶助や自立・参画の考え方を付与した形で公共サービスをとらえ、特に福祉・医療・教育サービスの考え方を明確化することや施策の具体化をすることがさらに必要と考えますが、いかがでありましょうか、御見解を賜ります。
 知事の志向する潮流に相反する意見について、あえて評価を求めます。
 90年代に日本企業が何らかの形で成果主義を導入いたしました。本県も導入しております。しかし、最近成果主義の見直しが進められてきておると聞いております。目標達成にこだわる余り、高い目標を設定しなくなる、5年、10年かかって仕込むような大局的な仕事をだれもしなくなる、スピリットを失ってしまう。成果主義の問題点を一言で言えば、形だけつくって魂を入れなかったということでしょうか。
 自立へ向けた七つの施策を重点的に推進することが盛り込まれております。七つの施策が多岐にわたり、近い将来を想定しているだけに、私は七つの施策を達成することにより、夢県土いわてがどのような姿を10年先、20年先に目指すのか、いま一つぴんと来ないところがございます。この際、その姿とスピリットをわかりやすく伝えていただきたいと存じます。
 次に、環境施策についてお伺いいたします。
 2002年6月、我が国は京都議定書を批准し、議定書上、2008年から2012年までに1990年対比6%のCO2の削減をする義務がございます。
 本県においては削減目標のハードルを2%高く設定し、県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例を制定し、地球温暖化の対策に関する規制を設けて、事業者に対して抑制努力を求めるなどの取り組みをしております。
 国において策定された地球温暖化対策推進大綱に示されているとおり、官民一体となった国民の総力を挙げた取り組みが不可欠でありますが、新大綱は、旧大綱の対策では目標値に届かなくなった見通しを踏まえて策定を余儀なくされた経過から、不足分を排出権取引で賄う京都メカニズムが盛り込まれました。国内対策のみで議定書目標を達成するコストは日本が際立って高く、排出権取引を行うことで費用が平準化し、このメリットを最大に享受するのは我が国であるという試算説もあります。
 最初に、環境生活部長に、本県での削減施策に照らしての排出権取引の考え方をお伺いいたします。
 最近、岩手県宮古市がCO2排出権取引について調査研究に乗り出し、売却益を森林保全に役立てる新構想を打ち出しました。
 また県は、5県による森林県連合、CO2黒字地域連合を結成して、国に対して森林保全整備を強く求め、政策提言活動をしていくことになったようであります。
 議定書上、京都メカニズムの利用は、国内対策に対して補完的でなければならない規定があり、もちろん削減対策の主軸とはなり得ませんが、森林保全や緑の雇用対策の観点から、本県において有効活用するよう研究し、財源確保の手段の可能性を探る方策と考えますが、いかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。
 次に、畜産振興対策に関連してお伺いいたします。
 BSE問題は本県の畜産関係者を震撼させましたが、主要な問題は解決が図られ、市場価格も問題発生以前に落ち着きを取り戻したようであります。BSE問題から得た教訓は数々ありましたが、食の安全施策の展開、トレーサビリティシステムの確立など、消費者対策を主体とした考え方でありました。これは、もちろんのこと重要な側面であり、これからも強化しなくてはならない施策であります。ただ、忘れてはならないのは、畜産県いわてとして誇りある肝心の生産者が、意欲を持って生産できる体制づくりであると考えます。その観点から、まず、食肉処理に関して問題点を指摘し、回答を求めます。
 1、肉牛の食肉検査料金が、同じ畜産県である九州各県と比較して倍の料金になっているが、原因は何であるのでしょうか。2、現代はマーケットに対応するため、検査処理も24時間対応が主流であり、本県も競争力強化のために必要な処置と考えますが、いかがでしょうか。3、ブロイラー等は民間委託されて検査が行われておりますが、牛、豚が現行民間委託できないのは法的根拠があるのでしょうか。4、内臓も生産所得の一部となるのですが、内臓廃棄率調査によれば、岩畜は50%台なのに対し、他県市場は平均15%と明らかに大きく廃棄率が高い理由は何なのでしょうか。
 以上、質問4点とも、生産者にとってみれば、いわゆる間接経費にかかわる問題であり、生産から検査を経て流通段階に至るまで一貫したコスト一元化を図り、生産者の収益につながる体制づくりこそ、産地間競争に打ち勝つ手だてになり得ます。農林水産部と保健福祉部の部局横断的な取り組みが必要と考えますが、両部の部長に見解を求めます。
 次に、県立病院についてお伺いいたします。
 患者数の減少、診療報酬の改定、外来投薬日数の緩和等の要因により県立病院の経営は急激に悪化し、このまま推移すると2007年度には累積赤字は200億円を突破する見込みであると報ぜられております。
 県立病院は県民医療の礎となっており、経営危機は医療サービスの根幹を揺るがし、県民の命にかかわる重要な問題であります。
 そこで、医療局では内部で長期経営計画推進検討委員会を設置し、圏域ごとの病院機能の明確化と病院間の連携強化や病床の適正配置について検討する旨のさきの予算特別委員会での答弁があり、赤字体質の抜本的な改革の姿勢を見せております。
 まず、今後の検討委員会のスケジュールと後期県立病院の整備計画との関連性、県民の意見要望の反映の仕方をお知らせ願います。
 また、先般県立病院経営懇話会を設立させ、外部有識者から県立病院の経営基盤を安定させるための方策等について提言を得る目的であるそうでありますが、長期検討委員会と懇話会の関係はどのように位置づけているのでありましょうか。懇話会は検討委員会の箔づけなのでありましょうか、お知らせ願います。
 本県は、県下にあまねく医療をの創業の精神を掲げ、県立病院経営がなされてまいりました。理念なき改革が本質を見失うことを最も懸念するものですが、今回の改革の前提となる理念、方針は何であるのか、改めてお聞きいたします。
 次に、医師確保問題についてお伺いいたします。
