平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇1番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 東日本大震災から1年7カ月がたとうとしています。岩手における大震災津波による復興は緒についたばかりであります。被災地は2度目の夏を過ごしました。熱中症で搬送されるお年寄り、住まいと仕事を失い先が見えない暮らし、そして、親しい人を失った深い悲しみなど、被災者の多くが心身ともに疲労と悩みを深めています。津波で救われた命を一人たりとも失ってはならない、この立場で総力を挙げた対策が必要であります。
 第1に、被災者の命と暮らしを最優先にした支援策であります。
 被災者は、長引く避難生活で体調不良や持病を悪化させ、介護が必要な高齢者も増大しています。こうした被災者の命と健康を守る上で、医療費の一部負担や介護保険利用料の減免措置を継続することは、被災者の命綱となっています。
 ところが、政府は、全額国が負担する特例措置をこの9月末で打ち切ってしまいました。県は、免除を継続する市町村に財政支援を行うことを決め、この9月補正で対応したことは、評価するものであります。しかし、この支援はあくまでも今年度限りであって、市町村単独で減免継続できる財政状況にはありません。国に対して、引き続き減免措置を継続するよう強く要請するとともに県としても最大限の対応をすべきと考えますが、いかがでしょうか。今回の減免継続による財政負担及び対象人数は、それぞれどうなっているかについてもお伺いします。
 国保税や介護保険料の国の財政支援は、条例などによる市町村民税の減免が要件となっていますが、被災者の多くは非課税となっているため、国が要件とする減免条例のない自治体では国の財政支援の対象とはならず、既に税の負担が行われております。このままでは滞納がふえ必要な医療や介護を受けられなくなることが懸念されます。国保税、後期高齢者保険料及び介護保険料のそれぞれの負担総額はどのぐらいになるのでしょうか。
 減免打ち切りは、生活再建の根本にかかわる問題であり、県としても強く国に求めるべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、2度目の冬を迎えようとしている仮設住宅への対応であります。
 狭く寒い仮設住宅での不自由な生活は、健康悪化をもたらす要因となりました。物置や風呂の追いだき、そして風除室など改善しつつありますが、仮設暮らしは3年から4年の長きになることも予想されます。それだけに、入居者が不自由なく生活できる被災者の声に応えた改善策を講ずべきであります。冬を迎えるに当たって仮設住宅での改善策はどうなっているでしょうか。
 風呂の追いだきや物置の設置は、必要な全ての被災者に提供されているのか、改めて調査をし、対応すべきであります。
 次に福祉灯油への対応であります。
 ことしの原油価格は高騰し、9月の灯油価格は1リットル当たり92円と昨年を大きく上回る、史上2番目となっています。最需要期にはさらに引き上げも予想されます。追いだき機能もない中で、昨年は寒い仮設暮らしを余儀なくされました。お金の心配なく安心して暮らすことができるように、福祉灯油を実施し、被災地を励ますべきです。そして、内陸部の被災者にも対象となるように拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、こころのケア対策の問題であります。
 ことしの5月、漁業の再建に展望が持てず、漁民がみずから命を絶ちました。岩手の震災関連自殺は22人、孤独死11人、震災関連死は305人になっています。復興が進み生活再建に格差が出ると将来を悲観する人も増加する、こう専門家が指摘しています。阪神・淡路大震災のときにも、2年を過ぎて増加いたしました。保健と医療、福祉など、専門家と連携し体制の強化が必要であります。
 本県では、県こころのケアセンターを岩手医大に設置し、沿岸部4カ所の地域こころのケアセンターの支援体制が行われています。相談件数や対応状況はどうなっているのでしょうか。保健師や生活支援相談員が訪問しておりますが、支援が必要な高齢者などはどう把握しているのでしょうか。保健師の定期的な訪問あるいは専門的な支援が必要ですが、どう取り組んでいるのかについてもお伺いします。
 第2に、住宅の再建について伺います。
 持ち家の再建は被災者の最も強い要求であります。この間、市町村と共同した100万円の補助、バリアフリーと県産材を活用して130万円、そして住宅ローンへの利子補給などが行われ、歓迎されています。しかし、消費税増税という新たな情勢や土地利用計画が決まらずに公営住宅を希望する被災者もふえています。
 先日、大槌町の仮設住宅を訪問したときに、とにかく早く家を建てたいが、全く先が見えない、こう訴えられました。住宅再建が進まないいら立ちが広がっていると感じてきました。
 陸前高田市では、水道整備に200万円、取りつけ道路に300万円、地元産材活用で50万円、浄化槽設置に50万円の独自の支援策が行われています。持ち家の再建は、生活の軸足を被災地に置くことができ、人口流出に歯どめをかけるものであります。
 また、災害公営住宅は、1戸当たりの建設コストは1、500万円から2、000万円であり、住宅再建にさらなる支援を拡充することは、財政負担の軽減となるものであります。国に対して被災者住宅再建支援法の拡充を求めるとともに、県としても、さらに100万円の上乗せなど支援策の拡充を行うべきですが、いかがでしょうか。
 土地の手続の簡素化や土地の高騰対策も住宅再建の課題であります。どう取り組まれているのでしょうか。
 地元産材を活用した地域型復興住宅は、住田町や釜石市、宮古市など、地元業者が集まって取り組まれております。これを積極的に進めるべきでありますが、現状と課題はどうなっているのでしょうか。
 災害公営住宅は、野田村や田野畑村などで行っているように、集落を維持し、木造戸建てを基本に、希望する全ての被災者が入居できるようにすべきであります。水産業をなりわいとする住民は、2世帯、3世帯が多く、集合住宅では狭過ぎるという声が寄せられています。木造の戸建てにすべきであり、庭で作業ができるスペースをとるべきであります。
 被災者の二重ローン対策として利用を見込んでいる個人版私的整理ガイドライン、いわゆる住宅ローン減免制度は、相談件数が全国で2、835件、免除された件数はわずか83件にとどまっています。被災住宅ローンの制度説明の周知不足とともに、返済期間を長くするなど、金融機関による返済条件変更も行われているからであります。義援金でローンを返済し続け、生活再建資金をなくしている人も出ています。生活再建からますます遠くなってしまうだけに、県として、周知徹底に努めるとともに、金融機関に対しても積極的な取り組みを求めるべきですが、いかがでしょうか。
 第3に、雇用の確保と事業所の再建についてであります。
 9月までに延長された雇用保険の給付が打ち切られました。厚生労働省は、被災3県で雇用保険の延長給付を終えたのは2万2、725人、全体の7割は就職先が見つかっていないとしていますが、岩手の実態はどうなっているでしょうか。家族の生活を支える安定した収入と仕事の確保は待ったなしの課題であり、具体的な対策を講ずべきであります。
 県内の有効求人倍率は、復興需要もあり回復しているものの、職種別で見ると人手不足も深刻化しています。特に復興関連の業種が多く、被災者が地域の復興にかかわる仕組みづくりも必要であります。こうした雇用のミスマッチの解消にどう取り組んでいるのか、具体策を示していただきたいと思います。
 次に、事業復興型雇用創出助成金は、被災者を1年以上雇用する場合に、雇い入れに係る費用に対して最大で225万円助成するものであります。しかし、9月末現在、目標1万5、000人に対して367事業所、1、463人の実績にとどまっています。新規雇用がなければ支給できず、遡及対応ができない、こういう二つの壁があるからであります。事業実施期間が平成27年までと限られており、使い勝手のいい事業に改善を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 被災事業所の再建は、雇用対策の上からも地域経済対策の上からも重要であります。第2回の被災事業所復興状況調査では、回答した33.2%が震災前と同程度または上回っていると回答しています。事業所などの再建がおくれ、取引先を失い、業績を落としており、雇用の回復につながらない深刻な問題でもあります。再建したいという全ての事業者の再建を支援するとともに、震災前の売り上げに戻すよう両面からの支援が大事であります。県として、どのような支援策を考えているのかお伺いします。
 グループ補助は9月補正で87億円措置されました。第4次申請で採択されなかったグループの事業規模に見合う補正規模となっておりますが、国の予算措置がなければ全く前に進みません。平野復興大臣は来年度も確保するとマスコミのインタビューで述べていますが、これでは来年度以降の事業となってしまいます。政局によって臨時国会召集がおくれ、予算措置もしないのでは、事業の再建どころか再開を断念する事業所も出てきます。臨時国会冒頭に予算措置できるように強力に働きかけるべきですが、いかがでしょうか。
 中小企業被災資産復旧事業は、当初予算に20億円計上しましたが、9月末現在、114件、3億2、000万円余の交付決定にとどまっています。今回、利用実績が少ないこともあり、全業種に上限で2、000万円と拡充しました。なぜこれまで利用が進まなかったのでしょうか。
 どの自治体あるいは商工会議所などに行っても、延長の要望が寄せられます。津波被害ですぐ再建できる事業者もあれば、土地利用計画を見ながら再建を検討する事業者などまちまちであります。内陸部の事業者も被災をしたという点では全く同じであります。事業所の復旧ができずに売り上げが戻らず、借金を返済できないために廃業した事業者も内陸部で出ております。この事業の延長とともに、昨年で終了した修繕費補助を復活して内陸部への支援も拡充すべきであります。
