平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

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〇31番(五日市王君) 民主党の五日市王でございます。今般、7度目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、以下、質問をいたします。
 最初に、平成25年度の予算編成方針と復興予算についてお伺いいたしますが、その前に、9月には主要政党の党首選挙が行われ、新しい党首が続々と誕生いたしました。民主党は予想どおり野田佳彦代表が、自民党は何と安倍晋三総裁が、日本維新の会は予想どおり橋下徹代表が、国民の生活が第一は小沢一郎代表がそれぞれ就任いたしました。
 私は、若かりし20代のころ、小沢一郎氏の著書である日本改造計画を読み、日本の戦後政治の最大の問題は、ぬるま湯構造にあるという指摘に共感をしてまいりました。小沢氏いわく。─いい湯加減の風呂に、与野党がそれぞれどっぷりとつかり、分け前の談合に花を咲かせてきた。しかも、そのぬるま湯にうっとりしているうちにいつしか、与党風呂と野党風呂を入れ替えなければならないという民主主義の基本さえ忘れ、万年与党、万年野党を不思議とも思わなくなってしまった。与野党とも、なまじ風呂を入れ替えて風邪をひくより、このまま湯につかっていた方がいいと思っている。─との指摘には我が意を得たりの思いで、やはりこの国には二大政党制が必要であると強く感じ入ったところでございました。
 この指摘から16年後の2009年、政権交代が実現し、いよいよ二大政党の時代が幕を開けたと思った途端、わずか3年で水泡に帰したことは残念でなりません。しかしながら、冷静に歴史を振り返れば、昨今は戦後長く続いた自民党政治からの大変革期であり、こうした過渡期にこれくらいの混乱はむしろないほうが不思議であり、まさに産みの苦しみの時期であると認識しております。この混乱を経て、さらに成熟した民主主義に発展していくものと前向きに捉えていきたいと思います。
 それはさて置き、知事は民主党を離党し国民の生活が第一の支持を表明しておりますが、野田民主党代表、安倍自民党総裁、橋下維新の会代表、小沢生活代表と、それぞれの党首に期待することは何か、お尋ねいたします。
 それでは、平成25年度の予算編成方針についてお伺いいたします。
 政府は8月17日、平成25年度の概算要求組み替え基準を閣議決定いたしました。ポイントは、歳出の大枠を71兆円、日本再生戦略を踏まえた経済の再生、成長に向けた大胆な予算の組み替え、社会保障・税一体改革について国民の理解を得るため、引き続き行政の効率化、簡素化に徹底して取り組むことなどを基本とし、東日本大震災からの復興対策、防災、減災対策への重点化、グリーンを中心とする日本再生戦略を踏まえた予算配分の重点化などの基本方針を定めました。これらを受けた各省庁からの概算要求額は約98兆円、東日本大震災復興特別会計は、前年比7、000億円増の約4兆5、000億円となっております。今後、査定などが行われ、年内にもその姿が明らかになってくると思います。
 本県においても、今後、今議会における決算審議を経て来年度の予算編成作業に取り組むものと思いますが、本県における来年度の予算編成方針についてお示し願います。
 あわせて、重点的に取り組む施策を全県や広域振興局においてどのように捉えているのか、お尋ねいたします。
 次に、きのうも質問がございましたが、復興予算についてお伺いいたします。
 去る9月9日に放映されたNHKスペシャル、シリーズ東日本大震災、追跡、復興予算19兆円を拝見し、衝撃を受けました。ごらんになられた方も多いと思いますが、この番組は、増税を前提につぎ込まれる19兆円という巨額の復興マネーの行方を追い、その実態を5万ページ超もの資料から徹底検証するというものでありました。驚いたのは、被災地の復興とは関係のないと思われる事業に、活力ある日本全体の再生のかけ声のもと、復興予算が湯水のように使われているということであります。
 番組によると、沖縄県海岸沿いの国道工事に7億円、岐阜県の製造業工場増設など被災地以外の企業立地に補助金、経済産業省、低炭素社会を実現する革新的融合約15億円、法務省、再犯防止施設2、800万円、公安調査庁、治安確保のための基盤強化2、800万円、文部科学省、国立競技場の補修費3億3、000万円、反捕鯨団体対策費に23億円などなど、復興予算は各省庁で500を超える事業に使われ、うち、被災地以外に205事業、2兆円超を計上しているというものでありました。これには、復興に全力で取り組んでいる被災地の住民ばかりか、その復興を陰に陽に支え、時には遠慮も我慢もしてきた被災県内陸部の住民も、あいた口が塞がりません。かくのごときは、まさに他人の懐を目当てにごちそうにあずからんとする者が、その案外献立の貧弱なるを見て不平を並べ、初めからごちそうにありつける工夫をした結果であります。
