平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

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〇5番(名須川晋君) 希望・みらいフォーラムの名須川晋でございます。
 日本にこれ以上ない吉報が昨夜、飛び込んでまいりました。ことしのノーベル医学生理学賞にiPS細胞の作製に成功し、再生医療の実現に道を開いた京都大学の山中伸弥教授の受賞が決まったという報でございます。
 国内政治の混迷と領土問題の深刻化によって、日本を取り巻く環境は、まさに内憂外患で、国難とも言える状況の中、この国にはまだまだ希望がある、日はまたいつか上ると確信し、日本人であることを誇らしく思えるような偉業でございます。今後、ますます研究が進み、一刻も早く傷病や難病に苦しむ世界の人々が救われる治療が実現しますよう心から期待いたします。
 また、本県にぜひとも国際リニアコライダーを誘致し、世界最先端の研究に取り組める環境を整備し、科学立県として、行く行くはこの岩手からノーベル賞受賞者を輩出しようではありませんか。
 それでは、通告に従いまして順次質問を進めてまいります。まずは、領土問題についてでございます。
 竹島、尖閣諸島の領有権争いが大変大きな政治問題となっており、県内の経済、観光、文化交流へのさまざまな波及が心配されるところでございますが、その影響につきましてどのように把握されているか、知事の御所見をお伺いいたします。
 防災対策についてでございます。
 県の総合防災訓練について。
 防災の日の9月1日、釜石市で東日本大震災後初の県総合防災訓練が実施されました。関係各機関が不断の努力を住民に対して発表する場としての展示型訓練から、震災の教訓を踏まえ官と民がより連携した実践型訓練へと脱皮を図る内容となったとのことでありますが、課題をどう検証し、また、その成果がどう得られたか伺います。
 県歯科医師会の訓練参加について。
 参加を希望していたものの、県当局の判断によりかなわなかったとのことでありますが、この理由は何であったのか伺います。
 歯科医療救護についてでございます。
 災害発生時において、顎顔面領域の外傷に対する歯科医療救護の提供が必要と考えますが、関係機関との連携は図られておりますでしょうか。
 防災対策における県歯科医師会の位置づけについてでございます。
 従前の防災計画に全く位置づけがなかったにもかかわらず、県警との大規模事故、災害等の発生時における身元確認に関しての覚書によって、被災地の最前線で多数の遺体の検視を行い、実は今も作業が継続中であることを御存じでしょうか。まさに責任のない責任感のある人たちによって支えられた作業をどう評価しておりますでしょうか。また、災害応急対策作業の命令対象者であるとするなら、防災計画中の医療、福祉の情報連絡系統図にしっかり記載しておくべきではないでしょうか、伺います。
 県による身元確認訓練の実施について。
 先月9月15日、いわて花巻空港航空機事故を想定した身元確認作業合同訓練が県歯科医師会の主催で、県医師会、県警、そして弘前大学、秋田大学の法医学の医師らを交え、総勢60名を超える参加のもと実践的な訓練が行われました。御案内をいただき、私もその場に立ち会わせていただきましたが、一連の模擬検視は、実際に被災地で効果を発揮したというポータブルレントゲンも持ち込まれ、手際よく実地に即した内容でありました。
 ここまで大規模ではないものの、県歯科医師会では、これまで5年間にわたり自主的な訓練を行ってきたとのことであります。しかし、やはりこの種の訓練は、本来、県がその必要性を認識し、主催するのが妥当と考えますが、いかがでございましょうか。
 地域防災計画における個人情報保護の取り扱いの明示について。
 有事における行方不明者の特定には迅速な名簿や診療情報提供が重要となりますが、身元特定作業時に当該自治体職員から、個人情報にかかわるとの理由で行方不明者名簿の提供を拒まれる事例があったとのことです。既に県ホームページで不明者名簿が掲載されていたにもかかわらず、混乱時には法の解釈や確認のいとまも心の余裕もなかったためでしょう。柔軟性が失われたこうした不手際は、往々にして起こるのではないでしょうか。
 一刻も早く身元を判明し、御家族にお返しするために、作業に携わる機関と自治体や病院、診療所、レセプト審査機関など関係団体同士の連携は不可欠であり、個人情報保護の観点も整理して一つのマニュアルとして地域防災計画に明示する必要があるのではないでしょうか。そうした訓練が県主催で行われるとするならば、資料開示、提供の段階も工程に組み込むべきと考えますがいかがでしょうか。
 広域連携による危機管理体制の強化について。
 首都直下地震、南海トラフ地震といった甚大な被害が予想される巨大地震発生の可能性が指摘されています。本県の地域防災計画は、悲惨な体験の上に築かれた最も先進で知と経験の結晶と言えるものでなければなりません。減災には、この計画の共有が必要であり、他の都道府県の地域防災計画との連動、広域連携による危機管理体制の強化がどう行われているか伺います。
 情報伝達のためのコミュニティFMの活用について。
 昨年の一般質問において、私は、震災時に開局した臨時災害放送局、さいがいエフエムの有用性についての県の評価、そして、コミュニティFMを活用した県政情報の提供について質問させていただきました。その際の御答弁は、それぞれの広域振興局において、その必要性や効果等を適切に判断して行われるものと考えているとのことでありました。
 震災時には東北3県で既存コミュニティFM局からの移行を含め計23局が開局し、今なお県内で宮古市、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市で継続中ですが、来春には宮古市と大船渡市がコミュニティFMへと移行する予定と伺っております。つまりこの2局は、民間の力によって地域防災情報のみならず、日常の生活情報から娯楽まで、市民生活に必要な多彩な情報を提供するメディアに生まれ変わることとなります。
 ことし4月には一関市でFMあすもが開局いたしましたのは御案内のとおりでありますが、コミュニティFMの県内7局体制により、さらなる発展期を迎えたものと言えましょう。
 県北広域振興局では、今年度もカシオペアFMを活用し、二戸地域の医療維持を目的としたカシオペア健康ラジオ講座放送事業、各センターの重点施策などを紹介する振興局からのお知らせといった番組の制作、放送委託によって、地域づくり情報の発信に努め、広報活動を展開している振興局の姿勢を私は大変評価するものであります。
 県として、県政全般の情報については県域の放送局や新聞を活用しつつ、各振興局がコミュニティFMによってきめ細やかな県政情報の提供を行うことは、ひいては、特にも経済的に脆弱な被災地でのメディアの自立に資することにもつながり、有事の際に最も手軽で信頼できるメディアの存立を確保するという両得の手段と考えます。
 沿岸広域振興局においても開局後は十分に活用していくことが必要だと考えますが、そうした意識を各振興局にお持ちいただくべく、再度、御当局のコミュニティFMに対する認識を伺います。
 異常気象の影響と対策について。
 農業への影響と対応について。