 仮設店舗は、2年から3年で自力で店を持つことは難しく、仮設店舗から本設再開できるような支援策を国に求めるべきですが、いかがでしょうか。
 事業所の二重ローン対策は、債権買い取りの対応期間を90日にするなどの改善がされているものの、東日本大震災支援機構及び岩手県産業復興機構による債権買い取り支援の決定はわずか43件となっています。金融機関が損失計上を嫌って、機構への債権売却に消極的になっているのではないでしょうか。この債権買い取りが進まない要因及び県としての改善策を示していただきたいと思います。
 第4に、水産業、漁業の振興の課題であります。
 全ての漁協で漁船の接岸が可能となりました。台風による高潮で船を上げるだけで大変だ、こういう状況であります。潮位にかかわらず利用できる漁港は6割まで復旧していますが、その見通しはどのようになっているでしょうか
 次に、船の確保は8月末現在、6、077隻確保されました。被災を免れた漁船を合わせると8、000隻程度が稼働可能となっています。被災漁船は1万3、271隻であり、少なくとも漁民に1隻は届くような計画の見直しを図るべきであります。
 次に、基準値を超えるマダラが八戸港で水揚げされました。盛岡中央卸売市場の自主検査で明らかになっただけに、漁業関係者に衝撃が走っています。この水産物の検査体制はどうなっているのでしょうか。
 第5に、JR山田線、大船渡線についてであります。
 大船渡線の沿線3自治体では、JR東日本とBRT導入を合意しましたが、あくまでも仮復旧で、鉄路での復旧を求めています。JRは、被災が少なかった気仙沼-陸前矢作駅間の運行再開にも応えず、いまだに鉄路の復旧も明言していません。
 大船渡線、山田線の鉄路での復旧は市街地再生の柱であり、通院、通学、観光など、住民の暮らしに直結するものであります。本来JRの責任で直ちに取り組まなければならない課題であります。
 三鉄は既に復旧工事が行われているのに、なぜJR東日本は、1年7カ月間経過しても鉄路での復旧を明らかにしていないのでしょうか。この間の交渉内容を県民に示すべきであります。
 民主党政権も、かさ上げやルート変更の負担分について、地元負担とならないよう国の負担で行い、そしてJRに対して強く働きかけることを国の責任で行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 代替バスの確保が不十分で、親の送り迎え、早朝に乗車しなければ学校に間に合わないなど、いまだに不満も出ております。改善できない理由はどこにあるのでしょうか。
 第6に、被災した県立病院等の再建についてであります。
 県立高田病院、大槌病院、山田病院は、再建を基本に平成24年度内の再建方針を示しています。既に75億円の再建基金を確保していますが、用地と病院規模、機能をどうするかが急がれます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 平成25年度に入り込むようなロードマップになっていますが、一日も早い再建に取り組むべきです。それぞれの病院の検討状況はどうなっているでしょうか。
 大東病院は3度の懇談会が行われましたが、夜間、土日の救急体制がなくなることへの不安が出ています。磐井、千厩で本当に対応ができるのでしょうか。大東地域は高齢者が多いだけに医療、介護の連携はどう取り組むのでしょうか。
 次に、花泉診療センターの民間移管に関する最終報告案が示されました。9月定例会で議会の意見を踏まえて最終報告するとされています。今回の民間移管の破綻の最大の問題は、根拠のない事業計画を作成して、医師の確保もできない中で民間移管を強行したことであります。
 既に明らかなように、社会福祉法人七星会の理事長が、知事より直接の電話があったと公式の場で述べているように、医療法人白光と県が癒着していたのではないかという疑惑であります。理事長発言を調査したのでしょうか。医療局と法人との協議、接触の経過を示すべきであります。
 第7に、高齢者の介護についてであります。
 被災3県で要介護と介護認定を受けている高齢者は、昨年5月からことし3月で1万2、000人もふえていると報道されています。岩手の実態について伺います。
 急増する理由は、仮設住宅での長期化による閉じこもりなどが要因であり、これがさらに増大することも予想されます。介護ニーズに即した十分な対応ができているのでしょうか。
 2012年度の介護報酬改定が行われました。介護職員処遇改善交付金が介護報酬に組み込まれ、実質0.8%の引き下げとなり、強力な政策誘導が行われました。地域包括ケア構想などに沿った領域を重点にし、基本単価などの引き下げによって、訪問介護、デイサービス、介護予防、介護施設などにしわ寄せされています。
 特に生活援助については、これまでの30分以上1時間未満、1時間以上の二つの区分から、20分以上45分未満、45分以上と訪問時間が短縮され、重要な会話の機会が奪われて変化する高齢者を見過ごしてしまう、こういう現場の声も出ています。どんな実態になっているでしょうか。
 第8に、教育のあり方について質問します。
 東日本大震災では教育のあり方そのものが問われました。ことしは猛暑続きで、仮設校舎では40度近い室温に見舞われ、授業に集中できない日が続きました。グラウンドが使用できず、児童生徒の体力低下や競技力への影響が心配されております。子供は後戻りすることができません。学び成長する最善の環境を提供しなければなりません。
 第1に、被災した学校の再建とグラウンドの整備はどこまで進んでいるのでしょうか、その見通しを示してください。
 第2に、全ての仮設校舎へのエアコンがどこまで設置されたのでしょうか。
 第3に、遠い仮設住宅からの通学や狭い部屋での勉強は、集中ができず、ストレスで学びの環境が問題になっています。教育委員会は、こうした問題をどう把握しているのでしょうか。こうした子供たちを支援するボランティアの取り組みも行われておりますけれども、公的な支援体制が必要ではないでしょうか。
 次に、教職員の勤務実態はどうなっているのか伺います。
 先日、被災地の県立高校を訪問しました。全生徒の7割の家庭が被災している状況となっており、生徒に対する支援業務などが増大し、メンタルヘルスが必要な教職員もふえていると伺いました。教員の加配は大変歓迎されており、現場から継続を願う声も寄せられました。次年度以降はどのような対応となるのでしょうか。
 教職員の多忙化は、被災地のみならず全県の課題となっています。1カ月当たりの超過勤務時間数、定年前退職者数、病気休職者数は、それぞれどのようになっているのか伺います。
 次に、いじめ問題について教育委員長に質問いたします。
 滋賀県大津市での自殺問題を受けて、文部科学省はいじめ緊急調査を実施しました。わずか半年で昨年を上回る7万5、000件となっております。本県では、昨年の6倍の2、000件に上ることも明らかにされました。
 いじめは、どの子にも、どの学校でも起こり得ると言われ、問題を隠さず対応することが繰り返し指摘されてきましたが、大津市でのいじめも隠蔽され、岩手県南部の女子生徒がいじめを受けて転校した問題でも、2年前から日常的にいじめが行われ、母親が教育委員会に相談しても、対応されなかったと報道されています。なぜこのようなことが起きているのでしょうか。
 文部科学省は、規範意識の醸成を強調し、今回の事件を受けて、いじめ総合対策を発表いたしました。これで問題の解決になるのでしょうか。
 第9に、東京電力福島原発事故による放射能汚染対策であります。
 原発事故による放射能汚染は、原木シイタケ、山菜、キノコなどの出荷制限、2、500頭に及ぶ廃用牛の滞留、1万5、000ヘクタールを超える牧草の除染など、重大な課題に直面しています。原発事故以前の環境を取り戻し、全面賠償に総力を挙げる必要があります。
 第1に、牧草の除染は、繁殖障害や代替飼料の確保など、さまざまな問題も発生するだけに、前倒しの取り組みが必要であります。現在の進捗状況はどうなっているのでしょうか。牧草の利用解除を行う上でも、1筆ごとの解除が必要であり膨大な作業となりますが、その体制についても伺います。
 シイタケは生産を諦める農家が広がっており、産地が崩壊しかねない事態であります。再生産できる展望を早く農家に示し、生産者一人一人の生産実態と状況に即した丁寧な支援策を行うべきであります。
 汚染状況重点地域に指定された一関市、平泉町、奥州市では、除染実施計画に基づき、国の財政支援を受けて放射線低減対策に取り組んでいます。しかし、国の除染単価を超えるケースも出ており、共同仮置き場の建設などは補助対象外となっています。市町の実情に合った処理方法で除染し、その財政支援を国が行うべきで、国に柔軟な対応を求めるべきでありますが、いかがでしょうか。
 側溝の清掃、まきストーブの灰などの指定廃棄物処理ができずに全く前に進まない現状となっています。予想もしなかった放射能汚染対策に自治体も住民も困惑しており、県として除染対策が進むように支援をするとともに、国に対しても強く働きかけるべきであります。
 JAグループ県協議会が行った賠償請求は、111億円に対して69億円の支払いとなっています。賠償金が唯一の生活費となっている農家もあり、賠償金の全面賠償が求められています。なぜこんな状況になっているのでしょうか。JAグループ県協議会で対応できない全ての被害者を視野に入れた賠償請求が必要ですが、実態はどうなっているのでしょうか。農業以外の漁業や観光などの被害の実態と賠償請求の取り組みについても伺います。