 この件に関して、復興局長であり財務省出身でもある上野副知事の感想をお伺いいたします。
 また、先ほども触れましたが、政府の平成25年度予算の概算要求に当たっての基本的考え方の第1に、東日本大震災からの復興対策、防災・減災対策への重点化とあります。その中に、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害に強い国づくりに向けた取り組みの一環として、あわせて一般会計において、公共事業関係費及びその他施設費の範囲内で、防災・減災対策事業への予算配分の重点化を図るとあります。この、あわせての文言が、いわば初めからごちそうにありつくための役人の工夫であると考えております。
 私は、決して防災、減災事業を行うことに異を唱えているわけではございません。復興予算の中から、その財源が賄われていることが大問題なのであります。このままでは、平成25年度は2兆円と言われる復興予算についても、同様の事態が想定されると危惧をいたしております。
 この件を受け、財務省では、被災地優先の基準をつくる方針を明らかにしましたが、被災県である本県はしっかりと調査、検証し、国に厳重に抗議すべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
 次に、消防防災対策についてお伺いいたします。
 政府の中央防災会議は、9月、防災基本計画の修正をいたしました。今回の見直しでは、大規模広域災害への対策と、原子力災害への対策の二つが強化されているところであります。
 一つ目の大規模広域災害への対策としての具体的な修正項目としては、災害に対する即応力の強化、被災者への対応改善、教訓伝承、防災教育の強化等による地域の防災力の向上が大きな柱となっております。
 また、二つ目の原子力災害への対策として、政府の原子力災害への対応強化、オンサイト・オフサイト対応、防災インフラ・防災資機材の充実、事後対策が大きな柱として挙げられております。
 原子力災害対策では、8月の総務委員会において、原子力事業者と安全協定を結ぶこと、原子力事故災害を想定した防災計画を策定することの趣旨の請願が採択されており、原子力災害への本県の対応を急がなければなりません。県においても、岩手県地域防災計画の見直しなど必要と思いますが、今後の対応方針を伺います。
 次に、消防団員の活動についてお伺いいたします。
 8月30日、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会の報告書が消防庁長官に提出されました。この中で、消防団員に多くの犠牲者が出た要因として、想像を超えた津波であったこと、津波の最前線で危険が逼迫した状況での対応力を超えた任務を行ったこと、情報の不足、地域住民の防災意識の不足が挙げられております。
 また、消防団員数は減少を続け、平成23年4月1日現在の全国の消防団員数は87万9、978人となっており、平成21年の88万5、394人から、微減ではありますが減少を続けております。
 この消防団員減少の要因として、消防の近代化、常備化の進展、産業構造、就業形態の変化、コミュニティ意識の希薄化などが挙げられ、特にも若者が消防団への入団をためらう理由として、上下関係の厳しさ、拘束時間の長さへの抵抗感、家族の反対、仕事との両立が困難などが挙げられており、若者への入団促進が大きな課題となっております。
 今回の報告書では、若者が入りやすい消防団への取り組みとして、処遇の改善、事業所への働きかけ、女性の入団促進、大学、高校への働きかけなどの改善策が示されておりますが、これらへの本県の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、沿岸部では、消防団の出動手当を増額する動きが広がっているとのことですが、この状況と今後の県としての取り組み方針をお伺いいたします。
 次に、県土の保全についてお伺いいたします。