 今、特に地域総合病院、地域病院は深刻な医師不足に悩まされ、実質的な医療サービスの低下を招いております。医療は生活に密着した問題だけに、住民の要望を解決するため、病院長や自治体の首長までもが、みずから医師確保に奔走している実態があります。
 医師不足が引き金となり、それを理由に安易な地域病院などの統廃合は絶対に許されません。機構的改善については、医療ネットワークのサテライト化を中心に検討されるようであり、その結論を待ちたいと思いますが、医師確保対策は別次元で、腰を据えた抜本的な改革が必要と考えます。
 北海道では、札幌医科大学に地域医療支援センターを開設し、派遣ルールを定め、地域医療のニーズにこたえておるようであります。医療局内部で対策チームを編成するなど、派遣システムなどの諸施策を早急に構築すべきと考えますが、医療局の現状の御認識と御見解を伺います。
 次に、地方競馬について、また本県の岩手競馬についてお伺いいたします。
 昨今の地方競馬の経営状況は、経済不況のあおりをまともに受けて極めて厳しい状況下にあります。既に廃止を決めた競馬場も複数あり、多額の累積赤字と伸び悩む売り上げが主催者側の共通の課題であります。
 本県の岩手競馬組合の経営も御案内のとおり例外ではなく、65億円の累積赤字、販売収入の減収などから、最近は次年度会計からの繰上充用の措置を余儀なくされております。
 私は、岩手競馬が現在抱えている諸問題解決には、地方競馬根幹の制度改革についての観点、ひいては我が国の競馬の将来構想に及ぶもの、例えば、我が国に二元的に存在している中央競馬と地方競馬の問題などを根本的に見直すなどの外的視点と、主宰者みずからが経営革新を断行する内的視点の両面の問題を同時に進行しながら、解決を図ることが重要と考えております。
 そこで、これらの観点からお伺いいたしますが、岩手県競馬組合の管理者である知事は、地方競馬の振興に係る要望を平成13年12月に10道県連名で既に農林水産省等に対して提出しており、また、10道県で構成する地方競馬に関する研究会を立ち上げておりますが、この要望と研究会の意図するところは何であるのかお示しください。
 また、一方で農林水産省は生産局長の私的懇談会、地方競馬の在り方に係る研究会を設置し、平成13年12月に中間報告をまとめておりますが、管理者である知事はこの報告をどのようにとらえているのか、本県の経営改善方策につながるものが見出せるかどうか、御認識を賜ります。
 岩手県競馬組合においても、競馬組合内部で今後の経営が検討されてきた経緯があったようであります。平成11年に未来プロジェクトパート3を立ち上げ、競馬を一つの華とする馬事文化を理念として、事業の方向はネット経済への転換をする3Eプランとして打ち出しておりますが、この事業の成果はどのように評価しているのでしょうか。
 今年度に入り、新たに競馬組合を構成している設置側で、岩手競馬のあり方懇談会の設置がなされました。さきの知事記者会見において、この懇談会の設立の趣旨は白紙の状態で、競馬組合のあり方、経営の状況について意見を出してもらうとの説明でありましたが、今までの高知県や北海道などの他の主宰者において、今後のあり方等の懇談会や検討委員会を検証してみますと、地方財政への寄与のみに地方競馬の意義が帰着される傾向にあります。白紙という広範な意味を持つ危うさを懸念するものでありますが、この懇談会設置の真意を改めてお聞きしたいと思います。
 政府の特殊法人改革で中央競馬の民営化も検討され、農水省は平成16年中の競馬法改正を通常国会に提案する見通しを示すなど、競馬を取り巻く環境が変わりつつある中、私は、いち早く岩手競馬の将来の方向性をチャグチャグ馬コや南部曲り家に見られる本県特有の馬事文化の継承や、小岩井牧場がかつて馬産地として地位を築いた歴史、既に遠野市において地域振興の柱となっている馬の里構想など、明確に本県競馬の存在意義を示すことが大事であると思います。
 今後の地域再生の切り札にもなり得る可能性を十分に備えた素材を有している本県は、貴重な財産を生かす道を積極的に模索すべきであります。管理者である知事の前向きな構想の主導的役割を大いに期待するものでありますが、御所見を伺います。
 次に、河川改修についてお伺いいたします。
 ちょうど1年前の7月11日、猛威を振るった台風6号は、東磐井郡の町村に、特に砂鉄川流域に大きな災害をもたらしました。戦後3番目に高い水位を記録し、幸いにして死者こそ出なかったものの、床上浸水743戸、床下浸水222戸という深刻な災害でありました。
 こうして見ますと、地球温暖化の影響によるものか、上流部分の地域開発が原因か、最近の東日本の集中豪雨による被害はまことに顕著であります。思い起こせば、平成2年の時間当たり降雨量57ミリを記録した砂鉄川支流山谷川災害のころから、短時間での時間降雨量増大による災害の事例はふえており、東磐井管内でも平成10年8月の台風4号災害、昨年の台風6号、また県北の軽米町の災害もこれに当たると考察されます。戦後、河川改修が未整備であったアイオン・カスリン台風時代ならいざ知らず、現代においての災害の多発は、河川改修の考え方を根本的に改める必要があると、私自身、災害現場視察を通じて痛感しております。
 一般的に、従来は台風の通過点が多い西日本が河川整備率は高く、東日本は低いとされており、平成13年時点、過去10年間の都道府県の水害等による被害額は、シェア率で東日本が57%、西日本は43%で、一概にこのデータだけでは言えませんが、東日本の整備がおくれていることを示しております。
 また、時間最大雨量により河川整備の基準が都道府県ごとに定められておると伺っており、岩手県の40ミリに対し、西日本は50ミリから70ミリで設計されている実態は、現況に相当した基準に検証して、早急に改める必要ありと考えるものであります。
 ついては、このような最近の災害事例からかんがみて、本県の今後の河川整備の方向性を県土整備部長にお尋ねいたします。
 県当局の迅速な対応によりまして、台風6号災害後に、即時に砂鉄川緊急治水対策が進められております。沖田川、猿沢川の改修も含め、県土整備部初め、千厩地方振興局の職員の御労苦に心から感謝を申し上げたいと存じます。
 砂鉄川緊急治水対策は五つの事業から成り立ち、国土交通省と県と自治体が連携して行うものであり、今後、事業の円滑なる推進が課題となります。そこで具体的にお伺いいたします。