 現在の中間指針では、出荷停止や風評被害に対する賠償は営業損害のみとなっています。しかし、今回の原発事故により仕事そのものを失った被災者も出ています。賠償金は増税となってはね返るだけに、今後の営農意欲を失わせるものであります。生産への日々の努力を無にされた、仕事そのものが奪われただけに、営業損害への賠償だけでは償えません。非課税への取り組みを県として国に求めるべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、東京電力福島原発事故によって国民世論が大きく変化し、原発ゼロを求める国民が多数になっていますが、知事はどう受けとめているでしょうか。政府のエネルギー環境戦略は、原発ゼロを口にしながら、一方では、中断している大間原発の建設再開を認めるという矛盾した姿勢であります。原発被災県として、原発からの撤退を国に求めるべきでありますが、知事の見解を求めるものであります。
 再生可能エネルギーによる発電は、地域密着型による地域経済への波及効果が地産地消で、雇用にも中小企業の高い技術力が生かされるものでなければなりません。県内企業が参加できる環境整備が必要でありますが、県としての支援策について伺います。
 最後に、オスプレイの普天間基地配備について質問します。
 アメリカ海兵隊の垂直離発着機オスプレイが、世界一危険と言われる普天間基地に強行配備されました。日米両政府が合意した運用ルートは、飛来初日から踏みにじられる事態となってしまいました。これまでもたび重なる事故を繰り返しており、生態系への影響が心配されるハワイでも中止されています。
 そもそもオスプレイは、日本の安全とは無縁の海外で活動する殴り込み部隊であります。1999年には、アメリカ軍の三沢基地所属のF16が、釜石の山中に墜落炎上し山林火災を発生いたしました。全国7ルートで低空飛行訓練が行われようとしており、岩手もこれに含まれています。墜落事故を繰り返すオスプレイの低空飛行訓練は、国民の命を危険にさらすものであり、知事も、オスプレイ撤退の意思を明確に示すべきではないでしょうか。
 以上でこの場での質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、被災者の医療費の一部負担費等の免除措置についてでありますが、被災地においては、血圧の上昇傾向や健康不安の声があり、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会を確保する必要があること、また、内陸市町村にも多数の被災者がおられ、県内統一した支援が行われるよう配慮する必要があることから、10月以降も一部負担金等の免除が実施されるよう、市町村に対し財政支援を行う補正予算を今議会に提案しているところであります。
 県としては、被災者の健康確保の観点から、これまで、7月には統一要望の機会をとらえて、また、8月には宮城県、福島県とともに3県合同で、それぞれ国に対して要望してきたところでありますが、今後も引き続き国による財政支援の継続を要望してまいります。
 また、県の支援の継続については、国の支援や市町村の意向などを勘案して判断してまいりたいと思います。
 次に、住宅再建支援策の拡充についてでありますが、暮らしの再建を図るためには、被災者の住宅再建に対する支援策を充実することが必要でありますことから、これまでも機会あるごとに、国に対して被災者生活再建支援金の増額を要望してきたところであります。また、県としても、限られた財源の中で、今年度から新たに復興基金を活用して、住宅再建に際して最大100万円を市町村と共同で補助する被災者住宅再建支援事業を創設するとともに、バリアフリー化や県産材の活用を行う場合の補助や住宅ローンの利子補給などを実施しているところであります。
 このようなことから、まずは現行の支援制度を最大限に活用していただくとともに、国に対して、引き続き被災者生活再建支援金や復興基金の拡充を要望し、被災者の住宅再建を支援してまいります。
 次に、JR山田線と大船渡線の復旧についてでありますが、JR東日本は、鉄道の復旧に当たり、津波時の安全性の確保やまちづくりとの整合性、復旧費用の負担が課題との考えを示しています。このため、県では、鉄道復旧を前提に、これまで復興調整会議や個別の協議の場などにおいて、防潮堤などの整備計画と鉄道の安全性の確保や、市町の復興計画と鉄道の復旧についての協議を重ねてきたところであります。
 また、復旧費用は第一義的にはJR東日本が負担すべきものと考えますが、まちづくりにあわせたかさ上げなどの費用については、JR東日本は国に対し財政支援を求めています。県としても、被災地域の早期復興という観点から国が責任を持って取り組むべきと考えており、JR東日本への働きかけと財政支援について、宮城県や福島県、沿線市町村とともに、これまで国に対し要望を行ってきたところです。今後も、両線の早期復旧がなされるよう、JR東日本や関係機関との協議を加速させるとともに、沿線市町等と連携しながら、国に対し、引き続き強く要望を実施してまいります。
 次に、原発からの撤退についてでありますが、県としては、岩手に原子力発電所を誘致するつもりはないということ、県としてのエネルギー政策は、今後一層再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組み、エネルギー自給率の向上を図っていくということが基本であります。
 次に、オスプレイの普天間基地配備についてでありますが、9月25日に東北防衛局長がオスプレイの安全性等の説明で来庁した際、県民の不安が払拭されない段階での訓練は容認できない旨を伝えたところであります。この問題については、これまで、全国知事会においても沖縄の事情も踏まえ、考え方を取りまとめ、対応してきたところでありますが、今後も、全国知事会の場等での議論を通じ、考えを整理していきたいと考えています。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、一部負担金、介護保険利用料及び障がい福祉サービス等利用者負担の免除継続による財政支援及び対象人数についてでありますが、平成24年10月1日から平成25年3月末まで免除を継続することにより見込まれる県の財政支援額は、国民健康保険については約2億円、後期高齢者医療については約6、700万円、介護保険については約700万円、障がい福祉サービス等については約60万円となっております。また、免除対象人数は、平成23年度実績で、国民健康保険については2万9、461人、後期高齢者医療については1万2、048人、介護保険については5、233人、障がい福祉サービス等については184人となっております。
 次に、国民健康保険税等の負担総額についてでありますが、平成23年度の減免実績により、平成24年10月から平成25年3月まで減免を行った場合の負担総額を推計すると、国民健康保険税については約7億7、800万円、後期高齢者医療保険料については約1億4、600万円、介護保険料については約4億7、600万円と見込まれます。
 県としては、被災者に対する国民健康保険税、後期高齢者医療保険料及び介護保険料の減免について、これまで、7月には統一要望の機会をとらえて、8月には宮城県、福島県とともに3県合同で国に対して要望してきたところでありますが、被災地の実態に合った財政支援が行われるよう、今後も引き続き国に対して要望していきたいと考えております。
 次に、福祉灯油への対応についてでありますが、福祉灯油は、これまで灯油価格が著しく高騰した際に、高齢者世帯等のうち所得の低い世帯に対して、冬期間における経済的負担の軽減を図るため市町村が実施し、県がその経費の一部を補助してきたものであります。
 昨年度は、福祉灯油を実施した平成19年度、平成20年度の水準までは高騰していないものの、東日本大震災津波により甚大な被害を受け、財政状況が極めて厳しい中、福祉灯油を実施する沿岸部の市町村に対しては手厚い財政支援が必要と判断し、被災地福祉灯油等特別助成事業費補助を実施したところであります。
 県としては、今年度においても、灯油価格が高目に推移していることから、引き続き灯油価格の動向を注視するとともに、交付税措置など国による支援の有無や市町村の意向などを確認しながら、福祉灯油実施の必要性を検討してまいります。
 次に、こころのケア対策についてでありますが、昨年度末に設置されたこころのケアセンターでは、身近なところで専門家による相談が受けられる震災こころの相談室を初め市町村が行う全戸訪問や特定健診、こころの健康調査などの保健事業への支援を行い、要支援者を中心に訪問活動を行う地域の保健師との密接な連携のもと、リスクの高い方を適切な支援につなぐための活動を行っております。こうした活動の本年4月から7月までの主な実績は、訪問や相談室による相談件数が延べ1、082件、こころの健康に関する教育や人材養成研修を67回実施し、約1、400名の方に参加いただいたところであります。
 また、生活支援相談員等被災者の訪問、見守り活動を行う支援者は、仮設住宅やみなし仮設住宅等を定期的に訪問し、支援を要する世帯の状況を把握し、必要に応じて保健師やこころのケアセンター、地域包括支援センターなどの専門機関に適切に情報をつなぐなどの連携を図っております。今後も、引き続き内陸の保健所や市町村、岩手県看護協会等関係団体からの協力を得て、定期訪問を行う保健師等の体制確保に継続して取り組むとともに、保健、医療、福祉の関係者が連絡会議や情報共有の場を各地域に設け、ネットワークを強化することで、被災者一人一人の状態に応じた支援を行ってまいります。
 次に、大東地域の医療、介護の連携の取り組みについてでありますが、大東病院の再建につきましては、回復期リハビリの千厩病院への集約など、病院機能の見直しが行われることとされておりますことから、これまで以上に、大東病院を初めとした地区内の医療機関、介護施設等が相互に役割分担と連携づくりを進めていくことが重要であると考えております。
 現在、一関市においては、地域密着型特別養護老人ホームや認知症グループホームの大東地域内への整備を検討していくことと聞いております。こうした介護施設と大東病院を初めとした医療施設の連携について、地域での議論を深めていただきながら、県としても地域包括ケアを推進するための人的ネットワークの構築など、その具体化に向けて支援していきたいと考えております。