 尖閣諸島を初めとする領土の問題は国内外に大きな関心を集め、日本国土をいかに守るかが政治の大きな課題となっております。このような中、外国資本による日本国土の買収が進んでおります。現在までに外資による投機的な土地買収は統計上約3、700ヘクタールと言われており、今後、世界の水需要の逼迫や森林の二酸化炭素吸収能力に係る価値の上昇などから、中国や新興国による富が我が国に流入すれば、この面積はさらにふえると見込まれております。特にも、我が国は、総面積の66%に当たる2、510万ヘクタールの森林を有する世界第3位の森林大国であり、その森林の水資源を狙い、山林を買収しようとする外資の動きが社会問題化してきております。
 国土交通省と農林水産省によると、これまで、全国で約800ヘクタールの森林が外資により買収されたとのことであります。しかしながら、これらの動きに対抗する手だてはなく、また、国土森林の4割を占める私有林の山林所有者の4人に1人は、地元に在住しない不在地主であり、土地所有者の特定すらできない状況にあります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 さらに、インターネットオークションによる国公有地の競売が広がるなど、このままでは無秩序な土地利用が広がるばかりではなく、無秩序な伐採による景観の破壊、水資源地域の乱開発による水質の悪化や水資源の枯渇なども懸念されているところであります。
 このような状況の中、2012年4月に、すべての森林所有権の移転について事後届け出を義務づける改正森林法が施行されましたが、外資による売買を未然に防ぐという観点ではまことに不十分であります。
 諸外国では、外国人や外国法人による自国内の土地所有について、地域を限定したり、事前許可制としたりするなどの制限を課している状況にありますが、我が国では、大正14年に制定された外国人土地法において、国防上重要な地区などで土地取得を制限できるとしていますが、具体的な地区を指定した政令は終戦直後に廃止され、実効性を失っている状況にあります。
 こうした国の状況にしびれを切らし、水資源の保全と水源周辺土地の適正利用を促すため、本年3月に北海道と埼玉県、5月に群馬県において、土地取引行為の事前届け出制などを盛り込んだ水資源の保全に関する条例が成立し、国土の適正利用と水資源の保全に乗り出したところであります。また、同趣旨の条例の検討を山形県、茨城県など、9県で行われているとのことであります。
 そこで、県土の77%の森林を保有する我が県においても、買収事例のあるなしにかかわらず、未然に県土を守るという観点から条例制定を急ぐべきと考えますが、県当局の認識と今後の取り組みについて知事にお伺いをいたします。
 次に、県北振興についてお伺いいたします。
 本年5月の有効求人倍率において、岩手県は19年ぶりに1.0を超え、直近の8月時点においてもこれを維持している状況にございます。この要因は、震災の復興需要が求人倍率を押し上げているとのことであります。しかしながら、県北二戸管内の有効求人倍率は県内最下位の0.67にとどまるなど、産業、雇用を中心に、依然、県北地域の課題は多いと感じているところでございます。
 県においては、平成18年1月に県北・沿岸振興本部を立ち上げ、県政の最重要課題として県北・沿岸地域の振興に取り組んできたところであり、先日も、現地県北振興会議を二戸市で開催するなどその取り組みには敬意を表しますが、全体の底上げには至っていないのが現状であります。
 現在の県政の最重要課題は、甚大な被害に見舞われた沿岸地域の復興であることは十分認識しており、沿岸地域については、震災後新たに復興本部を立ち上げ、復興に向け鋭意取り組んでいるところと認識しておりますが、その一方で、全国からの支援やマスコミの報道で連日注目されている沿岸地域に比較して、県北地域の課題が陰に隠れてしまうのではないかと心配をしているところでもございます。
 そこで、県北振興のこれまでの振興策の実績と評価についてお伺いをいたします。その上で、今後の県北振興策をどのように考えていくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、今年度からスタートした青年就農給付金についてお伺いいたします。
 この制度は、新たに農業を始める45歳未満の人を対象に、最長で7年間、毎年150万円ずつ給付するという、民主党の担い手確保対策の目玉商品であります。国では、当初、全国で8、200人の受給者を見込んでおりましたが、実際にはおよそ倍に当たる1万5、492人が申請を希望しているとのことで、今後予算の確保が大きな課題となっております。本県においては、5月末時点で158人分の配分額に対し218人分の要望があり、60人分が不足しているとのことでしたが、せっかく手を挙げたやる気のある人たちの意欲がそがれるのではないかと心配されるところでもあります。