 ことしの夏は、九州地方に大雨、局地的な強い雨による多大な被害をもたらしました。東日本においても記録的な猛暑となりましたが、岩手においては少雨の傾向もあり、農作物への影響も懸念されておりました。北極海では観測史上最大の氷の減少が見られ、まさに地球規模での異常気象となっております。紫波町では、9月25日に渇水対策本部を設置し、万全の対策を講ずる方針を示しております。
 先ごろ日本列島を縦断した台風17号は本県にも相当の被害をもたらしましたが、場所によっては干天の慈雨となった場合もあることでしょう。この冬の降雪量が少なければ、来春の農業への深刻な影響も懸念されるわけですが、見通しはいかがでございましょうか。
 県企業局の発電量と経営への影響について。
 県内の主要ダムも軒並み貯水率が低かったと思われますが、企業局の上半期の発電量はどうでしたでしょうか。また、このまま少雨傾向が続く場合、渇水引当金も活用できましょうから影響は最小限に抑えられるものとは存じますが、経営への影響をどう予測されますでしょうか。
 いわて花巻空港の活用について。
 羽田定期便就航の見通しと誘致活動について伺います。
 震災によって高速道や新幹線が被害を受けたさなか、花巻空港に羽田臨時便が就航し、岩手と首都圏を結ぶ唯一の高速交通網として十二分にその機能を果たしたことは、どなたにも異論はないことでしょう。定期空路であった花巻羽田便が休止して27年が経過し、運休となった当時とは、需要はもちろんのこと、航空業界を取り巻く環境も大きく変化いたしました。単なる首都圏と岩手との結節点ではなく、ハブ機能をあわせ持つ羽田を経由し、全国各地へ、近隣アジアへと、あるいは逆に全国から岩手を訪れ、交流人口を増加させる重要な路線であります。
 来年3月には羽田空港発着枠が年2万回分、1日25便の拡大となります。国土交通省は年内中に航空会社への配分割合を決定する方針ですが、羽田便再開への取り組みと見通しにつきまして知事の御所見を伺います。
 震災教育旅行によるチャーター機の増便について。
 昨今の航空業界は、使用機材小型化の傾向により搭乗率の向上が図られ、経営効率も上がり、路線維持に有利となっておりますが、一方で、機材のダウンサイジング化は、団体旅行ニーズが賄えないため、チャーター便の役割も大きくなってきています。
 先月9月26日に千葉県の千葉黎明高校2年生と引率者ら約240名が、被災地を研修地とする教育旅行のため、岩手初お目見えの大型機ボーイング777のチャーター機で花巻航空におり立ちました。震災について学ぶ教育旅行は、三陸鉄道が被災地フロントライン研修として提供しておりますが、このような企画と連動しながらチャーター機の増便を図ることができないか伺います。
 福岡便維持のための方策について。
 ことし3月25日に、実に4年半ぶりに株式会社ジェイエアによって50人乗りの福岡便就航が再開となりました。直近6カ月の平均搭乗率は60.5%とのことで、採算ラインは不明でありますが、路線別利用率を見ますと一番低いのが気がかりであります。再び休止の憂き目を見ぬよう、路線維持のため利用率の向上、特にも九州からの観光のお客様をふやすことが肝要であることは意見が一致するものと思いますが、どのような営業政策を進めていますでしょうか。
 航空自衛隊ブルーインパルスの展示飛行の誘致につて。
 いわて花巻空港スカイフェスタ2012が9月23日に開催されました。イベントの目玉として航空自衛隊ブルーインパルスの展示飛行の誘致を進めていたものの、残念ながら、ことしは数ある候補地の中から会場地に選ばれなかったと伺っておりますが、引き続き誘致に努められるべく、その意気込みを聞かせていただきたいと思います。
 教育問題についてでございます。
 全国学力・学習状況調査について。
 このたび判明した全国学力・学習状況調査における本県の結果をどう分析しておりますでしょうか。特にも、近年高水準の結果を出し続ける秋田県の教育施策や指導方法の特徴は何でありましょうか。本県独自の施策も進め、秋田県に真摯に学び、どうPDCAサイクルに反映させていくかお答えください。
 県立大学、県立高校への防災学部、防災学科の設置について。
 小中一貫教育を目指す大槌町では、特設カリキュラムであるふるさと科を設け、伝統芸能や防災教育を教えることとしております。県外に目を向けますと、兵庫県立舞子高校では、阪神・淡路大震災を教訓に、平成14年に全国で初めて防災教育を推進する環境防災科を創設しております。静岡県富士市の富士常葉大学においても、2年前に改組してはおりますが、環境防災学部を設置し、環境防災学を推進してきたそうであります。
 本県においても、実体験を経た被災地の子供たちが、みずからの命を守る力と共生の心を育むため、例えば県立大学に防災学部、県立高校に防災学科を設置する考えはないか伺います。
 特別支援学校について。その特別支援学校に通う子供の増加理由についてでございます。
 少子化傾向により、ここ20年の県内の幼児、児童生徒数は24万6、129人から15万6、518人と36.4%減少しています。にもかかわらず、うち特別支援学級、特別支援学校に通う子供たちの数の推移は、同じく20年間で2、739人から3、064人と11.9%の漸増傾向にあり、その割合は1.11%から1.96%へと相当の増加を見せております。これは、医学の進歩によって障がいが判別できるようになったということなのか、あるいはまた別の理由があるのか、このような状況をどう分析しておりますでしょうか。
 発達障がいの早期発見、早期支援について。
 発達障害者支援法によると、地方公共団体の責務として、発達障がいを早期に発見し、早期に適切な支援を行うことが重要であり、必要な措置を講ずることとされております。県は、どのように対応しているのか伺います。
 教員の育成策について。
 障がいのある子供たちが自立に向けた力をしっかりと身につけることができるよう、また、保護者が安心して子供を預けることができるように、特別支援学校や特別支援学級担任の育成をどのように進めておられますでしょうか。
 岩手国体と障がい者スポーツの振興についてでございます。
 冬季国体の本県開催について。
 我が国最大のスポーツの祭典である国民体育大会は、開催基準要綱によりますと、12月から2月末日までに開催される冬季大会と9月中旬から10月中旬までに開催される本大会とに分けられ、この順に開催されることと規定しております。つまり、私たちが通常イメージし、国体と称している本大会の前に、スケート、アイスホッケー、スキー競技等の冬季大会が開かれるという事実に関心が全く向いていなかったのは、私だけでございましょうか。
 昨年12月定例会において、知事は、2016年開催の希望郷いわて国体について、復旧、復興のシンボルとして国体を位置づけ、開催することが民意にかなうものとして開催への決意を述べられました。これは、果たして冬季大会も念頭に入れての表明でございましたでしょうか。
 同じく要綱によれば、開催3年前に開催県と協議して決定することとなっており、来年がその年に当たります。復興のシンボルをいち早く全国に発信できるのですから、ぜひとも本県で開催すべきと私は考えるのですが、いかがでしょうか、知事の決意のほどをお伺いいたします。
 スポーツ基本法の趣旨に沿い、障がい者スポーツ振興の観点も取り入れた県スポーツ計画の策定について。