 次に、本県の要介護認定者数についてでありますが、平成24年7月末現在で要介護認定を受けている高齢者は、震災前の平成23年2月時点に比較し、全県では5.7%増の6万6、022人となっており、このうち沿岸市町村では2.1%増の1万5、065人となっております。
 次に、介護ニーズへの対応についてでありますが、本年9月時点において、沿岸被災地の入所居住系施設の定員数は、新たに開所した施設を含め震災前の101.6%に、また、居宅サービス事業者数は99%まで回復してきております。今後とも、仮設住宅団地等に整備した高齢者等サポート拠点等を活用するとともに、予定している施設整備を着実に進め、ニーズに対応したサービス提供体制の確保に努めてまいります。
 次に、介護報酬の見直しに伴う課題についてでありますが、報酬改定から半年経過したところであり、国では本年度より、次期改定に向け介護報酬改定検証・研究委員会等を設置し、今回の改定の効果検証や介護事業者の経営への影響等について、実態把握、分析等を行うこととしております。
 本県におきましては、本年4月から6月の訪問介護の利用は伸びているところでありますが、その内訳につきましては、国の調査分析等とあわせ県内事業者の意見を十分伺うとともに、利用者からの相談等を参考に課題を把握し、必要な制度改正や措置について国に要望してまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) 冬に向けての仮設住宅の対応についてでありますが、寒さ対策といたしまして、外壁の断熱、窓の二重化、風除室の設置及び水道管の凍結対策として床下への外気の侵入を遮断するシート張りは完了いたしております。今後は、厳冬期前に施設の再点検を実施いたしますとともに、水抜き栓や凍結防止ヒーターの操作につきまして、改めて入居者の皆様に周知し、水道管の凍結防止に努めます。
 次に、風呂の追いだきと物置の設置についてでありますが、追加設置の希望につきましては随時受け付けて対応しておりまして、10月末までに決定いたします。
 次に、地域型復興住宅の現状と課題についてでありますが、地域型復興住宅は、地域の住まいのつくり手であるさまざまな住宅生産者が、住まい手と手を取り合いながらつくる、地域にふさわしく良質で、被災者が取得しやすい価格の住宅であります。現在、岩手県地域型復興住宅推進協議会には138の生産者グループが会員となりまして、4月発足以降、8月末までに121件の地域型復興住宅の受注があったと報告を受けております。今後、本格的な住宅再建が進む見込みでありますことから、地域型復興住宅につきまして、パンフレットの配布や協議会事務局のホームページ等による周知活動、地域型復興住宅推進協議会から派遣されました相談員によります住宅再建相談会での相談対応を今後も引き続き行いまして、被災者の方々への周知に努めます。
 次に、災害公営住宅を木造戸建てで建築することについてでありますが、県といたしましては、より早く、よく多くの災害公営住宅を建設することが重要でありまして、十分な建設用地が見つかっていない現状におきましては、集合住宅を中心として整備せざるを得ず、また、庭の確保につきましても非常に難しいと考えておりますが、今後も市町村と十分に相談いたしまして、災害公営住宅の計画を進めていきたいと考えております。
 なお、市町村が中心となって進めます比較的規模の小さな災害公営住宅につきましては、地域の個別のニーズを勘案し、木造戸建ての災害公営住宅を整備する予定であります。
   〔理事高前田寿幸君登壇〕
〇理事(高前田寿幸君) まず、土地に係る許認可等の手続の簡素化についてでございますが、復興事業の円滑かつ迅速な実施を図るため、土地利用の再編に係る特例を含む東日本大震災復興特別区域法が昨年12月に施行されたところでございます。この復興特区法は、市町村が行うまちづくり事業等を対象として、土地利用の許認可等に係る手続のワンストップ処理や、許認可基準の緩和等により事業の円滑化を図るものでございまして、この制度を活用するためには、復興整備計画を作成し、関係機関で構成する復興整備協議会で協議、同意を得る必要がございます。
 このため、現在、9市町村と県が共同で復興整備計画を作成し、手続の簡素化に努めているところでございまして、例えば、農用地区域内農地の転用に必要な農振除外の手続や、埋蔵文化財発掘調査の実施に先立って必要となる立木の伐採等の許可が不要となるなど、復興事業の円滑化が図られているところでございます。県といたしましては、今後とも、市町村と連携した復興特区法の活用により、手続の簡素化等を促進してまいります。
 次に、個人版私的整理ガイドラインについてでございますが、本年10月5日現在、本県における相談件数は632件、債務整理の成立件数は15件となっているところでございます。
 次に、ガイドラインの周知についてでございますが、県といたしましては、これまで、いわてグラフや被災全世帯に配布しておりますガイドブックを通じたガイドラインの紹介や、関係機関と連携した沿岸4地区での市町村等を対象とした説明会の開催等により周知に努めるとともに、本年9月には、県内金融機関に対し、ガイドラインの被災者への積極的な周知を要請したところでございます。
 また、本年7月には、国に対して二重債務問題の早期解決に向けての支援を要望し、国は先般、金融機関に対し、ガイドラインの積極的な活用を要請したところでございます。今後とも、関係機関と連携し、ガイドラインの積極的な周知を図るとともに、被災者相談支援センターなどを通じ、被災者への相談支援や情報提供を適切に行ってまいります。
 次に、被災事業所の再建と売り上げの回復についてでございますが、県が9月に取りまとめました被災事業所復興状況調査結果によれば、事業所の再開率は、一部再開を含め約78%となっている一方で、各事業所が現在抱える課題としては、売り上げ、利益率の低下を挙げた事業者が約35%となっているなど、事業所の再建とあわせて業績の回復が重要な課題となっているところでございます。このため、引き続き、グループ補助や復興交付金事業等を活用し、事業所の再建を積極的に支援することとしているところでございます。
 また、業績の回復に向けては、大手量販店での物産展や県内外のバイヤーとの商談会の開催によるマーケティングの支援、大手商社等からのアドバイザーの招聘による販路の拡大、さらには、トヨタ生産方式の導入による生産効率の向上などにより、事業所の復興を支援してまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、土地の高騰対策についてでありますが、県では、沿岸地域において地価上昇が懸念されましたことから、岩手県不動産鑑定士協会に委託し、四半期ごとに短期地価動向調査を行い、価格動向を監視しております。直近の7月1日現在の調査結果では、都市機能の回復とともに震災前の土地価格への回帰傾向が見られるものの、大幅に地価が上昇する可能性は低いとの報告を受けているところであります。
 また、県や沿岸市町村の広報媒体を活用し、基準値価格を参考にした土地取引を行うよう呼びかけており、岩手県宅地建物取引業協会等に対しても、地価高騰の起因となるような土地取引の防止について協力を要請しております。今後とも、地価高騰が起こらないように適切な監視を続けてまいります。
 次に、除染に係る国の支援についてでありますが、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく国の基本方針において、原子力政策を推進してきた社会的な責任から、国の責任において環境汚染への対策を講ずるとされております。しかしながら、除染実施計画への国の同意、補助金交付決定等の事務手続に遅延が生じているほか、補助対象経費についても、汚染土壌を除去した校庭の原状回復費用の一部や、コンクリート製の一時保管施設の費用が認められないなど、除染の円滑な実施に支障が生じております。このため、県では国に対し、自治体の負担とならないよう全面的な支援措置を講ずるよう要望してきたところであり、今後とも、3市町と連携しながら、地域の実情を踏まえた除染が円滑に進むよう、国に対して強く働きかけてまいります。
 次に、除染対策についてでありますが、除染を進めるに当たって不可欠な最終処分場の確保を国が市町村に委ねていることが大きな課題となっております。国がその責任を十分果たさないという現状の中で、国の対応を待たずに除染対策を円滑に進めていくためには、既存の最終処分場の活用を図るということが現実にとり得る方法と考えられます。このため、この方向で関係市町との調整を進めることとし、最終処分場周辺住民への説明を含め、県として、市町と一緒に汗をかいていく考えであります。
 また、国に対しては、その責任を十分果たすよう努めるとともに、除染廃棄物の埋め立てにより逼迫が懸念される最終処分場の新増設への特別な財政支援などについて、3市町と連携しながら、引き続き要請してまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、雇用保険広域延長給付についてでありますが、岩手労働局の発表によりますと、岩手県内の受給者数は、昨年10月から本年8月までの11カ月で4、219人、給付が終了した方は9月14日現在で3、268人、このうち未就職だった方は2、233人、68.3%となっております。
 雇用保険広域延長給付終了後、まだ就職に至っていない方も多いことから、ハローワークやジョブカフェ等の就職支援施設において、求職者個々の適性に合わせた就業支援をさらにきめ細かく行うとともに、あわせて、緊急雇用創出事業により、つなぎとしての当面の雇用の場を確保するなど、対策を講じてまいります。
 次に、雇用のミスマッチの解消についてでありますが、求職者が企業から直接説明を聞くことができる面接会は、マッチングを進める上で非常に有効であると考えており、県では、今年度、沿岸地域で就職面接会の回数をふやしておるところでございます。また、面接会にあわせ求職者がより広い範囲で仕事を考えられるよう、地域の求人がどの職種にどれだけあるのかについて説明会を行うほか、人手不足が深刻化している水産加工業の企業見学会や個別面接会を行い、このような取り組みにより就職に結びつく事例も出てきております。