 この青年就農給付金制度は、農業者の高齢化や耕作放棄地の解消に役立つだけではなく、特にも県北地域においては、葉たばこの廃作対策や定住人口の増加など、うまくいけば担い手の確保だけではなく、人口減少に歯どめをかけることのできる政策であり、私を初め県北の人たちも大いに期待をしているところでございます。
 そこで、本県の応募状況はどうなっているのかお伺いいたします。あわせて、この事業に対する県の評価及び課題についてどのように捉えているのか、お伺いいたします。また、来年度からは、漁業、林業にも拡充するとのことでありますが、この内容についてお示し願います。
 次に、半農半Xについてお伺いいたします。
 半農半Xとは、生活の半分は農業、もう半分は自分の得意な仕事ややりたい仕事を行うという、新しいライフスタイルが都市部を中心に注目を集めております。この背景には、食の安全や環境問題に対する関心の高まりや、豊かな生活へのあこがれなどがあるとされております。実際に、この半農半Xの考え方を導入し、都会からの移住、定住を手がける島根県では、移住者の農業研修のほか、給付金や設備投資への補助などのメニューをそろえたところ、現在までの移住者は15人とのことであります。また、半農半XのXの部分に看護や介護、保育など、地域で不足している具体的な職種を入れたところ、30代から40代や家族連れの移住もふえてきたとのことであります。
 この半農半Xのライフスタイルは、地方ではいわゆる兼業農家としてごく普通のことでありますが、新しい価値観として発信することで、今後増大する首都圏の高齢者や若年層の定住促進に大いにつながってくるものと考えます。
 本県においても、特にも県北地域においては、中山間地域の特性を生かし、小中規模の農家と地元の産業をコラボする、例えば若年層には半農半ブロイラーや半農半縫製、リタイヤ層には半農半年金など積極的に首都圏に発信するなど、移住、定住人口の拡大を目指すべきと思いますが、半農半Xに対する認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、首都圏からの移住、定住促進の観点からお伺いしますが、かつて高度経済成長期に集団就職により地方から首都圏などへ人材が流出しましたが、一極集中に限界を迎えた今日、地方への人材の再配置が必要であります。首都圏などの増大する生活保護受給者やホームレス、若年層のフリーターや失業者など地方への移住を進め、農業や被災地のお手伝いなどに従事させるような抜本的かつダイナミックな政策転換を進めるべきだと思いますが、所感をお伺いいたします。
 次に、産業廃棄物対策についてお伺いいたします。
 先ほども質問がございましたが、いわてクリーンセンターの最終処分場が、災害廃棄物の受け入れに伴い、満杯となる時期が当初の想定より早まり、2021年となる見通しが示されました。県では、今年度中に次期処分場整備の基本方針を策定し、来年度中に候補地の選定を行うとのことでありますが、まずは今後の全体スケジュールについてお伺いいたします。
 また、県北地域では、民間企業による処分場建設の計画があるようですが、今後、民間企業の参入の可能性についてもお伺いいたします。
 次に、建設候補地の選定方法についてお伺いいたします。
 最終処分場など、人間にとって絶対に必要な施設も、我が町につくるとなった途端、迷惑施設に変貌し、時には異常なまでの反対運動が引き起こされ、合意に至るまでの道のりが非常に険しいというのが、残念ながら我が国の現状であります。
 思い起こせば、震災瓦れきの広域処理をめぐり、住民からの反対の声に右往左往する首長が多い中、東京都の石原知事は、受け入れ反対の声に対し、黙れと一蹴して見せたリーダーシップには頭の下がる思いがいたしました。
 それはさて置き、今後建設する新たな処分場は、災害廃棄物の受け入れに伴い、既存施設の埋め立て終了時期が早まるため整備しようとするものでありますから、よもや本県で反対運動が起こるとはゆめゆめ思ってはおりませんが、候補地の選定に当たっては、住民への丁寧な説明と不安解消の努力など、でき得る限りの方策をとらなければなりません。その中で、特にも重要なのは、行政の監視体制の強化と責任体制の明確化にあると思います。このことを踏まえ、今後の候補地選定の考え方、方法についてお伺いをいたします。
 最後に、飲酒運転撲滅対策についてお伺いいたします。