 今回の砂鉄川緊急治水対策は、上流と下流で県と国とで整備する区間が区切られておりますが、築堤の高さ等、規格が異なる点があるようですが、地域住民への説明並びに工事手法の差異に問題はないのでしょうか。また、国と県の境界地点の安全は確保できるのでしょうか、お尋ねいたします。
 第2点は、県管理区間である東山町松川三室地区、県道東山薄衣線に沿う約500メートル区間右岸側は堤防がなく、今回も築堤の予定はないようであります。この地点は水害時には冠水し、県道自体通行不能になる頻度が高い地点でありますが、今後どのような整備方針でありましょうか。
 第3点は、被害が最も甚大であり、かつ水害の常襲地である松川滝ノ沢地区は、砂鉄川のはんらんに加え、狭山地区からの沢水により、常時内水の処理に悩まされている現状があります。元来、土地のレベルが低い地域でもあり、知事への統一要望に、同地内の県道かさ上げ工事の整備が要望として毎年なされている経過があります。内水処理の問題は、依然として解決の方策が見出せない状況でありますが、県はこの状況をいかに認識し整備を図ろうとしているのか、お知らせ願います。
 最後に、市町村合併についてお尋ねいたします。
 PHP総合研究所のアンケートによりますと、道州制も含めた都道府県の統合・合併等が必要と考える市区町村が圧倒的に多く、統合・合併までは行う必要がないものの、事業単位の広域化などの見直しが必要とする回答も加えると、市区町村全体の83%が都道府県の見直しを求める結果となりました。
 本県は、御案内のとおり、既に実務者レベルで、北東北3県が2010年までに何らかの形をつくる中間報告をまとめるなど、道州制へ向けての作業は、全国的にも先行している経緯がございます。合併問題を語るとき、道州制の議論は外せません。知事は、基礎的自治体の体質強化を強調し、また、合併促進の考えに立脚しておることから、基礎的自治体の具体的規模など、知事には、合併問題を道州制とリンクさせた形で県民にその姿を示す義務があると思いますが、いかがでありましょうか。
 次に、県南地区の動向についてお尋ねいたします。
 本年2月1日に、一関、花泉、東山、川崎の4市町村は一関地方任意合併協議会を発足いたしました。ことし6月14日には、千厩、藤沢、室根の3町村が任意協発足に同意、7月には、設置の見通しとのセンセーショナルな報道がございました。一関任意協からラブコールを送られ、それにこたえる形で町当局が4月に加入負担金の予算案を提出したが、議会で否決、その後いろいろな形を模索している平泉町。一関任意協に入る負担金を紆余曲折はありながらも議会の同意をとりつけたものの、なぜか任意協に参加がかなわない大東町。西磐井、東磐井構成の市町村が今や分断され、ますます枠組みの思惑が混迷の度合いを深めておると私は認識をしております。この状況を県はどのように受けとめているのでしょうか。
 一関任意協には、将来構想検討審議会委員として、一関、千厩両振興局長が委員として参加しております。一関任意協では、枠組みは4市町村にとらわれず、オープンな受け入れ体制をとることが明記されていると伺っております。結果として、能動的な動きがないまま、両磐圏域内に別の任意協が発足しようとするこの状況は、東磐井郡民には理解しづらい状況です。まず、県は、枠を広げるため、その助言を積極的にすべきであったと思いますが、両振興局長や県はどのような指導をしたのでしょうか、お伺いいたします。
 片山総務大臣は、2005年3月で期限が切れる市町村合併特例法にかわる法案を来年の通常国会に提出する意向を明らかにし、その内容として、現在の特例法で定めている財政上の優遇措置は打ち切る、合併における都道府県の役割を大きくするため、市町村への勧告などの調整権限を強化する等の発言がありました。この発言は、いわば合併促進のための最後の直線、激しいむちたたきのごとくであり、国が自身の財政上の理由で、合併促進を意図する以外の何ものでもありません。
 そもそも、地方分権の税源移譲を棚上げにして合併の議論をせよというのは、本末転倒であります。さらに、最近になって、財政制度審議会の国の債務を地方に移管を求める意見書案が出るなど、地方自治体の将来の財政構造、見通しは不透明さを増すばかりであります。国の情報の小出しが混乱を招き、特に小規模町村の不安をあおっております。国の手法のまずさに憤りを禁じ得ません。しかしながら、ようやく住民に機運が何らかの形にせよ上向きになってきたこの機に、人口の減少、グローバル化などの環境変化を認識し、新たな地域経営の姿を住民と協働で模索することは重要であります。東磐井郡の川崎村村長は、市町村合併は目的ではなく手段であると、合併の趣旨について常に強調しておりますが、合併を主題としながらも、将来へ向けての議論のプロセスが一番重要ではないかと私は考えるものであります。地方制度調査会が中間報告の中で、旧市町村での自治権を認める制度を新設することを盛り込みました。この考え方などを生かした既存の考え方にとらわれない、広範な県民の議論をせしめる取り組みを期待するものであります。
 これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、行財政構造改革の関係についてお尋ねがございましたけれども、このねらいとするのは、今までの行政のあり方の予算主義から、結果として県民生活がどの程度向上したかということを見据える成果主義への転換を、この改革によってさらに一層加速をさせていくと、こういうことをねらいといたしております。そのための道具として政策評価システム、そしてもう一つが政策形成・予算編成システムと、この二つの仕組みによってこれを支えていくと、こういう考え方を持っております。
 政策評価システムの方は、これは御案内のとおり、先行して導入をしているわけですが、予算編成システムの方は導入したばかりでございまして、まだそのシステムにのっとって編成した予算が1回目でございますので、多々改善すべき点があると思っておりますが、いずれにしても、その両者をうまく有機的に連動させると、そして車の両輪のような形でこの行財政構造改革をうまく進めていかなければならないと、こういう認識でいるわけでございます。それで、この予算編成システムの方については、今後もさらに改善を図るということが必要だろうと思っておりますし、それから政策評価システムの方は、ある程度そのやり方について定着してきたところでございますが、いずれにしても、全体としては成果主義への転換を一層加速していく、そのために一番いい仕組みづくりということで、適宜、見直しもしていきたいというふうに思っております。