 さらに、ハローワークでは求職者のニーズを踏まえた担当制による職業相談の実施や仮設住宅への出張相談、積極的な求人開拓の推進や求人条件緩和指導の徹底を行っております。今後も、沿岸各地におきまして、ハローワークなど関係機関と連携しながら、ミスマッチの解消に向けたきめ細かな取り組みを進めてまいります。
 次に、事業復興型雇用創出助成金についてでありますが、県としては、これまで、当該事業について、より実効性のある事業とするため、国に対し要件緩和を要望してきたところです。具体的には、再雇用者のみでも対象とするため、再雇用者の割合の制限を廃止すること、また、当該事業を遡及適用し、震災が発生した平成23年3月11日以降の雇用を対象とすること、さらに、平成24年度末までとされております事業着手時期を延長し、これに伴い全体の事業実施期間を延長することについて見直しを要望しております。
 次に、グループ補助金の予算措置についてでありますが、グループ補助金に対する要望が依然として多いことから、さらなる支援が必要と考えており、今般、9月補正予算案に盛り込んだところです。被災事業所の再建のためには、一刻も早い補助事業の実施が求められることから、国に対して、あらゆる機会を通じて早期の予算措置を働きかけるとともに、国の動向について、今後とも情報を収集してまいります。
 次に、中小企業被災資産復旧事業費補助についてでありますが、利用の進まない主な理由といたしまして、地域の土地利用の関係から、復旧するための用地が定まらないため、本復旧が来年度以降とならざるを得ない事業所が多いことなどが挙げられます。そのため、今後も、市町村や商工団体からまちづくりの進捗状況や事業者の復旧状況をお聞きしながら、来年度以降の事業の延長について検討してまいります。
 また、内陸部への支援についてでありますが、本補助及び昨年度実施いたしました修繕費補助は、今般の津波によって地域の産業が甚大な被害を受け、早急な地域経済の再生と雇用の場の回復を促進する必要がある沿岸市町村をその対象としているものでございます。
 次に、仮設店舗から本設再開への支援策についてでありますが、県では、国に対して、グループ補助金の継続や、グループ化になじまない小規模事業者に対する要件緩和に加え、新たな補助制度の創設を要望してきたところ、来年度の国の概算要求において、グループ補助金の実施と、新規で被災地域商業復興支援事業がそれぞれ事項要求されたところでございます。
 また、県では独自に沿岸市町村と共同で復旧費補助を行っておりますが、経営基盤の弱い小規模事業者の本格復興におきましては、国の支援が欠かせないと考えておりますので、引き続き、財源も含め、長期にわたる被災企業の復興支援について国に要望してまいります。
 次に、事業所の二重ローン対策についてでありますが、9月末現在、岩手産業復興機構と東日本大震災事業者再生支援機構の二つの機構による債権買い取りと長期返済猶予や新規融資を含めた総支援件数は76件となっており、金融機関を含めた関係者の協力によって、債権買い取りは徐々に進んできております。
 一方、債権買い取りがなかなか進まない要因といたしましては、本設再開に向けた事業用地が容易に定まらないため、いまだ資金需要が本格化していないといった事情も考えられるところでございます。
 県といたしましては、本年9月に、国、信用保証協会、金融機関、商工団体で構成する岩手県中小企業支援等連携会議を設立し、情報共有を図りながら、債権買い取りが円滑に進むよう取り組んでいるほか、岩手県産業復興相談センターの体制の強化を図ることとしており、債権買い取りが進むよう努めているところでございます。
 次に、再生可能エネルギー分野への県内企業の参入に係る支援策についてでありますが、県では、再生可能エネルギーの導入を促進するため、大規模太陽光、風力発電の導入や新規に再生可能エネルギー事業に参入する際には、低利融資などの支援を実施しているところでございます。
 また、新規に取引を希望する企業には、展示商談会への出展を支援し、その参入促進を図るとともに、将来の事業化に向け研究開発を行う場合は、いわて戦略的研究開発推進事業において、太陽光、風力等利用機器の高効率化技術の開発を初めとし、環境、エネルギー分野を対象とするなど、その推進を図っております。
 現在、導入に向け取り組みを進めております洋上風力発電など、県内ものづくり技術の応用が可能な分野におきましては、地元企業の参入に向けた支援を行うことにしておりまして、今後とも、これらの支援により、県内企業が再生可能エネルギー分野へ進出できるよう環境整備に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、漁港、荷揚げ岸壁の改修状況についてでありますが、漁港、荷揚げ岸壁の改修状況は、8月末までに、被災した108漁港のうち87漁港で本格的な復旧工事に着手しており、引き続き本格的な復旧整備を推進し、平成27年度末までに被災した全ての漁港が復旧するよう取り組んでまいります。
 次に、漁船の確保についてでありますが、震災後、これまでに約6、000隻が新規登録され、被災を免れた漁船を合わせると被災前の5割強、約8、000隻程度が稼働可能となっております。
 漁船の確保の支援につきましては、漁協等からの要望をもとに設定した整備目標の実現に向けて、補助事業を活用して取り組みを進めておりますが、今後とも、漁協等の要望を確認しながら、必要な隻数の確保に努めてまいります。
 次に、水産物の放射性物質検査体制についてでありますが、海産魚につきましては、久慈、宮古、釜石、大船渡の県内主要4魚市場におきまして、水揚げされた魚種の中から、毎週32検体を目途に検査を実施しております。
 これとは別に、マダラにつきましては、盛岡中央卸売市場の自主検査で、青森県産の検体が基準を超過したことを受け、主要4魚市場に水揚げされた場合、おおむね週10検体を目途に検査するなど、重点的なモニタリングに努めております。
 次に、牧草地の除染についてでありますが、進捗状況につきましては、現時点で平成24年度実施予定の8、300ヘクタールのうち4、200ヘクタールに着手しており、秋施工を希望している農家も多いことから、全植生の処理も含めて、施工方法の徹底も図りながら着実に作業を進めてまいります。
 除染後の牧草の検査体制につきましては、農協等の協力を得たサンプル採取や、民間検査機関の活用も図りながら検査を進めてまいりましたが、今後とも、検査体制には万全の配慮を期していく考えであります。
 次に、シイタケ生産者支援についてでありますが、県では、原木シイタケの産地再生を図るため、原木シイタケ生産者への生産物の損害やほだ木更新に係る支援金の貸し付け、市町村への使用自粛ほだ木処理経費の補助、ほだ木更新に必要な原木の確保等に取り組んでおります。
 加えまして、9月補正予算案には、新たにほだ場の放射性物質の影響低減を図るため、落葉層の除去等、ほだ場環境整備への支援を盛り込んだところであり、今後とも、市町村、関係団体と連携して、産地再生に向けて生産者支援に取り組んでまいります。
 次に、損害賠償請求についてでありますが、JA協議会に対する支払い実績が約6割となっている主な要因は、東京電力が請求内容の確認に時間を要していること、肉牛の損害算定方法の一部の協議が調っていないことなどによるためと承知しております。
 JA協議会へ賠償請求を委任していない被害者につきましては、東京電力の職員による請求手続の説明会の開催や問い合わせのあった被害者への個別訪問による説明の実施を支援しております。
 漁業につきましては、本年6月にJFグループ等の協議会、7月に内水面漁業系統の協議会が設立され、水産物関係被害の賠償請求に向けた作業が進められております。
 観光業につきましては、東京電力と観光団体が風評被害の損害賠償方法について合意し、10月下旬から請求が可能となっていることから、県といたしましては、説明会を開催し周知を図るなど、賠償請求の支援を行っているところであります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) 沿岸地域の代替バスについてでございますが、通学における交通の確保につきましては、これまで、関係市町や県教育委員会と連携を図りながら、バス事業者への要請を行い、運行の増便やダイヤの見直し、乗り継ぎ時間の短縮など、利便性の改善に努めてきたところであります。
 しかしながら、今回の震災により、バス事業者は、営業所やバス車両を流出するなど大きな被害を受け、現在においても、営業所や運転手の確保が困難な状況となっているため、十分な運行水準を保てない状況となっております。
 このため、代替バスの利便性の改善は引き続き必要と考えており、市町等関係機関と連携しながら、バス事業者の課題の解決を支援していくとともに、利用者ニーズを的確に把握しながら改善を図ってまいる考えでございます。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) まず、高田、大槌、山田の各県立病院の再建についてでありますが、被災した沿岸部の県立病院がある各二次保健医療圏においては、県の次期保健医療計画策定に向け、医療機関相互の役割分担と連携を進めるための具体的な方策や目標などについて、議論がなされているところであります。
 また、建設場所につきましては、地元市町において、現在、具体的な土地利用計画などの策定を進めているところであり、津波の被害を受けない高台であること、早期に工事着手が可能であることなどの条件を満たす候補地の選定について、それぞれ地元の市町との協議を行っているところであります。
 こうした状況を踏まえながら、本年度中を目途に、それぞれの病院の立地場所や規模、機能などの検討を進めてまいります。