 今からちょうど13年前、1999年11月28日、東名高速道路において飲酒運転のトラックが乗用車に衝突し、幼い姉妹が犠牲になるという悲惨な事故が起きました。この事故は社会的にも大きく取り上げられ、記憶されておられる方も多いと思います。ちょうどその1年後の2000年11月28日の朝、私の地元であります二戸市内の県道において、飲酒運転の軽トラックが通学途中であった小学生の列に突っ込み、女児2人が死亡、6人が重軽傷を負うという痛ましい事故が起きました。これらの事故をきっかけに、被害者家族らは量刑の厳罰化を求め署名活動などを展開し、2001年11月に、最高刑を懲役15年とする危険運転致死傷罪が刑法に新設されたことは御案内のとおりであります。
 去る9月21日から23日までアイーナにおいて、こうした事故や事件などで亡くなった被害者のメッセージ展である、生命のメッセージ展inいわてが開催され、私も見学をさせていただきました。このメッセージ展は、2001年3月から44都道府県で開催され、岩手での開催は初めてとのことでしたが、このような被害者をこれ以上出さないためにどうすればいいか、改めて自問をしたところでございます。
 そんな中、9月21日、福岡県で飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例が全面施行されました。同様の条例は、宮城県、山形県、大分県、沖縄県で制定されており、いずれも議員提案によるものでありますが、福岡県においては、アルコール依存症の診断義務と罰則を全国で初めて設けたことが特徴となっております。
 そこでお尋ねいたしますが、本県における飲酒運転の状況並びに全国の推移をお示し願います。あわせて、飲酒運転撲滅に対する警察本部長の認識及びこれらの取り組みの評価並びに飲酒運転撲滅に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 五日市王議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、党首への期待についてでありますが、今、日本は大変危機的な状況にあると思いますが、日本のかじ取りをしっかり行う政治を求める民意は、改革の政治の流れの中で着実に発展してきたと思います。民意を大切にする政治を行うことで日本は大いによくなり、復興も進むと思いますので、各党首の皆様にはぜひそのことを心がけていただきたいと思います。
 次に、本県の平成25年度の予算編成方針についてでありますが、国の中期財政フレームにおいて、地方の一般財源総額は平成24年度の水準を下回らないよう同水準を確保することとされましたが、本県の財政は、社会保障関係経費の増額や、今後数年かけて公債費のピークが到来することなどから、これまでにも増して厳しい局面を迎えることが見込まれます。
 こうした情勢の中、今年度に引き続き、平成25年度においても東日本大震災津波からの復旧、復興に向け全力で取り組むとともに、限られた財源の中、全ての事務事業を精査し、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成する考えです。具体的には、先般見直しを行った復興実施計画に基づき、住環境の整備や雇用の確保、水産業などの産業の再生、放射性物質の被害対策などの喫緊の課題に的確に対応してまいります。
 また、復興に資する優先度や関連性を勘案し、内陸地域の活力が沿岸地域を支えることにも配慮しながらいわて県民計画第2期アクションプランに掲げる取り組みを進めるとともに、岩手の将来を見据え、復興計画の三陸創造プロジェクトやいわて県民計画の岩手の未来を切り拓く六つの構想など、分野横断的、先駆的な取り組みも進めてまいりたいと考えています。
 広域振興局では、現場主義に立脚した地域経営を行うため、市町村、県民、関係団体等と意識を共有しながら、アクションプラン地域編に掲げた将来像の実現に向け、各地域の特色を生かしながら、大震災津波からの復興を初め、産業振興等の地域課題に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、県土の保全についてでありますが、本年4月から施行された森林法の一部改正で、売買や相続等により新たに森林所有者になった場合、その届け出が義務化され、これまで困難であった森林所有者の異動情報の把握が容易となったことは、無秩序な伐採の防止や水源の涵養など、森林の適切な保全管理に有効に活用し得るものと認識しております。
