平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇29番(佐々木博君) 自由・県民会議の佐々木博でございます。
 発議案第1号岩手県議会会議規則の一部を改正する規則(継続審査の分)について、反対の立場で討論を行います。
 本発議案は岩手県議会会議規則第95条の文言中、帽子の次に覆面を加え、覆面の着用を禁止しようとするものであり、さきの臨時議会において提出されたのでありますが、採決延期の動議の可決により継続審査することとなり、議会運営委員会で審議されてきましたが、全会一致に至らなかったものであり、私は以下の理由により本発議案に反対するものであります。
 その第1は、提案理由が極めて不明確だということであります。本発議案の提出に当たり、提出者からの提案理由の説明がほとんどなく、我が会派の伊藤勢至議員、日本共産党の斉藤信議員の質疑に対しても明快な説明は一切なされませんでした。日常着用しており、公職選挙法上も問題なしと認められ、有権者に対し覆面を着用したまま議員活動することを公約して当選したザ・グレート・サスケ議員に覆面を取れというのであれば、ザ・グレート・サスケ議員本人はもちろんのこと、それを支持した多くの有権者に対しても、なぜ覆面がだめなのか、議会活動にどのような悪影響があるのか、その理由を明確にする責務があるものと考えますが、一切その理由は示されておらず、単にザ・グレート・サスケ議員個人をねらい撃ちした規則改正であり、会議規則の本来の趣旨からいっても到底賛成することはできません。
 第2に、ザ・グレート・サスケ議員の基本的人権についてであります。ザ・グレート・サスケ議員は、岩手をスポーツとしてのプロレスを通じ活性化するため、そしてグローバル時代の今、岩手から全国、さらには世界への情報発信を実現するために、みちのくプロレスを起業し、今日まで10年以上にわたり覆面姿で活躍してきたのであります。
 また、プロレス以外にも岩手県の交通安全キャンペーン、献血推進キャンペーン、まちの美化キャンペーン、買い物袋持参キャンペーン、あるいはJR東日本の北日本へ針路をとれのキャンペーンなどに参加したり、チャリティー募金のパーソナリティー、中・高・大学での講師や社会福祉施設への慰問などさまざまな分野で活動してきましたが、これらもすべて覆面を着用した姿で活動してきたのであります。そして、これらの幅広い活動を通じてザ・グレート・サスケイコール覆面というイメージが県民に定着しており、覆面はザ・グレート・サスケ議員にとっては切っても切れない、いわば体の一部のような存在になっているのであります。このような覆面を取れということは、ザ・グレート・サスケ氏をザ・グレート・サスケ氏として認めない、すなわちザ・グレート・サスケ議員の人格を認めないということであり、基本的人権の中でも最も尊重されなければならない人格権、さらには表現の自由を侵害するものであり、到底容認することはできないのであります。
 その第3は、合法であることを事後に規制することへの疑問であります。法律や規則には不遡及の原則があり、過去にさかのぼって適用できないことが原則であります。本規則改正は成立後適用しようとするものであり、表面上は不遡及の原則に反しないようにも見えますが、その実態は公職選挙法上何ら問題のない覆面着用を、事後に禁止しようとするものであり、実質上不遡及の原則に反するのではないかと大いに疑問に感ずるところであります。
 報道によると茨城県議会では覆面着用を禁止する規則を改正したとのことでありますが、覆面着用する議員が存在しない時点で、事前に規則改正することについては問題がないと思われますが、既に覆面を着用している議員が存在する我が岩手県議会は事情が違います。
 ザ・グレート・サスケ議員は、公職選挙法上も問題なく、また、議会活動する上においても禁止されていないことを確認の上、覆面着用の姿で立候補する決断をし、その姿で議員活動することを公約としたのであります。そして、その評価は4年後の選挙戦において、有権者の皆様の判断をこそ仰ぐべきものであります。それが本規則改正のような形で事後に禁止できるとすると、まさしく実質上、不遡及禁止の原則に反するものであると言わざるを得ません。
 以上の理由から本発議案に反対するものでありますが、会議規則の改正は議会の民主的な運営にとって大変重要な問題であり、議会運営委員会での全会一致が原則とされてきました。今回、議会運営委員会での一致が得られず、このような本会議での会派の発議案という形で採決が行われるということについては、大変残念なことだと強く認識をいたしております。
 以上で私の反対討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 次に、照井昭二君。
   〔22番照井昭二君登壇〕


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