 次に、大東病院についてでありますが、大東病院の整備に当たっては、本年5月、8月、9月の3回にわたり、地域の皆様との意見交換会を開催し、さまざまな御意見をいただいたところでありますが、この地域に一定程度の病床が必要であるとの判断のもと、医師不足などの厳しい状況を踏まえつつも、病床を維持していくことを最優先に、医師への負担を少しでも軽減し、新たな医師を確保しやすい環境をつくる観点から、病床数は40床程度とすること、診療時間内の一次救急に対応すること、回復期リハビリは千厩病院に集約すること、プールは廃止することなどの整備方針を決定したところであります。
 現在においても、診療時間外の救急については、磐井病院、千厩病院等で対応しており、引き続き適切に対応してまいります。
 次に、花泉地域診療センターの民間移管に係る法人への対応状況についてでありますが、医療法人白光の民間公募に関する平成21年1月28日の新聞報道を受けて、同年2月16日と4月6日の2回にわたり、法人側の考えの聞き取りを行っております。
 また、その後においても、地域診療センター等懇談会の状況等についての問い合わせなどを受けているほか、医師の紹介の場面でお会いしているところであり、検証に当たりましては、過去における一連の書類や記録等を精査するとともに、当時の関係職員から確認した上で最終報告案としてまとめたところであります。
 なお、知事から要請されて受けたとの社会福祉法人理事長の発言につきましては、これまでの県議会において、知事から、そのような事実はない旨、明確に答弁しているところであります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 原発事故による賠償金への非課税措置についてでありますが、原発事故に係る賠償金につきましては、生命、心身の損害等に対するものにあっては非課税、必要経費を控除した後の利益の減収分に対するものにあっては課税対象とする旨、国税庁から示されているところでございます。
 こうした税制上の取り扱いは、損害賠償全般に当てはまるものであり、税制の公平性の観点からは、原発事故に係るものに限って非課税の範囲を広げることは難しいとの感触を得ております。
 したがいまして、県としては、非課税範囲の拡充も課題であると認識しておりますが、まずは、原発事故の原因者たる東京電力に対し、放射性物質により県内で発生している全ての損害について、広く責任を認め、被害者が納得し得る十分な額の賠償を行うよう強く求めていく考えであります。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) まず、いじめの問題についてでありますが、いじめは決して許されないことと認識しております。
 議員御指摘の調査につきましては、文部科学省が毎年実施している調査であり、学校及び市町村教育委員会からの報告を取りまとめ、報告しているものと承知しております。
 報告に当たっては、これまでも、学校や市町村教育委員会において、いじめ等の問題行動について、情報の共有をし、共通の認識を持って対応していただいていると認識しております。
 なお、今般の県南部の事案につきましては、当該教育委員会において、調査方法や報告のあり方などについて検証を行っていると伺っております。
 県としましては、今月実施する研修会等を通して、いじめの兆候の把握や適切な対応について全県に周知してまいります。
 次に、いじめ問題に関する見解についてでありますが、本年9月に国が公表した、いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針につきましては、学校・家庭・地域が一丸となって子どもの生命を守る、国・学校・教育委員会の連携の強化などの基本的な考え方が示されており、県としても重要なことと認識しております。
 県といたしましても、いじめを絶対に許さない学校づくりに向けて、児童会や生徒会活動などの自治活動を通して、子供たちに自分たちの問題として取り組ませるとともに、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを進めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、被災した学校の再建についてでありますが、市町村立小中学校につきましては、7市町17校において再建について検討が行われており、このうち、用地の確保を含め移転場所が決定しているものが4校、移転場所を選定し用地交渉を行っているものが8校、移転場所や復旧方針を協議、調整中が5校となっております。
 山田町の船越小学校は平成26年4月、その他の学校の多くは平成28年4月の開校を目指し、それぞれ取り組まれているところでございます。
 県立学校につきましては、県立高田高等学校の造成工事に本年7月に着手したところであり、校舎、体育館等の主要施設について、平成26年度末までの完成を目指しているところでございます。
 次に、グラウンドの整備についてでありますが、学校のグラウンドに仮設住宅及び仮設校舎が建設されたことにより、グラウンドの使用の全部または一部が制約されている学校は41校となっております。このうち、仮設グラウンドが整備されたものが9校、整備中または整備予定が4校となっております。
 また、仮設校舎へのエアコンの設置についてでありますが、4市町12校のうち釜石市の4校に設置されているほか、大船渡市及び大槌町の6校で今後整備する計画となっております。
 次に、学びの環境についてでございますが、現在、被災した沿岸各市町村では、約2、300人の児童生徒が仮設住宅に入居しており、これらの児童生徒の多くは、通学に時間がかかること、家庭学習に集中して取り組めるスペースの確保が困難なこと等により、放課後や休日の家庭学習に困難を抱えております。
 現在、陸前高田市や大船渡市、釜石市、大槌町、田野畑村で、民間のボランティア団体と市町村教育委員会が連携するなどし、平日の夕方から夜間及び休日の昼間の時間帯に、学校の空き教室や地域の集会施設等を利用して、児童生徒が集中して学習に取り組む場を確保するとともに、地元の塾講師や大学生ボランティア等が、児童生徒の学習のサポートに当たっております。
 これらの取り組みは、国の委託事業を活用し支援を行っているところでありますが、今後も、各市町村や国と連携しながら、児童生徒の放課後における学習支援の充実に努めてまいります。
 次に、教職員の勤務実態等についてでありますが、東日本大震災津波により、被災地域の学校では、児童生徒の心のケアや奨学金の申請事務への対応など教職員の業務が増大しているため、平成24年度も、小中学校194名、県立学校33名、合計227名の加配が国から認められ、各学校に配置しております。
 来年度以降の継続的な加配措置につきましては、これまで、さまざまな機会を捉え国に要望しているところでありますが、今後とも、被災地域の学校の状況を把握した上で、各学校の要望を聞きながら、必要な加配措置を行っていきたいと考えております。
 また、超過勤務時間が把握できる県立学校事務職員の平成23年度における1カ月当たりの超過勤務時間は、1人平均5.3時間、学校における平成23年度の定年前の退職者数は123人、病気休職者は105人となっております。
〇1番(高田一郎君) それでは、再質問いたします。
 まず、福祉灯油について伺いたいと思います。
 先ほどの答弁では、福祉灯油については、必要性について検討していきたいという話でありました。昨年も沿岸の被災地に限定して福祉灯油が実施されましたけれども、結局、県の対応がおくれて、沿岸の市町村、被災地では、対応がばらばらになったんですね。やっぱり早い対応を求めたいと思いますけれども、いつごろこの判断をするのか、この点について伺いたいと思います。
 それで、福祉灯油というのは、やはり灯油価格が著しく高騰したときの経済的な負担という観点から実施されております。私は、福祉灯油については、昨年以上に必要性が増しているのではないかと思うんですが、この点についていかがでしょうか。
 昨年は、サウジアラビアからの支援もありました。そして、今回新たに仮設住宅での追いだきが設置をされました。(「クウェート」と呼ぶ者あり)クウェートですか。済みません、訂正します。クウェートからの支援がありました。そして、仮設住宅への追いだき機能も設置されて、光熱費が大変高くなったのではないかと思います。加えて、国保税とか介護保険料も引き続き負担をしなければならない。こういう被災地の生活実態からしても、そして、灯油価格も9月時点で史上2番目の灯油価格になっているんですね。こういうことを考えれば、私は、昨年以上に福祉灯油の必要性が増しているのではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
 次に、仮設住宅について伺います。現在の仮設住宅の空き室状況と活用状況はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
 被災地に行きますと、親戚や、あるいは子供が帰ってくるときに、寝るところがないということで日帰りになったり、あるいは内陸のホテルに泊まって何回も往復する、こういう話をされて、何とか柔軟な対応ができないかという声が寄せられております。これに対しては柔軟な対応ができるのかどうか、これについてもお伺いしたいと思います。
 それから、みなし仮設住宅でありますけれども、岩手県では1万3、903人が、みなし仮設住宅での生活を余儀なくされています。このみなし仮設住宅というのは仮設住宅以上に孤独感が高い、こういうことが専門家からも指摘されています。仮設住宅ではみんなで集まって生活をする、みなしというのは分散して生活せざるを得ないということで、その孤独感が深くなって、さまざまな問題もあるということが指摘されています。
 こういうみなし仮設住宅に対して、どういう具体的な支援がされているのでしょうか。情報不足とかも指摘されていますが、ボランティアの支援に終わってしまって、行政の支援が少ないのではないかと思いますけれども、具体的な県の対応についてお伺いしたいと思います。
 次に、事業所の再建についてであります。