 県としては、この森林法の届け出制度により所有者を的確に把握しながら、水源地域など公益上特に重要な森林の保安林への指定や林地開発許可制度の適切な運用などの方策を講じ、将来にわたって本県の森林が適切に保全管理されていくよう取り組んでいく考えです。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) まず、復興予算の使い道に対する感想についてでございますが、昨年7月に東日本大震災復興対策本部が決定いたしました東日本大震災からの復興の基本方針に明記されているとおり、国は、国の総力を挙げて、東日本大震災からの復旧、そして将来を見据えた復興へと取り組みを進めていかなければならないものとされております。復興予算につきましては、こうした復興の基本方針に基づきまして予算が計上されることが必要と考えられ、復旧、復興が実現するまでの間、復興交付金やグループ補助金を初めとする、被災地で必要とされている事業予算が確実に確保されるべきであると考えております。
 次に、復興予算の調査検証についてでありますが、国におきましては、平成25年度のいわゆる概算要求基準におきまして、津波、地震被害や原子力災害からの復旧、復興に直結するなど、真に必要な経費を要求することとしているところでありますが、これに加えまして、現在、復興庁及び財務省を中心といたしまして、政府全体で復興予算を活用した事業の精査が行われていくものと承知いたしております。
 本県といたしましては、これまでも復興の加速化を図るために、第1に、復興交付金などによる確実な予算措置、第2に、地方負担分に対する財源措置の充実確保、第3に、自由度の高い地方財源の一層の確保など、復興財源の確保について重ねて要請してきたところでございます。
 復興予算は被災地の復興を着実に実現させていくべきものでなければならないことから、今後とも、国の動向を注視しつつ、一日も早い復興のために必要な予算措置を国に対して強く要望してまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、地域防災計画の見直しについてでございますが、今般の原子力発電所事故は、立地県のみならず、本県を含めた近隣の地方公共団体に対しましても長期かつ広範囲にわたってさまざまな分野に大きな影響をもたらしており、原子力発電所事故が及ぼす影響の甚大性が広く認識されたところでございます。こうした認識に立ちまして、本県としても、原子力発電所事故等の原子力災害が発生した場合に迅速かつ円滑に対策を講じられるよう、あらかじめ対応を定めておく必要があるものと考えております。
 このため、国の原子力災害対策指針による原子力施設からの距離に基づく対策策定の義務づけいかんにかかわらず県地域防災計画を見直し、新たに原子力災害対策編を設ける方向で検討中であります。今後、県防災会議の場におきまして、関係機関との議論を進め、速やかに実効性のある計画を作成したいと考えております。
 また、大規模広域災害への対応につきましては、本年3月の県地域防災計画の見直しによって先行して対応している事項も多岐にわたっておりますが、改めて今般の防災基本計画における修正内容を整理の上、追加で必要となる事項につきましては県の計画に適切に反映していく考えであります。
 続きまして、消防団員の活動についてでございます。
 これまで、報酬等の水準の向上を初めといたしまして消防団員の処遇改善を市町村に促すとともに、市町村や県消防協会と連携して、消防団協力事業所表示制度の普及や、女性アナウンサーによります消防団確保大使の活動などを通じまして消防団の活動に対する住民や事業所の理解醸成を図り、若者や女性が消防団に入りやすい環境づくりに努めてきたところでございます。加えまして、本年度は、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、県消防協会と連携して、災害時における消防団の活動指針の作成など、安全対策の確立にも取り組んでいるところでございます。
 今後は、このような安全対策の周知徹底を図りながら、御紹介の報告書も参考に、大学内消防団の活動など各地で展開されております特色ある事例の紹介や少年消防クラブの交流の促進など、将来の担い手育成を意識した新たな取り組みも行っていきたいと考えております。