 昭和36年に制定されたスポーツ振興法を50年ぶりに全部改正し、スポーツに関する施策の基本となる事項が定められたスポーツ基本法が、議員立法によって昨年8月に施行されました。スポーツは、世界共通の人類の文化であると明記され、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であると述べられております。障がい者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう配慮しつつ推進するという基本理念が盛り込まれたのも特色の一つでありますが、果たして県のスポーツ振興計画はいかがでございましょうか。
 教育、趣味、健康維持やストレス解消、アスリートとしての自己実現といった、スポーツへとアクセスする動機は人それぞれであるにもかかわらず、平成11年度から22年度までを年次とした岩手県スポーツ振興計画は、期間満了とともに、教育委員会が所管する分野のガイドラインである岩手の教育振興の一部分に包含されてしまったのであります。つまりは、見えにくく、よりわかりにくく、教育委員会の色がさらに濃くなったことは、側面として、スポーツ行政の後退と私は受け取るのであります。しかも、内容を吟味しますと、やはり障がい者のスポーツ振興とその育成という視点が欠けているではありませんか。
 東京都では、国に先駆けて平成22年に、これまで生活文化スポーツ局、福祉保健局、総務局等にまたがっていたスポーツに関する所管部局を一元化し、知事部局にスポーツ振興局を設置するとともに、この3月には、全国都道府県に先駆けて東京都障害者スポーツ振興計画を策定しました。来年度に開催される東京国体後の全国障害者スポーツ大会を一つの契機に、2020年開催に向けて鋭意取り組む東京パラリンピックに向けて、障がい者福祉行政の枠を取り除き、スポーツ行政の中に位置づけて一体的に推進していくことを目途としています。
 この夏のロンドンオリンピックにおいて、南アフリカ共和国の両足義足のランナー、オスカー・ピストリウス選手が、陸上男子400メートルに出場し、好走を見せ、直後のパラリンピックにも出場したことは、記憶に新しいところであります。まさに障がいのある者も、ない者も、垣根のない陸上新時代を迎えたと言えましょう。
 本県においても、今後、スポーツの所管部局を一元化するといった先進的な取り組みが、障がい者スポーツの振興の観点からも必要であると私は考えます。
 平成28年本県開催の全国障害者スポーツ大会も見据えつつ、障がい者の皆さんが気軽にスポーツに取り組めるよう、まずは現況を把握し、障がい者スポーツの浸透と拡充、そしてアスリート志向の選手のニーズも十分に酌み取る内容とした県スポーツ計画の見直しを図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 全国障害者スポーツ大会の位置づけについて。
 現在、岐阜県で開催されているぎふ清流国体は、本日9日で閉会となり、13日からは3日間の日程で全国障害者スポーツ大会であるぎふ清流大会が始まります。岐阜県のホームページを見ますと、両大会は同列に扱われ、ノーマライゼーションの視点が重視されていることがよくわかります。
 ちなみに、来年東京で開催される大会は、冬季大会もあわせて、スポーツ祭東京2013と称しております。
 一方で、岩手国体のホームページには、全国障害者スポーツ大会の記述は一切見当たりません。準備段階で、まだまだ不備があるのは十分承知しておりますが、考え方を整理し、県民の関心を高めるためにも早期の対応を求めますが、いかがでしょうか。また、その愛称については、希望郷いわて大会となるものかどうか伺います。
 スポーツ医・科学サポート体制の充実強化について。スポーツ医・科学センターの整備検討もあわせて御回答をお願いいたします。
 選手の育成強化計画について。
 予算措置も含めた育成強化計画はどうなっているか。選手育成強化費は、震災以前と比べ、当初もくろんでいた予算から半減する見込みとお聞きしておりますが、果たして十分でございましょうか。
 障がい者選手の育成強化施策について。
 そもそもスポーツ振興施策において、岩手は、障がい者スポーツの振興という視点が相当に希薄であり、選手強化に向けたスポーツ指導者のかかわりも一部にとどまっているのが現状ですから、したがって、予算確保もなされておりません。障害者スポーツ大会選手団の中心を担うのは特別支援学校の生徒だそうで、既に各校の協力を得ながらチーム結成を進めている状況と伺っております。
 開催地は選手出場枠が優遇されることから選手確保に努める必要がありますが、対策が手つかずの現状では、育成にどれだけ時間と費用を費やすことができるか疑問でございます。また、生徒が卒業し、一般就労した後にスポーツが継続できる環境があるかどうかも甚だ心細い状況にあります。
 繰り返しますが、根幹は、障がい者スポーツ政策も含めたスポーツ振興計画の見直しであると思いますが、まずは早々に選手の育成強化策を策定すべきと考えますが、いかがでございましょうか。
 原発放射線影響対策について。
 シイタケの出荷制限解除に向けた取り組みについてでございます。
 福島第一原発の事故に起因する放射性物質の拡散は、本県にも多大な影響を与え、いまだに十分な解決が図られていないのが現状であります。健康への影響や農畜産物の出荷制限と再生産対策、そして除染対策など課題は広範にわたり、その対応もまた多様でありますが、県当局においては、今回の9月補正予算案で放射能対策関連に厚く金額を割いております。
 例えば、乳幼児から小中学生の子供を持つ親や医師会などから要望の強かった尿中の放射性物質調査については、県南の一関市、平泉町、奥州市の事業に補助する形ではありますが、調査の継続のみならず希望者全員に幅を広げておりますし、牧草地の除染の徹底、廃用牛の新たな管理施設の経費などが関連予算に盛り込まれるなど、懸案の解決に向けた県の姿勢を評価するものであります。
 さらには、シイタケのほだ場の除染や風評被害の残る中での流通、販売対策の上積みなど、再生産に向けた支援も予算案には組み込まれましたが、いずれも、出荷制限などで収入の道が途絶えた農家にとっては最低限必要な措置であり、可決されましたなら、スピード感を持った予算執行を強く求めるものであります。
 一方で、こうした対策は、東京電力の賠償のおくれを行政が補っているのが実態であり、東京電力の十分な誠意ある対応がいまだに遂行されていないことは、甚だ遺憾であります。
 私ども希望・みらいフォーラムは、先月、生産者団体や関係自治体とともに、東京電力に対して直接、速やかな賠償などを求める要請行動を行ってまいりましたが、東電からは、シイタケについては、今月中にも本賠償に向けた説明に入りたいとの回答も得られたところでございます。しかし、賠償が完全に得られたとしても、産地のダメージは深く、県としての追加支援策が待たれることでしょう。
 そこでお伺いいたしますが、シイタケについては、ほだ場の除染が行われたとしても、どの程度の効果があるのか懸念の声もありますことから、ほだ木の汚染が少ない人工ほだ場の建設について思い切った政策誘導を行い早急な出荷制限解除に向けた取り組みを支援する必要があると考えますが、県のお考えをお示しください。
 放射性物質に汚染された廃棄物の処理について。
 まずは、指定廃棄物処理の国の方針についてでございます。
 1キログラム当たり8、000ベクレルを超える放射性物質に汚染されたいわゆる指定廃棄物は、その処理方法や最終処分のあり方について、いまだ見通しが立っておりません。指定廃棄物の一時保管は3年とされておりますが、この処理について、みずから処理の責任を明記している国は、方針を示しておりません。県としては、こうした事態をどのように捉えておりますでしょうか。