 それから二つ目でございますけれども、自立ということを私、盛んに申し上げておりました。それは経済的にも精神的にも自立をしなければいけないということですが、そうすると、今議員の方から、相互扶助や自立、参画の考え方を付与した形でとらなければいけないのではないかという話がありましたが、それはそのとおりでございまして、特に住民相互の間の信頼と協力の関係、かつては結というつながりがあって、結の精神というものが県内に脈々と息づいていたわけでございますが、そうしたものの具現化を図ると、もう一度そうしたものをつくり出してお互いに支え合う、その関係がないと、本当に自立ということが、特に身近な公共サービスの中では実現できないと思っております。
 今度の行財政構造改革プログラムの中で、今後、住民により近いところで公共サービスを提供していく仕組み、NPOの皆さんとの協働や、今申し上げました住民の相互扶助等により提供していくというその仕掛けについても、具体的な道筋を検討していく考えでございますので、そういったことで、今、議員のお話のありましたようなことを具体化していきたいと思っております。
 それから、この成果主義ということについてあえてそれに対して反する御意見の御披瀝がございましたが、この成果主義ということは、最近、企業でもいろいろ見直しが迫られているというのはそのとおりでございますけれども、それは成果主義そのものが見直しを迫られているというよりも、そしてそれを捨てて以前に戻ろうということではなくて、成果主義は成果主義として、まさしく今お話があったように、それに魂を入れてこなかったと、そこの部分の見直しが迫られているということだろうと思います。したがって、大事なことは、こうした成果主義で県民の生活を豊かにしていくときに、本当にそれを形だけでなくて、魂を入れていくということだろうというふうに思います。
 この私の政策の中で七つの重点政策というものがあって、それを進めるということが最終的にどういう姿になっていくのか、そこのところも端的にスピリットを伝えてほしいということですけれども、これは自立ということにつながっていくものでありまして、経済的にだけでなくて精神的にも自立をすると。要は、今まで国という親の庇護のもとでの暮らしをしてきたわけですけれども、そこから甘えも捨てながらひとり立ちをすると、そういう地域を目指していく、そのためのさまざまな施策を展開していくということだろうと思います。甘えを捨ててもうひとり立ちをする、そして一人のしっかりとした大人としてプライドを持って、誇れる岩手をつくり出していくと、そういう気概を持ってこれからその政策を実行していくと、こういうことに努力をしていきたいと思っております。
 競馬について何点かお尋ねがございました。
 10道県で地方競馬に関する研究会をつくったわけでありますが、これは我が国競馬の将来構想を提示していただく必要がありますし、中央競馬と地方競馬の共存共栄がその際には不可欠であるという、そういう観点から、10道県が集まって平成12年度につくった組織でございます。この地方競馬を主管する道県が集まってつくったものでございまして、今申し上げましたような二つの点について国にもぜひよく考えてもらって、具体的な構想それから中央競馬と地方競馬の共存共栄の道を示そうと、そういうことでつくったものでございます。今、お話があったように、そうした関係についての要望を国の方にしてございます。
 こうしたことも受けて、農水省の方でも地方競馬のあり方研究会というものをつくっているわけですが、その報告書の中には、地方競馬の今日的意義、それから地方競馬主宰者間の連携・協調、それから中央競馬と地方競馬の共存といった観点からの提言が、その中間報告の中で公表されております。さらに、今後の方向として、地方競馬に係る規制の緩和、それから中央競馬との相互受委託の検討などが盛り込まれておりまして、こうしたあり方研究会の中間報告については、今言ったような点について今後の我々の運営改善につながるものではないかと、そして、ぜひ運営改善につながるようにさらに具体化をしてほしいと、そういうことを期待しているものでございます。
 この中間報告について、さらに我が国の競馬全体のあり方について検討するべきであるということが書かれておりまして、このことを受けて農水省の方でも昨年11月に、今度は大臣の諮問機関として、我が国の競馬のあり方に係る有識者懇談会を設置したわけでございます。これは、ことしの9月までにこの懇談会の報告が取りまとめられるということを聞いておりますので、今、まだその内容が明らかになっておりませんが、我々としてはこの懇談会、諮問機関であるこの懇談会の検討結果を十分に注視をしていきたいと思っております。
 この間、競馬組合の方で内部の委員会を設置して、そこでいただいた報告書を踏まえて、先ほどお話にあったように、平成12年に改善計画というのをつくりました。そこに3Eプランというものが入っておりますけれども、この3Eプランの事業の成果をどのように評価をしているのかというお尋ねがございましたが、この3Eプランに基づいて、今まで人員の削減や企業会計方式の導入による財務分析、それから県外へのテレトラックの新設、それから広域受委託販売の実施、さらには、昨年大変お客さんを集めましたJBC競争――ジャパンブリーディングファームズカップ競争――ですけれども、これを実施して、経費の節減と売り上げ増収策に取り組んでまいりました。昨年度、入場者数も過去最高を記録するなど、あそこで定義をされました3Eプランに基づく今申し上げましたようなさまざまな事業、一定の成果を上げてきていると評価をしていますが、しかし、それを上回る長期にわたる景気低迷などによる売り上げの落ち込みということが現実にございますので、収支状況は今お話があったように繰り上げ充用を活用しなければならないほど悪化をしてきているというところでございまして、一定の成果を上げてきているけれども、事態はより深刻化をしているというふうにとらえております。