 また、出動手当につきましては、震災以降、沿岸部の4市町村が増額したところでございますが、今後におきましても、消防団員の処遇改善につながりますよう、引き続き市町村に対しまして働きかけていきたいと考えております。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) まず、県北振興についてでありますが、これまで、いわて県民計画に基づき、県北・沿岸振興本部を中心に、すぐれた地域資源を生かした産業振興、それから、道路や農林水産業の生産基盤など産業を支える社会資本の整備、この二つを柱として取り組んでまいりました。その結果、県北地域におきましては、平成17年度以降、チキンや野菜加工の食品事業者を初め、コールセンター、造船業など14社の企業立地による新規雇用の創出や、雑穀、ヤマブドウ、短角牛などの取引拡大による食産業の振興が図られてきております。さらに、最近では、9月に御所野遺跡の世界遺産登録に向けて海外専門家が現地を訪れたほか、今月12日から14日までは、日本産漆の普及啓発を図るための漆サミット2012in浄法寺が予定されております。また、平成25年度の日本ジオパーク認定を目指し、8月に久慈市において三陸ジオキャラバン・地域学習会が開催されるなど、地域資源を活用した交流人口の拡大に向けた取り組みも進んでおります。
 一方で、議員御指摘のように、二戸管内の有効求人倍率が県内で一番低くなっており、若者の地元定着のための産業集積や雇用機会の確保など依然として解決すべき課題があることから、今後におきましても、農商工連携や体験型観光など地域資源の高付加価値化に向けた取り組みを一層推進し、自立と活力を生み出す産業経済基盤の構築を目指してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、青年就農給付金についてでありますが、9月末までの応募状況は後期からの支給者も含めて183人で、5月末の要望量調査では不足が見込まれたものの、現時点では応募者全員に給付できる見込みとなっております。
 また、この給付金事業の評価につきましては、県外など他地域からの移住就農など、新規に独立自営就農する青年農業者にとりましては就農初期の収入不安定が参入障壁となっており、この給付金はこれら青年農業者の早期の経営安定に大きく貢献するもので、新たな参入を容易にするものと考えております。
 一方、課題といたしましては、親元に就農し部門継承する場合、親の農地の所有権移転、もしくは親族以外からの農地の利用権取得が要件とされており、これを満たせず、申請を取り下げる事例もあると聞いていることから、今後、具体的な事例を調査し、必要に応じて国に改善を要望してまいります。
 また、漁業、林業への就業に対する給付金の拡充につきましては、平成25年度予算の概算要求で、漁業担い手の就業準備段階において給付金を年間150万円、2年間給付することなどが盛り込まれておりますが、詳細な内容につきましては、予算編成過程を通じて検討され、明らかになってくるものと承知しております。
 次に、半農半Xについてでありますが、県では、農村への定住や地域の活性化を図るためU・I・Jターン就農を推進しておりますが、新規参入者にとりましては、農業専業では経営安定が難しい場合もあることから、生活基盤を安定させるため、島根県において推進されている半農半Xのような他産業との兼業も有効であると認識しております。
 県といたしましては、これまで、新規参入者の経営安定に向け、技術習得支援や経営指導、機械、施設の導入支援等を行ってまいりましたが、今後は、これに加えて、農閑期を利用した他産業への従事などの兼業につきましても、具体的な相談があった場合には関係部局や関係機関等と連携して対応していきたいと考えております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 産業廃棄物対策についてでありますが、最終処分場の整備には通常10年程度を要することから、まず今年度は、施設の規模、対象廃棄物、運営のあり方等を盛り込んだ整備基本方針を策定することとしております。その後2年間で用地の選定と地元の了解を得た上で、環境影響評価と基本設計におおむね3年、建設工事に3年を見込み、平成32年度末までの完成を目指すという全体スケジュールを想定しているところであります。
 また、民間企業の参入についてでありますが、関係団体等への事前アンケート調査では、効率的な運営の確保の観点から民間企業の参入を求める声がある一方で、責任体制の明確化の観点から一定の公共関与が必要であるとの意見も寄せられているところであります。今後、アンケート調査結果や他県の先進事例等も踏まえながら、検討委員会において議論していただくこととしております。
 次に、建設候補地の選定方法についてでありますが、今年度は選定に当たっての基本的な考え方を基本方針に盛り込むこととしており、具体的な選定基準の策定及びこれに基づく候補地の選定は次年度以降に行うこととしております。
 候補地の選定に当たりましては、地域住民の安全・安心の確保が基本となるものであり、下流域を含む周辺地域の環境に対し大きな負荷を与えることがないような場所を選定する必要があると考えております。