 汚染廃棄物の焼却方法について。
 現在、一関市や遠野市などの農家に保存される牧草等は指定廃棄物には指定されておりませんが、これら放射性物質に汚染された廃棄物については、混合焼却によって処理しようしているのか、それとも専用焼却炉による処理か、県のお考えを伺います。
 3点目、新技術を使った放射能除染の活用について。
 このたび提出されている補正予算案にも計上されておりますが、民間の新技術を使った放射性物質の除去、低減をどう進めていくかお答えください。
 以上をもちまして登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、竹島、尖閣諸島をめぐる問題についてでありますが、主に中国において、県産品の販売促進のための商談会や観光PR事業、高校生による訪中交流事業などが延期となっているほか、市町村において友好都市での公式行事への参加が中止になるなどの影響が生じていると承知しております。これまで、県を初め市町村や関係団体、事業者、県民がそれぞれの立場において、中国など東アジアの国々と経済、文化の各般にわたる交流を進めてきたところであり、さまざまなきずなが育まれてきた中で、中国との経済、文化交流行事が延期となることは大変残念な事態であります。
 県としては、今後の動きも注視しながら、これまで実施してきた物産や観光のトップセールスなどの経済交流や、青少年派遣などの文化交流における成果を生かして、地方自治体や事業者、関係団体間の着実な交流を進めていきたいと考えております。
 次に、羽田定期便就航の見通しと誘致活動についてでありますが、羽田定期便就航の見通しは、新幹線との競合などにより厳しい状況にありますが、首都圏との人的交流や乗り継ぎ需要への対応の面で重要な路線であると考えており、県及び県空港利用促進協議会では、7月31日に日本航空に対して羽田線の開設について要望したところであります。来年3月の羽田空港の発着枠の増加を踏まえ、その実現に向け、引き続き航空会社に対して働きかけを行っていきたいと思います。
 次に、冬季国体の本県開催についてでありますが、冬季国体の本県開催は、雪国岩手にとりまして、冬季スポーツの振興という観点から大変意義あるものとしてとらえております。また、2016年岩手国体本大会に合わせた冬季国体の開催ということになれば、県民の国体に対する機運の盛り上がりも期待できるものと考えております。しかしながら、冬季国体の開催地については、近年、開催地の人的、財政的負担増から、その選定が難航する状況が続いており、日本体育協会では開催地のローテーション化を検討しているということでございます。
 県といたしましては、その開催地ローテーション化の検討状況や、関係競技団体の意向等の情報把握に努めて、2016年の冬季国体の本県開催の可能性について検討していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、県総合防災訓練の課題検証と成果についてでございますが、今回の訓練は、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、釜石市全市民を対象とした避難訓練や、避難支援に当たる警察官、消防団員等の安全確保訓練、住民による円滑な避難所運営を図るための訓練などを盛り込み、住民や関係機関による実践的な訓練として実施したものでございます。
 訓練後速やかに釜石市を初め関係機関が参集し、検証会を開催するとともに、参加機関からアンケートを募ったところでございます。これらの結果、住民みずからが避難所で何をすべきか理解が進み、参加機関が連携していく上で情報伝達の重要性が再認識された反面、避難所における住民の受付方法、消防無線の中継の必要性やヘリコプターの離着陸場の選定のあり方等、実際に災害対応を行う際のさまざまな課題が挙げられたところでございます。訓練を通じて参加者に多くの気づきがあり、課題を把握できましたことは実践型訓練の成果と認識しており、今後、これらの課題の解決を図り、実践的な訓練に継続して取り組むことにより、防災力の強化につなげていきたいと考えております。
 次に、県歯科医師会が訓練参加できなかった理由についてでございます。
 今回の県総合防災訓練の立案過程におきましては、関係機関と連携した多数遺体検視訓練の実施について検討いたしましたが、釜石市とも協議し、いまだ深い悲しみから癒えていない御遺族の心情にも配慮すべきとの考えを重視するに至り、現地での検視訓練を見送ることとしたものでございます。今回はこのように判断したものの、県といたしましては、災害時における県歯科医師会との連携の重要性は強く認識しておりますので、今後の訓練の企画、実施に当たりましては十分意を用いていきたいと考えております。
 次に、県歯科医師会等との連携並びに防災対策における県歯科医師会等の位置づけについてでございます。
 東日本大震災津波におきましては、県と県歯科医師会が連携し、歯科医療救護活動を円滑に実施できたものと受けとめておりまして、災害発生時における県歯科医師会を初めとする関係機関との連携は重要であると認識しております。また、犠牲となられた多くの方々の身元確認は、歯科医師の献身的な御協力をいただきながら進められており、この面でも、歯科医師が担う役割は不可欠なものと認識を深めたところでございます。
 これらの活動をより効果的に展開し、歯科医師会との連携の強化が図られるよう、昨年締結いたしました災害時の歯科医療救護に関する協定を踏まえ、県地域防災計画を見直す際に、災害応急対策における県歯科医師会を初めとする関係機関の役割を明確にしていきたいと考えております。
 次に、各種防災訓練の主催についてでございます。
 災害対応に携わる関係機関が、災害時におけるそれぞれの役割、業務を迅速かつ的確に遂行できるよう各種の訓練を行うことは災害対応力の強化につながりますことから、県としては、こうした自主的な取り組みを推奨しております。また、各機関同士が相互の連携強化を図るため合同で訓練を行うことも大変重要と認識しております。このため、県におきましては、こうした訓練に対し、積極的に協力、支援や調整を行っているものでございます。
 これらにとどまらず、防災関係機関が多数参画し、多岐にわたる総合的な訓練を実施する場合におきましては、県としての課題への対応、関係機関の間における総合調整等の観点から県が直接主催し、または主導的に取り組んでいるものでございますが、各機関における自主的な訓練と相まって、全体として訓練効果を高めているという状況でございます。
 次に、地域防災計画における個人情報保護の取り扱いの明示についてでございますが、高齢者や障がい者などの災害時要援護者に対する支援、行方不明者の捜索や犠牲となられた方々の身元確認など、災害時の対応の中で、行政や関係機関が被災者等の個人情報を必要とする機会が多々存するところでございます。
 その一方で、御指摘のような事例が生じないよう、災害時の対応を迅速かつ円滑に進めていく観点から、個人情報保護法等の趣旨を踏まえつつ、被災者等の個人情報の提供とその適正な取り扱いについて県地域防災計画に盛り込むこととし、具体の内容を検討していきたいと考えております。
 また、個人情報の提供手順の確認など、災害時に実際に円滑かつ適正な対応が図られますよう、防災訓練におきましては実地に取り組む方向で関係機関との調整を進めていきたいと考えております。