 そこで、先ほどお話がありましたように、岩手競馬のあり方懇談会、これをつくったわけでございます。このあり方懇談会の中で、白紙の状態でいろいろ意見をいただきたいと申し上げたわけでございますけれども、これは、要は、予見を持たずに幅広く議論をしていただきたいと、こういうことでございまして、こうした岩手競馬の持っておりますさまざまな今までの側面というものがございます。財政競馬というふうに、多くの自治体での公営競馬は言われておりますが、そういうものだけでない、岩手にある、先ほど議員の方からも御紹介がございました馬事文化、脈々と息づいている馬事文化といったものもあるわけでございます。そういったことも含めて、幅広く予見を持たずに議論をしていただいて、そして本当にこういった岩手競馬をよくしていくための方策を探ろうというものでございますので、まだ1回しか開催をしてございません、これから秋にかけて数回集中的に開催することにしてございますけれども、その中でいい議論をしていただきたいというふうに思っているところでございます。
 そうしたことも含めて、今後の岩手競馬のあり方の中で、私の、知事の指導的役割を期待しているということでございますが、私もこの問題については経営的側面ではない、幅広い観点で全部を議論しなければいけないと。馬事文化の継承ということであれば、では、だれが一体、どういうふうな形でそれを担っていくかといったようなことも議論をしていただきたいというふうに思っておりますし、県民の皆さん、歩いておりましても、実際には馬産県と言われながらも、馬に乗ったりあるいはさわったりしたことのないような方が随分多いわけでございますので、1人でも多くの県民の皆さんに実際に馬に乗っていただいたりさわったり、競馬を見て楽しんでいただくということだけでなくて、本当に馬とかつて生活をしていたような、そういう馬事文化というものを肌で感じ取ってほしいという気がいたしておりますので、私もそういった馬事文化の面も含めて、この岩手競馬のあり方ということをよく考えて、そしてしっかりとした役割を果たしていかなければと、こういう考え方でおります。
 それから、市町村合併についてのお尋ねでございます。
 まず、市町村合併とそれから道州制との関係についてお尋ねがあったんですが、基礎的自治体の規模などについてのお話がございましたけれども、確かに私も基礎的自治体の体質強化を特に強調してございますし、合併促進ということで、そういった合併というやり方が大変体質強化をしていく上でも重要な手段であると、こういうことを申し上げているところでございます。これをさらに進めて規模――規模を示すとなると人口何万人とか、そういうことになると思うんですが――規模を幾つかのパターン分けをするにしても、示すことがこういった場合になかなか、そういう数字がひとり歩きをする可能性がありますので、そういった一律的な規模を示すということについては慎重でございます。私自身は、そういった市町村合併と道州制を含めた都道府県合併のあり方というのは、相互に密接に絡んでおりますから、そういう全体を見据えた中でも議論が必要だと、こういう考え方にも立脚をしているわけでございますが、基礎的自治体の規模などを具体的に見据えながら、さらに市町村合併、そして都道府県制を含めた道州制のあり方と全部をリンクさせて進めていくと。道州制というのは、国の形、統治機構そのものについての議論で、一番大事なことは国の権限をどういう形で分権国家の方向に変えていくかということでありますので、都道府県制のあり方とそれから市町村合併は相互に密接に絡みながらも、時間的には少しずれがあって、市町村合併をいろいろ進めていく中で都道府県制のあり方を考えていくものと、こんなふうに考えているところでございます。したがって、基礎的自治体の規模など、合併問題を道州制とリンクさせた形でストレートにそのまま県民に示すというのは、かえって議論を混乱させるような形につながるのではないかと思っておりまして、今、市町村合併でいろいろ各地域、御努力あるいは御尽力をしていただいておりますけれども、そのことについての流れというものを一番中心に据えて、そして進めていくべきものと考えております。
 それから、さらに具体的に両磐地域の動向についてお尋ねがありましたけれども、いろいろな経過を含めて今のような状況になっているわけでございますが、これは両磐地域のそれぞれの市町村の中でも日常生活の実態とか歴史、文化などのつながりがいろいろ濃淡がございますので、そういう中で議論を積み重ねた結果としてこういう状況になってきているというふうにとらえております。
 その中で、一関地方の任意合併協議会の枠組みについては、議員が一番そばにおられたので御存知かもしれませんが、いろいろな関係市町村間で議論がございまして、そしてこれについては両振興局長ももちろんですし県も入って、その中でアドバイスをしてきた中での今の姿でございますので、我々は入っている、議論している当事者、市町村長さんを初め議会も含めて当事者の意向を一番重視しながら、こういった中でアドバイスなりそれから資料提供ということをしてきておりましたので、その中でいろいろ市町村長さん方の意向が今の形に結びついたというふうにとらえております。
 県が枠を広げるための助言をもっともっと積極的にすべきであったのではないかというお話でございましたけれども、私どももいろいろ積極的に助言をしつつ、しかし、市町村長さん方の意向というものが最大のものでございますので、そうした形で今の形になっていると思っておりますが、任意協が敷居を低くして受け入れやすい形で進めていきたいという姿勢を確認しておりますので、さらに地域での議論を深めていただくように、その地域の市町村の皆さん方には期待をしているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長の方から答弁をさせます。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 環境施策に関しまして、二酸化炭素排出量取引の考え方についてでございますけれども、京都議定書を受けました国内での二酸化炭素排出枠の設定方法とかその取引方法などはまだ決定されておらず、環境省が今年度から温室効果ガス排出量取引の試行事業を実施しようとしている段階でございます。しかし、今後、国内での排出量取引制度が導入されました場合は、本県では国の削減目標を超える目標を掲げておりますので、これを達成した上で排出量取引を行えば、経済的な便益が生まれてまいりまして、環境対策に率先して取り組んだ努力が報われるものというふうに考えております。