 また、施設の運営管理が適切に行われるよう、整備主体のいかんにかかわらず行政による適切な監視を行っていく考えであります。
   〔警察本部長高木紳一郎君登壇〕
〇警察本部長(高木紳一郎君) 本県の飲酒運転による交通事故につきましては、本年8月現在、発生件数が27件、死者数が1人となっております。昨年の発生件数は30件でありますが、10年前と比較しますと76%減少し、4分の1以下となっている状況にあります。全国の推移につきましては、飲酒運転に対する罰則等が強化された平成14年以降の減少が顕著であり、昨年の発生件数は10年前の5分の1以下となっているところであります。
 次に、飲酒運転撲滅についての認識についてでありますが、飲酒運転は重大事故に結びつく危険性が非常に高い違反として捉え、これまでも取り締まり強化月間を設定するなどしながら取り組みを強化してまいったところであります。
 飲酒運転の撲滅には、取り締まりに加え、飲酒運転をしない、させないという環境づくりも大切でありますが、全国では、これまでに五つの県が飲酒運転の根絶に関する条例を制定し、県民の規範意識の醸成に努めているところであり、その効果については今後注目してまいりたいと考えております。
 飲酒運転の根絶に向けた取り組みについてでありますが、昨年以降、飲酒運転の検挙件数が増加しており、飲酒運転そのものが増加に転じた可能性があることから、今後、厳正な取り締まりを一層強化していきたいと考えております。
 また、酒酔い体験ゴーグルなどを活用した参加体験型の交通安全教育やハンドルキーパー運動の働きかけを行うとともに、飲酒運転の根絶に向けた広報啓発活動を関係機関、団体と連携しながら実施してまいる所存であります。
〇31番(五日市王君) 答弁ありがとうございました。
 県土の保全について1点だけお伺いいたします。
 条例制定については言及がなかったわけでございますが、条例制定した北海道では、やはり外資による買収未遂事案が発生して、これはつくらなきゃいかぬという危機感が発端で条例制定に至ったという話を聞いてございます。実は私の知り合いの山林所有者からも、県内においてもそういった未遂事案はあるというお話も伺っておりまして、非常にその方々も危機感を持ってございます。
 先ほど本質問の中でもいわゆる国土の4割が私有林と指摘いたしましたが、これは面積にすると1、400万ヘクタールだそうです。仮にヘクタール当たり高く見積もって100万円としても、14兆円あれば日本の山が全部買えるんです。岩手県におきましては、平成22年度の林野面積が118万ヘクタール、うち54%の64万ヘクタールが私有林でございます。これもヘクタール当たり例えば100万円としても、6、400億円あれば私有林が全部買われてしまうわけです。そういったことにもう少し危機感を持っていただいて、条例制定に向けて少し勉強するなり研究するなりをしていただきたいというのが一つでございまして、それと、私、これができるかどうかわかりません。平成21年7月1日に議員提案でいわての水を守り育てる条例が施行されましたが、例えばこれに事前届け出を盛り込む一部改正ということも、もしできるのであればそういった手段もあるのではないかと考えてございます。
 いずれ、森林は農林水産部で、水環境になれば環境生活部の所管でありますが、そこはきちんと横断的にこの問題をもう少し真剣に議論をしていただきたいと思いますが、水環境の観点から、環境生活部長にその辺のお話を聞きたいと思います。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 議員提案で制定されましたいわての水を守り育てる条例につきましては、水環境の保全及び水資源の確保ということで制定されたものでございますが、水源地の保全というのは大変重要なことであるということで、各部局が連携しながら取り組んでいるところでございます。
 現状におきます本県の水環境についてでございますが、公共用水域の水質につきましては良好な状況であると。また、水需給につきましても確保されているという状況でありますことから、水源地につきましては良好に保全されているものと認識しております。しかしながら、御指摘のありましたことにつきましては、これから私どもといたしましてもいろいろ情報をとるなどいたしまして、いろいろ勉強させていただかなければいけないと考えているところでございます。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時50分 散 会

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