 次に、広域連携による危機管理体制の強化についてでございます。
 大規模災害への対応を一つの柱といたしました今般の防災基本計画の修正内容には、本県の地域防災計画におきまして既に見直しを行った事項が相当数含まれておりまして、東日本大震災津波での本県の経験が生かされているものと認識しております。
 この防災基本計画を踏まえた地域防災計画の見直しが全国で行われることによりまして、本県の災害対応の経験が他の都道府県においても共有され、災害対応力の強化が図られるものと期待しております。
 また、大規模災害時における広域的な連携につきましては、北海道・東北8道県による災害時相互応援協定や全国知事会による災害時広域応援協定などを締結しており、引き続きこうした協定の内容の充実を図り、広域的な防災体制の整備、強化に努めてまいります。
 次に、県立大学への防災学部の設置の提言についてでございます。
 県立大学では、発災前から総合政策学部や看護学部におきまして防災に関する科目を設け、防災教育に取り組んでいるほか、発災後は災害復興支援センターや地域政策研究センターを設置するなど、被災地の復興支援に取り組んでいるところでございます。このほか、県内では岩手大学工学部におきまして地震防災工学の科目を設け、自然災害の発生メカニズムや防災、減災対策に精通した専門技術者の養成に取り組んでいるほか、防災、危機管理を含めた復興をテーマに、県内5大学共同で単位互換の授業を実施しているところでございます。
 議員御提言の県立大学への防災学部の設置につきましては、こうした取り組みの動向を踏まえつつ、今後の高等教育機関における専門的な人材養成の必要性でございますとか学生の需要、卒業後の進路等を十分に検討した上で、慎重に判断してまいりたいと考えております。
 最後に、民間技術を活用した放射性物質除去、低減対策についてでございます。
 放射性物質の除去や低減の技術につきましては、国を中心に、福島県等を主なフィールドとして実証実験等が行われておりますが、本県の放射線量の状況や発生している問題に適用し得る技術であるかの確認が十分にできているとは言えない状況と認識しております。このため、9月補正予算案に放射性物質除去・低減技術実証事業を盛り込み、市町村や関係団体と連携しながら、部局横断的な取り組みとして、国や各種研究機関、民間事業者等が研究開発した技術について、情報収集や県内に適用するために必要な実証実験を行うこととしております。この実証事業により効果が確認された技術につきましては、これらを活用した具体的な事業の導入、展開に努め、県内における放射性物質除去、低減の一層の促進につなげていきたいと考えております。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) コミュニティFMの活用についてでありますが、コミュニティFMは地域に密着した情報を日常的に提供する放送局であり、東日本大震災津波の際には、きめ細やかな災害関連情報の伝達において大きな役割を果たし、その重要性が改めて認識されたところであります。沿岸地域においては、臨時災害FM局や県域放送局等が中心となって本年5月に設立したいわて災害コミュニティメディア連携・連絡協議会の構成員に沿岸広域振興局も参画し、新しい公共の場づくりの事業を活用して、臨時災害FM局が将来的に持続可能な地域メディアとして自立するための支援等に取り組んでいます。
 県としては、それぞれの広域振興局において、コミュニティFMに対するきめ細やかな県政情報の日常的な提供や、必要がある場合における番組制作放送の委託など、今後とも地域の実情に応じ、放送事業者と連携しながら取り組んでいくこととしております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農業用水の確保に向けた対応についてでありますが、これまでも、少雨に対しましては土地改良区等地元関係組織が連携し、番水などの取り組みにより農業用水の計画的な供給に努めてまいりましたが、この夏はとりわけ高温少雨であったため、一部の土地改良区では、地元農家の理解を得ながら農業用水の供給を制限いたしました。このうち、石淵ダムを水源としている地域は、胆沢ダムの完成により、来期以降の用水不足は大幅に解消されるものと期待しております。これ以外の水系も含め、農業用のダムやため池に冬期間に十分貯水され、用水が安定的に供給できるよう、土地改良区等農業水利施設管理者との連携を強化してまいります。
 次に、シイタケの出荷制限解除に向けた取り組みについてでありますが、出荷制限の解除につきまして、本年7月に、国から新たに、基準を超える汚染の原因となる要因が管理等により取り除かれていることが条件に加えられたこともあり、9月補正予算案にはほだ場の環境整備に対する支援も盛り込んだところであります。
 御提案のあった人工ほだ場の整備につきましては、放射性物質の影響を管理により取り除く方法として有効と考えておりますが、これまで林内の環境を生かして生産されてきたということ、生産者にとりましては新たな栽培技術が求められることなどもあり、生産者や集出荷団体等関係者と十分に意見交換しながら、人工ほだ場も含めて産地の再生の方策を検討してまいりたいと考えております。
   〔企業局長青木俊明君登壇〕
〇企業局長(青木俊明君) 上半期の発電量と経営への影響についてでありますが、ことし5月までは融雪などにより平年を上回る出水があったため、各水力発電所ともおおむね例年以上の発電量でありましたが、6月から7月にかけての空梅雨や、8月以降は、平年の河川流量に対する割合、出水率が30%程度まで落ち込んだ影響により、上半期の発電量は約2億8、600万キロワットアワーで、目標に対する達成率は88.7%、料金収入は20億円余で、目標の97.5%となったところです。
 今後の経営への影響についてでありますが、仙台管区気象台発表の10月から12月までの季節予報によりますと、東北地方は平年並みの降水量が見込まれております。したがいまして、今後、平年並みの降水量があるとすれば、最終的な料金収入額は当初予定額の98%程度となり、目標に対して5、200万円程度の減収にとどまるため、経営に対する大きな影響はないものと考えております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、震災教育旅行によるチャーター機の誘致についてでありますが、今回のいわて花巻空港初でありますボーイング777型機による震災学習を柱といたしました教育旅行は、国内チャーター便誘致の新たな切り口として大変有望であると認識しております。震災教育旅行が増加していることも踏まえまして、観光部局や民間と一体となりまして、西日本の学校を初めとした教育旅行によるチャーター機の誘致について取り組んでまいります。
 次に、福岡線の利用促進についてでありますが、これまで県や県空港利用促進協議会では、主な利用が期待できます福岡地区の商工団体などへの利用促進の要請を展開いたしますとともに、福岡、岩手双方の新聞等への広告掲載などの各種PRや、福岡線の利用者を対象といたしました空港アクセスキャンペーンの実施、旅行商品造成を行う旅行代理店への支援など積極的な取り組みを行っております。これまでのところ、期待していました福岡地区からの利用が少ないことから、今後とも、福岡地区のビジネス層や観光客等への周知活動を強化いたしますとともに、県内におきましても九州地区の観光PR等を行ってまいります。