 また、森林保全等の面から考えました場合、森林の二酸化炭素吸収量を国内取引の対象に組み入れることができますれば、本県にとって財源確保による森林整備コストの軽減や、林業の活性化による雇用対策につながることも期待できるものというふうに思っております。しかし、現時点で国内での森林吸収枠の具体的な算出方法や、それから市場で取引される場合の価格などがまだ確定されておらないことから、本県など5県で構成いたします地球温暖化に貢献する森林県連合というのがございますが、それをつくりまして、この森林県連合では、森林吸収枠を排出量取引の中に組み入れまして、森林整備の活性化につなげることができないかを研究していく必要があるというふうに、先月、この旨、国に対して提案を行ったところでございます。
 なお、これとあわせまして、本県独自にも環境保健研究センターそれから県の林業技術センターで、二酸化炭素排出量及び森林吸収量につきまして研究を始めたところでございまして、今後とも引き続き研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) まず、食肉検査料金についてでございます。基本的に、本県では食品営業許可手数料等、他の手数料と同様に人件費、物件費等を積算して決定しておりまして、北海道、東北各県もほぼ同様の額になっております。特定の手数料の減額について、あるいは他の類似の手数料とのバランスもありまして、全体的な調整が必要でありますし、畜産振興の観点からすれば、関係部局と総合的な見地で議論を深めていく必要があるものと考えております。
 それから、次に、検査対応時間につきましては、現在も事業者と定期的に協議しながら御要望も入れまして、早朝、時間外、土日祝日、年末年始の検査も実施するなど、弾力的に対応してきております。
 今後、検査員の確保等解決すべき課題も多いのでございますが、これまでと同様に、可能な限り対応してまいりたいと考えております。
 それから、検査の民間委託についてでございます。牛、豚等の屠畜検査は、屠畜場法という法律がございますが、その中で都道府県職員のうちから知事が命ずる検査員が実施すると明記されておりまして、ブロイラー等の食鳥検査とちょっと異なっておりまして、そういったことで現在はできないものと考えております。
 それから、内臓の廃棄率についてでございます。これは、獣医師である屠畜検査員が、屠畜場法それから屠畜検査実施要領に基づいて検査を実施しているわけでございますが、本県の廃棄率は、全体としておおむね全国平均と同程度であるというふうに認識しておりますが、御質問のケースの廃棄率の違いにつきましては、ちょっと理由がわからないといいますか不明でございます。今後、情報収集に努めてまいりたいと思っております。
 ちなみに、13年度の内臓等一部廃棄率を見ますと、牛につきましては岩手県が65.6%、全国が54.7%、豚につきましては岩手県が55.7%、全国が62.2%となっております。今後、検査の平準化ということにつきまして、他県との検査情報の交換あるいは研修等の実施などによりまして充実を図ってまいりたいと、努力をしてみたいと思っております。
 また、農林水産部との部局横断的な取り組みについてでございますが、食肉検査で得た情報につきましては、生産者の家畜飼養管理に活用してもらうため、これからも積極的に還元してまいりたいと思っております。また、BSE対策で培いました共同体制や3月に設置されました岩手県食の安全安心推進本部等の場を通じながら、連携強化を進めてまいりたいと思っております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 食肉処理に関する問題点についてでありますが、畜産経営におきましては、生産から流通までの各過程において発生する種々のコストを可能な限り縮減し、生産者の収益を高めることが重要でありますことから、生産段階にありましては、これまでも食肉衛生検査所との連携により、食肉検査で得られたデータの提供を受けまして、家畜疾病の発生予防対策などに取り組んできたところであります。
 また、生産者の要望を踏まえまして、土、日、祝祭日や早朝などの検査が実施されているところでありまして、こうした受け入れ体制につきましては、生産・出荷に支障が生じないよう、必要に応じて担当部と協議してまいりたいと考えております。
 本県は、大家畜、中小家畜とも全国トップクラスの生産県であり、今後とも一層の生産振興に努めてまいるべきものと考えております。農林水産部といたしましては、今後とも本県の畜産振興の観点から、生産性の向上や安全・安心な食肉の供給、さらには県産食肉の評価向上などの対策について、保健福祉部を初め、関係部と連携を一層密にし取り組んでまいる考えであります。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) まず、県立病院等長期経営計画検討推進委員会のスケジュール等についてでございますが、県立病院は、入院・外来患者の大幅な減少あるいは診療報酬のマイナス改定などによりまして、経営収支が大幅に悪化しております。
 これらの要因としましては、国におけるさまざまな医療制度改革などによるところが大きいと考えてございますが、このような情勢変化に県立病院の医療提供体制を適切に適合させ、安定した経営基盤の確立を図るための具体的な方策を検討するため、医療局内に病院長、医師、薬剤師、看護師など、各職域の代表で構成する県立病院等長期経営計画推進検討委員会を組織いたしまして、年内を目途に改革・改善の方策を取りまとめることといたしております。
 この検討委員会と県立病院経営懇話会との関係についてでございますが、検討委員会で方策を取りまとめるに当たりまして、さらに、より幅広い見地から御意見、提言をいただくため、外部の医療関係者、有識者等で構成いたします県立病院経営懇話会を設置したところであり、10月までに4回程度の開催を予定いたしているところでございます。
 また、改革・改善方策への県民の意見、要望の反映についてでございますが、今後、パブリックコメントを活用するなど、広く御意見を伺ってまいりたいと考えてございます。
