平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇14番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘でございます。
 私は、環境福祉委員会に付託されました請願、受理番号第39号放射能汚染対策を求める請願に対する委員長報告のうち、不採択となりました第3項、岩手県として再生可能エネルギー政策を推進し、原発依存からの脱却を目指すこと、及び国に対する意見書提出を求めた第4項(1)、一日も早い脱原発を目指し、原発ゼロに向けた政策を推進することの2点の項目について、いずれも採択すべきであるとの立場から、不採択とした委員長報告について反対を申し上げます。
 東日本大震災津波によって引き起こされた福島第一原発の事故は、東北被災3県はもとより、関東地方を含む広い範囲において放射能物質の拡散による汚染事故によって、甚大な被害をもたらし続けています。本県においても、県民の不安、子供たちへの健康被害の対策、農林水産物の汚染と風評被害への対応、住環境、教育環境、そして農地や牧野等の除染活動など、当議会でもこうした事態を受け、被害の深刻さと対策の重要性に向き合い、執行部とともに対策に万全を期すよう取り組みが行われております。
 本請願では、その請願項目において、具体のこうした被害に対する対策を講じることを求めるとともに、このような事態を招くそもそもの原因となった原子力発電所推進政策について、原発は安全という根拠なき神話によって十分な安全対策や危機管理を怠った結果、起こるべくして起きた事故であり、放射能の拡散は人間の生存権を奪い、甚大な被害をもたらすものであることを踏まえ、我が国の原子力発電依存をやめて、再生可能エネルギーへの転換を求めているものであります。
 請願項目第3項は、原発施設のない本県だからこそ、原発に依存せず、なおかつ、豊かな自然エネルギー賦存量を生かした再生可能エネルギー政策を推進していただきたいとの思いであります。
 請願項目第4項(1)は、国に対して原発ゼロ政策の推進を意見書として提出してほしいとの意見であります。このことについて言えば、民主党政権野田総理大臣は、9月14日、政府としてエネルギー・環境会議で取りまとめた革新的エネルギー・環境戦略で2030年代の原発ゼロを掲げ、原発の新増設は認めないとの考え方を示しました。
 この間、国民に対して、民主党政権は、政権公約への対応について、政策的ぶれと論理的矛盾を露呈しながら、その場その場で取り繕う言動に国民の信用、信頼度は失われ、期待を裏切り続けてきたとして国民から厳しい批判を受け、支持率が低迷しています。そのような中で、民主党政権延命のための起死回生とも言える原発ゼロ戦略の会見の発言は、事故後原発ゼロを訴え、行動してきた国民に淡い期待を抱かせるものでありましたが、果たせるかな、それは一夜にして、経済団体や米国や原子力業界の反発を受けて閣議決定見送りと大きく後退し、さらに大間原発の建設続行を容認するなど、強い憤りを覚えるものであります。しかしながら、曲がりなりにも、野田総理は原発ゼロの考え方について、その後も言明され続けています。
 さて、それでは、民主党政権を支えている地方議会はどうでしょうか。
 当議会でのこのたびの原発依存脱却を求める請願に、原発ゼロ方針を示した政権与党派からは賛成できないとの結果が今示されています。一国の総理大臣の言明と与党内部の政策方針のずれ、そして、果ては地方と中央との違いまで露呈する始末に、我々国民は、県民は、一体示される政策や方針の何を信頼できるのでしょうか。
 金もうけのために原発とそのエネルギーが必要だという財界の姿勢に、被災者はどんな思いを受けるのでしょうか。
 汚染された大地と環境、破壊された生活、被曝への健康不安、地域経済と産業の崩壊などなど、この教訓は、次世代のために生かされなければなりません。
 原発によってつくり出されるエネルギーに依存しないで、生活の見直しへの覚悟が、今回の事故で国民の中に芽生えています。再生エネルギーの活用や省エネルギーへの意識改革が必然的に発生し、経済産業活動の中でプラス効果もあらわれ始めています。
 脱原発は、新たな日本の安全・安心な社会を構築するための未来志向そのものであり、少子高齢社会を迎える中で、これまでのように消費拡大一辺倒の生活スタイルを見直す機会ともなります。
 また、再生エネルギーの普及促進や原発廃炉処理対策、使用済み核燃料の長期間に及ぶ管理など、それらに伴う技術開発は世界的課題であり、今日の我が国の産業技術立国としての行き詰まり感と、我が国のものづくり産業の革新的挑戦として、新たな可能性を切り開く道でもあると考えるものであります。したがいまして、今こそ、原発政策からの脱却を図るべきであり、本請願の扱いについては委員長報告を否決していただき、改めて本請願を採択すべきであります。
 以上、討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、高田一郎君。
   〔1番高田一郎君登壇〕

前へ 次へ