 次に、航空自衛隊ブルーインパルスの展示飛行の誘致についてでありますが、スカイフェスタは、県民が広く空港に親しむ機会といたしまして、ひいては空港の利用につなげるためのイベントといたしまして、平成6年度から、花巻空港にかかわる関係者や地元自治体などが協力いたしまして、官民一体となって実施しております。
 ことしのスカイフェスタにおいて、東日本大震災からの復旧、復興を支援し、被災者などを元気づけるためにブルーインパルスを招致すべく自衛隊に対して要請するなど取り組んでまいりましたが、その趣旨や目的は理解していただいたものの、調整の結果として、残念ながら実施されませんでした。今後も引き続き、自衛隊等関係機関との調整を図りまして、来年度のブルーインパルスの招致に向けて強く働きかけてまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、発達障がいの早期発見、早期支援についてでありますが、県では、平成17年度に岩手県発達障がい者支援体制整備検討委員会等を設置し、関係機関との連携体制の構築を図るとともに岩手県発達障がい者支援センターを開設し、その支援体制を整備してまいりました。
 まず、発達障がいの早期発見については、市町村が実施する乳幼児健診の場において活用する発達障がいチェックリストの配布や巡回相談、保育所等において活用できる支援マニュアルの作成など、可能な限り早い段階で発達障がいに気づくためのさまざまな取り組みを推進しております。また、県内各地域の障がい者自立支援協議会の下部組織である療育部会等において関係機関によるネットワークを構築し、乳幼児期、学童期から青年期まで支援が切れ目なく円滑に提供できるよう取り組んでいるところであります。
 次に、全国障害者スポーツ大会の位置づけについてでありますが、先催県では、国民体育大会開催の正式決定を受けた後に、両大会の推進組織である実行委員会が両大会共用のホームページを設置し、一体的なPRを行っている例が多いと承知しております。
 本県における全国障害者スポーツ大会につきましては、本年6月に準備委員会を立ち上げ、大会に向けた本格的な準備に着手したところであり、本大会のPRにつきましては、早期に県ホームページなどにより障がい者スポーツに関する情報や大会に向けた取り組みを広報するとともに、共用ホームページにつきましては、両大会を一体的に推進していく中で取り組んでまいります。
 また、大会の愛称につきましては、今後、準備委員会において基本計画を策定する中で検討してまいります。
 次に、障がい者の選手育成強化施策についてでありますが、全国障害者スポーツ大会は、障がいのある方の社会参加の推進や国民の障がいに対する理解を深めることを目的として開催されるものですが、大会における本県選手の活躍は、障がいのある方の目標や励みとなるほか、県民に希望と勇気を与え、障がい者スポーツの普及に多く寄与するものと考えております。このため、県では選手強化も重要であると考えており、毎年度、全国障害者スポーツ大会に参加する選手を対象として合宿等による強化練習を開催し、競技技術やチームワークの向上を図ってきたところであります。全国大会の本県開催を契機として障がい者スポーツの普及をさらに推進するため、競技団体、特別支援学校、福祉施設等関係機関との連携を図りながら、選手の計画的な育成、強化に取り組んでまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 放射性物質に汚染された指定廃棄物の処理についてでありますが、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8、000ベクレルを超え、環境大臣の指定を受けた廃棄物については、国が責任を持って処理することとされております。しかしながら、実際の処理に当たっては、地方自治体に一時保管場所と最終処分場を確保することが求められ、かつ、その管理や処分なども委ねられるなど、いわば地方が処理責任を負わせられる形となっており、国の責任と積極的な関与を求める観点から、受け入れがたいものとなっております。
 一方、国による指定廃棄物専用の最終処分場建設という選択肢も示され、国では3年以内に建設可能としておりますが、最終処分場候補地とされた他県の自治体が強い拒否反応を示すなど、全く進展していないところであります。こうしたことから、県としては、国は放射性物質に汚染された廃棄物の処理に関して十分な責任を果たしていないものと認識しており、国の責任ある対応を求めているところであります。
 次に、汚染された農林業系副産物の焼却処理についてでありますが、国から明確な処理方針が示されない中、安全かつ着実な処理を進めるため、県では、汚染されていない生活系ごみにまぜて市町村等の既存施設で焼却することにより、焼却灰を低レベルに抑制しながら処理を進めることが現実的な方法であると考え、このための支援制度を設けたところであります。仮に生活系ごみにまぜないで専用焼却炉により焼却した場合には、1、000ベクレルの牧草からは1万ベクレルから2万ベクレルに濃縮された焼却灰が発生し、そのままでは既存の最終処分場に埋め立てることができなくなります。
 一方、混合焼却の場合、8、000ベクレルを超える牧草等であっても、焼却灰を低レベルに抑制することで既存の最終処分場への埋め立てが容易になります。生活系ごみと混合焼却する方法は全国でも本県のみの試みであり、現在、一関市などで実施され、安全に処理できることが確認されております。また、他の市町村においても焼却処理の検討が進められているものと承知しております。
 県としては、住民の理解を得ながら進めることが最も重要でありますことから、処理施設周辺住民への説明などについて、これまで以上に市町村と一緒になって汗をかき、焼却処理が円滑に進むよう努めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、全国学力・学習状況調査についてでありますが、本県の国語、理科につきましては、小学校、中学校とも全国の平均正答率を上回っておりますが、一方、中学校の数学につきましては、年々上昇傾向にはあるものの、いまだなお全国の平均正答率を下回り、引き続き課題と捉えております。これまでの授業改善を一層進めながら、基礎基本を繰り返し定着させる指導が必要であると分析しております。
 なお、授業がわかると肯定的に答えた生徒の割合が上昇しており、日常的に授業改善を行う教員がふえていると考えております。
 秋田県の教育施策や指導方法の特徴についてでありますが、教科の課題について重点を定めて集中して取り組むこと、基礎的な問題を毎日宿題として課すとともに、補充的な指導に力を入れていること、校長等による授業参観を頻繁に行っていることなどが挙げられると存じます。
 このような本県の分析結果や他県の教育施策などを踏まえ、本県におきましては、例えば中学校数学において、基礎計算力に課題があることが明らかになったため、数と式の領域を重点指導領域として設定し、今年度作成の基礎精選問題を各学校に提供するなど、改善に向けて取り組みを進めております。その改善の成果を来年度以降もさらに分析し、学習指導の充実に取り組んでまいります。
 また、いわて県民計画アクションプランの政策項目、児童生徒の学力向上の方策として、教員相互の授業参観をこれまで以上に推奨し、互いの授業力をさらに向上させることにより、わかる授業につなげてまいりたいと考えております。