 グループ補助については、第4次の申請で43グループ、929社、225億円の申請に対して、21グループ、456社、140億円ですから、申請した半分の事業所が採択にならなかった。これは、被災事業者にしてみれば天国と地獄のようなものなんですね。私は、こういう困難の中でも再建したいという全ての事業者を応援する、そういう対応が必要だと思うんですが、この点についていかがでしょうか。
 そして、グループ補助の問題については、国の動向を注視して対応するという話をされました。しかし、私は、そんなのんびりしていていいのかと思うんですね。つまり、このグループ補助の問題については、平野復興大臣が、必要性を認めて、来年度の予算で対応するというような話をしていますね。来年度の予算に計上すれば、結局この事業が動くのは来年の春以降になってしまうんですよ。そんなことになってしまったら、ますます事業再建を断念するという事業所がどんどん出てくるのではないでしょうか。
 これは知事にお伺いしたいと思うんですけれども、本当に今、政局絡みで臨時国会も召集されない、そんな事態ですね。早く臨時国会を招集して、壇上でも述べたんですが、臨時国会冒頭にでも予算提案してもらう、そういうことをしてもらわないと、被災地の事業再建は本当に前に進まないのではないかと思うんです。
 知事が先頭に立って、他の被災県にも呼びかけて、あるいは国会議員にも声をかけて、一刻も早くそういう対応をしていただきたいということを、本当に喫緊に対応すべきではないかと思うんですが、知事の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、県立病院の再建問題について伺います。
 医療局長答弁では、当該市町と協議をしているというお話でありました。私はこの間、県議団で被災地の県立病院を視察し、院長先生あるいは自治体関係者と懇談してきました。
 高田病院については、もう震災前以上に外来患者が戻りまして、大変積極的な取り組みが行われております。高田病院は、場所も、用地もほぼ決まり、そして、石木院長は、ぜひ80床にしたい、こういう話をされました。県立病院の学会でも、公式の場でも80床にしたいということを述べているんですね。高田病院はこういう状況です。
 大槌病院も、病院長から具体的な場所が提案されました。これは町とか、あるいは県の教育委員会とかと協議しなければならない問題でありますけれども、私は、被災地のこういう現場に行って、本当に医療局がもっともっと積極的に取り組めば早く再建計画が示されると思うんですね。県医療局の対応が少し弱いのではないかと思いますし、条件が整ったところからやはり再建を進めていくべきだと思うんですが、この点についてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) グループ補助金は今すぐ必要だという考え方から、県も9月補正予算に87億円盛り込んだところでありまして、これはもう、なぜ国のほうが今そうなっていないのかというのは、私も非常にあってはならないことだと思っております。グループ補助金については、特に、さまざまな要望の中でも強調してきたところであり、あらゆる機会を捉えて国に訴えていきたいと思います。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 福祉灯油の関係で2点お尋ねがございました。
 一つは早い時期の対応ということと、それからもう一つは、必要性が昨年度から比較して増しているのではないかということについての所感でございます。
 昨年度の場合は、いろいろその置かれている状況等を勘案し、先ほども答弁申し上げましたとおり、制度設計をいろいろな形で検討してきたわけでございます。価格の動向について、今年度、高目に推移しているというのは、先ほど御答弁申し上げましたとおりでございまして、この動向をよく見きわめつつ、制度設計もできるだけ早い時期に行いたいとは考えておりますが、いずれにいたしましても、やはりどういう価格で推移するのかということをきちんと把握した上で判断するということが原則でございますので、そこの点は御理解をいただきたい。できるだけ早く判断したいということは、そのとおりでございます。
〇理事(高前田寿幸君) 何点かお尋ねがございました。
 まず、1点目でございます。仮設住宅の入居状況でございますけれども、9月3日現在、約1万4、000戸ほど仮設住宅がございまして、入居率が92%ほどということでございます。現在あいている戸数が1、000戸ほどございまして、これにつきましては、応援職員等の宿舎として約440戸ほど活用いたしてございますし、そのほか、被災者のための保有というものが約500戸ほどございます。こういったようなことから、まずはとにかく被災者の生活の支援ということでございますので、この仮設住宅の利用については、そういった観点から適切に判断、対応していかなければならないと考えてございます。
 それから、みなし仮設住宅の関係でございますけれども、これにつきましても、現時点で全体で7、700名ほどの方がみなし仮設住宅でお暮らしになっているということでございまして、こういった方々に対しましては、生活支援ということで県内のほとんどの市町村において実施いただいておりますけれども、情報提供、総合相談窓口の設置等によります相談対応、それから、見守り訪問ということで、民生委員による見守り、保健師、相談員による全戸訪問といったような形で、さまざまな情報提供、相談活動が行われているところでございますし、さらには、内陸の市町村におきましては、被災者交流会等のイベントなども開催させていただいているところでございます。
 県といたしましても、こうした市町村の取り組みとあわせまして、本年5月からでございますけれども、各戸に定期的に支援事業でありますとか復興関連情報といったものを郵送で提供させていただいておりますし、ファイナンシャルプランナーによる相談会といったものを、盛岡市など内陸部も含めまして開催させていただいているところでございます。今後とも、こうしたみなし仮設住宅に居住しておられる方々に対する生活支援というものをしっかりとやっていきたいと考えております。
〇医療局長(遠藤達雄君) 沿岸部の被災した3県立病院の復興に関してでございますけれども、それぞれの自治体でちょっと状況が異なっておりまして、ただいまの御指摘のとおり、陸前高田市におきましては、復興計画におきまして氷上山麓地区を健康と教育の森ゾーンといった形で位置づけておりまして、その中で高田病院の整備という形の復興計画の案にはなってございます。
 先日公表されました土地区画整理事業を導入する高田地区の土地利用計画検討案でございますけれども、その中におきましては、同様に高田地区に県立高田病院を整備する案となっています。今後、それぞれ地区の住民に対する説明などを行いまして、土地の利用計画を決定すると伺っております。
 それから、大槌、山田につきましては、復興計画の中で公共施設─これは病院も含めてですけれども、原則として津波の浸水想定区域外に整備するという方針が示されております。現在、両町の中でそれぞれ具体的な土地利用計画などの策定を進められていると伺っておりますので、こうしたそれぞれ1市2町の状況を踏まえながら、場所、規模、機能等を含めまして、今年度中を目途に検討を進めてまいりたいと考えております。
〇1番(高田一郎君) グループ補助の問題については、あらゆる機会をとらえて国に対して申し上げたいという答弁でありました。繰り返すようですけれども、平野復興大臣が、来年度の予算で手配をするというこの対応は大変な問題だと思うんです。来年度の当初予算に計上されてしまえば、これが動くのは来年の春以降になってしまいます。そこまでは事業者はもたないんじゃないかと思うんです。せっかく手を挙げて、再建をしたいという事業者がたくさんある中で、私は一刻も早い対応が必要だと思うんです。あらゆる機会をとらえてではなく、今月にも、被災県にも呼びかけて行動する必要があるんじゃないかと思うんですけれども、再度この点についてお伺いしたいと思います。
 それから、事業所の再建の問題では、やっぱり内陸部の被災事業所に対する対応も大変大事だと思います。今回の地震の被害というのは、一関市で言えば、岩手・宮城内陸地震の6倍を超える被害状況になりました。住宅の再建問題では、内陸部の自治体にも支援をしているんですけれども、事業所の再建だけはなぜか支援をしないと。これはやはり制度的な欠陥じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 もう一つ、内陸部の事業所の被害の実態を県としてどのように把握しているのかについてもお聞きしたいと思います。
 次に、いじめ問題について伺いたいと思います。
 この間、県の教育長、教育委員長から、いじめ対策に対する県の対応について答弁がありました。やはりいじめの広がりというのは社会の反映ということも言われておりますから、すべて学校だけでこれは解決できる問題ではないと私も思います。しかし、いじめ対策のかぎを握るのはやっぱり学校であり、先生方だと思うんです。そのためにも、私は、教職員がいじめ問題に力を発揮できるような環境、学校の多忙化の解決とか、あるいは学校のあり方を改革する必要があるのではないかと思うんですが、教育委員長の考えについてお伺いしたいと思います。
 今、説明するまでもなく、学校現場は、先生方は本当に多忙です。行政への報告書をつくるとか各種の打ち合わせ、いろんな研修会に参加しなければならない。肝心の授業の準備とか、子供たちと真剣に向き合う時間がなかなかないという中で、子供の変化をなかなかキャッチできないという面があります。