 なお、平成12年2月に策定いたしました、現在の岩手県立病院等長期経営計画で予定いたしております平成18年度以降の後期病院整備計画につきましては、これら一連の改革・改善方策を踏まえた上で検討することとなります。
 次に、改革を進めるに当たっての理念、方針についてでございますけれども、今申し上げましたとおり、今後も極めて厳しい経営が続くといった状況にございますので、まずもって安定した経営基盤をしっかりと確立いたしまして、県立病院が引き続き県民の皆様の負託にこたえ、良質な医療を持続的に提供していくことにあると考えているところでございます。
 したがいまして、これらの改革・改善を進めるに当たりましては、まず、保健医療圏を単位としまして、県立病院間の機能分担を明確化し、病床数等の適正化を図る。それから、圏域内の県立病院の業務の集約化、あるいは医療器械の重点配置などによりまして、一体的、効率的な運営を確立する。それから、圏域内での核となる病院の診療機能を強化いたしまして、救急医療、高度・専門医療、あるいは病院間の診療応援の体制を充実するなど、保健医療圏内での完結性を高めまして、医療圏全体としての医療の質の向上を図る。こういったことにつきまして的確に対応するよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、医師確保の問題でございますが、本年4月1日現在の医療法上の医師充足率は、県立病院全体では93.5%でございますが、議員御指摘のとおり、特に中小規模を中心に充足率が60ないし70%と低い病院が多く存在いたしております。特にも、小児科、産婦人科、眼科など、いわゆる特定診療科の医師の不足が顕著でございます。
 昨今の状況を申し上げますと、来年4月から医師の卒後臨床研修が必修化されるわけでございますが、これに伴いまして、大学新卒者が2年間大学医局へ入局しなくなるといったようなことから、大学からの医師派遣が今後一層厳しくなるものと考えてございます。
 このような状況にありますが、県立病院の今後の医師の確保に当たりましては、まず、本年4月に医療局の医師確保体制につきまして、職員を増員いたしまして充実強化したところであります。
 また、県立病院の大多数の医師の派遣を受けております岩手医科大学、あるいは東北大学などの関係大学への派遣の要請を一層強めてまいる必要があると考えてございますし、また、新たな派遣大学の開拓、あるいは全国公募による医師確保、これも何件か成果がございますので、こういったこともやってまいりたい。
 それから、従来から医師奨学資金貸付制度を本県ではやってきておるわけですが、昨年度から新たに、県出身者を国立大学の学費程度の負担で岩手医科大学で毎年5人養成する医師養成事業を創設したわけですが、これらで養成した医師の効率的な活用を図ること、あるいは、限られた医師の中で、比較的医師体制が充実しておりますセンター病院あるいは圏域の広域中核病院からの中小病院への応援体制を確立するといったようなこと、これらを通じまして、医師の確保に最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 河川改修についてでありますが、本県の河川整備率は約44%とまだ低い状況でありまして、近年も平成11年の雪谷川災害、また昨年の6号台風による災害などに見られるように、治水施設の整備の必要性は高いものと認識しております。
 そのため、厳しい財政状況にはありますが、コスト縮減を図り、また選択と集中を行いながら着実に取り組んでいくとともに、甚大な被害を受けた際には、改良復旧事業などにより重点的に整備を図ることとしております。
 河川計画の基本となります確率雨量については、地域の降雨特性に応じ決定しておりますが、近年の降雨条件に合わせて適宜見直しを行っているところであります。
 一方で、このような堤防や護岸などの整備は完了までに長期を要するために、河川情報の提供による水防団の支援などソフトな施策にも力を入れてきておりまして、さらには、本年度新たに、市町村がハザードマップを作成する際の河川情報の提供を行う洪水浸水予想図等作成事業などの施策にも取り組みたいと考えております。
 また、河川整備に当たっては、治水だけでなく、環境の側面も重要だと考えており、潤いと触れ合いのある水辺環境の整備なども積極的に進めたいと考えております。
 砂鉄川の緊急治水対策の国、県間の調整ということでありますが、国が整備する区間は、砂鉄川の北上川合流点から上流、東山町松川地区までの約6キロメートルの区間、県ではその上流部から約5.5キロの区間を整備することとしております。
 堤防の計画の策定に当たりましては、築堤の高さ等、国と県とで十分に連絡調整を図りながら行っておりまして、特に問題はないものと考えております。
 また、住民説明会につきましても、国と県とでそれぞれ連携を図りながら、地域の皆様方に説明を行っているところであります。
 三室地区におきましては、築堤の計画がないということで、出水時に交通確保するためには道路のかさ上げなどをする必要がございます。このために、交通の実態や迂回道路の整備状況なども考慮しつつ、道路整備について検討してまいりたいと思っております。
 松川滝ノ沢地区においては、砂鉄川の堤防を築くことによりまして内水が生ずることが想定されますことから、今回の砂鉄川の緊急治水対策事業の中で排水施設を整備する計画としておりまして、その具体的規模や位置は、今後検討することとしております。

〇14番(飯澤匡君) 再質問させていただきます。
 ただいまは知事初め、御答弁ありがとうございました。
 合併問題について再質問いたします。本質問では多少乱暴な聞き方でありましたけれども、現在の状況、また将来を憂う気持ち、また地域を思う気持ちというふうに御理解をいただきたいと思います。
 私は過去、県が市町村に対してどういうことをしたからだめだというような、過去をたどってどうこうと言うつもりはございませんが、この点だけは再度確認したいと思います。
 大東町をめぐる状況、また、6月に一関市議会であった千厩町広報をめぐっての事例、任意合併協議会の認識が果たして正しく伝わっていたのかどうか。これは、私が見ますところ、任意合併協が発足したということは、もう100%法定協議会にという図式、そういう厳しい認識がこのような状況をつくったのではないかと考えております。この間、県はどのような指導をしたのか。