 次に、県立高校への防災学科の設置についてでありますが、東日本大震災津波を経験した本県においては、子供たちの防災意識を醸成することにより、みずからの命を守る力と共生の心を育んでいく必要がございます。このため、小中高の各段階に応じたいわての復興教育において、震災津波の経験を踏まえた防災教育の充実を図っているところでございます。
 御提言のありました県立高校への防災学科の設置等、より専門性の高い教育の導入につきましては、他県の状況を参考にしながら、教育内容や卒業後の進路、大学等研究機関との連携の可能性、また、中学生の興味関心等を勘案し、その可能性について検討してまいります。
 次に、特別支援学校に通う子供の増加理由についてであります。
 特別な支援を必要とする児童生徒数の増加は、本県のみならず全国的な傾向であり、特別支援学校及び特別支援学級の在籍児童生徒数は増加してございます。
 その要因につきましては、文部科学省が平成19年度に行った調査及び独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が平成21年に行った調査によれば、保護者の方々の特別支援教育に関する理解の浸透や、これまでの学習指導、生活指導、進路指導における実績への評価と期待、そして、特別支援学級の増加、医療の進歩などが想定されるとされております。
 次に、特別支援教育に携わる教員の育成についてであります。
 特別支援教育に携わる教員には、児童生徒の自立に向けて、本人、保護者の教育的ニーズに応じた適切な指導と関係機関との連携による必要な支援を行うための専門性が必要でございます。
 そこで、特別支援学校教員につきましては、全員を対象に、初任者研修、5年、10年研修等の基本研修において、特別支援教育に関する講義や演習を通じて、それぞれが抱える課題についての研修を行うほか、選択研修として、障がい種別の専門的な研修や家族支援等についての研修を行っております。
 また、初めて特別支援学級を担当する全教員に対しまして、4月第1週のスタート研修を初め、特別支援教育に関する研修会を年3回開催して専門性の向上を図っておりますし、2年目以降の教員につきましては、選択研修として、4月に学級づくり、8月に授業づくりをテーマとした研修を行っております。
 さらに、特別支援学級の担任には、その地区を担当する特別支援学校の特別支援教育コーディネーターが、それぞれの専門的な助言や支援を継続的に行っているところでございます。
 次に、障がい者スポーツ振興の観点も取り入れた県スポーツ計画の策定についてでありますが、スポーツ基本法第10条においては、国のスポーツ基本計画を参酌して、その地方の実情に即した地方スポーツ推進計画を定めるよう努めることとされているところでございます。
 本県におきましては、現在は、平成21年度に策定したスポーツ振興分野を含む向こう10年間の教育の基本方向を示した岩手の教育振興が、これに相当するものと位置づけております。
 今後は、スポーツ基本法に基づく国のスポーツ基本計画や他都道府県の動向も勘案し、保健福祉担当部局等と連携し、必要な対応について検討してまいりたいと考えております。
 次に、スポーツ医・科学サポート体制の充実強化についてであります。
 国体選手強化におきましては、スポーツ医・科学サポート体制の充実を図ることは欠くことのできないものであり、そのためには、機能的なサポート体制の構築を図る必要があると考えております。
 このことから、現在、必要とされる機能や整備方法について専門家を交えて検討中でありますが、その検討結果を踏まえ、整備に向けて努力してまいりたいと考えております。
 次に、選手の育成強化計画についてでありますが、本年度、協働を基本とする希望郷いわて国体の開催方針と呼応し、県体育協会内に新たな強化組織を設立し選手強化に当たっておりますが、組織の拡充強化、指導体制の確立、選手の育成強化、サポート体制の整備、充実を柱に、計画的に事業を進めているところでございます。
 目標を達成するためには、入賞の可能性のある競技、種別、選手を重点的に強化するための事業を中心として実施し、国体に向けた選手強化予算の重点的な投入により効率的な強化を図っていくこととしております。
 大震災津波からの復興に全力を挙げている現状からいたしますと、大幅な強化費の増額は困難な状況にはございますが、さらなる競技力向上と、国体後も競技力を維持できる体制づくりが必要であると考えておりますので、民間資金の導入とあわせて、選手強化費の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇5番(名須川晋君) 御答弁ありがとうございました。かなり踏み込んだといいますか、改善、積極的な御答弁がありまして感謝申し上げます。
 冬季国体につきましては、ぜひともこの岩手で開催していただきたいということで、改めてお願いさせていただきます。
 また、県の総合防災訓練に係りまして、先ほど総務部長から、防災計画の改善ということも前向きな形での御答弁がありました。この中で、なぜか災害時の歯科医療救護に関する協定書が資料編のほうに掲載されていないということで、昨年の3月11日には薬剤師会と同じような協定を結んでいるのですが、その4日後、3月15日に結ばれた歯科医師会との歯科医療救護に関する協定書、これはなぜか載っていないという状況がございます。
 こうしたところからも、先ほどの情報連絡系統図にもないということで、もちろんその都度都度、ブラッシュアップをさせていくことが必要だと思いますが、かなり記載漏れだと思われるところがあるということですから、できるだけ早くの改善を期待するところでございます。
 教育長にお伺いしたいのですが、障がい者の方が、先ほど話題になった特別支援学校を例えば卒業した場合、そうすると、生涯スポーツになるのかなと思うのですが、その辺の区分をどういうふうにお考えでございましょうか。まず、シンプルにお伺いします。
〇教育長(菅野洋樹君) 御指摘のとおり、本県におきましても、先ほど申し上げました岩手の教育振興において生涯スポーツということを位置づけているわけでございますが、確かに、おっしゃるとおり、障がいのある方々の生涯スポーツということには、その辺は明確になっていないところでございます。したがいまして、この辺をどう位置づけていくのか、非常に大きな課題であろうと思っております。
〇5番(名須川晋君) その教育の振興自体が、岩手の教育振興自体が、スポーツ振興計画が、ここに、教育委員会の教育振興というところに包含されてしまっていることで教育分野に当てはめられている、障がい者の生涯スポーツが教育分野に当てはめられているのではないかと思いますが、そうしていただければ、それはそれで、教育委員会のほうがその知識も経験もあるのでいいと思うのですが、現実として、この教育振興には、ほとんど障がい者のスポーツについて記載がなされていないという状況がございます。
 そもそも岩手の教育振興の中のスポーツ施策、いわゆるスポーツ振興計画とイコールなんですが、これがたかだか七、八ページしかないというのはどういうことなのかと私は思います。それが国体で下位に低迷している状況につながっているのではないかと思うわけでございます。