 もう一つは、今の学校の目標達成型の学校経営によって、学校の教育活動が数値ではかられて、その達成ぐあいで評価される、そういう問題も実はあると私は思います。学力テストの平均点数あるいは進学の実績とか、そういうどれだけ目標の達成に貢献するかというのが教員と学校の評価になってしまって、その時々のいじめ問題への対応になかなか取り組めない。そういう環境にないということもあると思うんです。私は、相談窓口を設置するとか、早期発見とか、アンケート活動に取り組むということも一つ一つ重要な課題だと思いますけれども、やはりこの問題にメスを入れなければ、いじめ問題も根本から改善できないのではないかと思うんですが、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
 それから、放射能問題についてお聞きしたいと思います。
 今、シイタケ生産農家は何を一番思っているか、感じているか。それは、先が全く見えない、早く再生産ができるかどうか、その展望を示してほしいという声なんです。それに行政がどう応えるのかということが、今一番問われていると私は思います。出荷制限解除に向けた取り組みがどうなっているのか、あるいは再生産をするための支援策がシイタケ生産農家にまだまだ伝わっていません。そういう状況を生産農家によく説明して、再建のために一緒に考えていくという取り組みが必要じゃないかと思います。そして、私は、シイタケ生産農家を歩いていると、かなりの方々が、生産を諦めるという生産農家がたくさんいます。それは、さまざまな支援策を用意しても、結局、汚染されたほだ木を処理する場所がないとか、さまざまな生産条件が農家によって個々に違います。確実にやめる方がたくさんいます。私は、こうしたやめざるを得ない農家の方々に対して、新たな作物を導入した場合には特別な支援をするというような対策も同時にやっていかなければならないと思っています。
 人工ほだ場の問題も先ほど議論されましたけれども、これから関係機関と協議するという話でしたけれども、それも対応が大変おくれていると思うんです。そういう農家への情報提供をしっかりやっていくということが非常に大事だと、私は農家の皆さんに接して感じているところですけれども、その点について答弁いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) グループ補助金は、さまざまなインフラの復旧の時期等との兼ね合いで、来年度以降に必要になってくるというところもあると思われますので、来年度以降の予算措置も重要と考えるわけでありますけれども、やはり年度内に今必要としているところがあるわけでありまして、そこは補正予算なり、予備費という手もあるのかもしれませんけれども、年度内に予算措置されるよう求めていきます。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 事業所の再開、とりわけ内陸部の被害の状況、さらには、それらへの対応ということについてのお尋ねについてお答え申し上げます。
 東日本大震災によりまして内陸部においても大きな被害が発生していると承知しております。このため、被災された企業等への中小企業の金融対策といたしまして、昨年度、長期低利の中小企業東日本大震災復興資金という融資制度を創設しながら支援してきております。
 また、グループ補助金につきましても、内陸部、沿岸部との関係性を保つ中で、一部採択した経緯もございます。このように内陸部の事業につきましては、まずは沿岸被災地の甚大性に鑑み、そちらにはグループ補助金等の支援を手当てし、そして内陸部等についての損害については、融資制度等を有効に活用していただきながら、事業所の再開に向けて支援してきているというところでございます。
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) いじめの問題についてちょっとだけ触れさせていただきたいと思いますけれども、第一義的には、教育のプロとしての先生方に頑張ってもらいたいと私は思っております。それから、家庭においても、子育ての考え方として、他人をいじめるなとか、人の悪口を言うなというようなことを、親にもやはり日常的に子育ての基本としてやっていただきたい。それから、地域においても、正義感がみなぎる人を思いやるようなまちづくりに地域の人たちも頑張っていただきたいと私は思います。
 そこで、学校の先生方の多忙化ということでございますけれども、確かに忙しいということについては知っておりますし、いろんなデータが出されておりますけれども、しかし、こういう子供が死ぬかもしれない、いじめられているよというような事件があったときには、時間を超越して働いていただきたい。その分を次の日、例えば勤務時間を軽減するようなことをやっていただきながら解決していきたいと思いますし、疲労感のある多忙と、充実感のある多忙もあるのではないかと私は思っています。
 それから、目標達成型の問題については、これまでもいろいろとお話をさせていただいておりますけれども、例えば学校を序列化するのではない。学校をランクづけするのではない。子供たちに対してどういう学校にするのか、あるいは保護者に対してどういう学校にするか、どういう子供に育てたいかを子供たちにも親にも示して、1年たったらどこまで成長したかと、そういうことを見るにはある程度の目標が必要ではないかと私は思っております。
 それから、テストについても、点数の平均点を出したりしますけれども、私どもは順位は全然出しておりませんし、それは全然問題にしていない。先生方の指導力の反省、工夫のために、あるいは子供たちの欠陥がどこにあるかを見るためにやるのであって、必ずしも序列化するわけではないですし、指導に生かすためにやっているのだということをお話ししておきたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 原木シイタケに関しての御質問についてですが、まず最初に、出荷制限解除に向けての動きですが、出荷制限されて以来、解除に向けて継続的に国とは協議を続けております。この段階になって、秋に必要な調査、あるいは基準を超過した原木シイタケが流通しないということに対する、どういった対策を講じることによって国が是とするのかといった点について、今、国と詰めている段階です。国は、先ほど御答弁申し上げたとおり、7月になってから、シイタケだけについて、基準を超える汚染の原因となる要因が管理により取り除かれていることということを特に追加してきましたので、それへの対応というのを具体的にどう産地として講ずればいいかという点を詰めている段階です。県としては、もちろんできるだけ早期に出荷制限解除につながるように、そういったつもりで全力を挙げて取り組んでまいります。
 それから、先々の展望が見えないというお話がございました。これにつきましては、今まで、まず、汚染されている、基準を超過した生産物を外に出さないということで、生産物の検査をさせていただき、あるいは将来的に発生する可能性のあるほだ木を排除するということで、ほだ木の検査をさせていただき、さらに、そういったものを生産環境の中から取り除くための処理経費について補助するというスキームを組み、さらにほだ場自体の汚染状況もある。風評被害にもつながりかねないということで、今回の9月補正予算ではほだ場の環境整備の予算もお願いしてございます。そういったことで環境条件を整えながら、後々、国が出荷制限をこういった条件であれば解除するといった運びになったときに、その対応ができていなかったということにならないようにというつもりで準備は進めております。
 さらに、生産者の方々にそういった県の考え方が伝わっていないというお話がございました。こういったお話については、もちろん振興局とは意見交換しながら、市町村とも意見交換しながら、一つ一つの施策については、集出荷団体の方々とも意見交換しながら組み立ててまいっておりますが、それが生産者の方々まで伝わっていないという御指摘でありますので、改めて、今回の補正予算でお願いしている分も含めて、生産者の方々まで伝わるように周知徹底したいと思います。
 それから、特に汚染状況が強い一関農林振興センター管内では、県職員は1戸1戸の生産者の方を訪問して、ほだ場の状況とかを確認しながら対応させていただいています。標準的なものに対応すればいいという考え方ではなくて、1戸1戸の生産者の方々を見ながら対応してまいりたいと思います。
〇1番(高田一郎君) 最後に一言申し上げますが、シイタケ生産については、再生産を支援するさまざまな予算措置がされました。ほだ場の除染とか、焼却処理の費用とか、ほだ木の確保とか。しかし、そういう支援策が打ち出されても、シイタケ生産農家個々によっては対応できない農家もいるんです。やめざるを得ない。だから、そういう農家に対しては特別の別の支援策が必要じゃないかということを申し上げたんですが、いかがですか。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 今々いただいたお話ですので、市町村なり集出荷団体、生産者の方々と意見交換しながら研究させていただきます。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 認定第1号平成23年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第78 議案第64号船越漁港防波堤災害復旧工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木博君) この際、日程第2、認定第1号から日程第78、議案第64号までを一括議題といたします。
 議案第60号から議案第64号までについて、提出者の説明を求めます。加藤総務部長。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) ただいま議題とされました案件のうち、本日追加提案いたしました議案について説明申し上げます。
 議案第60号から議案第64号までの5件は、東日本大震災津波からの迅速な復興に向けて、漁港災害復旧工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木博君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。小野寺好君。

前へ 次へ