 また、私は昨年の決算特別委員会で、現在の特例法に盛り込まれております地域審議会の設置というものをもう少し、この地域審議会の設置によりまして、9町村の組織を生かしながら合併についての地域住民の意識啓蒙をやったらどうかというようなことをお尋ねしましたけれども、県当局は、自主的な合併の促進ということで、余り満足の得られる答弁を得ませんでした。この件も含めて、どういうような指導をしてきたのか、まずこれを第1点お聞きしたいと思います。
 それから、県南地区をめぐるそういう状況でありますが、私が一番憂慮しておりますのは、まちづくりの観点が残念ながら欠如している。特に第1次産業について、私は将来、東磐井地域は中山間地域でもございます、農林業と国土保全というのは表裏一体でございまして、雇用も含めた農林業の政策、産業施策というのが大事でございます。
 現在の自治体で果たしてそういうことができるのかどうか、地方分権にかかわる議論を待ちたいと思いますけれども、やはりある程度のいろいろな連携というものが必要であると考えております。これは、10年、20年先のビジョンを満たしたものであるという前提のもとの考えでございます。
 私は、両磐広域圏は将来助け合っていく共同体であり、現在、消防組合等で既に実施をしている状況がございます。私は県に対して大局的な見地の指導をこれからも期待したいのでございますが、残念ながら、私は先ほど、成果主義のモラルハザードについて知事にお聞きしたわけでございますが、私が今までの状況に携わるに、できてしまったものを支援すればいい、じゃ、残ったもので何とかできないかというような一つの小さな成果主義が、大局的な見地を見逃しているのではないかということを指摘しておきたいと思います。
 特例法の期限、それに合わせて何とかしたい、町村間で温度差があるのは承知しておりますが、経過を経ても、最後は特例法を余り意識しない形で意識を一つにするというようなお膳立てをするのが、私は県の仕事ではないかと思うわけでございます。
 そもそも一関任意協議会は、東磐井6町村、また西磐井3市町村を一緒にするという構想でございました。県の役割というものは、私は広範な議論を促すためのそういう取り組みが必要と考えるものですが、お考えをお聞きしたいと思います。
 千厩町をめぐる任意協の発足について、これはお断りをしておきますが、私は否定するものではございません。ただ、将来に向けてのいろいろな統一的見解といいますか、そういう醸成をすることが一番大事であると考えております。どうぞ答弁の方をよろしくお願いいたします。

〇知事(増田寛也君) 今の両磐地域の具体的な問題がございますので、私が総括的に答えた後、担当部長の方からもお話し申し上げますけれども、今、議員の地域をいろいろ思われる気持ちが大変よく伝わってまいりましたが、やはり大事なことは、これからの産業のあり方ですとか、地域の将来像を、本当に心を一つにしてそれぞれが議論していく、合併がその一つの手段であって目的ではないということは、先ほど議員がおっしゃったとおりであります。やはりそういう作業にみんなが心を一つにしてやっていかなければならないときに、両磐の様子などを私も私なりに首長さん方にお会いしたときにいろいろ聞いてくる話、聞こえてくる話、あと、冷静にそれぞれの市町村の財政状況の数字などを見ると、随分市町村ごとに考え方なり数字などに差があるということも一方で見るわけでございます。
 ですから、今お話あったように、2005年3月という期間でどうするかということも一つありますし、それから、将来像を考えてやらなければいけない、そこが一番押さえなければいけない大事なポイントだと思います。その中で、それぞれの地域の市町村長さんや議長さん方が考えて、今話し合われてでき上がった枠組みというものは大事にして、それで考えていかなければ、9市町村全体を常に見据えていると、多分、今申し上げました一番大事な将来の像を描くところまで突き進んでいかないのではないかということを私は憂えております。ですから、要はまとまるだろうかどうかということなんですけれども。
 したがって、ここは議員の方が随分身近にいるので、あるいは違う感じをいろいろお持ちになっているからこその御発言かもしれません。地方振興局長などにも、今こういった議会であったお話をよく伝えておきます。私の方からもよく伝えて、また状況をよく見るように言っておきます。
 しかし、9市町村全体でいろいろ見ていくと、随分あそこも温度差があるなというのを一方で私も感じるものですから、今でき上がってきている枠組みも十分に尊重したいし、それで動いていく中で、またほかの町村がその中に入ってくるような、敷居を低くするようなことを常に考えていくことがいい道筋ではないかなと。率直に私の今の考え方を申し上げますと、そんな考え方でおります。
 あとは担当部長の方からお答えします。

〇地域振興部長(大沼勝君) 任意協の認識を含めまして、県としてのこれまでの役割についてお尋ねがございました。
 県といたしましては、御案内のとおり、平成12年に広域行政推進指針を策定いたしまして、両磐地域につきましても、三つの考えられるパターンを示したところでございます。一つのたたき台として地域での議論を促したものであります。
 以来、さまざまなデータを市町村に配布してございますが、特にも平成14年8月には、一関市におきまして市町村合併を考える全国リレーシンポジウムを開催いたしました。これには知事も参加してございます。こうした動きなどをいたしまして、両磐地域における合併機運の醸成に努めてまいったところでございます。
 一関地方任意合併協議会の枠組みにつきましては、関係市町村間でさまざまな議論を重ねた結果、現在の4市町村でスタートしたものと認識しております。県といたしましては、この協議会の設立に当たりましては、一関、千厩両地方振興局を中心にそれぞれの必要な助言を行っておりますし、現在の協議会の運営に際しまして、将来構想づくりなどの支援を続けて行っているところでございます。

〇議長(藤原良信君) 次に、中平均君。
   〔2番中平均君登壇〕(拍手)


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