 そうした中で、教育委員会であれ、保健福祉サイドの課題でもどちらでもいいのですけれども、最終的にはスポーツとして取り組んでいくことが必要ではないかと思います。私もこういう体をしておりますが、スポーツクラブにはたびたび行くのですけれども、これが教育委員会のサイドかなと思うと全く違うわけでございまして、あくまでスポーツ振興の観点ではないかと思っております。組織の改編もあるんでしょうけれども、その辺の境目をなくしていただきたいと思いまして、これはスポーツ振興計画を早目に見直す、あるいは岩手の教育振興から切り離した形で、きちんとスポーツ施策をつくるということが必要ではないかと考えております。
 そうした中で、この選手強化予算についてでございますが、いわて県民計画などの部局横断的な課題に取り組むための予算である戦略推進費が新年度予算の考え方として出てきたわけでございますが、ノーマライゼーションの観点としても、私は、これを障がいがある、なしにかかわらず、あらゆる県民のためのスポーツの振興に使うという意味からも、例えば選手強化費を戦略推進費なるものを使って進めていくという観点があれば非常におもしろいのかなと思いますが、これについていかがでございましょうか。
 それと、いわて情報連携クラウド・遠隔医療総合特区を昨年11月に総務省に申請いたしましたが、実は、規制緩和しなくても現行法で実施が可能だという結果になったということでございます。そうした中で、この動きが今どうなっているのかということをお伺いいたします。
 こういうのも先ほどの防災の質問に関連するわけでございますが、沿岸被災地の医療機能が消失してしまった中で、カルテとかそのデータが全てなくなってしまった。そういう中で、この岩手情報連携クラウド・遠隔医療総合特区というのも一つ、そういう観点から出てきた話だと思うのですが、現行法で実施が可能だということから、これはどういう形で今度進めていくこととするのか、その枠組み等についてもお知らせください。
〇教育長(菅野洋樹君) 確かに、岩手の教育振興策定時とスポーツ基本法の全面改定の時期を比較いたしますと、スポーツ基本法の全面改定のほうが後であるということで、岩手の教育振興を定めた際には、必ずしもそういった視点が十分であったかと言われますと、それは、やはり不十分であったと言わざるを得ないと思います。
 したがいまして、今後、スポーツ基本法に基づく国のスポーツ基本計画も踏まえながら、保健福祉担当部局とも十分協議いたしまして、検討を進めてまいりたいと思っております。
 また、岩手国体と全国障害者スポーツ大会の選手強化予算についてでありますが、御存じのとおり、岩手国体について、開催まであと残すところ4年という短い期間の中で、より効果的な選手強化を図るため、本年度新たに、県の教育委員会と県体育協会とが一体となりまして、各競技団体等とも連携して取り組む体制を立ち上げ、岩手国体に向けた選手強化に着手しているところでございます。
 一方で、全国障害者スポーツ大会、先ほど御答弁にもありましたが、障がいのある方の社会参加の推進、いわゆる国民の方々の障がいに対する理解を深めることも目的であるということで、若干、その趣旨が必ずしも、ちょっと違っているところがあると思いますし、また、選手強化に関連する競技団体も、実は両者でかなり異なってございます。
 したがいまして、残された期間が短い中、これらの選手強化予算を統合し、一体となって行うことが、より効率的、効果的な選手強化につながるのか、これは、関係競技団体等の意見も伺いながら、十分慎重に検討してまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 選手強化につきまして、私どもの保健福祉部からも若干補足させていただきたいと思いますが、まず、先催県では、おおむね3年前から選手の強化に着手している例が多いと承知しております。3年前における強化事業費としては約300万円で、競技団体の協力のもとに、技術指導教室などを実施しているほか、団体競技のチーム育成にもあわせて取り組んでいるというような実態にあると聞いております。
 本県におきましては、先ほど教育長の答弁にもございましたが、若干位置づけが違う部分もあるわけでありますが、競技種目によりましては、選手の育成強化の方法などに共通する部分もあるかと考えております。いずれ、先催県の取り組みを参考にしながら、教育委員会と連携をしながら選手強化に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、2点目にお尋ねのありました医療情報ネットワークの構築の関係でございます。
 広大な県土を有します本県の地理的、時間的制約あるいは医療に関する資源の地域的な格差の問題の解消に取り組むために、医療機関の情報通信ネットワークの整備あるいは対面診療を補完する遠隔地からの診療連携体制の強化は、重要な視点であると考えております。
 そうしたことから、今年3月に策定いたしました岩手県医療の復興計画にも、岩手医科大学と地域中核病院を結ぶネットワークシステムの構築事業を盛り込んだところでございます。
 現在、これにつきましては、県と岩手医科大学や医療局等の関係機関との間で具体化に向けた検討作業を進めておりますが、患者や医療関係者の利便性を向上し、持続可能なシステムとするためには、運営主体やランニングコスト等の課題を整理した上で、全参加機関が、当事者意識を持って取り組んでいくことが不可欠だと考えております。
 本県におきましても、こうした取り組みを行いながら、できるだけ早期に、まず、関係機関で協議組織を立ち上げ、具体的なネットワークの整備に向けた取り組みを進めてまいります。
〇議長(佐々木博君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時22分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 名須川   晋 君
6  番 後 藤   完 君
7  番 佐々木 朋 和 君
8  番 佐々木   努 君
9  番 軽 石 義 則 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 岩 渕   誠 君
18  番 郷右近   浩 君
19  番 喜 多 正 敏 君
20  番 高 橋 但 馬 君
21  番 小 野   共 君
22  番 高 橋   元 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 関 根 敏 伸 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 高 橋 昌 造 君
31  番 五日市   王 君
32  番 小田島 峰 雄 君
33  番 大 宮 惇 幸 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 佐々木   博 君
43  番 田 村   誠 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(1名)
47  番 千 葉   伝 君
説明のため出席した者
 休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
 休憩前に同じ
午後2時37分 再開
〇議長(佐々木博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋元君。
   〔22番高橋元君登壇〕(拍手)

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